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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  G06Q
審判 全部申し立て 2項進歩性  G06Q
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G06Q
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G06Q
管理番号 1399439
総通号数 19 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2023-07-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2023-05-01 
確定日 2023-07-06 
異議申立件数
事件の表示 特許第7163519号発明「生理用品提供装置のためのアプリ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第7163519号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 結 論
特許第7163519号の請求項1〜2に係る特許を維持する。

理 由
第1 手続の経緯
特許第7163519号の請求項1〜2に係る特許についての出願は、2021年(令和3年)11月10を国際出願日とする出願である特願2021−569482号(優先権主張 2020年(令和2年)11月27日)の一部を令和4年2月22日に新たな特許出願としたものであって、令和4年10月21日にその特許権の設定登録がされ、同年10月31日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1〜2に係る特許に対し、令和5年5月1日に特許異議申立人 家田 亘久(以下「申立人」という。)が、特許異議の申立てを行った。

第2 本件発明
特許第7163519号の請求項1〜2に係る発明(以下「本件発明1〜2」等という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1〜2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
生理用品を提供するディスペンサに対して生理用品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末にインストールされたアプリであって、
前記ユーザ端末が備える通信機能を使って、前記ディスペンサから発せられるビーコン信号を受信し、
受信した前記ビーコン信号が所定強度以上であるか否かを判定し、
前記所定強度以上であると判定した場合、前記生理用品の提供を求める提供要求を生成し、
前記提供要求は、前記ユーザのユーザIDと、前記ディスペンサのディスペンサIDと、前記ビーコン信号とを含む、アプリ。
【請求項2】
前記ビーコン信号は、暗号化に使用される共有鍵と現在時刻のハッシュである、請求項1に記載のアプリ。」

第3 申立理由の概要
1 申立理由1
本件発明1は、甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に規定する要件を満たしていないため、請求項1に係る特許は、取り消されるべきものである。
2 申立理由2
本件発明1〜2は、下記甲1〜甲4に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項に規定する要件を満たしていないため、請求項1〜2に係る特許は、取り消されるべきものである。
3 申立理由3
請求項1〜2に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたから、取り消されるべきものである。
4 申立理由4
請求項1〜2に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたから、取り消されるべきものである。
5 申立理由5
請求項1〜2に係る特許は、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたから、取り消されるべきものである。
(2)証拠方法
甲1:特開2020−173823号公報
甲2:特開平7−302386号公報
甲3:特開2002−177105号公報
甲4:国際公開第2018/042668号

第4 各甲号証の記載
1 甲1(特開2020−173823号公報)について
(1)甲1には、次の記載がある。(なお、下線は合議体が付与した。以下、同様。)
「【0002】
自動販売機(または、より広範には「自動小売機」)は、最も広範な意味においては、数千年前から存在する。最初の単純な機械式コイン対応自動販売機は、1880年代に導入された。最新の自動販売機は、多数の異なる種類の製品を貯蔵する。これには、飲料(たとえば、水、ジュース、コーヒー、およびソーダ)、食用製品/品目(たとえば、軽食、キャンディ、果物、および冷凍食品)、および幅広い種類の非食用品目が含まれるが、これらに限定されない。この速いペースの世界において、自動販売機は至るところに存在する。」

「【0028】
デバイスおよびシステムの例
図1は、一部の実装に係る支払処理システム100のブロック図である。一部の実装によると、支払処理システム100は、モバイルデバイス104−1、104−2で実行されるクライアント側処理102−1、102−2(以下、「クライアント側モジュール102」)と、サーバシステム108(本明細書では、「サーバ」とも呼ぶ)で実行されるサーバ側処理106(以下、「サーバ側モジュール106」)と、自動小売機122に結合された支払モジュール124とを含む。クライアント側モジュール102は、支払処理システム100のクライアント側機能と、サーバ側モジュール106および支払モジュール124の両方との通信を提供する。一部の実装形態では、クライアント側モジュール102に関連付けられたアプリケーションが、支払処理システム100へのユーザインターフェイスをモバイルデバイス104に提供する。クライアント側モジュール102は、長距離通信プロトコル(たとえば、GSM、CDMA、Wi−Fi等)を介して、1つまたは複数のネットワーク110を通じてサーバ側モジュール106と通信し、またクライアント側モジュール102は、短距離通信プロトコル(たとえば、近距離通信(NFC)、Bluetooh(登録商標)、Bluetooh低エネルギー(BLE)等)を介して支払モジュール124と通信する。サーバ側モジュール106は、支払処理システム100のサーバ側機能を、それぞれが各モバイルデバイス104に常駐する任意の数のクライアントモジュール102に提供する。」

「【0035】
図2は、一部の実装に係る、ユーザに関連するモバイルデバイス104のブロック図である。モバイルデバイス104は、典型的には、1つまたは複数の処理装置(CPU)202と、2つ以上の通信デバイス204と、メモリ206と、これらの構成要素(チップセットとも呼ばれる)を相互接続する1つまたは複数の通信バス208とを含む。2つ以上の通信デバイス204は、短距離通信プロトコル(たとえば、NFC、BLE等)に関連付けられた第1の送受信機と、長距離通信プロトコル(たとえば、GSM、CDMA、Wi−Fi等)に関連付けられた第2の送受信機とを含む。モバイルデバイス104は、ユーザインターフェイス210をさらに含む。ユーザインターフェイス210は、メディアコンテンツ(たとえば、テキスト、画像、音声、ビデオ等)の提示を可能にする1つまたは複数の出力デバイス212を含む。これには、1つもしくは複数のスピーカおよび/または1つもしくは複数の視覚的ディスプレイが含まれる。ユーザインターフェイス210は、キーボード、マウス、音声コマンド入力ユニットもしくはマイク、タッチスクリーンディスプレイ、タッチ感応入力パッド、ジェスチャキャプチャカメラ、または他の入力ボタンもしくはコントロールなどのユーザ入力を容易にするユーザインターフェイス構成要素を含む、1つまたは複数の入力デバイス214をさらに含む。さらに、一部の実装形態では、モバイルデバイス104は、マイクと音声認識、またはカメラとジェスチャ認識を使用して、キーボードを補足または置換する。一部の実装形態では、モバイルデバイス104は、モバイルデバイス104の現在の状態またはモバイルデバイス104に関連する環境条件に関するコンテキスト情報を提供する1つまたは複数のセンサ215を任意選択で含む。1つまたは複数のセンサ215は、1つまたは複数のマイク、1つまたは複数のカメラ、環境光センサ、1つまたは複数の加速度計、1つまたは複数のジャイロスコープ、温度センサ、1つまたは複数の運動センサ、1つまたは複数の生体認証/生物センサ等を含むが、これらに限定されない。一部の実装形態では、モバイルデバイス104は、モバイルデバイス104の位置を判断するために、GPS(全地球測位衛星)または他の地理位置情報受信機などの位置検出デバイス217を任意選択で含む。
【0036】
メモリ206は、DRAM、SRAM、DDR RAM、または他のランダムアクセスソリッドステートメモリデバイスなどの高速ランダムアクセスメモリを含み、任意選択で、1つもしくは複数の磁気ディスクストレージデバイス、1つもしくは複数の光ディスクストレージデバイス、1つもしくは複数のフラッシュメモリデバイス、または1つもしくは複数の他の不揮発性ソリッドステートストレージデバイスなどの不揮発性メモリを含む。メモリ206は、任意選択で、1つまたは複数の処理装置202から離れて配置された1つまたは複数のストレージデバイスを含む。メモリ206、または代替でメモリ206内の不揮発性メモリは、一時的でないコンピュータ可読記憶媒体を含む。一部の実装形態では、メモリ206、またはメモリ206の一時的でないコンピュータ可読記憶媒体は、以下のプログラム、モジュール、およびデータ構造、またはそれらのサブセットもしくはスーパーセットを格納する。
●さまざまな基本システムサービスを処理し、ハードウェア依存タスクを実行する手続きを含む、オペレーティングシステム216
●2つ以上の通信デバイス204を介して、他のデバイス(たとえば、サーバシステム108および支払モジュール124)との間で信号を送受信する、通信モジュール218
●モバイルデバイス104でユーザインターフェイス210に関連付けられた1つまたは複数の出力デバイス212(たとえば、ディスプレイ、スピーカ等)を介して情報(たとえば、アプリケーション226もしくはクライアント側モジュール102に関連付けられたアプリケーションのユーザインターフェイス、ウィジット、ウェブサイトおよびそのウェブページ、ならびに/またはゲーム、音声、および/もしくはビデオコンテンツ、テキスト等)の提示を可能にする、提示モジュール220
●1つもしくは複数のユーザ入力または1つもしくは複数の入力デバイス214からの対話操作を検出し、検出された入力もしくは対話操作を解釈する、入力処理モジュール222
●ウェブサイトおよびそのウェブページを移動し、(HTTPを介して)要求し、表示する、ウェブブラウザモジュール224
●モバイルデバイス104により実行される1つまたは複数のアプリケーション226(たとえば、ゲーム、アプリケーションマーケットプレイス、支払プラットフォーム、および/または他のウェブベースもしくは非ウェブベースのアプリケーション)
●以下を含むがこれらに限定されない支払処理システム100のクライアント側データ処理および機能を提供する、クライアント側モジュール102
○第1の送受信機を介して、各支払モジュール124によりブロードキャストされた情報パケットを受信する、ブロードキャスト取得モジュール230。情報パケットは、各支払モジュール124に対応する一意識別子(すなわち、デバイスID)と、各支払モジュール124が結合された自動小売機122とのトランザクションを開始するための認可コードとを少なくとも含む
○第2の送受信機を介して認可コードを含むトランザクション認可要求をサーバシステム108に送信し、各支払モジュール124が結合された自動小売機122とのトランザクションを開始するために、第2の送受信機を介して認可コードを含む認可付与トークンをサーバシステム108から受信し、受信した認可付与トークンを(たとえば、ユーザデータ264に)格納する、トランザクション認可モジュール232
○第2の送受信機を介して、(たとえば、クライアント側モジュール102に関連付けられたアプリケーションへのトランザクション認可要求の送信に応じて、または別のタイミングで)サーバシステム108から販促提案を取得し(すなわち、受信または取り出し)、サーバシステムから取得した販促提案を提案データベース266に格納し、任意選択で、複数の要因(たとえば、デバイスID、ユーザIDおよび履歴、モバイルデバイス104の現在の位置、現在の日付/時刻等)の1つまたは複数に基づいて1つまたは複数の販促提案を判断し、1つまたは複数の販促提案を1つまたは複数の出力デバイス212(たとえば、ディスプレイ)を介してモバイルデバイスのユーザに提示し、モバイルデバイス104のユーザに提示される1つまたは複数の販促提案の1つを選択するユーザ入力を検出する、提案モジュール234
○各支払モジュール124が結合された自動小売機122とのトランザクションを開始するためのトリガを検出する、トリガ検出モジュール236(たとえば、トリガは、モバイルデバイス104のユーザによるジェスチャまたは他のユーザ入力、支払モジュール124から観察されるRSSIに基づく支払ゾーンへのモバイルデバイス104の入り込み、各販促提案の選択等である)
○第1の送受信機を介して、格納された認可付与トークンを各支払モジュール124に送信することにより、各支払モジュール124に結合された自動小売機122とのトランザクションを開始する、トランザクション開始モジュール238
○第1の送受信機を介して、支払モジュール124からトランザクション完了通知を受信する、トランザクション完了通知受信モジュール240。トランザクション完了通知は、トランザクション状態情報(たとえば、自動小売機122とのトランザクションが成功したか、中止されたか、または失敗したかを示す)、トランザクション詳細情報(たとえば、認可コード、トランザクションの金額、トランザクションに関連付けられた商品/製品、トランザクションが完了した時刻/日付、トランザクションエラー情報等)の1つまたは複数を含み、任意選択で、中断されたトランザクション情報、状態フラグ、在庫情報、過去の貨幣トランザクション情報、他のキャッシュレストランザクション情報など、各支払モジュール124および/または各支払モジュール124が結合された自動小売機122に関する他の諸情報を含む
○1つまたは複数の出力デバイス212を介して、各販促提案を検証するために、販売された製品の製品コードを取得するよう促すプロンプトをモバイルデバイス104のユーザに提供し、販売された製品の製品コードを取得し(たとえば、モバイルデバイス104のユーザが製品コードを手動で入力する、モバイルデバイス104のユーザが製品コードが抽出される販売製品の画像をキャプチャする、モバイルデバイス104のユーザがクライアント側モジュール102に関連付けられたアプリケーションのスキャナプラグインを使用して製品コードを取得する、など)、製品コードを検証するかまたは第2の送受信機を介して取得された製品コードをサーバシステム108に送信して検証させる、製品コード処理モジュール242
○第2の送受信機を介して、支払モジュール124からサーバシステム108に情報(たとえば、トランザクション状態情報、トランザクション詳細情報、各支払モジュール124および/または各支払モジュール124が結合された自動小売機122に関するその他の諸情報等)を送信する、情報リレーモジュール244
○第2の送受信機を介して、販促検証情報をサーバシステム108から受信し、1つまたは複数の出力デバイス212(たとえば、ディスプレイ)を介して、販促検証情報をモバイルデバイスのユーザに提示する、提案検証モジュール246
○サーバシステム108がトランザクション状態情報およびトランザクション詳細情報を受信および処理したことを確認する確認情報を、第1の送受信機を介して支払モジュール124に送信する、確認モジュール248
●支払処理システム100に関連する、以下を含むがこれらに限定されないデータを格納する、クライアントデータ260
○モバイルデバイス104のユーザの情報を格納する、ユーザプロファイル262。これには、一意ユーザ識別子(すなわち、ユーザID)、ログイン資格情報(すなわち、ユーザ名またはハンドルとパスワード)、トランザクション履歴、支払データ(たとえば、口座残高、リンクされたクレジットカードまたは銀行情報、アプリクレジットまたはギフトカード残高、請求先住所、配送先住所等)、連絡先情報(たとえば、電子メールアドレス、電話番号等)、ユーザのカスタムパラメータ(たとえば、年齢、所在地、趣味等)、ユーザの識別された傾向および/または好き/嫌い等が含まれるが、これらに限定されない
○トランザクション履歴情報、認可付与トークン等を格納する、ユーザデータ264
○製造業者、販売業者、小売業者等により提供された販促提案を格納する、提案データベース266」

「【0038】
図3は、一部の実装に係るサーバシステム108を示すブロック図である。サーバシステム108は、典型的には、1つまたは複数の処理装置(CPU)112と、1つまたは複数の通信デバイス304(たとえば、1つまたは複数のクライアント118へのI/Oインターフェイスを含む)と、メモリ306と、これらの構成要素(チップセットとも呼ばれる)を相互接続する1つまたは複数の通信バス308とを含む。メモリ306は、DRAM、SRAM、DDR RAM、または他のランダムアクセスソリッドステートメモリデバイスなどの高速ランダムアクセスメモリを含み、任意選択で、1つもしくは複数の磁気ディスクストレージデバイス、1つもしくは複数の光ディスクストレージデバイス、1つもしくは複数のフラッシュメモリデバイス、または1つもしくは複数の他の不揮発性ソリッドステートストレージデバイスなどの不揮発性メモリを含む。メモリ306は、任意選択で、1つまたは複数の処理装置112から離れて配置された1つまたは複数のストレージデバイスを含む。メモリ306、または代替でメモリ306内の不揮発性メモリは、一時的でないコンピュータ可読記憶媒体を含む。一部の実装形態では、メモリ306、またはメモリ306の一時的でないコンピュータ可読記憶媒体は、以下のプログラム、モジュール、およびデータ構造、またはそれらのサブセットもしくはスーパーセットを格納する。
●さまざまな基本システムサービスを処理し、ハードウェア依存タスクを実行する手続きを含む、オペレーティングシステム310
●1つまたは複数の通信デバイス304を介して、モバイルデバイス104との間で信号を送受信する、ネットワーク通信モジュール312
●以下を含むがこれらに限定されない支払処理システム100のサーバ側データ処理および機能を提供する、サーバ側モジュール106
○各モバイルデバイス104から、各支払モジュール124に関連付けられたデバイスIDと認可コードとを含むトランザクション要求を受信し、トランザクション要求を検証する、トランザクション認可モジュール314
○各支払モジュール124のデバイスIDにリンクされた暗号化/復号キーを識別し、識別された暗号化/復号キーで認可コードを復号し、識別された暗号化/復号キーで認可付与トークンを暗号化する、暗号化/復号モジュール316
○複数の要因(たとえば、トランザクション要求に含まれるデバイスID、各モバイルデバイス104のユーザに関連付けられたユーザIDおよび履歴、各モバイルデバイス104の現在の位置、現在の時刻/日付等)の1つまたは複数に基づいて、1つまたは複数の販促提案を判断する、提案判断モジュール318
○トランザクション要求が検証されたという判断に応じて、認可付与トークンと、1つまたは複数の販促提案とを各モバイルデバイス104に送信し、トランザクションが完了したときに確認情報を各モバイルデバイス104に送信する、送信モジュール320
○各モバイルデバイス104から情報を受信する、受信モジュール322。これには、製品コードおよび対応する選択された販促提案、各トランザクションのトランザクション状態情報、各トランザクションのトランザクション詳細情報、および/または他の諸情報が含まれるが、これらに限定されない
○受信した製品コード、トランザクション状態情報、および/またはトランザクション詳細情報に基づいて販促提案を検証し、販促提案が検証されたとの判断に応じて、販促検証情報を各モバイルデバイス104に送信する、提案検証モジュール324
○トランザクション詳細情報に応じて、アカウント残高からの引き落としを行うか、またはリンクされたクレジットカードもしくは銀行口座に課金する、決済モジュール326
○各支払モジュール124にリレーするために確認情報を各モバイルデバイス104に送信する、確認モジュール328
●支払処理システム100のための以下を含むがこれらに限定されないデータを格納する、サーバデータ340
○支払処理システム100の各ユーザの情報を格納する、ユーザ情報データベース114。これには、一意ユーザ識別子(すなわち、ユーザID)、ログイン資格情報(すなわち、ユーザ名またはハンドルとパスワード)、トランザクション履歴、支払データ(たとえば、口座残高、リンクされたクレジットカードまたは銀行情報、アプリクレジットまたはギフトカード残高、請求先住所、配送先住所等)、連絡先情報(たとえば、電子メールアドレス、電話番号等)、ユーザのカスタムパラメータ(たとえば、年齢、所在地、趣味等)、ユーザの識別された傾向および/または好き/嫌い等が含まれるが、これらに限定されない
○製造業者、流通業者、小売業者等により提供された販促提案を格納する、提案データベース116
○支払処理システム100の各支払モジュール124の情報を格納する、支払モジュールデータベース342。これには、一意支払モジュール識別子(すなわち、デバイスID)、暗号化/復号キー等が含まれるが、これらに限定されない」

「【0041】
図4は、一部の実装に係る自動小売機122を示す概略ブロック図である。たとえば、自動小売機122は、ユーザによる品目または製品の支払いおよび選択に応じて、品目または製品(たとえば、軽食、他の食べ物、学用品、飲料、チケット等)を分配する自動販売機またはキオスクである。自動小売機122は、コントローラ402と、電力供給装置404と、メモリ406と、ユーザインターフェイス408と、1つまたは複数の任意選択のセンサ414と、マルチドロップバス(MDB)416と、ディスペンサ424とを備える。」

「【0043】
ユーザインターフェイス408は、1つもしくは複数のスピーカおよび/または1つもしくは複数の視覚的ディスプレイなど、情報(たとえば、テキスト、画像、音声、ビデオ等)の提示を可能にする1つまたは複数の出力デバイス410を備える。ユーザインターフェイス408は、マイク、キーパッド、タッチスクリーンディスプレイ、ジェスチャキャプチャカメラ、またはその他の入力ボタンもしくはコントロールなど、ユーザ入力および品目の選択を容易にするユーザインターフェイス構成要素を含む、1つまたは複数の入力デバイス412をさらに備える。1つまたは複数の任意選択のセンサ414は、1つまたは複数のマイク、1つまたは複数のカメラ、環境光センサ、1つまたは複数の加速度計、1つまたは複数のジャイロスコープ、温度センサ、1つまたは複数の運動センサ、1つまたは複数の生体認証/生物センサ等を含むが、これらに限定されない。
【0044】
一部の実装形態では、さまざまな支払デバイスがMDB416に結合される。これには、キャッシュレス払いを受け付ける1つまたは複数のキャッシュレス支払デバイス418(たとえば、クレジットカードリーダ)、紙幣の受け付けおよび検証を行う1つまたは複数の紙幣識別機420、ならびに硬貨の受け付けおよび釣銭の提供を行う1つまたは複数の硬貨受付機422の任意の組み合わせが含まれる。一部の実装形態では、ディスペンサ424は、自動小売機122が貯蔵する品目または製品を分配または販売する電気機械システム(たとえば、モータ、アクチュエータ等)である。たとえば、ユーザは、紙幣を紙幣識別機420に挿入し、紙幣と等価の金額を貸方計上される。この例を続けると、1つまたは複数の出力デバイス410(たとえば、ディスプレイ)は、貸方計上された金額を示し、ユーザは1つまたは複数の入力デバイス412を介して(たとえば、キーパッドを使用して、または一連のボタン押下により)品目を選択する。続いて、コントローラ402は選択された製品を分配させる信号をディスペンサ424に送信し、ディスペンサは選択された製品を分配または販売する。
【0045】
図5は、一部の実装に係る支払モジュール124を示すブロック図である。一部の実装形態では、支払モジュール124は、図6B、図6C、および図7に示すように各自動小売機122のマルチドロップバス(MDB)に結合されるオスコネクタおよびメスコネクタを備えた、インラインアダプタドングルである。たとえば、支払モジュールは、図4に示すMDB416にインラインで接続される。支払モジュール124は、典型的には、1つまたは複数の処理装置(CPU)512と、通信デバイス504(たとえば、NFC、BLE等の短距離通信プロトコルに関連付けられた送受信機)と、メモリ506と、これらの構成要素(チップセットとも呼ばれる)を相互接続する1つまたは複数の通信バス508とを含む。メモリ506は、DRAM、SRAM、DDR RAM、または他のランダムアクセスソリッドステートメモリデバイスなどの高速ランダムアクセスメモリを含み、任意選択で、1つもしくは複数の磁気ディスクストレージデバイス、1つもしくは複数の光ディスクストレージデバイス、1つもしくは複数のフラッシュメモリデバイス、または1つもしくは複数の他の不揮発性ソリッドステートストレージデバイスなどの不揮発性メモリを含む。メモリ506は、任意選択で、1つまたは複数の処理装置512から離れて配置された1つまたは複数のストレージデバイスを含む。メモリ506、または代替でメモリ506内の不揮発性メモリは、一時的でないコンピュータ可読記憶媒体を含む。一部の実装形態では、メモリ506、またはメモリ506の一時的でないコンピュータ可読記憶媒体は、以下のプログラム、モジュール、およびデータ構造、またはそれらのサブセットもしくはスーパーセットを格納する
●さまざまな基本システムサービスを処理し、ハードウェア依存タスクを実行する手続きを含む、オペレーティングシステム510
●通信デバイス504を介して、モバイルデバイス104との間で信号を送受信する、通信モジュール512
●以下を含むがこれらに限定されないトランザクション処理モジュール514
○支払モジュール124の通信ゾーン(すなわち、BLE範囲)内の0個またはそれ以上のクライアントデバイス104に情報パケットをブロードキャストする、ブロードキャストモジュール516。情報パケットは、支払モジュール124に対応する一意識別子(すなわち、デバイスID)と、各支払モジュール124が結合された自動小売機122とのトランザクションを開始するための認可コードとを少なくとも含む。またブロードキャストモジュール516は、ブロードキャストされる認可コードを認可データベース532に格納する
○支払モジュール124に対応する暗号化/復号キーで認可コードを暗号化し、暗号化/復号キーで認可付与トークンを復号する、暗号化/復号モジュール518
○支払処理システム100に関連付けられていない貨幣トランザクションおよび/または他のキャッシュレストランザクション(たとえば、クレジットカードトランザクション)に関連する信号を検出し、当該貨幣トランザクションおよび/または他のキャッシュレストランザクションに関連する情報を(たとえば、その他情報データベース536に)格納する、トランザクションスニッフィングモジュール520
○復号された認可付与トークンの認可コードを、認可データベース532に格納されている以前にブロードキャストされた認可コードに照らしてチェックすることによりトランザクションを検証する、検証モジュール522
○トランザクションが検証されたという判断に応じて、自動小売機122に製品を販売させるかまたはサービスを実行させ、トランザクション詳細情報をトランザクションデータベース534に格納する、トランザクション処理モジュール524
○対応するトランザクションがサーバシステム108により確認されたという判断に応じて、トランザクション詳細情報をトランザクションデータベース534から削除する、確認モジュール526
●以下を含むがこれらに限定されないデータを格納する、データ530
○以前にブロードキャストされた認可コードを格納する、認可データベース532
○支払モジュール124により処理されたトランザクションのトランザクション詳細情報を格納する、トランザクションデータベース534
○状態フラグ、在庫情報、過去の貨幣トランザクション情報、他のキャッシュレストランザクション情報など、支払モジュール124および/または支払モジュール124に結合された自動小売機122に関する緒情報を格納する、その他情報データベース536」

「【0050】
支払モジュール124は、短距離通信能力(たとえば、BLE)を介して、情報パケットをブロードキャストする(802)。情報パケットは、認可コードと、支払モジュール124に関連付けられた一意識別子(すなわち、デバイスID)とを少なくとも含む。一部の実装形態では、情報パケットは、支払モジュール124の現在のファームウェアバージョンと、支払モジュール124および/または自動小売機122の1つまたは複数の状態に対応する1つまたは複数の状態フラグとをさらに含む。情報パケットについては、以下で図10Aを参照しながらさらに説明する。
【0051】
一部の実装形態では、支払モジュール124は、X秒(たとえば、100ms、200ms、500ms等)ごとに、一意認可コードを送出する。一部の実装形態では、一意認可コードは、ランダムまたは疑似ランダムに生成される番号である。一部の実装形態では、支払モジュール124はランダム番号を初期化し、認可コードは、このランダム番号からの連続したカウントである。そのような実装形態では、支払モジュール124は、すべての有効な認可コードを格納することなく、最も早い有効(未失効)カウンタを格納する。一部の実装形態では、ブロードキャストされた情報パケットに含まれる認証コードは、ランダムまたは疑似ランダムに生成された番号または連続番号のハッシュ値である。」

「【0053】
モバイルデバイス104は、ブロードキャスタされた情報パケットを受信し、またモバイルデバイス104は、長距離通信能力(たとえばGSM、CDMA、Wi−Fi等)を介して、認可要求をサーバシステム108に送信する(804)。たとえば、クライアント側モジュール102に関連付けられたアプリケーションが、モバイルデバイス104でフォアグラウンドまたはバックグラウンドプロセスとして実行される。アプリケーションは、支払処理システム100にアクセスするために使用される。この例では、アプリケーションは、モバイルデバイス104が支払モジュール124の通信ゾーン(すなわち、BLE範囲)内にあるときに、ブロードキャストされた情報パケットを受信し、認可要求をサーバシステム108に自動的に送信するか、または、モバイルデバイス104が支払モジュール124の認可ゾーン内にあるときに認可要求をサーバシステム108に送信する。」
【0054】
一部の実装形態では、ブロードキャストされた情報パケットは、モバイルデバイス104(またはクライアント側モジュール102に関連付けられたアプリケーション)が支払モジュール124の認可ゾーン内に入る前に支払モジュール124から観察することを要求されるベースライン受信信号強度表示(RSSI)を示すベースライン認可ゾーン閾値(すなわち、認可ゾーン基準)を含む。一部の実装形態では、モバイルデバイス104(またはクライアント側モジュール102に関連付けられたアプリケーション)は、その短距離通信能力(たとえば、BLE無線/送受信機)の受信強度および/または他の同様の要因に基づいて、ベースライン認可ゾーン閾値をオフセットする。一部の実装形態では、認可要求は、ブロードキャストされた情報パケットに含まれていた認可コード、モバイルデバイス104のユーザに関連付けられた識別子またはモバイルデバイス104のユーザがアプリケーションにログインしたユーザアカウント(すなわち、ユーザID)、および支払モジュール124に関連付けられた識別子(すなわち、デバイスID)を少なくとも含む。一部の実装形態では、認可要求に含まれる認証コードは、クリアテキストのハッシュ値である。認可要求については、以下で図10Bを参照しながらさらに説明する。
【0055】
認可要求を受信した後、サーバシステム108は、認可要求を処理する(806)。一部の実装形態では、サーバシステム108は、デバイスIDに基づいて共有秘密キーを識別し、認可要求に含まれる認可コードを識別された秘密キーで復号する。サーバシステム108は、認可要求のユーザIDに関連するユーザが、支払処理システムがデバイスIDに対応する支払モジュール124が結合された自動小売機122でトランザクションを実行するための十分な資金を口座に持っているかどうかを判断する。
【0056】
サーバシステム108は、長距離通信能力(たとえば、GSM、CDMA、Wi−Fi等)を介して、認可付与トークンをモバイルデバイス104に送信する(808)。一部の実装形態では、サーバシステム108は、認可要求の認可コードが支払モジュール124に対応する共有秘密キーで復号できない(たとえば、認可コードが破損またはハッキングされている)場合、認可付与トークンを送信しない。一部の実装形態では、サーバシステム108は、認可要求のユーザIDに関連付けられたユーザがその口座に十分な資金を持っていないか、または予め定められた一日当たりの制限を超えた場合、認可付与トークンを送信しない。一部の実装形態では、認可付与トークンに加えて(または、認可が拒否された場合は認可付与トークンなしで)、サーバシステム108は、支払モジュール124に対応する共有秘密キーで暗号化されていないメッセージをモバイルデバイス104に直接送信する。メッセージを受信した後、モバイルデバイス104は、資金が十分であること、トランザクションが認可されたこと、残高が不十分であること、認可が拒否されたこと等の適切なメッセージをユーザに表示する。一部の実装形態では、サーバシステム108は、ゼロと等価である金額の認可付与トークンを送信する。この場合、支払モジュール124はこれを、残高またはクレジットが不足しているかそれに限定されない任意の数の理由により、認可が拒否されたかまたは失敗したと解釈する。一部の実装形態では、モバイルデバイス104は、トリガ条件が検出されるまで、認可付与トークンを(たとえば、ユーザデータ264に)格納する。
【0057】
モバイルデバイス104は認可付与トークンを受信し、その後、モバイルデバイス104はトリガ条件を検出する(810)。一部の実装形態では、モバイルデバイス104(またはアプリケーション)は、ハンズフリーモード(たとえば、支払モジュール124の支払ゾーンに入ったとき)または手動モード(たとえば、アプリケーションのユーザインターフェイスと相互作用して、支払モジュール124に関連付けられた支払受付ユニットとのトランザクションを開始)を介してトリガ条件を検出する。
【0058】
一部の実装形態では、トリガ条件は、モバイルデバイス104がモバイルデバイス104により表示されるユーザインターフェイスでユーザ入力を検出したときに満たされる。たとえば、図11Aを参照すると、トランザクションは、モバイルデバイス104のユーザと、8階の軽食販売機との間で、モバイルデバイス104がユーザインターフェイス1108の領域1120から始まる上向きスワイプジェスチャを検出したときに開始される。別の例では、図11Dを参照すると、トランザクションは、モバイルデバイス104のユーザと、8階の軽食販売機との間で、提案A1152が接触1166により選択されたことをモバイルデバイス104が検出したときに開始される。
【0059】
一部の実装形態では、トリガ条件は、モバイルデバイス104が各自動小売機からの支払ゾーン条件基準以上のRSSIを観察したときに満たされる。たとえば、モバイルデバイス104が支払ゾーン内に入ると、各自動小売機とモバイルデバイス104のユーザとの間のトランザクションが自動的に開始される。一部の実装形態では、各小売機から観察されるRSSIが支払ゾーン基準以上になった後、モバイルデバイス104は、検出されたときにトリガ条件を満たす役割を果たすトランザクション確認を提供するようユーザに促す。たとえば、モバイルデバイス104が支払ゾーン内に入ると、モバイルデバイス104は、可聴プロンプト、表示通知、振動などのプロンプトをユーザに提供して、各小売機とのトランザクションを開始するというユーザの意思を確認する。この例を続けると、ユーザは、モバイルデバイス104を自動小売機に向かってフリックするか、モバイルデバイスを振るか、可聴コマンドを提供するか、または表示されたユーザインターフェイスでタッチ入力/ジェスチャを実行することにより、各小売機とのトランザクションを開始する意思を確認することができる。」

「【0061】
トリガ条件の検出に応じて、モバイルデバイス104は、短距離通信機能(たとえば、BLE)を介して、認可付与トークンを支払モジュール124に送信する(812)。その後、自動小売機122は(たとえば、図7に示すディスプレイ722または724を介して)ユーザへの貸方を表示し、ユーザは自動小売機122の入力機構を(たとえば、図7のボタン726またはタッチスクリーンディスプレイ724を介して)対話操作して製品および/またはサービスを購入する。」

「【0064】
支払モジュール124は、第1のトランザクションの完了を示す第1の通知を自動小売機122から取得する(902)。たとえば、図8のプロセス800の後、モバイルデバイス104のユーザは、自動小売機122から購入する製品を、自動小売機122の1つまたは複数の入力機構(たとえば、図7に示すボタン726またはタッチスクリーンディスプレイ724)を対話操作することにより選択し、自動小売機122は、選択された製品を分配する。この例を続けると、製品が分配された後、トランザクションが完了し、支払モジュール124はトランザクションが完了した旨の通知を機械から取得する。一部の実装形態では、通知は、トランザクションの金額と、(任意選択で)自動小売機122の1つまたは複数の製品の在庫情報などの自動小売機122に関連する機械状態情報とを含む。」

図1 支払い処理システムのブロック図


図4 自動小売機の概略ブロック図


図8 トランザクションを開始するプロセルの概略流れ図


(2)甲1から読み取れる事項
ア 段落【0028】によると、「支払処理システム100」は、「モバイルデバイス104」で実行される「クライアント側モジュール102」と、「サーバシステム108」で実行される「サーバ側モジュール106」と、「自動小売機122」に結合された「支払いモジュール124」とを含み、「クライアント側モジュール102」は、「アプリケーション」に関連付けられている。
イ 段落【0041】、【0043】〜【0044】によると、「自動小売機122」は、「コントローラ402」と、「電力供給装置404」と、「メモリ406」と、「ユーザインターフェイス408」と、「1つまたは複数の任意選択のセンサ414」と、「マルチドロップバス(MDB)416」と、「ディスペンサ424」を備え、「ユーザインターフェイス408」は、「情報(たとえば、テキスト、画像、音声、ビデオ等)の提示を可能にする1つまたは複数の出力デバイス410」と、「ユーザ入力および品目の選択を容易にするユーザインターフェイス構成要素を含む、1つまたは複数の入力デバイス412」を備え、「マルチドロップバス(MDB)416」には、「キャッシュレス払いを受け付ける1つまたは複数のキャッシュレス支払デバイス418」、「紙幣の受け付けおよび検証を行う1つまたは複数の紙幣識別機420」、「硬貨の受け付けおよび釣銭の提供を行う1つまたは複数の硬貨受付機422」が結合され、ユーザは、紙幣を「紙幣識別機420」に挿入し、紙幣と等価の金額を貸方計上され、「1つまたは複数の出力デバイス410」は、貸方計上された金額を示し、ユーザは、「1つまたは複数の入力デバイス412」を介して品目を選択し、「コントローラ402」は、選択された製品を分配させる信号を「ディスペンサ424」に送信し、「ディスペンサ424」は、選択された製品を分配または販売し、ここで、品目または製品は、たとえば、軽食、他の食べ物、学用品、飲料、チケット等である。
ウ 段落【0035】によると、「モバイルデバイス104」は、2つ以上の「通信デバイス204」を備え、2つ以上の「通信デバイス204」は、「短距離通信プロトコル(たとえば、NFC、BLE)」に関連付けられた「第1の送受信機」と、「長距離通信プロトコル(たとえば、GSM、CDMA、Wi−fi)」に関連付けられた「第2の送受信機」とを含む。
エ 段落【0035】〜【0036】、【0050】、【0053】〜【0054】によると、「モバイルデバイス104」は、「短距離通信プロトコル(たとえば、NFC、BLE)」に関連付けられた「第1の送受信機」を介して、「支払いモジュール124」によりブロードキャストされた「情報パケット」を受信し、ここで、「情報パケット」は、「認可コード」と、「支払モジュール124に関連付けられた一意識別子(デバイスID)」と、「モバイルデバイス104が支払モジュール124の認可ゾーン内に入る前に支払モジュール124から観察することを要求されるベースライン受信信号強度表示(RSSI)を示すベースライン認可ゾーン閾値(認可ゾーン閾値)」を含んでいる。
オ 段落【0035】〜【0036】、【0053】〜【0054】によると、「モバイルデバイス104」は、「長距離通信プロトコル(たとえば、GSM、CDMA、Wi−fi)」に関連付けられた「第2の送受信機」を介して、「モバイルデバイス104」が「支払モジュール124」の「認可ゾーン」内にあるときに、「認可コード」を含む「認可要求」を「サーバシステム108」に送信し、ここで、「認可要求」は、ブロードキャストされた情報パケットに含まれていた「認可コード」、「モバイルデバイス104のユーザに関連付けられた識別子」または「モバイルデバイス104のユーザがアプリケーションにログインしたユーザアカウント(ユーザID)」、「支払モジュール124に関連付けられた識別子(デバイスID)」を含んでいる。
カ 段落【0055】によると、「サーバシステム108」は、「デバイスID」に基づいて「共有秘密キー」を識別し、「認可要求」に含まれる「認可コード」を識別された「共有秘密キー」で復号するとともに、「認可要求」の「ユーザID」に関連するユーザが、支払いシステムが「デバイスID」に対応する「支払モジュール124」が結合された「自動小売機122」でトランザクションを実行するための十分な資金を口座に持っているかどうかを判断する。
キ 段落【0056】によると、「サーバシステム108」は、「長距離通信能力(たとえば、GSM、CDMA、Wi−fi)」を介して、「認可付与トークン」を「モバイルデバイス104」に送信し、ここで、「認可付与トークン」は、「認可要求」の「認可コード」が「支払モジュール124」に対応する「共有秘密キー」で復号できない場合や、「認可要求」の「ユーザID」に関連付けられたユーザがその口座に十分な資金を持っていない場合には、送信されない。
ク 段落【0057】〜【0059】によると、「モバイルデバイス104」は、「認可付与トークン」を受信し、その後、「トリガ条件」を検出し、ここで、「トリガ条件」は、「モバイルデバイス104」がモバイルデバイス104により表示されるインターフェイスでユーザ入力を検出したときに満たされ、または、「モバイルデバイス104」が「各自動小売機」からの「支払ゾーン基準」以上の「RSSI」を観察したときに満たされる。
ケ 段落【0061】によると、「モバイルデバイス104」は、「トリガ条件」の検出に応じて、「短距離通信能力(たとえば、BLE)」を介して、「認可付与トークン」を「支払モジュール124」に送信する。
コ 段落【0061】、【0064】によると、「自動小売機122」は、「ディスプレイ722」または「タッチスクリーンディスプレイ724」を介して、ユーザへの貸方を表示し、ユーザは、「自動小売機122」の入力機構を「ボタン726」または「タッチスクリーンディスプレイ724」を介して「対話操作」して「製品」または「サービス」を購入する。

(3)甲1発明
上記(2)によると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。

支払処理システム100は、モバイルデバイス104で実行されるクライアント側モジュール102と、サーバシステム108で実行されるサーバ側モジュール106と、自動小売機122に結合された支払いモジュール124とを含み、クライアント側モジュール102は、アプリケーションに関連付けられており、
自動小売機122は、コントローラ402と、電力供給装置404と、メモリ406と、ユーザインターフェイス408と、1つまたは複数の任意選択のセンサ414と、マルチドロップバス(MDB)416と、ディスペンサ424を備え、ユーザインターフェイス408は、情報(たとえば、テキスト、画像、音声、ビデオ等)の提示を可能にする1つまたは複数の出力デバイス410と、ユーザ入力および品目の選択を容易にするユーザインターフェイス構成要素を含む、1つまたは複数の入力デバイス412を備え、マルチドロップバス(MDB)416には、キャッシュレス払いを受け付ける1つまたは複数のキャッシュレス支払デバイス418、紙幣の受け付けおよび検証を行う1つまたは複数の紙幣識別機420、硬貨の受け付けおよび釣銭の提供を行う1つまたは複数の硬貨受付機422が結合され、ユーザは、紙幣を紙幣識別機420に挿入し、紙幣と等価の金額を貸方計上され、1つまたは複数の出力デバイス410は、貸方計上された金額を示し、ユーザは、1つまたは複数の入力デバイス412を介して品目を選択し、コントローラ402は、選択された製品を分配させる信号をディスペンサ424に送信し、ディスペンサ424は、選択された製品を分配または販売し、ここで、品目または製品は、たとえば、軽食、他の食べ物、学用品、飲料、チケット等であり、
モバイルデバイス104は、2つ以上の通信デバイス204を備え、2つ以上の通信デバイス204は、短距離通信プロトコル(たとえば、NFC、BLE)に関連付けられた第1の送受信機と、長距離通信プロトコル(たとえば、GSM、CDMA、Wi−fi)に関連付けられた第2の送受信機とを含み、
モバイルデバイス104は、短距離通信プロトコル(たとえば、NFC、BLE)に関連付けられた第1の送受信機を介して、支払いモジュール124によりブロードキャストされた情報パケットを受信し、ここで、情報パケットは、認可コードと、支払モジュール124に関連付けられた一意識別子(デバイスID)と、モバイルデバイス104が支払モジュール124の認可ゾーン内に入る前に支払モジュール124から観察することを要求されるベースライン受信信号強度表示(RSSI)を示すベースライン認可ゾーン閾値(認可ゾーン閾値)を含み、
モバイルデバイス104は、長距離通信プロトコル(たとえば、GSM、CDMA、Wi−fi)に関連付けられた第2の送受信機を介して、モバイルデバイス104が支払モジュール124の認可ゾーン内にあるときに、認可コードを含む認可要求をサーバシステム108に送信し、ここで、認可要求は、ブロードキャストされた情報パケットに含まれていた認可コード、モバイルデバイス104のユーザに関連付けられた識別子またはモバイルデバイス104のユーザがアプリケーションにログインしたユーザアカウント(ユーザID)、支払モジュール124に関連付けられた識別子(デバイスID)を含み、
サーバシステム108は、デバイスIDに基づいて共有秘密キーを識別し、認可要求に含まれる認可コードを識別された共有秘密キーで復号するとともに、認可要求のユーザIDに関連するユーザが、支払いシステムがデバイスIDに対応する支払モジュール124が結合された自動小売機122でトランザクションを実行するための十分な資金を口座に持っているかどうかを判断し、
サーバシステム108は、長距離通信能力(たとえば、GSM、CDMA、Wi−fi)を介して、認可付与トークンをモバイルデバイス104に送信し、ここで、認可付与トークンは、認可要求の認可コードが支払モジュール124に対応する共有秘密キーで復号できない場合や、認可要求のユーザIDに関連付けられたユーザがその口座に十分な資金を持っていない場合には、送信されず、
モバイルデバイス104は、認可付与トークンを受信し、その後、トリガ条件を検出し、ここで、トリガ条件は、モバイルデバイス104がモバイルデバイス104により表示されるインターフェイスでユーザ入力を検出したときに満たされ、または、モバイルデバイス104が各自動小売機からの支払ゾーン基準以上のRSSIを観察したときに満たされ、
モバイルデバイス104は、トリガ条件の検出に応じて、短距離通信能力(たとえば、BLE)を介して、認可付与トークンを支払モジュール124に送信し、
自動小売機122は、ディスプレイ722またはタッチスクリーンディスプレイ724を介して、ユーザへの貸方を表示し、ユーザは、自動小売機122の入力機構をボタン726またはタッチスクリーンディスプレイ724を介して対話操作して製品またはサービスを購入する、
支払処理システム100。

2 甲2(特開平7−302386号公報)について
甲2には、以下のとおりの記載がある。
「【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は上記課題を解消すべくなされたもので、筐体の内部に商品の単体を蓄積しておくためのストッカと、商品を一時に使用の単位毎に排出する排出機構と、その排出機構を作動させるための制御手段とを備え、排出機構は筐体に備えた取出口に連通すると共に、前記制御手段は磁気カードの読取機構で構成したものであり、また、構造的には筐体の内部中央に衛生器具の単体を多数積み重ねて保管するための数対の商品ストッカを並設し、その下方に取出口を開口させると共に、上方に情報表示手段と磁気カードの読取機構とを配置したものであり、さらに、用途的には女性用の化粧室に設けられ、磁気カードによって商品が取り出されるように構成したものである。」

「【0012】
この実施例の動作を説明すると、まず、衛生器具を必要とするとき、磁気カードの挿入口13に磁気カードを挿入する。磁気カードに記録された使用の残り回数がカードリーダ17によって読み取られ、その数字が情報表示手段14によって表示される。同時に、その数字が0でないときは排出機構15bの要部をなす電動機16に対して制御板20から動作が指令され、電動機16が所定量だけ回転し商品M、この例ではナプキンの1個が4個あるシュート15aのいずれかから交互に払い出され、下方の取出口12へ落下する。同時に前記情報表示手段14に表示された数字が1だけマイナスされされ、その数字が次回の使用に備えて磁気カードに記録される。」

3 甲3(特開2002−177105号公報)について
甲3には、以下のとおりの記載がある。
「【0018】
図1及び2に示された好適実施例においては、販売機20は、小売開業店、例えば雑貨店などで使用される1つのスタンドアロン型ディスプレイを具備する。図1及び2に示された販売機20は、月経用具の異なるタイプを販売するものである。ここで使われている用語「月経用具」は、生理ナプキン、パンティライナー、失禁用具、インターラビアル製品、およびタンポンに限らないものを含む。」

4 甲4(国際公開第2018/042668号)について
甲4には、次の記載がある。
「【0025】
通信部13は、インターネット等のネットワーク2を介して通信を行うためのものである。例えば、通信部13は基地局3と無線通信するための機能を備え、携帯端末10は基地局3を介してネットワーク2と接続される。通信部13は近距離無線通信を行うための近距離無線通信部14を含む。近距離無線通信部14は、例えばBluetoothや無線LAN等の規格に則った近距離無線通信を行うための通信インタフェースを含む。このため、携帯端末10は、近距離無線通信が可能な範囲内にある機器(自動販売機20等)と近距離無線通信を介して相互に直接通信することが可能である。」

「【0060】
自動販売機特定部100はBluetooth規格に則った機器検出手順を行うことによって、携帯端末10とBluetooth通信可能な機器を検出する。また、自動販売機特定部100は、検出された機器が自動販売機20であるか否かを判定する。検出された機器のうちに複数の自動販売機20が含まれていれば、自動販売機特定部100は複数の自動販売機20を特定することになる。このようにして特定された自動販売機20に関しては、Bluetooth通信を行うために必要となる自動販売機20のアドレス情報が当該自動販売機20から取得され、携帯端末10の記憶部12に記憶される。」

「【0081】
例えば、近接判定部109は、購入商品提供機から送信されて携帯端末10で受信された電波信号の強度が閾値以上であるか否かを判定する。具体的には、近接判定部109は、購入商品提供機から送信されて携帯端末10で受信された近距離無線通信の信号(例えばBluetooth信号又は無線LAN信号等)の強度が閾値以上であるか否かを判定する。上記強度が閾値以上であれば、近接判定部109は携帯端末10が購入商品提供機に近接していると判定する。一方、上記強度が閾値以上でなければ、近接判定部109は携帯端末10が購入商品提供機に近接していないと判定する。
【0082】
または、自動販売機20の周囲にのみ届くような弱い電波(ビーコン)を発信する発信部を自動販売機20に設けておき、近接判定部109は、購入商品提供機の上記発信部から送信された電波(ビーコン)が携帯端末10で受信されたか否かを判定するようにしてもよい。上記電波が携帯端末10で受信されていれば、近接判定部109は携帯端末10が購入商品提供機に近接していると判定し、上記電波が携帯端末10で受信されていなければ、近接判定部109は携帯端末10が購入商品提供機に近接していないと判定するようにしてもよい。」

「【0085】
[1−3−9]提供制御部110は、購入処理の完了後において携帯端末10が購入商品提供機に近接していると判定された場合に、購入商品として選択された商品を購入商品提供機に提供させるための制御を行う。例えば、提供制御部110は、近距離無線通信を介して、購入商品の提供要求を購入商品提供機に要求する。ここで、「購入商品の提供要求」とは、購入商品を商品取出口に出すように要求するものである。当該要求が購入商品提供機で受信されると、購入商品を商品取出口に出すための制御が購入商品提供機で行われ、購入商品が商品取出口に出される。」

「【0099】
購入画面60が表示されている場合、制御部11は購入ボタン63が選択されたか否かを監視する(S203)。購入ボタン63が選択された場合、制御部11は購入処理の実行を要求する(S204)。すなわち、制御部11は、購入処理(決済処理)を実行可能な他の装置(サーバ30等)に対して購入処理の実行要求を送信する。」

「【0123】
第1実施形態では、携帯端末10が近距離無線通信(Bluetooth通信等)を介して自動販売機20と直接通信することによって、携帯端末10と所定の範囲内にある自動販売機20を特定し、当該自動販売機20から情報を取得するようになっていた。これに対し、第2実施形態では、サーバ30が、携帯端末10と所定の範囲内にある自動販売機20を特定したり、当該自動販売機20から情報を取得したりするようになっている。以下、第2実施形態と第1実施形態との相違点について説明する。」

「【0147】
例えば、この変形例では、購入商品の商品IDや購入商品提供機の自動販売機IDがサーバ30に送信される。サーバ30の制御部31(通知部108)は購入商品提供機の位置情報等を携帯端末10に送信することによって、案内画面70を携帯端末10の表示部16に表示させる。」

「【0152】
例えば、この変形例では、携帯端末10が購入商品提供機と近接していると判定された場合に、サーバ30の制御部31(提供制御部110)がネットワーク2を介して購入商品の提供要求を購入商品提供機に送信する。」

「【0164】
購入商品提供範囲83は自動販売機20に最も近い領域であり、自動販売機20に近接していると判定されるような範囲である。すなわち、この変形例では、携帯端末10が購入商品提供範囲83内に位置している場合に、近接判定部109によって、携帯端末10が自動販売機20に近接していると判定され、提供制御部110によって、購入商品が自動販売機20の商品取出口に出されてユーザに提供される。」

第5 当審の判断
1 申立理由1〜2について
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明の「ディスペンサ424」を備える「自動小売機122」は、本件発明1の「ディスペンサ」に相当する。
甲1発明の「品目または製品」は、たとえば、軽食、他の食べ物、学用品、飲料、チケット等であるから、本件発明1の「生理用品」とは、ディスペンサにより提供される「製品」である点で共通する。
よって、甲1発明の「選択された製品を分配または販売」する「ディスペンサ424」を備えた「自動小売機122」は、本件発明1の「生理用品を提供するディスペンサ」と、「製品を提供するディスペンサ」という点で共通する。
そして、甲1発明の「ユーザは、1つまたは複数の入力デバイス412を介して品目を選択し、コントローラ402は、選択された製品を分配させる信号をディスペンサ424に送信し、ディスペンサ424は、選択された製品を分配または販売する」との記載から、甲1発明の「ユーザ」は、製品を分配または販売する自動販売機122に対して製品の提供を要求するユーザであるといえ、本件発明1の「生理用品を提供するディスペンサに対して生理用品の提供を要求するユーザ」と、「製品を提供するディスペンサに対して製品の提供を要求するユーザ」という点で共通する。
また、甲1発明の「モバイルデバイス104」は、【図1】より、「ユーザ」の端末であることが読み取れるから、甲1発明の「モバイルデバイス104」は、本件発明1の「生理用品を提供するディスペンサに対して生理用品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末」と、「製品を提供するディスペンサに対して製品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末」という点で共通する。
そして、甲1発明の「モバイルデバイス104」で実行される「クライアント側モジュール102」に関連付けられた「アプリケーション」は、「モバイルデバイス104」にインストールされていることは自明であるから、本件発明1の「生理用品を提供するディスペンサに対して生理用品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末にインストールされたアプリ」と、「製品を提供するディスペンサに対して製品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末にインストールされたアプリ」という点で共通する。
(イ)甲1発明の「モバイルデバイス104」が備える「短距離通信プロトコル(たとえば、NFC、BLE)に関連付けられた第1の送受信機」は、通信機能を有することは自明であるから、本件発明1の「前記ユーザ端末が備える通信機能」に相当する。
また、甲1発明の「情報パケット」は、短距離通信プロトコル(たとえば、NFC、BLE)に関連付けられた第1の送受信機を介して、支払いモジュール124によりブロードキャストされるから、本件発明1の「ビーコン信号」に相当する。
そして、甲1の【図1】より、「支払いモジュール124」は、「自動小売機122」に含まれることが読み取れるから、甲1発明の「支払いモジュール124によりブロードキャストされた情報パケット」は、「自動小売機122によりブロードキャストされた情報パケット」であるから、本件発明1の「前記ディスペンサから発せられるビーコン信号」に相当する。
よって、甲1発明の「モバイルデバイス104は、短距離通信プロトコル(たとえば、NFC、BLE)に関連付けられた第1の送受信機を介して、支払いモジュール124によりブロードキャストされた情報パケットを受信する」ことは、本件発明1の「前記ユーザ端末が備える通信機能を使って、前記ディスペンサから発せられるビーコン信号を受信」することに相当する。
そして、甲1の【0053】には「この例では、アプリケーションは、モバイルデバイス104が支払モジュール124の通信ゾーン(すなわち、BLE範囲)内にあるときに、ブロードキャストされた情報パケットを受信し、認可要求をサーバシステム108に自動的に送信するか、または、モバイルデバイス104が支払モジュール124の認可ゾーン内にあるときに認可要求をサーバシステム108に送信する。」と記載されているから、甲1発明の「アプリケーション」は、「モバイルデバイス104」に「短距離通信プロトコル(たとえば、NFC、BLE)に関連付けられた第1の送受信機を介して、支払いモジュール124によりブロードキャストされた情報パケットを受信する」処理を実行させるプログラムであるといえる。よって、甲1発明の「アプリケーション」は、本件発明1の「前記ユーザ端末が備える通信機能を使って、前記ディスペンサから発せられるビーコン信号を受信」する「アプリ」に相当する。
(ウ)甲1発明の「モバイルデバイス104が支払モジュール124の認可ゾーン内にあるときに、認可コードを含む認可要求をサーバシステム108に送信」することにおける「モバイルデバイス104が支払モジュール124の認可ゾーン内にある」と判定することは、「モバイルデバイス104が支払モジュール124からブロードキャストされる情報パケットを受信したときの受信強度」が、「情報パケット」に含まれる「モバイルデバイス104が支払モジュール124の認可ゾーン内に入る前に支払モジュール124から観察することを要求されるベースライン受信信号強度表示(RSSI)を示すベースライン認可ゾーン閾値(認可ゾーン閾値)」以上であると判定することであるから、本件発明1の「受信した前記ビーコン信号が所定強度以上であるか否かを判定」することに相当する。
そして、甲1の【0053】には「この例では、アプリケーションは、モバイルデバイス104が支払モジュール124の通信ゾーン(すなわち、BLE範囲)内にあるときに、ブロードキャストされた情報パケットを受信し、認可要求をサーバシステム108に自動的に送信するか、または、モバイルデバイス104が支払モジュール124の認可ゾーン内にあるときに認可要求をサーバシステム108に送信する。」と記載されているから、甲1発明の「アプリケーション」は、「モバイルデバイス104」に、「モバイルデバイス104が支払モジュール124の認可ゾーン内にある」と判定させるプログラムであるといえ、本件発明1の「受信した前記ビーコン信号が所定強度以上であるか否かを判定」する「アプリ」に相当する。
(エ)甲1発明の「認可コードを含む認可要求」は、「サーバシステム108」から「モバイルデバイス104」への「認可付与トークン」送信の要求であり、「認可付与トークン」は、例えば、ユーザがその口座に十分な資金を持っている場合に、「サーバシステム108」から「モバイルデバイス104」へ送信されるから、甲1発明の「認可コードを含む認可要求」は、製品の提供を求める提供要求ではなく、製品の購入の許可を求める要求であるといえ、本件発明1の「前記生理用品の提供を求める提供要求」と、「要求」という点で共通する。
そして、甲1発明では「モバイルデバイス104」は、「支払いモジュール124」によりブロードキャストされた「認可コードと、支払モジュール124に関連付けられた一意識別子(デバイスID)と、モバイルデバイス104が支払モジュール124の認可ゾーン内に入る前に支払モジュール124から観察することを要求されるベースライン受信信号強度表示(RSSI)を示すベースライン認可ゾーン閾値(認可ゾーン閾値)」を含む「情報パケット」を受信した後に、「サーバシステム108」に、「ブロードキャストされた情報パケットに含まれていた認可コード、モバイルデバイス104のユーザに関連付けられた識別子またはモバイルデバイス104のユーザがアプリケーションにログインしたユーザアカウント(ユーザID)、支払モジュール124に関連付けられた識別子(デバイスID)」を含む「認可要求」を送信していることから、「モバイルデバイス104」は、「情報パケット」から「認可コード」と「支払モジュール124に関連付けられた一意識別子(デバイスID)」を取り出して、「モバイルデバイス104」自身が有する「モバイルデバイス104のユーザに関連付けられた識別子またはモバイルデバイス104のユーザがアプリケーションにログインしたユーザアカウント(ユーザID)」と結合して、「認可要求」を生成していることは明らかである。よって、甲1発明の「モバイルデバイス104」が「認可要求」を生成することは、本件発明1の「前記生理用品の提供を求める提供要求を生成」することと、「要求を生成」する点で共通する。
そうすると、上記(ウ)を踏まえると、甲1発明の「モバイルデバイス104が支払モジュール124の認可ゾーン内にあるときに、認可コードを含む認可要求をサーバシステム108に送信」することは、「モバイルデバイス104が支払モジュール124の認可ゾーン内にあるときに、認可要求を生成」することであるから、本件発明1の「前記所定強度以上であると判定した場合、前記生理用品の提供を求める提供要求を生成」することと、「前記所定強度以上であると判定した場合、要求を生成」する点で共通する。
そして、甲1の【0053】には「この例では、アプリケーションは、モバイルデバイス104が支払モジュール124の通信ゾーン(すなわち、BLE範囲)内にあるときに、ブロードキャストされた情報パケットを受信し、認可要求をサーバシステム108に自動的に送信するか、または、モバイルデバイス104が支払モジュール124の認可ゾーン内にあるときに認可要求をサーバシステム108に送信する。」と記載されているから、甲1発明の「アプリケーション」は、「モバイルデバイス104」に、「モバイルデバイス104が支払モジュール124の認可ゾーン内にあるときに、認可要求を生成」させるプログラムであるといえる。よって、甲1発明の「アプリケーション」は、本件発明1の「前記所定強度以上であると判定した場合、前記生理用品の提供を求める提供要求を生成」する「アプリ」と、「前記所定強度以上であると判定した場合、要求を生成」する「アプリ」という点で共通する。
(オ)甲1発明の「モバイルデバイス104のユーザに関連付けられた識別子またはモバイルデバイス104のユーザがアプリケーションにログインしたユーザアカウント(ユーザID)」は、本件発明1の「前記ユーザのユーザID」に相当する。
甲1発明の「支払モジュール124に関連付けられた識別子(デバイスID)」は、本件発明1の「前記ディスペンサのディスペンサID」に相当する。
甲1発明の「認可コード」と「支払モジュール124に関連付けられた識別子(デバイスID)」は、「ブロードキャストされた情報パケット」に含まれている情報であるから、本件発明1の「前記ビーコン信号」に相当する。
よって、甲1発明の「認可コード」、「モバイルデバイス104のユーザに関連付けられた識別子またはモバイルデバイス104のユーザがアプリケーションにログインしたユーザアカウント(ユーザID)」、「支払モジュール124に関連付けられた識別子(デバイスID)」を含む「認可要求」は、本件発明1の「前記提供要求は、前記ユーザのユーザIDと、前記ディスペンサのディスペンサIDと、前記ビーコン信号とを含む」ことと、「前記要求は、前記ユーザのユーザIDと、前記ディスペンサのディスペンサIDと、前記ビーコン信号とを含む」点で共通する。

(カ)以上、(ア)〜(オ)によると、本件発明1と甲1発明は、
製品を提供するディスペンサに対して製品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末にインストールされたアプリであって、
前記ユーザ端末が備える通信機能を使って、前記ディスペンサから発せられるビーコン信号を受信し、
受信した前記ビーコン信号が所定強度以上であるか否かを判定し、
前記所定強度以上であると判定した場合、要求を生成し、
前記要求は、前記ユーザのユーザIDと、前記ディスペンサのディスペンサIDと、前記ビーコン信号とを含む、アプリ。

という点で一致し、以下の点で相違している。

(相違点1)
ディスペンサが提供する「製品」が、本件発明1は、「生理用品」であるのに対して、甲1発明は、「軽食、他の食べ物、学用品、飲料、チケット等」である点。

(相違点2)
受信したビーコン信号が所定強度以上であると判定した場合に生成される「要求」であって、ユーザのユーザIDと、ディスペンサのディスペンサIDと、ビーコン信号とを含む「要求」が、本件発明1は、「前記生理用品の提供を求める提供要求」であるのに対して、甲1発明は、「認可付与トークン送信の要求」である点。

イ 判断
事案に鑑みて、相違点2について検討する。
甲1発明の「ユーザは、紙幣を紙幣識別機420に挿入し、紙幣と等価の金額を貸方計上され、1つまたは複数の出力デバイス410は、貸方計上された金額を示し、ユーザは、1つまたは複数の入力デバイス412を介して品目を選択し、コントローラ402は、選択された製品を分配させる信号をディスペンサ424に送信し、ディスペンサ424は、選択された製品を分配または販売する」処理における、「ユーザは、1つまたは複数の入力デバイス412を介して品目を選択する」ことは、「ユーザ」が「自動小売機122」に対して「製品」の「分配または販売」を要求することであるから、本件発明1の「製品の提供を求める提供要求」に対応する。しかしながら、上記「ユーザ」による「自動小売機122」に対する「製品」の「分配または販売」の「要求」は、受信したビーコン信号が所定強度以上であると判定した場合に生成される「要求」でもなければ、ユーザのユーザIDと、ディスペンサのディスペンサIDと、ビーコン信号とを含む「要求」でもない。
そして、甲1発明において、受信したビーコン信号が所定強度以上であると判定した場合に生成され、ユーザのユーザIDと、ディスペンサのディスペンサIDと、ビーコン信号とを含む「要求」である「認可付与トークン送信の要求」に代えて、上記「ユーザ」による「自動小売機122」に対する「製品」の「分配または販売」の「要求」とすることに合理的な理由も証拠もない。
また、受信したビーコン信号が所定強度以上であると判定した場合に生成され、ユーザのユーザIDと、ディスペンサのディスペンサIDと、ビーコン信号とを含む「要求」が、「製品の提供を求める提供要求」であることは、甲2〜4のいずれにも記載はなく、また、それを示唆する記載もない。
以上のとおりであるから、相違点1について判断するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明ではなく、また、甲1発明及び甲2〜4に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(2)本件発明2について
本件発明2も、上記相違点2に対応する本件発明1の構成を有するから、上記(1)の「イ 判断」で検討したのと同様の理由により、本件発明2は、甲1に記載された発明ではなく、また、甲1発明及び甲2〜4に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)申立理由1〜2についてのまとめ
以上、検討したとおり、本件発明1は、甲1に記載された発明ではなく、また、本件発明1〜2は、甲1発明及び甲2〜4に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、申立理由1〜2は理由がない。

2 申立理由3〜申立理由5について
(1) 申立理由3(明確性要件)について
ア 請求項1(およびこれを引用する請求項2)について
(ア)ビーコン信号について
請求項1には「前記ユーザ端末が備える通信機能を使って、前記ディスペンサから発せられるビーコン信号を受信し、受信した前記ビーコン信号が所定強度以上であるか否かを判定し」との記載があり、また、「提供要求」が「前記ビーコン信号」を含むものである旨の記載がある。これらの記載によれば、請求項1(およびこれを引用する請求項2)の「ビーコン信号」は、「ディスペンサ」から発せられ、受信側において閾値を用いた強度判定を行うことが可能であるような「信号」であり、かつ、「提供要求」に含まれる「情報」であることが明確である。
そして、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、「一方、ディスペンサ60では、暗号化プログラム81が、共有鍵記憶部93に記憶された共有鍵Kを用いて、分単位までの現在時刻(たとえば、2020年1月2日23時4分であれば、「202001022304」)に基づく時間ベースのハッシュ演算を行い、ディスペンサIDを、1分毎に暗号化することによって、ビーコン信号Aを生成し、ビーコン送信部76へ出力する。」(【0068】)、「これを受けて、ビーコン送信部76は、このように1分毎にデータが切り替わるビーコン信号Aを、例えばBLEやNFC通信によって常時を送信している。」(【0069】)、「したがって、ユーザ端末100は、ディスペンサ60に近づけられると、ビーコン送信部76から送信されたビーコン信号Aを受信することができる。」(【0070】)、「ビーコン送信部76から送信されたビーコン信号Aが、ユーザ端末100によって受信されると、専用アプリは、ビーコン信号Aの強度が、所定強度以上であるか否かを判定する。専用アプリは、ビーコン信号Aの強度が所定強度以上であると判定した場合、生理用品Sの提供を求める提供要求Bを生成する。専用アプリはまた、提供要求Bに、ユーザIDを含める。専用アプリはさらに、提供要求Bにビーコン信号Aを含め、提供要求Bを、通信ネットワーク200を介して、生理用品提供管理サーバ10へ送信する。」(【0071】)と記載されている。これらの記載によれば、「ビーコン信号」である「ディスペンサ」から発せられる「信号」は、例えばBLEやNFC通信によって送信されるものであって、受信側において閾値を用いた強度判定を行うことが可能なものであることが理解できる。さらに、段落【0068】【0071】には、「ビーコン信号」は、現在時刻に基づくハッシュ演算とディスペンサIDの暗号化によって「生成」され、これを受信したユーザ端末の専用アプリにおいて提供要求に含められる「情報」である旨が明示されている。これらの発明の詳細な説明の記載からみて、請求項1の記載は、発明の詳細な説明の記載とも対応しているといえる。
この点、申立人は、本件の請求項1〜2は、ビーコン信号は、強度測定の対象となる信号であるのか、近距離無線通信を介して提供される情報であるのかが明確でないと主張する。この主張は、「ビーコン信号」が強度測定の対象となる「信号」であることが「情報」であることと相容れないという前提にたつものであるところ、「信号」の文言は「情報」の趣旨を含むものとして使用され得ないとまではいえないものであり(参考:不正競争防止法2条8項)、このことを踏まえれば、申立人の主張の前提は成り立たない。よって、申立人の主張は採用できない。

(イ) 課題の解決手段について
申立人は、請求項1には、明細書の段落【0012】【0014】【0016】【0017】記載の課題を解決するための情報処理が記載されていないと主張する。
しかし、この主張は、実質的には、請求項の記載が発明の詳細な説明に記載された課題の解決手段の記載になっていない旨の主張であって、サポート要件違反の主張としてされるべきものである。よって、この主張を明確性要件違反の主張として採用することはできない。

(ウ)提供要求の利用について
申立人は、請求項1の記載では、提供要求を生成しているにすぎないから、どのようにして課題を解決するのかが明確ではないと主張する。
しかし、上記(イ)の申立人の主張と同様、実質的には、請求項の記載が発明の詳細な説明に記載された課題の解決手段の記載になっていない旨の主張であって、サポート要件違反として主張されるべきものである。よって、この主張を明確性要件違反の主張として採用することはできない。
また、申立人は、請求項1の記載からみて、生成される提供要求の提供先はディスペンサと考えられるのに対し、発明の詳細な説明の段落【0071】では、提供先は生理用品提供管理サーバであってディスペンサでない、生理用品提供管理サーバとディスペンサとの関係性が請求項1では明確でない、等とも主張する。
しかし、請求項1の記載からみて、生成された提供要求は、生理用品の提供を要求するユーザのニーズに合致する範囲で適切に取り扱われることが明らかである。このことに照らせば、提供要求の送信先は、発明特定事項として明示することが不可欠であるような事項ではなく、提供要求の提供先を明示していないことで明確性要件に違反することにはならない。

イ 請求項2について
(ア)ビーコン信号について
請求項2には、上記ア(ア)に示した記載を含む請求項1を引用する旨に加えて、「前記ビーコン信号は、暗号化に使用される共有鍵と現在時刻のハッシュである」との記載があり、これらの記載によれば、「ビーコン信号」は、上記ア(ア)に示した内容に加えて、「提供要求」に含まれる「情報」として「暗号化に使用される共有鍵と現在時刻のハッシュ」を含むものであることが明確であるし、この理解は、上記ア(ア)に示した発明の詳細な説明の記載とも対応している。
申立人は、請求項2の記載では、「ビーコン信号」が「ハッシュ」である趣旨か「共有鍵」と「ハッシュ」の両方の趣旨かが不明であると主張するが、一般論として共有鍵をビーコン信号として送信することはあり得るかもしれないが、発明の詳細な説明の段落【0068】の記載からみて、前者の趣旨であることは、明らかである。

(イ)ビーコン信号を用いた処理について
申立人は、請求項2の記載では、明細書の段落【0012】【0014】【0016】【0017】記載の課題を解決するための発明特定事項が不足していると主張するが、この主張は、実質的には、請求項の記載が発明の詳細な説明に記載された課題の解決手段の記載になっていない旨の主張であって、サポート要件違反として主張されるべきものである。よって、この主張を明確性要件違反の主張として採用することはできない。

(2) 申立理由4(サポート要件)について
ア 請求項1の「受信した前記ビーコン信号が所定強度以上であるか否かを判定し、前記所定強度以上であると判定した場合、前記生理用品の提供を求める提供要求を生成し」との記載からみて、請求項1の記載は、ビーコン信号を発するディスペンサの近傍にビーコン信号を受信するユーザ端末が所在する場合に提供要求を生成することを記載しているといえる。
これに対し、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、上記(1)ア(ア)に示した記載があり、さらに、「なお、専用アプリが、ビーコン信号A(または、ビーコン信号A’)の強度が所定強度以上である場合にのみ提供要求Bを生成するようにしたのは、同じトイレ内の隣の個室に設けられたディスペンサ60のビーコン送信部76から送信されたビーコン信号Aによって提供要求Bを生成しないようにしたためである。」(【0081】)、「後述するように、生理用品提供管理サーバ10は、ユーザ端末100から提供要求Bがあった場合、ディスペンサ60毎に生理用品Sの提供の可否を判定する。したがって、例えば、ユーザ端末100が、ユーザが居る個室に設けられたディスペンサ60からのものではなく、隣の個室のディスペンサ60から送信されたビーコン信号Aを受信して、提供要求Bを生成し、生理用品提供管理サーバ10へ送信した場合、仮に生理用品提供管理サーバ10によって提供可と判定された場合であっても、それは隣の個室のディスペンサ60からの提供が可能と判定されたものとなるので、ユーザが居る個室に設けられているディスペンサ60から生理用品Sは排出されない。このような不具合を避けるために、専用アプリは、ビーコン信号A(または、ビーコン信号A’)の強度が所定強度以上である場合にのみ提供要求Bを生成するようにしている。」(【0082】)とも記載されている。これらの記載によれば、発明の詳細な説明においては、「同じトイレ内の隣の個室に設けられたディスペンサ60のビーコン送信部76から送信されたビーコン信号Aによって提供要求Bを生成しない」ことを課題として、この課題を解決するために、「専用アプリは、ビーコン信号A(または、ビーコン信号A’)の強度が所定強度以上である場合にのみ提供要求Bを生成する」ことが記載されているといえる。
以上の請求項1の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比すると、請求項1の記載が発明の詳細な説明に記載したものであることは、明らかである。
申立人は、請求項1の記載は、明細書の段落【0012】【0014】【0016】【0017】記載の課題を解決する手法を含んでいないと主張しているが、上記に照らせば、請求項1の記載は、発明の詳細な説明に記載された課題とその解決手段の記載と整合するものであり、サポート要件に違反するとはいえない。
イ 申立人は、請求項1の記載では、生成された提供要求を送信せずにアプリ内で管理する処理や、ディスペンサや生理用品管理サーバ以外のサーバ装置に送信する処理をも含むのに対し、明細書の記載では、生理用品管理サーバに送信する処理のみが記載されていると主張している。
しかし、上記(1)ア(ウ)に示したとおり、請求項1の記載からみて、「アプリ」において生成された提供要求は、生理用品の提供を要求するユーザのニーズに合致する範囲で適切に取り扱われることが明らかであり、他方、発明の詳細な説明の記載は、生理用品管理サーバに送信する処理のみが記載されているにしても、生理用品の提供を要求するユーザのニーズに合致する範囲であれば、生成された提供要求を「アプリ」の内部で管理したり他のサーバ装置へ送信したりすることはでき、これらを排斥する記載ではないものといえる。よって、申立人の主張は、採用できない。
ウ 申立人は、請求項1の記載では、「ビーコン信号」が近距離無線通信の信号そのものであるか、情報であるかが明確でないのに対し、本件明細書には近距離無線通信の信号そのものを「ビーコン信号」とすることは記載されていないと主張している。
しかし、上記(1)ア(ア)で説示したように、請求項1(およびこれを引用する請求項2)の「ビーコン信号」が受信側において閾値を用いた強度判定を行うことが可能であるような「信号」であり、かつ、「提供要求」に含まれる「情報」であることは、請求項1〜2の記載から明確であるし、上記(1)ア(ア)に示した本件特許の明細書の段落【0068】及び【0069】の記載からみて、本件明細書に近距離無線通信の信号そのものを「ビーコン信号」とすることが記載されていないともいえないから、いずれにしても、申立人の主張を採用することはできない。
エ 申立人は、さらに、請求項2の「前記ビーコン信号は、暗号化に使用される共有鍵と現在時刻のハッシュである」との記載についてもサポート要件違反を主張しているが、この主張も、上記ウの説示に照らせば、採用することはできない。

(3) 申立理由5(実施可能要件)について
申立人の主張する内容は、実質的には、上記(1)及び(2)において検討した明確性要件違反またはサポート要件違反の主張を実施可能要件違反として主張するものであり、上記(1)及び(2)に示したことに照らして、いずれも採用することができない。

3 特許異議についてのまとめ
以上のとおり、申立人が異議申立で申し立てた申立理由は、いずれも理由がない。

第6 むすび
以上のとおり、特許異議の申立理由は、いずれも理由がなく、請求項1〜2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1〜2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2023-06-28 
出願番号 P2022-025544
審決分類 P 1 651・ 113- Y (G06Q)
P 1 651・ 537- Y (G06Q)
P 1 651・ 121- Y (G06Q)
P 1 651・ 536- Y (G06Q)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 高瀬 勤
特許庁審判官 相崎 裕恒
鹿野 博嗣
登録日 2022-10-21 
登録番号 7163519
権利者 オイテル株式会社
発明の名称 生理用品提供装置のためのアプリ  
代理人 弁理士法人鈴榮特許綜合事務所  

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