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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1398100
総通号数 18 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-06-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-09-07 
確定日 2023-05-09 
事件の表示 特願2019−532458「缶体の印刷システム、管理装置およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 1月31日国際公開、WO2019/021739、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)6月28日(優先権主張 平成29年7月26日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年12月17日付け:拒絶理由通知書
令和3年 2月19日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 6月16日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
令和3年 8月26日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年12月28日付け:令和3年8月26日の手続補正についての
補正の却下の決定、拒絶査定
令和4年 9月 7日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和3年12月28日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1、3−11に係る発明は、以下の引用文献1−2に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。また、本願請求項2に係る発明は、以下の引用文献1−3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2002−182883号公報
2.特開2016−32879号公報
3.特開2014−50786号公報(周知技術を示す文献)

第3 本願発明
本願請求項1−11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明11」という。)は、令和4年9月7日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1−11に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1、10は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
異なる場所に設置され、インクジェット印刷により缶体に印刷を行う複数の印刷装置と、
前記複数の印刷装置を管理する管理装置と、
ユーザが操作するクライアント装置に接続され、印刷が行われた缶体の試作に用いられる試作用プリンタであって、試作用印刷画像データを基に缶体への印刷を行う試作用プリンタと、
を備え、
前記管理装置は、取得したデザイン画像に対して缶体に印刷するための画像処理を施し、前記複数の印刷装置にて用いられる印刷画像データである印刷装置用印刷画像データを作成し、
前記試作用プリンタにて用いられる前記試作用印刷画像データは、デザイン画像と当該デザイン画像を基に前記クライアント装置にて作成された見本画像に対する前記ユーザの色変更情報とを基に、前記印刷装置用印刷画像データを作成する前記管理装置によって作成される、
缶体の印刷システム。」

「【請求項10】
インクジェット印刷により缶体に印刷を行うとともに異なる場所に設置される複数の印刷装置を管理する管理装置であって、
取得したデザイン画像に対して缶体に印刷するための画像処理を施し、前記複数の印刷装置にて用いられる印刷画像データである印刷装置用印刷画像データを作成する作成部と、
前記作成部が作成した前記印刷装置用印刷画像データを、前記複数の印刷装置に向けて送信する送信部と、
印刷が行われた缶体の試作に用いられユーザが操作するクライアント装置に接続される試作用プリンタが用いる印刷画像データである試作用印刷画像データを作成する試作用印刷画像データ作成部であって、デザイン画像と当該デザイン画像を基に当該クライアント装置にて作成された見本画像に対するユーザの色変更情報とを基に、当該試作用印刷画像データを作成する試作用印刷画像データ作成部と、
前記試作用印刷画像データ作成部が作成した試作用印刷画像データを、前記試作用プリンタに向けて送信する送信部と、
を備えることを特徴とする管理装置。」

また、本願発明2−9は、本願発明1を減縮した発明である。
さらに、本願発明11は、本願発明10に対応する「プログラム」の発明であり、本願発明10とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。

第4 引用文献、引用発明
1 引用文献1、引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。

「【0029】図1は、本実施の形態の印刷物製作システム10の構成を示す図である。印刷物製作システム10は、発注者装置11、印刷会社装置13、新聞販売店装置15および通信ネットワーク17を有する。
【0030】発注者装置11は、チラシ発行元であるスーパーマーケットに設けられ、印刷会社との通信および印刷会社から送信されてきたカラーカンプや校正刷りの印刷などを行なうシステムである。
【0031】図2は、発注者装置11の構成の一例を示す図である。図2に示すように、発注者装置11は、通信ネットワーク17を介して通信を行なう通信部21、発注者装置11全体を制御する制御部22、操作者へ情報を出力し操作を受け付ける入出力部23、および、印刷機と同等のカラー印刷を行なう校正刷りプリンタ装置24を有する。通信部21、制御部22および入出力部23は、パーソナルコンピュータおよびモデムなどにより構成され、校正刷りプリンタ装置24はそのパーソナルコンピュータに周辺装置として接続された構成である。
【0032】図3は、校正刷りプリンタ装置24の構成の一例を示す図である。図3に示す校正刷りプリンタ装置24は、最終的なチラシの印刷状態に要求される印刷品質の基準とすることができる程度の印刷品質で、また低品質な用紙を含む印刷用紙そのもの(以後、これを本紙と言う。)に印刷を行なうことができるとともに、ディジタル化された印刷画像データから直接に印刷用紙に印刷可能な装置である。この校正刷りプリンタ装置24には、DDCP(ダイレクトディジタルカラープルーファー)と呼ばれる装置を用いることができる。」

「【0041】印刷会社装置13の構成は、機能的には、図2を参照して説明した発注者装置11の構成と同じ構成とすることができる。また、具備する校正刷り出力装置の構成も発注者装置11の校正刷りプリンタ装置24と同一構成とすることができる。ただし、印刷会社装置13においては、実際に印刷を行なう広範囲に所在する新聞販売店装置15に対して印刷データを送信して印刷の指示を行なう処理が加わり、また、複数の印刷物について多数の発注者と同時平行的に処理を進めることになる。そのため、能力および容量的には、高速で処理能力の高いシステムであることが望まれる。したがって、印刷会社装置13の通信部、制御部および入出力部などは、パーソナルコンピュータよりも処理能力の高いワークステーションやビジネス用のコンピュータあるいはサーバ装置などにより構成される。
【0042】新聞販売店装置15は、広域、あるいは、全国に所在する各新聞販売店に設置される。新聞販売店は、業として新聞および広告印刷物としてのチラシを消費者に配布する配布業者である。新聞販売店は、一般的には、印刷されたチラシを折り込みセンターから納入され、これを新聞に折り込んで各家庭に配達することを業とするが、本実施形態では、新聞販売店は、新聞販売店装置15を用いて印刷会社装置13からの指示に基づいてチラシの実際の印刷を行なう。
【0043】図4は、新聞販売店装置15の構成の一例を示す図である。図4に示すように、新聞販売店装置15の構成は、前述した発注者装置11および印刷会社装置13の構成刷りプリンタ装置24に代えてチラシ印刷用プリン他装置54を備えた構成である。すなわち、新聞販売店装置15は、ネットワーク17を介して通信を行なう通信部51、新聞販売店装置15全体を制御する制御部52、操作者へ情報を出力し操作を受け付ける入出力部53およびチラシ印刷用プリンタ装置54を有する。
【0044】チラシ印刷用プリンタ装置54は、上記した校正刷りプリンタ装置24と同等の印刷品質で本紙に印刷を行なうことができるとともに、ディジタル化された印刷画像データから直接に本紙に印刷可能な装置である。このチラシ印刷用プリンタ装置54は、ODP(オンデマンドプリンター)と呼ばれる装置である。新聞販売店装置15は、印刷会社装置13より印刷用のDTPデータが送信されたら、このDTPデータから直接にチラシの印刷を行なう。」

「【0047】次に、上記構成の印刷物製作システム10を用いたチラシの製作方法およびチラシの配布方法について説明する。まず、チラシ発行元であるスーパーマーケットなどの小売業者は、商品企画部門、商品調達部門および販売促進部門(広告宣伝部門)などが話合いを行い、販売計画や目玉商品などを社内で協議の上、チラシの内容を決定し、チラシの原稿を作成する。作成された原稿は、指示書として、発注者装置11より通信ネットワーク17を介して印刷会社の印刷会社装置13に送付される。これにより、印刷会社に対してチラシの製作が発注される。
【0048】印刷会社では、印刷会社装置13において指示書に基づいてカラーカンプを作成し、印刷会社装置13内の校正刷りプリンタ装置より印刷出力するとともに、通信ネットワーク17を介して発注者装置11に送信し、発注者に対して印刷原稿の提案を行なう。発注者は、送信されるカラーカンプを発注者装置11で受信し、発注者装置11内の校正刷りプリンタ装置24で印刷出力する。
【0049】そして、発注者と印刷会社は、ともに校正刷りプリンタ装置により出力されたカラーカンプを参照しながら、発注者装置11と印刷会社装置13により通信ネットワーク17を介して協議を行う。印刷会社は、協議のたびに協議結果に基づいて新たなカラーカンプを作成し、印刷会社装置13内の校正刷りプリンタ装置で印刷するとともに、通信ネットワーク17を介して発注者装置11に送信する。発注者は、前回同様に校正刷りプリンタ装置24でこれを印刷すると、ともに新たに印刷出力したカラーカンプを参照しながら、発注者と印刷会社は再び協議を行なう。そして、このような協議およびカラーカンプの再作成を繰り返し、最終的な印刷原稿を取りまとめる。
【0050】取りまとめが終了したら、印刷会社は、その印刷原稿に基づいて印刷画像データを作成し、印刷会社装置13内の校正刷りプリンタ装置により校正刷りを行なうとともに、印刷画像データを発注者装置11に送信する。発注者は、送信される校正刷り用の印刷画像データを発注者装置11で受信し、校正刷りプリンタ装置24で印刷出力する。そして、発注者と印刷会社は、ともに校正刷りプリンタ装置により出力された校正刷りを参照しながら、発注者装置11と印刷会社装置13により通信ネットワーク17を介して協議を行う。印刷会社は、協議のたびに協議結果に基づいて新たな校正刷りを作成し、印刷会社装置13内の校正刷りプリンタ装置で印刷するとともに、通信ネットワーク17を介して発注者装置11に送信する。発注者は、前回同様に校正刷りプリンタ装置24でこれを印刷し、この新たに印刷出力した校正刷りを参照しながら、発注者と印刷会社は再び協議を行なう。
【0051】このような協議および校正刷りの再作成を繰り返しながら、最終的に印刷物を取り決め、最終的な校正刷りをOKシート(校了紙)とする。
【0052】校了紙ができたら、印刷会社は、印刷会社装置13より通信ネットワーク17を介して、各地に所在する印刷会社から委託を受けた新聞販売店の新聞販売店装置15に、チラシを印刷するための印刷画像データとしてのDTPデータを送信する。
【0053】各新聞販売店の新聞販売店装置15では、DTPデータを受信し、チラシ印刷プリンタ装置54においてチラシの印刷を行なう。チラシ印刷プリンタ装置54は、印刷会社の校正刷りプリンタ装置24と同等の印刷品質を印刷できるので、校正刷りプリンタ装置24で印刷された校了紙と略同じ印刷品質のチラシが印刷される。」

「【0060】なお、本発明は本実施の形態に限られるものではなく、種々の改変が可能である。たとえば、発注者装置11、印刷会社装置13および新聞販売店装置15に具わる校正刷りプリンタ装置あるいはチラシ印刷装置としては、液体トナー電子写真方式のプリンタに限られるものではなく、いわゆる校正刷りとして使える品質を持った出力を出せるものであれば、インクジェット方式、感熱転写方式、昇華型転写方式、静電写真方式のいずれの方式のプリンタであってもよい。また、DDCP装置間およびDDCP装置とODP装置との間の出力結果を許容値内に収めるために、さらにカラーマネージメントシステムを設けたようなシステムとしてもよい。」

【図1】「



【図2】「



【図3】「



【図4】「



したがって、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、用語の混乱を避けるため、「本紙」及び「印刷用紙」は、「印刷用紙」に統一した。

「発注者装置11、印刷会社装置13、新聞販売店装置15および通信ネットワーク17を有し、
発注者装置11は、チラシ発行元であるスーパーマーケットに設けられ、印刷会社との通信および印刷会社から送信されてきたカラーカンプや校正刷りの印刷などを行なうシステムであり、
発注者装置11は、通信ネットワーク17を介して通信を行なう通信部21、発注者装置11全体を制御する制御部22、操作者へ情報を出力し操作を受け付ける入出力部23、および、印刷機と同等のカラー印刷を行なう校正刷りプリンタ装置24を有し、
通信部21、制御部22および入出力部23は、パーソナルコンピュータおよびモデムなどにより構成され、校正刷りプリンタ装置24はそのパーソナルコンピュータに周辺装置として接続された構成であり、
校正刷りプリンタ装置24は、最終的なチラシの印刷状態に要求される印刷品質の基準とすることができる程度の印刷品質で、また低品質な用紙を含む印刷用紙そのものに印刷を行なうことができるとともに、ディジタル化された印刷画像データから直接に印刷用紙に印刷可能な装置であり、
印刷会社装置13の構成は、機能的には、発注者装置11の構成と同じ構成とすることができ、
新聞販売店装置15は、広域、あるいは、全国に所在する各新聞販売店に設置され、
新聞販売店は、新聞販売店装置15を用いて印刷会社装置13からの指示に基づいてチラシの実際の印刷を行ない、
新聞販売店装置15は、ネットワーク17を介して通信を行なう通信部51、新聞販売店装置15全体を制御する制御部52、操作者へ情報を出力し操作を受け付ける入出力部53およびチラシ印刷用プリンタ装置54を有し、
チラシ印刷用プリンタ装置54は、校正刷りプリンタ装置24と同等の印刷品質で印刷用紙に印刷を行なうことができるとともに、ディジタル化された印刷画像データから直接に印刷用紙に印刷可能な装置であり、
チラシ発行元であるスーパーマーケットなどの小売業者は、チラシの内容を決定し、チラシの原稿を作成し、
作成された原稿は、指示書として、発注者装置11より通信ネットワーク17を介して印刷会社の印刷会社装置13に送付され、
印刷会社では、印刷会社装置13において指示書に基づいてカラーカンプを作成し、印刷会社装置13内の校正刷りプリンタ装置より印刷出力するとともに、通信ネットワーク17を介して発注者装置11に送信し、
発注者は、送信されるカラーカンプを発注者装置11で受信し、発注者装置11内の校正刷りプリンタ装置24で印刷出力し、
発注者と印刷会社は、ともに校正刷りプリンタ装置により出力されたカラーカンプを参照しながら、発注者装置11と印刷会社装置13により通信ネットワーク17を介して協議を行い、
印刷会社は、協議のたびに協議結果に基づいて新たなカラーカンプを作成し、印刷会社装置13内の校正刷りプリンタ装置で印刷するとともに、通信ネットワーク17を介して発注者装置11に送信し、
発注者は、前回同様に校正刷りプリンタ装置24でこれを印刷すると、ともに新たに印刷出力したカラーカンプを参照しながら、発注者と印刷会社は再び協議を行い、
このような協議およびカラーカンプの再作成を繰り返し、最終的な印刷原稿を取りまとめ、
取りまとめが終了したら、印刷会社は、その印刷原稿に基づいて印刷画像データを作成し、印刷会社装置13内の校正刷りプリンタ装置により校正刷りを行なうとともに、印刷画像データを発注者装置11に送信し、
発注者は、送信される校正刷り用の印刷画像データを発注者装置11で受信し、校正刷りプリンタ装置24で印刷出力し、
発注者と印刷会社は、ともに校正刷りプリンタ装置により出力された校正刷りを参照しながら、発注者装置11と印刷会社装置13により通信ネットワーク17を介して協議を行い、
印刷会社は、協議のたびに協議結果に基づいて新たな校正刷りを作成し、印刷会社装置13内の校正刷りプリンタ装置で印刷するとともに、通信ネットワーク17を介して発注者装置11に送信し、
発注者は、前回同様に校正刷りプリンタ装置24でこれを印刷し、この新たに印刷出力した校正刷りを参照しながら、発注者と印刷会社は再び協議を行ない、
このような協議および校正刷りの再作成を繰り返しながら、最終的に印刷物を取り決め、最終的な校正刷りをOKシート(校了紙)とし、
校了紙ができたら、印刷会社は、印刷会社装置13より通信ネットワーク17を介して、各地に所在する印刷会社から委託を受けた新聞販売店の新聞販売店装置15に、チラシを印刷するための印刷画像データとしてのDTPデータを送信し、
各新聞販売店の新聞販売店装置15では、DTPデータを受信し、チラシ印刷プリンタ装置54においてチラシの印刷を行ない、
発注者装置11、印刷会社装置13および新聞販売店装置15に具わる校正刷りプリンタ装置あるいはチラシ印刷装置としては、インクジェット方式のプリンタであってもよい、
印刷物製作システム10。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている

「【0008】
副印刷機は、無版式、例えばインクジェット式のものとされる。インクジェット式印刷機は、速乾性であり、情報をコンピュータ側で準備することで、任意の絵柄の印刷ができる。したがって、そのヘッドを缶側面に臨ませて、印刷指令を出すことで種々の印刷ができる。ここで、副印刷機の印刷に際しては、缶の側面のどこに印刷するかを求める必要がある。」

「【0025】
図1は、この発明による缶印刷装置(1)の実施形態を示している。缶印刷装置(1)は、有版式で缶(C)への印刷を行う主印刷機(2)と、有版印刷後の缶(C)の印刷面を乾燥させる乾燥機(4)と、印刷面の印刷状態を検査する検缶機(5)と、有版式の印刷後の缶(C)にインクジェット(無版式)で追加印刷を行う副印刷機(6)と、缶(C)を搬送する搬送装置(50)とを備えている。」

「【0068】
インクジェットによる印刷は無版式であることから、印刷絵柄として、写真を含め任意の絵柄を使用することができ、例えば、図12のBに示すように、〜記念+日付など、結婚式用、各種記念日用などの用途に応じて、購入者が希望する絵柄を追加することができる。こうして、缶(D)のデザインに付加価値を与えることができる。」

【図1】「



【図12】「



3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている

「【0024】
(円筒形状容器)
本発明のインクジェット印刷装置において印刷される円筒形状容器としては、円筒形状を有する限り特に制限はなく、上述したシームレス缶の他、ラベル缶、3ピース缶(溶接缶、接着缶)、或いはチューブ状容器等を例示することができるが、特にシームレス缶であることが好適である。
シームレス缶としては、これに限定されないが、ティンフリースチール(TFS)などの各種表面処理鋼板やすずめっき等の各種メッキ鋼板、アルミニウム等の軽金属板及びそれらにリン酸クロメート処理などの表面処理をした各種表面処理軽金属板、或いはこれらの金属板にポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂から成る被覆が形成された樹脂被覆金属板を、絞り加工、絞りしごき加工、絞り・再絞り加工、絞り・再絞りによる曲げ伸ばし加工(ストレッチ加工)、絞り・再絞りによる曲げ伸ばし・しごき加工、軽金属板のインパクト加工等の従来公知の手段に付すことによって製造されたシームレス缶を用いることができる。
【0025】
またシームレス缶の外面には、ホワイトコート層を形成しておくことが、金属板の地色を隠蔽し、印刷画像を鮮明に形成できるので好ましい。またホワイトコート層に代えてホワイト(白色)のインクジェット印刷によって、白色ベタ層を形成することもできる。
更に、上記ホワイトコート層の上、或いはホワイトコート層が形成されない場合は、シームレス缶外面上にアンカーコート層を形成しておくことが望ましい。このアンカーコート層を形成することにより、インクジェット印刷による画像が強固に保持固定され、印刷画像の密着性が向上される。またアンカーコート層を設けることによりインクジェットインクの滲みを軽減することができる。
アンカーコート層は、従来公知の方法により形成することができ、熱硬化性、紫外線硬化性又は電子線硬化性の透明な、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等を所定の溶剤に分散乃至溶解した塗布液を塗布・乾燥し、次いで加熱、紫外線照射、電子線照射等により硬化することにより形成できる。これらの中でも樹脂の選択範囲が広いことから熱硬化性樹脂を加熱硬化する方法が好適である。
またホワイトコート層は、上記アンカーコート層の形成に用いられる樹脂として例示した樹脂から成る塗布液に二酸化チタン等の白色顔料を含有させることにより、同様に形成することができるが、好適には熱硬化性樹脂を溶剤に分散又は溶解して成る塗布液を加熱硬化する方法が好適である。
尚、ホワイトコート層の代わりに、樹脂被覆金属板の樹脂被覆中に白色顔料を含有させた白色樹脂被覆を形成することもできる。
【実施例】
【0026】
(実施例1)
板厚0.30mmのアルミニウムJIS3004合金板を常法に従ってブランキングし、絞り加工して絞りカップを作製した。この絞りカップを再絞りしごき加工を行った後、開口部をトリミングし、内外面を酸性溶液で洗浄し工業用水と脱イオン水で水洗し乾燥させて、缶胴呼称211径の350ml缶用のシームレス缶を作製し、次に述べる仕様でインクジェット印刷を行い、80℃温風での仮焼付、仕上げニス塗布、オーブンでの200℃1分の焼付け(本硬化)を行って印刷シームレス缶を作製し、後述のように評価した。使用したヘッド仕様と評価結果を表2に示す。
使用したインクジェット印刷装置は、前述の図1に示すものである。
【0027】
印刷にあたり、マンドレルに作製したシームレス缶を挿入しマンドレル内部からのバキュームで固定した。印刷装置のマンドレルホイールを間欠回転させ、ブラック(K色)印刷ステーションで公転を停止させ、マンドレルを1回転自転させて2つのインクジェットヘッドで印刷を行った。W色、Y色、M色、C色の工程では印刷をしなかった。印刷インクは溶剤タイプの熱乾燥型インクを用いた。使用したインクジェットヘッドの詳細は表1に示すとおりであり、いずれもコニカミノルタ株式会社製のピエゾ方式ヘッドであり、シームレス缶側壁の缶高さ方向に約70mm幅で印刷できる仕様である。
図1の第一のヘッド3eAに表1のLヘッド、第二のヘッド3eBに表1のSヘッドを設けた。
Lヘッドでは、吐出ドロップ数0個及び1個(吐出液滴量:0、42pl)を使用した。Sヘッドでは、吐出ドロップ数0個及び1個(吐出液滴量:0、6pl)を使用した。この場合両ヘッドを使用したため表現可能な階調数は吐出液滴量「0、6、42pl」の3階調であり、律速吐出周波数はLヘッド42plの7600Hzである。
使用した印刷画像を、図4に示す。ベタ画像、文字画像及び写真画像が組み合わされた画像である。缶高さ方向に約70mm幅で缶胴全周へ印刷した。缶高さ方向、缶周方向とも印刷の解像度は360dpi(ドット中心間間隔は70.6μm)で、印刷速度は32m/分である。尚、各実施例・比較例の階調条件に応じて図4の画像データを最適化して印刷した。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「チラシ印刷用プリンタ装置54」は、本願発明1の「印刷装置」に相当する。また、引用発明において、「新聞販売店装置15は、広域、あるいは、全国に所在する各新聞販売店に設置され」、「新聞販売店装置15は」、「チラシ印刷用プリンタ装置54を有し」、「チラシ印刷用プリンタ装置54は」、「ディジタル化された印刷画像データから直接に印刷用紙に印刷可能な装置であり」「新聞販売店装置15に具わる」「チラシ印刷装置としては、インクジェット方式のプリンタであってもよい」から、チラシ印刷用プリンタ装置54は、異なる場所に設置され、インクジェット印刷により印刷用紙に印刷を行う複数の印刷装置であるといえる。さらに、引用発明の「印刷用紙」は、本願発明1の「缶体」と、「物体」である点で共通する。
したがって、引用発明の「チラシ印刷用プリンタ装置54」は、本願発明1の「異なる場所に設置され、インクジェット印刷により缶体に印刷を行う複数の印刷装置」と、「異なる場所に設置され、インクジェット印刷により物体に印刷を行う複数の印刷装置」である点で共通する。

イ 引用発明の「印刷会社装置13」は、「校了紙ができたら」、「通信ネットワーク17を介して、各地に所在する」「新聞販売店の新聞販売店装置15に、チラシを印刷するための印刷画像データとしてのDTPデータを送信し」、「各新聞販売店の新聞販売店装置15では、DTPデータを受信し、チラシ印刷プリンタ装置54においてチラシの印刷を行な」うことから、複数のチラシ印刷プリンタ装置54を管理しているといえる。
したがって、上記アを踏まえると、引用発明の「印刷会社装置13」は、本願発明1の「前記複数の印刷装置を管理する」「管理装置」に相当する。

ウ 引用発明において、「発注者装置11は、通信ネットワーク17を介して通信を行なう通信部21、発注者装置11全体を制御する制御部22、操作者へ情報を出力し操作を受け付ける入出力部23、および、印刷機と同等のカラー印刷を行なう校正刷りプリンタ装置24を有し」、「通信部21、制御部22および入出力部23は、パーソナルコンピュータおよびモデムなどにより構成され、校正刷りプリンタ装置24はそのパーソナルコンピュータに周辺装置として接続された構成であ」るから、コンピュータ技術分野の技術常識に照らすと、「パーソナルコンピュータおよびモデム」は、発注者が操作するクライアント装置であるといえ、また、「発注者装置11内の校正刷りプリンタ装置24」は、「パーソナルコンピュータおよびモデム」に接続されているといえる。さらに、「校正刷りプリンタ装置24は」、「ディジタル化された印刷画像データから直接に印刷用紙に印刷可能な装置であり」、「印刷会社は、その印刷原稿に基づいて印刷画像データを作成し、印刷会社装置13内の校正刷りプリンタ装置により校正刷りを行なうとともに、印刷画像データを発注者装置11に送信し」、「発注者は、送信される校正刷り用の印刷画像データを発注者装置11で受信し、校正刷りプリンタ装置24で印刷出力」することから、発注者装置11内の校正刷りプリンタ装置24は、印刷が行われた印刷用紙(チラシ)の試作に用いられる試作用プリンタであって、校正刷り用の印刷画像データを基に印刷用紙への印刷を行う試作用プリンタであるといえる。加えて、引用発明の「発注者」は、本願発明1の「ユーザ」に相当し、また、引用発明の「校正刷り用の印刷画像データ」は、本願発明1の「試作用印刷画像データ」に相当する。
したがって、引用発明の「校正刷りプリンタ装置24」は、本願発明1の「ユーザが操作するクライアント装置に接続され、印刷が行われた缶体の試作に用いられる試作用プリンタであって、試作用印刷画像データを基に缶体への印刷を行う試作用プリンタ」と、「ユーザが操作するクライアント装置に接続され、印刷が行われた物体の試作に用いられる試作用プリンタであって、試作用印刷画像データを基に物体への印刷を行う試作用プリンタ」である点で共通する。

エ 引用発明において、「チラシ印刷用プリンタ装置54は」、「ディジタル化された印刷画像データから直接に印刷用紙に印刷可能な装置であり」、「チラシ発行元であるスーパーマーケットなどの小売業者は、チラシの内容を決定し、チラシの原稿を作成し、」「作成された原稿は、指示書として、発注者装置11より通信ネットワーク17を介して印刷会社の印刷会社装置13に送付され」、「印刷会社では、印刷会社装置13において指示書に基づいてカラーカンプを作成し、印刷会社装置13内の校正刷りプリンタ装置より印刷出力するとともに、通信ネットワーク17を介して発注者装置11に送信し」、「発注者は、送信されるカラーカンプを発注者装置11で受信し、発注者装置11内の校正刷りプリンタ装置24で印刷出力し」、「発注者と印刷会社は、ともに校正刷りプリンタ装置により出力されたカラーカンプを参照しながら、発注者装置11と印刷会社装置13により通信ネットワーク17を介して協議を行い」、「印刷会社は、協議のたびに協議結果に基づいて新たなカラーカンプを作成し、印刷会社装置13内の校正刷りプリンタ装置で印刷するとともに、通信ネットワーク17を介して発注者装置11に送信し」、「発注者は、前回同様に校正刷りプリンタ装置24でこれを印刷すると、ともに新たに印刷出力したカラーカンプを参照しながら、発注者と印刷会社は再び協議を行い」、「このような協議およびカラーカンプの再作成を繰り返し、最終的な印刷原稿を取りまとめ」、「取りまとめが終了したら、印刷会社は、その印刷原稿に基づいて印刷画像データを作成し、印刷会社装置13内の校正刷りプリンタ装置により校正刷りを行なうとともに、印刷画像データを発注者装置11に送信し」、「発注者は、送信される校正刷り用の印刷画像データを発注者装置11で受信し、校正刷りプリンタ装置24で印刷出力し」、「発注者と印刷会社は、ともに校正刷りプリンタ装置により出力された校正刷りを参照しながら、発注者装置11と印刷会社装置13により通信ネットワーク17を介して協議を行い」、「印刷会社は、協議のたびに協議結果に基づいて新たな校正刷りを作成し、印刷会社装置13内の校正刷りプリンタ装置で印刷するとともに、通信ネットワーク17を介して発注者装置11に送信し」、「発注者は、前回同様に校正刷りプリンタ装置24でこれを印刷し、この新たに印刷出力した校正刷りを参照しながら、発注者と印刷会社は再び協議を行ない」、「このような協議および校正刷りの再作成を繰り返しながら、最終的に印刷物を取り決め、最終的な校正刷りをOKシート(校了紙)とし」、「校了紙ができたら、印刷会社は、印刷会社装置13より通信ネットワーク17を介して、各地に所在する印刷会社から委託を受けた新聞販売店の新聞販売店装置15に、チラシを印刷するための印刷画像データとしてのDTPデータを送信し」、「各新聞販売店の新聞販売店装置15では、DTPデータを受信し、チラシ印刷プリンタ装置54においてチラシの印刷を行な」うことから、印刷会社装置13は、取得した指示書に対して印刷用紙に印刷するための画像処理を施し、複数のチラシ印刷プリンタ装置54にて用いられるチラシを印刷するための印刷画像データであるDTPデータを作成しているといえ、また、指示書がチラシのデザイン画像を含んでいるのは明らかであり、さらに、引用発明の「DTPデータ」は、チラシ印刷プリンタ装置54用の印刷画像データであるといえる。
したがって、上記ア、イを踏まえると、引用発明の「印刷会社装置13」は、本願発明1の「取得したデザイン画像に対して缶体に印刷するための画像処理を施し、前記複数の印刷装置にて用いられる印刷画像データである印刷装置用印刷画像データを作成」する構成と、「取得したデザイン画像に対して物体に印刷するための画像処理を施し、前記複数の印刷装置にて用いられる印刷画像データである印刷装置用印刷画像データを作成」する点で共通する。

オ 引用発明において、「印刷会社では、印刷会社装置13において指示書に基づいてカラーカンプを作成し、印刷会社装置13内の校正刷りプリンタ装置より印刷出力するとともに、通信ネットワーク17を介して発注者装置11に送信し」、「発注者は、送信されるカラーカンプを発注者装置11で受信し、発注者装置11内の校正刷りプリンタ装置24で印刷出力し」、「発注者と印刷会社は、ともに校正刷りプリンタ装置により出力されたカラーカンプを参照しながら、発注者装置11と印刷会社装置13により通信ネットワーク17を介して協議を行い」、「印刷会社は、協議のたびに協議結果に基づいて新たなカラーカンプを作成し、印刷会社装置13内の校正刷りプリンタ装置で印刷するとともに、通信ネットワーク17を介して発注者装置11に送信し」、「発注者は、前回同様に校正刷りプリンタ装置24でこれを印刷すると、ともに新たに印刷出力したカラーカンプを参照しながら、発注者と印刷会社は再び協議を行い」、「このような協議およびカラーカンプの再作成を繰り返し、最終的な印刷原稿を取りまとめ」、「取りまとめが終了したら、印刷会社は、その印刷原稿に基づいて印刷画像データを作成し、印刷会社装置13内の校正刷りプリンタ装置により校正刷りを行なうとともに、印刷画像データを発注者装置11に送信し」、「発注者は、送信される校正刷り用の印刷画像データを発注者装置11で受信し、校正刷りプリンタ装置24で印刷出力」することから、発注者装置11内の校正刷りプリンタ装置24にて用いられる校正刷り用の印刷画像データは、指示書と当該指示書に基づいて印刷会社装置13にて作成されたカラーカンプに対する発注者と印刷会社との協議結果とを基に、印刷会社装置13によって作成されているといえる。また、引用発明の「カラーカンプ」は、印刷技術分野の技術常識に照らすと、本願発明1の「見本画像」に相当する。さらに、上記エで述べたとおり、印刷会社装置13は、チラシを印刷するための印刷画像データであるDTPデータを作成している。加えて、引用発明の「発注者と印刷会社との協議結果」は、本願発明1の「ユーザの色変更情報」と、「ユーザの情報」である点で共通するといえる。
したがって、上記ア−エを踏まえると、引用発明の「発注者装置11内の校正刷りプリンタ装置24にて用いられる校正刷り用の印刷画像データは、指示書と当該指示書に基づいて印刷会社装置13にて作成されたカラーカンプに対する発注者と印刷会社との協議結果とを基に、印刷会社装置13によって作成されている」という構成は、本願発明1の「前記試作用プリンタにて用いられる前記試作用印刷画像データは、デザイン画像と当該デザイン画像を基に前記クライアント装置にて作成された見本画像に対する前記ユーザの色変更情報とを基に、前記印刷装置用印刷画像データを作成する前記管理装置によって作成される」構成と、「前記試作用プリンタにて用いられる前記試作用印刷画像データは、デザイン画像と当該デザイン画像を基に作成された見本画像に対する前記ユーザの情報とを基に、前記印刷装置用印刷画像データを作成する前記管理装置によって作成される」構成である点で共通する。

カ 上記アを踏まえると、引用発明の「印刷物製作システム10」は、本願発明1の「缶体の印刷システム」と、「物体の印刷システム」である点で共通する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「異なる場所に設置され、インクジェット印刷により物体に印刷を行う複数の印刷装置と、
前記複数の印刷装置を管理する管理装置と、
ユーザが操作するクライアント装置に接続され、印刷が行われた物体の試作に用いられる試作用プリンタであって、試作用印刷画像データを基に物体への印刷を行う試作用プリンタと、
を備え、
前記管理装置は、取得したデザイン画像に対して物体に印刷するための画像処理を施し、前記複数の印刷装置にて用いられる印刷画像データである印刷装置用印刷画像データを作成し、
前記試作用プリンタにて用いられる前記試作用印刷画像データは、デザイン画像と当該デザイン画像を基に作成された見本画像に対する前記ユーザの情報を基に、前記印刷装置用印刷画像データを作成する前記管理装置によって作成される、
物体の印刷システム。」

(相違点1)
印刷される物体が、本願発明1では、「缶体」であるのに対し、引用発明では、「印刷用紙」である点。

(相違点2)
試作用印刷画像データの作成において、本願発明1では、「デザイン画像と当該デザイン画像を基に前記クライアント装置にて作成された見本画像に対する前記ユーザの色変更情報とを基に」作成されるのに対し、引用発明では、カラーカンプに対する発注者と印刷会社との協議結果を基に作成される点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点2について先に検討する。
引用文献2−3には、上記相違点2に係る本願発明1の構成である「デザイン画像と当該デザイン画像を基に前記クライアント装置にて作成された見本画像に対する前記ユーザの色変更情報とを基に」試作用印刷画像データが作成される、という構成について記載も示唆もなく、また、このような構成が本願の優先日前において周知技術であったともいえないので、当業者といえども、引用発明及び引用文献2−3に記載された技術的事項から、上記相違点2に係る本願発明1の構成を容易に想到することはできない。
したがって、上記相違点1について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2−3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2 本願発明2−9について
本願発明2−9は、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2−3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明10について
本願発明10は、上記相違点2に係る本願発明1の構成と実質的に同じ「デザイン画像と当該デザイン画像を基に当該クライアント装置にて作成された見本画像に対するユーザの色変更情報とを基に、当該試作用印刷画像データを作成する」という構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2−3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

4 本願発明11について
本願発明11は、本願発明10の構成に対応する構成を実質的に備えるものであるから、本願発明10と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2−3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1−11は、当業者が引用発明及び引用文献2−3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2023-04-17 
出願番号 P2019-532458
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 富澤 哲生
中野 裕二
発明の名称 缶体の印刷システム、管理装置およびプログラム  
代理人 尾形 文雄  
代理人 水戸 洋介  
代理人 古部 次郎  
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