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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1400260
総通号数 20 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-10-06 
確定日 2023-07-26 
事件の表示 特願2019−230442「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和3年7月1日出願公開、特開2021−97812〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、令和1年12月20日の出願であって、令和3年12月2日付けで拒絶の理由が通知され、令和4年1月31日に意見書及び手続補正書が提出され、同年4月1日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年6月7日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年7月5日付け(謄本送達日:同月11日)で、同年6月7日付け手続補正書による補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年10月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 令和4年10月6日に提出された手続補正書による補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
令和4年10月6日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、令和4年1月31日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、
「【請求項1】
遊技の進行を制御する主制御手段と、
前記主制御手段からのコマンドに基づき演出を制御する演出制御手段と、を備える遊技機であって、
前記主制御手段は、
判定情報を取得し、
前記判定情報に基づいて、特別遊技を実行するか否かの特別遊技判定を実行し、
前記特別遊技判定の結果に基づいて、識別情報を変動表示させてから所定時間の経過後に前記識別情報を停止表示させることが可能であり、
前記識別情報の変動表示において前記特別遊技判定の結果に応じた所定のコマンドを送信し、
前記演出制御手段は、
前記特別遊技が実行される可能性を事前に示唆する事前演出を実行することが可能であり、
前記識別情報の第1の変動表示において、前記所定のコマンドを受信した場合、演出図柄による変動演出を実行可能であり、
前記変動演出中に前記事前演出を実行することが可能であり、
前記識別情報の停止表示において、前記演出図柄による停止表示を実行可能であり、
前記変動演出は、前記演出図柄を所定の態様で動作させる開始動作演出と、前記開始動作演出の後、前記演出図柄を変動表示させる変動表示演出とを含み、
前記変動表示演出の後、前記演出図柄を特定の態様で動作させる停止前動作演出を実行可能であり、
前記停止前動作演出の後、前記演出図柄による前記停止表示を実行可能であり、
前記識別情報の変動表示中に所定の音を出力可能であり、
前記停止前動作演出中に、所定の操作部に対する操作に応じて前記所定の音の音量を調整可能であり、
所定条件を満たした場合に所定の報知音を出力可能であり、前記停止前動作演出中に、前記所定の報知音を出力する場合に、前記所定の音の音量を抑制することが可能であり、
前記第1の変動表示の後の前記識別情報の第2の変動表示において前記所定のコマンドを受信しなかった場合、前記開始動作演出を実行しないことが可能であるが、前記事前演出を実行することが可能である、遊技機。」
とあったものを、

「【請求項1】
遊技の進行を制御する主制御手段と、
前記主制御手段からのコマンドに基づき演出を制御する演出制御手段と、を備える遊技機であって、
前記主制御手段は、
判定情報を取得し、
前記判定情報に基づいて、特別遊技を実行するか否かの特別遊技判定を実行し、
前記特別遊技判定の結果に基づいて、識別情報を変動表示させてから所定時間の経過後に前記識別情報を停止表示させることが可能であり、
前記識別情報の変動表示において前記特別遊技判定の結果に応じた所定のコマンドを送信し、
前記演出制御手段は、
前記特別遊技が実行される可能性を事前に示唆する事前演出を実行することが可能であり、
前記識別情報の第1の変動表示において、前記所定のコマンドを受信した場合、演出図柄による変動演出を実行可能であり、
前記変動演出中に前記事前演出を実行することが可能であり、
前記事前演出には、第1事前演出と、前記第1事前演出とは異なる第2事前演出とがあり、
前記識別情報の停止表示において、前記演出図柄による停止表示を実行可能であり、
前記変動演出は、前記演出図柄を所定の態様で動作させる開始動作演出と、前記開始動作演出の後、前記演出図柄を変動表示させる変動表示演出とを含み、
前記変動表示演出の後、前記演出図柄を特定の態様で動作させる停止前動作演出を実行可能であり、
前記停止前動作演出の後、前記演出図柄による前記停止表示を実行可能であり、
前記識別情報の変動表示中に所定の音を出力可能であり、
前記停止前動作演出中に、所定の操作部に対する操作に応じて前記所定の音の音量を調整可能であり、
所定条件を満たした場合に所定の報知音を出力可能であり、前記停止前動作演出中に、前記所定の報知音を出力する場合に、前記所定の音の音量を抑制することが可能であり、
前記第1の変動表示の後の前記識別情報の第2の変動表示において前記所定のコマンドを受信しなかった場合、前記開始動作演出及び前記第1事前演出を実行しないことが可能であるが、実行中の前記第2事前演出を継続することが可能であり、
前記変動演出の実行中に次の前記所定のコマンドを受信した場合、前記演出図柄による前記停止表示を実行せずに、前記次の所定のコマンドに応じた前記開始動作演出を実行可能である、遊技機。」
とする補正である(なお、下線は補正前後の箇所を明示するために合議体が付した。)。

2 補正の適否について
(1)補正の目的について
ア 本件補正は、「事前演出」について、「前記事前演出には、第1事前演出と、前記第1事前演出とは異なる第2事前演出とがあ」ることを限定した上で、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記第1の変動表示の後の前記識別情報の第2の変動表示において前記所定のコマンドを受信しなかった場合」に関して、本件補正前の「前記開始動作演出を実行しないことが可能であるが、前記事前演出を実行することが可能である」から、「前記開始動作演出及び前記第1事前演出を実行しないことが可能であるが、実行中の前記第2事前演出を継続することが可能であり、」と補正することにより、「前記第1の変動表示の後の前記識別情報の第2の変動表示において前記所定のコマンドを受信しなかった場合」に「実行しないことが可能である」ことの対象となる演出を、本件補正前の「前記開始動作演出」から、「前記開始動作演出及び前記第1事前演出」とし、「前記開始動作演出」に加えて「第1事前演出」を対象に含めることによって限定するとともに、本件補正前の「前記事前演出を実行することが可能である」ことが、「実行中の前記第2事前演出を継続することが可能である」ことと特定することによって、前記の「所定のコマンドを受信しなかった場合」においては、「事前演出」のうち「実行中の前記第2事前演出を継続することが可能であ」る点を限定するものである。
また、本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「演出制御手段」に関して、「前記変動演出の実行中に次の前記所定のコマンドを受信した場合、前記演出図柄による前記停止表示を実行せずに、前記次の所定のコマンドに応じた前記開始動作演出を実行可能である」点を限定するものである。

イ 上記アからみて、本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)新規事項について
本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面における【0279】、【0280】、【0836】〜【0852】、【0867】〜【0873】、【0886】、図67〜図69等の記載に基づくものであり、新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)についても、以下、検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明を再掲すると、次のとおりのものである(なお、AからCについては、分説するため合議体が付した。以下A等を付した事項を「特定事項A」等という。)。
「A 遊技の進行を制御する主制御手段と、
B 前記主制御手段からのコマンドに基づき演出を制御する演出制御手段と、を備える
C 遊技機であって、
A 前記主制御手段は、
A1 判定情報を取得し、
A2 前記判定情報に基づいて、特別遊技を実行するか否かの特別遊技判定を実行し、
A3 前記特別遊技判定の結果に基づいて、識別情報を変動表示させてから所定時間の経過後に前記識別情報を停止表示させることが可能であり、
A4 前記識別情報の変動表示において前記特別遊技判定の結果に応じた所定のコマンドを送信し、
B 前記演出制御手段は、
B1 前記特別遊技が実行される可能性を事前に示唆する事前演出を実行することが可能であり、
B2 前記識別情報の第1の変動表示において、前記所定のコマンドを受信した場合、演出図柄による変動演出を実行可能であり、
B3 前記変動演出中に前記事前演出を実行することが可能であり、
B4 前記事前演出には、第1事前演出と、前記第1事前演出とは異なる第2事前演出とがあり、
B5 前記識別情報の停止表示において、前記演出図柄による停止表示を実行可能であり、
B6 前記変動演出は、前記演出図柄を所定の態様で動作させる開始動作演出と、前記開始動作演出の後、前記演出図柄を変動表示させる変動表示演出とを含み、
B7 前記変動表示演出の後、前記演出図柄を特定の態様で動作させる停止前動作演出を実行可能であり、
B8 前記停止前動作演出の後、前記演出図柄による前記停止表示を実行可能であり、
B9 前記識別情報の変動表示中に所定の音を出力可能であり、
B10 前記停止前動作演出中に、所定の操作部に対する操作に応じて前記所定の音の音量を調整可能であり、
B11 所定条件を満たした場合に所定の報知音を出力可能であり、前記停止前動作演出中に、前記所定の報知音を出力する場合に、前記所定の音の音量を抑制することが可能であり、
B12 前記第1の変動表示の後の前記識別情報の第2の変動表示において前記所定のコマンドを受信しなかった場合、前記開始動作演出及び前記第1事前演出を実行しないことが可能であるが、実行中の前記第2事前演出を継続することが可能であり、
B13 前記変動演出の実行中に次の前記所定のコマンドを受信した場合、前記演出図柄による前記停止表示を実行せずに、前記次の所定のコマンドに応じた前記開始動作演出を実行可能である、
C 遊技機。」

(2)引用文献1及び引用発明
ア 引用文献1に記載された事項
原査定で引用文献1として引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2018−47032号公報(平成30年3月29日公開、以下「引用文献1」という。)には、遊技機に関し、次の事項が図とともに記載されている。なお、下線は合議体が付した。以下同じ。

(ア)
「【0001】
本発明は、遊技媒体を用いた遊技機に関するものである。」

(イ)
「【0008】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
<遊技機の構成>
図1は、本実施形態に係る遊技機の一例を示した正面図、図2は、パチンコ遊技機1の一部を示す概略平面図、図3は、本実施形態に係る遊技機の裏面側の一例を示した斜視図、図4は、本実施形態に係る遊技機に備えられている遊技制御装置の構成を示したブロック図である。
この図1に示す遊技機1には、遊技ホールの島構造体に取付けられる外枠2に内枠(開閉枠)3が開閉可能に装着され、この内枠3にガラス枠4が開閉可能に装着されている。
ガラス枠4には窓4aが形成され、その窓4aに透明板4bが装着されている。内枠3には遊技球が打出される盤面を有する遊技盤10が装着され、この遊技盤10の盤面とその前側の透明板4bとの間に遊技球が転動、流下可能な遊技領域10aが形成されている。透明板4bは、例えばガラス板であり、ガラス枠4に対して着脱可能に固定されている。」

(ウ)
「【0012】
遊技盤10における遊技領域10aの周囲には、外レールR1及び内レールR2が設けられている。これら外レールR1及び内レールR2は、操作ハンドル11を操作したときに遊技球発射機構から発射された遊技球を遊技領域10aの上部に案内する。遊技領域10aの上部に案内された遊技球は、遊技領域10a内を落下する。このとき、遊技領域10aに設けられた複数の釘や風車によって、遊技球は予測不能に落下することとなる。
遊技盤10の略中央には、センター部材12が配置されている。センター部材12には、液晶表示装置等からなる画像表示装置31と、「刀」を模した演出用役物装置32が設けられている。
【0013】
また、センター部材12の中央下側の遊技領域10aには、遊技球が入球可能な第1始動口13が設けられている。そして、この第1始動口13の下方に第2始動口14が設けられている。第2始動口14は、開閉扉14bを有しており、開閉扉14bが閉状態に維持される第1の態様と、開閉扉14bが開状態となる第2の態様とに可動制御される。従って、第2始動口14は、第1の態様にあるときには遊技球の入賞機会がなく、第2の態様にあるときには遊技球の入賞機会が増すこととなる。
なお、本実施形態では、第2始動口14が第1の態様に制御されているときは、当該第2始動口14に遊技球が入球することがないようにしている。しかしながら、第2の態様に制御されているときよりも第1の態様に制御されているときの方が遊技球の入球機会が少なければ、第1の態様に制御されているときに第2始動口14に遊技球が入球しても構わない。つまり、第1の態様には、第2始動口14への遊技球の入球が不可能または困難な状態が含まれる。
【0014】
上記第1始動口13および第2始動口14には、遊技球の入球を検出する第1始動口検出スイッチ13a(図4参照)および第2始動口検出スイッチ14aがそれぞれ設けられており、これら検出スイッチが遊技球の入球を検出すると、後述する大当たり遊技を実行する権利獲得の抽選(以下、「大当たりの抽選」という)が行われる。また、第1始動口検出スイッチ13aおよび第2始動口検出スイッチ14aが遊技球の入球を検出した場合にも、所定の賞球(例えば3個の遊技球)が払い出される。
なお、本実施形態の遊技機1では、第1始動口13および第2始動口14に遊技球が入球した場合、例えば3個の遊技球の払い出しを行うようにしているが、遊技球の入球に伴う払い出しは必ずしも行う必要は無い。また、例えば第1始動口13の払い出し個数を3個、第2始動口14の払い出し個数を1個といったように始動口ごとに払い出し個数を異なるように構成しても良い。」

(エ)
「【0020】
また、演出用照明装置33は、それぞれ複数のライトを備えており、各ライトの光の照射方向や発光色を変更しながら、さまざまな演出を行うようにしている。
さらに、図1には示していないが、遊技機1にはスピーカーからなる音声出力装置34(図4参照)が設けられており、上記の各演出装置に加えて、BGM(バックグランドミュージック)、SE(サウンドエフェクト)等を出力し、サウンドによる演出も行うようにしている。
遊技領域10aの左側下方には、後述する第1特別図柄表示装置20、第2特別図柄表示装置21、普通図柄表示装置22、第1特別図柄保留表示器23、第2特別図柄保留表示器24、普通図柄保留表示器25、ラウンド回数表示器26等の表示領域27が設けられている。
【0021】
上記第1特別図柄表示装置20は、第1始動口13に遊技球が入球したことを契機として行われた大当たりの抽選結果を報知するものであり、複数のLEDで構成されている。つまり、大当たりの抽選結果に対応する特別図柄が複数設けられており、この第1特別図柄表示装置20に大当たりの抽選結果に対応する特別図柄(点灯態様)を表示することによって、抽選結果を遊技者に報知するようにしている。このようにして表示される特別図柄はすぐに表示されるわけではなく、所定時間変動表示(点滅)された後に、停止表示されるようにしている。
より詳細には、第1始動口13に遊技球が入球すると、大当たりの抽選が行われることとなるが、この大当たりの抽選結果は即座に遊技者に報知されるわけではなく、所定時間を経過したところで遊技者に報知される。そして、所定時間が経過したところで、大当たりの抽選結果に対応する特別図柄が停止表示して、遊技者に抽選結果が報知されるようにしている。
第2特別図柄表示装置21は、第2始動口14に遊技球が入球したことを契機として行われた大当たりの抽選結果を報知するためのもので、その表示態様は、上記第1特別図柄表示装置20における特別図柄の表示態様と同一である。」

(オ)
「【0024】
図3に示すように、遊技機1の裏面には、主制御基板110、演出制御基板120、払出制御基板130、電源基板170、遊技情報出力端子板27などが設けられている。また、電源基板170に遊技機に電力を給電するための電源プラグ171や、図示しない電源スイッチが設けられている。」

(カ)
「【0026】
<遊技制御装置の構成>
次に、図4を用いて、本実施形態の遊技機1において遊技の進行を制御する遊技制御装置について説明する。
この図4において、主制御基板110は遊技の基本動作を制御する。この主制御基板110は、メインCPU111、メインROM112、メインRAM113から構成されるワンチップマイコン114と、主制御用の入力ポートと出力ポート(図示せず)とを少なくとも備えている。
メインCPU111は、各検出スイッチからの入力信号に基づいて、メインROM112に格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、各装置や表示器を直接制御したり、あるいは演算処理の結果に応じて他の基板にコマンドを送信したりする。メインRAM113は、メインCPU111の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
【0027】
上記主制御基板110の入力側には、第1始動口検出スイッチ13a、第2始動口検出スイッチ14a、ゲート検出スイッチ15a、第1大入賞口検出スイッチ16a、第2大入賞口検出スイッチ17a、一般入賞口検出スイッチ18aが接続されており、遊技球の検出信号を主制御基板110に入力するようにしている。
また、主制御基板110の出力側には、第2始動口14の開閉扉14bを開閉動作させる始動口開閉ソレノイド14c、第1大入賞口16の開閉扉16bを開閉動作させる第1大入賞口開閉ソレノイド16c、第2大入賞口17の可動片17bを開閉動作させる第2大入賞口開閉ソレノイド17cが接続されている。
さらに、主制御基板110の出力側には、第1特別図柄表示装置20、第2特別図柄表示装置21、普通図柄表示装置22、第1特別図柄保留表示器23、第2特別図柄保留表示器24、普通図柄保留表示器25、およびラウンド回数表示器26が接続されており、出力ポートを介して各種信号を出力するようにしている。
また、主制御基板110は、遊技店のホールコンピュータ等において遊技機の管理をするために必要となる外部情報信号を遊技情報出力端子板27に出力する。
【0028】
主制御基板110のメインROM112には、後述する遊技制御用のプログラムや各種の遊技に必要なデータ、テーブルが記憶されている。
また、主制御基板110のメインRAM113は、複数の記憶領域を有している。
例えば、メインRAM113には、普通図柄保留数(G)記憶領域、普通図柄保留記憶領域、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域、第2特別図柄保留数(U2)記憶領域、判定記憶領域、第1特別図柄記憶領域、第2特別図柄記憶領域、高確率遊技回数(X)記憶領域、時短遊技回数(J)記憶領域、ラウンド遊技回数(R)記憶領域、開放回数(K)記憶領域、第1大入賞口入球数(C1)記憶領域、第2大入賞口入球数(C2)記憶領域、遊技状態記憶領域、遊技状態バッファ、停止図柄データ記憶領域、演出用伝送データ格納領域等が設けられている。そして、遊技状態記憶領域は、時短遊技フラグ記憶領域、高確率遊技フラグ記憶領域、特図特電処理データ記憶領域、普図普電処理データ記憶領域を備えている。なお、上述した記憶領域は一例に過ぎず、この他にも多数の記憶領域が設けられている。
【0029】
遊技情報出力端子板27は、主制御基板110において生成された外部情報信号を遊技店のホールコンピュータ等に出力するための基板である。遊技情報出力端子板27は、主制御基板110と配線接続されるとともに、遊技店のホールコンピュータ等に接続をするためのコネクタが設けられている。
電源基板170は、電源プラグ171から供給される電源電圧を所定電圧に変換して各制御基板に供給する。また、電源基板170はコンデンサからなるバックアップ電源を備えており、遊技機に供給する電源電圧を監視し、電源電圧が所定値以下となったときに、電断検知信号を主制御基板110に出力する。より具体的には、電断検知信号がハイレベルになるとメインCPU111は動作可能状態になり、電断検知信号がローレベルになるとメインCPU111は動作停止状態になる。バックアップ電源はコンデンサに限らず、例えば、電池でもよく、コンデンサと電池とを併用して用いてもよい。
また、主制御基板110には、不正電波を検知するための磁気センサ50が接続されている。
【0030】
演出制御基板120は、主に遊技中や待機中等の各演出を制御する。この演出制御基板120は、サブCPU121、サブROM122、サブRAM123を備えており、主制御基板110に対して、当該主制御基板110から演出制御基板120への一方向に通信可能に接続されている。
サブCPU121は、主制御基板110から送信されたコマンド、または、ランプ制御基板140を介して入力される演出ボタン検出スイッチ8aからの入力信号に基づいて、サブROM122に格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、当該処理に基づいて、対応するデータをランプ制御基板140または画像制御基板150に送信する。サブRAM123は、サブCPU121の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
【0031】
演出制御基板120のサブROM122には、演出制御用のプログラムや各種の遊技に必要なデータ、テーブルが記憶されている。
例えば、主制御基板110から受信した変動パターン指定コマンドに基づいて演出パターンを決定するための変動演出パターン決定テーブル(図示省略)、停止表示する演出図柄35の組み合わせを決定するための演出図柄パターン決定テーブル(図示省略)等がサブROM122に記憶されている。なお、上述したテーブルは、本実施形態におけるテーブルのうち、特徴的なテーブルを一例として列挙しているに過ぎず、遊技の進行にあたっては、この他にも不図示のテーブルやプログラムが多数設けられている。」

(キ)
「【0036】
ランプ制御基板140は、上記演出制御基板120に双方向通信可能に接続されており、その入力側には演出ボタン8に設けられている演出ボタン検出スイッチ8aが接続されており、演出ボタン検出スイッチ8aから検出信号が入力された場合は、演出制御基板120に出力するようにしている。
また、ランプ制御基板140には、遊技盤10に設けられた演出用役物装置32や演出用照明装置33が接続されており、ランプ制御基板140は、演出制御基板120から送信されたデータに基づいて、演出用照明装置33を点灯制御したり、光の照射方向を変更するためのモータに対する駆動制御をしたりする。また、演出用役物装置32を動作させるソレノイドやモータ等の駆動源を通電制御する。なお、本実施形態では、演出ボタン8が突出するように構成されているので演出役物装置32は演出ボタン8を含む。
画像制御基板150は、上記演出制御基板120に双方向通信可能に接続されており、その出力側に上記画像表示装置31および音声出力装置34を接続している。
【0037】
<画像制御基板の構成>
ここで、図5を用いて画像制御基板150の構成について説明する。
図5は、画像制御基板の構成を示したブロック図である。
画像制御基板150は、画像表示装置31の画像表示制御を行うためホストCPU151、ホストRAM152、ホストROM153、CGROM154、水晶発振器155、VRAM156、VDP(Video Display Processor)200と、を備えている。
また、後述するようにVDP200は、遊技機における音声出力を制御するための音声制御回路300を含んでいる。」

(ク)
「【0079】
<変動パターン決定テーブル>
図13乃至図15は、特別図柄の変動パターンを決定するための変動パターン決定テーブルを示す図であり、図13は、通常遊技状態(低確率遊技状態用)に参照される通常遊技状態(低確率遊技状態用)の変動パターン決定テーブルの一例であり、図14は、高確率遊技状態時に参照される高確率遊技状態用の変動パターン決定テーブルの一例であり、図15は、小当たり終了後の特定遊技期間に参照される小当たり後の特定遊技期間用(低確率遊技状態用)の変動パターン決定テーブルの一例である。
なお、小当たり終了後の特定遊技期間は、図9に示す大当たり終了時設定データテーブルの説明で述べた通り、あくまで小当たり当選時に低確率遊技状態かつ非時短遊技状態時であるときにしか決定されないものである。
【0080】
具体的には、変動パターン決定テーブルによって、特別図柄表示装置の種別、特別図柄判定用乱数値(大当たりの当選または落選)、大当たり図柄用乱数値(大当たり図柄)、時短遊技状態の有無、特別図柄保留数、リーチ判定用乱数値および変動パターン用乱数値に基づき、変動パターンが決定される。
変動パターンは、特別図柄の変動開始時に決定され、決定された変動パターンに基づいて変動パターン指定コマンドが生成される。この変動パターン指定コマンドは、出力制御処理において主制御基板110から演出制御基板120へと送信される。」

(ケ)
「【0161】
また、メインCPU111は、第1特別図柄表示装置20、第2特別図柄表示装置21および普通図柄表示装置22の各LEDを点灯させるために、上記ステップS109で作成した特別図柄表示装置データと普通図柄表示装置データとを出力する表示装置出力処理を行う。さらに、メインCPU111は、メインRAM113の演出用伝送データ格納領域にセットされているコマンドを送信するコマンド送信処理も行う。
ステップS111において、メインCPU111は、ステップS101で退避した情報をメインCPU111のレジスタに復帰させる。
【0162】
<エラー検知処理>
主制御基板によるエラー検知処理について説明する。
メインCPU111は、上記の磁気センサ50からの検知信号によって不正電波による不正入賞の可能性を検知可能である。
また、メインCPU111は、上記の扉開放スイッチ136からの検知信号に基づいて、扉開状態を検知することが出来る。
また、メインCPU111は、上記の皿満タン検知スイッチ51による検知信号に基づいて、貯留皿(下皿)が満タンになったことを検知することが出来る。
さらに、メインCPU111は、上記の球詰まり検知スイッチ52による検知信号に基づいて、遊技球の貯留部から遊技球を払い出す通路における遊技球の詰まりを検知することが出来る。
【0163】
メインCPU111は、これらのセンサ、スイッチからの入力信号に基づいて遊技機に発生したエラー状態を検知可能であり、エラー状態を検知すると、演出制御基板120に対しエラー状態に応じたエラー検知コマンドを送信する(図57)。
また、入力信号の状態によってエラー状態が解除されたことが検知された場合には、メインCPU111は、演出制御基板120にエラー解除コマンドを送信する(図57)。
さらに、演出制御基板120から、画像制御基板150、ランプ制御基板140等に対して、エラー検知、エラー解除を通知するための信号等を改めて送信する(後述する)。
なお、メインCPU111は、遊技機1に発生したエラーの種類によっては、エラー解除信号を送信しない。
すなわち、皿満タン、扉開状態、球詰まりについてはエラー解除信号を送信するが、不正電波の検知についてはエラー解除信号を送信しない。」

(コ)
「【0168】
ステップS124において、メインCPU111は、第2始動口検出スイッチ14aからの検出信号を入力したか、すなわち、遊技球が第2始動口14に入球したか否かを判定する。
メインCPU111は、第2始動口検出スイッチ14aから検出信号を入力した場合には、上記ステップS123と同様の処理を行う。
ただし、この第2始動口検出スイッチ入力処理においては、第2特別図柄保留数(U2)記憶領域に「1」を加算し、抽出した特別図柄判定用乱数値、大当たり図柄用乱数値、小当たり図柄用乱数値、リーチ判定用乱数値を第2特別図柄記憶領域に記憶する。つまり、第1始動口検出スイッチ入力処理と第2始動口検出スイッチ入力処理とでは、各種のデータを記憶する記憶領域のみ異なり、その他は全て同じ処理を行うこととなる。
ステップS125において、メインCPU111は、ゲート検出スイッチ15aが信号を入力したか、すなわち、遊技球が普通図柄ゲート15を通過したか否かを判定する。このゲート検出スイッチ入力処理については、図26を用いて後述する。
【0169】
<第1始動口検出スイッチ入力処理>
図24は、主制御基板による第1始動口検出スイッチ入力処理を説明するフローチャートである。
まず、ステップS131において、メインCPU111は、第1始動口検出スイッチ13aからの検出信号を入力したか否かを判定する。
第1始動口検出スイッチ13aからの検出信号を入力した場合には(ステップS131でYes)、ステップS132に処理を移し、第1始動口検出スイッチ13aからの検出信号を入力しなかった場合には(ステップS131でNo)、第1始動口検出スイッチ入力処理を終了する。
ステップS132において、メインCPU111は、賞球のために用いる始動口賞球カウンタに所定のデータを加算して更新する処理を行う。
【0170】
次に、ステップS133において、メインCPU111は、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域にセットされている保留個数が4未満であるか否かを判定する。第1特別図柄保留数(U1)記憶領域にセットされている保留個数が4未満であった場合には、ステップS134に処理を移し、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域にセットされている保留個数が4未満でない場合には第1始動口検出スイッチ入力処理を終了する。
ステップS134において、メインCPU111は、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域に「1」を加算して記憶する。
【0171】
ステップS135において、メインCPU111は、特別図柄判定用乱数値を取得して、第1特別図柄記憶領域にある第1記憶部から順に空いている記憶部を検索していき、空いている記憶部に取得した特別図柄判定用乱数値を記憶する。
ステップS136において、メインCPU111は、大当たり図柄用乱数値を取得して、第1特別図柄記憶領域にある第1記憶部から順に空いている記憶部を検索していき、空いている記憶部に取得した大当たり図柄用乱数値を記憶する。
【0172】
ステップS137において、メインCPU111は、小当たり図柄用乱数値を取得して、第1特別図柄記憶領域にある第1記憶部から順に空いている記憶部を検索していき、空いている記憶部に取得した小当たり図柄用乱数値を記憶する。
ステップS138において、メインCPU111は、遊技用乱数値(変動パターン用乱数値およびリーチ判定用乱数値)を取得して、第1特別図柄記憶領域にある第1記憶部から順に空いている記憶部を検索していき、空いている記憶部に取得した遊技用乱数値(変動パターン用乱数値およびリーチ判定用乱数値)を記憶する。
ステップS139において、メインCPU111は、上記ステップS135乃至ステップS138で取得した各乱数値を、それぞれ現在の遊技状態に対応する事前判定テーブルに基づいて判定する事前判定処理(図25)を行う。
【0173】
<事前判定処理>
図25は、主制御基板による事前判定処理を説明するフローチャートである。
まず、ステップS151において、メインCPU111は、特別図柄保留記憶領域に新たに書き込まれた特別図柄判定用乱数値を、図18に示した事前判定テーブルに基づいて判定する。
【0174】
次に、ステップS152において、メインCPU111は、上記ステップS151における大当たり判定の結果、大当たりと仮判定されたか否かを判定する。
大当たりと仮判定された場合(ステップS152でYes)、メインCPU111はステップS153に処理を移し、大当たりと仮判定されなかった場合(ステップS152でNo)にはステップS155に処理を移す。
上記ステップS152において大当たりと仮判定された場合、メインCPU111は、ステップS153において、新たに書き込まれた大当たり図柄用乱数値を判定して、特別図柄の種類(停止図柄データ)を仮判定する。
【0175】
次にメインCPU111は、ステップS154において、仮判定された特別図柄の種類に対応する始動入賞指定コマンドを生成して、演出用伝送データ格納領域にセットして事前判定処理を終了する。
なお、始動入賞指定コマンドは、図13乃至図15に示す変動パターン指定コマンドと同様に識別可能に設けられており、大当たり、小当たり、ハズレの各情報が対応付けられている。
ステップS152において、大当たりと仮判定されなかった場合には(ステップS152でNo)、メインCPU111は、ステップS155において、小当たりと判定されたか否かの仮判定を行う。
【0176】
ステップS155において小当たりと仮判定されなかった場合には(ステップS155でNo)、メインCPU111は、ステップS157において、ハズレであることを示す始動入賞指定コマンドを演出用伝送データ格納領域にセットして事前判定処理を終了する。
一方、小当たりと仮判定された場合には(ステップS155でYes)、メインCPU111は、ステップS156において、小当たりであること、すなわちチャンス演出であることを示す始動入賞指定コマンドを演出用伝送データ格納領域にセットして事前判定処理を終了する。
【0177】
なお、ステップS124(図23)に示す第2始動口検出スイッチ入力処理においても、メインCPU111は事前判定テーブルを参照して入賞情報が生成し、この入賞情報に基づいた始動入賞指定コマンドを演出制御基板120に送信する事前判定処理を行う。
【0178】
以上の事前判定処理により、遊技球が第1始動口13または第2始動口14に入球した時点で、入賞情報を始動入賞指定コマンドとして演出制御基板120へ送信することができる。
従って、始動入賞指定コマンドを受信した演出制御基板120のサブCPU121は、始動入賞コマンドを解析して、今回の第1始動口への遊技球の入賞を契機とした特別図柄の変動が開始される前から、事前に所定の演出を実行することが出来る。
ただし、この事前判定処理は、あくまでも遊技球が各始動口13、14に入球した時点の遊技状態に応じて判定されるものである。そのため、当該入球によって留保された第1保留または第2保留を処理する前に遊技状態が変更した場合には、後述する大当たり判定処理の結果と、当該事前判定処理の結果とが異なる可能性がある。」

(サ)
「【0187】
<特別図柄記憶判定処理>
図28は、主制御基板による特別図柄記憶判定処理を説明するフローチャートである。
ステップS201において、メインCPU111は、特別図柄の変動表示中であるか否かを判定する。ここで、特別図柄の変動表示中、すなわち特別図柄時間カウンタ≠0であれば(ステップS201でYes)、特別図柄記憶判定処理を終了する。
また、特別図柄の変動表示中でなければ、すなわち特別図柄時間カウンタ=0であれば(ステップS201でNo)、メインCPU111は、ステップS202に処理を移し第2特別図柄保留数(U2)記憶領域が1以上であるかを判定する。
【0188】
第2特別図柄保留数(U2)記憶領域が1以上でない場合には(ステップS202でNo)、CPU111は、ステップS204に処理を移し、第2特別図柄保留数(U2)記憶領域が「1」以上であると判定した場合にはステップS203に処理を移す。
これにより、第1特別図柄記憶領域よりも第2特別図柄記憶領域が優先して処理されていく。
ステップS203において、メインCPU111は、第2特別図柄保留数(U2)記憶領域に記憶されている値から「1」を減算して記憶する。
【0189】
ステップS204において、メインCPU111は、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域が1以上であるかを判定する。第1特別図柄保留数(U1)記憶領域が1以上でない場合には(ステップS204でNo)、ステップS215に処理を移し、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域が「1」以上であると判定した場合には(ステップS204でYes)ステップS205に処理を移す。
ステップS205において、メインCPU111は、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域に記憶されている値から「1」を減算して記憶する。
【0190】
ステップS206において、メインCPU111は、上記ステップS202〜S205において減算された特別図柄保留数(U)記憶領域に対応する特別図柄保留記憶領域に記憶された所定の乱数値(特別図柄判定用乱数値、大当たり図柄用乱数値、小当たり図柄用乱数値、リーチ判定用乱数値、変動パターン用乱数値)と始動入賞指定コマンドのシフト処理を行う。具体的には、第1特別図柄記憶領域または第2特別図柄記憶領域にある第1記憶部〜第4記憶部に記憶された所定の乱数値と始動入賞指定コマンドとを1つ前の記憶部にシフトさせる。
【0191】
ここで、第1記憶部に記憶されている所定の乱数値と始動入賞指定コマンドとは、判定記憶領域(第0記憶部)にシフトさせる。このとき、第1記憶部に記憶されている所定の乱数値と始動入賞指定コマンドとは、判定記憶領域(第0記憶部)に書き込まれるとともに、既に判定記憶領域(第0記憶部)に書き込まれていたデータは特別図柄保留記憶領域からは消去されることとなる。これにより、前回の遊技で用いた所定の乱数値と始動入賞指定コマンドとが消去される。また、シフト後には、始動入賞指定コマンドのMODEを、シフト後の記憶領域に対応するように加工処理する。
【0192】
ステップS207において、メインCPU111は、上記ステップS206において特別図柄保留記憶領域の判定記憶領域(第0記憶部)に書き込まれたデータ(特別図柄判定用乱数値、大当たり図柄用乱数値、小当たり図柄用乱数値)に基づいて、大当たり判定処理を実行する。詳しくは、図29を用いて、後述する。」

(シ)
「【0196】
ステップS212において、メインCPU111は、上記のようにして特別図柄の変動表示を開始したら、特別図柄時間カウンタに上記ステップS208において決定した変動パターンに基づいた変動時間(カウンタ値)を特別図柄時間カウンタにセットする。なお、特別図柄時間カウンタは上記S110において4ms毎に減算処理されていく。
ステップS213において、メインCPU111は、客待ち判定フラグに00Hをセットする。すなわち、客待ち判定フラグをクリアする。なお、客待ち判定フラグ=「00H」というのは、現在、特別図柄の変動表示中であったり、特別遊技中であったりすることを示す。一方、特別図柄の変動表示中でもなく、特別遊技中でもない場合には客待ち判定フラグ「01H」が記憶される。客待ち判定フラグ=「01H」が記憶されている場合には、後述するステップS217において客待ちコマンドがセットされ、演出制御基板120に特別図柄の変動表示中でも特別遊技中でもないことが伝達される。」

(ス)
「【0203】
ステップS226において、メインCPU111は、ステップS206(図28)において特別図柄保留記憶領域の判定記憶領域(第0記憶部)に書き込まれた大当たり図柄用乱数値を判定して、特別図柄の種類(停止図柄データ)を決定し、決定した停止図柄データを停止図柄データ記憶領域にセットする大当たり図柄決定処理を行う。」

(セ)
「【0205】
ステップS227において、メインCPU111は、演出制御基板120に特別図柄に対応するデータを送信するため、大当たり用の特別図柄に対応する演出図柄指定コマンドを生成して、演出用伝送データ格納領域にセットする。
ステップS228において、メインCPU111は、遊技状態記憶領域(時短遊技フラグ記憶領域、高確率遊技フラグ記憶領域)にセットされた情報から大当たり当選時の遊技状態を判定し、大当たり当選時の遊技状態を示す遊技状態情報を遊技状態バッファにセットする。具体的には、時短遊技フラグと高確率遊技フラグの両方がセットされていなければ00Hをセットし、時短遊技フラグはセットされていないが高確率遊技フラグはセットされていれば01Hをセットし、時短遊技フラグがセットされているが高確率遊技フラグがセットされていなければ02Hをセットし、時短遊技フラグと高確率遊技フラグとの両方がセットされていれば03Hをセットする。」

(ソ)
「【0209】
ステップS231において、メインCPU111は、演出制御基板120に特別図柄に対応するデータを送信するため、小当たり用の特別図柄に対応する演出図柄指定コマンドを生成して、演出用伝送データ格納領域にセットし、ステップS228に処理を移す。
ステップS232において、メインCPU111は、図7(c)のハズレ図柄決定テーブルを参照してハズレ用の特別図柄を決定し、決定したハズレ用の停止図柄データを停止図柄データ記憶領域にセットする。
ステップS233において、メインCPU111は、演出制御基板120に特別図柄に対応するデータを送信するため、ハズレ用の特別図柄に対応する演出図柄指定コマンドを生成し、演出用伝送データ格納領域にセットして、大当たり判定処理を終了する。
【0210】
<特別図柄変動処理>
図30は、主制御基板による特別図柄変動処理を説明するフローチャートである。
ステップS241において、メインCPU111は、ステップS212(図28)においてセットされた変動時間が経過したか否か(特別図柄時間カウンタ=0か?)を判定する。その結果、変動時間を経過していないと判定した場合には(ステップS241でNo)、特別図柄変動処理を終了する。
上記ステップS212においてセットされた時間を経過したと判定した場合には(ステップS241でYes)、ステップS242において、メインCPU111は、当該特別図柄変動処理以前のルーチン処理(大当たり判定処理)において、上記ステップS227、S231、S233でセットされた特別図柄を特別図柄表示装置20、21に停止表示する。これにより、遊技者に大当たりの判定結果が報知されることとなる。
【0211】
ステップS243において、メインCPU111は、図柄確定コマンドを演出用伝送データ格納領域にセットする。
ステップS244において、メインCPU111は、上記のようにして特別図柄の停止表示を開始したら、特別図柄時間カウンタに図柄停止時間(0.5秒=250カウンタ)をセットする。なお、特別図柄時間カウンタは上記S110において2ms毎に−1減算処理されていく。
ステップS245において、メインCPU111は、特図特電処理データに2をセットし、特別図柄変動処理を終了する。」

(タ)
「【0285】
なお、「変動演出パターン」とは、特別図柄の変動中に行われる演出手段(画像表示装置31、演出用役物装置32、演出用照明装置33、音声出力装置34)における具体的な演出態様をいう。例えば、画像表示装置31においては、変動演出パターンによって演出図柄35の変動態様が決定される。
また、本実施形態でいう「リーチ」とは、特別遊技に移行することを報知する演出図柄35の組合せの一部が停止表示され、他の演出図柄画像36が変動表示を行っている状態をいう。例えば、大当たり遊技に移行することを報知する演出図柄35の組合せとして「777」の3桁の演出図柄35の組み合わせが設定されている場合に、2つの演出図柄35が「7」で停止表示され、残りの演出図柄35が変動表示を行っている状態をいう。」

(チ)
「【0314】
ステップS632において、サブCPU121は、受信した始動入賞指定コマンドを解析するとともに、当該始動入賞指定コマンドに対応するデータ更新処理を実行する。始動入賞指定コマンドには、事前判定処理によって仮判定された大当たり、小当たり、ハズレに係る情報が対応付けられている。したがって、ここでは新たに留保された第1保留(U1)または第2保留(U2)についての情報が、サブRAM123の所定の記憶領域に記憶されることとなる。
【0315】
ステップS633において、サブCPU121は、始動入賞指定コマンドを解析し、保留表示を所定の態様で行うべく保留表示コマンドを画像演制御基板150とランプ制御基板140に送信する保留表示態様決定処理を行う。これにより、画像表示装置31には、第1保留(U1)および第2保留(U2)の現在の留保個数が表示されることとなる。
ステップS641において、サブCPU121は、受信バッファに格納されているコマンドが、変動パターン指定コマンドであるか否かを確認する。なお、変動パターン指定コマンドは、主制御基板110のステップS209(図28)においてセットされる。
サブCPU121は、受信バッファに格納されているコマンドが変動パターン指定コマンドであれば(ステップS641でYes)、ステップS642に処理を移し、変動パターン指定コマンドでなければ(ステップS641でNo)、ステップS651に処理を移す。
【0316】
ステップS642において、サブCPU121は、受信した変動パターン指定コマンドに基づいて、複数の変動演出パターンの中から1つの変動演出パターンを決定する変動演出パターン決定処理を行う。この変動演出パターン決定処理については、図42を用いて後述する。
ステップS643において、サブCPU121は、第1保留記憶領域および第2保留記憶領域に記憶されている保留表示データと始動入賞指定コマンドに対応するデータとをシフトさせ、シフトした後の保留表示データの情報を画像演制御基板150とランプ制御基板140に送信する保留表示態様更新処理を行う。
【0317】
ステップS651において、サブCPU121は、受信バッファに格納されているコマンドが、演出図柄指定コマンドであるか否かを確認する。なお、演出図柄指定コマンドは、主制御基板110のステップS227、ステップS231、ステップS232(図29)においてセットされる。
サブCPU121は、受信バッファに格納されているコマンドが演出図柄指定コマンドであれば(ステップS651でYes)、ステップS652に処理を移し、演出図柄指定コマンドでなければ(ステップS651でNo)、ステップS661に処理を移す。
【0318】
ステップS652において、サブCPU121は、受信した演出図柄指定コマンドの内容に基づいて、画像表示装置31に停止表示させる演出図柄35を決定する演出図柄決定処理を行う。
具体的には、演出図柄指定コマンドを解析して、大当たりの有無、大当たりの種別に応じて演出図柄35の組み合わせを構成する演出図柄データを決定し、決定された演出図柄データを演出図柄記憶領域にセットする。
【0319】
ステップS661において、サブCPU121は、受信バッファに格納されているコマンドが、図柄確定コマンドであるか否かを確認する。なお、図柄確定コマンドは、主制御基板110のステップS243(図30)においてセットされる。
サブCPU121は、受信バッファに格納されているコマンドが図柄確定コマンドであれば(ステップS661でYes)、ステップS662に処理を移し、図柄確定コマンドでなければ(ステップS661でNo)、ステップS671に処理を移す。
ステップS662において、サブCPU121は、演出図柄35を停止表示させるために、上記ステップS652で決定された演出図柄データに基づくデータと、演出図柄を停止表示させるための停止指示データをサブRAM123の送信バッファにセットする演出図柄停止処理を行う。」

(ツ)
「【0332】
<変動演出パターン決定処理>
図44は、演出制御基板による変動演出パターン決定処理を説明するフローチャートである。
図44に示す変動演出パターン決定処理は、演出制御基板120の受信バッファに、主制御基板110から送信された変動パターン指定コマンドが格納されると、サブCPU121が実行する。この変動演出パターン決定処理は、特別図柄の変動表示中に、画像表示装置31をはじめとする種々の演出用の装置をどのように制御するかを示す変動演出パターンを決定するものである。
まず、ステップS801において、サブCPU121は、上記ステップS520で更新された演出用乱数値を取得する。
次に、ステップS802において、サブCPU121は、現在の遊技状態と演出モードを参照して変動演出パターン決定テーブルを設定する。
【0333】
次に、ステップS803において、サブCPU121は、上記ステップS802でセットされた変動演出パターン決定テーブルと、上記ステップS801で取得された演出用乱数値に基づいて、1の変動演出パターンを決定する。
また、予告演出決定テーブルを用いて、予告演出実行の有無、実行する場合の予告演出の種類を決定する場合もある。
次に、ステップS804において、サブCPU121は、上記ステップS803で決定した変動演出パターン(及び、予告演出の有無、種類)を画像制御基板150およびランプ制御基板140に伝送すべく、演出パターン指定コマンドを伝送データ格納領域にセットする。なお、演出パターン指定コマンドが画像制御基板150およびランプ制御基板140に送信されると、演出パターン指定コマンドに基づいて画像表示装置31、演出用役物装置32、演出用照明装置33および音声出力装置34が制御される。」

(テ)
「【0390】
次に、本実施形態の遊技機における画像制御基板によるシステム音(エラー音)、演出音の設定処理を説明する。
上記したが、本実施形態の遊技機では、画像制御基板150のホストCPU151は、上位基板である演出制御基板120から供給される演出パターン指定コマンドで指定される変動演出パターンに基づいて、必要な音声を音声管理テーブルから選択し、それを音声制御回路300に指示して出力させる。
また、エラー音については、主制御基板110から供給される各種のセンサ検知結果(皿満タン検知結果、扉開検知結果、球詰まり検知結果、不正電波検知結果)、または検知結果に基づくエラー検知信号、エラー解除信号に基づいて、必要な音声を音声管理テーブルから選択し、それを音声制御回路300に指示して出力させる。
【0391】
本実施形態の遊技機で用いられる音声について説明する。
図56、画像制御基板が備える音声管理テーブルの一例を示す図である。
図56に示す音声管理テーブルでは、音番号に、各システム音、演出音、その優先度、ステレオ/モノラルの種別が関連づけられて管理されている。
優先度は、優先的に再生されるべき音声を定めるための度合いである。
図56のテーブルにおいて、音番号1は扉が開状態となったときに発せられるエラー音であり、音番号2は、遊技盤に設置された磁気センサ50によって不正電波を検知したとときに発せられるエラー音である。また、音番号3は球詰まりの発生時に発せられるエラー音であり、音番号4は、遊技球の貯留皿が満タンになった場合に発せられるエラー音である。
主制御基板110に接続された各種のセンサによってこれらの事象の発生が検知されると、主制御基板110から演出制御基板120を介して、あるいは直接、検知信号が画像制御基板150に入力される。
その結果、ホストCPU151は、遊技機に生じている各種事象に応じて音番号を選択し、音声制御基板300に出力コマンドを送信する。」

(ト)
「【図56】



(ナ)
「【0394】
音番号11以降は演出音である。例えば、音番号11、12は変動中に再生出力されるBGM、音番号13は、大当たり遊技中に再生出力されるBGMである。
優先度は、深刻な状況(第2の状況)で出力されるシステム音よりも低く設定されている。
その他に、図56には示されない、演出図柄の変動開始音、変動停止音、演出ボタンの操作音、十字キーを用いた音量調整操作を行う際の操作確認音等が、演出音に含まれる。
【0395】
図57は、画像制御基板によるシステム音設定処理を示すフローチャートである。
ホストCPU151は、ステップS1201において、主制御基板110(メインCPU111)から各種エラーの検知信号が入力されたか否か(エラーが発生したか否か)を判定する。
エラー検知信号が入力されたと判定した場合(ステップS1201でYes)、ホストCPU151は、ステップS1202において、現在出力中の演出音があるか否かを判定する。
【0396】
現在出力中の演出音がある場合(ステップS1202でYes)、ホストCPU151は、ステップS1203において、現在のマスターボリューム値をホストRAM152に保存するとともに、所定量を下げた新たなマスターボリューム値を設定する(演出音の音量を下げるボリューム値再設定コマンドを送信バッファにセットする)。
あるいは演出音の音量がゼロ(=出力させない)、あるいは非可聴の音量となるようなマスターボリューム値を設定しても良い。
すなわち、本実施形態の遊技機では、エラー音を出力する際には、演出音の音量を絞り、エラー音がより聞き取りやすいようにしている。」

(ニ)
「【0415】
なお、客待ちコマンド受信後、例えば120秒遊技機の操作がなされない場合、マスターボリューム値は音量切替SW280によって設定された初期音量値(ハードボリューム値)にリセットされるものとする。
また図60、図61の例では、客待ち時における十字キー40を用いた音量調整について説明しているが、上記のように、十字キー40を用いた音量(ソフトボリューム)や画面光量の調整は、図柄の変動中(図柄の確定時を除く)にも可能である。
【0416】
図62は、本実施形態の遊技機において、変動時に十字キーを操作した時に音声出力装置から発せされる確認音及び画像表示装置に表示される音量ゲージを説明する図である。
この場合も、図60(a)と同様の『十字キー操作で音量・光量変更可能』の案内表示を表示し得、(図柄の確定時を除く)変動中に表示し続けても良い。
演出図柄35の変動中に十字キー40の操作が行われると、音量ゲージ38が表示される。
ただし、下記に説明するように、演出図柄35の確定表示の際には、十字キー40の操作中であっても、音量ゲージ38は非表示となる。
ただし、確定表示前で、未だ演出図柄35が仮停止状態にあれば、音量ゲージ38は表示され、音量調整も可能である。
変動が停止し確定表示された演出図柄35は、遊技者に対して遊技結果(当たり又はハズレか、当たりの場合確変図柄が通常図柄か)を通知するための重要な情報である。
従って、演出図柄35を確定表示する際には、演出図柄35に重ねて表示される音量ゲージ38を非表示にし、遊技者が演出図柄35を確実に視認出来るようにする。」

(ヌ)
「【0455】
その後、図66(d)において、主制御基板110から変動パターン指定コマンドが出力され、それを受信した演出制御基板120から演出パターン指定コマンドが出力される。
その受信を契機に、画像制御基板150は画像表示装置31において演出図柄35の(初期図柄からの)変動表示を開始する。これは、図67のタイミングt4に該当する。
特別図柄(演出図柄35)の変動中にも、ソフトボリューム値及び画面光量値の調整を可能としても良いし不可としても良い。調整を不可とする場合には、十字キーアイコン37は非表示とする。
【0456】
図66(e)において演出図柄35が仮停止する。仮停止は、例えば左図柄が最初に停止して揺動表示がなされ、次に右図柄が停止して揺動表示がなされ、最後に中図柄が停止して揺動表示がなされることによって行われる。
図66(f)において、主制御基板110から図柄確定コマンドが出力され、図柄確定コマンドを受信した演出制御基板120の制御によって(停止指示データの送信)、画像制御基板150は演出図柄35を確定停止する。これは、図67のタイミングt5に該当する。
上記したように図柄の変動中もソフトボリューム値や画面光量値の調整を許可していた場合にも、図柄確定時にはこれらの調整は行えないようにする。」

(ネ)
「【図66】



イ 引用文献1の記載より認定できる事項
(ア)認定事項ア
【0455】には、「図66(d)において、主制御基板110から変動パターン指定コマンドが出力され、それを受信した演出制御基板120から演出パターン指定コマンドが出力され」、「その受信を契機に、画像制御基板150は画像表示装置31において演出図柄35の」「変動表示を開始する」と記載され、【0456】には、「図66(e)において演出図柄35が仮停止する。仮停止は、例えば左図柄が最初に停止して揺動表示がなされ、次に右図柄が停止して揺動表示がなされ、最後に中図柄が停止して揺動表示がなされることによって行われる。」と記載され、「図66(f)において、主制御基板110から図柄確定コマンドが出力され、図柄確定コマンドを受信した演出制御基板120の制御によって(停止指示データの送信)、画像制御基板150は演出図柄35を確定停止する。」と記載されていることから、「演出制御基板120の制御によって、画像制御基板150は画像表示装置31において演出図柄35の変動表示を開始した後、左図柄が最初に停止して揺動表示がなされ、次に右図柄が停止して揺動表示がなされ、最後に中図柄が停止して揺動表示がなされることによって行われる仮停止を行い、その後、図柄確定コマンドを受信し、画像制御基板150は演出図柄35を確定停止する」こと(以下「認定事項ア」という。)が認定できる。

(イ)認定事項イ
【0391】を参酌すると、図56には音声管理テーブルが示されており、【0394】には「音番号11以降は演出音であ」り、「音番号11、12は変動中に再生出力されるBGM」であることが記載されていることから、「演出図柄35の変動中には、音番号11、12のBGMが演出音として再生出力され」る点(以下「認定事項イ」という。)が認定できる。

ウ 引用発明
上記ア及びイからみて、引用文献1には、次の発明が記載されている。なお、アからマの符号は、分説のために合議体が付与し、引用箇所の段落番号を併記した。

「ア 遊技ホールの島構造体に取付けられる外枠2に内枠(開閉枠)3が開閉可能に装着され、内枠3には遊技球が打出される盤面を有する遊技盤10が装着され、この遊技盤10の盤面に遊技球が転動、流下可能な遊技領域10aが形成された遊技機1であって(【0008】)、
イ 遊技盤10の略中央には、センター部材12が配置され、センター部材12には、液晶表示装置等からなる画像表示装置31が設けられ(【0012】)、
ウ センター部材12の中央下側の遊技領域10aには、遊技球が入球可能な第1始動口13が設けられ、この第1始動口13の下方に第2始動口14が設けられ(【0013】)、
エ 上記第1始動口13および第2始動口14には、遊技球の入球を検出する第1始動口検出スイッチ13aおよび第2始動口検出スイッチ14aがそれぞれ設けられており、これら検出スイッチが遊技球の入球を検出すると、大当たりの抽選が行われ(【0014】)、
オ 遊技機1にはスピーカーからなる音声出力装置34が設けられており(【0020】)、
カ 遊技領域10aの左側下方には、第1特別図柄表示装置20、第2特別図柄表示装置21が設けられ(【0020】)、
キ 上記第1特別図柄表示装置20は、第1始動口13に遊技球が入球したことを契機として行われた大当たりの抽選結果を報知するものであり、第2特別図柄表示装置21は、第2始動口14に遊技球が入球したことを契機として行われた大当たりの抽選結果を報知するためのもので、所定時間が経過したところで、大当たりの抽選結果に対応する特別図柄が停止表示して、遊技者に抽選結果が報知されるようにしてあり(【0021】)、
ク 遊技機1の裏面には、主制御基板110、演出制御基板120が設けられ(【0024】)、
ケ 主制御基板110は遊技の基本動作を制御し、この主制御基板110は、メインCPU111、メインROM112、メインRAM113から構成されるワンチップマイコン114と、主制御用の入力ポートと出力ポートとを備え、メインCPU111は、各検出スイッチからの入力信号に基づいて、メインROM112に格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、各装置や表示器を直接制御したり、あるいは演算処理の結果に応じて他の基板にコマンドを送信し(【0026】)、
コ 上記主制御基板110の入力側には、第1始動口検出スイッチ13a、第2始動口検出スイッチ14aが接続されており、遊技球の検出信号を主制御基板110に入力するようにされ、主制御基板110の出力側には、第1特別図柄表示装置20、第2特別図柄表示装置21が接続され(【0027】)
サ 演出制御基板120は、遊技中や待機中等の各演出を制御し、この演出制御基板120は、サブCPU121、サブROM122、サブRAM123を備えており、主制御基板110に対して、当該主制御基板110から演出制御基板120への一方向に通信可能に接続され、サブCPU121は、主制御基板110から送信されたコマンドに基づいて、サブROM122に格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、当該処理に基づいて、対応するデータを画像制御基板150に送信し(【0030】)、
シ 演出制御基板120のサブROM122には、演出制御用のプログラムや、主制御基板110から受信した変動パターン指定コマンドに基づいて演出パターンを決定するための変動演出パターン決定テーブル、停止表示する演出図柄35の組み合わせを決定するための演出図柄パターン決定テーブル等が記憶され(【0031】)、
ス 画像制御基板150は、上記演出制御基板120に双方向通信可能に接続されており、その出力側に上記画像表示装置31および音声出力装置34を接続し(【0036】)、画像制御基板150は、画像表示装置31の画像表示制御を行うためホストCPU151、ホストRAM152、ホストROM153、CGROM154、水晶発振器155、VRAM156、VDP(Video Display Processor)200と、を備え、VDP200は、遊技機における音声出力を制御するための音声制御回路300を含み(【0037】)、
セ 特別図柄の変動パターンは(【0079】)、特別図柄判定用乱数値(大当たりの当選または落選)、大当たり図柄用乱数値(大当たり図柄)、時短遊技状態の有無、特別図柄保留数、リーチ判定用乱数値および変動パターン用乱数値に基づき、特別図柄の変動開始時に決定され、決定された変動パターンに基づいて変動パターン指定コマンドが生成され、この変動パターン指定コマンドは、主制御基板110から演出制御基板120へと送信され(【0080】)、
ソ メインCPU111は、第1始動口検出スイッチ入力処理において、第1始動口検出スイッチ13aからの検出信号を入力したか否かを判定し、第1始動口検出スイッチ13aからの検出信号を入力した場合には(【0169】)、特別図柄判定用乱数値、大当たり図柄用乱数値、小当たり図柄用乱数値、遊技用乱数値(変動パターン用乱数値およびリーチ判定用乱数値)を取得して、第1特別図柄記憶領域にある第1記憶部から順に空いている記憶部を検索していき、空いている記憶部に取得した特別図柄判定用乱数値、大当たり図柄用乱数値、小当たり図柄用乱数値、遊技用乱数値(変動パターン用乱数値およびリーチ判定用乱数値)を記憶し(【0171】、【0172】)、特別図柄判定用乱数値を、事前判定テーブルに基づいて判定する事前判定処理を行い【0173】)、
タ メインCPU111は、第2始動口検出スイッチ入力処理においては、抽出した特別図柄判定用乱数値、大当たり図柄用乱数値、小当たり図柄用乱数値、リーチ判定用乱数値を第2特別図柄記憶領域に記憶し(【0168】)、事前判定テーブルを参照して事前判定処理を行い(【0177】)、
チ 事前判定処理により、遊技球が第1始動口13または第2始動口14に入球した時点で(【0178】)、大当たり、小当たり、ハズレの各情報が対応付けられている(【0175】)始動入賞指定コマンドを演出制御基板120へ送信し、始動入賞指定コマンドを受信した演出制御基板120のサブCPU121は、始動入賞コマンドを解析して、遊技球の入賞を契機とした特別図柄の変動が開始される前から、事前に所定の演出を実行することが出来(【0178】)、
ツ メインCPU111は、特別図柄の変動表示中であるか否かを判定し、特別図柄の変動表示中でなければ(【0187】)、第1特別図柄記憶領域または第2特別図柄記憶領域にある第1記憶部〜第4記憶部に記憶された所定の乱数値と始動入賞指定コマンドとを1つ前の記憶部にシフトさせ(【0190】)、第1記憶部に記憶されている所定の乱数値と始動入賞指定コマンドとは、判定記憶領域(第0記憶部)にシフトさせ(【0191】)、特別図柄保留記憶領域の判定記憶領域(第0記憶部)に書き込まれた特別図柄判定用乱数値に基づいて、大当たり判定処理を実行し(【0192】)、
テ メインCPU111は、特別図柄保留記憶領域の判定記憶領域(第0記憶部)に書き込まれた大当たり図柄用乱数値を判定して、特別図柄の種類(停止図柄データ)を決定し(【0203】)、演出制御基板120に特別図柄に対応するデータを送信するため、特別図柄に対応する演出図柄指定コマンドを生成して、演出用伝送データ格納領域にセットし(【0205】、【0209】)、演出用伝送データ格納領域にセットされているコマンドを送信するコマンド送信処理を行い(【0161】)、
ト メインCPU111は、特別図柄の変動表示を開始したら、決定した変動パターンに基づいた変動時間(カウンタ値)を特別図柄時間カウンタにセットし(【0196】)、セットされた時間を経過したと判定した場合には、大当たり判定処理においてセットされた特別図柄を特別図柄表示装置20、21に停止表示し(【0210】)、図柄確定コマンドを演出用伝送データ格納領域にセットし(【0211】)、演出用伝送データ格納領域にセットされているコマンドを送信するコマンド送信処理を行い(【0161】)、
ナ サブCPU121は、受信した始動入賞指定コマンドを解析し、始動入賞指定コマンドには、事前判定処理によって仮判定された大当たり、小当たり、ハズレに係る情報が対応付けられ(【0314】)、特別図柄保留記憶領域に記憶された特別図柄判定用乱数値(【0190】)に対応する保留表示を所定の態様で行うべく保留表示コマンドを画像演制御基板150に送信する保留表示態様決定処理を行い(【0315】)、
ニ サブCPU121は、演出制御基板120の受信バッファに、主制御基板110から送信された変動パターン指定コマンドが格納されると(【0332】)、変動演出パターン決定テーブルと、演出用乱数値に基づいて、変動演出パターンを決定し、また、予告演出決定テーブルを用いて、予告演出実行の有無、実行する場合の予告演出の種類を決定し、決定した変動演出パターン及び、予告演出の有無、種類を画像制御基板150に伝送すべく、演出パターン指定コマンドを伝送データ格納領域にセットし、演出パターン指定コマンドが画像制御基板150に送信されると、演出パターン指定コマンドに基づいて画像表示装置31および音声出力装置34が制御され(【0333】)、
ヌ 主制御基板110から変動パターン指定コマンドが出力され、それを受信した演出制御基板120から演出パターン指定コマンドが出力され、その受信を契機に、画像制御基板150は画像表示装置31において演出図柄35の(初期図柄からの)変動表示を開始し(【0455】)、画像表示装置31においては、変動演出パターンによって、演出図柄35の変動態様が決定され(【0285】)、
ネ サブCPU121は、受信した演出図柄指定コマンドの内容に基づいて、画像表示装置31に停止表示させる演出図柄35を決定する演出図柄決定処理を行い(【0318】)、
ノ サブCPU121は、受信バッファに格納されているコマンドが図柄確定コマンドであれば、演出図柄35を停止表示させるために、決定された演出図柄データに基づくデータと、演出図柄を停止表示させるための停止指示データをサブRAM123の送信バッファにセットする演出図柄停止処理を行い(【0319】)、
ハ 演出制御基板120の制御によって、画像制御基板150は、画像表示装置31において演出図柄35の変動表示を開始した後、左図柄が最初に停止して揺動表示がなされ、次に右図柄が停止して揺動表示がなされ、最後に中図柄が停止して揺動表示がなされることによって行われる仮停止を行い、その後、図柄確定コマンドを受信し、画像制御基板150は演出図柄35を確定停止し(認定事項ア)、
ヒ 演出図柄35の変動中には、音番号11、12のBGMが演出音として再生出力され(認定事項イ)、
フ 演出図柄35の変動中に十字キー40の操作が行われると、音量ゲージ38が表示され、音量調整は可能であり(【0415】、【0416】)、演出図柄35が仮停止状態にあれば、音量ゲージ38が表示され、音量調整は可能であり(【0416】)、
ヘ 画像制御基板150のホストCPU151は、演出制御基板120から供給される演出パターン指定コマンドで指定される変動演出パターンに基づいて、必要な音声を音声管理テーブルから選択し、それを音声制御回路300に指示して出力させ、エラー音については、主制御基板110から供給される各種のセンサ検知結果、または検知結果に基づくエラー検知信号、エラー解除信号に基づいて、必要な音声を音声管理テーブルから選択し、それを音声制御回路300に指示して出力させ(【0390】)、
ホ ホストCPU151は、エラー検知信号が入力されたと判定した場合、現在出力中の演出音があるか否かを判定し(【0395】)、現在出力中の演出音がある場合、演出音の音量がゼロ、あるいは非可聴の音量となるようなマスターボリューム値を設定する(【0396】)
マ 遊技機1(【0008】)。」

(3)引用文献2
ア 引用文献2に記載された事項
原査定で引用文献5として引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016−154816号公報(平成28年9月1日公開、以下「引用文献2」という。)には、遊技機に関し、次の事項が記載されている。

(ア)
「【0001】
本発明は、遊技機に関する。」

(イ)
「【0123】
また、特図変動パターンは、特別図柄の変動表示開始時に(ステップS310の特別図柄記憶判定処理時に)特図変動パターン判定(ステップS313−3)によって正式に決定されるが、遊技球の始動口6、7への入球時に(ステップS200の入力制御処理時に)第1事前判定(ステップS236)又は第2事前判定(ステップS246)によって暫定的に決定される。」

(ウ)
「【0349】
サブCPU102aは、ステップS1305において、事前判定結果に基づいて1又は複数の特別図柄の変動表示(変動演出)にわたって実行される先読みゾーン演出(連続予告演出)や保留アイコン変化予告などの、所謂先読み予告(演出)に関する判定を行う始動口入賞時処理を行い、本コマンド解析処理を終了する。始動口入賞時処理については、図37〜図39を用いて後述する。」

(エ)
「【0584】
このように、主制御基板101から特別図柄の変動表示の開始時に送信された遊技状態指定コマンド、演出図柄指定コマンド及び特図変動パターン指定コマンドを正常に受信できたか否かを判定(第1実行条件判定及び第2実行条件判定)し、正常に受信できた(第1実行条件判定及び第2実行条件判定を満たした)場合に、演出規制フラグがOFFされる一方、正常に受信できなかった(第1実行条件判定及び第2実行条件判定を満たしていない)場合に、演出規制フラグがONされる。
【0585】
そのため、演出規制フラグがOFFの場合には、遊技状態指定コマンド、演出図柄指定コマンド及び特図変動パターン指定コマンドを正常に受信できたもの(コマンド異常なし)として、ステップS1309−3〜ステップS1312の処理が実行され、今回の特別図柄の変動表示期間において、特別図柄の変動表示に対応する変動演出(演出図柄の変動表示)、先読みゾーン演出(連続予告演出)及び変動中アイコン変化予告(握手会予告、投げキッス予告)が実行されることになる。
【0586】
一方、演出規制フラグがONの場合には、遊技状態指定コマンド、演出図柄指定コマンド及び特図変動パターン指定コマンドを正常に受信できていないもの(コマンド異常あり)として、ステップS1309−3〜S1312の処理が実行されず、今回の特別図柄の変動表示期間において、特別図柄の変動表示に対応する変動演出(演出図柄の変動表示)、先読みゾーン演出(連続予告演出)及び変動中アイコン変化予告(握手会予告、投げキッス予告)が実行されないことになる。」

(オ)
「【0853】
以上のように、先読みゾーン演出(第1先読み演出)の実行に係る保留アイコンに対応する変動演出がコマンド異常によって実行されない場合には、先読みゾーン演出の実行が開始されない、若しくは、先読みゾーン演出の実行が中断され、次の保留アイコンに対応する変動演出の開始に基づいて先読みゾーン演出が開始、若しくは、再開されるため、変動演出と先読みゾーン演出(連続予告演出)との関係がうやむやになることを防止することができ、遊技の進行を遊技者に誤認させにくくして、遊技の興趣の低下を防止することが可能(遊技の興趣を向上させることが可能)となる。
【0854】
また、変動演出が実行されていないにも拘らず先読みゾーン演出だけが実行されてしまうことで遊技者が違和感を覚えることを回避することができ、遊技店や遊技機に不信感を抱くことを防止することができる。なお、上述した他の種類の連続予告演出(カウントダウン予告演出、チャンス目予告演出など)の場合であっても、コマンド異常によって変動演出が実行されない場合には先読みゾーン演出と同様となる。
【0855】
さらに、保留アイコンに対応する変動演出がコマンド異常によって実行されない場合であっても、当該保留アイコンが第1保留アイコン表示領域141から変動中アイコン表示領域142にシフトされ、保留アイコン変化予告(第2先読み演出)は実行されるため、遊技者に遊技の進行をより誤認させにくくすることができ、遊技の興趣の低下を防止することが可能(遊技の興趣を向上させることが可能)となる。」

イ 引用文献2記載事項
上記の記載事項より、引用文献2には、以下の事項が記載されていると認められる。
「遊技球の始動口6、7への入球時に事前判定が行われ(【0123】)、事前判定結果に基づいて実行される先読みゾーン演出(連続予告演出)や保留アイコン変化予告などの、先読み予告(演出)に関する判定を行う(【0349】)遊技機(【0001】)において、
主制御基板101から特別図柄の変動表示の開始時に送信された遊技状態指定コマンド、演出図柄指定コマンド及び特図変動パターン指定コマンドを正常に受信できたか否かを判定し、
正常に受信できた場合に、演出規制フラグがOFFされる一方、正常に受信できなかった場合に、演出規制フラグがONされ(【0584】)、
演出規制フラグがOFFの場合には、今回の特別図柄の変動表示期間において、特別図柄の変動表示に対応する変動演出(演出図柄の変動表示)、先読みゾーン演出(連続予告演出)及び変動中アイコン変化予告(握手会予告、投げキッス予告)が実行され(【0585】)、
演出規制フラグがONの場合には、今回の特別図柄の変動表示期間において、特別図柄の変動表示に対応する変動演出(演出図柄の変動表示)、先読みゾーン演出(連続予告演出)及び変動中アイコン変化予告(握手会予告、投げキッス予告)が実行されないようにされ(【0586】)、
先読みゾーン演出(第1先読み演出)の実行に係る保留アイコンに対応する変動演出がコマンド異常によって実行されない場合には、先読みゾーン演出の実行が開始されないが(【0853】)、
保留アイコンに対応する変動演出がコマンド異常によって実行されない場合であっても、保留アイコン変化予告(第2先読み演出)は実行される(【0855】)遊技機。」(以下「引用文献2記載事項」という。)

(4)引用文献3
ア 引用文献3に記載された事項
補正の却下の決定に引用文献7として引用され、用いられた本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2018−42635号公報(平成30年3月22日公開、以下「引用文献3」という。)には、遊技機に関し、次の事項が記載されている。

(ア)
「【0001】
本発明は、始動条件の成立に基づきゲームを実行し、当該ゲームの結果が特別結果となった場合に、遊技者に有利な特別遊技状態を発生する遊技機に関する。」

(イ)
「【0620】
図109(b)には、図109(a)の場合において、特図変動表示ゲームA及び特図変動表示ゲームBについて演出制御装置300が停止コマンドを受信できなかった場合を示した。特図変動表示ゲームAが開始され(t31)、第1飾りゲームで全ての変動表示領域で識別情報が仮停止するまで(t32)は図109(a)と同様である。
【0621】
その後、遊技制御装置100は、特図変動表示ゲームAの変動時間が終了すると特図1表示器51での変動表示を停止し(t33)、所定の停止時間にわたり結果態様を表示する(t33〜t34)。また、変動時間の終了に伴い、演出制御装置300に対して停止コマンドを送信する(t33)。ここではこの停止コマンドを演出制御装置300が受信できなかった状態となっている。
【0622】
演出制御装置300では、停止コマンドを受信していないので、特図変動表示ゲームAの変動時間が終了(t33)しても第1飾りゲーム及び第2飾りゲームの変動表示を継続する。なお、第1飾りゲームでは仮停止した識別情報を揺れるように表示する状態を継続し、第2飾りゲームではLEDの点滅を継続する。
【0623】
遊技制御装置100は、所定の停止時間が終了すると始動記憶に基づき次の特図変動表示ゲームである特図変動表示ゲームBを開始し、特図1表示器51で変動表示を開始する(t34)。また、これに伴い演出制御装置300に対して、開始情報をなす変動コマンドや飾り特図保留数コマンド等を送信する(t34)。演出制御装置300では、先のゲームである特図変動表示ゲームAに対応する開始情報である変動コマンドを受信した後に当該先のゲームに対応する停止情報である停止コマンドを受信せずに次のゲームである特図変動表示ゲームBの開始情報を受信した状態となる。よって、この変動コマンドの受信に基づき、第1飾りゲーム及び第2飾りゲームの変動表示を停止して特図変動表示ゲームAの結果としてはずれの結果を所定時間にわたり表示する(t34〜t35)。
【0624】
また、遊技制御装置100は、当該遊技制御装置100が制御する特図1保留表示器54について、特図変動表示ゲームBの開始に伴う始動記憶の消化に伴い表示を更新する。これに対して演出制御装置300は、特図変動表示ゲームAの結果を表示する所定時間に(t34〜t35)では、当該演出制御装置300が制御する表示装置41の第1記憶表示部83aや第1始動記憶数表示部86aについて更新を待機した状態とする。また、実行中記憶表示部84の表示も特図変動表示ゲームAに対応する表示を継続した状態とする。ただし第1サブ表示部93での始動記憶数の表示は、実際の始動記憶数と対応するように特図変動表示ゲームBの開始に伴い更新される(t34)。
【0625】
そして、演出制御装置300は、特図変動表示ゲームAの結果を表示する時間が終了すると、特図変動表示ゲームBに対応する飾り特図変動表示ゲームを開始する(t35)。この場合、変動時間から算出される時間値Bについては図109の場合と同じ時間が設定され、全ての変動表示領域で識別情報が仮停止する時間を特図変動表示ゲームAの結果を表示した所定時間の分だけ短縮する。このようにすることで特図変動表示ゲームBの演出に不都合が生じることを防止できる。」

(ウ)
「【0658】
なお、図109(b)、図110(b)、図111(b)の例において、第1飾りゲームでは結果が仮停止された状態となっていて遊技者は結果を認識可能であるので、停止コマンドを取りこぼした後に変動コマンドやファンファーレコマンド、客待ちデモコマンドを受信した場合であっても、先のゲームの結果を停止表示する時間を設けずにコマンドに応じた演出を開始するようにしても良い。これに対して第2飾りゲームでは、停止コマンドを取りこぼした後に変動コマンドやファンファーレコマンド、客待ちデモコマンドを受信した場合には、これらのコマンドの受信から所定時間は結果の表示を行うようにしても良い。もちろんこれとは逆に、第1飾りゲームではこれらのコマンドの受信から所定時間は先のゲームの結果表示を行うようにし、第2飾りゲームでは先のゲームの結果を停止表示する時間を設けずにコマンドに応じた演出を開始するようにしても良い。すなわち、少なくとも一方の飾りゲームで、これらのコマンドの受信から所定時間は先のゲームの結果の表示を行うようにすれば良い。」

(エ)
「【図109】



イ 引用文献3記載事項
上記の記載事項より、引用文献3には、以下の事項が記載されていると認められる。
「 特図変動表示ゲームA及び特図変動表示ゲームBについて演出制御装置300が停止コマンドを受信できなかった場合であって(【0620】)、
遊技制御装置100は、特図変動表示ゲームAの変動時間が終了すると特図1表示器51での変動表示を停止し、所定の停止時間にわたり結果態様を表示し、変動時間の終了に伴い、演出制御装置300に対して停止コマンドを送信し、この停止コマンドを演出制御装置300が受信できず(【0621】)、
演出制御装置300では、特図変動表示ゲームAの変動時間が終了しても第1飾りゲームの変動表示を継続し(【0622】)、
遊技制御装置100は、所定の停止時間が終了すると始動記憶に基づき次の特図変動表示ゲームである特図変動表示ゲームBを開始し、特図1表示器51で変動表示を開始し、これに伴い演出制御装置300に対して、開始情報をなす変動コマンドを送信し(【0623】)、
演出制御装置300は(【0625】)、停止コマンドを取りこぼした後に変動コマンドやファンファーレコマンドを受信した場合にコマンドに応じた演出を開始する(【0658】)遊技機(【0001】)。」(以下「引用文献3記載事項」という。)

(5)周知例の記載事項及び周知技術
ア 周知技術1について
(ア)周知例1−1
上記(3)で摘記した引用文献2(周知例1−1)の【0853】、【0855】の記載によれば、以下の事項が記載されていると認められる。
「遊技機において、特別図柄の変動表示期間において実行される先読みゾーン演出(第1先読み演出)と保留アイコン変化予告(第2先読み演出)を備える点。」(以下「周知例1−1記載事項」という。)

(イ)周知例1−2
本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2019―63399号公報(平成31年4月25日公開、以下「周知例1−2」という。)には、遊技機に関し、次の事項が記載されている。

(a)
「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関するものである。」

(b)
「【0122】
[第3実施形態]
次に、パチンコ遊技機の第3実施形態について説明する。
本実施形態のパチンコ遊技機10は、第1事前演出に加えて、第2事前演出を実行可能に構成されている。第2事前演出は、新たに保留された変動ゲームの内容に基づいて、当該変動ゲームが保留されたときから当該変動ゲームが終了する迄の変動ゲームに跨って実行可能な演出である。第2事前演出は、演出表示装置EHにおいて、第1事前演出とは異なる所定の画像を表示することによって実行される。この所定の画像は、第2事前演出の非実行中には表示しない専用画像であるとよい。例えば、第2事前演出における所定の画像は、背景、文字列、及びキャラクタなどの画像である。」

(c)上記(a)、(b)より、周知例1−2には、以下の事項が記載されていると認められる。
「遊技機において、演出表示装置EHにおいて、第1事前演出と変動ゲームを跨って実行可能であり、第1事前演出とは異なる所定の画像を表示することによって実行される第2事前演出を備える点。」(以下「周知例1−2記載事項」という。)

(ウ)周知技術1
上記(ア)及び(イ)からみて、以下の事項が本願の出願前に周知であると認められる。

「遊技機において、変動演出中に事前演出を実行することが可能であり、前記事前演出には、第1事前演出と、前記第1事前演出とは異なる第2事前演出とがある点。」(以下「周知技術1」という。

イ 周知技術2について
(ア)周知例2−1
本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2019−1705550号公報(令和1年10月10日公開、以下「周知例2−1」という。)には、遊技機に関し、次の事項が記載されている。

(a)
「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関するものである。」

(b)
「【0442】
そして、図60(7)に示すように客待ち装図演出を実行している際に、第1始動口121に入賞すると、図60(8)に示すように、次の特別図柄の変動表示開始にともない装飾図柄41の変動が開始される。
【0443】
このとき、装飾図柄41のキャラクタは、ウィンク動作を継続しながら一旦上昇する。すなわち、装飾図柄41が上昇する際に、それまでの所定時間ごとに切り替える装飾図柄41のデータの制御を継続する。このことにより、キャラクタがウィンクを繰り返すことが可能な状態で、装飾図柄41の変動が開始される。
【0444】
そして、図60(9)に示すように装飾図柄41が変動表示され、図60(10)に示すように装飾図柄41が仮停止した後、図60(11)に示すように装飾図柄41の確定停止が実行される。図60(9)乃至(11)においては、装飾図柄41は画像変化演出を実行しない。」

(c)
「【図60】



(d)
上記(a)から(c)より、周知例1には、以下の事項が記載されていると認められる。
「遊技機において、特別図柄の変動表示開始にともない装飾図柄41の変動が開始されるときに、装飾図柄41のキャラクタは、ウィンク動作を継続しながら一旦上昇し、そして、装飾図柄41が変動表示が開始される点。」(以下「周知例2−1記載事項」という。)

(イ)周知例2−2
本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2018−166832号公報(平成30年11月1日公開、以下「周知例2」という。)には、遊技機に関し、次の事項が記載されている。

(a)
「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。」

(b)
「【0105】
図7(b)は変動演出が開始されたときの状態を示している。
変動演出が開始されると、図7(b)に示すように、各装飾図柄510(L)、510(C)、510(R)の各キャラクタ図柄510b(L)、510b(C)、510b(R)は、それぞれのキャラクタ図柄が特有の変動開始時動作(伸びる、傾く、表情が変わる等)を行ってからスクロール表示を開始する。
なお、各キャラクタ図柄510b(L)、510b(C)、510b(R)に対応する各数字図柄510a(L)、510a(C)、510a(R)は、キャラクタ図柄が変動開始時動作により伸びたり傾いたりする動作が行われても、数字図柄が伸びたり傾いたりすることはない。」

(c)
「【図7】



(d) 上記(a)から(c)より、周知例2には、以下の事項が記載されていると認められる。
「遊技機において、変動演出が開始されると、各装飾図柄510(L)、510(C)、510(R)の各キャラクタ図柄510b(L)、510b(C)、510b(R)は、それぞれのキャラクタ図柄が特有の変動開始時動作(伸びる、傾く、表情が変わる等)を行ってからスクロール表示を開始する点。」(以下「周知例2記載事項」という。)

(ウ)周知技術2
上記(ア)及び(イ)からみて、以下の事項が本願の出願前に周知であると認められる。

「遊技機において、変動演出が開始されると、装飾図柄が、変動開始時動作を行ってから変動表示を開始する点。」
(以下「周知技術2」という。)。

(6)対比
本願補正発明と引用発明を対比する。

ア 特定事項Aについて
引用発明のケにおける「遊技の基本動作を制御」する「主制御基板110」は、本願補正発明の特定事項Aにおける「遊技の進行を制御する主制御手段」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Aを備える。

イ 特定事項Bについて
引用発明のサにおける「遊技中や待機中等の各演出を制御し、」「主制御基板110から送信されたコマンドに基づいて、サブROM122に格納されたプログラムを読み出して演算処理を行う」「サブCPU121」「を備え」た「遊技中や待機中等の各演出を制御」する「演出制御基板120」は、本願補正発明の特定事項Bにおける「前記主制御手段からのコマンドに基づき演出を制御する演出制御手段」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Bを備える。

ウ 特定事項Cについて
引用発明のクにおける「主制御基板110、演出制御基板120が設けられ」た「遊技機1」は、本願補正発明の特定事項Cにおける「遊技機」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Cを備える。

エ 特定事項A1について
引用発明のケ、ソ及びタにおける「主制御基板110」が「備え」る「メインCPU111」が「第1始動口検出スイッチ13aからの検出信号を入力した場合には」「特別図柄判定用乱数値」「を取得」すること、及び、「第2始動口検出スイッチ入力処理においては、」「特別図柄判定用乱数値」を「抽出」することは、本願補正発明の特定事項A1における「主制御手段」が「判定情報を取得」することに相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項A1を備える。

オ 特定事項A2について
引用発明のケ及びツにおける「主制御基板110」が「備え」る「メインCPU111」が「特別図柄保留記憶領域の判定記憶領域(第0記憶部)に書き込まれた特別図柄判定用乱数値に基づいて、大当たり判定処理を実行」することは、本願補正発明の特定事項A2における「主制御手段」が「前記判定情報に基づいて、特別遊技を実行するか否かの特別遊技判定を実行」することに相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項A2を備える。

カ 特定事項A3について
引用発明のキにおける「大当たりの抽選結果に対応する特別図柄」は、本願補正発明の特定事項A3における「識別情報」に相当する。
また、引用発明のキ、ケ及びトにおける「主制御基板110」が「備え」る「メインCPU111」が「特別図柄の変動表示」の「開始」から「所定時間が経過したところで、大当たりの抽選結果に対応する」「特別図柄を特別図柄表示装置」「に停止表示」「して、遊技者に抽選結果が報知され」ることは、本願補正発明の特定事項A3における「主制御手段」が「前記特別遊技判定の結果に基づいて、識別情報を変動表示させてから所定時間の経過後に前記識別情報を停止表示させることが可能であ」ることに相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項A3を備える。

キ 特定事項A4について
引用発明のセにおける「大当たり図柄用乱数値」「に基づき、特別図柄の変動開始時に決定され、決定された変動パターンに基づいて」「生成」された「変動パターン指定コマンド」、及び、引用発明のテにおける「大当たり図柄用乱数値を判定して、」「決定」された「特別図柄に対応する演出図柄指定コマンド」は、本願補正発明の特定事項A4における「特別遊技判定の結果に応じた所定のコマンド」に相当する。
そして、引用発明のケ、セ及びテにおける「主制御基板110」が「備え」る「メインCPU111」が「大当たり図柄用乱数値」「に基づき、特別図柄の変動開始時に決定され、決定された変動パターンに基づいて」「変動パターン指定コマンド」を「生成」して「送信」すること及び「大当たり図柄用乱数値を判定して、」「決定」された「特別図柄に対応する演出図柄指定コマンドを生成して、」「送信する」ことは、本願補正発明の特定事項A4における「主制御手段」が「前記識別情報の変動表示において前記特別遊技判定の結果に応じた所定のコマンドを送信」することに相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項A4を備える。

ク 特定事項B1について
引用発明のチにおける「事前判定処理により、遊技球が第1始動口13または第2始動口14に入球した時点で」「大当たり、小当たり、ハズレの各情報が対応付けられている」「始動入賞指定コマンドを演出制御基板120へ送信し、始動入賞指定コマンドを受信した演出制御基板120のサブCPU121は、始動入賞コマンドを解析して、遊技球の入賞を契機とした特別図柄の変動が開始される前から、事前に所定の演出を実行することが出来」ることは、本願補正発明の特定事項B1における「前記演出制御手段は、」「前記特別遊技が実行される可能性を事前に示唆する事前演出を実行することが可能であ」ることに相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項B1を備える。

ケ 特定事項B2について
上記「特定事項A4について」において検討したように、引用発明における「変動パターン指定コマンド」、及び、「特別図柄に対応する演出図柄指定コマンド」が本願補正発明における特定事項A4における「特別遊技判定の結果に応じた所定のコマンド」に相当し、引用発明におけるそれらのコマンドのうち、引用発明のセ及びヌにおいて特定された「特別図柄の変動パターン」が「大当たり図柄用乱数値」「に基づき、特別図柄の変動開始時に決定され、決定された変動パターンに基づいて」「生成され」た「変動パターン指定コマンド」が「主制御基板110から」「出力され、それを受信した演出制御基板120から演出パターン指定コマンドが出力され、その受信を契機に、画像制御基板150は画像表示装置31において演出図柄35の(初期図柄からの)変動表示を開始」するものである。
してみると、引用発明のヌにおける「変動パターン指定コマンド」を「受信した演出制御基板120から演出パターン指定コマンドが出力され、その受信を契機に、画像制御基板150は画像表示装置31において演出図柄35の(初期図柄からの)変動表示を開始」することは、本願補正発明の構成B2における「前記演出制御手段は、」「前記識別情報の第1の変動表示において、前記所定のコマンドを受信した場合、演出図柄による変動演出を実行可能であ」ることに相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項B2を備える。

コ 特定事項B3について
引用発明のサ及びニにおける「演出制御基板120」が「備え」る「サブCPU121は、演出制御基板120の受信バッファに、主制御基板110から送信された変動パターン指定コマンドが格納されると」、「変動演出パターン決定テーブルと、演出用乱数値に基づいて、変動演出パターンを決定し、また、予告演出決定テーブルを用いて、予告演出実行の有無、実行する場合の予告演出の種類を決定」することは、上記ケにおいて検討したように、「変動パターン指定コマンド」の「受信を契機に、」「演出図柄35の(初期図柄からの)変動表示」が「開始」されるものであり、「演出パターン指定コマンドが画像制御基板150に送信される」ことにより、「決定した変動演出パターン及び、予告演出の有無、実行する場合の予告演出の種類」が、まとめて「画像制御基板150に伝送」されていることから、上記の「決定」される「予告演出実行の有無、実行する場合の予告演出の種類」は、演出図柄35の変動中における予告演出であると認められ、引用発明も、演出図柄35の変動中に予告演出を実行することが可能であるといえる。
そして、本願補正発明の特定事項B3における「事前演出」は、特別遊技が実行される可能性を事前に示唆するものであるから(構成B1)、引用発明における「予告演出」と本願補正発明における「事前演出」とは、いずれも「予告演出」であることを限度に一致する。
そうすると、引用発明と本願補正発明の特定事項B3とは、「前記変動演出中に予告演出を実行することが可能である」点で共通する。

サ 特定事項B5について
引用発明のト、サ及びノにおける「メインCPU111は、」「大当たり判定処理においてセットされた特別図柄を特別図柄表示装置20、21に停止表示し」、「図柄確定コマンドを」「送信するコマンド送信処理を行い」、「演出制御基板120」が「備え」る「サブCPU121は、受信バッファに格納されているコマンドが図柄確定コマンドであれば、演出図柄35を停止表示させるために、決定された演出図柄データに基づくデータと、演出図柄を停止表示させるための停止指示データをサブRAM123の送信バッファにセットする演出図柄停止処理を行」うことは、本願補正発明の特定事項B4における「前記演出制御手段は、」「前記識別情報の停止表示において、前記演出図柄による停止表示を実行可能であ」ることに相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項B5を備える。

シ 特定事項B6について
引用発明のヌにおける「画像表示装置31において」「開始」される「演出図柄35の」「変動表示」は、本願補正発明の特定事項B6における「変動演出」のうち「演出図柄を変動表示させる変動表示演出」に相当する。
よって、本願補正発明と引用発明とは、変動演出が演出図柄を変動表示させる変動表示演出とを含む点で一致する。

ス 特定事項B7及びB8について
引用発明のハにおける「画像制御基板150は、画像表示装置31において演出図柄35の変動表示を開始した後、左図柄が最初に停止して揺動表示がなされ、次に右図柄が停止して揺動表示がなされ、最後に中図柄が停止して揺動表示がなされることによって行われる仮停止を行い、その後、図柄確定コマンドを受信した演出制御基板120の制御によって、画像制御基板150は演出図柄35を確定停止」することにおいて、「左図柄が最初に停止して揺動表示がなされ、次に右図柄が停止して揺動表示がなされ、最後に中図柄が停止して揺動表示がなされることによって行われる仮停止を行」うことは、「演出図柄35を確定停止」する前に「揺動表示がなされることによって行われる仮停止を行」っていることから、その構成は、本願補正発明の特定事項B7における「前記演出図柄を特定の態様で動作させる停止前動作演出」に相当し、「演出図柄35を確定停止」することは、本願補正発明の特定事項B8における「前記演出図柄による前記停止表示を実行可能であ」ることに相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項B7及びB8を備える。

セ 特定事項B9について
上記ケを参酌すると、引用発明は、「特別図柄の変動開始時に決定され」た「変動パターン指定コマンド」により演出図柄35の変動が可能となり、上記シを参酌すると、引用発明は、「大当たり判定処理においてセットされた特別図柄を特別図柄表示装置20、21に停止表示し」、「図柄確定コマンドを」「送信するコマンド送信処理を行い」、「演出図柄を停止表示させるための停止指示データをサブRAM123の送信バッファにセットする演出図柄停止処理を行」うものであって、「図柄確定コマンド」により演出図柄35が停止されることから、特別図柄の変動表示中は、演出図柄35は変動表示するものと認められる。
してみると、引用発明のヒにおける、特別図柄の変動中に変動する「演出図柄35の変動中には、音番号11、12のBGMが演出音として出力され」ることは、本願補正発明の特定事項B9における「前記識別情報の変動表示中に所定の音を出力可能であ」ることに相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項B9を備える。

ソ 特定事項B10について
引用発明のフにおける「演出図柄35の変動中に十字キー40の操作が行われると、音量ゲージ38が表示され、音量調整は可能であり」、「演出図柄35が仮停止状態にあれば、音量ゲージ38は表示され、音量調整は可能であ」ることは、本願補正発明の特定事項B10における「前記停止前動作演出中に、所定の操作部に対する操作に応じて前記所定の音の音量を調整可能であ」ることに相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項B10を備える。

タ 特定事項B11について
引用発明のへにおける「主制御基板110から供給される各種のセンサ検知結果、または検知結果に基づくエラー検知信号」に「基づ」くことは、本願補正発明の特定事項B11における「所定条件を満たした場合」に相当し、引用発明のへにおける「エラー音」は、本願補正発明の特定事項B11における「所定の音」に相当する。
してみると、引用発明のへにおける「主制御基板110から供給される各種のセンサ検知結果、または検知結果に基づくエラー検知信号、エラー解除信号に基づいて、必要な音声を音声管理テーブルから選択し、それを音声制御回路300に指示して」「エラー音」を「出力させ」ることは、本願補正発明の特定事項B11における「所定条件を満たした場合に所定の報知音を出力可能であ」ることに相当する。
また、引用発明のへにおける「ホストCPU151は、エラー検知信号が入力されたと判定した場合、現在出力中の演出音があるか否かを判定し」、「現在出力中の演出音がある場合、演出音の音量がゼロ、あるいは非可聴の音量となるようなマスターボリューム値を設定する」ことに関して、引用発明のハにおける「確定停止」前の「左図柄が最初に停止して揺動表示がなされ、次に右図柄が停止して揺動表示がなされ、最後に中図柄が停止して揺動表示がなされることによって行われる仮停止を行」う状態は、演出図柄35が「変動中」であることは当業者の技術常識であるから、引用発明のヒにおける「演出図柄35の変動中」で「音番号11、12のBGMが演出音として出力され」ている状態であるといえる。
してみると、引用発明のホにおける「ホストCPU151は、エラー検知信号が入力されたと判定した場合、現在出力中の演出音があるか否かを判定し」「現在出力中の演出音がある場合、演出音の音量がゼロ、あるいは非可聴の音量となるようなマスターボリューム値を設定する」ことは、本願補正発明の特定事項B11における「前記停止前動作演出中に、前記所定の報知音を出力する場合に、前記所定の音の音量を抑制することが可能であ」ることに相当する構成を有するといえる。
以上のことから、引用発明は、本願補正発明の特定事項B11を備える。

チ 特定事項Cについて
引用発明のマにおける「遊技機1」は、本願補正発明の特定事項Cにおける「遊技機」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Cを備える。

(7) 一致点及び相違点について
上記(6)アからチからみて、本願補正発明と引用発明とは、以下の点で一致する。
<一致点>
A 遊技の進行を制御する主制御手段と、
B 前記主制御手段からのコマンドに基づき演出を制御する演出制御手段と、を備える
C 遊技機であって、
A 前記主制御手段は、
A1 判定情報を取得し、
A2 前記判定情報に基づいて、特別遊技を実行するか否かの特別遊技判定を実行し、
A3 前記特別遊技判定の結果に基づいて、識別情報を変動表示させてから所定時間の経過後に前記識別情報を停止表示させることが可能であり、
A4 前記識別情報の変動表示において前記特別遊技判定の結果に応じた所定のコマンドを送信し、
B 前記演出制御手段は、
B1 前記特別遊技が実行される可能性を事前に示唆する事前演出を実行することが可能であり、
B2 前記識別情報の第1の変動表示において、前記所定のコマンドを受信した場合、演出図柄による変動演出を実行可能であり、
B3’ 前記変動演出中に予告演出を実行することが可能であり、
B5 前記識別情報の停止表示において、前記演出図柄による停止表示を実行可能であり、
B6’ 前記変動演出は、前記演出図柄を変動表示させる変動表示演出とを含み、
B7 前記変動表示演出の後、前記演出図柄を特定の態様で動作させる停止前動作演出を実行可能であり、
B8 前記停止前動作演出の後、前記演出図柄による前記停止表示を実行可能であり、
B9 前記識別情報の変動表示中に所定の音を出力可能であり、
B10 前記停止前動作演出中に、所定の操作部に対する操作に応じて前記所定の音の音量を調整可能であり、
B11 所定条件を満たした場合に所定の報知音を出力可能であり、前記停止前動作演出中に、前記所定の報知音を出力する場合に、前記所定の音の音量を抑制することが可能である
C 遊技機。

そして、両者は、以下の点で相違する。
<相違点1> (特定事項B3、B4)
事前演出及び変動演出中に実行される演出に関して、本願補正発明は、変動演出中に前記事前演出を実行することが可能であり、前記事前演出には、第1事前演出と、前記第1事前演出とは異なる第2事前演出とがあるのに対して、引用発明は、遊技球の入賞を契機とした特別図柄の変動が開始される前から、事前に所定の演出を実行することができるものであり、また演出図柄35の変動中の予告演出を行うものであるが、事前に実行される所定の演出と予告演出との関係が不明である点。

<相違点2> (特定事項B6)
変動演出に関して、本願補正発明は、変動演出に、演出図柄を所定の態様で動作させる開始動作演出と、前記開始動作演出の後、前記演出図柄を変動表示させる変動表示演出とを含むのに対して、引用発明は、「演出図柄を変動表示させる変動表示演出」に相当する「演出図柄35」の「変動表示」の前に、開始動作演出に相当する演出を行わない点。

<相違点3> (特定事項B12)
第1の変動表示の後の識別情報の第2の変動表示において所定のコマンドを受信しなかった場合に関して、本願補正発明は、開始動作演出及び第1事前演出を実行しないことが可能であるが、実行中の第2事前演出を継続することが可能であるのに対して、引用発明は、「特別図柄に対応する演出図柄指定コマンド」及び「演出パターン指定コマンド」が受信できなかった場合の演出図柄35の動作が不明である点。

<相違点4> (特定事項B13)
変動演出の実行中に次の所定のコマンドを受信した場合に関して、本願補正発明は、演出図柄による停止表示を実行せずに、次の所定のコマンドに応じた開始動作演出を実行可能であるのに対して、引用発明は、演出図柄35の変動中に「特別図柄に対応する演出図柄指定コマンド」及び「演出パターン指定コマンド」を受信した場合の演出図柄35の動作が不明である点。」

(8)判断
上記の各相違点について検討する。

ア 相違点1ついて
上記(5)アに「周知技術1」として示したように、「遊技機において、変動演出中に事前演出を実行することが可能であり、前記事前演出には、第1事前演出と、前記第1事前演出とは異なる第2事前演出とがある点。」は、本願出願前周知の事項である。
そうすると、上記周知技術1における「事前演出」は、引用発明における「事前に」「実行」される「所定の演出」と、予告演出である点で共通するから、引用発明における「事前に」「実行」される「所定の演出」に、上記事前演出に係る周知技術1を適用して、変動演出中の予告演出として、「事前に」「実行」される「所定の演出」を実行し、前記「所定の演出」に「第1事前演出と、前記第1事前演出とは異なる第2事前演出」とがあるようにすることは、当業者が適宜なし得たことである。

イ 相違点2ついて
上記(5)イに「周知技術2」として示したように、
「遊技機において、変動演出が開始されると、装飾図柄が、変動開始時動作を行ってから変動表示を開始する点。」は、本願出願前周知の事項である。
そして、上記周知技術2における「変動開時動作」は、本願補正発明の相違点2に係る構成における「開始動作演出」に相当するから、上記周知技術2における「変動演出が開始されると、装飾図柄が、変動開始時動作を行ってから変動表示を開始する」ことは、本願補正発明の相違点2に係る構成における「変動演出に、演出図柄を所定の態様で動作させる開始動作演出と、前記開始動作演出の後、前記演出図柄を変動表示させる変動表示演出とを含む」ことに相当する。
ここにおいて、引用発明と上記周知技術2とは、演出図柄を変動させる変動演出を行う遊技機という点で技術分野が共通する。
そして、引用発明において、演出図柄35の変動表示を開始するにあたって、遊技の興趣性をより向上させるために、上記周知技術2における「変動開始時動作を行ってから変動表示を開始する」構成を適用し、演出図柄35が変動表示を開始する際に、変動開始時動作を行ってから変動表示を開始するように構成し、本願補正発明の相違点2に係る構成を成すことは、当業者が容易に想到し得ることである。
よって、本願補正発明の相違点2に係る構成は、引用発明に上記周知技術2を適用することによって、当業者が容易に想到し得たものである。

ウ 相違点3について
引用文献2には、上記(3)イに示した引用文献2記載事項が記載されている。
そして、引用文献2記載事項における「特別図柄の変動表示の開始時に送信された」「演出図柄指定コマンド及び特図変動パターン指定コマンドを」「正常に受信できなかった場合」は、本願補正発明の相違点3に係る構成における「第1の変動表示の後の識別情報の第2の変動表示において所定のコマンドを受信しなかった場合」に相当し、引用文献2記載事項における「先読みゾーン演出(第1先読み演出)」は、本願補正発明の相違点3に係る構成における「第1事前演出」に相当し、また、引用文献2記載事項における「先読みゾーン演出の実行が開始されない」ことは、本願補正発明の相違点3に係る構成における「第1事前演出を実行しないことが可能である」ことに相当する。
ここにおいて、引用発明と引用文献2記載事項とは、複数種類の予告演出(先読み演出)を備えた遊技機という点で技術分野が共通し、複数種類の予告演出(先読み演出)を適宜実行することにより遊技の興趣性を向上させるという課題を内在する点でも共通するから、引用発明において、「特別図柄に対応する演出図柄指定コマンド」及び「演出パターン指定コマンド」が受信できなかった場合に、予告演出の種類を決定するにあたって、引用文献2記載事項における「特別図柄の変動表示の開始時に送信された」「演出図柄指定コマンド及び特図変動パターン指定コマンドを」「正常に受信できなかった場合に」「今回の特別図柄の変動表示期間において、特別図柄の変動表示に対応する変動演出(演出図柄の変動表示)」及び「先読みゾーン演出(連続予告演出)」「が実行されないようにされ、先読みゾーン演出(第1先読み演出)の実行に係る保留アイコンに対応する変動演出がコマンド異常によって実行されない場合には、先読みゾーン演出の実行が開始されないが、保留アイコンに対応する変動演出がコマンド異常によって実行されない場合であっても、保留アイコン変化予告(第2先読み演出)は実行される」構成を適用することによって、演出図柄の変動表示及び第1先読み演出を実行しないことが可能であるが、実行中の第2先読み演出を継続することが可能とし、本願補正発明の相違点3に係る構成のうち、「第1事前演出を実行しないことが可能であるが、実行中の第2事前演出を継続することが可能である」ように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。
そして、「演出図柄35」を用いた「変動演出パターン」による変動演出を行うにあたって、「変動開始時動作を行ってから変動表示を開始する」こと自体は、上記イにおいて検討したように、本願出願前周知の事項であり、「変動開始時動作」は「変動演出」に伴って行われるものであるから「特別図柄に対応する演出図柄指定コマンド」及び「演出パターン指定コマンド」の受信が契機となり行われるものであって、「特別図柄に対応する演出図柄指定コマンド」及び「演出パターン指定コマンド」が受信されない場合は「変動演出」の実行の契機がないことから、本願補正発明の相違点3に係る構成における「開始動作演出」に相当する「変動開始時動作」が行われないことは当業者にとって明らかである。
してみると、本願補正発明の相違点3に係る構成は、引用発明に引用文献2記載事項を適用することによって、当業者が容易に想到し得たものである。

エ 相違点4について
引用文献3には、上記(4)イに示した引用文献3記載事項が記載されている。
そして、引用文献3記載事項における「停止コマンドを演出制御装置300が受信できず」「図変動表示ゲームAの変動時間が終了しても第1飾りゲームの変動表示を継続し」、「停止コマンドを取りこぼした後に変動コマンドやファンファーレコマンドを受信した場合」は、本願補正発明の相違点4に係る構成における「変動演出の実行中に次の所定のコマンドを受信した場合」に相当し、引用文献3記載事項における「先のゲームの結果を停止表示する時間を設けずにコマンドに応じた演出を開始する」ことは、本願補正発明の相違点4に係る構成における「演出図柄による停止表示を実行せずに、次の所定のコマンドに応じた開始動作演出を実行可能である」ことに相当する。
ここにおいて、引用発明と引用文献3記載事項とは、主制御基板から送られるコマンドを演出制御基板が受信することにより演出図柄の変動態様が制御される遊技機という点で技術分野が共通し、演出図柄の変動態様の制御の適正化という課題を内在する点でも共通するから、引用発明において、「演出図柄35」を用いた「変動演出パターン」による変動演出中に「特別図柄に対応する演出図柄指定コマンド」及び「演出パターン指定コマンド」の受信という事象が発生した場合に、引用文献3記載事項における「演出制御装置300」が「停止コマンドを取りこぼした後」の「変動状態を継続」するときにおいて「変動コマンドやファンファーレコマンドを受信した場合」に「先のゲームの結果を停止表示する時間を設けずにコマンドに応じた演出を開始する」構成を採用し、本願補正発明の相違点4に係る構成のうち、「演出図柄による停止表示を実行せずに、次の所定のコマンドに応じた」「演出図柄35」を用いた「変動演出パターン」による変動演出を実行可能とし、さらに、「演出図柄35」を用いた「変動演出パターン」による変動演出演出を行うにあたって、「変動開始時動作を行ってから変動表示を開始する」こと自体は、上記アにおいて検討したように、本願出願前周知の事項であり、「変動開始時動作」は、変動開始時におけるコマンドの受信を契機に行われるものであるから、「コマンドに応じた演出」として、「開始動作演出」に相当する「変動開始時動作」を採用し、「演出図柄による停止表示を実行せずに、次の所定のコマンドに応じた開始動作演出を実行可能」とすることは、当業者は容易に想到し得たものである。
してみると、本願補正発明の相違点4に係る構成は、引用発明に引用文献3記載事項及び上記周知技術2を適用することによって、当業者が容易に想到し得たものである。

(9)本願補正発明の奏する効果について
本願補正発明の奏する効果は、引用発明、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項、上記周知技術1、及び、上記周知技術2の奏する効果から、当業者が予測することができた程度のものである。

(10)請求人の主張について
ア 審判請求書における請求人の主張について
(ア)請求人の主張の概要
請求人は、審判請求書の「3.本願発明が特許されるべき理由」において、以下のとおり主張する。
「 本願発明と引用文献1に記載の発明とは少なくとも以下の点において相違します。
本願発明では、変動演出は前記演出図柄を所定の態様で動作させる開始動作演出と、前記開始動作演出の後、前記演出図柄を変動表示させる変動表示演出とを含むのに対して、引用文献1にはこのようなことは開示されていません(相違点1)。
本願発明では、識別情報の変動表示において所定のコマンドを受信しなかった場合は、開始動作演出及び第1事前演出を実行しないが、実行中の第2事前演出を継続することが可能であるのに対して、引用文献1にはこのようなことは開示されていません(相違点2)。
本願発明は、変動演出の実行中に次の前記所定のコマンドを受信した場合、演出図柄による停止表示を実行せずに、前記次の所定のコマンドに応じた前記開始動作演出を実行可能であるという特徴を有するのに対して、引用文献1にはこのようなことは記載されていません(相違点3)。

ここで、引用文献2、3、4には、上記相違点1が記載されていますが、相違点2は何れの引用文献にも記載されていません。例えば、引用文献5には、「コマンド異常によって変動演出が実行されない場合であっても、先読み予告演出(連続予告演出、保留アイコン変化予告)や変動中アイコン変化予告の実行が許容される」(段落0942)点は記載されていますが、所定のコマンドを受信しなかった場合、開始動作演出及び第1事前演出を実行しないが、実行中の第2事前演出を継続することは記載されていません。このため、引用文献1に引用文献2等を組み合わせても、本願発明の構成にはなりません。
また、引用文献7(特開2018−042635号公報)には、停止コマンドを受信できなかった場合に、特図変動表示ゲームが終了しても、第1飾りゲーム及び第2飾りゲームの変動表示を継続し(段落0621,0622)、その後、次の特図変動表示ゲームBの開始情報を受信した場合、第1飾りゲーム及び第2飾りゲームの変動表示を停止した後、次の特図変動表示ゲームBに応じた飾りゲームを行うことが記載されています(段落0623)。しかしながら、引用文献7には、次の特図変動表示ゲームBの開始情報を受信した場合、第1飾りゲーム及び第2飾りゲームの変動表示を停止せずに、次の特図変動表示ゲームBに応じた飾りゲームを行うことは記載されていません。
また、引用文献7では、次の特図変動表示ゲームBの開始情報を受信した場合、特図変動表示ゲームAの結果を表示する時間が終了すると、特図変動表示ゲームBに対応する飾り特図変動表示ゲームを開始すると記載されていますが(段落0625)、次の前記所定のコマンドを受信した場合、当該次の所定のコマンドに応じた開始動作演出を実行することは記載されていません。このため、引用文献2に引用文献7を適用しても、本願発明の構成にはなりません。仮に、引用文献7において、変動開始時にコマンドを正常に受信する場合において演出図柄を用いた開始動作演出を実行するように構成する場合、引用文献7においては、次のゲームである特図変動表示ゲームBの開始情報を受信した時点で変動表示が実行中であれば、一旦実行中の変動表示を停止させるため、開始情報の不受信時にそのような開始動作演出を行うようにすると、開始動作演出を行うための時間を確保することが困難になります。このため、引用文献7において、「次のゲームである特図変動表示ゲームBの開始情報を受信した時点で変動表示が実行中であれば、実行中の変動表示を停止させ、新たに受信した開始情報に応じた開始動作演出を実行する」ように構成することは、容易ではありません。」
「本願発明は、主制御手段からの所定のコマンドを演出制御手段が受信しなかった場合でも、第2事前演出については実行を継続して遊技者に遊技を継続させることができる一方、開始動作演出及び第1事前演出については実行せずに演出の整合性を維持することができます。これにより、コマンドを受信しなかったときの影響を小さくして遊技を継続させやすくすることができます。また、本願発明は、例えば主制御手段からの一部のコマンド(例えば識別情報の停止表示時のコマンド)を受信しなかったことによって前の識別情報の変動表示に対応する演出図柄の変動演出が実行中である場合でも、次の識別情報の変動表示の開始に応じた所定のコマンドを受信した場合には、通常通り所定のコマンドが受信された場合に実行される開始動作演出を行うことができます。これにより、遊技者に違和感を与えることなく、遊技を継続させることができます。」

(イ)請求人の主張についての検討
請求人が上記(ア)において主張する「相違点2」に係る構成は、上記(8)イにおいて検討したように、特開2016−154816号公報(原査定における引用文献5)に記載された事項及び周知技術2に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。
また、請求人は、引用文献7(特開2018−42635号公報)の【0621】、【0622】、【0623】及び【0625】を引用し、「次の前記所定のコマンドを受信した場合、当該次の所定のコマンドに応じた開始動作演出を実行することは記載されていません。」と主張しているが、上記文献の【0658】には、「停止コマンドを取りこぼした後に変動コマンドやファンファーレコマンド、客待ちデモコマンドを受信した場合であっても、先のゲームの結果を停止表示する時間を設けずにコマンドに応じた演出を開始するようにしても良い。」と記載されており、その構成に関する検討は、上記(8)エに記載したとおりである。そして、そのように構成すれば、請求人が審判請求書において主張するような作用効果は得られると認められる。
さらに、「主制御手段からの所定のコマンドを演出制御手段が受信しなかった場合でも、第2事前演出については実行を継続して遊技者に遊技を継続させることができる一方、開始動作演出及び第1事前演出については実行せずに演出の整合性を維持することができる一方、開始動作演出及び第1事前演出については実行せずに演出の整合性を維持することができ」、「コマンドを受信しなかったときの影響を小さくして遊技を継続させやすくすることができ」ることについては、引用文献2記載事項及び上記周知技術2に基づいて当業者が予測し得る作用効果であり、また、「主制御手段からの一部のコマンド(例えば識別情報の停止表示時のコマンド)を受信しなかったことによって前の識別情報の変動表示に対応する演出図柄の変動演出が実行中である場合でも、次の識別情報の変動表示の開始に応じた所定のコマンドを受信した場合には、通常通り所定のコマンドが受信された場合に実行される開始動作演出を行うことができ」る点については、引用文献3記載事項における「停止コマンドを取りこぼした後に変動コマンドやファンファーレコマンドを受信した場合、先のゲームの結果を停止表示する時間を設けずにコマンドに応じた演出を開始する」構成に基づいて、当業者が予測し得る作用効果である。
したがって、請求人の審判請求書における主張は採用できない。

イ 令和5年1月10日提出の上申書における請求人の主張について
(ア)請求人の主張の概要
請求人は、令和5年1月10日提出の上申書において、以下のとおり主張する。

主張1
「 引用文献7には、停止コマンドを取りこぼした後に変動コマンドを受信した場合、第1飾りゲーム及び第2飾りゲームの変動表示を停止して特図変動表示ゲームAの結果としてはずれの結果を表示し、所定時間経過後に、特図変動表示ゲームBに対応する飾り特図変動表示ゲームを開始することが記載されています(段落0623−0625)。しかしながら、引用文献7には、所定のコマンドを受信した場合に演出図柄を所定の態様で動作させる開始動作演出を実行することは記載されておらず、変動演出の実行中に次の所定のコマンドを受信した場合に、通常時(すなわち、演出図柄が停止表示されているとき)と同様の開始動作演出を実行することは記載されていません。」

主張2
「また、引用文献7には、停止コマンドを取りこぼした後に変動コマンドを受信した場合に、第1飾りゲームでは、先のゲームの結果を停止表示する時間を設けずにコマンドに応じた演出を開始する一方、第2飾りゲームでは、所定時間は結果の表示を行うことが記載されています(段落0658)。すなわち、引用文献7では、第1飾りゲーム及び第2飾りゲームのうち「少なくとも一方の飾りゲームで、これらのコマンドの受信から所定時間は先のゲームの結果の表示を行う」(段落0658)ものであり、次の所定のコマンドを受信した場合に、演出図柄の停止表示(第1飾りゲーム及び第2飾りゲームの停止表示)を行わずに、次の特図変動表示ゲームを開始することは記載されていません。」

主張3
「引用文献4では、停止コマンドを取りこぼした後に変動コマンドを受信した場合に、演出図柄の停止表示(第1飾りゲーム及び第2飾りゲームの少なくとも一方の停止表示)を行うことで先のゲームの結果を所定時間表示させた後、次の特図変動表示ゲームを開始することを基本としており、演出図柄による停止表示を実行せずに、開始動作演出を実行する本願発明とは技術的思想が異なります。本願発明では、例えば、変動演出として演出図柄701及び小図柄702を変動表示させ、変動演出の実行中に次の所定のコマンドを受信した場合、演出図柄701及び小図柄702について停止表示を実行せずに、次の所定のコマンドに応じた開始動作演出を実行します(段落0870−0872)。これにより、開始動作演出を実行する時間を確保して通常時と同じ開始動作演出を行うことができるとともに、演出図柄が停止表示しないため、違和感なく遊技を継続させることができます。」

(イ) 請求人の主張についての検討
上記主張1について検討すると、上記主張1は、概ね上記ア(ア)に掲げた審判請求書における請求人の主張と同じ主張であり、上記ア(イ)に示したように、採用できない。
上記主張2について検討すると、請求人は、「引用文献7では、第1飾りゲーム及び第2飾りゲームのうち「少なくとも一方の飾りゲームで、これらのコマンドの受信から所定時間は先のゲームの結果の表示を行う」(段落0658)ものであり、次の所定のコマンドを受信した場合に、演出図柄の停止表示(第1飾りゲーム及び第2飾りゲームの停止表示)を行わずに、次の特図変動表示ゲームを開始することは記載されていません。」と主張しているが、引用文献7(特開2018−42635号公報)の【0016】には、「表示装置41(変動表示装置)は、例えば、LCD(液晶表示器)、CRT(ブラウン管)等の表示画面を有する装置で構成されている。」と記載され、同【0613】には、「表示装置41に表示される第1飾りゲーム」と記載されているとともに、同【0561】には、「サブ情報表示装置90は、飾り特図変動表示ゲームのうち第2飾りゲームを表示する第1サブゲーム表示部91及び第2サブゲーム表示部92を備える。・・・。また、第2サブゲーム表示部92は、第2特図変動表示ゲームに対応する飾り特図変動表示ゲームを実行する第四図柄を表示するサブゲーム表示部をなすもので、単一の発光部L6で構成されている。」と記載されている。
してみると、「第1飾りゲーム」は、「表示画面を有する」「表示装置41」で行われるものであるのに対して、「第2飾りゲーム」は、LED等の点滅によって表示を行うものであるから、一般的に用いられる演出図柄により「表示画面を有する」「表示装置41」で行われる演出は、「第1飾りゲーム」に限られることになる。
そして、請求人が主張するように、「引用文献7では、第1飾りゲーム及び第2飾りゲームのうち「少なくとも一方の飾りゲームで、これらのコマンドの受信から所定時間は先のゲームの結果の表示を行う」」ものであるとしても、もう一方の飾りゲームは、同【0658】に記載されているように「先のゲームの結果を停止表示する時間を設けずにコマンドに応じた演出を開始する」ものとなり得ることから、引用文献7には、一般的に用いられる演出図柄により「表示画面を有する」「表示装置41」で行われる「第1飾りゲーム」において、「先のゲームの結果を停止表示する時間を設けずにコマンドに応じた演出を開始する」構成が記載されていると認められ、請求人が主張する「次の所定のコマンドを受信した場合に、演出図柄の停止表示」「を行わずに、次の特図変動表示ゲームを開始すること」が記載されていることになり、上記主張2も採用できない。
上記主張3について検討すると、請求人は、引用文献4(合議体注:引用文献7の誤記と認める。)に記載された発明は、「演出図柄による停止表示を実行せずに、開始動作演出を実行する本願発明とは技術的思想が異なります。」と主張しているが、引用文献7に記載された事項も、演出図柄による停止表示を実行せずに、次の変動演出を行うものであって、開始動作演出を実行すること自体は、上記(5)に「周知技術」として示したように、本願出願前周知の事項であるから、請求人が主張する本願補正発明の特徴である「演出図柄による停止表示を実行せずに、開始動作演出を実行する」ことは、引用文献7に記載された事項及び本願出願前周知の事項に基づき当業者が容易に想到し得ることであり、引用文献7に記載された事項に本願出願前周知の事項を適用し、停止表示を行わない「第1飾りゲーム」に対して「変動開始時動作を行ってからスクロール表示を開始する」ように構成したものは、請求人が主張する作用効果と同様の作用効果を奏し得るものである。
したがって、上記主張3も採用できない。

ウ まとめ
以上のことから、審判請求書及び上記上申書における請求人の主張はいずれも採用できない。

(11)むすび
以上のとおり、本願補正発明は、当業者が、引用発明、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項、上記周知技術1及び上記周知技術2に基づいて容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 小括
本願補正発明は、上記3のとおり、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和4年1月31日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものであり、本願補正発明の特定事項AからCに対応させて符号aからcを付し、再掲すると、以下のとおりである。
「a 遊技の進行を制御する主制御手段と、
b 前記主制御手段からのコマンドに基づき演出を制御する演出制御手段と、を備える
c 遊技機であって、
a 前記主制御手段は、
a1 判定情報を取得し、
a2 前記判定情報に基づいて、特別遊技を実行するか否かの特別遊技判定を実行し、
a3 前記特別遊技判定の結果に基づいて、識別情報を変動表示させてから所定時間の経過後に前記識別情報を停止表示させることが可能であり、
a4 前記識別情報の変動表示において前記特別遊技判定の結果に応じた所定のコマンドを送信し、
b 前記演出制御手段は、
b1 前記特別遊技が実行される可能性を事前に示唆する事前演出を実行することが可能であり、
b2 前記識別情報の第1の変動表示において、前記所定のコマンドを受信した場合、演出図柄による変動演出を実行可能であり、
b3 前記変動演出中に前記事前演出を実行することが可能であり、
b5 前記識別情報の停止表示において、前記演出図柄による停止表示を実行可能であり、
b6 前記変動演出は、前記演出図柄を所定の態様で動作させる開始動作演出と、前記開始動作演出の後、前記演出図柄を変動表示させる変動表示演出とを含み、
b7 前記変動表示演出の後、前記演出図柄を特定の態様で動作させる停止前動作演出を実行可能であり、
b8 前記停止前動作演出の後、前記演出図柄による前記停止表示を実行可能であり、
b9 前記識別情報の変動表示中に所定の音を出力可能であり、
b10 前記停止前動作演出中に、所定の操作部に対する操作に応じて前記所定の音の音量を調整可能であり、
b11 所定条件を満たした場合に所定の報知音を出力可能であり、前記停止前動作演出中に、前記所定の報知音を出力する場合に、前記所定の音の音量を抑制することが可能であり、
b12 前記第1の変動表示の後の前記識別情報の第2の変動表示において前記所定のコマンドを受信しなかった場合、前記開始動作演出を実行しないことが可能であるが、前記事前演出を実行することが可能である、
c 遊技機。」

2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。

進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項 1
・下記引用文献等 1−5

<引用文献等一覧>
1.特開2018−47032号公報
2.特開2019−170550号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2018−166832号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2019−55000号公報(周知技術を示す文献)
5.特開2016−154816号公報

3 引用文献に記載された内容、引用発明、及び、周知技術
原査定の拒絶の理由における引用文献1は、上記第2[理由]3(2)における「引用文献1」に相当し、周知技術を示す文献である上記引用文献2及び上記引用文献3は、上記2[理由]3(5)における「周知例1」及び「周知例2」に相当し、同引用文献5は、上記第2[理由]3(3)における「引用文献2」に相当し、周知技術を示す文献として示した同引用文献2及び同引用文献3は、上記2[理由]3(5)における「周知例1」及び「周知例2」に相当する。
したがって、同引用文献1及び同引用文献5に記載された内容は、それぞれ、上記第2[理由]3(2)及び(3)に記載したとおりであり、同引用文献2及び同引用文献3に記載された内容は、上記2[理由]3(5)ア及びイに記載したとおりである。
そして、同引用文献1に記載された発明は、上記第2[理由]3(2)ウに記載した「引用発明」に対応し、同引用文献5に記載された事項は、上記2[理由]3(3)イに記載した「引用文献2記載事項」に対応し、同引用文献2及び同引用文献3より導き出される周知技術は、上記2[理由]3(5)イ(ウ)に記載した「周知技術2」に対応する。

4 対比
本願発明と引用発明とを対比する。

本願発明の特定事項a,b,a1〜a4,b1〜b3,b5,b7〜b11,cは、本願補正発明の特定事項A,B,A1〜A4,B1〜B3,B5,B7〜B11,Cである。
してみると、本願発明の特定事項a,b,c,a1〜a4,b1〜b3,b5,b7〜b11,cについての検討は、前記第2の3(6)ア〜チにおいて検討したとおりであり、引用発明は、本願発明の特定事項a,b,c,a1〜a4,b1〜b3,b5,b7〜b11,cを備える。

したがって、本願発明と引用発明は、以下の点で一致する。
<一致点>
a 遊技の進行を制御する主制御手段と、
b 前記主制御手段からのコマンドに基づき演出を制御する演出制御手段と、を備える
c 遊技機であって、
a 前記主制御手段は、
a1 判定情報を取得し、
a2 前記判定情報に基づいて、特別遊技を実行するか否かの特別遊技判定を実行し、
a3 前記特別遊技判定の結果に基づいて、識別情報を変動表示させてから所定時間の経過後に前記識別情報を停止表示させることが可能であり、
a4 前記識別情報の変動表示において前記特別遊技判定の結果に応じた所定のコマンドを送信し、
b 前記演出制御手段は、
b1 前記特別遊技が実行される可能性を事前に示唆する事前演出を実行することが可能であり、
b2 前記識別情報の第1の変動表示において、前記所定のコマンドを受信した場合、演出図柄による変動演出を実行可能であり、
b3 前記変動演出中に前記事前演出を実行することが可能であり、
b5 前記識別情報の停止表示において、前記演出図柄による停止表示を実行可能であり、
b7 前記変動表示演出の後、前記演出図柄を特定の態様で動作させる停止前動作演出を実行可能であり、
b8 前記停止前動作演出の後、前記演出図柄による前記停止表示を実行可能であり、
b9 前記識別情報の変動表示中に所定の音を出力可能であり、
b10 前記停止前動作演出中に、所定の操作部に対する操作に応じて前記所定の音の音量を調整可能であり、
b11 所定条件を満たした場合に所定の報知音を出力可能であり、前記停止前動作演出中に、前記所定の報知音を出力する場合に、前記所定の音の音量を抑制することが可能である
c 遊技機。

そして、両者は、以下の点で相違する。

<相違点4> (特定事項b6)
変動演出に関して、本願発明は、変動演出に、演出図柄を所定の態様で動作させる開始動作演出と、前記開始動作演出の後、前記演出図柄を変動表示させる変動表示演出とを含むのに対して、引用発明は、開始動作演出に相当する演出を行わない点。

<相違点5> (特定事項b12)
第1の変動表示の後の識別情報の第2の変動表示において所定のコマンドを受信しなかった場合に関して、本願発明は、開始動作演出を実行しないことが可能であるが、事前演出を継続することが可能であるのに対して、引用発明は、「特別図柄に対応する演出図柄指定コマンド」及び「演出パターン指定コマンド」が受信できなかった場合の演出図柄35の動作が不明である点。

5 検討
上記の各相違点について検討する。

ア 相違点4について
上記相違点4は、上記第2の3(7)に示した相違点2と同じ点であって、上記第2の3(8)イにおいて検討したとおりであり、本願発明の相違点4に係る構成は、引用発明に上記第2の3(5)イ(ウ)に示した周知技術2を適用することによって、当業者が容易に想到し得たものである。

イ 相違点5について
引用文献2には、上記第2の3(3)イに示した引用文献2記載事項が記載されている。
ここにおいて、引用発明と引用文献2記載事項とは、予告演出(先読み演出)を備えた遊技機という点で技術分野が共通し、予告演出(先読み演出)を適宜実行することにより遊技の興趣性を向上させるという課題を内在する点でも共通するから、引用発明において、「特別図柄に対応する演出図柄指定コマンド」及び「演出パターン指定コマンド」が受信できなかった場合に、引用文献2記載事項における「特別図柄の変動表示の開始時に送信された」「演出図柄指定コマンド及び特図変動パターン指定コマンドを」「正常に受信できなかった場合に」「保留アイコンに対応する変動演出がコマンド異常によって実行されない場合であっても、保留アイコン変化予告(第2先読み演出)は実行される」構成を適用することによって、先読み演出を継続することが可能とし、本願発明の相違点5に係る構成のうち、「事前演出を継続することが可能である」ように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。
そして、演出図柄の変動表示を行うにあたって、「変動開始時動作を行ってからスクロール表示を開始する」こと自体は、上記第2の3(5)イにおいて検討したように、本願出願前周知の事項であり、「変動開始時動作」は「変動演出」に伴って行われるものであるから「特別図柄に対応する演出図柄指定コマンド」及び「演出パターン指定コマンド」の受信が契機となり行われるものであって、「特別図柄に対応する演出図柄指定コマンド」及び「演出パターン指定コマンド」が受信されない場合は「変動演出」の実行の契機がないことから、本願発明の相違点5に係る構成における「開始動作演出」に相当する「変動開始時動作」が行われないことは当業者にとって明らかである。
してみると、本願発明の相違点5に係る構成は、引用発明に引用文献2記載事項を適用することによって、当業者が容易に想到し得たものである。

ウ 本願発明の奏する効果について
本願発明の奏する効果は、引用発明、引用文献2記載事項、及び、上記周知技術2の奏する効果から、当業者が予測することができた程度のものである。

第4 むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、当業者が、引用発明、引用文献2記載事項、及び、上記周知技術2に基づいて容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。


 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2023-05-30 
結審通知日 2023-05-31 
審決日 2023-06-13 
出願番号 P2019-230442
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 澤田 真治
▲高▼橋 祐介
発明の名称 遊技機  
代理人 小沢 昌弘  
代理人 寺本 亮  
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