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審決分類 |
審判 査定不服 原文新規事項追加の補正 取り消して特許、登録 H03M 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H03M |
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管理番号 | 1394836 |
総通号数 | 15 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2023-03-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-02-24 |
確定日 | 2023-02-14 |
事件の表示 | 特願2018−500574「アナログ−デジタル変換器の入力信号をフィルタリングするためのフィルタの切り替え」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 1月12日国際公開、WO2017/005745、平成30年 9月13日国内公表、特表2018−526868、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2016年(平成28年)7月5日(パリ条約による優先権主張 2015年(平成27年)7月9日、ドイツ)を国際出願日とする出願であって、平成30年3月2日に特許協力条約第34条補正の翻訳文が提出され、令和2年6月3日付けで拒絶の理由が通知され、令和2年9月8日に手続補正がされ、令和3年2月16日付けで最後の拒絶の理由が通知され、令和3年5月21日に誤訳訂正がされ、令和3年10月26日付けで令和3年5月21日の誤訳訂正書でした補正が却下され、同日付で拒絶査定がされたものである。これに対し、令和4年2月24日に本件審判の請求がされ、同時に誤訳訂正がされ、令和4年10月31日付けで当審により拒絶の理由が通知され、令和4年12月21日に手続補正がされた。 第2 原査定の概要 1.(新規事項)令和2年9月8日付け手続補正書でした補正は、下記の点で外国語書面の翻訳文(又は誤訳訂正書による補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 記 ●理由1(新規事項)について ・請求項1−12 令和2年9月8日付け手続補正書でした補正後の請求項1に記載された「前記入力信号と前記第1の入力基準値との間の差の数学的記号」は、外国語書面の翻訳文(又は誤訳訂正書による補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面)に記載されていないし、当業者にとって明らかなことともいえない。 請求項2−12についても同様である。 ・明細書の段落0033 令和2年9月8日付け手続補正書でした補正後の段落0033に記載された「入力信号の数学的記号と関連する基準値との間の差の数学的記号」は、外国語書面の翻訳文(又は誤訳訂正書による補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面)に記載されていないし、当業者にとって明らかなことともいえない。 第3 令和4年10月31日付けの当審による拒絶理由通知の概要 1.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 第4 本願発明 本願の請求項1−12に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」−「本願発明12」という。)は、令和4年12月21日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1−12に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。(下線は補正箇所を示す。) 【請求項1】 フィルタ回路(200)であって、 第1のフィルタ・ライン(210)であって、前記第1のフィルタ・ライン(210)が第1の入力回路(10)、第1の積分回路(20)、および第1の出力回路(30)を有し、 前記第1のフィルタ・ライン(210)が、第1の入力基準値(11、12、13、14)を有し、 前記第1の入力回路(10)が、入力信号(5)の数値の関数として、前記入力信号(5)を少なくとも2つの区別可能な第1のファーストステージの出力信号に変換し、 前記第1のファーストステージの出力信号を判定するために、前記第1の入力基準値(11、12、13、14)が、前記入力信号と比較され、 前記第1のファーストステージの出力信号は、前記入力信号(5)と前記第1の入力基準値(11、12、13、14)との間の差のプラス符号またはマイナス符号に対応し、 前記第1の入力回路(10)はまた、所定の周期の間、前記第1のファーストステージの出力信号が前記第1の積分回路(20)を中継するよう構成され、 前記第1の積分回路(20)が、前記第1の入力回路(10)の前記第1のファーストステージの出力信号を前記所定の周期に渡って積分し、第1の積分信号(25)を生成するよう構成され、 前記第1の出力回路(30)が、前記第1の積分信号(25)を第1の出力基準値と比較して、第1のセカンドステージの出力信号(35)を生成するよう構成される、フィルタ回路(200)。 【請求項2】 前記第1の入力回路(10)が、入力比較器(410)を少なくとも含み、前記第1の出力回路(30)が、出力比較器(430)を少なくとも含む、請求項1に記載のフィルタ回路(200)。 【請求項3】 前記第1の積分回路(20)が、第1のキャパシタおよび第1のスイッチを少なくとも有し、 前記第1のキャパシタと前記第1のスイッチが、前記第1のファーストステージの出力信号に関連する電荷を前記所定の周期に渡って蓄積するよう構成される、請求項1または2に記載のフィルタ回路(200)。 【請求項4】 前記所定の周期が、第1の定時信号により規定される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルタ回路(200)。 【請求項5】 前記第1のフィルタ・ライン(210)が、前記時間離散化(40、440)を行うための第1の回路を有し、前記時間離散化(40、440)を行うための前記第1の回路が、前記第1のセカンドステージの出力信号を処理して、時間離散出力信号(45)に変換するよう構成される請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルタ回路(200)。 【請求項6】 前記時間離散化(40、440)を行うための前記第1の回路が、前記第1のセカンドステージの出力信号(35)を前記第1の定時信号の関数としての時間離散出力信号(45)に変換するよう構成される、請求項5に記載のフィルタ回路(200)。 【請求項7】 前記フィルタ回路が、第2のフィルタ・ライン(210)を少なくとも含み、前記入力信号の第1の範囲が、前記第1のフィルタ・ライン(210)に関連し、前記入力信号(5)の第2の範囲区画が、前記第2のフィルタ・ライン(210)に関連し、前記入力信号(5)の前記第1の範囲は前記入力信号(5)の前記第2の範囲とは異なる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のフィルタ回路(200)。 【請求項8】 第3のフィルタ・ライン(210)も少なくとも含み、前記入力信号(5)の第3の範囲が、前記第3のフィルタ・ライン(210)に関連し、前記入力信号(5)の前記第2の範囲が、前記入力信号(5)の前記第1の範囲に隣接し、前記入力信号(5)の前記第3の範囲が、前記入力信号(5)の前記第2の範囲に隣接する、請求項7に記載のフィルタ回路(200)。 【請求項9】 前記第2のフィルタ・ライン(210)が、第2の入力基準値(11、12、13、14)を有し、前記第3のフィルタ・ライン(210)が、第3の入力基準値(11、12、13、14)を有し、前記第1の範囲が、前記第1の入力基準値(11、12、13、14)により関連付けられ、前記第2の範囲が、前記第2の入力基準値(11、12、13、14)により関連付けられ、前記第3の範囲が、前記第3の入力基準値(11、12、13、14)により関連付けられる、請求項8に記載のフィルタ回路(200)。 【請求項10】 前記第1のセカンドステージの出力信号(35)により、前記第2のフィルタ・ライン(210)により生成される第2のセカンドステージの出力信号(35)により、前記第3のフィルタ・ライン(210)により生成される第3のセカンドステージの出力信号(35)により、温度計コードが生成される、請求項8または9に記載のフィルタ回路(200)。 【請求項11】 アナログ−デジタル変換器であって、請求項10に記載のフィルタ回路(200)および変換ユニット(50)を含み、前記変換ユニット(50)が、前記離散時間の温度計コードを離散時間の2値の出力信号(305)に変換するよう構成される、アナログ−デジタル変換器。 【請求項12】 信号をフィルタリングする方法であって、 入力信号(5)の数値の関数として、前記入力信号(5)を少なくとも2つの区別可能な第1のファーストステージの出力信号に変換し、 前記第1のファーストステージの出力信号を判定するために、第1の入力基準値(11、12、13、14)が、前記入力信号と比較され、 前記第1のファーストステージの出力信号は、前記入力信号(5)と前記第1の入力基準値(11、12、13、14)との間の差のプラス符号またはマイナス符号に対応するステップと、 前記第1のファーストステージの出力信号を所定の周期で積分するステップと、 前記積分するステップでの結果に基づいて、第1の積分信号(25)を生成するステップと、 前記第1の積分信号(25)を第1の出力基準値と比較するステップと、 前記比較するステップでの結果に基づいて、第1のセカンドステージの出力信号(35)を生成するステップと、 を含む方法。 第5 当審による拒絶理由通知について 特許請求の範囲の記載が上記第4の下線部に示したとおりに補正されたことにより、当審の拒絶理由通知で指摘した明確性についての記載不備は全て解消した。 よって、この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たすものである。 第6 原査定について 新規事項の判断の対象となった請求項1−12の「前記入力信号と前記第1の入力基準値との間の差の数学的記号」、及び、段落0033の「入力信号の数学的記号と関連する基準値との間の差の数学的記号」との事項は、令和4年2月24日の誤訳訂正、令和4年12月21日の手続補正による補正により、それぞれ、「前記入力信号(5)と前記第1の入力基準値(11、12、13、14)との間の差のプラス符号またはマイナス符号」、及び、「入力信号と基準値との間の差の数学的符号」と補正され、原査定の理由は解消した。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由、当審により通知した拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2023-01-30 |
出願番号 | P2018-500574 |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WY
(H03M)
P 1 8・ 562- WY (H03M) |
最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
國分 直樹 |
特許庁審判官 |
渡辺 努 千葉 輝久 |
発明の名称 | アナログ−デジタル変換器の入力信号をフィルタリングするためのフィルタの切り替え |
代理人 | 弁理士法人矢野内外国特許事務所 |