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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1398131
総通号数 18 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-06-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-09-30 
確定日 2023-06-05 
事件の表示 特願2020−117017「アプリケーション情報をトリガすること」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年10月22日出願公開、特開2020−173845、請求項の数(20)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)5月17日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2016年7月27日(以下、「優先日」という。) 米国)を国際出願日とする特許出願である特願2019−503951号の一部を、令和2年7月7日に分割した出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和2年 7月14日 :手続補正書の提出
令和3年 8月23日付け:拒絶理由通知書
令和4年 1月18日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 5月26日付け:拒絶査定(原査定)
令和4年 9月30日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 補正の却下の決定
1 補正の却下の決定の結論
令和4年9月30日に提出された手続補正書に係る手続補正(以下、「本件補正」という)を却下する。

2 補正の却下の決定の理由
(1)本件補正の内容
本件補正は、以下の請求項1についての補正事項を含むものである。(下線は、補正箇所を示す。)

ア 補正事項1
本件補正前の請求項1に記載されていた
「1つまたは複数のサーバによって、メモリデバイスから、特定のアプリケーションの階層的アプリケーション分類を読み出すステップであって、前記階層的アプリケーション分類が、前記特定のアプリケーションの少なくとも主要なアプリケーションカテゴリおよびアプリケーションサブカテゴリを指定する、読み出すステップ」を
「1つまたは複数のサーバによって、メモリデバイスから、特定のアプリケーションの階層的アプリケーション分類にアクセスするステップであって、前記階層的アプリケーション分類が、前記特定のアプリケーションの、前記サーバによって自動的に分類された少なくとも主要なアプリケーションカテゴリおよびアプリケーションサブカテゴリを指定する、アクセスするステップ」とする補正。

イ 補正事項2
本件補正前の請求項1に記載されていた
「前記特定のアプリケーションの前記階層的アプリケーション分類が前記クライアントデバイスから受信した前記提出されたクエリの特徴のセットによって特定される前記主要なトピックおよびサブトピックを含むことを決定するステップ」を
「前記特定のアプリケーションの前記階層的アプリケーション分類が前記主要なトピックおよびサブトピックを含むことを決定するステップ」とする補正。

ウ 補正事項3
本件補正前の請求項1に記載されていた
「前記特定のアプリケーションの前記階層的アプリケーション分類が、前記提出されたクエリの特徴のセットによって特定される前記主要なトピックおよびサブトピックを含むと決定したことに基づいて、前記提出されたクエリに応じて前記クライアントデバイスに、前記クライアントデバイスにおいて提示されたユーザインターフェース内に前記特定のアプリケーションに関する情報を提示するデータを提供するステップ」を
「前記提出されたクエリに応じて前記クライアントデバイスに、前記クライアントデバイスにおいて提示されたユーザインターフェース内に前記特定のアプリケーションに関する情報を提示するデータを提供するステップ」とする補正。

(2)本件補正の適否の判断
事案に鑑みて、補正事項3について先に検討する。
補正事項3は、本件補正前の請求項1において、「前記提出されたクエリに応じて前記クライアントデバイスに、前記クライアントデバイスにおいて提示されたユーザインターフェース内に前記特定のアプリケーションに関する情報を提示するデータを提供するステップ」が、「前記特定のアプリケーションの前記階層的アプリケーション分類が、前記提出されたクエリの特徴のセットによって特定される前記主要なトピックおよびサブトピックを含むと決定したことに基づいて」なされることが限定されていたものを、当該限定を削除するものであるため、特許法第17条の2第5項第2号の「特許請求の範囲の減縮」に該当せず、また、同第1号の「請求項の削除」、同第3号の「誤記の訂正」及び同第4号の「明りょうでない記載の釈明」のいずれにも該当しない。(付言するに、本件補正は、令和4年1月18日に提出された手続補正書に係る手続補正で補正された特許請求の範囲ではなく、令和2年7月14日に提出された手続補正書に係る手続補正で補正された特許請求の範囲を基礎としてなされているものと認められる。)
したがって、補正事項1及び補正事項2について、並びに、請求項1以外の補正事項について検討するまでもなく、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていないので、上記のとおり本件補正を却下する。

第3 原査定の概要
原査定(令和4年5月26日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1ないし3、8ないし10及び15ないし17に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基いて、また、本願請求項6、7、13、14及び20に係る発明は、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特表2013−504122号公報
引用文献2:特開2002−230005号公報

第4 本願発明
本件補正は、上記「第2 補正の却下の決定」のとおり、却下された。
したがって、本願請求項1ないし20に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明20」という。)は、令和4年1月18日に提出された手続補正書に係る手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし20に記載された事項により特定される発明であり、このうち、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「 1つまたは複数のサーバによって、メモリデバイスから、特定のアプリケーションの階層的アプリケーション分類を読み出すステップであって、前記階層的アプリケーション分類が、前記特定のアプリケーションの少なくとも主要なアプリケーションカテゴリおよびアプリケーションサブカテゴリを指定する、読み出すステップと、
提出されたクエリをクライアントデバイスから受信するステップと、
前記提出されたクエリについて、前記提出されたクエリの少なくとも主要なトピックおよびサブトピックを指定する、前記提出されたクエリの特徴のセットを取得するステップと、
前記特定のアプリケーションの前記階層的アプリケーション分類が前記クライアントデバイスから受信した前記提出されたクエリの特徴のセットによって特定される前記主要なトピックおよびサブトピックを含むことを決定するステップと、
前記特定のアプリケーションの前記階層的アプリケーション分類が、前記提出されたクエリの特徴のセットによって特定される前記主要なトピックおよびサブトピックを含むと決定したことに基づいて、前記提出されたクエリに応じて前記クライアントデバイスに、前記クライアントデバイスにおいて提示されたユーザインターフェース内に前記特定のアプリケーションに関する情報を提示するデータを提供するステップと、
を含む、方法。」

なお、本願発明2ないし7は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明8は、本願発明1を非一時的コンピュータ可読記憶媒体として特定した発明であり、本願発明9ないし14は、本願発明8を減縮した発明であり、本願発明15は、本願発明1をシステムの発明として特定した発明であり、本願発明16ないし20は、本願発明15を減縮した発明である。

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は、強調のため当審が付与した。これ以降についても同様。)

「【0012】
本発明の他の実施形態では、コンピューター化システムが、TOCナビゲーション・モデルのために、検索状態の保持だけでなく、ファセット及びサブ・ファセットの提示、並びに生成を提供する。フロント・エンド・エンジンは、検索クエリー・タームを受け取り、これをバック・エンド・サーバーへ渡す。一実施形態では、バック・エンド・サーバーはこの検索クエリー・タームを格納する。他の実施形態では、フロント・エンド・エンジンは、ナビゲーション・ステップ毎に検索クエリー・タームを再送することができる。一旦検索クエリー・タームがバック・エンド・サーバーによって受け取られると、多数のアルゴリズムが用いられてファセットが生成される。ファセットは、検索クエリー・タームに適合したトピックを分類するものである。これらの生成されたファセットは、フロント・エンド・エンジンへ戻され、フロント・エンド・エンジンは、これらのファセットをTOCのユーザー・インターフェース内に提示する。ユーザーは、更に調べるファセットを選択することができ、これはバック・エンド・サーバーへ送られる。一実施形態では、バック・エンド・サーバーは、ローカル・データーベースから元の検索クエリー・タームを呼び出すことができる。他の実施形態では、フロント・エンド・エンジンは、元の検索クエリー・タームを選択されたファセットと共にバック・エンド・エンジンへ再送することができる。いずれの場合でも、元のユーザー・クエリーの状態は保持される。選択されたファセット及び検索クエリー・タームを用いて、バック・エンド・サーバーは、1組のサブ・ファセットを生成する。これらのサブ・ファセットは、フロント・エンド・エンジンへ戻され、フロント・エンド・エンジンは、ユーザーが詳細に調べるために、そのサブ・ファセットをTOCに描写する。ユーザーは、これらのサブ・ファセットを調べるか、またはナビゲートする他のファセットを引き続き選択するかを選ぶことができる。ユーザーがサブ・ファセットを選択した場合、フロント・エンド・エンジンは、この選択されたサブ・ファセットをバック・エンド・サーバーへ送る。選択されたサブ・ファセット、選択されたファセット、及び検索クエリー・タームは、絞り込まれた検索結果のリストを生成するために用いられる。絞り込まれた検索結果のリストは、TOCの提示のためにフロント・エンド・エンジンへ戻される。ユーザーは、選択されたサブ・ファセットに対する検索結果のリストを調べるか、または引き続き元の検索クエリー・タームに対するファセットを次々にナビゲートするかを選ぶことができる。」

「【0021】
ステップ201において、一実施形態では、少なくとも1つの検索クエリー・タームがフロント・エンド・エンジンに受け取られる。フロント・エンド・エンジンは、ユーザー・インターフェースを提供する計算機において具現化され得る。あるいは、フロント・エンド・エンジンは、ユーザー・インターフェースを提供する計算機を通じてリモートでアクセスすることもできる。一実施形態では、フロント・エンド・エンジンは、生成されたファセット及び検索結果と対話するためのTOCインターフェースをユーザーに提供する。少なくとも1つの検索クエリー・タームは、バック・エンド・サーバーへ入力することができる。バック・エンド・サーバーは、検索エンジンや、あるいは、辞書ベースのアルゴリズムに基づき少なくとも1つのファセットまたは1組のファセットを生成する、類似のデバイスといったものである。検索エンジンは、アルゴリズム及び人間からの入力を利用して、ウェブ・ページ、画像、及びその他のタイプのファイルを検索する。適例の検索エンジンは、ウェブ・ページの莫大な数のセットを収集し次いで内容にしたがってそれらにインデックスを付ける、ウェブ・クローラーを組み込むことができる。ファセットは、検索クエリー・ターム特有のものであり、検索タームに適合したカテゴリーを決定するいかなる方法を用いて選択してもよい。ファセット選択の例は、以後の実施形態において論じられる。」

「【図7D】



(2)引用発明
引用文献1の【0021】の記載より、引用文献1には、「ファイルを検索する方法」が記載されているといえる。
よって、前記(1)の特に下線部に着目すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 ファイルを検索する方法であって、
フロント・エンド・エンジンは、検索クエリー・タームを受け取り、これをバック・エンド・サーバーへ渡し、
多数のアルゴリズムが用いられてファセットが生成され、
ファセットは、検索クエリー・タームに適合したトピックを分類するものであり、
これらの生成されたファセットは、フロント・エンド・エンジンへ戻され、フロント・エンド・エンジンは、これらのファセットをTOCのユーザー・インターフェース内に提示し、
ユーザーは、更に調べるファセットを選択することができ、これはバック・エンド・サーバーへ送られ、
選択されたファセット及び検索クエリー・タームを用いて、バック・エンド・サーバーは、1組のサブ・ファセットを生成し、
これらのサブ・ファセットは、フロント・エンド・エンジンへ戻され、フロント・エンド・エンジンは、ユーザーが詳細に調べるために、そのサブ・ファセットをTOCに描写し、
ユーザーがサブ・ファセットを選択した場合、フロント・エンド・エンジンは、この選択されたサブ・ファセットをバック・エンド・サーバーへ送り、
選択されたサブ・ファセット、選択されたファセット、及び検索クエリー・タームは、絞り込まれた検索結果のリストを生成するために用いられ、
絞り込まれた検索結果のリストは、TOCの提示のためにフロント・エンド・エンジンへ戻され、
フロント・エンド・エンジンは、生成されたファセット及び検索結果と対話するためのTOCインターフェースをユーザーに提供し、
バック・エンド・サーバーは、検索エンジンや、あるいは、辞書ベースのアルゴリズムに基づき少なくとも1つのファセットまたは1組のファセットを生成する、類似のデバイスといったものであり、
検索エンジンは、アルゴリズム及び人間からの入力を利用して、ウェブ・ページ、画像、及びその他のタイプのファイルを検索する、
方法。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0017】サポートセンターシステム10は、ユーザ1からの電子メールでの問合せに対応する電子メール対応部11、ユーザ1からの電話での問合せに対応する電話対応部12、ユーザ1からのインターネットでの問合せに対応するインターネット対応部13、知識データベースに格納される知識情報のカテゴリを定義したカテゴリ階層データ21、カテゴリごとの特徴をベクトルで表わしたカテゴリ別ベクトルデータ22、知識データベースである技術情報DB23・問合せ履歴DB24、知識情報をカテゴリに分類するカテゴリ分類手段25、ユーザ1からの問合せを分析して検索用カテゴリ候補を抽出する問合せ判別手段26、検索用カテゴリ候補を用いて知識データベースを検索する検索手段27をそれぞれ有している。」

「【0021】カテゴリ階層データ21は、知識情報(技術情報・問合せ履歴情報)のカテゴを定義したデータである。図2はカテゴリ階層データ21の論理構成図である。図2(1)に示すように、カテゴリ階層データ21は第1階層31、第2階層32、第3階層33の階層構造を持つように作成されている。「パソコン」を第1階層としたとき、第2階層として「OS」「ソフトウェア」「本体」「周辺機器」等が設定される。第2階層の「OS」の配下には第3階層として「WindowsME」「Windows2000」等が設定されている。このような階層構造のデータは、図2(2)に示すような表形式でデータベース化されている。カテゴリID部34は、カテゴリを一意に表わすID番号である。上位階層のカテゴリID部35は、そのカテゴリの上位階層に存在するカテゴリのカテゴリIDである。カテゴリ名36はカテゴリの名称である。
【0022】カテゴリ別ベクトルデータ22は、技術情報・問合せ履歴情報を基に計算したカテゴリ別のベクトルデータである。図3はカテゴリ別ベクトルデータ22の論理構成図である。カテゴリID部34及びカテゴリ名36は、カテゴリ階層データ21に設定されているデータと同一である。カテゴリベクトル部37は、全ての技術情報・問合せ履歴情報に出現する単語を次元とするベクトルデータである。このベクトルデータの数値は、該当するカテゴリに属する技術情報・問合せ履歴情報を全てベクトル化し、それらのベクトルの平均値として計算される。また、これらのベクトルの計算は、単語の出現頻度と出現するデータ数から計算される既知のTFIDF(Term Frequency Inverse Document Frequency)値を要素として表わされる。また、カテゴリ別ベクトルデータ22の作成は、手作業で予め技術情報・問合せ履歴情報を所定のカテゴリに分類しておき、そのデータを基に計算される。なお、TFIDF値の代わりに単語の出現頻度を値としてもよいが、この場合には高い性能が得られないので、性能向上の観点からTFIDF値を使用することが好ましい。」

「【0025】カテゴリ分類手段25は、技術情報及び問合せ履歴情報を所定のカテゴリに分類する手段である。技術情報や問合せ履歴情報をそれぞれのデータベースに格納するとき、カテゴリ別ベクトルデータ22を用いてカテゴリ分けを自動的に行う。このカテゴリ分けは、既知のベクトル空間法を用いて、技術情報のベクトルとカテゴリ別ベクトルデータ22とのベクトル間の距離を計算して行う。計算の結果、ベクトル間距離の小さい(類似度が高い)カテゴリを抽出して、そのカテゴリのID番号を階層順に付与することによって所定のカテゴリに分類する。また、システムの運用前には、カテゴリ別ベクトルデータを生成するために、手作業でカテゴリを付けることも行う。
【0026】問合せ判別手段26は、問合せ文がどのカテゴリに含まれるかを判別して検索用のカテゴリ候補を抽出するものである。図6に示す問合せのカテゴリ分けのフローチャートを参照して処理手順を説明する。まず、問合せ文のベクトルを計算して(S101)、カテゴリ別ベクトルデータ22からカテゴリのベクトルを一つ取り出す(S102)。問合せ文のベクトルと取り出したカテゴリのベクトルとのベクトル空間上の距離を計算して(S103)、計算した距離を記憶装置に保存する(S104)。これを全てのカテゴリについて繰り返し実行して(S105)、全てのカテゴリについて問合せ文のベクトルとの距離計算を行う。計算した距離の小さい方(類似度の高い方)から、例えば三つのカテゴリを取り出して(S106)、この三つのカテゴリを検索用カテゴリ候補とする(S107)。
【0027】検索手段27は、問合せ判別手段26で抽出された複数個の検索用カテゴリ候補と問合せ文を用いて技術情報DB23・問合せ履歴DB24の中から所定の知識情報を検索するものである。問合せ文に代えて任意のキーワードを指定してこれらのDBの検索を行うこともできる。図7から図10のフローチャートを参照して処理手順を説明する。図7は技術情報DB23を検索する処理フローチャート、図8は問合せ履歴DB24を検索する処理フローチャート、図9は任意のキーワードを指定して技術情報DB23を検索する処理フローチャート、図10は任意のキーワードを指定して問合せ履歴DB24を検索する処理フローチャートである。
【0028】図7を参照して技術情報DB23の検索について説明する。まず、複数個の検索用カテゴリ候補から一つのカテゴリを選択して(S201)、技術情報DB23の中から該当するカテゴリのベクトルを取り出す(S202)。取り出したカテゴリのベクトルと問合せ文のベクトルとの距離を計算して類似度を求める(S203)。計算の結果、ベクトル間の距離が近い方(類似度の高い方)から順に技術情報を10個出力する(S204)。全ての検索用カテゴリ候補について同様の処理を繰り返し行う(S205)。
【0029】図8を参照して問合せ履歴DB24の検索について説明する。問合せ履歴DB24の検索は、技術情報DB23の検索と同様の処理によって行われる。まず、複数個の検索用カテゴリ候補から一つのカテゴリを選択して(S301)、問合せ履歴DB24の中から該当するカテゴリのベクトルデータを取り出す(S302)。取り出したカテゴリのベクトルデータと問合せ文のベクトルデータとの距離を計算して類似度を求める(S303)。計算の結果、ベクトル間の距離が近い方(類似度の高い方)から順に問合せ履歴情報を例えば10個出力する(S304)。全ての検索用カテゴリ候補について同様の処理を繰り返し行う(3205)。」

以上より、引用文献2には、次の技術事項(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されているといえる。

「 知識データベースに格納される知識情報のカテゴリを定義したカテゴリ階層データ21、カテゴリごとの特徴をベクトルで表わしたカテゴリ別ベクトルデータ22、知識データベースである技術情報DB23・問合せ履歴DB24、知識情報をカテゴリに分類するカテゴリ分類手段25、ユーザ1からの問合せを分析して検索用カテゴリ候補を抽出する問合せ判別手段26、検索用カテゴリ候補を用いて知識データベースを検索する検索手段27をそれぞれ有するサポートセンターシステム10であって、
カテゴリ階層データ21は、知識情報(技術情報・問合せ履歴情報)のカテゴを定義したデータであり、「パソコン」を第1階層としたとき、第2階層として「OS」「ソフトウェア」「本体」「周辺機器」等が設定され、第2階層の「OS」の配下には第3階層として「WindowsME」「Windows2000」等が設定されており、
カテゴリ別ベクトルデータ22は、技術情報・問合せ履歴情報を基に計算したカテゴリ別のベクトルデータであり、
カテゴリ分類手段25は、技術情報及び問合せ履歴情報を所定のカテゴリに分類する手段であり、
問合せ判別手段26は、問合せ文がどのカテゴリに含まれるかを判別して検索用のカテゴリ候補を抽出するものであり、
検索手段27は、問合せ判別手段26で抽出された複数個の検索用カテゴリ候補と問合せ文を用いて技術情報DB23・問合せ履歴DB24の中から所定の知識情報を検索するものであり、
技術情報DB23の検索について、複数個の検索用カテゴリ候補から一つのカテゴリを選択して、技術情報DB23の中から該当するカテゴリのベクトルを取り出し、取り出したカテゴリのベクトルと問合せ文のベクトルとの距離を計算して類似度を求め、計算の結果、ベクトル間の距離が近い方(類似度の高い方)から順に技術情報を10個出力し、全ての検索用カテゴリ候補について同様の処理を繰り返し行い、
問合せ履歴DB24の検索は、技術情報DB23の検索と同様の処理によって行われる、
こと。」

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「バック・エンド・サーバー」は、本願発明1の「1つまたは複数のサーバ」に相当する。
また、引用発明の「バック・エンド・サーバー」は「検索エンジン」又はこれに「類似のデバイス」であり、「検索エンジン」は、「ファイルを検索する」ものであるところ、「選択されたサブ・ファセット、選択されたファセット、及び検索クエリー・ターム」を用いて「絞り込まれた検索結果のリストを生成する」にあたり、当該「ファイル」に関する情報を、これを格納したメモリデバイスから読み出すことは自明である。
そして、引用発明の「ファイル」と本願発明1の「特定のアプリケーション」とは、「検索対象」である点において共通し、また、引用発明において、メモリデバイスから読み出される「ファイル」に関する情報と、本願発明1の「特定のアプリケーションの階層的アプリケーション分類」とは、「検索対象に関する情報」である点において共通する。
よって、引用発明と、本願発明1の「1つまたは複数のサーバによって、メモリデバイスから、特定のアプリケーションの階層的アプリケーション分類を読み出すステップであって、前記階層的アプリケーション分類が、前記特定のアプリケーションの少なくとも主要なアプリケーションカテゴリおよびアプリケーションサブカテゴリを指定する、読み出すステップ」とは、「1つまたは複数のサーバによって、メモリデバイスから、検索対象に関する情報を読み出すステップ」との構成を備える点において共通する。

イ 引用発明の「フロント・エンド・エンジンは、検索クエリー・タームを受け取り、これをバック・エンド・サーバーへ渡し」との構成は、「バック・エンド・サーバー」が「検索クエリー・ターム」を「フロント・エンド・エンジン」から受信することに他ならない。
また、引用発明の「フロント・エンド・エンジン」は本願発明1の「クライアントデバイス」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明1の「提出されたクエリをクライアントデバイスから受信するステップ」に相当する構成を備えている。

ウ 引用発明において、「バック・エンド・サーバー」は、受け取った「検索クエリー・ターム」に対し「多数のアルゴリズム」を用いて複数の「ファセット」を生成し、ユーザに選択されたた「ファセット」と「検索クエリー・ターム」とに基づいて「サブ・ファセット」を生成し、「検索クエリー・ターム」、「ファセット」及び「サブ・ファセット」に基づいて「ファイルを検索」して「絞り込まれた検索結果のリスト」を生成するものと認められる。
ここで、「多数のアルゴリズム」は、「ファセット」を生成するために「検索クエリー・ターム」を解析するために使用されることは明らかであるところ、「多数のアルゴリズム」により、「検索クエリー・ターム」の特徴のセットを取得し、取得した特徴のセットが指定する「ファセット」を生成するものと認められる。(引用文献1の【図7C】を参酌すれば、「検索クエリー・ターム」が「Michael Jackson」である場合に「ファセット」として、「IMAGES」「LYRICS」「VIDEOS」「BIOGRAPHY」「NEWS」を生成しているが、これは、「Michael Jackson」を単なる文字列として捉えているのではなく、「Michael Jackson」を概念として捉えて、多数の詩、ビデオを制作した有名な歌手・アーティストであるとの知識(特徴)を取得していることは自明である。)
また、そのような「ファセット」に基づいて生成される「サブ・ファセット」も、間接的には「検索クエリー・ターム」から取得される特徴のセットが指定するものといえる。
よって、引用発明の「ファセット」、「サブ・ファセット」はそれぞれ、本願発明1の「主要なトピック」、「サブトピック」に相当し、引用発明は、本願発明1の「前記提出されたクエリについて、前記提出されたクエリの少なくとも主要なトピックおよびサブトピックを指定する、前記提出されたクエリの特徴のセットを取得するステップ」に相当する構成を備えているといえる。

エ 引用発明において、「絞り込まれた検索結果のリストは、TOCの提示のためにフロント・エンド・エンジンへ戻され」て、「生成されたファセット及び検索結果と対話するためのTOCインターフェース」内に提示し提供されているといえる。
ここで、引用発明の「TOCインターフェース」は、本願発明1の「ユーザインターフェース」に相当する。
また、引用発明の「絞り込まれた検索結果のリスト」と本願発明1の「前記特定のアプリケーションに関する情報を提示するデータ」とは、「検索結果を提示するデータ」である点において共通する。
よって、上記ア及びウを参酌すれば、引用発明と、本願発明1の「前記特定のアプリケーションの前記階層的アプリケーション分類が、前記提出されたクエリの特徴のセットによって特定される前記主要なトピックおよびサブトピックを含むと決定したことに基づいて、前記提出されたクエリに応じて前記クライアントデバイスに、前記クライアントデバイスにおいて提示されたユーザインターフェース内に前記特定のアプリケーションに関する情報を提示するデータを提供するステップ」とは、「前記提出されたクエリに応じて前記クライアントデバイスに、前記クライアントデバイスにおいて提示されたユーザインターフェース内に検索結果を提示するデータを提供するステップ」との構成を備える点において共通する。

(2)一致点、相違点
前記(1)より、本願発明1と引用発明は、次の点において一致ないし相違する。

○一致点
「 1つまたは複数のサーバによって、メモリデバイスから、検索対象に関する情報を読み出すステップと、
提出されたクエリをクライアントデバイスから受信するステップと、
前記提出されたクエリについて、前記提出されたクエリの少なくとも主要なトピックおよびサブトピックを指定する、前記提出されたクエリの特徴のセットを取得するステップと、
前記提出されたクエリに応じて前記クライアントデバイスに、前記クライアントデバイスにおいて提示されたユーザインターフェース内に検索結果を提示するデータを提供するステップと、
を含む、方法。」

○相違点
(相違点1)
メモリデバイスから読み出されるものが、本願発明1においては、「特定のアプリケーションの少なくとも主要なアプリケーションカテゴリおよびアプリケーションサブカテゴリを指定する」「特定のアプリケーションの階層的アプリケーション分類」であるのに対し、引用発明は「ファイル」に関する情報である点。

(相違点2)
本願発明1は、「前記特定のアプリケーションの前記階層的アプリケーション分類が前記クライアントデバイスから受信した前記提出されたクエリの特徴のセットによって特定される前記主要なトピックおよびサブトピックを含むことを決定するステップ」を含み、「前記特定のアプリケーションの前記階層的アプリケーション分類が、前記提出されたクエリの特徴のセットによって特定される前記主要なトピックおよびサブトピックを含むと決定したことに基づいて」「データを提供する」のに対し、引用発明は、「検索クエリー・ターム」、「ファセット」及び「サブ・ファセット」に基づいて「ファイルを検索」して「絞り込まれた検索結果のリスト」を提供する点。

(相違点3)
本願発明1は、「前記特定のアプリケーションに関する情報を提示するデータを提供する」のに対し、引用発明は、「ファイルを検索」して「絞り込まれた検索結果のリスト」を生成及び提供する点。

(3)相違点についての判断
上記相違点1ないし3は、いずれも「アプリケーション」に関する点において連関するのでまとめて判断する。
引用文献2記載事項にあるように、サポートセンターシステム10において、問合せ文がどのカテゴリに含まれるかを判別して検索用のカテゴリ候補を抽出し、抽出された複数個の検索用カテゴリ候補と問合せ文を用いて技術情報DB23又は問合せ履歴DB24の中から所定の知識情報を検索する際に、複数個の検索用カテゴリ候補から一つのカテゴリを選択して、技術情報DB23又は問合せ履歴DB24の中から該当するカテゴリのベクトルを取り出し、取り出したカテゴリのベクトルと問合せ文のベクトルとの距離を計算して類似度を求め、計算の結果、ベクトル間の距離が近い方(類似度の高い方)から順に技術情報又は問い合わせ履歴を10個出力し、全ての検索用カテゴリ候補について同様の処理を繰り返し行うことは、本願優先日前における周知技術といえる。
ここで、引用文献2記載事項において、「カテゴリ」を定義する「カテゴリ階層データ21」は、「パソコン」を第1階層としたとき、第2階層として「OS」「ソフトウェア」「本体」「周辺機器」等が設定され、第2階層の「OS」の配下には第3階層として「WindowsME」「Windows2000」等が設定されたものであるから、その一部にアプリケーションに関する階層的な分類が含まれているとしても、第1階層がアプリケーションとはいえない「パソコン」であり、第2階層にアプリケーションとはいえない「本体」及び「周辺機器」が含まれている以上、全体としてみれば、相違点1に係る本願発明1の「特定のアプリケーションの階層的アプリケーション分類」に対応するものではない。
また、引用文献2記載事項は、検索用のカテゴリのベクトルと、技術情報DB23又は問合せ履歴DB24の中から取り出したカテゴリのベクトルとの距離を計算して類似度を求めることにより検索を行うものであって、類似度は、包含関係を判定するための指標ではないから、相違点2に係る本願発明1の「記特定のアプリケーションの前記階層的アプリケーション分類が…(中略)…前記主要なトピックおよびサブトピックを含むことを決定するステップ」を有さない。
さらに、引用文献2記載事項において、検索の対象は、「問合せ文」に対応する「技術情報」又は「問合せ履歴」であり、「アプリケーション情報」には限定されていないため、引用文献2記載事項は、相違点3に係る本願発明1の「前記特定のアプリケーションに関する情報を提示するデータを提供する」に相当する構成を有さない。
加えて、相違点1ないし3に係る本願発明1の構成はいずれも、本願優先日前における技術常識であるとも認められない。
よって、引用文献2には、相違点1ないし3に係る本願発明1の構成が記載されていないから、仮に、当業者が引用発明に引用文献2記載事項を適用することができたとしても、本願発明1の構成には到達しない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても引用文献1及び2に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明2ないし7について
本願発明2ないし7は、本願発明1の構成を含むものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用文献1及び2に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本願発明8ないし14について
本願発明8は、本願発明1を非一時的コンピュータ可読記憶媒体として特定した発明であり、本願発明9ないし14は、本願発明8の構成を含む発明であって、これらは相違点1ないし3に係る本願発明1の構成に相当する技術事項を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献1及び2に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

4 本願発明15ないし20について
本願発明15は、本願発明1をシステムとして特定した発明であり、本願発明16ないし20は、本願発明15の構成を含む発明であって、これらは相違点1ないし3に係る本願発明1の構成に相当する技術事項を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献1及び2に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 原査定について
本願発明1ないし20は、相違点1ないし3に係る本願発明1の構成を備えるものであるから、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1に記載された発明(引用発明)又は引用文献1及び2に記載された発明に基いて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由1を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2023-05-11 
出願番号 P2020-117017
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 57- WY (G06F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 吉田 美彦
特許庁審判官 中村 信也
林 毅
発明の名称 アプリケーション情報をトリガすること  
代理人 阿部 達彦  
代理人 村山 靖彦  
代理人 実広 信哉  

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