ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G06F 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F |
---|---|
管理番号 | 1394871 |
総通号数 | 15 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2023-03-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-03-11 |
確定日 | 2023-02-20 |
事件の表示 | 特願2019−503272「触覚による操縦誘導システム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 1月25日国際公開、WO2018/017212、令和 1年 8月22日国内公表、特表2019−523497、請求項の数(17)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2017年(平成29年)6月15日(パリ条約による優先権主張2016年7月22日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和 3年 3月15日付け:拒絶理由通知書 令和 3年 6月15日 :意見書、手続補正書の提出 令和 3年11月11日付け:拒絶査定 令和 4年 3月11日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提 出 令和 4年 8月30日付け:拒絶理由(当審拒絶理由)通知書 令和 4年11月 9日 :意見書、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和3年11月11日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。 本願請求項1〜8,12〜18に係る発明は、以下の引用文献Aに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 本願請求項1〜8,12〜18に係る発明は、以下の引用文献Aに記載された発明に基づいて、本願請求項9〜11に係る発明は、以下の引用文献A,Bに記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献A:特開2015−131637号公報 引用文献B:特開2016−81521号公報 第3 当審拒絶理由の概要 当審が令和4年8月30日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。 1 理由1(明確性) この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 請求項1の「乗物制御ユニットから受信された第2の制御信号に基づいて、乗物装置に関連したパラメータを調整すべきであると判定することであって」との記載における「判定」の主体は、「プロセッサ」であると解される一方で、「前記乗物制御ユニットは、前記乗物の1つ以上のサブシステムを監視し、前記乗物装置に関連した前記パラメータを調整すべきであると判定することによって前記乗物の前記1つ以上のサブシステムの動作を改善し、前記第2の制御信号を前記プロセッサに送信する」との記載における「判定」の主体は、「乗物制御ユニット」であると解される。 そうすると、請求項1の記載は、「判定」する動作に関して矛盾していると解し得るものであり、その主体が「プロセッサ」、「乗物制御ユニット」のいずれか不明である。 請求項13の記載についても同様に、「判定」する動作に関して矛盾していると解し得る。 よって、請求項1,13に係る発明は明確でない。請求項1,13のいずれかを引用する請求項2〜12,14〜17に係る発明も同様に、明確でない。 2 理由2(進歩性) 本願請求項1−5,10−16,18に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基づいて、本願請求項6−8,17に係る発明は、以下の引用文献1,2に記載された発明に基づいて、本願請求項9に係る発明は、以下の引用文献1,3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2008−309184号公報 引用文献2:特開2015−131637号公報(原査定の引用文献A) 引用文献3:特開2016−81521号公報(原査定の引用文献B) 第4 本願発明 本願請求項1〜17に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」〜「本願発明17」という。)は、令和4年11月9日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1〜17に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1,12,17は次のとおりの発明である(下線は補正箇所を示す。)。 「【請求項1】 触覚出力を介して乗物の態様を調整するようにユーザーを導くためのシステムであって、前記システムは、 前記ユーザーと物理的に接触せずに制御信号に応答して触覚出力を生成するように構成された1つ以上の触覚出力装置であって、前記1つ以上の触覚出力装置は、制御対象の乗物装置の付近にありかつ前記乗物装置とは別々のものである、1つ以上の触覚出力装置と、 前記1つ以上の触覚出力装置に結合されたプロセッサであって、前記プロセッサは、 乗物制御ユニットから第2の制御信号を受信することであって、前記第2の制御信号は、前記乗物装置に関連したパラメータを調整すべきであることを指示し、前記乗物制御ユニットは、前記乗物の1つ以上のサブシステムを監視し、前記乗物装置に関連した前記パラメータを調整すべきであると判定することによって前記乗物の前記1つ以上のサブシステムの動作を改善し、前記第2の制御信号を前記プロセッサに送信する、ことと、 前記パラメータについての現在値及び前記パラメータについての目標値に基づき、前記触覚出力の初期位置及び前記ユーザーの手、手首、腕、足、足首、脚、または体幹に対して前記触覚出力を移動させる経路を決定することと、 前記制御信号を前記1つ以上の触覚出力装置に送信することとを行うように構成されている、プロセッサと を含む、システム。」 「【請求項12】 触覚出力を介して乗物の態様を調整するようにユーザーを導くための方法であって、前記方法は、 乗物制御ユニットから第1の制御信号を受信することであって、前記第1の制御信号は、乗物装置に関連したパラメータを調整すべきであることを指示し、前記乗物制御ユニットは、前記乗物の1つ以上のサブシステムを監視し、前記乗物装置に関連した前記パラメータを調整すべきであると判定することによって前記乗物の前記1つ以上のサブシステムの動作を改善し、前記第1の制御信号を送信する、ことと、 前記パラメータについての現在値及び前記パラメータについての目標値に基づき、前記触覚出力の初期位置及び前記ユーザーの手、手首、腕、足、足首、脚、または体幹に対して前記触覚出力を移動させる経路を決定することと、 前記乗物装置の付近にある1つ以上の触覚出力装置に1つ以上の第2の制御信号を送信することであって、前記1つ以上の触覚出力装置が、前記ユーザーと物理的に接触せずに前記1つ以上の第2の制御信号に基づいて触覚出力を生成する、ことと を含む、方法。」 「【請求項17】 命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令が、プロセッサによって実行されたとき、 乗物装置に関連したパラメータを調整すべきであるとの指示を乗物制御ユニットから受信するステップであって、前記乗物制御ユニットは、乗物の1つ以上のサブシステムを監視し、前記乗物装置に関連した前記パラメータを調整すべきであると判定することによって前記乗物の前記1つ以上のサブシステムの動作を改善し、前記乗物装置に関連した前記パラメータを調整すべきであることを指示する、ステップと、 前記パラメータについての現在値及び前記パラメータについての目標値に基づき、触覚出力の初期位置及びユーザーの手、手首、腕、足、足首、脚、または体幹に対して前記触覚出力を移動させる経路を決定するステップと、 前記乗物装置の付近にある1つ以上の触覚出力装置に1つ以上の制御信号を送信するステップであって、前記1つ以上の触覚出力装置が、前記ユーザーと物理的に接触せずに前記1つ以上の制御信号に基づいて触覚出力を生成する、ステップと を実行することにより、前記触覚出力を介して前記乗物の態様を調整するように前記ユーザーを導くように前記プロセッサを構成する、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。」 なお、本願発明2〜11、本願発明13〜16は、それぞれ、本願発明1、本願発明12を減縮した発明である。 第5 当審拒絶理由の理由1について 令和4年11月9日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1には、「プロセッサ」は、「乗物制御ユニットから第2の制御信号を受信することであって、前記第2の制御信号は、前記乗物装置に関連したパラメータを調整すべきであることを指示」することを「行うように構成されている」こと、及び、「前記乗物制御ユニットは、前記乗物の1つ以上のサブシステムを監視し、前記乗物装置に関連した前記パラメータを調整すべきであると判定することによって前記乗物の前記1つ以上のサブシステムの動作を改善し、前記第2の制御信号を前記プロセッサに送信する」ことが記載されており、「前記パラメータを調整すべきであると判定する」主体が(「プロセッサ」ではなく)「乗物制御ユニット」であることが明確なものとなっている。 この点は、同じく補正された特許請求の範囲の請求項12についても同様である。 よって、当審拒絶理由の理由1は解消した。 第6 引用文献の記載、引用発明等 1 引用文献1、引用発明 (1)当審拒絶理由にて引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。 「【0010】 図1は、実施形態において、手動変速機付エンジンが搭載される車両のシステム図である。 【0011】 車両に搭載されるエンジン(内燃機関)1の出力は、クラッチ2,手動変速機3を介して、図示省略した駆動輪に伝達される。 【0012】 前記クラッチ2は、運転者のクラッチペダル操作によって開放・締結され、手動変速機3は、運転者によるシフトレバー4の操作によってギヤ位置(1速〜5速、後退)が選択される。 【0013】 前記エンジン1の吸気通路5には、電子制御スロットル装置6が備えられる。 【0014】 マイクロコンピュータを内蔵するエンジンコントロールユニット(ECU)7は、前記電子制御スロットル装置6を制御することで、エンジン1の吸入空気量を制御すると共に、図示省略した燃料供給装置を制御することにより、吸入空気量に対し所望の空燃比となるように燃料供給量を制御する。 【0015】 エンジンコントロールユニット7には、各種センサからの信号が入力される。 【0016】 アクセルペダルセンサ11は、アクセルペダルの踏込み量(ストローク量)APOに対応する信号を出力する。 【0017】 クランク角センサ12は、エンジン1のクランク軸8の回転に同期した信号を出力するもので、この信号からエンジン回転速度NEを検出することができる。 【0018】 車速センサ13は、変速機3の出力軸の回転に同期した信号を出力するもので、この信号から車速VSPを検出することができる。 【0019】 シフト位置センサ14は、シフトレバー4の位置に応じた信号を出力するもので、これにより、実際のギヤ位置(ギヤ段)を検出できる。従って、前記シフト位置センサ14は、実際のギヤ位置を検出する検出手段に相当する。 【0020】 また、本実施形態の車両には、運転者に最適なギヤ位置へのシフト操作を促すために、シフト案内コントローラ21及び振動装置22が設けられている。 【0021】 前記シフト案内コントローラ21には、前記エンジンコントロールユニット7からアクセル開度信号APO,エンジン回転速度信号NE,車速信号VSP,シフト位置信号が入力され、これらに基づいてそのときのギヤ位置の適否を判断する。 【0022】 そして、そのときのギヤ位置が最適ギヤ位置でない場合には、運転者にシフト操作を促すべく、前記振動装置22を作動させる(シフト案内手段)。 【0023】 前記振動装置22は、運転中の運転者に振動刺激を与えるための装置であり、最適シフト位置へのシフト操作が振動刺激によって案内されることを運転者に予め認識させておくようにする。 【0024】 従って、振動刺激を感じた運転者は、これをアップ又はダウンシフトの要求であると理解し、実際にアップ又はダウンシフト操作を行うことで、例えば燃費性能に優れたギヤ位置の選択を、熟練者でなくても行えることになる。」 「【0034】 図3は、アクセルペダルを振動させる振動装置22の別の例を示す。 【0035】 図3に示す例では、アクセルペダル52のペダルアーム52aの部分に、ペダルアーム52aを挟んでペダルアーム52aの揺動方向に対向する一対のソレノイド61a,61bを設けてある。 【0036】 前記ソレノイド61a,61bは、コイルに通電することでプランジャーを飛び出させ、前記飛び出たプランジャーが、前記ペダルアーム52aに衝突するようにしてある。 【0037】 これにより、前記ソレノイド61aのコイルに通電すると、アクセルペダル52の踏み込み方向に微小変位して戻る振動が発生し、前記ソレノイド61bのコイルに通電すると、アクセルペダル52を押し戻す方向に微小変位して戻る振動が発生し、運転者のアクセルペダル52を踏んでいる足裏に振動刺激を与えることができる。 【0038】 また、ハンドル、シフトレバー、運転者のシート、運転者のシートベルト、車両のリモコンキーなどを振動させる場合には、これらに振動体を内蔵させ、前記シフト案内コントローラ21からの有線又は無線による指示よって前記振動体を振動させるようにする。 【0039】 ハンドル、シフトレバーは運転者が運転中に手で操作する部分であり、これらに内蔵させた振動体を振動させることで、運転者の手に振動刺激を与えることができ、また、運転者のシート、運転者のシートベルトは、運転中の運転者の上半身や臀部に接触する部分であり、これらに内蔵させた振動体を振動させることで、運転者の上半身や臀部に振動刺激を与えることができる。」 「【図1】 」 「【図3】 」 (2)上記(1)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「車両のシステムであって、 車両に搭載されるエンジン(内燃機関)1の出力は、クラッチ2,手動変速機3を介して、駆動輪に伝達され、 前記クラッチ2は、運転者のクラッチペダル操作によって開放・締結され、手動変速機3は、運転者によるシフトレバー4の操作によってギヤ位置(1速〜5速、後退)が選択され、 マイクロコンピュータを内蔵するエンジンコントロールユニット(ECU)7は、エンジン1の吸入空気量を制御すると共に、燃料供給装置を制御することにより、吸入空気量に対し所望の空燃比となるように燃料供給量を制御し、 エンジンコントロールユニット7には、各種センサからの信号が入力され、 クランク角センサ12は、エンジン1のクランク軸8の回転に同期した信号を出力するもので、この信号からエンジン回転速度NEを検出し、 運転者に最適なギヤ位置へのシフト操作を促すために、シフト案内コントローラ21及び振動装置22が設けられており、 前記シフト案内コントローラ21には、前記エンジンコントロールユニット7からアクセル開度信号APO,エンジン回転速度信号NE,車速信号VSP,シフト位置信号が入力され、これらに基づいてそのときのギヤ位置の適否を判断し、 そして、そのときのギヤ位置が最適ギヤ位置でない場合には、運転者にシフト操作を促すべく、前記振動装置22を作動させ、 アクセルペダルを振動させる振動装置22では、アクセルペダル52のペダルアーム52aの部分に、ペダルアーム52aを挟んでペダルアーム52aの揺動方向に対向する一対のソレノイド61a,61bを設けてあり、 前記ソレノイド61aのコイルに通電すると、アクセルペダル52の踏み込み方向に微小変位して戻る振動が発生し、前記ソレノイド61bのコイルに通電すると、アクセルペダル52を押し戻す方向に微小変位して戻る振動が発生し、運転者のアクセルペダル52を踏んでいる足裏に振動刺激を与える、 システム。」 2 引用文献2 当審拒絶理由にて引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0007】 図1は、ステアリング機構102(例えば、車のハンドル)に組み込まれた誘導システム100の一実施形態を示す。誘導システム100は、ハンドル102の外周に配置された複数の作動装置104を含む。ある特定の実施形態では、作動装置104は、ハンドル102の外層(例えば、革またはビニールなどの外層)の下に配置される。各作動装置104は、作動されたときに、ハンドル102の外層を、ハンドルの形状の変化に対応する運転者の手の位置の変化として、運転者によって検知されるのに充分な、少なくとも最小量だけ局所的に膨らませるまたは外方に変形させることができる。様々な実施形態では、作動装置は、無期限に変形を維持することができる。換言すると、作動装置を、ステアリング機構を変形する手法で作動させることができ、停止するように命令されるまで作動状態を保持する。図1に示したように、運転者の手106aおよび106bは、ハンドル102をつかんでいる。運転者の手の下の作動装置104が作動される場合、ハンドル102の断面寸法に得られる変化により、運転者の指を第1の位置から第2の位置に移動させることができる。上述のように、人体は、体の姿勢または位置の小さい変化を検出することができる。したがって、運転者は、ハンドル102上の自身の指の位置におけるこの変化を検出できる。例えば、一部の実施形態では、位置におけるこの変化は、近づくターンを示してもよい。運転者の左手106aの下の作動装置104を作動させることにより、左折についての情報を運転者に伝達できる。同様に、運転者の右手106bの下の作動装置104を作動させることにより、右折についての情報を運転者に伝達できる。」 「【0010】 また誘導システム100は、1つまたは複数のセンサ112を含むこともできる。センサ112は、ステアリング機構上の運転者の手106aおよび106bの位置を検出するセンサを含むことができ、プロセッサ114および/または制御装置116が、どの作動装置104が運転者の手106aおよび106bの下に位置付けられているかを認識するように、信号(例えば、手の位置の信号)をプロセッサ104および/または制御装置116に送信することができる。様々な実施形態では、センサ112は、例えば、圧力センサ、容量センサ、光センサ、および/または熱センサを含むことができる。様々な実施形態では、作動装置104もセンサ112として働くことができ、特定の作動装置の上のステアリング機構102を握る操作者の手からの圧力は、制御装置116からの制御信号なしに特定の作動装置104を変位させることができる。上述のように、ある特定の実施形態では、制御装置116は、フィードバックを作動装置から受信できる。このような実施形態では、作動装置104は、制御装置116を介してプロセッサ114にステアリング機構(例えば、ハンドル102)上のユーザの手の位置についての情報を、変位された作動装置104の位置を報告することによって提供することができる。」 「【0016】 様々な実施形態では、様々なモードにおいて、誘導システム100は、操作者が眠いかつ/または眠ってしまったように見える場合に、操作者を驚愕させるために車両操作者の手(複数可)の下の作動装置をランダムに作動させることができる。例えば、誘導システム100は、操作者の目の動きを検出する1つまたは複数のセンサを含んでもよい。システム100が、操作者が眠いまたは眠ってしまった(例えば、操作者の目が2秒間以上閉じている、もしくは操作者の視線が固定しており前方道路を見渡していない)ことを示す目の挙動を検出した場合は、システム100は、操作者をより覚醒状態に驚愕させるために、操作者の手(複数可)の下に位置付けられた作動装置104をランダムに作動させることができる。またシステム100は、運転者が道路に注意を払っていない(例えば、システムが、運転者が長時間携帯電話で話していることを検出した場合)他の状況において、作動装置104をランダムに作動させることもできる。例えば、センサは、電話通信を検出するためのセンサ(例えば、携帯電話によって使用される周波数に対応する、車両内のRF信号を監視するセンサを含むことができる。既定の時間を超える閾値(電話の能動的使用を示す)を上回るこのようなRF信号を検出することは、作動装置104をランダムに作動させるためにシステム100を始動させることができる。同様に、車両操作者がブルートゥース(登録商標)無線接続を介して携帯電話を使用している場合、センサは、既定の時間を超える電話の能動的使用を示す、活動レベルの接続を監視してもよい。活動レベルが規定の設定時間を超える閾値を上回る場合は、システム100は作動装置104をランダムに作動させることができる。」 「【図1】 」 (2)上記(1)から、引用文献2には、次の発明が記載されていると認められる。 「誘導システム100であって、 ハンドル102の外周に配置された複数の作動装置104を含み、各作動装置104は、作動されたときに、ハンドル102の外層を、ハンドルの形状の変化に対応する運転者の手の位置の変化として、運転者によって検知されるのに充分な、少なくとも最小量だけ局所的に膨らませるまたは外方に変形させることができ、 誘導システム100は、1つまたは複数のセンサ112を含み、センサ112は、ステアリング機構上の運転者の手106aおよび106bの位置を検出するセンサを含み、プロセッサ114および/または制御装置116が、どの作動装置104が運転者の手106aおよび106bの下に位置付けられているかを認識するように、信号(例えば、手の位置の信号)をプロセッサ104および/または制御装置116に送信し、 操作者を驚愕させるために車両操作者の手(複数可)の下に位置付けられた作動装置104をランダムに作動させる、 誘導システム100。」 3 引用文献3 (1)当審拒絶理由にて引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0032】 図1は、本発明の一実施形態に係るシステム100の模式図である。システム100は、例えば、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、電子ワークブック、電子ハンドヘルド装置(例えば、携帯電話、スマートフォン、ゲーム装置、携帯情報端末(personal digital assistant:「PDA」)、携帯用電子メール装置、携帯用インターネット・アクセス装置、電卓など)、ゲーム・コントローラ、又はウェアラブルデバイス等の電子装置の一部である。または、システム100は、車両等のより大きな機械的装置に統合され得る。システム100について以下で詳述する。図示されるように、システム100は、プロセッサ110、記憶装置120、及び、入出力装置130を備えており、これらはバス140を介して相互に接続されている。一実施形態において、入出力装置130は、少なくとも一つのセンサ150、少なくとも一つの触覚出力装置160、少なくとも一つの無線受信機170、及び/又はその他の入出力装置を備えてもよい。」 「【0038】 触覚出力装置160は、システム100を備える車両のドライバー等のシステム100のユーザに対して触覚フィードバックを提供するように構成される。当該触角フィードバックは、変形、運動感覚フィードバック(kinesthetic feedback)又は運動感覚刺激(kinesthetic sensations)、振動、振動触覚フィードバック(vibrotactile feedback)、静電摩擦又は超音波摩擦等の触覚効果を生成する任意の方法によって生成されてもよい。一実施形態において、触覚出力装置160が含み得るアクチュエータは、例えば、偏心質量体がモータにより動かされる偏心回転質量体(「ERM」)などの電磁アクチュエータ、ばねに取り付けられた質量体が前後に駆動されるリニア共振アクチュエータ(「LRA」)、または圧電材料、電気活性ポリマー、もしくは形状記憶合金などの「スマートマテリアル」、マクロ繊維複合材アクチュエータ、静電気アクチュエータ、電気触感アクチュエータ、および/または触覚(例えば、振動触覚)フィードバック又は運動感覚フィードバックなどの物理的フィードバックを提供する他の種類のアクチュエータ、である。一実施形態において、触覚出力装置160は、非機械的又は非振動装置、例えば、静電摩擦(「ESF」)や超音波表面摩擦(「USF」)を用いる装置、超音波触覚トランスデューサを用いて音響放射圧力を生じさせる装置、触覚基板及び可撓性もしくは変形可能な表面を用いる装置、又はエアジェットを用いた空気の吹きかけなどの発射型の触覚出力を提供する装置などを含んでもよい。異なる複数の触覚効果を生成させるのに、複数の触覚出力装置160を使用してもよく、それにより、変形、振動等の幅広い種類の効果を生成させることができる。」 「【0055】 周囲に関する情報及びドライバーに対して警告するのに必要となる情報は、連続的な態様で、運動感覚触覚フィードバックとして変換されてもよく、本発明の実施形態に係るシステム100を備える車両の図10に示すようなハンドルSWの材質を変形又は変化させることにより、運動感覚触覚フィードバックへと変換されてもよい。運動感覚触覚フィードバックは、様々な態様で実現可能である。例えば、ハンドルSWは、図10において矢印A1で示されるような一点の変形点を生成するように構成される第1触覚出力装置1010、矢印A2で示されるような時空間的なパターンの複数の変形点を生成するように構成される単数の又は複数の第2触覚出力装置1020、及び/又は、ドライバの手とハンドルSWとの接点の剛性/やわらかさ/材質の特性を変化させるように構成された第3触覚出力装置1030を備えてもよい。この実施形態において、連続的な情報の流れは、連続的な態様で、運動感覚触覚効果及び/又は振動触覚効果へと変換されてもよく、また、従来の振動触覚フィードバックで起きていたようなドライバーの苛立ち及び/又は慣れの問題が発生しないようにできる。」 「【図10】 」 (2)上記(1)から、引用文献3には、次の発明が記載されていると認められる。 「システム100であって、 プロセッサ110、記憶装置120、及び、入出力装置130を備え、入出力装置130は、少なくとも一つのセンサ150、少なくとも一つの触覚出力装置160を備え、 触覚出力装置160は、システム100を備える車両のドライバー等のシステム100のユーザに対して触覚フィードバックを提供するように構成され、超音波触覚トランスデューサを用いて音響放射圧力を生じさせる装置、エアジェットを用いた空気の吹きかけなどの発射型の触覚出力を提供する装置などを含み、 周囲に関する情報及びドライバーに対して警告するのに必要となる情報は、連続的な態様で、運動感覚触覚フィードバックとして変換され、車両のハンドルSWの材質を変形又は変化させることにより、運動感覚触覚フィードバックへと変換される、 システム100。」 第7 当審拒絶理由の理由2について(引用発明との対比・判断) 1 本願発明1について (1)対比 ア 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 (ア)引用発明の「車両のシステム」は、「ギヤ位置が最適ギヤ位置でない場合には、運転者にシフト操作を促すべく、前記振動装置22を作動させる」ものである。また、引用発明の「アクセルペダルを振動させる振動装置22」は、「運転者のアクセルペダル52を踏んでいる足裏に振動刺激を与える」ものである。 ここで、「振動装置22」が「振動」を出力して、「運転者のアクセルペダル52を踏んでいる足裏」がこれに触れることで、「運転者」を「シフト操作」するように導くといえる。また、「シフト操作」によって、「車両」の態様(具体的には、「エンジン1」の状態)が調整されることが明らかである。 そして、引用発明の上記「振動」の出力、「車両」、「運転者」は、それぞれ、本願発明1の「触覚出力」、「乗物」、「ユーザー」に相当する。 以上のことから、引用発明の「車両のシステム」は、後述する相違点を除き、本願発明1の「触覚出力を介して乗物の態様を調整するようにユーザーを導くためのシステム」に相当する。 (イ)引用発明の「振動装置22」は、「一対のソレノイド61a,61bを設けてあ」るものであり、「前記ソレノイド61aのコイルに通電すると、アクセルペダル52の踏み込み方向に微小変位して戻る振動が発生し、前記ソレノイド61bのコイルに通電すると、アクセルペダル52を押し戻す方向に微小変位して戻る振動が発生」するから、「ソレノイド61a」及び「ソレノイド61b」は、いずれも、「コイルに通電する」信号により制御され、当該信号に応答して、それぞれ固有の「振動」の出力を生成するように構成されているといえる。 そして、引用発明の上記「コイルに通電する」信号、「ソレノイド」は、それぞれ、本願発明1の「制御信号」、「触覚出力装置」に相当し、引用発明の「ソレノイド」が「ソレノイド61a」及び「ソレノイド61b」の2つであることは、本願発明1の「1つ以上」に含まれる。 以上の点について、上記(ア)を踏まえると、引用発明の「コイルに通電する」信号により制御され、当該信号に応答して、それぞれ固有の「振動」の出力を生成するように構成されている「ソレノイド61a」及び「ソレノイド61b」と、本願発明1の 「前記ユーザーと物理的に接触せずに制御信号に応答して触覚出力を生成するように構成された1つ以上の触覚出力装置であって、前記1つ以上の触覚出力装置は、制御対象の乗物装置の付近にありかつ前記乗物装置とは別々のものである、1つ以上の触覚出力装置」 とは、 「制御信号に応答して触覚出力を生成するように構成された1つ以上の触覚出力装置」 である点で共通する。 (ウ)引用発明の「シフト案内コントローラ21」は、「前記エンジンコントロールユニット7からアクセル開度信号APO,エンジン回転速度信号NE,車速信号VSP,シフト位置信号が入力され、これらに基づいてそのときのギヤ位置の適否を判断し、そして、そのときのギヤ位置が最適ギヤ位置でない場合には、運転者にシフト操作を促すべく、前記振動装置22を作動させ」るものであるから、「シフト案内コントローラ21」は、「振動装置22」に結合されており、「エンジンコントロールユニット7」から、「アクセル開度信号APO,エンジン回転速度信号NE,車速信号VSP,シフト位置信号」を受信する、換言すれば、「エンジンコントロールユニット7」は、「アクセル開度信号APO,エンジン回転速度信号NE,車速信号VSP,シフト位置信号」を「シフト案内コントローラ21」に送信するといえる。 そして、引用発明の「シフト案内コントローラ21」は、本願発明1の「プロセッサ」に相当する。 一方、引用発明の「エンジンコントロールユニット7」は、「エンジン1の吸入空気量を制御すると共に、燃料供給装置を制御することにより、吸入空気量に対し所望の空燃比となるように燃料供給量を制御」するから、本願発明1の「乗物制御ユニット」に相当する。また、引用発明の「エンジンコントロールユニット7」は、「各種センサからの信号が入力され」、「クランク角センサ12は、エンジン1のクランク軸8の回転に同期した信号を出力するもので、この信号からエンジン回転速度NEを検出」するから、「エンジン1」を監視するといえる。 そして、引用発明の上記「エンジン1」は、本願発明1の「サブシステム」に相当し、引用発明の「エンジンコントロールユニット7」の監視対象が「エンジン1」の1つであることは、本願発明1の「1つ以上」に含まれる。 また、引用発明の「アクセル開度信号APO,エンジン回転速度信号NE,車速信号VSP,シフト位置信号」は、それらによって「シフト案内コントローラ21」が「そのときのギヤ位置の適否を判断」する内容が制御されるといえるから、本願発明1の「第2の制御信号」に相当する。 (エ)引用発明の「シフト案内コントローラ21」が「ギヤ位置の適否を判断し、そして、そのときのギヤ位置が最適ギヤ位置でない場合には、運転者にシフト操作を促すべく、前記振動装置22を作動させ」ることにおける、「振動装置22を作動させ」ることは、具体的には、「前記ソレノイド61aのコイルに通電すると、アクセルペダル52の踏み込み方向に微小変位して戻る振動が発生し、前記ソレノイド61bのコイルに通電すると、アクセルペダル52を押し戻す方向に微小変位して戻る振動が発生し、運転者のアクセルペダル52を踏んでいる足裏に振動刺激を与える」ことによってなされるものである。 したがって、「シフト案内コントローラ21」が「ギヤ位置の適否を判断」して「ギヤ位置が最適ギヤ位置でない」と「判断」したことに応答して、「シフト案内コントローラ21」は、「コイルに通電する」信号を、「ソレノイド61a」又は「ソレノイド61b」に送信するといえる。 そして、引用発明の「ギヤ位置」は、「シフトレバー4の操作によって」「選択され」るものであって、「シフトレバー4」、「ギヤ位置」は、それぞれ、本願発明1の「乗物装置」、「乗物装置に関連したパラメータ」に相当し、引用発明の「ギヤ位置が最適ギヤ位置でない」と「判断」することは、本願発明1の「乗物装置に関連したパラメータを調整すべきであると判定する」ことに相当する。 (オ)上記(ウ)、(エ)で検討した点について、上記(イ)を踏まえると、 引用発明の「シフト案内コントローラ21」が、「前記エンジンコントロールユニット7からアクセル開度信号APO,エンジン回転速度信号NE,車速信号VSP,シフト位置信号が入力され」た上で「ギヤ位置の適否を判断し、そして、そのときのギヤ位置が最適ギヤ位置でない場合には、運転者にシフト操作を促すべく、前記振動装置22を作動させ」、「前記ソレノイド61aのコイルに通電すると、アクセルペダル52の踏み込み方向に微小変位して戻る振動が発生し、前記ソレノイド61bのコイルに通電すると、アクセルペダル52を押し戻す方向に微小変位して戻る振動が発生し、運転者のアクセルペダル52を踏んでいる足裏に振動刺激を与える」ことと、本願発明1の 「前記1つ以上の触覚出力装置に結合されたプロセッサであって、前記プロセッサは、 乗物制御ユニットから第2の制御信号を受信することであって、前記第2の制御信号は、前記乗物装置に関連したパラメータを調整すべきであることを指示し、前記乗物制御ユニットは、前記乗物の1つ以上のサブシステムを監視し、前記乗物装置に関連した前記パラメータを調整すべきであると判定することによって前記乗物の前記1つ以上のサブシステムの動作を改善し、前記第2の制御信号を前記プロセッサに送信する、ことと、 前記パラメータについての現在値及び前記パラメータについての目標値に基づき、前記触覚出力の初期位置及び前記ユーザーの手、手首、腕、足、足首、脚、または体幹に対して前記触覚出力を移動させる経路を決定することと、 前記制御信号を前記1つ以上の触覚出力装置に送信することとを行うように構成されている、プロセッサ」 とは、 「前記1つ以上の触覚出力装置に結合されたプロセッサであって、前記プロセッサは、 乗物制御ユニットから第2の制御信号を受信することであって、前記乗物制御ユニットは、前記乗物の1つ以上のサブシステムを監視し、前記第2の制御信号を前記プロセッサに送信する、ことと、 前記制御信号を前記1つ以上の触覚出力装置に送信することとを行うように構成されている、プロセッサ」 である点で共通する。 イ 上記アから、本願発明1と引用発明とは、次の点で一致する。 (一致点) 「触覚出力を介して乗物の態様を調整するようにユーザーを導くためのシステムであって、前記システムは、 制御信号に応答して触覚出力を生成するように構成された1つ以上の触覚出力装置と、 前記1つ以上の触覚出力装置に結合されたプロセッサであって、前記プロセッサは、 乗物制御ユニットから第2の制御信号を受信することであって、前記乗物制御ユニットは、前記乗物の1つ以上のサブシステムを監視し、前記第2の制御信号を前記プロセッサに送信する、ことと、 前記制御信号を前記1つ以上の触覚出力装置に送信することとを行うように構成されている、プロセッサと を含む、システム。」 ウ また、本願発明1と引用発明とは、以下の点で相違する。 (相違点1) 「1つ以上の触覚出力装置」について、本願発明1では、「前記ユーザーと物理的に接触」しないものであること、及び、「制御対象の乗物装置の付近にありかつ前記乗物装置とは別々のものである」ことが特定されているのに対して、引用発明では、そのようなことがいずれも特定されていない点。 (相違点2) 「第2の制御信号」が、本願発明1では、「前記乗物装置に関連したパラメータを調整すべきであることを指示」するものであるのに対して、引用発明では、「アクセル開度信号APO,エンジン回転速度信号NE,車速信号VSP,シフト位置信号」である点。 (相違点3) 「乗物装置に関連したパラメータを調整すべきであると判定する」ことの主体が、本願発明1では、「乗物制御ユニット」であるのに対して、引用発明では、「シフト案内コントローラ21」であって、「エンジンコントロールユニット7」ではない点。 (相違点4) 本願発明1では、「乗物制御ユニット」が、「前記乗物装置に関連した前記パラメータを調整すべきであると判定することによって前記乗物の前記1つ以上のサブシステムの動作を改善」するのに対して、引用発明では、「シフト案内コントローラ21」が「ギヤ位置が最適ギヤ位置でない」と「判断」することによって、「運転者にシフト操作を促」すことから、「シフト案内コントローラ21」が「エンジン1」の動作を改善するといえるものの、当該改善する動作の主体は「エンジンコントロールユニット7」ではない点。 (相違点5) 本願発明1は、「前記パラメータについての現在値及び前記パラメータについての目標値に基づき、前記触覚出力の初期位置及び前記ユーザーの手、手首、腕、足、足首、脚、または体幹に対して前記触覚出力を移動させる経路を決定すること」を含むことが特定されるものであるのに対して、引用発明は、そのように特定されるものではない点。 (2)判断 事案に鑑みて、「触覚出力」において相互に関連する相違点1,5についてまとめて検討する。 ユーザーと物理的に接触せず、制御対象の乗物装置の付近にありかつ前記乗物装置とは別々のものとされた触覚出力装置の触覚出力について、その初期位置及び前記ユーザーの身体に対して移動させる経路を、前記乗物装置に関連したパラメータについての現在値及び前記パラメータについての目標値に基づいて決定することは、引用文献1〜3のいずれにも記載されておらず、本願の優先日前において周知技術であったともいえない。 よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用文献1〜3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 2 本願発明2〜17について 本願発明12,17は、それぞれ、本願発明1に対応する「方法」、「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」の発明であって、少なくとも相違点1,5に係る技術的事項を実質的に有している。 また、本願発明2〜11、本願発明13〜16は、それぞれ、本願発明1、本願発明12を減縮した発明である。 そうすると、本願発明2〜17も、相違点1,5に係る技術的事項を(実質的に)有するから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献1〜3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 3 小括 以上のことから、当審拒絶理由の理由2は解消した。 第8 原査定についての判断 本願発明1〜17は、令和4年11月9日に提出された手続補正書による補正の結果、少なくとも相違点1,5に係る技術的事項を(実質的に)有するものとなっており、当該技術的事項については原査定における引用文献A(当審拒絶理由の引用文献2)には記載されていないから、引用文献Aに記載された発明ではない。 また、当該技術的事項は、原査定における引用文献A,B(当審拒絶理由の引用文献2,3)には記載されておらず、本願の優先日前において周知技術であったともいえないから、当業者であっても、引用文献A,Bに基づいて容易に発明をすることができたものではない。 よって、原査定を維持することはできない。 第9 むすび 以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2023-02-08 |
出願番号 | P2019-503272 |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WY
(G06F)
P 1 8・ 113- WY (G06F) P 1 8・ 121- WY (G06F) |
最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
▲吉▼田 耕一 |
特許庁審判官 |
石井 則之 富澤 哲生 |
発明の名称 | 触覚による操縦誘導システム |
代理人 | 森下 夏樹 |
代理人 | 山本 秀策 |