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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 G06Q 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 G06Q 審判 全部申し立て 2項進歩性 G06Q 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 G06Q |
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管理番号 | 1401708 |
総通号数 | 21 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2023-09-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2023-05-17 |
確定日 | 2023-09-07 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第7174884号発明「生理用品提供装置のためのアプリ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第7174884号の請求項1〜3に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第7174884号の請求項1〜3に係る特許についての出願は、令和4年9月7日にされた特許法第44条第1項の規定による特許出願であって、令和3年11月10日に出願した特願2021−569482号を最先の出願とする、第2次の分割出願であるところ、出願の分割の経緯は次のとおりである。なお、括弧内は当該出願の出願日を示す。 最先の出願:特願2021−569482号(令和3年11月10日(優先権主張 令和2年11月27日)) 第1次分割:特願2022−25544号(令和4年2月22日) 第2次分割(本願):特願2022−142533号(令和4年9月7日) そして、本願は、令和4年11月9日にその特許権の設定登録がされ、同年11月17日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1〜3に係る特許に対し、令和5年5月17日に特許異議申立人 川上 真平(以下「申立人」という。)が、特許異議の申立てを行った。 第2 本件発明 特許第7174884号の請求項1〜3に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 生理用品を提供するディスペンサに対して生理用品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末にインストールされたアプリであって、 前記ユーザ端末が備える位置決め機能を使って、前記ユーザ端末の位置を把握し、 前記ユーザ端末が備える通信機能を使って、複数のディスペンサの設置場所がそれぞれ記録されたディスペンサ設置場所データベースにアクセスし、 前記ユーザ端末の位置と、前記ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所とに基づいて、前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示し、 前記通信機能を使って、前記複数のディスペンサに収納されている生理用品の在庫数および種類がそれぞれ記録された在庫状況データベースにアクセスし、 前記場所を地図表示されたディスペンサに収納されている生理用品の在庫数および種類を、前記在庫状況データベースから把握し、 前記把握した在庫数および種類を、前記地図上に、対応するディスペンサに関連付けてさらに表示する、アプリ。 【請求項2】 生理用品を提供するディスペンサに対して生理用品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末にインストールされたアプリであって、 前記ユーザ端末が備える位置決め機能を使って、前記ユーザ端末の位置を把握し、 前記ユーザ端末が備える通信機能を使って、複数のディスペンサの設置場所がそれぞれ記録されたディスペンサ設置場所データベースにアクセスし、 前記ユーザ端末の位置と、前記ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所とに基づいて、前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示し、 前記通信機能を使って、前記ディスペンサから発せられる、前記ディスペンサのディスペンサIDを含むビーコン信号を受信し、 前記通信機能を使って、前記複数のディスペンサに収納されている生理用品の在庫数および種類がそれぞれ記録された在庫状況データベースにアクセスし、 前記在庫状況データベースから、前記ディスペンサIDのディスペンサの在庫数および種類を、前記在庫状況データベースから把握し、 前記把握したディスペンサの在庫数および種類を、前記ユーザ端末から表示する、アプリ。 【請求項3】 生理用品を提供するディスペンサに対して生理用品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末にインストールされたアプリであって、 前記ユーザ端末が備える位置決め機能を使って、前記ユーザ端末の位置を把握し、 前記ユーザ端末が備える通信機能を使って、複数のディスペンサの設置場所がそれぞれ記録されたディスペンサ設置場所データベースにアクセスし、 前記ユーザ端末の位置と、前記ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所とに基づいて、前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示し、 前記通信機能を使って、前記ユーザが過去にディスペンサから生理用品を入手したときの履歴情報が記録されたユーザ提供履歴データベースにアクセスし、 前記ユーザ提供履歴データベースに記録された前記ユーザの前記履歴情報を、前記ユーザ端末から表示する、アプリ。」 第3 申立理由の概要 1 申立理由 (1)申立理由1 本件発明1は、甲1又は甲2に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に規定する要件を満たしていないため、請求項1に係る特許は、取り消されるべきものである。 (2)申立理由2 本件発明1〜3は、甲1又は甲2に記載された発明及び甲3〜甲8に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項に規定する要件を満たしていないため、請求項1〜3に係る特許は、取り消されるべきものである。 (3)申立理由3 請求項1〜3に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたから、取り消されるべきものである。 (4)申立理由4 請求項1〜3に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたから、取り消されるべきものである。 (5)申立理由5 請求項1〜3に係る特許は、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたから、取り消されるべきものである。 2 証拠方法 甲1:特開2003−217008号公報 甲2:特開2004−157714号公報 甲3:特開平7−302386号公報 甲4:特開2002−177105号公報 甲5:特開2020−57415号公報 甲6:特開2020−173823号公報 甲7:特開2011−232929号公報 甲8:特開2007−257578号公報 第4 各甲号証の記載 1 甲1(特開2003−217008号公報)について (1)甲1には、次の記載がある。(なお、下線は合議体が付与した。以下、同様。) 「【0006】 また、前記ネットワークに接続され、前記自動販売機から商品を購入するユーザが使用する複数の携帯端末を有し、前記管理センター端末は、前記複数の自動販売機の個別の情報を、前記ネットワークを介して前記携帯端末に提供することを特徴としている。」 「【0012】 また、前記携帯端末は、前記携帯端末の現在位置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記位置情報取得手段にて取得された前記携帯端末の位置情報を、前記ユーザが入力した購入希望商品の商品情報とともに、前記ネットワークを介して前記管理センター端末に送信し、前記自動販売機の検索要求を行う検索要求手段とを有し、前記管理センター端末は、前記携帯端末からの検索要求に対し、前記購入希望商品の在庫があり、かつ前記携帯端末の現在位置から最も近い自動販売機を検索し、検索した自動販売機の位置情報を含む画面を、前記ネットワークを介して前記携帯端末に送信する検索処理手段を有することを特徴としている。 【0013】 なお、前記検索処理手段は、前記携帯端末からの検索要求に対し、前記購入希望商品の在庫があり、かつ前記携帯端末の現在位置から近い1つ以上の自動販売機を検索し、検索した自動販売機のリストマップを含む画面を、前記ネットワークを介して前記携帯端末に送信することとしても良い。」 「【0026】 また、前記携帯端末は、前記携帯端末の現在位置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記位置情報取得手段にて取得された前記携帯端末の位置情報を、前記ユーザが入力した購入希望商品の商品情報とともに、前記ネットワークを介して前記管理センター端末に送信し、前記自動販売機あるいは前記店舗の検索要求を行う検索要求手段とを有し、前記管理センター端末は、前記携帯端末からの検索要求に対し、前記購入希望商品の在庫があり、かつ前記携帯端末の現在位置から最も近い自動販売機あるいは店舗を検索し、検索した自動販売機あるいは店舗の位置情報を含む画面を、前記ネットワークを介して前記携帯端末に送信する検索処理手段を有することを特徴としている。 【0027】 なお、前記検索処理手段は、前記携帯端末からの検索要求に対し、前記購入希望商品の在庫があり、かつ前記携帯端末の現在位置から近い1つ以上の自動販売機あるいは店舗を検索し、検索した自動販売機あるいは店舗のリストマップを含む画面を、前記ネットワークを介して前記携帯端末に送信することとしても良い。」 「【0040】 図1に示すように本実施形態の自動販売機の管理システムは、携帯端末10と、自動販売機20と、管理センター端末30と、これらを相互に接続するインターネット等であるネットワーク50とから構成されている。なお、図1においては、携帯端末10および自動販売機20がそれぞれ1つだけネットワーク50に接続されているが、実際には複数接続されているものとする。また、図1には図示していないが、ネットワーク50には、商品の在庫やつり銭の補充等を行う自動販売機20の在庫補充担当者が使用する担当者端末も複数接続されている。 【0041】 携帯端末10は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、モバイル機器等の携帯型情報処理装置であり、自動販売機20で販売されている商品を購入するユーザにより使用される。この携帯端末10は、通信部101と、位置情報取得部102と、検索要求部103と、操作部104と、表示部105とを具備している。 【0042】 通信部101は、ネットワーク50を介して自動販売機20および管理センター端末30との間で各種の情報を送受信する。 【0043】 位置情報取得部102は、携帯端末10の現在位置の位置情報を取得する。 【0044】 検索要求部103は、通信部101を介して管理センター端末30がネットワーク50上に提供しているサイトにアクセスし、自動販売機20の検索要求を行うことで該サイトから各種の情報を取得する。具体的には、検索要求部103は、管理センター端末30のサイト上で、位置情報取得部102で取得した携帯端末10の位置情報およびユーザが購入を希望する商品の商品情報を登録し、自動販売機20の検索要求を行う。なお、管理センター端末30から取得する情報は、自動販売機20で販売されている飲み物、タバコ等の商品に関する商品情報(商品の名称、在庫数、価格等)、自動販売機20の位置に関する位置情報(自動販売機20周辺の地図、自動販売機20までの所要時間等)等である。 【0045】 操作部104は、ユーザにより各種の指示が入力される。検索要求部103は、操作部104に入力された指示に基づいて、上記動作を行うことになる。 【0046】 表示部105は、ディスプレイ等であり、例えば、検索要求部103が管理センター端末30から取得した情報を表示する。 【0047】 自動販売機20は、飲み物、タバコ等を販売している自動販売機であり、電源コンセントを利用しネットワーク50に常に接続されている。この自動販売機20は、通信部201と、状態管理部202と、設定変更処理部203と、表示部204とを具備している。」 「【0049】 状態管理部202は、自動販売機20の状態情報、例えば、商品のラインナップ、設定価格、在庫数、庫内温度、障害等の情報を管理し、これらの情報を、定期的に、又は管理センター端末30が送出した送信要求に応じて、通信部201からネットワーク50を介して管理センター端末30に送信する。」 「【0053】 管理センター端末30は、ワークステーション・サーバー等の情報処理装置であり、本システムの管理者により使用される。この管理センター端末30は、通信部301と、設定変更要求部302と、操作部303と、自動販売機管理部304と、検索処理部305とを具備している。 【0054】 通信部301は、ネットワーク50を介して携帯端末10および自動販売機20との間で各種の情報を送受信する。 【0055】 設定変更要求部302は、自動販売機20の設定値を、通信部301からネットワーク50を介して自動販売機20あるいは自動販売機20の在庫補充担当者の担当者端末(不図示)に送信し、自動販売機20の設定変更要求を行う。具体的には、設定変更要求部302は、自動販売機20に対しては、自動販売機20の庫内温度等の人手を要しない設定変更を要求し、自動販売機20の在庫補充担当者の端末に対しては、自動販売機20の商品ラインアップの変更や、自動販売機20の商品在庫数やつり銭の補充等の人手を要する設定変更を要求する。 【0056】 操作部303は、本システムの管理者により各種の指示が入力される。設定変更要求部302は、操作部303に入力された指示に基づいて、上記動作を行うことになる。 【0057】 自動販売機管理部304は、自動販売機20が送出した自動販売機20の状態情報、例えば、商品のラインナップ、設定価格、在庫数、庫内温度等の情報を通信部301で受信した場合、その情報を更新し蓄積する。なお、自動販売機管理部304は、自動販売機20に対し、状態情報の送信要求も行う。また、自動販売機20に関する頻繁には変動しない情報、例えば、自動販売機20の位置情報、自動販売機20周辺の地図情報等は予め自動販売機管理部304に登録されている。 【0058】 検索処理部305は、携帯端末10が送出した検索要求を通信部301で受信した場合、自動販売機管理部304で管理されている自動販売機20の情報に基づいて、購入希望商品の在庫があり、かつ携帯端末10の現在位置から近い自動販売機20を検索し、検索した自動販売機20に関する情報を、通信部301からネットワーク50を介して携帯端末10に送信する。」 「【0069】 次に、ユーザが、自分の携帯端末10を使用して自動販売機20を検索する場合の動作について図3を参照して説明する。 【0070】 ユーザは、自分の携帯端末10を使用し、管理センター端末30がインターネット上に開設しているサイトにアクセスする(ステップ301)。これに応答して管理センター端末30は、購入希望商品の情報を入力可能な画面を携帯端末10に送信する(ステップ302)。 【0071】 ユーザは、携帯端末10に表示された画面上で購入希望商品の情報を入力する(ステップ303)。ここで入力された購入希望商品の商品情報は、ユーザの指示で、携帯端末10の位置情報とともに、携帯端末10からインターネットを介して管理センター端末30に送信される(ステップ304)。 【0072】 管理センター端末30は、購入希望商品の情報及び携帯端末10の位置情報を受信すると、管理センター端末30に蓄積されている自動販売機20の情報の中から、購入希望商品の在庫があり、かつ携帯端末10の現在位置に最も近い自動販売機20を検索する(ステップ305)。そして、検索した自動販売機20の在庫情報、付近の地図、位置情報、携帯端末10の位置情報等を含む画面を、インターネットを介して携帯端末10へ送信する(ステップ306)。 【0073】 ユーザは、携帯端末10に表示された画面上で自動販売機20の地図、位置情報を確認し、自動販売機20まで移動して希望の商品を購入する(ステップ307)。 【0074】 本実施形態においては、検索要求時に、まず、ユーザが、携帯端末10に商品の一部の語句を入力し、管理センター端末30が、その語句に該当する商品を携帯端末10に一覧表示し、その後に、ユーザが、携帯端末10に一覧表示された商品の中から購入希望商品を決定することとしても良い。 【0075】 また、本実施形態においては、管理センター端末30が、携帯端末10からの検索要求に対し、携帯端末10の現在位置周辺の特定エリア(例えば、携帯端末10の現在位置から徒歩10分の範囲内)に位置する自動販売機20を1つ以上検索し、検索した自動販売機20のリストマップを携帯端末10に送信することとしても良い。その場合、ユーザは、リストマップ上の自動販売機20の中から希望商品を購入する自動販売機20を選択することになる。」 「【0110】 ユーザは、携帯端末10に表示された画面において、リストマップ上の自動販売機20、その自動販売機20における商品の在庫数等を確認する。そして、予約を希望する自動販売機、商品、数量の情報を入力する(ステップ707)。ここで入力された情報は、ユーザの指示で、インターネットを介して管理センター端末30に送信される(ステップ708)。」 (2)甲1から読み取れる事項 ア 段落【0040】によると、「自動販売機の管理システム」は、「複数」の「携帯端末10」と、「複数」の「自動販売機20」と、「管理センター端末30」と、「これらを相互に接続するインターネット等であるネットワーク50」とから構成されている。 イ 段落【0041】によると、「携帯端末10」は、「自動販売機20で販売されている商品を購入するユーザにより使用される」「パーソナルコンピュータ、携帯電話、モバイル機器等の携帯型情報処理装置」であり、「通信部101」と、「位置情報取得部102」と、「検索要求部103」と、「操作部104」と、「表示部105」とを具備する。 ウ 段落【0042】によると、「通信部101」は、「ネットワーク50を介して自動販売機20および管理センター端末30との間で各種の情報を送受信する」。 エ 段落【0043】によると、「位置情報取得部102」は、「携帯端末10の現在位置の位置情報を取得」する。 オ 段落【0044】、【0071】によると、「検索要求部103」は、「通信部101を介して管理センター端末30がネットワーク50上に提供しているサイトにアクセス」し、「管理センター端末30のサイト上で、位置情報取得部102で取得した携帯端末10の位置情報およびユーザが購入を希望する商品の商品情報を登録し、自動販売機20の検索要求を行う」。 カ 段落【0044】、【0072】によると、「検索要求部103」は、「通信部101を介して管理センター端末30がネットワーク50上に提供しているサイト」から、「自動販売機20で販売されている飲み物、タバコ等の商品に関する商品情報(商品の名称、在庫数、価格等)、自動販売機20の位置に関する位置情報(自動販売機20周辺の地図、自動販売機20までの所要時間等)等」を「取得」し、ここで、「取得」する情報は、具体的には、「検索した自動販売機20の在庫情報、付近の地図、位置情報、携帯端末10の位置情報等を含む画面」である。 キ 段落【0046】によると、「表示部105」は「検索要求部103が管理センター端末30から取得した情報を表示する」「ディスプレイ」である。 ク 段落【0047】によると、「自動販売機20」は、「飲み物、タバコ等を販売している自動販売機」である。 ケ 段落【0053】によると、「管理センター端末30」は、「通信部301」と、「設定変更要求部302」と、「操作部303」と、「自動販売機管理部304」と、「検索処理部305」とを具備する「ワークステーション・サーバー等の情報処理装置」である。 コ 段落【0054】によると、「通信部301」は、「ネットワーク50を介して携帯端末10および自動販売機20との間で各種の情報を送受信する」。 サ 段落【0057】によると、「自動販売機管理部304」は、「自動販売機20が送出した自動販売機20の状態情報、例えば、商品のラインナップ、設定価格、在庫数、庫内温度等の情報を通信部301で受信した場合、その情報を更新し蓄積」し、「自動販売機20に関する頻繁には変動しない情報、例えば、自動販売機20の位置情報、自動販売機20周辺の地図情報等は予め登録されている」。 シ 段落【0058】、【0072】によると、「検索処理部305」は、「携帯端末10が送出した検索要求を通信部301で受信した場合、自動販売機管理部304で管理されている自動販売機20の情報に基づいて、購入希望商品の在庫があり、かつ携帯端末10の現在位置から近い自動販売機20を検索し、検索した自動販売機20に関する情報を、通信部301からネットワーク50を介して携帯端末10に送信」し、ここで、「検索した自動販売機20に関する情報」は、具体的には、「検索した自動販売機20の在庫情報、付近の地図、位置情報、携帯端末10の位置情報等を含む画面」である。 (3)甲1発明 上記(2)によると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。 複数の携帯端末10と、複数の自動販売機20と、管理センター端末30と、これらを相互に接続するインターネット等であるネットワーク50とから構成されている自動販売機の管理システムにおける、携帯端末10であって、 携帯端末10は、自動販売機20で販売されている商品を購入するユーザにより使用されるパーソナルコンピュータ、携帯電話、モバイル機器等の携帯型情報処理装置であり、通信部101と、位置情報取得部102と、検索要求部103と、操作部104と、表示部105とを具備し、 通信部101は、ネットワーク50を介して自動販売機20および管理センター端末30との間で各種の情報を送受信し、 位置情報取得部102は、携帯端末10の現在位置の位置情報を取得し、 検索要求部103は、通信部101を介して管理センター端末30がネットワーク50上に提供しているサイトにアクセスし、管理センター端末30のサイト上で、位置情報取得部102で取得した携帯端末10の位置情報およびユーザが購入を希望する商品の商品情報を登録し、自動販売機20の検索要求を行うと共に、通信部101を介して管理センター端末30がネットワーク50上に提供しているサイトから、自動販売機20で販売されている飲み物、タバコ等の商品に関する商品情報(商品の名称、在庫数、価格等)、自動販売機20の位置に関する位置情報(自動販売機20周辺の地図、自動販売機20までの所要時間等)等を取得し、ここで、取得する情報は、具体的には、検索した自動販売機20の在庫情報、付近の地図、位置情報、携帯端末10の位置情報等を含む画面であり、 表示部105は検索要求部103が管理センター端末30から取得した情報を表示するディスプレイであり、 自動販売機20は、飲み物、タバコ等を販売している自動販売機であり、 管理センター端末30は、通信部301と、設定変更要求部302と、操作部303と、自動販売機管理部304と、検索処理部305とを具備するワークステーション・サーバー等の情報処理装置であり、 通信部301は、ネットワーク50を介して携帯端末10および自動販売機20との間で各種の情報を送受信し、 自動販売機管理部304は、自動販売機20が送出した自動販売機20の状態情報、例えば、商品のラインナップ、設定価格、在庫数、庫内温度等の情報を通信部301で受信した場合、その情報を更新し蓄積し、自動販売機20に関する頻繁には変動しない情報、例えば、自動販売機20の位置情報、自動販売機20周辺の地図情報等は予め登録されており、 検索処理部305は、携帯端末10が送出した検索要求を通信部301で受信した場合、自動販売機管理部304で管理されている自動販売機20の情報に基づいて、購入希望商品の在庫があり、かつ携帯端末10の現在位置から近い自動販売機20を検索し、検索した自動販売機20に関する情報を、通信部301からネットワーク50を介して携帯端末10に送信し、ここで、検索した自動販売機20に関する情報は、具体的には、検索した自動販売機20の在庫情報、付近の地図、位置情報、携帯端末10の位置情報等を含む画面である、 自動販売機の管理システムにおける、携帯端末10。 2 甲2(特開2004−157714号公報)について (1)甲2には、以下のとおりの記載がある。 「【0008】 【課題を解決するための手段】 この目的を達成するために、本発明に係る自動販売機情報提供方法は、ユーザのもつ移動端末(以下、「ユーザ端末」と称す。)から、当該移動端末の現在位置と、ユーザの希望する商品の情報を検索センタ端末に送信するステップと、前記検索センタ端末にて前記ユーザ端末の近くで前記商品を扱っている自動販売機の情報を検索し、前記ユーザ端末に検索回答を返信するステップと、前記ユーザ端末から、前記検索回答に示された自動販売機に内蔵された販売機端末に問い合わせを行うステップと、前記販売機端末にて前記商品の在庫情報を含む最新情報を前記ユーザ端末に返信するステップと、を含むことを特徴とする。 【0009】 このように、本発明ではユーザ端末近辺の自動販売機の位置情報と、当該自動販売機の在庫情報を提供するようにしている。これにより、利用者はその自動販売機まで行けば確実に商品を入手可能であることを知ることができる。また、商品の在庫情報は各自動販売機が提供するようにしているため、検索センタ端末に処理が集中して負荷が過大になることがない。 【0010】 この方法において、前記検索回答は、自動販売機の位置を示す地図画像を含むことを特徴とする。また、前記検索回答は、当該回答に示される自動販売機の販売機端末のアクセス先アドレス情報を含むことを特徴とする。 地図画像上で自動販売機の位置を示すことにより利用者が直感的に自動販売機の所在地を把握することができるとともに、ハイパーリンク機能等を用いて販売機端末へアクセスできるようにすれば利用者の使い勝手が向上する。」 「【0016】 【発明の実施の形態】 本発明の実施の形態を、添付の図面を参照しながら以下に詳細に説明する。図1は本発明を実現するシステムの全体像を示す図である。図1を参照すると、本発明に係る自動販売機情報提供システムの実施例は、ユーザの所持する無線通信端末である携帯端末10と、検索センタ端末20と、広い地域に散在する自動販売機にそれぞれ設けられた販売機端末30と、これらを相互に接続するネットワーク100とから構成されている。 【0017】 携帯端末10は、データ通信機能を備える携帯電話機、PDA(Personal Data Assistant)、ノート型パソコン等の携帯型情報処理装置であり、検索センタ端末20や販売機端末30に問い合わせを送信し、返信情報(例えば、HTML画面等)を画面に表示する機能を備えている。また、実施例によるが、携帯端末10はGPS(Global Positioning System)や携帯端末の基地局からの情報を利用して、その現在位置情報を取得する機能を有する。 【0018】 検索センタ端末20は、本発明のシステム運営者によって管理されるワークステーション・サーバ等の情報処理装置である。この検索センタ端末20には、各地に配置された自動販売機の位置情報、各販売機で扱っている商品の情報、各販売機に内蔵されている販売機端末30のアクセス先アドレス情報(URL)が登録されている。これらの情報は、自動販売機の設置時にオペレータが検索センタ端末のデータベース(図示せず)に登録するようにしてもよいが、各販売機で扱う商品の情報は、検索センタ端末20が自ら販売機端末30と交信を行って入手するようにシステムを構成してもよい。また、検索センタ端末20は、携帯端末10からの問い合わせに対し、当該端末10の近くにある自動販売機を検索してその結果を携帯端末10に返信する機能を有する。この返信情報には、地図画像を用いた自動販売機の位置情報のほかに、地図上に表示される自動販売機に内蔵される販売機端末30へのアクセス先アドレス(URL)が含まれる。」 「【0020】 販売機端末30は、各地に設置されている自動販売機に内蔵された通信端末である。この販売機端末30は、当該販売機で扱っている商品の情報と、各商品の在庫数を検出するセンサ手段(図示せず)から得た在庫情報を管理しており、ユーザの携帯端末10からの問い合わせに対し、最新の情報を返信する機能を有する。」 「【0023】 利用者が自動販売機で商品を購入したいと考えた場合、自己の携帯端末10を用いて、検索センタ20がインターネット100上に公開している検索ページへアクセスする(ステップS1)。検索センタ端末20は携帯端末10からのアクセスを受けると、システムの初期画面を携帯端末10に送出する(ステップS2)。これにより、携帯端末10に、図3に示すような初期画面が表示される(ステップS3)。図3に示すように、初期画面では、利用者が購入を希望する商品カテゴリおよび商品名をプルダウンメニューで選択できるようになっている。また、初期画面には、携帯端末10の現在地を検索センタ端末20に伝えるための方法を設定する設定ボタン41と、検索センタ端末20に自動販売機の検索を要求する検索ボタン42が設けられている。 【0024】 利用者が本システムを初めて利用する場合や、前に定めた設定内容を変更したい場合には、設定ボタン41を押下するようにする。この入力が検索センタ端末20に送信され、検索センタ端末20から図4に示すような画面が返信される。図4に示す現在位置情報取得方法選択画面では、GPSによる位置情報取得方法、通信業者の基地局を利用した位置情報取得方法、マニュアルによる位置情報入力方法、の3タイプから選択することができる。GPS(Global Positioning System)は携帯電話機などに近年応用されている機能の一つで、通信衛星を利用して現在位置を取得する機能である。また、通信業者の基地局を利用した位置情報取得方法は、携帯電話機がその時点で交信を行っている1以上の基地局の所在地や電波感度などから携帯端末の位置を割り出す方法である。これらの技術は既に公知なので、本明細書にてこれ以上の説明は省略する。 【0025】 携帯端末10がGPSや無線基地局を利用した位置情報取得ができない場合には、利用者は「マニュアルで選択」を指定するようにする。マニュアルによる位置情報入力は、例えば利用者が現在地住所を直接入力するようにしたり、都道府県や最寄り駅などを指定して画面上に地図を呼び出してから、座標指示手段(カーソルポインタ等)で利用者が現在位置を指定するように構成することができる。この場合には、地図画像上で指定された座標情報を現実の位置情報に変換して現在位置を取得するようにする。 以上のように利用者が位置情報取得方法を設定すると、以降のシステム利用時にはこの設定内容を規定値として位置情報の取得が行われる(ステップS4)。 【0026】 次に利用者は、図3に示す指定画面にて、商品カテゴリ(例えば、たばこ、飲料、酒類、雑誌等)を選択または入力し、続いて希望する商品名を選択または入力して検索ボタン42を押下する。これにより、携帯端末10の識別情報とともに、指定された商品カテゴリ、商品名、現在位置情報が検索センタ端末20に送信される(ステップS5)。 【0027】 検索センタ端末20は、携帯端末10からの検索要求を受信すると、携帯端末10の近くで利用者の希望商品を扱っている自動販売機を検索し、その位置情報と通信先アドレス情報(URL)を利用者周辺の地図画像に埋め込んで携帯端末10に返信する(ステップS7)。これを受信した携帯端末10には、図5に示すような地図画像が表示される(ステップS8)。図5に示すように、携帯端末10の現在地点を画像中央に配し、その周辺地図に自動販売機の所在地を星印で示している。また、画面右側に各自動販売機をリスト表示して選択できるようにしたボタン43と、選択した自動販売機の販売機端末にアクセスするための照会ボタン44が設けられている。なお、地図上の星印を各自動販売機URLにハイパーリンクし、任意の星印をクリック等すると当該自動販売機にアクセスできるように構成してもよい。 【0028】 この画面により、利用者は現在地近辺で自分が希望した商品を扱っている自動販売機の位置を知ることができる。なお、ここで受信された地図情報は、一時的に携帯端末10に蓄えられる。 【0029】 次に、利用者は表示された地図上の自動販売機の位置を検討し、右側に表示された自動販売機リストから任意の自動販売機を選択して照会ボタン44を押下する。これにより、選択された自動販売機に設けられた販売機端末30に最新情報要求が通知される(ステップS9)。ここで、最新情報要求には利用者が希望する商品の情報が含められる。また、この要求は検索センタ端末20を介さずに販売機端末30に直接送信され、以降のやりとりは携帯端末10と販売機端末30間で独立して行われる。 【0030】 販売機端末30は最新情報要求を受信すると(ステップS10)、自機で扱っている商品の在庫データを参照し、指定された商品の現時点の詳細情報を作成して携帯端末10に返信する(ステップS11)。この詳細情報には、少なくとも自動販売機の設置場所、商品名、価格、在庫数が含められるものとする。 【0031】 携帯端末10は、販売機端末30から最新情報を受信すると(ステップS12)、図6のような画面を表示する(ステップS13)。図6に示すように、最新情報画面には自動販売機の設置場所の住所、商品名、価格、在庫数が表示される。利用者はこの画面を参照することで、希望する商品がその自動販売機まで行けば入手可能であることを知ることができる。また、例えば、希望する商品の在庫数が1〜2本である場合には、自動販売機まで辿り着く前に売り切れてしまう可能性があることを把握することもできる。この場合には「戻る」ボタン45を選択し、改めて図5に示す画面上で他の自動販売機を選択するようにする。」 (2)甲2から読み取れる事項 ア 段落【0016】によると、「自動販売機情報提供システム」は、「ユーザの所持する無線通信端末である携帯端末10」と、「検索センタ端末20」と、「広い地域に散在する自動販売機にそれぞれ設けられた販売機端末30」と、「これらを相互に接続するネットワーク100」とから構成されている。 イ 段落【0017】によると、「携帯端末10」は、「データ通信機能を備える携帯電話機、PDA(Personal Data Assistant)、ノート型パソコン等の携帯型情報処理装置」であり、「検索センタ端末20や販売機端末30に問い合わせを送信し、返信情報(例えば、HTML画面等)を画面に表示する機能」と、「GPS(Global Positioning System)や携帯端末の基地局からの情報を利用して、その現在位置情報を取得する機能」を有する。 ウ 段落【0018】によると、「検索センタ端末20」は、「本発明のシステム運営者によって管理されるワークステーション・サーバ等の情報処理装置」であり、「各地に配置された自動販売機の位置情報、各販売機で扱っている商品の情報、各販売機に内蔵されている販売機端末30のアクセス先アドレス情報(URL)が登録されて」おり、「携帯端末10からの問い合わせに対し、当該端末10の近くにある自動販売機を検索してその結果を携帯端末10に返信する機能を有」し、「この返信情報には、地図画像を用いた自動販売機の位置情報のほかに、地図上に表示される自動販売機に内蔵される販売機端末30へのアクセス先アドレス(URL)が含まれる」。 エ 段落【0020】によると、「販売機端末30」は、「各地に設置されている自動販売機に内蔵された通信端末」であり、「当該販売機で扱っている商品の情報と、各商品の在庫数を検出するセンサ手段(図示せず)から得た在庫情報を管理しており、ユーザの携帯端末10からの問い合わせに対し、最新の情報を返信する機能を有する」。また、図6によれば、商品は「コーヒー等」である。 オ 段落【0023】、【図2】によると、「利用者が自動販売機で商品を購入したいと考えた場合、自己の携帯端末10を用いて、検索センタ20がインターネット100上に公開している検索ページへアクセス」すると、「携帯端末10」は、「携帯端末10からのアクセスを受け」た「検索センタ端末20」から「初期画面」を「受信」して、「受信」した「初期画面」を「表示」し、「初期画面」は、「利用者が購入を希望する商品カテゴリおよび商品名をプルダウンメニューで選択できるようになって」おり、「携帯端末10の現在地を検索センタ端末20に伝えるための方法を設定する設定ボタン41と、検索センタ端末20に自動販売機の検索を要求する検索ボタン42が設けられている」。 カ 段落【0026】、【図2】、【図3】より、「利用者」は、「初期画面」にて、「商品カテゴリ(例えば、たばこ、飲料、酒類、雑誌等)を選択または入力し、続いて希望する商品名を選択または入力して検索ボタン42を押下する」と、「携帯端末10」は、「携帯端末10の識別情報とともに、指定された商品カテゴリ、商品名、現在位置情報」を「検索センタ端末20」に「送信」する。 キ 段落【0027】、【図2】より、「携帯端末10」は、「携帯端末10からの検索要求を受信した」「検索センタ端末20」から、「携帯端末10の近くで利用者の希望商品を扱っている自動販売機」の「位置情報」と「通信先アドレス情報(URL)」が「埋め込」まれた「利用者周辺の地図画像」を「受信」する。 ク 段落【0027】、【図5】より、「携帯端末10」は、「地図画像」を「表示」し、「地図画像」は、「携帯端末10の現在地点を画像中央に配し、その周辺地図に自動販売機の所在地を星印で示す」ものであり、「画面右側に各自動販売機をリスト表示して選択できるようにしたボタン43と、選択した自動販売機の販売機端末にアクセスするための照会ボタン44が設けられている」。 ケ 段落【0029】、【図2】より、「利用者」が、「右側に表示された自動販売機リストから任意の自動販売機を選択して照会ボタン44を押下する」と、「携帯端末10」は、「選択された自動販売機に設けられた販売機端末30」に、「最新情報要求」を「通知」する。 コ 段落【0030】、【図2】より、「携帯端末10」は、「最新情報要求を受信」した「販売機端末30」から、「指定された商品の現時点の詳細情報」を「受信」し、「指定された商品の現時点の詳細情報」は、少なくとも「自動販売機の設置場所、商品名、価格、在庫数」を含む。 サ 段落【0031】、【図6】より、「携帯端末10」は、「最新情報画面」を「表示」し、「最新情報画面」は「自動販売機の設置場所の住所、商品名、価格、在庫数」を含む。 (3)甲2発明 上記(2)によると、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。 ユーザの所持する無線通信端末である携帯端末10と、検索センタ端末20と、広い地域に散在する自動販売機にそれぞれ設けられた販売機端末30と、これらを相互に接続するネットワーク100とから構成されている自動販売機情報提供システムにおける、携帯端末10であって、 携帯端末10は、データ通信機能を備える携帯電話機、PDA(Personal Data Assistant)、ノート型パソコン等の携帯型情報処理装置であり、検索センタ端末20や販売機端末30に問い合わせを送信し、返信情報(例えば、HTML画面等)を画面に表示する機能と、GPS(Global Positioning System)や携帯端末の基地局からの情報を利用して、その現在位置情報を取得する機能を有し、 検索センタ端末20は、本発明のシステム運営者によって管理されるワークステーション・サーバ等の情報処理装置であり、各地に配置された自動販売機の位置情報、各販売機で扱っているコーヒー等の商品の情報、各販売機に内蔵されている販売機端末30のアクセス先アドレス情報(URL)が登録されており、携帯端末10からの問い合わせに対し、当該端末10の近くにある自動販売機を検索してその結果を携帯端末10に返信する機能を有し、この返信情報には、地図画像を用いた自動販売機の位置情報のほかに、地図上に表示される自動販売機に内蔵される販売機端末30へのアクセス先アドレス(URL)が含まれ、 販売機端末30は、各地に設置されている自動販売機に内蔵された通信端末であり、当該販売機で扱っている商品の情報と、各商品の在庫数を検出するセンサ手段(図示せず)から得た在庫情報を管理しており、ユーザの携帯端末10からの問い合わせに対し、最新の情報を返信する機能を有し、 利用者が自動販売機で商品を購入したいと考えた場合、自己の携帯端末10を用いて、検索センタ20がインターネット100上に公開している検索ページへアクセスすると、携帯端末10は、携帯端末10からのアクセスを受けた検索センタ端末20から初期画面を受信して、受信した初期画面を表示し、初期画面は、利用者が購入を希望する商品カテゴリおよび商品名をプルダウンメニューで選択できるようになっており、携帯端末10の現在地を検索センタ端末20に伝えるための方法を設定する設定ボタン41と、検索センタ端末20に自動販売機の検索を要求する検索ボタン42が設けられており、 利用者は、初期画面にて、商品カテゴリ(例えば、たばこ、飲料、酒類、雑誌等)を選択または入力し、続いて希望する商品名を選択または入力して検索ボタン42を押下すると、携帯端末10は、携帯端末10の識別情報とともに、指定された商品カテゴリ、商品名、現在位置情報を検索センタ端末20に送信し、 携帯端末10は、携帯端末10からの検索要求を受信した検索センタ端末20から、携帯端末10の近くで利用者の希望商品を扱っている自動販売機の位置情報と通信先アドレス情報(URL)が埋め込まれた利用者周辺の地図画像を受信し、 携帯端末10は、地図画像を表示し、地図画像は、携帯端末10の現在地点を画像中央に配し、その周辺地図に自動販売機の所在地を星印で示すものであり、画面右側に各自動販売機をリスト表示して選択できるようにしたボタン43と、選択した自動販売機の販売機端末にアクセスするための照会ボタン44が設けられており、 利用者が、右側に表示された自動販売機リストから任意の自動販売機を選択して照会ボタン44を押下すると、携帯端末10は、選択された自動販売機に設けられた販売機端末30に、最新情報要求を通知し、 携帯端末10は、最新情報要求を受信した販売機端末30から、指定された商品の現時点の詳細情報を受信し、指定された商品の現時点の詳細情報は、少なくとも自動販売機の設置場所、商品名、価格、在庫数を含み、 携帯端末10は、最新情報画面を表示し、最新情報画面は自動販売機の設置場所の住所、商品名、価格、在庫数を含む、 携帯端末10。 3 甲3(特開平7−302386号公報)について 甲3には、以下のとおりの記載がある。 「【0004】 【課題を解決するための手段】この発明は上記課題を解消すべくなされたもので、筐体の内部に商品の単体を蓄積しておくためのストッカと、商品を一時に使用の単位毎に排出する排出機構と、その排出機構を作動させるための制御手段とを備え、排出機構は筐体に備えた取出口に連通すると共に、前記制御手段は磁気カードの読取機構で構成したものであり、また、構造的には筐体の内部中央に衛生器具の単体を多数積み重ねて保管するための数対の商品ストッカを並設し、その下方に取出口を開口させると共に、上方に情報表示手段と磁気カードの読取機構とを配置したものであり、さらに、用途的には女性用の化粧室に設けられ、磁気カードによって商品が取り出されるように構成したものである。」 「【0012】 この実施例の動作を説明すると、まず、衛生器具を必要とするとき、磁気カードの挿入口13に磁気カードを挿入する。磁気カードに記録された使用の残り回数がカードリーダ17によって読み取られ、その数字が情報表示手段14によって表示される。同時に、その数字が0でないときは排出機構15bの要部をなす電動機16に対して制御板20から動作が指令され、電動機16が所定量だけ回転し商品M、この例ではナプキンの1個が4個あるシュート15aのいずれかから交互に払い出され、下方の取出口12へ落下する。同時に前記情報表示手段14に表示された数字が1だけマイナスされされ、その数字が次回の使用に備えて磁気カードに記録される。」 4 甲4(特開2002−177105号公報)について 甲4には、次の記載がある。 「【0018】 図1及び2に示された好適実施例においては、販売機20は、小売開業店、例えば雑貨店などで使用される1つのスタンドアロン型ディスプレイを具備する。図1及び2に示された販売機20は、月経用具の異なるタイプを販売するものである。ここで使われている用語「月経用具」は、生理ナプキン、パンティライナー、失禁用具、インターラビアル製品、およびタンポンに限らないものを含む。」 5 甲5(特開2020−057415号公報)について 甲5には、次の記載がある。 「【0006】 上記課題を解決するために、本発明に係る商品購入支援システムは、自動販売機で販売される商品の購入を支援する商品購入支援システムにおいて、携帯端末から所定の範囲内にある複数の自動販売機で販売されている商品のリストを取得する取得手段と、前記リストに含まれる各商品に関する商品情報を前記携帯端末の表示手段に表示させるための制御を行う表示制御手段とを含む。」 「【0023】 携帯端末10は、ユーザによって使用される携帯可能な情報処理装置である。例えば、携帯端末10は携帯電話(スマートフォンを含む)又はタブレット型コンピュータ等である。図1に示すように、携帯端末10は制御部11、記憶部12、通信部13、操作部15、表示部16、音声出力部17、及び測位部18を含む。」 「【0025】 通信部13は、インターネット等のネットワーク2を介して通信を行うためのものである。例えば、通信部13は基地局3と無線通信するための機能を備え、携帯端末10は基地局3を介してネットワーク2と接続される。通信部13は近距離無線通信を行うための近距離無線通信部14を含む。近距離無線通信部14は、例えばBluetoothや無線LAN等の規格に則った近距離無線通信を行うための通信インタフェースを含む。このため、携帯端末10は、近距離無線通信が可能な範囲内にある機器(自動販売機20等)と近距離無線通信を介して相互に直接通信することが可能である。」 「【0035】 まず、ユーザは商品リストの表示を要求するための所定の操作を行う。当該操作が行われると、携帯端末10から所定の範囲内にある自動販売機20が特定され、当該自動販売機20で販売されている商品のリストが表示部16に表示される。この際、複数の自動販売機20が上記範囲内に存在していれば、複数の自動販売機20が特定され、複数の自動販売機20の各々で販売されている商品のリストが表示部16に表示される。」 「【0038】 図2では、自動販売機Aに対応する自動販売機ボタン41−1が選択されている。この状態では自動販売機Aの名称がリスト領域42の上方に表示され、自動販売機Aで販売されている商品のリストがリスト領域42に表示される。リスト領域42には、各商品の画像、名称、価格、在庫状況が表示される。なお、在庫状況に関しては、在庫が十分に多い場合に丸印が表示され、在庫が少ない場合に三角印が表示され、在庫がない場合に×印が表示される。なお、在庫数そのものを表示してもよい。」 「【0041】 また、商品リスト画面40には地図ボタン43が表示されている。例えば、図2に示す状態でユーザが地図ボタン43を選択すると、現在選択されている自動販売機Aの位置を示す地図が表示部16に表示される。」 「【0060】 自動販売機特定部100はBluetooth規格に則った機器検出手順を行うことによって、携帯端末10とBluetooth通信可能な機器を検出する。また、自動販売機特定部100は、検出された機器が自動販売機20であるか否かを判定する。検出された機器のうちに複数の自動販売機20が含まれていれば、自動販売機特定部100は複数の自動販売機20を特定することになる。このようにして特定された自動販売機20に関しては、Bluetooth通信を行うために必要となる自動販売機20のアドレス情報が当該自動販売機20から取得され、携帯端末10の記憶部12に記憶される。 【0061】 [1−3−2]商品リスト取得部101は、携帯端末10から所定の範囲内にある複数の自動販売機20で販売されている商品のリストを取得する。 【0062】 例えば、商品リスト取得部101は、携帯端末10から所定の範囲内にある複数の自動販売機20の各々で販売されている商品のリストを取得する。具体的には、商品リスト取得部101は、携帯端末10から近距離無線通信部14によって近距離無線通信可能な範囲内にある複数の自動販売機20の各々から、その自動販売機20で販売されている商品のリストを、近距離無線通信を介して取得する。」 「【0064】 図7は自動販売機テーブルの一例を示す。図7に示すように、自動販売機テーブルは「自動販売機ID」、「名称」、「位置」、及び「通信アドレス情報」フィールドを含む。「自動販売機ID」フィールドは、個々の自動販売機20を一意に識別する情報を示す。「名称」及び「位置」フィールドは自動販売機20の名称及び位置を示す。例えば、自動販売機20の緯度・経度又は設置場所住所等が「位置」フィールドに登録される。「通信アドレス情報」フィールドは、自動販売機20の通信アドレス情報(例えばBluetoothアドレス及びIPアドレス等)を示す。」 「【0068】 例えば、表示制御部102は、商品リスト取得部101によって取得されたリストに含まれる各商品に関する商品情報を、当該商品を販売している自動販売機20をユーザが識別可能にする識別情報と関連付けて表示部16に表示させるための制御を行う。ここで、「識別情報」とは、例えば自動販売機20の位置情報、名称、又は自動販売機ID等である。具体的には、表示制御部102は、図2又は3に示したような商品リスト画面40又は50を表示部16に表示させる。商品リスト画面40では、地図ボタン43又は選択ボタン45が選択されると、リスト領域42に表示されている商品を販売している自動販売機20の位置情報が表示される。また、商品リスト画面50でも、地図ボタン53又は選択ボタン54が選択されると、リスト領域51に表示されている商品を販売している自動販売機20の位置情報が表示される。このため、商品リスト画面40又は50では、自動販売機20で販売されている商品の名称、画像、価格、及び在庫状況(商品情報の一例)が自動販売機20の位置情報(識別情報の一例)と関連付けて表示されている。なお、商品リスト画面40又は50では、商品の名称等(商品情報の一例)が自動販売機の名称(上記識別情報の一例)と関連付けて表示されている。」 「【0075】 [1−3−5]選択情報取得部106は、購入候補の選択と購入商品の選択とに関する選択情報を取得する。例えば、商品リスト画面40又は50で選択されたが、購入画面60で購入されなかった商品(すなわち、購入候補として選択されたが、購入商品としては選択されなかった商品)を示す情報や、購入されなかった当該商品の代わりに購入された商品を示す情報が選択情報として取得される。例えば、選択情報取得部106によって取得された選択情報はサーバ30に送信されて記憶部32に保存される。なお、選択情報の履歴を記憶部12に一時的に記憶させておき、所定のタイミング(例えば、購入商品が決定された場合、又は、商品購入が中止された場合(ユーザからの入力がない状態が所定時間にわたって継続した場合等))で、記憶部12に記憶された選択情報の履歴を携帯端末10からサーバ30に送信して記憶部32に保存するようにしてもよいし、購入画面60の戻るボタン64が選択されたり、購入ボタン63が選択されたりするごとに選択情報を携帯端末10からサーバ30に送信して、選択情報の履歴を記憶部32に保存するようにしてもよい。 【0076】 記憶部32に保存された選択情報はマーケティングに使用されたり、商品の提供業者(製造業者)又は自動販売機の管理業者に提供されたりする。例えば、「コーヒーA」が購入候補として選択された回数のうちで、「コーヒーA」が購入候補として選択されたが、最終的に購入されなかった回数の比率を算出し、当該比率が所定値以上であれば、購入画面60に表示される「コーヒーA」の説明(広告等)を見直したり、「コーヒーA」を他の商品を変更したりするように、「コーヒーA」の提供業者等を促すようにしてもよい。または、「コーヒーA」が購入候補として選択された回数のうちで、「コーヒーA」が最終的に購入された回数の比率を算出し、当該比率が所定値以下であれば、上記の見直しや変更を「コーヒーA」の提供業者等に促すようにしてもよい。」 「【0090】 まず、制御部11は変数iを1に初期化し(S102)、ステップS100で特定された自動販売機20のうちの第i番目の自動販売機20から情報を取得する(S103)。例えば、制御部11は携帯端末10を第i番目の自動販売機20とペアリングさせる。その後、制御部11はBluetooth通信によって所定の要求を第i番目の自動販売機20に送信する。ここで、「所定の要求」とは、記憶部22に記憶された自動販売機テーブル及び販売情報テーブルを携帯端末10に送信するように要求するものである。制御部11は、上記要求に応じて第i番目の自動販売機20からBluetooth通信を介して返信される自動販売機テーブル及び販売情報テーブルを取得する。なお、各自動販売機20の自動販売機テーブル及び販売情報テーブルは自動販売機IDと関連付けて記憶部12に記憶され、以降の処理や後述の図10の処理で用いられる。」 「【0093】 一方、変数iがn未満でない場合とは、ステップS101で特定されたすべての自動販売機20からの情報の取得が完了した場合である。このため、この場合、制御部11は、ステップS103〜S105で取得された情報に基づいて、商品リスト画面40又は50を表示部16に表示させる(S106)。」 「【0140】 例えば、この変形例では、第2実施形態と同様に、図12と同様の販売商品テーブルがサーバ30の記憶部32に記憶される。商品リスト取得部101は、自動販売機特定部100によって特定された各自動販売機20で販売されている商品の情報を各自動販売機20から取得するのではなく、サーバ30から取得する。例えば、商品リスト取得部101は、自動販売機特定部100によって特定された各自動販売機20の自動販売機IDをサーバ30に送信することによって、各自動販売機20で販売されている商品の情報をサーバ30から取得する。」 6 甲6(特開2020−173823号公報)について 甲6には、次の記載がある。 「【0002】 自動販売機(または、より広範には「自動小売機」)は、最も広範な意味においては、数千年前から存在する。最初の単純な機械式コイン対応自動販売機は、1880年代に導入された。最新の自動販売機は、多数の異なる種類の製品を貯蔵する。これには、飲料(たとえば、水、ジュース、コーヒー、およびソーダ)、食用製品/品目(たとえば、軽食、キャンディ、果物、および冷凍食品)、および幅広い種類の非食用品目が含まれるが、これらに限定されない。この速いペースの世界において、自動販売機は至るところに存在する。」 「【0028】 デバイスおよびシステムの例 図1は、一部の実装に係る支払処理システム100のブロック図である。一部の実装によると、支払処理システム100は、モバイルデバイス104−1、104−2で実行されるクライアント側処理102−1、102−2(以下、「クライアント側モジュール102」)と、サーバシステム108(本明細書では、「サーバ」とも呼ぶ)で実行されるサーバ側処理106(以下、「サーバ側モジュール106」)と、自動小売機122に結合された支払モジュール124とを含む。クライアント側モジュール102は、支払処理システム100のクライアント側機能と、サーバ側モジュール106および支払モジュール124の両方との通信を提供する。一部の実装形態では、クライアント側モジュール102に関連付けられたアプリケーションが、支払処理システム100へのユーザインターフェイスをモバイルデバイス104に提供する。クライアント側モジュール102は、長距離通信プロトコル(たとえば、GSM、CDMA、Wi−Fi等)を介して、1つまたは複数のネットワーク110を通じてサーバ側モジュール106と通信し、またクライアント側モジュール102は、短距離通信プロトコル(たとえば、近距離通信(NFC)、Bluetooh(登録商標)、Bluetooh低エネルギー(BLE)等)を介して支払モジュール124と通信する。サーバ側モジュール106は、支払処理システム100のサーバ側機能を、それぞれが各モバイルデバイス104に常駐する任意の数のクライアントモジュール102に提供する。」 「【0038】 図3は、一部の実装に係るサーバシステム108を示すブロック図である。サーバシステム108は、典型的には、1つまたは複数の処理装置(CPU)112と、1つまたは複数の通信デバイス304(たとえば、1つまたは複数のクライアント118へのI/Oインターフェイスを含む)と、メモリ306と、これらの構成要素(チップセットとも呼ばれる)を相互接続する1つまたは複数の通信バス308とを含む。メモリ306は、DRAM、SRAM、DDR RAM、または他のランダムアクセスソリッドステートメモリデバイスなどの高速ランダムアクセスメモリを含み、任意選択で、1つもしくは複数の磁気ディスクストレージデバイス、1つもしくは複数の光ディスクストレージデバイス、1つもしくは複数のフラッシュメモリデバイス、または1つもしくは複数の他の不揮発性ソリッドステートストレージデバイスなどの不揮発性メモリを含む。メモリ306は、任意選択で、1つまたは複数の処理装置112から離れて配置された1つまたは複数のストレージデバイスを含む。メモリ306、または代替でメモリ306内の不揮発性メモリは、一時的でないコンピュータ可読記憶媒体を含む。一部の実装形態では、メモリ306、またはメモリ306の一時的でないコンピュータ可読記憶媒体は、以下のプログラム、モジュール、およびデータ構造、またはそれらのサブセットもしくはスーパーセットを格納する。 ●さまざまな基本システムサービスを処理し、ハードウェア依存タスクを実行する手続きを含む、オペレーティングシステム310 ●1つまたは複数の通信デバイス304を介して、モバイルデバイス104との間で信号を送受信する、ネットワーク通信モジュール312 ●以下を含むがこれらに限定されない支払処理システム100のサーバ側データ処理および機能を提供する、サーバ側モジュール106 ○各モバイルデバイス104から、各支払モジュール124に関連付けられたデバイスIDと認可コードとを含むトランザクション要求を受信し、トランザクション要求を検証する、トランザクション認可モジュール314 ○各支払モジュール124のデバイスIDにリンクされた暗号化/復号キーを識別し、識別された暗号化/復号キーで認可コードを復号し、識別された暗号化/復号キーで認可付与トークンを暗号化する、暗号化/復号モジュール316 ○複数の要因(たとえば、トランザクション要求に含まれるデバイスID、各モバイルデバイス104のユーザに関連付けられたユーザIDおよび履歴、各モバイルデバイス104の現在の位置、現在の時刻/日付等)の1つまたは複数に基づいて、1つまたは複数の販促提案を判断する、提案判断モジュール318 ○トランザクション要求が検証されたという判断に応じて、認可付与トークンと、1つまたは複数の販促提案とを各モバイルデバイス104に送信し、トランザクションが完了したときに確認情報を各モバイルデバイス104に送信する、送信モジュール320 ○各モバイルデバイス104から情報を受信する、受信モジュール322。これには、製品コードおよび対応する選択された販促提案、各トランザクションのトランザクション状態情報、各トランザクションのトランザクション詳細情報、および/または他の諸情報が含まれるが、これらに限定されない ○受信した製品コード、トランザクション状態情報、および/またはトランザクション詳細情報に基づいて販促提案を検証し、販促提案が検証されたとの判断に応じて、販促検証情報を各モバイルデバイス104に送信する、提案検証モジュール324 ○トランザクション詳細情報に応じて、アカウント残高からの引き落としを行うか、またはリンクされたクレジットカードもしくは銀行口座に課金する、決済モジュール326 ○各支払モジュール124にリレーするために確認情報を各モバイルデバイス104に送信する、確認モジュール328 ●支払処理システム100のための以下を含むがこれらに限定されないデータを格納する、サーバデータ340 ○支払処理システム100の各ユーザの情報を格納する、ユーザ情報データベース114。これには、一意ユーザ識別子(すなわち、ユーザID)、ログイン資格情報(すなわち、ユーザ名またはハンドルとパスワード)、トランザクション履歴、支払データ(たとえば、口座残高、リンクされたクレジットカードまたは銀行情報、アプリクレジットまたはギフトカード残高、請求先住所、配送先住所等)、連絡先情報(たとえば、電子メールアドレス、電話番号等)、ユーザのカスタムパラメータ(たとえば、年齢、所在地、趣味等)、ユーザの識別された傾向および/または好き/嫌い等が含まれるが、これらに限定されない ○製造業者、流通業者、小売業者等により提供された販促提案を格納する、提案データベース116 ○支払処理システム100の各支払モジュール124の情報を格納する、支払モジュールデータベース342。これには、一意支払モジュール識別子(すなわち、デバイスID)、暗号化/復号キー等が含まれるが、これらに限定されない」 「【0045】 図5は、一部の実装に係る支払モジュール124を示すブロック図である。一部の実装形態では、支払モジュール124は、図6B、図6C、および図7に示すように各自動小売機122のマルチドロップバス(MDB)に結合されるオスコネクタおよびメスコネクタを備えた、インラインアダプタドングルである。たとえば、支払モジュールは、図4に示すMDB416にインラインで接続される。支払モジュール124は、典型的には、1つまたは複数の処理装置(CPU)512と、通信デバイス504(たとえば、NFC、BLE等の短距離通信プロトコルに関連付けられた送受信機)と、メモリ506と、これらの構成要素(チップセットとも呼ばれる)を相互接続する1つまたは複数の通信バス508とを含む。メモリ506は、DRAM、SRAM、DDR RAM、または他のランダムアクセスソリッドステートメモリデバイスなどの高速ランダムアクセスメモリを含み、任意選択で、1つもしくは複数の磁気ディスクストレージデバイス、1つもしくは複数の光ディスクストレージデバイス、1つもしくは複数のフラッシュメモリデバイス、または1つもしくは複数の他の不揮発性ソリッドステートストレージデバイスなどの不揮発性メモリを含む。メモリ506は、任意選択で、1つまたは複数の処理装置512から離れて配置された1つまたは複数のストレージデバイスを含む。メモリ506、または代替でメモリ506内の不揮発性メモリは、一時的でないコンピュータ可読記憶媒体を含む。一部の実装形態では、メモリ506、またはメモリ506の一時的でないコンピュータ可読記憶媒体は、以下のプログラム、モジュール、およびデータ構造、またはそれらのサブセットもしくはスーパーセットを格納する ●さまざまな基本システムサービスを処理し、ハードウェア依存タスクを実行する手続きを含む、オペレーティングシステム510 ●通信デバイス504を介して、モバイルデバイス104との間で信号を送受信する、通信モジュール512 ●以下を含むがこれらに限定されないトランザクション処理モジュール514 ○支払モジュール124の通信ゾーン(すなわち、BLE範囲)内の0個またはそれ以上のクライアントデバイス104に情報パケットをブロードキャストする、ブロードキャストモジュール516。情報パケットは、支払モジュール124に対応する一意識別子(すなわち、デバイスID)と、各支払モジュール124が結合された自動小売機122とのトランザクションを開始するための認可コードとを少なくとも含む。またブロードキャストモジュール516は、ブロードキャストされる認可コードを認可データベース532に格納する ○支払モジュール124に対応する暗号化/復号キーで認可コードを暗号化し、暗号化/復号キーで認可付与トークンを復号する、暗号化/復号モジュール518 ○支払処理システム100に関連付けられていない貨幣トランザクションおよび/または他のキャッシュレストランザクション(たとえば、クレジットカードトランザクション)に関連する信号を検出し、当該貨幣トランザクションおよび/または他のキャッシュレストランザクションに関連する情報を(たとえば、その他情報データベース536に)格納する、トランザクションスニッフィングモジュール520 ○復号された認可付与トークンの認可コードを、認可データベース532に格納されている以前にブロードキャストされた認可コードに照らしてチェックすることによりトランザクションを検証する、検証モジュール522 ○トランザクションが検証されたという判断に応じて、自動小売機122に製品を販売させるかまたはサービスを実行させ、トランザクション詳細情報をトランザクションデータベース534に格納する、トランザクション処理モジュール524 ○対応するトランザクションがサーバシステム108により確認されたという判断に応じて、トランザクション詳細情報をトランザクションデータベース534から削除する、確認モジュール526 ●以下を含むがこれらに限定されないデータを格納する、データ530 ○以前にブロードキャストされた認可コードを格納する、認可データベース532 ○支払モジュール124により処理されたトランザクションのトランザクション詳細情報を格納する、トランザクションデータベース534 ○状態フラグ、在庫情報、過去の貨幣トランザクション情報、他のキャッシュレストランザクション情報など、支払モジュール124および/または支払モジュール124に結合された自動小売機122に関する緒情報を格納する、その他情報データベース536」 「【0050】 支払モジュール124は、短距離通信能力(たとえば、BLE)を介して、情報パケットをブロードキャストする(802)。情報パケットは、認可コードと、支払モジュール124に関連付けられた一意識別子(すなわち、デバイスID)とを少なくとも含む。一部の実装形態では、情報パケットは、支払モジュール124の現在のファームウェアバージョンと、支払モジュール124および/または自動小売機122の1つまたは複数の状態に対応する1つまたは複数の状態フラグとをさらに含む。情報パケットについては、以下で図10Aを参照しながらさらに説明する。 【0051】 一部の実装形態では、支払モジュール124は、X秒(たとえば、100ms、200ms、500ms等)ごとに、一意認可コードを送出する。一部の実装形態では、一意認可コードは、ランダムまたは疑似ランダムに生成される番号である。一部の実装形態では、支払モジュール124はランダム番号を初期化し、認可コードは、このランダム番号からの連続したカウントである。そのような実装形態では、支払モジュール124は、すべての有効な認可コードを格納することなく、最も早い有効(未失効)カウンタを格納する。一部の実装形態では、ブロードキャストされた情報パケットに含まれる認証コードは、ランダムまたは疑似ランダムに生成された番号または連続番号のハッシュ値である。」 「【0053】 モバイルデバイス104は、ブロードキャスタされた情報パケットを受信し、またモバイルデバイス104は、長距離通信能力(たとえばGSM、CDMA、Wi−Fi等)を介して、認可要求をサーバシステム108に送信する(804)。たとえば、クライアント側モジュール102に関連付けられたアプリケーションが、モバイルデバイス104でフォアグラウンドまたはバックグラウンドプロセスとして実行される。アプリケーションは、支払処理システム100にアクセスするために使用される。この例では、アプリケーションは、モバイルデバイス104が支払モジュール124の通信ゾーン(すなわち、BLE範囲)内にあるときに、ブロードキャストされた情報パケットを受信し、認可要求をサーバシステム108に自動的に送信するか、または、モバイルデバイス104が支払モジュール124の認可ゾーン内にあるときに認可要求をサーバシステム108に送信する。 【0054】 一部の実装形態では、ブロードキャストされた情報パケットは、モバイルデバイス104(またはクライアント側モジュール102に関連付けられたアプリケーション)が支払モジュール124の認可ゾーン内に入る前に支払モジュール124から観察することを要求されるベースライン受信信号強度表示(RSSI)を示すベースライン認可ゾーン閾値(すなわち、認可ゾーン基準)を含む。一部の実装形態では、モバイルデバイス104(またはクライアント側モジュール102に関連付けられたアプリケーション)は、その短距離通信能力(たとえば、BLE無線/送受信機)の受信強度および/または他の同様の要因に基づいて、ベースライン認可ゾーン閾値をオフセットする。一部の実装形態では、認可要求は、ブロードキャストされた情報パケットに含まれていた認可コード、モバイルデバイス104のユーザに関連付けられた識別子またはモバイルデバイス104のユーザがアプリケーションにログインしたユーザアカウント(すなわち、ユーザID)、および支払モジュール124に関連付けられた識別子(すなわち、デバイスID)を少なくとも含む。一部の実装形態では、認可要求に含まれる認証コードは、クリアテキストのハッシュ値である。認可要求については、以下で図10Bを参照しながらさらに説明する。 【0055】 認可要求を受信した後、サーバシステム108は、認可要求を処理する(806)。一部の実装形態では、サーバシステム108は、デバイスIDに基づいて共有秘密キーを識別し、認可要求に含まれる認可コードを識別された秘密キーで復号する。サーバシステム108は、認可要求のユーザIDに関連するユーザが、支払処理システムがデバイスIDに対応する支払モジュール124が結合された自動小売機122でトランザクションを実行するための十分な資金を口座に持っているかどうかを判断する。 【0056】 サーバシステム108は、長距離通信能力(たとえば、GSM、CDMA、Wi−Fi等)を介して、認可付与トークンをモバイルデバイス104に送信する(808)。一部の実装形態では、サーバシステム108は、認可要求の認可コードが支払モジュール124に対応する共有秘密キーで復号できない(たとえば、認可コードが破損またはハッキングされている)場合、認可付与トークンを送信しない。一部の実装形態では、サーバシステム108は、認可要求のユーザIDに関連付けられたユーザがその口座に十分な資金を持っていないか、または予め定められた一日当たりの制限を超えた場合、認可付与トークンを送信しない。一部の実装形態では、認可付与トークンに加えて(または、認可が拒否された場合は認可付与トークンなしで)、サーバシステム108は、支払モジュール124に対応する共有秘密キーで暗号化されていないメッセージをモバイルデバイス104に直接送信する。メッセージを受信した後、モバイルデバイス104は、資金が十分であること、トランザクションが認可されたこと、残高が不十分であること、認可が拒否されたこと等の適切なメッセージをユーザに表示する。一部の実装形態では、サーバシステム108は、ゼロと等価である金額の認可付与トークンを送信する。この場合、支払モジュール124はこれを、残高またはクレジットが不足しているかそれに限定されない任意の数の理由により、認可が拒否されたかまたは失敗したと解釈する。一部の実装形態では、モバイルデバイス104は、トリガ条件が検出されるまで、認可付与トークンを(たとえば、ユーザデータ264に)格納する。 【0057】 モバイルデバイス104は認可付与トークンを受信し、その後、モバイルデバイス104はトリガ条件を検出する(810)。一部の実装形態では、モバイルデバイス104(またはアプリケーション)は、ハンズフリーモード(たとえば、支払モジュール124の支払ゾーンに入ったとき)または手動モード(たとえば、アプリケーションのユーザインターフェイスと相互作用して、支払モジュール124に関連付けられた支払受付ユニットとのトランザクションを開始)を介してトリガ条件を検出する。」 「【0061】 トリガ条件の検出に応じて、モバイルデバイス104は、短距離通信機能(たとえば、BLE)を介して、認可付与トークンを支払モジュール124に送信する(812)。その後、自動小売機122は(たとえば、図7に示すディスプレイ722または724を介して)ユーザへの貸方を表示し、ユーザは自動小売機122の入力機構を(たとえば、図7のボタン726またはタッチスクリーンディスプレイ724を介して)対話操作して製品および/またはサービスを購入する。」 7 甲7(特開2011−232929号公報)について 甲7には、次の記載がある。 「【0124】 本実施例の自動販売機100では、制御部103内のメモリ(不図示)に、自動販売機100で提供可能な商品について商品毎に異なる識別子である商品IDが予め記録されている。商品IDは商品名であってもよく、以下では、商品IDが商品名の場合で説明する。制御部103は、購入情報を認証・課金サーバ110に送信する際、購入者が選択した商品の商品名を購入情報に含めて送信する。また、制御部103は、図16で説明したステップF3の洗浄処理を行った場合、洗浄処理を行った旨と容器IDの情報を含む洗浄実行情報を認証・課金サーバ110に送信する。 【0125】 認証・課金サーバ110の記憶部111には、商品名に対応して、その商品のカロリーおよび糖分などの商品情報が予め格納されている。制御部113は、自動販売機100から購入情報を受信する度に、購入された商品の商品名と購入された日の情報を含む商品購入履歴を、その購入者の個人情報に記録する。制御部113は、自動販売機100から洗浄実行情報を受信する度に、洗浄処理が行われたことと洗浄処理が行われた日の情報を含む洗浄履歴を、洗浄実行情報内の容器IDに一致する容器IDを含む個人情報に記録する。 【0126】 制御部113は、商品購入の記録を要求する旨と電子メールアドレスの情報を含む購入記録要求情報をPC40から受信すると、購入記録要求情報に含まれる電子メールアドレスに一致するアドレスを含む個人情報を特定し、その個人情報の購入者の商品購入履歴と商品情報を含む購入記録情報をPC40に送信する。」 「【0128】 購入者がPC40を操作して、認証・課金サーバ110に対して商品購入の記録を要求する旨を入力すると、PC40は、自装置で電子メールを開封可能な電子メールアドレスを含む購入記録要求情報を認証・課金サーバ110に送信する。認証・課金サーバ110の制御部113は、PC40から購入記録要求情報を受信すると、購入記録要求情報に含まれる電子メールアドレスに一致するアドレスを含む個人情報を記憶部111内で特定する。続いて、制御部113は、特定した個人情報から商品購入履歴を読み出すとともに、商品購入履歴に含まれる商品名から商品を特定し、その商品の商品情報を記憶部111から読み出し、商品購入履歴および商品情報を含む購入記録情報をPC40に送信する。 【0129】 PC40は、購入記録情報を認証・課金サーバ110から受信すると、商品購入履歴と商品情報を表示部(不図示)に表示する。購入者は、PC40の表示部に表示された商品購入履歴と商品情報とから、どのような商品を購入し、どのくらいカロリーおよび糖分を摂取しているかを見ることが可能となり、これらの情報を健康管理に役立てることができる。」 8 甲8(特開2007−257578号公報)について 甲8には、次の記載がある。 「【0037】 その後、ユーザ10は、携帯端末200を用いて自動販売機100で商品の購入を行う(ステップS2)。ここでは、商品購入時に、携帯端末200から自動販売機100にステップS1で登録した会員番号などの会員情報が送信される。」 「【0039】 その後、ユーザ10は、ユーザ端末300(または携帯端末200)を用いて、認証管理装置400に対して購買情報のダウンロードを要求し、購買情報を取得する(ステップS6)。購買情報には、たとえば、購入日時、自動販売機識別コード、商品コード(たばこ場合、銘柄)、単価、数量などが含まれる。ユーザ10は、たとえば、たばこの購買履歴情報を参照することができ、自分がどのくらいの頻度でたばこを購入しているか、1ヶ月にどのくらいたばこの購入に費用を費やしているのか、などを知ることができる。 【0040】 そして、ユーザ端末300からCRMセンター500に対して、ステップS6でダウンロードされた購買情報にユーザ10のプロファイル情報が関連付けて送信される(ステップS7)。たとえば、ステップS6で購買情報を認証管理装置400からダウンロードする際、予め準備されている質問に回答してから情報のダウンロードを実行可能とする構成とすることにより、質問の回答情報を購買情報とともに、CRMセンター500に転送することが可能となる。これにより、企業側がそのとき必要と思われる情報を顧客から引き出しつつ、購買情報と関連付けて取得することが可能となる。」 第5 当審の判断 1 申立理由1(新規性欠如)について (1)甲1発明を主引用発明とした検討 (1−1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)甲1発明の「自動販売機20」は、飲み物、タバコ等の販売機(ディスペンサ)であるから、本件発明1の「ディスペンサ」に相当し、甲1発明の「飲み物、タバコ」は、本件発明1の「生理用品」とは、ディスペンサにより提供される「製品」である点で共通する。 よって、甲1発明の「飲み物、タバコ等を販売する」「自動販売機20」は、本件発明1の「生理用品を提供するディスペンサ」と、「製品を提供するディスペンサ」という点で共通する。 そして、甲1発明の「ユーザ」は、「自動販売機20で販売されている商品を購入する」から、「自動販売機20」に対して「飲み物、タバコ」等の「商品」の提供を要求する「ユーザ」であるといえ、本件発明1の「生理用品を提供するディスペンサに対して生理用品の提供を要求するユーザ」と、「製品を提供するディスペンサに対して製品の提供を要求するユーザ」(以下「ユーザ」という。)という点で共通する。 また、甲1発明の「携帯端末10」は、ユーザにより使用される「パーソナルコンピュータ、携帯電話、モバイル機器等の携帯型情報処理装置」であるから、本件発明1の「生理用品を提供するディスペンサに対して生理用品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末にインストールされたアプリ」と、「製品を提供するディスペンサに対して製品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末」(以下「ユーザ端末」という。)という点で共通する。 (イ)甲1発明のユーザ端末が備える「位置情報取得部102」は、「携帯端末10の現在位置の位置情報を取得」してユーザ端末の位置を把握するための位置決め機能を有するといえるから、本件発明1の「ユーザ端末が備える位置決め機能」に相当する。 そして、甲1発明のユーザ端末が備える「位置情報取得部102」が、「携帯端末10の現在位置の位置情報を取得する」ことは、本件発明1の「前記ユーザ端末が備える位置決め機能を使って、前記ユーザ端末の位置を把握」することに相当する。 (ウ)甲1発明のユーザ端末が備える「通信部101」は、「ネットワーク50を介して自動販売機20および管理センター端末30との間で各種の情報を送受信する」から、通信機能を有するといえ、本件発明1の「前記ユーザ端末が備える通信機能」に相当する。 また、甲1発明のディスペンサの「位置情報」は、本件発明1の「ディスペンサの設置場所」に相当し、甲1発明の「管理センター端末30」が備える「自動販売機管理部304」は、複数の「自動販売機20」の「位置情報」を「予め登録」したものであるから、本件発明1の「複数のディスペンサの設置場所がそれぞれ記録されたディスペンサ設置場所データベース」の機能を担うものといえる。 そして、甲1発明のユーザ端末が備える「検索要求部103」が、「通信部101」を介して「複数のディスペンサの設置場所がそれぞれ記録されたディスペンサ設置場所データベース」の機能を担う「自動販売機管理部304」を備える「管理センター端末30」との間で「各種の情報」を「送受信」することは、本件発明1の「前記ユーザ端末が備える通信機能を使って、複数のディスペンサの設置場所がそれぞれ記録されたディスペンサ設置場所データベースにアクセス」することに相当する。 (エ)甲1発明の「管理センター端末30」が備える「検索処理部305」が「検索」した「携帯端末10の現在位置から近い自動販売機20」は、本件発明1の「前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサ」に相当する。 そして、甲1発明において、ユーザ端末が備える「表示部105」は、「検索した自動販売機20の在庫情報、付近の地図、位置情報、携帯端末10の位置情報等を含む画面」を「表示」しており、この画面に含まれる「検索した自動販売機20」の「付近の地図」には、ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサである「自動販売機20」が重畳表示されてその地図上の位置が表示されることが通常である。すると、甲1発明のユーザ端末が備える「表示部105」が、「検索した自動販売機20の在庫情報、付近の地図、位置情報、携帯端末10の位置情報等を含む画面」を表示することは、本件発明1の「前記ユーザ端末の位置と、前記ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所とに基づいて、前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示」することと、「前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示」する点で共通する。 (オ)上記(ウ)より、甲1発明のユーザ端末が備える「通信部101」は、本件発明1の「前記通信機能」に相当する。 また、甲1発明のディスペンサの「状態情報」のうち、「在庫数」は、「自動販売機20」が「販売」する「商品」の「在庫数」であり、「商品のラインナップ」は、「自動販売機20」が「販売」する「商品」の種類を示すものであるといえ、さらに、甲1発明のディスペンサが「商品」を「販売」するためにその「商品」を収納していることも明らかである。すると、甲1発明のディスペンサの「状態情報」である「在庫数」と「商品のラインナップ」は、本件発明1の「ディスペンサに収納されている生理用品の在庫数および種類」と、「ディスペンサに収納されている製品の在庫数および種類」という点で共通する。 そして、甲1発明の「管理センター端末30」が備える「自動販売機管理部304」は、複数のディスペンサの「状態情報」である「在庫数」と「商品のラインナップ」を「蓄積」していることから、「前記複数のディスペンサに収納されている製品の在庫数および種類がそれぞれ記録された在庫状況データベース」の機能を担うものである点で、本件発明1の「前記複数のディスペンサに収納されている生理用品の在庫数および種類がそれぞれ記録された在庫状況データベース」と共通するものといえ、そうすると、甲1発明のユーザ端末が備える「検索要求部103」は、「通信部101」を介して、「前記複数のディスペンサに収納されている製品の在庫数および種類がそれぞれ記録された在庫状況データベース」の機能を担う「自動販売機管理部304」を備える「管理センター端末30」との間で「各種の情報」を「送受信」しており、「前記複数のディスペンサに収納されている製品の在庫数および種類がそれぞれ記録された在庫状況データベース」にアクセスしているといえる。よって、甲1発明のユーザ端末が備える「検索要求部103」が、「通信部101」を介して「自動販売機管理部304」を備える「管理センター端末30」との間で「各種の情報」を「送受信」することは、本件発明1の「前記通信機能を使って、前記複数のディスペンサに収納されている生理用品の在庫数および種類がそれぞれ記録された在庫状況データベースにアクセス」することと、「前記通信機能を使って、前記複数のディスペンサに収納されている製品の在庫数および種類がそれぞれ記録された在庫状況データベースにアクセス」する点で共通する。 (カ)甲1発明のユーザ端末が備える「表示部105」は、「検索した自動販売機20の在庫情報、付近の地図、位置情報、携帯端末10の位置情報等を含む画面」を「表示」しており、「検索した自動販売機20」の「在庫情報」が地図上で「自動販売機20」の場所と関連付けて表示されているといえるから、本件発明1の「前記場所を地図表示されたディスペンサに収納されている生理用品の在庫数および種類を、前記在庫状況データベースから把握し、前記把握した在庫数および種類を、前記地図上に、対応するディスペンサに関連付けてさらに表示する」ことと、「前記複数のディスペンサに収納されている製品の在庫数および種類がそれぞれ記録された在庫状況データベース」から得られた「在庫数」を「前記地図上」において「対応するディスペンサに関連付け」て「表示する」点で共通する。 (キ)以上、(ア)〜(カ)によると、本件発明1と甲1発明は、 製品を提供するディスペンサに対して製品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末であって、 前記ユーザ端末が備える位置決め機能を使って、前記ユーザ端末の位置を把握し、 前記ユーザ端末が備える通信機能を使って、複数のディスペンサの設置場所がそれぞれ記録されたディスペンサ設置場所データベースにアクセスし、 前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示し、 前記通信機能を使って、前記複数のディスペンサに収納されている製品の在庫数および種類がそれぞれ記録された在庫状況データベースにアクセスし、 前記複数のディスペンサに収納されている製品の在庫数および種類がそれぞれ記録された在庫状況データベースから得られた在庫数を前記地図上において対応するディスペンサに関連付けて表示する。 という点で一致し、以下の点で相違している。 (相違点1) 各処理の主体について、本件発明1は、「ユーザ端末にインストールされたアプリ」であるのに対して、甲1発明は、ユーザ端末であるものの「インストールされたアプリ」であるのかは定かでない点。 (相違点2) ディスペンサが提供する「製品」が、本件発明1は、「生理用品」であるのに対して、甲1発明は、「飲み物、タバコ等」である点。 (相違点3) 「ユーザ端末にインストールされたアプリ」が、「前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示」する処理において、本件発明1は、「前記ユーザ端末の位置と、前記ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所とに基づく」ことを特定するのに対して、甲1発明は、ユーザ端末が備える「表示部105」は、「管理センター端末30」から送信された「検索した自動販売機20の在庫情報、付近の地図、位置情報、携帯端末10の位置情報等を含む画面」を「表示」しているにすぎず、「前記ユーザ端末の位置と、前記ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所とに基づ」いていない点。 (相違点4) 本件発明1は、「前記場所を地図表示されたディスペンサに収納されている生理用品の在庫数および種類を、前記在庫状況データベースから把握し、前記把握した在庫数および種類を、前記地図上に、対応するディスペンサに関連付けてさらに表示する」のに対して、甲1発明は、複数のディスペンサに収納されている製品の在庫数および種類がそれぞれ記録された在庫状況データベースから得られた在庫数を地図上において対応するディスペンサに関連付けて表示するものであって、場所を地図表示されたディスペンサについて製品の在庫数と種類を把握して地図上にさらに表示するものではない点。 イ 判断 上記アのとおり、本件発明1と甲1発明は上記(相違点)を有する。 また、異議申立人が提出した甲2〜8は、いずれも上記(相違点)に係る構成が実質的な相違点ではないことを示すものでない。 したがって、本件発明1は甲1発明であるとはいえない。 (2)甲2発明を主引用発明とした検討 (2−1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲2発明とを対比する。 (ア)甲2発明の「自動販売機」は、商品を販売するから、本件発明1の「ディスペンサ」に相当する。 甲2発明の「コーヒー等の商品」は、本件発明1の「生理用品」とは、ディスペンサにより提供される「製品」である点で共通する。 そして、甲2発明の「自動販売機」は、「商品」を販売するものであるから、本件発明1の「生理用品を提供するディスペンサ」と、「製品を提供するディスペンサ」という点で共通する。 甲2発明では、「利用者が自動販売機で商品を購入したいと考えた場合」に、製品を提供するディスペンサで商品を購入しようとする「利用者」は、「自動販売機」に「商品」の販売を要求する「利用者」であるといえる。すると、甲2発明の「利用者」は、本件発明1の「生理用品を提供するディスペンサに対して生理用品の提供を要求するユーザ」と、「製品を提供するディスペンサに対して製品の提供を要求するユーザ」という点で共通する。 そして、甲2発明の「携帯端末10」は、「ユーザの所持する無線通信端末」であり、甲2発明において、「ユーザ」と「利用者」が同義であることは明らかである。すると、甲2発明の「携帯端末10」は、本件発明1の「生理用品を提供するディスペンサに対して生理用品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末にインストールされたアプリ」と、「製品を提供するディスペンサに対して製品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末」(以下「ユーザ端末」という。)という点で共通する。 (イ)甲2発明のユーザ端末が有する「GPS(Global Positioning System)や携帯端末の基地局からの情報を利用して、その現在位置情報を取得する機能」は、本件発明1の「ユーザ端末が備える位置決め機能」に相当する。 そして、甲2発明のユーザ端末は、「GPS(Global Positioning System)や携帯端末の基地局からの情報を利用して、その現在位置情報を取得する機能」を用いて、「現在位置情報を取得」しているから、本件発明1の「前記ユーザ端末が備える位置決め機能を使って、前記ユーザ端末の位置を把握」することに相当する。 (ウ)甲2発明のユーザ端末が有する「検索センタ端末20や販売機端末30に問い合わせを送信し、返信情報(例えば、HTML画面等)を画面に表示する機能」について、ユーザ端末が「返信情報(例えば、HTML画面等)を画面に表示」するために、「検索センタ端末20や販売機端末30」から「返信情報(例えば、HTML画面等)」を「受信」する「機能」を備えることは明らかである。よって、甲2発明のユーザ端末が有する「検索センタ端末20や販売機端末30に問い合わせを送信」する「機能」と、「検索センタ端末20や販売機端末30」から「返信情報(例えば、HTML画面等)」を「受信」する「機能」は、本件発明1の「前記ユーザ端末が備える通信機能」に相当する。 また、甲2発明の「各地に配置された自動販売機の位置情報」は、本件発明1の「ディスペンサの設置場所」に相当する。そして、甲2発明の「検索センタ端末20」は、「各地に配置された自動販売機の位置情報」が「登録」されたものであるから、本件発明1の「複数のディスペンサの設置場所がそれぞれ記録されたディスペンサ設置場所データベース」の機能を担うものといえる。 そして、甲2発明のユーザ端末は、「複数のディスペンサの設置場所がそれぞれ記録されたディスペンサ設置場所データベース」の機能を担う「検索センタ端末20」に「問い合わせを送信」したり、「検索センタ端末20」から「返信情報(例えば、HTML画面等)」を「受信」して、「検索センタ端末20」にアクセスしており、このユーザ端末から「検索センタ端末20」へのアクセスは、本件発明1の「前記ユーザ端末が備える通信機能を使って、複数のディスペンサの設置場所がそれぞれ記録されたディスペンサ設置場所データベースにアクセス」することに相当する。 (エ)甲2発明の「地図画像」は、「携帯端末10の現在地点を画像中央に配し、その周辺地図に自動販売機の所在地を星印で示す」ものであり、「星印」で示される「自動販売機の所在地」は、本件発明1の「前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所」に相当する。そして、甲2発明のユーザ端末は、「携帯端末10の現在地点を画像中央に配し、その周辺地図に自動販売機の所在地を星印で示す」「地図画像」を「表示」するから、本件発明1の「前記ユーザ端末の位置と、前記ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所とに基づいて、前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示」することと、「前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示」する点で共通する。 (オ)上記(ウ)より、甲2発明のユーザ端末が有する「検索センタ端末20や販売機端末30に問い合わせを送信」する「機能」と、「検索センタ端末20や販売機端末30」から「返信情報(例えば、HTML画面等)」を「受信」する「機能」は、本件発明1の「前記通信機能」に相当する。 また、甲2発明の「販売機端末30」は、「各地に設置されている自動販売機に内蔵された通信端末」であり、「当該販売機で扱っている商品の情報と、各商品の在庫数を検出するセンサ手段(図示せず)から得た在庫情報を管理」している。そして、甲2発明のユーザ端末が「販売機端末30」から「受信」した「指定された商品の現時点の詳細情報」に「商品名」が含まれていることを踏まえると、甲2発明の「販売機端末30」が「管理」する「在庫情報」に含まれる「当該販売機で扱っている商品の情報」には、「商品名」が含まれると解され、ここで、「商品名」は「商品」の種類を示すものである。また、甲2発明では、「自動販売機」が「商品」を販売しているから、「自動販売機」が「商品」を収納していることは明らかである。すると、甲2発明の「販売機端末30」が「管理」する「在庫情報」に含まれる、「各商品の在庫数」と、「自動販売機」で扱っている「商品の情報」は、本件発明1の「ディスペンサに収納されている生理用品の在庫数および種類」と、「前記ディスペンサに収納されている製品の在庫数および種類」という点で共通する。 そして、甲2発明の「販売機端末30」は、「各商品の在庫数」と、「自動販売機」で扱っている「商品の情報」を含む「在庫情報」を「管理」するから、本件発明1の「前記複数のディスペンサに収納されている生理用品の在庫数および種類がそれぞれ記録された在庫状況データベース」と、「ディスペンサに収納されている製品の在庫数および種類が記録された在庫状況データベース」という点で共通する。 そして、甲2発明のユーザ端末は、「販売機端末30に問い合わせを送信」したり、「販売機端末30」から「返信情報(例えば、HTML画面等)」を「受信」しているから、「販売機端末30」にアクセスしているといえ、本件発明1の「前記通信機能を使って、前記複数のディスペンサに収納されている生理用品の在庫数および種類がそれぞれ記録された在庫状況データベースにアクセス」することと、「前記通信機能を使って、ディスペンサに収納されている製品の在庫数および種類が記録された在庫状況データベースにアクセス」する点で共通する。 (カ)上記(オ)より、甲2発明の「販売機端末30」が「管理」する「在庫情報」に含まれる「各商品の在庫数」と、「自動販売機」が扱う「商品の情報」は、本件発明1の「ディスペンサの在庫数および種類」に相当し、甲2発明の「販売機端末30」は、本件発明1の「前記複数のディスペンサに収納されている生理用品の在庫数および種類がそれぞれ記録された在庫状況データベース」と、「ディスペンサに収納されている製品の在庫数および種類が記録された在庫状況データベース」という点で共通する。 そして、甲2発明のユーザ端末は、この「ディスペンサに収納されている製品の在庫数および種類が記録された在庫状況データベース」から「指定された商品の現時点の詳細情報」を「受信」し、「指定された商品の現時点の詳細情報」は、「在庫数」と「商品名」を含み、「商品名」は「商品」の種類を示すから、本件発明1の「前記場所を地図表示されたディスペンサに収納されている生理用品の在庫数および種類を、前記在庫状況データベースから把握」することと、「ディスペンサに収納されている製品の在庫数および種類を、前記在庫状況データベースから把握」する点で共通する。 (キ)甲2発明のユーザ端末は、「自動販売機の場所」と「在庫数」と「商品名」を含む「最新情報画面」を「表示」しており、「在庫数」と「商品名」は、対応する「自動販売機」と関連付けて「表示」されているといえ、本件発明1の「前記把握した在庫数および種類を、前記地図上に、対応するディスペンサに関連付けてさらに表示する」ことと、「前記把握した在庫数および種類を、対応するディスペンサに関連付けてさらに表示する」点で共通する。 (ク)以上、(ア)〜(キ)によると、本件発明1と甲2発明は、 製品を提供するディスペンサに対して製品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末であって、 前記ユーザ端末が備える位置決め機能を使って、前記ユーザ端末の位置を把握し、 前記ユーザ端末が備える通信機能を使って、複数のディスペンサの設置場所がそれぞれ記録されたディスペンサ設置場所データベースにアクセスし、 前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示し、 前記通信機能を使って、前記ディスペンサに収納されている製品の在庫数および種類が記録された在庫状況データベースにアクセスし、 前記ディスペンサに収納されている製品の在庫数および種類が記録された在庫状況データベースから把握し、 前記把握した在庫数および種類を、対応するディスペンサに関連付けてさらに表示する。 という点で一致し、以下の点で相違している。 (相違点1) 各処理の主体について、本件発明1は、「ユーザ端末にインストールされたアプリ」であるのに対して、甲2発明は、ユーザ端末であるものの「インストールされたアプリ」であるのかは定かでない点。 (相違点2) ディスペンサが提供する「製品」が、本件発明1は、「生理用品」であるのに対して、甲2発明は、「コーヒー」等の「商品」である点。 (相違点3) 「ユーザ端末にインストールされたアプリ」が、「前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示」する処理において、本件発明1は、「前記ユーザ端末の位置と、前記ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所とに基づく」ことを特定するのに対して、甲2発明は、ユーザ端末が「検索センタ端末20」から送信された「地図画像」を表示しているにすぎず、「前記ユーザ端末の位置と、前記ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所とに基づく」ものではない点。 (相違点4) 「在庫状況データベース」が、本件発明1では、「前記複数のディスペンサに収納されている生理用品の在庫数および種類をそれぞれ記録」するのに対して、甲2発明では、「各地に設置されている自動販売機に内蔵された通信端末」であって、「当該販売機で扱っている商品の情報と、各商品の在庫数を検出するセンサ手段(図示せず)から得た在庫情報を管理」する「販売機端末30」であって、これが「内蔵」されている「自動販売機」のみについて、「当該販売機で扱っている商品の情報と、各商品の在庫数」を含む「在庫情報」を「管理」している点。 (相違点5) 「在庫状況データベース」から、「収納されている生理用品の在庫数および種類」を「把握」する対象となる「ディスペンサ」について、本件発明1は、「前記場所を地図表示された」ものであることを特定するのに対して、甲2発明は、ユーザ端末において「画面右側」に「リスト表示」された「各自動販売機」のうちの、「利用者」に「選択」された「自動販売機」であるから、「前記場所を地図表示された」ものではない点。 (相違点6) 「前記把握した在庫数および種類」の「表示」について、本件発明1は、「前記地図上」に、「対応するディスペンサに関連付けてさらに表示する」ことを特定するのに対して、甲2発明は、「対応するディスペンサに関連付けてさらに表示する」とはいえるものの、「対応するディスペンサに関連付けてさらに表示する」処理を「前記地図上」で行うものではない点。 イ 判断 上記アのとおり、本件発明1と甲2発明は上記(相違点)を有する。 また、異議申立人が提出した甲1、3〜8は、いずれも上記(相違点)に係る構成が実質的な相違点ではないことを示すものでない。 したがって、本件発明1は甲2発明であるとはいえない。 (3)申立理由1についてのまとめ 以上、検討したとおり、本件発明1は、甲1又は甲2に記載された発明ではないから、申立理由1は理由がない。 2 申立理由2(進歩性欠如)について (1)甲1発明を主引用発明とした検討 (1−1)本件発明1について ア 判断 事案に鑑みて、上記1(1)(1−1)ア(キ)の相違点3及び相違点4について検討する。 甲1発明は、「管理センター端末30」が備える「検索処理部305」において、「携帯端末10が送出した検索要求」を受信した場合に「購入希望商品の在庫があり、かつ携帯端末10の現在位置から近い自動販売機20」を検索し、検索した自動販売機20に関する情報を携帯端末10に送信するものであるから、自動販売機20の在庫情報は近傍の自動販売機20を求めるための検索条件の一部をなすものといえる。このことを踏まえれば、甲1発明において、在庫情報を別に送信することを前提として自動販売機の位置情報を含み在庫情報を含まない画面を生成して送信するように変更したり、「携帯端末10の現在位置」と「自動販売機20」の「位置情報」とに基づいて、「携帯端末10の現在位置から近い自動販売機20を検索」し、「検索した自動販売機20の在庫情報、付近の地図、位置情報、携帯端末10の位置情報等を含む画面」を生成する処理の主体を、「管理センター端末30」が備える「検索処理部305」から「携帯端末10」に変更することは、動機付けを欠くものである。 以上のとおりであるから、相違点1及び相違点2について判断するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2〜8に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (1−2)本件発明2について ア 対比 本件発明2と甲1発明とを対比する。 (ア)上記1(1)(1−1)ア(ア)より、甲1発明の「携帯端末10」は、「自動販売機20で販売されている商品を購入するユーザにより使用されるパーソナルコンピュータ、携帯電話、モバイル機器等の携帯型情報処理装置」であるから、本件発明2の「生理用品を提供するディスペンサに対して生理用品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末にインストールされたアプリ」と、「製品を提供するディスペンサに対して製品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末」(以下「ユーザ端末」という。)の点で共通する。 (イ)上記1(1)(1−1)ア(イ)より、甲1発明のユーザ端末が備える「位置情報取得部102」が、「携帯端末10の現在位置の位置情報を取得する」ことは、本件発明2の「前記ユーザ端末が備える位置決め機能を使って、前記ユーザ端末の位置を把握」することに相当する。 (ウ)上記1(1)(1−1)ア(ウ)より、甲1発明のユーザ端末が備える「検索要求部103」が「通信部101」を介して「自動販売機管理部304」を備える「管理センター端末30」との間で「各種の情報」を「送受信」することは、本件発明2の「前記ユーザ端末が備える通信機能を使って、複数のディスペンサの設置場所がそれぞれ記録されたディスペンサ設置場所データベースにアクセス」することに相当する。 (エ)上記1(1)(1−1)ア(エ)より、甲1発明のユーザ端末が備える「表示部105」が、「検索した自動販売機20の在庫情報、付近の地図、位置情報、携帯端末10の位置情報等を含む画面」を表示することは、本件発明2の「前記ユーザ端末の位置と、前記ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所とに基づいて、前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示」することと、「前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示」する点で共通する。 (オ)上記1(1)(1−1)ア(オ)より、甲1発明のユーザ端末が備える「検索要求部103」が、「通信部101」を介して「自動販売機管理部304」を備える「管理センター端末30」との間で「各種の情報」を「送受信」することは、本件発明2の「前記通信機能を使って、前記複数のディスペンサに収納されている生理用品の在庫数および種類がそれぞれ記録された在庫状況データベースにアクセス」することと、「前記通信機能を使って、前記複数のディスペンサに収納されている製品の在庫数および種類がそれぞれ記録された在庫状況データベースにアクセス」する点で共通する。 (カ)甲1発明において、ユーザ端末が備える「表示部105」は、「検索した自動販売機20の在庫情報、付近の地図、位置情報、携帯端末10の位置情報等を含む画面」を「表示」しているから、本件発明2の「前記把握したディスペンサの在庫数および種類を、前記ユーザ端末から表示する」ことと、「ディスペンサの在庫数を、前記ユーザ端末から表示する」点で共通する。 (キ)以上、(ア)〜(カ)によると、本件発明2と甲1発明は、 製品を提供するディスペンサに対して製品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末であって、 前記ユーザ端末が備える位置決め機能を使って、前記ユーザ端末の位置を把握し、 前記ユーザ端末が備える通信機能を使って、複数のディスペンサの設置場所がそれぞれ記録されたディスペンサ設置場所データベースにアクセスし、 前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示し、 前記通信機能を使って、前記複数のディスペンサに収納されている製品の在庫数および種類がそれぞれ記録された在庫状況データベースにアクセスし、 ディスペンサの在庫数を、前記ユーザ端末から表示する。 という点で一致し、以下の点で相違している。 (相違点1) 各処理の主体について、本件発明2は、「ユーザ端末にインストールされたアプリ」であるのに対して、甲1発明は、ユーザ端末であるものの「インストールされたアプリ」であるのかは定かでない点。 (相違点2) ディスペンサが提供する「製品」が、本件発明2は、「生理用品」であるのに対して、甲1発明は、「飲み物、タバコ等」である点。 (相違点3) 「ユーザ端末にインストールされたアプリ」が、「前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示」する処理において、本件発明2は、「前記ユーザ端末の位置と、前記ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所とに基づく」ことを特定するのに対して、甲1発明は、ユーザ端末が備える「表示部105」が、「管理センター端末30」から送信された「検索した自動販売機20の在庫情報、付近の地図、位置情報、携帯端末10の位置情報等を含む画面」を「表示」しているから、「前記ユーザ端末の位置と、前記ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所とに基づ」いていない点。 (相違点4) 本件発明2は「前記通信機能を使って、前記ディスペンサから発せられる、前記ディスペンサのディスペンサIDを含むビーコン信号を受信」し、「受信」した「ビーコン信号」が含む「ディスペンサID」の「ディスペンサ」の在庫数および種類を把握し、把握したディスペンサの在庫数および種類を、ユーザ端末から表示するのに対して、甲1発明は、ディスペンサIDを含むビーコン信号を受信するものでなく、「管理センター端末30」から送信された「検索した自動販売機20の在庫情報」をユーザ端末から表示する点。 イ 判断 事案に鑑みて、上記ア(キ)の相違点3及び相違点4について検討する。 甲1発明は、「管理センター端末30」が備える「検索処理部305」において、「携帯端末10が送出した検索要求」を受信した場合に「購入希望商品の在庫があり、かつ携帯端末10の現在位置から近い自動販売機20」を検索し、検索した自動販売機20に関する情報を携帯端末10に送信するものであるから、自動販売機20の在庫情報は近傍の自動販売機20を求めるための検索条件の一部をなすものといえる。このことを踏まえれば、甲1発明において、在庫情報を別に送信することを前提として自動販売機の位置情報を含み在庫情報を含まない画面を生成して送信するように変更したり、管理センター端末30から送信された、「検索した自動販売機20の在庫情報」を「表示」することに換えて、ディスペンサから受信した「ビーコン信号」が含む「ディスペンサID」の「ディスペンサ」の在庫数を把握して表示するように、変更することは、動機付けを欠くものである。 以上のとおりであるから、相違点1及び相違点2について判断するまでもなく、本件発明2は、甲1発明及び甲2〜8に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (1−3)本件発明3について ア 対比 本件発明3と甲1発明とを対比する。 (ア)上記1(1)(1−1)ア(ア)より、甲1発明の「携帯端末10」は、「自動販売機20で販売されている商品を購入するユーザにより使用されるパーソナルコンピュータ、携帯電話、モバイル機器等の携帯型情報処理装置」であるから、本件発明3の「生理用品を提供するディスペンサに対して生理用品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末にインストールされたアプリ」と、「製品を提供するディスペンサに対して製品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末」(以下「ユーザ端末」という。)という点で共通する。 (イ)上記1(1)(1−1)ア(イ)より、甲1発明のユーザ端末が備える「位置情報取得部102」が、「携帯端末10の現在位置の位置情報を取得する」ことは、本件発明3の「前記ユーザ端末が備える位置決め機能を使って、前記ユーザ端末の位置を把握」することに相当する。 (ウ)上記1(1)(1−1)ア(ウ)より、甲1発明のユーザ端末が備える「検索要求部103」が「通信部101」を介して「自動販売機管理部304」を備える「管理センター端末30」との間で「各種の情報」を「送受信」することは、本件発明3の「前記ユーザ端末が備える通信機能を使って、複数のディスペンサの設置場所がそれぞれ記録されたディスペンサ設置場所データベースにアクセス」することに相当する。 (エ)上記1(1)(1−1)ア(エ)より、甲1発明のユーザ端末が備える「表示部105」が、「検索した自動販売機20の在庫情報、付近の地図、位置情報、携帯端末10の位置情報等を含む画面」を表示することは、本件発明3の「前記ユーザ端末の位置と、前記ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所とに基づいて、前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示」することと、「前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示」する点で共通する。 (オ)以上、(ア)〜(エ)によると、本件発明3と甲1発明は、 製品を提供するディスペンサに対して製品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末であって、 前記ユーザ端末が備える位置決め機能を使って、前記ユーザ端末の位置を把握し、 前記ユーザ端末が備える通信機能を使って、複数のディスペンサの設置場所がそれぞれ記録されたディスペンサ設置場所データベースにアクセスし、 前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示する。 という点で一致し、以下の点で相違している。 (相違点1) 各処理の主体について、本件発明3は、「ユーザ端末にインストールされたアプリ」であるのに対して、甲1発明は、ユーザ端末であるものの「インストールされたアプリ」であるのかは定かでない点。 (相違点2) ディスペンサが提供する「製品」が、本件発明3は、「生理用品」であるのに対して、甲1発明は、「飲み物、タバコ等」である点。 (相違点3) 「ユーザ端末にインストールされたアプリ」が、「前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示」する処理において、本件発明3は、「前記ユーザ端末の位置と、前記ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所とに基づく」ことを特定するのに対して、甲1発明は、ユーザ端末が備える「表示部105」が、「管理センター端末30」から送信された「検索した自動販売機20の在庫情報、付近の地図、位置情報、携帯端末10の位置情報等を含む画面」を「表示」しているから、「前記ユーザ端末の位置と、前記ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所とに基づ」いていない点。 (相違点4) 本件発明3は、「前記通信機能を使って、前記ユーザが過去にディスペンサから生理用品を入手したときの履歴情報が記録されたユーザ提供履歴データベースにアクセスし、前記ユーザ提供履歴データベースに記録された前記ユーザの前記履歴情報を、前記ユーザ端末から表示する」のに対して、甲1発明は、このような処理を行うものではない点。 イ 判断 事案に鑑みて、上記ア(オ)の相違点4について検討する。 本件発明3における「前記ユーザが過去にディスペンサから生理用品を入手したときの履歴情報」は、ユーザへの生理用品の提供を制限するにあたって、その提供の可否の判定のために用いられるものであり(本件特許の明細書段落【0111】〜【0127】)、これがユーザに対して表示されることにより、ユーザは、自身が生理用品の提供を受けることが可能であるか否かを判断することが可能となるものである。 これに対して、甲1発明は、そもそもユーザに対して製品の提供を制限するものでないから、このような履歴情報を表示することについて動機付けを欠くものである。 また、申立理由において示された甲5、甲7、甲8も、ユーザへの製品の提供を制限するにあたってユーザへの製品の提供の履歴を表示することを開示するものとはいえない。他の甲号証においても、この点は開示されていない。 以上のとおりであるから、相違点1〜3について判断するまでもなく、本件発明3は、甲1発明及び甲2〜8に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)甲2発明を主引用発明とした検討 (2−1)本件発明1について ア 判断 事案に鑑みて、上記1(2)(2−1)ア(ク)の相違点4について検討する。 甲2発明は、「各地に設置されている自動販売機に内蔵された通信端末」である「販売機端末30」が商品の在庫情報を提供することにより「検索センタ端末に処理が集中して負荷が過大になることがない」(甲2、段落【0009】)ものであることから、販売機端末30が管理する商品の在庫情報について「前記複数のディスペンサに収納されている生理用品の在庫数および種類をそれぞれ記録」させる「在庫状況データベース」により集中管理させるように変更することは、動機付けを欠く。 以上のとおりであるから、相違点1〜3、5〜6について判断するまでもなく、本件発明1は、甲2発明及び甲1、3〜8に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (2−2)本件発明2について ア 対比 本件発明2と甲2発明とを対比する。 (ア)上記1(2)(2−1)ア(ア)より、甲2発明の「携帯端末10」は、本件発明2の「生理用品を提供するディスペンサに対して生理用品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末にインストールされたアプリ」と、「製品を提供するディスペンサに対して製品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末」(以下「ユーザ端末」という)の点で共通する。 (イ)上記1(2)(2−1)ア(イ)より、甲2発明のユーザ端末は、ユーザ端末が有する「GPS(Global Positioning System)や携帯端末の基地局からの情報を利用して、その現在位置情報を取得する機能」を用いて、「現在位置情報を取得」しているから、本件発明2の「前記ユーザ端末が備える位置決め機能を使って、前記ユーザ端末の位置を把握」することに相当する。 (ウ)上記1(2)(2−1)ア(ウ)より、甲2発明のユーザ端末が「検索センタ端末20に問い合わせを送信」したり、「検索センタ端末20」から「返信情報(例えば、HTML画面等)」を「受信」することは、本件発明2の「前記ユーザ端末が備える通信機能を使って、複数のディスペンサの設置場所がそれぞれ記録されたディスペンサ設置場所データベースにアクセス」することに相当する。 (エ)上記1(2)(2−1)ア(エ)より、甲2発明のユーザ端末は、「携帯端末10の現在地点を画像中央に配し、その周辺地図に自動販売機の所在地を星印で示す」「地図画像」を「表示」するから、本件発明2の「前記ユーザ端末の位置と、前記ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所とに基づいて、前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示」することと、「前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示」する点で共通する。 (オ)上記1(2)(2−1)ア(オ)より、甲2発明の「販売機端末」は、ディスペンサに収納されている製品の在庫数及び種類が記録された在庫情報データベースであるといえ、甲2発明のユーザ端末が「販売機端末30に問い合わせを送信」したり「販売機端末30」から「返信情報(例えば、HTML画面等)」を「受信」することは、本件発明2の「前記通信機能を使って、前記複数のディスペンサに収納されている生理用品の在庫数および種類がそれぞれ記録された在庫状況データベースにアクセス」することと、「前記通信機能を使って、ディスペンサに収納されている製品の在庫数および種類が記録された在庫状況データベースにアクセス」する点で共通する。 (カ)そして、甲2発明のユーザ端末は、「在庫数」と「商品名」を含む「最新情報画面」を「表示」し、「商品名」は「商品」の種類を示すから、本件発明2の「前記把握したディスペンサの在庫数および種類を、前記ユーザ端末から表示する」ことと、「ディスペンサの在庫数および種類を、前記ユーザ端末から表示する」点で共通する。 (キ)以上、(ア)〜(カ)によると、本件発明2と甲2発明は、 製品を提供するディスペンサに対して製品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末であって、 前記ユーザ端末が備える位置決め機能を使って、前記ユーザ端末の位置を把握し、 前記ユーザ端末が備える通信機能を使って、複数のディスペンサの設置場所がそれぞれ記録されたディスペンサ設置場所データベースにアクセスし、 前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示し、 前記通信機能を使って、ディスペンサに収納されている製品の在庫数および種類が記録された在庫状況データベースにアクセスし、 前記在庫状況データベースから、ディスペンサの在庫数および種類を、前記在庫状況データベースから把握し、 ディスペンサの在庫数および種類を、前記ユーザ端末から表示する。 という点で一致し、以下の点で相違している。 (相違点1) 各処理の主体について、本件発明2は、「ユーザ端末にインストールされたアプリ」であるのに対して、甲2発明は、ユーザ端末であるものの「インストールされたアプリ」であるのかは定かでない点。 (相違点2) ディスペンサが提供する「製品」が、本件発明2は、「生理用品」であるのに対して、甲2発明は、「コーヒー」等の「商品」である点。 (相違点3) 「ユーザ端末にインストールされたアプリ」が、「前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示」する処理において、本件発明2は、「前記ユーザ端末の位置と、前記ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所とに基づく」ことを特定するのに対して、甲2発明は、ユーザ端末が「検索センタ端末20」から送信された「地図画像」を表示しているにすぎず、「前記ユーザ端末の位置と、前記ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所とに基づく」ものではない点。 (相違点4) 「在庫状況データベース」が、本件発明2では、「前記複数のディスペンサに収納されている生理用品の在庫数および種類をそれぞれ記録」するのに対して、甲2発明では、「各地に設置されている自動販売機に内蔵された通信端末」であって、「当該販売機で扱っている商品の情報と、各商品の在庫数を検出するセンサ手段(図示せず)から得た在庫情報を管理」する「販売機端末30」であって、これが「内蔵」されている「自動販売機」のみについて、「当該販売機で扱っている商品の情報と、各商品の在庫数」を含む「在庫情報」を「管理」している点。 (相違点5) 本件発明2は「前記通信機能を使って、前記ディスペンサから発せられる、前記ディスペンサのディスペンサIDを含むビーコン信号を受信」し、「受信」された「ビーコン信号」に含まれる「ディスペンサID」に対応する「ディスペンサ」の「在庫数および種類」を「把握」してユーザ端末から表示するのに対して、甲2発明は、ディスペンサIDを含むビーコン信号を受信していない点。 イ 判断 事案に鑑みて、上記ア(キ)の相違点4について検討する。 上記ア(キ)の相違点4は、上記1(2)(2−1)ア(ク)の相違点4と同じであるから、その判断は上記(2−1)アで説示したとおりである。 以上のとおりであるから、相違点1〜3、5について判断するまでもなく、本件発明2は、甲2発明及び甲1、3〜8に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (2−3)本件発明3について ア 対比 本件発明3と甲2発明とを対比する。 (ア)上記1(2)(2−1)ア(ア)より、甲2発明の「携帯端末10」は、本件発明3の「生理用品を提供するディスペンサに対して生理用品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末にインストールされたアプリ」と、「製品を提供するディスペンサに対して製品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末」(以下「ユーザ端末」という)の点で共通する。 (イ)上記1(2)(2−1)ア(イ)より、甲2発明のユーザ端末は、ユーザ端末が有する「GPS(Global Positioning System)や携帯端末の基地局からの情報を利用して、その現在位置情報を取得する機能」を用いて、「現在位置情報を取得」しているから、本件発明3の「前記ユーザ端末が備える位置決め機能を使って、前記ユーザ端末の位置を把握」することに相当する。 (ウ)上記1(2)(2−1)ア(ウ)より、甲2発明のユーザ端末が「検索センタ端末20に問い合わせを送信」したり、「検索センタ端末20」から「返信情報(例えば、HTML画面等)」を「受信」することは、本件発明3の「前記ユーザ端末が備える通信機能を使って、複数のディスペンサの設置場所がそれぞれ記録されたディスペンサ設置場所データベースにアクセス」することに相当する。 (エ)上記1(2)(2−1)ア(エ)より、甲2発明のユーザ端末は、「携帯端末10の現在地点を画像中央に配し、その周辺地図に自動販売機の所在地を星印で示す」「地図画像」を「表示」するから、本件発明3の「前記ユーザ端末の位置と、前記ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所とに基づいて、前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示」することと、「前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示」する点で共通する。 (オ)以上、(ア)〜(エ)によると、本件発明3と甲2発明は、 製品を提供するディスペンサに対して製品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末であって、 前記ユーザ端末が備える位置決め機能を使って、前記ユーザ端末の位置を把握し、 前記ユーザ端末が備える通信機能を使って、複数のディスペンサの設置場所がそれぞれ記録されたディスペンサ設置場所データベースにアクセスし、 前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示する。 という点で一致し、以下の点で相違している。 (相違点1) 各処理の主体について、本件発明3は、「ユーザ端末にインストールされたアプリ」であるのに対して、甲2発明は、ユーザ端末であるものの「インストールされたアプリ」であるのかは定かでない点。 (相違点2) ディスペンサが提供する「製品」が、本件発明3は、「生理用品」であるのに対して、甲2発明は、「コーヒー」等の「商品」である点。 (相違点3) 「ユーザ端末にインストールされたアプリ」が、「前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示」する処理において、本件発明3は、「前記ユーザ端末の位置と、前記ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所とに基づく」ことを特定するのに対して、甲2発明は、ユーザ端末が「検索センタ端末20」から送信された「地図画像」を表示しているにすぎず、「前記ユーザ端末の位置と、前記ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所とに基づく」ものではない点。 (相違点4) 本件発明3は、「前記通信機能を使って、前記ユーザが過去にディスペンサから生理用品を入手したときの履歴情報が記録されたユーザ提供履歴データベースにアクセスし、前記ユーザ提供履歴データベースに記録された前記ユーザの前記履歴情報を、前記ユーザ端末から表示する」のに対して、甲2発明は、このような処理を行うものではない点。 イ 判断 事案に鑑みて、上記ア(オ)の相違点4について検討する。 本件発明3における「前記ユーザが過去にディスペンサから生理用品を入手したときの履歴情報」は、ユーザへの生理用品の提供を制限するにあたって、その提供の可否の判定のために用いられるものであり(本件特許の明細書段落【0111】〜【0127】)、これがユーザに対して表示されることにより、ユーザは、自身が生理用品の提供を受けることが可能であるか否かを判断することが可能となるものである。 これに対して、甲2発明は、甲1発明と同様、そもそもユーザに対して製品の提供を制限するものでないから、このような履歴情報を表示することについて動機付けを欠くものである。 また、申立理由において示された甲5、甲7、甲8も、ユーザへの製品の提供を制限するにあたってユーザへの製品の提供の履歴を表示することを開示するものとはいえない。他の甲号証においても、この点は開示されていない。 以上のとおりであるから、相違点1〜3について判断するまでもなく、本件発明3は、甲2発明及び甲1、3〜8に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)申立理由2についてのまとめ 以上、検討したとおり、本件発明1〜3は、甲1発明又は甲2発明及び甲3〜8に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、申立理由2は理由がない。 3 申立理由3〜申立理由5について (1)申立理由3(明確性要件)について ア 課題の解決手段について 申立人は、請求項1〜3には、明細書の段落【0012】【0014】【0016】【0017】記載の課題を解決するための情報処理が記載されていないと主張する。 しかし、この主張は、実質的には、請求項の記載が発明の詳細な説明に記載された課題の解決手段の記載になっていない旨の主張であって、サポート要件違反の主張としてされるべきものである。よって、この主張を明確性要件違反の主張として採用することはできない。 イ 請求項1における在庫数および種別の提供対象について 請求項1には「前記ユーザ端末の位置と、前記ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所とに基づいて、前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示し」との記載と、「前記場所を地図表示されたディスペンサに収納されている生理用品の在庫数および種類を、前記在庫状況データベースから把握し」との記載があり、「在庫状況データベース」から「収納されている生理用品の在庫数および種類」を「把握する」対象となる「ディスペンサ」は、「ユーザ端末の近傍に設置され」、「ユーザ端末」から「場所」を「地図表示」された「ディスペンサ」であることは明確である。 そして、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、「専用アプリは、このようにユーザ端末100の位置を把握するとともに、ディスペンサ設置場所データベース34のディスペンサ設置場所データテーブル44にアクセスし、ユーザ端末100の位置と、緯度経度情報欄iに書き込まれた緯度経度情報とを比較することによって、ユーザ端末100の近傍(例えば、半径100m以内)に設置されたディスペンサ60の場所を、ユーザ端末100から地図表示することができる。」(【0163】)、「専用アプリはさらに、在庫状況データベース31の在庫状況データテーブル41にアクセスし、在庫数欄eや生理用品種類欄gを参照することによって、地図上に表示されたディスペンサ60の近傍に、ディスペンサ60に収納されている生理用品Sの在庫数および種類を、文字情報として表示することができる。」(【0165】)と記載されている。これらの記載によれば、「在庫状況データベース31の在庫状況データテーブル41」から「収納されている生理用品Sの在庫数および種類」を取得する対象となる「ディスペンサ60」は、「ユーザ端末100の近傍(例えば、半径100m以内)に設置され」、「ユーザ端末100」から「場所」を「地図表示」された「ディスペンサ60」であることが理解できる。これらの発明の詳細な説明の記載からみて、請求項1の記載は、発明の詳細な説明の記載とも対応しているといえる。 さらに、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、「ディスペンサ設置場所データベース34は、図6に示すようなデータ構成のディスペンサ設置場所データテーブル44を有している。」(【0109】)、「ディスペンサ設置場所データテーブル44は、各ディスペンサ60の設置場所に関する情報を記憶したデータベースであり、ディスペンサ60のディスペンサID毎に、例えば、設置場所に対応する緯度経度情報、住所情報、および設置場所情報を記録している。このため、ディスペンサ設置場所データテーブル44は、ディスペンサIDを書き込むためのディスペンサID欄a、緯度経度情報を書き込むための緯度経度情報欄i、住所情報を書き込むための住所情報欄j、および設置場所情報を書き込むための設置場所情報欄kからなる各項目を備えている。」(【0110】)、「在庫状況データベース31は、ディスペンサ60毎、すなわち、ディスペンサ60−1、60−2、・・・60−n毎に設けられた在庫状況データテーブル41−1、41−2、・・41−n(nは、3以上の整数)を含んでいる。」(【0131】)、「在庫状況データテーブル41は、ディスペンサIDを書き込むためのディスペンサID欄aの他に、イベント情報を書き込むためのイベント情報欄b、時刻情報を書き込むための時刻情報欄c、在庫変動数を書き込むための在庫変動数欄d、在庫数を書き込むための在庫数欄e、ユーザIDを書き込むためのユーザID欄f、および生理用品種類を書き込むための生理用品種類欄gからなる各項目を備えている。」(【0132】)と記載されており、「ディスペンサ設置場所データベース34」が有する「ディスペンサ設置場所データテーブル44」は、「ディスペンサIDを書き込むためのディスペンサID欄a」に書き込まれた「ディスペンサID」と、「緯度経度情報を書き込むための緯度経度情報欄i」に書き込まれた「設置場所に対応する緯度経度情報」とを対応付けて記録し、「在庫状況データベース31」が有する各ディスペンサ毎の「在庫状況データテーブル41」は、「ディスペンサIDを書き込むためのディスペンサID欄a」に書き込まれた「ディスペンサID」と、「在庫数を書き込むための在庫数欄e」に書き込まれた「在庫数」と、「生理用品種類を書き込むための生理用品種類欄g」に書き込まれた「生理用品種類」とを対応付けて記録しており、「ディスペンサ設置場所データベース34」が有する「ディスペンサ設置場所データテーブル44」と、「在庫状況データベース31」が有する各ディスペンサ毎の「在庫状況データテーブル41」は、「ディスペンサIDを書き込むためのディスペンサID欄a」に書き込まれた「ディスペンサID」を有する点で共通することが理解できる。 そして、上記【0163】、【0165】の記載も併せると、「ユーザ端末100の位置」と、「ディスペンサ設置場所データベース34のディスペンサ設置場所データテーブル44」の「緯度経度情報欄iに書き込まれた緯度経度情報」とを「比較」することによって、「ユーザ端末100の近傍(例えば、半径100m以内)に設置されたディスペンサ60の場所」を示す「緯度経度情報」を特定するとともに、「ディスペンサ設置場所データベース34のディスペンサ設置場所データテーブル44」において、特定された「緯度経度情報」と対応付けて記録されている「ディスペンサID」も特定し、その後に、「在庫状況データベース31」が有する各ディスペンサ毎の「在庫状況データテーブル41」において、特定された「ディスペンサID」と同一の「ディスペンサID」に対応付けて記録されている「在庫数」と「生理用品種類」を特定することも理解できる。 すると、請求項1〜3は、「ユーザ端末の近傍に設置され」、「ユーザ端末」から「場所」を「地図表示」された「ディスペンサ」の「ディスペンサID」を用いて、「在庫状況データベース」から「収納されている生理用品の在庫数および種類」を「把握」することも理解できるから、請求項1〜3の記載は明確である。 申立人は、「地図表示されたディスペンサにおける生理用品の在庫数や種類をどのようにして取得するのかが明確でない」と主張するが、上記のとおりであるから、申立人の主張は採用できない。 ウ 請求項2における在庫数および種別の提供対象について 請求項2には「生理用品を提供するディスペンサに対して生理用品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末にインストールされたアプリであって」、「前記ユーザ端末が備える通信機能を使って、複数のディスペンサの設置場所がそれぞれ記録されたディスペンサ設置場所データベースにアクセスし」、「前記ユーザ端末の位置と、前記ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所とに基づいて、前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示し」、「前記通信機能を使って、前記ディスペンサから発せられる、前記ディスペンサのディスペンサIDを含むビーコン信号を受信し」との記載がある。ここで、「ユーザ端末にインストールされたアプリ」は、「前記ディスペンサから発せられる、前記ディスペンサのディスペンサIDを含むビーコン信号」を「受信」しているのであるから、「前記ディスペンサ」は、「ユーザ端末にインストールされたアプリ」が「受信」した「ビーコン信号」が含む「ディスペンサID」によって特定される「ディスペンサ」であり、「ユーザ端末の近傍に設置され」、「ユーザ端末から地図表示」された「ディスペンサ」でないことは明確である。 そして、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には「専用アプリはさらにまた、ユーザが居るトイレの個室に備えられたディスペンサ60からビーコン信号Aを受信した場合、ビーコン信号AからディスペンサIDを識別し、対応するディスペンサIDの在庫状況データテーブル41(例えば、在庫状況データテーブル41−1)にアクセスし、在庫数欄eや生理用品種類欄gを参照することによって、このディスペンサ60に収納されている生理用品Sの在庫数および種類を、文字情報として表示することができる。」(【0166】)と記載されており、この記載から、「ディスペンサ60」は、「専用アプリ」が「受信」した「ビーコン信号A」から識別される「ディスペンサID」によって特定される「ディスペンサ60」であることが理解できる。この発明の詳細な説明の記載からみて、請求項2の記載は、発明の詳細な説明の記載とも対応しているといえる。 申立人は、「本件の請求項2の「生理用品を提供するディスペンサに対して生理用品の提供を要求するユーザの、ユーザ端末にインストールされたアプリであって、前記ユーザ端末が備える位置決め機能を使って、前記ユーザ端末の位置を把握し、前記ユーザ端末が備える通信機能を使って、複数のディスペンサの設置場所がそれぞれ記録されたディスペンサ設置場所データベースにアクセスし、前記ユーザ端末の位置と、前記ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所とに基づいて、前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示し」との処理と、「前記通信機能を使って、前記ディスペンサから発せられる、前記ディスペンサのディスペンサIDを含むビーコン信号を受信し、前記通信機能を使って、前記複数のディスペンサに収納されている生理用品の在庫数および種類がそれぞれ記録された在庫状況データベースにアクセスし、前記在庫状況データベースから、前記ディスペンサIDのディスペンサの在庫数および種類を、前記在庫状況データベースから把握し、前記把握したディスペンサの在庫数および種類を、前記ユーザ端末から表示する」との処理を、個別に実行しているにすぎず、これらの処理を、時間をおいて個別に実行した場合や、地図表示をしている間にビーコン信号を受信して在庫状況を表示した場合は、請求項2の権利範囲に含まれるのか明確でない」と主張するが、上記請求項2の記載と、発明の詳細な説明の上記【0166】の記載とから、これらの処理を時間をおいて個別に実行しないことや、地図表示をしている間にビーコン信号を受信して在庫状況を表示しないことが発明特定事項とされているわけではなく、両処理を時間をおいて個別に実行した場合、地図表示をしている間にビーコン信号を受信して在庫状況を表示した場合のいずれであっても、請求項2に係る特許の技術的範囲(権利範囲)に含まれ得ることは、明確である。よって、申立人の主張は採用できない。 エ 請求項3におけるユーザ提供履歴について 請求項3には「前記通信機能を使って、前記ユーザが過去にディスペンサから生理用品を入手したときの履歴情報が記録されたユーザ提供履歴データベースにアクセスし」、「前記ユーザ提供履歴データベースに記録された前記ユーザの前記履歴情報を、前記ユーザ端末から表示する」との記載があり、「ユーザ端末から表示」される「ユーザの履歴情報」とは、「ユーザが過去にディスペンサから生理用品を入手したときの履歴情報」であることが理解できるから、請求項3の記載は明確である。 そして、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には「専用アプリはまた、ユーザ提供履歴データベース32に含まれるユーザ提供履歴データテーブル42にアクセスし、時刻情報欄cや生理用品種類欄gを参照することによって、このユーザが、過去にディスペンサ60から生理用品Sを入手したときの時刻情報や、入手した生理用品Sの種類といった履歴情報を、ユーザ端末100から表示することができる。」(【0167】)と記載されており、この記載から、「ユーザ端末100から表示する」「ユーザ」の「履歴情報」は、「過去にディスペンサ60から生理用品Sを入手したときの時刻情報」や「入手した生理用品Sの種類」であることが理解できる。この発明の詳細な説明の記載からみて、請求項3の記載は、発明の詳細な説明の記載とも対応しているといえる。 この点、申立人は、「本件の請求項3の「ユーザが過去にディスペンサから生理用品を入手したときの履歴情報」は、「生理用品を入手した際の日時や種別以外にも、利用者が生理用品を取得したときの状態等を含みうる」」と主張するが、発明の詳細な説明の【0167】の記載からみて、本件の請求項3の「ユーザが過去にディスペンサから生理用品を入手したときの履歴情報」は、「利用者が生理用品を取得したときの状態等」を含まないことは明らかである。よって、申立人の主張は採用できない。 オ 請求項1〜3における地図表示について 請求項1〜3には「前記ユーザ端末の位置と、前記ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所とに基づいて、前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示し」との記載がある。この記載から、「ユーザ端末の位置」と「ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所」とに基づいて、「ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所」を特定していることが理解できる。そして、ある特定の「場所」を「地図表示」することは、当業者に一般的に知られている技術事項であるから、「ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所」を「地図表示」していることも理解でき、請求項1〜3の記載は明確である。 そして、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には「専用アプリは、このようにユーザ端末100の位置を把握するとともに、ディスペンサ設置場所データベース34のディスペンサ設置場所データテーブル44にアクセスし、ユーザ端末100の位置と、緯度経度情報欄iに書き込まれた緯度経度情報とを比較することによって、ユーザ端末100の近傍(例えば、半径100m以内)に設置されたディスペンサ60の場所を、ユーザ端末100から地図表示することができる。」(【0163】)と記載されており、「専用アプリ」は、「ユーザ端末100の位置」と「ディスペンサ設置場所データベース34のディスペンサ設置場所データテーブル44」の「緯度経度情報欄iに書き込まれた緯度経度情報」とを「比較」することによって、「ユーザ端末100の近傍(例えば、半径100m以内)に設置されたディスペンサ60の場所」を特定し、特定した「ユーザ端末100の近傍(例えば、半径100m以内)に設置されたディスペンサ60の場所」を「ユーザ端末100」から「地図表示」していることが理解できる。この発明の詳細な説明の記載からみて、請求項1〜3の記載は、発明の詳細な説明の記載とも対応しているといえる。 この点、申立人は、「ユーザ端末の位置とディスペンサの設置場所の2つの情報から具体的にどのような情報処理を行うことでユーザの近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示するのかが記載されておらず、明確でない」と主張するが、上記のとおりであるから、申立人の主張は採用できない。 また、請求項1〜3には「前記ユーザ端末の位置と、前記ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所とに基づいて、前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示し」との記載がある。 ここで、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には「専用アプリは、このようにユーザ端末100の位置を把握するとともに、ディスペンサ設置場所データベース34のディスペンサ設置場所データテーブル44にアクセスし、ユーザ端末100の位置と、緯度経度情報欄iに書き込まれた緯度経度情報とを比較することによって、ユーザ端末100の近傍(例えば、半径100m以内)に設置されたディスペンサ60の場所を、ユーザ端末100から地図表示することができる。」(【0163】)と記載されており、「ユーザ端末100の近傍」とは、「ユーザ端末100の位置」を中心とした「半径100m以内」の範囲であることが例示されているから、請求項1〜3の「ユーザ端末の近傍」とは、「ユーザ端末の位置」を中心とした所定範囲内であることが理解できる。よって、請求項1〜3の記載は明確である。 この点、申立人は、「近傍とはどの程度ユーザ端末から離れた範囲であるかが不明確である」と主張するが、請求項1〜3の記載からみて、「ユーザ端末の近傍」を、「どの程度ユーザ端末から離れた範囲」とするのかは、「ユーザ端末」において「地図表示」される「ディスペンサの場所」を閲覧する「ユーザ」のニーズに応じて決定されればよいから、「ユーザ端末の近傍」を、「どの程度ユーザ端末から離れた範囲」であるのかを特定していないことで明確性要件に違反することにはならない。 (2)申立理由4(サポート要件)について ア 請求項1〜3には「前記ユーザ端末の位置と、前記ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所とに基づいて、前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示し」と記載されている。 これに対し、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、「本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、使用を希望しているユーザに確実に生理用品を提供できるように、生理用品の無制限な提供を阻止することが可能な生理用品提供のための生理用品提供装置、方法、プログラム、および生理用品提供管理サーバを提供することを目的とする。」(【0017】)と記載されており、「使用を希望しているユーザに確実に生理用品を提供できる」ようにすることを課題としていることが理解できる。そして、「ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、ユーザ端末から地図表示」すれば、「生理用品」の「使用を希望しているユーザ」は、「ユーザ端末から地図表示」された、「ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所」に行くことで、「生理用品」を「確実」に「入手」することができるから、請求項1〜3の「前記ユーザ端末の位置と、前記ディスペンサ設置場所データベースに記録されたディスペンサの設置場所とに基づいて、前記ユーザ端末の近傍に設置されたディスペンサの場所を、前記ユーザ端末から地図表示し」との記載は、上記「使用を希望しているユーザに確実に生理用品を提供できる」ようにするとの課題を解決するのに資する手段であるといえる。 以上の請求項1〜3の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比すると、請求項1〜3の記載が発明の詳細な説明に記載したものであることは、明らかである。 申立人は、「請求項1〜3の記載は、明細書の段落【0012】【0014】【0016】【0017】記載の課題を解決する手法を含んでいない」と主張しているが、上記に照らせば、請求項1〜3の記載は、発明の詳細な説明に記載された課題とその解決手段の記載と整合するものであり、サポート要件に違反するとはいえない。 イ その余の主張については、上記(1)イ〜オで説示したように、請求項1〜3の記載は、発明の詳細な説明の記載と対応している。 (3)申立理由5(実施可能要件)について 申立人の主張する内容は、実質的には、上記(1)及び(2)において検討した明確性要件違反またはサポート要件違反の主張を実施可能要件違反として主張するものであり、上記(1)及び(2)に示したことに照らして、いずれも採用することができない。 4 当審の判断のまとめ 以上のとおり、申立理由1〜申立理由5は、いずれも理由がない。 第6 むすび 以上のとおり、特許異議の申立理由は、いずれも理由がなく、請求項1〜3に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1〜3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2023-08-30 |
出願番号 | P2022-142533 |
審決分類 |
P
1
651・
536-
Y
(G06Q)
P 1 651・ 537- Y (G06Q) P 1 651・ 113- Y (G06Q) P 1 651・ 121- Y (G06Q) |
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
伏本 正典 |
特許庁審判官 |
相崎 裕恒 鹿野 博嗣 |
登録日 | 2022-11-09 |
登録番号 | 7174884 |
権利者 | オイテル株式会社 |
発明の名称 | 生理用品提供装置のためのアプリ |
代理人 | 弁理士法人鈴榮特許綜合事務所 |