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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 C03B 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 C03B 審判 全部申し立て 2項進歩性 C03B 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 C03B |
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管理番号 | 1393979 |
総通号数 | 14 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2023-02-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2021-07-27 |
確定日 | 2022-12-02 |
異議申立件数 | 2 |
訂正明細書 | true |
事件の表示 | 特許第6819451号発明「大型合成石英ガラス基板並びにその評価方法及び製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6819451号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜3〕、〔4、5〕について訂正することを認める。 特許第6819451号の請求項1〜5に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件特許第6819451号(以下、「本件特許」という。)の請求項1〜5に係る特許についての出願は、平成29年5月8日を出願日とする出願であって 、特願2017−92330号として審査され、令和3年1月6日に特許権の設定登録がされ、同年同月27日に特許掲載公報が発行された。 その後、その請求項1〜5に係る特許に対して、令和3年7月27日に特許異議申立人 株式会社レクレアル(以下、「申立人1」という。)及び特許異議申立人 田口雅士(以下、「申立人2」という。)によりそれぞれ特許異議の申立てがされた。 本件特許異議申立事件における以降の手続の経緯は、次のとおりである。 令和3年11月 2日付け:取消理由通知 令和4年 1月 5日 :訂正請求書及び意見書の提出(特許権者) 同年 2月15日 :意見書の提出(申立人2) 同年 2月16日 :意見書の提出(申立人1) 同年 6月14日付け:取消理由通知(決定の予告) 同年 8月24日 :訂正請求書及び意見書の提出(特許権者) 同年10月11日 :意見書の提出(申立人1、2) なお、令和4年8月24日に訂正の請求がされたので、令和4年1月5日にされた先の訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 第2 本件訂正の適否についての当審の判断 令和4年8月24日に特許権者より請求された訂正(以下、「本件訂正」といい、この訂正の請求を「本件訂正請求」という。)は適法になされたものと判断する。 以下、その理由につき詳述する。 1 本件訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである。なお、訂正箇所に下線を付した。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「対角長が1000mm以上、厚さが5〜30mmの矩形の大型合成石英ガラス基板の表面及び裏面の一方又は双方の、上記表面又は裏面の各辺から10mm以内の領域を除いた矩形の範囲である有効範囲において、」とあるのを、 「対角長が800mm×900mmの矩形の対角長以上、厚さが5〜30mmの矩形の大型合成石英ガラス基板の表面及び裏面の一方又は双方の、上記表面又は裏面の各辺から10mm以内の領域を除いた矩形の範囲である有効範囲において、」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2、3も同様に訂正する。)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項4に、 「対角長が1000mm以上の大型合成石英ガラス基板の表面及び裏面の一方又は双方の有効範囲において、複数の評価領域を、評価領域同士が一部重なり合うように設定する工程、」とあるのを、 「対角長が1000mm以上の矩形の大型合成石英ガラス基板の表面及び裏面の一方又は双方の、上記表面又は裏面の各辺から10mm以内の領域を除いた矩形の範囲である有効範囲において、複数の評価領域を、評価領域同士が一部重なり合うように、かつ有効範囲の全体に、いずれかの評価領域が位置するように設定する工程、」に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項5も同様に訂正する。)。 ここで、訂正前の請求項2、3は訂正前の請求項1を引用しているため、また、訂正前の請求項5は訂正前の請求項4を引用しているため、請求項1〜3、及び請求項4、5はそれぞれ一群の請求項であって、訂正事項1、2の特許請求の範囲の訂正は、この一群の請求項〔1〜3〕、〔4、5〕のそれぞれに対して請求されたものである。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について 訂正事項1は、願書に添付された明細書の段落【0033】実施例2の記載に基づき、訂正前の請求項1において、大型合成石英ガラス基板の対角長を「1000mm以上」から「800mm×900mmの矩形の対角長以上」の範囲に減縮するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、訂正前の請求項4において、願書に添付された明細書の段落【0010】などの記載に基づき、大型合成石英ガラス基板の形状を「矩形」に、明細書の段落【0011】の記載に基づき、有効範囲を「表面又は裏面の各辺から10mm以内の領域を除いた矩形の範囲である」に、また、明細書の段落【0012】の記載に基づき、複数の評価領域の設定を「有効範囲の全体に、いずれかの評価領域が位置するように」にそれぞれ減縮するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 なお、特許異議の申立ては、請求項1〜5についてされているので、訂正事項1、2に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 3 小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜3〕、〔4、5〕について訂正することを認める。 第3 本件訂正後の本件発明 上記第2のとおり本件訂正は適法になされたものと認められるので、本件特許請求の範囲の記載は、次のとおりである(以下、各請求項に係る発明を、項番号に合わせて「本件発明1」などといい、まとめて「本件発明」という。)。 「【請求項1】 対角長が800mm×900mmの矩形の対角長以上、厚さが5〜30mmの矩形の大型合成石英ガラス基板の表面及び裏面の一方又は双方の、上記表面又は裏面の各辺から10mm以内の領域を除いた矩形の範囲である有効範囲において、複数の評価領域を、評価領域同士が一部重なり合うように、かつ有効範囲の全体に、いずれかの評価領域が位置するように、上記有効範囲のいずれか一方の対向する2辺と、他方の対向する2辺と平行な2直線とで区切られ、上記一方の対向する2辺に沿った長さが100〜300mmの領域として設定したとき、基板面全体における平坦度が、上記表面及び裏面のいずれも、30μm以下であり、かつ上記複数の評価領域の各々の評価領域内の平坦度が3μm以下であることを特徴とする大型合成石英ガラス基板。 【請求項2】 各々の評価領域において、その評価領域と重なる他の評価領域のうち最も近いものとの間で両者が重なる面積が、各々の評価領域の面積の50〜98%であることを特徴とする請求項1記載の大型合成石英ガラス基板。 【請求項3】 各々の評価領域において、その評価領域と重なる他の評価領域のうち最も近いものとの間で、両評価領域内の各々の平坦度の差が0.8μm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の大型合成石英ガラス基板。 【請求項4】 対角長が1000mm以上の矩形の大型合成石英ガラス基板の表面及び裏面の一方又は双方の、上記表面又は裏面の各辺から10mm以内の領域を除いた矩形の範囲である有効範囲において、複数の評価領域を、評価領域同士が一部重なり合うように、かつ有効範囲の全体に、いずれかの評価領域が位置するように設定する工程、 各々の評価領域において、該評価領域内の平坦度を測定する工程、及び 各々の評価領域において、評価領域内の平坦度と、その評価領域と重なる他の評価領域内の平坦度との差を算出する工程 を含むことを特徴とする大型合成石英ガラス基板の平坦性の評価方法。 【請求項5】 請求項4記載の評価方法により、大型合成石英ガラス基板の平坦性を評価する工程、 得られた平坦度及び平坦度の差に基づいて研磨量を決定する工程、及び 決定された研磨量に従って大型合成石英ガラス基板の表面又は裏面を局所研磨する工程 を含むことを特徴とする大型合成石英ガラス基板の製造方法。」 第4 取消理由(決定の予告)について 1 取消理由(決定の予告)の概要 令和4年6月14日付けで当審が通知した取消理由(決定の予告)は、取消理由1(進歩性)及び取消理由2(サポート要件)に関するものであり、要するに、令和4年1月5日にされた先の訂正の請求による訂正後の特許請求の範囲の記載につき、以下の点を指摘したものである。 (1)取消理由1(進歩性) 本件訂正前の請求項1〜3に係る発明(令和4年1月5日にされた訂正後の請求項1〜3に係る発明)は、その特許出願日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった発明にあたる、甲第1号証(以下、「甲1」という。)に記載された発明に基いて、その出願日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項に規定により特許を受けることができないものであるから、その特許は、同条の規定に違反してされたものである。 甲1: 特開2005−262432号公報 (2)取消理由2(サポート要件) 本件発明の課題を解決するには、大型合成石英ガラス基板の表面及び裏面の一方又は双方の、上記表面又は裏面の各辺から10mm以内の領域を除いた矩形の範囲である有効範囲において、複数の評価領域を、評価領域同士が一部重なり合うように、かつ有効範囲の全体にいずれかの評価領域が位置するように設定し、各々の評価領域において該評価領域内の平坦度を測定する必要があるといえるところ、本件訂正前の請求項4、5に係る発明(令和4年1月5日にされた訂正後の請求項4、5に係る発明)には、上記の内容に対応する特定はなされていないから、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるということはできないし、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるということはできない。 2 取消理由(決定の予告)についての当審の判断 (1)取消理由1(進歩性)について ア 甲1の記載内容 甲1には、下記の事項が記載されている。 (当審注:下線は当審による。また、「・・・」は当審による省略を意味する。以下同様。) (ア)「【0001】 本発明は、フォトマスク用合成石英ガラス基板、特にTFT液晶パネルに用いられる基板などとして好適な大型基板の製造方法に関する。」 (イ)「【0007】 また、一回の露光で多面取りを行い、パネルの生産性を向上させる目的から、対角長で1500mmといった大サイズフォトマスク基板の要求も出てきており、大サイズ、且つ高平坦度が同時に求められている。」 (ウ)「【0014】 本発明は、・・・経済的に有利な加工方法による高平坦度の大型フォトマスク用基板等の大型基板の製造方法を提供することを目的とする。」 (エ)「【0018】 本発明の大型基板は、ガラス基板、特に合成石英ガラス基板であることが好ましく、これはフォトマスク基板、TFT液晶のアレイ側基板等として用いられるもので、対角長が500mm以上、好ましくは500〜2,000mmの寸法を有するものである。なお、この大型基板の形状は、正方形、長方形、円形等であってよく、円形の場合、対角長とは直径を意味する。また、この大型基板の厚さは特に制限されるものではないが、1〜20mm、特に5〜12mmであることが好ましい。」 (オ)「【0019】 本発明の製造方法としては、まず大型基板の板材の平坦加工すべき面、即ち片 面又は両面(表裏面)の平坦度の測定を行う。・・・なお、平坦度及び平行度の測定は、例えば黒田精工社製フラットネステスター(FTT−1500)等を使用して求めることができる。」 (カ)「【0020】 ・・・このデータに基づいて基板の平坦加工すべき面、つまり平坦度測定面(両面の平坦加工を行う場合であれば表面及び裏面)の平坦度を修正するため、平坦加工すべき面(両面の場合であれば各面)で計算される最小二乗平面を基準面とし、平坦加工すべき面内で最も低い点に高さが合うように加工除去量を計算し、加工ツール滞留時間を計算する。」 (キ)「【0028】 平行度修正及び平坦度修正加工方法としては、例えば、図3に示す装置を用いて加工を行うことができる。・・・ 【0029】 このような加工ツールを用いて大型基板の所用面(片面又は両面)の平坦度を加工する場合、好ましくは更に平行度をも加工する場合は、上述した測定データに基づいて計算した各部位での加工ツールの滞留時間に従って、上記大型基板の所用面の凸部分や厚い部分を上記加工ツールにより部分的に除去する。」 (ク)「【0034】 ・・・ 本発明によれば、上記加工前の表裏面の平坦度が10〜50μm、特に10〜30μmであり、平行度が2〜30μm、特に2〜15μmである大型ガラス基板を、この基板の表裏面を上記のように加工するだけで、表裏面の平坦度を2〜20μm、特に2〜10μm、平行度を1〜20μm、特に1〜10μmにすることができる・・・」 (ケ)「【0037】 [実施例1] 大きさ520×800mm(対角長:954mm)、厚さ10.5mmの合成石英基板を不二見研磨材(株)製GC#600を用いて、遊星運動を行う両面ラップ装置で加工を行った後、平均粒子径1μmの酸化セリウムを用いて両面研磨を実施し、原料基板を準備した。」 (コ)「【0039】 ・・・加工ツールの移動により加工位置を移動させ、基板両面の処理を行った。 加工後の基板の精度は、表面平坦度3.6μm、裏面平坦度3.7μm、平行 度2.1μmであり、脆性破壊はなかった。」 (サ)「【0040】 [実施例2] 微粒子を平均粒子径3μmの酸化セリウムとした他は、実施例1と同じように行った。」 (シ)「【0046】 【表1】 」 イ 甲1に記載された発明 甲1には、上記ア(エ)によれば、「対角長が500〜2000mm、厚さが5〜12mmの矩形の大型合成石英ガラス基板」が記載され、さらに、上記ア(ク)によれば、この大型ガラス基板の表裏面を加工した後の平坦度が2〜10μmとなることが記載されているから、これらの記載を整理すると、甲1には、 「対角長が500〜2000mm、厚さが5〜12mmの矩形の大型合成石英ガラス基板の基板面全体における表裏面の平坦度が2〜10μmである、大型合成石英ガラス基板。」の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 ウ 本件発明1について 本件発明1と甲1発明を対比すると、両者は、「厚さが5〜30mmの矩形の大型合成石英ガラス基板」の点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1> 本件発明1は、「対角長が800mm×900mmの矩形の対角長以上」の大型合成石英ガラス基板の「基板面全体における平坦度が、上記表面及び裏面のいずれも、30μm以下」であるのに対し、甲1発明は、「対角長が500〜2000mm」の大型合成石英ガラス基板の「基板面全体における表裏面の平坦度が2〜10μm」である点。 <相違点2> 本件発明1は、「表面及び裏面の一方又は双方の、上記表面又は裏面の各辺から10mm以内の領域を除いた矩形の範囲である有効範囲において、複数の評価領域を、評価領域同士が一部重なり合うように、かつ有効範囲の全体に、いずれかの評価領域が位置するように、上記有効範囲のいずれか一方の対向する2辺と、他方の対向する2辺と平行な2直線とで区切られ、上記一方の対向する2辺に沿った長さが100〜300mmの領域として設定したとき」「上記複数の評価領域の各々の評価領域内の平坦度が3μm以下である」のに対し、甲1発明は、これが特定されない点。 事案に鑑み、相違点1、2について併せて検討する。 (ア)上記アの(ケ)〜(シ)によれば、甲1には、大きさが520×800mmであって、対角長954mm、厚さ10.5mmの合成石英基板の表裏面を加工することにより、基板面全体における表面/裏面の平坦度が2.5/3.0μmの基板を製造できたことが記載されており(【表1】実施例2)、同(イ)、(エ)には、生産性を向上させる目的から、800mm×900mmの矩形の対角長(対角長が約1204mm)を超えるようなサイズの基板を用いることが示唆されているが、TFT液晶パネル等の製造に用いられるような大サイズの基板では、サイズが大きくなるにつれて基板面全体の平坦度の値が大きくなり得ることが技術常識であるところ、甲1発明において、1204mmを超える対角長の大型合成石英ガラス基板サイズでも、その基板面全体の平坦度の大きさが3μm以下になっているかは必ずしも明らかでない。 また、同(ウ)によれば、甲1には、高平坦性の大型基板を得ることが課題の一つとして記載され、さらに、同(キ)、(コ)には、測定した平坦度のデータに基づいて各部位での加工ツールの滞留時間を調整して基板面の凸部分や厚い部分を部分的に除去することも記載されているが、甲1において、実際に対角長が800mm×900mmの矩形の対角長以上である場合に、平坦度を3μm以下にしたものは示されていないことや、上記技術常識を踏まえると、甲1発明において、基板の表裏面における平坦度の測定データに基づき各部位での加工ツールの滞留時間を調整して基板面の凸部分や厚い部分を部分的に除去することにより、生産性を向上させるために対角長が800mm×900mmの矩形の対角長(対角長が約1204mm)を超えるようなサイズの基板を選択した場合においても、対角長954mmの基板と同程度の平坦度を実現すること、すなわち基板面全体の平坦度が3μm以下の基板を得ることまでが明らかとはいえない。 (イ)さらに、甲1発明において、「基板面全体の平坦度の値が2.5〜3μm とされた基板」が、本件発明1のように、「表面及び裏面の一方又は双方の、上記表面又は裏面の各辺から10mm以内の領域を除いた矩形の範囲である有効範囲において、複数の評価領域を、評価領域同士が一部重なり合うように、かつ有効範囲の全体に、いずれかの評価領域が位置するように、上記有効範囲のいずれか一方の対向する2辺と、他方の対向する2辺と平行な2直線とで区切られ、上記一方の対向する2辺に沿った長さが100〜300mmの領域として設定したとき」「上記複数の評価領域の各々の評価領域内の平坦度が3μm以下である」ことを満たすものといえるのか併せて検討する。 上記アの(カ)及び技術常識によれば、甲1発明の平坦度は、平坦加工すべき基板面(表面及び裏面)全体の最小二乗平面(基準面)からの凸部分との距離の最大値と、凹部分との距離の最大値の和として算出されるものであるところ、当該算出方法によれば、基準面から基板面の凸部分及び凹部分までの距離はいずれの箇所でも前記最大値を超えることはなく、甲1発明の基板面において、如何なる評価領域を設定したとしても、当該評価領域内で算出される平坦度の値が基板面全体の平坦度の値を超えることはないが、上記(ア)で示したように、甲1発明において、対角長が800mm×900mmの矩形の対角長(対角長が約1204mm)を超えるようなサイズの基板を選択した場合においても、対角長954mmの基板と同程度の平坦度を実現すること、すなわち基板面全体の平坦度が2.5〜3μmの基板を得ることができるとまではいえず、また、基板面全体の平坦度が3μmを超える場合に、評価領域同士が一部重なり合う特定の評価領域における各々の平坦度を評価することを想定していない甲1発明において、基板の特定の評価領域における「各々の評価領域内の平坦度が3μm以下」であるとすることは、当業者といえども容易に想到し得るものでない。 (ウ)この点について、申立人1は、令和4年10月11日に提出した意見書(以下、単に「申立人1意見書」ということがある。)において、甲1には、対角長が500〜2000mmの範囲において、平坦度を2〜10μmにできること、及び、平坦度を1/5〜1/20にできることが記載されていること、対角長が954mmの場合に平坦度を3μm以下に加工した実施例が示されていることから、仮に「研磨が同じであれば、対角長が長いほど、達成できる平坦度の下限が上がってしまう」との認識があったとしても、「対角長が800mm×900mmの矩形の対角長以上である場合に、平坦度を3μm以下にすること」ができないとはいえない旨主張する。 しかしながら、甲1発明は、「対角長が500〜2000mm・・・の基板面全体における表裏面の平坦度が2〜10μmである大型合成石英ガラス基板」であって、基板面全体の平坦度は2〜10μmの範囲にあればよいというものであり、基板面全体の平坦度を必ずしも3μm以下とすることを意図したものではなく、甲1では、対角長が954mmである基板における平坦度が3μmを超えるものも実施例として複数示されている。 そして、上記(ア)で示したように、基板サイズが大きくなるにつれて基板面全体の平坦度の値が大きくなり得るところ、甲1には、対角長が954mmである基板においても平坦度が3μmを超える具体例が示されていること、及び対角長が800mm×900mmの矩形の対角長以上の基板で、平坦度を3μm以下ものが示されていないことから、甲1発明において、対角長が800mm×900mmの矩形の対角長以上である場合に、基板面全体の平坦度が3μm以下の基板を得られることが、当業者にとって明らかであるとはいえない。 また、平坦度が小さい値であるほど望ましいとしても、本件発明の「基板全体の平坦度が一定の規格内であっても、全体の平坦度にばらつきがあり、不均一で局所的に凹凸の勾配が大きい箇所がある場合、基板上への薄膜の成膜時のムラや、マスクを用いた露光時の焦点ばらつきにつながる」(本件明細書の段落【0004】)という課題に対して、本件発明1の「評価領域同士が一部重なり合うように、・・・設定したとき、・・・各々の評価領域内の平坦度が3μm以下」という構成により「高平坦であり、基板面内の局所勾配が小さく、精度の高い露光を可能にするマスクの原料基板となる大型合成石英ガラス基板を提供」(本件明細書の段落【0006】)するということは、甲1に記載も示唆もないことから、甲1発明において、本件発明1の上記構成をなすことが当業者といえども容易に想到し得るものでない。 したがって、上記申立人1の主張は採用できない。 (エ)申立人2は、令和4年10月11日に提出した意見書(以下、単に「申立人2意見書」ということがある。)において、甲1の段落【0018】には、「本発明の大型基板は、・・・対角長が500mm以上、好ましくは500〜2,000mmの寸法を有するものである。」と記載されていること、段落【0014】には、「本発明は、・・・経済的に有利な加工方法による高平坦度の大型フォトマスク用基板等の大型基板の製造方法を提供することを目的とする。」と記載されていることから、段落【0034】の「本発明によれば、・・・表裏面の平坦度を2〜20μm、特に2〜10μm、・・・にすることができる」との記載に基づいて、加工ツールの各加工条件を調整することで、対角長が800mm×900mmの矩形の対角長以上の基盤であっても基板面全体の平坦度を3μm以下とすることは当業者であれば容易である旨主張する。 しかしながら、上記(ウ)で説明したように、甲1発明において、対角長が800mm×900mmの矩形の対角長以上である場合に、基板面全体の平坦度が3μm以下の基板を得られることが、当業者にとって明らかであるとはいえず、また、甲1には本件発明の課題について、記載も示唆もないことから、本件発明1の「評価領域同士が一部重なり合うように、・・・設定したとき、・・・各々の評価領域内の平坦度が3μm以下」にするという構成は、当業者といえども容易に想到し得るものでない。 したがって、上記申立人2の主張は採用できない。 エ 本件発明2、3について 本件発明2、3は、本件発明1の発明特定事項をすべて具備するものであるから、上記ウの本件発明1についての検討と同様、甲1発明に対して進歩性が欠如するということはできない。 (2)取消理由2(サポート要件)について ア 本件発明の課題 本件特許明細書の発明の詳細な説明(以下、「発明の詳細な説明」という。)の段落【0004】に記載された、基板表面又は裏面全体の平坦度が一定の規格内であっても、全体の平坦度にばらつきがあり不均一で局所的に凹凸の勾配が大きい箇所がある場合、基板上への薄膜の成膜時のムラや、マスクを用いた露光時の焦点ばらつきにつながるという従来の問題を受けて、同【0005】において、「高平坦であり、基板面内の局所勾配が小さく、精度の高い露光を可能にするマスクの原料基板となる大型合成石英ガラス基板並びにその評価方法及び製造方法を提供すること」を本件発明の課題としていることが分かる。そして、基板全体の平坦度にばらつきがあり、不均一で局所的に凹凸の勾配が大きい箇所が基板の何処かに存在すると上記問題が生じるのであるから、上記発明の課題の「基板面内の局所勾配が小さく」とは、基板のごく一部領域内の局所勾配を小さくすることに対応するものではなく、基板全体といえる領域の局所勾配を小さくすることに対応するものであると理解するのが妥当である。 イ 本件発明の課題に対応する本件明細書の記載 発明の詳細な説明には、有効範囲と評価領域に関し、以下の記載がある。 (ア)「【0011】 大型合成石英ガラス基板の表面及び裏面の各々において、その有効範囲とは、大型合成石英ガラス基板の外周縁部を除く範囲であり、通常、基板面の外周縁から10mm以内の領域を除いた範囲である。例えば、矩形の大型合成石英ガラス基板の場合は、各辺から10mm以内の領域を除いた矩形の範囲となる。 【0012】 本発明においては、大型合成石英ガラス基板の表面及び裏面の一方又は双方の有効範囲において、複数の評価領域を、評価領域同士が一部重なり合うように設定する。例えば、有効範囲の全体に、いずれかの評価領域が位置するように設定する。・・・」 (イ)「【0025】 [実施例1] ・・・ 【0027】 次に、中間品基板の基板面の表面及び裏面の各辺から10mm以内の領域を除いた有効領域について、長さ1780mmの長辺側の2辺(一方の対向する2辺に相当)と、1580mmの短辺側の2辺(他方の対向する2辺に相当)に平行な2直線とで区切られた、長辺側の2辺に沿った長さが280mmの評価領域を、各々の評価領域の短辺側の2辺に平行な中心線が、長辺側の2辺に沿って順に10mm間隔で配列する合計151/片面の評価領域を設定した。・・・ 【0028】 次に、各々の評価領域内の平坦度を測定し、更に、各々の評価領域において、その評価領域と重なる他の評価領域のうち最も近いものとの間で、両評価領域内の各々の平坦度の差(以下、単に、「平坦度の差」という。)を算出した。そして、各々の評価領域内の平坦度が3μm以下、平坦度の差が0.5μm以下の大型合成石英ガラス基板を得るために、結果を評価したところ、評価領域内の平坦度が3μmを超えている評価領域は15領域であり、平坦度の差が0.5μmを超えている評価領域は7領域であった。」 (ウ)「【0033】 [実施例2] ・・・ 【0035】 次に、中間品基板の基板面の表面及び裏面の各辺から10mm以内の領域を除いた有効領域について、長さ880mmの長辺側の2辺(一方の対向する2辺に相当)と、780mmの短辺側の2辺(他方の対向する2辺に相当)に平行な2直線とで区切られた、長辺側の2辺に沿った長さが280mmの評価領域を、各々の評価領域の短辺側の2辺に平行な中心線が、長辺側の2辺に沿って順に50mm間隔で配列する合計13/片面の評価領域を設定した。・・・ 【0036】 次に、各々の評価領域内の平坦度を測定し、更に、各々の評価領域において、その評価領域と重なる他の評価領域のうち最も近いものとの間で、両評価領域内の各々の平坦度の差を算出した。そして、各々の評価領域内の平坦度が3μm以下、平坦度の差が0.5μm以下の大型合成石英ガラス基板を得るために、結果を評価したところ、評価領域内の平坦度が3μmを超えている評価領域は2領域であり、平坦度の差が0.5μmを超えている評価領域は存在しなかった。」 これら(ア)〜(ウ)の記載によれば、大型合成石英ガラス基板の表面及び裏面の一方又は双方の、上記表面又は裏面の各辺から10mm以内の領域を除いた矩形の範囲である有効範囲において、複数の評価領域を、評価領域同士が一部重なり合うように、かつ有効範囲の全体にいずれかの評価領域が位置するように設定し、各々の評価領域において該評価領域内の平坦度を測定した場合には、基板全体といえる有効範囲全体の局所勾配を評価できるから、上記(ア)の本件発明の課題を解決できることを理解できる。 ウ 特許請求の範囲の記載と本件明細書の発明の詳細な説明の記載との対比・判断 上記イで検討したように、本件発明の課題を解決するには、大型合成石英ガラス基板の表面及び裏面の一方又は双方の、上記表面又は裏面の各辺から10mm以内の領域を除いた矩形の範囲である有効範囲において、複数の評価領域を、評価領域同士が一部重なり合うように、かつ有効範囲の全体にいずれかの評価領域が位置するように設定し、各々の評価領域において該評価領域内の平坦度を測定する必要があるといえる。 この点について、本件訂正を踏まえて、あらためて特許権者の令和4年8月24日提出の意見書(以下、「特許権者意見書」という。)における主張にも照らして検討してみると、本件訂正により、請求項4の関連記載は、「対角長が1000mm以上の矩形の大型合成石英ガラス基板の表面及び裏面の一方又は双方の、上記表面又は裏面の各辺から10mm以内の領域を除いた矩形の範囲である有効範囲において、複数の評価領域を、評価領域同士が一部重なり合うように、かつ有効範囲の全体に、いずれかの評価領域が位置するように設定する工程」(下線は訂正箇所。)となり、「有効範囲」が、表面又は裏面の各辺から10mm以内の領域を除いた矩形の範囲に特定されるとともに、「評価領域」について、有効範囲の全体にいずれかの評価領域が位置するように設定されることが特定されるから、本件発明4、5は、発明の詳細な説明の記載から、当業者が本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。 エ 特許異議申立人の意見書について この点について、申立人1は、申立人1意見書において、例えば、基板サイズが800mm×900mmの場合に、有効範囲を780mm×880mmとして、780mm×879mmの評価領域を設定した場合には、不均一で局所的に凹凸の勾配が大きい箇所がないことを評価できないから、本件発明4では、本件特許発明の課題が解決できない旨主張する。 また、申立人2は、申立人2意見書において、有効範囲に対して、複数の評価領域が設定されたとしても、実質的に1つの評価領域で有効範囲全体をカバーする場合も考えられるから、本件発明4では、本件特許発明の課題が解決できない旨主張する。 しかしながら、上記イ及びウで検討したように、本件訂正により、本件発明4は本件発明の課題を解決できるといえ、また、本件明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌するに、当業者であれば本件発明の課題を解決するための適切な領域を評価領域として設定できることは明らかであって、申立人1、2が主張するような極端な評価領域の設定まで本件発明4の範囲に含まれるとの事情は認められないから、上記申立人1、2の主張は採用できない。 (3)小活 上記(1)のとおりであるから、本件訂正後の請求項1〜3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとはいえず、同法第113条第2号に該当しないため、取消理由1(進歩性)を理由に、本件訂正後の請求項1〜3に係る特許を取り消すことはできない。 また、上記(2)のとおりであるから、本件訂正後の請求項4、5に係る特許は、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえず、同法第113条第4号に該当しないため、取消理由2(サポート要件)を理由に、本件訂正後の請求項4、5に係る特許を取り消すことはできない。 第5 取消理由(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について 1 標記特許異議申立理由の概要 申立人1、2が、特許異議申立書において主張する特許異議申立理由のうち、当審が上記取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由の要旨は、次のとおりである。 ここで、申立人1が提出した証拠方法は、上記取消理由で引用した甲1に加えて、以下のとおりである(以下、甲各号証を「甲2」などと略記する。)。 甲2:特開2012−111664号公報 甲3:特開2013−88793号公報 甲4:国際公開2016/204051号 甲5:特開2015−90358号公報 甲6:特開2000−260840号公報 進歩性欠如 (1)甲1を主たる証拠とした場合(申立人1の特許異議申立書22頁〜23頁) 設定登録時の請求項3に係る発明は、甲1〜4に記載された発明に基づいて本件特許の出願前に当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。 (2)甲2を主たる証拠とした場合(申立人1の特許異議申立書23頁〜27頁) 設定登録時の請求項1〜3に係る発明は、甲2〜4に記載された発明に基づいて本件特許の出願前に当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。 (3)甲5を主たる証拠とした場合(申立人1の特許異議申立書27頁〜30頁) 設定登録時の請求項4に係る発明は、甲5、6に記載された発明に基づいて本件特許の出願前に当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。 明確性要件違反 (4)本件発明4、5の明確性について(申立人2の特許異議申立書22頁〜24頁) 設定登録時の請求項4、5に係る特許について、当該請求項4の記載では、どのような平坦性の評価方法が、発明の範囲に含まれるのかが明確に把握できないから、同法第113条第4号に該当するため、取り消されるべきである。 2 進歩性欠如について当審の判断 (1)甲1〜6の記載内容及び甲1、甲2、甲5に記載された発明についてア 甲1の記載事項及び甲1に記載された発明 甲1の記載内容は、上記第4の2(1)「ア 甲1の記載内容」、甲1に記載された発明は、同「イ 甲1に記載された発明」に示したとおりであって、 甲1発明として、「対角長が500〜2000mm、厚さが5〜12mmの矩形の大型合成石英ガラス基板の基板面全体における表裏面の平坦度が2〜10μmである、大型合成石英ガラス基板。」が記載されていると認められる。 イ 甲2の記載事項 甲2には、下記の事項が記載されている。 (ア)「【0052】 <マスクブランク用基板1の製造方法の説明> 本発明のマスクブランク用基板1の製造方法について説明する。以下、合成石英ガラスをマスクブランク用基板1の材料として用いる場合を例に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。」 (イ)「【0082】 また、FPD製造用途のマスクブランク用基板1の場合は、その大きさが多岐にわたり、330mm×450mm以上であり、例えば、500mm×800mm、厚さ10mmの形状、800mm×920mm、厚さ10mmの形状、1220mm×1400mm、厚さ13mmの形状、1400mm×1600mm、厚さ15mmの形状、2140mm×2400mm、厚さ15mmの形状などがある。このマスクブランク用基板1の場合は、主表面71(好ましくは両主表面71)の平坦度(マスクブランク用基板1の主表面71において、端面から30mmを除いた内側の領域の平坦度を指す。よって、面取面73は必然的に除かれる。)が、小型のマスクブランク用基板1(330mm×450mm未満)では0μmを超え5μm以下、大型のマスクブランク用基板1(330mm×450mm以上)では0μmを超え30μm以下の高い平坦度を有する基板である。また、表面粗さについては、平均表面粗さRaで0.2nm以下、さらに好ましくは0.15nm以下である。」 (ウ)「【0099】 (実施例1) マスクブランク用基板1の製造は、(1)切り出し工程、(2)研削工程、(3)火炎処理工程、(4)研磨工程及び(5)欠陥検査の各工程によって行った。以下、各工程を詳細に説明する。 【0100】 (1)切り出し工程 合成石英ガラスインゴットから、平板上に切り出した合成石英ガラスを用意した。次に、合成石英ガラスからなるシートガラスから研削砥石で切り出して、正方形の基板1を得た。切り出す基板1の大きさは、最終的に約152mm×約152mm、厚さ約6.35mmのマスクブランク用基板1を得ることができるように、基板研磨取り代等を考慮した大きさとした。 ・・・(中略)・・・ 【0111】 (5)欠陥検査 次に、得られた基板1の平坦度、表面粗さ並びに内部クラック等の欠陥5の有無及びその位置を検査した。内部クラック等の欠陥5の有無は、特許文献1に記載のエッチング処理を用いる方法によって、内部クラック等の欠陥5を顕在化することにより評価した。ここで、マスクブランク用基板1に求められる平坦度は0.5μm以下とし、表面粗さは算術平均粗さRaで0.1μm以下とした。 【0112】 以上のようにして得られたマスクブランク用基板1について、内部クラック等の欠陥5の顕在化のためのエッチング処理後、内部クラック等の欠陥5は存在しないことを確認した。また、この基板1について、主表面71の平坦度と表面粗さを測定したところ、良品のマスクブランク用基板1として使用可能なレベルで修正することができていた。」 ウ 甲2に記載された発明 甲2には、上記(2)イ(ウ)の実施例1によれば、合成石英ガラスから切り出される「約152mm×約152mm、厚さ約6.35mmのマスクブランク用基板」が記載され、さらに、このマスクブランク用基板の主表面における平坦度が0.5μm以下となることが記載されているから、これらの記載を整理すると、甲2には、 「合成石英ガラスをマスクブランク用基板の材料として用いる約152mm×約152mm、厚さ約6.35mmのマスクブランク用基板であって、主表面の平坦度が0.5μm以下であるマスクブランク用基板。」の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 エ 甲3の記載事項 甲3には、下記の事項が記載されている。 (ア)「【0016】 半導体用ガラス基板の形状は四角形状、円形状等とすることができ、ガラス基板の大きさは、ICフォトマスク基板やナノインプリント用基板のサイズから、大型液晶テレビフォトマスク用大型基板のサイズまで、適宜選定される。例えば、四角形状のガラス基板では20mm×20mm〜152mm×152mmのサイズから1,000mm×2,000mmのサイズの基板が好適に用いられる。丸形状のガラス基板では6インチφ、8インチφのウェハサイズが好適に用いられる。 【0017】 ここで、半導体用ガラス基板の厚さは適宜選定されるが、0.1〜300mm、好ましくは0.1〜100mm、更に好ましくは0.2〜30mmである。 ・・・(中略)・・・ 【0019】 この場合、非貫通の穴、溝又は段差を形成するための研削工程を行う前の半導体用ガラス基板の表裏面の平坦度は0.01〜30μm、好ましくは0.01〜2μm、更に好ましくは0.01〜0.5μm、平行度は0.1〜50μm、好ましくは0.1〜5μm、更に好ましくは0.1〜3μmであることが、パターン均一性の点で好ましい。」 (イ)「【0064】 [実施例4] 端面及び表裏面が研磨により鏡面化された大きさ200mm×400mm、厚さ10mmの合成石英ガラス基板Cを、原料基板として用意した。 ・・・(中略)・・・ 【0065】 ここで、鏡面化された合成石英ガラス基板Cの平行度、表裏面の平坦度、表裏面及び側面の面粗度Raは下記の通りであった。 平行度 5.3μm 表面 平坦度 2.085μm 面粗度 0.18nm 裏面 平坦度 3.193μm 面粗度 0.21nm 側面 面粗度 0.74nm」 オ 甲4の記載事項 甲4には、下記の事項が記載されている。 「[0078] [マスクブランク用基板10] まず、本発明の導電膜付き基板50等の製造に用いることのできるマスクブランク用基板10について以下に説明する。 [0079] 図1(a)は、本発明の導電膜付き基板50等の製造に用いることのできるマスクブランク用基板10の一例を示す斜視図である。図1(b)は、図1(a)に示すマスクブランク用基板10の断面模式図である。 ・・・(中略)・・・ [0086] 本発明の裏面導電膜23に用いるマスクブランク用基板10は、転写パターンが形成される側の主表面は、少なくともパターン転写精度、位置精度を得る観点から高平坦度となるように表面加工されていることが好ましい。EUVの反射型マスクブランク用基板10の場合、基板10の転写パターンが形成される側の主表面の132mm×132mmの領域、又は142mm×142mmの領域において、平坦度が0.1μm以下であることが好ましく、特に好ましくは0.05μm以下である。更に好ましくは、基板10の転写パターンが形成される側の主表面132mm×132mmの領域において、平坦度が0.03μm以下である。また、転写パターンが形成される側と反対側の主表面は、露光装置にセットするときの静電チャックされる面であって、142mm×142mmの領域において、平坦度が1μm以下、特に好ましくは0.5μm以下である。」 カ 甲5の記載事項 甲5には、下記の事項が記載されている。 (ア)「【0001】 本発明は、三次元測定装置から得られたワークの計測データに基づいて、ワークの測定対象面における平坦度を検出する平坦度検出装置、及び平坦度検出方法に関する。」 (イ)「【0035】 [平坦度検出方法] 次に、上述のような平坦度検出装置の動作について図面に基づいて説明する。 図4は、本実施形態の平坦度検出装置1の動作を示すフローチャートである。 ・・・(中略)・・・ 【0039】 ステップS3による処理がなされた後、平坦度検出装置1の操作部11がユーザーにより操作されると、条件取得手段24が当該使用者の操作に基づく信号から設定条件を取得し、領域設定手段25がその設定条件に基づいてワーク40の平坦度を検査すべき領域サイズ、すなわち、小領域(P,P1,P2,P3,P4)の領域面積を設定する(S4)。 なお、ステップS4の処理は、測定前に予め実施され、記憶部13に記憶されていてもよい。」 (ウ)「【0041】 図5は、ワーク凸部のxy平面及び分割された小領域を示す図である。 ・・・(中略)・・・ また、これと同様の方法により、平均高さ算出手段27は、その他の各小領域P1,P2,P3,P4の平均高さを算出する。 【0042】 そして、平坦度検出装置1の比較手段28は、各小領域の平均高さを比較する。具体的には、比較手段28は、評価対象である小領域(対象領域P)の平均高さと、当該対象領域Pに隣接する小領域(隣接領域P1,P2,P3,P4)のそれぞれの平均高さとの差異が、記憶部13に記憶された所定の閾値を超えているか否かを判定する(S7:比較ステップ)。 ステップS7において、平均高さの差が、所定の閾値を超えていると判定された場合(S7;Yes)、比較手段28は、平坦度が低い(平坦ではない)と判定する。この場合、表示制御手段29は、対象領域Pの平坦度が低い旨を表示部14に表示させる(S8)。」 (エ)「【0059】 また、領域設定手段25により設定される小領域(対象領域P)と当該対象領域Pに隣接する隣接領域P1〜P4との平均高さを比較手段28により比較することとしたが、これに限られない。例えば、対象領域Pの平均高さと対象領域Pに隣接しない小領域の平均高さとを比較手段28により比較するようにしてもよい。」 キ 甲5に記載された発明 甲5には、上記カ(ア)によれば、「三次元測定装置から得られたワークの計測データに基づいて、ワークの測定対象面における平坦度を検出する平坦度検出方法」が記載され、さらに、「領域設定手段25がその設定条件に基づいてワーク40の平坦度を検査すべき領域サイズ、すなわち、小領域(P,P1,P2,P3,P4)の領域面積を設定する」(上記カ(イ))こと、「比較手段28は、評価対象である小領域(対象領域P)の平均高さと、当該対象領域Pに隣接する小領域(隣接領域P1,P2,P3,P4)のそれぞれの平均高さとの差異が、記憶部13に記憶された所定の閾値を超えているか否かを判定する」(上記カ(ウ))が記載されているから、これらの記載を整理すると、甲5には、 「三次元測定装置から得られたワークの計測データに基づいて、ワークの測定対象面における平坦度を検出する平坦度検出方法において、領域設定手段がその設定条件に基づいてワークの平坦度を検査すべき領域サイズ、すなわち、小領域(P,P1,P2,P3,P4)の領域面積を設定し、比較手段は、評価対象である小領域(対象領域P)の平均高さと、当該対象領域Pに隣接する小領域(隣接領域P1,P2,P3,P4)のそれぞれの平均高さとの差異が、記憶部に記憶された所定の閾値を超えているか否かを判定する平坦度検出方法」の発明(以下、「甲5発明」という。)が記載されていると認められる。 ク 甲6の記載事項 甲6には、下記の事項が記載されている。 (ア)「【0021】本発明に係る半導体基板の測定方法及び測定装置においては、レベリングのための半導体基板表面の平坦度の測定を、露光単位領域の面積以下の面積とした測定単位領域ごとに行う。」 (イ)「【0029】この測定単位領域S21ごとにLTV測定を行ってレベリングの基準面を測定単位領域S21ごとに定め、図2(b)に示すように、測定単位領域をS21a、S21b、S21cと順次移動させて、同様に測定を行いレベリングの基準面を定める。測定単位領域の移動は、例えば、測定単位領域S21aとS21b、測定単位領域S21bとS21cが、それぞれ少なくとも横方向の長さL1/2の領域だけ重複するように行う。これにより、高精度のレベリング制御を行うことができる。」 (2)甲1を主たる証拠とした場合 ア 対比 本件発明3と甲1発明とを対比すると、本件発明3は、本件発明1の発明特定事項をすべて具備するものであるから、上記第4の2(1)「ウ 本件発明1について」で示したとおり、両者は少なくとも次の点で相違する。 <相違点1> 本件発明3は、「対角長が800mm×900mmの矩形の対角長以上」の大型合成石英ガラス基板の「基板面全体における平坦度が、上記表面及び裏面のいずれも、30μm以下」であるのに対し、甲1発明は、「対角長が500〜2000mm」の大型合成石英ガラス基板の「基板面全体における表裏面の平坦度が2〜10μm」である点。 <相違点2> 本件発明3は、「表面及び裏面の一方又は双方の、上記表面又は裏面の各辺から10mm以内の領域を除いた矩形の範囲である有効範囲において、複数の評価領域を、評価領域同士が一部重なり合うように、かつ有効範囲の全体に、いずれかの評価領域が位置するように、上記有効範囲のいずれか一方の対向する2辺と、他方の対向する2辺と平行な2直線とで区切られ、上記一方の対向する2辺に沿った長さが100〜300mmの領域として設定したとき」「上記複数の評価領域の各々の評価領域内の平坦度が3μm以下である」のに対し、甲1発明は、これが特定されない点。 イ 相違点についての検討 相違点1、2について、甲2〜4には一般的な基板の大きさや平坦度が示されているだけであるから、上記第4の2(1)「ウ 本件発明1について」での検討と同様に、甲2〜4の記載を参酌しても、対角長が800mm×900mmの矩形の対角長(対角長が約1204mm)を超えるようなサイズの基板を選択した場合においても、基板面全体の平坦度が3μm以下の基板を得ることまでが明らかとはいえず、また、基板面全体の平坦度が3μmを超える場合に、基板の特定の評価領域における「各々の評価領域内の平坦度が3μm以下」であるとすることは、当業者といえども容易に想到し得るものでない。 ウ まとめ 以上のとおりであるから、本件発明3は、甲1発明及び甲2〜甲4の記載事項に基づいて、当業者が容易に想到し得るものでなく、甲1〜4に記載された発明に対して進歩性が欠如するということはできない。 (3)甲2を主たる証拠とした場合 ア 対比 本件発明1と甲2発明とを対比すると、甲2発明では、「合成石英ガラスをマスクブランク用基板の材料として用いる」ことから、両者は、「石英ガラス基板」である点で一致する。 一方、上記第4の2(1)「ウ 本件発明1について」での検討と同様に、両者は少なくとも次の点で相違する。 <相違点1> 本件発明1は、「対角長が800mm×900mmの矩形の対角長以上」の合成石英ガラス基板の「基板面全体における平坦度が、上記表面及び裏面のいずれも、30μm以下」であるのに対し、甲2発明は、「約152mm×約152mm」の合成石英ガラス基板の「主表面の平坦度が0.5μm以下」である点。 <相違点2> 本件発明1は、「表面及び裏面の一方又は双方の、上記表面又は裏面の各辺から10mm以内の領域を除いた矩形の範囲である有効範囲において、複数の評価領域を、評価領域同士が一部重なり合うように、かつ有効範囲の全体に、いずれかの評価領域が位置するように、上記有効範囲のいずれか一方の対向する2辺と、他方の対向する2辺と平行な2直線とで区切られ、上記一方の対向する2辺に沿った長さが100〜300mmの領域として設定したとき」「上記複数の評価領域の各々の評価領域内の平坦度が3μm以下である」のに対し、甲2発明は、これが特定されない点。 イ 相違点についての検討 相違点1、2について、甲2〜4には一般的な基板の大きさや平坦度が示されているだけであるから、上記第4の2(1)「ウ 本件発明1について」での検討と同様に、甲2〜4の記載を参酌しても、対角長が800mm×900mmの矩形の対角長(対角長が約1204mm)を超えるようなサイズの基板を選択した場合においても、基板面全体の平坦度が3μm以下の基板を得ることまでは、明らかなこととはいえず、また、基板面全体の平坦度が3μmを超える場合に、基板の特定の評価領域における「各々の評価領域内の平坦度が3μm以下」であるとすることは、当業者といえども容易に想到し得るものでない。 ウ まとめ 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲2発明及び甲3、4の記載事項に基づいて、当業者が容易に想到し得るものでなく、甲2〜4に記載された発明に対して進歩性が欠如するということはできない。 また、本件発明2、3は、本件発明1の発明特定事項をすべて具備するものであるから、同様に、甲2〜4に記載された発明に対して進歩性が欠如するということはできない。 (5)甲5を主たる証拠とした場合 ア 対比 本件発明4と甲5発明とを対比すると、本件発明4は「対角長が1000mm以上の矩形の大型合成石英ガラス基板の」「平坦性の評価方法」であるのに対し、甲5発明は「ワークの測定対象面における平坦度を検出する平坦度検出方法」である点で少なくとも相違する。 イ 相違点についての検討 甲5には、ワークが「対角長が1000mm以上の矩形の大型合成石英ガラス基板」であることについては記載も示唆もなく、また半導体基板表面の平坦度の測定について記載された甲6にも、「対角長が1000mm以上の矩形の大型合成石英ガラス基板」については記載も示唆もないことから、甲5発明において、甲5、6の記載を参酌して上記相違点に係る本件発明4の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たものであるとは認められない。 ウ まとめ 以上のとおりであるから、本件発明4は、甲5発明及び甲6の記載事項に基づいて、当業者が容易に想到し得るものでなく、甲5、6に記載された発明に対して進歩性が欠如するということはできない。 3 明確性要件違反についての当審の判断 ア 申立人2は、本件訂正前の請求項4、5について、請求項4の「対角長が1000mm以上の大型合成石英ガラス基板の表面及び裏面の一方又は双方の有効範囲において、複数の評価領域を、評価領域同士が一部重なり合うように設定する工程」との記載は、複数の評価領域が、表面の有効範囲全体にわたって設定されるのか、1cm2等の小さな領域が数か所重なるように設定されればよいのか等が明らかでないから、どのような平坦性の評価方法が、発明の範囲に含まれるのかが明確に把握できないため、請求項4、5は明確でない旨主張する。 イ この点について、本件訂正により、本件発明4は、「有効範囲の全体に、いずれかの評価領域が位置するように設定する」ことが特定されており、また、第4の2(2)「エ 特許異議申立人の意見書について」においても示したように、当業者であれば本件発明の課題を解決するための適切な領域を評価領域として設定できることは明らかであるといえるから、本件発明4、5は明確といえ、上記申立人2の主張は採用できない。 4 小括 上記2(1)〜(5)及び3のとおり、本件特許の請求項1〜5に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものとも、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものともいえず、同法第113条第2号及び第4号には該当しないため、申立人1及び申立人2の特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によって、当該特許を取り消すことはできない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件訂正後の請求項1〜5に係る特許を取り消すことはできない。 また、他にこれらの特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 対角長が800mm×900mmの矩形の対角長以上、厚さが5〜30mmの矩形の大型合成石英ガラス基板の表面及び裏面の一方又は双方の、上記表面又は裏面の各辺から10mm以内の領域を除いた矩形の範囲である有効範囲において、複数の評価領域を、評価領域同士が一部重なり合うように、かつ有効範囲の全体に、いずれかの評価領域が位置するように、上記有効範囲のいずれか一方の対向する2辺と、他方の対向する2辺と平行な2直線とで区切られ、上記一方の対向する2辺に沿った長さが100〜300mmの領域として設定したとき、基板面全体における平坦度が、上記表面及び裏面のいずれも、30μm以下であり、かつ上記複数の評価領域の各々の評価領域内の平坦度が3μm以下であることを特徴とする大型合成石英ガラス基板。 【請求項2】 各々の評価領域において、その評価領域と重なる他の評価領域のうち最も近いものとの間で両者が重なる面積が、各々の評価領域の面積の50〜98%であることを特徴とする請求項1記載の大型合成石英ガラス基板。 【請求項3】 各々の評価領域において、その評価領域と重なる他の評価領域のうち最も近いものとの間で、両評価領域内の各々の平坦度の差が0.8μm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の大型合成石英ガラス基板。 【請求項4】 対角長が1000mm以上の矩形の大型合成石英ガラス基板の表面及び裏面の一方又は双方の、上記表面又は裏面の各辺から10mm以内の領域を除いた矩形の範囲である有効範囲において、複数の評価領域を、評価領域同士が一部重なり合うように、かつ有効範囲の全体に、いずれかの評価領域が位置するように設定する工程、 各々の評価領域において、該評価領域内の平坦度を測定する工程、及び 各々の評価領域において、評価領域内の平坦度と、その評価領域と重なる他の評価領域内の平坦度との差を算出する工程 を含むことを特徴とする大型合成石英ガラス基板の平坦性の評価方法。 【請求項5】 請求項4記載の評価方法により、大型合成石英ガラス基板の平坦性を評価する工程、得られた平坦度及び平坦度の差に基づいて研磨量を決定する工程、及び 決定された研磨量に従って大型合成石英ガラス基板の表面又は裏面を局所研磨する工程を含むことを特徴とする大型合成石英ガラス基板の製造方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2022-11-22 |
出願番号 | P2017-092330 |
審決分類 |
P
1
651・
536-
YAA
(C03B)
P 1 651・ 121- YAA (C03B) P 1 651・ 113- YAA (C03B) P 1 651・ 537- YAA (C03B) |
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
宮澤 尚之 |
特許庁審判官 |
正 知晃 後藤 政博 |
登録日 | 2021-01-06 |
登録番号 | 6819451 |
権利者 | 信越化学工業株式会社 |
発明の名称 | 大型合成石英ガラス基板並びにその評価方法及び製造方法 |
代理人 | 弁理士法人英明国際特許事務所 |
代理人 | 松浦 孝 |
代理人 | 弁理士法人英明国際特許事務所 |