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審決分類 |
審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1398078 |
総通号数 | 18 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2023-06-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-08-23 |
確定日 | 2023-05-15 |
事件の表示 | 特願2021− 26262「弾球遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 6月10日出願公開、特開2021− 87807〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成29年2月10日(以下「遡及日」という。)に出願した特願2017−22675の一部を令和3年2月22日に新たな特許出願(特願2021−26262)としたものであって、令和4年2月1日付けで拒絶の理由が通知され、同年3月28日に意見書が提出されたところ、同年5月23日付け(送達日:同月26日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対し、同年8月23日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1に係る発明は、願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである(なお、記号A等は、分説するため合議体が付した。)。 「A 遊技領域が形成された遊技盤と、 B 前記遊技領域の所定位置に設けられる第1始動口および第2始動口と、 C 前記第1始動口への入球を契機として取得した第1抽選値に基づいて第1の当否判定を実行する第1当否判定手段と、 D 前記第2始動口への入球を契機として取得した第2抽選値に基づいて第2の当否判定を実行する第2当否判定手段と、 E 前記第1の当否判定の結果を示すための第1図柄が変動表示される第1図柄表示装置と、 F 前記第2の当否判定の結果を示すための第2図柄が変動表示される第2図柄表示装置と、 G 前記第1図柄の変動表示過程を定める変動パターンを決定するための変動パターン選択基準を参照して変動パターンを決定する第1変動パターン決定手段と、 H 前記第2図柄の変動表示過程を定める変動パターンを決定するための変動パターン選択基準を参照して変動パターンを決定する第2変動パターン決定手段と、 I 前記第1変動パターン決定手段により決定された変動パターンにしたがって、前記第1図柄を前記第1図柄表示装置に変動表示させる第1図柄表示制御手段と、 J 前記第2変動パターン決定手段により決定された変動パターンにしたがって、前記第2図柄を前記第2図柄表示装置に変動表示させる第2図柄表示制御手段と、 K 前記遊技領域の所定位置に設けられ、前記第1の当否判定または前記第2の当否判定の結果に応じて開放され、遊技球の入球が遊技者への利益付与の契機となる大入賞口と、 L 前記第1の当否判定の結果が当りであることを示す第1停止図柄または前記第2の当否判定の結果が当りであることを示す第2停止図柄が停止表示された場合、前記大入賞口の開放を伴う特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、 M 前記第2始動口への入球容易性が通常状態より高い状態である入球容易状態への移行を制御する特定遊技制御手段と、 N 演出的な内容が表示される演出表示装置と、 O 前記演出表示装置に表示させる演出内容を決定する演出決定手段と、 を備え、 P 前記特定遊技制御手段は、当りが発生して所定の移行条件が満たされた場合に、前記特別遊技の終了後に前記入球容易状態へ移行させ、少なくとも、前記入球容易状態において実行された前記第2図柄の変動表示の回数が第1の回数に到達した場合、または、前記入球容易状態において実行された前記第1図柄の変動表示の回数および前記第2図柄の変動表示の合計回数が前記第1の回数よりも多い第2の回数に到達した場合に、前記入球容易状態を終了させ、 Q 前記特別遊技の終了後の予め定められた所定の限定的な期間には、前記変動パターン選択基準として、前記限定的な期間に参照可能な複数の限定選択基準のうちのいずれかが参照され、 R 前記所定の限定的な期間において参照すべき限定選択基準を規定した限定選択基準参照規則にしたがって、参照する限定選択基準が決定され、 S 前記限定選択基準参照規則として、前記第1変動パターン決定手段が参照すべき限定選択基準を規定した第1限定選択基準参照規則と、前記第2変動パターン決定手段が参照すべき限定選択基準を規定した第2限定選択基準参照規則とが別個に設けられ、 T 前記第1図柄の変動表示の回数と前記第2図柄の変動表示の回数とは別個にカウントされ、 U 前記第1変動パターン決定手段は、前記第1限定選択基準参照規則を参照して、前記第1図柄の変動表示の回数に応じて参照すべき限定選択基準を決定し、決定した限定選択基準を参照して変動パターンを決定し、 V 前記第2変動パターン決定手段は、前記第2限定選択基準参照規則を参照して、前記第2図柄の変動表示の回数に応じて参照すべき限定選択基準を決定し、決定した限定選択基準を参照して変動パターンを決定し、 W 前記入球容易状態である状況下、前記第1図柄の変動表示の回数が所定回数となる前記第1図柄の変動表示中において、前記第2始動口に向けて遊技球を発射する旨の注意喚起演出を実行する X 弾球遊技機。」 第3 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由は、概略、次のとおりである。 1.(拡大先願)この出願の願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特願2016−88616(特開2017−196091) 第4 当審の判断 1 先願の記載、先願発明 (1)先願の記載事項等 原査定の拒絶の理由に引用文献等1として引用され、本願の遡及日前の他の特許出願であって、本願の遡及日後に出願公開がされた特願2016−88616(特開2017−196091)(出願日:平成28年4月26日、出願公開日:平成29年11月2日、出願人:株式会社高尾、発明者:安藤 繁光)(以下「先願1」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)には、弾球遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている(下線は合議体が付した。)。 ア「【0008】 請求項1記載の弾球遊技機は、 遊技球が常時入球可能な第1始動口と、 普通図柄の抽選結果に応じて遊技球の入球が困難な状態、又は入球が容易な状態に切替え可能な第2始動口と、 少なくとも前記第1始動口への入球に起因して抽出された乱数値を保留記憶として記憶する保留記憶手段と、 前記第1始動口への入球に起因して第1特別図柄の当否判定を実行し、前記第2始動口への入球に起因して第2特別図柄の当否判定を行う当否判定手段と、 前記当否判定に伴い変動する前記第1特別図柄及び前記第2特別図柄の変動時間を選択するための変動テーブルを設定する変動テーブル設定手段と、 少なくとも前記第2特別図柄の当否判定の結果が小当りとなることで小当り遊技を実施する小当り遊技実施手段と、 前記小当り遊技を実施したときに開閉作動する大入賞装置と、 該大入賞装置内に設けられた特定領域と、 前記第1特別図柄又は前記第2特別図柄の当否判定の結果が大当りのとき、又は前記小当り遊技で前記特定領域へ遊技球が入球することにより役物大当りとなったときに賞球の獲得に有利な大当り遊技を実施する大当り遊技実施手段と、 前記大当り遊技の終了後に、前記第2始動口へ遊技球を入球させるのに有利な特典遊技を実施可能とする特典遊技実施手段と、 前記特典遊技の実施期間を制限する特典制限手段と、を具備し、 遊技球が流下する遊技領域として、遊技球を第1の発射強度で発射したときに遊技球が流下可能な第1遊技領域と、前記第1の発射強度よりも強い第2の発射強度で発射したときに遊技球が流下可能な第2遊技領域とが設けられ、 少なくとも前記第2の発射強度で発射された遊技球が流下可能な遊技領域には、遊技球が入球することにより前記普通図柄の抽選の起因となる作動口と、前記第2の始動口及び前記大入賞装置とが設置され、 前記特典制限手段は、前記特典遊技中の前記第1特別図柄の変動回数の上限を設定する第1上限回数と、前記第2特別図柄での変動回数の上限を設定する第2上限回数と、前記第1特別図柄と前記第2特別図柄の総変動回数の上限を設定する第3上限回数と、を設け、いずれかの上限回数に達することに基づいて前記特典遊技の実施を終了するものであり、 前記第1特別図柄は、前記特典遊技において、少なくとも比較して平均変動時間の短い第1変動テーブルと、比較して平均変動時間の長い第2変動テーブルを備え、前記特典遊技になると前記第1変動テーブルが設定されるが、前記第1上限回数よりも少ない所定変動回数に達すると前記第2変動テーブルが設定される ことを特徴とする弾球遊技機である。」 イ「【0027】 図1は、遊技盤1の正面図である。図1に示すように遊技盤1には、公知のガイドレール2a、2bによって囲まれた略円形の遊技領域が、ほぼ中央部に配置されたセンターケース5を境に第1遊技領域3a(本発明の第1遊技領域に相当)と第2遊技領域3b(本発明の第2遊技領域に相当)とに分けられており、センターケース5の左側が第1遊技領域3a、右側が第2遊技領域3bとなり、図に示したA部まで到達した遊技球は、第2遊技領域誘導路101を転動し、第2遊技領域3b(センターケース5の右側)に至り、Aに到達しない遊技球が第1遊技領域3a(センターケース5の左側)を流下することになる。また、この第1遊技領域3a,第2遊技領域3bには多数の遊技釘が植設されている。 【0028】 センターケース5は、公知のものと同様に、ワープ入口、ワープ通路、ステージ、演出図柄表示装置6の画面を臨ませる窓等を備えている。センターケース5の下には、第1始動口11が配置され、第1始動口11の左方には、3個の一般入賞口31が設けられている。なお、この一般入賞口31は、入球率が変化しない普通入賞口である。 【0029】 センターケース5の右の第2遊技領域3bには、普通図柄作動ゲート17が配置され、普通図柄作動ゲート17の下には、センターケース5右側面と一体化し片羽根が開閉動作を行う第1大入賞口14が設置されている。第1大入賞口14の下には、普通電動役物16が配置され、この普通電動役物16が作動すると第2始動口12への遊技球の入球が可能となる。 ・・・ 【0032】 第2遊技領域3bの下部には、複数個のLEDからなる普通図柄表示装置7、普通図柄保留数表示装置8と、7セグメント表示装置からなる第1特別図柄表示装置9、第2特別図柄表示装置10と、複数個のLEDからなる第1特別図柄保留数表示装置18、1個のLEDからなる第2特別図柄保留数表示装置19とが配置されている。この位置に配置した各種表示装置の表示内容を遊技者が確実に認識することは困難となり、遊技中の遊技者は遊技盤中央に配置された演出図柄表示装置6の表示内容に注目して遊技を行うことになる。 【0033】 上記のように遊技盤1を構成することによって、第1遊技領域3aに遊技球を流下させると第1始動口11に遊技球が入球(第1始動口スイッチ11a(図3参照)が遊技球を検出)すると、第1特別図柄表示装置9において第1特別図柄(本発明の第1特別図柄に相当)が変動を開始し、所定時間後に停止する。 【0034】 第2遊技領域3bに遊技球を流下させると第2遊技領域3bを流下した遊技球が普通図柄作動ゲート17に入球(普通図柄作動スイッチ17a(図3参照)が遊技球を検出)すると、普通図柄表示装置7で普図が変動表示を開始し、所定時間後に停止した普図の態様に応じて、後述する普通電役ソレノイド12b(図3参照)を駆動させる。普通電役ソレノイド12bが駆動すると、ほぼ同期して普通電動役物16の扉部が開放して、第2始動口12への入球(第2始動口スイッチ12a(図3参照)の検出)が可能となるように構成されている。第2始動口12に遊技球が入球すると、第2特別図柄表示装置10において第2特別図柄(本発明の第2特別図柄に相当)が変動表示を開始し、所定時間後に停止する。 【0035】 第1特別図柄(以降、第1特図ともいう)及び第2特別図柄(以降、第2特図ともいう)の変動中は、演出図柄表示装置6において各々の特別図柄(以降、特図ともいう)の変動に連動した演出態様を表示する。また、第1特別図柄と第2特別図柄は、同時に変動することはなく、いずれかの変動のみを行なう。 本実施例では、第2特別図柄にも保留記憶を備えているため、その場合は第2特別図柄の変動(当否判定)を優先して実施する構成としても良い。その場合は第2特別図柄の保留記憶が発生すれば直ぐ第2特別図柄の抽選が行なわれるため、第1特別図柄の変動の消化を待つ必要がなくなる。また、逆に第1特別図柄の変動を優先しても良い。その場合は第2特別図柄が変動する際は、第1特別図柄の保留記憶のない状態となるため、第1特別図柄の変動が割り込んでくることなく安定して第2特別図柄だけで変動させていくことができる。」 ウ「【0037】 第1特別図柄及び第2特別図柄の確定表示した態様に応じて、後述する第1大入賞口ソレノイド14b(図3参照)、又は第2大入賞口ソレノイド91bが駆動する。第1大入賞口ソレノイド14bが駆動(大当り遊技時)すると、ほぼ同期して第1大入賞口14の扉部材が開放し、第1大入賞口14への遊技球の入球(第1カウントスイッチ14a(図3参照)が遊技球を検出)が可能となり、第2大入賞口ソレノイド91bが駆動(小当り遊技時)すると、ほぼ同期して第2大入賞口91の扉部材が開放し、第2大入賞口91への遊技球の入球(第2カウントスイッチ91a(図3参照)が遊技球を検出)が可能となるように構成されている。 【0038】 普通電動役物16からなる第2始動口12、第1大入賞口14、第2大入賞口91は、第2遊技領域3b(センターケース5の右側)に配置されているため、遊技状態が開放延長遊技状態に移行した場合、大当り遊技に移行した場合、小当り遊技に移行した場合は、発射した遊技球の全てが第2遊技領域3bに到達するように発射ハンドルを調整することになる。」 エ「【0040】 図3は、ぱちんこ機の電気的構成を示すブロック図となり、主制御装置80を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、単に信号を中継するだけのためのいわゆる中継基板及び電源回路等は記載していない。また、詳細な図示は省略するが、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えているが、本実施例では発射制御装置84にはCPU、ROM、RAMは設けられていない。しかし、これに限るわけではなく、発射制御装置84にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。 ・・・ 【0042】 主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して払出制御装置81及びサブ統合制御装置83に出力する。また主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている第1特別図柄表示装置9、第2特別図柄表示装置10及び普通図柄表示装置7の表示、第1特別図柄保留数表示装置18、第2特別図柄保留数表示装置19、普通図柄保留数表示装置8の点灯を制御する。 【0043】 更に、主制御装置80は、第1大入賞口ソレノイド14bを制御することで第1大入賞口14の開閉を制御し、第2大入賞口ソレノイド91bを制御することで第2大入賞口91の開閉を制御し、普通電動役物ソレノイド(図3では普電役物ソレノイドと表記)12bを制御することで普通電動役物16の開閉を制御し、振分羽根ソレノイド93bを制御することで振分装置92内の振分羽根93の開閉を制御する。主制御装置80からの出力信号は試験信号端子にも出力される他、図柄変動や大当り(特別遊技ともいう)等の管理用の信号が外部接続端子78に出力されてホールコンピュータ87に送られる。」 オ「【0051】 演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して擬似図柄等の演出画像を表示する。尚、サブ統合制御装置83と主制御装置80とは間に演出中継端子板65を介した主制御装置80からサブ統合制御装置83への一方向通信回路として構成され、サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とはサブ統合制御装置83から演出図柄制御装置82への一方向通信回路として構成されている。 【0052】 次に、図4に示した図表を用いて、実施例1のぱちんこ機の作動内容について説明する。本実施例におけるぱちんこ機は普通電動役物16の作動契機と作動時間を変化させる開放延長機能と、普通図柄の当り確率に通常確率と高確率を設けている。開放延長機能の作動と同時に当り確率が高確率になる構成である。 【0053】 具体的には開放延長機能未作動時では、1/100の当り確率で0.2秒1回の開放動作を行い、開放延長機能作動時では、普通図柄の1回の当りに対して普通電動役物16は6.0秒の開放動作を1回行うよう設定されている。また、開放延長機能が作動する遊技状態(開放延長状態)での第1及び第2特別図柄の変動パターン(変動時間)は、開放延長機能が未作動時の遊技状態で使用する変動パターン選択テーブルよりも平均変動時間が短くなるように設定された変動パターン選択テーブルを用いて選択される構成となっている。これにより、開放延長機能作動時の単位時間あたりの特別図柄の変動回数が、開放延長機能未作動時よりも増加する構成(時短状態)となっており、この時短機能は、開放延長機能の作動開始と終了の契機と同じくして作動する。 なお、時短機能として普通図柄の当選確率を高確率に変動させる確率変動機能を備えずに、普通図柄の変動時間や普通電動役物16の開放態様で開放延長機能未作動時は普通電動役物16への入賞を困難にし、開放延長機能作動時は容易にしてもよい。また、普通図柄の当り遊技を複数備えて、開放延長未作動時でも普通電動役物16への入賞が容易な当り遊技を設ける事も考えられる。そうすれば開放延長未作動時でも普通電動役物16へ入賞する機会が生じ、通常遊技時でも役物大当りを狙える遊技性を備えさせることができる。」 カ「【0058】 第1特図が4ラウンド時短有図柄1,2で大当りすると(5/10の割合)、第1大入賞口14が4ラウンドの開放を行う大当り遊技(1ラウンド最大29.0秒の開放または9カウント)を実施し、大当り遊技終了後は時短状態(開放延長状態)となる。 【0059】 第2特図が15ラウンド時短有図柄1,2で大当りすると(10/10の割合)、第1大入賞口14が15ラウンドの開放を行う大当り遊技(1ラウンド最大29.0秒の開放または9カウント)を実施し、大当り遊技終了後は時短状態(開放延長状態)となる。従って、第2図柄で図柄大当りする場合は必ず15ラウンドで時短状態が付与されるという有利な状態となる。」 キ「【0063】 なお、図5と6は大当りおよび小当り図柄毎に設定される時短回数内容の詳細を示している。具体的には、第1特図が4ラウンド時短無の図柄で大当りした場合は時短設定を行わないが、4ラウンド時短有の図柄で大当りした場合は、三つの回数条件のいずれかが満たされるまで時短(開放延長)状態が保持される設定が行われる。具体的な条件は、(1)第1特図が最大99回変動するまで、(2)第2特図が1回変動するまで、(3)第1特図と第2特図がトータルで最大99回変動するまでとなる。 時短(開放延長)状態になり、すぐ発射位置を第2遊技領域3bに向けて遊技球を発射させた場合は、第1特図の変動は第1保留記憶分のみに留まり、(2)の条件が満たされることで時短(開放延長)状態が終了する。」 ク「【0072】 次に、図8を用いて、主制御装置80が実行する始動入賞処理を説明する。本処理は、図7に示した入賞確認処理(S60)のサブルーチンの一つとなる(保留記憶手段、先読判定手段、保留記憶数送信手段、入賞信号送信手段を含む)。 以後、第1始動口11に遊技球が入球したときに格納される保留記憶を第1保留記憶、第2始動口12に遊技球が入球したときに格納される保留記憶を第2保留記憶、普通図柄始動ゲート17を遊技球が通過したときに格納される保留記憶を普図保留記憶として説明する。なお、本実施例では第1保留記憶の上限数を4個、第2保留記憶の上限数を1個、普図保留記憶の上限数を4個とする。 【0073】 本処理を開始すると、第1始動口スイッチ11aが遊技球を検出したか否か判定する(S100)。肯定判定であれば(S100:yes)、主制御装置80に既に格納されている第1保留記憶数が上限数(本実施例では4個)未満であるか否か判定する(S105)。肯定判定であれば(S105:yes)、当否乱数等の各種乱数値(大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数1,2、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等)を抽出し、第1保留記憶として主制御装置80の保留記憶数に応じた記憶領域に格納し、第1保留記憶の数を示す第1保留記憶カウンタに1を加算する(S110)。 【0074】 S110に続いては、記憶した第1保留記憶の先読判定を行う(S115)。具体的には、大当り決定用乱数の値が大当りを生起させる値か否かを確認し、大当り値なら大当り図柄の種類を確認する。大当り判定がハズレなら、ハズレ図柄の種類を確認する(先読判定手段)。 なお、先読み判定で用いるのは大当り決定用乱数や図柄だけでなく、変動パターンを指定する変動パターン決定用乱数やリーチの有無を決定するリーチ決定用乱数など、先読み演出で何を示唆するかによって任意に判定対象を選択すればよい。変動パターンやリーチの有無が分れば、当否だけでなく演出内容を先んじて示唆することも可能になる。 また、ハズレ図柄に変動内容を紐付けられている遊技構成があり、このような場合はハズレ図柄を判定するだけでリーチの有無、種類、予告の有無、種類なども判明でき先読み演出用に多様な情報を獲得することができる。 ・・・ 【0076】 S125の処理、又はS100、S105の否定判定(S100:no、S105:no)に続いては、第2始動口スイッチ12aが遊技球を検出したか否か判定する(S130)。否定判定なら(S130:no)S160に進み、肯定判定なら(S130:yes)、主制御装置80に格納されている第2保留記憶の数が上限数(=1個)未満か否か判定する(S135)。否定判定なら(S135:no)S160に進み、肯定判定であれば(S135:yes)、当否乱数等の各種乱数値(大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数1,2、小当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等)を抽出し、第2保留記憶として主制御装置80の保留記憶数に応じた記憶領域に格納し、第2保留記憶の数を示す第2保留記憶カウンタに1を加算し(S140)、S115と同様に記憶した第2保留記憶の先読判定を行う(S145)。なお、本実施例では第2保留記憶の上限数を1個としているため、第2保留記憶の有無のみを確認し第2保留記憶が無い時に記憶可能とする構成としてもよい。」 ケ「【0092】 次に、図14,15,16に示したフローチャートを用いて、実施例1において主制御装置80が実行する特図当否判定処理を説明する。本処理は、第1保留記憶と第2保留記憶の当否判定及び該当否判定の結果に応じた第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示時間選択、確定図柄選択、大当り遊技の内容設定、大当り遊技終了後の遊技状態設定を行う処理となり、本発明の小当り判定手段を含む。 ・・・ 【0099】 続くS540では、S535の結果が大当り(大当り判定値と同一)であるか否か判定する。肯定判定なら(S540:yes)、図柄モード設定処理を行う(S545)。図柄モード設定処理では、判定対象となる第1又は第2保留記憶の大当り図柄決定用乱数1に基づいて、大当り遊技の内容と大当り遊技終了後の遊技状態(通常状態、時短,開放延長状態)を決定する図柄モードを設定する。 【0100】 続いて、設定した図柄モードの種類と大当り図柄決定用乱数2に基づいて大当り図柄選択処理を行う(S550)。これは、図柄モードの設定によって決定した大当り遊技の種類を大当り図柄によって報知するために、図柄モードの種類毎に設定された図柄郡の中から確定表示する大当り図柄を決定する処理となる。 ・・・ 【0102】 次に、S545で設定した図柄モードに基づいて大当り遊技の内容となる第1大入賞口14の開放パターン設定処理を行い(S560)、当否判定の対象とした第1又は第2保留記憶のリーチ決定用乱数および変動パターン決定用乱数に基づいて、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10、及び演出図柄表示装置6に表示する図柄の変動時間となる変動パターンを選択する変動パターン選択処理を行う(S565)。 ・・・ 【0103】 続いて、選択した大当り図柄および変動パターンの情報を、変動指示コマンドとしてサブ統合制御装置83へ送信する(S570)。この情報を受信したサブ統合制御装置83からの指示に基づいて、演出図柄制御装置82は演出図柄表示装置6を制御し、第1又は第2特別図柄の大当り図柄及び変動パターンの情報に基づいた擬似図柄の演出変動表示を開始する。サブ統合制御装置83への送信とほぼ同時に、主制御装置80は、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10を直接制御して特別図柄の変動を開始する。」 コ「【0128】 次に、図26に示した図表により、第1特図と第2特図の遊技状態における変動テーブルの設定内容を説明する。 第1特図は、通常遊技状態の時は第1変動テーブル1が設定されている。平均変動時間は約10秒である。本実施例の遊技構成は、通常遊技状態では第1特図での当否判定が遊技のメインとなるため、この第1変動テーブル1で変動時間が選択されることになる。そのため、他の変動テーブルよりも豊富な変動パターンを備える事が望ましい。平均では約10秒だが120秒のリーチなどが選択可能になっている。 なお、通常遊技状態ではメインとなることから、第1変動テーブル1だけでなく、複数の変動テーブルを備えておいてもよい。大当り遊技後の変動回数に応じて変動テーブルを切替えていけば、リーチの発生率や平均変動時間を変化させていくことができる。また、従来技術であるが、保留記憶数に応じて変動テーブルを切替えることも考えられる。従来のように、保留記憶数が多数ある時(例えば3個以上)は平均変動時間の短い変動テーブルに切り替えれば時間当たりの変動回数を増やすことができる。また、平均変動時間が短いということでリーチ発生率を抑えて保留記憶の消化ペースを上げさせることができる。 ・・・ 【0130】 第1変動テーブル2は、時短状態が開始されてから第1特図が4変動するまで選択される変動テーブルで、平均変動時間は0.6秒となる。 4変動は第1特図の保留記憶可能数4個に対応しており、初めて時短状態が付与され、無駄なく第2遊技領域3bに発射を行った時でも発生する可能性のある変動数であり、迅速に第2特図での抽選遊技を開始させるためにも極短時間だけ変動させるために第1変動テーブル2を選択する。 このようにすれば、遊技者は第1特図の保留記憶数を殆ど気にすることなく時短遊技に入ることができ、時短状態(役物大当りを目指す遊技)だけど第1特図の変動演出を見ないといけないといった状況を回避し、通常遊技時の図柄大当りを目指す遊技から時短状態の役物大当りを目指す遊技へ即座に移行させることができる。 なお、本実施例では1〜4変動に設定したが、あくまでも一例であり、推奨する遊技方法での許容範囲内の変動数に対しては第1変動テーブル2を設定するものであればよい。正常な遊技の範囲では第1特図の変動を極短時間で消化し、第2特図での役物大当りにスムーズに移行できればよい。 【0131】 図27(2)は、第1変動テーブル2が選択されている時の表示例である。 図では時短状態を「達吉RUSH」と称している。また、時短状態の演出表示としてキャラクタ(熊の達吉)を表示している。なお、第1特図に対応するように画面右下に擬似図柄を表示して抽選結果を表示するようにしているが、第1変動テーブル2の平均変動時間は0.6秒のため、表示していても抽選結果は判別困難であるため、表示しない構成でもよい。また、第1保留図柄についても上記したように表示しなくてもよい。 【0132】 第1変動テーブル3は、時短状態が開始されてから第1特図が5〜90変動する間に選択される変動テーブルで、平均変動時間は30秒である。 時短状態に移行してから第1特図が5〜90変動するのは、明らかに第2遊技領域3bに打ち出していないと判断できることから、平均変動時間を長時間にすることにより、時間当たりの第1特図での変動消化数を抑えて、少しでも早く推奨する第2遊技領域3aでの遊技に切り替えてもらえるようにすることを目的とする。 本実施例は、第1特図での大当りは全て4ラウンドであるため、第2特図と比較して不利な設定であることから、時間当たりの抽選回数を抑えることにより、遊技者が不利益を被るのを防ぎつつ変則打ち(時短状態での第1遊技領域3aでの遊技)を抑止することが可能となる。 【0133】 図27(3)は、第1変動テーブル3が選択されている時の表示例である。 図では、画面の上下に、黄色と黒色の警戒色で警告表示を行い、「右打ちしてください!」と推奨する打ち出し位置を表示する。第1特図に対応する擬似図柄での変動演出や第1保留図柄は表示せず、何も演出表示を行わないようにすることで推奨する第2遊技領域3bへの打ち出しを促す。 なお、第1変動テーブル3では1変動が長時間であり、変動演出を行わないため、その時間を利用して異常遊技の報知や警告を行なうだけでなく、正しい遊技の流れや正しい遊技方法を説明する説明表示を行う事が考えられる。例えばぱちんこ遊技そのものを良く知らない外国の旅行客などのために、改めて基本的な遊技の説明を行えば、トラブルを抑えることができる。 【0134】 第1変動テーブル4は、時短状態が開始されてから第1特図が91〜99変動する間に選択される変動テーブルで、平均変動時間は15秒である。 第1変動テーブル3の間も第1特図で抽選を続けていることから、長時間変動を続けるのも意味がないことから、平均変動時間を短めに変更している。 【0135】 図28(1)は、第1変動テーブル4が選択されている時の表示例である。 図では、第1変動テーブル3から継続して警戒色にて警告表示を行いつつ「変則打ちはおやめください」としている。 第1変動テーブル4が選択されるには第1特図で90変動以上抽選を行う必要があり、極めて異常な状態であることから、変則打ちと見做して警告することが考えられる。また、遊技方法が分らず行っているとは考え難いことから、遊技説明などを行う必要もないため、平均変動時間を短めに設定している。 このように、混合機において、時短状態時に小当りを備えない第1特図で抽選を続けることを抑止するために第1変動テーブル3、4を設ける事が考えられる。 なお、本実施例では時短状態時の第1特図の変動テーブルを3つとしたが、最低第1変動テーブル2と3があれば上記目的を達することができる。また、逆に3つ以上設けて段階的に警告をおこなっていったり、警告を行なう変動期間を複数(第1回を5〜10変動の間だけ長時間の変動テーブルを設定し、第2回を25〜30の間に設定する)設けたりすることも考えられる。 【0136】 続いて第2特図は、通常状態は第2変動テーブル1を、時短状態は第2変動テーブル2が設定される。いずれの変動テーブルでも平均変動時間は1.5秒に設定される。 なお、本実施例では時短状態は第2特図が1変動すると終了する構成であるため、第2変動テーブル2は1変動のみ設定される。 第2特図は198/199で小当りとなるため、擬似図柄を用いて変動演出を行う必要性がなく、むしろ役物大当りという遊技球が特定領域94に入賞することができるか否か、遊技球の挙動に注目させるためにも演出図柄表示装置6上では演出を控えることが考えられる。」 サ「【0152】 また、時短状態の終了条件として、第1特図の上限回数と第1、第2特図の総上限回数を同じ数値としたが、異なる回数を設定してもよい。 また、第1特図の時短状態の変動テーブルを切替える構成だけでなく、時短状態の終了条件3の総変動数の変動数にて第1特図の変動テーブルを切替えていく構成も考えられる。効果としては本実施例と同様の効果を奏する。また、第1特図の変動テーブルだけでなく、第2特図の変動テーブルを切替えてもよい(時短回数が複数回ある構成の場合)。例えば総変動数50回で第2特図20回の終了条件が設定されている場合に、第1特図で41回変動した後に第2特図が1変動目を変動する際には、既に第2特図の上限である20回を変動させることができないとして、警告報知が行なえる変動テーブルに切り替えたりすることができるようになる。 また、混合機だけでなく、第1特図と第2特図を備え、通常遊技時は第1特図での抽選をメインに遊技を行い、開放延長機能作動時(確変状態、時短状態)は右打ちして第2特図での抽選をメインに遊技を行う構成で、開放延長機能作動時に第1特図の変動テーブルを本発明のように変動テーブルを設けることも考えられる。特に確変状態や時短状態が回数で制限されている場合に、同様に推奨する遊技方法ではないことから第1特図の時間当たりの変動回数を抑制、または警告表示を行うようにして、推奨する遊技を促すことができるようになる。」 シ 認定事項1 上記コの【0128】には、「この第1変動テーブル1で変動時間が選択されることになる。そのため、他の変動テーブルよりも豊富な変動パターンを備える事が望ましい。平均では約10秒だが120秒のリーチなどが選択可能になっている。」と記載されていることから、第1変動テーブル1は、複数の変動パターンを備え、その複数の変動パターンの平均変動時間は10秒であるといえる(以下「認定事項1」という。)。 ス 認定事項2 上記コの【0130】には、「第1変動テーブル2は、時短状態が開始されてから第1特図が4変動するまで選択される変動テーブルで、平均変動時間は0.6秒となる。」と記載されており、同様に平均変動時間を有していることから、少なくとも変動パターンは2つ以上あるといえる。 よって、第1変動テーブル2は、複数の変動パターンを備え、その複数の変動パターンの平均変動時間は0.6秒であるといえる(以下「認定事項2」という。)。 セ 認定事項3 上記コの【0132】には、「第1変動テーブル3は、時短状態が開始されてから第1特図が5〜90変動する間に選択される変動テーブルで、平均変動時間は30秒である。」と記載されており、平均変動時間を有していることから、上記スでの検討と同様に、少なくとも変動パターンは2つ以上あるといえる。 よって、第1変動テーブル3は、複数の変動パターンを備え、その複数の変動パターンの平均変動時間は30秒であるといえる(以下「認定事項3」という。)。 ソ 認定事項4 上記コの【0134】には、「第1変動テーブル4は、時短状態が開始されてから第1特図が91〜99変動する間に選択される変動テーブルで、平均変動時間は15秒である。」と記載されており、平均変動時間を有していることから、上記スでの検討と同様に、少なくとも変動パターンは2つ以上あるといえる。 よって、第1変動テーブル4は、複数の変動パターンを備え、その複数の変動パターンの平均変動時間は15秒であるといえる(以下「認定事項4」」という。)。 タ 認定事項5 上記コの【0136】には、「続いて第2特図は、通常状態は第2変動テーブル1を、時短状態は第2変動テーブル2が設定される。いずれの変動テーブルでも平均変動時間は1.5秒に設定される。」と記載されており、平均変動時間を有していることから、上記スでの検討と同様に、少なくとも変動パターンは2つ以上あるといえる。 よって、第2変動テーブル1は、複数の変動パターンを備え、その複数の変動パターンの平均変動時間は1.5秒であるといえる(以下「認定事項5」という。)。 (2)先願発明 上記(1)ア〜サの記載事項及びシ〜タの認定事項を総合すると、先願1には、次の発明(以下「先願発明」という。)が記載されていると認められる(記号a等は、本願発明の記号A等に対応させて合議体が付した。)。 「a ガイドレール2a、2bによって囲まれた略円形の遊技領域として、ほぼ中央部に配置されたセンターケース5を境に第1遊技領域3aと、第2遊技領域3bとが設けられた遊技盤1と(【0008】、【0027】)、 b、k、m センターケース5の下には、第1始動口11が配置され、センターケース5の右の第2遊技領域3bには、センターケース5右側面と一体化し片羽根が開閉動作を行う第1大入賞口14が設置され、第1大入賞口14の下には、普通電動役物16が配置され、この普通電動役物16が作動すると第2始動口12への遊技球の入球が可能となり(【0028】、【0029】)、普通電動役物16からなる第2始動口12は、第2遊技領域3bに配置されているため、遊技状態が開放延長遊技状態に移行した場合は、発射した遊技球の全てが第2遊技領域3bに到達するように発射ハンドルを調整することになり(【0038】)、 c、e、l 第1始動口スイッチ11aが遊技球を検出したか否か判定し、肯定判定であれば、主制御装置80に既に格納されている第1保留記憶数が上限数未満であるか否か判定し、当否乱数等の各種乱数値(大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数1,2、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等)を抽出し、第1保留記憶として主制御装置80の保留記憶数に応じた記憶領域に格納し(【0073】)、記憶した第1保留記憶の先読判定を行い、大当り決定用乱数の値が大当りを生起させる値か否かを確認し、大当り値なら大当り図柄の種類を確認し、大当り判定がハズレなら、ハズレ図柄の種類を確認し(【0074】)、主制御装置80が実行する特図当否判定処理では(【0092】)、結果が大当りであるか否か判定し、肯定判定なら、大当り図柄決定用乱数1に基づいて、大当り遊技の内容と大当り遊技終了後の遊技状態(通常状態、時短,開放延長状態)を決定する図柄モードを設定し(【0099】)、設定した図柄モードの種類と大当り図柄決定用乱数2に基づいて、図柄モードの設定によって決定した大当り遊技の種類を大当り図柄によって報知するために、確定表示する大当り図柄を決定し(【0100】)、当否判定の対象とした第1保留記憶のリーチ決定用乱数および変動パターン決定用乱数に基づいて、第1特別図柄表示装置9及び演出図柄表示装置6に表示する図柄の変動時間となる変動パターンを選択する変動パターン選択処理を行い(【0102】)、第1始動口11に遊技球が入球(第1始動口スイッチ11aが遊技球を検出)すると、第1特別図柄表示装置9において第1特別図柄(以下「第1特図」という。)が変動を開始し、所定時間後に停止し(【0033】)、 d、f、l 第2始動口スイッチ12aが遊技球を検出したか否か判定し、肯定判定なら、主制御装置80に格納されている第2保留記憶の数が上限数未満か否か判定し、肯定判定であれば、当否乱数等の各種乱数値(大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数1,2、小当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等)を抽出し、第2保留記憶として主制御装置80の保留記憶数に応じた記憶領域に格納し、第2保留記憶の数を示す第2保留記憶カウンタに1を加算し、記憶した第2保留記憶の先読判定を行い、大当り決定用乱数の値が大当りを生起させる値か否かを確認し、大当り値なら大当り図柄の種類を確認し、大当り判定がハズレなら、ハズレ図柄の種類を確認し(【0074】、【0076】)、主制御装置80が実行する特図当否判定処理では(【0092】)、結果が大当りであるか否か判定し、肯定判定なら、大当り図柄決定用乱数1に基づいて、大当り遊技の内容と大当り遊技終了後の遊技状態(通常状態、時短,開放延長状態)を決定する図柄モードを設定し(【0099】)、設定した図柄モードの種類と大当り図柄決定用乱数2に基づいて、図柄モードの設定によって決定した大当り遊技の種類を大当り図柄によって報知するために、確定表示する大当り図柄を決定し(【0100】)、当否判定の対象とした第2保留記憶のリーチ決定用乱数および変動パターン決定用乱数に基づいて、第2特別図柄表示装置10及び演出図柄表示装置6に表示する図柄の変動時間となる変動パターンを選択する変動パターン選択処理を行い(【0102】)、第2遊技領域3bを流下した遊技球が普通図柄作動ゲート17に入球(普通図柄作動スイッチ17aが遊技球を検出)すると、普通図柄表示装置7で普図が変動表示を開始し、所定時間後に停止した普図の態様に応じて、普通電役ソレノイド12bを駆動させ、ほぼ同期して普通電動役物16の扉部が開放して、第2始動口12への入球(第2始動口スイッチ12aの検出)が可能となるように構成され、第2特別図柄表示装置10において第2特別図柄(以下「第2特図」という。)が変動表示を開始し、所定時間後に停止し(【0034】)、 g、h、i、j、l、m 主制御装置80は、第1特別図柄表示装置9、第2特別図柄表示装置10の表示を制御し(【0042】)、第1大入賞口ソレノイド14bを制御することで第1大入賞口14の開閉を制御し、普通電動役物ソレノイド12bを制御することで普通電動役物16の開閉を制御し(【0043】)、 m 普通電動役物16の作動契機と作動時間を変化させる開放延長機能を設けており(【0052】)、開放延長機能未作動時では、0.2秒1回の開放動作を行い、開放延長機能作動時では、普通電動役物16は6.0秒の開放動作を1回行うよう設定され(【0053】)、 g、q、r、s、t、u、v 第1特図は、通常遊技状態の時は第1変動テーブル1が設定され(【0128】)、第1変動テーブル1は、複数の変動パターンを備え、その複数の変動パターンの平均変動時間は10秒であり(認定事項1)、第1変動テーブル2は、時短状態が開始されてから第1特図が4変動するまで選択される変動テーブルで、複数の変動パターンを備え、その複数の変動パターンの平均変動時間は0.6秒となり(【0130】、認定事項2)、第1変動テーブル3は、時短状態が開始されてから第1特図が5〜90変動する間に選択される変動テーブルで、複数の変動パターンを備え、その複数の変動パターンの平均変動時間は30秒であり(【0132】、認定事項3)、第1変動テーブル4は、時短状態が開始されてから第1特図が91〜99変動する間に選択される変動テーブルで、複数の変動パターンを備え、その複数の変動パターンの平均変動時間は15秒であり(【0134】、認定事項4)、 h 第2特図は、通常状態は第2変動テーブル1を、時短状態は第2変動テーブル2が設定され、複数の変動パターンを備え、その複数の変動パターンの平均変動時間は1.5秒に設定され(【0136】、認定事項5)、 k、p、l 第1特図が4ラウンド時短有図柄1,2で大当りすると、第1大入賞口14が4ラウンドの開放を行い、賞球の獲得に有利な大当り遊技を実施し、大当り遊技終了後は時短状態(開放延長状態)となり(【0008】、【0058】)、第2特図が15ラウンド時短有図柄1,2で大当りすると、第1大入賞口14が15ラウンドの開放を行い、賞球の獲得に有利な大当り遊技を実施し、大当り遊技終了後は時短状態(開放延長状態)となり(【0008】、【0059】)、 l 第1特別図柄及び第2特別図柄の確定表示した態様に応じて、第1大入賞口ソレノイド14bが駆動し(【0037】)、 n 遊技盤中央に配置された演出図柄表示装置6において各々の特別図柄の変動に連動した演出態様を表示し(【0032】、【0035】)、 o 演出図柄制御装置82は、演出図柄表示装置6を制御して擬似図柄等の演出画像を表示し(【0051】)、 p、q 4ラウンド時短有の図柄で大当りした場合は、三つの回数条件のいずれかが満たされるまで時短(開放延長)状態が保持される設定が行われ、具体的な条件は、(1)第1特図が最大99回変動するまで、(2)第2特図が1回変動するまで、(3)第1特図と第2特図がトータルで最大99回変動するまでとなり(【0063】)、時短状態の終了条件として、第1特図の上限回数と第1、第2特図の総上限回数を同じ数値としたが、異なる回数を設定してもよく、時短回数が複数回ある構成の場合、第1特図の変動テーブルだけでなく、第2特図の変動テーブルを切替えてもよく、例えば総変動数50回で第2特図20回の終了条件が設定されている場合に、第1特図で41回変動した後に第2特図が1変動目を変動する際には、既に第2特図の上限である20回を変動させることができないとして、警告報知が行なえる変動テーブルに切り替えたりすることができるようになり(【0152】)、 w 第1変動テーブル3が選択されている時の表示として、画面の上下に、黄色と黒色の警戒色で警告表示を行い、「右打ちしてください!」と推奨する打ち出し位置を表示し、第2遊技領域3bへの打ち出しを促す(【0133】) x ぱちんこ機(【0040】)。」 2 対比 本願発明と先願発明を対比する。 (1)構成Aについて 先願発明の構成aの「遊技領域」、「遊技盤1」は、それぞれ本願発明の「遊技領域」、「遊技盤」に相当する。 よって、先願発明は本願発明の構成Aに相当する構成を有する。 (2)構成Bについて 先願発明の構成b、k、mの「センターケース5の下」及び「第1大入賞口14の下」、「第1始動口11」、「第2始動口12」は、それぞれ本願発明の「前記遊技領域の所定位置」、「第1始動口」、「第2始動口」に相当する。 よって、先願発明は本願発明の構成Bに相当する構成を有する。 (3)構成Cについて 先願発明の構成c、e、lの「第1始動口スイッチ11aが遊技球を検出したか否か判定し、肯定判定であれば、」「抽出」する「当否乱数等の各種乱数値(大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数1,2、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等)」、「先読判定」、「主制御装置80」は、それぞれ本願発明の「前記第1始動口への入球を契機として取得した第1抽選値」、「第1の当否判定」、「第1当否判定手段」に相当する。 よって、先願発明は本願発明の構成Cに相当する構成を有する。 (4)構成Dについて 先願発明の構成d、f、lの「第2始動口スイッチ12aが遊技球を検出したか否か判定し、」「肯定判定であれば、」「抽出」する「当否乱数等の各種乱数値(大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数1,2、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等)」、「先読判定」、「主制御装置80」は、それぞれ本願発明の「前記第2始動口への入球を契機として取得した第2抽選値」、「第2の当否判定」、「第2当否判定手段」に相当する。 よって、先願発明は本願発明の構成Dに相当する構成を有する。 (5)構成Eについて 先願発明の構成c、e、lの「第1始動口11に遊技球が入球」「すると、第1特別図柄表示装置9において」「変動を開始し、所定時間後に停止し」、「確定表示した態様に応じて、第1大入賞口ソレノイド14b」が「駆動」される「第1特別図柄」、「第1特別図柄表示装置9」は、それぞれ本願発明の構成Eの「前記第1の当否判定の結果を示すための第1図柄」、「第1図柄表示装置」に相当する。 よって、先願発明は本願発明の構成Eに相当する構成を有する。 (6)構成Fについて 先願発明の構成d、f、lの「第2始動口12に遊技球が入球」「すると、第2特別図柄表示装置10において」「変動を開始し、所定時間後に停止し」、「確定表示した態様に応じて、第1大入賞口ソレノイド14b」が「駆動」される「第2特別図柄」、「第2特別図柄表示装置10」は、それぞれ本願発明の構成Eの「前記第2の当否判定の結果を示すための第2図柄」、「第2図柄表示装置」に相当する。 よって、先願発明は本願発明の構成Fに相当する構成を有する。 (7)構成Gについて 先願発明の構成g、q、r、s、t、u、vの「第1特図」で「設定され」る「第1変動テーブル1」、「第1変動テーブル2」、「第1変動テーブル3」及び「第1変動テーブル4」は、「複数の変動パターンを備え」ており、各変動パターンは、第1特図の変動表示過程を定めるものといえるから、先願発明の「第1変動テーブル1」、「第1変動テーブル2」、「第1変動テーブル3」及び「第1変動テーブル4」は、本願発明の構成Gの「前記第1図柄の変動表示過程を定める変動パターンを決定するための変動パターン選択基準」に相当する。 また、先願発明の構成c、e 、lの「主制御装置80が実行する特図当否判定処理で」「第1特別図柄表示装置9」「に表示する図柄の変動時間となる変動パターンを選択する変動パターン選択処理を行」っていることから、先願発明の「主制御装置80」は、「第1変動パターン決定手段」に相当する。 よって、先願発明は本願発明の構成Gに相当する構成を有する。 る。 (8)構成Hについて 先願発明の構成g、h、i、j、l、mの「第2特図」で「設定され」る「第2変動テーブル1」及び「第2変動テーブル2」は、「複数の変動パターンを備え」ており、各変動パターンは、第2特図の変動表示過程を定めるものといえるから、先願発明の「第2変動テーブル1」及び「第2変動テーブル2」は、本願発明の構成Hの「前記第2図柄の変動表示過程を定める変動パターンを決定するための変動パターン選択基準」に相当する。 また、先願発明の構成d、f、lの「主制御装置80が実行する特図当否判定処理で」「第2特別図柄表示装置9」「に表示する図柄の変動時間となる変動パターンを選択する変動パターン選択処理を行」っていることから、先願発明の「主制御装置80」は、「第2変動パターン決定手段」に相当する。 よって、先願発明は本願発明の構成Hに相当する構成を有する。 (9)構成Iについて 先願発明の構成g、h、i、j、l、mの「主制御装置80」は、第1特別図柄表示装置9において第1特別図柄の変動を開始させ、所定時間後に停止させるものであるから(構成c、e、l)、本願発明の構成Iの「第1図柄表示制御手段」に相当する。 よって、先願発明は本願発明の構成Iに相当する構成を有する。 (10)構成Jについて 先願発明の構成g、h、i、j、l、mの「主制御装置80」は、第2特別図柄表示装置10において第2特別図柄の変動を開始させ、所定時間後に停止させるものであるから(構成d、f、l)、本願発明の構成Jの「第2図柄表示制御手段」に相当する。 よって、先願発明は本願発明の構成Jに相当する構成を有する。 (11)構成Kについて 先願発明の構成b、k、mの「センターケース5右側面」、構成k、p、lの「第1特図が4ラウンド時短有図柄1,2で大当りすると、」「4ラウンドの開放を行」うこと、「開放」すると「賞球の獲得に有利」となる「第1大入賞口14」は、それぞれ本願発明の構成Kの「前記遊技領域の所定位置」、「前記第1の当否判定または前記第2の当否判定の結果に応じて開放され」ること、「遊技球の入球が遊技者への利益付与の契機となる大入賞口」に相当する。 よって、先願発明は本願発明の構成Kに相当する構成を有する。 (12)構成Lについて 先願発明の構成c、e、l又は構成d、f、lの「確定表示する大当り図柄」、構成c、e、l又は構成d、f、lの「所定時間後に停止し」た場合、構成g、h、i、j、l、mの「第1大入賞口ソレノイド14bを制御することで第1大入賞口14の開閉を制御」し構成k、p、lの「大当り遊技を実施」することは、それぞれ本願発明の構成Lの「前記第1の当否判定の結果が当りであることを示す第1停止図柄または前記第2の当否判定の結果が当りであることを示す第2停止図柄」、「停止表示された場合」、「前記大入賞口の開放を伴う特別遊技を実行する」ことに相当する。 よって、先願発明は本願発明の構成Lに相当する構成を有する。 (13)構成Mについて 先願発明の構成b、k、mでは「普通電動役物16が作動すると第2始動口12への遊技球の入球が可能となり」、構成mでは「開放延長機能未作動時では、0.2秒1回の開放動作を行い、開放延長機能作動時では、普通電動役物16は6.0秒の開放動作を1回行うよう設定され」ていることから、「開放延長機能作動時」の方が、「開放延長機能未作動時」よりも「第2始動口12への遊技球の入球」の容易性が高いといえる。 したがって、先願発明の構成b、k、mの「開放延長遊技状態」である「遊技状態」、構成b、k、mの「移行」、構成g、h、i、j、l、mの「主制御装置80」は、それぞれ本願発明の構成Mの「前記第2始動口への入球容易性が通常状態より高い状態である入球容易状態」、「移行」、「特定遊技制御手段」に相当する。 よって、先願発明は本願発明の構成Mに相当する構成を有する。 (14)構成Nについて 先願発明の構成nの「演出態様」、「演出図柄表示装置6」は、それぞれ本願発明の構成Nの「演出的な内容」、「演出表示装置」に相当する。 よって、先願発明は本願発明の構成Nに相当する構成を有する。 (15)構成Oについて 先願発明の構成oの「演出図柄制御装置82」は、演出図柄表示装置6を制御して擬似図柄等の演出画像を表示するものであり、その前提として表示する演出画像を決定する必要があるから、先願発明は、本願発明の構成Oの「演出決定手段」に相当する構成を備える。 よって、先願発明は本願発明の構成Oに相当する構成を有する。 (16)構成Pについて 先願発明の構成p、qの「4ラウンド時短有の図柄で大当りした場合」、「時短(開放延長)状態が保持される」こと、「第2特図が1回変動する」場合、「第1特図と第2特図がトータルで最大99回変動する」場合、「時短状態」が「終了」することは、それぞれ本願発明の構成Pの「当りが発生して所定の移行条件が満たされた場合」、「前記特別遊技の終了後に前記入球容易状態へ移行させ」ること、「前記入球容易状態において実行された前記第2図柄の変動表示の回数が第1の回数に到達した場合」、「前記入球容易状態において実行された前記第1図柄の変動表示の回数および前記第2図柄の変動表示の合計回数が前記第1の回数よりも多い第2の回数に到達した場合」、「前記入球容易状態を終了させ」ることに相当する。 よって、先願発明は本願発明の構成Pに相当する構成を有する。 (17)構成Qについて 先願発明の構成k、p、lによれば、「第1特図が4ラウンド時短有図柄1,2で大当りすると、」「大当り遊技終了後は時短状態(開放延長状態)となり」、構成p、qでは「4ラウンド時短有の図柄で大当りした場合は、」「(1)第1特図が最大99回変動するまで、(2)第2特図が1回変動するまで、(3)第1特図と第2特図がトータルで最大99回変動するまで」「時短(開放延長)状態が保持される設定が行われ」、「第1特図の上限回数と第1、第2特図の総上限回数を」「異なる回数を設定してもよく、時短回数が複数回ある構成の場合、第1特図の変動テーブルだけでなく、第2特図の変動テーブルを切替えてもよく、例えば総変動数50回で第2特図20回の終了条件が設定されている場合に、第1特図で41回変動した後に第2特図が1変動目を変動する際には、既に第2特図の上限である20回を変動させることができないとして、警告報知が行なえる変動テーブルに切り替えたりすることができるようにな」る。 ここで、「第1特図の上限回数と第1、第2特図の総上限回数を」「異なる回数を設定し」「例えば総変動数50回で第2特図20回の終了条件が設定されている場合に、第1特図で41回変動した後に第2特図が1変動目を変動する際」における先願発明の「大当り遊技終了後」(構成k、p、l)の「総変動数50回」(構成p、q)、複数ある「第1変動テーブル」を第1特図の数に応じて選択すること(構成g、q、r、s、t、u、v)又は複数ある「第2変動テーブル」を第2特図の数に応じて選択すること(構成g、q、r、s、t、u、v)は、それぞれ本願発明の構成Qの「前記特別遊技の終了後の予め定められた所定の限定的な期間」、「前記限定的な期間に参照可能な複数の限定選択基準のうちのいずれかが参照され」ることに相当する。 よって、先願発明は本願発明の構成Qに相当する構成を有する。 (18)構成Rについて 先願発明の構成g、q、r、s、t、u、v及び構成p、qでは、複数ある「第1変動テーブル」は、「第1特図」が変動する回数に応じて選択され、複数ある「第2変動テーブル」は、「第2特図」が変動する回数に応じて選択されているといえ、変動する回数に応じて複数ある「第1変動テーブル」及び「第2変動テーブル」のうちいずれを選択するかという条件が、本願発明の構成Rの「限定選択基準参照規則」に相当する。 よって、先願発明は本願発明の構成Rに相当する構成を有する。 (19)構成Sについて 上記(18)で説示したとおり、先願発明の構成g、q、r、s、t、u、v及び構成p、qでは、複数ある「第1変動テーブル」は、「第1特図」が変動する回数に応じて選択され、複数ある「第2変動テーブル」は、「第2特図」が変動する回数に応じて選択されていることから、変動する回数に応じて複数ある「第1変動テーブル」及び「第2変動テーブル」のうちいずれを選択するかという条件(限定選択基準参照規則)は、「第1特図」と「第2特図」とで別個に設けられていることは明らかである。 よって、先願発明は本願発明の構成Sに相当する構成を有する。 (20)構成Tについて 先願発明の構成p、qでは「例えば総変動数50回で第2特図20回の終了条件が設定されている場合に、第1特図で41回変動した後に第2特図が1変動目を変動する際には、既に第2特図の上限である20回を変動させることができないとして、警告報知が行なえる変動テーブルに切り替えたりすることができるようにな」ることから、「第1特図」と「第2特図」の変動数が、別個にカウントされていることは明らかであるといえる。 よって、先願発明は本願発明の構成Tに相当する構成を有する。 (21)構成Uについて 先願発明の構成g、q、r、s、t、u、vでは「第1特図は、通常遊技状態の時は第1変動テーブル1が設定され、第1変動テーブル2は、時短状態が開始されてから第1特図が4変動するまで選択される変動テーブルで、複数の変動パターンを備え、その複数の変動パターンの平均変動時間は0.6秒となり、第1変動テーブル3は、時短状態が開始されてから第1特図が5〜90変動する間に選択される変動テーブルで、複数の変動パターンを備え、その複数の変動パターンの平均変動時間は30秒であり、第1変動テーブル4は、時短状態が開始されてから第1特図が91〜99変動する間に選択される変動テーブルで、複数の変動パターンを備え、その複数の変動パターンの平均変動時間は15秒であり」、構成p、qでは「時短回数が複数回ある構成の場合、第1特図の変動テーブルだけでなく、第2特図の変動テーブルを切替えてもよ」いことから、「例えば総変動数50回」とした場合にも、第1特図と第2特図がトータルで最大99回の場合と同様に、「第1特図」の変動数に応じて(本願発明の「第1図柄の変動表示の回数に応じて」に相当)複数ある「第1変動テーブル」(本願発明の「限定選択基準」に相当)を切替えて、上記(7)の説示のとおり、切り替えた「第1変動テーブル」により「第1特図」の「変動パターン」を決定している。 よって、先願発明は本願発明の構成Uに相当する構成を有する。 (22)構成Vについて 上記(21)で説示したとおり、構成p、qでは「時短回数が複数回ある構成の場合、第1特図の変動テーブルだけでなく、第2特図の変動テーブルを切替えてもよ」いことから、「例えば総変動数50回」とした場合に、「第2特図」の変動数に応じて(本願発明の「第2図柄の変動表示の回数に応じて」に相当)複数ある「第2変動テーブル」(本願発明の「限定選択基準」に相当)を切替えて、上記(21)の「第1特図」の場合と同様に、切り替えた「第2変動テーブル」により「第2特図」の「変動パターン」を決定している。 ここで、先願発明の「第2特図」の変動数と「第2変動テーブル」の切り替えについて検討すると、先願発明の構成p、qでは「例えば総変動数50回で第2特図20回の終了条件が設定されている場合に、第1特図で41回変動した後に第2特図が1変動目を変動する際には、既に第2特図の上限である20回を変動させることができないとして、警告報知が行なえる変動テーブルに切り替えたりすることができるようにな」ることから、先願発明は、「時短状態の終了条件として」の「総変動数」と、すでに変動した「第1特図」の変動数との関係から、「第2特図」が「1変動目を変動する際に」「既に第2特図の上限の回数を変動させることができない(最大でも9回)」場合は、「第2変動テーブル」を切り替えているといえる。 さらに、具体的に検討すると、例えば、総変動数50回、第2特図20回の終了条件が設定されている場合に、第1特図で30変動し、その後、第2特図が10変動し、第1特図が1変動した後に、第2特図が変動(第2特図としては11変動目)した場合は、既に第2特図の上限の回数は変動させることができないため、第2変動テーブルを切り替えるといえる。 そうすると、先願発明は、「時短状態の終了条件として」の「総変動数」と、すでに変動した「第1特図」の変動数も関係しているものの、「第2特図」の変動数に応じて「第2変動テーブル」を切り替えているといえる。 よって、先願発明は本願発明の構成Vに相当する構成を有する。 (23)構成Wについて 先願発明の構成g、q、r、s、t、u、vでは「第1変動テーブル3は、時短状態が開始されてから第1特図が5〜90変動する間に選択される変動テーブルで」あって、構成p、qでは「4ラウンド時短有の図柄で大当りした場合は、三つの回数条件のいずれかが満たされるまで時短(開放延長)状態が保持される設定が行われ」ることから、構成wで「第1変動テーブル3が選択されている時」は、「開放延長」「状態」であり、先願発明の「開放延長」「状態」は、上記(13)で説示したとおり、「入球容易状態」であるといえる。 そうすると、先願発明の構成wの「第1変動テーブル3が選択されている時」、「第1特図」の変動数が「第1変動テーブル3」を「選択される」間の「第1特図」の「変動」中、「画面の上下に、黄色と黒色の警戒色で警告表示を行い、「右打ちしてください!」と推奨する打ち出し位置を表示し、第2遊技領域3bへの打ち出しを促す」ことは、それぞれ本願発明の構成Wの「前記入球容易状態である状況下」、「前記第1図柄の変動表示の回数が所定回数となる前記第1図柄の変動表示中」、「前記第2始動口に向けて遊技球を発射する旨の注意喚起演出」に相当する。 よって、先願発明は本願発明の構成Wに相当する構成を有する。 (24)構成Xについて 先願発明の構成xの「ぱちんこ機」は、本願発明の構成Xの「弾球遊技機」に相当する。 よって、先願発明は本願発明の構成Xに相当する構成を有する。 以上により、本願発明は先願発明と一致し相違する点はない。 3 審判請求人の主張について 審判請求人は審判請求書において、次の主張をしている。 「出願人は、引用文献1の段落[0152](下線部)の記載は、時短終了条件3(第1特図と第2特図の合計変動回数によって達し得る条件)の変動回数、すなわち「第1特図と第2特図の合計変動回数」によって、第1特図の変動テーブルを切り替える基本事項に加えて、第2特図についても「第1特図と第2特図の合計変動回数」に基づいて第2特図の変動テーブルを切り替えてよいという記載であり、第1特図と第2特図とを別個にカウントし、第2特図の変動回数によって第2特図の変動テーブルを切り替える仕様は記載されていないと解釈しています。 審査官殿は、第1特図で41回変動した後に第2特図が1変動目を変動する際に、第2特図の変動テーブルを切り替える仕様が、第2特図の変動回数によって第2特図の変動テーブルを切り替える仕様を記載していると主張しております。しかし、引用文献1の段落[0152]は、第1特図が41回変動した状況下で第2特図が1回変動するとき、すなわち第1特図と第2特図の変動回数が合計で42回目となるときに第2特図の変動テーブルを切り替える仕様を記載するものです。このような技術によれば、第1特図の変動回数が0回や10回等であるときであって第2特図が1回目の変動開始するときには、警告報知を行う変動テーブルに切り替えると、本来実行すべきでない警告報知を実行してしまうという不都合が生じることになります。そのため、出願人といたしましては引用文献1の段落[0152]には第2特図のみの変動回数に応じて第2特図の変動テーブルを切り替える仕様を開示しているとは言えないものであると思料しています。 審査官殿の拒絶査定における主張内容は、引用文献1の段落[0152]が第1特図と第2特図の合計変動回数によって、第1特図または第2特図の変動テーブルを切り替えるという記載内容であるにもかかわらず、「第1特図で41回変動した後に第2特図が1変動目を変動する際には、」の「第1特図で41回変動した後に」を無視して「第2特図が1変動目を変動する際には、」のみを抜き出して第2特図の変動回数によって第2特図の変動テーブルを切り替えると恣意的に解釈したものであると言わざるを得ません。 以上に述べました通り、拒絶査定にて主張されている、引用文献1の段落[0152]には、第2特図の変動回数によって第2特図の変動テーブルを切り替える仕様が開示されているとの審査官の認定は失当であると考えており、引用文献1に開示される第1特図と第2特図の合計変動回数によって第2特図の変動テーブルを切り替える仕様は、本願の特許請求の範囲に記載される発明(「特別遊技の終了後の限定的な期間において、第1図柄の変動回数に応じて第1図柄の変動表示態様を決定する第1変動パターン決定手段が参照する限定選択基準を変更し、第1図柄とは別個にカウントされる第2図柄の変動回数に応じて第2図柄の変動表示態様を決定する第2変動パターン決定手段が参照する限定選択基準を変更する弾球遊技機」)とは異なる技術を開示しているものであり、特許法第29条の2に規定される拡大先願には当たらないと思料致します。」 しかしながら、上記2(22)で説示したとおり、先願発明は、「時短状態の終了条件として」の「総変動数」と、すでに変動した「第1特図」の変動数との関係から、「第2特図」が「1変動目を変動する際に」「既に第2特図の上限」の回数を変動させることができない場合は、「第2変動テーブル」を切り替えているといえる。 審判請求人は、「引用文献1の段落[0152]には第2特図のみの変動回数に応じて第2特図の変動テーブルを切り替える仕様を開示しているとは言えない」旨主張しているが、本願発明では、第2特図のみの変動回数に応じて第2特図の変動テーブルを切り替えることについては特定されておらず、本願発明の発明特定事項に基づかない主張であるため採用できない。 4 小括 したがって、本願発明は、先願発明と同一の発明であり、しかも、本願発明の発明者が先願発明の発明者と同一ではなく、また、本願の出願の時において、その出願人が先願発明の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 |
審理終結日 | 2023-03-15 |
結審通知日 | 2023-03-16 |
審決日 | 2023-03-28 |
出願番号 | P2021-026262 |
審決分類 |
P
1
8・
161-
Z
(A63F)
|
最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
長井 真一 |
特許庁審判官 |
澤田 真治 蔵野 いづみ |
発明の名称 | 弾球遊技機 |