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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  F21V
審判 全部申し立て 2項進歩性  F21V
審判 全部申し立て 出願日、優先日、請求日  F21V
管理番号 1393973
総通号数 14 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2023-02-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-04-23 
確定日 2022-11-21 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6777183号発明「照明器具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6777183号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の〔1〜8〕について訂正することを認める。 特許第6777183号の請求項1、6ないし8に係る特許を維持する。 特許第6777183号の請求項2ないし5に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6777183号の請求項1〜8に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成26年2月5日を出願日とする特願2014−20488号(以下、「親出願」という。)の出願の一部を、平成29年12月22日に新たな特許出願として出願された特願2017−246157号(以下、「子出願」という。)の出願の一部を、平成31年3月29日に新たな特許出願としたものであって、令和2年10月12日にその特許権の設定登録がされ、同年10月28日に特許掲載公報が発行された。
本件特許についての特許異議申立人宮崎和幸(以下、「申立人」という。)による本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和3年 4月23日 :特許異議の申立て
同年 6月24日付け:取消理由通知書
同年 9月28日 :特許権者による意見書の提出
同年11月11日付け:取消理由通知書(決定の予告)
令和4年 1月18日 :特許権者による意見書・訂正請求書の提出
同年 4月 7日 :申立人による意見書の提出
同年 6月29日付け:訂正拒絶理由通知書
同年 7月26日 :特許権者による意見書・手続補正書の提出

第2 訂正の適否
特許権者は、令和4年1月18日に訂正請求書を提出し、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求めた(以下、「本件訂正」という。)。
その後、当審からの訂正拒絶理由通知に対して、特許権者は同年7月26日に手続補正書を提出して、訂正請求書及び訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲について補正することを求めた(以下、「本件補正」という。)。
以下に、本件訂正及び本件補正の内容を列挙し、本件補正が訂正書の要旨を変更するものか否かを検討した後、訂正の適否について検討する。

1 本件訂正の内容
本件訂正の内容は以下のとおりである(なお、下線部が訂正箇所である。以下、この項において同様。)。

(1)訂正事項1
訂正前の特許請求の範囲の請求項1の
「発光素子と、
前記発光素子を点灯させる点灯装置と、
を備え、
前記点灯装置は、
点灯回路が設けられた回路基板と、
前記回路基板の周縁に一列に並べて設けられた複数の制御端子から成る制御端子列と、
前記回路基板に設けられ前記点灯回路が出力した電力を前記発光素子に与えるための出力端子と、
を備え、
前記制御端子列は、基準電位端子と制御電源端子と信号端子とを備え、
前記制御電源端子には、前記出力端子から出力される出力電圧とは異なる大きさの制御電源電圧が供給され、
前記信号端子には選択的に接続される複数の接続ユニットに応じた前記点灯回路の制御用の信号が入力され、
前記制御端子列における片側の端に位置する第一端子が、前記基準電位端子または前記制御電源端子である照明器具。」

「発光素子と、
前記発光素子を点灯させる点灯装置と、
を備え、前記点灯装置は、
点灯回路が設けられた回路基板と、
前記回路基板の周縁に一列に並べて設けられた複数の制御端子から成る制御端子列と、
前記回路基板に設けられ前記点灯回路が出力した電力を前記発光素子に与えるための出力部と、
を備え、
前記制御端子列は、基準電位端子と制御電源端子と信号端子とを備え、
前記出力部は、正極出力端子と負極出力端子とを備え、
前記制御電源端子には、前記出力部から出力される出力電圧とは異なる大きさの制御電源電圧が供給され、
前記信号端子には選択的に接続される複数の接続ユニットに応じた前記点灯回路の制御用の信号が入力され、
前記制御端子列における片側の端に位置する第一端子が、前記基準電位端子であり、
前記負極出力端子は前記基準電位端子に隣接し、
前記正極出力端子は前記出力部のうち前記制御端子列と反対側に位置する照明器具。」
に訂正する。
請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項6〜8も同様に訂正する。

(2)訂正事項2
請求項2〜5を削除する。

(3)訂正事項3
請求項6に「請求項1から5のいずれか1項」と記載されているのを「請求項1」に訂正する。
請求項8に「請求項1から7のいずれか1項」と記載されているのを「請求項1、6、7のいずれか1項」に訂正する。

(4)訂正事項4
明細書の段落【0006】に
「本発明にかかる照明器具は、発光素子と、前記発光素子を点灯させる点灯装置と、を備え、前記点灯装置は、点灯回路が設けられた回路基板と、前記回路基板の周縁に一列に並べて設けられた複数の制御端子から成る制御端子列と、前記回路基板に設けられ前記点灯回路が出力した電力を前記発光素子に与えるための出力端子と、を備え、前記制御端子列は、基準電位端子と制御電源端子と信号端子とを備え、前記制御電源端子には、前記出力端子から出力される出力電圧とは異なる大きさの制御電源電圧が供給され、前記信号端子には選択的に接続される複数の接続ユニットに応じた前記点灯回路の制御用の信号が入力され、前記制御端子列における片側の端に位置する第一端子が、前記基準電位端子または前記制御電源端子である。」と記載されているのを、
「本発明にかかる照明器具は、発光素子と、前記発光素子を点灯させる点灯装置と、を備え、前記点灯装置は、点灯回路が設けられた回路基板と、前記回路基板の周縁に一列に並べて設けられた複数の制御端子から成る制御端子列と、前記回路基板に設けられ前記点灯回路が出力した電力を前記発光素子に与えるための出力部と、を備え、前記制御端子列は、基準電位端子と制御電源端子と信号端子とを備え、前記出力部は、正極出力端子と負極出力端子とを備え、前記制御電源端子には、前記出力部から出力される出力電圧とは異なる大きさの制御電源電圧が供給され、前記信号端子には選択的に接続される複数の接続ユニットに応じた前記点灯回路の制御用の信号が入力され、前記制御端子列における片側の端に位置する第一端子が、前記基準電位端子であり、前記負極出力端子は前記基準電位端子に隣接し、前記正極出力端子は前記出力部のうち前記制御端子列と反対側に位置する。」に訂正する。

(5)一群の請求項
本件訂正は、一群の請求項〔1〜8〕に対して請求されたものである。

2 本件補正の内容
本件補正は、訂正事項1及び訂正特許請求の範囲、並びに、訂正事項4及び訂正明細書を補正するものであり、その内容は、以下の(1)、(2)のとおりである(なお、下線部が訂正箇所である。以下、この項において同様。)。

(1)訂正特許請求の範囲の請求項1を
「発光素子と、
前記発光素子を点灯させる点灯装置と、
を備え、前記点灯装置は、
点灯回路が設けられた回路基板と、
前記回路基板の周縁に一列に並べて設けられた複数の制御端子から成る制御端子列と、
前記回路基板に設けられ前記点灯回路が出力した電力を前記発光素子に与えるための出力端子と、
を備え、
前記制御端子列は、基準電位端子と制御電源端子と信号端子とを備え、
前記出力端子は、正極出力端子と負極出力端子とを備え、
前記制御電源端子には、前記出力端子から出力される出力電圧とは異なる大きさの制御電源電圧が供給され、
前記信号端子には選択的に接続される複数の接続ユニットに応じた前記点灯回路の制御用の信号が入力され、
前記制御端子列における片側の端に位置する第一端子が、前記基準電位端子であり、
前記負極出力端子は前記基準電位端子に隣接し、
前記正極出力端子は前記出力端子のうち前記制御端子列と反対側に位置する照明器具。」に補正する。

(2)訂正明細書の段落【0006】を
「本発明にかかる照明器具は、発光素子と、前記発光素子を点灯させる点灯装置と、を備え、前記点灯装置は、点灯回路が設けられた回路基板と、前記回路基板の周縁に一列に並べて設けられた複数の制御端子から成る制御端子列と、前記回路基板に設けられ前記点灯回路が出力した電力を前記発光素子に与えるための出力端子と、を備え、前記制御端子列は、基準電位端子と制御電源端子と信号端子とを備え、前記出力端子は、正極出力端子と負極出力端子とを備え、前記制御電源端子には、前記出力部から出力される出力電圧とは異なる大きさの制御電源電圧が供給され、前記信号端子には選択的に接続される複数の接続ユニットに応じた前記点灯回路の制御用の信号が入力され、前記制御端子列における片側の端に位置する第一端子が、前記基準電位端子であり、前記負極出力端子は前記基準電位端子に隣接し、前記正極出力端子は前記出力端子のうち前記制御端子列と反対側に位置する。」に補正する。

3 補正の適否
本件補正は、訂正事項1、4において、訂正前の「出力端子」を「出力部」に訂正する事項を削除するものであるから、本件補正は、訂正事項を削除するものに該当し、訂正請求書の要旨を変更しないものと認められる。
したがって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第131条の2第1項の規定により、本件補正を認める。

4 訂正の適否
(1)訂正事項1について
上記3で説示したとおり、本件補正は認められるから、訂正事項1の内容は、上記2(1)のとおりである。
そうすると、訂正事項1は、訂正前の請求項1の「出力端子」について、「正極出力端子と負極出力端子とを備え」及び「前記負極出力端子は前記基準電位端子に隣接し、前記正極出力端子は前記出力端子のうち前記制御端子列と反対側に位置す」るとの限定を付加し、訂正前の請求項1の「前記制御端子列における片側の端に位置する第一端子が、前記基準電位端子または前記制御電源端子である」との事項を、「前記制御端子列における片側の端に位置する第一端子が、前記基準電位端子であり」との事項に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
そして、願書に添付した図1(下図参照。)には、出力端子台22の端子として、正極出力端子24と負極出力端子26が設けられ、負極出力端子26と基準電位端子31が隣接し、正極出力端子24と負極出力端子26のうち、正極出力端子24は、基準電位端子31〜制御電源端子36の端子列の反対にあることが記載されていると認められるから、訂正事項1は、新規事項を追加しないものであることは明らかである。

図1


(2)訂正事項2について
訂正事項2は、請求項2〜5を削除するものであるから、特許の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないこと、及び、新規事項を追加しないものであることは明らかである。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項6が引用する請求項を「請求項1から5のいずれか1項」から「請求項1」に限定し、訂正前の請求項8が引用する請求項を「請求項1から7のいずれか1項」から「請求項1、6、7のいずれか1項」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないこと、及び、新規事項を追加しないものであることは明らかである。

(4)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正事項1による請求項1の訂正に合わせて、明細書を訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないことは明らかであり、訂正事項1の内容と実質的に同じ内容のものであるから、上記(1)で説示したとおり、新規事項を追加しないものである。

(5)小括
以上によれば、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜8〕について訂正することを認める。

第3 本件特許
上記第2のとおり本件訂正は認められたから、本件訂正後の本件特許の請求項1〜8に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」〜「本件発明8」という。)は、令和4年7月26日の手続補正書により補正された、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1〜8に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認められる。
「【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子を点灯させる点灯装置と、
を備え、前記点灯装置は、
点灯回路が設けられた回路基板と、
前記回路基板の周縁に一列に並べて設けられた複数の制御端子から成る制御端子列と、
前記回路基板に設けられ前記点灯回路が出力した電力を前記発光素子に与えるための出力端子と、
を備え、
前記制御端子列は、基準電位端子と制御電源端子と信号端子とを備え、
前記出力端子は、正極出力端子と負極出力端子とを備え、
前記制御電源端子には、前記出力端子から出力される出力電圧とは異なる大きさの制御電源電圧が供給され、
前記信号端子には選択的に接続される複数の接続ユニットに応じた前記点灯回路の制御用の信号が入力され、
前記制御端子列における片側の端に位置する第一端子が、前記基準電位端子であり、
前記負極出力端子は前記基準電位端子に隣接し、
前記正極出力端子は前記出力端子のうち前記制御端子列と反対側に位置する照明器具。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
前記点灯回路は、入力直流電圧を前記出力電圧に変換するコンバータ回路を含み、
前記点灯装置は、前記入力直流電圧から前記制御電源電圧を生成するとともに前記制御電源電圧を前記制御電源端子へ与える制御電源生成手段を備える請求項1に記載の照明器具。
【請求項7】
前記制御電源生成手段は、
前記入力直流電圧を前記入力直流電圧とは異なる大きさの前記制御電源電圧に変換するスイッチング電源と、
前記スイッチング電源の出力端と前記制御電源端子とを繋ぐ配線部と、
を備える請求項6に記載の照明器具。
【請求項8】
前記回路基板は、第一長さを持つ長辺と前記第一長さよりも短い短辺とを持ち、
前記制御端子列が、前記回路基板の前記周縁における前記短辺の側の部位に設けられた請求項1、6、7のいずれか1項に記載の照明器具。」

第4 取消理由の概要
訂正前の請求項1〜8に係る特許に対して、令和3年11月11日付けで当審が通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。
1 本件特許出願の出願日
本件特許出願は子出願に対して分割要件を満たさず、子出願は親出願に対して分割要件を満たしていない。
したがって、本件特許出願の出願日は、現実の出願日である平成31年3月29日である。

2 [理由](新規性)本件特許の請求項1〜8に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当する。よって、当該請求項1〜8に係る特許は、同法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(1)刊行物等一覧
甲第8号証:特開2015−149153号公報
(申立人の提出した甲第8号証であり、親出願の公開公報である。以下「甲8」という。)

(2)取消理由の対象となる請求項と刊行物等との対応関係
請求項1〜8:甲8

第5 当審の判断
1 本件特許出願の出願日について
(1)分割要件について
特許出願の分割は、二以上の発明を包含する特許出願(原出願)の一部を新たな特許出願とするものである(特許法第44条第1項柱書)から、適法に分割されたものというためには、以下の(要件1)及び(要件3)が満たされる必要があり、また、分割出願が原出願の時にしたものとみなされる(特許法第44条第2項本文)という特許出願の分割の効果を考慮すると、さらに以下の(要件2)も満たされる必要がある(参考:『特許・実用新案審査基準』第VI部第1章第1節「2.2 特許出願の分割の実体的要件」)。
(要件1)原出願の分割直前の明細書等に記載された発明の全部が分割出願の請求項に係る発明とされたものでないこと。
(要件2)分割出願の明細書等に記載された事項が、原出願の当初明細書等に記載された事項の範囲内であること。
(要件3)分割出願の明細書等に記載された事項が、原出願の分割直前の明細書等に記載された事項の範囲内であること。
なお、上記(要件1)〜(要件3)における「明細書等」は、「願書に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面」を意味し、「当初明細書等」は、「願書に最初に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面」を意味する。また、「願書に最初に添付した明細書」及び同「図面」を、それぞれ「当初明細書」及び「当初図面」とする。以下同様である。

(2)分割出願を原出願とする分割出願の分割要件について
特許出願(親出願)を原出願として分割出願(子出願)をし、さらに子出願を原出願として分割出願(孫出願)をする場合には、以下の(i)から(iii)までの全ての条件を満たすときに、孫出願(本願)を親出願の時にしたものとみなすことができるものといえる(参考:『特許・実用新案審査基準』第VI部第1章第1節「5.1 分割出願を原出願とする分割出願」)。
(i)子出願が親出願に対し分割要件の全てを満たすこと。
(ii)孫出願が子出願に対し分割要件の全てを満たすこと。
(iii)孫出願が親出願に対し分割要件のうちの実体的要件の全てを満たすこと。
なお、上記(iii)の条件において、上記(1)の(要件3)における「原出願の分割直前の明細書等」とは、「親出願から子出願を分割する直前の親出願の明細書等」のことである。

(3)子出願の親出願に対する分割要件
ア 子出願の記載事項等
子出願は平成31年3月5日付けで特許査定され、令和4年4年1月18日に訂正審判(訂正2022−390002号)の請求がされ、同年4月5日付けの審決により、訂正が認められたものである。
そして、その訂正後の特許請求の範囲の請求項1〜5には、以下の事項が記載されている(下線は訂正箇所を表す。)。

「【請求項1】
点灯回路が設けられた外形が長方形の回路基板と、
前記回路基板の長手方向の端部側かつ短手方向の端部側に設けられた制御端子台と、
前記回路基板に設けられ前記点灯回路が出力した電力を発光素子に与えるための出力端子台と、
を備え、
前記出力端子台は、正極出力端子と負極出力端子とを備え、
前記制御端子台は、複数の端子を備え、
前記複数の端子は、
前記短手方向において前記制御端子台の一方の端に位置した基準電位端子と、
前記短手方向において前記制御端子台の他方の端に位置した制御電源端子と、
前記基準電位端子と前記制御電源端子との間に位置し、前記点灯回路の制御を行う信号が入力される入力端子と、
を含み、
前記負極出力端子は前記基準電位端子に隣接し、
前記正極出力端子は前記出力端子台のうち前記制御端子台と反対側に位置する点灯装置。
【請求項2】
点灯回路が設けられた外形が長方形の回路基板と、
前記回路基板の長手方向の端部側かつ短手方向の端部側に設けられた制御端子台と、
前記回路基板に設けられ前記点灯回路が出力した電力を発光素子に与えるための出力端子台と、
を備え、
前記出力端子台は、正極出力端子と負極出力端子とを備え、
前記制御端子台は、複数の端子を備え、
前記複数の端子は、
前記短手方向において前記制御端子台の一方の端に位置した基準電位端子と、
前記短手方向において前記制御端子台の他方の端に位置した制御電源端子と、
前記基準電位端子と前記制御電源端子との間に位置し、前記点灯回路からの信号を出力する出力端子と、
を含み、
前記負極出力端子は前記基準電位端子に隣接し、
前記正極出力端子は前記出力端子台のうち前記制御端子台と反対側に位置する点灯装置。
【請求項3】
前記回路基板の表面に前記点灯回路が設けられ、
前記回路基板の前記表面を覆い且つ前記複数の端子を露出するように前記回路基板に重ねられ、且つ前記制御端子台の上面を覆わないように構築されたカバーを、さらに備える請求項1または2に記載の点灯装置。
【請求項4】
発光モジュールと、
前記発光モジュールに電力を供給する点灯装置と、
を備え、
前記点灯装置は、
点灯回路が設けられた外形が長方形の回路基板と、
前記回路基板の長手方向の端部側かつ短手方向の端部側に設けられた制御端子台と、
前記回路基板に設けられ前記点灯回路が出力した電力を前記発光モジュールに与えるための出力端子台と、
を備え、
前記出力端子台は、正極出力端子と負極出力端子とを備え、
前記制御端子台は、複数の端子を備え、
前記複数の端子は、
前記短手方向において前記制御端子台の一方の端に位置した基準電位端子と、
前記短手方向において前記制御端子台の他方の端に位置した制御電源端子と、
前記基準電位端子と前記制御電源端子との間に位置し、前記点灯回路の制御を行う信号の入力または前記点灯回路からの信号の出力に用いられる信号端子と、
を含み、
前記制御端子台は、前記点灯装置の機能を拡張する接続ユニットの接続を受け入れるように構築され、
前記負極出力端子は前記基準電位端子に隣接し、
前記正極出力端子は前記出力端子台のうち前記制御端子台と反対側に位置する照明器具。
【請求項5】
発光モジュールと、
前記発光モジュールに電力を供給する点灯装置と、
を備え、
前記点灯装置は、
点灯回路が設けられた外形が長方形の回路基板と、
前記回路基板の長手方向の端部側かつ短手方向の端部側に設けられた制御端子台と、
前記回路基板に設けられ前記点灯回路が出力した電力を前記発光モジュールに与えるための出力端子台と、
を備え、
前記出力端子台は、正極出力端子と負極出力端子とを備え、
前記制御端子台は、複数の端子を備え、
前記複数の端子は、
前記短手方向において前記制御端子台の一方の端に位置した基準電位端子と、
前記短手方向において前記制御端子台の他方の端に位置した制御電源端子と、
前記基準電位端子と前記制御電源端子との間に位置し、前記点灯回路の制御を行う信号の入力または前記点灯回路からの信号の出力に用いられる信号端子と、
を含み、
前記制御端子台に接続される接続ユニットをさらに備え、
前記負極出力端子は前記基準電位端子に隣接し、
前記正極出力端子は前記出力端子台のうち前記制御端子台と反対側に位置する照明器具。」

イ 親出願の記載事項等
(ア)親出願の当初明細書等について
親出願の当初明細書等の図1(下図参照。)には、出力端子台22に、正極出力端子24と負極出力端子26が設けられ、制御端子台30には、一方の端に基準電位端子31、他方の端に制御電源端子36が設けられ、基準電位端子31と制御電源端子36の間に入力端子33が設けられ、負極出力端子26と基準電位端子31が隣接し、正極出力端子24と負極出力端子26のうち、正極出力端子24は、基準電位端子31〜制御電源端子36の端子列の反対にあることが記載されていると認められる。

図1

(イ)親出願の明細書等について
親出願は、平成29年11月24日付けで特許査定をされ、平成30年1月12日にその特許権が設定登録され、同年1月31日に特許掲載公報が発行されたものであるところ、その特許の請求項1〜6に係る発明は、以下に記載された事項のとおりである。

「【請求項1】
点灯回路が設けられた外形が長方形の回路基板と、
前記回路基板の表面における短辺側の端部に設けられた出力端子台と、
前記回路基板の前記表面における前記出力端子台の隣に設けられた制御端子台と、
を備え、
前記出力端子台は、前記点灯回路の出力側と接続した正極出力端子および負極出力端子を備え、
前記制御端子台は、複数の端子を備え、
前記正極出力端子および前記負極出力端子のうち、前記負極出力端子が前記制御端子台の側に位置し、前記正極出力端子が前記制御端子台の側とは反対の側に位置し、
前記複数の端子は、前記負極出力端子と隣り合うように前記出力端子台の側の端に位置した基準電位端子と、前記出力端子台の側とは反対の側に位置する他の端子と、を含む点灯装置。
【請求項2】
前記点灯回路は、制御電源を供給する制御電源回路を含み、
前記制御端子台が備える前記複数の端子は、前記制御電源を出力する制御電源端子を含む請求項1に記載の点灯装置。
【請求項3】
前記点灯回路は、制御回路を含み、
前記複数の端子は、前記制御回路に対して信号を入力するための入力端子および前記制御回路からの信号を出力するための出力端子のうち少なくとも一方を含む請求項1または2に記載の点灯装置。
【請求項4】
前記点灯回路は、制御回路を含み、
前記回路基板の表面を覆いつつ前記回路基板の端部を覆わないカバーを備え、
前記複数の端子は、前記制御回路とアクセスして書き込みを行うための書込端子を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の点灯装置。
【請求項5】
発光モジュールと、
点灯装置と、
を備え、
前記点灯装置は、
点灯回路が設けられた外形が長方形の回路基板と、
前記回路基板の表面における短辺側の端部に設けられた出力端子台と、
前記回路基板の前記表面における前記出力端子台の隣に設けられた制御端子台と、
を備え、
前記出力端子台は、前記点灯回路の出力側と接続した正極出力端子および負極出力端子を備え、
前記制御端子台は、複数の端子を備え、
前記正極出力端子および前記負極出力端子のうち、前記負極出力端子が前記制御端子台の側に位置し、前記正極出力端子が前記制御端子台の側とは反対の側に位置し、
前記複数の端子は、前記負極出力端子と隣り合うように前記出力端子台の側の端に位置した基準電位端子と、前記出力端子台の側とは反対の側に位置する他の端子と、を含む直管型照明器具。
【請求項6】
前記制御端子台が有する前記複数の端子と接続する接続ユニットを備える請求項5に記載の照明器具。」

ウ 判断
(ア)取消理由通知書で指摘した分割要件違反は、端子の配置に関するものであり、子出願の明細書等に記載された事項(例えば、特許請求の範囲の請求項1)では、親出願の当初明細書等に記載も示唆もない、端子の配置を含むものであるところ、上記アで示したとおり、子出願の特許請求の範囲の請求項1〜5(及び、該請求項1〜5に整合するために、明細書の【課題を解決するための手段】(段落【0006】〜【0009】))が訂正審判の審決により訂正され、その端子の配置は、上記イで示した親出願の当初明細書等に記載された端子の配置と整合するから、親出願の当初明細書等に記載された事項の範囲内である。
よって、子出願は親出願に対する分割要件のうち、上記(1)の(要件2)を満たすと認められる。

(イ)子出願の明細書等に記載された発明(上記ア)は、親出願の明細書等に記載された発明の全部ではないことから、子出願は親出願に対する分割要件のうち、上記(1)の(要件1)を満たすのは明らかである。

(ウ)子出願は、親出願の特許査定の謄本の送達があった日(平成29年12月5日)から30日以内の同年12月22日に分割出願されたものであり、親出願は、特許査定をされるまでに、図1の補正はないことから、上記(ア)で説示したのと同様の理由により、子出願の明細書等に記載された事項は、分割直前の親出願の明細書等に記載された事項の範囲内であるのは明らかである。
よって、子出願は親出願に対する分割要件のうち、上記(1)の(要件3)も満たすと認められる。

(エ)以上によれば、子出願は親出願に対して分割要件を満たすと認められる。

(4)本件特許出願の子出願に対する分割要件
ア 本件特許出願の記載事項等
本件特許の特許請求の範囲の記載は上記「第3 本件特許」に記載したとおりである。

イ 子出願の記載事項等
子出願の当初明細書等の図1(下図参照。)には、出力端子台22の端子として、正極出力端子24と負極出力端子26が設けられ、負極出力端子26と基準電位端子31が隣接し、正極出力端子24と負極出力端子26のうち、正極出力端子24は、基準電位端子31〜制御電源端子36の端子列の反対にあることが記載されていると認められる。

図1


ウ 判断
(ア)取消理由通知書で指摘した分割要件違反は、端子の配置に関するものであり、本件特許出願の明細書等に記載された事項(例えば、特許請求の範囲の請求項1)では、子出願の当初明細書等に記載も示唆もない、端子の配置を含むものであるところ、上記第3で示したとおり、本件特許出願の特許請求の範囲の請求項1〜8等が訂正され、その端子の配置は、上記イで示した子出願の当初明細書等に記載された端子の配置と整合するから、子出願の当初明細書等に記載された事項の範囲内である。
よって、本件特許出願は子出願に対する分割要件のうち、上記(1)の(要件2)を満たすと認められる。

(イ)本件発明1、6〜8は、子出願の明細書等に記載された発明の全部ではないから、本件特許出願は子出願に対する分割要件のうち、上記(1)の(要件1)を満たすのは明らかである。

(ウ)本件特許出願は、子出願の特許査定の謄本の送達があった日(平成31年3月12日)から30日以内の同年3月29日に分割出願されたものであり、子出願は、特許査定をされるまでに、図1の補正ないことから、上記(ア)で説示したのと同様の理由により、本件特許出願の明細書等に記載された事項は、分割直前の子出願の明細書等に記載された事項の範囲内であることは明らかである。
よって、本件特許出願は子出願に対する分割要件のうち、上記(1)の(要件3)を満たすと認められる。

(エ)以上によれば、本件特許出願は子出願に対して分割要件を満たすと認められる。

(5)本件特許出願の親出願に対する分割要件
ア 親出願の当初明細書等の図1は、子出願の当初明細書等の図1と同じであるから、上記(4)ウ(ア)で説示したのと同様の理由により、本件特許出願の明細書等に記載された事項は、親出願の当初明細書等に記載された事項の範囲内であるのは明らかである。
よって、本件特許出願は親出願に対する分割要件のうち、上記(1)の(要件2)を満たすのは明らかである。

イ 本件発明1、6〜8は、親出願の明細書等に記載された発明の全部ではないから、本件特許出願は親出願に対する分割要件のうち、上記(1)の(要件1)を満たすのは明らかである。

ウ 子出願の分割直前の親出願の明細書等の図1は、子出願の当初明細書等の図1と同じであるから、上記(4)ウ(ア)で説示したのと同様の理由により、本件特許出願の明細書等に記載された事項は、子出願の分割直前の親出願の明細書等に記載された事項の範囲内であることは明らかである。
よって、本件特許出願は子出願に対する分割要件のうち、上記(1)の(要件3)を満たすと認められる。

(エ)以上によれば、本件特許出願は親出願に対して分割要件を満たすと認められる。

(6)小括
上記(3)〜(5)のとおり、本件特許出願は子出願に対して分割要件を満たし、子出願は親出願に対して分割要件を満たし、本件特許出願は親出願に対して分割要件を満たすから、上記(2)の(i)から(iii)までの全ての条件を満たす。
したがって、本件特許出願の出願日は、親出願の出願日である平成26年2月5日である。

2 [理由](新規性)について
上記1(6)で説示したとおり、本件特許出願の出願日は、親出願の出願日である平成26年2月5日であり、親出願の公開公報である甲8の公開日は、平成27年8月20日であって、本件特許出願の出願日より後である。
したがって、甲8に記載された発明に基づく、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由に理由がないことは明らかである。

(4)まとめ
以上のとおりであるから、本件請求項1、6〜8に係る特許は、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由によっては取り消されるべきものではない。

第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立理由の内容
申立人は、特許異議申立書において、訂正前の特許請求の範囲の請求項1〜8に係る発明(以下、それぞれ、「本件訂正前発明1」〜「本件訂正前発明8」という。)について、以下の(1)を主張する。
なお、以下のとおり、申立人が提出した「甲第1号証」〜「甲第7号証」は、それぞれ、「甲1」〜「甲7」ともいう。

[証拠一覧]
甲1:国際公開第2013/150443号
甲3:米国特許第6211626号明細書
甲4:特開2012−133985号公報
甲5:特開2011−9080号公報
甲6:特開2008−282823号公報
甲7:特開2013−219050号公報

(1)特許異議申立理由
本件訂正前発明1〜5、8は、甲1に記載された発明及び甲3〜5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
本件訂正前発明6は、甲1に記載された発明及び甲3〜6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
本件訂正前発明7は、甲1に記載された発明及び甲3〜7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

2 各甲号証の記載事項等
(1)甲1について
ア 記載事項
甲1には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は当審が付与。以下同様。)。

「[0001]
本発明は、全体として、LED光源のドライバ回路を対象とする。より詳細には、本明細書で開示される様々な発明の方法及び装置は、LEDドライバの入力を利用した、当該LEDドライバの少なくとも1つのプロセッサの外部プログラミングに関する。」

「[0032]
LEDベースの照明器具のある実施態様では、複数のLEDに電力を供給するLEDドライバのプロセッサのソフトウェアを更新する能力が備わっていることが望ましい。・・・」

「[0034]
図1を参照して、LEDドライバ10の実施例を示す。LEDドライバ10は、LEDドライバハウジング20を含み、LEDドライバハウジング20は、メイン電源5をLED光源を駆動するのに適した改良出力に変換するための、複数のLEDドライバ構成要素を含む。LEDドライバ構成要素は、例えば、LEDドライバのパワートレインのAC/DCコンバータ及びDC/DCコンバータを含んでよく、これらは全体として、LED光源に供給するために、メイン電源5を改良する。また、LEDドライバ構成要素は、例えば、図2及び図3に示される、プロセッサ30、マルチプレクサ構成要素50及び55、ダイオード62、並びに/又はキャパシタ64を含んでよい。
[0035]
メイン電源5は、メインホット入力21A及びメインニュートラル入力21Bを有するメイン電源入力21を介して、LEDドライバ10に供給される。いくつかの実施例では、更にメイン接地入力が供給される。LED光源を駆動するための改良出力は、正極DC出力23A及び負極DC出力23Bを有する、DC出力23を通じて供給される。調光入力24は、調光正極入力24A及び調光負極入力24Bを通じて、LEDドライバ10に供給される。DC出力23は、DC出力23に接続されるLED光源の調光を達成するために、調光入力24を通じて供給される電圧の変化に応じて調節される。例えば、調光入力24を通じて供給される電圧の変化に応じて、DC出力23の平均電流を調整することができる。調光正極入力24A及び調光負極入力24Bはプロセッサ30に結合することができ、プロセッサ30は、調光正極入力24A及び調光負極入力24Bを介して受信された入力に基づく適切な調光を達成するために、他のドライバ構成要素(例えばパワートレイン)の1以上の特性を調節することができる。他の実施例では、調光ホット入力24A及び調光ニュートラル入力24Bは、調光を達成するために、他のコントローラ又は他のLEDドライバ構成要素に直接結合されてもよい。
[0036]
更に、ネットワーク通信入力25を介して、LEDドライバ10にネットワーク通信が供給されてもよい。ネットワーク通信入力25は、ネットワーク通信の受信及び/又は送信を可能にする。例えば、ネットワーク通信入力25は、DALIプロトコルを利用した通信用に供給されてよい。ネットワーク通信を実施する他の実施例では、他のネットワーク通信プロトコル及び/又は通信媒体を用いてもよい。例えば、通信媒体は、例えばツイストペア同軸ケーブル、光ファイバを含む任意の物理的媒体又は、例えば赤外線、マイクロ波、若しくは符号化された可視光線伝送を用いた無線リンクと、ネットワーク内通信を達成するための任意の適切な送信器、受信器、若しくはトランシーバと、を含み得る。また、例えば、通信プロトコルは、任意の適切なデータ送信のプロトコルを含んでよく、例えばTCP/IP、イーサネット(登録商標)のバリエーション、ユニバーサル・シリアル・バス、Bluetooth(登録商標)、FireWire(登録商標)、ZIGBEE(登録商標)、DMX、DALI、802.11b、802.11a、802.11g、トークンリング、トークンバス、シリアルバス、メイン電源線若しくは低圧電源線を通じた電力線ネットワーキング、及び/又は他の適切な無線若しくは有線のプロトコルが含まれる。ネットワーク通信入力25は、プロセッサ30に結合することができ、プロセッサ30は、ネットワーク通信ワイヤ25を介して受信された入力に基づく、取り付けられたLED光源の適切な制御を達成するために、他のドライバ構成要素の1以上の特性を調節することができる。例えば、ネットワーク通信ワイヤ25を介して、望まれる照明シーンの態様が送信され、プロセッサ30は、当該照明シーンの態様を達成するために、DC出力23のパラメータを調節することができる。
[0037]
更に、制御入力22A乃至22Cを介して、LEDドライバ10に制御入力22が供給される。制御入力22Aは、コモン又は接地入力であってよく、制御入力22B及び22Cは外部センサ入力であってよい。例えば、いくつかの実施例では、制御入力22Cは駆動されるLED光源の公称電流を示すアナログ信号を供給するアナログ入力であってよく、及び/又は、制御入力22Bは駆動されるLED光源で感知された温度を示すアナログ信号を供給するアナログ入力であってよい。制御入力ワイヤ22A乃至22Cは、プロセッサ30に結合することができ、プロセッサ30は、制御入力ワイヤ22B及び/又は22Cを介して受信された信号に基づき、他のドライバ構成要素の1以上の特性を調節することができる。例えば、プロセッサ30は、駆動されるLED光源での温度を、最大値を下回って維持しようと試みるために、制御入力22Bを介して受信された高温の測定値に基づき、DC出力23を減少させることができる。本明細書で、特定の入力を具備する特定のLEDドライバ10が例示され説明されたが、本開示を利用できた当業者であれば、本明細書で説明される方法及び/又は装置によって、様々な内部LEDドライバ構成要素並びに様々なLEDドライバの入力及び/又は出力を実施する様々なLEDドライバ構成は、LEDドライバの少なくとも1つのプロセッサの外部プログラミングを組み込むことができることを、認識し理解するであろう。」


イ 甲1の記載から認められること
(ア)[0032]の記載によれば、照明器具は、LEDとLEDに電力を供給するLEDドライバ10とを備えることが認められる。

(イ)[0034]の記載によれば、LEDドライバ10は、複数のLEDドライバ構成要素を含むLEDドライバハウジング20を備えることが認められる。

(ウ)[0035]〜[0036]及び図1の記載によれば、LEDドライバ10は、LEDドライバハウジング20の長手方向の一端に、制御入力22、LEDを駆動するための改良出力をLEDに供給するDC出力23、調光入力24及びネットワーク通信入力25を、この順で並んで備えること、及び、制御入力22は、コモン又は接地入力である制御入力22Aと、外部センサから信号が入力される制御入力22B及び22Cとを有し、DC出力23は、正極DC出力23A及び負極DC出力23Bを有し、調光入力24は、調光正極入力24A及び調光負極入力24Bを有し、制御入力22Aは、制御入力22の一番外側に位置し、負極DC出力23Bは、制御入力22Cに隣接し、正極DC出力23Aは、調光正極入力24Aに隣接することが認められる。

ウ 甲1発明
上記イ(ア)〜(ウ)を総合すると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

「LEDと、
LEDに電力を供給するLEDドライバ10とを備え、
LEDドライバ10は、
複数のLEDドライバ構成要素を含むLEDドライバハウジング20と、
LEDドライバハウジング20の長手方向の一端に、制御入力22、LEDを駆動するための改良出力をLEDに供給するDC出力23、調光入力24及びネットワーク通信入力25を、この順で並んで備え、
制御入力22は、コモン又は接地入力である制御入力22Aと、外部センサから信号が入力される制御入力22B及び22Cとを有し、
DC出力23は、正極DC出力23A及び負極DC出力23Bを有し、
調光入力24は、調光正極入力24A及び調光負極入力24Bを有し、
制御入力22Aは、制御入力22の一番外側に位置し、
負極DC出力23Bは、制御入力22Cに隣接し、
正極DC出力23Aは、調光正極入力24Aに隣接する照明器具。」

3 対比・判断
(1)本件発明1について
ア 対比
(ア)本件発明1と甲1発明とを対比すると、後者の「LED」は、その機能や構造からみて、前者の「発光素子」に相当し、以下同様に、「LEDドライバ10」は「点灯装置」に、「制御入力22」、「調光入力24」及び「ネットワーク通信入力25」は「複数の制御端子」及び「信号端子」に、「DC出力23」は「出力端子」に、「制御入力22A」は「基準電位端子」に、「正極DC出力23A」は「正極出力端子」に、「負極DC出力23B」は「負極出力端子」に、「外部センサ」は「接続ユニット」に、「照明器具」は「照明器具」に、それぞれ相当する。

(イ)上記(ア)を参照すると、後者の「LEDに電力を供給するLEDドライバ10」は、前者の「前記発光素子を点灯させる点灯装置」に相当し、後者の「制御入力22、」「調光入力24及びネットワーク通信入力25を、この順で並ん」だものは、前者の「並べて設けられた複数の制御端子から成る制御端子列」に相当し、後者の「DC出力23は、正極DC出力23A及び負極DC出力23Bを有」することは、前者の「前記出力端子は、正極出力端子と負極出力端子とを備え」ることに相当し、後者の「制御入力22Aは、制御入力22の一番外側に位置」することは、前者の「前記制御端子列における片側の端に位置する第一端子が、前記基準電位端子であ」ることに相当する。

(ウ)上記(ア)及び(イ)を参照すると、後者の「LEDドライバハウジング20の長手方向の一端に、制御入力22、」「調光入力24及びネットワーク通信入力25を、この順で並んで備え」ることは、前者の「前記回路基板の周縁に一列に並べて設けられた複数の制御端子から成る制御端子列」「を備え」ることと、「並べて設けられた複数の制御端子から成る制御端子列を備え」るという点で共通する。

(エ)後者の「LEDを駆動するための改良出力をLEDに供給するDC出力23」は、前者の「前記回路基板に設けられ前記点灯回路が出力した電力を前記発光素子に与えるための出力端子」と、「電力を前記発光素子に与えるための出力端子」という点で共通する。

(オ)後者の「制御入力22は、コモン又は接地入力である制御入力22Aと、」「制御入力22B及び22Cとを有し、調光入力24は、調光正極入力24A及び調光負極入力24Bを有」することは、前者の「前記制御端子列は、基準電位端子と制御電源端子と信号端子とを備え」ることと、「前記制御端子列は、基準電位端子と信号端子とを備え」るという点で共通する。

(カ)後者の「制御入力22B及び22C」が「外部センサからの信号が入力される」ことは、前者の「前記信号端子には選択的に接続される複数の接続ユニットに応じた前記点灯回路の制御用の信号が入力され」ることと、「前記信号端子には複数の接続ユニットに応じた信号が入力され」るという点で共通する。

以上によれば、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。

<一致点>
「発光素子と、
前記発光素子を点灯させる点灯装置と、
を備え、前記点灯装置は、
並べて設けられた複数の制御端子から成る制御端子列と、
電力を前記発光素子に与えるための出力端子と、
を備え、
前記制御端子列は、基準電位端子と信号端子とを備え、
前記出力端子は、正極出力端子と負極出力端子とを備え、
前記信号端子には複数の接続ユニットに応じた信号が入力され、
前記制御端子列における片側の端に位置する第一端子が、前記基準電位端子である照明器具。」

<相違点1>
本件発明1では、前記点灯装置は、「点灯回路が設けられた回路基板」と、「前記回路基板の周縁に一列に」並べて設けられた複数の制御端子から成る制御端子列と、「前記回路基板に設けられ前記点灯回路が出力した」電力を前記発光素子に与えるための出力端子と、を備えるのに対し、甲1発明では、複数のLEDドライバ構成要素と、制御入力22、調光入力24及びネットワーク通信入力25と、LEDを駆動するための改良出力をLEDに供給するDC出力23とを備えるが、複数のLEDドライバ構成要素が回路基板に設けられているか不明であり、制御入力22、調光入力24及びネットワーク通信入力25が回路基板の周縁に設けられているかも不明である点。

<相違点2>
本件発明1では、前記制御端子列は、基準電位端子と「制御電源端子」と信号端子とを備え、「前記制御電源端子には、前記出力端子から出力される出力電圧とは異なる大きさの制御電源電圧が供給され」、前記信号端子には「選択的に接続される」複数の接続ユニットに応じた「前記点灯回路の制御用の」信号が入力されるのに対し、甲1発明では、制御入力22は、コモン又は接地入力である制御入力22Aと、制御入力22B及び22Cとを有し、制御入力22B及び22Cは、外部センサから信号を入力される点。

<相違点3>
本件発明1では、前記負極出力端子は「前記基準電位端子に隣接」し、前記正極出力端子は「前記出力端子のうち前記制御端子列と反対側に位置する」のに対し、甲1発明では、負極DC出力23Bは、制御入力22Cに隣接し、正極DC出力23Aは、調光正極入力24Aに隣接する点。

イ 相違点についての判断
事案に鑑み、相違点3について検討する。
甲1発明は、制御入力22、DC出力23、調光入力24及びネットワーク通信入力25を、この順で並んで備え、DC出力23が、正極DC出力23A及び負極DC出力23Bを有し、制御入力22Aが、制御入力22の一番外側に位置するものであるから、相違点3に係る本件発明1の構成とするためには、制御入力22とDC出力23の位置を入れ替えた上で、正極DC出力23Aと負極DC出力23Bの位置を入れ替えて、負極DC出力23Bの位置を制御入力22A側にすることが必要であるところ、そのようなことは、甲1には記載も示唆もない。
そして、相違点3に係る本件発明1の構成について、甲3〜甲7には、記載も示唆もなく、LED照明器具において、相違点3に係る本件発明1の構成とすることが、技術常識又は周知技術であると認めるに足る証拠もない。
よって、甲1発明において、相違点3に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものであるとは認められない。
そうすると、相違点1、2を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲3〜甲7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)本件発明2〜5について
上記第3で示したように、本件発明2〜5は、本件訂正により削除された。

(3)本件発明6〜8について
本件発明6〜8は、本件発明1の全ての構成を含み、かつ、更に限定を加えたものであるから、上記(1)イで説示したのと同様の理由により、甲1発明及び甲3〜甲7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由及び証拠によっては、本件請求項1、6〜8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1、6〜8に係る特許を取り消すべき理由を発見できない。
そして、請求項2〜5に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項2〜5に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】 照明器具
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特開平8−330044号公報に開示されているように、蛍光ランプ用照明器具に組み込まれ、長方形の外形を有しその端部に外部との接続用の端子台を設けた点灯装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−330044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、蛍光ランプなどよりも省エネな発光ダイオード素子(LED素子)を発光素子として搭載した照明器具が普及してきている。LED素子を備える照明器具においても、蛍光ランプを用いる従来の長尺ないわゆる直管型照明器具と同じような、長尺な外形を有する商品がラインアップされている。本願発明者は、点灯装置の内部に設けられたLED制御回路の機能拡張などの観点から、追加的な接続ユニットを接続したいというニーズがあり、そのための制御端子台を設けるという新規な着想を得た。回路基板の端部に制御端子台を追加して接続ユニットとの接続を受け入れる場合には、制御端子台のうち信号伝送などを担う端子についての耐ノイズ性を向上することが好ましい。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、耐ノイズ性が向上するように改善された照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる照明器具は、
発光素子と、
前記発光素子を点灯させる点灯装置と、
を備え、
前記点灯装置は、
点灯回路が設けられた回路基板と、
前記回路基板の周縁に一列に並べて設けられた複数の制御端子から成る制御端子列と、
前記回路基板に設けられ前記点灯回路が出力した電力を前記発光素子に与えるための出力端子と、
を備え、
前記制御端子列は、基準電位端子と制御電源端子と信号端子とを備え、
前記出力端子は、正極出力端子と負極出力端子とを備え、
前記制御電源端子には、前記出力端子から出力される出力電圧とは異なる大きさの制御電源電圧が供給され、
前記信号端子には選択的に接続される複数の接続ユニットに応じた前記点灯回路の制御用の信号が入力され、
前記制御端子列における片側の端に位置する第一端子が、前記基準電位端子であり、
前記負極出力端子は前記基準電位端子に隣接し、
前記正極出力端子は前記出力端子のうち前記制御端子列と反対側に位置する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、制御端子台における片側の端に基準電位端子または制御電源端子が配置されることにより、当該片側の端において信号端子をノイズから保護することができるので、耐ノイズ性を向上できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態にかかる点灯装置を示す側面図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる点灯装置を示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる点灯装置およびこれを備えた照明器具を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の実施の形態にかかる点灯装置10を示す側面図であり、図2はその平面図である。点灯装置10は、図1の奥行き方向に伸びる外形が長方形の部品である。図3は、本発明の実施の形態にかかる点灯装置10およびこれを備えた照明器具1を示す回路図である。照明器具1は直管型であり(なお、LEDモジュール80および照明器具1の機械的構造の図示は省略する)、従来の直管型蛍光灯と同様に外形が細長い長方形のLEDモジュール80と、これと同じく外形が細長い長方形の点灯装置10とを備えている。LEDモジュール80には複数の発光ダイオード素子(LED素子)が一方向に並べられ、それら複数のLED素子は互いに電気的に直列接続、並列接続あるいは直並列接続される。図1に示すように、点灯装置10は、回路基板20と、これを挟み込む上カバー11および下カバー14を備えている。図2の平面図に示すように、照明器具1は、外形が長方形の回路基板20を備えている。上カバー11は、図2に示すように回路基板20の表面を覆いつつ回路基板20の端部を覆わない。一方、下カバー14は、回路基板20と同じ長さ寸法を有している。
【0010】
回路基板20には、図3に記載された昇圧チョッパ回路41およびバックコンバータ回路42を含む各種回路が設けられており、すなわちこれらの回路はLEDモジュール80を点灯させるための点灯回路である。回路基板20の表面における一方の短辺20c側の端部には、入力端子台12が設けられている。回路基板20の表面における他方の短辺20d側の端部には、出力端子台22および制御端子台30が並んで設けられている。図1の側面図に示すように、出力端子台22は回路基板20の平面方向に並ぶ正極出力端子24および負極出力端子26を備えており、これらの端子はバックコンバータ回路42の出力側と接続している。正極出力端子24および負極出力端子26はLEDモジュール80に接続すべき端子である。制御端子台30は、回路基板20の平面方向に並んだ複数の端子31〜36を備える。回路基板20の平面方向に、正極出力端子24、負極出力端子26、複数の端子31〜36がこの順に並んでいる。
【0011】
複数の端子31〜36は、グランドに接続される基準電位端子31と、LED制御回路70からの信号を外部に出力するための出力端子32と、LED制御回路70に対して外部からの信号を入力するための入力端子33と、LED制御回路70内のフラッシュメモリとアクセスして書き込みを行うための書込端子34と、LED制御回路70と接続するリセット端子35と、制御電源電圧VCCを出力する制御電源端子36とを備えている。図1に示すように基準電位端子31は負極出力端子26と隣り合うように出力端子台22の側の端に位置しており、複数の端子31〜36のうち最も負極出力端子26の近くに配置されている。正極出力端子22と負極出力端子26のうち負極出力端子26が、制御端子台30の側に位置している。基準電位端子31は、負極出力端子26と隣り合うように、出力端子台22側の制御端子台30の端に配置されている。上カバー11を取り外さなくとも書込端子34を介してLED制御回路70の内部のメモリ(典型的にはフラッシュメモリ)にアクセスして書き込みを行うことができる。
【0012】
点灯装置10によれば、出力端子台22と制御端子台30を近づけて小型化を図っても、安全性を保つことができる。すなわち、仮に、本実施の形態とは異なり、正極出力端子24を制御端子台30側に配置するとともに、複数の端子31〜36のうち基準電位端子31以外の端子を出力端子台22側に配置したとする。この場合には高電圧の正極出力端子24と信号伝送を担う出力端子32などの端子とが近接してしまうので安全性および耐ノイズ性を確保するために端子台同士をある程度遠ざけることが考えられる。しかし、その場合には回路基板20の面積増大が必要となり点灯装置の小型化が困難となる。この点、本実施の形態にかかる点灯装置10によれば、負極出力端子26と基準電位端子31とが隣り合うように出力端子台22と制御端子台30を配置したので、外形が長方形の回路基板20上における限られたスペースにおいて端子台22、30同士を近づけて小型化を図っても安全性および耐ノイズ性を保つことができる。
【0013】
図3の回路図に示すように、点灯装置10は、スイッチ51を介して正極入力端子12aおよび負極入力端子12bに接続するダイオードブリッジである整流回路52と、整流回路52の出力端に接続する突入電流防止回路53と、昇圧チョッパ回路41と、バックコンバータ回路42とを備えている。点灯装置10は、さらに、パワーデバイスで構成され制御電源電圧VCCを生成するスイッチング電源58、降圧回路59、スイッチング素子56、57のゲートに接続したMOSFETドライバ60、ダイオードD2、コンデンサC3、およびLED電流を検出する抵抗R4を備えている。正極入力端子12aおよび負極入力端子12bは交流電源Vacに接続され、これらの回路を用いて交流電源VacからLEDモジュール80の電源が生成される。
【0014】
昇圧チョッパ回路41は、突入電流防止回路53を介して一端が整流回路52の高電位側に接続されるインダクタ54と、このインダクタ54の他端に接続されるMOSFETであるスイッチング素子56と、アノード端子がスイッチング素子56とインダクタ54との接続点に接続されるダイオードD1と、このダイオードD1のカソード端子に正極が接続され整流回路52の低電位側に負極が接続される平滑コンデンサC1と、この平滑コンデンサC1に並列に接続される抵抗R1、R3の直列回路と、スイッチング素子56に直列に接続された抵抗R2とを備えている。平滑コンデンサC1の両端電圧が抵抗R1、R3を用いて分圧されLED制御回路70に入力される。スイッチング素子56の電流に比例する抵抗R2の電圧値も、LED制御回路70に入力される。LED制御回路70は、これらの入力値に基づいてスイッチング素子56をオンオフするための信号をMOSFETドライバ60に入力する。LED制御回路70からの制御信号に従って、MOSFETドライバ60はスイッチング素子56のゲートに駆動信号を与える。
【0015】
バックコンバータ回路42はMOSFETからなるスイッチング素子57とダイオードD3の直列回路を備えており、この直列回路が昇圧チョッパ回路41の平滑コンデンサC1と並列に接続されている。バックコンバータ回路42は、チョークコイルL1、平滑コンデンサC2、および抵抗R4の直列回路を備えており、この直列回路がダイオードD3に並列に接続されている。抵抗R4は、LEDモジュール80に流れるLED電流を検出するためのものである。バックコンバータ回路42は、いわゆる非絶縁型の降圧コンバータである。LED電流を検出する抵抗R4からの検出電圧がLED制御回路70に入力され、LED制御回路70はこの検出電圧に基づいて、LED素子に流れる電流が一定電流になるようにバックコンバータ回路42のスイッチング素子57をオンオフする。
【0016】
負極出力端子26は配線62および電流検出抵抗R4を介してグランドに接続している。基準電位端子31は配線64を介して配線62に接続することで接続している。本実施の形態ではこの配線62、64を極力近づけるように、負極出力端子26および基準電位端子31を近接させている。なお、制御端子台30が備える複数の端子31〜36は、それぞれ、回路基板20に設けた配線パターンと接続することで点灯装置10の各回路に電気的に接続している。つまりフォトカプラなどの高価な絶縁部品を使用して点灯装置10の外部との信号伝送を行うものではない。
【0017】
図3には、接続ユニット100も図示されている。接続ユニット100は、制御端子台30を介して複数の端子31〜36と接続可能に構成されており、点灯装置10およびこれを備えた照明器具1の機能を拡張することができる。一例としては、接続ユニット100は、人の存在を検知する人感センサとすることができる。人感センサとしての接続ユニット100は、その内部回路が基準電位端子31を介してグランドに接続され、制御電源端子36から電源の供給を受け、入力端子33を介してセンサ信号をLED制御回路70に入力する。LED制御回路70は、人感センサとしての接続ユニット100による検知結果に基づいて点灯制御を行う。ただし本発明はこれに限られるものではなく、人検知以外の各種の拡張機能を実現するために様々な機能を備えた接続ユニット100を準備すればよく、これにより取付工事をした後などの事後的な場面において、点灯装置10および照明器具1の機能拡張が容易となる。
【符号の説明】
【0018】
1 照明器具、10 点灯装置、11 上カバー、12 入力端子台、12a 正極入力端子、12b 負極入力端子、14 下カバー、20 回路基板、20a、20b 長辺、20c、20d 短辺、22 出力端子台、24 正極出力端子、26 負極出力端子、30 制御端子台、31 基準電位端子、32 出力端子、33 入力端子、34 書込端子、35 リセット端子、36 制御電源端子、41 昇圧チョッパ回路、42 バックコンバータ回路、51 スイッチ、52 整流回路、53 突入電流防止回路、54 インダクタ、56、57 スイッチング素子、58 スイッチング電源、59 降圧回路、60 MOSFETドライバ、62、64 配線、70 LED制御回路、80 LEDモジュール、100 接続ユニット
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子を点灯させる点灯装置と、
を備え、
前記点灯装置は、
点灯回路が設けられた回路基板と、
前記回路基板の周縁に一列に並べて設けられた複数の制御端子から成る制御端子列と、
前記回路基板に設けられ前記点灯回路が出力した電力を前記発光素子に与えるための出力端子と、
を備え、
前記制御端子列は、基準電位端子と制御電源端子と信号端子とを備え、
前記出力端子は、正極出力端子と負極出力端子とを備え、
前記制御電源端子には、前記出力端子から出力される出力電圧とは異なる大きさの制御電源電圧が供給され、
前記信号端子には選択的に接続される複数の接続ユニットに応じた前記点灯回路の制御用の信号が入力され、
前記制御端子列における片側の端に位置する第一端子が、前記基準電位端子であり、
前記負極出力端子は前記基準電位端子に隣接し、
前記正極出力端子は前記出力端子のうち前記制御端子列と反対側に位置する照明器具。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
前記点灯回路は、入力直流電圧を前記出力電圧に変換するコンバータ回路を含み、
前記点灯装置は、前記入力直流電圧から前記制御電源電圧を生成するとともに前記制御電源電圧を前記制御電源端子へ与える制御電源生成手段を備える請求項1に記載の照明器具。
【請求項7】
前記制御電源生成手段は、
前記入力直流電圧を前記入力直流電圧とは異なる大きさの前記制御電源電圧に変換するスイッチング電源と、
前記スイッチング電源の出力端と前記制御電源端子とを繋ぐ配線部と、
を備える請求項6に記載の照明器具。
【請求項8】
前記回路基板は、第一長さを持つ長辺と前記第一長さよりも短い短辺とを持ち、
前記制御端子列が、前記回路基板の前記周縁における前記短辺の側の部位に設けられた請求項1、6、7のいずれか1項に記載の照明器具。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2022-11-08 
出願番号 P2019-066692
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (F21V)
P 1 651・ 113- YAA (F21V)
P 1 651・ 03- YAA (F21V)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 一ノ瀬 覚
特許庁審判官 八木 誠
大谷 光司
登録日 2020-10-12 
登録番号 6777183
権利者 三菱電機株式会社 三菱電機照明株式会社
発明の名称 照明器具  
代理人 弁理士法人高田・高橋国際特許事務所  
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代理人 弁理士法人高田・高橋国際特許事務所  
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