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審決分類 |
審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正する B66B 審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する B66B 審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する B66B 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する B66B 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する B66B 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する B66B |
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管理番号 | 1396239 |
総通号数 | 16 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2023-04-28 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2022-11-16 |
確定日 | 2023-02-02 |
訂正明細書 | true |
事件の表示 | 特許第6866961号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第6866961号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2−8〕について訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件訂正審判に係る特許第6866961号(以下、「本件特許」という。)に係る出願は、2020年(令和2年)1月31日を国際出願日とする特願2020−566860号であって、令和3年4月12日にその特許権の設定登録がなされ、令和4年11月15日付けで特許権者である三菱電機ビルソリューションズ株式会社により本件訂正審判の請求がなされたものである。 第2 請求の趣旨 本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項2〜8について訂正することを認める、との審決を求めるものである。 第3 訂正の内容 本件訂正審判の請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、次のものである(下線部は訂正箇所を示す。)。 特許請求の範囲の請求項2に 「前記受信部が複数種の災害発生時」と記載されているのを、「前記受信部が前記複数種の災害発生時」に訂正し、「備えた請求項1に記載のエレベーターの災害訓練装置。」と記載されているのを、「備えたエレベーターの災害訓練装置。」に訂正し、独立形式に改める。 請求項2の記載を引用する請求項3〜8も同様に訂正する。 第4 当審の判断 (1)訂正の目的について 本件特許の明細書の段落【0006】には「本開示に係るエレベーターの災害訓練装置は、情報を送信する送信部と、情報を受信する受信部と、エレベーターの管理者の端末に向けて、災害発生時の訓練の開始を促す訓練開始促進情報を前記送信部に送信させ、その後、前記管理者の端末から前記受信部が前記訓練開始促進情報に対応した訓練開始指示情報を受信した際に、前記エレベーターに対して災害発生時の訓練用の運転を開始させる訓練運転開始情報を前記送信部に送信させる制御部と、を備えた。 本開示に係るエレベーターの災害訓練装置は、情報を送信する送信部と、情報を受信する受信部と、エレベーターの管理者の端末に向けて、複数種の災害発生時の訓練の開始を促す訓練開始促進情報を前記送信部に送信させ、その後、前記管理者の端末から前記受信部が複数種の災害発生時の訓練のうちの少なくとも1つの訓練に対応した訓練開始指示情報を受信した際に、前記エレベーターに対して前記訓練開始指示情報に対応した訓練用の運転を開始させる訓練運転開始情報を前記送信部に送信させる制御部と、を備えた。」と記載されており、本件特許の請求項1及び請求項2の記載に対応するものがそれぞれ独立して記載されていると認められる。 また、本件特許の明細書の段落【0033】には「以上で説明した実施の形態1によれば、監視装置9は、管理者の端末Aに向けて、災害発生時の訓練の開始を促す訓練開始促進情報を送信する。監視装置9は、訓練開始促進情報に対応した訓練開始指示情報を受信した際に、制御装置8に対して災害発生時の訓練用の運転を開始させる訓練運転開始情報を送信する。」と記載されており、本件特許の明細書の段落【0034】には「なお、監視装置9の制御部9cにおいて、管理者の端末Aに向けて、複数種の災害発生時の訓練の開始を促す訓練開始促進情報を送信してもよい。この場合、受信部9bが複数種の災害発生時の訓練のうちの少なくとも1つの訓練に対応した訓練開始指示情報を受信した際に、制御部9cにおいて、制御装置8に対して訓練開始指示情報に対応した訓練用の運転を開始させる訓練運転開始情報を送信部9aに送信させてよい。」と記載されており、本件特許の請求項1及び請求項2の記載に対応するものがそれぞれ独立して記載されていると認められる(下線は当審で付した。以下同様。)。 そうすると、本件訂正前の請求項2には請求項1を引用する記載があるところ、本件特許の明細書の段落【0006】、【0033】及び【0034】の記載に照らせば、本件訂正前の請求項2における請求項1を引用する記載は誤りであり、正しくは請求項2が請求項1を引用しない独立したものであると認められるため、「備えた請求項1に記載のエレベーターの災害訓練装置。」と記載されているのを、「備えたエレベーターの災害訓練装置。」として独立形式に改める訂正は特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものに該当する。 また、「前記受信部が複数種の災害発生時」と記載されているのを、「前記受信部が前記複数種の災害発生時」とする訂正は、本件訂正前の請求項2の「複数種の災害発生時の訓練の開始を促す訓練開始促進情報」という記載における「複数種の災害発生時」と、「複数種の災害発生時の訓練のうちの少なくとも1つの訓練に対応した訓練開始指示情報」という記載における「複数種の災害発生時」とが同じ「複数種の災害発生時」であるのか否か不明瞭であった記載を、同じ「複数種の災害発生時」であることを明らかにするためのものであると認められるため、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。 よって、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正と同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明とを目的とするものに該当する。 (2)新規事項の追加の有無について 本件特許の明細書の段落【0006】には「本開示に係るエレベーターの災害訓練装置は、情報を送信する送信部と、情報を受信する受信部と、エレベーターの管理者の端末に向けて、複数種の災害発生時の訓練の開始を促す訓練開始促進情報を前記送信部に送信させ、その後、前記管理者の端末から前記受信部が複数種の災害発生時の訓練のうちの少なくとも1つの訓練に対応した訓練開始指示情報を受信した際に、前記エレベーターに対して前記訓練開始指示情報に対応した訓練用の運転を開始させる訓練運転開始情報を前記送信部に送信させる制御部と、を備えた。」と記載されており、本件訂正後の請求項2に係る発明の発明特定事項に対応する記載がある。 よって、本件訂正は、本件特許の明細書より導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。 したがって、本件訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合する。 (3)特許請求の範囲の拡張又は変更について 本件訂正により、上記(1)で検討したとおり誤記を訂正するとともに、「複数種の災害発生時の訓練のうちの少なくとも1つの訓練に対応した訓練開始指示情報」という記載における「複数種の災害発生時」と、「複数種の災害発生時の訓練の開始を促す訓練開始促進情報」という記載における「複数種の災害発生時」とが同じ「複数種の災害発生時」であるか否か不明瞭であったところ、「前記受信部が複数種の災害発生時」との記載を「前記受信部が前記複数種の災害発生時」との記載に訂正することにより、双方が同じ「複数種の災害発生時」であることが特定されたから、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものには該当しない。 したがって、本件訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。 (4)独立特許要件について 上記(1)で述べたとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とする訂正を含むから、同条第7項に規定する、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならないこと(いわゆる独立特許要件)が要件となるところ、本件訂正後の請求項2〜8に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする理由を発見しないから、本件訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。 (5)一群の請求項ごとに訂正を請求することについて 本件訂正前の請求項3〜8は、訂正前の請求項2を引用したものであって、本件訂正によって記載が訂正される請求項2に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項2〜8は、特許法施行規則第45条の4に規定する関係を有する一群の請求項を構成する。そして、本件審判請求は、訂正前の請求項2〜8の記載を訂正しようとするものであり、一群の請求項2〜8に対して請求されている。 したがって、本件訂正審判の請求は特許法第126条第3項の規定に適合する。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正と、同条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明とを目的とし、かつ、同条第3項、第5項〜第7項までの規定に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 情報を送信する送信部と、 情報を受信する受信部と、 エレベーターの管理者の端末に向けて、複数種の災害発生時の訓練の開始を促す訓練開始促進情報を前記送信部に送信させ、その後、前記管理者の端末から前記受信部が前記複数種の災害発生時の訓練のうちの少なくとも1つの訓練に対応した訓練開始指示情報を受信した際に、前記エレベーターに対して前記訓練開始指示情報に対応した訓練用の運転を開始させる訓練運転開始情報を前記送信部に送信させる制御部と、 を備えたエレベーターの災害訓練装置。 【請求項2】 情報を送信する送信部と、 情報を受信する受信部と、 エレベーターの管理者の端末に向けて、複数種の災害発生時の訓練の開始を促す訓練開始促進情報を前記送信部に送信させ、その後、前記管理者の端末から前記受信部が前記複数種の災害発生時の訓練のうちの少なくとも1つの訓練に対応した訓練開始指示情報を受信した際に、前記エレベーターに対して前記訓練開始指示情報に対応した訓練用の運転を開始させる訓練運転開始情報を前記送信部に送信させる制御部と、 を備えたエレベーターの災害訓練装置。 【請求項3】 前記制御部は、前記端末が外部からの操作により前記訓練開始指示情報を送信し、前記受信部が前記端末から前記訓練開始指示情報を受信した際に、前記訓練運転開始情報を前記送信部に送信させる請求項1または請求項2に記載のエレベーターの災害訓練装置。 【請求項4】 前記制御部は、前記エレベーターに設けられた機器が外部からの特定の操作により前記訓練開始指示情報を送信し、前記受信部が前記機器から前記訓練開始指示情報を受信した際に、前記訓練運転開始情報を前記送信部に送信させる請求項1または請求項2に記載のエレベーターの災害訓練装置。 【請求項5】 前記制御部は、前記エレベーターの乗場またはかごに設けられたビーコン装置が電波を送信し、前記管理者の携帯端末が前記ビーコン装置からの電波を受信し、前記管理者の携帯端末が当該電波に対応した前記訓練開始指示情報を自動で送信し、前記受信部が前記管理者の携帯端末から前記訓練開始指示情報を受信した際に、前記訓練運転開始情報を前記送信部に送信させる請求項1または請求項2に記載のエレベーターの災害訓練装置。 【請求項6】 前記制御部は、前記エレベーターの乗場またはかごに設けられた読取装置が前記管理者の識別体から識別情報を読み取り、前記読取装置が当該識別情報に対応した前記訓練開始指示情報を送信し、前記受信部が前記読取装置から前記訓練開始指示情報を受信した際に、 前記訓練運転開始情報を前記送信部に送信させる請求項1または請求項2に記載のエレベーターの災害訓練装置。 【請求項7】 前記制御部は、前記端末が外部からの操作により訓練終了指示情報を送信し、前記受信部が前記端末から前記訓練終了指示情報を受信した際に、前記エレベーターに対して災害発生時の訓練用の運転を終了させる訓練運転終了情報を前記送信部に送信させる請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のエレベーターの災害訓練装置。 【請求項8】 前記制御部は、前記エレベーターに設けられた機器が外部からの特定の操作により訓練終了指示情報を送信し、前記受信部が前記機器から前記訓練終了指示情報を受信した際に、前記エレベーターに対して災害発生時の訓練用の運転を終了させる訓練運転終了情報を前記送信部に送信させる請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のエレベーターの災害訓練装置。 【請求項9】 エレベーターの管理者の端末に向けて、災害発生時の訓練の開始を促す訓練開始促進情報を送信し、その後、前記管理者の端末から前記訓練開始促進情報に対応した訓練開始指示情報を受信した際に、訓練運転開始情報を送信する災害訓練装置と、 前記災害訓練装置から前記訓練運転開始情報を受信した際に、前記エレベーターに対して災害発生時の訓練用の運転を開始させる制御装置と、 を備えたエレベーターシステム。 【請求項10】 エレベーターの管理者の端末に向けて、複数種の災害発生時の訓練の開始を促す訓練開始促進情報を送信し、その後、前記管理者の端末から複数種の災害発生時の訓練のうちの少なくとも1つの訓練に対応した訓練開始指示情報を受信した際に、前記訓練開始指示情報に対応した訓練運転開始情報を送信する災害訓練装置と、 前記災害訓練装置から前記訓練運転開始情報を受信した際に、前記エレベーターに対して前記訓練運転開始情報に対応した災害発生時の訓練用の運転を開始させる制御装置と、を備えたエレベーターシステム。 【請求項11】 前記災害訓練装置は、前記端末が外部からの操作により前記訓練開始指示情報を送信し、前記端末から前記訓練開始指示情報を受信した際に、前記訓練運転開始情報を送信する請求項9または請求項10に記載のエレベーターシステム。 【請求項12】 前記災害訓練装置は、前記エレベーターに設けられた機器が外部からの特定の操作により前記訓練開始指示情報を送信し、前記機器から前記訓練開始指示情報を受信した際に、前記訓練運転開始情報を送信する請求項9または請求項10に記載のエレベーターシステム。 【請求項13】 前記エレベーターの乗場またはかごに設けられたビーコン装置、 を備え、 前記災害訓練装置は、前記ビーコン装置が電波を送信し、前記管理者の携帯端末が前記ビーコン装置からの電波を受信し、前記管理者の携帯端末が当該電波に対応した前記訓練開始指示情報を自動で送信し、前記管理者の携帯端末から前記訓練開始指示情報を受信した際に、前記訓練運転開始情報を送信する請求項9または請求項10に記載のエレベーターシステム。 【請求項14】 前記エレベーターの乗場またはかごに設けられた読取装置、 を備え、 前記災害訓練装置は、前記読取装置が前記管理者の識別体から識別情報を読み取り、前記読取装置が当該識別情報に対応した前記訓練開始指示情報を送信し、前記読取装置から前記訓練開始指示情報を受信した際に、前記訓練運転開始情報を送信する請求項9または請求項10に記載のエレベーターシステム。 【請求項15】 前記災害訓練装置は、前記端末が外部からの操作により訓練終了指示情報を送信し、前記端末から前記訓練終了指示情報を受信した際に、訓練運転終了情報を送信し、 前記制御装置は、前記災害訓練装置から前記訓練運転終了情報を受信した際に、前記エレベーターに対して災害発生時の訓練用の運転を終了させる請求項9から請求項14のいずれか一項に記載のエレベーターシステム。 【請求項16】 前記災害訓練装置は、前記エレベーターに設けられた機器が外部からの特定の操作により訓練終了指示情報を送信し、前記機器から前記訓練終了指示情報を受信した際に、訓練運転終了情報を送信し、 前記制御装置は、前記災害訓練装置から前記訓練運転終了情報を受信した際に、前記エレベーターに対して災害発生時の訓練用の運転を終了させる請求項9から請求項14のいずれか一項に記載のエレベーターシステム。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2022-12-28 |
結審通知日 | 2023-01-10 |
審決日 | 2023-01-23 |
出願番号 | P2020-566860 |
審決分類 |
P
1
41・
841-
Y
(B66B)
P 1 41・ 856- Y (B66B) P 1 41・ 854- Y (B66B) P 1 41・ 852- Y (B66B) P 1 41・ 855- Y (B66B) P 1 41・ 853- Y (B66B) |
最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
小川 恭司 |
特許庁審判官 |
久島 弘太郎 尾崎 和寛 |
登録日 | 2021-04-12 |
登録番号 | 6866961 |
発明の名称 | 災害発生時の訓練を実施するエレベーターの災害訓練装置およびエレベーターシステム |
代理人 | 弁理士法人高田・高橋国際特許事務所 |
代理人 | 弁理士法人高田・高橋国際特許事務所 |