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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1401550
総通号数 21 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-02-17 
確定日 2023-09-12 
事件の表示 特願2021−569081「積層集積回路ダイ素子と電池を集積するためのシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年11月26日国際公開、WO2020/236379、令和 4年 7月12日国内公表、特表2022−531983、請求項の数(17)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2020年(令和2年)4月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2019年5月21日、米国、2020年2月12日、米国、2020年3月5日、米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年12月22日 :手続補正書の提出
令和4年 5月30日付け:拒絶理由通知書
令和4年 9月 5日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年11月16日付け:拒絶査定
令和5年 2月17日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和4年11月16日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項7に係る発明は、以下の引用文献1−2に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。さらに、本願請求項1−5,7−11,13−17に係る発明は、以下の引用文献1−3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。加えて、本願請求項12に係る発明は、以下の引用文献1−4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特開2005−110443号公報
2.特開2003−223937号公報(周知技術を示す文献)
3.特表2005−512229号公報
4.米国特許出願公開第2006/0001137号明細書

第3 本願発明
本願請求項1−17に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明17」という。)は、令和5年2月17日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1−17に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1−17は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
システムであって、
集積回路ダイ基板と、
前記集積回路ダイ基板に電気的に連結された揮発性メモリと、
前記集積回路ダイ基板に電気的に連結された、第1のフィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)を備える第1の集積回路ダイ素子と、
オン状態およびオフ状態を有する主電源から電力を受け取るように動作可能な充電器であって、前記主電源は、前記オン状態にあるとき、電力を供給して前記揮発性メモリを維持するように構成され、前記オフ状態にあるとき、電力を供給して前記揮発性メモリを維持することのないように構成される充電器と、
前記充電器から電力を受け取るように動作可能であり、少なくとも、前記主電源が前記オフ状態にあるとき、前記揮発性メモリに電力を供給するように動作可能な電池モジュールと、
前記システムの少なくとも一部分の温度を監視するように動作可能な温度センサと、
前記温度に基づき、前記揮発性メモリを前記主電源に接続する、または前記揮発性メモリを前記バッテリーモジュールに接続する、1つまたは複数の接続回路を無効にし、それにより、過大な温度から前記揮発性メモリを保護する、前記温度センサに連結された制御論理およびマイクロコントローラユニットと
を備えるシステム。
【請求項2】
前記揮発性メモリと積層され、前記揮発性メモリに電気的に連結された第2の集積回路ダイ素子をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2の集積回路ダイ素子はマイクロプロセッサを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2の集積回路ダイ素子は第2のFPGAを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2の集積回路ダイ素子は、マイクロプロセッサ、追加の揮発性メモリ、第2のFPGA、または再構成可能二重機能メモリアレイのうちいずれかを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
システムであって、
集積回路ダイ基板と、
前記集積回路ダイ基板に電気的に連結された揮発性メモリと、
第1のFPGAを備え、かつ前記揮発性メモリに近接して配置された、前記集積回路ダイ基板に電気的に連結された第1の集積回路ダイ素子と、
オン状態およびオフ状態を有する主電源から電力を受け取るように動作可能な充電器であって、前記主電源は、前記オン状態で電力を供給しており、前記オフ状態で電力を供給していない充電器と、
第1の集積回路ダイ素子の最上部部分の上に配置され、前記充電器から電力を受け取るように動作可能であり、少なくとも、前記主電源が前記オフ状態にあるとき、前記揮発性メモリに電力を供給するように動作可能な電池モジュールと、
前記システムの少なくとも一部分の温度を監視および検知するように動作可能な温度センサと、
前記温度センサに連結された制御論理およびマイクロコントローラユニットと、を備え

前記制御論理およびマイクロコントローラユニットは、検知された前記温度に基づき障害状態の間に1つまたは複数の接続回路のうちの1つの接続回路を無効にするように動作可能であり、
前記1つまたは複数の接続回路は、非障害状態の間に前記主電源が前記オフ状態にあるとき、前記揮発性メモリが前記電池モジュールから電力を受け取り続けることができるようにしている間に前記揮発性メモリからの電力漏出を防止するように動作可能である、
システム。
【請求項7】
システムであって、
揮発性メモリと、
オン状態およびオフ状態を有する主電源から電力を受け取るように動作可能な充電器であって、前記主電源は、前記オン状態にあるとき、電力を供給して前記揮発性メモリを維持するように構成され、前記オフ状態にあるとき、電力を供給して前記揮発性メモリを維持することのないように構成される充電器と、
前記充電器から電力を受け取るように動作可能であり、少なくとも、前記主電源が前記オフ状態にあるとき、前記揮発性メモリに電力を供給するように動作可能な電池モジュールと、
前記システムの少なくとも一部分の温度を監視するように動作可能な温度センサと、
前記温度に基づき、前記揮発性メモリを前記主電源に接続する、または前記揮発性メモリを前記電池モジュールに接続する1つまたは複数の接続回路を無効にするように動作可能であり、それにより、過大な温度から前記揮発性メモリを保護する、前記温度センサに連結した制御論理およびマイクロコントローラユニットと
を備えるシステム。
【請求項8】
前記揮発性メモリと積層され、前記揮発性メモリに電気的に連結された集積回路ダイ素子をさらに備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記集積回路ダイ素子はマイクロプロセッサを備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記集積回路ダイ素子はFPGAを備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記集積回路ダイ素子は、マイクロプロセッサ、追加の揮発性メモリ、FPGA、または再構成可能二重機能メモリアレイのうちいずれかを備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
システムであって、
集積回路ダイ基板と、
前記集積回路ダイ基板に電気的に連結された揮発性メモリと、
集積回路ダイ基板に電気的に連結され、前記揮発性メモリに近接して配置された第1の集積回路ダイ素子と、
オン状態およびオフ状態を有する主電源から電力を受け取るように動作可能な充電器であって、前記主電源は、前記オン状態で電力を供給しており、前記オフ状態で電力を供給していない充電器と、
前記集積回路ダイ基板上に配置され、前記充電器から電力を受け取るように動作可能であり、少なくとも、前記主電源が前記オフ状態にあるとき、前記揮発性メモリに電力を供給するように動作可能な電池モジュールと、
前記システムの少なくとも一部分の温度を監視および検知するように動作可能な温度センサと、
前記温度センサに連結された制御論理およびマイクロコントローラユニットと、を備え、
前記制御論理およびマイクロコントローラユニットは、検知された前記温度に基づき障害状態の間に、前記揮発性メモリを前記主電源に接続する、または前記揮発性メモリを前記電池モジュールに接続する1つまたは複数の接続回路のうちの1つの接続回路を無効にするように動作可能であり、
前記1つまたは複数の接続回路は、非障害状態の間に前記主電源が前記オフ状態にあるとき、前記揮発性メモリが前記電池モジュールから電力を受け取り続けることができるようにしている間に前記揮発性メモリからの電力漏出を防止するように動作可能である、
システム。
【請求項13】
揮発性メモリ、充電器、および電池モジュールを含むシステムが遂行する方法であって、
前記揮発性メモリにより、オン状態およびオフ状態を有する主電源から電力を受け取るステップであって、前記主電源は、前記オン状態にあるとき、電力を供給して前記揮発性メモリを維持するように構成され、前記オフ状態にあるとき、電力を供給して前記揮発性メモリを維持することのないように構成され、前記揮発性メモリは、集積回路ダイ基板に連結される、前記ステップと、
前記充電器により、前記主電源から電力を受け取るステップと、
前記電池モジュールにより、前記充電器から電力を受け取るステップと、
前記揮発性メモリにより、少なくとも、前記主電源が前記オフ状態にあるとき、前記電池モジュールから電力を受け取るステップと、
温度センサにより、前記システムの少なくとも一部分の温度を検出するステップと、
制御論理およびマイクロコントローラユニットにより、前記温度に応答して、前記揮発性メモリを前記主電源に接続する、または前記揮発性メモリを前記電池モジュールに接続する第1の接続回路を無効にし、それにより、過大な温度から前記揮発性メモリを保護するステップと
を備える方法。
【請求項14】
前記揮発性メモリは、集積回路ダイ素子と積層される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記集積回路ダイ素子はマイクロプロセッサを備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記集積回路ダイ素子はFPGAを備える、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記集積回路ダイ素子は、マイクロプロセッサ、追加の揮発性メモリ、FPGA、または再構成可能二重機能メモリアレイのうちいずれかを備える、請求項14に記載の方法。」

第4 引用文献、引用発明
1 引用文献1、引用発明
(1)引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項の記載がある(下線は、当審で付した。以下同じ。)。

「【0009】
以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態を示すブロック図である。図1において、1は携帯情報端末、2は充電回路、3はリチウムイオンバッテリパック(以下、バッテリパックとする)、4はリチウムイオンバッテリ(以下、バッテリとする)、5はバッテリパック3の内部温度を検出する温度センサであり、ここではサーミスタを用いているがこれに特定されるものではない。6は電源回路、7はCPU、8は基準値(バッテリ充電適正温度)やCPU7を発熱させるための演算処理プログラムを記憶しているROM (Read Only Memory)、9はデータやプログラムを記憶するRAM (Random Access Memory)、10は入力部や表示部などを含むその他周辺回路、11は外部電源であるACアダプタであり、商用電源(AC100V)に接続し内部で直流に変換され、その出力端子部は携帯情報端末1の電源端子部と接続可能となっている。12はスイッチであり、携帯情報端末1がACアダプタ11に接続されていない時はON状態であり、バッテリ4の電力を電源回路6に供給する。携帯情報端末1がACアダプタ11に接続されるとスイッチ12はOFF状態となり、商用電源から直流に変換された電力が充電回路2および電源回路6に供給される。ここで、携帯情報端末1にACアダプタ11が接続されたかどうかの判別の動作について説明する。充電回路2に含まれる外部電源検知手段は充電回路2の入力部に電源が供給されているかどうかを常に監視し、その結果をCPU7に送り、CPU7が携帯情報端末1にACアダプタ11が接続されているかどうかを常に判断している。
【0010】
ここで、低温環境下での充電動作の概要を説明する。ACアダプタ11を商用電源に接続し、携帯情報端末1を待機状態(電源OFF状態ではない)でACアダプタ11に接続すると、スイッチ12をOFF状態にし、ACアダプタ11からの電力を電源回路6と充電回路2へ供給するとともに比較処理モードになり、バッテリパック3の内部温度を温度センサ5により検知し、その出力をAD変換器(図示せず)を介してCPU7に取り込み、ROM8に記憶されている基準値(バッテリ充電適正温度)と比較を行う。バッテリパック3の内部温度が基準値より低いと判断されると、CPU7は演算処理モードとなりROM8に記憶されているCPU7部等での発熱量の大きな演算処理プログラムである画像処理を実行する。このとき、スイッチ12はOFF状態のため、ACアダプタ11から電源回路6を介してCPU7および他の回路へ電力を供給するとともに、充電回路2を介してバッテリ4への充電をする。この画像処理の実行による携帯情報端末1の内部における主な発熱源はCPU7であり、充電回路2、電源回路6、ROM8、RAM9、その他周辺回路10も動作時に発熱するが、その発熱量はCPU7に比べて少ないため、ここではCPU7の発熱量に含めて考えることにする。画像処理は処理の規模が大きく負荷率が大きいためCPU7の発熱量は大きくなる。
【0011】
その後、CPU7からの熱が携帯情報端末1の内部を暖め、ひいてはバッテリパック3の内部を暖めることになり、バッテリパック3の内部温度が基準値に達するとCPU7は画像処理の演算処理プログラムを停止し、待機モードとして充電を継続し、やがてバッテリ4の充電は完了する。バッテリ充電の完了(満充電)はバッテリ4への充電電流をCPU7により監視し、充電電流が一定値より小さくなった事を検出して充電動作を停止する。このように内部発熱でバッテリ4を加温することで、低温環境下での充電割合アップを図ることにより、バッテリ4の加温のための部品の追加を不要とし小型、軽量化を実現できる。」

【図1】「



(2)引用発明
上記(1)から引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「スイッチ12は、携帯情報端末1がACアダプタ11に接続されていない時はON状態であり、バッテリ4の電力を電源回路6に供給し、携帯情報端末1がACアダプタ11に接続されるとスイッチ12はOFF状態となり、商用電源から直流に変換された電力が充電回路2および電源回路6に供給され、
携帯情報端末1をACアダプタ11に接続すると、スイッチ12をOFF状態にし、バッテリパック3の内部温度を温度センサ5により検知し、バッテリパック3の内部温度が基準値より低いと判断されると、ROM8に記憶されているCPU7部等での発熱量の大きな演算処理プログラムである画像処理を実行し、このとき、スイッチ12はOFF状態のため、ACアダプタ11から電源回路6を介してCPU7および他の回路へ電力を供給するとともに、充電回路2を介してバッテリ4への充電をし、
バッテリパック3の内部温度が基準値に達するとCPU7は画像処理の演算処理プログラムを停止し、やがてバッテリ4の充電は完了する。バッテリ充電の完了(満充電)はバッテリ4への充電電流をCPU7により監視し、充電電流が一定値より小さくなった事を検出して充電動作を停止する、
携帯情報端末1。」

2 引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、次の事項が記載されている。

「【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般に2次電池においては、電池セルが劣化した際に大電力放電を行うと電池セルが発熱し、正常な電力供給を継続することが困難となる現象がみられる。一方で上述したインテリジェントバッテリにおいては、電池セルの温度が予め設定された温度を超えた場合に、この2次電池からの電力供給を停止する機構が備えられており、従来の2次電池で生じる虞があった電池セルの異常な発熱を防止することが可能とされている。」

3 引用文献3
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0018】
さらに図4を参照すると、この発明の代表的な実施例による再構成可能なプロセッサモジュール60の簡略化した分解等角図が示され、いくつかの積み重ねられた集積回路ダイ要素を組込む混成装置を含む。この特定の実現例では、モジュール60は、マイクロプロセッサダイ64、メモリダイ66およびFPGAダイ68が結合されるダイパッケージ62を含み、これらはすべて、パッケージ62およびさまざまなダイ64、66および68のエリアにわたって形成される対応するコンタクト点またはホール70を有する。この発明によるモジュール60は、マイクロプロセッサダイ64、メモリダイ66またはFPGA68のうちの1つまたは複数と、マイクロプロセッサダイ64、メモリダイ66またはFPGAダイ68のうちの他のどれかとのどのような組合せも含み得る。」

【図4】「



4 引用文献4
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。

「[0032]In some exemplary embodiments of the invention, the substrate on which the battery is fabricated can be a flexible substrate, such a Kapton polyimide film, Zyvex liquid crystalline polymer (LCP) circuit material, or an electrically conductive metal foil such as copper foil. The example of copper foil will be utilized in the following description relative to FIGS. 6-11. In these exemplary embodiments, the thin-film battery is fabricated on the copper foil substrate with the anode and cathode current collectors exposed and electrically accessible on opposite sides of the battery structure. The cathode side of the battery structure is attached to the lead-frame die pad using conductive epoxy, and the integrated circuit die is attached to the anode side of the battery by conductive epoxy. FIG. 6 illustrates exemplary embodiments of this general type. If the backside of the die is grounded, then only a single wire bond from the Vcc pad of the die to the lead-frame die pad is necessary for proper electrical connection of the die to the battery. Because there is no wire bond to the battery-bearing substrate, there is no need to provide bonding pads on the substrate.」

[当審訳]
「[0032]本発明のいくつかの実施形態では、電池が製造される基板は、カプトンポリイミドフィルム、ザイベックス液晶ポリマー(LCP)回路材料、または銅箔などの導電性金属箔などのフレキシブル基板であり得る。銅箔の例は、図6−11に関する以下の説明で利用される。これらの実施形態では、薄膜電池は、アノードおよびカソード集電体が露出され、電池構造の反対側で電気的にアクセスできる銅箔基板上に製造される。 バッテリー構造体のカソード側は導電性エポキシを使用してリードフレームのダイパッドに取り付けられ、集積回路ダイは導電性エポキシを使用してバッテリーのアノード側に取り付けられる。図6は、この一般的なタイプの実施形態を示している。 ダイの裏面が接地されている場合、ダイをバッテリに適切に電気的に接続するには、ダイのVccパッドからリードフレームのダイパッドまでの 1本のワイヤボンドだけが必要となる。 バッテリーを搭載した基板へのワイヤボンドがないため、基板上にボンディングパッドを設ける必要がない。」

FIG.6「



第5 対比・判断
1 本願発明7について
(1)対比
本願発明7と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「携帯情報端末1」は、上記第4の1(1)の【図1】に示されるように、充電回路2、バッテリパック3、バッテリ4、温度センサ5、電源回路6、CPU7、ROM8、RAM9、その他周辺回路10、スイッチ12を備えているから、後述する相違点を除き、本願発明7の「システム」に相当する。

イ 引用発明の「RAM9」は、本願発明7の「揮発性メモリ」に相当する。

ウ 引用発明の「ACアダプタ11」は、商用電源に接続され、その出力端子部は携帯情報端末1の電源端子部と接続可能となっているので、携帯情報端末1からみると「主電源」に相当することは明らかであり、引用発明において、携帯情報端末1が、ACアダプタ11に接続されている状態はオン状態であり、ACアダプタ11に接続されていない状態は、オフ状態であるといえるから、主電源はオン状態およびオフ状態を有している。

エ 引用発明の「充電回路2」は、ACアダプタ11からの電力が供給されるから、本願発明7の「充電器」に相当する。

オ 引用発明において、携帯情報端末1がACアダプタ11に接続されると、スイッチ12がOFF状態となり、電力が電源回路6に供給される。さらに上記第4の1(1)の【図1】に示されるように、「RAM9」は、電源回路6に接続されており、電源回路6からの電力が、「RAM9」に供給されることは明らかであるから、引用発明の主電源は、オン状態にあるとき、電力を供給して揮発性メモリを維持するように構成されているといえる。

カ 引用発明において、携帯情報端末1がACアダプタ11に接続されていない時はスイッチ12がON状態であり、バッテリ4の電力が電源回路6に供給されるが、ACアダプタ11は携帯情報端末1に接続されていないから、ACアダプタ11は、RAM9に接続される電源回路6に電力を供給していない。そうすると、引用発明の主電源は、オフ状態にあるとき、電力を供給して揮発性メモリを維持することがないように構成されているといえる。

キ 引用発明の「バッテリ4」は、本願発明7の「電池モジュール」に相当する。引用発明において、携帯情報端末1がACアダプタ11に接続されるとスイッチ12はOFF状態となり、商用電源から直流に変換された電力が充電回路2に供給され、バッテリ4を充電することは明らかであるから、引用発明の電池モジュールは、充電器から電力を受け取るように動作可能である。

ク 引用発明において、携帯情報端末1がACアダプタ11に接続されていない時はスイッチ12がON状態であり、バッテリ4の電力を電源回路6に供給する。さらに上記オで述べたように、電源回路6からの電力が、「RAM9」に供給されることは明らかであるから、引用発明のバッテリ4は、少なくとも、主電源がオフ状態にあるとき、揮発性メモリに電力を供給するように動作可能である。

ケ 引用発明の「スイッチ12」は、後述する相違点を除き、本願発明7の「接続回路」に相当する。さらに、引用発明の「スイッチ12」は、上記キ及びクで述べた如く動作するから、本願発明7の「揮発性メモリを主電源に接続する、または揮発性メモリを電池モジュールに接続する」点で一致する。

コ 引用発明において、バッテリパック3の内部温度を温度センサ5により検知するから、引用発明の「温度センサ5」は、本願発明7の「システムの少なくとも一部分の温度を監視するように動作可能な温度センサ」に相当する。

サ 引用発明の「CPU7」が、携帯情報端末1に備えられる、充電回路2、バッテリパック3、バッテリ4、温度センサ5、電源回路6、CPU7、ROM8、RAM9、その他周辺回路10、スイッチ12を制御していることは明らかであるから、本願発明7の「制御論理およびマイクロコントローラユニット」に相当する。そして、上記第4の1(1)の【図1】に示されるように、「CPU7」は、「温度センサ5」に接続されているから本願発明7の「温度センサに連結」される点においても一致する。

したがって、本願発明7と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「システムであって、
揮発性メモリと、
オン状態およびオフ状態を有する主電源から電力を受け取るように動作可能な充電器であって、前記主電源は、前記オン状態にあるとき、電力を供給して前記揮発性メモリを維持するように構成され、前記オフ状態にあるとき、電力を供給して前記揮発性メモリを維持することのないように構成される充電器と、
前記充電器から電力を受け取るように動作可能であり、少なくとも、前記主電源が前記オフ状態にあるとき、前記揮発性メモリに電力を供給するように動作可能な電池モジュールと、
前記システムの少なくとも一部分の温度を監視するように動作可能な温度センサと、
前記揮発性メモリを前記主電源に接続する、または前記揮発性メモリを前記電池モジュールに接続する1つの接続回路を動作可能であり、前記温度センサに連結した制御論理およびマイクロコントローラユニットと
を備えるシステム。」

(相違点1)
本願発明7の「制御論理およびマイクロコントローラユニット」は、温度に基づき、揮発性メモリを主電源に接続する、または前記揮発性メモリを電池モジュールに接続する1つまたは複数の接続回路を無効にするように動作可能であり、それにより、過大な温度から前記揮発性メモリを保護するのに対し、引用発明では、揮発性メモリを前記主電源に接続する、または前記揮発性メモリを前記電池モジュールに接続する1つの接続回路を動作可能であるものの、その動作は、温度に基づいて、揮発性メモリを主電源に接続する、または前記揮発性メモリを電池モジュールに接続する1つまたは複数の接続回路を無効にするような構成となっておらず、過大な温度から揮発性メモリを保護していない点。

(2)相違点についての判断
引用文献2−4には、上記相違点1に係る本願発明7の構成について記載も示唆もなく、また、このような構成が本願の優先日前において周知技術であったともいえない。
したがって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2−4に記載された技術的事項から、上記相違点1に係る本願発明7の構成を容易に想到することはできない。
よって、本願発明7は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2−4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2 本願発明6について
本願発明6は、原査定において拒絶の理由を発見しないとされており、当業者であっても、引用発明及び引用文献2−4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明1−5、8−17について
本願発明1−5、8−17は、本願発明7と実質的に同一の構成を備えるものであるから、本願発明7と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2−4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1−17は、当業者が引用発明及び引用文献2−4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては 本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2023-08-21 
出願番号 P2021-569081
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 中野 裕二
特許庁審判官 篠塚 隆
野崎 大進
発明の名称 積層集積回路ダイ素子と電池を集積するためのシステムおよび方法  
代理人 小池 勇三  
代理人 山川 茂樹  

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