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審決分類 審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  B41J
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B41J
審判 全部申し立て 2項進歩性  B41J
審判 全部申し立て 特174条1項  B41J
審判 全部申し立て 判示事項別分類コード:857  B41J
管理番号 1393965
総通号数 14 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2023-02-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-11-13 
確定日 2022-12-01 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6745229号発明「印刷装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6745229号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、〔3、4〕、5、6、〔7−9〕、10について訂正することを認める。 特許第6745229号の請求項1乃至5、7乃至10に係る特許を維持する。 特許第6745229号の請求項6に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6745229号(以下「本件特許」という。)に係る特許出願(優先権主張平成28年7月8日)は、平成29年1月30日に特許出願され、令和2年8月5日にその特許権の設定登録がされ、同年8月26日に特許掲載公報が発行された。
その後、本件特許について、同年11月13日に特許異議申立人青木なお子により特許異議の申立てがされ、同年12月28日に特許異議申立書を補正するための手続補正書が提出され、令和3年4月6日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年6月10日に特許権者から意見書の提出及び訂正の請求がされ、同年8月13日に特許異議申立人から意見書が提出され、同年9月14日付けで訂正拒絶理由が通知され、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者は応答しなかった。
そこで、同年11月9日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、その指定期間内である令和4年3月4日に特許権者から意見書の提出及び訂正の請求がされ、同年4月15日に特許異議申立人から意見書が提出され、同年5月18日付けで訂正拒絶理由が通知され、同年6月22日に特許権者から意見書が提出され、同年8月2日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年8月10日に特許権者から意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)がされ、同年9月20日に特許異議申立人から意見書が提出されたものである。


2 訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
本件訂正請求は、その請求の趣旨を「特許第6745229号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1〜10について訂正することを求める。」とするものであり、その内容は次のとおりである。(下線は当審にて付した。以下同じ。)
なお、本件特許の願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(特許掲載公報に記載されたものであって、本件訂正請求による訂正前のもの)について言及する際には、以下において、それぞれ、「本件特許明細書」、「本件特許請求の範囲」、「本件特許図面」という。また、「本件特許明細書」、「本件特許請求の範囲」、「本件特許図面」をまとめて、「本件特許明細書等」というとともに、「本件特許請求の範囲の請求項1」を「訂正前の請求項1」(他の請求項についても同様。)という。
なお、特許法第120条の5第7項の規定により、令和3年6月10日及び令和4年3月4日にされた訂正請求は取り下げられたものとみなす。

ア 請求項1〜4に係る一群の請求項に係る訂正
(ア)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「缶体の搬送に用いられる移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路と、
前記第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路と、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路のうちの一方の移動経路から他方の移動経路へ前記移動体を移動させる第3の移動経路と、
前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
を備え、
前記第3の移動経路は、直線状に形成されている印刷装置。」
と記載されているのを、

「缶体の搬送に用いられる移動体であって、当該缶体を支持する筒状の支持部材を備える移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路と、
前記第1の移動経路とは別に設けられ、当該第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路と、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路の各々とは別に設けられるとともに、当該第1の移動経路および当該第2の移動経路の両者に対して直交する関係で配置され、当該第1の移動経路から当該第2の移動経路へ前記移動体を移動させる第3の移動経路であって、筒状の前記支持部材の軸方向が当該第3の移動経路の延び方向に沿った状態で当該移動体が移動を行う第3の移動経路と、
前記第1の移動経路に設けられ、当該第1の移動経路上に位置する前記移動体に設けられた前記支持部材により支持され当該移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
を備え、
前記第3の移動経路は、直線状に形成されている印刷装置。」
に訂正する。

(イ)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に、
「前記印刷部は、前記第1の移動経路又は前記第2の移動経路に設けられ、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路のうちの前記印刷部が設けられている移動経路では、リニア機構が用いられて前記移動体の移動が行われる請求項1に記載の印刷装置。」
と記載されているのを、

「缶体の搬送に用いられる移動体であって、当該缶体を支持する筒状の支持部材を備える移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路と、
前記第1の移動経路とは別に設けられ、当該第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路と、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路の各々とは別に設けられるとともに、当該第1の移動経路および当該第2の移動経路の両者に対して直交する関係で配置され、当該第1の移動経路および当該第2の移動経路のうちの一方の移動経路から他方の移動経路へ前記移動体を移動させる第3の移動経路であって、筒状の前記支持部材の軸方向が当該第3の移動経路の延び方向に沿った状態で当該移動体が移動を行う第3の移動経路と、
前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
を備え、
前記第3の移動経路は、直線状に形成され、
前記印刷部は、前記第1の移動経路に設けられ、
前記第1の移動経路では、リニア機構として設けられた電磁石であって当該第1の移動経路に設けられた当該電磁石が用いられて前記移動体の移動が行われる印刷装置。」
に訂正する。

(ウ)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に、
「前記第1の移動経路および前記第2の移動経路のうちの一方の移動経路は、他方の移動経路の上方に配置されている請求項1又は2に記載の印刷装置。」
と記載されているのを、

「缶体の搬送に用いられる移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路であって、当該第1の移動経路に設けられたリニア機構を用いて当該移動体を移動させる第1の移動経路と、
前記第1の移動経路とは別に設けられ、当該第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路であって、当該第2の移動経路に設けられたリニア機構を用いて当該移動体を移動させる第2の移動経路と、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路の各々とは別に設けられ、当該第1の移動経路および当該第2の移動経路のうちの一方の移動経路から他方の移動経路へ前記移動体を移動させる第3の移動経路であって、エアシリンダ又は循環移動するベルト部材を用いて当該移動体を移動させる第3の移動経路と、
前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
を備え、
前記第3の移動経路は、直線状に形成され、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路のうちの一方の移動経路は、他方の移動経路の上方に配置されている印刷装置。」
に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項4も同様に訂正する)。

(エ)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に「請求項1乃至3の何れかに記載の印刷装置」と記載されているのを、「請求項3に記載の印刷装置」に訂正する。

(オ)別の訂正単位とする求め
訂正後の請求項2、3については、当該請求項2、3についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求める。

イ 一群の請求項5に係る訂正
(ア)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に、
「缶体の搬送に用いられる移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路と、
前記第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路と、
前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路のうちの一方の移動経路から他方の移動経路へ前記移動体を移動させる移動手段と、
を備え、
前記移動手段は、前記移動体を保持し前記第1の移動経路および前記第2の移動経路の延び方向に延びる回転軸を中心に回転する回転体を備え、当該回転体を回転させて、前記一方の移動経路から前記他方の移動経路へ当該移動体を移動させる印刷装置。」
と記載されているのを、

「缶体の搬送に用いられる移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路と、
前記第1の移動経路とは別に設けられ、当該第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路と、
前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路のうちの一方の移動経路から他方の移動経路へ前記移動体を移動させる移動手段と、
を備え、
前記移動手段は、前記移動体を保持し前記第1の移動経路および前記第2の移動経路の延び方向に延びる回転軸を中心に回転する回転体を備え、当該回転体を回転させて、前記一方の移動経路から前記他方の移動経路へ当該移動体を移動させる印刷装置。」
に訂正する。

ウ 請求項6〜9に係る一群の請求項に係る訂正
(ア)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6を削除する。

(イ)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7に、
「前記第2の移動経路は、前記第1の移動経路よりも上方に配置され、
前記印刷部による印刷が行われた缶体を加熱する加熱手段を更に備え、
前記印刷部は、前記第1の移動経路に設けられ、
前記加熱手段は、前記第1の移動経路よりも上方に位置する前記第2の移動経路に設けられている請求項6に記載の印刷装置。」
と記載されているのを、

「缶体の搬送に用いられる移動体と、
前記移動体が移動する第1の移動経路と、
前記第1の移動経路とは別に設けられ、前記移動体が移動する第2の移動経路と、
前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
を備え、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路の少なくとも一方の移動経路は、分岐部にて複数の移動経路に分岐するとともに、当該分岐部よりも下流側の合流部にて合流し、
前記第2の移動経路は、前記第1の移動経路よりも上方に配置され、
前記印刷部による印刷が行われた缶体を加熱する加熱手段を更に備え、
前記印刷部は、前記第1の移動経路に設けられ、
前記加熱手段は、前記第1の移動経路よりも上方に位置する前記第2の移動経路に設けられ、
前記分岐部と前記合流部との間に設けられる前記複数の移動経路は、上下方向における位置が互いにずらされた状態で設けられている、
印刷装置。」
に訂正する(請求項7の記載を引用する請求項8、9も同様に訂正する)。

(ウ)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項9に「請求項6乃至8の何れかに記載の印刷装置」と記載されているのを、「請求項7乃至8の何れかに記載の印刷装置」に訂正する。

(エ)別の訂正単位とする求め
訂正後の請求項7については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求める。

エ 請求項10に係る一群の請求項に係る訂正について
(ア)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項10に、
「缶体の搬送に用いられる移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路と、
前記第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路と、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路のうちの一方の移動経路に設けられ、前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路の一方から他方へ前記移動体を移動させる移動手段と、
を備え、
前記印刷部が設けられた前記一方の移動経路では、駆動源が用いられて移動体の移動が行われ、
前記移動手段は、前記一方の移動経路における前記移動体の移動に用いられる駆動源とは異なる駆動源を用いて、前記一方から前記他方へ当該移動体を移動させる印刷装置。」
と記載されているのを、

「缶体の搬送に用いられる移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路であって、当該第1の移動経路に設けられたリニア機構を用いて当該移動体を移動させる第1の移動経路と、
前記第1の移動経路とは別に設けられ、当該第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路であって、当該第2の移動経路に設けられたリニア機構を用いて当該移動体を移動させる第2の移動経路と、
前記第1の移動経路に設けられ、前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
前記第1の移動経路から前記第2の移動経路へ前記移動体を移動させる移動手段と、
を備え、
前記印刷部が設けられた前記第1の移動経路では、駆動源である前記リニア機構が用いられて移動体の移動が行われ、
前記移動手段は、前記第1の移動経路および前記第2の移動経路における前記移動体の移動に用いられる駆動源である前記リニア機構とは異なる駆動源である、エアシリンダ又は循環移動するベルト部材を用いて、当該第1の移動経路から当該第2の移動経路へ当該移動体を移動させる印刷装置。」
に訂正する。


(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 請求項1〜4に係る一群の請求項に係る訂正について
(ア)一群の請求項について
訂正前の請求項1〜4について、請求項2〜4は請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1〜4に対応する訂正後の請求項1〜4は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

(イ)訂正事項1
a 訂正の目的について
訂正前の請求項1に係る発明では、
「缶体の搬送に用いられる移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路と、
前記第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路と、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路のうちの一方の移動経路から他方の移動経路へ前記移動体を移動させる第3の移動経路と、
前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
を備え、
前記第3の移動経路は、直線状に形成されている印刷装置。」
を特定している。

これに対し、訂正後の請求項1は、
「缶体の搬送に用いられる移動体であって、当該缶体を支持する筒状の支持部材を備える移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路と、
前記第1の移動経路とは別に設けられ、当該第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路と、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路の各々とは別に設けられるとともに、当該第1の移動経路および当該第2の移動経路の両者に対して直交する関係で配置され、当該第1の移動経路から当該第2の移動経路へ前記移動体を移動させる第3の移動経路であって、筒状の前記支持部材の軸方向が当該第3の移動経路の延び方向に沿った状態で当該移動体が移動を行う第3の移動経路と、
前記第1の移動経路に設けられ、当該第1の移動経路上に位置する前記移動体に設けられた前記支持部材により支持され当該移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
を備え、
前記第3の移動経路は、直線状に形成されている印刷装置。」
との記載により、
訂正後の請求項1に係る発明における移動体、第2の移動経路、第3の移動経路、印刷部をより具体的に特定し、更に限定するものである。
すなわち、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aの理由から明らかなように、訂正事項1は、発明特定事項を上位概念から下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
訂正事項1は、訂正前の請求項1の記載を引用する訂正前の請求項2〜4の記載についても実質的に訂正するものであるが、上記aの理由から明らかなように、訂正後の請求項1の記載は、訂正前の請求項1との関係で特許請求の範囲を実質的に拡張し、又は変更するものではない。また、訂正事項1は、訂正前の請求項1の記載以外に、訂正前の請求項2〜4の記載について何ら訂正するものではない。したがって、訂正事項1は、訂正前の請求項2〜4との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1は、明細書記載の実施形態に基づいて導き出される構成である。この実施形態に係る説明として、
図2−図5には、移動経路の各々が互いに離れ、移動経路の各々が互いに別に設けられた構成が開示されている。

また、段落【0027】には、
「移動ユニット550には、缶体10の内部に挿入され缶体10を支持するマンドレル70が設けられている。」「マンドレル70は、円筒状に形成されている。」
との記載がなされ、
段落【0027】には、缶体を支持する筒状の支持部材を備える移動体が開示されている。

また、段落【0064】には、
「第3の移動経路3Xは、移動ユニット550が第1直線部610を通る際の移動経路(第1の移動経路)、および、移動ユニット550が第2直線部620を通る際の移動経路(第2の移動経路)に対して略直交する。」
との記載がなされ、
段落【0064】には、第3の移動経路が、第1の移動経路および第2の移動経路の両者に対して直交する関係で配置された構成が開示されている。

また、図3には、筒状の支持部材の軸方向が第3の移動経路の延び方向に沿った状態で移動体が移動を行う構成が開示されている。

また、段落【0015】には、
「印刷部520には、移動ユニット550の移動方向に直交(交差)する方向に沿って配置された複数のインクジェットヘッド11が設けられている。」
との記載がなされ、
段落【0032】には、
「缶体投入部510、印刷部520、乾燥部530、および、缶体排出部540を、第1直線部610に配置している。」との記載がなされ、
段落【0035】には、
「移動ユニット550は、複数設けられたインクジェットヘッド11の下方に位置する領域を通過する。
さらに、移動ユニット550は、各インクジェットヘッド11の下方に達する度に、停止する。さらに、本実施形態では、マンドレル用モータが駆動され、マンドレル70が周方向に回転する。さらに、インクジェットヘッド11からのインクの吐出が行われる。」との記載がなされ、
段落【0015】、【0032】、【0035】には、印刷部が、第1の移動経路に設けられ、第1の移動経路上に位置する移動体に設けられた支持部材により支持され移動体により保持されている缶体への印刷を行う構成が開示されている。

訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の請求項1〜4すべてについて特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項1に係る訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(ウ)訂正事項2
a 訂正の目的について
訂正前の請求項2に係る発明では、
「前記印刷部は、前記第1の移動経路又は前記第2の移動経路に設けられ、前記第1の移動経路および前記第2の移動経路のうちの前記印刷部が設けられている移動経路では、リニア機構が用いられて前記移動体の移動が行われる」ことを特定している。

これに対し、訂正後の請求項2は、
「缶体の搬送に用いられる移動体であって、当該缶体を支持する筒状の支持部材を備える移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路と、
前記第1の移動経路とは別に設けられ、当該第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路と、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路の各々とは別に設けられるとともに、当該第1の移動経路および当該第2の移動経路の両者に対して直交する関係で配置され、当該第1の移動経路および当該第2の移動経路のうちの一方の移動経路から他方の移動経路へ前記移動体を移動させる第3の移動経路であって、筒状の前記支持部材の軸方向が当該第3の移動経路の延び方向に沿った状態で当該移動体が移動を行う第3の移動経路と、
前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
を備え、
前記第3の移動経路は、直線状に形成され、
前記印刷部は、前記第1の移動経路に設けられ、
前記第1の移動経路では、リニア機構として設けられた電磁石であって当該第1の移動経路に設けられた当該電磁石が用いられて前記移動体の移動が行われる印刷装置。」
との記載により、
訂正後の請求項2に係る発明における移動体、第2の移動経路、第3の移動経路、印刷部をより具体的に特定し、更に限定するものである。すなわち、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

また、訂正事項2は、訂正前の請求項2の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aの理由から明らかなように、訂正事項2は、発明特定事項を上位概念から下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
また、訂正事項2は、請求項間の引用関係を解消し、請求項1を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正である。

したがって、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

また、訂正事項2は、訂正前の請求項2の記載を引用する訂正前の請求項3、4の記載についても実質的に訂正するものであるが、上記aの理由から明らかなように、訂正後の請求項2の記載は、訂正前の請求項2との関係で特許請求の範囲を実質的に拡張し、又は変更するものではない。また、訂正事項2は、訂正前の請求項2の記載以外に、訂正前の請求項3、4の記載について何ら訂正するものではない。したがって、訂正事項2は、訂正前の請求項3、4との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は、明細書記載の実施形態に基づいて導き出される構成である。この実施形態に係る説明として、
図2−図5には、移動経路の各々が互いに離れ、移動経路の各々が互いに別に設けられた構成が開示されている。

また、段落【0027】には、
「移動ユニット550には、缶体10の内部に挿入され缶体10を支持するマンドレル70が設けられている。」「マンドレル70は、円筒状に形成されている。」
との記載がなされ、
明細書の【0027】には、缶体を支持する筒状の支持部材を備える移動体が開示されている。

また、段落【0064】には、
「第3の移動経路3Xは、移動ユニット550が第1直線部610を通る際の移動経路(第1の移動経路)、および、移動ユニット550が第2直線部620を通る際の移動経路(第2の移動経路)に対して略直交する。」
との記載がなされ、
段落【0064】には、第3の移動経路が、第1の移動経路および第2の移動経路の両者に対して直交する関係で配置された構成が開示されている。

また、図3には、筒状の支持部材の軸方向が第3の移動経路の延び方向に沿った状態で移動体が移動を行う構成が開示されている。

また、段落【0032】には、
「缶体投入部510、印刷部520、乾燥部530、および、缶体排出部540を、第1直線部610に配置している。」との記載がなされ、
段落【0032】には、印刷部が、第1の移動経路に設けられた構成が開示されている。

また、段落【0022】には、
「第1直線部610、第2直線部620の各々に設けられた移動機構560には、移動ユニット550の案内を行う案内部材561が設けられている。案内部材561の内部には、電磁石(図1では不図示)が設けられている。また、移動ユニット550には、永久磁石(図1では不図示)が設けられている。本実施形態では、リニア機構を用いて、移動ユニット550を移動させる。具体的には、案内部材561に設けられた電磁石によって発生する磁界と、移動ユニット550に設けられた永久磁石とによって、移動ユニット550に推進力が生じ、移動ユニット550が移動する。」
との記載がなされ、
段落【0097】には、
「なお、本実施形態では、図10(B)に示すように、移動ユニット550の基台550Aに永久磁石87が取り付けられている。また、第1直線部610には、電磁石88が設置されている。さらに、移動ユニット550の基台550Aには、回転可能に設けられ移動ユニット550と第1直線部610との摺動抵抗を低減する回転ロール89が設けられている。本実施形態では、電磁石88によって生じる磁界によって、推進力が生じ、移動ユニット550が移動する。」
との記載がなされ、
明細書【0022】、【0097】には、第1の移動経路では、リニア機構として設けられた電磁石であって第1の移動経路に設けられた電磁石が用いられて移動体の移動が行われる構成が開示されている。

訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の請求項1〜4すべてについて特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項2に係る訂正事項2に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(エ)訂正事項3
a 訂正の目的について
訂正前の請求項3に係る発明では、
「前記第1の移動経路および前記第2の移動経路のうちの一方の移動経路は、他方の移動経路の上方に配置されている請求項1又は2に記載の印刷装置。」ことを特定している。

これに対し、訂正後の請求項3は、
「缶体の搬送に用いられる移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路であって、当該第1の移動経路に設けられたリニア機構を用いて当該移動体を移動させる第1の移動経路と、
前記第1の移動経路とは別に設けられ、当該第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路であって、当該第2の移動経路に設けられたリニア機構を用いて当該移動体を移動させる第2の移動経路と、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路の各々とは別に設けられ、当該第1の移動経路および当該第2の移動経路のうちの一方の移動経路から他方の移動経路へ前記移動体を移動させる第3の移動経路であって、エアシリンダ又は循環移動するベルト部材を用いて当該移動体を移動させる第3の移動経路と、
前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
を備え、
前記第3の移動経路は、直線状に形成され、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路のうちの一方の移動経路は、他方の移動経路の上方に配置されている印刷装置。」
との記載により、
訂正後の請求項3に係る発明における第1の移動経路、第2の移動経路、第3の移動経路をより具体的に特定し、更に限定するものであり、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

同様に、後述する訂正事項4についても、訂正後の請求項3に記載された事項を引用することにより、訂正後の請求項4に係る発明における第1の移動経路、第2の移動経路、第3の移動経路をより具体的に特定し、更に限定するものであるため、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

また、訂正事項3は、訂正前の請求項3の記載が訂正前の請求項1又は2の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1又は2の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aの理由から明らかなように、訂正事項3は、発明特定事項を上位概念から下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること
訂正事項3は、明細書記載の実施形態に基づいて導き出される構成である。この実施形態に係る説明として、
図2−図5には、移動経路の各々が互いに離れ、移動経路の各々が互いに別に設けられた構成が開示されている。

また、段落【0022】には、
「第1直線部610、第2直線部620の各々に設けられた移動機構560には、移動ユニット550の案内を行う案内部材561が設けられている。
案内部材561の内部には、電磁石(図1では不図示)が設けられている。また、移動ユニット550には、永久磁石(図1では不図示)が設けられている。本実施形態では、リニア機構を用いて、移動ユニット550を移動させる。」
との記載がなされ、
明細書の【0022】には、第1の移動経路が、第1の移動経路に設けられたリニア機構を用いて移動体を移動させる構成、第2の移動経路が、第2の移動経路に設けられたリニア機構を用いて移動体を移動させる構成が開示されている。

また、段落【0058】には、
「第2移動機構720には、移動ユニット550を下方から支持する支持台713A、この支持台713Aを図中矢印3Cに示す方向へ移動させ支持台713Aを往復移動させる支持台移動機構713Eが設けられている。
支持台移動機構713Eは、例えば、支持台713Aが取り付けられ循環移動を行うベルト部材Bと、このベルト部材Bを回転させるベルト用モータ(不図示)とにより構成される。
なお、支持台713Aは、ベルト部材Bに限らず、エアシリンダなどのシリンダを用いて移動させてもよい。」
との記載がなされ、
段落【0066】には、
「なお、支持台移動機構713Eでは、循環移動を行うベルト部材B、このベルト部材Bを回転させるベルト用モータを用いて、支持台713Aを移動させたが、これに限らず、エアシリンダなどのシリンダを用いて支持台713Aを移動させてもよい。」
との記載がなされ、
段落【0084】には、
「なお、図1、図3、図4にて示した構成例では、第1直線部610、第2直線部620の両者にて、リニア機構を用いて移動ユニット550を移動させた。
ところで、リニア機構を用いた移動ユニット550の移動は、例えば、印刷部520が設けられた第1直線部610のみで行うようにし、第2直線部620では、リニア機構以外の機構を用いて移動ユニット550を移動させてもよい。
例えば、図6(移動ユニット550を移動させる機構の他の構成例を示した図)に示すベルト搬送装置750を用いて移動ユニット550を移動させてもよい。」
との記載がなされ、
段落【0089】には、
「なお、図3にて示した印刷装置500の第1移動機構710、第2移動機構720では、支持台713Aを移動させて移動ユニット550の移動を行った。
ところで、移動ユニット550を移動させる機構は、これに限らず、第1移動機構710、第2移動機構720でも、ベルト搬送装置750を設置し、循環ベルト751の上に移動ユニット550を載せて、移動ユニット550を移動させてもよい。」
との記載がなされ、
明細書の【0058】、【0066】、【0084】、【0089】には、第3の移動経路が、エアシリンダ又は循環移動するベルト部材を用いて移動体を移動させる構成が開示されている。

また、訂正事項3のうちの「前記第1の移動経路および前記第2の移動経路のうちの一方の移動経路は、他方の移動経路の上方に配置されている」という部分については、訂正前の請求項3における記載のままであり、何ら実質的な内容の変更を伴うものではない。

このため、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の請求項1〜4すべてについて特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項3に係る訂正事項3に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(オ)訂正事項4
a 訂正の目的について
訂正事項4は、訂正前の請求項4に「請求項1乃至3の何れかに記載の印刷装置」と記載されているのを、「請求項3に記載の印刷装置」に訂正するものである。
そして、訂正事項4は、引用する請求項を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項4は、引用する請求項を削除するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項4は、引用する請求項を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものである。
そうすると、当該訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の請求項1〜4すべてについて特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項4に係る訂正事項4に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

イ 請求項5に係る一群の請求項に係る訂正について
(ア)一群の請求項について
訂正前の請求項5に対応する訂正後の請求項5は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

(イ)訂正事項5
a 訂正の目的について
訂正前の請求項5に係る発明では、
「缶体の搬送に用いられる移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路と、
前記第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路と、
前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路のうちの一方の移動経路から他方の移動経路へ前記移動体を移動させる移動手段と、
を備え、
前記移動手段は、前記移動体を保持し前記第1の移動経路および前記第2の移動経路の延び方向に延びる回転軸を中心に回転する回転体を備え、当該回転体を回転させて、前記一方の移動経路から前記他方の移動経路へ当該移動体を移動させる印刷装置。」を特定している。

これに対し、訂正後の請求項5は、
「缶体の搬送に用いられる移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路と、
前記第1の移動経路とは別に設けられ、当該第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路と、
前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路のうちの一方の移動経路から他方の移動経路へ前記移動体を移動させる移動手段と、を備え、
前記移動手段は、前記移動体を保持し前記第1の移動経路および前記第2の移動経路の延び方向に延びる回転軸を中心に回転する回転体を備え、当該回転体を回転させて、前記一方の移動経路から前記他方の移動経路へ当該移動体を移動させる印刷装置。」
との記載により、
訂正後の請求項5に係る発明における第2の移動経路をより具体的に特定し、更に限定するものである。すなわち、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aの理由から明らかなように、訂正事項5は、発明特定事項を上位概念から下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項5は、明細書記載の実施形態に基づいて導き出される構成である。
この実施形態に係る説明として、図2には、移動経路の各々が互いに離れ、移動経路の各々が互いに別に設けられた構成が開示されている。
訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
訂正後の請求項5に記載された発明は、甲1〜甲8には開示されておらず、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものには該当しない。
よって、訂正後の請求項5に記載された発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであり、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に適合するものである。

ウ 請求項6〜9に係る一群の請求項に係る訂正について
(ア)一群の請求項について
訂正前の請求項6〜9について、請求項7〜9は請求項6を引用しているものであって、訂正事項6によって記載が訂正される請求項6に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項6〜9に対応する訂正後の請求項6〜9は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

(イ)訂正事項6
a 訂正の目的について
訂正事項6は、訂正前の請求項6の記載を削除するものである。
したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項6は、訂正前の請求項6の記載を削除するのみであるから、訂正前の請求項6の記載について、訂正前の請求項6に記載された発明のカテゴリーを変更するものでもなく、かつ、訂正前の請求項6に記載された発明の対象や目的を変更するものとはならない。
したがって、訂正事項6は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項6は、訂正前の請求項6の記載を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の請求項6〜9すべてについて特許異議の申立てがされているので、訂正事項6に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(ウ)訂正事項7
a 訂正の目的について
訂正前の請求項7に係る発明では、
「前記第2の移動経路は、前記第1の移動経路よりも上方に配置され、
前記印刷部による印刷が行われた缶体を加熱する加熱手段を更に備え、
前記印刷部は、前記第1の移動経路に設けられ、
前記加熱手段は、前記第1の移動経路よりも上方に位置する前記第2の移動経路に設けられている請求項6に記載の印刷装置。」ことを特定している。

これに対し、訂正後の請求項7は、
「缶体の搬送に用いられる移動体と、
前記移動体が移動する第1の移動経路と、
前記第1の移動経路とは別に設けられ、前記移動体が移動する第2の移動経路と、
前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
を備え、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路の少なくとも一方の移動経路は、分岐部にて複数の移動経路に分岐するとともに、当該分岐部よりも下流側の合流部にて合流し、
前記第2の移動経路は、前記第1の移動経路よりも上方に配置され、
前記印刷部による印刷が行われた缶体を加熱する加熱手段を更に備え、
前記印刷部は、前記第1の移動経路に設けられ、
前記加熱手段は、前記第1の移動経路よりも上方に位置する前記第2の移動経路に設けられ、
前記分岐部と前記合流部との間に設けられる前記複数の移動経路は、上下方向における位置が互いにずらされた状態で設けられている、
印刷装置。」
との記載により、
訂正後の請求項7に係る発明における第1の移動経路、第2の移動経路、印刷部、加熱手段をより具体的に特定し、更に限定するものであり、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

また、訂正事項7は、訂正前の請求項7の記載が訂正前の請求項6の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項6の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aの理由から明らかなように、訂正事項7は、発明特定事項を上位概念から下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること
訂正事項7は、明細書記載の実施形態に基づいて導き出される構成である。この実施形態に係る説明として、図4、図8(B)には、移動経路の各々が互いに離れ、移動経路の各々が互いに別に設けられた構成が開示されている。

また、段落【0106】には、
「図8(B)に示す構成例では、第1直線部610、第2直線部620の2つの直線部が設けられている。さらに、第2直線部620では、移動ユニット550の移動経路が上下方向に分岐し、第2直線部620には、上方直線部621と下方直線部622の2つの直線部が設けられている。」
との記載がなされ、
明細書の【0106】、図8(B)には、移動経路が、分岐部にて複数の移動経路に分岐するとともに分岐部よりも下流側の合流部にて合流する構成、分岐部と合流部との間に設けられる複数の移動経路が、上下方向における位置が互いにずらされた状態で設けられた構成が開示されている。

また、訂正事項7のうちの「前記第2の移動経路は、前記第1の移動経路よりも上方に配置され、前記印刷部による印刷が行われた缶体を加熱する加熱手段を更に備え、前記印刷部は、前記第1の移動経路に設けられ、前記加熱手段は、前記第1の移動経路よりも上方に位置する前記第2の移動経路に設けられ、」については、訂正前の請求項7における記載のままであり、何ら実質的な内容の変更を伴うものではない。
以上より、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の請求項7について特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項7に係る訂正事項7に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(エ)訂正事項8
a 訂正の目的について
訂正事項8は、訂正前の請求項9に「請求項6乃至8の何れかに記載の印刷装置」と記載されているのを、「請求項7乃至8の何れかに記載の印刷装置」に訂正するものである。
そして、訂正事項8は、引用する請求項を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項8は、引用する請求項を削除するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項8は、引用する請求項を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものである。
そうすると、当該訂正事項8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の請求項9について特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項9に係る訂正事項8に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

エ 請求項10に係る一群の請求項に係る訂正について
(ア)一群の請求項について
訂正前の請求項10に対応する訂正後の請求項10は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

(イ)訂正事項9
a 訂正の目的について
訂正前の請求項10に係る発明では、
「缶体の搬送に用いられる移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路と、
前記第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路と、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路のうちの一方の移動経路に設けられ、前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路の一方から他方へ前記移動体を移動させる移動手段と、
を備え、
前記印刷部が設けられた前記一方の移動経路では、駆動源が用いられて移動体の移動が行われ、
前記移動手段は、前記一方の移動経路における前記移動体の移動に用いられる駆動源とは異なる駆動源を用いて、前記一方から前記他方へ当該移動体を移動させる印刷装置。」
を特定している。

これに対し、訂正後の請求項10は、
「缶体の搬送に用いられる移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路であって、当該第1の移動経路に設けられたリニア機構を用いて当該移動体を移動させる第1の移動経路と、
前記第1の移動経路とは別に設けられ、当該前記第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路であって、当該第2の移動経路に設けられたリニア機構を用いて当該移動体を移動させる第2の移動経路と、
前記第1の移動経路に設けられ、前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
前記第1の移動経路から前記第2の移動経路へ前記移動体を移動させる移動手段と、
を備え、
前記印刷部が設けられた前記第1の移動経路では、駆動源である前記リニア機構が用いられて移動体の移動が行われ、
前記移動手段は、前記第1の移動経路および前記第2の移動経路における前記移動体の移動に用いられる駆動源である前記リニア機構とは異なる駆動源である、エアシリンダ又は循環移動するベルト部材を用いて、当該第1の移動経路から当該第2の移動経路へ当該移動体を移動させる印刷装置。」
との記載により、
訂正後の請求項10に係る発明における第1の移動経路、第2の移動経路、印刷部、移動手段をより具体的に特定し、更に限定するものである。すなわち、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aの理由から明らかなように、訂正事項9は、発明特定事項を上位概念から下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項9は、明細書記載の実施形態に基づいて導き出される構成である。この実施形態に係る説明として、
図2−図5には、移動経路の各々が互いに離れ、移動経路の各々が互いに別に設けられた構成が開示されている。

また、段落【0022】には、
「第1直線部610、第2直線部620の各々に設けられた移動機構560には、移動ユニット550の案内を行う案内部材561が設けられている。
案内部材561の内部には、電磁石(図1では不図示)が設けられている。また、移動ユニット550には、永久磁石(図1では不図示)が設けられている。本実施形態では、リニア機構を用いて、移動ユニット550を移動させる。
. 具体的には、案内部材561に設けられた電磁石によって発生する磁界と、移動ユニット550に設けられた永久磁石とによって、移動ユニット550に推進力が生じ、移動ユニット550が移動する。」
との記載がなされ、
段落【0097】には、
「なお、本実施形態では、図10(B)に示すように、移動ユニット550の基台550Aに永久磁石87が取り付けられている。また、第1直線部610には、電磁石88が設置されている。さらに、移動ユニット550の基台550Aには、回転可能に設けられ移動ユニット550と第1直線部610との摺動抵抗を低減する回転ロール89が設けられている。本実施形態では、電磁石88によって生じる磁界によって、推進力が生じ、移動ユニット550が移動する。」
との記載がなされ、
明細書の【0022】、【0097】には、第1の移動経路が、第1の移動経路に設けられたリニア機構を用いて移動体を移動させる構成、第2の移動経路が、第2の移動経路に設けられたリニア機構を用いて移動体を移動させる構成が開示されている。

また、段落【0032】には、
「缶体投入部510、印刷部520、乾燥部530、および、缶体排出部540を、第1直線部610に配置している。」
との記載がなされ、
明細書の【0032】には、印刷部が第1の移動経路に設けられた構成が開示されている。

また、段落【0012】には、
「印刷装置500には、第1直線部610を移動してきた移動ユニット550を第2直線部620へ移動させる第1移動機構710、第2直線部620を移動してきた移動ユニット550を第1直線部610へ移動させる第2移動機構720が設けられている。」
との記載がなされ、
明細書の【0012】には、移動手段が、第1の移動経路から第2の移動経路へ移動体を移動させる構成が開示されている。

また、段落【0058】には、
「第2移動機構720には、移動ユニット550を下方から支持する支持台713A、この支持台713Aを図中矢印3Cに示す方向へ移動させ支持台713Aを往復移動させる支持台移動機構713Eが設けられている。
支持台移動機構713Eは、例えば、支持台713Aが取り付けられ循環移動を行うベルト部材Bと、このベルト部材Bを回転させるベルト用モータ(不図示)とにより構成される。
なお、支持台713Aは、ベルト部材Bに限らず、エアシリンダなどのシリンダを用いて移動させてもよい。」
との記載がなされ、
段落【0066】には、
「なお、支持台移動機構713Eでは、循環移動を行うベルト部材B、このベルト部材Bを回転させるベルト用モータを用いて、支持台713Aを移動させたが、これに限らず、エアシリンダなどのシリンダを用いて支持台713Aを移動させてもよい。」
との記載がなされ、
段落【0084】には、
「なお、図1、図3、図4にて示した構成例では、第1直線部610、第2直線部620の両者にて、リニア機構を用いて移動ユニット550を移動させた。
ところで、リニア機構を用いた移動ユニット550の移動は、例えば、印刷部520が設けられた第1直線部610のみで行うようにし、第2直線部620では、リニア機構以外の機構を用いて移動ユニット550を移動させてもよい。
例えば、図6(移動ユニット550を移動させる機構の他の構成例を示した図)に示すベルト搬送装置750を用いて移動ユニット550を移動させてもよい。」
との記載がなされ、
段落【0089】には、
「なお、図3にて示した印刷装置500の第1移動機構710、第2移動機構720では、支持台713Aを移動させて移動ユニット550の移動を行った。
ところで、移動ユニット550を移動させる機構は、これに限らず、第1移動機構710、第2移動機構720でも、ベルト搬送装置750を設置し、循環ベルト751の上に移動ユニット550を載せて、移動ユニット550を移動させてもよい。」
との記載がなされ、

明細書の【0058】、【0066】、【0084】、【0089】には、移動手段が、エアシリンダ又は循環移動するベルト部材を用いて移動体を移動させる構成が開示されている。

訂正事項9は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の請求項10について特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項10に係る訂正事項9に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(3)小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項乃至第7項の規定に適合する。
したがって、明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、〔3、4〕、5、6、〔7−9〕、10について訂正することを認める。


3 訂正後の本件訂正特許発明
上記2で検討したとおり、請求項1、2、3及び4、5、6、7乃至9、10に係る一群の請求項に係る訂正を認めることができるから、請求項1、2、3及び4、5、6、7乃至9、10に係る特許についての発明は本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1、2、3及び4、5、6、7乃至9、10に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。(以下、それぞれ「本件訂正特許発明1」乃至「本件訂正特許発明10」という。)
「【請求項1】
缶体の搬送に用いられる移動体であって、当該缶体を支持する筒状の支持部材を備える移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路と、
前記第1の移動経路とは別に設けられ、当該第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路と、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路の各々とは別に設けられるとともに、当該第1の移動経路および当該第2の移動経路の両者に対して直交する関係で配置され、当該第1の移動経路から当該第2の移動経路へ前記移動体を移動させる第3の移動経路であって、筒状の前記支持部材の軸方向が当該第3の移動経路の延び方向に沿った状態で当該移動体が移動を行う第3の移動経路と、
前記第1の移動経路に設けられ、当該第1の移動経路上に位置する前記移動体に設けられた前記支持部材により支持され当該移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
を備え、
前記第3の移動経路は、直線状に形成されている印刷装置。
【請求項2】
缶体の搬送に用いられる移動体であって、当該缶体を支持する筒状の支持部材を備える移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路と、
前記第1の移動経路とは別に設けられ、当該第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路と、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路の各々とは別に設けられるとともに、当該第1の移動経路および当該第2の移動経路の両者に対して直交する関係で配置され、当該第1の移動経路および当該第2の移動経路のうちの一方の移動経路から他方の移動経路へ前記移動体を移動させる第3の移動経路であって、筒状の前記支持部材の軸方向が当該第3の移動経路の延び方向に沿った状態で当該移動体が移動を行う第3の移動経路と、
前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
を備え、
前記第3の移動経路は、直線状に形成され、
前記印刷部は、前記第1の移動経路に設けられ、
前記第1の移動経路では、リニア機構として設けられた電磁石であって当該第1の移動経路に設けられた当該電磁石が用いられて前記移動体の移動が行われる印刷装置。
【請求項3】
缶体の搬送に用いられる移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路であって、当該第1の移動経路に設けられたリニア機構を用いて当該移動体を移動させる第1の移動経路と、
前記第1の移動経路とは別に設けられ、当該第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路であって、当該第2の移動経路に設けられたリニア機構を用いて当該移動体を移動させる第2の移動経路と、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路の各々とは別に設けられ、当該第1の移動経路および当該第2の移動経路のうちの一方の移動経路から他方の移動経路へ前記移動体を移動させる第3の移動経路であって、エアシリンダ又は循環移動するベルト部材を用いて当該移動体を移動させる第3の移動経路と、
前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
を備え、
前記第3の移動経路は、直線状に形成され、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路のうちの一方の移動経路は、他方の移動経路の上方に配置されている印刷装置。
【請求項4】
前記第3の移動経路は、直線状に形成されるとともに、前記第1の移動経路および前記第2の移動経路に対して略直交する関係で配置されている請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
缶体の搬送に用いられる移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路と、
前記第1の移動経路とは別に設けられ、当該第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路と、
前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路のうちの一方の移動経路から他方の移動経路へ前記移動体を移動させる移動手段と、
を備え、
前記移動手段は、前記移動体を保持し前記第1の移動経路および前記第2の移動経路の延び方向に延びる回転軸を中心に回転する回転体を備え、当該回転体を回転させて、前記一方の移動経路から前記他方の移動経路へ当該移動体を移動させる印刷装置。
【請求項6】 (削除)
【請求項7】
缶体の搬送に用いられる移動体と、
前記移動体が移動する第1の移動経路と、
前記第1の移動経路とは別に設けられ、前記移動体が移動する第2の移動経路と、
前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
を備え、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路の少なくとも一方の移動経路は、分岐部にて複数の移動経路に分岐するとともに、当該分岐部よりも下流側の合流部にて合流し、
前記第2の移動経路は、前記第1の移動経路よりも上方に配置され、
前記印刷部による印刷が行われた缶体を加熱する加熱手段を更に備え、
前記印刷部は、前記第1の移動経路に設けられ、
前記加熱手段は、前記第1の移動経路よりも上方に位置する前記第2の移動経路に設けられ、
前記分岐部と前記合流部との間に設けられる前記複数の移動経路は、上下方向における位置が互いにずらされた状態で設けられている、
印刷装置。
【請求項8】
前記第2の移動経路は、前記第1の移動経路の真上から外れた個所に設けられている請求項7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記第2の移動経路は、前記第1の移動経路に並行するように設けられている請求項7乃至8の何れかに記載の印刷装置。
【請求項10】
缶体の搬送に用いられる移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路であって、当該第1の移動経路に設けられたリニア機構を用いて当該移動体を移動させる第1の移動経路と、
前記第1の移動経路とは別に設けられ、当該第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路であって、当該第2の移動経路に設けられたリニア機構を用いて当該移動体を移動させる第2の移動経路と、
前記第1の移動経路に設けられ、前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
前記第1の移動経路から前記第2の移動経路へ前記移動体を移動させる移動手段と、
を備え、
前記印刷部が設けられた前記第1の移動経路では、駆動源である前記リニア機構が用いられて移動体の移動が行われ、
前記移動手段は、前記第1の移動経路および前記第2の移動経路における前記移動体の移動に用いられる駆動源である前記リニア機構とは異なる駆動源である、エアシリンダ又は循環移動するベルト部材を用いて、当該第1の移動経路から当該第2の移動経路へ当該移動体を移動させる印刷装置。」


4 取消理由通知に記載した取消理由について
(1)取消理由の概要
ア 請求項1及び4に係る発明は、甲第1号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

イ 請求項2、6及び9に係る発明は、甲第1号証乃至甲第3号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

ウ 令和4年3月4日に提出された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項2、3、5、7乃至10に係る特許は、以下の理由で特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(理由) 令和4年3月4日に提出された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項2、3、7及び10並びに請求項5、8及び9には「第1の移動経路」及び「第2の移動経路」が記載されている。
しかしながら、「第1の移動経路」及び「第2の移動経路」という記載だけでは、「第1の移動経路」と「第2の移動経路」とが別体の移動経路なのか、缶体が移動する“経路”を「第1の移動経路」と「第2の移動経路」と領域毎に区分けして称しただけなのか、不明である。
同様に、訂正特許請求の範囲の請求項2及び3には「第1の移動経路」、「第2の移動経路」及び「第3の移動経路」が記載されている。
しかしながら、「第1の移動経路」、「第2の移動経路」及び「第3の移動経路」という記載だけでは、「第1の移動経路」と「第2の移動経路」と「第3の移動経路」とが別体の移動経路なのか、缶体が移動する“経路”を「第1の移動経路」と「第2の移動経路」と「第3の移動経路」と領域毎に区分けして称しただけなのか、不明である。
よって、請求項2、3、5、7乃至10は明確でない。

(2)甲号証の記載
ア 甲第1号証
(ア)甲第1号証に記載した事項
本件特許に係る出願の優先日前に頒布された刊行物である甲第1号証(特開2000−218214号公報)には、以下の記載がある。

a 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は食品とか工業製品等が充填される空の容器、又はそれらが充填された充填済の容器に印刷機を使用して自動的に印刷をしたり、塗装をしたりするための印刷又は塗装方法とその印刷又は塗装装置に関するものである。」
b 「【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記の様な各種印刷機を使用して印刷や塗装を行う場合、印刷や塗装の前に容器を加熱炉に入れて予熱したり、印刷後に加熱炉に入れて印刷又は塗装済の印刷インクや塗料を加熱乾燥したりすることがある。この場合、多くの容器をトレーとか板材等に並べて加熱炉に出し入れしなければならず作業が面倒であった。また、加熱炉に出し入れするときに振動により容器同士が接触して容器の塗装が剥げたり、印刷した文字や図形が乾燥前に擦れて不鮮明になったり、容器の塗料や印刷インクが他の容器に付着して容器が汚れたりすることもある。また、印刷機とは別に加熱装置とか加熱釜等を印刷装置の近くに設置しなければならないため設置スペースが広く必要になるといった課題もある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本件発明の目的は印刷又は塗装前の予熱、印刷又は塗装後の加熱乾燥といった各種作業をライン上で一連に、短時間で効率良く自動的に行うことができ、印刷や塗装の仕上がりが良く、印刷や塗装時のインクや塗料の無駄が殆ど無く、揮発性のインクや塗料で作業環境が汚染されることもなく、印刷又は塗装設備を小型化でき、更には、従来方法の前記課題をも解決できる印刷又は塗装方法とその装置を提供することにある。」
c 「【0030】
【発明の実施の形態】(実施形態1)本発明の印刷又は塗装装置の第1の実施形態を図1に基づいて説明する。この実施形態は容器1が缶詰用の空の缶の場合である。
【0031】図1の搬送装置2は容器1を搬送するためものであり、図中の矢印a方向に周回するチェーン(搬送体)20に、大径の鍔22を備えた円筒状の支持体21が図中の矢印b方向に回転可能に且つ搬送方向に間隔をあけて複数取付けられている。この支持体21に容器1に被せるとその容器1は搬送体20の走行に伴って矢印a方向に間欠移動しながらコロナ放電処理装置30、予熱装置3、印刷又は塗装部4、加熱装置5の順に通過するようにしてある。
【0032】支持体21は図示した以外の構造のものであってもよく、例えば内容物が充填された容器を支持するものの場合は、容器を載せることができる皿状のものとか、上方開口の筒状で内側に容器の下部を差込み可能としたものとか、数本の爪が外側と内側に開閉し、その開時又は閉時に容器の一部を外側或は内側から保持することができ、逆の時に容器の保持を解除できるようにしたもの(ロボット用のハンド)等であってもよい。
【0033】印刷又は塗装部4は搬送装置2によって搬送される容器1の外周面に商品名、社名、会社のロゴマーク、調理説明の文字、模様、デザイン等を印刷したり、腐食防止用、装飾用の塗装をしたりするための印刷機又は塗装機であり、搬送途中の予熱装置3と加熱装置5との間に設けられている。この印刷又は塗装部4には既存のパッド印刷機、スクリーン印刷機、新たに改良・開発された印刷機等を使用することができる。容器1の表面が曲面の場合は曲面印刷機とか曲面・平面両用印刷機等を使用するのが適し、平面の場合は平面印刷機とか曲面・平面両用印刷機等を使用するのが適する。
【0034】印刷又は塗装部4の下方には搬送装置2に沿ってベルト状の方向変換機構6が設置されている。方向変換機構6は図5(b)に示す様にその側を通過する支持体21の側面と接触して同支持体21の鍔22を図1の矢印b方向に回転させ、この回転により支持体21に被せた容器1を回転させて印刷又は塗装部4に対する向きを変えるものである。方向変換機構6には支持体21を直接回転させるモータとか、他の機構や構造のものを使用することもできる。」
d 「【0050】(実施形態4)本発明の印刷又は塗装方法や装置により印刷或は塗装される容器1は図示した形状のものに限らず、例えば、瓶、樽、箱、或はそれら以外の形状、構造のものでもよい。また、材質も金属に限らず、樹脂、木、竹、皮革、石、ガラス等のどのようなものでもよい。容器に充填される内容物も食品や飲料に限らず、工業製品等であってもよい。
【0051】本発明の搬送装置2も図示したもの以外であってもよく、例えば、既存のフリーフローコンベアを使用することができる。このコンベアは所望箇所だけを部分的に停止・走行させることができるため、容器をコンベアに載せたり、取出したりし易くなる。ちなみに、従来のベルトコンベアは全体を停止させたり走行を再開させたりするものであるため、停止位置の正確な位置決めが難しいが、フリーフローコンベアの場合はその様な難点は無い。
【0052】図示した搬送装置2は四角い無端状になっているが、搬送装置2は図6の様な直線の無端状であってもよい。この場合はベルトコンベア式の搬送体20に図5(a)に示す様な支持体21を間隔をあけて多数取付け、その支持体21に被せた容器1を搬送体20の上走行部2aの側方に設けた予熱装置3で予熱し、コロナ放電処理装置30で表面をコロナ処理し、その表面に印刷又は塗装部4で印刷又は塗装をし、印刷又は塗装された表面を次のコロナ放電処理装置30で再度コロナ処理し、その上に次の印刷又は塗装部4で重ね印刷とか塗装をし、その後に加熱装置5で加熱乾燥させ、加熱乾燥された容器を支持体21から取外し、空になった搬送体20が下走行部2bを回転して上走行部2aに戻る様にしてある。
【0053】図1〜図3に示すものは容器1を搬送装置2に縦向きにセットし、その容器1に横から印刷したり塗装したりするものであるが、容器1の形状や構造によっては容器1を搬送装置2に横向きにセットして、その容器1に横又は上又は下から印刷したり塗装したりすることもできる。
【0054】図示した方向変換機構6はベルト状であり、その回転により容器1を連続的に回転させるものであるが、方向変換機構6は容器1を回転させてその全周を均一に加熱したり、容器1の向きを変えて印刷箇所を印刷又は塗装部4に向けたりすることができるものであれば、それ以外の形状や構造とすることもできる。例えば容器1を水平に90度或は180度といった任意の角度だけ回転させるものとか、容器を所望角度だけ縦に回転させる様な機構であってもよい。水平に90度或は180度回転させれば容器の横方向二以上の箇所に一台の印刷機で印刷することができ、縦に回転させれば容器1の上面と底面といった様に上下二ケ所以上に印刷することができる。
【0055】印刷又は塗装部4はワークの内側と外側、或は上と下といったように、二ケ所以上に設けてそれらにより同時に容器1の二ケ所以上に印刷又は塗装をすることもできる。
【0056】図1〜図3ではコロナ放電処理装置30を予熱装置3よりも搬送方向手前に設けてあるが、コロナ放電処理装置30の設置位置はそれ以外の場所であってもよく、例えば、予熱装置3よりも搬送方向先方に設けたり予熱装置3の前後両方に設けたりすることもできる。
【0057】予熱装置3、印刷又は塗装部4、加熱装置5、方向変換機構6、コロナ放電処理装置30等は二以上設けることができ、それらの配置位置も搬送装置2の任意の位置とすることもできる。」
e 「【図1】




(イ)甲第1号証の記載から認定できる事項
上記(ア)cの【0031】に「…図中の矢印a方向に周回するチェーン(搬送体)20…搬送体20の走行に伴って矢印a方向に間欠移動しながら…」と、「矢印a方向」が記載されている点について、上記(ア)cの【0031】に「…図中の矢印a方向に周回するチェーン(搬送体)20…」及び上記(ア)dの【0052】に「図示した搬送装置2は四角い無端状になっているが、…」と記載されていること、並びに、上記(ア)eの矢印aの向きからすれば、「チェーン(搬送体)20」が「矢印a方向に周回する」ことは、容器1を支持体21に被せるとともにコロナ放電処理装置30及び予熱装置3を通過する図1の右側から下側の方向(以下、「第1の方向」という。)、印刷又は塗装部4を通過する図1の下側から左側の方向(以下、「第2の方向」という。)、加熱装置5を通過する図1の左側から上側の方向(以下、「第3の方向」という。)、図1の上側から右側の方向(以下、「第4の方向」という。)に順次周回することであるといえる。

(ウ)甲1発明
上記(ア)及び(イ)より、甲第1号証には以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

「缶詰用の空の缶である容器1を搬送するためのものであり、容器1を支持体21に被せるとともにコロナ放電処理装置30及び予熱装置3を通過する右側から下側の方向(以下、「第1の方向」という。)、印刷又は塗装部4を通過する下側から左側の方向(以下、「第2の方向」という。)、加熱装置5を通過する左側から上側の方向(以下、「第3の方向」という。)、上側から右側の方向(以下、「第4の方向」という。)に順次周回するチェーン(搬送体)20に、大径の鍔22を備えた円筒状の支持体21が搬送方向に間隔をあけて複数取付けられている四角い無端状の搬送装置2と、
搬送装置2によって搬送される容器1の外周面に商品名、社名、会社のロゴマーク、調理説明の文字、模様、デザイン等を印刷したり、腐食防止用、装飾用の塗装をしたりするための印刷機又は塗装機であり、搬送途中の予熱装置3と加熱装置5との間に設けられている印刷又は塗装部4と、
を備え、
支持体21に容器1を被せるとその容器1は搬送体20の走行に伴って間欠移動しながらコロナ放電処理装置30、予熱装置3、印刷又は塗装部4、加熱装置5の順に通過する、
印刷又は塗装装置。」

イ 甲第2号証
(ア)甲第2号証に記載した事項
本件特許に係る出願の優先日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能であった甲第2号証(米国特許出願公開第2011/0067584号明細書)には、次の事項が記載されている。(当審で作成した翻訳文を《》内に示す。また、下線は当審で付した。以下同様。)

a 「[0032] FIG. 1 is a schematic top view onto a linear printing machine 1 in accordance with the invention which shows the essential elements of the linear printing machine 1. The linear printing machine 1 comprises a transport means 2 in the form of a linear motor, a belt or a chain. Mandrels 3 which each comprise a mandrel bearing 4 are fastenedon the transport means 2. Each of the mandrels 3 bears one hollow body 5. The transport means 2 is tensed between two rollers 6, wherein at least one of the rollers 6 is rotary-driven. The input means for inputting the hollow bodies 5 into the linear printing machine 1 and the removing means for removing the hollow bodies 5 are not shown in FIG. 1.」
《[0032] 図1は、本発明におけるリニア印刷機1の要部を示す概略上面図であり、リニア印刷機1の必須構成を示している。リニア印刷機1はリニアモーター、ベルト又はチェーンの一体の形態の搬送手段2を含む。マンドレルベアリングを含む複数のマンドレル3は搬送手段2に固定される。複数のマンドレル3のそれぞれは1つの中空体5を保持する。搬送手段2は2つの回転体6の間に張架されており、これらのうちの少なくとも一方の回転体6が回転駆動されるものとなっている。図1には中空体5をリニア印刷装置1に入力する入力手段及び中空体5をリニア印刷装置1から取り外す取外手段は示されていない。》
b 「[0033] The transport means 2 is embodied in the shape of an oval comprising two linear and straight transport paths 7 which run parallel to each other and two semi-circles 8 which connect the straight transport paths 7. The diameter of the semi-circles is determined by thediameter of the rollers 6 and is equal to the distance between the two straight transport paths 7. A plurality of printing stations 10 are formed along one of the straight transport paths 7.」
《[0033] 搬送手段2は、互いに平行に延びる2本の直線搬送経路7と、これらの直線搬送経路7を連結する2つの半円8よりなる長円状に形成されている。その半円の直径は回転体6の直径によって決定され、2本の直線搬送経路7の間の距離に等しくなっている。複数の印刷ステーション10が直線搬送経路7のうちの一方に沿って形成されている。》
c 「[0034] A printing module 9 is docked in each of four printing stations 10, wherein these can be four different printing modules 9: thus, 9a can for example represent offset printing; 9b can for example represent flexographic printing; 9c can for example represent screen printing; and 9d can for example represent inkjet printing. If the hollow bodies 5 are then guided past the printing stations 10 in the direction indicated by the arrow, the hollow body 5 can be sequentially printed on by the offset printing module 9a, the flexographic printing module 9b, the screen printing module 9c and the inkjet printing module 9d. Once printed on, the hollow body can additionally also be coated with varnish in a varnishing station 12, before it is dried in a preferably stationary drying station 11. Alternatively, identical printing modules 9 can also be formed in the printing stations 10, and the hollow body 5 can be printed on in the sequentially arranged printing stations 10 using identical printing methods but different inks.」
《[0034] 印刷モジュール9は4つの印刷ステーション10各々にドッキングされており、これらは4種類の異なった印刷モジュール9よりなるものとできる。9aは例えばオフセット印刷を示すものとすることができ、9bは例えばフレキソ印刷を示すものとすることができ、9cは例えばスクリーン印刷を示すものとすることができ、9dは例えばインクジェット印刷を示すものとすることができる。次に、中空体5が矢印によって示される方向に印刷ステーション10を通過して案内されると、該中空体5はオフセット印刷モジュール9a、フレキソ印刷モジュール9b、スクリーン印刷モジュール9c及びインクジェット印刷モジュール9dの順に印刷がなされるものとすることができる。一旦印刷がなされると、中空体は、好適には固定式の乾燥ステーション11において乾燥される前に、付加的にワニス適用ステーション12においてワニスが塗布されるものとすることができる。このように構成するのに替えて、同一の印刷モジュール9を印刷ステーション10の中に形成し、中空体5は、同一の印刷方法で異なるインクを使用して連続的に配置された印刷ステーション10によって印刷がなされるものとすることができる。》

(イ)甲2発明について
上記(ア)より、甲第2号証には、以下の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。

「リニア印刷機1であって、
リニアモーター、ベルト又はチェーンの一体の形態の搬送手段2を含み、
複数のマンドレル3が搬送手段2に固定され、複数のマンドレル3のそれぞれは1つの中空体5を保持し、搬送手段2が2つの回転体6の間に張架されているものであって、
搬送手段2が、互いに平行に延びる2本の直線搬送経路7と、これらの直線搬送経路7を連結する2つの半円8よりなる長円状に形成されていて、
複数の印刷ステーション10が直線搬送経路7のうちの一方に沿って形成されており、
印刷ステーション10により中空体5に印刷がなされると、乾燥ステーション11において乾燥される、
リニア印刷機1。」

ウ 甲第3号証
(ア)甲第3号証に記載した事項
本件特許に係る出願の優先日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能であった甲第3号証(欧州特許出願公開第2942195号明細書)には、次の事項が記載されている。(当審で作成した翻訳文を《》内に示す。また、下線は当審で付した。以下同様。)

a 「[0001] The invention relates to a machine for printing hollow articles such as cans, tubes, cartridges, other types of containers or closures.」
《[0001] 本発明は、缶、チューブ、カートリッジ、その他の容器またはクロージャのような中空物品を印刷するための機械に関するものである。》

b 「[0047] At the entrance, receiving pre-processed articles, the printing section 100 of the machine line 1 comprises a selector station 110. This station selectively routes the articles to a first path 101 or to a second path 102. In the first path 101, the selector station 110 comprises a manual inserting mechanism 111. On the first path 101, the selector station 110 is linked to a first printing station 151 and further to a first drying station 161. On the second path 102, the selector station 110 is linked to a manual inserting station 140, to a second printing station 152 and further to a second drying station 162. The output of both drying stations 161, 162 pass a takeout station 170, where individual articles may be selectively singled out. The articles that are not singled out at the takeout station 170 are further conveyed to a merging station 180, where the two paths 101, 102 are merged and the articles are delivered at a single output 181.」
《[0047] 入口では、前処理された物品を受け取り、機械ライン1の印刷セクション100は、セレクタステーション110を備える。このステーションは、物品を第1の経路101または第2の経路102に選択的にルーティングする。第1の経路101で、セレクタステーション110は、手動挿入機構111を備える。第1の経路101において、セレクタステーション110は、第1の印刷ステーション151、さらに第1の乾燥ステーション161に連結される。第2の経路102において、セレクタステーション110は、手動挿入ステーション140、第2の印刷ステーション152、さらに第2の乾燥ステーション162に連結されている。両方の乾燥ステーション161、162の出力は、個々の物品を選択的に選び出すことができる取り出しステーション170を通過する。取り出しステーション170で選択されなかった物品は、合流ステーション180にさらに運ばれ、そこで2つの経路101、102が合流され、物品は単一の出力181で送達される。》

(イ)甲3発明について
上記(ア)より、甲第3号証には、以下の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。

「缶、チューブ、カートリッジ、その他の容器またはクロージャのような中空物品を印刷するための機械であって、
前処理された物品を受け取る入口と、
物品を第1の経路101または第2の経路102に選択的にルーティングするセレクタステーション110と、
第1の経路101において、セレクタステーション110に連結される第1の印刷ステーション151及び第1の乾燥ステーション161と、
第2の経路102において、セレクタステーション110に連結される第2の印刷ステーション152及び第2の乾燥ステーション162と、
2つの経路101、102が合流される合流ステーション180と、
を含み、
合流ステーション180で合流された物品は単一の出力181で送達される、
機械。」

(3)当審の判断
ア 特許法第29条第1項第3号について
(ア)本件訂正特許発明1について
a 本件訂正特許発明1と甲1発明とを対比すると、以下のことがいえる。

(a)甲1発明の「大径の鍔22を備えた円筒状の支持体21」は、缶詰用の空の缶である容器1を被せて搬送するために用いられるものであるから、本件訂正特許発明1の「缶体を支持する筒状の支持部材を備える移動体」に相当する。

(b)甲1発明の「搬送装置2によって搬送される容器1の外周面に商品名、社名、会社のロゴマーク、調理説明の文字、模様、デザイン等を印刷したり、腐食防止用、装飾用の塗装をしたりするための印刷機又は塗装機であり、搬送途中の予熱装置3と加熱装置5との間に設けられている印刷又は塗装部4」は、支持体21に被せて搬送される缶詰用の空の缶である容器1の外周面に印刷を行うものであって、支持体21に被せて搬送している容器1が支持体21に保持されていることは明らかであるから、本件訂正特許発明1の「第1の移動経路に設けられ、当該第1の移動経路上に位置する前記移動体に設けられた前記支持部材により支持され当該移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部」に相当する。

(c)甲1発明は、「缶詰用の空の缶である容器1を搬送するためのものであり、容器1を支持体21に被せるとともにコロナ放電処理装置30及び予熱装置3を通過する図1の右側から下側の方向(以下、「第1の方向」という。)、印刷又は塗装部4を通過する図1の下側から左側の方向(以下、「第2の方向」という。)、加熱装置5を通過する図1の左側から上側の方向(以下、「第3の方向」という。)、図1の上側から右側の方向(以下、「第4の方向」という。)に順次周回するチェーン(搬送体)20に、大径の鍔22を備えた円筒状の支持体21が搬送方向に間隔をあけて複数取付けられている四角い無端状の搬送装置2」を備えるものであるところ、搬送装置2が「四角い無端状」であって、「支持体21」が取り付けられた「チェーン(搬送体)20」が第1の方向、第2の方向、第3の方向、第4の方向に順次周回することから、「チェーン(搬送体)20」によって「支持体21」が移動する際に通る第1の方向、第2の方向、第3の方向、第4の方向における支持体21が移動するそれぞれの移動経路は、それぞれの方向においていずれも直線状であることは明らかである。
このとき、本件訂正特許発明1では、「第1の移動経路」について、「前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路」としか特定されていないことからすれば、甲1発明の「第2の方向」は、本件訂正特許発明1の「一方向」に相当するといえるとともに、「チェーン(搬送体)20」によって「支持体21」が第2の方向に移動する際に通る移動経路は、本件訂正特許発明1の「前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路」に相当する構成を備えているといえる。

(d)上記(c)を踏まえれば、甲1発明の「第4の方向」が、「第2の方向」と並行かつ向きが逆であるから、「チェーン(搬送体)20」によって「支持体21」が第4の方向に移動する際に通る直線状の移動経路は、本件訂正特許発明1の「前記第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路」に相当する構成を備えているといえる。

(e)上記(c)及び(d)を踏まえれば、「チェーン(搬送体)20」によって「支持体21」が第1の方向に移動する甲1発明の「搬送装置2」は、「チェーン(搬送体)20」によって「支持体21」が第4の方向に移動する際に通った移動経路から、「チェーン(搬送体)20」によって「支持体21」が第2の方向に移動する際に通った移動経路に「支持体21」を移動させる移動経路を形成すること、及び、上記(ウ)よりその移動経路が直線状であることは明らかであるから、「チェーン(搬送体)20」によって「支持体21」が第1の方向に移動する際に通る直線状の移動経路は、本件訂正特許発明1の「第1の移動経路および当該第2の移動経路の両者に対して直交する関係で配置され、前記第1の移動経路および前記第2の移動経路のうちの一方の移動経路から他方の移動経路へ前記移動体を移動させる第3の移動経路」及び「前記第3の移動経路は、直線状に形成されている」に相当する構成を備えているといえる。

そうすると、本件訂正特許発明1と甲1発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違するものと認められる。
[一致点]
「缶体の搬送に用いられる移動体であって、当該缶体を支持する筒状の支持部材を備える移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路と、
当該第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路と、
当該第1の移動経路および当該第2の移動経路の両者に対して直交する関係で配置され、当該第1の移動経路から当該第2の移動経路へ前記移動体を移動させる第3の移動経路と、
前記第1の移動経路に設けられ、当該第1の移動経路上に位置する前記移動体に設けられた前記支持部材により支持され当該移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
を備え、
前記第3の移動経路は、直線状に形成されている印刷装置。」

[相違点1−1]
本件訂正特許発明1の「第2の移動経路」が、「第1の移動経路とは別に設けられ」ているものであるのに対し、甲1発明は「順次周回するチェーン(搬送体)20」である点。

[相違点1−2]
本件訂正特許発明1の「第3の移動経路」が、「第1の移動経路および第2の移動経路の各々とは別に設けられる」とともに、「筒状の前記支持部材の軸方向が当該第3の移動経路の延び方向に沿った状態で当該移動体が移動を行う」ものであるのに対し、甲1発明は、「順次周回するチェーン(搬送体)20」であって、支持体21に被せた容器1を移動させるものである点。

b 判断
以上のとおり、本件訂正特許発明1と甲1発明とは、上記相違点1−1及び相違点1−2において相違するものであって、本件訂正特許発明1は、甲第1号証に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当するものではない。

(イ)本件訂正特許発明4について
a 本件訂正特許発明4は、本件訂正特許発明1において、「前記第3の移動経路は、直線状に形成されるとともに、前記第1の移動経路および前記第2の移動経路に対して略直交する関係で配置されている」との発明特定事項を付加したものである。
b 上記「(ア)本件訂正特許発明1について」で検討したとおり、本件訂正特許発明1は、甲第1号証に記載された発明ではないから、本件訂正特許発明4も、甲第1号証に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当するものではない。

イ 特許法第29条第2項について
(ア)本件訂正特許発明2について
a 本件訂正特許発明2と甲1発明との対比
本件訂正特許発明2は、本件訂正特許発明1において、「第1の移動経路」について、「第1の移動経路では、リニア機構として設けられた電磁石であって当該第1の移動経路に設けられた当該電磁石が用いられて移動体の移動が行われる」との発明特定事項を付加し、「第3の移動経路」について、「第1の移動経路および当該第2の移動経路のうちの一方の移動経路から他方の移動経路へ移動体を移動させる」及び「直線状に形成され」との発明特定事項を付加したものである。
b 上記「ア 特許法第29条第1項第3号について (ア)本件訂正特許発明1について」で検討したとおり、本件訂正特許発明1と甲1発明との間には上記[相違点1−1]及び[相違点1−2]において相違するものであるところ、本件訂正特許発明2と甲1発明とは、上記[相違点1−1]及び[相違点1−2]に加え、以下の相違点で相違するものと認められる。

[相違点2]
「第1の移動経路」について、本件訂正特許発明1が、「第1の移動経路では、リニア機構として設けられた電磁石であって当該第1の移動経路に設けられた当該電磁石が用いられて移動体の移動が行われる」ものであるのに対し、甲1発明は「順次周回するチェーン(搬送体)20」である点。

b 相違点に対する判断
甲1発明は、「順次周回するチェーン(搬送体)20」であるところからすると、当該順次周回するチェーン(搬送体)20を4つの別体のチェーン(搬送体)とすることの動機付けはないし、順次周回するものであることからすれば、阻害要因があるといえる。
そうすると、[相違点1−1]は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明からも、当業者が容易に構成し得るものとはいえない。

c 小括
[相違点2]について、検討するまでもなく、本件訂正特許発明2は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明からも、当業者が容易に構成し得るものとはいえない。

(イ)本件訂正特許発明6について
訂正事項6によって、特許法第29条第2項に係る取消理由の対象であった請求項6は削除された。
したがって、請求項6に係る発明は、取消理由において指摘した理由によって取り消すことはできない。

(ウ)本件訂正特許発明9について
a 本件訂正特許発明9と甲2発明との対比
本件訂正特許発明9と上記(2)イ(イ)で示した甲2発明とを対比すると、以下のことがいえる。

(a)甲2発明の「リニアモーター、ベルト又はチェーンの形態の搬送手段2」は、「中空体5」の搬送の際に移動するものであることからすれば、本件訂正特許発明9の「缶体の搬送に用いられる移動体」と、甲2発明の「リニアモーター、ベルト又はチェーンの形態の搬送手段2」とは、「中空体の搬送に用いられる移動体」である点で共通する。

(b)甲2発明の「複数の印刷ステーション10」、「リニア印刷機1」は、それぞれ本件訂正特許発明9の「第1の移動経路に設けられた印刷部」、「印刷装置」に相当する。

(c)甲2発明の「互いに平行に延びる2本の直線搬送経路7」は2本の直線搬送経路を備えるものであるから、甲2発明の「互いに平行に延びる2本の直線搬送経路7」のうちの一方の直線搬送経路7は、本件訂正特許発明9の「第1の移動経路」に相当し、「互いに平行に延びる2本の直線搬送経路7」のうちの他方の直線搬送経路7は、本件訂正特許発明9の「第2の移動経路」に相当する。

(d)上記(a)乃至(c)より、本件訂正特許発明9と甲2発明とは、以下の点で相違しその余の点で一致する。
[一致点]
「中空体の搬送に用いられる移動体と、
前記移動体が移動する第1の移動経路と、
前記移動体が移動する第2の移動経路と、
前記移動体により保持されている中空体への印刷を行う印刷部と、
を備え、
前記印刷部は、前記第1の移動経路に設けられ、
前記第2の移動経路は、前記第1の移動経路に並行するように設けられている印刷装置。」

[相違点3−1]
「第2の移動経路」が、本件訂正特許発明9は、「前記第1の移動経路とは別に設けられ」、「第1の移動経路よりも上方に配置され」れるのに対し、甲2発明は、「一体の形態」である点。

[相違点3−2]
本件訂正特許発明9は、「印刷部による印刷が行われた缶体を加熱する加熱手段を更に備え」、「前記加熱手段は、前記第1の移動経路よりも上方に位置する前記第2の移動経路に設けられ」るものであるのに対し、甲2発明は、「中空体5」の「乾燥ステーション11」である点。

[相違点3−3]
本件訂正特許発明9は、「前記第1の移動経路および前記第2の移動経路の少なくとも一方の移動経路は、分岐部にて複数の移動経路に分岐するとともに、当該分岐部よりも下流側の合流部にて合流し」、「前記分岐部と前記合流部との間に設けられる前記複数の移動経路は、上下方向における位置が互いにずらされた状態で設けられている」ものであるのに対し、甲2発明は、「一体の形態」である点。

b 相違点についての判断
甲2発明は、「リニアモーター、ベルト又はチェーンの一体の形態の搬送手段2」であるところからすると、当該搬送手段2を4つの別体のリニアモーター、ベルト又はチェーンとすることの動機付けはないし、順次周回するものであることからすれば、阻害要因があるといえる。
そうすると、[相違点3−1]は、甲第2号証及び甲第3号証に記載された発明からも、当業者が容易に構成し得るものとはいえない。

c 小括
[相違点3−2]及び「相違点3−3」について検討するまでもなく、本件訂正特許発明9は、甲第2号証及び甲第3号証に記載された発明からも、当業者が容易に構成し得るものとはいえない。

ウ 特許法第36条第6項第2号について
(ア)本件訂正特許発明2、3、5、7乃至10について
本件訂正により、本件訂正特許発明2、3、5、7乃至10は、いずれも、「第1の移動経路」と「第2の移動経路」とが「別に設けられた」ものであることが特定された。
同様に、本件訂正により、本件訂正特許発明2、3、5、7乃至10は、いずれも、「第1の移動経路」、「第2の移動経路」と「第3の移動経路」とが「別に設けられた」ものであることが特定された。
そうすると、「第1の移動経路」、「第2の移動経路」と「第3の移動経路」とが別体の移動経路であることが明確となったから、本件訂正特許発明2、3、5、7乃至10は、上記取消理由ウにより、取り消すことはできない。


5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)異議申立理由の概要
ア 請求項3、7、8及び10に係る発明は、甲第1号証乃至甲第13号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

イ 令和2年7月20日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項10に係る特許は、以下の理由で特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(理由)令和2年7月20日付けの手続補正書により補正された「駆動源」なる特定は当初明細書等に記載された事項に対して新たな技術的事項を導入するものである。

なお、特許異議申立人は、令和4年4月15日及び同年9月20日に提出した意見書において、新たな甲第7号証を提示して、当該甲第7号証に記載された発明を主引用発明として、請求項1乃至4、10に係る特許の進歩性欠如の取消理由を主張する。
しかし、甲第7号証は新たな証拠の提示であり、かつ、甲第7号証に記載された発明を主引用発明とする理由は、実質的に新たな理由を提示するものである。
そして、公益に及ぼす影響や特許異議の申立ての期間が特許掲載公報発行の日から6月以内に制限されている趣旨を踏まえると、甲第7号証、及び甲第7号証に記載された発明を主引用発明とする理由は採用しない。

(2)甲号証の記載
ア 甲第4号証
本件特許に係る出願の優先日前に頒布された刊行物である甲第4号証(実公平7−24335号公報)には、以下の記載がある。
(ア)「第1図において、符号1はパレット2に載置されたワークであり、ワーク1は本実施例におけるフリーフローコンベヤ3によって図中一方の所定位置Aからコの字状の経路を経て他方の所定位置Bまで搬送される。」(7欄6〜9行)
(イ)「コンベヤライン5とコンベヤライン6およびコンベヤライン6同志は互いに直交して搬送方向の頭部および尾部が順次連結されている。ここで、上記のコンベヤライン5あるいは6の連結例を第3図に示す。第3図(a)は第1のコンベヤライン6の頭部6aがコンベヤライン5の尾部5bに連結され、さらにコンベヤライン5の頭部5aを第2のコンベヤライン6の尾部6bに連結してコの字形に配置した例を示しており、パレット2に載置されたワーク1が一方の所定位置Aから他方所定位置Bに搬送される。」(7欄16〜25行)
(ウ)「第4図は、上述のようにコンベヤライン5あるいはコンベヤライン6を構成する単一のコンベヤユニット4を示すものである。」(7欄50行〜8欄1行)
(エ)「第4図において、符号22はコンベヤユニット4の尾部に設けられたモータであり、」(8欄18〜19行)

イ 甲第5号証
本件特許に係る出願の優先日前に公開された甲第5号証(国際公開第2013/069201号)には、以下の記載がある。
(ア)「[0010] 図1は、本発明に係るリニアコンベアの全体を斜視図で示している。同図中には、水平面上で互いに直交する二方向(X方向、Y方向)を方向指標として図示している。
[0011] 同図に示すように、リニアコンベアは、基台1と、この基台1上に設けられ、特定方向(X方向)に互いに平行に延びる一対の直線搬送部(第1直線搬送部2A、第2直線搬送部2B)及びこれら直線搬送部2A、2Bの長手方向両側にそれぞれ位置する方向反転部(第1方向反転部3A、第2方向反転部3B)と、前記各直線搬送部2A、2Bに沿って移動する複数のスライダ4(本発明の搬送台車に相当する)とを備えている。
[0012] 各直線搬送部2A、2Bは、前記スライダ4をX方向に移動させるものであり、それぞれX方向に延びるレール6を備え、当該レール6に沿ってスライダ4を移動させる。各方向反転部3A、3Bは、両直線搬送部2A、2Bの末端位置でそれらの一方から他方にスライダ4を平行移動させることでスライダ4の移動方向を反転させるものである。すなわち、このリニアコンベアにおいては、各スライダ4は、同図中の白抜き矢印で示すように、第1直線搬送部2Aの一端側(X方向(+)側)から他端側(X方向(−)側)に向かって移動し、第1方向反転部3Aにより第1直線搬送部2Aから第2直線搬送部2Bに移される。そして、各スライダ4は、第2直線搬送部2Bの一端側(X方向(−)側)から他端側(X方向(+)側)に向かって移動した後、第2方向反転部3Bによって第2直線搬送部2Bから第1直線搬送部2Aに移される。これにより、各スライダ4は周回移動する。
[0013] 各方向反転部3A、3Bは、以下のような構成を備える。ここでは、第1方向反転部3Aについて説明する。
[0014] 第1方向反転部3Aは、受入部P2と、送出部P1と、スライド機構15と、引込機構16と、送出機構18とを含む。受入部P2は、上流側の直線搬送部(第1直線搬送部2A)のレール6に連続するレール12を有しかつ第1直線搬送部2Aからスライダ4を受け入れる。送出部P1は、下流側の直線搬送部(第2直線搬送部2B)のレール6に連続するレール11を有しかつ第2直線搬送部2Bに対してスライダ4を送り出す。スライド機構15は、スライダ4を支持する支持部14を備え、この支持部14に支持されたスライダ4を当該支持部14と共に前記受入部P2に対応する位置(図示の位置)と前記送出部P1に対応する位置とに亘ってY方向にスライドさせる。引込機構16は、受入部P2にあるスライダ4をスライド機構15の前記支持部14に引き込む。送出機構18は、前記支持部14に支持されているスライダ4を当該支持部14から送出部P1に引き出し、さらにこの送出部P1から第2直線搬送部2Bに押し出す。」
(イ)「[0018] 前記各スライダ4は、各直線搬送部2A、2Bにおいて、リニアモータを駆動源として駆動される。このリニアモータは、各直線搬送部2A、2Bに備えられるリニアモータ固定子7と、各スライダ4に備えられる後記リニアモータ可動子8とからなる。以下、この点を含め、各直線搬送部2A、2B及びスライダ4の具体的な構成について図2〜図5を用いて説明する。なお、各直線搬送部2A、2Bの基本構成は略同一であるため、ここでは、第1直線搬送部2Aについて説明する。」
(ウ)「[0021] フレーム22は、X方向に延びる長方形状の底板部23aと、この底板部23aの上方に位置し、X方向に延びる長方形状の上板部23cと、これら板部23a、23cの間で上下方向に延び当該板部23a、23c同士をそれらの長手方向に亘って連結する連結部23bとを備え、これら各部23a〜23cがアルミニウム合金により一体に形成されている。そして、このフレーム22の上板部23cの上面に、当該上板部23cの長手方向と同方向に延びるように前記単位レール24が固定され、さらに、この上板部23cの上面であって前記単位レール24の後側(Y方向(−)側)の位置に、複数の電磁石26が当該単位レール24に沿って一列(直列)に配列された状態で固定されている。当例では、同一構造をもつ4つの電磁石26が固定されている。これら電磁石26は、前記リニアモータ固定子7を構成するものであり、それぞれX方向に一列に並ぶ複数のコイルを含む。」

ウ 甲第6号証
本件特許に係る出願の優先日前に頒布された刊行物である甲第6号証(特開平7−53039号公報)には、以下の記載がある。
(ア)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、物品、特に缶などの有底円筒状の物品を搬送するために用いられる搬送装置に関するものである。」
(イ)「【0010】まず、図1〜図3を参照しつつ、本例に係る物品の搬送装置の基本的、概略的な構成を説明する。本例の装置は、缶(物品)4を搬送するために用いられるものであって、横断面C字型に形成された長尺状のガイド10と、このガイド10の内面によって支持される基本ユニット20と、ガイド10の長手方向に沿って、ガイドの裏面(図1中下面)に固定された多数のリニアモータの固定子30とから構成されている。」
(ウ)「【0016】印刷装置60は、缶4の外面に印刷を施すための、周知の構成のものであり、図4に示すように、複数のインキを版胴に付着させる印刷装置本体61と、缶4を保持しつつ一方向(図中反時計方向)に回転することによって、前記版胴に付着しているインキを缶4の外面に転写させるマンドレルターレット62と、マンドレルターレット62から缶4を受け取って基本ユニット20に受け渡す缶転送装置63とから概略構成されている。」
(エ)「【0022】つぎに、前記のように構成された本例の搬送装置の動作について説明する。まず、乾燥装置50を稼働させておくと共に、固定子30に通電する。すると、固定子30から電磁力が生じ、これが、ガイド10の内部に保持されている基本ユニット20に作用する。すると、基本ユニット20は、図4および図5中における矢印方向(すなわち、ガイド10の長手方向)に沿って移動する。ガイド10の内部を移動してきた基本ユニット20は、駆動ターレット11のポケット11aの内部に一旦保持され、駆動ターレット11の自転により、さらに下流側のガイド10の内部に移動する。」

エ 甲第7号証
本件特許に係る出願の優先日前に公開された甲第7号証(国際公開第2012/108870号)には、以下の記載がある。
(ア)「CLAIMS
1. A printing system comprising:a plurality of pallets;an endless track on which the pallets circulate through:a print zone configured to temporarily form a group with some of the pallets in a position immediately adjacent each other and configured to cause the group to support and move a print media, wherein each pallet is smaller than the print media; anda handling zone configured to move the other respective pallets along the track while spaced apart from each other and return the pallets to the print zone.
2. The printing system of claim 1 , wherein the handling zone includes:a load portion configured to receive, prior to the print zone, the print media onto a respective one of the circulating pallets;an unload portion configured to release, after the print zone, the print media off a respective one of the circulating pallets; anda return portion configured to transport the pallets along the track from the unload portion to the load portion.
3. The printing system of claim 2, wherein the handling zone comprises: a first elevator positioned between the return portion and the load portion, and configured to move the pallets, one-by-one, from the return portion vertically upward to the load portion; anda second elevator positioned between the unload portion and the return portion, and configured to move the pallets, one-by-one, from the unload portion vertically downward to the return portion.」
《特許請求の範囲
1.以下を備える印刷システム:
複数のパレット。
パレットが循環する無限のトラック:
パレットのいくつかが互いに直接隣接する位置にあるグループを一時的に形成するように構成され、グループに印刷媒体を支持させて移動させるように構成された印刷ゾーンであって、各パレットは印刷媒体よりも小さい印刷ゾーンと、と
他のそれぞれのパレットをトラックに沿って互いに離間させながら移動させ、パレットを印刷ゾーンに戻すように構成されたハンドリングゾーン。
2.前記ハンドリングゾーンが、
印刷ゾーンの前に、印刷媒体を循環パレットのそれぞれのパレット上に受け取るように構成されたロード部分と、
印刷ゾーンの後、循環パレットのそれぞれから印刷媒体を解放するように構成されたアンロード部分と、と
パレットをアンロード部分からロード部分までトラックに沿って搬送するように構成されたリターン部分。
3.請求項2に記載の印刷システムにおいて、前記ハンドリングゾーンは、前記リターン部分と前記ロード部分との間に配置され、前記パレットを1つずつ、前記リターン部分から前記ロード部分まで垂直上方に移動させるように構成された第1のエレベータと、と
第2エレベータは、アンロード部分とリターン部分との間に配置され、パレットを1つずつ、アンロード部分から垂直方向に下向きにリターン部分に移動させるように構成されている。》
(イ)「Moreover, some systems that use conventional belt-type conveyors present other challenges, such as a high implementation cost because of complicated motion control systems used to achieve accurate motion of media relative to printheads, among other issues. 」(1頁8〜11行)
《さらに、従来のベルト式コンベア を使用する一部のシステムは、プリントヘッドに対する媒体の正確な動作を実現するために使用される複雑な動作制御システムが原因で実装コストが高くなるなど、他の課題を提示します。》
(ウ)「Embodiments of the present disclosure are directed to a media transport assembly of a printing system. In some embodiments, the printing system includes an array of pallets and an endless track or path on which the pallets circulate through a print zone and a handling zone. In the print zone, some of the pallets are arranged immediately adjacent each other as they move along the track and together these pallets temporarily form a group that supports and moves print media. The handling zone includes a load portion, an unload portion, and a return portion. The load portion is configured to receive, prior to the print zone, the print media onto a respective one of the circulating pallets while the unload portion is configured to release, after the print zone, the print media off a respective one of the circulating pallets. The return portion is configured to transport the pallets along the track from the unload portion to the load portion.」(3頁25行〜4頁5行)
《本開示の実施形態は、印刷システムの媒体搬送アセンブリを対象とする。いくつかの実施形態では、印刷システムは、パレットのアレイと、パレットが印刷ゾーンおよびハンドリングゾーンを通って循環するエンドレストラックまたはパスとを含む。印刷ゾーンでは、パレットがトラックに沿って移動するときに、いくつかのパレットが互いに隣接して配置され、これらのパレットが一緒になって、印刷媒体を支持および移動するグループを一時的に形成します。ハンドリングゾーンは、ロード部分、アンロード部分、およびリターン部分を含む。ロード部分は、受信するように構成されています。アンロード部分は、印刷ゾーンの後、循環パレットのそれぞれから印刷媒体を解放するように構成されている間、循環パレットのそれぞれに印刷媒体を放出するように構成されている。戻り部分は、アンロード部分からロード部分までトラックに沿ってパレットを搬送するように構成されている。》
(エ)「In this arrangement, the pallets traveling in the print zone form a virtual table on which print media is supported and carried relative to a printing mechanism. While the velocity of each pallet is controlled independently, the group of pallets in the print zone effectively travels together as a unit. With this arrangement, the pallets are able to move on a low-friction basis, which in turn, eases precise control of the velocity of the print media in the print zone.」(4頁6〜11行)
《この構成では、印刷ゾーン内を移動するパレットが仮想テーブルを形成し、その上で印刷媒体が支持され、印刷機構に対して運ばれる。各パレットの速度は個別に制御されますが、印刷ゾーン内のパレットのグループはユニットとして効果的に一緒に移動します。この構成により、パレットは低摩擦で動くことができ、印刷ゾーンでの印刷媒体の速度の正確な制御が容易になります。》
(オ)「While these embodiments are applicable to wide range of sizes and types of print media, these embodiments are especially suited to transporting and printing upon large scale print media, which can be rigid or flexible. 」(5頁16〜18行)
《これらの実施形態は、広範囲のサイズおよびタイプの印刷媒体に適用可能であるが、これらの実施形態は、剛性または可撓性であり得る大規模な印刷媒体上での輸送および印刷に特に適している。》
(カ)「Figure 1 illustrates a printing system 10 in accordance with one embodiment of the present disclosure. Printing system 10 includes a printhead assembly 12, an ink supply assembly 14, a carriage assembly 16, a media transport assembly 18, and an electronic controller 20. Printhead assembly 12 includes one or more printheads which eject drops of ink through orifices or nozzles 13 and toward a print media 19 so as to print onto print media 19. In one embodiment, printhead assembly 12 includes inkjet printheads, such as thermal inkjet printheads while in other embodiment, printhead assembly 12 includes other types of printhead, such as but not limited to, piezoelectric printheads.」(5頁30〜6頁7行)
《図1は、本開示の一実施形態による印刷システム10を示す。印刷システム10は、プリントヘッドアセンブリ12、インク供給アセンブリ14、キャリッジアセンブリ16、媒体輸送アセンブリ18、および電子コントローラ20。プリントヘッドアセンブリ12は、刷媒体19上に印刷するために、インクの滴をオリフィスまたはノズル13を通して印刷媒体19に向かって噴射する1つまたは複数の印刷ヘッドを含む。一実施形態では、プリントヘッドアセンブリ12は、サーマルインクジェットプリントヘッドなどのインクジェットプリントヘッドを含むが、他の実施形態では、プリントヘッドアセンブリ12は、圧電プリントヘッドなどであるがこれに限定されない他のタイプのプリントヘッドを含む。》
(キ)「In addition, with further reference to Figure 2B, it will be understood that in one embodiment the magnetic element 157 of a respective one of the pallets 150 and the magnetic element 47 within track 110 (e.g. within a respective one of the LM units 45) comprise reciprocal first and second portions with one of the respective first and second portions comprising an electromagnetic element and the other of the respective first and second portions comprising a magnetically responsive material.」(14頁3〜9行)
《さらに、図2Bをさらに参照すると、一実施形態では、パレット150のそれぞれの1つの磁気要素157およびトラック110内(例えば、LMユニット45のそれぞれの1つ内)の磁気要素47が理解されるであろう。相反する第1および第2の部分を含み、それぞれの第1および第2の部分の一方は電磁素子を含み、それぞれの第1および第2の部分の他方は磁気応答材料を含む。》
(ク)「It will be further understood that in other embodiments, a media transport assembly includes one or more drive mechanisms other than linear motors to cause the pallets to move along the endless track while precisely and independently controlling the velocity of each pallet to either temporarily form a virtual table in a print zone or to allow the pallets to travel in a spaced apart relationship. 」(16頁26〜31行)
《他の実施形態では、メディア搬送アセンブリは、リニアモータ以外の1つまたは複数の駆動機構を含み、パレットをエンドレストラックに沿って移動させながら、各パレットの速度を正確かつ独立して制御して、一時的に仮想空間を形成することをさらに理解されたい。テーブルを印刷ゾーンに置いたり、パレットが間隔を空けて移動できるようにします。》
(ケ)「Figure 3 is a side view of a printing system including a media transport assembly 300, according to an embodiment of the present disclosure. In one embodiment, Figure 3 comprises substantially the same features and attributes as the media transport assemblies previously described in association with Figure 1-2C, except for the variations on regarding the track and how pallets are guided along the track, which are described further below. In one embodiment, as shown in Figure 3, media transport assembly 300 includes a print zone 362 and a handling zone 363, which includes an unloading portion 364, a return portion 366, and a loading portion 368. Pallets 350 move through the print zone 362 and handling zone 363 along a path or track 360. In one embodiment, track 360 is defined by table portion 390 in print zone 362 and by a table portion 392 in return portion 366 of handling zone 363. Elevators 392, 394 further define track 360 with first elevator 394 extending vertically between the unloading portion 364 (adjacent second end 361 B of print zone 362) and a first end 367A of table portion 392 while second elevator 396 extends vertically between the second end 367B of table portion 392 and the loading portion 368 (adjacent first end 361A of print zone 362).」(17頁6〜22行)
《図3は、本開示の一実施形態による、媒体搬送アセンブリ300を含む印刷システムの側面図である。一実施形態では、図3は、以下でさらに説明するトラックおよびトラックに沿ってパレットを案内する方法に関するバリエーションを除いて、図1〜2Cに関連して前述したメディア搬送アセンブリと実質的に同じ特徴および属性を備える。一実施形態では、図3に示されるように、媒体搬送アセンブリ300は、印刷ゾーン362と、アンローディング部分364、リターン部分366、およびローディング部分368を含むハンドリングゾーン363とを含む。パレット350は、パスまたはトラック360に沿って印刷ゾーン362およびハンドリングゾーン363を通って移動する。一実施形態では、トラック360は、印刷ゾーン362内のテーブル部分390によって、およびハンドリングゾーン363のリターン部分366内のテーブル部分392によって画定される。エレベータ392、394はさらにトラック360を画定し、第1のエレベータ394はアンロード部分364(印刷ゾーン362の第2の端部361Bに隣接)とテーブル部分392の第1の端部367Aとの間を垂直に延び、第2のエレベータ396は第2の端部367Bの間で垂直に延びる。テーブル部分392および装填部分368(印刷ゾーン362の第1の端部361Aに隣接する)。》
(コ)「In one embodiment, each table portion 390, 392 incorporates LM units 345 which have substantially the same features as LM units 45, as previously described in association with Figure 2B.」(17頁23〜25行)
《一実施形態では、各テーブル部分390、392は、図2Bに関連して前述したように、LMユニット45と実質的に同じ特徴を有するLMユニット345を組み込む。》
(サ)「With further reference to Figure 3, each elevator 394, 396 includes a platform 397, 398, respectively, that is supported by and movable vertically along tower 399 of the respective elevators 394, 396. In some embodiments, the tower 399 of each elevator 394, 396 includes a LM unit 345E that controls the vertical position and movement of, platform 397 or 398 relative to the tower 399.」(18頁1〜6行)
《さらに図3を参照すると、各エレベータ394、396は、それぞれのエレベータ394、396のタワー399によって支持され、それに沿って垂直に移動可能なプラットフォーム397、398をそれぞれ含む。いくつかの実施形態では、各エレベータ394、396のタワー399は、タワー399に対するプラットフォーム397または398の垂直位置および移動を制御するLMユニット345Eを含む。》
(シ)「At this location, print media 352L is advanced from loading mechanism 370 onto platform 398 of second elevator 396 such that LM unit 345L of platform 398 of second elevator 396 and the LM units 345P in table portion 390 of print zone 362 cause movement of print media 352L onto pallets 350P for support and movement relative to printhead assembly 312 through print zone 362.」(19頁6〜10行)
《この位置で、印刷媒体352Lは、第2のエレベータ396のプラットフォーム398のLMユニット345Lおよび印刷ゾーン362のテーブル部分390のLMユニット345Pが印刷媒体の移動を引き起こすように、装填機構370から第2のエレベータ396のプラットフォーム398上に進められる。352Lをパレット350Pに載せて、印刷ゾーン362を介してプリントヘッドアセンブリ312に対して支持および移動します。》

オ 甲第8号証
本件特許に係る出願の優先日前に頒布された刊行物である甲第8号証(特表2016−504211号公報)には、以下の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、概してデジタル印刷の分野におけるものであり、特に湾曲面上に印刷するための印刷システムおよび方法に関する。」
(イ)「【0130】
図15を参照すると、この非限定的な実施例において、印刷システム17は、概して、閉ループレーン10と、レーン10の印刷ゾーン12z内の、昇降システム27に搭載された印刷ヘッドアセンブリ100とを備える。簡素化するために、印刷システムのその他の部分(例えば、下準備部、硬化部など)は示していない。レーン10は概して円形レーンであり、この非限定的な実施例では実質的に楕円形状である。レーン10は、1つ以上のトラック10rを備える楕円形リング形状のプラットホーム10pによって実施でき、トラック10rの各々には複数の滑動台22が搭載され、トラック10r上を滑動するように構成されている。異なるトラック10rに搭載された少なくとも2つの滑動台22が、取り外し可能なプラットホーム37を受容するために、レーン10に対して放射状に整列されており、印刷対象の複数の物体101を保持し、これらを印刷ゾーン12zへ前進させるように構成されたキャリッジCiを実現している。この非限定的な実施例では、レーン10は2つのトラック10rを備え、トラック22上に滑動可能に取り付けられた滑動台22は対で配置されており、各対の滑動台の各々は異なるトラック22に滑動可能に取り付けられており、これにより、複数の滑動可能なキャリッジC1、C2、C3、...が、取り外し可能なプラットホーム37を上記滑動台22の対の各1つに取り付けることで構成されるようになる。」
(ウ)「【0140】
図18は、いくつかの可能な実施形態による、キャリッジCiのレーン10への連結を示す。この非限定的な実施例では、各滑動台22は4つの水平車輪22wを備え、この2対の車輪22wが滑動台22の両側に取り付けられ、また、各対の車輪22wは、トラック10rの側部に沿って形成された側部溝22c内に押入されている。レーン10は、これに沿って取り付けられ、キャリッジCiに設置されたリニアモータ用の磁石トラック(2次モータ素子)を形成している、複数の磁気素体10mをさらに設けてよい。各々の取り外し可能なプラットホーム37の底面に取り付けられ、キャリッジの電源(例えば、電池、誘導性充電、および/または可撓ケーブル)から電力を受容するリニアモータコイル部29(フォーサ/1次モータ素子)を、レーン上でキャリッジを動かすために使用する。キャリッジCiの底面に取り付けたエンコーダ部23rは、リアルタイムのキャリッジ位置決め信号をキャリッジの制御部に提供するために使用される。そのため、各キャリッジCiは、少なくとも1つのリニアモータコイルと、少なくとも1つのエンコーダを設け、制御部300がキャリッジCiの位置決めを訂正できるようにしている。こうすることで、レーン10の直線領域と曲線領域にわたりキャリッジ移動の高精度な位置決めを達成しつつ、キャリッジCiのリニアモータの起動が実行され得る。
【0141】
例えば、また限定することなく、リニアモータに使用する磁気トラック10mは、レーン10の直線部分にかけて直線に、また、レーン10の曲線部分にかけては小さい角隙間を設けて編成できる。いくつかの実施形態では、この小さい角隙間は、モータドライバ内に設けられた、正確なキャリッジの動きをもたらすための、特別なファームウェアアルゴリズムによってサポートされる。レーンはエンコーダ溝23をさらに設けてよく、この溝23の側部は、可読のエンコードされたスケール23tを備えている。エンコーダスケール23tは好ましくは楕円形レーン10全体の周囲に配置され、各キャリッジCiの底面に取り付けられたエンコーダユニット23rがエンコーダ溝23内に導入されていることで、レーン10に沿ったキャリッジの移動をリアルタイム監視できる。」

カ 甲第9号証
本件特許に係る出願の優先日前に頒布された刊行物である甲第9号証(特表2012−527387号公報)には、以下の記載がある。
(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に円筒形状を有する物体上に印刷するためのインクジェットプリンタであって、
それぞれが、流体供給部に通じ、移動ラインの上方に配置され、流体を該物体の表面上に所定の画像にしたがって選択的に噴射するように制御される、1つ以上の印刷用ヘッドと、
少なくとも部分的に円筒形状を有する物体を、その軸が移動ラインに揃うように保持し、該物体を該移動ラインにそって直線状に移動させ、該物体を上記1つ以上の印刷用ヘッドに対して相対的に配置し、該物体を上記1つ以上の印刷用ヘッドに対して相対的に回転させるように構成される移送台アッセンブリーと、
上記移動ラインにそって配置され、上記物体の表面上に噴射された流体を硬化させるために適したエネルギーを放出するように構成される硬化装置とを備えている、インクジェットプリンタ。
【請求項2】
中空の円筒形状を有する物体中に挿入可能な寸法の自由端を有し、上記移送台アッセンブリーによって軸が上記移動ラインに揃うように支持される、ほぼ円筒形状を有するマンドレルをさらに備え、
該マンドレルが回転駆動シャフトに結合される、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。」
(イ)「【0007】
以下の記載では、ほぼ円筒形状を有する物体、特に中空の円筒形状を有する物体または中空の部分的に円筒形状を有する物体(例えば缶および瓶(2つの部分からなる缶および瓶を含む))上に、画像を非接触式印刷するための装置について開示する。また、記載の装置によって中実の円筒形状を有する物体および中実の部分的に円筒形状を有する物体に印刷することが可能であることも、関連技術の当業者には、本開示を読めば明白であろう。
【0008】
一実施形態では、各中空の円筒形状を有する物体が手作業で装着され、滑らないように真空化することによってマンドレル上に固定される。このマンドレルは、所望の印刷デザインを形成するために、一群のデジタル制御式印刷用ヘッドの下に缶をラインにそって配置し、インクを缶に対して噴射しながら、この印刷用ヘッドに対向する位置で缶を回転させるように機能する移送台アッセンブリーの一部である。また、インクは、缶の直下に配置されたエネルギー放出手段によって印刷直後に部分的または完全に硬化させる。なお、このエネルギー放出手段は、印刷用ヘッドの下に位置する間のみ、または、本発明が機能している間は常に、機能することができる。」

キ 甲第10号証
本件特許に係る出願の優先日前に頒布された刊行物である甲第10号証(特開2015−147159号公報)には、以下の記載がある。
(ア)「【0005】
本発明が適用される印刷装置は、筒状に形成された缶体の一方の端部を先頭として、予め定められた搬送経路に沿って当該缶体を搬送する缶体搬送手段と、前記搬送経路上の前記缶体の周方向における位置が互いに異なる複数の画像形成部材であって、当該画像形成部材の各々が当該搬送経路に沿って配置された当該複数の画像形成部材を用い、当該搬送経路上の当該缶体の外周面に対して画像を形成する画像形成手段と、を備える印刷装置である。」
(イ)「【0013】
ここで、本実施形態では、缶体10を内部から支持する円筒状の支持部材であるマンドレル11が、マンドレル11の軸方向に沿って移動する。付言すると、マンドレル11の軸方向における一方の端部を先頭して、マンドレル11は移動する。これに伴い、円筒状に形成された缶体10も、缶体10の軸方向に沿って移動する。付言すると、缶体10は、缶体10の軸方向における一方の端部を先頭として移動する。」

ク 甲第11号証
本件特許に係る出願の優先日前に頒布された刊行物である甲第11号証(特開2015−39676号公報)には、以下の記載がある。
(ア)「【0005】
本発明が適用される画像形成装置は、缶体への画像形成を行う画像形成手段と、一方向に向かって延びるように形成されるとともに前記画像形成手段の脇を通過するように形成された搬送経路に沿って、缶体を搬送する搬送手段と、前記搬送経路上の前記缶体を前記一方向と交差する方向に向けて移動させ、当該缶体を前記画像形成手段に向けて移動させる缶体移動手段と、を備える画像形成装置である。
ここで、前記缶体は、筒状に形成され、前記画像形成手段は、前記缶体の軸心が予め定められた配置箇所に配置された状態の当該缶体に対して画像形成を行い、前記缶体移動手段は、前記搬送経路上の予め定められた箇所を始点として、前記画像形成手段に向けての前記缶体の移動を開始し、その後、前記予め定められた配置箇所に前記軸心が位置するように当該缶体を配置し、前記搬送経路に対する垂線であって前記予め定められた配置箇所を通る当該垂線と、当該搬送経路との交差箇所の位置と、前記始点の位置とを比較した場合に、当該始点の方が当該交差箇所よりも、缶体の搬送方向上流側に位置していることを特徴とすることができる。この場合、垂線と搬送経路との交差箇所を始点として画像形成手段に向けての缶体の移動を開始する場合に比べ、缶体の移動距離を短くでき、単位時間当たりに画像形成を行える缶体の個数を増やせるようになる。
また、前記画像形成手段は、前記缶体に対峙する対峙面であって前記搬送経路が延びる方向に対して傾斜して配置された当該対峙面に形成されたインク吐出口から当該缶体に向けてインクを吐出することで、当該缶体に対する画像形成を行い、前記缶体移動手段は、前記缶体を前記画像形成手段に向けて移動させる際、前記一方向とは交差する方向に向けて且つ前記対峙面が延びる方向に沿うように当該缶体を移動させることを特徴とすることができる。この場合、対峙面が延びる方向に沿わずに缶体が移動する場合に比べ、缶体の移動距離を短くでき、単位時間当たりに画像形成を行える缶体の個数を増やせるようになる。
他の観点から捉えると、本発明が適用される画像形成装置は、缶体への画像形成を行う画像形成手段と、一方向に向かって延びるように形成されるとともに前記画像形成手段の脇を通過するように形成された搬送経路に沿って、缶体を搬送する搬送手段と、前記搬送経路に向けての前記画像形成手段の移動、および、当該搬送経路から離れる方向への当該画像形成手段の移動を行う移動手段と、を備える画像形成装置である。
ここで、前記画像形成手段は、画像の形成を行う画像形成ヘッドを複数備え、前記移動手段は、前記画像形成手段の前記移動に際し、前記複数の画像形成ヘッドを移動させ、前記複数の画像形成ヘッドは、共通の支持部材により支持され、前記移動手段による移動に際し、一体となって移動を行うことを特徴とすることができる。この場合、複数の画像形成ヘッドが個別に移動する場合に比べ、複数の画像形成ヘッドに含まれる個々の画像形成ヘッドの位置関係を保ちやすくなる。
他の観点から捉えると、本発明が適用される画像形成装置は、上流側から搬送経路に沿って予め定められた箇所まで缶体を搬送した後、当該予め定められた箇所から下流側に向けて当該缶体をさらに搬送する搬送手段と、前記搬送経路の脇に配置されるとともに、前記予め定められた箇所よりも上流側および下流側の少なとも一方の側にて、その一部が当該搬送経路上に突出するように設けられ、当該予め定められた箇所に位置している前記缶体に対して画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段の前記一部を前記搬送経路上から退避させる退避手段と、を備える画像形成装置である。
ここで、前記退避手段は、予め定められた回転中心を中心に前記画像形成手段を回転させることで、前記一部の前記搬送経路上からの退避を行うことを特徴とすることができる。この場合、画像形成手段を回転させることで、画像形成手段の一部の搬送経路上からの退避を行えるようになる。
他の観点から捉えると、本発明が適用される画像形成装置は、搬送経路に沿って第1の箇所へ筒状の缶体を搬送するとともに、当該第1の箇所よりも下流側に位置する第2の箇所へ当該缶体をさらに搬送する搬送手段と、前記第1の箇所に位置する缶体の外周面の第1の部位に対して、画像を形成する第1の画像形成ヘッドと、前記第1の画像形成ヘッドよりも前記缶体の搬送方向下流側に配置され、前記第2の箇所に位置する当該缶体の外周面の第2の部位であって当該缶体の軸方向における位置が前記第1の部位とは異なる当該第2の部位に対して、画像を形成する第2の画像形成ヘッドと、を備える画像形成装置である。」
(イ)「【0009】
同図(A)、(B)に示すように、本実施形態の画像形成装置100には、ターレットと呼ばれる円盤状の旋回テーブル110が設けられている。また、旋回テーブル110の上には、サーボモータ140を駆動するサーボアンプ120が配置されている。さらに、旋回テーブル110の外周部には、円筒状に形成されるとともに缶体10に挿入され、缶体10の保持を行う保持部材(マンドレル)130が設けられている。」

ケ 甲第12号証
本件特許に係る出願の優先日前に頒布された刊行物である甲第12号証(特開昭63−57426号公報)には、以下の記載がある。
(ア)「[従来技術]
工場等において、離れた2地点間で物品を搬送する場合に、リニアモータを用いたシステムとして第2図のようなシステムがある。この図において、AおよびBは作業場所であるステーションであり、ステーションAは物品を搬送台車Xに積載する場所であり、ステーションBはステーションAにおいて積載された物品を受け取る場所である。この間に搬送物を積載した搬送台車Xが走行する搬送用レール1と搬送物を降ろした搬送台車Xが走行する返送用レール2とが上下に施設されている。また、この両レール1、2にはリニアモータの一次側コイルC.C…が配置され、二次側導体が取り付けられた搬送台車を駆動する。モしてステーションAおよびステーションBに進路変更装置が設置され、返送用レール2から搬必用レール1へ、また、搬送用レールlから返送用レール2へ搬送台車Xが移され、搬送台車Xの進路変更が行われる。
第3図は従来のリニアモータ搬送装置の進路変更装置の構成を示す斜視図である。この図において、3は昇降台であり、表面が平面状に形成され、4個の凹型部材3a、3a…が後面に取り付けられている。この凹型部材3a、3a…は断面凸字状に形成されたガイドレール4、4に上下動可能にかん合している。ガイドレール4、4は平行に立ち並んで設置され、レール間には昇降台3を上下に駆動するエアシリンダ5が設置されている。このエアシリンダ5はリフタ6内取り付けられ、このリフタ6の可動部6aが昇降台3の後面に取り付けられいる。そして、エアシリンダ5が駆動されると可動部6aが上下動し、これにより、昇降台3が上下動する。また、昇降台3上面右側にはL字状の取付部材7が取り付けられており、この取付部材7の上端部に方向転換用レール8が垂直に取り付けられている。この方向転換用レール8の左面にはリニアモータの一次側コイル9が取り付けられ、また、取付部材7の上面には停止装置10が取り付けられている。
そして、上記構成の進路変更装置が第2図のようにステーションAおよびステーションBの2箇所に設けられ、その間を搬送用レール1および返送用レール2が設置される。
上記の構成において、昇降台3を上昇または下降させ、返送用レール2(上部一点鎖線)または搬送用レール1(下部一点鎖線)に方向転換用レール8を連接し、返送用レール2または搬送用レール1から進入してくる搬送台車Xを、方向転換用レール8に取り込み、停止させる。次に搬送物の積み降ろしを行う。次に昇降台3を上昇または下降させ搬送台車Xが進入してきたレールとは逆の返送用レール2または搬送用レール1に方向転換用レール8を連接し、続いて、リニアモータの一次側コイル9を駆動し、返送用レール2または搬送用レール1へ搬送台車Xを送り出す。」

コ 甲第13号証
本件特許に係る出願の優先日前に頒布された刊行物である甲第13号証(特開平10−203650号公報)には、以下の記載がある。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、搬送機におけるフリーフロー直線コンベアに関し、特に動力の伝達に磁気ネジを利用したフリーフロー直線コンベアに関する。」
(イ)「【0010】また、本発明のフリーフロー直線コンベアは、前記搬送台には搬送方向に沿って形成された二以上の雌磁気ネジを有し、雄磁気ネジを備えた二以上の前記駆動軸が、前記搬送台に形成された各雌磁気ネジの搬送方向に対応する方向であってかつ、一の駆動軸による搬送終点位置に他の駆動軸が連続して配設されたものであってもよい。また、本発明のフリーフロー直線コンベアは、前記搬送台が、前記一の駆動軸から他の駆動軸へ切り換えられる時に、前記搬送台に形成された二以上の雌磁気ネジのうち前記一の駆動軸の雄磁気ネジに対応する一の雌磁気ネジから前記他の駆動軸の雄磁気ネジに対応する他の雌磁気ネジが作用するよう前記搬送台を移動させる方向切換手段を有するものであってもよい。また、本発明のフリーフロー直線コンベアは、前記方向切換手段がシリンダ又はソレノイドであってもよい。」
(ウ)「【0027】次に、本発明にかかるコンベアの第2実施の形態について説明する。図6は、本実施の形態のコンベアを構成するパレットを示した外観斜視図である。本実施の形態のパレット20は、前述したものとほぼ同様な形態をなすものであるが、その特徴は右ネジを構成する第1雌磁気ネジ21に加え、左ネジを構成する第2雌磁気ネジ22が直角に形成されている点である。この第1、第2雌磁気ネジ21,22とも、図1で示したと同様に構成されるものである。また、図7は、このパレット20を採用したコンベアを示した概念図である。即ち、パレット20を採用したコンベアは、搬送方向が切り換えられる点に特徴を有し、特に、図7に示した本実施の形態ではパレット20が一周するものである。なお、図7には第1実施の形態で図示したシリンダ18及び検出センサ19などからなるクラッチ機構は省略した。
【0028】パレット20は、第1実施の形態と同様に、スライド受上を裏面に設けた転がりボールを介して移動するものである。そのスライド受は、図示するように長距離と短距離のものが連結し搬送路23を構成している。そして、この搬送路23に沿うように雄磁気ネジを備えた回転ロッドが回転自在に設けられている。ここで、パレット20に形成した雌磁気ネジは、第1雌磁気ネジ21が搬送路23の長距離用であり、第2雌磁気ネジ22が短距離用である。従って、搬送路23の長距離側には、その方向に沿って右ネジを構成する第1雄磁気ネジ24a,24b,24c,24dを配設し、短距離側には、その方向に沿って左ネジを構成する第2雄磁気ネジ25a,25bを配設した。」
(エ)「【0031】本実施の形態のコンベアは、図面右上角部をスタート位置Sとし、そこから図面左方へパレット20が移動するよう構成したものである。そのスタート位置Sでは、パレット20に形成された雌磁気ネジ21,22が、いずれの雄磁気ネジにも作用していないため、そのままでは移動しない。そこで、スタート位置Sには、パレット20を押し出すだめのスタートシリンダ35を設けた。また、搬送路23の図面右下角部では、第1雄磁気ネジ24dと第2雄磁気ネジ25bとの間にパレット20の第1雌磁気ネジ21から第2雌磁気ネジ22へ切り替える連続性がないため、やはりパレット20を押し出すだめのリターンシリンダ36を設けた。更に、スタート位置S及び図面左上角部には、パレット20を搬送方向に引き寄せ次への動作に移すための引込みシリンダ38,39が設けられている。【0032】ところで、パレット20を停止させ作業を行う停止位置は、搬送路23の長距離側にのみ設けられ、その停止位置にはパレット20に形成された嵌合部20aをストッパ37,37…へ嵌合させるべく、第1実施の形態で示したと同様のシリンダ18及び検出センサ19などからなるクラッチ機構(不図示)が設けられている。なお、図示しないが、本実施の形態のコンベアにおいても、制御手段及びシリンダを駆動させるエアポンプを有し、制御手段が各所に設けられた検出センサからの信号を受けてエアポンプを駆動するよう構成されている。」
(オ)「【0037】更に、パレット20が第2雄磁気ネジ25aの終端部を過ぎる図面右下角部では、第2雌磁気ネジ22が第2雄磁気ネジ25bに沿う位置にない。そのため、パレット20は、リターンシリンダ36によって第2雌磁気ネジ22が第2雄磁気ネジ25bに作用する位置まで押し出され、搬送路23上を直角に方向転換される。従って、第2雄磁気ネジ25bの回転によりパレット20が搬送路23上を上方へ移動し、引込みシリンダ38によって引き寄せられ再びスタート位置Sへ戻る。そこでは先に記載したようにスタートシリンダ35によって図面左方へ押し出されたパレット20が、再び第1雄磁気ネジ24aの回転によって搬送路23上を移動することとなる。このように移動するパレット20は、数個が一度に搬送路23上に載置され、同様の動作によって搬送路23上を移動することとなる。」

(3)当審の判断
ア 特許法第29条第2項について
(ア)本件訂正特許発明3について
a 本件訂正特許発明3と甲1発明とを対比すると、上記「4(3)ア(ア)a」を参酌すると、本件訂正特許発明3と甲1発明とは、以下の一致点で一致し 、以下の相違点で相違するものと認められる。
[一致点]
「缶体の搬送に用いられる移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路と、
当該第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路と、
当該第1の移動経路および当該第2の移動経路のうちの一方の移動経路から他方の移動経路へ前記移動体を移動させる第3の移動経路と、
前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
を備え、
前記第3の移動経路は、直線状に形成され、
ている印刷装置。」
[相違点4−1]
「第1の移動経路」が、本件訂正特許発明3では、「設けられたリニア機構を用いて移動体を移動させる」ものであるのに対し、甲1発明は、「順次周回するチェーン(搬送体)20」である点。
[相違点4−2]
「第2の移動経路」が、本件訂正特許発明3では、「第1の移動経路とは別に設けられ」、「設けられたリニア機構を用いて移動体を移動させる」ものであるのに対し、甲1発明は、「順次周回するチェーン(搬送体)20」である点。

[相違点4−3]
「第3の移動経路」が、本件訂正特許発明3では、「第1の移動経路および第2の移動経路の各々とは別に設けられ」、「エアシリンダ又は循環移動するベルト部材を用いて当該移動体を移動させる」ものであるのに対し、甲1発明は、「順次周回するチェーン(搬送体)20」である点。

[相違点4−4]
本件訂正特許発明3が、「第1の移動経路および第2の移動経路のうちの一方の移動経路は、他方の移動経路の上方に配置され」ているものであるのに対し、甲1発明は、そのようなものではない点。

b 相違点に対する判断
甲1発明は、「順次周回するチェーン(搬送体)20」であるところからすると、当該順次周回するチェーン(搬送体)20を4つの別体のチェーン(搬送体)とすることの動機付けはないし、順次周回するものであることからすれば、阻害要因があるといえる。
そうすると、[相違点4−2]及び[相違点4−3]は、特許異議申立人が提示したいずれの甲号証に記載された発明からも、当業者が容易に構成し得るものとはいえない。

c 小括
[相違点4−1]及び「相違点4−4」について検討するまでもなく、本件訂正特許発明3は、特許異議申立人が提示したいずれの甲号証に記載された発明からも、当業者が容易に構成し得るものとはいえない。

(イ)本件訂正特許発明7について
a 本件訂正特許発明7と甲1発明とを対比すると、上記「4(3)ア(ア)a」を参酌すると、本件訂正特許発明7と甲1発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違するものと認められる。
[一致点]
「缶体の搬送に用いられる移動体と、
前記移動体が移動する第1の移動経路と、
前記移動体が移動する第2の移動経路と、
前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
を備え、
前記印刷部は、前記第1の移動経路に設けられ、
印刷装置。」

[相違点5−1]
「第2の移動経路」が、本件訂正特許発明7が「前記第1の移動経路とは別に設けられ」ているものであるのに対し、甲1発明は、「順次周回するチェーン(搬送体)20」である点。

[相違点5−2]
本件訂正特許発明7が「第1の移動経路および第2の移動経路の少なくとも一方の移動経路は、分岐部にて複数の移動経路に分岐するとともに、当該分岐部よりも下流側の合流部にて合流し、前記第2の移動経路は、前記第1の移動経路よりも上方に配置され」、「印刷部による印刷が行われた缶体を加熱する加熱手段を更に備え」、「前記加熱手段は、前記第1の移動経路よりも上方に位置する前記第2の移動経路に設けられ、前記分岐部と前記合流部との間に設けられる前記複数の移動経路は、上下方向における位置が互いにずらされた状態で設けられている」ものであるのに対し、甲1発明は、そのようなものではない点。

b 相違点に対する判断
甲1発明は、「順次周回するチェーン(搬送体)20」であるところからすると、当該順次周回するチェーン(搬送体)20を4つの別体のチェーン(搬送体)とすることの動機付けはないし、順次周回するものであることからすれば、阻害要因があるといえる。
そうすると、[相違点5−1]は、特許異議申立人が提示したいずれの甲号証に記載された発明からも、当業者が容易に構成し得るものとはいえない。

c 小括
[相違点5−2]について検討するまでもなく、本件訂正特許発明3は、特許異議申立人が提示したいずれの甲号証に記載された発明からも、当業者が容易に構成し得るものとはいえない。

(ウ)本件訂正特許発明8について
a 本件訂正特許発明8は、本件訂正特許発明7において、「前記第2の移動経路は、前記第1の移動経路の真上から外れた個所に設けられている」との発明特定事項を付加したものである。
イ 上記「(1)本件訂正特許発明7について」で検討したとおり、本件訂正特許発明7は、特許異議申立人が提示したいずれの甲号証に記載された発明からも、当業者が容易に構成し得るものとはいえないから、本件訂正特許発明8も、特許異議申立人が提示したいずれの甲号証に記載された発明からも、当業者が容易に構成し得るものとはいえない。

(エ)本件訂正特許発明10について
a 本件訂正特許発明10と甲1発明とを対比すると、上記「4(3)ア(ア)a」を参酌すると、本件訂正特許発明10と甲1発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違するものと認められる。
[一致点]
「缶体の搬送に用いられる移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路と、
当該第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路と、
前記第1の移動経路に設けられ、前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
前記第1の移動経路から前記第2の移動経路へ前記移動体を移動させる移動手段と、
を備え、
前記印刷部が設けられた前記第1の移動経路では、移動体の移動が行われ
る印刷装置。」
[相違点6−1]
「第2の移動経路」が、本件訂正特許発明10では、「前記第1の移動経路とは別に設けられ」、「設けられたリニア機構を用いて当該移動体を移動させる」ものであるのに対し、甲1発明は、「順次周回するチェーン(搬送体)20」である点。

[相違点6−2]
「第1の移動経路」が、本件訂正特許発明10では、「設けられたリニア機構を用いて当該移動体を移動させる」ものであるのに対し、甲1発明は、「順次周回するチェーン(搬送体)20」である点。

[相違点6−3]
本件訂正特許発明10が、「移動手段は、前記第1の移動経路および前記第2の移動経路における前記移動体の移動に用いられる駆動源である前記リニア機構とは異なる駆動源である、エアシリンダ又は循環移動するベルト部材を用いて、当該第1の移動経路から当該第2の移動経路へ当該移動体を移動させ」るものであるのに対し、甲1発明は、「順次周回するチェーン(搬送体)20」である点。

b 相違点に対する判断
甲1発明は、「順次周回するチェーン(搬送体)20」であるところからすると、当該順次周回するチェーン(搬送体)20を4つの別体のチェーン(搬送体)とすることの動機付けはないし、順次周回するものであることからすれば、阻害要因があるといえる。
そうすると、[相違点6−1]は、特許異議申立人が提示したいずれの甲号証に記載された発明からも、当業者が容易に構成し得るものとはいえない。

c 小括
[相違点6−2]及び[相違点6−3]について検討するまでもなく、本件訂正特許発明10は、特許異議申立人が提示したいずれの甲号証に記載された発明からも、当業者が容易に構成し得るものとはいえない。

イ 特許法第17条の2第3項について
本件訂正により、本件訂正特許発明10の「駆動源」は、「駆動源である前記リニア機構」及び「異なる駆動源である、エアシリンダ又は循環移動するベルト部材」と特定された。
そして、「リニア機構」及び「エアシリンダ又は循環移動するベルト部材」は、いずれも、願書に添付した明細書等の【0022】、【0058】、【0066】、【0084】、【0089】及び【0097】に記載されている事項である。
そうすると、本件訂正特許発明10の「駆動源である前記リニア機構」及び「異なる駆動源である、エアシリンダ又は循環移動するベルト部材」との事項は、特許法第17条の2第3項の規定を満たす補正である。


6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1乃至5、7乃至10に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1乃至5、7乃至10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、請求項6は、本件訂正請求により削除された。これにより、特許異議申立人による特許異議申立てについて、請求項6に係る申立ては、申立ての対象が存在しなくなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶体の搬送に用いられる移動体であって、当該缶体を支持する筒状の支持部材を備える移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路と、
前記第1の移動経路とは別に設けられ、当該第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路と、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路の各々とは別に設けられるとともに、当該第1の移動経路および当該第2の移動経路の両者に対して直交する関係で配置され、当該第1の移動経路から当該第2の移動経路へ前記移動体を移動させる第3の移動経路であって、筒状の前記支持部材の軸方向が当該第3の移動経路の延び方向に沿った状態で当該移動体が移動を行う第3の移動経路と、
前記第1の移動経路に設けられ、当該第1の移動経路上に位置する前記移動体に設けられた前記支持部材により支持され当該移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
を備え、
前記第3の移動経路は、直線状に形成されている印刷装置。
【請求項2】
缶体の搬送に用いられる移動体であって、当該缶体を支持する筒状の支持部材を備える移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路と、
前記第1の移動経路とは別に設けられ、当該第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路と、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路の各々とは別に設けられるとともに、当該第1の移動経路および当該第2の移動経路の両者に対して直交する関係で配置され、当該第1の移動経路および当該第2の移動経路のうちの一方の移動経路から他方の移動経路へ前記移動体を移動させる第3の移動経路であって、筒状の前記支持部材の軸方向が当該第3の移動経路の延び方向に沿った状態で当該移動体が移動を行う第3の移動経路と、
前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
を備え、
前記第3の移動経路は、直線状に形成され、
前記印刷部は、前記第1の移動経路に設けられ、
前記第1の移動経路では、リニア機構として設けられた電磁石であって当該第1の移動経路に設けられた当該電磁石が用いられて前記移動体の移動が行われる印刷装置。
【請求項3】
缶体の搬送に用いられる移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路であって、当該第1の移動経路に設けられたリニア機構を用いて当該移動体を移動させる第1の移動経路と、
前記第1の移動経路とは別に設けられ、当該第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路であって、当該第2の移動経路に設けられたリニア機構を用いて当該移動体を移動させる第2の移動経路と、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路の各々とは別に設けられ、当該第1の移動経路および当該第2の移動経路のうちの一方の移動経路から他方の移動経路へ前記移動体を移動させる第3の移動経路であって、エアシリンダ又は循環移動するベルト部材を用いて当該移動体を移動させる第3の移動経路と、
前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
を備え、
前記第3の移動経路は、直線状に形成され、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路のうちの一方の移動経路は、他方の移動経路の上方に配置されている印刷装置。
【請求項4】
前記第3の移動経路は、直線状に形成されるとともに、前記第1の移動経路および前記第2の移動経路に対して略直交する関係で配置されている請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
缶体の搬送に用いられる移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路と、
前記第1の移動経路とは別に設けられ、当該第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路と、
前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路のうちの一方の移動経路から他方の移動経路へ前記移動体を移動させる移動手段と、
を備え、
前記移動手段は、前記移動体を保持し前記第1の移動経路および前記第2の移動経路の延び方向に延びる回転軸を中心に回転する回転体を備え、当該回転体を回転させて、前記一方の移動経路から前記他方の移動経路へ当該移動体を移動させる印刷装置。
【請求項6】(削除)
【請求項7】
缶体の搬送に用いられる移動体と、
前記移動体が移動する第1の移動経路と、
前記第1の移動経路とは別に設けられ、前記移動体が移動する第2の移動経路と、
前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
を備え、
前記第1の移動経路および前記第2の移動経路の少なくとも一方の移動経路は、分岐部にて複数の移動経路に分岐するとともに、当該分岐部よりも下流側の合流部にて合流し、
前記第2の移動経路は、前記第1の移動経路よりも上方に配置され、
前記印刷部による印刷が行われた缶体を加熱する加熱手段を更に備え、
前記印刷部は、前記第1の移動経路に設けられ、
前記加熱手段は、前記第1の移動経路よりも上方に位置する前記第2の移動経路に設けられ、
前記分岐部と前記合流部との間に設けられる前記複数の移動経路は、上下方向における位置が互いにずらされた状態で設けられている、
印刷装置。
【請求項8】
前記第2の移動経路は、前記第1の移動経路の真上から外れた個所に設けられている請求項7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記第2の移動経路は、前記第1の移動経路に並行するように設けられている請求項7乃至8の何れかに記載の印刷装置。
【請求項10】
缶体の搬送に用いられる移動体と、
前記移動体が一方向に移動する際に通る直線状の第1の移動経路であって、当該第1の移動経路に設けられたリニア機構を用いて当該移動体を移動させる第1の移動経路と、
前記第1の移動経路とは別に設けられ、当該第1の移動経路と並行するように配置されるとともに直線状に形成され、前記移動体が前記一方向とは反対方向へ移動する際に通る第2の移動経路であって、当該第2の移動経路に設けられたリニア機構を用いて当該移動体を移動させる第2の移動経路と、
前記第1の移動経路に設けられ、前記移動体により保持されている缶体への印刷を行う印刷部と、
前記第1の移動経路から前記第2の移動経路へ前記移動体を移動させる移動手段と、
を備え、
前記印刷部が設けられた前記第1の移動経路では、駆動源である前記リニア機構が用いられて移動体の移動が行われ、
前記移動手段は、前記第1の移動経路および前記第2の移動経路における前記移動体の移動に用いられる駆動源である前記リニア機構とは異なる駆動源である、エアシリンダ又は循環移動するベルト部材を用いて、当該第1の移動経路から当該第2の移動経路へ当該移動体を移動させる印刷装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2022-11-22 
出願番号 P2017-014603
審決分類 P 1 651・ 55- YAA (B41J)
P 1 651・ 857- YAA (B41J)
P 1 651・ 121- YAA (B41J)
P 1 651・ 113- YAA (B41J)
P 1 651・ 851- YAA (B41J)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 藤田 年彦
特許庁審判官 藤本 義仁
比嘉 翔一
登録日 2020-08-05 
登録番号 6745229
権利者 アルテミラ株式会社
発明の名称 印刷装置  
代理人 古部 次郎  
代理人 古部 次郎  
代理人 水戸 洋介  
代理人 水戸 洋介  

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