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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01G
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H01G
管理番号 1399343
総通号数 19 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2023-07-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-04-28 
確定日 2023-05-10 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6965970号発明「固体電解コンデンサおよび固体電解コンデンサの製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6965970号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1−4〕、5、6について訂正することを認める。 特許第6965970号の請求項1−6に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6965970号の請求項1ないし5に係る発明についての出願は、平成27年8月12日の出願である特願2015−159562号の一部を令和2年7月22日に新たな特許出願としたものであって、令和3年10月25日にその特許権が設定登録され、令和3年11月10日に特許掲載公報が発行された。
その特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和4年 4月28日 :特許異議申立人ニチコン株式会社(以下、「申立人」という。)により請求項1−5に係る特許に対する特許異議の申立て
令和4年 7月12日付け:取消理由通知
令和4年 9月20日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和4年10月24日 :申立人による意見書の提出
令和4年11月 7日付け:取消理由通知(決定の予告)
令和5年 1月16日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和5年 3月14日 :申立人による意見書の提出
なお、令和5年1月16日に訂正の請求がなされたので、特許法第120条の5第7項の規定により、令和4年9月20日にされた訂正の請求は取り下げられたものとみなす。

第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和5年1月16日付けの訂正請求の趣旨は、特許第6965970号の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1−6に訂正することを求めるものであり、その訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は次のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「陽極箔と陰極箔と、がセパレータを介して巻回されたコンデンサ素子を有し、前記コンデンサ素子は、導電性高分子を含む固体電解質層を有し、前記コンデンサ素子内の空隙部には、電解液が充填され、前記電解液は、溶質として脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として多価アルコールと、を含み、前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.6mol/kg以下であり、前記電解液が、前記溶媒として水を添加しない電解液であることを特徴とする固体電解コンデンサ。」と記載されているのを、「陽極箔と陰極箔と、がセパレータを介して巻回されたコンデンサ素子を有し、前記コンデンサ素子は、導電性高分子を含む固体電解質層を有し、前記コンデンサ素子内の空隙部には、電解液が充填され、前記電解液は、溶質として少なくとも脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として少なくとも多価アルコールと、を含み、前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.37mol/kg以下であり、前記電解液が、前記溶媒として水を添加しない電解液であることを特徴とする固体電解コンデンサ。」に訂正する。
請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2−4も同様に訂正する。

(2)訂正事項2
ア 訂正事項2−1
特許請求の範囲の請求項4に「前記固体電解コンデンサに含まれる水分量を3wt%以下としたことを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項記載の固体電解コンデンサ。」と記載されているのを、「前記固体電解コンデンサに含まれる水分量を3wt%以下としたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の固体電解コンデンサ。」と訂正する。

イ 訂正事項2−2
特許請求の範囲の請求項4に「前記固体電解コンデンサに含まれる水分量を3wt%以下としたことを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項記載の固体電解コンデンサ。」と記載されているうち請求項1を引用するものについて、独立形式に改めるとともに「前記電解液は、溶質として少なくとも脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として少なくとも多価アルコールと、を含み、前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.26mol/kg以下」とし、また、「前記溶媒に対する前記溶質のアンモニウムイオンの添加量が0.26mol/kg以下である」との構成を付加して、「陽極箔と陰極箔と、がセパレータを介して巻回されたコンデンサ素子を有し、前記コンデンサ素子は、導電性高分子を含む固体電解質層を有し、前記コンデンサ素子内の空隙部には、電解液が充填され、前記電解液は、溶質として少なくとも脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として少なくとも多価アルコールと、を含み、前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.26mol/kg以下であり、前記電解液が、前記溶媒として水を添加しない電解液であり、前記固体電解コンデンサに含まれる水分量を3wt%以下とし、前記溶媒に対する前記溶質のアンモニウムイオンの添加量が0.26mol/kg以下であることを特徴とする固体電解コンデンサ。」と記載し、新たな請求項6とする。

(3)訂正事項3
願書に添付した明細書の段落【0009】に「すなわち、本発明の固体電解コンデンサは、陽極箔と陰極箔と、がセパレータを介して巻回されたコンデンサ素子を有し、前記コンデンサ素子は、導電性高分子を含む固体電解質層を有し、前記コンデンサ素子内の空隙部には、電解液が充填され、前記電解液は、溶質として脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として多価アルコールと、を含み、前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.6mol/kg以下であり、前記電解液が、前記溶媒として水を添加しない電解液であることを特徴とする。」とあるのを、「すなわち、本発明の固体電解コンデンサは、陽極箔と陰極箔と、がセパレータを介して巻回されたコンデンサ素子を有し、前記コンデンサ素子は、導電性高分子を含む固体電解質層を有し、前記コンデンサ素子内の空隙部には、電解液が充填され、前記電解液は、溶質として少なくとも脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として少なくとも多価アルコールと、を含み、前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.37mol/kg以下であり、前記電解液が、前記溶媒として水を添加しない電解液であることを特徴とする。」と訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5に「陽極箔と陰極箔と、をセパレータを介して巻回したコンデンサ素子を形成する工程と、前記コンデンサ素子を、導電性高分子の分散体に浸漬後、乾燥させ、導電性高分子を含む固体電解質層を形成する工程と、前記固体電解質層が形成されたコンデンサ素子を、脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として多価アルコールと、を含み、溶媒として水を添加しない電解液に浸漬し、前記コンデンサ素子内の空隙部に電解液を充填する工程と、を含み、前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.6mol/kg以下であることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。」と記載されているのを、「陽極箔と陰極箔と、をセパレータを介して巻回したコンデンサ素子を形成する工程と、前記コンデンサ素子を、導電性高分子の分散体に浸漬後、乾燥させ、導電性高分子を含む固体電解質層を形成する工程と、前記固体電解質層が形成されたコンデンサ素子を、溶質として少なくとも脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として少なくとも多価アルコールと、を含み、溶媒として水を添加しない電解液に浸漬し、前記コンデンサ素子内の空隙部に電解液を充填する工程と、を含み、前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.37mol/kg以下であることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。」に訂正する。

(5)別の訂正単位とする求め
訂正後の請求項6については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている。

2 訂正要件についての判断
(1)一群の請求項について
上記訂正事項1ないし3に係る本件訂正前の請求項1ないし4について、請求項2ないし4は請求項1を直接又は間接的に引用しているから、本件訂正前の請求項1ないし4に対応する本件訂正の請求項〔1−4,6〕は、特許法第120条の5第4項に規定する関係を有する一群の請求項である。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、独立特許要件
ア 訂正事項1について
(ア)訂正の目的
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載されていた「前記電解液は、溶質として脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として多価アルコールと、を含み、前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.6mol/kg以下」との構成について、「前記電解液は、溶質として少なくとも脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として少なくとも多価アルコールと、を含み、前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.37mol/kg以下」と限定するものである。
よって、訂正事項1は、請求項1について、特許請求の範囲を減縮するものである。
また、請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2ないし4も同様に、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。

(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
明細書の段落【0052】には、「アゼライン酸アンモニウム塩の添加量の内訳を、アゼライン酸を0.37mol/kg、アンモニウムイオンを0.37mol/kgとしたこと以外は、実施例1と同様に作製した。」と記載されると共に、【表1】の実施例3には電解液アゼライン酸、添加量(mol/kg)0.37と記載されている。
よって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

イ 訂正事項2について
(ア)訂正事項2−1について
a 訂正の目的
訂正事項2−1は、訂正前の請求項4に記載されていた「請求項1乃至3いずれか一項記載の固体電解コンデンサ」との記載を「請求項2又は請求項3に記載の固体電解コンデンサ」と請求項4が引用する請求項を減らすものである。
よって、訂正事項2−1は、請求項4について、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、訂正事項2−1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。

b 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
訂正事項2−1は、上記aで述べたとおり、請求項4が引用する請求項を減らすものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2−1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(イ)訂正事項2−2について
a 訂正の目的
訂正事項2−2に係る訂正は、訂正前の請求項4のうち請求項1を引用するものについて、請求項間の引用関係を解消して独立形式に改めると共に、訂正前の請求項1にあった「電解液」について「前記電解液は、溶質として少なくとも脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として少なくとも多価アルコールと、を含み、前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.26mol/kg以下であり」、「前記溶媒に対する前記溶質のアンモニウムイオンの添加量が0.26mol/kg以下である」と限定する訂正であるから、請求項間の引用関係の解消、及び、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
したがって、訂正事項2−2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正、及び、第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とする訂正である。

b 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
訂正事項2−2は、上記aで述べたとおり、請求項間の引用関係の解消、及び、「電解液」について限定するものであるところ、「電解液」の「溶質」を限定する構成については、明細書の段落【0051】に「アゼライン酸アンモニウム塩の添加量の内訳を、アゼライン酸を0.26mol/kg、アンモニウムイオンを0.26mol/kgとしたこと以外は、実施例1と同様に作製した。」と記載されると共に、【表1】の実施例2には電解液アゼライン酸、添加量(mol/kg)0.26、電解液アンモニウムイオン、添加量(mol/kg)0.26と記載されている。
よって、訂正事項2−2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2−2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

ウ 訂正事項3について
(ア)訂正の目的
訂正事項3は、訂正事項1の訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。

(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
訂正事項3は、上記(ア)で述べたとおり、明りょうでない記載の釈明であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

エ 訂正事項4について
(ア)訂正の目的
訂正事項4は、訂正前の請求項5に記載されていた「脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として多価アルコールと、を含み、溶媒として水を添加しない電解液に浸漬し、前記コンデンサ素子内の空隙部に電解液を充填する工程と、を含み、前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.6mol/kg以下」との構成について、「溶質として少なくとも脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として少なくとも多価アルコールと、を含み、溶媒として水を添加しない電解液に浸漬し、前記コンデンサ素子内の空隙部に電解液を充填する工程と、を含み、前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.37mol/kg以下」と限定するものである。
よって、訂正事項4は、請求項5について、特許請求の範囲の減縮するものである。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。

(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
明細書の段落【0052】には、「アゼライン酸アンモニウム塩の添加量の内訳を、アゼライン酸を0.37mol/kg、アンモニウムイオンを0.37mol/kgとしたこと以外は、実施例1と同様に作製した。」と記載されると共に、【表1】の実施例3には電解液アゼライン酸、添加量(mol/kg)0.37と記載されている。
よって、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

オ 独立特許要件について
訂正事項1、2、4は、上記ア、イ、エに示したとおり、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするところ、本件においては、訂正前の請求項1ないし5について特許異議の申立てがされているから、対応する訂正後の請求項1ないし6に係る発明について、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

3 小括
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
そして、特許権者から、訂正後の請求項6については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正する求めがあったことから、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1−4〕、5、6について訂正することを認める。

第3 本件発明
上記第2のとおり本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1ないし6に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明6」という。)は、その訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された次の事項により特定されるものである。なお、下線は、訂正箇所を示す。
「【請求項1】
陽極箔と陰極箔と、がセパレータを介して巻回されたコンデンサ素子を有し、
前記コンデンサ素子は、導電性高分子を含む固体電解質層を有し、
前記コンデンサ素子内の空隙部には、電解液が充填され、
前記電解液は、溶質として少なくとも脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として少なくとも多価アルコールと、を含み、
前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.37mol/kg以下であり、
前記電解液が、前記溶媒として水を添加しない電解液であることを特徴とする固体電解コンデンサ。
【請求項2】
前記多価アルコールが、エチレングリコールであることを特徴とする請求項1記載の固体電解コンデンサ。
【請求項3】
前記電解液が、ホウ酸およびマンニットをさらに含むことを特徴とする請求項1又は2記載の固体電解コンデンサ。
【請求項4】
前記固体電解コンデンサに含まれる水分量を3wt%以下としたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項5】
陽極箔と陰極箔と、をセパレータを介して巻回したコンデンサ素子を形成する工程と、
前記コンデンサ素子を、導電性高分子の分散体に浸漬後、乾燥させ、導電性高分子を含む固体電解質層を形成する工程と、
前記固体電解質層が形成されたコンデンサ素子を、溶質として少なくとも脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として少なくとも多価アルコールと、を含み、溶媒として水を添加しない電解液に浸漬し、前記コンデンサ素子内の空隙部に電解液を充填する工程と、
を含み、
前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.37mol/kg以下であることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項6】
陽極箔と陰極箔と、がセパレータを介して巻回されたコンデンサ素子を有し、
前記コンデンサ素子は、導電性高分子を含む固体電解質層を有し、
前記コンデンサ素子内の空隙部には、電解液が充填され、
前記電解液は、溶質として少なくとも脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として少なくとも多価アルコールと、を含み、
前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.26mol/kg以下であり、
前記電解液が、前記溶媒として水を添加しない電解液であり、
前記固体電解コンデンサに含まれる水分量を3wt%以下とし、
前記溶媒に対する前記溶質のアンモニウムイオンの添加量が0.26mol/kg以下であることを特徴とする固体電解コンデンサ。」

第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
令和4年11月7日付けの取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由の概要は、次のとおりである。
1)下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
2)下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
3)(新たな)請求項6に係る発明は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。


・理由1)(新規性)について
・請求項1−4について引用文献2

・理由2)(進歩性)について
・請求項5について引用文献2、3

・理由3)(サポート要件)について
本件発明6には「前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.6mol/kg以下」と記載されると共に「前記溶媒に対する前記溶質のアンモニウムイオンの添加量が0.26mol/kg以下」であると記載されている。
してみると、本件発明6は、酸の添加量が0.6ないし0.26mol/kgでアンモニウムイオンの添加量が0.26mol/kg以下の溶質等、酸の添加量とアンモニウムイオンの添加量が異なる溶質を含む。
これに対し、発明の詳細な説明の【0006】ないし【0008】等の記載によれば、本件発明が解決しようとする課題は、80WVを超える高圧において、ESR特性が良好な固体電解コンデンサを提供することである。そして、発明の詳細な説明には、【0046】ないし【0060】及び表1に、添加量0.6mol/kg以下で酸の添加量と同量のアンモニウムイオンが添加された実施例1ないし11が記載されると共に、【0038】等に酸の添加量を0.6mol/kg以下とすることで80WV以上の高圧において静電容量やESRの変化を抑制することができる旨の記載のあるものの、酸の添加量とアンモニウムイオンの添加量をそれぞれ異なるようにすること、及びアンモニウムイオンの添加量を0.26mol/kg以下とすることによる作用効果の記載や示唆は無い。
よって、本件発明6は、発明の詳細な説明において「発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲」を超えたものを含んでおり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

〈引用文献等〉
引用文献2:特開平11−283874号公報(甲第2号証)
引用文献3:特開2014−195116号公報(甲第4号証)

2 当審の判断
(1)理由1)(新規性)について
ア 引用文献の記載事項・引用発明
上記引用文献2の【0012】、【0036】、【0042】、【0048】、【0051】、【0078】の記載により、引用文献2には、実施の形態4のアルミニウム電解コンデンサに添加剤を混合したコンデンサとして以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているといえる。
「陽極アルミニウム箔と陰極アルミニウム箔との間にマニラ麻繊維を含有する電解紙を介在させて巻回した後、導電性高分子である化学重合ポリエチレンジオキシチオフェンよりなる電解質としての固体有機導電材層を電極箔上ならびに電極箔間に形成したコンデンサ素子(【0012】、【0048】、【0078】)、
このコンデンサ素子に電解液を含浸させ、コンデンサ素子を金属ケースに封入したアルミニウム電解コンデンサにおいて(【0048】)、
電解液は、重量部で、γ−ブチロラクトン(50部)、エチレングリコール(50部)、マレイン酸トリメチルアンモニウム(5部)[注釈:pH=9.5]、フタル酸水素トリエチルアミン(5部)[注釈:pH=9.5]、アジピン酸ジアンモニウム(3部)[注釈:pH=9.1]、硼酸(0.5部)、p−ニトロ安息香酸(1部)、リン酸(0.5部)、以上の化合物を混合、溶解したものであり(【0039】、【0042】、【0051】)、
電解液には、添加剤としてホウ酸と多糖類(マンニット、ソルビットなど)との錯化合物を混合した(【0036】)、
アルミニウム電解コンデンサ。」

また、上記引用文献2には、実施の形態4のアルミニウム電解コンデンサに添加剤を混合したコンデンサの製造方法として以下の発明(以下、「引用発明2’」という。)が記載されているといえる。
「陽極アルミニウム箔と陰極アルミニウム箔との間にマニラ麻繊維を含有する電解紙を介在させて巻回してコンデンサ素子を形成し(【0048】)、
このコンデンサ素子をエチレンジオキシチオフェンと硫酸第2鉄を含む水−エタノール溶液に浸漬−引き上げ−乾燥重合する工程を繰り返し、導電性高分子である化学重合ポリエチレンジオキシチオフェンよりなる電解質としての固体有機導電材層を電極箔上ならびに電極箔間に形成し(【0012】、【0048】、【0078】)、
その後、このコンデンサ素子に電解液を含浸させ(【0048】)、
このコンデンサ素子を金属ケースに封入する、アルミニウム電解コンデンサの製造方法において(【0048】)、
電解液は、重量部で、γ−ブチロラクトン(50部)、エチレングリコール(50部)、マレイン酸トリメチルアンモニウム(5部)[注釈:pH=9.5]、フタル酸水素トリエチルアミン(5部)[注釈:pH=9.5]、アジピン酸ジアンモニウム(3部)[注釈:pH=9.1]、硼酸(0.5部)、p−ニトロ安息香酸(1部)、リン酸(0.5部)、以上の化合物を混合、溶解したものであり(【0039】、【0042】、【0051】)、
電解液には、添加剤としてホウ酸と多糖類(マンニット、ソルビットなど)との錯化合物を混合した(【0036】)、
アルミニウム電解コンデンサの製造方法。」

イ 対比及び判断
(ア)本件発明1について
本件発明1と引用発明2とを対比する。
a 引用発明2の「陽極アルミニウム箔」、「陰極アルミニウム箔」はそれぞれ、本件発明1の「陽極箔」、「陰極箔」に相当する。また、引用発明2の「マニラ麻繊維を含有する電解紙」は「陽極アルミニウム箔と陰極アルミニウム箔との間に」介在させるものであるから、本件発明1の「セパレータ」に相当する。
そして、引用発明2の「陽極アルミニウム箔と陰極アルミニウム箔との間にマニラ麻繊維を含有する電解紙を介在させて巻回し」た「コンデンサ素子」は本件発明1の「陽極箔と陰極箔と、がセパレータを介して巻回されたコンデンサ素子」に相当する。

b 引用発明2の「導電性高分子である化学重合ポリエチレンジオキシチオフェンよりなる電解質としての固体有機導電材層」は本件発明1でいう「導電性高分子を含む固体電解質層」であり、引用発明2の「コンデンサ素子」が「導電性高分子である化学重合ポリエチレンジオキシチオフェンよりなる電解質としての固体有機導電材層を電極箔上ならびに電極箔間に形成した」ものであることは、本件発明1の「前記コンデンサ素子は、導電性高分子を含む固体電解質層を有」することに相当する。

c 引用発明2の「コンデンサ素子に電解液を含浸させ」たことは、含浸させた電解液がコンデンサ素子内の空隙部に充填されるのは明らかであるから、本件発明1の「前記コンデンサ素子内の空隙部には、電解液が充填され」ることに相当する。

d 引用発明2は「電解液は、γ−ブチロラクトン(50部)、エチレングリコール(50部)、マレイン酸トリメチルアンモニウム(5部)[注釈:pH=9.5]、フタル酸水素トリエチルアミン(5部)[注釈:pH=9.5]、アジピン酸ジアンモニウム(3部)[注釈:pH=9.1]、硼酸(0.5部)、p−ニトロ安息香酸(1部)、リン酸(0.5部)、以上の化合物を混合、溶解したもの」であるところ、エチレングリコールが多価アルコールの溶媒であることは明らかであり、また、アジピン酸アンモニウムが脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩の溶質であることは明らかである。
してみると、引用発明2の「電解液」は本件発明1の「前記電解液は、溶質として少なくとも脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として少なくとも多価アルコールと、を含」むことに相当する構成を有する。

e 引用発明2の「溶媒に対する溶質の酸の添加量」について検討する。
引用発明2は溶媒である「γ−ブチロラクトン(50部)、エチレングリコール(50部)」に少なくとも「マレイン酸トリメチルアンモニウム(5部)」、「フタル酸水素トリエチルアミン(5部)」、「アジピン酸ジアンモニウム(3部)」を混合、溶解しているから、溶媒1kg当たりマレイン酸トリメチルアンモニウムは50g、フタル酸水素トリエチルアミンは50g、アジピン酸アンモニウムは30g添加される。
ここで、マレイン酸トリメチルアンモニウムの分子量は232、フタル酸水素トリエチルアミンの分子量は267.32、アジピン酸アンモニウムの分子量は180.21であるから、引用発明2における溶媒に対するマレイン酸トリメチルアンモニウムの添加量は、(50/232)=0.22mol/kg、フタル酸水素トリエチルアミンの添加量は、(50/267.32)=0.19mol/kg、アジピン酸アンモニウムの添加量は、(30/180.21)=0.17mol/kgである。
してみると、引用発明2は、溶媒に対するマレイン酸の添加量は0.22mol/kg、フタル酸の添加量は0.19mol/kg、アジピン酸の添加量は0.17mol/kgといえるから、溶媒に対する酸の添加量は(0.22+0.19+0.17)=0.58mol/kgである。
したがって、引用発明2においてマレイン酸トリメチルアンモニウム、フタル酸水素トリエチルアミン、アジピン酸アンモニウムのみが溶質であるとすれば、引用発明2の溶媒に対する溶質の酸の添加量は0.58mol/kgである。
以上のことより、本件発明1は「前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.37mol/kg以下」であるのに対して、引用発明2は溶媒に対する溶質の酸の添加量は0.58mol/kg以上である点で相違する。

f 引用発明2の電解液は「γ−ブチロラクトン(50部)、エチレングリコール(50部)、マレイン酸トリメチルアンモニウム(5部)[注釈:pH=9.5]、フタル酸水素トリエチルアミン(5部)[注釈:pH=9.5]、アジピン酸ジアンモニウム(3部)[注釈:pH=9.1]、硼酸(0.5部)、p−ニトロ安息香酸(1部)、リン酸(0.5部)、以上の化合物を混合、溶解したもの」であるから水は添加されておらず、本件発明1の「前記電解液が、前記溶媒として水を添加しない電解液」に相当する。

g 引用発明2は「導電性高分子である化学重合ポリエチレンジオキシチオフェンよりなる電解質としての固体有機導電材層」を有するから、引用発明2の「アルミニウム電解コンデンサ」は本件発明1の「固体電解コンデンサ」に相当する。

h してみると、本件発明1と引用発明2とは、次の一致点及び相違点を有する。
〈一致点〉
「陽極箔と陰極箔と、がセパレータを介して巻回されたコンデンサ素子を有し、
前記コンデンサ素子は、導電性高分子を含む固体電解質層を有し、
前記コンデンサ素子内の空隙部には、電解液が充填され、
前記電解液は、溶質として少なくとも脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として少なくとも多価アルコールと、を含み、
前記電解液が、前記溶媒として水を添加しない電解液であることを特徴とする固体電解コンデンサ。」

〈相違点1〉
本件発明1は「前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.37mol/kg以下」であるのに対して、引用発明2は溶媒に対する溶質の酸の添加量は0.58mol/kg以上である点。

i 以上のように、本件発明1は引用発明2とは上記相違点1を有するので、本件の請求項1に係る発明は引用文献2に記載された発明ではない。
したがって、本件の請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項第3号に該当せず、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものでない。

(イ)本件発明2ないし4について
本件発明2ないし4は本件発明1の上記相違点1に係る構成を備えたものであるから、本件発明1と同じ理由により、本件の請求項2ないし4に係る発明は引用文献2に記載された発明ではない。
したがって、本件の請求項2ないし4に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当せず、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものでない。

(ウ)本件発明6について
本件発明6は、訂正前の請求項4のうち請求項1を引用するものについて独立形式に改めると共に訂正前の請求項1にあった「電解液」について限定したものであるから、引用文献2に基づく新規性について検討する。
本件発明6は「前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.26mol/kg以下」との構成を有するものである。
これに対して、上記「(ア)e」で検討したように引用発明2は溶媒に対する溶質の酸の添加量は0.58mol/kg以上である。
してみると、本件発明6は「前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.26mol/kg以下」であるのに対して、引用発明2は溶媒に対する溶質の酸の添加量は0.58mol/kg以上である点で相違する。
よって、本件発明6は引用発明2とは上記の点で相違するので、本件の請求項6に係る発明は引用文献2に記載された発明ではない。
したがって、本件の請求項6に係る特許は、特許法第29条第1項第3号に該当せず、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものでない。

(2)理由2)(進歩性)について
本件発明5と引用発明2’とを対比する。
ア 引用発明2’の「陽極アルミニウム箔」、「陰極アルミニウム箔」、「陽極アルミニウム箔と陰極アルミニウム箔との間に」介在させる「マニラ麻繊維を含有する電解紙」はそれぞれ、本件発明5の「陽極箔」、「陰極箔」、「セパレータ」に相当する。
そして、引用発明2’の「コンデンサ素子」は「陽極アルミニウム箔と陰極アルミニウム箔との間にマニラ麻繊維を含有する電解紙を介在させて巻回した」ものであるから、引用発明2’は本件発明5の「陽極箔と陰極箔と、をセパレータを介して巻回したコンデンサ素子を形成する工程」に相当する構成を有する。

イ 引用発明2’の「導電性高分子である化学重合ポリエチレンジオキシチオフェンよりなる電解質としての固体有機導電材層」は本件発明5でいう「導電性高分子を含む固体電解質層」であり、引用発明2’の「コンデンサ素子をエチレンジオキシチオフェンと硫酸第2鉄を含む水−エタノール溶液に浸漬−引き上げ−乾燥重合する工程を繰り返し、導電性高分子である化学重合ポリエチレンジオキシチオフェンよりなる電解質としての固体有機導電材層を電極箔上ならびに電極箔間に形成」することは、本件発明5と「前記コンデンサ素子」に「導電性高分子を含む固体電解質層を形成する工程」である点で共通する。
ただし、固体電解質層を形成する工程が、本件発明5は「コンデンサ素子を、導電性高分子の分散体に浸漬後、乾燥させ」るのに対し、引用発明2’は導電性高分子の分散体を用いるものではない点で相違する。

ウ 引用発明2’は、コンデンサ素子に固体有機導電体層を形成した後「このコンデンサ素子に電解液を含浸させ」るところ、含浸させた電解液がコンデンサ素子内の空隙部に充填されるのは明らかであるから、本件発明5の「前記固体電解質層が形成されたコンデンサ素子を」「電解液に浸漬し、前記コンデンサ素子内の空隙部に電解液を充填する工程」に相当する。
また、引用発明2’の「電解液は、γ−ブチロラクトン(50部)、エチレングリコール(50部)、マレイン酸トリメチルアンモニウム(5部)[注釈:pH=9.5]、フタル酸水素トリエチルアミン(5部)[注釈:pH=9.5]、アジピン酸ジアンモニウム(3部)[注釈:pH=9.1]、硼酸(0.5部)、p−ニトロ安息香酸(1部)、リン酸(0.5部)、以上の化合物を混合、溶解したもの」であるところ、エチレングリコールが多価アルコールの溶媒であること、アジピン酸アンモニウムが脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩の溶質であることは明らかである。また、引用発明2’では電解液には水は添加されていない。してみると、引用発明2’の「電解液は、γ−ブチロラクトン(50部)、エチレングリコール(50部)、マレイン酸トリメチルアンモニウム(5部)[注釈:pH=9.5]、フタル酸水素トリエチルアミン(5部)[注釈:pH=9.5]、アジピン酸ジアンモニウム(3部)[注釈:pH=9.1]、硼酸(0.5部)、p−ニトロ安息香酸(1部)、リン酸(0.5部)、以上の化合物を混合、溶解したもの」であることは、本件発明5の「溶質として少なくとも脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として少なくとも多価アルコールと、を含み、溶媒として水を添加しない電解液」に相当する。
以上のことより、引用発明2’は、本件発明5の「前記固体電解質層が形成されたコンデンサ素子を、溶質として少なくとも脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として少なくとも多価アルコールと、を含み、溶媒として水を添加しない電解液に浸漬し、前記コンデンサ素子内の空隙部に電解液を充填する工程」に相当する構成を有する。

エ 上記「(1)イ(ア)e」で検討したのと同様に、引用発明2’の溶媒に対する溶質の酸の添加量は0.58mol/kg以上である。
してみると、本件発明5は「前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.37mol/kg以下」であるのに対して、引用発明2’は溶媒に対する溶質の酸の添加量は0.58mol/kg以上である点で相違する。

オ 上記イのように、引用発明2’は「導電性高分子である化学重合ポリエチレンジオキシチオフェンよりなる電解質としての固体有機導電材層」を有するから、引用発明2’の「アルミニウム電解コンデンサの製造方法」は本件発明5の「固体電解コンデンサの製造方法」に相当する。

カ してみると、本件発明5と引用発明2’とは、次の一致点及び相違点を有する。
〈一致点〉
「陽極箔と陰極箔と、をセパレータを介して巻回したコンデンサ素子を形成する工程と、
前記コンデンサ素子に導電性高分子を含む固体電解質層を形成する工程と、
前記固体電解質層が形成されたコンデンサ素子を、溶質として少なくとも脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として少なくとも多価アルコールと、を含み、溶媒として水を添加しない電解液に浸漬し、前記コンデンサ素子内の空隙部に電解液を充填する工程と、
を含む固体電解コンデンサの製造方法。」

〈相違点2〉
固体電解質層を形成する工程が、本件発明5は「コンデンサ素子を、導電性高分子の分散体に浸漬後、乾燥させ」るのに対し、引用発明2’は導電性高分子の分散体を用いるものではない点。
〈相違点3〉
本件発明5は「前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.37mol/kg以下」であるのに対して、引用発明2’は溶媒に対する溶質の酸の添加量は0.58mol/kg以上である点。

キ 事案に鑑み相違点3について検討する。
引用文献2には、溶媒に対する溶質の酸の添加量を所定値以下に調整することは記載も示唆もされていない。
また、引用文献3の【0046】には、「コンデンサ素子の陽極箔と陰極箔の間に成形する個体誘電体層にPEDOT(ポリ3,4エチレンジオキシチオフェン)を用いる場合、PEDOTを分散させた分散体溶液にコンデンサ素子を浸漬した後、引き上げ、乾燥させることによって形成する」技術(以下、「引用文献3記載の技術」という。)が記載されているものの、溶媒に対する溶質の酸の添加量を0.37mol/kg以下とすることは記載も示唆もされていない。
したがって、上記相違点3に係る構成を得ることは、引用発明2’及び引用文献3に記載された技術に基づいて、当業者が容易になし得たこととはいえない。
そして、本件明細書段落【0038】、【表1】及び【表3】の記載を考慮すれば、本件発明5は溶媒に対する溶質の酸の添加量を0.37mol/kg以下に特定することにより、80WV以上の高圧において、静電容量やESRの変化を抑制することができるものである。
したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明5は引用発明2’および引用文献3に記載の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、本件の請求項5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものでない。

(3)理由3)(サポート要件)について
本件訂正による本件発明6は「前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.26mol/kg以下であり」「前記溶媒に対する前記溶質のアンモニウムイオンの添加量が0.26mol/kg以下」との構成を有するものであり、酸の添加量が0.6ないし0.26mol/kgでアンモニウムイオンの添加量が0.26mol/kg以下の溶質は含まれないものとなった。
そして、本件の発明の詳細な説明には、実施例1、2として「前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.26mol/kg以下であり」「前記溶媒に対する前記溶質のアンモニウムイオンの添加量が0.26mol/kg以下」の電解液が記載されている。
よって、本件の請求項6に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されており、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしている。

第5 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
1 申立人の主張
申立人は特許異議申立書において、概略次のように主張している。
(1)請求項1、2、4及び5に係る発明は甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1、2、4及び5に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(2)請求項3に係る発明は甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項4に係る発明は甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項3及び4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

甲第1号証:特開2015−2274号公報
甲第2号証:特開平11−283874号公報
甲第3号証:特開2011−82314号公報

2 当審の判断
(1)特許法第29条第1項の規定違反について
ア 甲第1号証の記載事項等
上記甲第1号証の【0011】の「導電率(電気伝導度)が通常の電解液(通常、導電率が3mS/cm以上)」との記載を考慮すれば、甲第1号証の【0149】―【0150】に記載された導電率3.3mS/cmの「調製例15(比較例用)」の電解液は、電解コンデンサに通常用いられる電解液であるものと認められる。
そして、甲第1号証の【0075】、【0149】、【0163】―【0166】の記載により、甲第1号証には、調製例15の電解液を用いた巻回型アルミニウム電解コンデンサとして以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。
「アルミニウム箔の表面をエッチング処理した後、化成処理を行ってアルミニウムの酸化被膜からなる誘電体層を形成した陽極にリード端子を取り付け、また、アルミニウム箔からなる陰極にリード端子を取り付け、それらのリード端子付き陽極と陰極とをセパレータを介して巻回した、コンデンサ素子と(【0163】)、
上記コンデンサ素子を導電性高分子の分散液に浸漬し、5分後に取り出し、150℃で30分間乾燥してコンデンサ素子の誘電体層上に設けた導電性高分子からなる電解質とを有し(【0075】、【0164】)、
導電性高分子を設けたコンデンサ素子を電解液に浸漬し、コンデンサ素子に電解液を含浸させた巻回型アルミニウム電解コンデンサにおいて(【0165】、【0166】)、
電解液はエチレングリコール500gに50gのアジピン酸アンモニウムを添加したものである(【0149】)、
巻回型アルミニウム電解コンデンサ。」

また、甲第1号証には、調製例15の電解液を用いた巻回型アルミニウム電解コンデンサの製造方法として以下の発明(以下、「甲1’発明」という。)が記載されているといえる。
「アルミニウム箔の表面をエッチング処理した後、化成処理を行ってアルミニウムの酸化被膜からなる誘電体層を形成した陽極にリード端子を取り付け、また、アルミニウム箔からなる陰極にリード端子を取り付け、それらのリード端子付き陽極と陰極とをセパレータを介して巻回して、コンデンサ素子を作製し(【0163】)、
上記コンデンサ素子を導電性高分子の分散液に浸漬し、5分後に取り出し、150℃で30分間乾燥してコンデンサ素子の誘電体層上に導電性高分子からなる電解質を設け(【0075】、【0164】)、
次に、導電性高分子を設けたコンデンサ素子を電解液に浸漬し、コンデンサ素子に電解液を含浸させ、5分後に取り出し、これを外装材で外装する、巻回型アルミニウム電解コンデンサの製造方法において(【0165】、【0166】)、
電解液はエチレングリコール500gに50gのアジピン酸アンモニウムを添加したものとする(【0149】)、
巻回型アルミニウム電解コンデンサの製造方法。」

イ 対比及び判断
(ア)本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを対比する。
a 甲1発明の「アルミニウム箔の表面をエッチング処理した後、化成処理を行ってアルミニウムの酸化被膜からなる誘電体層を形成した陽極」、「アルミニウム箔からなる陰極」、「セパレータ」はそれぞれ、本件発明1の「陽極箔」、「陰極箔」、「セパレータ」に相当する。そして、甲1発明の「陽極と陰極とをセパレータを介して巻回した、コンデンサ素子」は本件発明1の「陽極箔と陰極箔と、がセパレータを介して巻回されたコンデンサ素子」に相当する。

b 本件明細書の【0019】の「固体電解質層は、コンデンサ素子10を、導電性高分子分散体に浸漬後、乾燥させることにより形成することができる。」との記載を考慮すれば、甲1発明の「コンデンサ素子を導電性高分子の分散液に浸漬し、5分後に取り出し、150℃で30分間乾燥してコンデンサ素子の誘電体層上に設けた導電性高分子からなる電解質とを有」することは、本件発明1の「前記コンデンサ素子は、導電性高分子を含む固体電解質層を有し」に相当する。

c 甲1発明の「導電性高分子を設けたコンデンサ素子を電解液に浸漬し、コンデンサ素子に電解液を含浸させ」たことは、含浸させた電解液がコンデンサ素子内の空隙部に充填されるのは明らかであるから、本件発明1の「前記コンデンサ素子内の空隙部には、電解液が充填され」ることに相当する。

d 甲1発明は「電解液はエチレングリコール500gに50gのアジピン酸アンモニウムを添加したものである」ところ、エチレングリコールが多価アルコールの溶媒であることは明らかであり、また、アジピン酸アンモニウムが脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩の溶質であることは明らかである。
してみると、甲1発明の「電解液」は本件発明1の「前記電解液は、溶質として少なくとも脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として少なくとも多価アルコールと、を含み」に相当する構成を有する。

e 甲1発明は「エチレングリコール500gに50gのアジピン酸アンモニウムを添加」しているから、エチレングリコール1kg当たりアジピン酸アンモニウムは100g添加される。ここで、アジピン酸アンモニウムの分子量は180.21であるから、甲1発明におけるエチレングリコール(溶媒)に対するアジピン酸アンモニウム(溶質)の添加量は、(100/180.21)=0.55mol/kgである。
してみると、甲1発明は、溶媒に対する溶質の酸であるアジピン酸の添加量は0.55mol/kgである。
したがって、本件発明1は「前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.37mol/kg以下」であるのに対して、甲1発明は溶媒に対する溶質の酸の添加量は0.55mol/kgである点で相違する。

f 甲1発明の「電解液はエチレングリコール500gに50gのアジピン酸アンモニウムを添加したもの」であり甲第1号証の記載を参照しても水を添加する旨の記載は認められないから、甲1発明の「電解液」は本件発明1の「前記電解液が、前記溶媒として水を添加しない電解液である」に相当する。

g 上記bのように、甲1発明は、本件発明1でいう「導電性高分子を含む固体電解質層」である「導電性高分子からなる電解質」を有するから、甲1発明の「巻回型アルミニウム電解コンデンサ」は本件発明1の「固体電解コンデンサ」に相当する。

h してみると、本件発明1と甲1発明とは、次の一致点及び相違点を有する。
〈一致点〉
「陽極箔と陰極箔と、がセパレータを介して巻回されたコンデンサ素子を有し、
前記コンデンサ素子は、導電性高分子を含む固体電解質層を有し、
前記コンデンサ素子内の空隙部には、電解液が充填され、
前記電解液は、溶質として少なくとも脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として少なくとも多価アルコールと、を含み、
前記電解液が、前記溶媒として水を添加しない電解液であることを特徴とする固体電解コンデンサ。」

〈相違点4〉
本件発明1は「前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.37mol/kg以下」であるのに対して、甲1発明は溶媒に対する溶質の酸の添加量は0.55mol/kgである点。

i 以上のように、本件発明1は甲1発明とは上記相違点4を有するので、本件の請求項1に係る発明は甲第1号証に記載された発明ではない。
したがって、本件の請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項第3号に該当せず、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものでない。

(イ)本件発明2及び4について
本件発明2及び4は本件発明1の上記相違点4に係る構成を備えたものであるから、本件発明1と同じ理由により、本件の請求項2及び4に係る発明は甲第1号証に記載された発明ではない。
したがって、本件の請求項2及び4に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当せず、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものでない。

(ウ)本件発明5について
本件発明5と甲1’発明とを対比する。
a 甲1’発明の「アルミニウム箔の表面をエッチング処理した後、化成処理を行ってアルミニウムの酸化被膜からなる誘電体層を形成した陽極」、「アルミニウム箔からなる陰極」、「セパレータ」はそれぞれ、本件発明5の「陽極箔」、「陰極箔」、「セパレータ」に相当する。そして、甲1’発明の「陽極と陰極とをセパレータを介して巻回して、コンデンサ素子を作製」することは本件発明5の「陽極箔と陰極箔と、をセパレータを介して巻回したコンデンサ素子を形成する工程」に相当する。

b 本件明細書の【0019】の「固体電解質層は、コンデンサ素子10を、導電性高分子分散体に浸漬後、乾燥させることにより形成することができる。」との記載を考慮すれば、甲1’発明の「コンデンサ素子を導電性高分子の分散液に浸漬し、5分後に取り出し、150℃で30分間乾燥してコンデンサ素子の誘電体層上に導電性高分子からなる電解質を設け」ることは、本件発明5の「前記コンデンサ素子を、導電性高分子の分散体に浸漬後、乾燥させ、導電性高分子を含む固体電解質層を形成する工程」に相当する。

c 甲1’発明の「導電性高分子を設けたコンデンサ素子を電解液に浸漬し、コンデンサ素子に電解液を含浸させ」ることは、含浸させた電解液がコンデンサ素子内の空隙部に充填されるのは明らかであるから、本件発明5の「前記固体電解質層が形成されたコンデンサ素子を」「電解液に浸漬し、前記コンデンサ素子内の空隙部に電解液を充填する工程」に相当する。
また、甲1’発明の「電解液はエチレングリコール500gに50gのアジピン酸アンモニウムを添加したものである」ところ、エチレングリコールが多価アルコールの溶媒であることは明らかであり、アジピン酸アンモニウムが脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩の溶質であることは明らかである。また、甲第1号証の記載を参照しても、水を添加する旨の記載は認められないから、甲1’発明の電解液には水は添加されていない。してみると、甲1’発明の「電解液」は、本件発明5の「脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として多価アルコールと、を含み、溶媒として水を添加しない電解液」に相当する。
以上のことより、甲1’発明は、本件発明5の「前記固体電解質層が形成されたコンデンサ素子を、溶質として少なくとも脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として少なくとも多価アルコールと、を含み、溶媒として水を添加しない電解液に浸漬し、前記コンデンサ素子内の空隙部に電解液を充填する工程」に相当する構成を有する。

d 上記「(ア)e」で検討したのと同様に、甲1’発明は溶媒に対する溶質の酸であるアジピン酸の添加量は0.55mol/kgである。
したがって、本件発明5は「前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.37mol/kg以下」であるのに対して、甲1’発明は溶媒に対する溶質の酸の添加量は0.55mol/kgである点で相違する。

e 甲1’発明は、本件発明5でいう「導電性高分子を含む固体電解質層」である「導電性高分子からなる電解質」を有するから、甲1’発明の「巻回型アルミニウム電解コンデンサの製造方法」は本件発明5の「固体電解コンデンサの製造方法」に相当する。

f してみると、本件発明5と甲1’発明とは、次の一致点及び相違点を有する。
〈一致点〉
「陽極箔と陰極箔と、をセパレータを介して巻回したコンデンサ素子を形成する工程と、
前記コンデンサ素子を、導電性高分子の分散体に浸漬後、乾燥させ、導電性高分子を含む固体電解質層を形成する工程と、
前記固体電解質層が形成されたコンデンサ素子を、溶質として少なくとも脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として少なくとも多価アルコールと、を含み、溶媒として水を添加しない電解液に浸漬し、前記コンデンサ素子内の空隙部に電解液を充填する工程と、
を含む固体電解コンデンサの製造方法。」

〈相違点5〉
本件発明5は「前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.37mol/kg以下」であるのに対して、甲1’発明は溶媒に対する溶質の酸の添加量は0.55mol/kgである点。

g 以上のように、本件発明5は甲1’発明とは上記相違点5を有するので、本件の請求項5に係る発明は甲第1号証に記載された発明ではない。
したがって、本件の請求項5に係る特許は、特許法第29条第1項第3号に該当せず、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものでない。

(エ)本件発明6について
本件発明6は、訂正前の請求項4のうち請求項1を引用するものについて独立形式に改めると共に訂正前の請求項1にあった「電解液」について限定したものであるから、甲第1号証に基づく新規性について検討する。
本件発明6は「前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.26mol/kg以下」との構成を有するものである。
これに対して、上記「(ア)e」で検討したように甲1発明は溶媒に対する溶質の酸の添加量は0.55mol/kgである。
してみると、本件発明6は「前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.26mol/kg以下」であるのに対して、甲1発明は溶媒に対する溶質の酸の添加量は0.55mol/kgである点で相違する。
よって、本件発明6は甲1発明とは上記の点で相違するので、本件の請求項6に係る発明は甲第1号証に記載された発明ではない。
したがって、本件の請求項6に係る特許は、特許法第29条第1項第3号に該当せず、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものでない。

(2)特許法第29条第2項の規定違反について
本件発明3及び4は本件発明1を引用したものであるから、本件発明1の上記相違点4に係る構成を備えたものである。
甲第1号証には、溶媒に対する溶質の酸の添加量を所定値以下に調整することは記載も示唆もされていない。
また、甲第2号証の【0036】には、「電解コンデンサの電解液に、添加剤としてホウ酸と多糖類(マンニット)との錯化合物を混合し、アルミニウム電解コンデンサにおいてアルミ酸化皮膜の修復性を改善する」技術が、甲第3号証の【0125】には、「水分量が0.1〜7質量%の範囲であれば、静電容量とESRが両立する」ことが記載されているものの、溶媒に対する溶質の酸の添加量を0.37mol/kg以下とすることは記載も示唆もされていない。
したがって、上記相違点4に係る構成を得ることは、甲1発明、甲第2号証に記載された技術及び甲第3号証に記載された技術に基づいて、当業者が容易になし得たこととはいえない。
そして、本件明細書段落【0038】、【表1】及び【表3】の記載を考慮すれば、本件発明3及び4は溶媒に対する溶質の酸の添加量を0.37mol/kg以下に特定することにより、80WV以上の高圧において、静電容量やESRの変化を抑制することができるものである。
したがって、本件発明3は甲1発明および甲第2号証に記載の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。また、本件発明4は甲1発明および甲第3号証に記載の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、本件の請求項3及び4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものでない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した異議申立理由によっては、請求項1ないし6に係る特許を取り消すことはできない。さらに、ほかに請求項1ないし6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (54)【発明の名称】固体電解コンデンサおよび固体電解コンデンサの製造方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体電解コンデンサおよびその製造方法に係り、特に、80WV以上の高圧用途に好適な固体電解コンデンサ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル化された電気機器に対して電力供給用途として使用される固体電解コンデンサには、小型化および大容量化が強く望まれている。アルミニウム等のような弁作用を有する金属を利用した固体電解コンデンサは、陽極箔としての弁作用金属をエッチング箔等の形状にして誘電体を拡面化することにより、小型で大きな容量を得ることができることから、広く一般に用いられている。
【0003】
小型、大容量用途の固体電解コンデンサは、一般に、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔と陰極箔とをセパレータを介在させて巻回して形成されたコンデンサ素子を有する。固体電解コンデンサは、コンデンサ素子に駆動用電解液を含浸し、アルミニウム等の金属製ケースや合成樹脂製のケースにコンデンサ素子を収納し、密閉した構造を有している。なお、陽極材料としては、アルミニウムを初めとしてタンタル、ニオブ、チタン等が使用され、陰極材料には、陽極材料と同種の金属が用いられる。
【0004】
また、固体電解コンデンサに用いられる固体電解質としては、二酸化マンガンや7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られているが、近年、反応速度が緩やかで、かつ陽極箔の酸化皮膜層との密着性に優れたポリエチレンジオキシチオフェン(以下、PEDOTと記す)等の導電性ポリマーに着目した技術(特許文献1)が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−15611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車載用や一般電源回路用の固体電解コンデンサとしては、25WVや63WV程度の低圧用途のものが用いられている。しかし、近年では、80WV以上の高圧用途に使用すべく、高温でのESR特性が良好な固体電解コンデンサが要望されている。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、80WV以上の高圧用途での特性に優れた固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記課題を解決すべく、種々検討を重ねた結果、80WVを超える高圧領域において、コンデンサ素子に充填する電解液の溶質として脂肪族カルボン酸を用いることでESR特性が良好になるとの知見を得、この知見に基づき本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明の固体電解コンデンサは、陽極箔と陰極箔と、がセパレータを介して巻回されたコンデンサ素子を有し、前記コンデンサ素子は、導電性高分子を含む固体電解質層を有し、前記コンデンサ素子内の空隙部には、電解液が充填され、前記電解液は、溶質として少なくとも脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として少なくとも多価アルコールと、を含み、前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.37mol/kg以下であり、前記電解液が、前記溶媒として水を添加しない電解液であることを特徴とする。
【0010】
前記多価アルコールが、エチレングリコールであっても良い。前記電解液が、前記溶媒として水を含まない非水系電解液であっても良い。前記電解液が、ホウ酸およびマンニットをさらに含んでいても良い。
【0011】
また、前記のような固体電解コンデンサを製造するための方法も本発明の1態様である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、80WV以上の高圧用途での特性に優れた固体電解コンデンサおよび固体電解コンデンサの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態の固体電解コンデンサの構成の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[1.構成]
以下、本実施形態の固体電解コンデンサについて図1を参照して詳細に説明する。図1に示す通り、固体電解コンデンサは、陽極箔1と陰極箔2と、がセパレータ3を介して巻回されたコンデンサ素子10を有する。固体電解コンデンサは、コンデンサ素子10を電解液とともに、図示しない有底筒状の外装ケースに収納し、封止することにより作製される。
【0015】
陽極箔1は、表面に誘電体皮膜を有する弁金属箔からなる。弁金属箔としてはアルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン等を用いることができる。弁金属箔の表面は、塩化物水溶液中で電気化学的なエッチング処理を行い粗面化することで、表面積が拡大されていても良い。また、誘電体皮膜は、例えば酸化アンモニウムやホウ酸アンモニウム等を用いて化成処理を行うことで形成することができる。陰極箔2は、陽極箔1と同様の弁金属箔からなる。陰極箔も、エッチング処理により表面が粗面化されていても良い。また、陰極箔2に、必要に応じて化成処理により薄い誘電体皮膜(1〜10V程度)を形成しても良い。以下、陽極箔1と陰極箔2をまとめて電極箔と表現する場合がある。電極箔の寸法は、製造する固体電解コンデンサの仕様に応じて任意に設定することができる。
【0016】
陽極箔1と陰極箔2には、図1に示す通り、それぞれの電極を外部に接続するためのリード線4,5が、例えばステッチや超音波溶接等により接続されている。リード線4,5は、アルミニウム等を用いて形成されている。リード線4,5は、陽極箔1と陰極箔2において外部との電気的な接続を行う電極引き出し手段であり、巻回したコンデンサ素子の端面から導出される。
【0017】
セパレータ3としては、合成繊維を主体とする不織布や、ガラス繊維を用いることができる。合成繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維等が挙げられ、これらの繊維を単独または混合して用いても良い。また天然繊維からなるセパレータを用いても良い。セパレータ3は、陽極箔1および陰極箔2の寸法に応じて、これよりやや大きい幅寸法のものを用いればよい。
【0018】
以上のようにして形成したコンデンサ素子10は、修復化成が行われていても良い。コンデンサ素子の巻回において電極箔に機械的ストレスがかかり、誘電体皮膜に亀裂等の損傷が生じることがある。修復化成において、コンデンサ素子10を化成液中に浸漬して化成することによって、亀裂が発生した部分に誘電体皮膜が形成され、損傷を修復することができる。化成液としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のリン酸系の化成液、ホウ酸アンモニウム等のホウ酸系の化成液、アジピン酸アンモニウム等のアジピン酸系の化成液を用いることができる。この中でも、特に、リン酸二水素アンモニウムを用いることが好ましい。
【0019】
コンデンサ素子10には、固体電解質層が形成されている。具体的には、固体電解質層は、セパレータ3と電極箔に形成されている。固体電解質層は、コンデンサ素子10を、導電性高分子分散体に浸漬後、乾燥させることにより形成することができる。導電性高分子分散体への浸漬・乾燥工程を複数回繰り返し行ってもよい。導電性高分子分散体は、導電性高分子の粒子が溶媒に分散した溶液である。導電性高分子としては、例えばPEDOTの粉末を用いることができる。また、溶媒に、ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸の固形分を含めても良い。
【0020】
導電性高分子分散体の溶媒は、導電性高分子の粒子または粉末が溶解するものであれば良く、主として水が用いられる。ただし、必要に応じて分散体の溶媒としてエチレングリコールを単独又は混合して用いても良い。分散体の溶媒としてエチレングリコールを用いると、製品の電気的特性のうち、特にESRを低減できることが判明している。なお、導電性高分子分散体の含浸性、電導度の向上のため、導電性高分子分散体に各種添加剤を添加したり、カチオン添加による中和を行っても良い。特に、添加剤としてソルビトールまたはソルビトールおよび多価アルコールを用いると、ESRを低減し、鉛フリーリフロー等による耐電圧特性の劣化を防止することができる。
【0021】
また、導電性高分子の濃度は、水溶液に対して1〜10wt%とすることができる。導電性高分子の粒子には、導電性高分子の一次粒子や、導電性高分子化合物及びドーパントが凝集した凝集物(二次粒子)やそれらの粉末も含まれる。
【0022】
具体的には、導電性高分子としては、チオフェンまたはその誘導体の粒子と高分子スルホン酸からなるドーパントの固形分を混合したものを用いることが好ましい。導電性高分子分散体は、重合性モノマーであるチオフェンまたはその誘導体をドーパントとなる高分子スルホン酸の存在下で水中または水性液中で酸化重合することによって得られる。導電性高分子であるチオフェンまたはその誘導体におけるチオフェンの誘導体としては、例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3−アルキルチオフェン、3−アルコキシチオフェン、3−アルキル−4−アルコキシチオフェン、3,4−アルキルチオフェン、3,4−アルコキシチオフェンなどが挙げられる。そのアルキル基やアルコキシ基の炭素数は1〜16が適しているが、特に3,4−エチレンジオキシチオフェンが好ましい。また、チオフェンに限らず、ピロールやその誘導体を用いても良い。これらの重合性モノマーから得られた導電性高分子として特に好ましいものは、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリピロールが挙げられる。
【0023】
固体電解質層が形成されたコンデンサ素子10は、電解液に浸漬され、コンデンサ素子10内の空隙部に電解液が充填される。電解液をコンデンサ素子10に充填する場合、その充填量は、コンデンサ素子10内の空隙部に電解液を充填できれば任意であるが、コンデンサ素子10内の空隙部の3〜100%が好ましい。
【0024】
本実施形態の電解液は、溶媒として水を含まない非水系電解液が用いられる。本明細書において、非水系電解液とは電解液作製時に水を添加しない電解液である。非水系電解液を用いると、溶媒として水を含む水系電解液を用いた場合と比較してESRの増加を抑制することができる。ただし、製造工程において空気中やセパレータ中に含まれる水分が固体電解コンデンサに混入するが、この固体電解コンデンサに含まれる水分量を3wt%以下に制御できれば、ESRが増加するおそれはない。
【0025】
電解液に使用できる溶媒としては、その沸点が120℃以上の溶媒を用いると、電解液が揮発しにくいため好ましい。溶媒の例としては、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールなどの多価アルコール、スルホラン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、グリセリン、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールなどの低分子量の多価アルコールがよい。特に、エチレングリコールを含む溶媒を用いると、初期のESR特性が良好となり、さらに高温特性も良好となる。また、混合溶媒中におけるエチレングリコールの添加量は、好ましくは5wt%以上、さらに好ましくは40wt%以上、最も好ましくは60wt%以上である。
【0026】
また、溶媒としてγ−ブチロラクトンを所定量添加させることで、電解液のコンデンサ素子10への含浸性を改善できる。比較的粘性の高いエチレングリコールと粘性が低いγ−ブチロラクトンを用いることで、コンデンサ素子10への含浸性を高められる。よって、初期特性及び長時間の使用での良好な特性を維持するとともに、低温での充放電特性が良好となる。混合溶媒中におけるγ−ブチロラクトンの添加量は、好ましくは、40wt%以下である。
【0027】
さらに、イオン伝導性物質のエチレングリコール溶媒に、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホランから選ばれる少なくとも1種の溶媒を追加的に用いてもよい。これらスルホラン系の溶媒は高沸点であるため、電解液の揮発を抑制し、高温特性が良好になる。混合溶媒中のこれらスルホラン系の溶媒の添加量は、好ましくは、40wt%以下である。
【0028】
電解液の溶質としては、脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩を含む。脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩を用いると、耐圧特性が改善されるため良い。この脂肪族カルボン酸としては、アゼライン酸、アジピン酸、1,6−デカンジカルボン酸、1,7−オクタンジカルボン酸、7−メチル−7−メトキシカルボニル−1,9−デカンジカルボン酸、7,9−ジメチル−7,9−ジメトキシカルボニル−1,11−ドデカンジカルボン酸、7,8−ジメチル−7,8−ジメトキシカルボニル−1,14−テトラデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、その他に脂肪族モノカルボン酸や、脂肪族トリカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸を用いることができる。これらの脂肪族カルボン酸は、単独で又は混合して用いても良い。また、脂肪族カルボン酸は、分子量が150以上のものを用いることが好ましい。脂肪族カルボン酸の分子量が大きくなると、固体電解コンデンサの耐圧特性がさらに改善される。また、溶質として脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩以外のものを含んでも良いが、脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩を主溶質として用いることが好ましい。ここで、主溶質とは溶質全体に対して50wt%以上を占めることを指す。
【0029】
上記電解液においては、後述する実施例の結果からも明らかなとおり、溶媒に対する溶質の酸の添加量は0.6mol/kg以下とすることが好ましい。溶媒に対する溶質の酸の添加量を0.6mol/kg以下とすることで、80WV以上の高圧において、負荷試験における静電容量やESRの変化を抑制することができる。
【0030】
さらに、電解液の添加剤として、ポリオキシエチレングリコール、ホウ酸と多糖類(マンニット、ソルビットなど)との錯化合物、ホウ酸と多価アルコールとの錯化合物、ニトロ化合物(o−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノールなど)、リン酸エステルなどが挙げられる。この中でも、特にホウ酸およびマンニットを添加することで、負荷試験において静電容量やESRの変化をさらに抑制することができるため好適である。
【0031】
[2.固体電解コンデンサの製造方法]
上記のような本実施形態の固体電解コンデンサの製造方法は、以下の工程を含む。
(1)コンデンサ素子を形成する工程
(2)コンデンサ素子に、固体電解質層を形成する工程
(3)コンデンサ素子内の空隙部に、電解液を充填させる工程
(4)固体電解コンデンサを形成する工程
【0032】
以下、各工程について、詳細に説明する。
(1)コンデンサ素子を形成する工程
コンデンサ素子10を形成する工程では、陽極箔1と陰極箔2と、をセパレータ3を介して巻回したコンデンサ素子10を形成する。陽極箔1は、例えば、アルミニウムなどの平板状の弁作用金属箔をエッチング処理し、さらに化成処理により誘電体皮膜を形成したエッチング箔により形成する。陰極箔2は、例えば陽極箔1と同様に平板状の金属箔をエッチング処理したエッチング箔により形成する。陽極箔1と陰極箔2には、それぞれリード線4,5が接続される。コンデンサ素子10は、以上のような陽極箔1と陰極箔2とを、セパレータ3を間に挟むようにして巻き取ることで形成されている。なお、形成されたコンデンサ素子10を、修復液に浸漬して修復化成を行っても良い。浸漬時間は、5〜120分とすることが好ましい。
【0033】
(2)コンデンサ素子に、固体電解質層を形成する工程
コンデンサ素子10を、導電性高分子分散体に浸漬後、乾燥させ、固体電解質層7を形成する。コンデンサ素子10を導電性高分子分散体に浸漬する時間は、コンデンサ素子10の大きさによって決まるが、直径5mm×高さ3mm程度のコンデンサ素子では5秒以上、直径9mm×高さ5mm程度のコンデンサ素子では10秒以上が望ましく、最低でも5秒間は浸漬することが必要である。なお、長時間浸漬しても特性上の弊害はない。また、このように浸漬した後、減圧状態で保持すると好適である。その理由は、揮発性溶媒の残留量が少なくなるためであると考えられる。導電性高分子分散体の含浸ならびに乾燥は、必要に応じて複数回行ってもよい。
【0034】
コンデンサ素子10に導電性高分子分散体を浸漬した後、所定温度でコンデンサ素子10を乾燥する。乾燥温度は100〜160℃、乾燥時間は0.5〜3時間が好ましい。この乾燥工程を経ることで、導電性高分子を含む固体電解質層がコンデンサ素子10中、特にエッチング箔のエッチングピット内の誘電体皮膜の上に形成される。
【0035】
(3)コンデンサ素子内の空隙部に、電解液を充填させる工程
固体電解質層7が形成されたコンデンサ素子10を電解液に浸漬し、コンデンサ素子10内の空隙部に電解液を充填させる。
【0036】
(4)固体電解コンデンサを形成する工程
コンデンサ素子10は、電解液とともに外装ケースに挿入され、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止する。その後、エージングを行い、固体電解コンデンサを作製する。また外装ケース以外にも、コンデンサ素子10をエポキシ樹脂などの絶縁性樹脂により外装を被覆し、エージングを行い固体電解コンデンサを作製することもできる。
【0037】
[3.作用効果]
(1)本実施形態の固体電解コンデンサは、陽極箔1と陰極箔2と、がセパレータ3を介して巻回されたコンデンサ素子10を有し、コンデンサ素子10は、固体電解質層を有し、コンデンサ素子10内の空隙部には、電解液が充填され、電解液は、溶質として脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として多価アルコールと、を含み、溶媒に対する溶質の酸の添加量が0.6mol/kg以下である。
【0038】
以上の通り、電解液は、溶質として脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として多価アルコールと、を含む。溶質として脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩を用いた場合、80WV以上の高圧において耐圧特性が改善される。また、溶媒に対する溶質の酸の添加量を0.6mol/kg以下とすることで、80WV以上の高圧において、静電容量やESRの変化を抑制することができる。
【0039】
エチレングリコールなどの多価アルコールを含む溶媒を用いた場合、エチレングリコールを含まない溶媒を用いた場合と比較して、初期のESRが低下するとともに、長時間の使用において静電容量の変化率(ΔCap)が小さいことが判明している。その理由は、エチレングリコールなどの多価アルコールは、導電性ポリマーのポリマー鎖の伸張を促進する効果があるため、電導度が向上し、ESRが低下すると考えられる。
【0040】
特に、溶質として脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩を用い、溶媒としてエチレングリコールなどの多価アルコールを用いた電解液においては、固体電解コンデンサが熱雰囲気下に晒されることで電解液中のエステル化反応によって多価アルコールとカルボン酸のエステルが生成される。アミン塩などにおいては、このエステル化反応によってアミニウムイオンがプロトンを失ってガス化するが、沸点が高いため、コンデンサケース内に残留し、この結果電解液のpHが過剰に変化することになり、導電性高分子の劣化が生じ易くなる。しかし、本発明のように溶質として用いた脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩においては、エステル化によってアンモニウムイオンがプロトンを失ってガス化して蒸散していくため、熱雰囲気下に晒されることで電解液のpHの過剰な変化が生じにくく、導電性高分子の劣化が低減されると考えられる。
【0041】
また、種々の溶質を評価した結果、脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩は、電解液としての化成性の向上に加え、導電性高分子との相性が良く、高温耐久試験における固体電解質層を劣化させにくいものと考えられ、これは溶質濃度が低いほど固体電解質層の劣化が抑制されるものと考えられる。以上のように、本実施形態によれば、80WV以上の高圧用途での特性に優れた固体電解コンデンサおよび固体電解コンデンサの製造方法を提供することができる。
【0042】
(2)多価アルコールが、エチレングリコールであっても良い。
γ−ブチロラクトンやスルホランよりも、エチレングリコールのようなヒドロキシル基を有するプロトン性溶媒の方がセパレータや電極箔、導電性ポリマーとの親和性が高い。そのため、固体電解コンデンサ使用時の電解液が揮発する過程において、セパレータや電極箔、導電性高分子と電解液との間で電荷の受け渡しが行われやすく、静電容量変化率(ΔCap)が小さくなると考えられる。
【0043】
(3)電解液が、溶媒として水を含まない非水系電解液であっても良い。
溶媒として水を含む水系電解液を用いると、電極箔や固体電解質層の導電性高分子に劣化が生じ、ESRが上昇するおそれがある。本実施形態では溶媒として水を含まない非水系電解液を用いているため、水系電解液を用いた場合と比較してESRの増加を抑制することができる。
【0044】
(4)電解液が、ホウ酸およびマンニットをさらに含んでいても良い。
電解液にホウ酸およびマンニットを添加することにより、負荷試験において静電容量やESRの変化をさらに抑制することができる。
【0045】
(5)脂肪族カルボン酸の分子量が150以上であっても良い。
分子量が150以上の脂肪族カルボン酸を用いることで、80WVを超える高圧における耐圧特性をさらに改善することができる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0047】
(1)固体電解コンデンサの耐圧試験(定格電圧80WV)
まず、定格電圧80WVの固体電解コンデンサの耐圧試験を行うため、以下の固体電解コンデンサを作製した。
【0048】
〈実施例1の固体電解コンデンサの作製〉
表面に誘電体皮膜層が形成された陽極箔と、陰極箔と、に電極引き出し手段であるリード線を接続し、両電極箔をマニラ系セパレータを介して巻回し、素子形状が直径8mm×高さ10mmのコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子をリン酸二水素アンモニウム水溶液に40分間浸漬して、修復化成を行った。
【0049】
その後、PEDOTの粒子と、ポリスチレンスルホン酸と、を水溶液に分散した導電性高分子分散体を作製した。コンデンサ素子を導電性高分子分散体に浸漬し、コンデンサ素子を引き上げて150℃で30分間乾燥した。コンデンサ素子は、導電性高分子分散体への浸漬および乾燥が複数回繰り返され、コンデンサ素子に導電性高分子からなる固体電解質層を形成した。
【0050】
次に、エチレングリコールに対して、アゼライン酸アンモニウム塩を添加して電解液を作製した。アゼライン酸アンモニウム塩の添加量の内訳は、溶媒に対しアゼライン酸を0.09mol/kg、アンモニウムイオンを0.09mol/kgであった。また、添加剤として、電解液中にリン酸エステルおよびP−ニトロ安息香酸を合計2wt%添加した。コンデンサ素子を作製した電解液に浸漬した後、有底筒状の外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した。その後、電圧印加によってエージングを行い、固体電解コンデンサを形成した。なお、この固体電解コンデンサの定格容量は39μFである。
【0051】
〈実施例2の固体電解コンデンサの作製〉
アゼライン酸アンモニウム塩の添加量の内訳を、アゼライン酸を0.26mol/kg、アンモニウムイオンを0.26mol/kgとしたこと以外は、実施例1と同様に作製した。
【0052】
〈実施例3の固体電解コンデンサの作製〉
アゼライン酸アンモニウム塩の添加量の内訳を、アゼライン酸を0.37mol/kg、アンモニウムイオンを0.37mol/kgとしたこと以外は、実施例1と同様に作製した。
【0053】
〈実施例4の固体電解コンデンサの作製〉
アゼライン酸アンモニウム塩の添加量の内訳を、アゼライン酸を0.60mol/kg、アンモニウムイオンを0.60mol/kgとしたこと以外は、実施例1と同様に作製した。
【0054】
〈実施例5の固体電解コンデンサの作製〉
電解液の添加剤として、リン酸エステル、p−ニトロ安息香酸、ホウ酸、およびマンニットを合計2.8wt%添加したこと以外は、実施例1と同様に作製した。
【0055】
〈実施例6の固体電解コンデンサの作製〉
アゼライン酸アンモニウム塩を、アジピン酸アンモニウム塩とした。アジピン酸アンモニウム塩の添加量の内訳を、アジピン酸を0.06mol/kg、アンモニウムイオンを0.06mol/kgとした。それ以外は、実施例1と同様に作製した。
【0056】
〈実施例7の固体電解コンデンサの作製〉
アジピン酸アンモニウム塩の添加量の内訳を、アジピン酸を0.10mol/kg、アンモニウムイオンを0.10mol/kgとしたこと以外は、実施例6と同様に作製した。
【0057】
〈実施例8の固体電解コンデンサの作製〉
アジピン酸アンモニウム塩の添加量の内訳を、アジピン酸を0.16mol/kg、アンモニウムイオンを0.16mol/kgとしたこと以外は、実施例6と同様に作製した。
【0058】
〈実施例9の固体電解コンデンサの作製〉
アジピン酸アンモニウム塩の添加量の内訳を、アジピン酸を0.20mol/kg、アンモニウムイオンを0.20mol/kgとしたこと以外は、実施例6と同様に作製した。
【0059】
〈実施例10の固体電解コンデンサの作製〉
アゼライン酸アンモニウム塩を、1,6−デカンジカルボン酸アンモニウム塩とした。1,6−デカンジカルボン酸アンモニウム塩の添加量の内訳を、1,6−デカンジカルボン酸を0.09mol/kg、アンモニウムイオンを0.09mol/kgとした。それ以外は、実施例1と同様に作製した。なお、この固体電解コンデンサの定格容量は22μFである。
【0060】
〈実施例11の固体電解コンデンサの作製〉
アゼライン酸アンモニウム塩を、1,7−オクタンジカルボン酸アンモニウム塩、7−メチル−7−メトキシカルボニル−1,9−デカンジカルボン酸アンモニウム塩、7,9−ジメチル−7,9−ジメトキシカルボニル−1,11−ドデカンジカルボン酸アンモニウム塩、7,8−ジメチル−7,8−ジメトキシカルボニル−1,14−テトラデカンジカルボン酸アンモニウム塩とした。溶質の添加量の内訳を、1,7−オクタンジカルボン酸を0.05mol/kg、7−メチル−7−メトキシカルボニル−1,9−デカンジカルボン酸を0.01mol/kg、7,9−ジメチル−7,9−ジメトキシカルボニル−1,11−ドデカンジカルボン酸を0.01mol/kg、7,8−ジメチル−7,8−ジメトキシカルボニル−1,14−テトラデカンジカルボン酸を0.02mol/kg、アンモニウムイオンを0.09mol/kgとした。それ以外は、実施例1と同様に作製した。なお、この固体電解コンデンサの定格容量は22μFである。
【0061】
〈比較例1の固体電解コンデンサの作製〉
アゼライン酸アンモニウム塩を、フタル酸トリエチルアミン塩とした。フタル酸トリエチルアミン塩の添加量の内訳を、フタル酸を0.60mol/kg、トリエチルアミンを0.47mol/kgとした。それ以外は、実施例1と同様に作製した。
【0062】
〈比較例2の固体電解コンデンサの作製〉
アゼライン酸アンモニウム塩を、アゼライン酸トリエチルアミン塩とした。アゼライン酸トリエチルアミン塩の添加量の内訳を、アゼライン酸を0.60mol/kg、トリエチルアミンを0.47mol/kgとした。それ以外は、実施例1と同様に作製した。
【0063】
〈比較例3の固体電解コンデンサの作製〉
アゼライン酸アンモニウム塩の添加量の内訳を、アゼライン酸を0.81mol/kg、アンモニウムイオンを0.81mol/kgとしたこと以外は、実施例1と同様に作製した。
【0064】
以上のようにして作製した固体電解コンデンサに電圧を印加し、80WVの固体電解コンデンサに必要な誘電体皮膜の皮膜耐圧まで電圧が上昇するかを確認した結果を表1に示す。表1において、マル印は電極箔の皮膜耐圧まで電圧が上昇した固体電解コンデンサである。また、バツ印は電極箔の皮膜耐圧まで電圧が上昇せずにショートした固体電解コンデンサである。
【表1】

【0065】
表1からも明らかな通り、アゼライン酸を用いた実施例1〜5、アジピン酸を用いた実施例6〜9、1,6−デカンジカルボン酸を用いた実施例10、および複数の脂肪族カルボン酸の混合溶質を用いた実施例11の全てにおいて、電極箔の皮膜耐圧まで電圧が上昇した。また、実施例1から11と同様に、脂肪族カルボン酸を用いた比較例2および3についても、電極箔の皮膜耐圧まで電圧が上昇した。しかし、芳香族カルボン酸であるフタル酸を用いた比較例1では、電極箔の皮膜耐圧まで電圧が上昇せずにショートした。
【0066】
(2)固体電解コンデンサの耐圧試験(定格電圧100WV)
次に、定格電圧100WVの固体電解コンデンサの耐圧試験を行うため、以下の固体電解コンデンサをさらに作製した。
【0067】
〈実施例12の固体電解コンデンサの作製〉
固体電解コンデンサの定格容量を18μFとした以外は、実施例4と同様に作製した。
【0068】
〈実施例13の固体電解コンデンサの作製〉
アゼライン酸アンモニウム塩を、アジピン酸アンモニウム塩とした。アジピン酸アンモニウム塩の添加量の内訳を、アジピン酸を0.60mol/kg、アンモニウムイオンを0.60mol/kgとした。それ以外は、実施例12と同様に作製した。
【0069】
以上のようにして作製した固体電解コンデンサに電圧を印加し、100WVの固体電解コンデンサに必要な誘電体皮膜の皮膜耐圧まで電圧が上昇するかを確認した結果を表2に示す。表2において、マル印は電極箔の皮膜耐圧まで電圧が上昇した固体電解コンデンサである。また、バツ印は電極箔の皮膜耐圧まで電圧が上昇せずにショートした固体電解コンデンサである。
【表2】

【0070】
表2からも明らかな通り、100WVの耐圧試験では、アゼライン酸を用いた実施例12では、電極箔の皮膜耐圧まで電圧が上昇した。一方、アジピン酸を用いた実施例13では、電極箔の皮膜耐圧まで電圧が上昇せずにショートした。アジピン酸を用いた固体電解コンデンサは、80WVの耐圧試験では皮膜耐圧まで電圧が上昇したが、100WVでは電圧が上昇せずショートした。これは、アジピン酸の分子量が146.1であることに原因があると考えられる。100WVの耐圧試験においても結果が良好であったアゼライン酸の分子量は188.22である。よって、脂肪族カルボン酸の分子量が大きくなると、固体電解コンデンサの耐圧特性が向上することが分かる。特に、分子量が150以上であると耐圧特性が向上されることがわかった。
【0071】
(3)初期および負荷試験後のコンデンサ特性
上記実施例1〜11、比較例2および3の固体電解コンデンサについて、初期のESRおよび誘電損失(tanδ)を測定した。なお、誘電損失は120kHz(20℃)、ESR特性は100kHz(20℃)における値を示す。また、上述の通り、実施例1〜9、比較例2および3の容量は39μF、実施例10および11の容量は22μFである。
【0072】
さらに、各固体電解コンデンサについて、125℃において定格電圧80WVで高温負荷試験を行い、500時間経過後および1500時間経過後のESR変化率(ΔESR)、および誘電損失変化率(Δtanδ)を算出した。表3に500時間経過後の結果を示す。
【表3】

【0073】
表3からも明らかな通り、負荷試験500時間経過後の結果では、ホウ酸およびマンニットを添加した実施例5において、ESR変化率および誘電損失変化率が最も低い値となった。実施例1〜4より、溶質の酸の添加量が増加するにつれ、誘電損失変化率およびESR変化率が大きくなることがわかった。また、アゼライン酸を0.81mol/kg添加した比較例3において、ESRの変化率が高くなった。一方、溶質の酸の添加量が0.6mol/kg以下の実施例1〜11、および比較例2では、ESR変化率が比較例3よりも小さい値となった。
【0074】
次に、表4に、1500時間経過後の結果を示す。
【表4】

【0075】
表4からも明らかな通り、負荷試験1500時間経過後の結果においても、他の実施例および比較例と比較して、ホウ酸およびマンニットを添加した実施例5において、ESR変化率および誘電損失変化率が最も低い値となった。さらに、実施例1〜4より、溶質の酸の添加量が増加するにつれ、誘電損失変化率およびESR変化率が増大することがわかった。また、脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩を用いず、トリエチルアミン塩を用いた比較例2において、誘電損失変化率およびESR変化率の値が著しく上昇した。一方、脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩を用いた実施例1〜9では、ESR変化率および誘電損失変化率が比較例2よりも小さい値となった。
【0076】
また、アゼライン酸を0.81mol/kg添加した比較例3において、ESR変化率に加え、誘電損失変化率も高い結果となった。一方、脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩を添加し、かつ、溶質の酸の添加量が0.6mol/kg以下の実施例1〜9では、ESR変化率および誘電損失変化率が比較例3よりも小さい値となった。
【符号の説明】
【0077】
1 陽極箔
2 陰極箔
3 セパレータ
4,5 リード線
10 コンデンサ素子
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極箔と陰極箔と、がセパレータを介して巻回されたコンデンサ素子を有し、
前記コンデンサ素子は、導電性高分子を含む固体電解質層を有し、
前記コンデンサ素子内の空隙部には、電解液が充填され、
前記電解液は、溶質として少なくとも脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として少なくとも多価アルコールと、を含み、
前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.37mol/kg以下であり、
前記電解液が、前記溶媒として水を添加しない電解液であることを特徴とする固体電解コンデンサ。
【請求項2】
前記多価アルコールが、エチレングリコールであることを特徴とする請求項1記載の固体電解コンデンサ。
【請求項3】
前記電解液が、ホウ酸およびマンニットをさらに含むことを特徴とする請求項1又は2記載の固体電解コンデンサ。
【請求項4】
前記固体電解コンデンサに含まれる水分量を3wt%以下としたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項5】
陽極箔と陰極箔と、をセパレータを介して巻回したコンデンサ素子を形成する工程と、
前記コンデンサ素子を、導電性高分子の分散体に浸漬後、乾燥させ、導電性高分子を含む固体電解質層を形成する工程と、
前記固体電解質層が形成されたコンデンサ素子を、溶質として少なくとも脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として少なくとも多価アルコールと、を含み、溶媒として水を添加しない電解液に浸漬し、前記コンデンサ素子内の空隙部に電解液を充填する工程と、
を含み、
前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.37mol/kg以下であることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項6】
陽極箔と陰極箔と、がセパレータを介して巻回されたコンデンサ素子を有し、
前記コンデンサ素子は、導電性高分子を含む固体電解質層を有し、
前記コンデンサ素子内の空隙部には、電解液が充填され、
前記電解液は、溶質として少なくとも脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩と、溶媒として少なくとも多価アルコールと、を含み、
前記溶媒に対する前記溶質の酸の添加量が0.26mol/k以下であり、
前記電解液が、前記溶媒として水を添加しない電解液であり、
前記固体電解コンデンサに含まれる水分量を3wt%以下とし、
前記溶媒に対する前記溶質のアンモニウムイオンの添加量が0.26mol/kg以下であることを特徴とする固体電解コンデンサ。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2023-04-26 
出願番号 P2020-125042
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (H01G)
P 1 651・ 121- YAA (H01G)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 篠原 功一
特許庁審判官 畑中 博幸
山田 正文
登録日 2021-10-25 
登録番号 6965970
権利者 日本ケミコン株式会社
発明の名称 固体電解コンデンサおよび固体電解コンデンサの製造方法  
代理人 片桐 貞典  
代理人 木内 加奈子  
代理人 木内 光春  
代理人 木内 光春  
代理人 弁理士法人みのり特許事務所  
代理人 片桐 貞典  
代理人 大熊 考一  
代理人 大熊 考一  
代理人 木内 加奈子  

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