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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C11B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C11B
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 C11B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 C11B
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 C11B
管理番号 1394432
総通号数 15 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-06-22 
確定日 2023-02-16 
事件の表示 特願2019−228519「水産物由来遊離1価不飽和脂肪酸又はその低級アルコールエステルの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 4月 2日出願公開、特開2020− 50882〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年7月2日(優先権主張 平成26年7月2日)を国際出願日とする特願2016−531436号の一部を、令和元年12月18日に新たな特許出願として出願したものであって、令和2年1月15日付けで上申書の提出がなされるとともに手続補正がなされ、令和2年12月17日付けの拒絶理由通知に対して、令和3年2月4日付けで意見書の提出がなされるとともに手続補正がなされ、令和3年3月24日付けの拒絶査定に対して、令和3年6月22日付けで審判請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 令和3年6月22日付けの手続補正の補正却下の決定
〔補正の却下の決定の結論〕
令和3年6月22日付けの手続補正を却下する。

〔理由〕
1.補正の内容
令和3年6月22日付けの手続補正(以下「第3補正」という。)は、令和3年2月4日付けの手続補正(以下「第2補正」という。)による補正後の請求項1の
「【請求項1】
少なくとも、遊離ガドレイン酸(n−11)若しくはその低級アルコールエステル、及び遊離セトレイン酸(n−11)若しくはその低級アルコールエステルを含み、
炭素数20及び/又は22の遊離1価不飽和脂肪酸又はそれらの低級アルコールエステルを全脂肪酸および全エステル中の90重量%以上含有する、
遊離脂肪酸又はその低級アルコールエステル。」との記載を、
「【請求項1】
少なくとも、ガドレイン酸(n−11)エチルエステル、及びセトレイン酸(n−11)エチルエステルを含む、脂肪酸低級アルコールエステル組成物であって、
炭素数20及び22の1価不飽和脂肪酸のエチルエステルを全組成物に対して90重量%以上含有する、
脂肪酸低級アルコールエステル組成物。」との記載に改める補正を含むものである(下線は当審による。以下同じ。)。

2.補正の適否
(1)目的要件について
ア 変更補正
上記請求項1についての補正は、補正前の「遊離脂肪酸又はその低級アルコールエステル」という発明特定事項を、補正後の「脂肪酸低級アルコールエステル組成物」という発明特定事項に変更する補正(以下「変更補正」という。)を含むものである。
そして、令和3年6月22日付けの審判請求書の2.2)の項(第3〜4頁)で、審判請求人は『請求項1において「遊離脂肪酸又はその低級アルコールエステル」との語を、「脂肪酸低級アルコールエステル組成物」に修正致しました。補正前の請求項1には含有成分として2種類の1価不飽和脂肪酸エステルなどが特定されており、請求項1に係る発明が組成物に関することは明らかと考えます。該補正は、この点をより明確にするための補正であり、補正の要件を満たすものであることを付言致します。』と主張する。
しかしながら、補正前の特許請求の範囲の記載に不明瞭な記載は見当たらず、補正前の特許請求の範囲の記載について明瞭でない旨の拒絶の理由も示されておらず、補正前の「遊離脂肪酸」又は「その低級アルコールエステル」に関する事項を、補正後の「脂肪酸低級アルコールエステル組成物」に改めることによって「明りようでないの記載」の「釈明」がなされるともいえない。
このため、審判請求人の「該補正は、この点をより明確にするための補正であり、補正の要件を満たす」との主張は採用できず、当該「変更補正」が、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる「明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」を目的とするものに該当するとは認められない。
また、当該「変更補正」が、同1号に掲げる「第三十6条第5項に規定する請求項の削除」、同2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮(第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」、又は同3号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものに該当するとも認められない。

イ 改変補正
さらに、上記請求項1についての補正は、補正前の「炭素数20及び/又は22の遊離1価不飽和脂肪酸又はそれらの低級アルコールエステルを全脂肪酸および全エステル中の90重量%以上含有する」という発明特定事項を、補正後の「炭素数20及び22の1価不飽和脂肪酸のエチルエステルを全組成物に対して90重量%以上含有する」という発明特定事項に改変する補正(以下「改変補正」という。)を含むものである。
そして、当該「改変補正」により、補正前は「全脂肪酸および全エステル」を基準に「炭素数20及び/又は22の遊離1価不飽和脂肪酸又はそれらの低級アルコールエステル」の含有量の数値範囲を「90重量%以上」に特定していたのに対して、補正後は「全組成物」を基準に「炭素数20及び22の1価不飽和脂肪酸のエチルエステル」のみの含有量を「90重量%以上」に特定するものへと、その重量百分率の基準ないし発明特定事項の内容が改変されている。
してみると、当該「改変補正」が、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮(第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」、を目的とするものに該当するとは認められない。
また、補正前の「炭素数20及び/又は22の遊離1価不飽和脂肪酸又はそれらの低級アルコールエステルを全脂肪酸および全エステル中の90重量%以上含有する」との記載を含む特許請求の範囲の記載に「誤記」又は「不明瞭な記載」が見当たらないので、当該「改変補正」が、同3号に掲げる「誤記の訂正」、又は同4号に掲げる「明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」を目的とするものに該当するとは認められない。
さらに、当該「改変補正」が、同1号に掲げる「第三十6条第5項に規定する請求項の削除」を目的とするものに該当するとも認められない。

ウ 目的要件のまとめ
以上のとおりであるから、上記「変更補正」及び「改変補正」を含む第3補正は、目的要件を満たすものではなく、特許法第17条の2第5項の規定に違反する。

(2)限定的減縮を含む点について
第3補正は、補正前の請求項1の「少なくとも、遊離ガドレイン酸(n−11)若しくはその低級アルコールエステル、及び遊離セトレイン酸(n−11)若しくはその低級アルコールエステルを含み」との記載部分を、補正後の請求項1の「少なくとも、ガドレイン酸(n−11)エチルエステル、及びセトレイン酸(n−11)エチルエステルを含む」との記載に改めて、特許請求の範囲を減縮する補正を含むものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項(限定的減縮)を目的とする補正を含むものといえる。
そこで、第3補正による補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「補1発明」ともいう。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に適合するか否か)について念のため検討する。

(3)独立特許要件について
ア 引用文献1の記載事項
原査定で引用文献1として引用された「特開2001−294525号公報」には、次の記載がある。

摘記1a:請求項1
「【請求項1】炭素数20のモノエン酸及び/又はその誘導体、並びに炭素数22のモノエン酸及び/又はその誘導体を有効成分として含有する糖尿病予防治療剤。」

摘記1b:段落0008〜0010
「【0008】【発明の実施の形態】次に、本発明について詳細に説明する。本発明の糖尿病予防治療剤の有効成分である炭素数20のモノエン酸及び/又はその誘導体、並びに炭素数22のモノエン酸及び/又はその誘導体は、具体的には、炭素数20のゴンドイン酸(ゴンドウ酸)、ガドレイン酸、5−イコセン酸等のイコセン酸(エイコセン酸)及び/又はその誘導体、並びに炭素数22のエルカ酸(エルシン酸)、セトレイン酸、5−ドコセン酸等のドコセン酸及び/又はその誘導体である。
【0009】本発明に使用される高級モノエン酸である炭素数20のモノエン酸、並びに炭素数22のモノエン酸は、医薬的又は食品的に許容されるものであれば特に制限はなく、これらの高級モノエン酸の含有量が多い天然油脂、例えば、さめ肝油、鯨油、たら肝油、なたね油、からし油、キャベツ種子油、ホホバ油、メドウフォーム油等を、そのまま又は適宜組み合わせて使用することが可能であり、また、これらの天然油脂から、イコセン酸又はドコセン酸を常法、例えば分別蒸留、結晶化、溶媒抽出、尿素包接化、又はクロマトグラフィーにより抽出、精製して使用することも可能である。尚、簡便には、市販のゴンドイン酸、又はエルカ酸(いずれもシグマ社製)を使用することができる。
【0010】本発明に使用される高級モノエン酸である炭素数20のモノエン酸、並びに炭素数22のモノエン酸の誘導体、いわゆる高級モノエン酸の誘導体には、高級モノエン酸の塩のほか、種々のエステル等の誘導体を包含する。具体的には、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、メタノール、エタノール等の低級脂肪族アルコールとのエステル、モノ、ジ、又はトリグリセライド等を例示することができる。」

摘記1c:段落0019、0024〜0025及び0027〜0031
「【0019】…試験例1…
試料1:本発明の炭素数20のモノエン酸であるゴンドイン酸1重量部及び炭素数22のモノエン酸であるエルカ酸1重量部からなる高級モノエン酸混合物
試料2:ゴンドイン酸
試料3:エルカ酸…
【0024】更に、本発明の高級モノエン酸混合物試料1は、ゴンドイン酸の単独使用の試料2、エルカ酸の単独使用の試料3、及びオレイン酸の単独使用の試料4に比較して、血糖値の低下作用に優れており、…糖尿病の予防及び治療のためには、…炭素数20のモノエン酸及び/又はその誘導体、並びに炭素数22のモノエン酸及び/又はその誘導体を組み合わせて使用することが有効であることが判明した。
【0025】尚、ゴンドイン酸に変えて炭素数20のガドレイン酸、5−イコセン酸、若しくはこれらの誘導体、又はエルカ酸に変えて炭素数22のセトレイン酸、5−ドコセン酸、若しくはこれらの誘導体を使用して試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。…
【0027】試験例2
この試験は、血糖値を指標として、炭素数20のモノエン酸及び/又はその誘導体、並びに炭素数22のモノエン酸及び/又はその誘導体の重量比を調べるために行った。
(1)試料の調製
次に示す4種類の試料を前記試験例1と同一の方法により調製した。
試料13:炭素数20のモノエン酸であるゴンドイン酸1重量部及び炭素数22のモノエン酸であるエルカ酸0.2重量部からなる高級モノエン酸混合物
試料14:炭素数20のモノエン酸であるゴンドイン酸1重量部及び炭素数22のモノエン酸であるエルカ酸0.3重量部からなる高級モノエン酸混合物
試料15:炭素数20のモノエン酸であるゴンドイン酸1重量部及び炭素数22のモノエン酸であるエルカ酸17重量部からなる高級モノエン酸混合物
試料16:炭素数20のモノエン酸であるゴンドイン酸1重量部及び炭素数22のモノエン酸であるエルカ酸18重量部からなる高級モノエン酸混合物
【0028】(2)試験方法
各試料の糖尿病症の予防及び治療効果を、前記試験例1の試験方法により試験した。
【0029】(3)試験結果
この試験の結果は、表2に示すとおりである。表2から明らかなとおり、炭素数20のモノエン酸であるゴンドイン酸1重量部に対して、炭素数22のモノエン酸であるエルカ酸が0.3乃至17重量部の重量比である場合に、血糖値の低下作用に一層優れていることから、糖尿病を一層有効に予防及び治療するためには、炭素数20のモノエン酸及び/又はその誘導体1重量部に対する炭素数22のモノエン酸及び/又はその誘導体の比率は、0.3乃至17重量部が望ましい範囲であることが判明した。
【0030】尚、ゴンドイン酸に変えて炭素数20のガドレイン酸、5−イコセン酸、若しくはこれらの誘導体、又はエルカ酸に変えて炭素数22のセトレイン酸、5−ドコセン酸、若しくはこれらの誘導体を使用して試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0031】【表2】




イ 引用文献1に記載された発明
摘記1c:の「試験例2…4種類の試料を…調製した。試料13:炭素数20のモノエン酸であるゴンドイン酸1重量部及び炭素数22のモノエン酸であるエルカ酸0.2重量部からなる高級モノエン酸混合物…各試料の糖尿病症の予防及び治療効果を…試験した。…この試験の結果は、表2に示すとおりである。…血糖値の低下作用に一層優れている…尚、ゴンドイン酸に変えて炭素数20のガドレイン酸、5−イコセン酸、若しくはこれらの誘導体、又はエルカ酸に変えて炭素数22のセトレイン酸、5−ドコセン酸、若しくはこれらの誘導体を使用して試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。」との記載からみて、引用文献1には、
『炭素数20のガドレイン酸、5−イコセン酸、若しくはこれらの誘導体1重量部及び炭素数22のセトレイン酸、5−ドコセン酸、若しくはこれらの誘導体0.2重量部からなる、糖尿病症の予防及び治療用の混合物。』についての発明(以下「引1発明」という。)が記載されているといえる。

ウ 対比
補1発明と引1発明とを対比する。
引1発明の「炭素数20のガドレイン酸、5−イコセン酸、若しくはこれらの誘導体」と、補1発明の「ガドレイン酸(n−11)エチルエステル」は、引用文献1の段落0010(摘記1b)の「使用される高級モノエン酸である炭素数20のモノエン酸、並びに炭素数22のモノエン酸の誘導体」として「エタノール等の低級脂肪族アルコールとのエステル」が例示されているように、高級モノエン酸の「エチルエステル」は、高級モノエン酸の「誘導体」の一種であり、引1発明の「炭素数20のガドレイン酸、5−イコセン酸、若しくはこれらの誘導体」という選択肢の中に「炭素数20のガドレイン酸の誘導体」があるから、両者とも「ガドレイン酸(n−11)の誘導体」という点において共通する。
引1発明の「炭素数22のセトレイン酸、5−ドコセン酸、若しくはこれらの誘導体」と、補1発明の「セトレイン酸(n−11)エチルエステル」は、高級モノエン酸の「エチルエステル」は、高級モノエン酸の「誘導体」の一種であり、引1発明の「炭素数22のセトレイン酸、5−ドコセン酸、若しくはこれらの誘導体」という択肢の中に「炭素数22のセトレイン酸の誘導体」があるから、両者とも「セトレイン酸(n−11)の誘導体」という点において共通する。
引1発明の「炭素数20のガドレイン酸、5−イコセン酸、若しくはこれらの誘導体」及び「炭素数22のセトレイン酸、5−ドコセン酸、若しくはこれらの誘導体」と、補1発明の「炭素数20及び22の1価不飽和脂肪酸のエチルエステル」は、両者とも「炭素数20及び22の1価不飽和脂肪酸の誘導体」という点において共通する。
引1発明の「炭素数20のガドレイン酸、5−イコセン酸、若しくはこれらの誘導体1重量部及び炭素数22のセトレイン酸、5−ドコセン酸、若しくはこれらの誘導体0.2重量部からなる…混合物」と、補1発明の「炭素数20及び22の1価不飽和脂肪酸のエチルエステルを全組成物に対して90重量%以上含有する、脂肪酸低級アルコールエステル組成物」は、引1発明の「混合物」が「炭素数20のガドレイン酸、5−イコセン酸、若しくはこれらの誘導体」という選択肢のうちの「誘導体」と「炭素数22のセトレイン酸、5−ドコセン酸、若しくはこれらの誘導体」という選択肢のうちの「誘導体」のみの100重量%の組成からなる「脂肪酸の誘導体の組成物」を構成する場合には、両者とも「炭素数20及び22の1価不飽和脂肪酸の誘導体を全組成物に対して90重量%以上含有する、脂肪酸の誘導体の組成物」という点において共通する。

してみると、補1発明と引1発明は『少なくとも、ガドレイン酸(n−11)の誘導体、及びセトレイン酸(n−11)の誘導体を含む、脂肪酸の誘導体の組成物であって、炭素数20及び22の1価不飽和脂肪酸の誘導体を全組成物に対して90重量%以上含有する、脂肪酸の誘導体の組成物。』という点において一致し、次の(α)及び(β)の点において相違する。

(α)脂肪酸の誘導体の組成物が、補1発明においては「ガドレイン酸(n−11)エチルエステル」及び「セトレイン酸(n−11)エチルエステル」を含む「脂肪酸低級アルコールエステル組成物」であるのに対して、引1発明においては「炭素数20のガドレイン酸、5−イコセン酸、若しくはこれらの誘導体」及び「炭素数22のセトレイン酸、5−ドコセン酸、若しくはこれらの誘導体」の「混合物」に含まれる「誘導体」の種類が、具体的にどのような「誘導体」であるのか特定されていない点。

(β)脂肪酸の誘導体の組成物が、補1発明においては「炭素数20及び22の1価不飽和脂肪酸のエチルエステルを全組成物に対して90重量%以上含有する、脂肪酸低級アルコールエステル組成物」であるのに対して、引1発明においては「炭素数20のガドレイン酸、5−イコセン酸、若しくはこれらの誘導体1重量部及び炭素数22のセトレイン酸、5−ドコセン酸、若しくはこれらの誘導体0.2重量部からなる、糖尿病症の予防及び治療用の混合物」である点。

エ 判断
(ア)上記(α)の相違点について
引1発明の「炭素数20のガドレイン酸、5−イコセン酸、若しくはこれらの誘導体」及び「炭素数22のセトレイン酸、5−ドコセン酸、若しくはこれらの誘導体」は、選択肢として「炭素数20のガドレイン酸の誘導体」及び「炭素数22のセトレイン酸の誘導体」を含むものである。
そして、引用文献1の段落0010(摘記1b)には「使用される高級モノエン酸である炭素数20のモノエン酸、並びに炭素数22のモノエン酸の誘導体」として、具体的には「エタノール等の低級脂肪族アルコールとのエステル」等が例示されている。
してみると、引用文献1には、引1発明の「炭素数20のガドレイン酸、5−イコセン酸、若しくはこれらの誘導体」及び「炭素数22のセトレイン酸、5−ドコセン酸、若しくはこれらの誘導体」からなる混合物の誘導体の種類を、具体的には「ガドレイン酸とエタノールとのエステル」及び「セトレイン酸とエタノールとのエステル」にすることが記載されているといえる。
加えて、例えば、国際公開第2012/121080号(周知例A)の段落0029〜0030の「メタボリックシンドローム改善剤に使用されるモノ不飽和脂肪酸は、それらの塩またはエステルであることができる。…好ましくは、グリセリンエステルまたはエチルエステルなどである。…メタボリックシンドローム改善剤に使用されるモノ不飽和脂肪酸としては、C22:1および/またはC20:1のグリセリドを含有する魚油を用いることができる。…タラ科に属する魚、…サメ類の肝油にも多く含まれる。」との記載にあるように、C22:1および/またはC20:1のモノ不飽和脂肪酸の好ましい誘導体が「エチルエステル」であることが普通に知られている。
してみると、引1発明の「炭素数20のガドレイン酸、5−イコセン酸、若しくはこれらの誘導体」及び「炭素数22のセトレイン酸、5−ドコセン酸、若しくはこれらの誘導体」を、引用文献1の段落0010(摘記1b)の「エタノール等の低級脂肪族アルコールとのエステル」との記載、及び周知例Aの段落0029の「好ましくは…エチルエステル」との記載にある技術事項に基づき、補1発明の「ガドレイン酸(n−11)エチルエステル」及び「セトレイン酸(n−11)エチルエステル」とすることは、当業者にとって通常の創作能力の発揮の範囲である。
また、引1発明の誘導体の種類を「エチルエステル」とした場合に、引1発明の「混合物」が必然的に「脂肪酸低級アルコールエステル組成物」になることは当業者に自明である。
したがって、上記(α)の相違点に係る構成については、当業者が容易に想到し得たものと認められる。

(イ)上記(β)の相違点について
上記(ア)で述べたとおり、引1発明の「炭素数20のガドレイン酸、5−イコセン酸、若しくはこれらの誘導体」及び「炭素数22のセトレイン酸、5−ドコセン酸、若しくはこれらの誘導体」を、補1発明の「ガドレイン酸(n−11)エチルエステル」及び「セトレイン酸(n−11)エチルエステル」とすることは、当業者にとって通常の創作能力の発揮の範囲である。そして、この場合の混合物の組成は、エチルエステル100%の「脂肪酸低級アルコールエステル組成物」になることは自明である。
したがって、上記(β)の相違点に係る構成については、当業者が容易に想到し得たものと認められる。

(ウ)補1発明の効果について
本願明細書の段落0008の「発明の効果」の欄には「本発明の方法によれば、高濃度のLC−MUFAを効率よく得ることができる。…従来分離するのが困難であった水産物油脂由来のLC−MUFAを炭素数別に分離できたことにより、個々の機能を明確にし、有効利用することができる。LC−MUFAを有効成分とする医薬品、サプリメントなどの用途に適する。」との記載がなされている。
しかしながら、上記「発明の効果」は「方法」の発明や、原料として「水産物油脂」を用いた場合の効果であるところ、補1発明は「方法」の発明ではなく、補1発明は「水産物の油脂由来」の「脂肪酸低級アルコールエステル組成物」に特定されるものでもないので、本願明細書の記載を参酌しても、補1発明に格別の効果があると認めるに至らない。

(エ)補1発明の進歩性のまとめ
したがって、補1発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。

(オ)審判請求人の主張について
審判請求書の4.の項(第4〜5頁)で、審判請求人は『本願の実施例の記載からも明らかなように、本願発明は水産物原料の油脂から工業的スケールで製造可能な遊離脂肪酸又はその低級アルコールエステルであるのに対し、引用文献1には実験において使用する試薬が記載されているに過ぎません。…参照箇所として具体的に特定がされている段落番号[0030]には、単にゴンドイン酸、セトレイン酸などに言及がされているに過ぎず、それらを成分として含有する組成物、特に工業的スケールでの製造が可能な組成物について引用文献1には何らの記載も示唆もありません。』と主張する。
しかしながら、補1発明は「水産物原料の油脂から工業的スケールで製造可能な遊離脂肪酸又はその低級アルコールエステル」に関するものに特定されていないので、上記「本願発明は水産物原料の油脂から工業的スケールで製造可能な遊離脂肪酸又はその低級アルコールエステルである」との主張は採用できないし、引用文献1の段落0009(摘記1b)には、炭素数20及び22のモノエン酸が「さめ肝油」などの天然油脂を精製して得られることが記載され、例えば、上記周知例Aの段落0027、0030及び0065にも、ドコセン酸(C22:1)やイコセン酸(C20:1)が、サメ類の肝油やサンマ油に多く含まれていることが記載され、特開2004−2269号公報(周知例B)の段落0009及び0015にも、アイザメ肝油やスケトウダラ肝油などから、9−エイコセン酸メチルエステル(慣用名:ガドレイン酸)や、10−ドコセン酸メチルエステル(慣用名:セトレイン酸)などの脂肪酸メチルエステルが製造されることが記載されている。してみれば、水産物原料の油脂から遊離脂肪酸又はその低級アルコールエステルを製造することは、当業者にとって周知慣用の常套手段にすぎないものと認められ、審判請求人の「水産物原料の油脂から工業的スケールで製造可能」という補1発明の発明特定事項に関係のない主張について考慮しても、補1発明に進歩性があるとはいえない。
また、引用文献1の段落0030(摘記1c)には、試料13などの具体例におけるゴンドイン酸とエルカ酸に代えて「炭素数20のガドレイン酸の誘導体」と「炭素数22のセトレイン酸の誘導体」を使用して試験したことが記載されているので、審判請求人の上記「段落番号[0030]には、単にゴンドイン酸、セトレイン酸などに言及がされているに過ぎず」との主張も採用できない。

(4)補正の却下のまとめ
以上総括するに、第3補正は、目的要件違反があるという点において特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであり、また、独立特許要件違反があるという点において同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するから、その余のことを検討するまでもなく、同法第159条第1項において読み替えて準用する同様第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、〔補正の却下の決定の結論〕のとおり決定する。

第3 本願発明について
1.本願請求項1〜10に係る発明
第3補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1〜10に係る発明は、第2補正により補正された特許請求の範囲の請求項1〜10に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。そして、そのうちの本願請求項1に係る発明(以下「本1発明」という。)は、上記第2 1.に示したとおりである。

2.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は「この出願については、令和2年12月17日付け拒絶理由通知書に記載した理由1、2によって、拒絶をすべきものです。」というものである。
そして、令和2年12月17日付けの拒絶理由通知書には、理由1及び2として、
「1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」
との理由が示されるとともに、その「記」には、次のとおりの指摘がなされている。
「●理由1(新規性)、理由2(進歩性)について
・請求項 1−10
・引用文献等 1
・備考
引用文献1には、 炭素数20のモノエン酸及び/又はその誘導体、並びに炭素数22のモノエン酸及び/又はその誘導体を有効成分として含有する糖尿病予防治療剤が記載されており、前記炭素数20のモノエン酸及び/又はその誘導体として、ゴンドイン酸(ゴンドウ酸)、ガドレイン酸、5−イコセン酸等のイコセン酸(エイコセン酸)及び/又はその誘導体であること、前記炭素数22のモノエン酸及び/又はその誘導体として、エルカ酸(エルシン酸)、セトレイン酸、5−ドコセン酸等のドコセン酸及び/又はその誘導体であること、前記誘導体には、メタノール、エタノール等の低級脂肪族アルコールとのエステル等が含まれること、高級モノエン酸の含有量が高い天然油脂、例えば、さめ肝油、鯨油、たら肝油等から得られるものを使用しても良いことが記載されており、
試験例1の試料1には炭素数20のモノエン酸としてゴンドイン酸1重量部、炭素数22のモノエン酸としてエルカ酸1重量部からなる高級モノエン酸混合物が、試験例2の試料13〜15には炭素数20のモノエン酸としてゴンドイン酸1重量部に対して、炭素数22のモノエン酸としてエルカ酸0.3〜17重量部からなる高級モノエン酸混合物が記載されており、これら試料は糖尿病の予防及び治療効果が得られたことが、ゴンドイン酸に変えて炭素数20のガドレイン酸、5−イコセン酸、若しくはこれらの誘導体、又はエルカ酸に変えて炭素数22のセトレイン酸、5−ドコセン酸、若しくはこれらの誘導体を使用しても同様の結果が得られたことが記載されており、さらに実施例には、本願の糖尿病棒治療剤が、食品形態の糖尿病予防治療用栄養組成物に適用されることが記載されている(特許請求の範囲、段落0008-0010、0019-0031、実施例)。
ここで、試料1、13−16は炭素数22のモノエン酸、炭素数20のモノエン酸のみからなるものであり、当該試料において炭素数20のモノエン酸をガドレイン酸に、または、炭素数22のモノエン酸をセトレイン酸に変えた試料は、炭素数20及び/又は22の遊離1価不飽和脂肪酸を全脂肪酸の90重量%以上含有しているものであるし、特に試料13−14において、炭素数20のモノエン酸をガドレイン酸に変えた試料は、ガドレイン酸を全脂肪酸中に70重量%以上含有するものである。
よって、請求項1−10に係る発明は、引用文献1に記載された発明であるか、引用文献1に記載の発明に基いて当業者であれば容易に想到し得たものである。」

また、拒絶査定の「備考」には、次のとおりの指摘がなされている。
「出願人は意見書において、遊離脂肪酸又はその低級アルコールエステルが、遊離ガドレイン酸(n-11)若しくはその低級アルコールエステル、及び遊離セトレイン酸(n-11)若しくはその低級アルコールエステルの両方を含むように特定したものであるから、引用文献1に記載の試料とは異なる旨主張する。
しかしながら、引用文献1の段落0030に「ゴンドイン酸に変えて炭素数20のガドレイン酸・・・若しくはこれらの誘導体、又は、エルカ酸に変えて炭素数22のセトレイン酸・・・若しくはこれらの誘導体を使用して」と記載されており、試料1、13−16において、ゴドイン酸をガドレイン酸又はその誘導体、エルカ酸をセトレイン酸又はその誘導体に変えた試料は本願請求項1で特定する遊離ガドレイン酸(n-11)若しくはその低級アルコールエステル、及び遊離セトレイン酸(n-11)若しくはその低級アルコールエステルの両方を含む遊離脂肪酸又はその低級アルコールエステルと何ら相違しない。
よって、上記出願人の主張は採用できない。
また、出願人は、本願発明は水産物の原料の油脂から工業的スケールで製造可能な遊離脂肪酸又はその低級アルコールエステルであるのに対し、引用文献1には実験において使用する試薬が記載されているに過ぎない旨主張する。
しかしながら、本願請求項1に係る発明は「遊離脂肪酸又はその低級アルコールエステル」の発明、すなわち物の発明であるから、その物の製造方法や入手方法が異なったとしても、物として区別することができない。
よって、上記出願人の主張は採用できない。」

3.理由1(新規性)及び理由2(進歩性)について
(1)引用文献1及びその記載事項について
引用文献1には、上記第2 2.(3)アに示したとおりの記載がある。
また、引用文献1には、上記第2 2.(3)イに示したように、次の引1発明(再掲)が記載されているといえる。
『炭素数20のガドレイン酸、5−イコセン酸、若しくはこれらの誘導体1重量部及び炭素数22のセトレイン酸、5−ドコセン酸、若しくはこれらの誘導体0.2重量部からなる、糖尿病症の予防及び治療用の混合物。』

(2)対比・判断
引1発明の「炭素数20のガドレイン酸、5−イコセン酸、若しくはこれらの誘導体1重量部及び炭素数22のセトレイン酸、5−ドコセン酸、若しくはこれらの誘導体0.2重量部」からなる「混合物」は、引用文献1の段落0027〜0031の「試験例2」の記載にあるように、具体的には、試料13の高級モノエン酸混合物の組成において、炭素数20のゴンドイン酸に変えて「炭素数20のガドレイン酸、5−イコセン酸、若しくはこれらの誘導体」のうちの1種類を使用し、炭素数22のエルカ酸に変えて「炭素数22のセトレイン酸、5−ドコセン酸、若しくはこれらの誘導体」のうちの1種類を使用して試験したものである。
してみると、引1発明の「炭素数20のガドレイン酸、5−イコセン酸、若しくはこれらの誘導体」のうちの1種類である「ガドレイン酸」は、本1発明の「遊離ガドレイン酸(n−11)若しくはその低級アルコールエステル」に相当し、
引1発明の「炭素数22のセトレイン酸、5−ドコセン酸、若しくはこれらの誘導体」のうちの1種類である「セトレイン酸」は、本1発明の「遊離セトレイン酸(n−11)若しくはその低級アルコールエステル」に相当し、
引1発明の「炭素数20のガドレイン酸、5−イコセン酸、若しくはこれらの誘導体1重量部及び炭素数22のセトレイン酸、5−ドコセン酸、若しくはこれらの誘導体0.2重量部」からなる「混合物」は、炭素数20の脂肪酸と、炭素数22の脂肪酸の両方を必ず含むように特定されているものであることから、本1発明の「少なくとも、遊離ガドレイン酸(n−11)若しくはその低級アルコールエステル、及び遊離セトレイン酸(n−11)若しくはその低級アルコールエステルを含」む「遊離脂肪酸又はその低級アルコールエステル」に相当する。
そして、引1発明の「炭素数20のガドレイン酸、5−イコセン酸、若しくはこれらの誘導体1重量部及び炭素数22のセトレイン酸、5−ドコセン酸、若しくはこれらの誘導体0.2重量部」からなる「混合物」は、引用文献1の段落0027〜0031の「試験例2」の記載にあるように、具体的には、試料13の高級モノエン酸混合物の組成において、ゴンドイン酸1重量部に変えて「ガドレイン酸」の1重量部を使用し、エルカ酸0.2重量部に変えて「セトレイン酸」の0.2重量部を使用したものであって、ガドレイン酸とセトレイン酸のみからなる組成にあるといえるから、引1発明の「混合物」における「全脂肪酸および全エステル」中の「炭素数20及び22の遊離1価不飽和脂肪酸」の割合は100重量%となり、本1発明の「炭素数20及び/又は22の遊離1価不飽和脂肪酸又はそれらの低級アルコールエステルを全脂肪酸および全エステル中の90重量%以上含有する、遊離脂肪酸又はその低級アルコールエステル」に相当する。

してみると、本1発明と引1発明は「少なくとも、遊離ガドレイン酸(n−11)若しくはその低級アルコールエステル、及び遊離セトレイン酸(n−11)若しくはその低級アルコールエステルを含み、炭素数20及び/又は22の遊離1価不飽和脂肪酸又はそれらの低級アルコールエステルを全脂肪酸および全エステル中の90重量%以上含有する、遊離脂肪酸又はその低級アルコールエステル。」という点において一致し、両者に相異する点はない。
したがって、本1発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

また、引1発明の「炭素数20のガドレイン酸、5−イコセン酸、若しくはこれらの誘導体1重量部及び炭素数22のセトレイン酸、5−ドコセン酸、若しくはこれらの誘導体0.2重量部」からなる「混合物」は、炭素数20の脂肪酸又はその誘導体として、ガドレイン酸以外の「5−イコセン酸、若しくはこれらの誘導体」の選択肢の場合を含み、炭素数22の脂肪酸又はその誘導体として、セトレイン酸以外の「5−ドコセン酸、若しくはこれらの誘導体」の選択肢の場合を含むという点において、本1発明と仮に相違するとしても、引用文献1の段落0009(摘記1b)には、使用される高級モノエン酸は、炭素数20及び/又は22の高級モノエン酸の含有量が多い天然油脂(例えば、さめ肝油やたら肝油)から、常法で抽出したものを使用する旨の記載があるので、引1発明の「炭素数20のガドレイン酸、5−イコセン酸、若しくはこれらの誘導体」及び「炭素数22のセトレイン酸、5−ドコセン酸、若しくはこれらの誘導体」として、天然油脂に多く含まれる「ガドレイン酸」と「セトレイン酸」を選択することは、当業者にとって通常の創作能力の発揮の範囲であり、本1発明の「遊離脂肪酸又はその低級アルコールエステル」というカテゴリーの発明に格別予想外の効果があるとも認められない。
したがって、本1発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

4.むすび
以上のとおり、本1発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
また、本1発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、原査定に誤りはなく、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2022-12-09 
結審通知日 2022-12-12 
審決日 2023-01-05 
出願番号 P2019-228519
審決分類 P 1 8・ 113- Z (C11B)
P 1 8・ 121- Z (C11B)
P 1 8・ 575- Z (C11B)
P 1 8・ 572- Z (C11B)
P 1 8・ 574- Z (C11B)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 井上 典之
特許庁審判官 関 美祝
木村 敏康
発明の名称 水産物由来遊離1価不飽和脂肪酸又はその低級アルコールエステルの製造方法  
代理人 松尾 淳一  
代理人 宮前 徹  
代理人 山本 修  
代理人 寺地 拓己  

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