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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1400277 |
総通号数 | 20 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2023-08-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-10-19 |
確定日 | 2023-07-25 |
事件の表示 | 特願2021− 41376「情報提供システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 7月15日出願公開、特開2021−103540、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成27年2月9日に出願した特願2015−23200号の一部を令和元年10月9日に新たな特許出願とした特願2019−185977号の一部を令和3年3月15日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和4年 1月12日付け:拒絶理由通知書 令和4年 3月 7日 :意見書、手続補正書の提出 令和4年 7月 8日付け:拒絶査定 令和4年10月19日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和5年 4月10日付け:拒絶理由(当審拒絶理由)通知書 令和5年 6月 1日 :意見書、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和4年7月8日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1−6に係る発明は、以下の引用文献A−Bに記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> A.特開2010−123011号公報 B.特開2002−189722号公報 第3 当審拒絶理由の概要 当審が令和5年4月10日付けで通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。 本願請求項1−6に係る発明は、以下の引用文献1−4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2005−167793号公報(当審において新たに引用した文献) 2.特開2005−25663号公報(当審において新たに引用した文献、周知技術を示す文献) 3.国際公開第2015/011861号(当審において新たに引用した文献、周知技術を示す文献) 4.国際公開第2014/196192号(当審において新たに引用した文献、周知技術を示す文献) 第4 本願発明 本願請求項1−5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明5」という。)は、令和5年6月1日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1−5に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1−5は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 ネットワークに接続されている外部記憶装置と家電機器とを備える情報提供システムであって、 前記家電機器は、前記外部記憶装置に当該家電機器の機器情報を送信するための通信部と、前記機器情報の送信を停止する機器情報提供停止手段と、前記機器情報を削除する機器情報削除手段と、を有し、 前記機器情報提供停止手段は、前記機器情報の分類ごとに前記機器情報の送信を停止可能であるとともに、送信を停止した前記機器情報の提供をしないものであり、 前記機器情報削除手段は、前記外部記憶装置に記憶された前記機器情報を、ユーザ側から削除することを可能にするものである情報提供システム。 【請求項2】 ネットワークに接続されている外部記憶装置と家電機器とを備える情報提供システムであって、 前記家電機器は、前記外部記憶装置に当該家電機器の機器情報を送信するための通信部と、前記外部記憶装置に記憶された前記機器情報を、ユーザ側から確認することを可能にする機器情報確認手段を設けた情報提供システム。 【請求項3】 前記家電機器は、操作部を有しており、 前記機器情報提供停止手段による機能の停止を、前記家電機器に設けられた前記操作部にてユーザ側から設定可能にした請求項1に記載の情報提供システム。 【請求項4】 前記機器情報提供停止手段により停止された機能を再開可能にした請求項1、または、請求項3に記載の情報提供システム。 【請求項5】 前記外部記憶装置に記憶された前記機器情報の量、又は、前記外部記憶装置に記憶された前記機器情報を提供した時間の長さに応じて、ユーザに対し対価を支払う請求項1から4の何れか一項に記載の情報提供システム。」 第5 引用文献、引用発明 1 引用文献1、引用発明 (1)引用文献1 当審拒絶理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。 「【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、インターネットを介して情報を送受信可能な端末機器が外部に送信する情報を管理する送信情報管理システムに関し、より詳細には、ネットワーク接続機能を持った家電製品(以下、「情報家電」と称す。)等の端末機器が各種情報をインターネット上の外部サーバ等に送信する際に、利用者が公開してもよい情報と公開したくない情報を利用者自身が選別可能にして送信情報の管理を可能とした送信情報管理システムに関する。 【背景技術】 【0002】 上記のような外部への情報送信の管理に関し、情報家電等の中には機器単体で送信すべき情報の選別できる製品も存在する。また、端末機器とインターネット上の外部サーバ等の間の通信を、ファイアウォール機能(家庭用ブロードバンドルータ等に内蔵されている簡易なファイアウォール機能を含む)によって、IPアドレス、URLベースでの通信の可否を制御することもできる。 【0003】 また、通信許可を与えた外部サーバと情報家電との間の通信に関しては、通信情報(通信路)の暗号化により第三者による情報窃盗・改竄を防ぐ方法が普及している。例えば、ディジタル証明書等を用いた暗号化によりセキュリティを確保する装置が提案されている。」 「【0029】 本発明システム1は、コンピュータのソフトウェア処理によって、インターネット20を介して外部サーバ21との間で情報を送受信可能な情報家電等の端末機器10が外部に送信する情報を管理する送信情報管理システムであって、図1に示すように、家庭内に敷設されたLAN11に接続するとともに、ルータ12を介してインターネット20に接続している。LAN11には、本発明システム1の他、本発明システム1の管理対象である1または複数の端末機器10が接続しており、これら端末機器10は、本発明システム1及びルータ12を介してインターネット20と接続可能に構成されている。ルータ12は、ファイアウォール機能を有し、更に、DHCP機能により、LAN11上の端末機器10にIPアドレスを割り当てて、インターネット20上の外部サーバ21との間の個別の通信を可能にしている。LAN11は一般に普及しているTCP/IP(transmission control protocol / internet protocol)を通信プロトコルとするLANを想定している。LAN11の物理的な構成は、各端末機器10がLANケーブルで接続する構成、無線LANで接続する構成、その他の方式の何れでも構わない。 【0030】 本発明システム1は、例えば、家庭用サーバとして機能するコンピュータ2上に構築されており、本発明システム1の機能実現に必要なハードウェアは、一般的なコンピュータシステムのハードウェア構成を用いる。本発明システム1の機能的な構成は、図1に示すように、通信インタフェース3、送信情報解析手段4、情報保護設定手段5、送信制御手段6、及び、ユーザインタフェース7を備えて構成される。ここで、通信インタフェース3、送信情報解析手段4、情報保護設定手段5、送信制御手段6、及び、ユーザインタフェース7は、何れも機能的手段であり、本発明システム1を構成するコンピュータ2のハードウェア資源を利用して、各機能を実現する各コンピュータプログラムをコンピュータ2の中央演算処理装置が実行することによってソフトウェア的に実現されるものである。また、本発明システム1をソフトウェア的に実現する本発明に係る送信情報管理プログラムは、上記各プログラムを具備して構成される。 【0031】 通信インタフェース3は、端末機器10との間の情報の送受信を行う通信インタフェースであり、ルータ12及びインターネット20を介した外部サーバ21との間での情報の送受信を行う通信インタフェースである。TCP/IP通信を行うための基本的な通信ソフトウェアは、コンピュータの基本ソフトウェアとして付属しているものを利用する。 【0032】 また、通信インタフェース3は、端末機器10との間での情報の送受信において、MAC(メディア・アクセス・コントロール)アドレスを用いて個々の端末機器10の個体識別を行っている。ユーザインタフェース7で識別された端末機器10の区別は、送信情報解析手段4、情報保護設定手段5、及び、送信制御手段6で共通に使用される。 【0033】 送信情報解析手段4は、端末機器10が送信する情報Aを、通信インタフェース3を介して受信し、受信した情報Aを後述する所定の解析項目について解析し、その解析結果を、コンピュータ2の記憶装置(図示せず)の所定の解析結果記憶領域に保存するとともに、情報Aの送信元の端末機器10を識別可能にしてユーザインタフェース7を介して利用者に提供する。 【0034】 情報保護設定手段5は、送信情報解析手段4による解析結果の全部または一部を判定ルールとして、その判定ルールを充足する情報または充足しない情報の少なくとも何れか一方に対する利用者の送信可否の設定を、ユーザインタフェース7を介して受け付けて、その判定ルールと端末機器10と送信可否の設定を相互に関連付けて、コンピュータ2の記憶装置(図示せず)の所定の送信可否設定記憶領域に保存登録する。 【0035】 送信制御手段6は、端末機器10が送信する情報Aを、通信インタフェース3を介して受信し、受信した情報Aが、情報保護設定手段5によって登録された送信可否の設定された端末機器10の判定ルールを充足するか否かを判定し、充足する場合或いは充足しない場合の設定内容に基づき、受信した情報Aの外部への送信を制御する。ここで、情報Aの送信制御は、送信が許可される場合は、情報Aはそのまま情報Aとしてルータ12側へ送信される。これに対し、送信が拒否される場合は、後述する設定モードの区別によって、単純に情報Aの送信が禁止される場合と、情報Aの制御データ以外の実データ部分を空白データ或いは別のダミーデータに置換したダミー情報Adが送信される場合が存在する。 【0036】 ユーザインタフェース7は、送信情報解析手段4の解析した解析結果をコンピュータ2の表示画面上に、例えば、図2に示す一覧表形式で、デフォルト状態では端末機器10が送信した情報Aを受信した順に時系列に解析結果を表示する画面表示インタフェースを提供する。また、一覧表上において、表示項目別の並べ替えや、特定の表示項目について絞込み表示や検索等を行うこともできる。更に、ユーザインタフェース7は、図2に示す一覧表上において、利用者がマウス等の入力デバイスを用いて特定の受信情報についての解析結果を選択して、一覧表上に設けた「設定」ボタンをクリックすると、図3に示す設定画面が表示され、当該設定画面上から表示されている解析結果に合致する情報に対する外部への送信の許可または拒否の設定ができる画面表示インタフェースを提供する。」 「【0051】 以下に、別の実施形態につき説明する。 【0052】 〈1〉上記実施形態における解析処理において、解析項目として、送信情報解析手段4の解析処理内容は、上述の情報Aの送信先(URL、IPアドレス)、暗号化の有無、パケット長、パケット長の規則性、送信タイミング、送信タイミングの規則性を解析したが、必ずしも、これらの全てを解析する必要はない。また、逆に、上記解析項目以外の項目を解析対象としても構わない。例えば、情報Aが暗号化されていない場合は、実データ部分を解析して、利用者の住所、氏名、電話番号等のプライバシーに係る情報が含まれていないかをチェックして、これを解析結果に含めて利用者に提供するのも好ましい。 【0053】 〈2〉上記実施形態における解析処理において、送信情報解析手段4の解析処理内容は、専ら端末機器10が送信した情報Aの内容を対象としていたが、送信情報を受信した外部サーバ21からの返信データを解析して、その解析結果を、情報A自体の解析結果に追加して利用者に提供するのも好ましい。図1に示す本発明システム1の構成では、外部サーバ21からの返信データBは、ルータ12を介して一旦、通信インタフェース3から本発明システム1内に取り込まれる構成であるので、当該解析処理は物理的に可能である。 【0054】 例えば、端末機器10がインターネット接続可能なテレビやHDDビデオレコーダ等の情報家電である場合に、当該端末機器10が、インターネット経由で電子番組表を外部サーバ21から取得する際に、端末機器10は電子番組表を提供する外部サーバ21に定期的にリクエストを送信し、その結果として番組表のコンテンツを外部サーバ21から受信する。本発明システム1は、そのコンテンツデータのヘッダ情報、若しくは、本文(実データ)中に必ず存在する文字列を認識し、利用者に対して、ユーザインタフェース7を通じて、それが「電子番組表取得のためのデータ送信」であることを知らせることができる。これにより、利用者の送信可否の判断がより容易、確実になることが期待される。 【0055】 〈3〉上記実施形態では、端末機器10は、個別に自己の送信する情報に対して情報送信の可否を制御可能でない装置を想定していたが、端末機器10の全部または一部に、内部で情報送信の可否を制御可能な端末機器(以下、「第2端末機器」と称す。)が含まれる利用形態であっても構わない。かかる利用形態において、第2端末機器を通常の端末機器と同様に取り扱うこともできるが、第2端末機器の上記情報送信の可否を制御可能とする機能を利用する場合は、利用者の送信可否の設定情報を、設定対象の第2端末機器に送信するように構成するのが好ましい。従って、情報保護設定手段5は、送信可否の設定における設定対象が第2端末機器である場合に、利用者の送信可否の設定情報を、ユーザインタフェース7を介して受け付けた場合に、当該設定情報を、設定対象の第2端末機器に送信するように構成される。この場合、当該設定情報は、設定対象が通常の端末機器である場合と同様に、コンピュータ2の記憶装置(図示せず)の所定の送信可否設定記憶領域に保存登録するのが好ましい。このように、送信可否設定記憶領域に保存登録することで、第2端末機器が、停電等によって当該設定情報を消失した場合でも、情報保護設定手段5から当該設定情報の供給を受けて容易に復旧することができる。」 「【図1】 【図2】 【図3】 」 (2)引用発明 上記(1)から、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「ネットワーク接続機能を持った家電製品等の端末機器が各種情報をインターネット上の外部サーバ等に送信する際に、利用者が公開してもよい情報と公開したくない情報を利用者自身が選別可能にして送信情報の管理を可能とした送信情報管理システムであって、 通信インタフェース3、送信情報解析手段4,情報保護設定手段5、送信制御手段6、及び、ユーザインタフェース7を備えて構成され、 通信インタフェース3は、端末機器10との間の情報の送受信を行う通信インタフェースであり、インターネット20を介した外部サーバ21との間での情報の送受信を行う通信インタフェースであり、 送信情報解析手段4は、端末機器10が送信する情報Aを、所定の解析項目について解析し、 情報保護設定手段5は、送信情報解析手段4による解析結果の全部または一部を判定ルールとして、その判定ルールを充足する情報または充足しない情報の少なくとも何れか一方に対する利用者の送信可否の設定を、ユーザインタフェース7を介して受け付けて、その判定ルールと端末機器10と送信可否の設定を相互に関連付けて、登録し、 送信制御手段6は、端末機器10が送信する情報Aを、通信インタフェース3を介して受信し、受信した情報Aが、情報保護設定手段5によって登録された送信可否の設定された端末機器10の判定ルールを充足するか否かを判定し、充足する場合或いは充足しない場合の設定内容に基づき、受信した情報Aの外部への送信を制御し、 ユーザインタフェース7は、外部への送信の許可または拒否の設定ができる画面表示インタフェースを提供し、 プライバシーに係る情報が含まれていないかをチェックして、これを解析結果に含めて利用者に提供してもよく、 端末機器10内部で情報送信の可否を制御可能であってもよい、 送信情報管理システム。」 (3)当審拒絶理由に引用された引用文献2には、図面とともに、次の事項が記載されている。 「【0033】 本発明の個人情報提供仲介システムでは、ユーザが仲介業者と契約し、ユーザの使用するユーザ端末に、個人情報提供仲介業者から提供される個人情報収集用の情報提供プログラムが導入される。 さらに、ユーザは、ユーザ端末で個人情報提供仲介業者の仲介業者サーバから、個人情報を利用する複数の個人情報利用業者に関する利用業者情報を受信する。利用業者情報は、個人情報利用業者が収集する個人情報の項目と、提供に対する報酬に関する情報を含んでいる。 個人情報利用業者は、個人情報提供仲介業者と契約し、料金を支払って仲介業者サーバに登録されている。 ユーザが利用業者情報から利用業者を選択することで、指定された項目の個人情報が仲介業者サーバに送信される。必須項目以外で提供する個人情報の項目は、ユーザが選択することができる。 送信された個人情報は仲介業者サーバから個人情報利用業者の個人情報収集端末に送信される。ユーザは、個人情報を提供することで、個人情報利用業者から報酬を得る。 このように、ユーザは提供する個人情報の項目を把握して個人情報利用業者を選択することができる。さらに、信用できる個人情報利用業者を選択することができる。また、ユーザは個人情報を提供することで、報酬を受け取ることができる。 【0034】 さらに、情報提供プログラムが、ユーザ端末とローカルネットワーク等で接続された通信機器や家電およびユーザ端末自体の使用履歴に関する情報を自動的に収集する。この情報を提供することでユーザは、より付加価値の高い個人情報を収集、提供することができる。具体的には、インターネットへのアクセス状況やテレビの視聴番組の情報を個人情報として収集し、提供することができる。さらに、情報提供プログラムが、ユーザの各種操作によりユーザの嗜好情報を作成して個人情報に含めることもできる。」 「【0044】 通信機器18は、パーソナルコンピュータ、電話器、ファクシミリに例示される通信機器に例示される。通信機器18は、演算部19.通信部20、記憶部21を有し、ユーザ端末10と家庭内ネットワーク26で通信可能に接続されている。家電22は、いわゆるネット家電で、演算部23.通信部24、記憶部25を有し、ユーザ端末10と家庭内ネットワーク26で通信可能に接続されている。通信機器18および家電22の使用履歴、各種ログ、エラーメッセージ、接続情報を、ユーザ端末10が家庭内ネットワーク26を介して取得することができる。」 「【0060】 静的個人情報欄62は、氏名75、住所76、メールアドレス77の表示を含む。 氏名75、住所76、メールアドレス77に例示されている静的個人情報欄62は、ユーザ1の基本情報である。これらの静的個人情報欄62(=基本情報)は、ユーザ1によって一度入力されると記憶部12に記憶されている。静的個人情報欄62は、他に、住所、電話番号、性別、年齢、星座、血液型、家族構成、職業、年収、住宅形態、使用カード名に例示される個人の基本情報を含む場合がある。 ユーザ1が静的個人情報欄62の各欄を選択することにより、選択された個人情報の項目が仲介業者サーバ30に送信される。 【0061】 動的個人情報欄80は、Webアクセス78、検索キーワード79、TV利用履歴80を含む。動的個人情報欄80は、収集する時期により予想できない変化をする個人情報に例示される。 Webアクセス78は、ユーザ1がユーザ端末10でアクセスしたWWWサイトの情報に例示される。Webアクセス78は、情報提供プログラム16により抽出され、個人情報17に記憶される。 検索キーワード79は、ユーザ1がユーザ端末10で、情報検索サイトなどで行った検索に使用したキーワードに例示される。検索キーワード79は、情報提供プログラム16により抽出され、個人情報17に記憶される。 TV利用履歴80は、ユーザ1が視聴したテレビ番組の情報を含む。TV利用履歴80は、家庭内ネットワーク26でユーザ端末10と接続されたテレビの使用履歴を情報提供プログラム16によって演算部11が収集し、個人情報17に記憶する。 ユーザ1が動的個人情報欄80の各欄を選択することにより、選択された個人情報が仲介業者サーバ30に送信される。 動的個人情報欄80は、その他、ネットワーク上での購買の情報や懸賞への応募の通信機器の設定/エラー情報を含む場合がある。」 「【0067】 上記のように、本発明の個人情報仲介システムでは、本人が了承した個人情報が取引される。さらに、本人が提供する個人情報の項目を選択することができ、かつ、本人が利用業者を選択することができ、選択した利用業者に選択した個人情報を提供することができる。さらに、本人が個人情報を提供することで、代償として何らかの報酬を得ることができる。 さらに、本人が使用する機器の使用履歴、Webページへのアクセス履歴、視聴したテレビ番組の履歴、その他、ユーザ本人の嗜好情報を個人情報として提供することができる。」 (4)当審拒絶理由に引用された引用文献3には、図面とともに、次の事項が記載されている。 「[0014] この際、ユーザによっては、例えば、サービスプロバイダAには家電機器のログ情報を提供しても良いが、サービスプロバイダBには提供したくないなど、サービスプロバイダ毎に提供可否を設定したいと考えることが想定される。また、例えば、テレビのログ情報はサービスプロバイダに提供しても良いが、冷蔵庫のログ情報は提供したくないなど、家電機器毎にログ情報の提供可否を設定したいと考えるユーザも想定される。あるいは、例えば、テレビのON/OFFに関するログ情報はサービスプロバイダへ提供しても良いが、どの番組を視聴したかと言う視聴履歴に関するログ情報は提供したくないなど、ログ情報の種別毎に提供可否を設定したいと考えるユーザも想定される。」 [0015] 従って、家電機器、提供するログ情報の種別、および、提供先であるサービスプロバイダのそれぞれについて、個別に提供可否を設定することができれば、ユーザの意向に沿ったログ情報の提供が可能になると考えられる。」 (5)当審拒絶理由に引用された引用文献4には、図面とともに、次の事項が記載されている。 「[0208] (7)上記実施の形態において、アクセス制御リストは、家電機器毎に、家電履歴情報を提供するか否かを設定しているが、本発明はこれに限定されず、例えば、家電機器から得られる家電履歴情報の種類毎に、家電履歴情報を提供するか否かを設定してもよい。例えば、家電機器が体組成計である場合、複数の家電履歴情報のうち、体重は提供できるが、体脂肪率は提供できないと設定してもよい。」 (6)原査定に引用された引用文献Aには、図面とともに、次の事項が記載されている。 「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかし、上記従来の技術では、以下のような問題が生じていた。 即ち、上記従来技術では、前記生活履歴に関する情報を前記広告配信サーバに送信しないので、上記端末装置がユーザの個人情報を外部に出すことはない。 しかし、前記広告配信条件が前記生活履歴に関する情報に一致するとき、この前記広告配信条件に対応する前記広告コンテンツデータを前記端末装置が前記広告配信サーバに要求して取得した時点で、この前記広告配信条件からユーザの前記生活履歴に関する情報が特定されるという問題がある。例えば、前記広告配信条件が「体重65kg」という条件を含む場合、これに対応する前記広告コンテンツデータを要求して取得すると、前記広告配信サーバではユーザの体重が65kgだと特定できる。この結果、前記端末装置が前記広告配信サーバに前記生活履歴に関する情報自体を渡さなくても、前記広告配信サーバでユーザの個人情報を間接的に推定できる。 【0005】 かかる問題に対しては、前記端末装置が前記広告配信条件のみならず、前記広告コンテンツデータ自体を予めダウンロードすることで解決できる。前記端末装置は、前記広告配信条件と前記生活履歴に関する情報とを照合し、前記広告配信条件が前記生活履歴に関する情報に一致するとき、予めダウンロードした広告コンテンツデータの中から前記広告配信条件に対応する広告コンテンツデータを選択し、表示する。このとき、前記広告コンテンツデータ自体は予め前記端末装置にダウンロードされているので、前記広告配信条件と前記生活履歴に関する情報とを照合した後、前記端末装置は前記広告配信条件に対応する広告コンテンツデータを改めて前記広告配信サーバに要求する必要がなくなる。この結果、前記広告配信サーバでユーザの個人情報が推定されることはない。 【0006】 しかし、かかる解決手段では、前記端末装置は前記生活履歴に関する情報に対応しない前記広告コンテンツデータまでダウンロードすることになる。したがって、前記端末装置は前記生活履歴に関する情報に対応しない前記広告コンテンツデータについてまで照合するので、前記生活履歴に関する情報に合致する広告配信条件に対応する広告コンテンツデータを表示するまでに余計な時間が発生する。これにより、前記広告配信条件に対応する広告コンテンツデータの表示が遅れ、前記広告コンテンツデータは適切なタイミングで表示されなくなるので、ユーザへの広告効果が低下するという問題があった。 【0007】 そこで、本発明では、上記課題に鑑みてなされたものであって、プライバシーを保護し、また、ユーザの生活履歴に対応した適切な広告を配信する広告配信システム、広告配信方法、広告配信サーバ及び端末装置を提供することを目的とする。」 「【発明の効果】 【0009】 本態様により、ユーザが非公開としたい情報を外部に出さないことでプライバシーの保護を図ることができる。また、広告配信サーバで前記公開生活履歴に合致する広告を選別し、端末装置で前記非公開生活履歴情報に合致する広告を表示することでユーザの生活履歴に対応した適切な広告を表示できる。」 「【0043】 本態様によると、広告配信サーバは前記選択した複数の広告データの中から、前記配信要求を送信した端末装置に配信する広告データの配信順序を所定の配信順序に決定し配信することにより、例えば、前記端末装置のユーザの非公開生活履歴情報に対応する所定の広告配信条件と関連の強い公開生活履歴情報を推定し、前記端末装置のユーザの公開生活履歴情報が前記所定の広告配信条件と関連の強い程、前記所定の広告配信条件を含む広告データをより優先的に配信すれば、前記端末装置側では前記端末装置が格納する非公開生活履歴情報を用いて前記ユーザの生活履歴と関係が高い順序で前記ユーザの生活履歴を反映した広告データを抽出できる。そのため、広告配信サーバが保有する全広告データをダウンロードする場合に比較して、ユーザの生活履歴情報に合致する広告配信条件を含む広告を抽出するまでの時間を大幅に短縮できる。その結果、適切なタイミングで、ユーザの生活履歴情報に合致する広告配信条件を含む広告を表示できる。 (実施の態様1) 以下、本発明の一実施の態様である広告配信システム、広告配信方法、広告配信サーバ及び端末装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施の態様である広告配信方法、広告配信サーバ及び端末装置が用いられる広告配信システムを示したシステム構成図である。図1において、本実施の態様の広告配信システムは、ユーザA宅100からユーザN宅を含み、また、広告配信サーバ120を含んでいる。ユーザA宅100からユーザN宅と広告配信サーバ120とはインターネット103を介して接続されている。 【0044】 ユーザA宅100は、家電機器110をn個有し、また、表示装置111及び端末装置であるユーザ端末112を有している。ここで、家電機器110は、例えば、冷蔵庫、電子レンジ、または、洗濯機などを示している。家電機器110は、生活履歴に関する情報を収集する機能を有している。例えば、何時に洗濯機が使用された時間を示す時間情報や洗濯機を使用する際に用いられるすすぎ時間や脱水時間などのモード情報を生活履歴に関する情報として収集する。 【0045】 表示装置111は、例えば、テレビ受像機を示している。ユーザ端末112は、表示装置111の表示画面に表示制御を行う。例えば、パーソナルコンピュータやビデオ記録再生装置などである。 ユーザ端末112は、家電機器110の各々から生活履歴に関する情報を収集する機能、及び、前記収集した生活履歴に関する情報を格納するメモリ113を備えている。メモリ113に格納された生活履歴に関する情報は、ユーザが公開してよいと指定した公開生活履歴情報とユーザが非公開としたいと指定した非公開生活履歴情報とにユーザの設定により区別される。そして、メモリ113には、各家電機器を使用するユーザについての情報も、生活履歴に関する情報として格納する。例えば、ユーザA宅のユーザは年齢が32歳で体重が65kgである。この場合、ユーザA宅のユーザは年齢を公開生活履歴情報として指定し、体重を非公開生活履歴情報として指定している。また、ユーザN宅のユーザは年齢が58歳で体重が80kgである。この場合、ユーザN宅のユーザは年齢及び体重を公開生活履歴情報として指定している。 【0046】 広告配信サーバ120は、複数の広告データを格納する広告データ格納メモリ121、及び、前記複数の広告データの各々について各広告データを配信するための広告配信情報を格納する配信条件格納メモリ122を有する。配信条件格納メモリ122は、例えば、広告IDがA_001である広告データについて、広告配信条件として、年齢が30歳代であるユーザを対象とすることを指定しており、また、広告IDがA_002である広告データについて、広告配信条件として、体重が65kg以上のユーザを対象とすることを指定している。広告配信サーバ120は、ユーザ宅の各々について公開生活履歴情報を格納するメモリ123を有する。公開生活履歴情報は、ユーザ宅の各々において公開生活履歴情報として指定されたものを、ユーザ宅の各々から広告配信サーバ120に送信されたものである。メモリ123は、例えば、ユーザIDがU_001であるユーザについて、そのユーザの年齢が32歳であるという公開生活履歴情報を格納し、また、ユーザIDがU_002であるユーザについて、そのユーザの年齢が58歳であり体重が80kgであるという公開生活履歴情報を格納している。 【0047】 図2は、本発明の一実施の態様である広告配信サーバ120の機能ブロック図を示す。図2において、本実施の態様の広告配信サーバ120は、通信部201を介してインターネット103に接続される。生活履歴収集部202は、ユーザの生活履歴に関する情報をユーザ端末から収集し、公開生活履歴格納メモリ203に格納する。生活履歴収集部202は、ユーザが公開してもよいと指定した生活履歴に関する情報を前記ユーザ端末112から受信する。公開生活履歴格納メモリ203は、例えば、ユーザIDがU_00Bであるユーザについて、そのユーザの年齢が32歳、体重が58kg、洗濯機の使用開始時刻が10時、及びエアコンの設定温度が28度というユーザの生活履歴に関する情報を格納している。 【0048】 また、広告配信サーバ120は、複数の広告データを格納する広告データ格納メモリ204、及び前記複数の広告データの各々について各広告データを配信するための広告配信条件を格納する配信条件格納メモリ205を有する。配信条件格納メモリ205において、例えば、広告IDがA_00Aである広告データ(以下、「広告00Aとする」)は、「年齢が30歳代でかつ体重が75kg以上」であるユーザを対象とする広告配信条件が指定されている。 【0049】 配信要求受信部206は、前記ユーザ端末から送信される広告配信要求を受け付ける。 広告選別部207は、前記ユーザ端末へ配信する広告データを広告データ格納メモリ204から選別する。配信広告の選別において、広告選別部207は、公開生活履歴格納メモリ203に格納され広告配信を要求しているユーザの公開生活履歴情報と、配信条件格納メモリ205に格納されている各広告データの広告配信条件とを照合する。照合した後、前記公開生活履歴情報と前記広告配信条件とが部分一致したとき、広告選別部207は部分一致した広告配信条件に対応する広告データを広告データ格納メモリ204から選別する。これにより、前記ユーザ端末が広告データをダウンロードする際、全広告をダウンロードする必要がなくなるので、広告データ配信時のデータ量を削減できる。 【0050】 配信順序決定部208は、広告選別部207で選別された広告データ各々について、その配信順序を決定する。配信順序の決定において、配信順序決定部208は、広告配信を要求しているユーザ(以下、「配信要求元」とする)が非公開と指定している生活履歴情報に対応する所定の広告配信条件を含む広告データについて、前記所定の広告配信条件と関連が強い公開生活履歴情報を推定する。前記所定の広告配信条件と関連の強い公開生活履歴情報の推定は、配信要求元と同一あるいは類似の公開生活履歴情報を保有する他のユーザの公開生活履歴情報に基づいて行われる。配信要求元の公開生活履歴情報が前記所定の広告配信条件と関連が強いと推定される程、前記所定の広告配信条件を含む広告データが優先的に配信されるように広告データの配信順序が決定される。例えば、ユーザIDがU_00Aのユーザ(以下、「ユーザ00A」とする)に対して、広告00Aを配信する場合を考える。公開生活履歴格納メモリ203を参照すると、ユーザ00Aは「年齢」、「洗濯開始時刻」、及び「エアコンの設定温度」に関する生活履歴情報を公開しており、「体重」に関する生活履歴情報を非公開としている。一方、ユーザIDがU_00Bのユーザ(以下、「ユーザ00B」とする)、及び、ユーザIDがU_00Cのユーザ(以下、「ユーザ00C」とする)は、「年齢」、「体重」、「洗濯開始時刻」、及び「エアコンの設定温度」に関する生活履歴情報を公開している。ここで、ユーザ00Bの公開生活履歴情報である「年齢」は、ユーザ00Aの公開生活履歴情報である「年齢」と類似しており、また、ユーザ00Cの公開生活履歴情報である「洗濯開始時刻」、及び「エアコンの設定温度」は、ユーザ00Aの公開生活履歴情報である「洗濯開始時刻」、及び「エアコンの設定温度」と類似している。したがって、ユーザ00Aと類似の公開生活履歴情報を保有するユーザ00B及びユーザ00Cの公開生活履歴情報「年齢」、「洗濯開始時刻」、又は「エアコンの設定温度」を基に、ユーザ00Aの非公開生活履歴情報に対応する広告00Aの広告配信条件「体重が75kg以上」と関連の強い公開生活履歴情報が推定される。ユーザ00Aの公開生活履歴情報と広告00Aの広告配信条件「体重が75kg以上」との関連が強いと推定される程、広告00Aは優先的に配信される。 【0051】 この構成により、ユーザ端末112側ではユーザ端末112が格納する非公開生活履歴情報を用いて前記ユーザの生活履歴と関係が高い順序で前記ユーザの生活履歴を反映した広告データを抽出できる。そのため、広告配信サーバ120が保有する全広告データをダウンロードする場合に比較して、ユーザの生活履歴情報に合致する広告配信条件を含む広告を抽出するまでの時間を大幅に短縮できる。その結果、適切なタイミングで、ユーザの生活履歴情報に合致する広告配信条件を含む広告を表示できる。 【0052】 広告配信部209は、配信順序決定部208で決定した配信順序に従い、広告データ及び広告表示条件を配信要求元のユーザ端末へ順次配信する。ここで広告表示条件とは、配信条件格納メモリ205に格納されている広告配信条件のうち、広告選別部207において前記広告配信条件と部分一致した公開生活履歴情報に相当する条件を除いたものである。例えば、ユーザ00Aに対して、広告データ00Aを配信する場合を考える。このとき、広告00Aに対応する広告配信条件「年齢が30歳代でかつ体重が75kg以上」と、ユーザ00Aであるユーザの公開生活履歴情報「年齢が32歳、洗濯開始時刻が22時、エアコンの設定温度が20度」とを比較すると、「年齢」で部分一致する。広告A_00Aに対応する広告配信条件「年齢が30歳代でかつ体重が75kg以上」のうち、「年齢」に相当する条件を除くと「体重が75kg以上」という条件が残る。したがって、「体重が75kg以上」という条件が、広告00Aに対応する広告表示条件となる。このように、前記広告表示条件において、前記ユーザ端末側で再度照合する必要がない公開生活履歴情報を除くことで配信データ量を削減でき、ユーザ端末のリソースを有効に利用することが可能となる。 【0053】 図3は、図2の公開生活履歴格納メモリ203のメモリ構造を詳細に表した図である。図3において、公開生活履歴格納メモリ203は、各ユーザにつき、年齢、体重、体脂肪率、最高血圧、帰宅時刻、エアコンの設定温度、レンジの使用頻度、テレビの視聴時間、及び健康機器の使用頻度の各項目を生活履歴情報として格納する。ここでは、ユーザIDがU_001のユーザからU_007のユーザまでの7人の生活履歴情報を格納している。例えば、図3において、ユーザIDがU_001であるユーザ(以下、「ユーザ001」とする)について、項目「年齢」に32歳、項目「最高血圧」に145mmHg、項目「帰宅時刻」に23時、項目「レンジの使用頻度」に週1回、又項目「テレビの視聴時間」に6時間、が公開生活履歴情報として格納されている。一方、ユーザ001の非公開生活履歴情報に相当する項目「体重」、項目「体脂肪率」、項目「エアコンの設定温度」、及び項目「健康機器の使用頻度」には何も格納されない。そして、図3において、ユーザ001以外のユーザは、公開生活履歴格納メモリ203に格納可能な生活履歴情報の全ての項目を公開していることがわかる。 【0054】 図4は、配信条件格納メモリ205のメモリ構造を詳細に表した図である。図4において、配信条件格納メモリ205は、広告IDがA_001の広告データから広告IDがA_005の広告データまでの5件の広告データについて、各広告データを配信するための広告配信条件を格納する。 前記広告配信条件は、複数の項目を同時に指定可能である。例えば、図4において、広告IDがA_001の広告データ(以下、「広告001」とする)の広告配信条件には項目「年齢」及び項目「体重」の2つの項目が同時に指定され、「年齢が30歳代でかつ体重が70kg以上」のユーザを配信対象とする広告配信条件が指定されている。同様に、広告IDがA_002の広告データ(以下、「広告002」とする)の広告配信条件には項目「年齢」及び項目「体重」の2つの項目が同時に指定され、「年齢が30歳代でかつ体重が55kg未満」のユーザを配信対象とする広告配信条件が指定されている。また、広告IDがA_003の広告データ(以下、「広告003」とする)」の広告配信条件には項目「洗濯開始時刻」及び項目「体重」の2つの項目が同時に指定され、「洗濯開始時刻が22時以降でかつ体重が70kg以上」のユーザを配信対象とする広告配信条件が指定されている。そして、広告IDがA_004の広告データ(以下、「広告004」とする)」の広告配信条件には「体重」及び「帰宅時刻」の2つの項目が同時に指定され、「洗濯開始体重が70kg以上でかつ帰宅時刻が22時以降」のユーザを配信対象とする広告配信条件が指定されている。一方、広告IDがA_005の広告データまで(以下、「広告005」とする)の広告配信条件には、項目「年齢」、項目「体重」、及び項目「帰宅時刻」の3つの項目が同時に指定され、「年齢が30歳代でかつ体重が70kg以上でかつ帰宅時刻が23時以降」のユーザを対象とする広告配信条件が指定されている。 【0055】 図5は、本発明の一実施の態様である端末装置の機能ブロック図を示す。図5において、本実施の態様の端末装置であるユーザ端末112は、通信部301を介してインターネット103に接続される。通信部301は、一般的にはWAN(Wide Area Network)で構成される。また、ユーザ端末112は、通信部302を介してユーザ宅内に設置された各種家電機器にアクセスする。通信部302は、一般的にはLAN(Local Area Network)で構成される。ここで、前記家電機器は、例えば、冷蔵庫、洗濯機、又はエアコンなどを示している。前記家電機器は、生活履歴に関する情報を収集する機能を有している。例えば、前記家電機器が洗濯機の場合、何時に洗濯機が使用されたかを示す時間情報、又は洗濯機を使用する際に用いられるすすぎ時間及び脱水時間などのモード情報を生活履歴に関する情報として収集する。 【0056】 生活履歴受信部303は、通信部302を介してユーザ宅内の前記各種家電機器からユーザの生活履歴に関する情報を収集する。各種家電機器から収集された生活履歴に関する情報は、生活履歴公開可否設定部304においてユーザが公開してよいと指定した情報「公開生活履歴情報」とユーザが非公開にしたいと指定した情報「非公開生活履歴情報」とに区別して設定され、生活履歴格納メモリ305に格納される。さらに、生活履歴格納メモリ305には、各種家電機器から収集した生活履歴に関する情報とは別に、「年齢」、及び「体重」など各家電機器を使用するユーザについての情報も、生活履歴に関する情報として格納する。 【0057】 公開生活履歴送信部306は、生活履歴格納メモリ305に格納されているユーザの生活履歴に関する情報のうち、公開生活履歴情報を広告配信サーバに送信する。 広告表示要求受付部307は、ユーザ端末120のユーザから広告表示要求を受け付ける。広告表示要求部307が広告表示要求を受け付けると、広告配信要求送信部308は、前記広告配信サーバに広告配信を要求する。 【0058】 広告受信部309は、前記広告配信の要求に応じて前記広告配信サーバから、広告データ及び前記広告データに対応する広告表示条件を受信する。 表示広告選別部310は、広告受信部309において受信される広告データから、広告表示部311で表示する広告データを選別し、表示候補広告格納メモリ312に格納する。広告データの選別において、表示広告選別部310は、広告受信部309において受信された各広告データに対応する広告表示条件と、生活履歴格納メモリ305に格納された非公開生活履歴情報とを比較する。比較した結果、前記ユーザの非公開生活履歴情報と合致する前記広告表示条件に対応する広告データを、広告表示部311で表示するための待機広告として表示候補広告格納メモリ312に格納する。 【0059】 表示広告切替制御部313は、表示広告選別部310においてユーザの非公開生活履歴情報と合致する広告表示条件に対応する広告データが出現するまで、表示候補広告格納メモリ312に格納されている過去の表示待機広告データのうち、最新の非公開生活履歴情報に合致する表示待機広告データを優先的に表示する。この構成によって、現在表示している広告データの表示が終了した後、次に表示する広告データが存在しない場合であっても、前回合致した広告データを継続して表示するので、広告表示部311において広告の未表示状態を防止できる。」 【図1】「 」 【図2】「 」 【図3】「 」 【図4】「 」 【図5】「 」 (7)原査定に引用された引用文献Bには、図面とともに、次の事項が記載されている。 「【0031】図15に、本実施の形態における加入者、利用者および移動体通信システムを提供する通信事業者間の、情報および金銭の流れの概要(ビジネスモデル)について示す。図15において、情報提供を行う加入者は、加入者の操作などにより測定した情報を通信事業者に送信する(941)。通信事業者は加入者から収集した情報量を記録しておき、通信料金の清算時などに加入者の通信に課す通信料から情報量に応じた額を差し引くなどの方法で対価を支払う(942)。情報利用者は必要とする時刻および位置に連携した利用情報を通信事業者より取得する(943)。通信事業者は情報利用者に提供した情報量を記録しておき、情報利用料を情報利用者に請求する(944)。通信事業者は情報への対価と情報利用料を適宜定めることにより利潤を得る(945)。」 【図15】「 」 第6 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア 引用発明の「インターネット上の外部サーバ等」が、情報を記憶する何らかの手段を備えることは自明であるから、引用発明の「インターネット上の外部サーバ等」は、本願発明1の「ネットワークに接続されている外部記憶装置」に相当する。 イ 引用発明の「端末機器」は、「ネットワーク接続機能を持った家電製品等」であるから、本願発明1の「家電機器」に相当する。 ウ 引用発明において、「端末機器」、「送信情報管理システム」、「外部サーバ等」は、これら全体として、端末機器が各種情報をインターネット上の外部サーバ等に送信するシステムを構成しているといえるから、上記(ア)、(イ)を踏まえると、引用発明と本願発明1とは「情報提供システム」である点で共通するといえる。 エ 引用発明の「端末機器」は、「各種情報をインターネット上の外部サーバ等に送信」可能に構成されているから、本願発明1の「前記外部記憶装置に当該家電機器の機器情報を送信するための通信部」に相当する構成を備えるといえる。 オ 引用発明の「送信制御手段6は、端末機器10が送信する情報Aを、通信インタフェース3を介して受信し、受信した情報Aが、情報保護設定手段5によって登録された送信可否の設定された端末機器10の判定ルールを充足するか否かを判定し、充足する場合或いは充足しない場合の設定内容に基づき、受信した情報Aの外部への送信を制御」しているから、引用発明の「送信制御手段6」は、本願発明1の「機器情報提供停止手段」と、「前記機器情報の送信を停止する」点で共通する。 また、引用発明は、「端末機器10内部で情報送信の可否を制御可能であってもよい」から、「送信制御手段6」は、「端末機器10」がこれを有し得るといえる。 したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 [一致点] 「ネットワークに接続されている外部記憶装置と家電機器とを備える情報提供システムであって、 前記家電機器は、前記外部記憶装置に当該家電機器の機器情報を送信するための通信部と、前記機器情報の送信を停止する機器情報提供停止手段と、を有する、 情報提供システム。」 [相違点1] 家電機器において、本願発明1では、「前記機器情報を削除する機器情報削除手段」を有するのに対し、引用発明では、このような構成について特定されていない点。 [相違点2] 本願発明1では、「前記機器情報提供停止手段は、前記機器情報提供停止手段は、前記機器情報の分類ごとに前記機器情報の送信を停止可能」であるのに対し、引用発明では、「機器情報の分類ごとに」「機器情報の送信を停止する」か否かについて明らかでない点。 [相違点3] 本願発明1では、「送信を停止した前記機器情報の提供をしない」のに対し、引用発明では、このような構成について特定されていない点。 [相違点4] 本願発明1では、「前記機器情報削除手段は、前記外部記憶装置に記憶された前記機器情報を、ユーザ側から削除することを可能にするものである」のに対し、引用発明では、このような構成について特定されていない点。 (2)相違点についての判断 上記相違点1、4は、「機器情報削除手段」に関するものである点で互いに関連しているので、まとめて検討する。 引用文献2−4には、上記相違点1、4に係る本願発明1の構成について記載も示唆もなく、また、このような構成が本願の原出願日前において周知技術であったともいえない。 さらに、個人情報保護分野において、「個人情報保護の観点から、ユーザ側から個人情報を削除可能とすること」は、本願の原出願日前において周知の課題であったと認められる。しかしながら、上記周知の課題を考慮しても、引用発明及び引用文献2−4に記載された技術的事項から、「家電機器は、前記機器情報を削除する機器情報削除手段を有し、前記機器情報削除手段は、前記外部記憶装置に記憶された前記機器情報を、ユーザ側から削除することを可能にするものである」との構成には至らない。 したがって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2−4に記載された技術的事項から、上記相違点1、4に係る本願発明1の構成を容易に想到することはできない。 よって、上記相違点2−3について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2−4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 2 本願発明2について (1)対比 本願発明2と引用発明との間には、次の相違点があるといえる。 [相違点5] 家電機器において、本願発明2では、「前記外部記憶装置に記憶された前記機器情報を、ユーザ側から確認することを可能にする機器情報確認手段」を設けるのに対し、引用発明では、このような構成について特定されていない点。 (2)相違点5についての判断 引用文献2−4には、上記相違点5に係る本願発明2の構成について記載も示唆もなく、また、このような構成が本願の原出願日前において周知技術であったともいえない。 さらに、個人情報保護分野において、「個人情報保護の観点から、ユーザ側から個人情報を確認可能とすること」は、本願の原出願日前において周知の課題であったと認められる。しかしながら、上記周知の課題を考慮しても、引用発明及び引用文献2−4に記載された技術的事項から、「家電機器は、前記外部記憶装置に記憶された前記機器情報を、ユーザ側から確認することを可能にする機器情報確認手段を設けられる」との構成には至らない。 したがって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2−4に記載された技術的事項から、上記相違点5に係る本願発明2の構成を容易に想到することはできない。 よって、本願発明2は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2−4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 3 本願発明3−5について 本願発明3−5は、本願発明1を減縮した発明である。したがって、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2−4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第7 原査定についての判断 令和5年6月1日にされた手続補正により、補正後の請求項1、3−5は、上記相違点1、4に係る本願発明1の構成を有するものとなった。当該構成は、原査定における引用文献A−Bには記載されておらず、本願の原出願日前における周知技術でもないので、本願発明1、3−5は、当業者であっても、引用文献A−Bに記載された発明に基づいて容易に発明できたものではない。 また、同手続補正により、補正後の請求項2は、上記相違点5に係る本願発明2の構成を有するものとなった。当該構成は、原査定における引用文献A−Bには記載されておらず、本願の原出願日前における周知技術でもないので、本願発明2は、当業者であっても、引用文献A−Bに記載された発明に基づいて容易に発明できたものではない。 したがって、原査定を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2023-07-10 |
出願番号 | P2021-041376 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
|
最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
山澤 宏 |
特許庁審判官 |
中野 裕二 富澤 哲生 |
発明の名称 | 情報提供システム |
代理人 | 弁理士法人サトー |