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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G16H
管理番号 1401620
総通号数 21 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2023-09-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-05-13 
確定日 2023-07-06 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6982706号発明「薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための装置、方法及びプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6982706号の特許請求の範囲を、令和5年6月15日に提出された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜3、5〕、4、6、7について訂正することを認める。 特許第6982706号の請求項4、6、7に係る特許を維持する。 特許第6982706号の請求項1〜3、5に係る特許についてされた特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6982706号の請求項1〜7に係る特許についての出願は、令和2年6月7日に出願した特願2020−99001号の一部を令和3年3月22日に新たな特許出願(特願2021−47991号)としたものであって、令和3年11月24日にその特許権の設定登録がされ、令和3年12月17日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。

令和4年 5月13日 :特許異議申立人健康サロン株式会社(以下
「申立人」という。)による特許異議の申立て
令和4年 9月29日付け:取消理由通知書
令和4年12月 5日 :特許権者による意見書、及び訂正請求書の提出
令和5年 2月 2日 :申立人による意見書の提出
令和5年 4月13日付け:取消理由通知書(決定の予告)
令和5年 6月15日 :特許権者による意見書、及び訂正請求書の提出

第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和5年6月15日にされた訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)は、特許第6982706号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1〜7について訂正することを求めるものであり、訂正の内容は、訂正事項1〜8のとおりである。
なお、本件訂正請求により、先の令和4年12月5日にされた訂正請求は、取り下げられたものとみなされる(特許法第120条の5第7項)。
本件訂正請求のうち、訂正事項1〜6に係る訂正前の請求項1〜5について、訂正前の請求項2〜5はそれぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであるから、訂正前の請求項1〜5に対応する訂正後の請求項1〜5は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。そして、訂正後の請求項4について、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めるものである。
訂正事項7に係る訂正前の請求項6、及び訂正事項8に係る訂正前の請求項7は、他の請求項と引用関係を有しない請求項である。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に「請求項3記載の方法であって、」とあるのを、請求項3が引用する請求項1について独立形式に改め、
「薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための方法であって、
コンピュータが、患者が用いる第1の端末から受信した処方情報に含まれる薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて、前記薬剤に対応づけられた1又は複数の質問を選定するステップと、
前記コンピュータが、前記第1の端末に、前記1又は複数の質問の質問文又は質問識別子及び各質問に対する複数の回答候補の回答文又は回答識別子を含む質問情報を送信するステップと、
前記コンピュータが、前記第1の端末から、前記患者が選択した回答の回答文又は回答識別子を含む回答情報を受信するステップと、
前記コンピュータが、前記回答情報に含まれる回答が適正であるか否かを判定し、不適正である場合に、薬剤師が用いる第2の端末で表示するためのアラートを生成するステップと
を含み、」
に訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項4に
「前期請求項3記載の方法であって、
前記選定は、前記処方情報に含まれる前記薬剤に対応づけられた一組の質問のうち各質問に付与された優先順位の高い順に行うことを特徴とする。」
とあるのを、請求項3についての独立形式に改めるとともに、
「前記選定は、薬剤と一組の質問との対応づけを参照して、前記処方情報に含まれる前記薬剤に対応づけられた一組の質問のうち各質問に付与された優先順位の高い順に行い、
前記回答情報に含まれる回答が適正である場合に、適正と判定された回答に対応する質問の優先順位を所定期間低下させる。」
に訂正する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項5を削除する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項6に
「を含む。」
とあるのを、
「を含み、
前記選定は、薬剤と一組の質問との対応づけを参照して、前記処方情報に含まれる前記薬剤に対応づけられた一組の質問のうち各質問に付与された優先順位の高い順に行い、
前記回答情報に含まれる回答が適正である場合に、適正と判定された回答に対応する質問の優先順位を所定期間低下させる。」に訂正する。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項7に、
「前記処理部は、前記回答情報に含まれる回答が適正であるか否かを判定し、不適正である場合に、薬剤師が用いる第2の端末で表示するためのアラートを生成する。」
とあるのを、
「前記処理部は、前記回答情報に含まれる回答が適正であるか否かを判定し、不適正である場合に、薬剤師が用いる第2の端末で表示するためのアラートを生成し、
前記選定は、薬剤と一組の質問との対応づけを参照して、前記処方情報に含まれる前記薬剤に対応づけられた一組の質問のうち各質問に付与された優先順位の高い順に行い、
前記回答情報に含まれる回答が適正である場合に、適正と判定された回答に対応する質問の優先順位を所定期間低下させる。」に訂正する。

2 訂正の適否についての判断
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合することは明らかである。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項2を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合することは明らかである。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項3を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合することは明らかである。

(4)訂正事項4及び訂正事項5について
ア 訂正の目的
訂正前の請求項4が請求項3の記載を引用し、請求項3は請求項1の記載を引用する記載であるところ、訂正事項4は、請求項間の引用関係を解消して、独立形式へ改める訂正をし、さらに、訂正事項5は、訂正前の請求項4の「優先順位」について、「前記回答情報に含まれる回答が適正である場合に、適正と判定された回答に対応する質問の優先順位を所定期間低下させる」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正、及び、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること
「前記回答情報に含まれる回答が適正である場合に、適正と判定された回答に対応する質問の優先順位を所定期間低下させる」ことは、本件明細書の段落【0011】、【0030】に記載されているから、訂正事項4及び訂正事項5に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正である。
したがって、訂正事項4及び訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項4及び訂正事項5は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合する。

(5)訂正事項6について
訂正事項6は、訂正前の請求項5を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合することは明らかである。

(6)訂正事項7について
ア 訂正の目的
訂正事項7は、訂正前の請求項6に記載された「選定」について、「前記選定は、薬剤と一組の質問との対応づけを参照して、前記処方情報に含まれる前記薬剤に対応づけられた一組の質問のうち各質問に付与された優先順位の高い順に行い、前記回答情報に含まれる回答が適正である場合に、適正と判定された回答に対応する質問の優先順位を所定期間低下させる」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること
「前記選定は、薬剤と一組の質問との対応づけを参照して、前記処方情報に含まれる前記薬剤に対応づけられた一組の質問のうち各質問に付与された優先順位の高い順に行」うことは、本件明細書の段落【0010】、【0025】、【0027】に記載され、「前記回答情報に含まれる回答が適正である場合に、適正と判定された回答に対応する質問の優先順位を所定期間低下させる」ことは、本件明細書の段落【0011】、【0030】に記載されているから、訂正事項7に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正である。
したがって、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項7は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合する。

(7)訂正事項8について
ア 訂正の目的
訂正事項8は、訂正前の請求項7に記載された「選定」について、「前記選定は、薬剤と一組の質問との対応づけを参照して、前記処方情報に含まれる前記薬剤に対応づけられた一組の質問のうち各質問に付与された優先順位の高い順に行い、前記回答情報に含まれる回答が適正である場合に、適正と判定された回答に対応する質問の優先順位を所定期間低下させる」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること
「前記選定は、薬剤と一組の質問との対応づけを参照して、前記処方情報に含まれる前記薬剤に対応づけられた一組の質問のうち各質問に付与された優先順位の高い順に行」うことは、本件明細書の段落【0010】、【0025】、【0027】に記載され、「前記回答情報に含まれる回答が適正である場合に、適正と判定された回答に対応する質問の優先順位を所定期間低下させる」ことは、本件明細書の段落【0011】、【0030】に記載されているから、訂正事項8に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正である。
したがって、訂正事項8は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項8は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合する。

なお、特許異議の申立ては、全請求項に対してされているので、訂正を認める要件として、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。

3 小括
以上のとおり、本件訂正請求による訂正は適法にされたものであるから、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜5〕、6、7について訂正することを認める。
訂正後の請求項4に係る訂正事項4及び訂正事項5は、引用関係の解消を目的として含む訂正であって、その訂正は認められるものである。そして、特許権者から、訂正後の請求項4について訂正が認められるときは請求項〔1〜5〕とは別の訂正単位として扱われることの求めがあったことから、訂正後の請求項〔1〜3,5〕、4、6、7について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求による訂正は上記第2のとおり認められるので、本件特許の請求項1〜7に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」、「本件発明2」…「本件発明7」といい、これらをまとめて「本件発明」という。)は、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1〜7に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。なお、下線部は、本件訂正請求による訂正箇所を示す。
「【請求項1】
(削除)
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための方法であって、
コンピュータが、患者が用いる第1の端末から受信した処方情報に含まれる薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて、前記薬剤に対応づけられた1又は複数の質問を選定するステップと、
前記コンピュータが、前記第1の端末に、前記1又は複数の質問の質問文又は質問識別子及び各質問に対する複数の回答候補の回答文又は回答識別子を含む質問情報を送信するステップと、
前記コンピュータが、前記第1の端末から、前記患者が選択した回答の回答文又は回答識別子を含む回答情報を受信するステップと、
前記コンピュータが、前記回答情報に含まれる回答が適正であるか否かを判定し、不適正である場合に、薬剤師が用いる第2の端末で表示するためのアラートを生成するステップと
を含み、
前記選定は、薬剤と一組の質問との対応づけを参照して、前記処方情報に含まれる前記薬剤に対応づけられた一組の質問のうち各質問に付与された優先順位の高い順に行い、
前記回答情報に含まれる回答が適正である場合に、適正と判定された回答に対応する質問の優先順位を所定期間低下させる。
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
コンピュータに、薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、
患者が用いる第1の端末から受信した処方情報に含まれる薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて、前記薬剤に対応づけられた1又は複数の質問を選定するステップと、
前記第1の端末に、前記1又は複数の質問の質問文又は質問識別子及び各質問に対する複数の回答候補の回答文又は回答識別子を含む質問情報を送信するステップと、
前記第1の端末から、前記患者が選択した回答の回答文又は回答識別子を含む回答情報を受信するステップと、
前記回答情報に含まれる回答が適正であるか否かを判定し、不適正である場合に、薬剤師が用いる第2の端末で表示するためのアラートを生成するステップと
を含み、
前記選定は、薬剤と一組の質問との対応づけを参照して、前記処方情報に含まれる前記薬剤に対応づけられた一組の質問のうち各質問に付与された優先順位の高い順に行い、
前記回答情報に含まれる回答が適正である場合に、適正と判定された回答に対応する質問の優先順位を所定期間低下させる。
【請求項7】
薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための装置であって、
患者が用いる第1の端末から受信した処方情報に含まれる薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて、前記薬剤に対応づけられた1又は複数の質問を選定する処理部と、
前記第1の端末に、前記1又は複数の質問の質問文又は質問識別子及び各質問に対する複数の回答候補の回答文又は回答識別子を含む質問情報を送信し、前記第1の端末から、前記患者が選択した回答の回答文又は回答識別子を含む回答情報を受信する通信部と
を備え、
前記処理部は、前記回答情報に含まれる回答が適正であるか否かを判定し、不適正である場合に、薬剤師が用いる第2の端末で表示するためのアラートを生成し、
前記選定は、薬剤と一組の質問との対応づけを参照して、前記処方情報に含まれる前記薬剤に対応づけられた一組の質問のうち各質問に付与された優先順位の高い順に行い、
前記回答情報に含まれる回答が適正である場合に、適正と判定された回答に対応する質問の優先順位を所定期間低下させる。」

第4 特許異議申立ての概要
1 申立人は、甲第1号証〜甲第14号証(以下「甲1」〜「甲14」という。)を提出し、本件特許に係る請求項1〜7に係る発明は、当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項1〜7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものであると、以下のとおり主張している。
(1)訂正前の請求項1について
甲1〜甲7、甲10〜甲14に記載の技術や周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)訂正前の請求項2について
甲8に記載の技術や周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3)訂正前の請求項3について
甲4〜甲6に記載の技術や周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4)訂正前の請求項4について
甲9に記載の技術や周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5)訂正前の請求項5について
甲1、甲10〜14に記載の技術や周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(6)訂正前の請求項6について
甲1〜甲7、甲10〜甲14に記載の技術や周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(7)訂正前の請求項7について
甲1〜甲7、甲10〜甲14に記載の技術や周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

2 証拠方法
甲1:末田聡美(日経ドラッグインフォメーション)、“LINEで服薬フォロー、薬剤師の業務負担軽減も”、[online]、2020年1月6日、日経ドラッグインフォメーション、インターネット
甲2:鎌田 悠(イントロン株式会社)、“【Web Excellent Pharmacy 第9回】Professional-LINEを使ったコミュニケーションで効率的な患者フォローを実現”、[online]、2020年3月3日、住友ファーマ株式会社 医療関係者向けサイト、インターネット
甲3:メドピア株式会社、“かかりつけ薬局化支援サービス「KaKari」、オンライン服薬指導機能をリリース”、[online]、2020年4月14日、株式会社PR TIMES、インターネット
甲4:特開2002−351983号公報
甲5:特開2019−071060号公報
甲6:特開平8−272882号公報
甲7:特開2004−062513号公報
甲8:特開2012−190228号公報
甲9:特開2015−015020号公報
甲10:あなたの調剤薬局システムのログイン画面の画像、[online]、2019年10月10日、インターネット
甲11:健康サロン株式会社、“調剤薬局・薬剤師の課題を解決するトータルサポートパッケージシステム『あなたの調剤薬局』をリリース。”、[online]、2019年10月11日、株式会社PR TIMES、インターネット
甲12:イントロン株式会社、“LINE機能を用いた継続的・自動的な患者フォローサービスを開始”、[online]、2019年10月25日、株式会社PR TIMES、インターネット
甲13:健康サロン株式会社、“あなたの調剤薬局 カンタン運用ガイド(マニュアル)”、2020年3月1日、健康サロン株式会社
甲14:健康サロン株式会社から株式会社岡本薬局みなみ店に2020年3月1日23:31に送信された「サービス開始のお知らせ(あなたの調剤薬局)」という表題の電子メールの写し

2 申立人は、令和5年2月2日に提出した意見書において、下記の参考資料1を提示し、訂正後の請求項4に係る発明は、当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張している。
参考資料1:日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編、“高血圧治療ガイドライン2019”、日本高血圧学会、ライフサイエンス出版株式会社、2019年4月25日発行、p.47〜60
なお、本件訂正請求による請求項4についての訂正は、先の令和4年12月5日にされた訂正請求による訂正と同じものであり、請求項6、7についての訂正は、先の令和4年12月5日にされた訂正請求による訂正後の請求項4と同様に請求項6、7を訂正するものであるから、申立人は令和5年2月2日に提出された意見書において、本件訂正請求による訂正内容に対して、意見を述べる機会を与えられている。

第5 取消理由の概要
当審が令和5年4月13日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。
先の令和4年12月5日に提出された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲に記載された請求項1〜4、6、7に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲1に記載された発明及び甲4記載の技術事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1〜4、6、7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

第6 甲号証の記載
1 甲1:末田聡美(日経ドラッグインフォメーション)、“LINEで服薬フォロー、薬剤師の業務負担軽減も”、[online]、2020年1月6日、日経ドラッグインフォメーション、インターネット
(1)甲1の記載事項
甲1には、以下のとおりの記載がある。下線は当審が付した。
「埼玉県川越市の小江戸薬局は2019年4月から、対話アプリのLINEを活用して服薬期間中のフォローアップに取り組んでいる。健康サロン(東京都目黒区)が提供する投薬後フォローシステム「あなたの調剤薬局」に組み込まれたサービスで、患者が薬局をLINEで「友だち登録」すると、薬剤交付後、適切な時期にフォローアップのための質問やメッセージがLINEのトークで自動送信される。薬剤師は、患者からの返信内容を調剤室内にあるパソコンで確認し、必要があれば同じくトーク上で個別に返信するという流れだ。」

「では、どのようにフォローアップを行うのか、実際の流れを見てみよう。
「あなたの調剤薬局」のシステムには、LINEのトーク機能を使った服薬指導のほかに、同じくトーク上での健康相談、処方箋送信による調剤予約、そして調剤内容はクラウドを介してシステム上の電子お薬手帳(eお薬手帳)に自動配信される機能などがある。
基本的には調剤後、患者がLINEで薬局と友だち登録すると、LINEを介して電子お薬手帳情報が閲覧できるようになる(患者がeお薬手帳を閲覧するためには、アプリのダウンロードが必要)。フォローアップのメッセージの配信日は服用開始日当日、服用期間の中間日、服用終了日の前日の3日間に設定されている。これらのスケジュールは、クラウド上にある電子お薬手帳のデータから自動的に決まり、その日の20時に定型メッセージが配信される(図2)。」

「服用期間の中間日に自動送信される質問内容は、「副作用などの問題点はありますか」(副作用)、「症状について困っていることはありますか」(薬の効果)、「飲み忘れなく服用できていますか」(残薬)の3点。患者が「あり」「なし」の2択で返信する仕組みで、問題がなければ次の質問にうつり、問題があれば、その後、具体的な状況を聞く文面が自動配信される(図3)。もちろん、通常のLINEのトーク機能を使えば、必要に応じて個別のメッセージも送信できる。」

「こうしたやり取りは、薬局のシステムの管理画面上に表示される。管理画面には患者からの回答一覧が表示されており、問題がなければ白色表示、何かしら問題や問い合わせ内容を入力した患者はピンク色に表示される(図4)。小江戸薬局では、調剤を担当した薬剤師が返信するルールにしており、それぞれの薬剤師は業務時間中の手の空いた時間にフォローに対する返信内容を確認し、ピンク色に表示された患者には個別対応している。」

「「自動配信に対する患者の返信率は約6割で、そのうち2〜3割が個別のやり取りにつながっている」と鎌田氏。同薬局は小児科診療所からの処方箋集中率が50%と高く、母親からの相談が多い。例えば、「子どもが粉薬を吐き出してしまう」という訴えに対しては、薬の飲ませ方の指導を行う、「モンテルカストナトリウム(キプレス、シングレア他)を飲んだ翌日から下痢が続いている」という相談に対しては、状況確認や受診勧奨などを行うといった具合だ。
こうしたフォローアップによって得られた患者の服薬状況や問題点などは、必要に応じて医師に服薬情報提供書(トレーシングレポート)で報告している。」

「薬局からの返信は、薬剤師の業務負担を考慮して基本的に営業時間内としており、時間外に緊急で相談が必要な患者には、通常の時間外の連絡先に電話してもらうようにしている。テキストでのやり取りのみでは限界があるため、詳細な指導が必要だと判断したケースや、頻回なフォローが必要なケース、服薬できているか心配なのに返信がないケースなどには個別に電話をかけてフォローアップしているという。」

(2)甲1発明
ア 上記(1)より、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。
[甲1発明]
「対話アプリのLINEを活用した服薬期間中のフォローアップ方法であって、
処方箋送信による調剤予約、調剤内容をクラウドを介してシステム上の電子お薬手帳に自動配信する機能を有し、
調剤後、LINEを介して電子お薬手帳情報を閲覧でき、薬剤交付後、適切な時期にフォローアップのための質問やメッセージがLINEのトークで自動送信され、
フォローアップのメッセージの配信スケジュールは、クラウド上にある電子お薬手帳のデータから自動的に決まり、フォローアップのメッセージの配信日は服用開始日当日、服用期間の中間日、服用終了日の前日の3日間に設定され、
服用期間の中間日に自動送信される質問内容は、「副作用などの問題点はありますか」(副作用)、「症状について困っていることはありますか」(薬の効果)、「飲み忘れなく服用できていますか」(残薬)の3点であり、患者が「あり」「なし」の2択で返信する仕組みで、問題がなければ次の質問にうつり、問題があれば、その後、具体的な状況を聞く文面が自動配信され、
薬局のシステムの管理画面には患者からの回答一覧が表示され、問題がなければ白色表示、何かしら問題や問い合わせ内容を入力した患者はピンク色に表示され、
薬剤師は、患者からの返信内容を調剤室内にあるパソコンで確認し、必要があれば同じくトーク上で個別に返信する、
服薬期間中のフォローアップ方法」
イ また、上記甲1発明の「服薬期間中のフォローアップ方法」は、システムのコンピュータにより実行されることは明らかであり、この甲1発明をシステムのコンピュータに実行させるためのプログラムの発明として記載すると、甲1には、次の甲1発明Aが記載されているといえる。
[甲1発明A]
「システムのコンピュータに、対話アプリのLINEを活用した服薬期間中のフォローアップ方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、
処方箋送信による調剤予約、調剤内容をクラウドを介してシステム上の電子お薬手帳に自動配信する機能を有し、
調剤後、LINEを介して電子お薬手帳情報を閲覧でき、薬剤交付後、適切な時期にフォローアップのための質問やメッセージがLINEのトークで自動送信され、
フォローアップのメッセージの配信スケジュールは、クラウド上にある電子お薬手帳のデータから自動的に決まり、フォローアップのメッセージの配信日は服用開始日当日、服用期間の中間日、服用終了日の前日の3日間に設定され、
服用期間の中間日に自動送信される質問内容は、「副作用などの問題点はありますか」(副作用)、「症状について困っていることはありますか」(薬の効果)、「飲み忘れなく服用できていますか」(残薬)の3点であり、患者が「あり」「なし」の2択で返信する仕組みで、問題がなければ次の質問にうつり、問題があれば、その後、具体的な状況を聞く文面が自動配信され、
薬局のシステムの管理画面には患者からの回答一覧が表示され、問題がなければ白色表示、何かしら問題や問い合わせ内容を入力した患者はピンク色に表示され、
薬剤師は、患者からの返信内容を調剤室内にあるパソコンで確認し、必要があれば同じくトーク上で個別に返信する、プログラム」
ウ また、上記甲1発明の「服薬期間中のフォローアップ方法」は、システムのコンピュータにより実行されることは明らかであるから、この甲1発明をシステムのコンピュータ装置の発明として記載すると、甲1には、次の甲1発明Bが記載されているといえる。
[甲1発明B]
「対話アプリのLINEを活用した服薬期間中のフォローアップを行うシステムのコンピュータ装置であって、
処方箋送信による調剤予約、調剤内容をクラウドを介してシステム上の電子お薬手帳に自動配信する機能を有し、
調剤後、LINEを介して電子お薬手帳情報を閲覧でき、薬剤交付後、適切な時期にフォローアップのための質問やメッセージがLINEのトークで自動送信され、
フォローアップのメッセージの配信スケジュールは、クラウド上にある電子お薬手帳のデータから自動的に決まり、フォローアップのメッセージの配信日は服用開始日当日、服用期間の中間日、服用終了日の前日の3日間に設定され、
服用期間の中間日に自動送信される質問内容は、「副作用などの問題点はありますか」(副作用)、「症状について困っていることはありますか」(薬の効果)、「飲み忘れなく服用できていますか」(残薬)の3点であり、患者が「あり」「なし」の2択で返信する仕組みで、問題がなければ次の質問にうつり、問題があれば、その後、具体的な状況を聞く文面が自動配信され、
薬局のシステムの管理画面には患者からの回答一覧が表示され、問題がなければ白色表示、何かしら問題や問い合わせ内容を入力した患者はピンク色に表示され、
薬剤師は、患者からの返信内容を調剤室内にあるパソコンで確認し、必要があれば同じくトーク上で個別に返信する、コンピュータ装置」

2 甲2(鎌田 悠(イントロン株式会社)、“【Web Excellent Pharmacy 第9回】Professional-LINEを使ったコミュニケーションで効率的な患者フォローを実現”、[online]、2020年3月3日、住友ファーマ株式会社 医療関係者向けサイト、インターネット
甲2には、以下のとおりの記載がある。
「LINEを使った治療後の自動フォローの仕組みは、患者に薬局のLINEアカウントを友達登録してもらい、その後、薬剤師が処方せんの内容を電子お薬手帳に登録すると、そのデータをもとに、患者の服薬期間が自動判定され、初日・中間日・最終日にメッセージが自動送信されることになる。
メッセージの内容は、たとえば初日には「来局ありがとうございます。お薬についてわからないことは薬剤師におたずねください」、中間日には「お薬はきちんと飲めていますか?気になる症状がありましたら、薬剤師にご相談ください」、最終日には「まもなくお薬がなくなります。早めに受信をお願いします」など、患者に合わせて服薬をフォローする内容が送信される。」

3 甲3:メドピア株式会社、“かかりつけ薬局化支援サービス「KaKari」、オンライン服薬指導機能をリリース”、[online]、2020年4月14日、株式会社PR TIMES、インターネット
(1)甲3の記載事項
甲3には、以下のとおりの記載がある。下線は当審が付した。
・参考:かかりつけ薬局化支援サービス「kakari」について
「kakari」は、「いつもの薬局を、あなたの“かかりつけ薬局“に」をコンセプトに、患者さんの「かかりつけ化」を支援するサービスです。薬局と患者さんをつなぐ患者さん向けスマートフォンアプリと薬局向けの薬局システム」から成り、患者さんにとっては薬局をもっと便利で安心して利用できるように、薬局にとっては患者さんのリピーター化(かかりつけ化)につながるよう、以下の機能を提供しています。
「kakari」は今後も、患者さんにとって安心・安全な医療を提供するための機能を拡充させていくことで、かかりつけ薬局に求められる対人業務をより一層支援してまいります。
(1) アプリを開くとホーム画面いっぱいに「かかりつけ薬局」を表示
「kakari」は、薬局がかかりつけ薬局となるために、店頭で患者さんに勧めていただくアプリです。患者さんはアプリをダウンロードして、加盟薬局の専用コードを入力するだけ。アプリを開くたびにホーム画面いっぱいにかかりつけ薬局の情報が表示され、すぐにお薬相談や処方せん送信ができます。(当審注:○囲い数字は、()数字に替えて表記した。以下同様)
(2) 「服薬フォロー支援」と「お薬相談/CRM」機能で、来局後も患者さんを継続サポート
患者さんへの服薬フォローが、システムでの事前設定だけで、アプリを通じて簡単に実施できます。さらに、患者さんはいつでも薬剤師にチャットでお薬相談ができ、調剤後の薬局による継続サポートを実現します。チャット機能は、イベントのお知らせなど、薬局から患者さんにメッセージを送るCRM機能としても利用いただけます。
(3) 「処方せん送信/店頭チェックイン」機能で、待ち時間を解消
患者さんは病院で処方せんをもらったら、アプリを開いてすぐに、簡単な操作でかかりつけ登録をした薬局に「処方せん送信」でき、薬局での待ち時間を削減できます。また、病院からすぐ近くの門前薬局を利用する場合には「店頭チェックイン」機能で、薬の仕上がり時の連絡をアプリで受け取れます。
(4) 「電子お薬手帳」機能で、服薬情報を一元管理
患者さんはkakariアプリ、加盟薬局はシステムを通じて患者さんの電子お薬手帳情報を確認することが可能となります。さらに本機能は、公益社団法人日本薬剤師会が提供する電子お薬手帳相互閲覧サービス「e薬Link?」とも連携しており、加盟薬局は患者さんの運営主体が異なる電子お薬手帳情報も確認いただくことができます。

(2)甲3に記載の技術的事項
上記(1)より、甲3には、次の技術的事項が記載されている。
「「kakari」は、薬局と患者をつなぐ患者向けスマートフォンアプリと薬局向けの薬局システムからなり、患者への服薬フォローがシステムでの事前設定だけで、アプリを通じて簡単に実施でき、患者はいつでも薬剤師にチャットでお薬相談ができ、調剤後の薬局による継続サポートを実現し、チャット機能は、イベントのお知らせなど、薬局から患者にメッセージを送るCRM機能としても利用でき、患者向けの服薬フォローの画面には、「お薬は、薬剤師からのご説明どおりに飲むことができていますか?」の質問に「はい」、「いいえ」の回答候補、「お薬を飲むのが難しいと感じている理由を教えてください」という自由記入欄があり、「お薬の効き目は、如何でしょうか?」の質問に「よく効いているように思う」、「まだ効果はよくわからない」、「効果はあまり感じない」からラジオボタンで回答すること」


4 甲4(特開2002−351983号公報)
(1)甲4の記載事項
甲4には、以下のとおりの記載がある。下線は当審が付した。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薬局が発行する薬の副作用や効能、効果、注意事項などの薬剤情報や、病院が発行する処方箋情報などのデータを用いて、薬剤師が患者に対し服薬指導をするための服薬指導支援装置および服薬指導支援プログラムに関し、特に服薬指導における患者の体調などを調査するアンケートの作成に関する。」
「【0020】投薬情報14dには、図4(b)に示すように処方箋発行日、調剤日および投薬詳細の履歴が記憶されている。ここで、投薬詳細の欄には、薬剤の種類、服用する用量および服用時期の用法が格納されている。このテーブルを参照することにより、いつ調剤されたか、どのような薬をいつ、どれだけ飲むようになっているのかを確認することができる。また、処方箋発行日と調剤日を確認することにより、調剤されていない処方箋の有無を認識できると共に、過去にどのような投薬がなされているのか(すなわち投薬履歴)を認識することができる。
【0021】次に、制御部9aの構成について図3を用いて説明する。図3は、上記薬局2aの端末装置11aにおける制御部9aの構成を示すブロック図である。同図に示すように、制御部9aは、CPU90、通信部91、質問作成部92、薬剤情報編集部93、時計94、患者DB95、RAM96およびROM97などからなる。
【0022】通信部91は、外部ネットワーク4を介して薬剤情報DB3cや病院1の装置端末5,6などから送信されてきたデータを受信すると、これをCPU90に送る。また、CPU90から処方医などへ向けて発せられたデータや情報などは、この通信部91を介して病院側の装置端末5、6などへ送出される。質問作成部92は、ICカード7の情報に基づき患者に対するアンケートを作成する。すなわち、ICカードR/W8aを介して読み取ったICカード7の情報に基づき、質問作成部92は、診療内容14bおよび投薬情報14dのデータと、患者DB95から以前に作成したアンケートの結果データ(アンケートの内容とこれに対する答え)などに基づいて、患者に対する新しいアンケートを作成する。このアンケート作成内容については公知であり、特開平8−272882号公報、特開2000−276537号公報などに詳しく述べられているので、これ以上の説明を省略する。」
「【0027】まず、図5のステップS1において、CPU90は、ICカード7がICカードR/W8aに挿入されたか否かを判定する。ICカード7がICカードR/W8aに挿入されたら(ステップS1でY)、CPU90は、ICカードR/W8aを介してICカード7内の投薬情報14dのデータを読み出し、過去に調剤済みの投薬があるか否かを判定する(ステップS2、S3)。CPU90は、ICカード7の投薬情報14dに蓄積された調剤日のデータを検索することにより、過去に調剤済みの投薬があるか否か、すなわち投薬履歴の有無を判定する。
【0028】次に、過去に調剤済みの投薬がある場合、CPU90は、時計94を参照して、前回の調剤日から今回ICカード7が挿入されたときまでの経過時間を算出し、その経過時間が、所定値Thより小さいか否かを判定する(ステップS4)。前回の調剤日からの経過時間が所定値Thより小さいならば(ステップS4でY)、CPU90は、投薬情報14dから前回調剤された投薬詳細を読み出すと共に、診療内容14bから前回調剤された処方箋発行日に対応する診療内容を読み出す(ステップS5、S6)。そして、CPU90は、読み出された投薬詳細と、読み出された診療内容に基づいて、患者へのアンケートの内容を質問作成部92で作成させる(ステップS7)。例えば、処方された数種類の薬剤に副作用の強い薬が含まれている患者には、その薬に対しては特に、「服用前と比べて、めまいがよくするようになりましたか?」、「めまいがする場合は、服用後何時間経過してからですか?」などの詳細な内容を含むアンケートが作成されるようになっている。
【0029】この際、患者DB95に蓄積されているデータや、以前に出したアンケートの結果データ(アンケートの内容とこれに対する答え)があれば、それらのデータも参照して、アンケートを作成すると、患者に対してより適切な内容のアンケートを提供することができる。例えば、同じ薬剤を過去何回も投薬しておれば、その回数に応じて質問内容を変更したり、場合によっては当該薬剤に関する質問を割愛するようにすることも可能であろう。
【0030】ステップS3において、過去に調剤済みの投薬がない場合には、服薬の副作用を訪ねるアンケートを作成することに意味がないので、ステップS3〜S7をスキップしてステップS8に移行する。また、ステップS4において、前回の調剤日からの経過時間が所定値Thを超えているならば、アンケートを作成しても的確な回答が得られない場合が多いので、やはりステップS5〜S7をスキップし、アンケートを作成することなくステップS8に移る。
【0031】このような場合にアンケートを作成しないのは、所定時間の経過と共に患者の記憶が薄れ、前回処方された投薬内容に基づいて質問をしても、その回答が今後の服薬指導の参考にならないと思われるからである。この所定値Thは、予め定められた値が設定されており、本実施の形態では、「2ヶ月」が固定値としてROM97に予め格納されている。但し、患者の年齢(成人や子供など)により記憶力は異なり、また、副作用の大きな薬剤などについては長期間を経過しても質問しておいた方が望ましい場合もあるので、当該患者や薬剤の種類に応じて、所定値Th値を変更できるようにプログラムしてもよい。」
(2)甲4に記載の技術的事項
上記(1)より、甲4には、次の技術的事項が記載されている。
[甲4記載の技術的事項]
「薬剤師が患者に対し服薬指導をするための服薬指導支援装置による服薬指導における患者の体調などを調査するアンケートの作成方法であって(【0001】)、
薬局の端末装置は、患者のICカードを読み出し、過去に調剤済みの投薬があるか否かの投薬履歴の有無を判定し(【0027】)、
前回の調剤日から経過時間が所定値Thより小さいならば、読み出された投薬詳細と、読み出された診療内容に基づいて、患者へのアンケートの内容を質問作成部で、例えば、処方された数種類の薬剤に副作用の強い薬が含まれている患者には、その薬に対しては特に、「服用前と比べて、めまいがよくするようになりましたか?」、「めまいがする場合は、服用後何時間経過してからですか?」などの詳細な内容を含むアンケートを作成する(【0028】)、アンケートの作成方法」

5 甲5(特開2019−071060号公報)
甲5には、以下のとおりの記載がある。
「【0033】
図9は、薬剤DB174に記憶されている薬剤に関するデータのうち、服薬指導文に関するデータを示す模式図である。
図9に示すように、薬剤コード及び薬剤の名称によって特定される各薬剤には、薬剤メーカーによって提供される複数の服薬指導文が対応付けられている。図9においては、各薬剤に対応付けられた服薬指導文に対して、通し番号(指導文番号)が付されている。また、各服薬指導文は、1つまたは複数の着眼点と対応付けられており、考慮対象情報に対して着眼点の関連性が高くなることは、その着眼点と対応付けられた服薬指導文の重要性が相対的に高くなることを意味している。」
「【0035】
図10は、着眼点特定テーブルの内容を示す模式図である。
図10に示すように、着眼点特定テーブルには、論理化済み対象情報の種類及び内容の各種組み合わせと、各着眼点の関連性との関係が定義されている。
例えば、論理化済み対象情報の種類として、問診における各質問が定義され、論理化済み対象情報の内容として、その質問に対する択一的な回答内容が定義されている。そして、着眼点特定テーブルには、質問の種類及び択一的な回答内容の全ての組み合わせに対して、各着眼点の関連性の数値が予め定義されている。各着眼点の関連性の数値は、薬剤師が質問の種類及び択一的な回答内容を認識した場合に、各着眼点の関連性の数値がどのようになるかを実地での判断例(実際の服薬指導履歴の統計)に基づいて定めたものである。」



6 甲6(特開平8−272882号公報) 甲6には、以下のとおりの記載がる。
「【0020】図7には処方箋データ記憶部301に記憶されるデータレコードの一例が示されている。この1レコードには、患者ID,処方薬ID,日付,用法/容量が処方箋データとして、患者IDを検索キー項目として図示のように記憶されている。なお、ある患者IDに対応するレコード中の処方薬IDは、後述の図9が示す薬品詳細マスタファイルのレコードをサーチするための検索キーとなる。(参照:A)
図8には薬品マスタファイル303のデータレコードの構造の一例が示され、1レコードには、薬品ID,薬品名称,一般名,禁忌,事実データが薬品マスタデータとして、この薬品IDを検索キー項目として図示のように記憶されている。(参照:B)
図9には薬品詳細マスタファイル305のデータレコードの構造の一例が示され、1レコードには、処方薬ID,処方薬名称,薬品IDが薬品詳細マスタデータとして、この処方薬IDを検索キー項目として図示のように記憶されている。
【0021】なお、図8が示す薬品マスタファイルのレコード中のある処方薬IDに対応するレコード中の薬品IDは、サーチするための検索キーとなる。(参照:B)
図10には薬品分類マスタファイル307のデータレコードの構造の一例が示され、1レコードには、薬品ID,薬品分類,事実データが薬品分類マスタデータとして記憶されている。この薬品IDはサーチのための検索キーである。(参照:B)
図11には副作用マスタファイル309のデータレコードの構造の一例が示され、薬品ID,副作用,事実データが副作用マスタデータとして記憶されている。また同様に、この薬品IDはマッチするレコードのサーチのための検索キーに使われる。(参照:B)
前述の薬剤情報記憶手段3に入力された患者ID”001”は検索キーとして処方せんデータ検索処理部302に入力され、全患者の患者ID,処方薬ID,日付,用法/容量が記憶された処方箋データ記憶部301から該当する例えば患者ID”001”の患者の薬剤情報を抽出し、処方薬IDデータ”123”が読み出される。そして、処方せんデータ検索処理部302は、読み出されたこの処方薬ID”123”を薬品詳細マスタ検索処理部306に出力する。(図24のステップS6)
薬品詳細マスタ検索処理部306は、例えば入力された処方薬ID”123”を検索キーとして、処方薬ID,処方薬名称,薬品IDなどが記憶されている薬品詳細マスタ305から該当する処方薬ID”123”を検索し、処方薬名称データ「グリミクロン5mg錠」,薬品IDデータ”456”を読み出し、その薬品ID”456”を薬品マスタ検索処理部304に出力する。(図24のステップS7)
薬品マスタ検索処理部304は、入力された薬品ID”456”を基に、薬品ID,薬品名称,一般名,禁忌データ,事実データなどが記憶されている薬品マスタ303から該当する薬品IDを検索し、禁忌、事実データ「グリミクロン錠が処方されている」を読み出し、推論処理手段6に出力する。(図24のステップS8)
この薬品分類検索処理部308は、入力された薬品ID”456”を、薬品IDと薬品分類データが記憶された薬品分類マスタ307から該当する薬品ID”456”を検索し、薬品分類データ「経口糖尿病薬が処方されている」を読み出し、推論処理手段6に出力すると共に、同じ薬品ID”456”を副作用検索処理部310に出力する。(図24のステップS9)
この副作用検索処理部310は、入力された薬品IDを基に、薬品IDと副作用データが記憶された副作用マスタ309から該当するレコードを検索し、副作用データ「めまいの副作用がある」を読み出し推論処理手段6に出力する。(図24のステップS10)この例では、「グリミクロン錠が処方されている」、「経口糖尿病薬が処方されている」および「めまいの副作用がある」という副作用データが推論処理手段6に出力される。
【0022】図12には質問情報記憶手段4の詳細構成がブロック図で示されている。図示のようにこの質問情報記憶手段4は、質問結果データ検索処理部402とアクセス可能に接続された質問結果データ記憶部401とから構成されている。入力手段7から入力された患者IDに基づきこの質問結果データ検索処理部402は、質問結果データ記憶部401から対応する日付および質問結果データを読み出し、このデータを質問情報として続く質問生成手段9に供給する。」



7 甲7(特開2004−062513号公報)
甲7には、以下のとおりの記載がある。
「【0042】
次に、服用通知サービスを受けるユーザから提供された個人情報(電子メールアドレス,氏名,住所,電話番号等)と、服用履歴管理サーバ30から通知された(初回時)、またはユーザから訊いた(二回目以降)ユーザIDとを基に、薬局の担当者は薬局端末20の服用管理手段21によりユーザIDと個人情報をユーザID・個人情報データベース24に登録する。また、ユーザIDとユーザから受け取った処方箋とを基に、薬局の担当者は薬局端末20の服用管理手段21により該当ユーザの服用情報をユーザ毎服用履歴データベース25に登録する。登録される内容は、図2に示すように、ユーザID,服用年月日,服用時間帯,服用通知時刻,薬剤名,服用量,服用時刻等である(ステップA1)。
【0043】
ステップA1に続き、薬局端末20の服用管理手段21は、図示しない記憶部に記憶されている服用履歴管理サーバ30のアドレスを取得して服用履歴管理サーバ30にアクセスし、ユーザ毎服用履歴データベース25に登録したユーザの服用情報を服用履歴管理サーバ30に送信して登録を要求する(ステップA2)。服用履歴管理サーバ30の履歴管理手段31は、送信されたユーザの服用情報をユーザ毎服用履歴データベース33に登録する(ステップA3)。
【0044】
薬局端末20の服用管理手段21はユーザ毎服用履歴データベース25を参照し、服用通知時刻が計時手段22の現在時刻と一致する服用情報が有るかを検索する(ステップA4)。現在時刻が服用通知時刻である服用情報が有った場合は、服用管理手段21は図3に示すような服用通知メールを生成し、該当するユーザ端末10に送信する。この服用通知メールの生成にあたっては、図2の服用情報から該当服用通知時刻(例えば2002/7/10、13:00)に対応して登録されているユーザID,服用年月日(2002/7/10),服用時間帯(昼),薬剤名(A錠),服用量(1錠)を抽出するとともに、抽出した薬剤の薬剤説明情報を薬剤情報データベース23から取得し、これらの情報を予め定めた定型フォーマットに編集して生成する。また、該当ユーザの送信先メールアドレスについては、抽出したユーザIDによりユーザID・個人情報データベース24を検索して取得する。服用通知メールの送信が終わると、服用管理手段21は送信済みメール情報データベース26に、送信済み服用通知メールと送信時刻,ユーザID,通知した服用年月日,服用時間帯とを送信済みメール情報として記憶する(ステップA5)。
【0045】
ユーザ端末10は、薬局端末20からの服用通知メールを受信する。なお、メールサーバ業者の自動転送サービス等を利用し、ユーザのメールアドレスに届いたメールをユーザの携帯端末に直接転送し、呼び出し音付きで着信通知するようにしておくとよい。そして、着信通知を受けたユーザがメール受信応答することにより、図3に示すような服用通知のメール内容が表示される(ステップA6)。
【0046】
ユーザは通知に従って薬剤を服用し(ステップA7)、服用後は受信した服用通知メールに対し返信操作を行うが、図3に示す受信メール内容を含む返信画面において、ユーザが実際に服用した服用時刻(例えば、13:05)を入力し、受信メール内容と服用時刻情報を含む服用済み通知メールをユーザ端末10から薬局端末20に返信する(ステップA8)。
【0047】
薬局端末20がユーザ端末10からの返信メール(服用済み通知メール)を受信すると(ステップA9)、服用管理手段21は返信元のメールアドレスによりユーザID・個人情報データベース24を検索して該当ユーザIDを取得する。そして、ユーザ毎服用履歴データベース25を参照し、該当ユーザIDの服用情報において、返信メールに含まれる服用年月日,服用時間帯(2002/7/10/昼)に対応した服用時刻欄に返信された服用時刻(13:05)を登録する。このとき、図2に示すように、服用時刻(13:05)は薬剤名や服用量が登録されている服用時刻欄だけに登録される。また、服用管理手段21は、ステップA5で送信済みメール情報データベース26に格納した送信済みメール情報を参照し、ユーザID,服用年月日,服用時間帯が返信メールと同じメール情報を検索し削除する(ステップA10)。
【0048】
ステップA10に続き、薬局端末20の服用管理手段21は、図示しない記憶部に記憶されている服用履歴管理サーバ30のアドレスを取得して服用履歴管理サーバ30にアクセスし、ユーザID,服用年月日,服用時間帯(2002/7/10/昼),服用時刻(13:05)を服用履歴管理サーバ30に送信して服用時刻の登録を要求する(ステップA11)。服用履歴管理サーバ30の履歴管理手段31は、送信されたユーザの服用時刻をユーザ毎服用履歴データベース33に登録する(ステップA12)。
【0049】
ステップA5で服用通知メールの送信済みメール情報を送信済みメール情報データベース26に格納したが、服用管理手段21はその送信済みメール情報データベース26を参照し、所定数以上の送信時刻が登録されている送信済みメール情報があれば、その送信済みメール情報を削除する。そして、所定数未満の送信時刻が登録されている送信済みメール情報については、前回の送信時刻から一定時間以上経過しているかを判断し、そうであればユーザから服用済み通知メールが未だ返信されていないことを意味するため、その服用通知メールを再送し、この後は上述したステップA6〜ステップA9の動作を繰り返す。服用管理手段21は再送後に送信済みメール情報に送信時刻(再送時刻)を追加して送信済みメール情報データベース26に追加記憶する。このように、送信済みメール情報には1回送信する度に新たな送信時刻が追加され、服用管理手段21はこれらの送信時刻の数により何回服用通知メールが再送されたかを判断する(ステップA13)。」


8 甲8(特開2012−190228号公報) 甲8には、以下のとおりの記載がある。
「【0047】
図3は、本実施形態に係るプラント監視画面及び警報一覧画面の一例を示す画面図である。
【0048】
プラント監視画面W1では、機器の接続関係が表示される。
【0049】
警報一覧画面W2では、警報の履歴として、警報の発生時間、警報の状態(例えば、重故障又は軽故障、発生中又は復旧済み、警報内容など)が関連付けられた状態(同じ行)で表示される。
【0050】
ユーザは、警報一覧画面W2を参照することにより、機器の故障等の警報について確認可能である。警報一覧画面W2では、新しく発生した警報ほど上位に表示される。したがって、警報発生中であり、修繕・対応が必要であっても、古い警報は、時間が経過すると表示領域から送り出され、非表示となる。送り出された古い警報は、スライドバーを移動させることで表示可能である。」


9 甲9(特開2015−015020号公報) 甲9には、以下のとおりの記載がある。
「【0059】
表示領域V4aは、表示すべき範囲を選択する操作を行った場合には、処方監査関連情報の具体的な情報が表示される具体情報欄である。
ここで、具体情報欄は、処方されている薬剤、注意すべき対象となる薬剤又は病気等、注意すべき対象の処方監査関連情報の項目(禁忌等)等が同一欄として表示したものであり、さらに、処方監査関連情報の項目になぜ該当するかを示す情報も含むようにしてもよい。
一つの欄は、左枠と上枠と下枠とから構成されている。上枠には、注意すべき対象(病気・薬剤等処方監査において薬剤師が注意を払うべき対象)が表示される。
具体的には、「副作用」の欄を選択した場合又は「副作用(重複)」の欄を選択した場合には、同一の副作用が複数の薬剤に発生しうる場合に、一の副作用と一の薬剤との組み合わせではなく、一の副作用と複数の薬剤との組み合わせとなるように、一の具体情報欄に表示される。即ち、複数の薬剤に同一の副作用が発生しうる場合には、当該副作用で複数の薬剤をまとめて一の具体情報欄に表示するようになっている。例えば、V4の1段目の欄の上枠には、注意すべき対象として、副作用の「筋肉痛」が表示され、下枠には、処方されている薬剤である「薬剤A」と「薬剤B」とが表示されている。そして、「薬剤A」と「薬剤B」のように、同一の副作用が複数の薬剤に発生しうるため、「多剤」と表示されており、重複した副作用と重複していない副作用とを区別可能に表示している。
なお、「副作用」の欄を選択した場合には、重複した副作用及び重複していない副作用を具体的情報欄に表示するが、「副作用(重複)」の欄を選択した場合には、重複した副作用を表示するようになっている。
【0060】
また、表示される具体情報欄は、副作用の注目度が高いものから順に表示されるようになっている。ここで、副作用の注目度は、処方監査の際に薬剤師が注目しうる要素であればよく、任意の要素を採用することができる。
例えば、本実施形態においては、副作用の重篤度を第一の基準とし、副作用の発症率を第二の基準としている。即ち、まず、副作用の重篤度が「重大」である副作用が上位に配置され、副作用の重篤度が「その他」である副作用が下位に配置されて表示されるようになっている。そして、副作用の重篤度が「重大」であるものの中で、さらに発症率が高いものから表示されるようになっている。同様に、副作用の重篤度が「その他」であるものの中で、さらに発症率が高いものから表示されるようになっている。なお、発症率は、重複した副作用については合算後の副作用を基準としている。
【0061】
以上のように、本実施形態では、同一の副作用が複数あるか(重複するか)を確認し、重複する副作用の情報を出力するため、薬剤師は、多剤併用時においても、より慎重な処方監査が必要な重複する副作用を短時間で容易に把握することができ、薬剤師の習熟度にかかわらず適切な服薬指導を行うことができる。
【0062】
また、本実施形態では、重複した副作用と重複していない副作用とを区別可能に表示するため、薬剤師は、多剤併用時においても、より慎重な処方監査が必要な重複する副作用を短時間で容易に把握することができ、薬剤師の習熟度にかかわらず適切な服薬指導を行うことができる。
【0063】
また、本実施形態では、重複した副作用に応じた発症率を算出するため、薬剤師は、重複した副作用に応じた発症率を考慮して、処方監査を行うことができ、薬剤師の習熟度にかかわらず適切な服薬指導を行うことができる。」



10 甲10(あなたの調剤薬局システムのログイン画面の画像、[online]、2019年10月10日、インターネット
甲10のURLにアクセスすると、次に示す「あなたの調剤薬局システム」のログイン画面が表示される。


11 甲11(健康サロン株式会社、“調剤薬局・薬剤師の課題を解決するトータルサポートパッケージシステム『あなたの調剤薬局』をリリース。”、[online]、2019年10月11日、株式会社PR TIMES、インターネット
甲11には、次のとおりの記載がある。
「そこで、「あなたの調剤薬局」では、8000万人以上のユーザーを持つLINEの活用により、患者とのコミュニケーションを簡易化し、自動かつ最適なタイミングでの投薬後フォロー機能を完成致しました(※LINEを持たない患者にはSMS対応)。薬剤師の業務負担を大幅に軽減すると同時に、患者にとっても煩わしい電話でなく、LINE(SMS)によって気軽に継続的な服薬指導を受けることができるようになることで、処方時のみならず、ちょっとした調子が悪い時でも気軽にいつでも相談できる安心・安全な「真のかかりつけ薬局」の実現を支援致します。
■主な機能と導入・活用メリット
1.患者への服薬指導(投薬後フォロー)が、LINEで簡単・自動的に実施できます。患者はいつでも薬剤師にLINEで健康相談ができ、来局以外の継続的コミュニケーションをサポートします。
2.薬局は自局の特徴・特色をカスタマイズできるマイページで患者に自局をアピールできます。
3.患者は処方箋送信による来局予約ができ、薬局での待ち時間を短縮できます。
4.お薬手帳データをクラウド化。eお薬手帳により、患者のお薬手帳持参の煩わしさを解消、簡単に閲覧・追加入力も可能。既存の電子お薬手帳とも自動的に連携します。
5.自局以外の薬局と在庫情報を共有し、仕入れコスト削減可能な共同購入や、不動薬を融通することで、適正在庫を保持します。」

12 甲12(イントロン株式会社、“LINE機能を用いた継続的・自動的な患者フォローサービスを開始”、[online]、2019年10月25日、株式会社PR TIMES、インターネット
甲12には、次のとおりの記載がある。
「埼玉・千葉・東京・三重・熊本と広く調剤薬局チェーンを展開するイントロン株式会社(本社:埼玉県川越市、代表取締役社長:増子治樹)は、この度、地域の「健康相談」窓口として継続的な薬剤の使用状況の把握や服薬指導を行うため、LINE機能を用いた新たなサービス「あなたの調剤薬局※」を導入しました。
このサービスにより、患者様に対しLINE機能を用いた継続的・自動的なフォローを行った結果、81%の薬剤師から、「業務負荷が増えずに、患者とのコミュニケーションが向上した」とのアンケート回答を得ました。」

13 甲13(健康サロン株式会社、“あなたの調剤薬局 カンタン運用ガイド(マニュアル)”、2020年3月1日、健康サロン株式会社) 甲13には、以下のとおりの記載がある。



14 甲14(健康サロン株式会社から株式会社岡本薬局みなみ店に2020年3月1日23:31に送信された「サービス開始のお知らせ(あなたの調剤薬局)」という表題の電子メールの写し)
甲14は、甲13の「あなたの調剤薬局 簡単運用ガイド」が、2020年3月1日に健康サロン株式会社から株式会社岡本薬局みなみ店に送信された電子メールに添付ファイルとして添付されて、送信されたことを示している。

第7 本件発明4、6、7について
1 本件発明4について
(1) 対比
本件発明4と甲1発明とを以下で対比する。
ア 甲1発明は、LINEを活用して患者と薬剤師との間で対話を行うものであるから、患者は、LINEにより操作するスマートフォンなどの端末を有することは明らかであり、甲1発明の患者の当該端末は、本件発明4の「患者が用いる第1の端末」に相当する。
また、甲1発明は、クラウドを介してシステム上の電子お薬手帳に患者の処方箋を自動的に配信し、電子お薬手帳のデータから自動的にメッセージ配信のスケジュールを決めるから、これらの処理を行うサーバに該当するコンピュータを有することは明らかであり、甲1発明の当該コンピュータは、本件発明4の「コンピュータ」に相当する。
また、甲1発明の薬剤師が使用する「調剤室内にあるパソコン」は、本件発明4の「薬剤師が用いる第2の端末」に相当する。
甲1発明の「対話アプリのLINEを活用した服薬期間中のフォローアップ方法」は、薬剤交付後の「服用開始日当日、服用期間の中間日、服用終了日の前日の3日間」に患者にメッセージを配信し、必要があれば薬剤師が対応してフォローアップを行う方法であるから、本件発明4と同様の「薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための方法」であるといえる。
イ 甲1発明において、「処方箋送信による調剤予約」を行う際に、上記アで検討した、患者の端末から調剤予約のための処方箋を送信することは明らかである。そして、甲1発明の、患者の端末から調剤予約のための処方箋を送信し、調剤内容をクラウドを介してシステム上の電子お薬手帳に自動配信する機能を有し、クラウド上にある電子お薬手帳のデータから自動的に決まったスケジュールにより、フォローアップのメッセージを送信することと、本件発明4の「コンピュータが、患者が用いる第1の端末から受信した処方情報に含まれる薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて、前記薬剤に対応づけられた1又は複数の質問を選定するステップ」とは、上記アを踏まえれば、「コンピュータが、患者が用いる第1の端末から受信した処方情報に基づいて、質問を設定するステップ」である点で共通する。
ウ 甲1発明の質問内容は、患者が「あり」「なし」の2択で返信する仕組みであり、「あり」「なし」の2択で返信する質問内容は、本件発明4の「各質問に対する複数の回答候補の回答文又は回答識別子を含む質問情報」に相当するから、甲1発明の、適切な時期にフォローアップのための、患者が「あり」「なし」の2択で返信する質問内容を含む質問やメッセージをLINEのトークで自動送信することは、上記アを踏まえれば、本件発明4の「前記コンピュータが、前記第1の端末に、前記1又は複数の質問の質問文又は質問識別子及び各質問に対する複数の回答候補の回答文又は回答識別子を含む質問情報を送信するステップ」に相当する。
エ 甲1発明の患者が、LINEのメッセージで送られてきた質問に「あり」「なし」の2択で返信し、システムが受信することは、上記アを踏まえれば、本件発明4の「前記コンピュータが、前記第1の端末から、前記患者が選択した回答の回答文又は回答識別子を含む回答情報を受信するステップ」に相当する。
オ 甲1発明において、患者からの回答に問題等がある場合に、回答一覧において、問題や問い合わせ内容を入力した患者がピンク色で表示されることは、薬剤師に対して対応の必要があることを示す注意喚起、すなわち、アラートということができるから、甲1発明の、システムが、調剤室内のパソコンの管理画面に患者からの回答一覧を問題がなければ白色表示、何かしら問題や問い合わせ内容を入力した患者はピンク色に表示させるために生成することは、本件発明4の「前記コンピュータが、前記回答情報に含まれる回答が適正であるか否かを判定し、不適正である場合に、薬剤師が用いる第2の端末で表示するためのアラートを生成するステップ」に相当する。

(2)一致点、相違点
以上のとおりであるから、本件発明4と甲1発明とは、以下の点で、一致・相違する。
[一致点]
薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための方法であって、
コンピュータが、患者が用いる第1の端末から受信した処方情報に基づいて、質問を選定するステップと、
前記コンピュータが、前記第1の端末に、前記1又は複数の質問の質問文又は質問識別子及び各質問に対する複数の回答候補の回答文又は回答識別子を含む質問情報を送信するステップと、
前記コンピュータが、前記第1の端末から、前記患者が選択した回答の回答文又は回答識別子を含む回答情報を受信するステップと、
前記コンピュータが、前記回答情報に含まれる回答が適正であるか否かを判定し、不適正である場合に、薬剤師が用いる第2の端末で表示するためのアラートを生成するステップと
を含む。
[相違点1]
処方情報に基づいて設定される質問が、本件発明4では、「処方情報に含まれる薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて」、選定される「前記薬剤に対応づけられた1又は複数の質問」であるのに対し、甲1発明では、薬剤に対応付けられたものではなく、服用期間に基づいた質問である点。
[相違点2]
薬剤に対応付けられた質問の選定が、本件発明4では、薬剤と一組の質問との対応づけを参照して、前記処方情報に含まれる前記薬剤に対応づけられた一組の質問のうち各質問に付与された優先順位の高い順に行うのに対し、甲1発明では、そのような特定のない点。
[相違点3]
本件発明4では、回答情報に含まれる回答が適正である場合に、適正と判定された回答に対応する質問の優先順位を所定期間低下させるのに対し、甲1発明では、そのような特定のない点。

(2)判断
ア 相違点1及び相違点2について
薬剤師が服薬指導をする場合に、過去に処方された薬剤について、副作用の強い薬に対しては特に、「服用前と比べて、めまいがよくするようになりましたか?」、「めまいがする場合は、服用後何時間経過してからですか?」などの詳細な内容を含むアンケートが作成して、患者に質問することが甲4記載の技術的事項に示されているから、甲1発明において、服薬期間中のフォローアップの質問内容を、処方情報に含まれる薬剤に応じたものとし、優先順位の高い順に質問することは当業者が容易に想到し得た事項である。
イ 相違点3について
「回答情報に含まれる回答が適正である場合に、適正と判定された回答に対応する質問の優先順位を所定期間低下させる」ことは、甲9、参考資料1、他の証拠にも記載も示唆もされておらず、当業者が容易に想到し得た事項とはいえない。
ウ 小括
よって、本件発明4は、甲1発明及び甲2〜甲14、参考資料1の記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本件発明6について
(1) 対比
本件発明6と甲1発明Aとを以下で対比する。
ア 甲1発明Aは、LINEを活用して患者と薬剤師との間で対話を行うものであるから、患者は、LINEにより操作するスマートフォンなどの端末を有することは明らかであり、甲1発明Aの患者の当該端末は、本件発明6の「患者が用いる第1の端末」に相当する。
また、甲1発明Aの「システムのコンピュータ」は、本件発明6の「コンピュータ」に相当する。
また、甲1発明Aの薬剤師が使用する「調剤室内にあるパソコン」は、本件発明6の「薬剤師が用いる第2の端末」に相当する。
甲1発明Aの「システムのコンピュータに対話アプリのLINEを活用した服薬期間中のフォローアップ方法を実行させるためのプログラム」は、薬剤交付後の「服用開始日当日、服用期間の中間日、服用終了日の前日の3日間」に患者にメッセージを配信し、必要があれば薬剤師が対応してフォローアップを行う方法を実行させるプログラムであるから、本件発明6と同様の「コンピュータに、薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための方法を実行させるためのプログラム」であるといえる。
イ 甲1発明Aにおいて、「処方箋送信による調剤予約」を行う際に、上記アで検討した、患者の端末から調剤予約のための処方箋を送信することは明らかである。そして、甲1発明Aの、患者の端末から調剤予約のための処方箋を送信し、調剤内容をクラウドを介してシステム上の電子お薬手帳に自動配信する機能を有し、クラウド上にある電子お薬手帳のデータから自動的に決まったスケジュールにより、フォローアップのメッセージを送信することと、本件発明6の「患者が用いる第1の端末から受信した処方情報に含まれる薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて、前記薬剤に対応づけられた1又は複数の質問を選定するステップ」とは、上記アを踏まえれば、「患者が用いる第1の端末から受信した処方情報に基づいて、質問を設定するステップ」である点で共通する。
ウ 甲1発明Aの質問内容は、患者が「あり」「なし」の2択で返信する仕組みであり、「あり」「なし」の2択で返信する質問内容は、本件発明6の「各質問に対する複数の回答候補の回答文又は回答識別子を含む質問情報」に相当するから、甲1発明の、適切な時期にフォローアップのための、患者が「あり」「なし」の2択で返信する質問内容を含む質問やメッセージをLINEのトークで自動送信することは、上記アを踏まえれば、本件発明6の「前記第1の端末に、前記1又は複数の質問の質問文又は質問識別子及び各質問に対する複数の回答候補の回答文又は回答識別子を含む質問情報を送信するステップ」に相当する。
エ 甲1発明Aの患者が、LINEのメッセージで送られてきた質問に「あり」「なし」の2択の返信し、システムが受信することは、上記アを踏まえれば、本件発明6の「前記第1の端末から、前記患者が選択した回答の回答文又は回答識別子を含む回答情報を受信するステップ」に相当する。
オ 甲1発明Aにおいて、患者からの回答に問題等がある場合に、回答一覧において、問題や問い合わせ内容を入力した患者がピンク色で表示されることは、薬剤師に対して対応の必要があることを示す注意喚起、すなわち、アラートということができるから、甲1発明Aの、調剤室内のパソコンの管理画面に患者からの回答一覧を問題がなければ白色表示、何かしら問題や問い合わせ内容を入力した患者はピンク色に表示させるために生成することは、本件発明6の「前記回答情報に含まれる回答が適正であるか否かを判定し、不適正である場合に、薬剤師が用いる第2の端末で表示するためのアラートを生成するステップ」に相当する。

(2)一致点、相違点
以上のとおりであるから、本件発明6と甲1発明Aとは、以下の点で、一致・相違する。
[一致点]
コンピュータに、薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、
患者が用いる第1の端末から受信した処方情報に基づいて、質問を選定するステップと、
前記第1の端末に、前記1又は複数の質問の質問文又は質問識別子及び各質問に対する複数の回答候補の回答文又は回答識別子を含む質問情報を送信するステップと、
前記第1の端末から、前記患者が選択した回答の回答文又は回答識別子を含む回答情報を受信するステップと、
前記回答情報に含まれる回答が適正であるか否かを判定し、不適正である場合に、薬剤師が用いる第2の端末で表示するためのアラートを生成するステップと
を含む。
[相違点1′]
処方情報に基づいて設定される質問が、本件発明6では、「処方情報に含まれる薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて」、選定される「前記薬剤に対応づけられた1又は複数の質問」であるのに対し、甲1発明Aでは、薬剤に対応付けられたものではなく、服用期間に基づいた質問である点。
[相違点2′]
薬剤に対応付けられた質問の選定が、本件発明6では、薬剤と一組の質問との対応づけを参照して、前記処方情報に含まれる前記薬剤に対応づけられた一組の質問のうち各質問に付与された優先順位の高い順に行うのに対し、甲1発明Aでは、そのような特定のない点。
[相違点3′]
本件発明6では、回答情報に含まれる回答が適正である場合に、適正と判定された回答に対応する質問の優先順位を所定期間低下させるのに対し、甲1発明Aでは、そのような特定のない点。

(3)判断
ア 相違点1′及び相違点2′について
薬剤師が服薬指導をする場合に、過去に処方された薬剤について、副作用の強い薬に対しては特に、「服用前と比べて、めまいがよくするようになりましたか?」、「めまいがする場合は、服用後何時間経過してからですか?」などの詳細な内容を含むアンケートが作成して、患者に質問することが甲4記載の技術的事項に示されているから、甲1発明Aにおいて、服薬期間中のフォローアップの質問内容を、処方情報に含まれる薬剤に応じたものとし、優先順位の高い順に質問することは当業者が容易に想到し得た事項である。
イ 相違点3′について
「回答情報に含まれる回答が適正である場合に、適正と判定された回答に対応する質問の優先順位を所定期間低下させる」ことは、甲9、参考資料1、他の証拠にも記載も示唆もされておらず、当業者が容易に想到し得た事項とはいえない。
ウ 小括
よって、本件発明6は、甲1発明A及び甲2〜甲14、参考資料1の記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本件発明7について
(1) 対比
本件発明7と甲1発明Bとを以下で対比する。
ア 甲1発明Bは、LINEを活用して患者と薬剤師との間で対話を行うものであるから、患者は、LINEにより操作するスマートフォンなどの端末を有することは明らかであり、甲1発明Bの患者の当該端末は、本件発明7の「患者が用いる第1の端末」に相当する。
また、甲1発明Bの「システムのコンピュータ装置」は、後述の相違点は別として、本件発明7の「装置」に相当する。
また、甲1発明Bの薬剤師が使用する「調剤室内にあるパソコン」は、本件発明7の「薬剤師が用いる第2の端末」に相当する。
甲1発明Bの「対話アプリのLINEを活用した服薬期間中のフォローアップを行うシステムのコンピュータ装置」は、薬剤交付後の「服用開始日当日、服用期間の中間日、服用終了日の前日の3日間」に患者にメッセージを配信し、必要があれば薬剤師が対応してフォローアップを行う方法を実行させるコンピュータ装置であるから、本件発明7と同様の「薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための装置」であるといえる。
イ 甲1発明Bにおいて、「処方箋送信による調剤予約」を行う際に、上記アで検討した、患者の端末から調剤予約のための処方箋を送信することは明らかである。そして、甲1発明Bの、患者の端末から調剤予約のための処方箋を送信し、調剤内容をクラウドを介してシステム上の電子お薬手帳に自動配信する機能を有し、クラウド上にある電子お薬手帳のデータから自動的に決まったスケジュールにより、フォローアップのメッセージを送信する機能を有する手段と、本件発明7の「患者が用いる第1の端末から受信した処方情報に含まれる薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて、前記薬剤に対応づけられた1又は複数の質問を選定する処理部」とは、上記アを踏まえれば、「患者が用いる第1の端末から受信した処方情報に基づいて、質問を設定する処理部」である点で共通する。
ウ 甲1発明Bの質問内容は、患者が「あり」「なし」の2択で返信する仕組みであり、「あり」「なし」の2択で返信する質問内容は、本件発明7の「各質問に対する複数の回答候補の回答文又は回答識別子を含む質問情報」に相当するから、甲1発明の、適切な時期にフォローアップのための、患者が「あり」「なし」の2択で返信する質問内容を含む質問やメッセージをLINEのトークで自動送信することは、上記アを踏まえれば、本件発明7の「前記第1の端末に、前記1又は複数の質問の質問文又は質問識別子及び各質問に対する複数の回答候補の回答文又は回答識別子を含む質問情報を送信する」ことに相当する。
甲1発明Bの患者が、LINEのメッセージで送られてきた質問に「あり」「なし」の2択の返信し、システムが受信することは、上記アを踏まえれば、本件発明7の「前記第1の端末から、前記患者が選択した回答の回答文又は回答識別子を含む回答情報を受信する」ことに相当する。
そして、甲1発明Bにおおいて、質問情報を送信することと、回答情報を受信することとは、いずれも、ネットワークを介して通信された情報を送受信することであるから、「コンピュータ装置」の「通信部」が行うものといってよいものである。
よって、甲1発明の、適切な時期にフォローアップのための、患者が「あり」「なし」の2択で返信する質問内容を含む質問やメッセージをLINEのトークで自動送信し、患者が、LINEのメッセージで送られてきた質問に「あり」「なし」の2択の返信し、システムが受信する通信部は、本件発明7の「前記第1の端末に、前記1又は複数の質問の質問文又は質問識別子及び各質問に対する複数の回答候補の回答文又は回答識別子を含む質問情報を送信し、前記第1の端末から、前記患者が選択した回答の回答文又は回答識別子を含む回答情報を受信する通信部」に相当する。
エ 甲1発明Bにおいて、患者からの回答に問題等がある場合に、回答一覧において、問題や問い合わせ内容を入力した患者がピンク色で表示されることは、薬剤師に対して対応の必要があることを示す注意喚起、すなわち、アラートということができるから、甲1発明Bの、コンピュータ装置が、調剤室内のパソコンの管理画面に患者からの回答一覧を問題がなければ白色表示、何かしら問題や問い合わせ内容を入力した患者はピンク色に表示させるために生成することは、本件発明7の「前記処理部は、前記回答情報に含まれる回答が適正であるか否かを判定し、不適正である場合に、薬剤師が用いる第2の端末で表示するためのアラートを生成する」ことに相当する。

(2)一致点、相違点
以上のとおりであるから、本件発明7と甲1発明Bとは、以下の点で、一致・相違する。
[一致点]
薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための装置であって、
患者が用いる第1の端末から受信した処方情報に基づいて、質問を設定する処理部と、
前記第1の端末に、前記1又は複数の質問の質問文又は質問識別子及び各質問に対する複数の回答候補の回答文又は回答識別子を含む質問情報を送信し、前記第1の端末から、前記患者が選択した回答の回答文又は回答識別子を含む回答情報を受信する通信部と
を備え、
前記処理部は、前記回答情報に含まれる回答が適正であるか否かを判定し、不適正である場合に、薬剤師が用いる第2の端末で表示するためのアラートを生成する。
[相違点1″]
処方情報に基づいて設定される質問が、本件発明7では、「処方情報に含まれる薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて」、選定される「前記薬剤に対応づけられた1又は複数の質問」であるのに対し、甲1発明Bでは、薬剤に対応付けられたものではなく、服用期間に基づいた質問である点。
[相違点2″]
薬剤に対応付けられた質問の選定が、本件発明7では、薬剤と一組の質問との対応づけを参照して、前記処方情報に含まれる前記薬剤に対応づけられた一組の質問のうち各質問に付与された優先順位の高い順に行うのに対し、甲1発明Bでは、そのような特定のない点。
[相違点3″]
本件発明7では、回答情報に含まれる回答が適正である場合に、適正と判定された回答に対応する質問の優先順位を所定期間低下させるのに対し、甲1発明Bでは、そのような特定のない点。

(3)判断
ア 相違点1″及び相違点2″について
薬剤師が服薬指導をする場合に、過去に処方された薬剤について、副作用の強い薬に対しては特に、「服用前と比べて、めまいがよくするようになりましたか?」、「めまいがする場合は、服用後何時間経過してからですか?」などの詳細な内容を含むアンケートが作成して、患者に質問することが甲4記載の技術的事項に示されているから、甲1発明Bにおいて、服薬期間中のフォローアップの質問内容を、処方情報に含まれる薬剤に応じたものとし、優先順位の高い順に質問することは当業者が容易に想到し得た事項である。
イ 相違点3″について
「回答情報に含まれる回答が適正である場合に、適正と判定された回答に対応する質問の優先順位を所定期間低下させる」ことは、甲9、参考資料1、他の証拠にも記載も示唆もされておらず、当業者が容易に想到し得た事項とはいえない。
ウ 小括
よって、本件発明6は、甲1発明B及び甲2〜甲14、参考資料1の記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第8 むすび
特許6982706号の請求項4、6、7に係る特許は、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び証拠によっては取り消すことはできない。さらに、他に請求項4、6、7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
特許異議の申立てがされた本件特許の請求項1〜7に係る発明のうち、請求項1〜3、5に係る発明は、訂正により削除され、その対象とする請求項が存在しないものとなったため、特許6982706号の請求項1〜3、5に係る特許についてされた特許異議の申立は、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、上記結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(削除)
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための方法であって、
コンピュータが、患者が用いる第1の端末から受信した処方情報に含まれる薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて、前記薬剤に対応づけられた1又は複数の質問を選定するステップと、
前記コンピュータが、前記第1の端末に、前記1又は複数の質問の質問文又は質問識別子及び各質問に対する複数の回答候補の回答文又は回答識別子を含む質問情報を送信するステップと、
前記コンピュータが、前記第1の端末から、前記患者が選択した回答の回答文又は回答識別子を含む回答情報を受信するステップと、
前記コンピュータが、前記回答情報に含まれる回答が適正であるか否かを判定し、不適正である場合に、薬剤師が用いる第2の端末で表示するためのアラートを生成するステップと
を含み、
前記選定は、薬剤と一組の質問との対応づけを参照して、前記処方情報に含まれる前記薬剤に対応づけられた一組の質問のうち各質問に付与された優先順位の高い順に行い、
前記回答情報に含まれる回答が適正である場合に、適正と判定された回答に対応する質問の優先順位を所定期間低下させる。
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
コンピュータに、薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、
患者が用いる第1の端末から受信した処方情報に含まれる薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて、前記薬剤に対応づけられた1又は複数の質問を選定するステップと、
前記第1の端末に、前記1又は複数の質問の質問文又は質問識別子及び各質問に対する複数の回答候補の回答文又は回答識別子を含む質問情報を送信するステップと、
前記第1の端末から、前記患者が選択した回答の回答文又は回答識別子を含む回答情報を受信するステップと、
前記回答情報に含まれる回答が適正であるか否かを判定し、不適正である場合に、薬剤師が用いる第2の端末で表示するためのアラートを生成するステップと
を含み、
前記選定は、薬剤と一組の質問との対応づけを参照して、前記処方情報に含まれる前記薬剤に対応づけられた一組の質問のうち各質問に付与された優先順位の高い順に行い、
前記回答情報に含まれる回答が適正である場合に、適正と判定された回答に対応する質問の優先順位を所定期間低下させる。
【請求項7】
薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための装置であって、
患者が用いる第1の端末から受信した処方情報に含まれる薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて、前記薬剤に対応づけられた1又は複数の質問を選定する処理部と、
前記第1の端末に、前記1又は複数の質問の質問文又は質問識別子及び各質問に対する複数の回答候補の回答文又は回答識別子を含む質問情報を送信し、前記第1の端末から、前記患者が選択した回答の回答文又は回答識別子を含む回答情報を受信する通信部と
を備え、
前記処理部は、前記回答情報に含まれる回答が適正であるか否かを判定し、不適正である場合に、薬剤師が用いる第2の端末で表示するためのアラートを生成し、
前記選定は、薬剤と一組の質問との対応づけを参照して、前記処方情報に含まれる前記薬剤に対応づけられた一組の質問のうち各質問に付与された優先順位の高い順に行い、
前記回答情報に含まれる回答が適正である場合に、適正と判定された回答に対応する質問の優先順位を所定期間低下させる。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2023-06-28 
出願番号 P2021-047991
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (G16H)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 佐藤 智康
特許庁審判官 高瀬 勤
小田 浩
登録日 2021-11-24 
登録番号 6982706
権利者 株式会社カケハシ
発明の名称 薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための装置、方法及びプログラム  
代理人 弁理士法人六本木通り特許事務所  
代理人 弁理士法人六本木通り特許事務所  
代理人 若林 裕介  

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