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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A61F
管理番号 1397205
総通号数 17 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2023-05-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-07-26 
確定日 2023-04-13 
異議申立件数
事件の表示 特許第7082591号発明「使い捨ておむつ及びその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第7082591号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許7082591号の請求項1〜4に係る特許についての出願は、令和元年6月3日に出願され、令和4年5月31日にその特許権の設定登録がされ、令和4年6月8日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和4年7月26日に、特許異議申立人本間裕美(以下「申立人」という。)から、本件特許異議の申立てがされた。

第2 本件発明
本件特許の請求項1〜4の各々に係る発明(以下「本件特許発明1」等という。)は、本件特許の願書に添付された特許請求の範囲の請求項1〜4の各々に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
デザイン付与シートに幅方向の横縞デザインを、おむつの前後方向に間隔を置いて複数形成し、この横縞デザインは外部から視認可能とされているデザインシートを有し、
前記デザインシートに対して、その全長より短い長さの吸収体が配置され、
前記デザインシート端縁と前記吸収体の端縁との間に、前記横縞デザインが形成されていない、又は、
前記横縞デザインが形成されているが、当該横縞デザインの明度L*と、前記デザイン付与シートの地色の明度L*との明度差Δが10以内であり、
前記横縞デザインの横縞の両端部において、少なくとも一部が重なってレジマークが着色印刷されている、
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項2】
使用面側の液透過性トップシートと裏面側の液不透過性シートとの間に吸収体が介在された使い捨ておむつの製造方法において、
前記使い捨ておむつは、製造ライン方向と直交する方向に沿いかつ製造ライン方向に間隔を置いて形成した横縞デザインを、デザイン付与シートに形成したデザインシートを有し、製品状態で前記吸収体より裏面側に位置し、前記横縞デザインは製品状態で外部から視認可能とされるものであり、
連続する前記デザインシートに対して、前記吸収体が製造ライン方向に間欠的に配置され、その後に製造ライン方向に隣接する吸収体間の位置において、前記デザインシートを横切断する工程を有し、
前記デザインシートに対して、その全長より短い長さの吸収体が配置され、
前記デザインシート端縁と前記吸収体の端縁との間に、
前記横縞デザインが形成されていない、又は、
前記横縞デザインが形成されているが、当該横縞デザインの明度L*が、前記デザイン付与シートの地色の明度L*との明度差Δが10以内である、
ことを特徴とする使い捨ておむつの製造方法。
【請求項3】
前記製造ラインに前記吸収体に対する透過光量検出手段を配置しておき、前記デザインシートとともに吸収体が流れる過程で、前記透過光量検出手段による透過光量が閾値以上の光量を示す製造ライン方向の長さが、
所定長さ範囲内であるとき、前記吸収体が正規状態で配置されており、前記所定長さ範囲内でないとき、前記吸収体が非正規状態で配置されている、
と判断する請求項2記載の使い捨ておむつの製造方法。
【請求項4】
横縞デザインの横縞の両端部において、少なくとも一部が重なってレジマークが着色印刷されており、このレジマークに基づき前記デザインシートに対する吸収体の配置が制御される請求項2記載の使い捨ておむつの製造方法。」

第3 申立理由の概要
申立人は、本件特許異議申立書に以下の甲第1号証〜甲第3号証(以下「甲1」等という。)を提出して、大要、次の申立理由を主張している。
【理由】 特許法第29条第2項進歩性
本件特許発明1〜4は、下記の理由により、当業者が容易に発明することができたものである。


・本件特許発明1は、甲1に記載された発明(以下「甲1発明」という。)並びに甲2及び甲3から把握される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
・本件特許発明2は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
・本件特許発明3は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
・本件特許発明4は、甲1発明並びに甲2及び甲3から把握される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

<引 用 文 献 等 一 覧>
甲1:特表2017−536915号公報
甲2:特開2019−25065号公報
甲3:特表2015−533623号公報

第4 当審の判断
1. 甲1
(1) 甲1に記載された事項
甲1には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
本開示は、吸収性物品を製造するための方法に関連し、より具体的には、比較的高い印刷密度のゾーンと比較的低い印刷密度のゾーンとを有する図形を有する構成要素を備えた吸収性物品を組み立てる方法に関連し、この比較的低い印刷密度のゾーンは、組み立て中の様々なプロセス変形の対象となる、組み立てられた構成要素の領域に配置される。」
「【0004】
一部の場合において、消費者は、その上に印刷され得る様々なデザイン及び様々な着色領域を画定する図形を備えたおむつを好む可能性があり、この様々なデザイン及び様々な着色領域は、おむつを着用したときに見える全領域、又は比較的大きな領域にわたって延在し得る。よって、比較的大きな領域にわたって延在する印刷図形を有するおむつの組み立てを伴う変換操作において、印刷された基材は、印刷が配置されている領域における様々なプロセス変形の対象となり得る。しかしながら、印刷された基材に様々なプロセス変形(例えば折り畳み、切断、接合、及び/又は他の印刷された構成要素との組み立て)を、図形が配置されている領域に適用することは、美的に好ましい最終組立体を維持しようとする場合、そのようなプロセス変形を実施する際に問題を生じ得る。例えば、印刷された図形が配置されている領域において、不正確及び/又は不均一な接合、切断、及び/又は折り畳み操作が基材に対して実施されると、そのようなプロセスの不正確さ又は不均一さ(例えばゆがんだ接合線、折り線、及び/又は切断線など)を視覚的に強調するよう作用する可能性がある。別の一例において、1つの印刷された構成要素を別の印刷された構成要素に不正確に配置すると、構成要素を合わせたときに、別々の構成要素上の図形がばらばら及び/又は不揃いに見えることが視覚的に強調され得る。加えて、上述の問題は、比較的高速の製造速度で操作する吸収性物品組み立てプロセスにおいて拡大し得る。」
「【0024】
一部の場合において、消費者は、その上に印刷され得る様々なデザイン及び様々な着色領域を画定する図形を備えたおむつを好む可能性があり、この様々なデザイン及び様々な着色領域は、おむつを着用したときに見える全領域、又は比較的大きな領域にわたって延在し得る。よって、比較的大きな領域にわたって延在する印刷図形を有するおむつの組み立てを伴う変換操作において、印刷された基材は、印刷が配置されている領域における様々なプロセス変形の対象となり得る。しかしながら、印刷された基材に様々なプロセス変形(例えば折り畳み、切断、接合、及び/又は他の印刷された構成要素との組み立て)を、図形が配置されている領域に適用することは、美的に好ましい最終組立体を維持しようとする場合、そのようなプロセス変形を実施する際に問題を生じ得る。例えば、印刷された図形が配置されている領域において、不正確及び/又は不均一な接合、切断、及び/又は折り畳み操作が基材に対して実施されると、そのようなプロセスの不正確さ又は不均一さ(例えばゆがんだ接合線、折り線、及び/又は切断線など)を視覚的に強調するよう作用する可能性がある。別の一例において、1つの印刷された構成要素を別の印刷された構成要素に不正確に配置すると、構成要素を合わせたときに、別々の構成要素上の図形がばらばら及び/又は不揃いに見えることが視覚的に強調され得る。加えて、上述の問題は、比較的高速の製造速度で操作する吸収性物品組み立てプロセスにおいて拡大し得る。」
「【0026】
図1A、1B、2A、及び2Bは、本明細書に開示される装置及び方法により組み立てることができるおむつパンツ100の一例を示す。具体的には、図1A及び1Bは、予め締結された構成のおむつパンツ100の斜視図を示し、図2A及び2Bは、着用者から見て外方に向くおむつの部分を、見る人に向けた、おむつパンツ100の平面図を示す。おむつパンツ101は、シャーシ102及び環状弾性ベルト104を含む。以下で更に詳述されるように、第1の弾性ベルト106及び第2の弾性ベルト108は合着されて、環状弾性ベルト104を形成する。」
「【0028】
図1A、1B、2A、及び2Bに示すように、おむつパンツ100は、内側の、身体に面する表面132、及び外側の、衣類に面する表面134を含み得る。シャーシ102は、バックシート136及びトップシート138を含むことができる。シャーシ102はまた、トップシート138の一部とバックシート136との間に配設された吸収性コア142を含む吸収性組立体140を含み得る。以下により詳細に説明されるように、おむつ100はまた、着用者の脚のまわりのフィット性を高めるために、脚部弾性体及び/又はレッグカフ等の他の特徴を含んでもよい。」
「【0031】
上述のように、おむつパンツ100はバックシート136を含んでもよい。バックシート136はまた、シャーシ102の外側表面134を画定し得る。バックシート136は、液体(例えば、経血、尿、及び/又は液状の糞便)に対して不透過性であってもよく、薄いプラスチックフィルムから部分的に製造されてもよいが、他の可撓性の液体不透過性材料も使用することができる。バックシート136は、吸収性コアに吸収かつ収容された排出物が、おむつ100に接触する物品、例えばベッドシーツ、パジャマ及び下着などを濡らすのを防ぐことができる。また、バックシート136は、織布若しくは不織布材料、ポリエチレン若しくはポリプロピレンの熱可塑性フィルム等の高分子フィルム、並びに/又は、フィルム及び不織布材料を含む(例えば、内側フィルム層及び外側不織布層を有する)多層又は複合材料を含んでもよい。・・・」
「【0043】
上述のように、おむつパンツ100は1つ又は2つ以上の図形を含んでもよい。そのような図形は、比較的高い印刷密度のゾーン(本明細書において「高彩度ゾーン」と呼ばれる)及び比較的低い印刷密度のゾーン(本明細書において「低彩度ゾーン」と呼ばれる)を含み得る。上述のように、おむつ構成要素は、図形が配置される領域において実施される製造操作の不正確さ及び/又は不均一さの視覚的に目立つ結果を低減するように位置付けられた及び/又は印刷された図形を含み得る。よって、この高彩度ゾーンは、消費者に対してより目立ち得る、おむつの領域に位置付けられ得る。そしてこの低彩度ゾーンは、内側ベルト縁部及び/又は脚部開口部領域などのような、組み立てプロセス中の合わせ、切断、及び/又は折り畳み変形を受ける領域に配置され得る。本明細書で検討される図形に関して、各ゾーンは最大印刷密度を含み、低彩度ゾーンの最大印刷密度はゼロより大きく、かつ高彩度ゾーンの最大印刷密度よりも小さい。例えば、いくつかの実施形態において、高彩度ゾーンの最大印刷密度は、少なくとも約0.3、0.4、0.5、0.8、1.0、又は1.2であり得る。更にいくつかの実施形態において、低彩度ゾーンの最大印刷密度は、ゼロより大きくかつ約0.3、0.2、0.15、又は0.1以下であり得る。いくつかの実施形態において、低彩度ゾーンの最大印刷密度は、高彩度ゾーンの最大印刷密度の約30%以下であり得る。いくつかの実施形態において、低彩度ゾーンの最大印刷密度は、高彩度ゾーンの最大印刷密度の約25%以下であり得る。いくつかの実施形態において、低彩度ゾーンの最大印刷密度は、高彩度ゾーンの最大印刷密度の約10%以下であり得る。加えて、この図形は、高彩度ゾーンから低彩度ゾーンへとフェードするように印刷することができる。本明細書で使用するとき、「フェード」という用語は、例えば、図形が比較的高い印刷密度を有する領域から比較的低い印刷密度を有する領域へとフェードする場合の、色相、輝度、明度、彩度、及び/又は飽和度の、眼に見える段階的な変化を意味する。」
「【0045】
図1A、1B、及び2Bは、第1の弾性ベルト106及び第2の弾性ベルト108の上に印刷された図形G1、G2を備えるおむつパンツ100の一例を示し、第1の図形G1は、高彩度ゾーンZH1及び低彩度ゾーンZL1を含む。また第2の図形G2は高彩度ゾーンZH2及び低彩度ゾーンZL2を含む。図2Bに示すように、低彩度ゾーンZL1は第1のベルト106の横方向に延在する内側縁部107bに沿って位置付けられ、低彩度ゾーンZL2は、第2のベルト108の横方向に延在する内側縁部109bに沿って位置付けられている。加えて、高彩度ゾーンZH1、ZH2は、第1及び第2のベルト106、108の内側縁部107b、109bから離れて位置付けられている。」
「【0047】
前述したように、低彩度ゾーンZL1、ZL2は、組み立てプロセス中の様々な切断及び/又は折り畳み変形を受け得る、おむつ100の領域内に位置付けられ、これによって、そのような変形の不正確さ及び/又は不均一さの、視覚的に目立つ結果を低減する。よって更に、本明細書に記述される低彩度ゾーンZL1、ZL2には、追加の図形がなくてもよいことが理解されよう。同様に、いくつかの実施形態において、低彩度ゾーンが他の印刷された図形などを何も含んでいないような、高彩度ゾーン及び低彩度ゾーンを有する図形を備えた吸収性物品を製造することが望ましい可能性がある。」
「【0077】
先に述べた通り、シャーシ102も図形を含み得る。例えば、図4及び5CAに示すように、連続長のシャーシ組立体302が機械方向MDに前進され、これはその上に印刷されたシャーシ図形GCを含み得る。シャーシ図形GCは、例えばバックシート136などの、様々なシャーシ構成要素に印刷し得ること、及び、シャーシ構成要素の組み立て前又は組み立て中に印刷し得ることが理解されよう。いくつかの構成において、シャーシ図形GCは、バックシートフィルム層上に印刷することができ、これをその後不織布層で覆うことにより、シャーシ図形が不織布層を通して見えるようになる。また、例えば、上述のようにインクジェット、フレキソ印刷、及び/又はグラビア印刷プロセスなど、様々な印刷プロセスを使用してシャーシ図形GCを印刷できることが理解されよう。
【0078】
シャーシ図形GCはまた、種々の異なるデザインで構成され得ることが理解されよう。例えば、図5CAに示すように、シャーシ図形GCは、連続長のシャーシ組立体302の機械方向に沿って連続的に延在する、第1及び第2のストライプGC1、GC2として構成することができる。いくつかの実施形態において、シャーシ図形GCは、機械方向MDに沿って互いに分離された個別の長さとして印刷し得ることが理解されよう。図5CAを引き続き参照して、シャーシ図形は低彩度ゾーンZLC及び高彩度ゾーンZHCを含み得、高彩度ゾーンZHCの長さは、機械方向MDに沿って低彩度ゾーンZLCによって互いに分離されている。上述のように、連続長のシャーシ組立体302は、トップシート材料138とバックシート材料136との間に挟まれた吸収性組立体140、脚部弾性部材、バリアレッグカフ、及び同類のものを含んでもよい。」
「【図1A】




「【図1B】


「【図5CA】




また、【0028】、【0047】、及び図5CAから、連続するバックシートが組み立てプロセスで切断され、バックシート端縁と吸収性組立体の端縁との間にシャーシ図形GCが形成されることがわかる。
さらに、【0078】及び図5CAより、シャーシ図形GCは、「高彩度ゾーン」(ZHC)と、「低彩度ゾーン」(ZLC)の二つがあって、少なくともいずれかの「彩度」は、バックシートの地色の彩度と異なるものといえるから、甲1には、「シャーシ図形GCの彩度と、バックシートの地色との彩度差を有している」ものが記載されているといえる。

(2) 甲1発明
上記(1)に示した、甲1の摘記、図示及び認定を総合すると、甲1には以下の甲1発明が記載されている。
「シャーシ図形GCを、おむつの前後方向に間隔を置いて複数形成し、このシャーシ図形GCは外部から視認可能とされているバックシートを有し、
バックシートに対して、その全長より短い長さの吸収性組立体が配置され、バックシート端縁と吸収性組立体の端縁との間にシャーシ図形GCが形成されており、当該シャーシ図形GCの彩度と、バックシートの地色との彩度差を有している使い捨ておむつ。」

2. 甲2
甲2には、以下の事項が記載されている。
「【0110】
また、吸収性本体10の所定の領域には、レジマーク70が印刷されている。このレジマーク70は、おむつ1の製造工程において、シート部材の印刷や加工を行う際の基準位置を示すマークである。例えば、防漏シート15aが搬送方向に帯状に連なった連続シート(不図示)を、各々の製品長さに切断したり、防漏シート15aと外装シート15bとを貼り合わせたりする工程において、基準として使用される。・・・」

3. 甲3
甲3には、以下の事項が記載されている。
「【0119】
吸収性物品構成要素(グラフィック吸収性物品構成要素を含む)が、他の吸収性物品構成要素に取り付けられるときに適切に配置されていることを確実にするために、位置合わせ(registration)を使用することが可能である。位置合わせは、装置を使用し、吸収性物品構成要素上の位置を検出し、位置を設定点(これは、所望の作用素(operator)又は機械設定点でよい)に対して比較する工程を含むことが可能である。装置は、この比較に従って吸収性物品構成要素の配置を調整することは可能である。例えば、吸収性コアチャネル及び印刷された接着剤層の位置を検出して、印刷された接着剤層の繰り返し長さを、長さ制御システムを介して変動させてもよい(米国特許第6,444,064号及び第6,955,733号に記載)。・・・」

4. 申立理由について
(1) 本件特許発明1について
ア. 対比
本件特許発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「バックシート」、「シャーシ図形GC」、「吸収性組立体」は、その機能あるいは構造から、本件特許発明1の「デザインシート」、「デザイン」、「吸収体」に、それぞれ相当する。
甲1に記載された「バックシート」は、そこに「シャーシ図形GC」を「形成」するものであるから、その「形成」前後に着目すると「シャーシ図形GC」を「形成」する前のものは、本件特許発明1の「デザイン付与シート」に相当し、「形成」後の「バックシート」は「デザインシート」にそれぞれ相当する。
甲1発明の「バックシートの端縁」及び「吸収性組立体の端縁」と、本件特許発明1の「デザインシートの端縁」及び「吸収体の端縁」とは、それぞれの「端縁」に間を有する限りにおいて一致する。

そうすると、本件特許発明1と甲1発明とは、以下の点で一致し、かつ、相違する。

<一致点>
デザイン付与シートにデザインを、複数形成し、このデザインは外部から視認可能とされているデザインシートを有し、
前記デザインシートに対して、その全長より短い長さの吸収体が配置され、
前記デザインシート端縁と前記吸収体の端縁との間を有する使い捨ておむつ。

<相違点1>
デザイン付与シートのデザイン及びデザインシート端縁と前記吸収体の端縁との間について、本件特許発明1は、デザイン付与シートに幅方向の横縞デザインを、おむつの前後方向に間隔を置いて形成するとともに、デザインシート端縁と前記吸収体の端縁との間に、横縞デザインが形成されていない、又は、前記横縞デザインが形成されているが、当該横縞デザインの明度L*とデザイン付与シートの地色の明度L*との明度差Δが10以内であるのに対し、甲1発明は、横縞デザインが形成されていないことの特定がなく、そして、横縞デザインが存在する場合についての、デザインの明度L*とデザイン付与シートの地色の明度L*との明度差についての特定はない点。

<相違点2>
本件特許発明1は、横縞デザインの横縞の両端部において、少なくとも一部が重なってレジマークが着色印刷されているのに対して、甲1発明は、レジマークが印刷されているか否か、不明である点。

イ. <相違点1>についての判断
相違点1に係る本件特許発明1の構成における技術的意義について、本件特許明細書の段落【0006】〜【0012】の記載によれば、本件特許発明1が、「前記デザインシート端縁と前記吸収体の端縁との間に、前記横縞デザインが形成されていない、」又は、「前記横縞デザインが形成されているが、当該横縞デザインの明度L*と、前記デザイン付与シートの地色の明度L*との明度差が10Δ以内であり、」としたことは、「使い捨ておむつ」の製造工程において、「包装シートに包まれた吸収体(吸収コア)に液不透過性シート等の他の部材が貼りつけられた後、適切な半製品長又は製品長にカットする工程があり、その際、カット後に吸収体の位置が正しく配置されていることを、半製品又は製品に光を透過させ、吸収体がない部分(光がより透過する部分)の長さが許容範囲内かをみることで、吸収体(吸収コア)の配置が適切であるかを確認する態様を採る場合、吸収体(吸収コア)が配置されているか否かを、正確に把握でき、不良品排除についての生産管理上の利点」(【0011】)を得るためであることが理解できる。
他方、甲1発明は、基材のうち図形を印刷する箇所に、「例えば折り畳み、切断、接合、及び/又は他の印刷された構成要素との組み立て」のようなプロセス変形を適用すると、当該「箇所」において、適用されたプロセス変形の不正確さや、不均一さが、視覚的に強調される可能性の問題を解決しようとしたものであって(甲1 段落【0024】)、そのために、消費者に対してより目立たない、比較的低い印刷密度のゾーンを、プロセスによって、合わせ、切断、及び/又は折り畳み変形を受ける部分に配置(甲1 【0043】したものである。よって、本件特許発明1とは、課題や作用・機能の共通性があるとはいえない。
そして、甲1には、デザインについて、「横縞デザイン」を形成し、デザインの明度L*とデザイン付与シートの地色の明度L*との明度差が10以内とすることの記載はないし、示唆する記載もない。さらに、甲2及び甲3にもこの点、記載されていないし、示唆する記載もない。
なお、甲1には、シャーシ図形GCの彩度と、バックシートの地色との彩度差を有するようにしたことが記載されているけれども、色彩の技術分野においては、彩度が同じであっても、明度L*が相違することがあり得ることは技術常識であることを踏まえると、甲1発明のある個所が「高彩度ゾーン」あるいは「低彩度ゾーン」であるからといって、ただちに、その箇所が本件特許発明1に特定される横縞デザインの有無や明度差Δであるとはいえない。
よって、甲1発明において、相違点1に係る本件特許発明1の構成を備えたものとすることは、当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。

ウ. 本件特許発明1についての小括
上記イ.に記載したように、本件特許発明1は、甲1発明並びに、甲2及び甲3に例示される周知技術に基づいて、当業者が容易になし得た事項であるとはいえないから、相違点2について検討するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)本件特許発明2について
ア. 対比・判断
本件特許発明2と甲1発明とを対比すると、上記<相違点1>のうち、少なくとも「横縞デザイン」が形成され、デザインの明度L*とデザイン付与シートの地色の明度L*との明度差が10以内である点において相違する。
そして、当該点については、上記(1)イに示したように、甲1発明において、相違点1に係る構成を備えたものすることは、当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。

イ. 本件特許発明2についての小括
上記ア.に示したように、本件特許発明2は、甲1発明、あるいは、甲1発明並びに、甲2及び甲3に例示される周知技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(3)本件特許発明3及び4について
本件特許発明3及び4は、いずれも本件特許発明2を引用して、さらに限定事項を有するものである。そうすると、上記(2)に示したように、本件特許発明3あるいは4から限定事項を省いた本件特許発明2が、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件特許発明3あるいは4も、甲1発明、あるいは、甲1発明並びに、甲2及び甲3に例示される周知技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第5 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1〜4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1〜4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2023-04-05 
出願番号 P2019-103914
審決分類 P 1 651・ 121- Y (A61F)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 山崎 勝司
特許庁審判官 藤井 眞吾
久保 克彦
登録日 2022-05-31 
登録番号 7082591
権利者 大王製紙株式会社
発明の名称 使い捨ておむつ及びその製造方法  
代理人 弁理士法人永井国際特許事務所  

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