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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1396086 |
総通号数 | 16 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2023-04-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-05-20 |
確定日 | 2023-04-11 |
事件の表示 | 特願2020−181415「プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 1月28日出願公開、特開2021− 9741、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成26年3月13日の出願である特願2014−49909号の一部を、平成31年4月24日に新たな特許出願(特願2019−83281号)とし、その一部を、令和2年10月29日に新たな特許出願(特願2020−181415号)としたものであって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。 令和3年 8月17日付け:拒絶理由通知書 令和3年10月20日: 意見書、手続補正書の提出 令和4年 2月17日付け:拒絶査定 令和4年 5月20日: 審判請求書、手続補正書の提出 令和4年11月11日付け:拒絶理由通知書(以下、「当審拒絶理由」と いう。) 令和4年12月27日: 意見書、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和4年2月17日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 理由1(新規性) 本願の請求項1−2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献Aに記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 理由2(進歩性) 本願請求項1−2に係る発明は、以下の引用文献Aに基づいて、本願請求項3に係る発明は、以下の引用文献A−Bに基づいて、本願請求項4−6に係る発明は、以下の引用文献A−Cに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 A.特表2013−512480号公報 B.特開2013−48361号公報 C.特開2010−238098号公報 第3 当審拒絶理由の概要 理由1(明確性) この出願は、特許請求の範囲の請求項1−3の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 理由2(サポート要件) この出願は、特許請求の範囲の請求項1−3の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 理由3(進歩性) 本願請求項1−3に係る発明は、引用文献1−2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特表2013−512480号公報(拒絶査定時の引用文献A) 2.特開2007−114797号公報(当審において新たに引用した文献) 第4 本願発明 本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、令和4年12月27日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。 「携帯端末を、 前記携帯端末に関する物理量を測定する物理量センサと、 前記物理量センサにより計測された物理量に基づいて前記携帯端末の表示画面上に存在する複数の点により形成される仰角が、一定範囲内にあるか否かを判定する判定部と、 前記判定部によって前記一定範囲内にあると判定されることにより前記携帯端末の表示画面が利用者によって使用可能な状態であると判定されたときに、前記携帯端末の前記表示画面において前記携帯端末の位置情報に関連する特定の情報の表示を実行する実行部と、 前記判定部によって前記携帯端末の表示画面上に存在する複数の点により形成される仰角が、一定範囲内にあると判定されて前記表示画面が前記利用者によって使用可能な状態であると判定されたときに、サーバに対して前記携帯端末の表示画面に表示する前記特定の情報の送信を要求する電文を送信する送信部と、 前記送信部から送信された電文に基づいて前記サーバが前記携帯端末に対して送信する前記携帯端末の表示画面に表示する前記特定の情報を受信する受信部と、 を備え、 前記受信部から受信した前記特定の情報を前記携帯端末の表示画面に表示する携帯端末として機能させるプログラム。」 第5 引用文献、引用発明等 1 引用文献1及び引用発明 (1) 引用文献1 当審拒絶理由の理由3において引用した引用文献1には、以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。 ア 段落【0014】−【0016】 「【発明の効果】 【0014】 本発明によれば、ユーザが端末を見る方向、すなわち、端末を見下ろす場合、前面(一般的な目の高さ)から端末を見る場合、および端末を見上げる場合に応じて、互いに異なる映像情報を受けることができ、これにより、ユーザは、端末を見る方向のみを異にすることにより、何らかの入力動作なしに多様な情報を得ることができる。 【0015】 また、本発明によれば、ユーザは端末を振る動作またはこれと類似の動作を単に行うだけでも、提供される映像情報を制御することができるため、映像情報を制御するのに快適さおよび興味を感じることができる。 【0016】 一方、本発明によれば、映像情報に含まれる各種インタフェースを介して、他のユーザの意見などをリアルタイムに確認することができ、自分の意見も入力することができるため、端末を介して能動的な意思表現のみならず、ユーザ間の相互交流が可能になる。」 イ 段落【0023】 「【0023】 本発明の一実施形態によれば、慣性航法装置110、入力部120、制御部130、表示部140および通信部150は、端末100内に備えられるプログラムモジュールであり得る。このようなプログラムモジュールは、運営システム、応用プログラムモジュール、およびその他プログラムモジュールの形態で端末100に含まれてもよく、物理的には様々な公知の記憶装置上に格納可能である。また、このようなプログラムモジュールは、端末100と通信可能な遠隔記憶装置に格納されてもよい。一方、このようなプログラムモジュールは、本発明にかかり、後述する特定の業務を行うか特定の抽象データ類型を実行するルーチン、サブルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを包括するが、これらに限らない。」 ウ 段落【0026】、及び、【図2】 「【0026】 慣性航法装置110は、それに含まれる各種サンサを介して測定した加速度に基づいて、端末100の線形動き、回転動き、揺れ情報などを求める機能を果たす。加速度センサ111は、移動する端末100の動きを検知してその加速度を求め、端末100の揺れ速度、揺れ強度、揺れ方向などに関する情報を検知するセンサである。また、ジャイロスコープ112は、端末100の回転を検知してその動きの程度を求める機能を果たす。加速度センサ111は、検知した加速度を3つの軸(X軸、Y軸、Z軸)に対するベクトル値で表現することができ、ジャイロスコープ112は、検知した回転を3つの軸に対する回転ベクトル値(ロール(roll)、ピッチ(pitch)、ヨー(yaw))で表現することができる。このような加速度センサ111とジャイロスコープ112とを備えることにより、慣性航法装置110は、端末の速度と位置、位置変化を把握することができるのである。慣性航法装置110は、通常の慣性航法システム(INS:Inertial Navigation System)であり得、ジャイロスコープ112は、光学式、機械式、圧電型などのジャイロスコープであり得る。」 【図2】 「 ![]() 」 エ 段落【0032】 「【0032】 後述するように、本発明の端末100は、大きく3つの角度範囲で互いに異なる映像をユーザに提供することができるが、このために、角度情報処理部131が端末100の角度を把握する機能を果たすことができる。角度情報処理部131により求められる端末100の角度情報は、絶対的な基準面に対する傾斜程度に関する情報であり得る。すなわち、角度情報処理部131は、水平面または他の基準面を絶対的な基準面として定めておく初期化作業を行った後、これに対する端末100の現在の角度を、慣性航法装置110からの情報に基づいて把握することができる。一方、端末100の角度情報は、相対的な傾斜度に関する情報となってもよい。すなわち、角度情報処理部131は、動作の初期状態(例えば、端末100の電源がオン(On)になった初期状態)を相対的な基準面として定めておき、これに対する端末100の現在の角度を把握することもできる。角度情報処理部131により求められる端末100の角度情報は、−180°から+180°または0°から360°と表現される数値的な角度情報である。また、端末100の角度情報は、n個(nは1以上の整数)に分けられる1つ以上の区間のうちの特定区間の角度であるとして表現されてもよい。例えば、前記nの値が3である場合、端末100の水平面に対する角度が−45°から+45°の間であればA区間、+135°から+225°の間であればB区間、A区間およびB区間を除いた残りの区間であればC区間であるとして表現することができる。後述するように、本発明の一実施形態によれば、端末100の水平面に対する傾斜度に応じて大きく3つの類型の互いに異なる映像が提供できるため、角度情報処理部131は、端末100の基準面に対する角度を3つの区間で表現することもできる。」 オ 段落【0035】 「【0035】 本発明の一実施形態に係る映像情報生成部134は、角度情報処理部131、揺れ情報処理部132により把握された情報に基づいて、表示部140を介してユーザに提供される映像を生成する機能を果たす。このとき、ユーザインタフェース駆動部133により提供されるユーザインタフェースが当該映像にさらに含まれて提供できることはもちろんである。映像情報生成部134により生成される映像は、別のデータベース(図示せず)に予め格納されている情報から取得される映像であり得、リアルタイムに受信される情報から取得される映像であってもよい。角度情報処理部131により把握された端末100の角度情報に基づいて映像情報を生成する場合を仮定すると、データベースには、端末100の傾斜度と、これに対応するコンテンツ種類に関する情報が格納されていてもよく(例えば、端末100の傾斜度がA区間と判別されたときにはa種類のコンテンツ、B区間と判別されたときにはb種類のコンテンツ、C区間と判別されたときにはc種類のコンテンツが提供されるようにそれぞれ対応づけられていてもよい)、映像情報生成部134は、これを参照して、端末100の傾斜度に応じて対応するコンテンツの種類に基づいて、これにその他のコンテンツを組合せて映像情報を生成することができる。このとき、傾いた角度に応じて、端末100に入力される映像による追加情報をAR(Augmented Reality:拡張現実)として組合せて映像情報を生成することもできる。」 カ 段落【0038】 「【0038】 本発明の一実施形態に係る通信部150は、サーバ(図示せず)へ/から各種情報およびコンテンツを送受信する機能を果たすことができる。すなわち、全体的に、通信部150は、端末100からの/へのデータの送受信を可能にする機能を果たす。」 キ 段落【0039】−【0043】、及び、【図4a】、【図5】 「【0039】 以下では、本発明の一実施形態に係る端末100の動作を、具体的な実施形態を参照して説明する。 実施形態 上述したように、本発明の一実施形態に係る端末100は、端末100の基準面に対する傾斜度に応じて互いに異なる映像情報(ユーザインタフェースを含む)が提供されるようにすることができる。 【0040】 図4Aから図4Cは、本発明に係る端末100の傾斜度に応じて互いに異なって提供される映像情報の一例を示す図である。 まず、図4Aは、端末100が基準面に対して傾斜度を有さないか、傾斜度が小さい範囲に属するときに提供される映像情報を示す。すなわち、ユーザが端末100の表示部140を見下ろすことができる状態(Downview)の場合に提供される映像情報を示す。本発明では、図4Aに該当する映像、すなわち、ユーザが端末100を見下ろすことができる状態で提供される映像を「ダウンビュー映像」と称する。ここで、基準面に対して傾斜度を有さないとは、端末100が基準面上に置かれる場合、または基準面との関係において0°の傾斜度を有する場合のみを意味するのではなく、他の映像が提供される場合に比べて相対的に端末100が基準面と閾値以下の傾斜度を有し、ユーザが端末100を見下ろすことができる状態の場合を意味する。一例として、端末100が基準面との関係において−45°から+45°の範囲の傾斜度を有するとき、図4Aに該当するダウンビュー映像が提供されるようにすることができる。 【0041】 本発明の一実施形態によれば、ダウンビュー映像としては、地理情報に関する映像が提供されることができる。特に、現在の端末100が位置する地理的な位置を中心とする地理情報が提供されるようにしてもよい。このような映像は、図4Aに一例として示されているように、地図形態で表現されるマップ映像であり得、ユーザは、入力部120を介した入力動作を行うことにより提供されるマップ映像を拡大または縮小することができ、マップ映像を移動させて、現在端末100の表示部140に表示されていない部分が表示されるようにしてもよい。拡大または縮小に対する入力は、表示部140に提供されるユーザインタフェースを介して行われることが可能であるが、一例として、ユーザがマップ映像の特定された2つの部分に接触を加え、当該部分を拡大または縮小する動作を行うことにより当該部分内の領域を拡大または縮小することができる。また、ユーザがマップ映像の特定地点に接触を加えた後、これをドラッグ(drag)することによりマップ映像を移動させることもできる。ここで、図4Aは、ダウンビュー映像として、地理情報に関する映像が提供される場合を想定して示されているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、実際の端末100の画面上に実際に映る映像を受信して提供することもでき、このような実際に映る映像に前記地図情報を重ねて拡張現実のような形態で提供することもできる。 ・・・(中略)・・・ 【0043】 一方、表示部140に提供される映像は、図4Aに示すように、駅の中心圏を中心とする地理情報、関心情報などに関連する映像であってもよいが、この場合、映像には、ユーザの現在位置表示窓420が含まれてもよい。また、地下鉄路線表示ボタン430が含まれてもよいが、ユーザがこのボタン430を押すと、当該都市に存在するすべての路線が選択可能に表示されてもよい。複数の路線が表示されると、ユーザは当該路線のうちの1つを選択することができ、この場合、選択された路線に関する経路情報などが詳細に表示されるようにすることができる。ユーザは、任意の地下鉄駅を選択することにより、追加的に提供される希望情報選択窓440を介して前記選択された地下鉄駅を中心に存在する情報を取捨選択して受けることができる。この場合、ユーザが希望情報選択窓440で1つ以上のメニューを選択すると、さらに他のユーザインタフェースが追加的に提供されるようにすることができる。例えば、ユーザが図4Aの希望情報選択窓440において、「お勧めの店」、「運行列車情報」、「上映中の映画」、「早道交通情報」のうち、「お勧めの店」メニューを選択した場合を仮定すると、図5に示すようなユーザインタフェースが追加的に提供されることができる。このユーザインタフェースには、ユーザが既に検索した地下鉄駅周辺の美味しいお店情報が詳細に提供されることができる。この美味しいお店情報には、各美味しいお店ごとのユーザの推薦数または書き込みが含まれてもよい。一方、ユーザは、「飲食店推薦」ボタンを押すことにより新しい美味しいお店を推薦することもでき、他のユーザが入力した書き込みに対する共感の有無を表示することもでき、既存の美味しいお店に対する推薦の有無を表示することもできる。このとき、書き込みのタグが推薦n個以上になる場合、グルーピングして、店鋪ごとの書き込みができるようにしてもよい(例えば、推薦数がn個以上である1つ以上の美味しいお店をグルーピングして、当該美味しいお店ごとに書き込みができるインタフェースをユーザに提供することができる)が、仮に、推薦数がn個以上になると、データベースに[商店タグ]+商店情報(紹介、メニュー、位置)を登録することができ、これにより、[商店タグ]が集団知性でクリック可能(clickable)になってもよい。参照として、前記美味しいお店に対する推薦数に基づいてグルーピングする例を説明したが、これを拡張して、当該地域に含まれている任意の名所に対するユーザの推薦数に基づいてグルーピングする例を想定できることはもちろんである。」 【図4a】 「 ![]() 」 ここで、上記【図4b】には、ユーザの現在位置表示窓420には、「東京 渋谷」と表示されており、また、「渋谷駅」の近傍には、希望情報選択窓440が表示されていると認定できる。 【図5】 「 ![]() 」 ここで、上記【図5】には、最上枠には、「渋谷のお勧めはどこ? 143532HITS 書き込み: 飲食店推薦」と表示され、2枠目には、「[1354]和食「とおみ」 ○×」と表示され、3枠目には、「[1150]居酒屋「やみあん」 ○×」と表示され、4枠目には、「[154]渋谷駅の近くにある「とおみ」うまい!! ○×」と表示されていると認定できる。 ク 段落【0045】、及び、【図4b】 「【0045】 次に、図4Bは、端末100が基準面に対して垂直または垂直に近い範囲に属するときに提供される映像情報を示す。すなわち、ユーザが端末100の表示部140を前面から見ることができる状態(Preview)の場合に提供される映像情報を示す。本発明では、図4Bに該当する映像、すなわち、ユーザが端末100を前面から見ることができる状態で提供される映像を「プレビュー映像」と称する。ここで、基準面に対して垂直または垂直に近い範囲とは、端末100が基準面との関係において正確に90°の角度を有する場合のみを意味するのではなく、他の映像が提供される場合に比べて相対的に端末100が基準面に対して垂直の関係にあり、これにより、ユーザが端末100を前面から見ることができる状態の場合、例えば、端末100が基準面との関係において+45°から+135°または+225°から+315°の範囲の傾斜度を有する場合を意味する。」 【図4b】 「 ![]() 」 ケ 段落【0048】−【0050】、及び、【図4c】 「【0048】 最後に、図4Cは、端末100の表示部140が基準面に対して下を向いているときに提供される映像情報を示す。すなわち、ユーザが端末100の表示部140を見上げることができる状態(Topview)の場合に提供される映像情報を示す。本発明では、図4Cに該当する映像、すなわち、ユーザが端末100を見上げることができる状態で提供される映像を「トップビュー映像」と称する。ここで、端末100の表示部140が下を向いている場合とは、端末100が基準面に置かれるか、基準面との関係において0°またはこれと類似の範囲の傾斜度を有するが、表示部140が正確に下を向くように置かれる場合のみを意味するのではなく、他の映像が提供される場合に比べて相対的に端末100の表示部140が下を向いており、ユーザが端末100の表示部140を見上げることができる状態の場合、例えば、端末100が基準面との関係において+135°から+225°の範囲の傾斜度を有する場合、または端末100が基準面との関係において−45°から+45°の範囲の傾斜度を有するが、表示部140が下を向く場合を意味する。 【0049】 トップビュー映像も、ダウンビュー映像およびプレビュー映像とは異なる類型の映像であり得る。一例として、トップビュー映像は、図4Cに示すような天気情報に関連する映像であり得る。このような天気情報に関する映像は、モーショングラフィック(Motion Graphics)技術で実現され、視覚的効果を呼び起こせる映像であり得る。一方、トップビュー映像には、他のユーザが入力したメッセージなどのコンテンツ情報がさらに含まれて提供できるが、仮に、本発明が提供するサービスを利用するユーザの入力した文字などが端末100の画面上を浮遊しながら通り過ぎる拡張現実のような形態で提供されるようにして、ユーザ同士で互いに入力するメッセージを共有させることができる。これは、特定のユーザが所定のインタフェースを介してメッセージを入力すると、入力されたメッセージが通信部150を介してサーバ(図示せず)に伝送され、サーバは、メッセージを入力したユーザが選択した集団またはこれとは異なる集団に属しているユーザの端末100に当該メッセージを伝達する方式で行われることができるが、これに限定されるものではない。一方、特定のユーザが入力したメッセージのみならず、ニュース情報またはショッピング情報のような有用な情報がさらに含まれてもよい。このような情報は、表示部140で一定の方向に流れる形態で表示されてもよいが、これに限定されるものではない。 【0050】 本明細書では、ダウンビュー映像、プレビュー映像、およびトップビュー映像が互いに異なる類型の情報であり、それに含まれるユーザインタフェースも互いに異なるとして例示した。具体的には、ダウンビュー映像は、ユーザが地面の方を眺める姿勢を取っているため、地面に関する情報といえる地図情報を映像として提供し、プレビュー映像は、ユーザが前面を眺める姿勢を取っているため、外景を映像として提供し、トップビュー映像は、ユーザが空を眺める姿勢を取っているため、空と関連性のある天気情報などを提供するようにして、端末の画面が向かう方向に応じて適切にふさわしい適材適所の映像情報をダイナミックに提供することにより、ユーザの関心と換気を引くことができる。」 【図4c】 「 ![]() 」 ここで、上記【図4c】には、端末の画面上に、雨雲のイラストと共に、「Raining Now −9℃」(訳:「今、雨が降っています。−9℃」)と表示されていると認定できる。 (2) 引用発明 よって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。 「ユーザが端末を見る方向、すなわち、端末を見下ろす場合、前面(一般的な目の高さ)から端末を見る場合、および端末を見上げる場合に応じて、互いに異なる映像情報を受けることができ、これにより、ユーザは、端末を見る方向のみを異にすることにより、何らかの入力動作なしに多様な情報を得ることができ、 映像情報に含まれる各種インタフェースを介して、他のユーザの意見などをリアルタイムに確認することができ、自分の意見も入力することができるため、端末を介して能動的な意思表現のみならず、ユーザ間の相互交流が可能になり、 慣性航法装置110、入力部120、制御部130、表示部140および通信部150は、端末100内に備えられるプログラムモジュールであり得、 加速度センサ111は、移動する端末100の動きを検知してその加速度を求め、ジャイロスコープ112は、端末100の回転を検知してその動きの程度を求める機能を果たし、このような加速度センサ111とジャイロスコープ112とを備えることにより、慣性航法装置110は、端末の速度と位置、位置変化を把握することができ、 角度情報処理部131は、水平面または他の基準面を絶対的な基準面として定めておく初期化作業を行った後、これに対する端末100の現在の角度を、慣性航法装置110からの情報に基づいて把握することができ、端末100の角度情報は、端末100の水平面に対する角度が−45°から+45°の間であればA区間、+135°から+225°の間であればB区間、A区間およびB区間を除いた残りの区間であればC区間であるとして表現することができ、 映像情報生成部134は、角度情報処理部131、揺れ情報処理部132により把握された情報に基づいて、表示部140を介してユーザに提供される映像を生成する機能を果たし、映像情報生成部134により生成される映像は、別のデータベースに予め格納されている情報から取得される映像であり得、リアルタイムに受信される情報から取得される映像であってもよく、 通信部150は、サーバへ/から各種情報およびコンテンツを送受信する機能を果たすことができ、 端末100が基準面との関係において−45°から+45°の範囲の傾斜度を有するとき、ダウンビュー映像が提供され、 ダウンビュー映像としては、現在の端末100が位置する地理的な位置を中心とする地理情報が提供されるようにしてもよく、このような映像は、地図形態で表現されるマップ映像であり得、 表示部140に提供される、映像には、ユーザの現在位置表示窓420が含まれてもよく、例えば、ユーザの現在位置表示窓420には、「東京 渋谷」と表示され、 ユーザは、任意の地下鉄駅を選択することにより、追加的に提供される希望情報選択窓440を介して前記選択された地下鉄駅を中心に存在する情報を取捨選択して受けることができ、例えば、「渋谷駅」の近傍には、希望情報選択窓440が表示され、 例えば、ユーザが、希望情報選択窓440において、「お勧めの店」、「運行列車情報」、「上映中の映画」、「早道交通情報」のうち、「お勧めの店」メニューを選択した場合を仮定すると、ユーザインタフェースが追加的に提供されることができ、このユーザインタフェースには、ユーザが既に検索した地下鉄駅周辺の美味しいお店情報が詳細に提供されることができ、 この美味しいお店情報には、各美味しいお店ごとのユーザの推薦数または書き込みが含まれてもよく、一方、ユーザは、「飲食店推薦」ボタンを押すことにより新しい美味しいお店を推薦することもでき、他のユーザが入力した書き込みに対する共感の有無を表示することもでき、既存の美味しいお店に対する推薦の有無を表示することもでき、例えば、最上枠には、「渋谷のお勧めはどこ? 143532HITS 書き込み: 飲食店推薦」と表示され、2枠目には、「[1354]和食「とおみ」 ○×」と表示され、3枠目には、「[1150]居酒屋「やみあん」 ○×」と表示され、4枠目には、「[154]渋谷駅の近くにある「とおみ」うまい!! ○×」と表示され、 ユーザが端末100を前面から見ることができる状態で提供される映像を「プレビュー映像」と称し、ユーザが端末100を前面から見ることができる状態の場合、例えば、端末100が基準面との関係において+45°から+135°または+225°から+315°の範囲の傾斜度を有する場合を意味し、 端末100の表示部140が基準面に対して下を向いているときに、すなわち、ユーザが端末100の表示部140を見上げることができる状態(Topview)の場合、例えば、端末100が基準面との関係において+135°から+225°の範囲の傾斜度を有する場合、 一例として、トップビュー映像は、天気情報に関連する映像であり得、 トップビュー映像は、ユーザが空を眺める姿勢を取っているため、空と関連性のある天気情報などを提供するようにして、例えば、雨雲のイラストと共に、「今、雨が降っています。−9℃」と表示されている、 端末100。」 2 引用文献2 当審拒絶理由で引用された上記引用文献2には、段落【0022】に、以下の記載がある。 「周辺地図表示処理部121は、次のような機能を有する。 ・ユーザがキー操作部15を用いて入力した目的地(例えば、住所)と、位置検出部13が検出した携帯端末1の現在位置と、方向認識部14が検出した携帯端末1の方向とを含む周辺地図要求を地図情報サーバ2へ送信する機能。 ・周辺地図要求に応答して、地図情報サーバ2から周辺地図が送られてきた場合は、表示部16に上記周辺地図を表示し、周辺地図とランドマーク位置情報とが送られてきた場合は、周辺地図を表示部16に表示すると共に、現在位置と、上記ランドマーク位置情報によって特定されるランドマークの方向を示す矢印とを周辺地図上に表示する機能。」 3 引用文献B (1) 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献Bの段落【0026】−【0027】、【図2】には、以下の記載がある。 「【0026】 加速度検出部25は、カメラ1に発生している加速度を検出する。この加速度検出部25は、例えば図2に示すようにしてカメラ1の本体に設定された3軸方向の加速度をそれぞれ検出する3個の加速度検出部を有している。図2の例は、ユーザがカメラ1を横位置で構えたときに、地表に対して平行であって撮像光学系の光軸に対して垂直な方向をX軸に、地表に対して垂直な方向をY軸に、地表に対して平行であって撮像光学系の光軸に対しても平行な方向をZ軸に設定している。また、X軸の正方向は、カメラ1を正面から見た場合の左手方向とし、Y軸の正方向は、カメラ1を正面から見た場合の天空方向とし、Z軸の正方向は、カメラ1の正面に向かう方向としている。 【0027】 ここで、加速度検出部25を構成する何れの加速度検出部によって重力が検出されるかによって、カメラ1の姿勢を検出することもできる。この場合、加速度検出部25は、姿勢検出部としても機能する。加速度の検出と姿勢の検出とを別個の加速度検出部によって行っても良いし、角速度検出部等を用いて姿勢の検出を行うようにしても良い。」 「 ![]() 」 (2) これらの記載から、引用文献Bには、カメラ1の姿勢を、加速度検出部25で検出するという技術的事項が記載されていると認められる。 4 引用文献C (1) 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献Cの段落【0064】−【0067】には、以下の記載がある。 「【0064】 次に、端末装置100がST102で取得した端末位置情報を拡張現実感サーバ300へ送信して拡張現実感情報をリクエストし(ST103)、拡張現実感サーバ300によりレスポンスされた端末装置100周辺の拡張現実感情報のリストを受信し、記憶部107に記録する(ST104)。 【0065】 続いて、ST104で受信したリストの拡張現実感情報について、方位センサ104で検出されたカメラ部106の姿勢および角度の情報およびST102で取得された端末位置情報に基づいて、リストに記載された情報の関連付けられた地点がカメラ部106の視界に入るか否かを個々に判定し、記憶部107に記憶された拡張現実感情報のリストに記録する(ST105)。以下では、記憶部107のリストを参照し、ここでカメラ部106の視界に入るものと判定された拡張現実感情報について処理を行う。 【0066】 次に、端末装置100の現在の端末位置を原点とした座標空間に抽出された拡張現実感情報を配置したと想定して、原点の所定高さを中心点としてカメラの水平方向視野角および垂直方向視野角ならびに映像サイズに基づいて原点から所定距離に定まる矩形平面に各拡張現実感情報を透過投影する処理を行うことにより各情報の表示位置を算出する(ST106)。 【0067】 続いて、算出された各情報の表示位置に基づいて、表示位置の間隔が所定値以下となる拡張現実感情報があるか否かを判定し(ST107)、表示位置の間隔が所定値以下となる拡張現実感情報がある場合には当該拡張現実感情報を集合アイコンとして表示し(ST108)、残りの拡張現実感情報を通常のアイコンとして表示する(ST109)。以上で、実空間の映像に拡張現実感情報を重畳する動作は終了してユーザの操作を待つ動作となる。終了指示があったか否かを判定し(ST110)、終了指示があったと判定した場合には一連の動作を終了する。終了指示があったと判定しない場合には、続いて集合アイコンにタッチする操作がなされたか否かを判定し(ST111)、集合アイコンにタッチする操作がなされていると判定した場合には後述するスパイラルメニューの動作へと進む。一方。集合アイコンにタッチする操作がなされていると判定しない場合には、通常のアイコンにタッチする操作がなされたか否かを判定する(ST112)。通常のアイコンにタッチする操作がなされていると判定した場合には、後述するディスクメニューの動作へと進む。ST112で通常のアイコンにタッチする操作がなされていると判定しない場合には、ST110に戻って以降の動作を繰り返す。」 (2) これらの記載から、引用文献Cには、端末装置が取得した位置情報をサーバに送信し、サーバから受信した端末装置周辺の拡張現実感情報を表示するという技術的事項が記載されていると認められる。 5 参考文献 当審で新たに引用する特開2013−243578号公報(以下「参考文献」という。)には、以下の記載がある。 (1) 【図6】 「 ![]() 」 (2) 段落【0029】−【0041】 「【0029】 携帯端末100が画面ロック状態である時、携帯端末100の制御部151は、携帯端末100が使用開始状態か否かを判定する(ステップS101)。このステップS101の詳細は、図5を参照して後述する。次に、ステップS103で、制御部151は、ステップS101で得られた判定結果に応じて、携帯端末100が使用開始状態であればステップS105に進み、使用開始状態でなければステップS101に戻る。ステップS105では、制御部151は、認証部163を起動する。 【0030】 次に、制御部151は、認証部163による個人認証に必要な解除キーの入力を促す画面を表示部155(ディスプレイ101)に表示する(ステップS107)。次に、認証部163の照合部185は、入力部181から入力された解除キーを記憶部183が記憶するデータと照合して、個人認証の処理を行う(ステップS109)。次に、制御部151は、ステップS109で認証された個人が携帯端末100を利用可能なユーザとして認証されたか否かを判断し(ステップS111)、利用可能なユーザと認証されればステップS113に進み、認証されなければステップS101に戻る。ステップS113では、制御部151は、携帯端末100の画面ロック状態を解除する。 【0031】 図5は、図4に示したステップS101で行われる、携帯端末100が使用開始状態か否かの判定処理の詳細を示すフローチャートである。以下、当該判定処理の詳細について説明する。携帯端末100が画面ロック状態であっても、使用状態検出部161の傾斜角検出部175に含まれるジャイロスコープ又は加速度センサーは、一定時間毎に角加速度を検出する。 【0032】 制御部151は、検出された角加速度の単位時間当たりの変化量がしきい値以上か否かを判断し(ステップS151)、変化量がしきい値以上であればステップS153に進み、しきい値未満であればステップS151に戻る。ステップS153では、制御部151は、使用状態検出部161の把持状態判別部173による携帯端末100の把持状態の検出結果を取得する。次に、制御部151は、ステップS153で得られた検出結果と、傾斜角検出部175から得られる傾斜角が示す携帯端末100の姿勢とに基づいて、携帯端末100が使用開始状態か否かを判定する(ステップS155)。 【0033】 ステップS155では、ステップS153で得られた検出結果が、携帯端末100が手で把持された状態を示し、かつ、単位時間当たりの携帯端末100の傾斜角の変位量が所定値未満であれば、制御部151は、携帯端末100が使用開始状態であると判定する。 【0034】 以下、図5のステップS155で行われる、携帯端末100の把持状態及び姿勢に基づく使用開始状態か否かの判定例について、図6(a)〜(f)を参照して説明する。図6(a)〜(f)は、携帯端末100の異なる把持状態を示す図である。 【0035】 図6(a)に示す把持状態では、ユーザが片手で対向する2つの側面及び裏面で携帯端末100を縦方向に把持して、ユーザは同じ手の親指で携帯端末100を操作し、残る指は右側面で携帯端末100を支えている。暫く使用されておらず静止した状態の携帯端末100をユーザが持ち上げた時の角加速度の変化量がしきい値以上であり、その後、ユーザが図6(a)に示すように携帯端末100を把持した場合、この時の携帯端末100の傾斜角の変位量が所定値未満であれば、制御部151は、携帯端末100が使用開始状態であると判定する。 【0036】 図6(b)に示す把持状態では、ユーザが片手で1つの側面及び裏面で携帯端末100を縦方向に把持して、ユーザは同じ手の親指で携帯端末100を操作し、残る指は裏面で携帯端末100を支えている。暫く使用されておらず静止した状態の携帯端末100をユーザが持ち上げた時の角加速度の変化量がしきい値以上であり、その後、ユーザが図6(b)に示すように携帯端末100を把持した場合の携帯端末100の傾斜角の変位量が所定値未満であれば、制御部151は、携帯端末100が使用開始状態であると判定する。 【0037】 図6(c)に示す把持状態では、ユーザが片手で対向する2つの側面で携帯端末100を縦方向に把持して、ユーザは異なる手の指で携帯端末100を操作する。暫く使用されておらず静止した状態の携帯端末100をユーザが持ち上げた時の角加速度の変化量がしきい値以上であり、その後、ユーザが図6(c)に示すように携帯端末100を把持した場合、この時の携帯端末100の傾斜角の変位量が所定値未満であれば、制御部151は、携帯端末100が使用開始状態であると判定する。 【0038】 図6(d)に示す把持状態では、ユーザが両手で4つの側面及び裏面で携帯端末100を横方向に把持して、ユーザは両手の親指の少なくともいずれか一方で携帯端末100を操作する。暫く使用されておらず静止した状態の携帯端末100をユーザが持ち上げた時の角加速度の変化量がしきい値以上であり、その後、ユーザが図6(d)に示すように携帯端末100を把持した場合、この時の携帯端末100の傾斜角の変位量が所定値未満であれば、制御部151は、携帯端末100が使用開始状態であると判定する。 【0039】 図6(e)に示す把持状態では、ユーザが片手で3つの側面で携帯端末100を把持して、ユーザは携帯端末100を持ち歩く。暫く使用されておらず静止した状態の携帯端末100をユーザが持ち上げた時の角加速度の変化量がしきい値以上であり、その後、ユーザが図6(e)に示すように携帯端末100を把持して持ち歩くと、この時の携帯端末100の傾斜角の変位量が所定値以上となるため、制御部151は、携帯端末100が使用開始状態ではないと判定する。 【0040】 図6(f)に示す把持状態では、ユーザが片手で対向する2つの側面で携帯端末100を挟むように把持する。暫く使用されておらず静止した状態の携帯端末100をユーザが持ち上げた時の角加速度の変化量がしきい値以上であり、その後、ユーザが図6(a)に示すように携帯端末100を把持した場合、この時の携帯端末100の傾斜角の変位量が所定値未満であれば、制御部151は、携帯端末100が使用開始状態であると判定する。 【0041】 以上説明したように、本実施形態の携帯端末100は、暫く使用されておらず静止した状態の携帯端末100をユーザが持ち上げた後、このユーザが携帯端末100の姿勢を変えずに把持すれば、携帯端末100の使用が開始されたと判断し、個人認証を起動する。一方、携帯端末100をユーザが持ち上げて把持しても、携帯端末100の姿勢が安定しなければ個人認証は起動されない。このように、携帯端末100は、暫く使用されていない状態から使用開始状態への移行を判断することができる。また、使用開始状態と判断されなければ個人認証が起動されないため、ユーザが携帯端末100の使用を開始しないときにも個人認証を起動する場合と比較して、消費電力を低減できる。」 第6 対比・判断 1 本願発明1について (1) 対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア 引用発明の「端末100」は、「加速度センサ111とジャイロスコープ112とを備える」、「慣性航法装置110」を有している、「移動する端末100」であるから、本願発明1の「携帯端末」に相当する。 イ 引用発明の「加速度センサ111とジャイロスコープ112とを備える」、「慣性航法装置110」は、本願発明1の「前記携帯端末に関する物理量を測定する物理量センサ」に相当する。 ウ 引用発明の「角度情報処理部131」は、「水平面または他の基準面を絶対的な基準面として定めておく初期化作業を行った後、これに対する端末100の現在の角度を、慣性航法装置110からの情報に基づいて把握することができ、端末100の角度情報は、端末100の水平面に対する角度が−45°から+45°の間であればA区間、+135°から+225°の間であればB区間、A区間およびB区間を除いた残りの区間であればC区間であるとして表現することができ」るから、本願発明1の「前記物理量センサにより計測された物理量に基づいて前記携帯端末の表示画面上に存在する複数の点により形成される仰角が、一定範囲内にあるか否かを判定する判定部」と、少なくとも、「前記物理量センサにより計測された物理量に基づいて、前記携帯端末の角度が、一定範囲内にあるか否かを判定する判定部」である点で共通するといえる。 エ 引用発明の「映像情報生成部134」は、「角度情報処理部131、揺れ情報処理部132により把握された情報に基づいて、表示部140を介してユーザに提供される映像を生成する機能を果たし」、「端末100が基準面との関係において−45°から+45°の範囲の傾斜度を有するとき、ダウンビュー映像が提供され、 ダウンビュー映像としては、現在の端末100が位置する地理的な位置を中心とする地理情報が提供されるようにしてもよく、このような映像は、地図形態で表現されるマップ映像であり得、 表示部140に提供される、映像には、ユーザの現在位置表示窓420が含まれてもよく、例えば、ユーザの現在位置表示窓420には、「東京 渋谷」と表示され」、 「ユーザが端末100を前面から見ることができる状態で提供される映像を「プレビュー映像」と称し、ユーザが端末100を前面から見ることができる状態の場合、例えば、端末100が基準面との関係において+45°から+135°または+225°から+315°の範囲の傾斜度を有する場合を意味し」、 「端末100の表示部140が基準面に対して下を向いているときに、すなわち、ユーザが端末100の表示部140を見上げることができる状態(Topview)の場合、例えば、端末100が基準面との関係において+135°から+225°の範囲の傾斜度を有する場合、 一例として、トップビュー映像は、天気情報に関連する映像であり得、 トップビュー映像は、ユーザが空を眺める姿勢を取っているため、空と関連性のある天気情報などを提供するようにして、端末の画面が向かう方向に応じて適切にふさわしい適材適所の映像情報をダイナミックに提供することにより、ユーザの関心と換気を引くことができ、例えば、雨雲のイラストと共に、「今、雨が降っています。−9℃」と表示されている」ことにおいて、引用発明の「映像情報」は、具体的には、「現在の端末100が位置する地理的な位置を中心とする地理情報」、ユーザの現在位置表示窓420に表示される「東京 渋谷」、「今、雨が降っています。−9℃」との表示などであるから、明らかに「位置情報」に関連する情報を含んでいるから、本願発明1の「前記判定部によって前記一定範囲内にあると判定されることにより前記携帯端末の表示画面が利用者によって使用可能な状態であると判定されたときに、前記携帯端末の前記表示画面において前記携帯端末の位置情報に関連する特定の情報の表示を実行する実行部」と、「前記判定部によって前記一定範囲内にあると判定されたときに、前記携帯端末の前記表示画面において前記携帯端末の位置情報に関連する特定の情報の表示を実行する実行部」である点で共通するといえる。 オ 引用発明の「通信部150は、サーバへ/から各種情報およびコンテンツを送受信する機能を果たすことができ」ることは、本願発明1の「前記判定部によって前記携帯端末の表示画面上に存在する複数の点により形成される仰角が、一定範囲内にあると判定されて前記表示画面が前記利用者によって使用可能な状態であると判定されたときに、サーバに対して前記携帯端末の表示画面に表示する前記特定の情報の送信を要求する電文を送信する送信部と、 前記送信部から送信された電文に基づいて前記サーバが前記携帯端末に対して送信する前記携帯端末の表示画面に表示する前記特定の情報を受信する受信部」とを備えることと、「サーバに対して電文を送信する送信部と、 前記サーバが前記携帯端末に対して送信する前記携帯端末の表示画面に表示する前記特定の情報を受信する受信部」とを備える点で共通するといえる。 カ 引用発明の、「表示部140」は、本願発明1の「前記受信部から受信した前記特定の情報を前記携帯端末の表示画面に表示する」ことに相当する。 キ 引用発明の「慣性航法装置110、入力部120、制御部130、表示部140および通信部150は、端末100内に備えられるプログラムモジュールであり得」ることは、本願発明1の「携帯端末として機能させるプログラム」に相当する。 ク したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点・相違点があるといえる。 [一致点] 「携帯端末を、 前記携帯端末に関する物理量を測定する物理量センサと、 前記物理量センサにより計測された物理量に基づいて前記携帯端末の角度が、一定範囲内にあるか否かを判定する判定部と、 前記判定部によって前記一定範囲内にあると判定されたときに、前記携帯端末の前記表示画面において前記携帯端末の位置情報に関連する特定の情報の表示を実行する実行部と、 サーバに対して電文を送信する送信部と、 前記サーバが前記携帯端末に対して送信する前記携帯端末の表示画面に表示する前記特定の情報を受信する受信部と、 を備え、 前記受信部から受信した前記特定の情報を前記携帯端末の表示画面に表示する携帯端末として機能させるプログラム。」 [相違点1] 本願発明1では、「前記物理量センサにより計測された物理量に基づいて前記携帯端末の表示画面上に存在する複数の点により形成される仰角が、一定範囲内にあるか否かを判定する判定部」を備えるのに対し、引用発明では、「角度情報処理部131は、水平面または他の基準面を絶対的な基準面として定めておく初期化作業を行った後、これに対する端末100の現在の角度を、慣性航法装置110からの情報に基づいて把握することができ」るものであって、「前記携帯端末の表示画面上に存在する複数の点により形成される仰角」を測定することが、明確には特定されていない点。 [相違点2] 本願発明1では、「前記判定部によって前記一定範囲内にあると判定されることにより前記携帯端末の表示画面が利用者によって使用可能な状態であると判定されたときに、前記携帯端末の前記表示画面において前記携帯端末の位置情報に関連する特定の情報の表示を実行する実行部」を備えるのに対し、引用発明では、「前記判定部によって前記一定範囲内にあると判定されることにより前記携帯端末の表示画面が利用者によって使用可能な状態であると判定されたときに」、位置情報に関連する特定の情報を表示することが、特定されていない点。 [相違点3] 「送信部」と「受信部」に関して、本願発明1では、「送信部」が、「前記判定部によって前記携帯端末の表示画面上に存在する複数の点により形成される仰角が、一定範囲内にあると判定されて前記表示画面が前記利用者によって使用可能な状態であると判定されたときに、サーバに対して前記携帯端末の表示画面に表示する前記特定の情報の送信を要求する電文を送信する送信部」であり、「受信部」が、「前記送信部から送信された電文に基づいて前記サーバが前記携帯端末に対して送信する前記携帯端末の表示画面に表示する前記特定の情報を受信する受信部」であるのに対し、引用発明の「通信部150」は、「前記判定部によって前記携帯端末の表示画面上に存在する複数の点により形成される仰角が、一定範囲内にあると判定されて前記表示画面が前記利用者によって使用可能な状態であると判定されたときに」、サーバに対して「前記携帯端末の表示画面に表示する前記特定の情報の送信を要求する」電文を送信することが特定されておらず、また、「前記送信部から送信された電文に基づいて」情報を受信することが特定されていない点。 (2) 当審の判断 事案に鑑みて、携帯端末の「仰角が、一定範囲内にあるか否か」の判定に基づいて、「携帯端末の表示画面が利用者によって使用可能な状態であると判定」することを含む点で相互に関連している、上記[相違点2]、[相違点3]について先に検討すると、本願発明1の上記[相違点2]、[相違点3]に係る、「前記判定部によって前記一定範囲内にあると判定されることにより前記携帯端末の表示画面が利用者によって使用可能な状態であると判定されたときに、前記携帯端末の前記表示画面において前記携帯端末の位置情報に関連する特定の情報の表示を実行する実行部」と、「前記判定部によって前記携帯端末の表示画面上に存在する複数の点により形成される仰角が、一定範囲内にあると判定されて前記表示画面が前記利用者によって使用可能な状態であると判定されたときに、サーバに対して前記携帯端末の表示画面に表示する前記特定の情報の送信を要求する電文を送信する送信部」と、「前記送信部から送信された電文に基づいて前記サーバが前記携帯端末に対して送信する前記携帯端末の表示画面に表示する前記特定の情報を受信する受信部」とを備えることについては、上記引用文献1−2には記載されておらず、周知技術であるともいえない。 引用文献2(上記第5の2を参照。)には、端末が、情報を表示する時点で、サーバに対して、情報の送信を要求する電文を送信して、要求に対する応答として情報を受信する周知技術が記載されている。 参考文献(上記第5の5を参照。)には、携帯端末の「傾斜角検出部175」を用いて、「携帯端末100が使用開始状態か否かを判定する」という技術的事項が開示されている。 また、より具体的な「傾斜角検出部」の動作として、参考文献には、「ユーザが持ち上げた後、このユーザが携帯端末100の姿勢を変えずに把持すれば、携帯端末100の使用が開始されたと判断」するものであって、「携帯端末100をユーザが持ち上げた時の角加速度の変化量がしきい値以上であり、その後」、「携帯端末100の傾斜角の変位量が所定値未満であれば、制御部151は、携帯端末100が使用開始状態であると判定する」ことが開示されている。 しかしながら、引用文献2、及び、参考文献には、携帯端末の「仰角が、一定範囲内にあるか否か」の判定に基づいて、「携帯端末の表示画面が利用者によって使用可能な状態であると判定」することを含む、本願発明1の上記[相違点2]、[相違点3]に係る構成は開示されていない。 さらに、参考文献の記載から、たとえ、携帯端末の「傾斜角」に基づいて、携帯端末が「使用開始状態か否か」を判定することが周知技術であるとしても、本願発明1の上記[相違点2]、[相違点3]に係る構成は開示されていない。 よって、当業者といえども、引用文献1−2に記載された技術的事項から、本願発明1の上記[相違点2]、「相違点3」に係る構成を容易に想到することはできない。 したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用文献1−2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 第7 当審拒絶理由について 1 理由1(明確性)について 令和4年12月27日付けの補正により、補正後の請求項1において、「前記携帯端末の位置情報に関連し、リアルタイムで時間とともに変化する可変情報である特定の情報」とあったものが、「前記携帯端末の位置情報に関連する特定の情報」と補正されるとともに、請求項2−3が削除された結果、用語「前記携帯端末の位置情報に関連し、リアルタイムで時間とともに変化する可変情報である特定の情報」の記載が不明確であること、及び、請求項2−3の記載が不明確であることに基づく、当審拒絶理由の理由1(明確性)は解消した。 2 理由2(サポート要件)について 令和4年12月27日付けの補正により、補正後の請求項1において、「前記携帯端末の位置情報に関連し、リアルタイムで時間とともに変化する可変情報である特定の情報」とあったものが、「前記携帯端末の位置情報に関連する特定の情報」と補正されるとともに、請求項2−3が削除された結果、請求項1−2の「前記携帯端末の位置情報に関連し、リアルタイムで時間とともに変化する可変情報である特定の情報」との構成を有する発明は、発明の詳細な説明に記載したものではないこと、及び、請求項3の「情報提供装置」に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではないことに基づく、当審拒絶理由の理由2(サポート要件)は解消した。 3 理由3(進歩性)について 令和4年12月27日付けの補正による、補正後の請求項1は、本願発明1の上記[相違点2]、「相違点3」に係る技術的事項を備えるものとなった。当該技術的事項は、当審拒絶理由における引用文献1−2には記載されておらず、周知技術でもないので、本願発明1は、当業者であっても、当審拒絶理由における引用文献1−2に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、当審拒絶理由の理由3(進歩性)は解消した。 第8 原査定についての判断 1 理由1(新規性)、理由2(進歩性)について 令和4年12月27日付けの補正による、補正後の請求項1は、本願発明1の上記[相違点2]、「相違点3」に係る技術的事項を備えるものとなった。当該技術的事項は、原査定における引用文献A−Cには記載されておらず、周知技術でもないので、本願発明1は、引用文献Aに記載された発明ではなく、また、当業者であっても、原査定における引用文献A−Cに基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。 第9 むすび 以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2023-03-28 |
出願番号 | P2020-181415 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
P 1 8・ 537- WY (G06F) P 1 8・ 113- WY (G06F) |
最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
▲吉▼田 耕一 |
特許庁審判官 |
稲葉 和生 石井 則之 |
発明の名称 | プログラム |
代理人 | 弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ |