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審決分類 |
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G01R 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01R |
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管理番号 | 1397004 |
総通号数 | 17 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2023-05-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-06-22 |
確定日 | 2023-04-13 |
事件の表示 | 特願2020−167923号「電源装置、時計及び電圧検出方法」拒絶査定不服審判事件〔令和4年4月14日出願公開、特開2022−59979号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、令和2年10月2日の特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和3年11月16日付け:拒絶理由通知書 同年12月23日 :意見書、手続補正書の提出 令和4年 3月31日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同年 4月 5日 :原査定の謄本の送達) 同年 6月22日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和4年6月22日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和4年6月22日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 本件補正の内容 令和4年6月22日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、次の(1)に示す本件補正前の特許請求の範囲の請求項1、7及び明細書の【0006】、【0012】の記載を、以下の(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1、7及び明細書の【0006】、【0012】の記載に補正することを含むものである。下線は補正箇所を示す。 (1) 本件補正前の請求項1、請求項7、【0006】、【0012】 「 【請求項1】 検出電圧入力端子と閾値選択端子とを備え、前記検出電圧入力端子に入力された複数の電圧値が前記閾値選択端子により選択された前記複数の電圧値のそれぞれに対応する複数の閾値より大きいか否かを検出する検出部と、 前記閾値選択端子に入力される電圧を選択する閾値選択部と、 第1負荷に電力を供給する第1電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第1スイッチと、 前記第1負荷とは異なる第2負荷に電力を供給する、前記第1電源とは異なる第2電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第2スイッチと、 前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを排他的にオン状態に制御することにより、前記第1電源又は前記第2電源のいずれか一方の電圧値を前記検出電圧入力端子に入力する電圧選択部と を備える電源装置。」 「 【請求項7】 検出電圧入力端子に入力された複数の電圧値が閾値選択端子により選択された前記複数の電圧値のそれぞれに対応する複数の閾値より大きいか否かを検出する検出工程と、 前記閾値選択端子に入力される電圧を選択する閾値選択工程と、 第1負荷に電力を供給する第1電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第1選択工程と、 前記第1負荷とは異なる第2負荷に電力を供給する、前記第1電源とは異なる第2電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第2選択工程と、 前記第1選択工程及び前記第2選択工程により、前記第1電源又は前記第2電源のいずれか一方の電圧値を前記検出電圧入力端子に入力する電圧選択工程と を有する電圧検出方法。」 「 【0006】 本発明の一態様に係る電源装置は、検出電圧入力端子と閾値選択端子とを備え、前記検出電圧入力端子に入力された複数の電圧値が前記閾値選択端子により選択された前記複数の電圧値のそれぞれに対応する複数の閾値より大きいか否かを検出する検出部と、前記閾値選択端子に入力される電圧を選択する閾値選択部と、第1負荷に電力を供給する第1電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第1スイッチと、前記第1負荷とは異なる第2負荷に電力を供給する、前記第1電源とは異なる第2電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第2スイッチと、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを排他的にオン状態に制御することにより、前記第1電源又は前記第2電源のいずれか一方の電圧値を前記検出電圧入力端子に入力する電圧選択部とを備える。」 「 【0012】 また、本発明の一態様に係る電圧検出方法は、検出電圧入力端子に入力された複数の電圧値が閾値選択端子により選択された前記複数の電圧値のそれぞれに対応する複数の閾値より大きいか否かを検出する検出工程と、前記閾値選択端子に入力される電圧を選択する閾値選択工程と、第1負荷に電力を供給する第1電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第1選択工程と、前記第1負荷とは異なる第2負荷に電力を供給する、前記第1電源とは異なる第2電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第2選択工程と、前記第1選択工程及び前記第2選択工程により、前記第1電源又は前記第2電源のいずれか一方の電圧値を前記検出電圧入力端子に入力する電圧選択工程とを有する。」 (2) 本件補正後の請求項1、請求項7、【0006】、【0012】 「 【請求項1】 検出電圧入力端子と閾値選択端子とを備え、前記検出電圧入力端子に入力された複数の電圧値が前記閾値選択端子により選択された前記複数の電圧値のそれぞれに対応する複数の閾値であって負荷状態又は無負荷状態のいずれであるかに応じて選択される閾値より大きいか否かを検出する検出部と、 前記閾値選択端子に入力される電圧を選択する閾値選択部と、 第1負荷に電力を供給する第1電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第1スイッチと、 前記第1負荷とは異なる第2負荷に電力を供給する、前記第1電源とは異なる第2電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第2スイッチと、 前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを排他的にオン状態に制御することにより、前記第1電源又は前記第2電源のいずれか一方の電圧値を前記検出電圧入力端子に入力する電圧選択部と、 前記検出部により検出された結果、前記第1電源の電圧及び前記第2電源の電圧が所定の範囲内である場合に正常状態と判定し、前記第1電源の電圧及び前記第2電源の電圧が所定の範囲内でない場合に低下状態と判定する電池切れ予告判定部と、 前記電池切れ予告判定部の判定結果が前記正常状態である場合、第1のパルス幅により指針の駆動を制御し、前記電池切れ予告判定部の判定結果が前記低下状態である場合、前記第1のパルス幅より長い第2のパルス幅により指針の駆動を制御する時計制御部と を備える電源装置。」 「 【請求項7】 検出電圧入力端子に入力された複数の電圧値が閾値選択端子により選択された前記複数の電圧値のそれぞれに対応する複数の閾値であって負荷状態又は無負荷状態のいずれであるかに応じて選択される閾値より大きいか否かを検出する検出工程と、 前記閾値選択端子に入力される電圧を選択する閾値選択工程と、 第1負荷に電力を供給する第1電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第1選択工程と、 前記第1負荷とは異なる第2負荷に電力を供給する、前記第1電源とは異なる第2電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第2選択工程と、 前記第1選択工程及び前記第2選択工程により、前記第1電源又は前記第2電源のいずれか一方の電圧値を前記検出電圧入力端子に入力する電圧選択工程と、 前記検出工程により検出された結果、前記第1電源の電圧及び前記第2電源の電圧が所定の範囲内である場合に正常状態と判定し、前記第1電源の電圧及び前記第2電源の電圧が所定の範囲内でない場合に低下状態と判定する電池切れ予告判定工程と、 前記電池切れ予告判定工程による判定結果が前記正常状態である場合、第1のパルス幅により指針の駆動を制御し、前記電池切れ予告判定工程による判定結果が前記低下状態である場合、前記第1のパルス幅より長い第2のパルス幅により指針の駆動を制御する時計制御工程と を有する電圧検出方法。」 「 【0006】 本発明の一態様に係る電源装置は、検出電圧入力端子と閾値選択端子とを備え、前記検出電圧入力端子に入力された複数の電圧値が前記閾値選択端子により選択された前記複数の電圧値のそれぞれに対応する複数の閾値より大きいか否かを検出する検出部と、前記閾値選択端子に入力される電圧を選択する閾値選択部と、第1負荷に電力を供給する第1電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第1スイッチと、前記第1負荷とは異なる第2負荷に電力を供給する、前記第1電源とは異なる第2電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第2スイッチと、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを排他的にオン状態に制御することにより、前記第1電源又は前記第2電源のいずれか一方の電圧値を前記検出電圧入力端子に入力する電圧選択部と、前記検出部により検出された結果、前記第1電源の電圧及び前記第2電源の電圧が所定の範囲内である場合に正常状態と判定し、前記第1電源の電圧及び前記第2電源の電圧が所定の範囲内でない場合に低下状態と判定する電池切れ予告判定部と、前記電池切れ予告判定部の判定結果が前記正常状態である場合、第1のパルス幅により指針の駆動を制御し、前記電池切れ予告判定部の判定結果が前記低下状態である場合、前記第1のパルス幅より長い第2のパルス幅により指針の駆動を制御する時計制御部とを備える。」 「 【0012】 また、本発明の一態様に係る電圧検出方法は、検出電圧入力端子に入力された複数の電圧値が閾値選択端子により選択された前記複数の電圧値のそれぞれに対応する複数の閾値より大きいか否かを検出する検出工程と、前記閾値選択端子に入力される電圧を選択する閾値選択工程と、第1負荷に電力を供給する第1電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第1選択工程と、前記第1負荷とは異なる第2負荷に電力を供給する、前記第1電源とは異なる第2電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第2選択工程と、前記第1選択工程及び前記第2選択工程により、前記第1電源又は前記第2電源のいずれか一方の電圧値を前記検出電圧入力端子に入力する電圧選択工程と、前記検出工程により検出された結果、前記第1電源の電圧及び前記第2電源の電圧が所定の範囲内である場合に正常状態と判定し、前記第1電源の電圧及び前記第2電源の電圧が所定の範囲内でない場合に低下状態と判定する電池切れ予告判定工程と、前記電池切れ予告判定工程による判定結果が前記正常状態である場合、第1のパルス幅により指針の駆動を制御し、前記電池切れ予告判定工程による判定結果が前記低下状態である場合、前記第1のパルス幅より長い第2のパルス幅により指針の駆動を制御する時計制御工程とを有する。」 2 本件補正についての当審の判断 本件補正後の請求項1、【0006】は「前記電池切れ予告判定部の判定結果が前記正常状態である場合、第1のパルス幅により指針の駆動を制御し、前記電池切れ予告判定部の判定結果が前記低下状態である場合、前記第1のパルス幅より長い第2のパルス幅により指針の駆動を制御する時計制御部」という事項を、本件補正後の請求項7、【0012】は、「前記電池切れ予告判定部の判定結果が前記正常状態である場合、第1のパルス幅により指針の駆動を制御し、前記電池切れ予告判定部の判定結果が前記低下状態である場合、前記第1のパルス幅より長い第2のパルス幅により指針の駆動を制御する時計制御工程」という事項を含むところ、以下に詳述するとおり、当該事項を追加する補正はいわゆる新規事項を追加するものであるから、本件補正は特許法17条の2第3項の規定に違反するものである。 (1) 当初明細書等の記載について 本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)には以下の記載がある。下線は合議体が付した。以下同様である。 ア 【0030】〜【0032】、【図3】 「【0030】 [時計の回路構成] 図3は、第1の実施形態に係る電源装置10の回路構成の一例を示す図である。同図を参照しながら、時計1における電源装置10の回路構成の一例について説明する。図1を参照しながら説明した構成と同様の構成については、同様の符号を付すことにより、説明を省略する場合がある。 時計1は、第1電源21と、第2電源22と、第1負荷31と、第2負荷32と、制御部40と、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2と、NOT回路431と、検出部50とを備える。 【0031】 第1負荷31は、LCD(Liquid Crystal Display)、LED(Light Emitting Diode)等の装飾用負荷、標準電波受信、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth)等の通信機能、報時機能等の時計を計時する機能以外の機能を有する。制御部40は、第1制御信号SIG1により、第1負荷31を制御する。 第2負荷32は時計を計時する機能を有する。第2負荷32は、具体的には、時計体すなわちステッピングモータ等の指針を運針するための負荷であってもよい。制御部40は、第2制御信号SIG2により、第2負荷32を制御する。 【0032】 この一例において、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2は、FET(Field Effect Transistor)を含む。第2検出電圧選択信号PSSEL2がHレベルである場合に第2スイッチSW2のゲート端子にはHレベルが入力されるため、第2スイッチSW2はオンし、第2電源22の電圧が検出部50の検出電圧入力端子51に入力される。第1スイッチSW1のゲート端子は、第2スイッチSW2のゲート端子とNOT回路431を介して接続される。したがって、第2検出電圧選択信号PSSEL2がHレベルである場合に第1検出電圧選択信号PSSEL1はLレベルとなるため、第1スイッチSW1はオフである。第2検出電圧選択信号PSSEL2がLレベルである場合に第1検出電圧選択信号PSSEL1はHレベルとなるため、第1スイッチSW1はオンし、第1電源21の電圧が検出部50の検出電圧入力端子51に入力される。すなわち、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2は、排他的にオン状態に制御される。」 「【図3】 」 イ 【0033】〜【0036】、【図4】 「【0033】 [各電源の検出電圧と検出タイミング] 図4は、第1の実施形態に係る電源装置10の検出電圧について説明をするための図である。図4(A)は、第1電源21の検出電圧について説明するための図である。図4(B)は、第2電源22の検出電圧について説明するための図である。 【0034】 図4(A)を参照しながら、第1電源21の検出電圧について説明する。第1電源21は、3V系の電源であり、検出回路を含む制御回路を駆動する。この一例において、電源装置10は、第1電源21の電圧が2.4Vより大きいか否か、及び2.3Vより大きいか否かを検出する。電源装置10は、無負荷状態において第1電源21の電圧が2.4Vより下回った場合に、電池切れ予告を行う。具体的には電源装置10は、リセット時及び通常時における無負荷時において、第1電源21の電圧が2.4Vより大きいか否かを検出する。通常時における無負荷時とは、例えば、毎時49分49秒から49分50秒の間であってもよい。この場合、検出結果取得部41は、第1負荷31及び第2負荷32に負荷変動がない期間において検出部50により検出された結果を取得する。 【0035】 また、電源装置10は、第1負荷31の負荷が最大負荷となる状態において、第1電源21の電圧が2.3Vより大きいか否かを検出する。第1負荷31の負荷が最大負荷となる状態とは、例えば、報時中であってもよい。この場合、電圧選択部43は、第1負荷31の電力消費量に基づいたタイミングにおいて、第1スイッチSW1をオン状態に制御することにより第1電源21の電圧値を検出電圧入力端子51に入力し、第2負荷32の電力消費量に基づいたタイミングにおいて、第2スイッチSW2をオン状態に制御することにより第2電源22の電圧値を検出電圧入力端子51に入力する。 【0036】 図4(B)を参照しながら、第2電源22の検出電圧について説明する。第2電源22は、1.5V系の電源であり、指針駆動用のモータを駆動する。この一例において、電源装置10は、第2電源22の電圧が1.35Vより大きいか否か、1.15Vより大きいか否か、及び1.8Vより小さいか否かを検出する。電源装置10は、無負荷状態において第2電源22の電圧が1.35Vより下回った場合に、分針パルス幅切り替えを行う。具体的には電源装置10は、通常時における無負荷時において、第2電源22の電圧が1.35Vより大きいか否かを検出する。分針パルス幅切り替えを行うことにより、低電圧時でも指針駆動ができるようにパルス幅を長くする。また、電源装置10は、負荷状態において第2電源22の電圧が1.15Vより下回った場合に、電池切れ予告を行う。具体的には電源装置10は、リセット時及び通常時における負荷時において、第2電源22の電圧が1.15Vより大きいか否かを検出する。また、電源装置10は、無負荷状態において第2電源22の電圧が1.8Vより上回った場合に、電池切れ予告を行う。具体的には電源装置10は、リセット時及び通常時における無負荷時において、第2電源22の電圧が1.8Vより小さいか否かを検出する。」 「【図4】 」 ウ 【0037】〜【0039】、【図5】 「【0037】 [各電源の判定結果] 図5は、第1の実施形態に係る電源装置10の各電圧の判定結果の一例を示す図である。図5(A)は、第1電源21の検出電圧に基づく判定結果の一例を示す図である。図5(B)は、第2電源22の検出電圧に基づく判定結果の一例を示す図である。電源装置10は、判定結果に基づき、第1負荷31又は第2負荷32を制御する。同図を参照しながら行う説明において、電源電圧が閾値以上である場合の検出結果をHとして、電源電圧が閾値以下である場合の検出結果をLとして記載する。 【0038】 図5(A)を参照しながら、第1電源21の検出電圧に基づく判定結果の一例について説明する。電源装置10は、2.4Vの検出結果がHであり、2.3Vの検出結果がLである場合、第1電源21の電圧は低下していると判定する。電源装置10は、2.4Vの検出結果がHであり、2.3Vの検出結果がHである場合、第1電源21の電圧は正常であると判定する。電源装置10は、2.4Vの検出結果がLであり、2.3Vの検出結果がLである場合、第1電源21の電圧は低下していると判定する。電源装置10は、2.4Vの検出結果がLであり、2.3Vの検出結果がHである場合、第1電源21の電圧は低下していると判定する。すなわち、電源装置10は、2.4Vの検出結果及び2.3Vの検出結果がいずれもHである場合には正常と判定し、2.4Vの検出結果又は2.3Vの検出結果のいずれか一方でもLである場合には低下と判定する。 【0039】 図5(B)を参照しながら、第2電源22の検出電圧に基づく判定結果の一例について説明する。電源装置10は、1.15Vの検出結果がHであり、1.8Vの検出結果がLである場合、第2電源22の電圧は正常であると判定する。電源装置10は、1.15Vの検出結果がHであり、1.8Vの検出結果がHである場合、第2電源22の電圧は低下していると判定する。電源装置10は、1.15Vの検出結果がLであり、1.8Vの検出結果がLである場合、第2電源22の電圧は低下していると判定する。電源装置10は、1.15Vの検出結果がLであり、1.8Vの検出結果がHである場合、第2電源22の電圧は低下していると判定する。すなわち、電源装置10は、1.15Vの検出結果がHであり、かつ1.8Vの検出結果がLである場合には正常と判定し、その他の場合には低下と判定する。」 「【図5】 」 エ 【0040】〜【0041】、【図6】、【図7】 「【0040】 [電池切れ予告判定] 図6は、第1の実施形態に係る電源装置10の電池切れ予告判定の一例を示す図である。同図を参照しながら、電池切れ予告判定の一例について説明する。 電源装置10は、各電源の判定結果に基づき、電池切れ予告判定を行う。同図における説明では、第1電源21の電圧を“制御回路用”と記載し、第2電源22の電圧を“ムーブ用”と記載する。電源装置10は、第1電源21の電圧が正常であり、かつ第2電源22の電圧が正常である場合、電池切れ予告判定は正常であると判定し、電池切れ予告を行わない。電源装置10は、第1電源21の電圧が低下であり、第2電源22の電圧が正常である場合、電池切れ予告判定は低下であると判定し、電池切れ予告を行う。電源装置10は、第1電源21の電圧が正常であり、第2電源22の電圧が低下である場合、電池切れ予告判定は低下であると判定し、電池切れ予告を行う。電源装置10は、第1電源21の電圧が低下であり、第2電源22の電圧が低下である場合、電池切れ予告判定は低下であると判定し、電池切れ予告を行う。すなわち、電源装置10は、第1電源21及び第2電源22の電圧のうち少なくとも一方が低下である場合、電池切れ予告判定は低下であると判定し、電池切れ予告を行う。 【0041】 [判定結果と挙動] 図7は、第1の実施形態に係る電源装置10の判定結果と挙動の一例を示す図である。同図を参照しながら、電源装置10の判定結果と挙動の一例について説明する。 電源装置10は、電池切れ予告判定の結果、正常である場合には、秒針を通常運針し、電池マークを消灯する。電源装置10は、電池切れ予告判定の結果、低下である場合には、秒針を00秒の位置に停止し、電池マークを点滅させる。」 「【図6】 」 「【図7】 」 オ 【0042】〜【0050】、【図8】 「【0042】 [電源装置の一連の動作] 図8は、第1の実施形態に係る電源装置10の一連の動作について説明をするための図である。同図を参照しながら、電源装置10の一連の動作について説明する。 (ステップS110)不図示の時計制御部は、リセット動作が行われた場合、IO端子の初期化、RAM(Random Access Memory)の初期化等の通常動作に要する初期設定を行う。リセット動作は、例えば、電源投入時又はリセットボタン押下時等に行われる。 (ステップS120)電源装置10は、通常モードで起動した場合(すなわち、ステップS120;YES)、処理をステップS130に進める。電源装置10は、通常モード以外のモードで起動した場合(すなわち、ステップS120;NO)、処理を終了する。 【0043】 (ステップS130)電源装置10は、第2電源22を選択する。具体的には、電圧選択部43は、検出電圧選択信号PSSELを制御することにより、第1スイッチSW1をオフに、第2スイッチSW2をオンに制御する。第1スイッチSW1がオフに、第2スイッチSW2がオンに制御された結果、第2電源22の第2電圧V2が検出電圧入力端子51に入力される。以降、第1電源21の電圧を検出電圧入力端子51に入力するか否かを選択する工程を、第1選択工程とも記載する場合がある。また、第2電源22の電圧を検出電圧入力端子51に入力するか否かを選択する工程を、第2選択工程とも記載する場合がある。 (ステップS140)電源装置10は、検出電圧閾値を1.15Vに設定する。具体的には、閾値選択部42は、閾値選択信号THSELを制御することにより、検出電圧閾値を1.15Vに設定する。 (ステップS150)電源装置10は、第2電源22の電圧が1.15Vより下回っているか否かの検出を開始する。具体的には、検出結果取得部41は、検出電圧選択信号PSSEL及び閾値選択信号THSELを制御してから所定期間経過後の電圧検出信号VDETを確認する。 (ステップS160)電源装置10は、検出結果取得部41により取得された電圧検出信号VDETに基づく判定をし、判定結果を保存する。 【0044】 (ステップS170)電源装置10は、検出電圧閾値を1.8Vに設定する。具体的には、閾値選択部42は、閾値選択信号THSELを制御することにより、検出電圧閾値を1.8Vに設定する。ここで、本実施形においては、検出電圧入力端子51に入力される電圧が特定の電圧に固定されている状態において、閾値選択端子52を切り替える。すなわち、閾値選択部42は、電圧選択部43により第1電源21又は第2電源22のいずれか一方の電圧値が検出電圧入力端子51に入力されている状態において、閾値選択端子52に入力される電圧を、複数の電圧値に切り替える。 (ステップS180)電源装置10は、第2電源22の電圧が1.8Vより下回っているか否かの検出を開始する。具体的には、検出結果取得部41は、検出電圧選択信号PSSEL及び閾値選択信号THSELを制御してから所定期間経過後の電圧検出信号VDETを確認する。 (ステップS190)電源装置10は、検出結果取得部41により取得された電圧検出信号VDETに基づく判定をし、判定結果を保存する。 【0045】 (ステップS200)電源装置10は、第1電源21を選択する。具体的には、電圧選択部43は、検出電圧選択信号PSSELを制御することにより、第1スイッチSW1をオンに、第2スイッチSW2をオフに制御する。第1スイッチSW1がオンに、第2スイッチSW2がオフに制御された結果、第1電源21の第1電圧V1が検出電圧入力端子51に入力される。 (ステップS210)電源装置10は、検出電圧閾値を2.4Vに設定する。具体的には、閾値選択部42は、閾値選択信号THSELを制御することにより、検出電圧閾値を2.4Vに設定する。 (ステップS220)電源装置10は、第2電源22の電圧が2.4Vより下回っているか否かの検出を開始する。具体的には、検出結果取得部41は、検出電圧選択信号PSSEL及び閾値選択信号THSELを制御してから所定期間経過後の電圧検出信号VDETを確認する。 (ステップS230)電源装置10は、検出結果取得部41により取得された電圧検出信号VDETに基づく判定をし、判定結果を保存する。 【0046】 (ステップS240)電源装置10は、ステップS160において保存した判定結果が、第2電源22の電圧が1.15V以上である場合(すなわち、ステップS240;YES)、処理をステップS250に進める。電源装置10は、ステップS160において保存した判定結果が、第2電源22の電圧が1.15V以上であるものでない場合(すなわち、ステップS240;NO)、処理をステップS340に進める。 (ステップS250)電源装置10は、ステップS190において保存した判定結果が、第2電源22の電圧が1.8V未満である場合(すなわち、ステップS250;YES)、処理をステップS260に進める。電源装置10は、ステップS190において保存した判定結果が、第2電源22の電圧が1.8V未満であるものでない場合(すなわち、ステップS250;NO)、処理をステップS340に進める。 (ステップS260)電源装置10は、ステップS230において保存した判定結果が、第1電源21の電圧が2.4V以上である場合(すなわち、ステップS260;YES)、処理をステップS270に進める。電源装置10は、ステップS230において保存した判定結果が、第1電源21の電圧が2.4V以上であるものでない場合(すなわち、ステップS260;NO)、処理をステップS340に進める。 【0047】 (ステップS270)電源装置10は、第1電源21及び第2電源22の電圧が正常であると判定し、不図示の時計制御部は電池マークを消灯させる。 (ステップS280)時計制御部は、通常モードにおける動作の初期化に要するその他の処理を行う。なお、通常モードにおける動作の初期化に要するその他の処理とは、例えば、不図示のCPU(Central Processing Unit)が備える各機能を初期化する処理等であってもよい。 【0048】 (ステップS290)電源装置10は、第2電源22を選択する。具体的には、電圧選択部43は、検出電圧選択信号PSSELを制御することにより、第1スイッチSW1をオフに、第2スイッチSW2をオンに制御する。第1スイッチSW1がオフに、第2スイッチSW2がオンに制御された結果、第2電源22の第2電圧V2が検出電圧入力端子51に入力される。 (ステップS300)電源装置10は、検出電圧閾値を1.35Vに設定する。具体的には、閾値選択部42は、閾値選択信号THSELを制御することにより、検出電圧閾値を1.35Vに設定する。 (ステップS310)電源装置10は、第2電源22の電圧が1.35Vより下回っているか否かの検出を開始する。具体的には、検出結果取得部41は、検出電圧選択信号PSSEL及び閾値選択信号THSELを制御してから所定期間経過後の電圧検出信号VDETを確認する。 【0049】 (ステップS320)時計制御部は、第2電源22の電圧が1.35V以上である場合(すなわち、ステップS320;YES)、処理をステップS330に進める。時計制御部は、第2電源22の電圧が1.35V以上でない場合(すなわち、ステップS320;NO)、処理をステップS335に進める。 (ステップS330)時計制御部は、分針パルス幅を標準パルス幅にて制御する。すなわち、時計制御部は、通常の電力消費モードにおいて時計体を制御する。 (ステップS335)時計制御部は、分針パルス幅を標準パルス幅より長いパルス幅にて制御する。すなわち、時計制御部は、低電圧でも時分針を駆動できるパルス幅で制御する。 【0050】 (ステップS340)時計制御部は、リセットが行われてから30秒経過したか否かを判定する。時計制御部は、30秒経過した場合(すなわち、ステップS340;YES)、処理をステップS350に進める。時計制御部は、30秒経過していない場合(すなわち、ステップS340;NO)、処理をステップS370に進める。 (ステップS360)電源装置10は、動作を停止する。 (ステップS370)時計制御部は、電池マークを点滅させ、処理をステップS130に進める。」 「【図8】 」 (2) 新規事項の追加の有無の検討 ア 本件補正後のパルス幅の切り替えについて 本件補正後の請求項1では「前記電池切れ予告判定部の判定結果が前記正常状態である場合、第1のパルス幅により指針の駆動を制御し、前記電池切れ予告判定部の判定結果が前記低下状態である場合、前記第1のパルス幅より長い第2のパルス幅により指針の駆動を制御する時計制御部」という事項が追加されており、指針の駆動を制御するためのパルス幅(以下、単に「パルス幅」という。)の切り替えについて、電池切れ予告判定部の判定結果が正常状態であるか低下状態であるかにより場合分けし、正常状態である場合には第1のパルス幅とし、低下状態である場合には前記第1のパルス幅より長い第2のパルス幅としており、要するに、電池切れ予告の判定結果に応じてパルス幅を切り替えることを特定したものである。 イ 当初明細書等に開示されたパルス幅の切り替えについて (ア) パルス幅の切り替えについて、当初明細書等には次の記載がある。 a 当初明細書等の【0036】には「電源装置10は、無負荷状態において第2電源22の電圧が1.35Vより下回った場合に、分針パルス幅切り替えを行う。具体的には電源装置10は、通常時における無負荷時において、第2電源22の電圧が1.35Vより大きいか否かを検出する。分針パルス幅切り替えを行うことにより、低電圧時でも指針駆動ができるようにパルス幅を長くする。」と記載されており、無負荷状態における第2電源22の電圧が1.35Vより大きいか否かにより場合分けして、分針パルス幅の切り替えを行うことが開示されている。 b 当初明細書等の【0049】には「(ステップS320)時計制御部は、第2電源22の電圧が1.35V以上である場合(すなわち、ステップS320;YES)、処理をステップS330に進める。時計制御部は、第2電源22の電圧が1.35V以上でない場合(すなわち、ステップS320;NO)、処理をステップS335に進める。 (ステップS330)時計制御部は、分針パルス幅を標準パルス幅にて制御する。すなわち、時計制御部は、通常の電力消費モードにおいて時計体を制御する。 (ステップS335)時計制御部は、分針パルス幅を標準パルス幅より長いパルス幅にて制御する。すなわち、時計制御部は、低電圧でも時分針を駆動できるパルス幅で制御する。」と記載されており、第2電源22の電圧が1.35V以上か否かにより場合分けして、時計制御部が行う分針パルス幅の制御のステップを異ならせることが開示されている。 (イ) しかしながら、前記(ア)で摘記した当初明細書等の記載が、電池切れ予告の判定結果に応じてパルス幅を切り替えることを意味しないことは、以下のa〜cに示す理由から明らかである。 a 1.35Vは電池切れ予告の判定基準ではないこと 当初明細書等の【0036】には、負荷状態において第2電源22の電圧が1.15Vより下回った場合や、無負荷状態において第2電源22の電圧が1.8Vより上回った場合に電池切れ予告を行うことが開示されているが、無負荷状態における第2電源22の電圧が1.35Vより下回った場合に電池切れ予告を行うことは開示されていない。 b 電池切れ予告の判定結果によりパルス幅は変わらないこと 当初明細書等の【0041】には、電池切れ予告判定の結果、正常である場合には、秒針を通常運針し、電池マークを消灯し、電池切れ予告判定の結果、低下である場合には、秒針を00秒の位置に停止し、電池マークを点滅させることが開示されているが、パルス幅を変更することは開示されていない。 c 1.35V以上か否かの判定は、電池切れ予告の判定結果が正常である場合に限って行われること 当初明細書等の【0049】の記載及び【図8】に示された電源装置10の一連の動作フローチャートをみれば明らかなように、第2電源の電圧が1.35V以上か否かの判定(S290からS335までの動作)は、S240(第2電源の電圧が1.15V以上か否かの判定)、S250(第2電源の電圧が1.8V未満か否かの判定)及びS260(第1電源の電圧が2.4V以上か否かの判定)において全て「Yes」となり、S270において電池マークが消灯となることを前提としているから、電池切れ予告判定の結果が正常である場合に限って、第2電源の電圧が1.35V以上か否かの判定が実行されている。 ウ 新規事項の判断 パルス幅の切り替えについて、前記アにおいて示したとおり、本件補正後の請求項1では、電池切れ予告の判定結果に応じて切り替えが行われることとしている。 他方、前記イにおいて示したとおり、当初明細書等には、無負荷状態における第2電源22の電圧が1.35Vより大きいか否かにより場合分けして、パルス幅の切り替えを行うことが開示されているが、無負荷状態における第2電源22の電圧が1.35Vより大きいか否かという判定は、電池切れ予告の判定ではない。 また、前記イにおいて示したように、当初明細書等には、パルス幅の切り替えは電池切れ予告判定結果が正常である場合に行われることが開示されているのであって、本件補正により追加された事項のように、「前記電池切れ予告判定部の判定結果が前記低下状態である場合、前記第1のパルス幅より長い第2のパルス幅により指針の駆動を制御する」ことは記載も示唆もされていない。 したがって、電池切れ予告の判定結果に応じてパルス幅を切り替えることは、当初明細書等に開示されておらず、当初明細書等の記載から自明な事項であるともいえない。 本件補正後の請求項1と同様の記載を有する、本件補正後の請求項7、【0006】及び【0012】についても同様である。 そうすると、本件補正は、パルス幅の切り替えを電池切れ予告の判定結果に応じて行うようにした点において、当初明細書等に開示されていない新たな技術上の意義をもたらすことになるから、本件補正は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであるとはいえない。 (3) 小括 以上検討のとおり、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、特許法17条の2第3項の規定に違反しているから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 したがって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1〜7に係る発明は、令和3年12月23日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1〜7に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は前記第2の1(1)に摘記した事項により特定されるとおりである。 第4 原査定について 原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての進歩性欠如の理由は、次のとおりである。 なお、原査定においては、引用文献1〜5のそれぞれを主たる引用文献とする進歩性欠如の理由が示されている。 本願発明は、下記の引用文献1〜5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:実願昭47−95369号(実開昭49−53771号)のマイクロフィルム 引用文献2:実願昭49−12965号(実開昭50−104531号)のマイクロフィルム 引用文献3:特開昭60−93359号公報 引用文献4:特開2016−119735号公報 引用文献5:特開2012−145388号公報 第5 当審の判断 1 引用文献等 (1) 引用文献4 ア 引用文献4の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用する引用文献4(特開2016−119735号公報)には、次の事項が記載されている。下線は当審において付した。 (ア) 【0019】〜【0028】、【図1】 「【0019】 [第1の実施形態] まず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本実施形態における充電システム1の構成を示した概略図である。図示する例では、充電システム1は、電子時計10と充電器20とを含んでいる。 【0020】 電子時計10は、デジタル表示で時刻を表示する時計である。図示する例では、電子時計10は、CPU(Central Processing Unit)101と、LCD(Liquid Crystal Display)102と、SW(switch)103と、LED(Light Emitting Diode)104と、第1の電池105と、太陽電池106と、機能実行部107と、第2の電池108と、充電接続部109と、を備えている。 【0021】 CPU101は、電子時計10を統括して制御する中央演算処理装置である。CPU101は、機能実行部107が実行する機能より消費電力の小さい機能(例えば、時刻を計時してLCD102に表示する時計機能)を実行する第1の機能実行部である。また、CPU101は、第1の電池105により電力を供給されることで時刻を計時する計時部を含む。CPU101は、第1の電池105により駆動する。 【0022】 LCD102は、CPU101が計時する時刻等、種々の情報を表示する表示部である。SW103は、入力を受け付ける入力部である。LED104は、発光して電子時計10の状態等を報知する。 【0023】 第1の電池105は、第2の電池108より充電電圧が低く電池容量の小さな2次電池であり、例えば、CTL1616である。第1の電池105は、太陽電池106により充電される。第1の電池105は、CPU101に電力を供給して、時計機能に必要なLCD102やLED104等を駆動する。 【0024】 太陽電池106は、光(太陽、照明など)を受光して電気エネルギーに変換する発電部である。太陽電池106は、第1の電池105を充電する第1の充電部として動作する。 【0025】 機能実行部107は、CPU101が実行する機能より消費電力の大きい機能を実行する第2の機能実行部である。例えば、機能実行部107は、GPS機能やBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等の無線通信機能、モーションセンシング機能等を実行する。機能実行部107は、第2の電池108により駆動する。 【0026】 第2の電池108は、第1の電池105より充電電圧が高く電池容量の大きな2次電池であり、例えば、リチウム2次電池である。第2の電池108は、充電接続部109に接続される充電器20(外部の電源)により充電される。第2の電池108は、機能実行部107に電力を供給する。 【0027】 充電接続部109は、充電器20と接続して第2の電池108を充電する第2の充電部として動作する。充電接続部109は、非接触接続により充電器20と接続する。 【0028】 充電器20は、電子時計20の第2の電池108を充電する外部電源である。図示する例では、充電器20は、非接触充電給電部201と、接続部202とを備えている。非接触充電給電部201は、接続部202を介して第2の電池108を充電する。接続部202は、非接触接続により充電接続部109と接続する。」 「【図1】 」 (イ) 【0035】〜【0038】、【図3】 「【0035】 [第2の実施形態] 次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図3は、本実施形態おける充電システム1aの構成を示した概略図である。本実施形態における充電システム1aは、第1の実施形態における電子時計10に代えて電子時計10aを備える。本実施形態における充電器20の構成は、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。 【0036】 電子時計10aは、第1の実施形態における電子時計10の構成に加えて電源制御部110を備える。電源制御部110は、第1の電池105及び第2の電池108の充電を制御する。第1の電池105と第2の電池108とは電源制御部110を介して接続される。電源制御部110は、第1の電池105が満充電(電圧が所定の閾値α以上)である場合に、太陽電池106による余剰電力を昇圧して第2の電池108の充電をする。また、電源制御部110は、充電接続部109が充電器20と接続していない場合であって、第1の電池105の電圧が第1の閾値以下であり、かつ第2の電池108の電圧が第2の閾値以上である場合に、第2の電池108の電圧を降圧し、第1の電池105を充電する。また、電源制御部110は、充電接続部109が充電器20と接続している場合であって、第2の電池108が満充電(電圧が所定の閾値β以上)である場合に、充電器20による電圧を降圧し、第1の電池105を充電する。また、電源制御部110は、充電接続部109が充電器20と接続している場合、第2の電池108を充電器20により充電するとともに、充電器20による電圧を降圧して第1の電池105を充電する。 【0037】 また、電源制御部110は、機能実行部107が消費電力の大きい機能を実行する際に、第1の電池105及び第2の電池108の電圧に基づいて、機能実行部107に電力を供給する電池を判定する。具体的には、電源制御部110は、第2の電池108の電圧が所定値以上である場合には、第2の電池108から機能実行部107に電力を供給して機能を実行させる。また、電源制御部110は、第2の電池の電圧が所定値より小さく、かつ、第1の電池の電圧が所定値以上である場合には、第1の電池105から機能実行部107に電力を供給して低消費モードで機能を実行させる。 【0038】 機能実行部107は、低消費モードでは、間欠動作等により電力の消費を抑えて機能を実行する。例えば、機能実行部107は、GPS機能を実行する場合には、通常モードでは1秒毎にログを取得していたものを、低消費モードではログの取得間隔を1分毎にする。また、機能実行部107は、無線通信機能を実行する場合には、通常モードではデータを自動受信していたものを、低消費モードでは手動受信にする。また、機能実行部107は、モーションセンシング機能を実行する場合には、通常モードでは9軸検出していたものを、低消費モードでは3軸(加速度のみ)にする。また、機能実行部107は、通常モードでは、LCD102の表示消灯までの時間が10分だったものを、低消費モードでは1分にする。電子時計10aの他の構成は、第1の実施形態における電子時計10の構成と同様であるため、その説明を省略する。」 「【図3】 」 (ウ) 【0039】〜【0045】、【図4】 「【0039】 次に、電子時計10aにおける機能を実行する機能実行処理について説明する。図4は、本実施形態における電子時計10aが実行する機能実行処理の処理手順を示したフローチャートである。本図に示す処理は、電子時計10aが備える機能を動作する際に実行される。 【0040】 (ステップS201)CPU101は、実行する機能が重負荷動作であるか否かを判定する。重負荷動作であるとCPU101が判定した場合にはステップS202の処理に進む。また、重負荷処理でないとCPU101が判定した場合にはステップS208の処理に進む。 【0041】 (ステップS202)電源制御部110は、第2の電池108の電圧が既定以上であるか否かを判定する。第2の電池108の電圧が既定以上であると電源制御部110が判定した場合にはステップS203の処理に進む。また、第2の電池108の電圧が既定より小さいと電源制御部110が判定した場合にはステップS205の処理に進む。 【0042】 (ステップS203)電源制御部110は、機能を動作させるための電源を第2の電池108とする。その後、ステップS204の処理に進む。 (ステップS204)機能実行部107は、機能の動作を開始する。その後、処理を終了する。 【0043】 (ステップS205)電源制御部110は、第1の電池105の電圧が既定以上であるか否かを判定する。第1の電池105の電圧が既定以上であると電源制御部110が判定した場合にはステップS206の処理に進む。また、第1の電池105の電圧が既定より小さいと電源制御部110が判定した場合にはステップS201の処理に戻る。 【0044】 (ステップS206)電源制御部110は、機能を動作させるための電源を第1の電池105とする。その後、ステップS207の処理に進む。 (ステップS207)機能実行部107は、低消費モードで機能の動作を開始する。その後、処理を終了する。 【0045】 (ステップS208)電源制御部110は、機能を動作させるための電源を第1の電池105とする。その後、ステップS209の処理に進む。 (ステップS209)CPU101は、機能の動作を開始する。その後、処理を終了する。」 「【図4】 」 (エ) 【0046】〜【0050】、【図5】 「【0046】 次に、電子時計10aにおける電池の充電処理について説明する。図5は、本実施形態における電子時計10aが実行するソーラー充電処理の処理手順を示したフローチャートである。本図に示す処理は、太陽電池106により電池を充電する際に実行される。 【0047】 (ステップS301)電源制御部110は、第1の電池105の電圧が既定(閾値α)以下であるか否かを判定する。第1の電池105の電圧が既定以下であると電源制御部110が判定した場合にはステップS302の処理に進む。また、第1の電池105の電圧が既定より大きいと電源制御部110が判定した場合にはステップS304の処理に進む。 【0048】 (ステップS302)電源制御部110は、太陽電池106が発電する電力を第1の電池105に充電する。その後、ステップS303の処理に進む。 (ステップS303)電源制御部110は、第1の電池105の電圧が既定(閾値α)以上であるか否かを判定する。第1の電池105の電圧が既定以上であると電源制御部110が判定した場合にはステップS304の処理に進む。また、第1の電池105の電圧が既定より小さいと電源制御部110が判定した場合にはステップS302の処理に戻る。 【0049】 (ステップS304)電源制御部110は、第2の電池108の電圧が既定(閾値β)以下であるか否かを判定する。第2の電池108の電圧が既定以下であると電源制御部110が判定した場合にはステップS305の処理に進む。また、第2の電池108の電圧が既定より大きいと電源制御部110が判定した場合には処理を終了する。 【0050】 (ステップS305)電源制御部110は、太陽電池106が発電する電力を第2の電池108に充電する。その後、ステップS306の処理に進む。 (ステップS306)電源制御部110は、第2の電池108の電圧が既定(閾値β)以上であるか否かを判定する。第2の電池108の電圧が既定以上であると電源制御部110が判定した場合には処理を終了する。また、第2の電池108の電圧が既定より小さいと電源制御部110が判定した場合にはステップS305の処理に戻る。」 「【図5】 」 (当審注:図5において、「S306」の菱形の内に記載された「電池2電圧 既定以下か?」は、【0050】の記載からみて、「電池2電圧 既定以上か?」の誤記であると認められる。) (オ) 【0051】〜【0055】、【図6】 「【0051】 図6は、本実施形態における電子時計10aが実行する外部充電処理の処理手順を示したフローチャートである。本図に示す処理は、充電器20により電池を充電する際に実行される。 【0052】 (ステップS401)電源制御部110は、第2の電池108の電圧が既定(閾値β)以下であるか否かを判定する。第2の電池108の電圧が既定以下であると電源制御部110が判定した場合にはステップS402の処理に進む。また、第2の電池108の電圧が既定より大きいと電源制御部110が判定した場合にはステップS404の処理に進む。 【0053】 (ステップS402)電源制御部110は、充電器20から給電される電力を第2の電池108に充電する。その後、ステップS403の処理に進む。 (ステップS403)電源制御部110は、第2の電池108の電圧が既定(閾値β)以上であるか否かを判定する。第2の電池108の電圧が既定以上であると電源制御部110が判定した場合にはステップS404の処理に進む。また、第2の電池108の電圧が既定より小さいと電源制御部110が判定した場合にはステップS402の処理に戻る。 【0054】 (ステップS404)電源制御部110は、第1の電池105の電圧が既定(閾値α)以下であるか否かを判定する。第1の電池105の電圧が既定以下であると電源制御部110が判定した場合にはステップS405の処理に進む。また、第1の電池105の電圧が既定より大きいと電源制御部110が判定した場合には処理を終了する。 【0055】 (ステップS405)電源制御部110は、充電器20から給電される電力を第1の電池105に充電する。その後、ステップS406の処理に進む。 (ステップS406)電源制御部110は、第1の電池105の電圧が既定(閾値α)以上であるか否かを判定する。第1の電池105の電圧が既定以上であると電源制御部110が判定した場合には処理を終了する。また、第1の電池105の電圧が既定より小さいと電源制御部110が判定した場合にはステップS405の処理に戻る。」 「【図6】 」 (当審注:図6において、「S406」の菱形の内に記載された「電池1電圧 既定以下か?」は、【0055】の記載からみて、「電池1電圧 既定以上か?」の誤記であると認められる。) イ 引用発明の認定 前記アに摘記した記載事項を総合すると、引用文献4には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明] 「 電子時計10aと充電器20とを備える充電システム1aであって、(【0035】、【0019】) 電子時計10aは、CPU101と、LCD102と、SW103と、LED104と、第1の電池105と、太陽電池106と、機能実行部107と、第2の電池108と、充電接続部109と、電源制御部110を備えており、(【0036】、【0020】) CPU101は、電子時計10aを統括して制御する中央演算処理装置であり、機能実行部107が実行する機能より消費電力の小さい機能(例えば、時刻を計時してLCD102に表示する時計機能)を実行する第1の機能実行部であり、第1の電池105により電力を供給されることで時刻を計時する計時部を含み、第1の電池105により駆動するものであり、(【0036】、【0021】) LCD102は、CPU101が計時する時刻等、種々の情報を表示する表示部であり、SW103は、入力を受け付ける入力部であり、LED104は、発光して電子時計10aの状態等を報知するものであり、(【0036】、【0022】) 第1の電池105は、第2の電池108より充電電圧が低く電池容量の小さな2次電池であり、太陽電池106により充電され、CPU101に電力を供給して、時計機能に必要なLCD102やLED104等を駆動するものであり、(【0036】、【0023】) 機能実行部107は、CPU101が実行する機能より消費電力の大きい機能を実行する第2の機能実行部であり、GPS機能や、無線通信機能、モーションセンシング機能等を実行し、第2の電池108により駆動するものであり、(【0036】、【0025】) 第2の電池108は、第1の電池105より充電電圧が高く電池容量の大きな2次電池であり、充電接続部109に接続される充電器20(外部の電源)により充電され、機能実行部107に電力を供給するものであり、(【0036】、【0026】) 電源制御部110は、第1の電池105及び第2の電池108の充電を制御するものであり、第1の電池105と第2の電池108とは電源制御部110を介して接続されており、(【0036】) 電子時計10aが備える機能を動作する際に実行される機能実行処理において、(【0039】) 重負荷動作であるとCPU101が判定した場合には、電源制御部110は、第2の電池108の電圧が既定以上であるか否かを判定し、(【0040】のステップS201、【0041】のステップS202) 第2の電池108の電圧が既定以上であると判定した場合には、電源制御部110は、機能を動作させるための電源を第2の電池108として、機能実行部107は、機能の動作を開始し、(【0041】のステップS202、【0042】のステップS203、S204) 第2の電池108の電圧が既定より小さいと判定した場合には、電源制御部110は、第1の電池105の電圧が既定以上であるか否かを判定し、(【0041】のステップS202、【0043】のステップS205) 第1の電池105の電圧が既定以上であると判定した場合には、電源制御部110は、機能を動作させるための電源を第1の電池105として、機能実行部107は、低消費モードで機能の動作を開始し、(【0043】のステップS205、【0044】のステップS206、S207) 太陽電池106により電池を充電する際に実行されるソーラー充電処理において、(【0046】) 電源制御部110は、第1の電池105の電圧が既定(閾値α)以下であるか否かを判定し、第1の電池105の電圧が既定(閾値α)以下であると判定した場合には、電源制御部110は、太陽電池106が発電する電力を第1の電池105に充電して、その後、第1の電池105の電圧が既定(閾値α)以上であるか否かを判定し、(【0047】のステップS301、【0048】のステップS302、S303) 第1の電池105の電圧が既定(閾値α)以上であると判定した場合には、電源制御部110は、第2の電池108の電圧が既定(閾値β)以下であるか否かを判定し、(【0048】のステップS303、【0049】のステップS304) 第2の電池108の電圧が既定(閾値β)以下であると判定した場合には、電源制御部110は、太陽電池106が発電する電力を第2の電池108に充電して、その後、第2の電池108の電圧が既定(閾値β)以上であるか否かを判定し、第2の電池108の電圧が既定(閾値β)以上であると判定した場合には処理を終了し、(【0049】のステップS304、【0050】のステップS305、S306) 充電器20により電池を充電する際に実行される外部充電処理において、(【0051】) 電源制御部110は、第2の電池108の電圧が既定(閾値β)以下であるか否かを判定し、第2の電池108の電圧が既定(閾値β)以下であると判定した場合には、電源制御部110は、充電器20から給電される電力を第2の電池108に充電して、その後、第2の電池108の電圧が既定(閾値β)以上であるか否かを判定し、(【0052】のステップS401、【0053】のステップS402、S403) 第2の電池108の電圧が既定(閾値β)以上であると判定した場合には、電源制御部110は、第1の電池105の電圧が既定(閾値α)以下であるか否かを判定し、(【0053】のステップS403、【0054】のステップS404) 第1の電池105の電圧が既定(閾値α)以下であると判定した場合には、電源制御部110は、充電器20から給電される電力を第1の電池105に充電して、その後、第1の電池105の電圧が既定(閾値α)以上であるか否かを判定し、第1の電池105の電圧が既定(閾値α)以上であると判定した場合には処理を終了する、(【0054】のステップS404、【0055】のステップS405、S406) 充電システム1a。」 (2) 引用文献1〜3 ア 引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用する引用文献1(実願昭47−95369号(実開昭49−53771号)のマイクロフィルム)には、次の事項が記載されている。 (ア) 明細書3頁7〜13行 「 第1図は、回路中に可変素子による調整個所が設けられている如き被測定電気回路の一例として簡単のために可変素子が1個の可変抵抗器VRであり、被測定点がa,b,c,dの4個所であるようなものを示したものである。第1図において、Qはトランジスタ、R1はコレクタ抵抗、R2はエミッタ抵抗、R3は分圧抵抗、Eは電源である。」 (イ) 図面第1図 「 」 (ウ) 明細書3頁14行〜5頁1行 「 第2図は、前記した第1図示のような構成の電気回路を測定対象の電気回路とするものとして以下の説明を行なう如き、本考案の調整個所を有する電気回路用チエツカの一実施例回路のブロツク図であり、図において、Pr1,Pr2,Pr3,Pr4は、それぞれ第1図示の被測定電気回路の4個の被測定点a,b,c,dとそれぞれ対応するように設けられた4個の接触子であり、また、RL1,RL2,RL3,RL4はスキヤニング信号発生回路のシフトレジスタSRからのスキヤニング信号によって順次に動作する4個のリレー、1a及び1bはリレーRL1の可動接点、1c,1dはリレーRL1の固定接点、同様にして、2a,2b,3a,3b,4a,4bはそれぞれリレーRL2,RL3,RL4の可動接点、2c,2d,3c,3d,4c,4dはそれぞれリレーRL2,RL3,RL4の固定接点である。 また、ブロツクAは前記の各接触子Pr1,Pr2・・Pr4を介して得た被測定回路中の各被測定点a,b,c,dの電圧と基準の電圧源SE1,SE2,SE3,SE4の電圧とを比較して誤差信号電圧を発生する比較回路(例えば、差動増幅器で構成されてもよい)、ブロツクBは絶対値増幅器(出力の極性は図示の例において正極性としている)、ブロツクCは表示回路、Dはクロツクパルス発生器、Eは再スタートパルス発生回路、Fはリセット回路、Vは電圧計、INVはインバータ、N1〜N5はナンド回路、FFは2つのナンド回路N3,N4で構成されたフリツプフロツプ、SW1はスタートスイツチ、SW2は再スタートスイツチ、SW3はリセツトスイツチである。」 (エ) 図面第2図 「 」 (オ) 明細書5頁2行〜6頁3行 「第2図示の各接触子Pr1〜Pr4を第1図示の被測定電気回路に接続し、また、基準の電圧源SE1〜SE4をそれぞれ規定の電圧値に設定してから、スタートスイツチSW1を投入して動作を開始させると、クロツクパルス発生器DからクロツクパルスP1が次々と送出されてナンドN5の一方入力として与えられる。 上記した装置の動作開始時において、ナンド回路N5の他方入力として与えられているフリツプフロツプFFのナンド回路N4の出力のレベルの状態は必らずハイレベルの状態Hとなされているから、ナンド回路N5からはローレベルの状態の出力パルスP2がシフトレジスタSRに送出され、シフトレジスタSRからは線l1を介してリレーRL1の巻線に駆動電流が供給される。 それによりリレーRL1の常開可動接点1a,1bが固定接点1c,1dと接触して、被測定電気回路中の被測定点aの電圧が、接触子Pr1→接点1c→同1aを介して比較回路Aの比較電圧として与えられ、比較回路Aへリレー接点1b,1dを介して与えられている基準の電圧源SE1の電圧と比較されて、誤差信号出力を絶対値増幅器Bに与える。」 (カ) 明細書6頁19行〜7頁14行 「 第1図示の被測定電気回路において、調整素子たる可変抵抗器VRの調整によつて大巾な電圧変動を示すような被測定点bの電圧をその接点組2c,2aを介して比較回路Aに供給する如くに動作するリレーRL2の駆動電流供給回路は、ナンド回路N1の他方入力に接続されているから、クロツクパルス発生器Dからの次のクロツクパルスP1がナンド回路N5に与えられ、それによりナンド回路N5の出力パルスP2がシフトレジスタSRを駆動して、線l2を介して駆動電流がリレーRL2に与えられ、リレー接点2a,2cの閉成により被測定点bの電圧が比較回路Aに印加されて、比較回路Aから誤差信号出力が送出されると、絶対値増幅器Bの出力によつて表示回路Cに不良の表示が現われ、また、電圧計Vに電圧値が示され、さらに、ナンド回路N1の出力にローレベルの状態の出力が現われる。」 (キ) 明細書9頁3〜8行 「 以下、同様にしてシフトレジスタSRから線l3,l4に送出される駆動電流により、リレーRL3,RL4が順次に駆動され、被測定電気回路中の被測定点c,dの電圧値が基準の電圧源SE3,SE4の電圧と順次に比較されて、その比較結果が表示回路Cにより良否として現わされる。」 イ 引用文献2の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用する引用文献2(実願昭49−12965号(実開昭50−104531号)のマイクロフィルム)には、次の事項が記載されている。 (ア) 明細書1頁11行〜4頁2行 「考案の詳細な説明 本考案は電圧比較器に係り、特に多数の電圧入力を取り扱うのに好適なマルチプレクサを備えた電圧比較器に関する。 従来、一つの電圧入力に対して専用の電圧比較器が用いられる方式が採られてきた。多数の電圧入力を比較して処理する場合、従来方式では入力対象の電圧レベルに応じて数種の電圧比較器が必要になり不経済であり、また装置全体の操作も煩雑となる。 本考案の目的は、多数の電圧入力を比較処理する場合の従来方式の欠点をなくし、多種多数の入力電圧を比較処理するのに好適な電圧比較器を提供するにある。 本考案は、基準電圧源、デコード回路、電圧比較回路、抵抗群およびスイツチ群を組み合せることによつて、比較用基準電圧を入力対象に応じて可変できるようにし、多種多数の入力電圧を比較処理することが学きる(当審注:「学きる」は「できる」の明らかな誤記である)。 本考案の実施例を第1図、第2図、第3図を基に説明する。 第1図に全体の構成図を示す。第2図にプログラマブル電圧比較器の構成を示し、第3図に選択方法の一例を示す。 入力信号の数を5点として説明する。第1図において、データ処理装置1からの制御信号Scに基づいて、マルチプレクサ回路2は入力信号の中から選択した比較処理すべき信号(選択入力信号)VAを選択しプログラマブル電圧比較器3に転送する。プログラマブル電圧比較器3では制御信号Scに基づいて比較用基準電圧を設定し、比較処理を行い、その結果は、制御信号Scによつて制御されるゲート回路4を通つてレジスタ5にセツトされ、最終的にデータ信号SDとしてデータ処理装置1に取り込まれる。 第2図において、制御信号Scをデコード回路6でデコードし、デコード信号で、各スイツチSk(k=1,………,5)を開閉することによつて比較用基準信号Vcは、 Vc=V0・R0/(R0+Rk) (k=1,………,5) 但し、V0:基準電圧源7の電圧=基準電圧 となり、Rkを変えることによつて可変にすることができる。 従って、第3図のように制御信号Scを3ビツト構成にして、それぞれのコードに応じて選択入力信号VAが選択されまたプログラマブル電圧比較器3のスイツチSkが選択されるようにしておけば、入力対象に応じて比較用電圧を変えることができる。例えば制御信号Scのコードを「000」とすれば、入力信号の中からA1が選択され、A1を比較処理するための比較用基準電圧がS1の閉動作によつて設定される。」 (イ) 第1図 「 」 (ウ) 第2図 「 」 (エ) 第3図 「 」 ウ 引用文献3の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用する引用文献3(特開昭60−93359号公報)には、次の事項が記載されている。 (ア) 1頁右欄4行〜2頁右下欄13行 「 発明の技術分野 この発明はレベル弁別回路に関し、たとえば多値バイアス方式によるLCDドライバを内蔵した1チップマイクロコンピュータなどにおいて、LCDドライバの各バイアス電圧をテストするために用いられるようなレベル弁別回路に関する。 先行技術の説明 第1図は従来の方法によりLCDドライバのバイアス電圧をテストするときのタイミング図である。従来より、多値バイアス電圧によって駆動されるLCDドライバを内蔵したLSIをテストするためには、LSIテスタを用いてテストを行なっていた。すなわち、LSIテスタには複数のコンパレータが内蔵されていて、各コンパレータの基準電圧をV01ないしV05に順次変化させ、ストローブ信号が与えられるごとに多値バイアス電圧VAないしVEのレベルを順次判別していた。 しかし、このような従来のテスト方法では、LSIテスタ内にテストすべきバイアス電圧に応じた数のコンパレータを設けなければならず、コスト的に高くならざるを得ないという問題点があった。 発明の目的 それゆえに、この発明の主たる目的は、比較的簡単な構成で安価に多数のアナログ電圧をレベル弁別し得るレベル弁別回路を提供することである。 発明の構成 この発明を要約すれば、複数のアナログ信号を個別的に複数のアナログスイッチに入力し、いずれかのアナログスイッチを選択して、アナログスイッチからのアナログ信号をアナログコンパレータの比較入力に与え、アナログコンパレータの基準入力には基準電圧としてのディジタル信号をアナログ信号に変換して与え、順次アナログスイッチを選択しかつ基準電圧としてディジタル値を順次変化させることによって複数のアナログ信号を順次レベル弁別するように構成したレベル弁別回路である。 この発明の上述の目的およびその他の目的と特徴は以下に図面を参照して行なう詳細な説明から一層明らかとなろう。 実施例の説明 第2図はこの発明の一実施例の電気回路図である。まず、第2図を参照して構成について説明する。入力端子1および2を介してアナログ信号としてのLCDドライバ出力信号がディスエーブル端子付アナログスイッチ3,4に入力される。これらのアナログスイッチ3,4はマルチプレクサ5によって選択される。すなわち、マルチプレクサ5には入力端子6から制御信号が入力され、マルチプレクサ5はその制御信号に基づいて選択信号7,8をそれぞれアナログスイッチ3,4に与える。アナログスイッチ3,4の出力信号12はボルテージコンパレータ13の比較入力端に与えられる。ボルテージコンパレータ13の基準入力端にはD/A変換器10から基準電圧11が入力される。D/A変換器10には入力端子9から基準電圧としてのディジタル信号が与えられる。したがって、D/A変換器10は入力された基準電圧としてのディジタル信号をアナログ信号に変換し、それを基準電圧11として出力する。ボルテージコンパレータ13の出力は出力端子14を介して導出される。 次に、第2図を参照して動作について説明する。入力端子1,2に入力されたLCDドライバ出力信号の多値バイアスレベルをチェックするには、まずいずれのLCDドライバ出力信号を選択するかをマルチプレクサ5によって行なう。マルチプレクサ5は入力端子6に入力された制御信号に基づいて選択信号7または8を出力する。たとえば、選択信号7が出力されるとアナログスイッチ3がスイッチングし、入力端子1に入力されたLCDドライバ出力信号がボルテージコンパレータ13の比較入力端に与えられる。 一方、D/A変換器10には基準電圧としてのディジタル信号が入力され、このディジタル信号はアナログ信号に変換されて基準電圧11としてボルテージコンパレータ13に与えられる。したがって、入力端子9に任意の基準電圧としてのディジタル信号を入力すれば、ボルテージコンパレータ13によって多値バイアスレベルのLCDドライバ出力信号をレベル弁別することができる。したがって、アナログ信号としてのLCDドライバ出力信号の多値バイアスレベルをディジタル的にレベル弁別することかできる。 なお、上述の第2図に示した実施例では、アナログスイッチを2個設けた場合についで説明したが、これに限ることなく複数設け、そのいずれかをマルチプレクサ5によって選択するようにしてもよい。」 (イ) 第1図 「 」 (ウ) 第2図 「 」 エ 周知技術の認定 (ア) 周知技術1の認定 a 前記アにおいて摘記した引用文献1の記載事項から、リレーRL1、RL2、RL3、RL4を順次駆動して、接点(1a,1c)、(2a,2c)、(3a,3c)、(4a,4c)を順次閉じることにより、被測定電気回路中の被測定点a,b,c,dの電圧を選択し、選択された電圧を比較電圧として比較回路Aに順次入力し、基準電圧と順次比較することが読み取れる。 b 前記ウにおいて摘記した引用文献3の記載事項から、入力端子1、2に入力される多値バイアスレベルの信号を、それぞれ選択信号7、8により制御されるアナログスイッチ3、4を用いて選択し、選択された多値バイアスレベルの信号をボルテージコンパレータ13に入力し、基準電圧11と比較してレベル弁別することが読み取れる。 c 前記a及びbを踏まえると、次の技術事項は、当業者にとって周知であったものと認められる(以下「周知技術1」という。) [周知技術1] 「複数の検出電圧が閾値より大きいか否かを比較器において検出するにあたり、比較器に入力すべき検出電圧を選択するためのスイッチを複数個設け、当該スイッチを排他的にオン状態に制御することにより、複数の検出電圧のうちのいずれか一つを比較器に入力すべき電圧として選択すること。」 (イ) 周知技術2の認定 a 前記アにおいて摘記した引用文献1の記載事項から、被測定電気回路中の被測定点a,b,c,dの電圧から順次選択された電圧に対応して、基準の電圧源SE1,SE2,SE3,SE4の電圧を基準電圧として選択して比較回路Aに順次入力し、選択された電圧と選択された基準電圧を順次比較することが読み取れる。 b 前記イにおいて摘記した引用文献2の記載事項から、入力信号A1,A2,A3,A4,A5の中から比較処理すべき信号を選択してプログラマブル電圧比較器3に選択入力信号VAとして入力し、選択される入力信号A1,A2,A3,A4,A5に応じてスイッチSkの開閉を選択することにより入力対象に応じて比較用基準電圧を変えることが読み取れる。 c 前記ウにおいて摘記した引用文献3の記載事項から、入力された任意の基準電圧としてのディジタル信号をアナログ信号に変換した基準電圧11をボルテージコンパレータ13に入力し、入力端子1、2に入力される多値バイアスレベルの信号から選択された多値バイアスレベルの信号を基準電圧11と比較してレベル弁別することが読み取れる。 d 前記a〜cを踏まえると、次の技術事項は、当業者にとって周知であったものと認められる(以下「周知技術2」という。) [周知技術2] 「複数の電圧を検出対象として、それらが閾値より大きいか否かを比較器において検出するにあたり、比較器に入力すべき閾値を選択し、選択された閾値を用いて検出すること。」 2 対比・判断 (1) 対比 ア 対比分析 本願発明と引用発明を対比する。 (ア) 引用発明の「第2の電池108」は、「機能実行部107に電力を供給するものであり」、「機能実行部107は、CPU101が実行する機能より消費電力の大きい機能を実行する第2の機能実行部であり、GPS機能や、無線通信機能、モーションセンシング機能等を実行し、第2の電池108により駆動するもの」であるから、引用発明の「機能実行部107」は、本願発明の「第1負荷」に相当し、引用発明の「第2の電池108」は、本願発明の「第1負荷に電力を供給する第1電源」に相当する。 (イ) 引用発明の「第1の電池105」は、「CPU101に電力を供給」するものであり、「CPU101」は、「機能実行部107が実行する機能より消費電力の小さい機能(例えば、時刻を計時してLCD102に表示する時計機能)を実行する第1の機能実行部であり、第1の電池105により電力を供給されることで時刻を計時する計時部を含み、第1の電池105により駆動するもの」であるから、引用発明の「CPU101」は、本願発明の「前記第1負荷とは異なる第2負荷」に相当し、引用発明の「第1の電池105」は、本願発明の「前記第1負荷とは異なる第2負荷に電力を供給する、前記第1電源とは異なる第2電源」に相当する。 (ウ)a 引用発明の「電源制御部110」は、「機能実行処理」において「第1の電池105の電圧が既定以上であるか否かを判定」している。 b また、引用発明の「電源制御部110」は、「ソーラー充電処理」及び「外部充電処理」において「第1の電池105の電圧が既定(閾値α)以上であるか否かを判定」している。 c ここで、引用発明の「機能実行処理」は「電子時計10aが備える機能を動作する際に実行される」処理であるのに対して、「ソーラー充電処理」及び「外部充電処理」は、それぞれ「太陽電池106により電池を充電する際に実行される」処理及び「充電器20により電池を充電する際に実行される」処理であるところ、「機能実行処理」における閾値(既定)と、「ソーラー充電処理」及び「外部充電処理」における閾値(既定(閾値α))は、前者が機能を動作させるか否かを判定するためのものであるのに対して、後者は電池を充電するか否かを判定するためのものであるから、両者は異なるものであると解するのが相当である。 d そうすると、「第1の電池105の電圧」に対応する閾値としては、「機能実行処理」における閾値と、「ソーラー充電処理」及び「外部充電処理」における閾値が設けられていることになるから、引用発明の「電源制御部110」は、「第1の電池105の電圧」に対応する複数の閾値より大きいか否かを検出する検出部であるといえる。 (エ)a 引用発明の「電源制御部110」は、「機能実行処理」において「第2の電池108の電圧が既定以上であるか否かを判定」している。 b また、引用発明の「電源制御部110」は、「ソーラー充電処理」及び「外部充電処理」において「第2の電池108の電圧が既定(閾値β)以上であるか否かを判定」している。 c そして、前記(ウ)cで検討したのと同様の理由により、「第2の電池108の電圧」に対応する閾値としては、「機能実行処理」における閾値と、「ソーラー充電処理」及び「外部充電処理」における閾値が設けられていることになるから、引用発明の「電源制御部110」は、「第2の電池108の電圧」に対応する複数の閾値より大きいか否かを検出する検出部であるといえる。 (オ) 前記(ウ)及び(エ)の検討結果を踏まえると、引用発明の「電源制御部110」は、「第1の電池105の電圧」に対応する複数の閾値より大きいか否かを検出する検出部であるとともに、「第2の電池108の電圧」に対応する複数の閾値より大きいか否かを検出する検出部でもある。 そして、引用発明の「第1の電池105の電圧」及び「第2の電池108の電圧」は、それぞれ本願発明の「第2電源の電圧」及び「第1電源の電圧」に相当し、引用発明の「第1の電池105の電圧」の値及び「第2の電池108の電圧」の値は、本願発明の「複数の電圧値」に相当するから、前記(ア)及び(イ)の検討結果をふまえると、本願発明と引用発明は、「第1負荷に電力を供給する第1電源の電圧と、前記第1負荷とは異なる第2負荷に電力を供給する、前記第1電源とは異なる第2電源の電圧の複数の電圧値が前記複数の電圧値のそれぞれに対応する複数の閾値より大きいか否かを検出する検出部」を備える点で共通する。 (カ) 引用発明の「電子時計10aと充電器20とを備える充電システム1a」は、本願発明の「電源装置」に相当する。 イ 一致点及び相違点の認定 前記アの対比分析の結果を踏まえると、本願発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、(イ)に示す相違点1及び2において相違する。 (ア) 一致点 「第1負荷に電力を供給する第1電源の電圧と、前記第1負荷とは異なる第2負荷に電力を供給する、前記第1電源とは異なる第2電源の電圧の複数の電圧値が前記複数の電圧値のそれぞれに対応する複数の閾値より大きいか否かを検出する検出部を備える電源装置。」 (イ) 相違点 a 相違点1 本願発明では、「検出部」が「検出電圧入力端子」を備え、「前記検出電圧入力端子に入力された複数の電圧値」を検出対象とし、「電源装置」が、「第1負荷に電力を供給する第1電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第1スイッチ」と、「前記第1負荷とは異なる第2負荷に電力を供給する、前記第1電源とは異なる第2電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第2スイッチ」と、「前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを排他的にオン状態に制御することにより、前記第1電源又は前記第2電源のいずれか一方の電圧値を前記検出電圧入力端子に入力する電圧選択部」とを備えているのに対して、 引用発明では、「電源制御部110」は複数の電圧値を検出対象としているものであるが、「第1の電池105の電圧」及び「第2の電池108の電圧」を入力するための端子や、電圧選択のためのスイッチ及びスイッチを制御する電圧選択部を備えているか否か不明である点。 b 相違点2 本願発明では、「検出部」が「閾値選択端子」を備え、「前記閾値選択端子により選択された」「閾値」を用いて「検出」し、「電源装置」が「前記閾値選択端子に入力される電圧を選択する閾値選択部」を備えているのに対して、 引用発明では、「電源制御部110」は複数の閾値より大きいか否かを検出するものであるが、「第1の電池105の電圧」及び「第2の電池108の電圧」に対応する複数の閾値を選択するための端子や、閾値選択部を備えているか否か不明である点。 (2) 判断 ア 相違点1について (ア) 引用発明の「電源制御部110」は、「第1の電池105の電圧」と「第2の電池108の電圧」が閾値より大きいか否かを判定する比較器としての機能を有するものであるといえるところ、「機能実行処理」、「ソーラー充電処理」及び「外部充電処理」のいずれの処理においても、各ステップのフローチャートからみて、「第1の電池105の電圧」についての比較判定動作と「第2の電池108の電圧」についての比較判定動作は異なるステップで行われているから、「電源制御部110」が「第1の電池105の電圧」と「第2の電池108の電圧」を選択的に検出して比較判定していることは、当業者にとって自明である。 (イ) そして、「複数の検出電圧が閾値より大きいか否かを比較器において検出するにあたり、比較器に入力すべき検出電圧を選択するためのスイッチを複数個設け、当該スイッチを排他的にオン状態に制御することにより、複数の検出電圧のうちのいずれか一つを比較器に入力すべき電圧として選択すること」は、当業者にとって周知の技術であるから(前記周知技術1を参照)、上記周知の技術に倣って、「電源制御部110」が「第1の電池105の電圧」と「第2の電池108の電圧」を選択的に検出して比較判定するにあたり、「第1の電池105の電圧」を「電源制御部110」に入力すべき電圧として選択するためのスイッチ(本願発明の「第2スイッチ」に相当)と、「第2の電池108の電圧」を「電源制御部110」に入力すべき電圧として選択するためのスイッチ(本願発明の「第1スイッチ」に相当)をそれぞれ設け、当該スイッチを排他的にオン状態に制御することにより、「第1の電池105の電圧」と「第2の電池108の電圧」のうちのいずれか一つを「電源制御部110」に入力すべき電圧として選択するように構成して本願発明の「電圧選択部」に相当する構成を設けることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (ウ) その際、選択された電圧を入力するための端子を「電源制御部110」に設けることは、信号入力に係る常套手段にすぎない。 (エ) したがって、前記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 イ 相違点2について (ア) 引用発明の「電源制御部110」は、「第1の電池105の電圧」及び「第2の電池108の電圧」のそれぞれに対応する複数の閾値より大きいか否かを判定する比較器としての機能を有するものであるといえるところ、「複数の電圧を検出対象として、それらが閾値より大きいか否かを比較器において検出するにあたり、比較器に入力すべき閾値を選択し、選択された閾値を用いて検出すること」は、当業者にとって周知の技術であるから(前記周知技術2を参照)、引用発明において、「電源制御部110」が「第1の電池105の電圧」及び「第2の電池108の電圧」のそれぞれに対応する複数の閾値を選択して比較判定を行うようにして、本願発明の「閾値選択部」に相当する構成を設けることは、当業者が適宜なし得た設計事項にすぎない。 (イ) その際、選択された閾値を入力するための端子を「電源制御部110」に設けることは、信号入力に係る常套手段にすぎない。 (ウ) したがって、前記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 ウ 総合評価 前記相違点1及び2を総合的に勘案しても、本願発明の奏する効果としては、引用発明、周知技術1、2から当業者が予測困難で、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本願発明は、引用発明、周知技術1、2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3) 請求人の主張について ア 請求人の主張の概要 (ア) 本件補正の根拠について 本件補正は、補正前の請求項1及び出願当初の明細書の段落0040、0049、出願当初の図4〜6、8の記載の内容に基づくものである。 (イ) 進歩性について a 本願の請求項1に係る電源装置は、複数の電圧それぞれに対応する複数の閾値を有し、複数の電圧それぞれにして、負荷状態であるか無負荷状態であるかに応じて閾値を選択することができるのに対して、引用文献1〜5には、複数の閾値についての開示がされているかもしれないが、当該閾値が負荷状態であるか無負荷状態であるかに応じて選択されるものであることについては開示も示唆もされていない。 b 本願の請求項1に係る電源装置は、低下状態においては、正常状態におけるパルス幅より長いパルス幅により指針の駆動を制御するものであり、パルス幅が長ければ低電圧時でも指針駆動ができるようになるため、電圧が低下した状態においても駆動を続けることができるという効果を奏するのに対して、引用文献1〜8には、指針を駆動するためのパルス幅を異ならせることについては開示も示唆もされていない。 イ 請求人の主張に対する当審の判断 (ア) 本件補正の根拠について 前記第2の2(2)ウにおいて説示したとおり、電池切れ予告の判定結果に応じてパルス幅を切り替えることは、当初明細書等に開示されておらず、当初明細書等の記載から自明な事項であるともいえない。 請求人が補正の根拠とする請求項1、段落0040、0049、図4〜6、8の記載をみても、パルス幅の切り替えを電池切れ予告の判定結果に応じて行っていることを開示する記載も示唆も見当たらない。 したがって、請求人の前記ア(ア)の主張を採用することはできない。 (イ) 進歩性について 請求人の前記ア(イ)の主張は、本件補正が適法であることを前提としたものであるところ、本件補正は前記第2において説示したとおり却下されたから、前記ア(イ)の主張により当審の進歩性についての判断は左右されない。 なお、新規事項の追加の点は措くとして、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)の進歩性を検討してみても、次の理由により、本件補正発明の進歩性は否定される。 a 本件補正発明の「電池切れ予告判定部」について、電源の電圧が所定の範囲内であると検出したとき正常状態と判定し、所定の範囲内でないと検出したとき低下状態と判定して、電池切れ予告処理を行うことは、例えば、特開2011−80912号公報の段落【0012】〜【0020】、【図3】、【図4】に記載されているように周知であり、第1電源及び第2電源を検出対象とした場合、両者の状態を総合して判定するように構成することは、当業者が適宜なし得た設計事項にすぎない。 b 本件補正発明の「時計制御部」について、電池の電圧が低くなった場合にパルス幅を大きくして指針の駆動を制御することは、例えば、特開2012−255765号公報の段落【0025】〜【0026】、【図1】、【図3】に記載されているように周知であり、パルス幅の切り替えを電池切れ予告の判定結果に応じて行うことは、当業者が適宜なし得た設計事項にすぎない。 c 本件補正発明の「閾値」の「選択」について、電池の電圧と比較すべき閾値を時計の設定状態に応じて選択することは、例えば、特開2008−32639号公報の段落【0018】〜【0019】に記載されているように周知であり、時計の設定状態として「負荷状態又は無負荷状態」を想定することは、当業者が適宜なし得た設計事項にすぎない。 d 本件補正発明のその他の構成については、本願発明について検討した結果が同様に当てはまる。 したがって、請求人の前記ア(イ)の主張を採用することはできない。 第6 むすび 以上検討のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 |
審理終結日 | 2023-02-09 |
結審通知日 | 2023-02-14 |
審決日 | 2023-02-27 |
出願番号 | P2020-167923 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G01R)
P 1 8・ 561- Z (G01R) |
最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
波多江 進 |
特許庁審判官 |
濱本 禎広 濱野 隆 |
発明の名称 | 電源装置、時計及び電圧検出方法 |
代理人 | 鈴木 慎吾 |
代理人 | 田▲崎▼ 聡 |
代理人 | 西澤 和純 |