• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01S
管理番号 1400043
総通号数 20 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-05-12 
確定日 2023-06-29 
事件の表示 特願2018− 99356「指定システム、及び指定プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年11月28日出願公開、特開2019−203800〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成30年5月24日の出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和3年10月28日付け:拒絶理由通知書
同年12月13日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 3月24日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同年 4月 5日 :原査定の謄本の送達)
同年 5月12日 :審判請求書、手続補正書の提出
同年12月15日付け:拒絶理由通知書
令和5年 2月 9日 :意見書、手続補正書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和5年2月9日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項1の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】
複数の階を有する建物に関する指定対象の位置を指定する指定システムであって、
ユーザによる端末装置への操作が行われた場合に、前記指定対象の位置を特定するための位置特定情報を取得し、取得した前記位置特定情報に基づいて前記指定対象の位置を特定する半自動特定手法にて前記指定対象の位置を特定する半自動特定手段と、
ユーザによる端末装置への操作が行われたか否かに関わらず、前記端末装置の位置を特定し、特定した前記端末装置の位置を前記指定対象の位置として特定する自動特定手法にて前記指定対象の位置を特定する自動特定手段と、
ユーザによる指定位置を受け付けた場合に、受け付けた前記指定位置を前記指定対象の位置として特定する手動特定手法にて前記指定対象の位置を特定する手動特定手段と、
前記自動特定手段、前記半自動特定手段、又は前記手動特定手段が前記指定対象の位置を特定した場合に、当該特定した位置に対応する位置を前記指定対象の位置として指定する指定手段と、
を備え、
前記自動特定手法は、指定対象が設けられる空間に設置されている発信器から出力される第1電波、又は、位置測位衛星から出力される第2電波を受信した場合に、受信した前記第1電波又は前記第2電波に基づいて、前記端末装置の位置を特定し、特定した前記端末装置の位置を前記指定対象の位置として特定する手法であり、
前記半自動特定手法は、前記発信器から出力される前記第1電波又は前記位置測位衛星から出力される前記第2電波を受信したか否かに関わらず、ユーザによる端末装置への操作が行われた場合に、二次元コードを撮像し、撮像した当該二次元コードから前記位置特定情報を取得し、取得した前記位置特定情報に基づいて前記指定対象の位置を特定する手法であり、
前記手動特定手法は、ユーザによる前記端末装置のタッチパネルを介する所定操作により、ユーザによる前記指定位置を受け付けた場合に、受け付けた前記指定位置を前記指定対象の位置として特定する手法であり、
前記自動特定手段は、
前記端末装置が前記第1電波を受信した場合、前記端末装置が前記第2電波を受信しているか否かに関わらず、前記第1電波に基づいて、前記端末装置の位置を特定し、
前記端末装置が前記第1電波を受信しておらず、且つ、前記端末装置が前記第2電波を受信した場合、前記第2電波に基づいて、前記端末装置の位置を特定し、
前記半自動特定手段及び前記手動特定手段は、前記建物における前記指定対象が設けられている階、及び、前記建物における前記指定対象が設けられている階における前記指定対象が設けられている位置、を前記指定対象の位置として特定し、
前記指定システムは、
前記二次元コードが設けられている領域内に前記端末装置が存在するか否かを判定する制御手段、を更に備え、
前記半自動特定手段は、
前記二次元コードが設けられている領域内に前記端末装置が存在するものと前記制御手段が判定した場合に、前記半自動特定手法にて前記指定対象の位置を特定し、
前記二次元コードが設けられている領域内に前記端末装置が存在しないものと前記制御手段が判定した場合に、前記指定対象の位置を特定せず、
前記手動特定手段は、
前記二次元コードが設けられている領域内に前記端末装置が存在しないものと前記制御手段が判定した場合に、
前記建物における前記指定対象が設けられている階を示す階数入力情報を前記端末装置に対して入力させるためのフロア選択メニューと、前記建物における前記指定対象が設けられている階における前記指定対象が設けられている位置を示す位置入力情報を前記端末装置に対して入力させるための図面情報と、を前記端末装置に表示する表示処理と、
前記表示処理で表示された前記フロア選択メニュー及び前記図面情報に関する入力操作であり、前記端末装置の前記タッチパネルを介して行われる前記入力操作であって、前記階数入力情報及び前記位置入力情報を前記端末装置に入力するための前記入力操作がユーザによって行われた場合に、前記入力操作により前記端末装置に入力された前記階数入力情報が示す階及び前記位置入力情報が示す位置、を前記指定対象の位置として特定する特定処理と、を行う、
指定システム。」

第3 当審において通知した拒絶の理由の概要
当審において令和4年12月15日付け拒絶理由通知書で通知した拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)のうち、請理由1(進歩性)の概要は、次のとおりである(拒絶理由通知書の理由1の(1)イ及び(2)参照)。

理由1 (進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に発行された下記の引用文献5及び引用文献4に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。



(引用文献等一覧)
引用文献4 特開平10−105889号公報
引用文献5 特開2017−107420号公報(主引用例)

第4 当審の判断
1 引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定
(1) 引用文献5に記載された事項及び引用発明の認定
ア 引用文献5に記載された事項
当審拒絶理由に引用され、本願の出願前に発行された前記引用文献5には、以下の事項が記載されている。下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。
(ア) 【0017】−【0018】
「【0017】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る画像表示システムの実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、建物の施工、使用、又は維持管理に関する画像を表示する画像表示システムに関する。ここで、「建物の施工、使用、又は維持管理に関する画像」とは、建物の施工、使用、又は維持管理をする際に現場管理者や作業員等に利用される画像であるが、本実施の形態では、建物の施工の際に利用され、建物の建設現場の是正箇所を撮影した画像であるものとする。なお、「是正箇所」とは、建物における是正の対象となる部分であって、例えば設計図面と異なる箇所、シミ、汚れ、欠損等がある部分である。また、当該是正箇所を撮影した画像の用途は任意で、例えば本実施の形態では、建物の調査を行って是正箇所を発見した現場管理者が、作業員に対して是正箇所の位置や是正の具体的内容などを指示するために用いられる画像である。なお、以下では、現場管理者や作業員を特に区別する必要のない場合には、これらを総称して単に「作業員」と称して説明する。」
(イ) 【0019】−【0027】、【図1】
「【0019】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0020】
(構成)
まず、本実施の形態に係る画像表示システムの構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る携帯端末10及びビーコン20を機能概念的に示すブロック図である。ここで、まずは、携帯端末10及びビーコン20の概略について説明する。初めに、「携帯端末」10は、建物の施工、使用、又は維持管理に関する画像を表示する画像表示システムであって、例えば以下ではタブレット型パソコンであるものとするが、その他の機器(例えばノートパソコンやスマートフォン等)でも構わない。そして、この携帯端末10は、ビーコン20からの電波を受信し、ビーコン20の電波強度に基づいて携帯端末10の現在位置を特定できる。次に、「ビーコン」20は、電波を発信する発信手段である。このビーコン20は、作業員によって建設現場に複数配置され、図1では2つのビーコン20についてのみ図示するが、各ビーコン20はいずれも同様に構成される。なお、これら2つのビーコン20をそれぞれ区別する必要がある場合には、これらを「第一ビーコン」21又は「第二ビーコン」22と区別して称する。
【0021】
次に、携帯端末10及びビーコン20の詳細について説明する。まず、図1に示すように、本実施の形態に係る携帯端末10は、機能概念的に、タッチパッド11、ディスプレイ12、ビーコン電波受信部13、方位取得部14、カメラ15、通信部16、制御部17、及びデータ記録部18を備えて構成されている。
【0022】
(構成−携帯端末−タッチパッド)
タッチパッド11は、ユーザの指等で押圧されることにより、当該ユーザから各種操作入力を受け付ける操作手段である。このタッチパッド11の具体的な構成は任意であるが、例えば、抵抗膜方式や静電容量方式等による操作位置検出手段を備えた公知のものを用いることができる。
【0023】
(構成−携帯端末−ディスプレイ)
ディスプレイ12は、各種の画像を表示する表示手段である。また、ディスプレイ12は、カメラ15により取得された前記建物の施工、使用、又は維持管理に関する画像情報と、現在位置取得部17a(後述する)にて取得された位置情報であって、カメラ15により画像情報の取得が行われた位置に関する位置情報と、図面データベース18b(後述する。以下、データベースを「DB」と表記する)に格納された図面情報と、方位取得部14にて取得された方位情報であって、カメラ15により画像情報の取得が行われた方位に関する方位情報と、を相互に関連付けて表示する表示手段である。このディスプレイ12の具体的な構成は任意であるが、例えば、公知の液晶ディスプレイ12や有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイ等を用いることができる。なお、上記のタッチパッド11と当該ディスプレイ12をタッチパネルとして一体形成しても構わない。
【0024】
(構成−携帯端末−ビーコン電波受信部)
ビーコン電波受信部13は、ビーコン20から発信された電波を受信するビーコン電波受信手段である。このビーコン電波受信部13の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知の無線通信手段を用いることができる。
【0025】
(構成−携帯端末−方位取得部)
方位取得部14は、カメラ15による撮影方位を特定する方位情報を取得する方位取得手段であって、例えばジャイロコンパス、磁気コンパス、又は方位磁針等であるが、これに限られない。
【0026】
(構成−携帯端末−カメラ)
カメラ15は、撮影を行って画像情報を取得する撮影手段である。このカメラ15が撮影した画像情報は制御部17に入力されて、データ記録部18に適宜記録される。なお、カメラ15の具体的な構成は任意で、例えばCMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等の公知の撮像素子、及び魚眼レンズやプリズム等の公知の光学系部品を用いて構成されている。
【0027】
(構成−携帯端末−通信部)
通信部16は、他の携帯端末10(図示省略)との間でネットワークを介した通信を行う通信手段であり、この通信部16の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知の無線通信手段を用いることができる。」
「【図1】



(ウ) 【0028】−【0029】
「【0028】
(構成−携帯端末−制御部)
制御部17は、携帯端末10を制御する制御手段である。具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、本実施の形態に係る画像表示プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して携帯端末10にインストールされることで、制御部17の各部を実質的に構成する。なお、「画像表示プログラム」とは、建物の施工、使用、又は維持管理に関する画像を表示する画像表示プログラムであって、コンピュータを、撮影を行って画像情報を取得するカメラ15と、カメラ15の位置を特定する位置情報を取得する現在位置取得部17a(後述する)と、カメラ15により取得された建物の施工、使用、又は維持管理に関する画像情報と、現在位置取得部17aにて取得された位置情報であって、カメラ15により画像情報の取得が行われた位置に関する位置情報と、建物に関する図面情報と、を相互に関連付けて表示するディスプレイ12と、として機能させる画像表示プログラムである。また、「コンピュータ」とは、本実施の形態においてはタブレット端末の如き携帯端末10であるが、これに限らず、任意の機器(例えばノートパソコンやスマートフォン等)も含む。ここで、制御部17は、機能概念的に、現在位置取得部17aと、移動受付部17bとを備えて構成される。
【0029】
現在位置取得部17aは、カメラ15の位置を特定する位置情報を取得する位置取得手段である。また、現在位置取得部17aは、第一ビーコン21から受信した電波の強度と、第二ビーコン22から受信した電波の強度とを比較し、この比較結果と、発信位置DB18c(後述する)に格納された発信位置情報と、に基づいて位置情報を取得する位置取得手段である。なお、本実施の形態においては、このようにビーコン電波受信部13にて受信したビーコン20からの受信電波に基づいて位置情報を取得する装置として構成するが、これに限らず例えば音波受信機やGPS受信機によって位置情報を取得したり、ジャイロセンサ等を活用したPDR技術により推定された位置情報を取得したりする装置であっても構わない。また、現在位置取得部17aが位置情報を取得するための具体的な方法については後述する。移動受付部17bは、ユーザからの入力に基づいて、ディスプレイ12に表示した位置アイコン(後述する)の表示位置を移動させる移動受付手段である。なお、これら制御部17の各部によって実行される具体的な処理については後述する。」
(エ) 【0030】−【0038】、【図2】−【図3】
「【0030】
(構成−携帯端末−データ記録部)
データ記録部18は、携帯端末10の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記録装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。
【0031】
このデータ記録部18は、画像DB18a、図面DB18b、及び発信位置DB18cを備えている。
【0032】
画像DB18aは、カメラ15により取得された建物の施工、使用、又は維持管理に関する画像情報と、現在位置取得部17aにて取得された位置情報であって、カメラ15により画像情報の取得が行われた位置に関する位置情報とを相互に関連付けて格納する画像格納手段である。図2は、画像DB18aに格納された情報を例示する図である。この図2に示すように、画像DB18aは、項目「画像情報」、項目「位置情報」、及び項目「方位情報」と、これら各項目に対応する情報とを相互に関連付けて格納する。
【0033】
ここで、項目「画像情報」に対応する情報としては、カメラ15により取得された建物の施工、使用、又は維持管理に関する画像情報(画像データ)が格納されている。なお、図2においては、図示の便宜上、当該画像情報を一意に特定するデータ番号及び拡張子のみを表記している。また、項目「位置情報」に対応する情報としては、現在位置取得部17aにて取得された位置情報であって、カメラ15により画像情報の取得が行われた位置に関する位置情報が格納されている。具体的には、カメラ15にて撮影が行われた際に、現在位置取得部17aが携帯端末10の位置情報(図示においては、二次元位置座標)を公知の方法で取得し、この取得した位置情報を当該項目に対応する情報として格納する。また、項目「方位情報」に対応する情報としては、カメラ15による撮影方位を特定する方位情報が格納されている。具体的には、カメラ15にて撮影が行われた際に、方位取得部14がカメラ15による撮影方位(図示においては、北を0°の基準とした360°式の水平面における方位)を公知の方法で取得し、この取得した撮影方位を当該項目に対応する情報として格納する。
【0034】
図1に戻り、図面DB18bは、建物に関する図面情報を格納する図面情報格納手段である。図3は、図面DB18bに格納された情報を例示する図である。この図3に示すように、図面DB18bは、項目「図面情報」、項目「領域情報」、項目「階」、及び項目「ビーコンID」と、これら各項目に対応する情報とを相互に関連付けて格納する。
【0035】
ここで、項目「図面情報」に対応する情報としては、建物を表す図面(以下では、「平面図」とする)のデータであって、例えば以下ではCADで作成された図面データとするが、これに限らず、印刷された図面をスキャンしたスキャンデータ等であっても構わない。なお、図3においては、図示の便宜上、当該平面図の図面データを一意に特定するデータ番号及び拡張子のみを表記している。また、項目「領域情報」に対応する情報としては、図面が示す領域を特定する領域情報が格納されており、例えば二次元位置座標の範囲が格納されている。また、項目「階」に対応する情報としては、図面情報が示している平面図の階を特定する情報が格納されている。例えば、「M0001.jpeg」は1階の平面図であり、「M0002.jpeg」は2階の平面図である。また、項目「ビーコンID」に対応する情報としては、図面が示す領域に実際に配置されたビーコン20を一意に特定するための情報が格納されている。例えば、建設現場の建物の1階には、ビーコンIDが「B0001」から「B0050」の合計50個のビーコン20が配置されており、建物の2階には、ビーコンIDが「B0051」から「B0100」の合計50個のビーコン20が配置されているものとする。
【0036】
ここで、各項目に対応する情報を格納するタイミングは任意で、例えば項目「図面情報」、項目「領域情報」、及び項目「階」に対応する情報については、インターネット等を介して携帯端末10にダウンロードされて予め格納されている。また、項目「ビーコンID」に対応する情報については、作業員がビーコン20を実際の建設現場に設置した際に、タッチパッド11を操作して、自らが設置したビーコン20のビーコンIDを入力(例えばビーコン20の表面にビーコンIDが表記されており、この表記を見ながら入力)しても良い。なお、この入力の具体的な手順については後述する。
【0037】
図1に戻り、発信位置DB18cは、電波を発信する第一ビーコン21及び第二ビーコン22であって、電波遮蔽部材30を挟んだ二つの空間のうち一方の空間に配置された第一ビーコン21、及び、電波遮蔽部材30を挟んだ二つの空間のうち他方の空間に配置された第二ビーコン22、の位置を示す発信位置情報を格納する発信位置格納手段である。図4は、発信位置DB18cに格納された情報を例示する図である。この図4に示すように、発信位置DB18cは、項目「ビーコンID」、及び項目「発信位置情報」と、これら各項目に対応する情報とを相互に関連付けて格納する。
【0038】
ここで、項目「ビーコンID」に対応する情報としては、各ビーコン20を一意に特定するための情報が格納されており、例えば「B0001」や「B0002」といったビーコンIDが格納されている。また、項目「発信位置情報」に対応する情報としては、電波を発信する第一ビーコン21(例えば、B0001のビーコン20)及び第二ビーコン22(例えば、B0002のビーコン20)であって、電波遮蔽部材30を挟んだ二つの空間のうち一方の空間に配置された第一ビーコン21、及び、電波遮蔽部材30を挟んだ二つの空間のうち他方の空間に配置された第二ビーコン22、の位置を示す発信位置情報が格納されている。例えば、本実施の形態においては(X035、Y020)や、(X035、Y025)等といったビーコン20の位置を特定するための二次元位置座標が格納されている。ここで、この項目「発信位置情報」に対応する情報を格納するタイミングは任意で、例えば、作業員がビーコン20を実際の建設現場に設置した際に、タッチパッド11を操作して、自らが設置したビーコン20の位置を示すビーコンアイコン(後述する)をビーコン20の設置位置に移動させ、制御部17が、このビーコンアイコンの位置に基づいて自動的に位置座標を特定しても良い。なお、このような入力の具体的な手順については後述する。」
「【図2】



「【図3】



(オ) 【0050】−【0053】、【図6】
「【0050】
(処理−画像表示処理)
続いて、本実施の形態に係る携帯端末10の制御部17にて実行される画像表示処理について説明する。この画像表示処理は、概略的に、図面DB18bに格納された図面情報と、画像DB18aに格納された画像情報、位置情報、及び方位情報とを相互に関連付けてディスプレイ12に表示する処理である。このような表示を行うタイミングとして、以下では、カメラ15での撮影を行う際と、撮影した画像を後に見直す際の2パターンを、それぞれ例に挙げて説明するが、これに限られない。
【0051】
(処理−画像表示処理−カメラでの撮影を行う際)
まずは、カメラ15での撮影を行う際におけるディスプレイ12の表示について説明する。図6は、本実施の形態に係る画像表示処理におけるディスプレイ12の表示例を示す図である。この図6に示すように、制御部17は、概略的に、ディスプレイ12の上半分にはカメラ15による撮影画像を表示し、下半分には平面図、作業員の現在位置を示す位置アイコン、カメラ15の撮影方位を示す方位アイコンを表示する。
【0052】
具体的には、まず制御部17は、作業員が公知の方法で(例えばディスプレイ12に表示されたカメラアイコンをタップすることで)カメラ15を起動させると、カメラ15が写している映像をリアルタイムでディスプレイ12の上半分に表示する。さらに、制御部17は、ビーコン20から受信した電波に付されたビーコンIDに基づいて、図3の図面DB18bを参照して表示すべき図面を特定し、ディスプレイ12の下半分に表示する。例えば、ビーコン電波受信部13にて受信している電波がビーコンID「B0001」や「B0002」のものである場合には、図3において対応する図面情報は「M0001.jpeg」なので、この図面をディスプレイ12の下半分に表示する。また、制御部17は、作業員の現在位置(すなわち、携帯端末10の現在位置)を図面と対応する位置に表示する。例えば、現在位置取得部17aは、上述したようにビーコン20からの電波の強弱に基づいて現在位置を特定する。そして制御部17は、図面における作業員の現在位置と対応する位置に、位置アイコンを表示する。このアイコンの表示態様は任意であるが、本実施の形態は丸アイコンである。また、この位置アイコンはリアルタイムで表示されるので、作業員が移動して携帯端末10の位置が移動すると、位置アイコンの表示位置もそれに伴って移動する。
【0053】
なお、何等かの要因により現在位置取得部17aの精度が低下している場合等には、位置アイコンが誤った位置に表示されてしまう可能性があるが、この場合には、この位置アイコンを、上述したようにビーコンアイコンの表示位置を移動させた方法と同様の方法により、表示位置を移動できる。具体的には、移動受付部17bは、ディスプレイ12に表示された矢印状の現在位置移動アイコン(図示省略)の押圧を受け付けた場合に、矢印が示す方向に位置アイコンを受け付けても良いし、又は、位置アイコンの表示位置が作業員の指で押圧された状態において、指のスライドを受け付けた場合に、スライドに沿って位置アイコンを移動させても良い。」
「【図6】



(カ) 【0068】
「【0068】
(位置及び方位について)
本実施の形態では、位置座標としては、二次元位置座標を特定して格納及び表示したが、高さ方向の位置を加えた三次元位置座標を格納及び表示しても構わない。例えば、図面DB18bに、各図面に対応する高さ位置座標(例えば、1階であれば(Z010)、2階であれば(Z020)等)が格納されており、この高さ位置座標に基づいて特定しても良い。また、方位としてはは、X−Y平面における方位を格納及び表示したが、携帯端末10の傾きを特定する公知の傾きセンサー(図示省略)等を設けることにより、高さ方向のカメラ15の傾きを特定して格納及び表示しても良い。」

引用発明の認定
前記アに摘記した引用文献5の記載事項を総合すると、引用文献5には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

<引用発明>
「建物の施工、使用、又は維持管理に関する画像を表示する画像表示システムであって、(【0018】)
携帯端末10及びビーコン20を備え、携帯端末10は、ビーコン20からの電波を受信し、ビーコン20の電波強度に基づいて携帯端末10の現在位置を特定でき、ビーコン20は、電波を発信する発信手段であり、作業員によって建設現場に複数配置され、(【0020】)
携帯端末10は、機能概念的に、タッチパッド11、ディスプレイ12、ビーコン電波受信部13、方位取得部14、カメラ15、通信部16、制御部17、及びデータ記録部18を備えて構成されており、(【0021】)
タッチパッド11は、ユーザの指等で押圧されることにより、当該ユーザから各種操作入力を受け付ける操作手段であり、(【0022】)
ディスプレイ12は、カメラ15により取得された前記建物の施工、使用、又は維持管理に関する画像情報と、現在位置取得部17aにて取得された位置情報であって、カメラ15により画像情報の取得が行われた位置に関する位置情報と、図面データベース18bに格納された図面情報と、方位取得部14にて取得された方位情報であって、カメラ15により画像情報の取得が行われた方位に関する方位情報と、を相互に関連付けて表示する表示手段であり、タッチパッド11と当該ディスプレイ12をタッチパネルとして一体形成しても構わないものであり、(【0023】)
制御部17の各部は、画像表示プログラムが携帯端末に10にインストールされることで実質的に構成され、画像表示プログラムは、建物の施工、使用、又は維持管理に関する画像を表示する画像表示プログラムであって、コンピュータを、撮影を行って画像情報を取得するカメラ15と、カメラ15の位置を特定する位置情報を取得する現在位置取得部17aと、カメラ15により取得された建物の施工、使用、又は維持管理に関する画像情報と、現在位置取得部17aにて取得された位置情報であって、カメラ15により画像情報の取得が行われた位置に関する位置情報と、建物に関する図面情報と、を相互に関連付けて表示するディスプレイ12と、として機能させ、制御部17は、機能概念的に、現在位置取得部17aと、移動受付部17bとを備えて構成され、(【0028】)
現在位置取得部17aは、カメラ15の位置を特定する位置情報を取得する位置取得手段であり、ビーコン電波受信部13にて受信したビーコン20からの受信電波に基づいて位置情報を取得する装置として構成されるが、これに限らず例えば音波受信機やGPS受信機によって位置情報を取得したり、ジャイロセンサ等を活用したPDR技術により推定された位置情報を取得したりする装置であっても構わないものであり、移動受付部17bは、ユーザからの入力に基づいて、ディスプレイ12に表示した位置アイコンの表示位置を移動させる移動受付手段であり、(【0029】)
データ記録部18は、画像DB18a、図面DB18b、及び発信位置DB18cを備えており、(【0031】)
画像DB18aは、項目「画像情報」、項目「位置情報」、及び項目「方位情報」と、これら各項目に対応する情報とを相互に関連付けて格納し、(【0032】)
項目「画像情報」に対応する情報としては、カメラ15により取得された建物の施工、使用、又は維持管理に関する画像情報(画像データ)が格納されており、項目「位置情報」に対応する情報としては、現在位置取得部17aにて取得された位置情報であって、カメラ15により画像情報の取得が行われた位置に関する位置情報が格納されており、具体的には、カメラ15にて撮影が行われた際に、現在位置取得部17aが携帯端末10の二次元位置座標などの位置情報を公知の方法で取得し、この取得した位置情報を当該項目に対応する情報として格納し、(【0033】)
図面DB18bは、建物に関する図面情報を格納する図面情報格納手段であり、項目「図面情報」、項目「領域情報」、項目「階」、及び項目「ビーコンID」と、これら各項目に対応する情報とを相互に関連付けて格納し、(【0034】)
項目「階」に対応する情報としては、図面情報が示している平面図の階を特定する情報が格納されており、(【0035】)
携帯端末10の制御部17は、画像表示処理を実行し、この画像表示処理は、概略的に、図面DB18bに格納された図面情報と、画像DB18aに格納された画像情報、位置情報、及び方位情報とを相互に関連付けてディスプレイ12に表示する処理であり、このような表示を行うタイミングとして、カメラ15での撮影を行う際が挙げられ、(【0050】)
カメラ15での撮影を行う際におけるディスプレイ12の表示は、ディスプレイ12の上半分にはカメラ15による撮影画像を表示し、下半分には平面図、作業員の現在位置を示す位置アイコン、カメラ15の撮影方位を示す方位アイコンを表示し、(【0051】)
何等かの要因により現在位置取得部17aの精度が低下している場合等には、位置アイコンが誤った位置に表示されてしまう可能性があるが、この場合には、この位置アイコンの表示位置を移動でき、具体的には、移動受付部17bは、ディスプレイ12に表示された矢印状の現在位置移動アイコンの押圧を受け付けた場合に、矢印が示す方向に位置アイコンを受け付けても良いし、又は、位置アイコンの表示位置が作業員の指で押圧された状態において、指のスライドを受け付けた場合に、スライドに沿って位置アイコンを移動させても良く、(【0053】)
位置座標としては、高さ方向の位置を加えた三次元位置座標を格納及び表示しても構わず、例えば、図面DB18bに、各図面に対応する高さ位置座標(例えば、1階であれば(Z010)、2階であれば(Z020)等)が格納されており、この高さ位置座標に基づいて特定しても良い、(【0068】)
画像表示システム」

(2) 引用文献4に記載された事項及び引用文献4技術事項の認定
ア 引用文献4に記載された事項
当審拒絶理由に引用され、本願の出願前に発行された前記引用文献4には、以下の事項が記載されている。
(ア) 【0001】
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カーナビゲーションシステム、さらに詳しくはタクシーなど商用車の配車のためのカーナビゲーションシステムに関するものである。」
(イ) 【0012】−【0016】、【図1】−【図3】
「【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態の一例を、図面に基づいて説明する。図1は、カーナビゲーションシステムの全体構成の概略図である。本発明によるシステムは、基本的にタクシー利用者がタクシーを配車予約を行うための携帯端末と、前記携帯端末内の情報を電話回線網へ送信、あるいは受信する通信手段と、タクシーの配車業務と運行管理を行う配車センターと、タクシーに取り付けられているカーナビゲーションとによって構成される。
【0013】図1に示す、携帯端末を有するタクシー利用者が、どの場所でタクシーを必要とし、どの場所で待っているかなどの位置情報は、位置情報検出手段から前記携帯端末内の位置情報入力手段に入力され、携帯端末内の制御部へ送信される。そして、前記位置情報の検出手段は、電波信号を送信するGPS衛星や、現在の位置情報を光信号で通知する光ビーコン、小エリアに位置情報を電波信号で送信するサインポスト、交通標識や位置表示を示す建造物に取り付けた位置情報が記載されているバーコード等の利用可能なインフラからの情報を、携帯端末内に取り込む。
【0014】次に、通信手段により、携帯端末内の情報を電話回線網へ送信し、あるいは電話回線網から受信する。この通信手段には、公衆電話、PHS、セルラー電話等の既存のインフラを利用することができる。例えば、図2に示すように、利用客の携帯端末から配車センター(配車業務と運行管理を行う)へ配車予約等の信号を外部機器接続通信手段を通して、通信手段に接続して通信し、配車センターとカーナビゲーション間では利用客位置/付帯情報、予約を確保したことを示す信号、予約を確認したことを示す信号を通信し、さらに、配車センターから利用客の携帯端末へ配車確認等の信号を電話回線網により通信する。ここで言う付帯情報とは、目的地、人数、乗車する人の特徴(例えば、服の色、バックを持っている、眼鏡をかけている、帽子をかぶっている等)等を言う。
【0015】次に、本発明を構成する利用客の携帯端末、配車センター、カーナビゲーションなどの個々の構成要素について、以下に詳述する。図3は、本発明による実施形態の携帯端末の構成図である。携帯端末1は、位置情報検出手段6により現在の位置情報を検出する。携帯端末を持っている人間は、今自分がたっている場所がどこにいるのかを知る手段として、少なくとも以下の4つの手段を持つ。第1は、路上の交差点等に設置したサインポストからの小エリアに発信される電波信号により、現在の場所の位置情報を知る無線データ通信手段2である。第2は、路上に設置した光ビーコンからの光信号から現在の位置情報を知る光データ通信手段3である。第3は路上の交通標識、電柱、交差点に設置した位置表示を示す建造物等に取り付けた位置表示用のバーコードから位置情報を読み出すバーコード読み取り手段4である。第4は、GPS衛星からの位置特定のための電波信号を受信して、受信信号に基づいて自らの位置情報を求めるGPS手段5である。しかしながら、周辺に位置情報を自動的に検出してくれるインフラが無い場合には、例えば、ビルの中、地下街等において、配車予約を行う場合、位置/付帯情報入力手段7を用いて、位置情報を自分で入力することにより、タクシー利用者の位置を特定することが可能となる。
【0016】上記に位置情報を制御部10に知らせる5つ手段を全て含んだ形を示したが、本発明による位置情報検出手段6は、タクシー利用者の位置を特定するために、インフラの整備状況に応じた利用可能なものであればよく、どの方法を組み合わせてもかまわないし、さらに前記方法に限定されるものではない。また、インフラが無い場合の入力方法として用いる、位置/付帯情報入力手段7では、位置情報だけでなく、利用客名や付帯情報等の入力も行う機能を有する。」
「【図1】



「【図3】




イ 引用文献4技術事項の認定
前記アに摘記した引用文献4の記載事項を総合すると、引用文献4には次の技術事項(以下「引用文献4技術事項」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献4技術事項>
「タクシー利用者がタクシーの配車予約を行うための携帯端末であって、(【0012】)
携帯端末1は、位置情報検出手段6により現在の位置情報を検出し、携帯端末を持っている人間は、今自分がたっている場所がどこにいるのかを知る手段として、少なくとも、路上の交差点等に設置したサインポストからの小エリアに発信される電波信号により、現在の場所の位置情報を知る無線データ通信手段2、路上に設置した光ビーコンからの光信号から現在の位置情報を知る光データ通信手段3、路上の交通標識、電柱、交差点に設置した位置表示を示す建造物等に取り付けた位置表示用のバーコードから位置情報を読み出すバーコード読み取り手段4、GPS衛星からの位置特定のための電波信号を受信して、受信信号に基づいて自らの位置情報を求めるGPS手段5、の4つの手段を持ち、周辺に位置情報を自動的に検出してくれるインフラが無い場合には、位置/付帯情報入力手段7を用いて、位置情報を自分で入力することにより、タクシー利用者の位置を特定することが可能となり、(【0015】)、
位置情報検出手段6は、タクシー利用者の位置を特定するために、インフラの整備状況に応じた利用可能なものであればよく、どの方法を組み合わせてもかまわないものである、(【0016】)
携帯端末」

2 対比
(1) 対比分析
本願発明と引用発明を対比する。
ア 引用発明の「画像表示システム」は、その「携帯端末10」の「制御部17」が備える「現在位置取得部17a」が、「カメラ15の位置を特定する位置情報を取得する位置取得手段」であり、「この現在位置取得部17aにて取得された位置情報であって、カメラ15により画像情報の取得が行われた位置に関する位置情報」を「格納」するものであるところ、このことは、「カメラにより画像情報の取得」が行われた「対象の位置を指定するもの」であるといえる。
したがって、「指定システム」の発明である本願発明と「画像表示システム」の発明である引用発明は、「指定システム」の発明である点で一致する。

イ(ア) 引用発明の「画像情報の取得」が行われた対象は、本願発明の「指定対象」に相当する。したがって、前記アの検討結果も踏まえると、引用発明は、「指定対象の位置を指定する指定システム」であるといえる。
(イ) 引用発明における前記(ア)の「画像情報」は、「カメラ15により取得された前記建物の施工、使用、又は維持管理に関する画像情報」であるから、「カメラにより画像情報の取得」が行われた対象は、「建物に関する指定対象」であるといえる。
(ウ) 引用発明における前記(イ)の「建物」は、「建物に関する図面情報を格納する図面情報格納手段」が「項目「階」」を格納していることからみて、「複数階を有する建物」であることは明らかである。
(エ) 前記(ア)から(ウ)までの検討結果をまとめると、本願発明と引用発明は、「複数の階を有する建物に関する指定対象の位置を指定する指定システム」である点で一致する。

ウ(ア) 引用発明の「カメラ15」を備えて構成される「携帯端末10」は、本願発明の「端末装置」に相当する。
(イ) 引用発明の「現在位置取得部17a」は、「カメラ15の位置を特定する位置情報を取得する位置取得手段」であるところ、カメラ15の位置を特定することは、カメラ15を備えて構成される携帯端末10の位置を特定することにほかならない。
(ウ) また、引用発明は「現在位置取得部17aにて取得された位置情報であって、カメラ15により画像情報の取得が行われた位置に関する位置情報」を「格納」するものであるから、前記イ(ア)及び前記(イ)を踏まえると、引用発明は、「前記端末装置の位置を特定し、特定した前記端末装置の位置を前記指定対象の位置として特定する」「特定手法にて前記指定対象の位置を特定する」「特定手段」を備えるということができる。
(エ) したがって、本願発明と引用発明は、「前記端末装置の位置を特定し、特定した前記端末装置の位置を前記指定対象の位置として特定する特定手法にて前記指定対象の位置を特定する特定手段」を備える点で共通する。

エ(ア) 引用発明の「移動受付部17b」が、「ユーザからの入力に基づいて、ディスプレイ12に表示した位置アイコンの表示位置を移動させる」ことは、本願発明の「ユーザによる指定位置を受け付け[る]」ことに相当する。
(イ) また、引用発明の「移動受付部17b」は、「何等かの要因により現在位置取得部17aの精度が低下している場合等には、位置アイコンが誤った位置に表示されてしまう可能性があるが、この場合には、この位置アイコンを移動でき[る]」ものであるから、「何等かの要因により現在位置取得部17aの精度が低下している場合」には、「現在位置取得部17a」の代わりに、「カメラ15の位置を特定する位置情報を取得」し、「カメラ15により画像情報の取得が行われた位置に関する位置情報」を「格納」するものであることは明らかである。
(ウ) 前記イ(ア)並びに前記(ア)及び(イ)を踏まえると、引用発明は、「ユーザによる指定位置を受け付けた場合に、受け付けた前記指定位置を前記指定対象の位置として特定する手動特定手法にて前記指定対象の位置を特定する手動特定手段」を備えるといえる。
(エ) したがって、本願発明と引用発明は、「ユーザによる指定位置を受け付けた場合に、受け付けた前記指定位置を前記指定対象の位置として特定する手動特定手法にて前記指定対象の位置を特定する手動特定手段」を備える点で一致する。

オ(ア) 引用発明の「画像表示システム」は、「現在位置取得部17aにて取得された位置情報であって、カメラ15により画像情報の取得が行われた位置に関する位置情報」を「格納」するものであるから、本願発明の「指定手段」に相当する構成を備えることは明らかである。
(イ) したがって、前記ウ及びエでの検討結果を踏まえると、本願発明と引用発明は、「前記特定手段又は前記手動特定手段が前記指定対象の位置を特定した場合に、当該特定した位置に対応する位置を前記指定対象の位置として指定する指定手段」を備える点で共通する。

カ(ア) 引用発明の「ビーコン20」は、「作業員によって建設現場に複数配置され[る]」ものであること、及び、「現在位置取得部17a」が、「ビーコン電波受信部13にて受信したビーコン20からの受信電波に基づいて位置情報を取得する装置として構成」されることを踏まえると、引用発明の「ビーコン20」は、本願発明の「指定対象が設けられる空間に設置されている発信器」に相当する。
(イ) 前記ウ及び(ア)を踏まえると、引用発明における「ビーコン電波受信部13にて受信したビーコン20からの受信電波に基づいて位置情報を取得する」ことは、「指定対象が設けられる空間に設置されている発信器から出力される第1電波を受信した場合に、受信した前記第1電波に基づいて、前記端末装置の位置を特定し、特定した前記端末装置の位置を前記指定対象の位置として特定する手法」であるといえる。
(ウ) さらに、引用発明の「現在位置取得部17a」は、「GPS受信機によって位置情報を取得」する装置であっても構わないものであって、GPS受信機によって位置情報を取得する際には、位置測位衛星から出力される第2電波を受信し、受信した第2電波に基づいて位置情報を取得することは技術常識である。
(エ) したがって、前記ウ及び(ウ)を踏まえると、引用発明における「GPS受信機によって位置情報を取得」することは、「位置測位衛星から出力される第2電波を受信した場合に、受信した前記第2電波に基づいて、前記端末装置の位置を特定し、特定した前記端末装置の位置を前記指定対象の位置として特定する手法」であるともいえる。
(オ) 前記(イ)及び(エ)をまとめると、本願発明と引用発明は、「前記特定手法は、指定対象が設けられる空間に設置されている発信器から出力される第1電波、又は、位置測位衛星から出力される第2電波を受信した場合に、受信した前記第1電波又は前記第2電波に基づいて、前記端末装置の位置を特定し、特定した前記端末装置の位置を前記指定対象の位置として特定する手法であ[る]」点で一致する。

キ(ア) 引用発明の「タッチパッド11と当該ディスプレイ12をタッチパネルとして一体形成」した「タッチパネル」は、本願発明の「タッチパネル」に相当する。
(イ) 引用発明の「移動受付部17b」は、「ディスプレイ12に表示された矢印状の現在位置移動アイコンの押圧を受け付けた場合に、矢印が示す方向に位置アイコンを受け付けても良いし、又は、位置アイコンの表示位置が作業員の指で押圧された状態において、指のスライドを受け付けた場合に、スライドに沿って位置アイコンを移動させても良[い]」ものである。したがって、前記エ及び(ア)を踏まえると、本願発明と引用発明は、「前記手動特定手法は、ユーザによる前記端末装置のタッチパネルを介する所定操作により、ユーザによる前記指定位置を受け付けた場合に、受け付けた前記指定位置を前記指定対象の位置として特定する手法であ[る]」点で一致する。

ク(ア) 引用発明の「移動受付部17b」は、前記エ(イ)で検討のとおり、「何等かの要因により現在位置取得部17aの精度が低下している場合」には、「現在位置取得部17a」の代わりに、「カメラ15の位置を特定する位置情報を取得」し、「カメラ15により画像情報の取得が行われた位置に関する位置情報」を「格納」するものであることは明らかであるから、引用発明の「移動受付部17b」は、「前記指定対象が設けられている位置を前記指定対象の位置として特定[する]」ものである。
(イ) また、前記イ(イ)のとおり、前記(ア)の「画像情報」は、「カメラ15により取得された前記建物の施工、使用、又は維持管理に関する画像情報」である。さらに、引用発明は、「位置座標としては、高さ方向の位置を加えた三次元位置座標を格納及び表示しても構わず、例えば、図面DB18bに、各図面に対応する高さ位置座標(例えば、1階であれば(Z010)、2階であれば(Z020)等)が格納されており、この高さ位置座標に基づいて特定しても良い」ものである。したがって、前記(ア)を踏まえると、本願発明と引用発明は、「前記手動特定手段は、前記建物における前記指定対象が設けられている階、及び、前記建物における前記指定対象が設けられている階における前記指定対象が設けられている位置、を前記指定対象の位置として特定[する]」点で共通する。

ケ(ア) 引用発明は、「カメラ15での撮影を行う際におけるディスプレイ12の表示は、ディスプレイ12の上半分にはカメラ15による撮影画像を表示し、下半分には平面図、作業員の現在位置を示す位置アイコン、カメラ15の撮影方位を示す方位アイコンを表示[する]」ものであるところ、この表示は、「移動受付部17b」が「ユーザからの入力に基づいて、ディスプレイ12に表示した位置アイコンの表示位置を移動させる」場合の表示でもあることは明らかであるから、前記ク(イ)も勘案すると、引用発明は、「前記手動特定手段は、前記建物における前記指定対象が設けられている階における前記指定対象が設けられている位置を示す位置入力情報を前記端末装置に対して入力させるための図面情報を前記端末装置に表示する表示処理」を行うものであるといえる。
(イ) 引用発明の「移動受付部17b」は、「ディスプレイ12に表示された矢印状の現在位置移動アイコンの押圧を受け付けた場合に、矢印が示す方向に位置アイコンを受け付けても良いし、又は、位置アイコンの表示位置が作業員の指で押圧された状態において、指のスライドを受け付けた場合に、スライドに沿って位置アイコンを移動させ[る]」ものであるから、前記キ(ア)も踏まえると、引用発明は、「前記手動特定手段は、前記表示処理で表示された前記図面情報に関する入力操作であり、前記端末装置の前記タッチパネルを介して行われる前記入力操作であって、前記位置入力情報を前記端末装置に入力するための前記入力操作がユーザによって行われ[る]」ものであるといえる。
(ウ) 引用発明の「移動受付部17b」は、前記エ(イ)での検討のとおり、「何等かの要因により現在位置取得部17aの精度が低下している場合」には、「現在位置取得部17a」の代わりに、「カメラ15の位置を特定する位置情報を取得」し、「カメラ15により画像情報の取得が行われた位置に関する位置情報」を「格納」するものであることは明らかであるから、前記(イ)も踏まえると、引用発明は、「前記手動特定手段は、前記入力操作により前記端末装置に入力された前記位置入力情報が示す位置を前記指定対象の位置として特定する特定処理」を行うものであるといえる。
(エ) 前記(ア)〜(ウ)をまとめると、本願発明と引用発明は、次の点で共通する。
「前記手動特定手段は、
前記建物における前記指定対象が設けられている階における前記指定対象が設けられている位置を示す位置入力情報を前記端末装置に対して入力させるための図面情報を前記端末装置に表示する表示処理と、
前記表示処理で表示された前記図面情報に関する入力操作であり、前記端末装置の前記タッチパネルを介して行われる前記入力操作であって、前記位置入力情報を前記端末装置に入力するための前記入力操作がユーザによって行われた場合に、前記入力操作により前記端末装置に入力された前記位置入力情報が示す位置を前記指定対象の位置として特定する特定処理と、を行う」点。

(2) 一致点及び相違点の認定
前記(1)の対比分析の結果をまとめると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

ア 一致点
「複数の階を有する建物に関する指定対象の位置を指定する指定システムであって、
前記端末装置の位置を特定し、特定した前記端末装置の位置を前記指定対象の位置として特定する特定手法にて前記指定対象の位置を特定する特定手段と、
ユーザによる指定位置を受け付けた場合に、受け付けた前記指定位置を前記指定対象の位置として特定する手動特定手法にて前記指定対象の位置を特定する手動特定手段と、
前記特定手段又は前記手動特定手段が前記指定対象の位置を特定した場合に、当該特定した位置に対応する位置を前記指定対象の位置として指定する指定手段と、
を備え、
前記特定手法は、指定対象が設けられる空間に設置されている発信器から出力される第1電波、又は、位置測位衛星から出力される第2電波を受信した場合に、受信した前記第1電波又は前記第2電波に基づいて、前記端末装置の位置を特定し、特定した前記端末装置の位置を前記指定対象の位置として特定する手法であり、
前記手動特定手法は、ユーザによる前記端末装置のタッチパネルを介する所定操作により、ユーザによる前記指定位置を受け付けた場合に、受け付けた前記指定位置を前記指定対象の位置として特定する手法であり、
前記手動特定手段は、前記建物における前記指定対象が設けられている階、及び、前記建物における前記指定対象が設けられている階における前記指定対象が設けられている位置、を前記指定対象の位置として特定し、
前記手動特定手段は、
前記建物における前記指定対象が設けられている階における前記指定対象が設けられている位置を示す位置入力情報を前記端末装置に対して入力させるための図面情報を前記端末装置に表示する表示処理と、
前記表示処理で表示された前記図面情報に関する入力操作であり、前記端末装置の前記タッチパネルを介して行われる前記入力操作であって、前記位置入力情報を前記端末装置に入力するための前記入力操作がユーザによって行われた場合に、前記入力操作により前記端末装置に入力された前記位置入力情報が示す位置を前記指定対象の位置として特定する特定処理と、を行う
指定システム」である点。

イ 相違点
(ア) 相違点1
本願発明は、
a 「ユーザによる端末装置への操作が行われた場合に、前記指定対象の位置を特定するための位置特定情報を取得し、取得した前記位置特定情報に基づいて前記指定対象の位置を特定する半自動特定手法にて前記指定対象の位置を特定する半自動特定手段」を更に備え、
b 「前記半自動特定手法は、前記発信器から出力される前記第1電波又は前記位置測位衛星から出力される前記第2電波を受信したか否かに関わらず、ユーザによる端末装置への操作が行われた場合に、二次元コードを撮像し、撮像した当該二次元コードから前記位置特定情報を取得し、取得した前記位置特定情報に基づいて前記指定対象の位置を特定する手法であり、」
c 「前記半自動特定手段」は、前記建物における前記指定対象が設けられている階、及び、前記建物における前記指定対象が設けられている階における前記指定対象が設けられている位置、を前記指定対象の位置として特定し、
d 「前記指定システムは、前記二次元コードが設けられている領域内に前記端末装置が存在するか否かを判定する制御手段、を更に備え、前記半自動特定手段は、前記二次元コードが設けられている領域内に前記端末装置が存在するものと前記制御手段が判定した場合に、前記半自動特定手法にて前記指定対象の位置を特定し、前記二次元コードが設けられている領域内に前記端末装置が存在しないものと前記制御手段が判定した場合に、前記指定対象の位置を特定せず、」
e 「前記手動特定手段は、前記二次元コードが設けられている領域内に前記端末装置が存在しないものと前記制御手段が判定した場合に」表示処理と特定処理を行う
のに対して、
引用発明は、ユーザによる端末装置への操作が行われた場合に、前記指定対象の位置を特定するための位置特定情報を取得し、取得した前記位置特定情報に基づいて前記指定対象の位置を特定する半自動特定手法にて前記指定対象の位置を特定する半自動特定手段及び二次元コードが設けられている領域内に前記端末装置が存在するか否かを判定する制御手段を備えていない点。

(イ) 相違点2
前記端末装置の位置を特定し、特定した前記端末装置の位置を前記指定対象の位置として特定する特定手法にて前記指定対象の位置を特定する特定手段であって、前記特定手法は、指定対象が設けられる空間に設置されている発信器から出力される第1電波、又は、位置測位衛星から出力される第2電波を受信した場合に、受信した前記第1電波又は前記第2電波に基づいて、前記端末装置の位置を特定し、特定した前記端末装置の位置を前記指定対象の位置として特定する手法である、特定手段が、
本願発明においては、
a 「ユーザによる端末装置への操作が行われたか否かに関わらず」、端末装置の位置を特定し、「自動特定手法にて」、指定対象の位置を指定し、特定した前記端末装置の位置を前記指定対象の位置として特定する「自動特定手段」であり、
b 「前記自動特定手段は、前記端末装置が前記第1電波を受信した場合、前記端末装置が前記第2電波を受信しているか否かに関わらず、前記第1電波に基づいて、前記端末装置の位置を特定し、前記端末装置が前記第1電波を受信しておらず、且つ、前記端末装置が前記第2電波を受信した場合、前記第2電波に基づいて、前記端末装置の位置を特定[する]」
のに対して、
引用発明においては、
ビーコン20やGPSからの受信電波に基づいて位置情報を取得する際に、ユーザによる端末装置への操作が行われたか否かに関わらず取得するのかどうか不明であり、カメラ15の位置を特定する位置情報の取得やカメラ15により画像情報の取得が行われた位置に関する位置情報の格納が自動で行われるかどうか不明であり、
ビーコン電波受信部13にて受信したビーコン20からの受信電波に基づいて位置情報を取得する装置として構成され、これに限らずGPS受信機によって位置情報を取得したりする装置であっても構わないものであるが、ビーコン電波受信部13とGPS受信機の両方を備えるものではなく、両者により位置情報を取得する際の優先関係も不明である点。

(ウ) 相違点3
手動特定手段が、
本願発明においては、
「前記建物における前記指定対象が設けられている階を示す階数入力情報を前記端末装置に対して入力させるためのフロア選択メニュー」を前記端末装置に表示する表示処理と、
「前記表示処理で表示された前記フロア選択メニュー」に関する入力操作であって、「前記階数入力情報」を前記端末装置に入力するための前記入力操作がユーザによって行われた場合に、「前記入力操作により前記端末装置に入力された前記階数入力情報が示す階」を前記指定対象の位置として特定する特定処理と、
を行うのに対して、
引用発明においては、
ディスプレイ12の下半分には平面図、作業員の現在位置を示す位置アイコン、カメラ15の撮影方位を示す方位アイコンを表示して、ディスプレイ12に表示した位置アイコンの表示位置を移動させて、カメラ15により画像情報の取得が行われた位置に関する位置情報を格納するものであるが、当該フロア選択メニューを表示し、当該フロア選択メニューに関する入力操作であって、前記階数入力情報が示す階の入力操作がユーザによって行われた場合に前記階数情報が示す階を指定対象の位置として特定するかどうか不明である点。

3 判断
(1) 相違点についての検討
前記相違点について検討する。
ア 相違点1について
(ア) 引用文献4技術事項は、現在の位置情報を検出する「位置情報検出手段6」が、無線データ通信手段2、光データ通信手段3、バーコード読み取り手段4及びGPS手段5、の4つの手段を持つものである。
(イ) また、引用発明は、ビーコン電波受信部13にて受信したビーコン20からの受信電波に基づいて位置情報を取得する装置に限らず、例えば音波受信機やGPS受信機によって位置情報を取得したり、ジャイロセンサ等を活用したPDR技術により推定された位置情報を取得したりする装置であっても構わないものであり、引用発明と引用文献4技術事項は、携帯端末を用いて位置情報を取得する点で共通する技術であることを考慮すれば、引用発明において、無線データ通信手段2や光データ通信手段3と、バーコード読み取り手段4を併用する引用文献4技術事項を参酌して、現在位置取得部17aとして、ビーコン電波受信部13にて受信したビーコン20からの受信電波に基づいて位置情報を取得する装置に、引用文献4技術事項のバーコード読み取り手段4を併せて採用することは、当業者が容易になし得たことである。
(ウ) このとき、バーコード読み取り手段4によるバーコードの読み取りは携帯端末10への操作を契機として行うことになることは自明であるから、「バーコード読み取り手段」は、本願発明の「ユーザによる端末装置への操作が行われた場合に、前記指定対象の位置を特定するための位置特定情報を取得し、取得した前記位置特定情報に基づいて前記指定対象の位置を特定する半自動特定手法にて前記指定対象の位置を特定する半自動特定手段」に相当する(前記相違点1のa)。
(エ)a また、バーコード読み取り手段によるバーコードの読み取りは、本願発明の「半自動読み取り方法」に相当することとなる。
b ここで、本願発明の半自動特定手法が「前記発信器から出力される前記第1電波又は前記位置測位衛星から出力される前記第2電波を受信したか否かに関わらず、ユーザによる端末装置への操作が行われた場合に」指定対象の位置を特定する手法である点について検討すると、引用文献4技術事項は前記4つの手段のうち特定の手段を優先すべきことを特定するものではないから、バーコード読み取り手段によるバーコードの読み取りをビーコン20からの受信電波又はGPSからの電波を受信したか否かに関わらず行うことは、当業者が適宜なし得る設計変更にすぎない。
c さらに、引用発明に引用文献4技術事項のバーコード読み取り手段4を適用する際に、バーコードに代えて、これと置換可能であることが文献を挙げるまでもない周知の二次元コードを採用することは、当業者が適宜なし得る設計変更にすぎない。
d 以上aからcまでにおいて検討したとおりであるから、引用発明において引用文献4技術事項と周知技術を適用して、「前記半自動特定手法は、前記発信器から出力される前記第1電波又は前記位置測位衛星から出力される前記第2電波を受信したか否かに関わらず、ユーザによる端末装置への操作が行われた場合に、二次元コードを撮像し、撮像した当該二次元コードから前記位置特定情報を取得し、取得した前記位置特定情報に基づいて前記指定対象の位置を特定する手法であ[る]」との構成とすることは、当業者が容易になし得たことである(前記相違点1のb)。
(オ) また、引用発明においてバーコード読み取り手段4を採用した際には、引用発明は、「位置座標としては、高さ方向の位置を加えた三次元位置座標を格納及び表示しても構わず、例えば、図面DB18bに、各図面に対応する高さ位置座標(例えば、1階であれば(Z010)、2階であれば(Z020)等)が格納されており、この高さ位置座標に基づいて特定しても良い」ものであることを勘案すれば、当該バーコード読み取り手段4についても、「前記建物における前記指定対象が設けられている階、及び、前記建物における前記指定対象が設けられている階における前記指定対象が設けられている位置、を前記指定対象の位置として特定[する]」ように構成することは、当業者の当然の配慮事項である(前記相違点1のc)。
(カ)a 相違点1のdに係る本願発明の「前記二次元コードが設けられている領域内に前記端末装置が存在するか否かを判定する制御手段」について、本願の発明の詳細な説明【0070】には次の記載がある(下線は当審において付した。)。
「制御部27は、半自動指定エリアの領域内に端末装置2が存在するか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、作業員からタッチパッド21を介する所定操作を受け付けることとし、当該受け付けた所定操作に基づいて判定する。そして、作業員が自己の周囲に二次元コード13が設けられているか否かを判断し、判断結果に基づいて、タッチパッド21を介して「実行」ボタン(半自動指定を実行することを入力するボタン)又は「キャンセル」ボタン(半自動指定を実行しないことを入力するボタン)をタップすることとする。そして、指定部274は、作業員が「キャンセル」ボタンをタップした場合、半自動指定エリアの領域内に端末装置2が存在しないものと判定し(SA7のNO)、SA10に移行する。また、作業員が「実行」ボタンをタップした場合、半自動指定エリアの領域内に端末装置2が存在するものと判定し(SA7のYES)、SA8に移行する。」
b 前記aで摘記した記載のとおり、相違点1のdに係る本願発明の「前記二次元コードが設けられている領域内に前記端末装置が存在するか否かを判定する制御手段」は、作業員が自己の周囲に二次元コード13が設けられているか否かを判断して、「実行」ボタン又は「キャンセル」ボタンをタップすることに基づいて制御部27が判断する形態を含むものである。
c そして、バーコード読み取り手段4によってバーコードを読み取る際には、これに先立ちユーザがバーコードの有無を判断することは当然のことであるし、また、バーコード読み取り手段4によるバーコードの読み取りは携帯端末10への操作を契機として行うことになることは自明であることは前記(ウ)のとおりであるから、バーコードを読み取る際にユーザが携帯端末10に対してバーコードの有無に応じた操作を行って、当該操作に応じてバーコード読み取り手段によるバーコードの読み取りを行うか否か及び位置情報を格納する否かを制御するようにすることは、ごくごく自然な設計にすぎない(前記相違点1のd)。
(キ) 引用発明の「移動受付部17b」は、「何等かの要因により現在位置取得部17aの精度が低下している場合等には、位置アイコンが誤った位置に表示されてしまう可能性があるが、この場合には、この位置アイコンを移動でき[る]」ものであるから、前記(カ)cのバーコードの有無の判断においてバーコードがないと判断して現在位置が取得できない場合に、移動受付部17bによる表示処理及び特定処理を行うようにすること(本願発明の「手動特定手段」に係る処理に相当する。)は(前記2(1)ケ参照)、当業者が当然の配慮事項である(前記相違点1のe)。

イ 相違点2について
(ア) ビーコン20やGPSからの受信電波に基づく位置情報の取得を、「ユーザによる端末装置への操作が行われたか否かに関わらず」端末装置の位置を特定する「自動特定手法」とすることは、文献を挙げるまでない周知技術にすぎないから、引用発明においてもビーコン20やGPSからの受信電波に基づく位置情報の取得を自動特定手法として、カメラ15の位置を特定する位置情報の取得やカメラ15により画像情報の取得が行われた位置に関する位置情報の格納を「自動特定手段」として構成することは、当業者が容易になし得たことである(前記相違点2のa)。
(イ)a また、引用発明は、ビーコン電波受信部13にて受信したビーコン20からの受信電波に基づいて位置情報を取得する装置に限らず、例えば音波受信機やGPS受信機によって位置情報を取得したり、ジャイロセンサ等を活用したPDR技術により推定された位置情報を取得したりする装置であっても構わないものである。
b そして、引用文献4技術事項は、現在の位置情報を検出する「位置情報検出手段6」が、無線データ通信手段2、光データ通信手段3、バーコード読み取り手段4及びGPS手段5、の4つの手段を持つものであるところ、引用発明と引用文献4技術事項は、携帯端末を用いて位置情報を取得する点で共通する技術であることを考慮すれば、引用発明において、無線データ通信手段2や光データ通信手段3とともにGPS手段5を併用する引用文献4技術事項を参酌して、引用発明における現在位置取得部17aとして、ビーコン電波受信部13にて受信したビーコン20からの受信電波に基づいて位置情報を取得する装置とGPS受信機を併せて採用することは、当業者が容易になし得たことである。
(a) その際に、ビーコンからの受信電波に基づく位置情報の取得と、GPSからの受信電波に基づく位置情報の取得のどちらを優先すべきかについては、本願の発明の詳細な説明の記載を参酌しても格別の技術上の意義は認められず、かえって、【0093】の「例えば図7のSA1及びSA2と、SA5及びSA6とを相互に入れ替えてもよい。」との記載からは相互に入れ替え可能な程度の設計事項にすぎないと認められるから、ビーコンからの受信電波に基づく位置情報の取得をGPSからの受信電波に基づく位置情報の取得に優先して行って本願発明の相違点3に係る構成を採用することは、位置情報を取得する環境に応じて当業者が適宜決定すべき設計事項である(前記相違点2のb)。
(b) また、引用発明のように「建物の施工、使用、又は維持管理に関する画像情報」の取得が行われた位置に関する位置情報を取得するに際し、特に建物の内部の画像情報の取得が行われた位置に関する位置情報を取得する場合のように、ビーコンからの受信電波の方がGPSからの受信電波よりも受信機会が多くなることが想定される場合には、ビーコンからの受信電波に基づく位置情報の取得を優先的に行うようにして、携帯端末10がビーコンからの受信電波を受信した場合、携帯端末がGPSからの電波を受信しているか否かに関わらず、ビーコンからの電波に基づいて位置情報の取得を行って携帯端末10のカメラ15の位置を特定し、携帯端末10がビーコンからの電波を受信しておらず、かつ、携帯端末10がGPSからの第2電波を受信した場合、GPSからの電波に基づいて、携帯端末10のカメラ15の位置を特定することは、当業者が適宜決定すべき設計事項であるともいえる(前記相違点2のb)。

エ 相違点3について
引用発明は、「位置座標としては、高さ方向の位置を加えた三次元位置座標を格納及び表示しても構わず、例えば、図面DB18bに、各図面に対応する高さ位置座標(例えば、1階であれば(Z010)、2階であれば(Z020)等)が格納されており、この高さ位置座標に基づいて特定しても良い」ものであることを勘案すれば、「何等かの要因により現在位置取得部17aの精度が低下している場合等」に「ユーザからの入力に基づいて、ディスプレイ12に表示した位置アイコンの表示位置を移動させる移動受付手段である」移動受付部17bによって、高さ位置座標である階数についても位置アイコンの表示位置を移動できるようにすることは当業者が容易に想到しうることであり、これに適したユーザインターフェースとして階数を指定するためのフロア選択メニューに相当する内容を表示し、当該フロア選択メニューへのユーザによる階数の入力操作が行われた場合に、当該階数が示す階を高さ位置情報として格納するようにすることは、当業者が容易になし得たことである。

オ 総合検討
上記相違点1〜3を総合的に判断しても、本願発明の奏する効果としては、当該構成のものとして予測困難、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。

相違点の判断についてのまとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び引用文献4技術事項並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2) 請求人の主張について
ア 意見書における請求人の主張内容
請求人は、当審拒絶理由に対して令和5年2月9日に提出された意見書において、以下の旨を主張している。
(ア) 引用文献4、5には、
a 「前記自動特定手段は、前記端末装置が前記第1電波を受信した場合、前記端末装置が前記第2電波を受信しているか否かに関わらず、前記第1電波に基づいて、前記端末装置の位置を特定し、前記端末装置が前記第1電波を受信しておらず、且つ、前記端末装置が前記第2電波を受信した場合、前記第2電波に基づいて、前記端末装置の位置を特定し、前記半自動特定手段及び前記手動特定手段は、前記建物における前記指定対象が設けられている階、及び、前記建物における前記指定対象が設けられている階における前記指定対象が設けられている位置、を前記指定対象の位置として特定」する点、
b 「前記半自動特定手段は、前記二次元コードが設けられている領域内に前記端末装置が存在するものと前記制御手段が判定した場合に、前記半自動特定手法にて前記指定対象の位置を特定し、前記二次元コードが設けられている領域内に前記端末装置が存在しないものと前記制御手段が判定した場合に、前記指定対象の位置を特定せず、前記手動特定手段は、前記二次元コードが設けられている領域内に前記端末装置が存在しないものと前記制御手段が判定した場合に、前記建物における前記指定対象が設けられている階を示す階数入力情報を前記端末装置に対して入力させるためのフロア選択メニューと、前記建物における前記指定対象が設けられている階における前記指定対象が設けられている位置を示す位置入力情報を前記端末装置に対して入力させるための図面情報と、を前記端末装置に表示する表示処理と、前記表示処理で表示された前記フロア選択メニュー及び前記図面情報に関する入力操作であり、前記端末装置の前記タッチパネルを介して行われる前記入力操作であって、前記階数入力情報及び前記位置入力情報を前記端末装置に入力するための前記入力操作がユーザによって行われた場合に、前記入力操作により前記端末装置に入力された前記階数入力情報が示す階及び前記位置入力情報が示す位置、を前記指定対象の位置として特定する特定処理と、を行う」点が開示も示唆もされていない。
(イ) 引用文献4においては、拒絶理由通知の第2頁の「c」の欄にて「引用文献4には前記4つの手段のうち特定の手段を優先すべきことは特段記載されていないから」と指摘のとおり、優先する概念は開示も示唆もされていないので、本願特徴1の「前記自動特定手段は、前記端末装置が前記第1電波を受信した場合、前記端末装置が前記第2電波を受信しているか否かに関わらず、前記第1電波に基づいて、前記端末装置の位置を特定し、前記端末装置が前記第1電波を受信しておらず、且つ、前記端末装置が前記第2電波を受信した場合、前記第2電波に基づいて、前記端末装置の位置を特定し」に対応する概念は開示も示唆もされていない。
(ウ)a また、拒絶理由通知の第3頁の下段において補正前の請求項5に関して「引用文献4に記載された発明において、バーコード読み取り手段4による読み取りを行うに際しては、タクシー利用者がバーコードが存在するか否かを判定することは必然であり、バーコードの読み取りに先立ち当該判定結果を携帯端末からシステムに反映することもごく自然な設計事項である」と指摘しているが、引用文献4においては、例えば、ユーザの場所を知る手段として、第1〜第4の手段が単に列記されているのみであり、拒絶理由通知の第2頁の「c」の欄でも指摘のとおり、何れかの手段を優先させる等の概念は開示も示唆もされていないので、第3の手段に関して、バーコードの読み取りに先立ち当該判定結果を携帯端末からシステムに反映することについては、開示も示唆もされておらず、設計事項ではない。
b また、バーコードが存在しないと判定した場合、第3の手段を行えなくする等のバーコードが存在しないと判定した際に行われる何等かの処理については開示も示唆もされていないので、本願特徴1の「前記半自動特定手段は、・・・前記二次元コードが設けられている領域内に前記端末装置が存在しないものと前記制御手段が判定した場合に、前記指定対象の位置を特定せず」は開示も示唆もされていない。
c また、バーコードが存在するか否かを判定結果に基づいて、第3の手段とは異なる他の手段に関する何等かの処理を行うことについても開示も示唆もされていないので、本願特徴1の「前記手動特定手段は、前記二次元コードが設けられている領域内に前記端末装置が存在しないものと前記制御手段が判定した場合に、・・・表示処理と、・・・特定処理と、を行う」点は開示も示唆もされていない。

イ 請求人の主張についての検討
以下、請求人の主張について検討する。
(ア) 請求人が引用文献4、5に記載も示唆もされていないと主張する前記(ア)aについては前記(1)の相違点1及び2についての検討で、前記(ア)bについては前記(1)の相違点1及び3についての検討で、それぞれ詳細に検討したとおり、引用発明及び引用文献4技術事項並びに周知技術に基づいて当業者が容易になし得たことである。
(イ) 請求人の主張(イ)については、前記(1)ウの相違点2についての検討で詳細に検討したとおり、当業者が適宜決定すべき設計事項にすぎない。
(ウ) 請求人の主張(ウ)については、前記(1)ア(カ)で検討したとおり、当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。
補足すると、主張bについては、ユーザが、バーコードがないと判断した場合にバーコードの読み取りを行わず、位置情報を格納しないように制御することはごく自然なことであり、格別の困難は認められない。
また、主張a、cについては、引用発明の「移動受付部17b」は、「何等かの要因により現在位置取得部17aの精度が低下している場合等には、位置アイコンが誤った位置に表示されてしまう可能性があるが、この場合には、この位置アイコンを移動でき[る]」ものであるから、現在位置取得部17aが移動受付部17bに優先するものである。
なお、引用発明は「半自動特定手段」を備えるものではないが、「半自動特定手段」に相当するバーコード読み取り手段4を持つ引用文献4技術事項も、「周辺に位置情報を自動的に検出してくれるインフラが無い場合には、位置/付帯情報入力手段7を用い[る]」ものであり、バーコード読み取り手段4を含む位置情報検出手段6が位置/付帯情報入力手段7に優先するものであるから、引用発明に引用文献4技術事項のバーコード読み取り手段4を適用した際に、バーコード読み取り手段4のためのインフラが無い場合、すなわち、バーコードが存在しない場合にユーザが位置情報を入力することは引用文献4技術事項として開示されている事項でもある。
(エ) 以上のとおり、請求人の主張はいずれも採用できない。

4 小括
以上検討のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献4技術事項並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2023-04-14 
結審通知日 2023-04-18 
審決日 2023-05-10 
出願番号 P2018-099356
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G01S)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 岡田 吉美
特許庁審判官 波多江 進
濱本 禎広
発明の名称 指定システム、及び指定プログラム  
代理人 斉藤 達也  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ