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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61M
管理番号 1400970
総通号数 21 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-12-13 
確定日 2023-08-14 
事件の表示 特願2019−555573「プロペラ及びプロペラを移動させる方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年10月18日国際公開、WO2018/189263、令和 2年 6月25日国内公表、特表2020−518320〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年) 4月11日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2017年 4月12日 (EP)欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、その後の手続の概要は以下のとおりである。
令和 1年12月11日提出:手続補正書
令和 2年12月23日付け:拒絶理由通知書
令和 3年 6月 7日提出:意見書及び手続補正書
令和 3年 8月 3日付け:拒絶査定
令和 3年12月13日提出:審判請求書及び手続補正書
令和 4年 1月24日提出:手続補正書(方式)
令和 4年 5月11日提出:上申書
令和 4年 6月23日付け:拒絶理由通知書
令和 4年12月26日提出:意見書及び手続補正書


第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、令和 4年12月26日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである(以下「本願発明」という。)。

「【請求項1】
螺旋状のプロペラ(1)であって、前記プロペラ(1)を少なくとも部分的に包囲する粘弾性媒体に対して前記プロペラ(1)の回転運動を前記プロペラ(1)の移動に変換する螺旋状のプロペラ(1)において、前記プロペラ(1)の少なくとも1つの断面(5)であって、前記プロペラ(1)の螺旋軸と直交する断面(5)のアスペクト比であって、前記螺旋軸が前記断面を貫通する点から前記断面の周縁の点まで伸びる半径により決定されるアスペクト比が3以上であり、前記プロペラの前記螺旋軸と直交する少なくとも1つの断面において前記螺旋軸が前記プロペラを貫通しており、前記プロペラ(1)の螺旋軸(4)と直交する前記プロペラ(1)の任意の断面(5)の最大半径(6)が1mm以下であることを特徴とする、螺旋状のプロペラ。」


第3 当審の拒絶の理由
令和 4年 6月23日付けで当審が通知した拒絶理由のうちの理由3は、概略、次の理由を含むものである。

本願発明は、本願の優先権主張の日前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1.特表2016−511074号公報


第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1には、図面と共に以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付したものである。以下同様。)。

「【0001】
本発明は、概して、診断及び治療目的で、内部身体領域、特に、椎間板及び椎骨において、空洞を形成するためのツール及び手順に関する。
【背景技術】
【0002】
円板物質の処置及び除去のためのある診断及び治療手順は、椎間板を含む内部身体領域における空洞へのアクセス及び/又は空洞の形成を必要とする。椎間板は、弾性の軟組織物質(線維輪)の厚い外環、及び内部のゲル様の物質(髄核)を含む。健康な円板物質は、脊椎の可撓性を維持することに役立ち、脊椎にわたる負荷を消散する衝撃吸収材として作用する。円板物質の状態が、例えば、変性円板疾患、ヘルニア、及び/又は損傷の結果として悪化する時、患者は、脊椎の罹患領域の正常な整合又は湾曲の変形、並びに、慢性合併症、及び生活の質への全体的な悪影響に見舞われ得る。」

「【0016】
図1A〜1Gは、例示的な物質除去器具100の斜視図を提供する。例示的な物質除去器具100は、カニューレ120と、回転機構140とを含むことができる。回転機構140は、シャフト142を含むことができる。シャフト142は、細長い円筒構造を画定することができる。別の実施例(図示せず)において、シャフト142は、例えば、楕円形、正方形、長方形、又は任意の他の規則的若しくは不規則的形状を含む、任意の好適な形状を有する断面を伴う、細長い構造を画定することができる。シャフト142は、可撓性物質(例えば、ポリマー、ニチノール)又は剛性物質から構築することができる。硬質及び/又は剛性物質から構築される例示的なシャフト142は、断面力に関して、全体の可撓性挙動を提供する、構造的修正(例えば、幾何学的切り欠き又は形状)を含むことができる。シャフト142の可撓性はまた、切断表面152とフランク158との間の連結(図示せず)によって達成することができる。
【0017】
シャフト142は、シャフト142本体の外側表面から延在するブレード146を含むことができる。ブレード146は、縦方向にシャフト142の長さに沿って、シャフト142の外側表面から半径方向に延在することができる。同様に、ブレード146は、シャフト142の遠位端148から延在することができる。例示的なブレード146は、約12mm〜約17mmのシャフト142の縦軸に沿った長さを有することができる。例示的なブレード146は、約0.4mm〜約2mmの範囲の厚さを有することができる。」

「【0019】
ブレード146はまた、回転機構140の縦軸の周囲で回転する部分を含むことができる。例えば、図1A〜1D、1F、及び1Gに例解されるように、ブレード146は、シャフト142の縦軸の周囲で回転する、螺旋状の表面を形成することができる。ブレード146の回転/ねじれの角度は、ブレード146が回転する時、内部円板/骨表面へのハンマー効果を防止するように決定することができる。ハンマー効果は、円板/骨物質が、ブレード回転中に変化するブレード146によって創出される空洞の高さの結果として衝突される時に生じる。結果として、ブレード146の回転/ねじれの角度は、回転したブレード146によって画定される幅/高さが略一定であるように決定することができる。
【0020】
図3は、種々の角度で回転される/ねじられる例示的なブレード146の例解図を提供する。行Aは、0°のブレードねじれを伴う例示的なブレード146を提供する。図3の左から右へ、ブレード146は、種々の配向で示される。ブレード146全体が0°、45°、及び90°間で回転する際、ブレード146によって画定される高さは、側面から見た時、著しく変化する。例えば、行Aは、0°のブレードねじれを有する例示的なブレード146を提供する。0°の配向において、ブレード146は、狭い高さプロファイルを有する。高さプロファイルは、ブレード146全体が45°〜90°の配向で回転する際、急激に増加する。0°のブレードねじれを伴うブレード146は、約70%変化するブレード高さを有し得ることが推定され得る。ブレード高さのかかる急激な変化は、ブレード146の回転中に、反対の円板表面へのハンマー効果を引き起こし得る。」

「【0029】
図1A〜1D及び1F〜1Hに例解されるように、回転機構140は、カニューレ120内に配置することができる。カニューレ120は、回転機構140の回転を可能にするようにサイズ決定及び構成される。カニューレ120はまた、カニューレボア122及び/又は回転機構140を通過する変位した物質に対して、トルク伝達要素として機能することができる。例示的な回転機構140において、カニューレ120の回転移動は、固定することができる。別の実施例において、カニューレ120は、回転機構140の同じ又は反対の方向において回転することができる。カニューレ120は、細長い円筒構造を画定することができる。カニューレ120は、可撓性物質(例えば、ポリマー、ニチノール)又は剛性物質から構築することができる。硬質及び/又は剛性物質から構築される例示的なカニューレ120は、断面力に関して、全体の可撓性挙動を提供する、構造的修正(例えば、幾何学的切り欠き又は形状)を含むことができる。
【0030】
例示的なカニューレ120は、約3mm〜約6mmの範囲の外径を有することができる。別の実施例において、カニューレ120は、約5mm〜約6mmの範囲の外径を有することができる。更なる実施例において、カニューレ120は、約5.5mmの外径を有することができる。カニューレ120は、回転機構140に適応するようにサイズ決定及び構成される中央ボア122を含むことができる。中央ボア122の内径は、約2mm〜約5mmの範囲であり得る。カニューレ120はまた、中央ボア122へのアクセスを提供する開口124を含むことができる。開口124は、物質除去器具100が患者内に位置する時、ブレード146の少なくとも一部分に、標的領域へのアクセスが提供されるように、回転機構140上に位置することができる。開口124は、図1A〜D及び1F〜1Hに例解されるように、カニューレ120の端部に位置することができる。この実施例において、ブレード146の少なくとも一部分を含む回転機構140は、カニューレ開口124から延在することができる。別の実施例(図示せず)において、開口124は、カニューレ120の側方表面上に位置することができる。この実施例において、カニューレ開口124は、ブレード146の少なくとも一部分を含む、回転機構140の少なくとも一部分が、カニューレ開口124から延在するように、サイズ決定及び位置することができる。開口124は、例えば、円形、楕円形、正方形、長方形、又は任意の他の規則的若しくは不規則的形状を含む、任意の好適な形状を画定することができる。
【0031】
使用中、物質除去器具100は、隣接する椎骨間及び/又は椎骨間の中で骨物質及び/又は円板物質を除去することができる。円板物質の除去(例えば、椎間板切除)のために使用される時、円板アクセスは、後方及び/又は後側方経皮、エクストラペディキュラ手法を介して、得ることができる。ガイドワイヤが使用される場合、それは円板の中へ挿入することができる。図5に提供されるように、導入カニューレ102は、ガイドワイヤ上でスライドさせ、円板空間の中へ導入することができる。例示的な導入カニューレ102は、約3mm〜約7mmの外径を有することができる。次いで、カニューレ120及び回転機構140は、導入カニューレ102を介して、円板空間の中へ提供することができる。物質除去器具100(カニューレ120及び回転機構140)は、カニューレ開口124が円板内の標的領域に近接するように、位置することができる。一度標的領域に位置すると、回転機構140は、カニューレ120内で回転することができ、ブレード146を標的領域において円板物質に接触及びそれを変位させ、それにより、例えば、円板空間内に空洞を創出する。例示的な物質除去器具100において、回転機構140の近位端150は、回転エネルギー源に動作的に結合させることができる。
【0032】
変位した物質は、カニューレ開口124の中へ、かつカニューレボア122を通って、引き出すことができる。上で概説されるように、回転機構140の回転は、補助的吸入/吸引の使用を伴わずに、カニューレ開口124の中へ、かつカニューレボア122を通って、変位した組織を付勢する、ポンプ作用を創出することができる。別の実施例において、カニューレボア122の近位端は、標的領域及び/又はカニューレボア122からの変位した物質の除去を支援するように、吸引デバイスに動作的に結合させることができる。」

「【図1A】



「【図1C】



2 上記1の記載及び図示内容から、引用文献1には次の事項が記載されている。

(1)段落【0001】、【0002】及び【0031】の記載内容から、回転機構140を含む物質除去器具100は、椎間板に空洞を形成するためのものであって、椎間板に含まれる物質(円板物質)を除去するために使用されるものであり、段落【0016】及び【0017】の記載内容も合わせて考慮すれば、前記回転機構140のブレード146が椎間板内の標的領域において前記円板物質に接触することで該円板物質を除去し、椎間板に空洞を形成するものである。

(2)段落【0019】の記載内容及び図1Aの図示内容から、ブレード146は螺旋状である。

(3)段落【0017】には、ブレード146が、約0.4mm〜約2mmの範囲の厚さを有することが記載されている。

(4)段落【0029】〜【0030】には、ブレード146を含む回転機構140がカニューレ120内に配置されること、及び、該カニューレ120は、回転機構140に適応するようにサイズ決定及び構成される中央ボア122を含み、該中央ボア122の内径は約2mm〜約5mmの範囲内であることが記載されている。当該記載を踏まえると、ブレード146は、カニューレ120の内径約2mm〜約5mmの中央ボア122内で回転可能なサイズを有するように構成されている。

(5)段落【0019】の記載内容及び図1Cの図示内容から、ブレード146は、シャフト142の縦軸の周囲で回転するように螺旋状の表面が形成されているので、ブレード146は、シャフト142の該縦軸と直交する少なくとも1つの断面において前記縦軸が前記ブレード146を貫通する。

3 上記1の記載事項及び上記2の事項を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「螺旋状のブレード146であって、前記ブレード146が椎間板内の標的領域において前記椎間板に含まれる物質(円板物質)に接触することで該円板物質を除去し、前記椎間板に空洞を形成する螺旋状のブレード146において、前記ブレード146は、約0.4mm〜約2mmの範囲の厚さを有し、カニューレ120の内径約2mm〜約5mmの中央ボア122内で回転可能なサイズを有するように構成され、前記ブレード146のシャフト142の縦軸と直交する少なくとも1つの断面において前記縦軸が前記ブレード146を貫通する、螺旋状のブレード146。」


第5 対比
1 対比
(1)本願発明と引用発明とを対比すると、その構造、機能からみて、引用発明の「螺旋状のブレード146」及び「シャフト142の縦軸」は、本願発明の「螺旋状のプロペラ」及び「螺旋軸」にそれぞれ相当する。

(2)上記第4の1のとおり、引用文献1の段落【0002】には、「椎間板は、弾性の軟組織物質(線維輪)の厚い外環、及び内部のゲル様の物質(髄核)を含む。」と記載されており、当該記載事項を踏まえると、引用発明の「椎間板に含まれる物質(円板物質)」は、本願発明の「粘弾性媒体」に相当する。
そして、引用発明の「ブレード146が椎間板内の標的領域において前記椎間板に含まれる物質(円板物質)に接触することで前記円板物質を除去し、前記椎間板に空洞を形成する」ことは、引用文献1の段落【0031】〜【0032】の記載事項から、少なくとも部分的に円板物質に包囲されたブレード146が、前記円板物質内を回転運動することによって該円板物質を除去して空洞を形成することであるので、引用発明の当該記載と本願発明の「プロペラを少なくとも部分的に包囲する粘弾性媒体に対して前記プロペラの回転運動を前記プロペラの移動に変換する」とは、「プロペラを少なくとも部分的に包囲する粘弾性媒体に対して前記プロペラが回転運動する」限りで一致する。

(3)引用発明の「ブレード146は、約0.4mm〜約2mmの範囲の厚さを有し、カニューレ120の内径約2mm〜約5mmの中央ボア122内で回転可能なサイズを有するように構成され」と、本願発明の「プロペラの少なくとも1つの断面であって、前記プロペラの螺旋軸と直交する断面のアスペクト比であって、前記螺旋軸が前記断面を貫通する点から前記断面の周縁の点まで伸びる半径により決定されるアスペクト比が3以上であり」、「前記プロペラの螺旋軸と直交する前記プロペラの任意の断面の最大半径が1mm以下である」とは、「プロペラが所定範囲のサイズを有する」限りで一致する。

2 一致点及び相違点
したがって、本願発明と引用発明とは、
「螺旋状のプロペラであって、前記プロペラを少なくとも部分的に包囲する粘弾性媒体に対して前記プロペラが回転運動する螺旋状のプロペラにおいて、前記プロペラの螺旋軸と直交する少なくとも1つの断面において前記螺旋軸が前記プロペラを貫通しており、前記プロペラが所定範囲のサイズを有する、螺旋状のプロペラ。」
である点で一致し、以下の点で一応相違している。

[相違点1]
プロペラを少なくとも部分的に包囲する粘弾性媒体に対してプロペラが回転運動することに関し、本願発明は、粘弾性媒体に対して「プロペラ(1)の回転運動を前記プロペラ(1)の移動に変換する」のに対し、引用発明は、椎間板に含まれる物質(円板物質)に接触することで前記円板物質を除去し、前記椎間板に空洞を形成する点。

[相違点2]
プロペラが所定範囲のサイズを有することに関し、本願発明は、「プロペラ(1)の少なくとも1つの断面(5)であって、前記プロペラ(1)の螺旋軸と直交する断面(5)のアスペクト比であって、前記螺旋軸が前記断面を貫通する点から前記断面の周縁の点まで伸びる半径により決定されるアスペクト比が3以上であり」、「前記プロペラ(1)の螺旋軸(4)と直交する前記プロペラ(1)の任意の断面(5)の最大半径(6)が1mm以下である」のに対し、引用発明は、ブレード146は、約0.4mm〜約2mmの範囲の厚さを有し、カニューレ120の内径約2mm〜約5mmの中央ボア122内で回転可能なサイズを有する点。


第6 判断
1 上記各相違点について以下検討する。

(1)相違点1について
引用発明におけるブレード146は、円板物質内を回転運動することによって該円板物質を除去して空洞を形成するものである。ここで、形成された当該空洞が所定の長さを有することは明らかであり、所定長の空洞を形成するためには、ブレード146の回転運動によって円板物質を除去しながら該円板物質中を移動する必要があることは自明である。また、螺旋状に形成されたブレードが固体物や粘性物内を回転運動する際、当該ブレードの回転運動が直線方向の推進力に変換されることは技術常識であることを踏まえると、ブレード146の螺旋形状が回転運動することで円板物質中の移動に寄与することは明らかである。
そうすると、上記第5の1(2)のとおり、引用発明の「椎間板に含まれる物質(円板物質)」は、本願発明の「粘弾性媒体」に相当するから、引用発明の螺旋状のブレード146は、粘弾性媒体に対して推進を行うものであって、該ブレード146の回転運動を該ブレード146の移動に変換するものである。
また、引用文献1の段落【0016】〜【0017】の記載から、引用発明のブレード146は、シャフト142を介して回転運動が入力されるものであるが、本願明細書の段落【0039】には、本願発明のプロペラの駆動トルクがロッドによって入力される例が記載されていることから、両者の回転運動の入力態様に差異はなく、この点からみても引用発明のブレード146が粘弾性媒体である円板物質に対して回転運動することで、該ブレード146の回転運動を該ブレード146の移動に変換するものといえる。
してみると、上記相違点1は実質的な相違点ではない。

(2)相違点2について
引用発明における螺旋状のブレード146は、約0.4mm〜約2mmの範囲の厚さを有し、カニューレ120の内径約2mm〜約5mmの中央ボア122内で回転可能なサイズを有するように構成されている。
ここで、仮に、該ブレード146の厚さが0.4mm、カニューレ120の中央ボアの内径が2mmである場合、該ブレード146の遠位端(引用文献1の図1Cにおいて符号148で示される部分)における断面は、ブレード146の回転直径を中央ボアの内径と同じにするとブレード146の回転に支障があることが技術常識であることを考慮すれば、厚さが0.4mm、対角線長さが2mm未満の矩形形状をなすものであって、該矩形形状の中心をシャフト142の縦軸が貫通することは、図1A及び図1Cの図示内容から明らかである。そして、そのような矩形形状において、仮に、前記対角線長さを1.9mmに設計すると、最大半径は前記対角線長さの1/2である0.95mmであり、最小半径は厚さ0.4mmの1/2である0.2mmであるので、当該断面におけるアスペクト比(断面の最小半径によって除された断面の最大半径であり、半径は断面中心から断面の周縁の点までの距離)は、最大半径0.95mm÷最小半径0.2mm=4.75となる(本願の図1(b)に倣い当審において作成した以下の参考図を参照。)。

(参考図)


してみると、引用発明は、中央ボア122の内径が2mmであるカニューレ120を使用する場合において、螺旋状のブレード146のシャフト142の縦軸と直交する断面において、前記ブレード146の前記縦軸が前記断面を貫通する点から前記断面の周縁の点まで伸びる半径により決定されるアスペクト比が3以上であり、前記ブレード146の前記縦軸と直交する前記ブレード146の任意の断面の最大半径が1mm以下のものを含む。そして、ブレード146及びカニューレ120のサイズは、治療部位や作業性等を考慮して当業者によって適宜決定されるものであることに鑑みれば、中央ボア122の内径が2mmであるカニューレ120を使用し、該カニューレ120内で回転可能なブレード146のサイズを適宜設定することで、前記相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明から当業者が予測し得る程度のものであって、格別のものとはいえない。

2 よって、本願発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。

審判長 内藤 真徳
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
 
審理終結日 2023-03-23 
結審通知日 2023-03-24 
審決日 2023-04-04 
出願番号 P2019-555573
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A61M)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 内藤 真徳
特許庁審判官 安井 寿儀
栗山 卓也
発明の名称 プロペラ及びプロペラを移動させる方法  
代理人 森本 聡二  
代理人 中村 綾子  
代理人 奥山 尚一  
代理人 有原 幸一  

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