【重要】サービス終了について

  • ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H05K
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H05K
管理番号 1396003
総通号数 16 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-04-04 
確定日 2023-03-22 
事件の表示 特願2018−160342「転写フィルム付電磁波シールドフィルム、転写フィルム付電磁波シールドフィルムの製造方法及びシールドプリント配線板の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 3月 5日出願公開、特開2020− 35858、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成30年8月29日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 6月15日付け:拒絶理由通知書
令和3年 8月16日 :意見書の提出
令和3年12月23日付け:拒絶査定
令和4年 4月 4日 :審判請求書の提出
令和4年11月 2日付け:拒絶理由(当審拒絶理由)通知書
令和5年 1月10日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和3年12月23日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1−3、5−9に係る発明は、以下の引用文献A−Dに記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。また、本願請求項4に係る発明は、以下の引用文献A−Eに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
A.特開2003−298285号公報
B.特開2012−062351号公報(周知技術を示す文献)
C.特開2015−199878号公報(周知技術を示す文献)
D.特開2017−125184号公報(周知技術を示す文献)
E.特開2016−115725号公報(周知技術を示す文献)

第3 当審拒絶理由の概要
当審が令和4年11月2日付けで通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。
本願請求項1−9に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。また、本願請求項1−9に係る発明は、以下の引用文献1、2、6に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2003−298285号公報(原査定時の引用文献A)
2.特開2012−062351号公報(周知技術を示す文献、原査定時の引用文献B)
3.(欠番)
4.(欠番)
5.(欠番)
6.糸賀正明ほか3名、飽和ポリエステル樹脂ハンドブック、日刊工業新聞社、平成元年12月22日、694−700ページ、(CSDB学術文献等(NC)2009-02303-018)(周知技術を示す文献)

第4 本願発明
本願請求項1−9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明9」という。)は、令和5年1月10日にされた手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1−9に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1、5は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
転写フィルムと、
前記転写フィルムに積層された電磁波シールドフィルムとからなる転写フィルム付電磁波シールドフィルムであって、
前記電磁波シールドフィルムは、前記転写フィルムに積層されるように位置する保護層と、前記保護層に積層されたシールド層と、前記シールド層に積層された、接着剤層とを含み、
前記転写フィルムのヤング率は、3.6GPa以上、4.5GPa以下であり、
前記転写フィルムの厚さは、20〜100μmであり、
前記保護層の厚さは、1〜15μmであり、
前記接着剤層の厚さは、1〜50μmであることを特徴とする転写フィルム付電磁波シールドフィルム。」

「【請求項5】
転写フィルムと、
前記転写フィルムに積層された電磁波シールドフィルムとからなる転写フィルム付電磁波シールドフィルムであって、
前記電磁波シールドフィルムは、前記転写フィルムに積層されるように位置する保護層と、前記保護層に積層された導電性を有する接着剤層とを含み、
前記転写フィルムのヤング率は、3.6GPa以上、4.5GPa以下であり、
前記転写フィルムの厚さは、20〜100μmであり、
前記保護層の厚さは、1〜15μmであり、
前記接着剤層の厚さは、1〜50μmであることを特徴とする転写フィルム付電磁波シールドフィルム。」

なお、本願発明2−4、6−9の概要は以下のとおりである。
本願発明2−4は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明6、7は、それぞれ、本願発明1、5に対応する「転写フィルム付電磁波シールドフィルムの製造方法」の発明であり、本願発明1、5とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
本願発明8は、本願発明1を引用する「シールドプリント配線板の製造方法」の発明であり、実質的に、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明9は、本願発明8を減縮した発明である。

第5 引用文献、引用発明
1 引用文献1について
当審拒絶理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。

「【0025】図1(a)に示す補強シールドフィルム1は、カバーフィルム7の片面にシールド層8を有し、他面に耐熱性・耐溶剤性接着剤層10と、補強フィルム6とを有するものである。接着剤層10は、耐熱性・耐溶剤性接着剤で形成され、カバーフィルム7との界面には必要に応じ接着をよくするためのコロナ処理やプライマー塗布がなされている。また、補強フィルム6には接着剤層10との貼着界面側に離型剤層6aが設けられている。シールド層8は、導電性接着剤層8aと金属薄膜層8bとからなる。」

「【0028】この補強シールドフィルム1の補強フィルム6は、カバーフィルム7の他面に耐熱性・耐溶剤性接着剤層10と、例えば離型剤6aを塗布した補強フィルム6とを備えているので、これをFPCなどの基体フィルムに貼着し、加熱・加圧したのち、補強フィルム6を剥離するとき、補強フィルムは容易に接着剤層から剥離され、耐熱性・耐溶剤性接着剤層は、すべてカバーフィルム側の全面に残留して、カバーフィルムの保護層となる。こうして得られたシールドFPCは、表面に耐熱性・耐溶剤性接着剤層が形成されるわけであるから、着色も表面印刷も可能となり、補強板などとの接着も容易になり、必要であれれば、接着剤シートを介しての接着もできる。また、耐熱性・耐溶剤性の接着剤であるから、後工程で加熱されたり、溶剤で拭かれることがあっても、膨らんだり変色したり、溶剤に侵食されたりするおそれはない。」

「【0036】補強フィルム6にも、上記ベースフィルム2、絶縁フィルム4、カバーフィルム7と同様のエンジニアリングプラスチックが用いられるが、製造過程で除去されるものであるから、安価なポリエステルフィルムが好ましい。離型剤層6aとしては、シリコーン系のセパレレータフィルムなどが好ましい。また、熱硬化性樹脂10との粘着力は、3−200g/cmの範囲にあるのが好ましく、3g/cm未満では打ち抜き、位置合わせ作業時に剥離してしまう可能性があり、200g/cmを超えると補強フィルム6を剥離fするときに製品に障害となる可能性がある。そして、さらには、5−100g/cmとするのが好ましい。」

「【0045】補強シールドフィルムは、シールドフィルムにくらべて厚いので、所定のサイズに打ち抜きやすく、きれいに裁断でき、基体フィルム上への位置合わせもしやすい。また、加熱・加圧の際、粘着性フィルムによりクッション効果が増え、絶縁除去部4a及び2′aや貫通孔3′dへの導電性接着剤の流入が容易になり、接続導電性が良くなる。したがって、これらのシールドフレキシブルプリント配線板は、従来のものに較べて薄くて可撓性に優れ、導電性接着剤とグランド回路との接続が確実に行われるため電磁波シールド性にもすぐれている。」

「【図1】(a)



「【図2】



ここで、上記【0025】の「図1(a)に示す補強シールドフィルム1は、カバーフィルム7の片面にシールド層8を有し、他面に耐熱性・耐溶剤性接着剤層10と、補強フィルム6とを有するものである。接着剤層10は、耐熱性・耐溶剤性接着剤で形成され、カバーフィルム7との界面には必要に応じ接着をよくするためのコロナ処理やプライマー塗布がなされている。また、補強フィルム6には接着剤層10との貼着界面側に離型剤層6aが設けられている。シールド層8は、導電性接着剤層8aと金属薄膜層8bとからなる」との記載及び上記【図1】(a)の記載から、「補強フィルム6と、補強フィルム6に積層されるように位置するカバーフィルム7と、カバーフィルム7に積層された金属薄膜層8bと、金属薄膜層8bに積層された導電性接着剤層8aとを含む補強シールドフィルム1」が記載されていると認められる。
また、上記【0036】の「補強フィルム6にも、上記ベースフィルム2、絶縁フィルム4、カバーフィルム7と同様のエンジニアリングプラスチックが用いられるが、製造過程で除去されるものであるから、安価なポリエステルフィルムが好ましい」との記載から、「補強フィルム6は、ポリエステルフィルムが好ましい」ことが記載されていると認められる。

したがって、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「補強フィルム6と、補強フィルム6に積層されるように位置するカバーフィルム7と、カバーフィルム7に積層された金属薄膜層8bと、金属薄膜層8bに積層された導電性接着剤層8aとを含み、
補強フィルム6は、ポリエステルフィルムが好ましいことを特徴とする補強シールドフィルム1。」

2 引用文献2について
当審拒絶理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0023】
特に、本発明の粘着シートは、本発明のセパレータの厚さが25〜55μmであり比較的薄い場合であっても、優れた打ち抜き加工性を発揮することができる。従来の粘着シートにおいては、セパレータの厚さが上記範囲にある場合には、セパレータのコシが弱くなってしまい、打ち抜き加工時にセパレータの浮きが生じやすく、その結果、打ち抜き加工性が著しく低下していた。これに対して、本発明の粘着シートにおいては、後述の高速剥離力が特定範囲に制御されていることにより、本発明のセパレータが比較的薄い場合であっても、上記のセパレータの浮きが抑制され、優れた打ち抜き加工性を発揮できる。このような場合、粘着シートの総厚みが薄くなり、例えば、巻物とした際に径が小さくなるため取り扱いやすいといった利点がある。」

「【0025】
上記セパレータ基材としては、特に限定されないが、例えば、プラスチックフィルム等を用いることができる。このようなプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリカーボネート(PC);ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などから構成されたプラスチックフィルムが挙げられる。中でも、ヤング率や破断強度等の機械物性の観点から、ポリエステル系樹脂から構成されたプラスチックフィルムが好ましく、より好ましくはPETから構成されたプラスチックフィルム(PETフィルム)である。
【0026】
上記セパレータ基材の長手方向のヤング率は、特に限定されないが、本発明のセパレータのヤング率を制御する観点で、2〜10GPaが好ましく、より好ましくは2〜8GPaである。また、上記セパレータ基材の幅方向のヤング率は2〜10GPaが好ましく、より好ましくは2〜8GPaである。」

3 引用文献6について
当審拒絶理由に引用された引用文献6には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「13.3 フィルム物性
13.3.1 機械的性質
(1)引張り特性
フィルムの幅を自由にした場合(弛緩),幅を固定した場合(緊張)のそれぞれの一軸延伸,および逐次,同時二軸延伸PETフィルムの引張り応力−歪み曲線をフィルム長手方向(MD),幅方向(TD)について図13.23に,また応力−歪み曲線から求めた弾性率,F5値(5%伸びでの応力),引張り強度,伸びの数値を表13.6に示す。」(694ページ1−9行)

イ 「二軸延伸PETフィルムの場合,分子配向軸が必ずしもフィルムの延伸方向(MD,TD)と一致しないことが多い。2枚の直交した偏光板下でフィルムの主軸を求めて,その方向(PO),それに垂直方向(TD)および直角方向(MD)方向の引張り特性を表13.7にまとめた。」(695ページ1−4行)

「表13.6

」(695ページ)

「表13.7

」(698ページ)

ここで、「弾性率」は「ヤング率」であり、1kg/mm2=0.0098GPaであることに鑑みると、上記アの「フィルムの幅を自由にした場合(弛緩),幅を固定した場合(緊張)のそれぞれの一軸延伸,および逐次,同時二軸延伸PETフィルムの引張り応力−歪み曲線をフィルム長手方向(MD),幅方向(TD)について図13.23に,また応力−歪み曲線から求めた弾性率,F5値(5%伸びでの応力),引張り強度,伸びの数値を表13.6に示す」との記載、上記イの「二軸延伸PETフィルムの場合,分子配向軸が必ずしもフィルムの延伸方向(MD,TD)と一致しないことが多い。2枚の直交した偏光板下でフィルムの主軸を求めて,その方向(PO),それに垂直方向(TD)および直角方向(MD)方向の引張り特性を表13.7にまとめた。」との記載、上記表13.6の記載及び上記表13.7の記載から、「PETフィルムのヤング率は、0.98−6.86GPaの範囲である」ことが記載されていると認められる。

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「補強フィルム6」は、電磁波シールドフィルムを転写するためのものであることが明らかであるから(上記(1)の図2(a)−(c)を参照。)、本願発明1の「転写フィルム」に相当する。

イ 引用発明の「カバーフィルム7」は、本願発明1の「保護層」に相当する。

ウ 引用発明の「金属薄膜層8b」及び「導電性接着剤層8a」は、それぞれ、本願発明1の「シールド層」及び「接着剤層」に相当する。

エ 引用発明において、「カバーフィルム7」と、「金属薄膜層8b」と、「導電性接着剤層8a」を含む構成は、電磁波をシールドするフィルムであるといえるから、この構成は、本願発明1の「電磁波シールドフィルム」と一致する。また、引用発明の「補強シールドフィルム1」は、上記構成が補強フィルム6に積層されている。そうすると、上記アも踏まえると、本願発明1と引用発明は、「前記転写フィルムに積層された電磁波シールドフィルムとからなる転写フィルム付電磁波シールドフィルム」である点で一致する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「転写フィルムと、
前記転写フィルムに積層された電磁波シールドフィルムとからなる転写フィルム付電磁波シールドフィルムであって、
前記電磁波シールドフィルムは、前記転写フィルムにに積層されるように位置する保護層と、前記保護層に積層されたシールド層と、前記シールド層に積層された、接着剤層とを含むことを特徴とする転写フィルム付電磁波シールドフィルム。」

(相違点1)
本願発明1では「転写フィルムのヤング率は、2.0GPa以上である」のに対し、引用発明では、「補強フィルム6は、ポリエステルフィルムが好ましい」が、補強フィルム6のヤング率について明確に特定されていない点。

(相違点2)
本願発明1では、「転写フィルムの厚さは、20〜100μmであ」るのに対し、引用発明では、このような構成について特定されていない点。

(相違点3)
本願発明1では、「保護層の厚さは、1〜15μmであ」るのに対し、引用発明では、このような構成について特定されていない点。

(相違点4)
本願発明1では、「接着剤層の厚さは、1〜50μmである」のに対し、引用発明では、このような構成について特定されていない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点1−4は、「転写フィルム付電磁波シールドフィルム」全体として互いに関連しているので、まとめて検討する。
上記相違点1−4は実質的な相違点であるといえるから、本願発明1は、引用文献1に記載された発明であるとはいえない。
また、引用文献2、6には、上記相違点1−4に係る本願発明1の構成について記載も示唆もなく、また、このような構成が本願の出願前において周知技術であったともいえない。
そして、本願発明1は、上記相違点1−4に係る構成により、「プリント配線板の表面に段差がある場合であったとしても、電磁波シールドフィルムの接着剤層をしっかりと圧すことができ、接着剤層が段差をしっかりと埋めることができる」、「シールドプリント配線板の製造時に、転写フィルムが破断しにくく電磁波シールドフィルムから剥離しやすく、扱いやすい」、「接着剤層を充分に保護でき、電磁波シールドフィルムが折り曲がりやすく、保護層自身が破損しにくく、耐折り曲げ性が要求される部材へ適用できる」及び「充分な接着性能が得られ、破損しにくく、柔軟性が失われにくい」(本願明細書【0009】、【0028】、【0036】及び【0050】参照。)という格別の効果を奏するものであるから、このような構成とすることが単なる設計的事項であるとはいえない。
したがって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2、6に記載された技術的事項から、上記相違点1−4に係る本願発明1の構成を容易に想到することはできない。
よって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2 本願発明2−4について
本願発明2−4は、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明5について
本願発明5は、上記相違点1−4に係る本願発明1の構成と実質的に同じである「前記転写フィルムのヤング率は、3.6GPa以上、4.5GPa以下であり」、「前記転写フィルムの厚さは、20〜100μmであり」、「前記保護層の厚さは、1〜15μmであり」、「前記接着剤層の厚さは、1〜50μmである」という構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

4 本願発明6、7について
本願発明6、7は、それぞれ、上記相違点1−4に係る本願発明1、5の構成に対応する構成を実質的に備えるものであるから、本願発明1、5と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

5 本願発明8について
本願発明8は、実質的に、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

6 本願発明9について
本願発明9は、本願発明8と同一の構成を備えるものであるから、本願発明8と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第7 原査定についての判断
令和5年1月10日にされた手続補正により、補正後の請求項1−9は、実質的に、上記相違点1−4に係る本願発明1の構成を有するものとなった。当該構成は、原査定における引用文献A−E(当審拒絶理由における引用文献1、2を含む。)には記載されておらず、本願の出願前における周知技術でもないので、本願発明1−9は、当業者であっても、引用文献A−Eに記載された発明に基づいて容易に発明できたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2023-03-07 
出願番号 P2018-160342
審決分類 P 1 8・ 113- WY (H05K)
P 1 8・ 121- WY (H05K)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 稲葉 和生
特許庁審判官 中野 裕二
石井 則之
発明の名称 転写フィルム付電磁波シールドフィルム、転写フィルム付電磁波シールドフィルムの製造方法及びシールドプリント配線板の製造方法  
代理人 弁理士法人WisePlus  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ