ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 C01B 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 C01B 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 C01B |
---|---|
管理番号 | 1400411 |
総通号数 | 20 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2023-08-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2021-10-26 |
確定日 | 2023-06-02 |
異議申立件数 | 2 |
訂正明細書 | true |
事件の表示 | 特許第6867540号発明「非晶質シリカ粉末及びそれを含有する樹脂組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6867540号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜6〕について訂正することを認める。 特許第6867540号の請求項1〜3、5、6に係る特許を維持する。 特許第6867540号の請求項4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6867540号の請求項1〜6に係る特許(以下、「本件特許」ということがある。)についての出願は、令和2年8月25日の出願であって、令和3年4月12日にその特許権の設定登録がされ、令和3年4月28日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許に対して特許異議の申立てがあり、次のとおりに手続きが行われた。 令和3年10月26日 特許異議申立人鬼頭典夫(以下、「申立人1」 という。)による請求項1〜4に係る特許に対 する特許異議の申立て 令和3年10月28日 特許異議申立人上原洋子(以下、「申立人2」 という。)による請求項1〜6に係る特許に対 する特許異議の申立て 令和4年 3月30日付け 取消理由通知書 令和4年 6月 7日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 なお、令和4年6月7日付けの訂正の請求に対して、各申立人に期間を指 定して意見書を提出する機会を与えたが、指定期間内に意見書は提出されな かった。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和4年6月7日付けの訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は、以下のとおりである(下線部は、訂正箇所を示す)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「最頻径が1〜10μm」 と記載されているのを、 「最頻径が3.0μm以上かつ4.2μm以下」 に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に、 「0.50μm未満の粒子径の頻度が1.0%以上であり」 と記載されているのを、 「0.50μm未満の粒子径の頻度が1.0%以上かつ9%以下であり」 に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1に、 「13μm以上の粒子径を有する粒子の篩上積算分布が1質量%以下である」 と記載されているのを、 「13μm以上の粒子径を有する粒子の篩上積算分布が1質量%以下であり、さらに、1〜10μmの範囲内に極大値を有するピークにおいて、0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度が2.0%未満である」 に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5において、 「請求項1〜4」 と記載されているのを、 「請求項1〜3」 に訂正する。 (6)一群の請求項について 訂正前の請求項2〜6は、訂正前の請求項1を直接又は間接的に引用する請求項であり、請求項1〜6は一群の請求項であるところ、訂正事項1〜3による訂正は、その一群の請求項に対して請求されたものである。 2 訂正の適否について (1)訂正事項1について 訂正事項1は、請求項1に「最頻径が1〜10μm」と記載されているのを、「最頻径が3.0μm以上かつ4.2μm以下」と訂正し、最頻径の上限と下限が規定された範囲をさらに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、当該訂正事項は、本件明細書の段落【0012】の「本発明の非晶質シリカ粉末の粒子径頻度分布において、最頻径が1〜10μmの範囲内にある。 ・・・ 下限値は ・・・ 3.0μm以上であってよく、3.2μm以上であってよい。上限値は ・・・ 4.2μm以下であってよい。」の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてされたものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、請求項1に「0.50μm未満の粒子径の頻度が1.0%以上であり」と記載されているのを「0.50μm未満の粒子径の頻度が1.0%以上かつ9%以下であり」と訂正し、0.50μm未満の粒子径の頻度の上限を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、当該訂正事項は、本件明細書の段落【0016】の「本発明の非晶質シリカ粉末は、0.50μm未満の粒子径の粒子の頻度が1.0%以上である。 ・・・ 0.50μm未満の粒子径の粒子の頻度の上限は ・・・ 9%以下であってよく ・・・」の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてされたものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 (3)訂正事項3について 訂正事項3は、請求項1に「13μm以上の粒子径を有する粒子の篩上積算分布が1質量%以下である」と記載されているを「13μm以上の粒子径を有する粒子の篩上積算分布が1質量%以下であり、さらに、1〜10μmの範囲内に極大値を有するピークにおいて、0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度が2.0%未満である」と訂正し、非晶質シリカ粉末の0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、当該訂正事項は、訂正前の請求項1を引用する請求項4の特定事項、及び本件明細書の段落【0013】の「1〜10μmの範囲内に極大値を有するピークにおいて、0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度を2.0%未満とすれば、非晶質シリカ粉末の流動性をより高めることができる。」の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてされたものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 (4)訂正事項4について 訂正事項4は、請求項4を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてされたものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 (5)訂正事項5について 訂正事項5は、訂正前の請求項5が請求項1〜4の記載を引用するものであったところ、訂正事項4によって請求項4が削除されることにともなって、選択的に引用する請求項の一部を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてされたものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 (6)独立特許要件について 本件特許の請求項1〜6の全ての請求項に係る特許について特許異議の申立てがされたので、訂正後の請求項1〜6に係る発明について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の規定は適用されない。 3 まとめ 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜6〕について訂正することを認める。 第3 本件発明の認定 前記第2のとおり、本件訂正請求は適法にされたものであるから、本件特許の請求項1〜3、5、6に係る発明(以下、「本件発明1」などといい、まとめて「本件発明」ということがある。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1〜3、5、6に記載された以下の事項により特定されるとおりのものである(下線部は、訂正箇所を示す)。 「【請求項1】 粒子径頻度分布において最頻径が3.0μm以上かつ4.2μm以下の範囲内にあり、0.50μm未満の粒子径の粒子の頻度が1.0%以上かつ9%以下であり、3〜10.5m2/gの比表面積を有し、かつ、13μm以上の粒子径を有する粒子の篩上積算分布が1質量%以下であり、さらに、1〜10μmの範囲内に極大値を有するピークにおいて、0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度が2.0%未満であることを特徴とする非晶質シリカ粉末。 【請求項2】 溶融化率95%以上である、請求項1に記載の非晶質シリカ粉末。 【請求項3】 ウラン元素およびトリウム元素の含有量の合計が10ppb以下である、請求項1または2に記載の非晶質シリカ粉末。 【請求項5】 請求項1〜3いずれかに記載の非晶質シリカ粉末を10〜90質量%含有してなることを特徴とする樹脂組成物。 【請求項6】 液状封止材である、請求項5に記載の樹脂組成物。」 第4 特許異議申立ての理由及び証拠方法について 申立人1は、証拠方法として、甲第1号証〜甲第5号証(以下、「甲1−1」〜「甲1−5」という。)を、申立人2は、証拠方法として、甲第1号証〜甲第21号証(以下、「甲2−1」〜「甲2−21」という。)を提出し、本件特許は、それぞれ以下の理由により取り消すべきものである旨主張している。 1 申立人1の申立理由 (1)甲1−1を主たる証拠とする新規性・進歩性欠如(以下、「申立理由1−1」という。) 設定登録時の請求項1に係る発明は、甲1−1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、設定登録時の請求項1〜4に係る発明は、甲1−1に記載された発明及び周知技術(甲1−2〜甲1−5)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものである。 (2)証拠方法 甲1−1:株式会社アドマテックス,「ADMAFINE」カタログ,2006 年3月 甲1−2:特開2012−240900号公報 甲1−3:特開2001−199713号公報 甲1−4:特開2003−221224号公報 甲1−5:特開2015−149171号公報 2 申立人2の申立理由 (1)甲2−1〜甲2−8のそれぞれを主たる証拠とする新規性・進歩性欠如(以下、それぞれ「申立理由2−1」〜「申立理由2―8」という。) 設定登録時の請求項1〜3、5、6に係る発明は、甲2−1〜甲2−8のそれぞれに記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するか、又は、甲2−1〜甲2−8のそれぞれに記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものである。 (2)サポート要件違反(「申立理由3」という。) 本件特許の設定登録時の請求項1〜6に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 (3)証拠方法 甲2−1:株式会社アドマテックス,“製品紹介 製品一覧/シリカ ”, [online],2016年,[2021年10月21日印刷]インターネット< URL:https://web.archive.org/web/20170714071610/https://www .admatechs.co.jp/product-admafine-silica.html> 甲2−[1−1]:株式会社アドマテックス,“製品紹介 アドマファイン とは”,[online],2016年,[2021年10月25日印刷] インタ ーネット <URL:https://web.archive.org/web/20160803133452 /http://www.admatechs.co.jp/product-admafine.html> 甲2−2:特開2001−199713号公報 甲2−3:特開2003−221224号公報 甲2−4:特開2005−248087号公報 甲2−5:特開2005−171209号公報 甲2−6:国際公開第2013/145608号 甲2−7:特開2018−123340号公報 甲2−8:特開2013−212956号公報 甲2−9:「シリカ微粒子の特性と表面改質および分散・凝集の制御」,株 式会社技術情報協会,2009年7月31日,p.304,305 甲2−10:特開2011−126735号公報 甲2−11:特開平8−333210号公報 甲2−12:特開2005−146141号公報 甲2−13:特開2013−224225号公報 甲2−14:特開2016−79278号公報 甲2−15:特開2010−275138号公報 甲2−16:国際公開第2018/096876号 甲2−17:特開2002−37620号公報 甲2−18:特開平6−5743号公報 甲2−19:特開2015−86120号公報 甲2−20:特開平4−132610号公報 甲2−21:特開平9−286611号公報 第5 取消理由通知に記載した取消理由について 1 取消理由の概要 本件特許の請求項1〜6に係る発明(ただし、本件訂正前のもの)に対し て、当審が、令和4年3月30日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨 は、次のとおりである。 (1)取消理由1(新規性欠如) 設定登録時の請求項1〜3、5、6に係る発明は、下記引用文献に記載さ れた発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、その特許 は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 (2)取消理由2(進歩性欠如) 設定登録時の請求項1〜3、5、6に係る発明は、下記引用文献に記載さ れた発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるか ら、その特許は、特許第29第2項の規定に違反してされたものである。 (引用文献) 甲1―1:株式会社アドマテックス,「ADMAFINE」カタログ, 2006年3月 甲2−3:特開2003−221224号公報 甲2−4:特開2005−248087号公報 甲2―5:特開2005−171209号公報 甲2−8:特開2013−212956号公報 (3)取消理由3(サポート要件違反) 取消理由3は、要するに、本件発明の課題は「流動性に優れた液状封止材を得るに好適な非晶質シリカ粉末及びそれが充填されてなる樹脂組成物を提供する」ことであると認められるところ(段落【0005】)、設定登録時の請求項1〜6に係る発明は、下記ア(ア)(イ)、及びイの点で、発明の詳細な説明に記載されたものでないから、その特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件(サポート要件)を満たしていない特許出願に対してされたものである、というものである。 ア 設定登録時の請求項1〜6 (ア)「最頻径」について 本件明細書に記載された「実施例」及び「比較例」は、「最頻径」が3.2〜3.9μmの粒度分布を有する非晶質シリカ粉末が示されているのみであるところ、樹脂組成物に含まれる粉末の「最頻径」が小さくなると、樹脂組成物の粘度が高くなり、また「最頻径」が大きくなると、粒子同士の充填性に影響する結果、いずれも樹脂組成物の流動性が悪化する傾向があることは技術常識である。 そうすると、非晶質シリカ粉末の「粒子径頻度分布において最頻径が1〜10μmの範囲内」であるという特定事項を含む設定登録時の請求項1〜6に係る発明は、発明の詳細な説明の記載により当業者が発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであるということはできないから、発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえない。 (イ)「0.50μm未満の粒子径の粒子の頻度」について 本件明細書に記載された「実施例」は、当該粒子の頻度は、「0.50μm未満の粒子径の粒子の頻度」が「1.1〜7.5%」の範囲の非晶質シリカ粉末のみであるところ、極微細粉末が多すぎると、このようなシリ粉末を含有する樹脂組成物の流動性が悪化することは技術常識であるから、実施例の頻度の上限「7.5%」を超える範囲まで、本件発明の課題を解決できるとは認識できない。 そうすると、非晶質シリカ粉末の「0.50μm未満の粒子径の粒子の頻度が1.0%以上」であるという特定事項を含む設定登録時の請求項1〜6に係る発明は、発明の詳細な説明の記載により当業者が発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであるということはできないから、発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえない。 イ 設定登録時の請求項1〜3、5、6 本件明細書に記載された実施例及び比較例をみると、「0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度」が大きくなるにしたがって、流動性が悪くなるという傾向があり、また、同じ最頻径の非晶質シリカ粉末について比較しても同様の傾向があるといえる(実施例1、2及び比較例1、実施例4〜7)。 そうすると、実施例では、最頻径(「3.2〜3.9μm」)の近傍であって、一定範囲の最頻径より小さい範囲の粒子径の粉末(「0.50〜1.83μmの粒子径の粒子」)を除くことで、粉末の間隙を確保して、シリカ粉末を充填した樹脂組成物の流動性を担保していると考えられる。 したがって、「0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度」が特定されていない設定登録時の請求項1〜3、5、6に係る発明は、発明の詳細な説明の記載により当業者が発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであるということはできないから、発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえない。 2 取消理由に対する当審の判断 (1)取消理由1(新規性欠如)、取消理由2(進歩性欠如)について ア 各引用文献の記載事項 (ア)甲1−1の記載事項 甲1−1は、「高純度合成球状シリカ」(7ページ)について記載され、6ページには、SO−E型などのシリカ粉末について、次の記載がある。 1a「シリカの用途 ・封止材料用フィラー材 ・・・ 」 1b「 ![]() ![]() 」 1c「 ![]() 」 1d「 ![]() 」 (イ) 甲2−3の記載事項 3a「【特許請求の範囲】 【請求項1】 最大粒径が6μm以下、少なくとも1〜3μmの粒度域に極大径を示す頻度粒度分布を有し、モード径とメジアン径との比(Dmode/Dmedian)が0.9〜1.8、かつ頻度粒度分布の変動係数が40〜130%であることを特徴とする球状無機質粉末。 【請求項2】 最大粒径が6μm以下、少なくとも0.1〜0.7μmおよび1〜3μmの粒度域に極大径を示す頻度粒度分布を有し、モード径とメジアン径との比(Dmode/Dmedian)が0.9〜1.8、かつ頻度粒度分布の変動係数が40〜130%であることを特徴とする球状無機質粉末。 【請求項3】 BET法により測定した比表面積SBと粒度分布により計算した理論比表面積SCとの比(SB/SC)が3.5以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の球状無機質粉末。 ・・・ 【請求項5】 球状無機質粉末が非晶質シリカ粉末であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の球状無機質粉末。 【請求項6】 請求項1〜5記載のいずれかの球状無機質粉末を樹脂に含有させてなることを特徴とする液状封止材。」 3b「【0015】更に好ましくは、上述の頻度粒度分布において0.1〜0.7μmの領域にも極大値を有することである。0.1〜0.7μmの極大値に含まれる粒子成分は、1〜3μmの粒度域に極大値を有する粒子成分から構成される粒子の間隙に入り込むことが可能であり、粒子の充填構造をより密にすることができるので、充填性が向上し、結果として液状封止材の粘度を著しく低下させることができる。とくに、核となる粒子成分に対し、0.2倍程度の粒径を持つとより高充填が可能となり、中でも0.3〜0.6μmであることが好ましい。これら2つの極大径を同時に有することで、これまでにない球状無機質粉末の高充填時における低粘度化、高い狭間隙浸透性を達成することができる。」 3c「【0017】本発明で重要なことは、球状無機質粉末の最大粒径を6μm以下と規定したなかで、さらに頻度粒度分布の変動係数を40〜130%としたことである。最大粒径が6μmを越えると半導体チップと基板との狭間隙に粒子が詰まりやすく封止材の浸入断面積を狭くする結果、浸透性に悪影響を及ぼすという問題があり、狭間隙アンダーフィルパッケージ用途へは適用でき難くなる。最大粒径6μm以下の制約があるなかで、頻度粒度分布の変動係数を40〜130%とすることによって、球状無機質粉末を充填した際の液状封止材の粘度の上昇を最小限に抑えることができ、狭間隙浸透性も著しく向上できるため、成形性を損なうことなく高充填を達成することができる。」 3d「【0022】また、比表面積SBはBET法に基づく値であり、比表面積測定機としては、「モデル4−SORB U2」(湯浅アイオニクス社製)を用いて測定することができる。理論比表面積SCについては上記粒度分布測定機によって自動計算が可能である。この測定機の原理は、式、SC=6/(ρ・D)、に基づいている。式中、Dは面積平均粒子径(μm)、ρは球状無機質粉末の密度(g/cm3)である。たとえば、粉末が非晶質シリカであれば2.21である。」 3e「【0030】本発明における球状無機質粉末は、シリカ、アルミナ、チタニア、マグネシア、カルシア等の無機質粉末であり、それらの粉末を単独で用いても二種類以上混合したものでもかまわない。とくに、半導体チップと液状封止材との熱膨張率を近づけるという点、半田耐熱性、耐湿性、金型の低摩耗性という観点において、結晶質シリカを高温で溶融する方法ないしは合成法で製造された非晶質シリカが最適である。またその非晶質率は、粉末X線回折装置、例えば「モデルMiniFlex」(RIGAKU社製)を用い、CuKα線の2θが26°〜27.5°の範囲において試料のX線回折分析を行い、特定回折ピークの強度比から測定することができる。すなわち、結晶質シリカは、26.7°に主ピークが存在するが、非晶質シリカでは、ピークは存在しない。非晶質シリカと結晶質シリカが混在していると、それらの割合に応じた結晶質シリカの26.7°のピーク高さが得られるので、結晶質シリカ標準試料のX線強度に対する試料のX線強度の比から、結晶質シリカ混在比(試料のX線回折強度/結晶質シリカのX線回折強度)を算出し、式、非晶質率(%)=(1−結晶質シリカ混在比)×100から非晶質率を求めることができる。 」 3f「【0031】本発明の球状無機質粉末は、イオン性不純物として抽出水中のNaイオン濃度とClイオン濃度とがそれぞれ1ppm以下、放射性不純物としてU、Th濃度がそれぞれ1ppb以下であることが好ましい。イオン性不純物が多い場合には半導体チップの信頼性、耐湿性に悪影響を与える恐れがある。また、放射性不純物が多い場合は、α線によるソフトエラーの原因になることが知られており、特に半導体メモリーの封止用として使用する場合には注意が必要である。」 3g「【0032】つぎに、本発明の液状封止材について説明する。この液状封止材は本発明の球状無機質粉末樹脂に含有させてなるものである。液状封止材中の球状無機質粉末の割合は10〜80質量%であることが好ましい。」 3h「【0041】実施例1〜5 比較例1〜10 天然珪石を粉砕、その粉砕物をLPGと酸素との燃焼により形成される高温火炎中に供給し、溶融・球状化処理を行って、球状非晶質シリカ粉末を得た。火炎形成条件、原料粒度、原料供給量、分級条件、混合条件などを調整して表1および表2に示す15種の粉体A〜Oを製造した。・・・ なお、これらの球状シリカ粉末の非晶質率はいずれも99%以上、平均球形度は0.90以上であった。 【0042】これらの粉末の粒度分布を測定し、0.1〜0.7μmの領域付近および1〜3μmの領域付近における極大径をそれぞれP1、P2として示した。また、モード径とメジアン径との比を(Dmode/Dmedian)として示した。さらには、BET法により測定した比表面積SBと粒度分布により計算した理論比表面積SCとの比を(SB/SC)として示した。 【0043】得られた球状非晶質シリカ粉末A〜Oの液状封止材用の充填材としての特性を評価するため、球状非晶質シリカ粉末60%(質量%、以下同じ)に対し、ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂(エポキシ当量169、エピコート807;ジャパンエポキシレジン社製)を17.5%、シランカップリング剤してγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(A−187;日本ユニカ社製)を0.5%、硬化剤としてメチルテトラヒドロ無水フタル酸(酸無水物当量168、MH700;新日本理化社製)を16%、硬化促進剤として1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU;サンアプロ社製)を6%配合し、自転−公転式のプラネタリーミキサー(あわとり練太郎AR−360M;シンキー社製)を用いて、自転2000rpm、公転600rpmの条件で10分間混合した後、真空脱泡することにより液状封止材を得た。得られた材料の粘度特性と間隙浸透性を次に示す方法に従って評価した。それらの結果を表1(実施例)、表2(比較例)に示す。」 3i「【0046】【表1】 ![]() 」 (ウ) 甲2−4の記載事項 4a「【0012】 本発明に用いる水酸化アルミニウムを除く無機充填材としては、一般に半導体封止用エポキシ樹脂組成物に使用されているものを用いることができる。例えば、溶融球状シリカ、溶融破砕シリカ、結晶シリカ、タルク、アルミナ、チタンホワイト、窒化珪素等が挙げられ、最も好適に使用されるものとしては、溶融球状シリカである。これらの無機充填材は、単独でも混合して用いても差し支えない。またこれらがカップリング剤により表面処理されていてもかまわない。無機充填材の形状としては、流動性改善のために、できるだけ真球状であり、かつ粒度分布がブロードであることが好ましい。本発明で用いられる水酸化アルミニウムをも含めた全無機充填材の含有量は、全エポキシ樹脂組成物中に83〜93重量%であり、好ましくは84〜90重量%である。下限値未満だと、低吸湿性、低熱膨張性が得られず耐半田性が不十分となる恐れがあるので好ましくない。上限値を越えると、流動性が低下し、成形時に充填不良等が生じたり、高粘度化による半導体装置内の金線変形等の不具合が生じたりする恐れがあるので好ましくない。」 4b「【0013】 本発明に用いる水酸化アルミニウムは、粒径10μm以上の粒子の割合が5重量%未満であり、かつ含有するウラン、トリウムの合計量が10ppb未満であるものを必須とする。一般に水酸化アルミニウムは、難燃剤として作用し、その難燃機構は公知である。優れた耐半田性、耐湿性を得るためには、より少ない水酸化アルミニウムの添加量で優れた耐燃性を実現する手法は前述の特許文献等で紹介されているが、本発明に用いる水酸化アルミニウムを使用すると、ウラン、トリウム、その壊変物質から放出されるα線を低減することができ、その結果、α線の影響を受け易いデバイスへの適用が容易となる。但しこの場合、水酸化アルミニウムを除く無機充填材のウラン、トリウムの合計量についても、同様に考慮する必要がある。すなわち、α線の影響を受け易いデバイスへの適用が可能なレベルに樹脂組成物全体から放出されるα線量を低減させるためには、無機充填材に含まれるウラン、トリウムの合計量を1ppb未満とし、かつ水酸化アルミニウムに含まれるウラン、トリウムの合計量を10ppb未満とすること、或いはエポキシ樹脂組成物全体に含まれるウラン、トリウムの合計量を1ppb未満とすることが必要である。 ・・・ 【0015】 また狭い空隙を充填するためには、本発明に用いる水酸化アルミニウムの粒径10μm以上の粒子の割合を5重量%未満とする必要がある。粒径10μm以上の粒子が5重量%以上であると、数十μmの狭い充填領域が存在する半導体装置において未充填を引き起こす可能性が高い。」 4c「【0028】 実施例1 ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、YX4000K、融点105℃、エポキシ当量185) 7.50重量部 フェノールノボラック樹脂(軟化点80℃、水酸基当量105) 2.80重量部 ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂(明和化成(株)製、MEH−7851SS、軟化点65℃、水酸基当量203) 2.80重量部 1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7 0.20重量部 シリカA(平均粒径3.8μm、比表面積4.5m2/g、ウランとトリウムの合計量1ppb未満) 56.00重量部 シリカB(平均粒径0.5μm、比表面積5.4m2/g、ウランとトリウムの合計量1ppb未満) 25.00重量部 水酸化アルミニウムA1(平均粒径3.0μm、粒径10μm以上の粒子の割合3重量%、ウランとトリウムの合計量1ppb未満、Na2O量0.06%、重量減少率10% 到達温度260℃) 5.00重量部 γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン 0.20重量部 カルナバワックス 0.20重量部 カーボンブラック 0.30重量部 をミキサーで混合した後、表面温度が90℃と45℃の2本ロールを用いて混練し、冷却後粉砕してエポキシ樹脂組成物とした。・・・」 (エ) 甲2−5の記載事項 5a「【請求項1】 熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂を除く)中に塩基性物質を配合したフィラーが全量に対して60重量%以上配合され、該フィラーが熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂を除く)中に一次分散していることを特徴とするフィラー含有樹脂組成物。 ・・・ 【請求項7】 前記フィラーは、平均粒径0.01から10μ、最大粒径20μの球状シリカ粒子から選ばれる少なくとも一種類以上のシリカ粒子含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のフィラー含有樹脂組成物。 【請求項8】 前記フィラーは、平均粒径0.01μから5μ、最大粒径10μの球状シリカ粒子から選ばれる少なくとも一種類以上のシリカ粒子含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のフィラー含有樹脂組成物。 【請求項9】 前記フィラーは、平均粒径0.01μから3μ、最大粒径5μの球状シリカ粒子から選ばれる少なくとも一種類以上のシリカ粒子含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のフィラー含有樹脂組成物。 【請求項10】 前記フィラーは、平均粒径0.01μから1.5μ、最大粒径3μの球状シリカ粒子から選ばれる少なくとも一種類以上のシリカ粒子含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のフィラー含有樹脂組成物。 【請求項11】 前記球状シリカ粒子は、溶融球状シリカ粒子及び/又は金属珪素を酸化して得られる球状シリカ粒子であることを特徴とする請求項5から10のいずれかに記載のフィラー含有樹脂組成物。」 5b「【0016】 本発明は、上記問題点を改善するために成されたもので、その目的とするところは、フィラーの配合量が多い場合であっても、良好な流動性を有し、取り扱い性に優れ、フリップチップ実装の際に半導体素子と基板間の十数μmのギャップにも効率良く侵入充填できる液状封止材となる樹脂組成物を提供することにある。」 5c「【0020】 金属を燃焼して得られる金属酸化物粉体とは、珪素、アルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、チタン等の金属粉末、その他ムライト組成に調合したアルミニウム粉末とシリコン粉末、スピネル組成に調合したマグネシウム粉末とアルミニウム粉末、コージェライト組成に調合したアルミニウム粉末、マグネシウム粉末・シリコン粉末等の金属粉末混合物をキャリアガスとともに酸素を含む雰囲気中で化学炎を形成し・この化学炎中に目的とするシリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、チタニア(TiO2)、ジルコニア(ZrO2)等の金属酸化物や、複合酸化物の超微粒子を得るものである。本発明では、シリカを主成分とする金属酸化物粉体が好ましい。また、前記金属を燃焼してうる金属酸化物粉体は、平均粒子径が0.05μmから10μmの真球状粒子であるものが好ましい。 【0021】 本発明のフィラー含有樹脂組成物中では、金属を燃焼して得られる金属酸化物微粒子等のフィラーが、全量に対して60重量%以上含まれ、一次分散している。半導体封止材料として、鉛フリーのハンダに耐えるために、90重量%以上が好ましく、95重量%以上がより好ましい。」 5d「【0058】 [実施例4] 平均粒径が2μ、比表面積が2m2/g、最大粒子径が10μの球状シリカを70重量部、平均粒径が0.5μ、比表面積が7m2/g、最大粒子径が10μの球状シリカを30重量部、エポキシ樹脂(828EL)を25重量部、KBM403を0.4重量部、ブチルアミンを0.01重量部、メチルエチルケトンを100重量部、ミキサーに入れて混合した後、分散機で粉体を分散させて、減圧しながら120℃、3時間加熱して溶媒を除去して、粘稠の液体を得た。樹脂組成物のエポキシ等量を測定したところ、樹脂換算で、224と言う値を得た。828EL自身のエポキシ等量は225であった。樹脂組成物を800℃に加熱して灰分を測定したところ、80.0%と言う値を得た。」 5e「【0059】 [実施例5] 平均粒径が2μ、比表面積が2m2/g、最大粒子径が5μの球状シリカを70重量部、平均粒径が0.5μ、比表面積が7m2/g、最大粒子径が5μの球状シリカを30重量部、エポキシ樹脂(828EL)を25重量部、KBM403を0.4重量部、2PHZ(四国化成製)を0.01重量部、メチルエチルケトンを100重量部、ミキサーに入れて混合した後、分散機で粉体を分散させて、減圧しながら120℃、3時間加熱して溶媒を除去して、粘稠の液体を得た。樹脂組成物のエポキシ等量を測定したところ、樹脂換算で、224と言う値を得た。828EL自身のエポキシ等量は225であった。樹脂組成物を800℃に加熱して灰分を測定したところ、80.0%と言う値を得た。」 (オ) 甲2―8の記載事項 8a「【請求項1】 体積平均粒径が0.46〜1.3μm、体積平均粒径に対する標準偏差の値が45〜110%、反応性シラノール基量が1.5〜3.0個/nm2である球状シリカ粉末。 【請求項2】 粒度分布における累積体積10%値(D10)と累積体積50%値(D50)の比である(D10/D50)=0.1〜0.6、BET比表面積値が4.2〜7.5m2/gである請求項1に記載の球状シリカ粉末。 ・・・ 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項に記載の球状シリカ粉末を50〜85質量%含むシリカ含有スラリー組成物。 【請求項5】 請求項4に記載のスラリー組成物と樹脂を配合してなる樹脂組成物。」 8b「【0012】 体積平均粒径(D50)に対する標準偏差の値(%)は、粒度分布の幅の広さを意味している。体積平均粒径(D50)に対する標準偏差の値(%)をCV値とすると、CV値は、下記の式(1)で示される。 CV値が45%未満の場合、シリカの最大充填率増加に伴う高い流動性が得られない。CV値が110%を超えると、粗大粒子の存在で、樹脂硬化物の外観にシリカの凝集ツブが生じる可能性がある。好ましいCV値の範囲は60〜90%である。 【数1】 ![]() 」 8c「【0023】 本発明の球状シリカ粉末の製造方法は、例えば、金属珪素粉末スラリーを製造炉で可燃性ガスと助燃性ガスとからなる高温火炎中に供給し、該火炎中で該金属珪素粉末を気化、酸化させることにより得られる。金属珪素粉末原料のCV値が70〜120%であることが好ましい。これにより、スラリー中の金属珪素粉末が良好に分散される状態を作り出すことができる。反応性シラノール基量の制御は、製造時の反応容器内の水蒸気量と金属珪素粉末スラリーの供給量で行えばよい。」 8d「【実施例】 【0032】 実施例1−20 比較例1−6 【0033】 (1)球状シリカ粉末の製造 最外部より、可燃性ガス供給管、助燃性ガス供給管、金属粉末スラリー供給管の順に組まれた三重巻管構造のバーナーを製造炉の頂部に設置する一方、製造炉の下部を捕集系(生成粉末をブロワーで吸引しバッグフィルターにて捕集)に接続されてなる装置を用い、金属酸化物粉末を製造した。なお、バーナーの外周には外周火炎を形成させる外周バーナーが更に3本設置されている。可燃性ガス供給管からLPGを5Nm3/hr、助燃性ガス供給管から酸素を10 Nm3/hr供給して、製造炉内に高温火炎を形成した。金属シリコン粉末をメチルアルコールに分散させて調製した濃度50質量%のスラリーを、スラリーポンプを用いて、金属粉末スラリー供給管から供給し、球状シリカ粉末をバグフィルターにて捕集した。 (2)球状シリカ粉末の粒度分布 球状シリカ粉末の粒度分布、累積体積10%値(D10)、累積体積50%値(D50)、標準偏差の測定は、レーザー回折光散乱法による粒度分布測定機として、ベックマン・コールター社製「モデルLS−230」を用いて、段落(0017)に記載の方法で行った。 (3)球状シリカ粉末の比表面積 球状シリカ粉末の比表面積は、BET法に基づく値であり、MACSORB社製「MacsorbHMmodel−1208」を用いて行った。 ・・・ (5)樹脂硬化物の作製 金属粉末スラリー法で製造された球状シリカ粉末に表面処理を施して、表面処理球状シリカ粉末とした。表面処理は、シランカップリング剤のビニルトリメトキシシラン「KBM−1003」(信越化学工業株式会社製、分子量148.2)を用いた。表面処理量は反応性シラノール基量に基づく値とした。次いで、得られた球状シリカ粉末をメチルエチルケトン(MEK)に分散させて、固形分濃度が75質量%のスラリーを調製した。それらの配合量を表1に示す。 ・・・ 【0034】 エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂「EPICLON−850」(DIC株式会社製、エポキシ当量186g/eq)10.0質量部、硬化剤としてノボラック型フェノール樹脂「PSM−4261」(群栄化学工業株式会社製、水酸基当量106g/eq、軟化点80℃)5.9質量部、硬化促進剤として2−フェニルイミダゾール(2PZ)「四国化成工業株式会社製」0.2質量部を得られたスラリー組成物100質量部に溶解し、樹脂組成物(エポキシ樹脂ワニス)を調製した。この樹脂組成物を基材にアプリケーターを用いて塗布し、50℃下で真空脱泡後、温度150℃、2時間乾燥し、樹脂硬化物を得た。得られた樹脂組成物の流動性、分散性及び樹脂硬化物の成型性を以下に示す方法に従って評価した。それらの評価結果を表1〜3に示す。」 8e「【0036】 【表1】 ![]() 」 イ 甲1−1を主たる証拠とする新規性・進歩性欠如 (ア)甲1−1に記載された発明 甲1−1は、高純度合成球状シリカについて記載されており、その製品名SO−E5のシリカ粉末に着目して整理すると、甲1−1には、次の発明(以下、「甲1−1発明」という。)が記載されていると認められる。 「粒子径頻度分布において最頻径が1〜2μmの範囲内にあり、0.50μm未満の粒子径の粒子の頻度が1.0%以上であり、2〜5m2/gの比表面積を有し、かつ、13μm以上の粒子径を有する粒子の積算分布が0%であるシリカ粒子。」 (イ)本件発明1について 本件発明1と甲1−1発明とを対比すると、本件発明1は「1〜10μmの範囲内に極大値を有するピークにおいて、0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度が2.0%未満」であるのに対して、甲1−1発明は、0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度については規定されていない点で少なくとも相違している。 当該相違点に係る本件発明1の発明特定事項は、取消理由の対象となっていない設定登録前の請求項4において特定された事項を、本件発明1において限定したものであるが、当該相違点について一応検討すると、甲1−1発明の粒子径の頻度は、1dのSO−E5の粒度分布のグラフから認定したものであり、当該粒度分布をみると、0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度は、2%を大幅に超えることは明白であるから、当該頻度は、本件発明1と甲1−1発明との実質的な相違点であり、また、SO−E5は、このような粒度分布を有するように調整されたシリカ粒子製品として販売されているものであるから、甲1−1発明の当該頻度を本件発明1の当該相違点に係る頻度に調整するという動機も見出せない。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1−1に記載された発明であるとはいえず、また、甲1−1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (ウ)本件発明2、3、5、6について 本件発明2、3、5、6は、本件発明1に従属するものであって、それぞれ本件発明1と同一の発明特定事項を具備するものである。 そうすると、本件発明2、3、5、6と甲1−1に記載された発明とをそれぞれ対比すると、前者と後者とは、少なくとも上記(イ)と同じ相違点を有するものであり、これらの相違点についての判断も上記(イ)の判断と同様である。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明2、3、5、6は、甲1−1に記載された発明であるとはいえず、また、甲1−1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 ウ 甲2−3を主たる証拠とする新規性・進歩性欠如 (ア)甲2−3に記載された発明 記載事項3h、3iの実施例2に着目して整理すると、甲2−3には、次の発明(以下、「甲2−3発明」という。)が記載されていると認められる。 「粒子径頻度分布において0.5μm及び2.1μmに極大径を有し、モード径とメジアン径との比(Dmode/Dmedian)が1.3であり、BET法により測定した比表面積SBと粒度分布により計算した理論比表面積SCとの比(SB/SC)が2.5であり、最大粒径が6μm以下である非晶質シリカ粉末。」 (イ)本件発明1について 本件発明1と甲2−3発明とを対比すると、本件発明1は「1〜10μmの範囲内に極大値を有するピークにおいて、0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度が2.0%未満」であるのに対して、甲2−3発明は、0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度については規定されていない点で少なくとも相違している。 当該相違点に係る本件発明1の発明特定事項は、取消理由の対象となっていない点で上記イ(イ)と事情は同じであるが、当該相違点について一応検討すると、甲2−3発明を認定した実施例2(3i「表1」)をみても、当該相違点に係る粒子径の頻度が記載されているとはいえないし、また、甲2−3の記載から本件発明1の当該相違点に係る頻度に粒度を調整するという動機も見出せない。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2−3に記載された発明であるとはいえず、また、甲2−3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (ウ)本件発明2、3、5、6 本件発明2、3、5、6は、本件発明1に従属するものであって、それぞれ本件発明1と同一の発明特定事項を具備するものである。 そうすると、本件発明2、3、5、6と甲2−3に記載された発明とをそれぞれ対比すると、前者と後者とは、少なくとも上記(イ)と同じ相違点を有するものであり、これらの相違点についての判断も上記(イ)の判断と同様である。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明2、3、5、6は、甲2−3に記載された発明であるとはいえず、また、甲2−3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 エ 甲2−4を主たる証拠とする新規性・進歩性欠如 (ア)甲2−4に記載された発明 記載事項4cの実施例1に着目して整理すると、甲2―4には、次の発明(以下、「甲2−4発明」という。)が記載されていると認められる。 「平均粒径3.8μm、比表面積4.5m2/gであるシリカAを56.00重量部、及び平均粒径0.5μm、比表面積5.4m2/gであるシリカBを25.00重量部を含有する樹脂組成物。」 (イ)本件発明5について 本件発明5と甲2−4発明とを対比すると、本件発明5の非晶質シリカ粉末は「1〜10μmの範囲内に極大値を有するピークにおいて、0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度が2.0%未満」であるのに対して、甲2−4発明のシリカA及びBは、0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度については規定されていない点で少なくとも相違している。 ここで、樹脂に混合後のシリカA及びBの含有量、平均粒径並びに比表面積を基に混合後のシリカの粒度分布を検討しても、当該相違点に係る粒子径の頻度が記載されているとはいえないし、また、甲2−4の記載から本件発明5の当該相違点に係る頻度に粒度を調整するという動機も見出せない。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明5は、甲2−4に記載された発明であるとはいえず、また、甲2−4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (ウ)本件発明6について 本件発明6は、本件発明5に従属するものであって、本件発明5と同一の発明特定事項を具備するものである。 そうすると、本件発明6と甲2−4発明とを対比すると、両者は、少なくとも上記(イ)と同じ相違点を有するものであり、当該相違点についての判断も上記(イ)の判断と同様である。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明6は 、甲2−4に記載された発明であるとはいえず、また、甲2−4に記載され た発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (エ)本件発明1〜3について 本件発明1〜3と甲2−4に記載された発明とをそれぞれ対比すると、甲2−4に記載の樹脂組成物は、シリカ等の無機充填剤を単に樹脂に混合することが記載されているのみであるが、樹脂に添加する前に2種類のシリカを混合して粒度分布を調整することは周知であったとしても、上記(イ)の検討と同様であって、甲2−4の記載からは、本件発明1の「1〜10μmの範囲内に極大値を有するピークにおいて、0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度が2.0%未満」である特定事項を導出することはできない。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1〜3は、甲2−4に記載された発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 オ 甲2−5を主たる証拠とする新規性・進歩性欠如 (ア)甲2−5に記載された発明 記載事項5dの実施例4に着目して整理すると、甲2―5には、次の発明(以下、「甲2−5発明」という。)が記載されていると認められる。 「平均粒径2μm、比表面積2m2/g、最大粒子径10μmである球状シリカ70重量部、及び平均粒径0.5μm、比表面積7m2/g、最大粒子径10μmである球状シリカ30重量部を含有する樹脂組成物」 (イ)本件発明5について 本件発明5と甲2−5発明とを対比すると、本件発明5の非晶質シリカ粉末は「1〜10μmの範囲内に極大値を有するピークにおいて、0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度が2.0%未満」であるのに対して、甲2−5発明の球状シリカは、0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度については規定されていない点で少なくとも相違している。 ここで、樹脂に混合後の2種類の球状シリカの含有量、平均粒径、比表面積並びに最大粒子径を基に混合後のシリカの粒度分布を検討しても、当該相違点に係る粒子径の頻度が記載されているとはいえないし、また、甲2−5の記載から本件発明5の当該相違点に係る頻度に粒度を調整するという動機も見出せない。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明5は、甲2−5に記載された発明であるとはいえず、また、甲2−5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (ウ)本件発明6について 本件発明6は、本件発明5に従属するものであって、本件発明5と同一の発明特定事項を具備するものである。 そうすると、本件発明6と甲2−5発明とを対比すると、両者は、少なく とも上記(イ)と同じ相違点を有するものであり、当該相違点についての判 断も上記(イ)の判断と同様である。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明6は 、甲2−5に記載された発明であるとはいえず、また、甲2−5に記載され た発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (エ)本件発明1〜3について 本件発明1〜3と甲2−5に記載された発明とをそれぞれ対比すると、甲2−5に記載の樹脂組成物は、シリカ等の無機充填剤を単に樹脂に混合することが記載されているのみであるが、樹脂に添加する前に2種類の球状シリカを混合して粒度分布を調整することは周知であったとしても、上記(イ)の検討と同様であって、甲2−5の記載からは、本件発明1の「1〜10μmの範囲内に極大値を有するピークにおいて、0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度が2.0%未満」である特定事項を導出することはできない。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1〜3は、甲2−5に記載された発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 カ 甲2−8を主たる証拠とする新規性・進歩性欠如 (ア)甲2−8に記載された発明 記載事項8d、8eの実施例7に着目して整理すると、甲2−8には、次の発明(以下、「甲2−8発明」という。)が記載されていると認められる。 「体積平均粒径1.3μm、(D10/D50)0.2、BET比表面積4.8m2/gであるシリカ粉末。」 (イ)本件発明1について 本件発明1と甲2−8発明とを対比すると、本件発明1は「1〜10μmの範囲内に極大値を有するピークにおいて、0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度が2.0%未満」であるのに対して、甲2−8発明は、0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度については規定されていない点で少なくとも相違している。 当該相違点に係る本件発明1の発明特定事項は、取消理由の対象となっていない点で上記イ(イ)と事情は同じであるが、当該相違点について一応検討すると、甲2−8の記載をみても、当該相違点に係る粒子径の頻度が記載されているとはいえないし、また、甲2−8の記載から本件発明1の当該相違点に係る頻度に粒度を調整するという動機も見出せない。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2−8に記載された発明であるとはいえず、また、甲2−8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (ウ)本件発明5について 本件発明5は、本件発明1に従属するものであって、本件発明1と同一の発明特定事項を具備するものである。 そうすると、本件発明5と甲2−8に記載された発明とをそれぞれ対比すると、両者は、少なくとも上記(イ)と同じ相違点を有するものであり、当該相違点についての判断も上記(イ)の判断と同様である。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明5は、甲2−8に記載された発明であるとはいえず、また、甲2−8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 キ 小括 以上のとおりであるから、取消理由1、2は、理由がない。 (2)取消理由3の判断 ア サポート要件の判断手法について 特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものであるから、以下、この観点に立って検討する。 イ 特許請求の範囲の記載について 本件特許の特許請求の範囲の記載は、第3に記載のとおりである。 ウ 発明の詳細な説明の記載について 本件特許の発明の詳細な説明には、本件発明に関する説明として以下の記載がある(下線部は、当審が付与した。)。 (ア)「【0005】 上記の通り、電子機器は小型化や薄型化の傾向にあり、封止剤に用いられる樹脂組成物にも高い流動性が求められる。 本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、流動性に優れた液状封止材を得るに好適な非晶質シリカ粉末及びそれが充填されてなる樹脂組成物を提供することである。」 (イ)「【0011】 <非晶質シリカ粉末> 本発明は、粒子径頻度分布において最頻径が1〜10μmの範囲にある非晶質シリカ粉末において、0.50μm未満の粒子径の粒子を一定以上含有させ、比表面積を特定の範囲に調整する。この調整により、樹脂組成物としたときの流動性を改善することができる。 【0012】 本発明の非晶質シリカ粉末の粒子径頻度分布において、最頻径が1〜10μmの範囲内にある。非晶質シリカ粉末の粒子径頻度分布における最頻径が10μmを超えると、上記の問題が生じる。一方、粒子径頻度分布における最頻径が1μm未満といった粒径の小さい粉末では液状封止材の粘度が高くなりすぎ、粉末の充填量を高くすることができなくなる。下限値は1.5μm以上であってよく、2.0μm以上であってよく、2.5μm以上であってよく、3.0μm以上であってよく、3.2μm以上であってよい。上限値は8.0μm以下であってよく、7.0μm以下であってよく、6.0μm以下であってよく、5.0μm以下であってよく、4.2μm以下であってよい。ここでいう最頻径とは、粉末の後述する測定方法により得られる粒子径分布において最も高い頻度を示す粒子径のことである。なお、原料となる非晶質シリカ粉末の最頻径が10μmを超えている場合、分級を行って、粒子径分布を調整する。 【0013】 また、1〜10μmの範囲内に極大値を有するピークにおいて、0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度を2.0%未満とすれば、非晶質シリカ粉末の流動性をより高めることができる。より好ましくは1.5%以下、1.0%以下、5%以下であり、0.0%であってよい。0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度を2.0%未満にする方法は、従来公知の方法を採用でき、例えば、精密風力分級機を用いて粗粉側、微粉側をカットする方法を例示できる。なお、0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度は後述する粒度分布の測定方法にて得られる値とする。 ・・・・・ 【0016】 また、本発明の非晶質シリカ粉末は、0.50μm未満の粒子径の粒子の頻度が1.0%以上である。最頻径が1〜10μmの粒子に0.50μm未満の粒子径の粒子を加えることで、非晶質シリカ粉末の流動性を改善することができる。0.50μm未満の粒子径の粒子の頻度の上限は10%以下であってよく、9%以下であってよく、7%以下であってよく、5%以下であってよく、4%以下であってよく、3%以下であってよい。なお、0.50μm未満の粒子径の粒子の頻度は、後述する粒度分布測定により得られる値とする。 ・・・・・ 【0025】 また、本発明の非晶質シリカ粉末において、比表面積を1〜12m2/gとする。非晶質シリカ粉末の比表面積が12m2/gを超える場合には、微粒子間の凝集傾向が増して、非晶質シリカ粉末の流動性が低下する。上限は10.5m2/g以下であってよく、9m2/g以下であってよく、8m2/g以下であってよい。一方、比表面積が1m2/g未満の場合には、非晶質シリカ粉末が最密充填構造を形成しにくくなるために、その流動性が低下する。下限は3m2/g以上が好ましく、4m2/g以上がより好ましく、5m2/g以上がさらに好ましい。 ・・・・・ 【0027】 特に、本発明の効果を高めるために、1〜10μmの範囲内に極大値を有するピークにおいて、0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度を2.0%未満とした場合、非晶質シリカ粉末の比表面積が小さくなる傾向にあるが、0.50μm未満の粒子径の粒子の使用量を増やす等して、比表面積を所望の範囲に調整できる。 ・・・・・ 【0029】 本発明の非晶質シリカ粉末は、13μm以上の粒子径を有する粒子の篩上積算分布が1質量%以下であることが好ましい。0質量%であってもよい。粗粒子が少ないことにより、実装基板とチップ間の高さも狭ギャップの場合であっても好ましく用いることができる。また、粗粒子が少ないことで、非晶質シリカ粉末がさらに最密充填構造を形成しやすくすることが可能となり、液状封止材の流動性が向上する。」 (ウ)「【実施例】 【0042】 <非晶質シリカ粉末の調製> 本発明の調製例の非晶質シリカ粉末は、以下の手順で調製した。なお、原料には市販の非晶質シリカを用いた。なお、この原料は、1〜10μmの範囲に、最頻径のピーク1個がある。 【0043】 [粗粉分級] まず、原料非晶質シリカ粉末は、大きな粒子径を除外するために粗粉分級した。13μm以上の粒子径を有する粒子の篩上積算分布を表1に示した。なお、実施例において、13μm以上の粒子径を有する粒子の篩上積算分布は0.0質量%である。 【0044】 [微粉分級] 次に、一部の実施例について、精密風力分級機を用いて微粉側をカットする方法にて、0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度を調整した。0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度は表1に示す通りである。なお、実施例において、1〜10μmの範囲の最頻径における頻度は9.3〜13.6体積%である。 【0045】 [超微粉配合] 次に、実施例については、微粉分級までの工程で得られた非晶質シリカ粉末と比較して、より粒子径の小さな非晶質シリカ粉体(粒子サイズ(中位径)が0.10μmまたは0.14μmの超微粉)を、表1に示す内添加比率で配合した。この配合において、いずれの実施例も0.1〜0.3μmの範囲には頻度が現れる粒子サイズを選択した。また、1〜10μmの範囲内に極大値を有するピークとは別のピークが現れるように配合した。また、粒子サイズが0.14μmの実施例では0.50μm未満の粒子径の粒子を含むピークの極大値は0.1〜0.3μmの範囲になった。 【0046】 <樹脂組成物の調製> 液状エポキシ樹脂(JER−807(三菱ケミカル社製))と実施例又は比較例のシリカを35:65(重量%)の比率で混合した。 ・・・・・ 【0054】 [樹脂組成物の評価] 混合後の樹脂組成物粘度をレオメーターで測定を行った(せん断速度:1(1/s)、温度:30℃)。結果を表1に示した。 【0055】 [評価結果] 表1に、各非晶質シリカ粉末の調製条件(粉体分級条件、配合)、粉末特性および各非晶質シリカ粉末を用いた樹脂組成物の流動特性(粘度)の物性値を示す。 【0056】 【表1】 ![]() 」 エ 本件特許における発明が解決しようとする課題について 本件発明の課題は、上記ウ(ア)によると、「固形封止用に好適な、流動性に優れる非晶質シリカ粉末及び該非晶質シリカ粉末を含む樹脂組成物を提供する」ことであるといえる。 オ 発明の詳細な説明に記載された粒子径頻度分布についての記載及び実施例について (ア)粒子径頻度分布について 本件発明1に係る「粒子径頻度分布」における発明特定事項に関して、上記ウ(イ)によると、発明の詳細な説明には、「最頻径が3.0〜4.2μmの範囲内」との発明特定事項については、段落【0012】に「粒子径頻度分布における最頻径が1μm未満といった粒径の小さい粉末では液状封止材の粘度が高くなりすぎ、粉末の充填量を高くすることができなくなる。下限値は・・・3.0μm以上であってよく・・・上限値は・・・4.2μm以下であってよい。」と記載され、同じく「1〜10μmの範囲内に極大値を有するピークにおいて、0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度が2.0%未満」との発明特定事項については、段落【0013】に「1〜10μmの範囲内に極大値を有するピークにおいて、0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度を2.0%未満とすれば、非晶質シリカ粉末の流動性をより高めることができる。」と記載され、同じく「0.50μm未満の粒子径の粒子の頻度が1.0%以上かつ9%以下」との発明特定事項については、段落【0016】に「0.50μm未満の粒子径の粒子の頻度が1.0%以上である。最頻径が1〜10μmの粒子に0.50μm未満の粒子径の粒子を加えることで、非晶質シリカ粉末の流動性を改善することができる。・・・0.50μm未満の粒子径の粒子の頻度の上限は・・・9%以下であってよく」と記載されている。 また、本件発明1に係る「3〜10.5m2/gの比表面積」との発明特定事項については、段落【0025】に「非晶質シリカ粉末の比表面積が12m2/gを超える場合には、微粒子間の凝集傾向が増して、非晶質シリカ粉末の流動性が低下する。上限は10.5m2/g以下であってよく・・・比表面積が1m2/g未満の場合には、非晶質シリカ粉末が最密充填構造を形成しにくくなるために、その流動性が低下する。下限は3m2/g以上が好ましく」と記載されている。 さらに、本件発明1に係る「13μm以上の粒子径を有する粒子の篩上積算分布が1質量%以下」との発明特定事項については、段落【0029】に「13μm以上の粒子径を有する粒子の篩上積算分布が1質量%以下であることが好ましい。0質量%であってもよい。粗粒子が少ないことにより、実装基板とチップ間の高さも狭ギャップの場合であっても好ましく用いることができる。また、粗粒子が少ないことで、非晶質シリカ粉末がさらに最密充填構造を形成しやすくすることが可能となり、液状封止材の流動性が向上する。」と記載されている。 (イ)実施例について 上記ウ(ウ)の段落【0042】〜【0045】及び表1によると、市販の非晶質シリカ粉末について、粗粉分級及び一部には微粉分級を行い、さらに超微粉を配合することにより、「最頻径(μm)」、「0.50μm未満の粒子径の粒子の頻度(%)」、「比表面積(m2/g)」及び「0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度(%)」などの非晶質シリカ粉末の粉末特性を調整することができることが理解できる。 上記表1によると、「実施例1〜4」は、「最頻径」が「3.2μm」〜「3.9μm」、「0.50μm未満の粒子径の粒子の頻度」が「1.2% 」〜「7.4%」、「比表面積」が「4.9m2/g」〜「10.1m 2/g」及び「0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度」が「0.0%」〜「1.0%」の範囲にあり、本件発明1の特定事項を充足するが、「比較例1」は、「最頻径」及び「比表面積」は、本件発明1で特定した範囲を充足するものの、「0.50μm未満の粒子径の粒子の頻度」が「0.0%」、「0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度」が「6.7%」であり、本件発明1の特定した範囲を充足しないものであるところ、「実施例1〜4」は、「比較例1」よりも、各非晶質シリカ粉末を用いた樹脂組成物の流動特性(粘度)が特に優れていることが具体的に示されていると認められる。 なお、「実施例5〜7」は、本件訂正請求による訂正により、本件発明1で特定された「0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度」が「2.0%未満」の範囲外になったものであるが、「0.50μm未満の粒子径の粒子の頻度」は充足するものであって、樹脂組成物の流動特性(粘度)は、比較例よりも優れたものである。 そして、実施例1〜7及び比較例において、「13μm以上の粒子径を有する粒子の篩上積算分布」は、0.0質量%である。 カ 本件発明に係る特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との対 比(本件発明と、発明の詳細な説明の記載に基づいて当業者が本件発明の課題を解決できると認識できる範囲との関係について) (ア)本件発明1の粒子径頻度分布における「最頻径」及び「0.50μm未満の粒子径の粒子の頻度」(「取消理由3 (3)ア(ア)(イ)」)の発明特定事項について 本件発明1は、「最頻径」が「3.0μm以上かつ4.2μm以下の範囲内」であること及び「0.50μm未満の粒子径の粒子の頻度」が「1.0%以上かつ9%以下」が特定されているところ、上記オ(ア)のとおり、当該特定事項により、非晶質シリカ粉末の充填性や流動性を高めることができることを理解することができる。 これについて実施例をみると、上記オ(イ)のとおり、特に「0.50μm未満の粒子径の粒子の頻度」が「1.0%以上かつ9%以下」である「実施例」は、当該数値範囲を充足しない「比較例1」よりも樹脂組成物の流動特性(粘度)が優れていることが具体的に裏付けられている。 そうすると、本件発明1に係る上記「最頻径」及び「0.50μm未満の粒子径の粒子の頻度」の範囲内であれば、当業者が本件発明の課題を解決できることを認識し得る範囲のものであるといえる。 また、本件発明1を直接又は間接的に引用する本件発明2、3、5、6に ついても同様である。 (イ)本件発明1の粒子径頻度分布における「0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度」(「取消理由3 (3)イ」について) 本件発明1において、上記オ(ア)のとおり、「0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度」については、「2.0%未満とすれば、非晶質シリカ粉末の流動性をより高めることができる。」と記載されているところ、表1には、当該頻度が6.7%である「比較例」よりも、前記頻度が小さくなるにしたがって、樹脂組成物の流動特性(粘度)が改善され、「2.0%未満」の場合に、樹脂組成物の流動特性(粘度)が特に優れていることが裏付けられている。 そうすると、上記(ア)の発明特定事項に加えて、「0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度」を「2.0%未満」とすることで、当業者が本件発明の課題を解決できることを認識し得る範囲のものであるということができる。 また、本件発明1を直接又は間接的に引用する本件発明2、3、5、6についても同様である。 キ 小括 以上のとおりであるから、本件発明1〜3、5、6は、発明の詳細な説明に記載されたものであって、サポート要件に適合するといえるから、取消理由3に理由はない。 第6 取消理由において採用しなかった特許異議申立理由について 1 申立人1の申立理由 (1)申立理由1―1(新規性欠如)について 取消理由1において、甲1−1に記載のシリカSO−E5に基づいて甲1−1発明を認定したが、申立理由1−1では、同シリカSO−C5に基づいて甲1−1に記載の発明を認定しているところ、両者は粒度分布のグラフは共通し、比表面積の数値範囲も同じである。 そうすると、申立理由1−1に従って、シリカSO−C5により甲1−1に記載された発明を認定した場合も、甲1−1発明と同じとなるから、本件発明1〜3についての判断は、「第5 2(1)イ(イ)、(ウ)」と同様の結論が導かれる。 したがって、本件発明1は、甲1−1に記載された発明であるとはいえな い。 (2)申立理由1―1(進歩性欠如)について 申立理由1―1(進歩性欠如)は、設定登録時の請求項1〜4に係る発明は、甲1−1に記載された発明及び周知技術(甲1−2〜甲1−5)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである、というものである。 ここで、申立理由1−1において、申立人1は、設定登録時の請求項4で特定された「1〜10μmの範囲内に極大値を有するピークにおいて、0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度が2.0%未満である」という発明特定事項について、甲1―1に記載された発明には直接的ないし間接的に開示する記載は見当たらないが、甲1−5(周知技術)に記載された酸化珪素粒子の粒度分布チャートから読み取ることができるから、当該請求項4に係る発明のように、粉末の粒径の選択、粒径の分布の制御については、当業者における設計事項の範囲であると主張している。 しかし、甲1−5において、上記発明特定事項と同様な粒子径の粒子の頻度が読み取れたとしても、甲1−5は、リチウムイオン二次電池用負極材として用いる場合に好適な粒度分布を有する炭素被覆をした酸化珪素粒子を開示するものであって、甲1−1に記載された製品として販売されているシリカ粒子とは異なるものであるから、甲1−1に記載された発明に係るシリカ粒子の粒度を変更するという動機付けにはならない。 また、甲1−2〜甲1−4も、甲1−5と同様に甲1−1に記載された発明のシリカ粒子の粒度を変更する動機付けとなる記載は見当たらない。 したがって、本件発明1は、上記発明特定事項を具備したものであるから、甲1−1に記載された発明及び甲1−2〜1−5に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるはいえない。 また、本件発明2、3、5、6は、本件発明1に従属するものであって、それぞれ本件発明1と同一の発明特定事項を具備するものであるから、本件発明2、3、5、6は、甲1−1に記載された発明及び甲1−2〜甲1−5に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)小括 以上のとおりであるから、申立理由1−1は、理由がない。 2 申立人2の申立理由 (1)申立理由2−1、2−2、2−6、2−7(新規性欠如・進歩性欠如 )について 取消理由において採用しなかった申立理由2−1、2−2、2−6、2−7は、いずれも、設定登録時の請求項1〜3、5、6に係る特許を対象とするものであり、同請求項4に係る特許は対象としていない。 そして、本件発明1は、設定登録時の請求項4の発明特定事項を具備する ものであるから、申立理由2−1、2−2、2−6、2−7によって取消す ことはできない。 また、本件発明1に従属する本件発明2、3、5、6についても同様であ る。 (2)申立理由3(サポート要件違反)について ア 具体的な指摘事項 申立理由3のうち、取消理由に採用しなかった指摘事項は、以下のとおり である。 (ア)本件明細書によれば、本件発明が解決しようとする課題は、本件明細書の段落【0005】(上記「第5 2(2)ウ(ア)」参照)に記載のとおり、「流動性に優れた液状封止剤を得るに好適な非晶質シリカ粉末・・・を提供すること」であるが、その課題にある「流動性に優れた」とはどの程度の流動性であるのかについて本件明細書に定量的に説明されておらず、当該課題自体が、当業者であっても正確に理解することはできない。 したがって、本件明細書の発明の詳細な説明において、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載されておらず、サポート要件を満たしていない。 (イ)本件発明1の「13μm以上の粒子径を有する粒子の篩上積算分布が1質量%以下である」という発明特定事項について、実施例1〜7は、0.0%の例のみであるのに対して、上限を1.0質量%以下と規定しているから、明らかに「発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲」を超えるものであって、サポート要件を満たしていない。 イ 申立理由3についての検討 (ア)「流動性に優れた」との記載について(上記「ア(ア)」) 本件明細書の発明の詳細な説明を参照すると、本件発明の非晶質シリカ粉末に係る発明特定事項が非晶質シリカ粉末の流動性に寄与することが記載されているから(上記「第5 2(2)ウ(イ)」参照 (段落【0011】〜【0013】、【0016】、【0025】、【0029】))、当業者であれば、本件発明の発明特定事項により非晶質シリカ粉末の流動性及び充填性を改善することができ、ひいては当該非晶質シリカ粉末を含有する樹脂組成物が流動性に優れたものであることを理解することができる。 そして、実施例の欄には、樹脂組成物の流動性の指標の一つとして粘度を測定することで、本件発明の発明特定事項を全て充足する実施例(実施例1〜4)は、比較例よりも粘度が小さい樹脂組成物が得られたことが把握できる(段落【0054】、表1)。 そうすると、これらの記載に接した当業者であれば、本件発明は、本件発明の課題を「流動性に優れた」という記載がどの程度の流動性であるかを定量的に特定するまでもなく、本件発明の課題を解決できることを認識することができる。 (イ)「13μm以上の粒子径を有する粒子の篩上積算分布が1質量%以下である」という発明特定事項について(上記「ア(イ)」) 上記「第5 2(2)オ(ア)」によると、本件発明において、特に粒子径頻度分布において「最頻径」が「3.0μm以上かつ4.2μm以下の範囲内」にあること、「0.50μm未満の粒子径の粒子の頻度が1.0%以上かつ9%以下」であること及び「0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度が2.0%未満」であることにより、非晶質シリカ粉末の流動性を高めることができ、これに加えて、「13μm以上の粒子径を有する粒子の篩上積算分布」の上限を「1質量%以下」と規定することにより、さらに非晶質シリカ粉末がさらに細密充填構造を形成しやすくなることが可能となって流動性がより改善されるということを理解することができる。 これについて、実施例をみると、上記「第5 2(2)オ(イ)」のとおり、「13μm以上の粒子径を有する粒子の篩上積算分布」が0質量%である場合において、「最頻径」が「3.0μm以上かつ4.2μm以下」である非晶質シリカ粉末について、最頻径の近傍である「0.50〜1.83μm」の粒子径の「粒子の頻度が2.0%未満」となるように調整することで、流動性が優れた非晶質シリカ粉末とすることができることを把握することができる。 そうすると、上記実施例と比較例との対比から、「13μm以上の粒子径を有する粒子が1質量%以下」の範囲で含まれている非晶質シリカ粉末であったとしても、本件発明1で特定するように粒子径頻度分布の「最頻径」及び「0.50〜1.83μmの粒子の頻度」を調整することで、このような粒子径頻度分布を充足しない非晶質シリカ粉末よりも流動性が向上することを当業者であれば理解することができる。 したがって、「13μm以上の粒子径を有する粒子の篩上積算分布が1質量%以下」であることを発明特定事項として具備する本件発明1は、当業者が本件発明の課題を解決できることを認識し得る範囲のものであるといえる。 また、本件発明1を直接又は間接的に引用する本件発明2、3、5、6についても同様である。 (5)小括 以上のとおりであるから、申立理由2−1、2−2、2−6、2−7、及び申立理由3は、理由がない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1〜3、5、6に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1〜3、5、6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、本件請求項4に係る特許は、本件訂正請求により削除されたため、申立人1、2による本件特許の請求項4に対する申立ては、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 粒子径頻度分布において最頻径が3.0μm以上かつ4・2μm以下の範囲内にあり、0.50μm未満の粒子径の粒子の頻度が1.0%以上かつ9%以下であり、3〜10.5m2/gの比表面積を有し、かつ、13μm以上の粒子径を有する粒子の篩上積算分布が1質量%以下であり、さらに、1〜10μmの範囲内に極大値を有するピークにおいて、0.50〜1.83μmの粒子径の粒子の頻度が2.0%未満であることを特徴とする非晶質シリカ粉末。 【請求項2】 溶融化率95%以上である、請求項1に記載の非晶質シリカ粉末。 【請求項3】 ウラン元素およびトリウム元素の含有量の合計が10ppb以下である、請求項1または2に記載の非晶質シリカ粉末。 【請求項4】 (削除) 【請求項5】 請求項1〜3いずれかに記載の非晶質シリカ粉末を10〜90質量%含有してなることを特徴とする樹脂組成物。 【請求項6】 液状封止材である、請求項5に記載の樹脂組成物。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2023-05-23 |
出願番号 | P2020-141932 |
審決分類 |
P
1
651・
113-
YAA
(C01B)
P 1 651・ 121- YAA (C01B) P 1 651・ 537- YAA (C01B) |
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
宮澤 尚之 |
特許庁審判官 |
後藤 政博 増山 淳子 |
登録日 | 2021-04-12 |
登録番号 | 6867540 |
権利者 | デンカ株式会社 |
発明の名称 | 非晶質シリカ粉末及びそれを含有する樹脂組成物 |
代理人 | 佐藤 剛 |
代理人 | 佐藤 剛 |
代理人 | 川本 真由美 |
代理人 | 川本 真由美 |