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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H04M
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04M
管理番号 1400108
総通号数 20 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-06-15 
確定日 2023-07-25 
事件の表示 特願2019− 17949「インターホンシステム、インターホンシステムの制御方法及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 8月20日出願公開、特開2020−127112、請求項の数(17)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成31年2月4日の出願であって、令和3年11月16日付けで拒絶理由通知がされ、令和4年1月24日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、令和4年3月7日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、令和4年6月15日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、令和5年3月30日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の通知がされ、令和5年6月5日に提出された手続補正書により手続補正がされたものである。


第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

理由1(新規性)(進歩性
本願請求項1−2、4−5、7−8、13、15−18に係る発明は、以下の引用文献Aに記載された発明であるから、特許法第29条第1項3号に該当し、特許を受けることができないか、または、引用文献Aに記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

理由2(進歩性
本願請求項3、6、9−12、14に係る発明は、以下の引用文献A〜Cに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.特開2009−110068号公報
B.特開2010―245956号公報
C.特開2009−265769号公報


第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

理由1(進歩性
本願の以下の請求項に係る発明は、以下の引用文献に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項1
・引用文献1

・請求項2
・引用文献1、2

・請求項3−5、13、17、18
・引用文献1−3

・請求項6−12、14、15
・引用文献1−4

引用文献等一覧
1.特開2007−295120号公報(当審において新たに引用した文献)
2.特開2009−110068号公報(拒絶査定時の引用文献A)
3.特開2009−265769号公報(拒絶査定時の引用文献C)
4.特開2010−245956号公報(拒絶査定時の引用文献B)


第4 本願発明
本願請求項1−17に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明17」という。)は、令和5年6月5日に提出された手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1−17に記載された事項により特定される発明であると認める。このうち、本願発明1は以下のとおりの発明である。(便宜上、当審にて<a>〜<e>に分説する。)

「【請求項1】
<a>施設における玄関の周辺領域に設けられたインターホン玄関装置の撮像部で撮像された撮像画像を取得する画像取得部と、
<b>前記撮像画像を照合するための基準画像を、前記施設内に設けられ、インターホン親機として動作する情報端末に対する入力に基づいて一時的に登録させる登録部と、を備え、
<c1>前記情報端末は、前記玄関に備わるゲートの解錠指示及び前記登録部に対する前記基準画像の登録指示のための操作を受け付ける入力受付部を有し、
<c2>前記登録指示のための操作は、前記解錠指示のための操作とは個別に行われ、
<e>前記登録部は、前記情報端末に対する入力に基づいて、訪問者による前記情報端末の呼出操作の前または後の前記訪問者を含む画像から選択された前記基準画像を、一時的に登録させる
<d>インターホンシステム。」

なお、本願発明2〜本願発明17の概要は、以下のとおりである。

本願の請求項2〜請求項15は、直接的、間接的に、請求項1を引用する請求項であるから、本願発明2〜本願発明15は、本願発明1の発明特定事項を含むものである。
本願発明16は、本願発明1と発明のカテゴリーのみを異にする方法の発明である。
本願発明17は、本願発明1と発明のカテゴリーのみを異にするプログラムの発明である。


第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
当審拒絶理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0009】
図1はこの発明によるカメラ付きインターフォンシステムの構成の一例を示す図である。インターフォンシステムの子機3は通信線1により親機2と通信可能に接続されている。子機3はこれが設置されている例えば機密エリアへ入退室するためのドア4のセキュリティ機能機器である電気錠4aの施解錠制御を行う。
【0010】
子機3は、訪問者が呼出操作等を行うための呼出釦等を含む入力手段34、訪問者の画像データである例えば顔画像を撮るためのカメラ36及びこのカメラ36で得た顔画像の画像処理を行い顔画像データを生成する画像処理部32、訪問者が子機3から通信線1を介して親機2との間でインターフォン通話を行うためのマイク37、スピーカ38及びこれらのための音声コーデック部33、予め承認(例えば子機3が設置されている機密エリア内への入室許可の承認)された各訪問者の顔画像データ301及び不対応とする訪問者の顔画像データを格納する顔画像データのブラックリスト303が登録されているデータベースDB、及びこれらから得られる信号や情報に従って各種制御を行うコンピュータからなる制御部31、を備える。
【0011】
カメラ36,画像処理部32が画像取得手段を構成し、音声コーデック部33,マイク37,スピーカ38がインターフォン通話手段を構成する。
【0012】
なお親機2は、子機3に対しての指令等を操作者が入力するための例えば複数の入力キー等からなる入力手段24、通信線1を介して子機3を操作する訪問者との間でインターフォン通話を行うためのマイク27、スピーカ28及びこれらのための音声コーデック部23、子機3から送られてくる訪問者の顔画像データをモニタするためのモニタ26と顔画像データからモニタ画像を生成してモニタに表示するモニタ制御部22、及びこれらから得られる信号や情報に従って各種制御を行うコンピュータからなる制御部21、を備える。」

「【0015】
親機2側では、操作者はモニタ26で顔画像データを見ながら、上記親機側の通話手段で訪問者と通話を行うことができる。そして通話の結果、操作者が入力キー等からなる入力手段24を操作して、該訪問者の顔画像データをブラックリスト303に登録するか否かが入力される。また本実施の形態のように、ドア4の電気錠4aの施解錠制御と組み合わされている場合には、該訪問者に対してドア4の電気錠4aの解錠を認め機密エリア内への入室を許可するか否か、が入力される。
【0016】
子機側の制御部31は上記入力に従い、ブラックリスト登録指令、遠隔解錠指令を受ける。そしてブラックリスト登録指令を受けた場合には(ステップS6)、メモリ31aに記録されている顔画像データをデータベースDBのブラックリスト303に登録する(ステップS7)。一方、ブラックリスト登録をせず、例えば上記遠隔解錠指令を受けた場合には(ステップS9)、外部セキュリティ機能機器であるドア4の電気錠4aにセキュリティ機能解除信号である解錠信号を送り、解錠制御を行う(ステップS10)。」

「【図1】



「【図2】



図2から、「ブラックリスト登録(ステップS7)の指令(ステップS6)と、遠隔解錠指令(ステップS9)が別個のものであること」が見てとれる。

以上の記載より、引用文献1には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認める。(便宜上、当審にてA〜Gのように分説し、「分説A」などとして参照する。)

(引用発明)
「A カメラ付きインターフォンシステムであって、インターフォンシステムの子機3は通信線1により親機2と通信可能に接続され、子機3はこれが設置されている例えば機密エリアへ入退室するためのドア4のセキュリティ機能機器である電気錠4aの施解錠制御を行い、(【0009】)
B 子機3は、訪問者が呼出操作等を行うための呼出釦等を含む入力手段34、訪問者の画像データである例えば顔画像を撮るためのカメラ36及びこのカメラ36で得た顔画像の画像処理を行い顔画像データを生成する画像処理部32、訪問者が子機3から通信線1を介して親機2との間でインターフォン通話を行うためのマイク37、スピーカ38及びこれらのための音声コーデック部33、予め承認(例えば子機3が設置されている機密エリア内への入室許可の承認)された各訪問者の顔画像データ301及び不対応とする訪問者の顔画像データを格納する顔画像データのブラックリスト303が登録されているデータベースDB、及びこれらから得られる信号や情報に従って各種制御を行うコンピュータからなる制御部31、を備え、(【0010】)
C カメラ36,画像処理部32が画像取得手段を構成し、音声コーデック部33,マイク37,スピーカ38がインターフォン通話手段を構成し、(【0011】)
D 親機2は、子機3に対しての指令等を操作者が入力するための例えば複数の入力キー等からなる入力手段24、通信線1を介して子機3を操作する訪問者との間でインターフォン通話を行うためのマイク27、スピーカ28及びこれらのための音声コーデック部23、子機3から送られてくる訪問者の顔画像データをモニタするためのモニタ26と顔画像データからモニタ画像を生成してモニタに表示するモニタ制御部22、及びこれらから得られる信号や情報に従って各種制御を行うコンピュータからなる制御部21、を備え、(【0012】)
E 親機2側では、操作者はモニタ26で顔画像データを見ながら、上記親機側の通話手段で訪問者と通話を行い、通話の結果、操作者が入力キー等からなる入力手段24を操作して、該訪問者の顔画像データをブラックリスト303に登録するか否かが入力され、ドア4の電気錠4aの施解錠制御と組み合わされている場合には、該訪問者に対してドア4の電気錠4aの解錠を認め機密エリア内への入室を許可するか否か、が入力され、(【0015】)
F 子機側の制御部31は上記入力に従い、ブラックリスト登録指令、遠隔解錠指令を受け、ブラックリスト登録指令を受けた場合には(ステップS6)、メモリ31aに記録されている顔画像データをデータベースDBのブラックリスト303に登録し (ステップS7)、ブラックリスト登録をせず、遠隔解錠指令を受けた場合には(ステップS9)、外部セキュリティ機能機器であるドア4の電気錠4aにセキュリティ機能解除信号である解錠信号を送り、解錠制御を行い、(【0016】)
G ブラックリスト登録(ステップS7)の指令(ステップS6)と、遠隔解錠指令(ステップS9)が別個のものである、(【図2】)
カメラ付きインターフォンシステム。(【0009】)」

2 引用文献2について
当審拒絶理由で引用した引用文献2の段落【0023】、【0024】には、入退室認証装置4による認証の有効期限、すなわち、特徴点抽出部33により生成された特徴点情報の有効期限を設定すること、特徴点抽出部33により生成された特徴点情報の有効期限を設定する、有効期限設定部34を備える点と、登録名情報に対応する照合用顔画像情報を受信し、特徴点抽出部45により生成された特徴点情報と受信した照合用顔画像情報を照合して両者が一致するかどうかを判定することと、特徴点情報と照合用顔画像情報が一致すると判定され、また有効期限内であると判定された場合、すなわち認証が成功した場合に、電気錠5を解錠する制御信号を電気錠5に出力することが記載されている。さらに、段落【0024】には、顔認証が成功した場合に、電気錠5を開錠する制御信号を電気錠5に出力すること、段落【0023】には、特徴点抽出部33が、抽出画像から、顔部分上での目や鼻の位置などの特徴点情報を生成することが記載されている。

3 引用文献3について
当審拒絶理由で引用した引用文献3の段落【0026】には、一時入場者用の辞書16bに記憶される顔画像が、登録時点から所定時間が経過した際に自動的に消去されることが記載されている。さらに、段落【0044】には、通行者の顔画像を認証結果とともにログデータとして保存することが記載され、段落【0054】には、顔認証装置1から通行者が入場許可者である旨の通知を受信した場合には、ドア制御部27によりドア4を開放する制御を行うことが記載され、さらに段落【0042】には、顔認証部15は、入場許可者との顔照合処理として、入力顔画像から抽出される顔特徴情報と辞書部16に記憶されている各入場許可者の顔画像から抽出される顔特徴情報と類似度を算出することが記載されている。

4 引用文献4について
当審拒絶理由で引用した引用文献4の段落【0083】には、生成された顔画像ごとに、利用者特定部22が特定した利用者を関連付けて、それを認証情報として認証情報記憶部32に登録するものが記載されている。さらに、段落【0086】には、報知部27が、利用者情報記憶部31の利用者情報テーブルを参照し、判別された利用者の部屋の増設親機2のみを鳴動させ、判別された利用者が所有する外部機器に対して訪問者の存在を報知することが記載され、さらに、段落【0054】には、インターフォン装置としてのメイン親機1は、近距離無線通信部16またはインターフェース部17を介して、外部から画像データなどを取得することが記載され、さらに、インターネット、携帯電話回線網などの広域通信網7を介してメイン親機と通信する携帯電話8が記載され、段落【0086】には、判別された利用者の部屋の増設親機2のみを鳴動させたり、判別された利用者が所有する外部機器に対して来訪者の存在を報知することが記載され、さらに、段落【0081】には、顔情報が、顔画像から得られる様々な特徴情報を数値として保持するものと記載されている。


第6 対比・判断
1 本願発明と引用発明との対比

(1)<a>「施設における玄関の周辺領域に設けられたインターホン玄関装置の撮像部で撮像された撮像画像を取得する画像取得部」について

ア 引用発明の「機密エリア」は、複数の「親機2側」の「操作者」が「訪問者 に対してドア4の電気錠4aの解錠を認め機密エリア内への入室を許可するか否か」を「入力」する(分説E)ことにより、「訪問者」が「入室を許可」されるか否かの対象となる「室」を意味するから、本願発明1の「施設」に相当する。

イ 引用発明の「機密エリア」に「設置されている」「子機3」(分説A)は、「訪問者が呼出操作等を行うための呼出釦等を含む入力手段34、訪問者の画像データである例えば顔画像を撮るためのカメラ36」(分説B)等を備えていることから、「訪問者」が「機密エリア」へ「訪問」する入り口となる場所に設けられていることは明らかであり、また、引用発明の「機密エリアへ入退室するためのドア4」(分説A)についても、「訪問者」が「機密エリア」へ入退室する場所に設けられていることは明らかであるから、前記アを踏まえると、引用発明の前記「子機3」及び前記「ドア4」が設けられた入り口となる場所と、本願発明1の「施設における玄関」とは、「施設における入り口」である点で共通する。

ウ 引用発明の「子機3」は、前記イで示したとおり、「訪問者」が「機密エリア」へ「訪問」する入り口となる場所に設けられていることは明らかであるから、前記イを踏まえると、本願発明1の「施設における玄関の周辺領域に設けられたインターホン玄関装置」とは、「施設における入り口の周辺領域に設けられたインターホン装置」である点で共通する。

エ 引用発明の「子機3」に備えられた「カメラ36」(分説B)は、本願発明1の「撮像部」に相当する。

オ 引用発明の「顔画像」は、「カメラ36」により「撮る」ものであるから(分説B)は、前記エを踏まえると、本願発明1の「撮像部で撮像された撮像画像」に相当する。

カ 引用発明の「画像処理部32」は、「訪問者の画像データである例えば顔画像を撮るためのカメラ36」で得た「顔画像」の「画像処理を行い顔画像データを生成する」もの(分説B)であるから、前記オを踏まえると、本願発明1の「撮像部で撮像された画像取得部」に相当する。

キ 以上のア〜カを踏まえると、本願発明1と引用発明は、「施設における入り口の周辺領域に設けられたインターホン装置の撮像部で撮像された撮像画像を取得する画像取得部」を備える点で共通する。

(2)<b>「前記撮像画像を照合するための基準画像を、前記施設内に設けられ、インターホン親機として動作する情報端末に対する入力に基づいて一時的に登録させる登録部」について

ア 引用発明の「不対応とする訪問者の顔画像データ」(分説B)は、「ブラックリスト303」に「登録されている」(分説B)ものであって、「予め承認(例えば子機3が設置されている機密エリア内への入室許可の承認)された各訪問者の顔画像データ301」(分説B)とは逆に、機密エリア内への入室が許可されない不対応の顔画像データとして予め登録されているものであるから、本願発明1の「前記撮像画像を照合するための基準画像」に相当する。

イ 引用発明の「親機2」は、本願発明1の「インターホン親機」に相当する。また、引用発明の当該「親機2」は、「各種制御を行うコンピュータからなる制御部21」を備える(分説D)ことから、本願発明1の「インターホン親機として動作する情報端末」に相当するといえる。

ウ 引用発明の「親機2側では、操作者はモニタ26で顔画像データを見ながら、上記親機側の通話手段で訪問者と通話を行い、通話の結果、操作者が入力キー等からなる入力手段24を操作して、該訪問者の顔画像データをブラックリスト303に登録するか否かが入力され」(分説E)、当該「ブラックリスト303が登録されているデータベースDB」は「子機3」に備えられている(分説B)こと、すなわち「機密エリア」に備えられていることから、前記ア及びイを踏まえると、引用発明の「不対応とする訪問者の顔画像データを格納する顔画像データのブラックリスト303が登録されているデータベースDB」(分説B)は、本願発明1の「前記撮像画像を照合するための基準画像を、前記施設内に設けられ、インターホン親機として動作する情報端末に対する入力に基づいて一時的に登録させる登録部」に相当する。

(3)<c1>「前記情報端末は、前記玄関に備わるゲートの解錠指示及び前記登録部に対する前記基準画像の登録指示のための操作を受け付ける入力受付部を有し、」について

ア 引用発明の「ドア4」は、「電気錠4a」を備え、「施解錠制御」の対象となるもの(分説A、分説E)であるから、前記(1)イを踏まえると、本願発明1の「前記玄関に備わるゲート」とは、「前記入り口に備わるゲート」である点で共通する。

イ 引用発明の「親機2」が、「入力キー等からなる入力手段24」(分説D)を有し、「訪問者に対してドア4の電気錠4aの解錠を認め機密エリア内への入室を許可するか否か、が入力され」(分説E)ることは、本願発明1の「前記情報端末は、前記玄関に備わるゲートの解錠指示」「のための操作を受け付ける」ことと、「前記情報端末は、前記入り口に備わるゲートの解錠指示」「のための操作を受け付ける」点で共通する。

ウ 引用発明の「親機2」が、前記(2)に示したように、「データベースDB」に登録された「ブラックリスト303」に「不対応とする訪問者の顔画像データ」を「登録するか否か」の「入力」「操作」を行っていることは、本願発明1の「前記情報端末は、」「前記登録部に対する前記基準画像の登録指示のための操作を受け付ける」ことに相当する。

エ 以上イ及びウを踏まえると、引用発明の「入力キー等からなる入力手段24」と、本願発明1の「前記玄関に備わるゲートの解錠指示及び前記登録部に対する前記基準画像の登録指示のための操作を受け付ける入力受付部」とは、「前記入り口に備わるゲートの解錠指示及び前記登録部に対する前記基準画像の登録指示のための操作を受け付ける入力受付部」である点で共通する。

オ したがって、「親機2」が「入力キー等からなる入力手段24」を備える引用発明と、本願発明1とは、「前記情報端末は、前記入り口に備わるゲートの解錠指示及び前記登録部に対する前記基準画像の登録指示のための操作を受け付ける入力受付部を有」する点で共通する。

(4)<c2>「前記登録指示のための操作は、前記解錠指示のための操作とは個別に行われる」について

引用発明の「データベースDB」に登録された「ブラックリスト303」に「不対応とする訪問者の顔画像データ」を「登録するか否か」の「入力キー等からなる入力手段24」における「入力」「操作」と、「訪問者に対してドア4の電気錠4aの解錠を認め機密エリア内への入室を許可するか否か」の「入力キー等からなる入力手段24」における「入力」「操作」は、別個のものである(分説G)から、本願発明1と引用発明とは「前記登録指示のための操作は、前記解錠指示のための操作とは個別に行われる」点で一致する。

(5)<e>「前記登録部は、前記情報端末に対する入力に基づいて、訪問者による前記情報端末の呼出操作の前または後の前記訪問者を含む画像から選択された前記基準画像を、一時的に登録させる」について

引用発明では、<e>「前記登録部は、前記情報端末に対する入力に基づいて、訪問者による前記情報端末の呼出操作の前または後の前記訪問者を含む画像から選択された前記基準画像を、一時的に登録させる」点については、特定されていない。

(6)<d>「インターホンシステム」について

引用発明の「カメラ付きインターフォンシステム」は、後述する点を除き、本願発明1の「インターホンシステム」に相当する。

以上のことから、本願発明1と引用発明とを対比すると、以下の点で一致し、相違する。

(一致点)
「施設における入り口の周辺領域に設けられたインターホン装置の撮像部で撮像された撮像画像を取得する画像取得部と、
前記撮像画像を照合するための基準画像を、前記施設内に設けられ、インターホン親機として動作する情報端末に対する入力に基づいて一時的に登録させる登録部と、を備え、
前記情報端末は、前記入り口に備わるゲートの解錠指示及び前記登録部に対する前記基準画像の登録指示のための操作を受け付ける入力受付部を有し、
前記登録指示のための操作は、前記解錠指示のための操作とは個別に行われる
インターホンシステム。」

(相違点1)
「インターホン装置」は、本願発明1では、「玄関」の周辺領域に設けられたものであるのに対して、引用発明では、「入り口」の周辺領域に設けられたものである点。
これに付随し、「インターホン装置」は、本願発明1では「インターホン玄関装置」であるのに対し、引用発明では、「インターホン玄関装置」との特定はされていない点。
また、これに付随し、「ゲート」がある「入り口」は、本願発明1では、「玄関」であるのに対し、引用発明には、「玄関」との特定はされていない点。

(相違点2)
本願発明1では「前記登録部は、前記情報端末に対する入力に基づいて、訪問者による前記情報端末の呼出操作の前または後の前記訪問者を含む画像から選択された前記基準画像を、一時的に登録させる」という構成を備えるのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。

2 判断
(1)本願発明1について
事案に鑑みて、前記相違点2について先に検討すると、相違点2に係る本願発明1の<e>「前記登録部は、前記情報端末に対する入力に基づいて、訪問者による前記情報端末の呼出操作の前または後の前記訪問者を含む画像から選択された前記基準画像を、一時的に登録させる」という構成は、前記引用文献1−4には記載されておらず、本願出願前において周知技術であるともいえない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2〜4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

(2)本願発明2〜15について
本願発明2〜15も、本願発明1の<e>「前記登録部は、前記情報端末に対する入力に基づいて、訪問者による前記情報端末の呼出操作の前または後の前記訪問者を含む画像から選択された前記基準画像を、一時的に登録させる」と同一の発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2〜4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

(3)本願発明16、17について
本願発明16、17は、本願発明1と同様の構成を備え、発明のカテゴリーのみを異にする発明であるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2〜4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。


第7 原査定についての判断
令和5年6月5日に提出された手続補正書により補正された請求項1は、<e>「前記登録部は、前記情報端末に対する入力に基づいて、訪問者による前記情報端末の呼出操作の前または後の前記訪問者を含む画像から選択された前記基準画像を、一時的に登録させる」という発明特定事項を有するものとなった。当該発明特定事項<e>は、原査定における引用文献A〜C(当審拒絶理由における引用文献2〜4)には記載されておらず、本願出願前における周知技術でもないので、本願発明1−17は、原査定における引用文献Aに記載された発明ではなく、また、当業者であっても、原査定における引用文献A〜Cに基づいて容易に発明できたものでもない。
したがって、原査定を維持することはできない。


第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。


 
審決日 2023-07-11 
出願番号 P2019-017949
審決分類 P 1 8・ 113- WY (H04M)
P 1 8・ 121- WY (H04M)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 猪瀬 隆広
特許庁審判官 土居 仁士
山中 実
発明の名称 インターホンシステム、インターホンシステムの制御方法及びプログラム  
代理人 新居 広守  
代理人 道坂 伸一  
代理人 寺谷 英作  

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