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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06Q
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1402276
総通号数 22 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-06-07 
確定日 2023-09-25 
事件の表示 特願2021−171874「電子クーポン等の不正利用を防止するための装置、方法およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 5月 2日出願公開、特開2023− 61757、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和3年10月20日の出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
令和4年 1月24日付け:拒絶理由通知書
令和4年 2月17日: 意見書、手続補正書の提出
令和4年 5月 9日付け:拒絶査定
令和4年 6月 7日: 審判請求書、手続補正書の提出
令和5年 2月16日付け:拒絶理由通知書(以下、「当審拒絶理由(1
)」という。)
令和5年 4月 3日: 意見書、手続補正書の提出
令和5年 4月25日付け:拒絶理由通知書(最後)(以下、「当審拒絶
理由(2)」という。)
令和5年 6月20日: 意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和4年5月9日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

理由2(進歩性) 本願請求項1−6に係る発明は、以下の引用文献Aに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.特開2014−191558号公報

第3 当審拒絶理由の概要
1 当審拒絶理由(1)の概要
理由1(進歩性) 本願請求項1、4−5に係る発明は、引用文献1−3に基づいて、本願請求項2−3に係る発明は、引用文献1−4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2018−32378号公報(当審で新たに引用した文献)
2.特開2015−191629号公報(当審で新たに引用した文献)
3.特開2021−47646号公報(当審で新たに引用した文献)
4.特開2016−18524号公報(当審で新たに引用した文献)

2 当審拒絶理由(2)の概要
理由1(明確性) この出願は、特許請求の範囲の請求項1−5の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

理由2(サポート要件) この出願は、特許請求の範囲の請求項1−5の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

理由3(進歩性) 本願請求項1、4−5に係る発明は、引用文献1−3に基づいて、本願請求項2−3に係る発明は、引用文献1−4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2018−32378号公報(当審拒絶理由(1)の引用文献1)
2.特開2015−191629号公報(当審拒絶理由(1)の引用文献2)
3.特開2021−47646号公報(当審拒絶理由(1)の引用文献3)
4.特開2016−18524号公報(当審拒絶理由(1)の引用文献4)

第4 本願発明
本願請求項1−5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明5」という。)は、令和5年6月20日提出の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1−5に記載された事項により特定される発明であって、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
企業に関連付けられた電子クーポンを、不正防止表示部とともにプログラムの画面に表示させる装置であって、
前記不正防止表示部は、アイコンからなる可動部を含む画像であり、
前記不正防止表示部が表示されている状態で、前記装置は、前記電子クーポンを発券するための前記画面上のユーザ入力を受け付け、前記ユーザ入力により前記電子クーポンが利用済みになった後も、前記不正防止表示部は、表示されており、
前記電子クーポンを発券するために、前記画面上で前記ユーザ入力を受け付ける画像は、前記不正防止表示部とは別個の画像であり、
前記電子クーポンが発券されたときに、音声を出力し、
前記電子クーポンを発行する企業の商品またはサービスは、サーバ装置を介して前記プログラム上で決済可能である、
装置。」

なお、本願発明2−5の概要は以下のとおりである。
本願発明2−3は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明4は、本願発明1に対応する「方法」の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
本願発明5は、本願発明1に対応する「プログラム」の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1及び引用発明
(1) 引用文献1
当審拒絶理由(1)の理由1と、当審拒絶理由(2)の理由3において引用された引用文献1には、以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。

ア 段落【0004】−【0006】
「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば親子で遊園地へ入場するための電子チケットを発券することを考えると、親が親子2枚分のチケットを購入した上で、使用時には、それぞれに対してもぎり処理を行う必要がある。しかしながら、特許文献1では、このような複数枚の電子チケットに対する処理については何ら考慮されていなかった。
【0005】
また、電子チケットはディスプレイに表示されるが、これがキャプチャされた画像であるのか、正常な電子チケットデータに基づいて表示されているのかを確認する手段についても、何ら考慮されていなかった。
【0006】
本発明のいくつかの態様は前述のいずれかの課題等に鑑みてなされたものであり、電子チケットに対する処理を好適に行うことのできるプログラム、情報処理装置、及び情報処理システムを提供することを目的とする。」

イ 段落【0015】
「【0015】
(1. 概要)
(1.1 電子チケットシステムの概要)
まず、図1を参照しながら、実施形態に係る電子チケットシステム1の構成及び処理の概要を説明する。電子チケットシステム1は、例えば、電子チケットを購入及び使用するユーザUA及びUB(以下、総称してユーザUともいう。)の使用する携帯型端末100A及び100B(以下、総称して携帯型端末100ともいう。)と、電子チケットサービスを提供するサービス事業者により管理される管理サーバ200とを含む。携帯型端末100と、管理サーバ200とは、それぞれネットワークNを介して有線又は無線により、相互に通信可能である。」

ウ 【図3a】−【図3b】




エ 段落【0046】−【0053】
「【0046】
なお、本実施形態では、電子チケットにコンテンツの閲覧を特典として紐付けることとしているが、電子チケットに付随させるサービスはコンテンツの閲覧に限られるものではない。例えば、関連する別の電子チケット(副券)、クーポン、各種ポイント付与、電子マネーとの連携、電子商取引(EC:e−commerce)等のサービスを電子チケットに付帯させる特典とすることも考えられる。

・・・(中略)・・・

【0050】
図3aに示された未使用状態の電子チケットに係るチケット詳細表示画面30において、当該電子チケットを使用する際には、先述の通り、例えば会場の入場ゲートにいる係員等により、もぎり操作が入力される。もぎり操作は、例えば、所定のパターンで配列された複数の導電部材を持つスタンプ部材を、係員が表示画面上に接触させることにより入力することができる。このようなスタンプ部材が携帯型端末100の表示画面上に接触すると、表示画面上にある静電容量方式のタッチパネルが当該電導部材のパターンを検出し、この検出されたパターンが、表示している電子チケットに対応するパターンと一致するか否かをチケットアプリが判別する。その結果、押されたスタンプ部材が適当なものであると判別されれば、図3bに示されるスタンプ画像36及び使用日時画像37がチケット詳細表示画面30上に表示される。

・・・(中略)・・・

【0052】
図3bに、使用済となった電子チケットに係るチケット詳細表示画面30の具体例を示す。図3bの例では、券種情報表示領域32上にスタンプ画像36が、発券対象者表示領域33上に使用日時画像37が表示されている。つまり、チケット詳細表示画面30において、スタンプ画像36及び使用日時画像37が表示されているか否かで、ユーザUや係員は、当該電子チケットが使用済であるか否かを容易に確認することができる。
【0053】
なお、図3bの例では、スタンプ画像36及び使用日時画像37の両者が表示されているが、これに限られるものではない。例えば1日しか開催されないコンサートイベント等の、使用日を確認する必要が薄い場合などには、使用日時画像37を表示させないようにしても良い。」

オ 【図3c】




上記【図3c】から、チケット詳細表示画面30の左上に示されるカウンター情報として、具体的には、「19:46:29 08」と表示されることが、認定できる。


カ 段落【0054】−【0057】
「【0054】
なお、電子チケットが使用済となった場合であっても、例えば再入場の確認の際等に、正当な電子チケットをユーザUが保有しているか否かを係員が確認したい場合もある。しかしながら、図3bのようなスタンプ画像36が押されたチケット詳細表示画面30が携帯型端末100のディスプレイに表示されるだけであれば、第三者の携帯型端末100で使用した電子チケットの画面キャプチャ画像と見分けることが困難である。
【0055】
そこで本実施形態では、使用済の電子チケットに係るチケット詳細表示画面30を表示する際、一部にアニメーションを含める。より具体的には、ユーザUがスタンプ画像36上に対してタップ操作を入力すると、図3cに具体例を示すように、スタンプ画像36が大きくなるアニメーションが表示される。このようにスタンプ画像36を操作に応じて動作するようにすることで、携帯型端末100のディスプレイに表示されているのが、チケットアプリのチケット詳細表示画面30なのか、画面キャプチャ画像であるのかを判別することができる。

・・・(中略)・・・

【0057】
また、正当な電子チケットであるか否かを確認するためのアニメーションは、スタンプ画像36の拡大等に限られるものではない。例えば、電子チケット自体に含まれる情報(例えば、チケット詳細表示画面30の左上に示されるカウンター情報)をアニメーションとして表示することも考えられる。電子チケットに含まれる情報をアニメーションとして表示することで、使用前の状態であっても、正当な電子チケットであるか否かを確認することができる。」

キ 段落【0117】
「【0117】
なお、図9の例において、携帯型端末100にはブラウザ110及びチケットアプリ700がインストールされている。ユーザUは携帯型端末100のブラウザ110を利用して電子チケットを購入した上で、チケットアプリ700上で当該電子チケットを使用することとなっている。しかしながらこれに限られるものではない。例えば、チケットアプリ700上でチケットを購入できるようにしても良い。」

(2) 引用発明
よって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。

「電子チケットシステム1は、例えば、電子チケットを購入及び使用するユーザUA及びUB(以下、総称してユーザUともいう。)の使用する携帯型端末100A及び100B(以下、総称して携帯型端末100ともいう。)と、電子チケットサービスを提供するサービス事業者により管理される管理サーバ200とを含み、
電子チケットに付随させるサービスはコンテンツの閲覧に限られるものではなく、例えば、関連する別の電子チケット(副券)、クーポン、各種ポイント付与、電子マネーとの連携、電子商取引(EC:e−commerce)等のサービスを電子チケットに付帯させる特典とすることも考えられ、
未使用状態の電子チケットに係るチケット詳細表示画面30において、当該電子チケットを使用する際には、例えば会場の入場ゲートにいる係員等により、もぎり操作が入力され、もぎり操作は、例えば、所定のパターンで配列された複数の導電部材を持つスタンプ部材を、係員が表示画面上に接触させることにより入力することができ、
使用済となった電子チケットに係るチケット詳細表示画面30において、券種情報表示領域32上にスタンプ画像36が、発券対象者表示領域33上に使用日時画像37が表示され、
なお、電子チケットが使用済となった場合であっても、例えば再入場の確認の際等に、正当な電子チケットをユーザUが保有しているか否かを係員が確認したい場合もあるが、スタンプ画像36が押されたチケット詳細表示画面30が携帯型端末100のディスプレイに表示されるだけであれば、第三者の携帯型端末100で使用した電子チケットの画面キャプチャ画像と見分けることが困難であり、
そこで、使用済の電子チケットに係るチケット詳細表示画面30を表示する際、一部にアニメーションを含め、より具体的には、ユーザUがスタンプ画像36上に対してタップ操作を入力すると、スタンプ画像36が大きくなるアニメーションが表示され、このようにスタンプ画像36を操作に応じて動作するようにすることで、携帯型端末100のディスプレイに表示されているのが、チケットアプリのチケット詳細表示画面30なのか、画面キャプチャ画像であるのかを判別することができ、
また、正当な電子チケットであるか否かを確認するためのアニメーションは、スタンプ画像36の拡大等に限られるものではなく、例えば、電子チケット自体に含まれる情報(例えば、チケット詳細表示画面30の左上に示されるカウンター情報、具体的には、「19:46:29 08」)をアニメーションとして表示することも考えられ、電子チケットに含まれる情報をアニメーションとして表示することで、使用前の状態であっても、正当な電子チケットであるか否かを確認することができ、
携帯型端末100にはブラウザ110及びチケットアプリ700がインストールされており、ユーザUは携帯型端末100のブラウザ110を利用して電子チケットを購入した上で、チケットアプリ700上で当該電子チケットを使用することとなっているが、これに限られるものではなく、例えば、チケットアプリ700上でチケットを購入できるようにしても良い、
携帯型端末100。」

2 引用文献2−4、A
(1) 引用文献2
引用文献2には、下記の記載がある。

ア 【図20】




イ 段落【0076】
「【0076】
図20は、認証成功時の表示の一例を示す図である。図に示すように、認証成功時には、電子スタンプ装置の外側に見えるように、認証成功を知らせる強調表示STREG(発光、アニメなど)を表示したり、スピーカから「ポン!」というあたかもスタンプがリアルに押されたかのような音声を出力する。これによって、ユーザは電子スタンプが押されたのだというリアル感を味うことが可能となる。」

(2) 引用文献3
引用文献3には、下記の記載がある。

ア 【図2】




イ 段落【0036】−【0037】
「【0036】
続いて、情報管理装置10は、利用者Uの拠点の近傍に位置する店舗を利用者Uに提案する提案店舗に決定する(ステップSc4)。例えば、図2の例において、情報管理装置10は、店舗情報に基づいて、利用者Uの拠点から所定の範囲(例えば、1km、5km)内に所在する店舗のうち、店舗コード決済、若しくは、利用者コード決済による決済が可能な店舗を提案店舗に決定する。
【0037】
続いて、情報管理装置10は、提案店舗の利用を利用者Uに提案する(ステップSc5)。例えば、図2の例において、情報管理装置10は、決定した提案店舗の店舗名や提案店舗の種別、提案店舗の所在地などを含む店舗情報と、店舗コード決済、若しくは、利用者コード決済による決済を提案店舗において利用した場合に利用者Uが得られる所定の利益(例えば、クーポンや、提案店舗に対する決済料金のうち利用者Uに還元される還元率など)とを利用者端末BUTに提案(送信)する。以下、提案店舗の提案が行われた利用者端末BUTを利用者端末AUTと表記する。」

ウ 段落【0040】−【0042】
「【0040】
また、例えば、図2の例において、情報管理装置10は、利用者コード決済による決済を利用者Uが利用した場合、利用者Uが決済を行う店舗の店舗端末STが読み取った利用者コードと、決済料金とを含む決済情報を利用者端末AUTから取得する。そして、情報管理装置10は、決済情報に含まれる利用者コードに対応する利用者(利用者U)に提案した提案店舗に、店舗端末STに対応する店舗が含まれるか否かを判定する。
【0041】
続いて、情報管理装置10は、決済情報が示す決済が提案店舗における決済である場合は、所定の利益を利用者Uに対して提供する(ステップSc8)。例えば、図2の例において、情報管理装置10は、利用者Uが提案店舗に対し、店舗コード決済、若しくは、利用者コード決済を利用した決済を行った場合、提案店舗以外での決済よりも多くの利益を設定し、当該利益に関する情報を利用者端末AUTに提供する。
【0042】
続いて、利用者端末AUTは、提案店舗以外の店舗における決済音とは異なる決済音を出力する(ステップSc9)。例えば、図2の例において、情報管理装置10は、利用者Uが店舗コード決済、若しくは、利用者コード決済を利用した提案店舗に対し予め設定された決済音を出力させる制御情報を、利用者端末AUTに通知(送信)する。なお、情報管理装置10は、制御情報を店舗端末STに通知し、決済音を店舗端末STに出力させてもよい。」

(3) 引用文献4
引用文献4には、段落【0070】に、下記の記載がある。

「【0070】
ステップS122では、チケット/クーポンの表示方向が変更される。表示方向変更部206は、コンテンツが表示された後、更に所定の時間(例えば、5秒)が経過した後で、第二の表示装置28による表示方向をサービス提供者方向に変更する(ステップS122)。ここで、出力部205は、表示方向がサービス提供者方向である場合には、当該サービス提供者に対して正立するように、コンテンツを表示する。本実施形態では、第二の表示装置28がサービス提供者側に倒れることで表示方向を変更する方式が採用されているため、出力部205は、第二の表示装置28がサービス提供者側に倒れるタイミングに合わせてステップS121で表示させたチケット/クーポンの高解像度イメージの表示を上下反転(180度回転)させることで、サービス提供者に対して正立するように、コンテンツを表示する。」

(4)引用文献A
引用文献Aには、下記の記載がある。

ア 段落【0001】
「【0001】
この発明は、電子チケットを購入者の携帯端末にネットワークを介してダウンロードするとともに、チケット使用場面において携帯端末のディスプレイに表示されたチケット画像を係員が目視で確認するという利用方法を前提とした、電子チケットのコンピューティングに関するものである。とくに、この発明では、たとえば開催日時が決まっている演奏会のチケットのように、特定の期間において使用される電子チケットを対象としている。」

イ 段落【0010】
「【0010】
===発明の要点===
この発明の核心とするところは以下のような各要素によって成立している。
(A)電子チケットを利用しようとする人のスマートフォンやタブレット端末などの携帯端末に、ネットワーク上のアプリストアなどからチケット購入プログラムをダウンロードしてインストールしておく。
(B)利用者は、携帯端末のチケット購入プログラムを起動し、ネットワーク上のチケット販売サイトにアクセスし、そこで販売している電子チケットを購入ダウンロードして当該携帯端末に保存する。
(C)この発明の対象となる電子チケットは、たとえば演奏会チケットのようにチケット使用の期間(日時など)が特定されている。
(D)電子チケットは、使用開始日時と、チケット属性データと、レンダリング記述を含み、レンダリング記述は、静止画像構成記述と、動画像構成記述とを含んでいる。
(E)携帯端末においてチケット購入プログラムは、購入された電子チケットのチケット属性データおよび静止画構成記述に基づいて、チケット属性情報と購入済であることを示す情報を含んだチケット静止画像を表示する第1表示処理を行う。
(F)携帯端末においてチケット購入プログラムは、現在日時が購入された電子チケットの使用開始日時を過ぎていることを条件として、当該電子チケットのチケット属性データおよび動画像構成記述に基づいて、所定の画像要素が所定の態様で変動するアニメーション表現を含んだチケット動画像を表示する第2表示処理を行う。」

ウ 【図2B】
「【図2B】



エ 段落【0028】
「【0028】 図2Aのチケット静止画像は、写真とともに、イベント名「FESTA」、開催日時「2013.3.20(木)」、会場名「ライブ会場」、開場時間「OPEN 18:30」、開始時間「Start19:00」などが装飾文字でデザインされている。これに対応する図2Bのチケット動画像(3コマのコマ送りで表現している)は、図2Aのチケット静止画像にオーバーラップして「入場OK」という装飾文字が表示され、「入場OK」という装飾文字部品が画面上をスクリーンセイバーのように動き回り、画面の端にぶつかっては跳ね返るアニメーション表現となっている。」

オ 【図2D】
「【図2D】



オ 段落【0030】
「【0030】
===チケット画像の具体例3===
図2Dのチケット動画像(3コマのコマ送りで表現している)も、図2Aのチケット静止画像に対応した別の例であり、この例では、チケット静止画像自体が画面内で傾いたり回転したり動き回ったりするアニメーション表現となっている。」


第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1) 対比

本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「電子チケット」は、「電子チケットサービスを提供するサービス事業者により管理される管理サーバ200」で管理され、「電子チケットに付随させるサービスはコンテンツの閲覧に限られるものではなく、例えば、関連する別の電子チケット(副券)、クーポン、各種ポイント付与、電子マネーとの連携、電子商取引(EC:e−commerce)等のサービスを電子チケットに付帯させる特典とすることも考えられ」、通常、「クーポン」は何らかの「企業に関連付けられ」ているといえるから、本願発明1の「企業に関連付けられた電子クーポン」と、少なくとも、「企業に関連付けられた電子価値情報」である点で共通するといえる。
引用発明の「正当な電子チケットであるか否かを確認するためのアニメーション」は、本願発明1の「不正防止表示部」に相当する。
引用発明の「チケットアプリのチケット詳細表示画面30」は、本願発明1の「プログラムの画面」に相当する。
よって、引用発明の「携帯型端末100」において、「使用済の電子チケットに係るチケット詳細表示画面30を表示する際、一部にアニメーションを含め」ており、「正当な電子チケットであるか否かを確認するためのアニメーションは、スタンプ画像36の拡大等に限られるものではなく、例えば、電子チケット自体に含まれる情報(例えば、チケット詳細表示画面30の左上に示されるカウンター情報、具体的には、「19:46:29 08」)をアニメーションとして表示する」ことは、本願発明1の「企業に関連付けられた電子クーポンを、不正防止表示部とともにプログラムの画面に表示させる装置」と、少なくとも、「企業に関連付けられた電子価値情報を、不正防止表示部が視認できるようにプログラムの画面に表示させる装置」である点で、共通するといえる。

イ 引用発明の「正当な電子チケットであるか否かを確認するためのアニメーション」は、「使用済の電子チケットに係るチケット詳細表示画面30を表示する際、一部にアニメーションを含め」ており、「また、正当な電子チケットであるか否かを確認するためのアニメーションは、スタンプ画像36の拡大等に限られるものではなく、例えば、電子チケット自体に含まれる情報(例えば、チケット詳細表示画面30の左上に示されるカウンター情報、具体的には、「19:46:29 08」)をアニメーションとして表示することも考えられ」るから、本願発明1の「前記不正防止表示部は、アイコンからなる可動部を含む画像であ」ることと、「前記不正防止表示部は、可動部を含む画像であ」である点で、共通するといえる。

ウ 引用発明の電子チケットの「もぎり操作」は、具体的には、「電子チケットを使用する際に」「係員等により」「スタンプ部材を、係員が表示画面上に接触させることにより入力する」操作である。
ここで、本願発明1における用語「発券」に関して、本願明細書の段落【0016】に「図1(b)(c)(d)に示す画面において、ユーザは、当該画面を店員に見せながら、「クーポン利用」ボタンをタップする。すると、クロワッサン1個無料のクーポンが発券され、図1(e)に示すように、当該クーポンが利用済みになり、利用日時のタイムスタンプが表示される。」と記載されていることを参照すると、引用発明の「電子チケット」の「もぎり操作」は、本願発明1の「前記電子クーポンを発券するための前記画面上のユーザ入力」と、「前記電子価値情報を発券するための前記画面上の入力」である点で共通するといえる。
よって、引用発明において、「未使用状態の電子チケットに係るチケット詳細表示画面30において、当該電子チケットを使用する際には、例えば会場の入場ゲートにいる係員等により、もぎり操作が入力され、もぎり操作は、例えば、所定のパターンで配列された複数の導電部材を持つスタンプ部材を、係員が表示画面上に接触させることにより入力することができ」、「また、正当な電子チケットであるか否かを確認するためのアニメーションは、スタンプ画像36の拡大等に限られるものではなく、例えば、電子チケット自体に含まれる情報(例えば、チケット詳細表示画面30の左上に示されるカウンター情報、具体的には、「19:46:29 08」)をアニメーションとして表示することも考えられ、電子チケットに含まれる情報をアニメーションとして表示することで、使用前の状態であっても、正当な電子チケットであるか否かを確認することができ」ることは、本願発明1の「前記不正防止表示部が表示されている状態で、前記装置は、前記電子クーポンを発券するための前記画面上のユーザ入力を受け付け、前記ユーザ入力により前記電子クーポンが利用済みになった後も、前記不正防止表示部は、表示されて」いることと、少なくとも、「前記不正防止表示部が表示されている状態で、前記装置は、前記電子価値情報を発券するための前記画面上の入力を受け付け」る点で、共通するといえる。

エ 上記アのとおり、引用発明の「クーポン」を付帯できる「電子チケット」は、本願発明1の「企業に関連付けられた電子クーポン」と、少なくとも、「企業に関連付けられた電子価値情報」である点で共通するといえる。
よって、引用発明において、「クーポン」を付帯できる「電子チケット」について、「携帯型端末100にはブラウザ110及びチケットアプリ700がインストールされており、ユーザUは携帯型端末100のブラウザ110を利用して電子チケットを購入した上で、チケットアプリ700上で当該電子チケットを使用することとなっているが、これに限られるものではなく、例えば、チケットアプリ700上でチケットを購入できるようにしても良い」ことは、本願発明1の「前記電子クーポンを発行する企業の商品またはサービスは、サーバ装置を介して前記プログラム上で決済可能である」ることと、「前記電子価値情報を発行する企業の商品またはサービスは、前記プログラム上で決済可能である」点で共通するといえる。

オ よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。

[一致点]
「企業に関連付けられた電子価値情報を、不正防止表示部が視認できるようにプログラムの画面に表示させる装置であって、
前記不正防止表示部は、可動部を含む画像であり、
前記不正防止表示部が表示されている状態で、前記装置は、前記電子価値情報を発券するための前記画面上の入力を受け付け、
前記電子価値情報を発行する企業の商品またはサービスは、前記プログラム上で決済可能である、
装置。」

[相違点1]
本願発明1では、「企業に関連付けられた電子クーポンを、不正防止表示部とともにプログラムの画面に表示させる装置」に係るのに対して、引用発明では、「クーポン」を付帯できる「電子チケット」について、「使用済の電子チケットに係るチケット詳細表示画面30を表示する際、一部にアニメーションを含め」るものであり、より具体的には、「電子チケット自体に含まれる情報(例えば、チケット詳細表示画面30の左上に示されるカウンター情報、具体的には、「19:46:29 08」)をアニメーションとして表示する」ものであって、「電子クーポン」に関して、正当なクーポンであることを確認するためのアニメーション「とともに」表示することが、明確には特定されていない点。

[相違点2]
本願発明1では、「前記不正防止表示部は、アイコンからなる可動部を含む画像であ」るのに対して、引用発明では、例えば、「チケット詳細表示画面30の左上に示されるカウンター情報」をアニメーションするものであって、「アイコンからなる」可動部を含まない点。

[相違点3]
本願発明1では、「前記不正防止表示部が表示されている状態で、前記装置は、前記電子クーポンを発券するための前記画面上のユーザ入力を受け付け、前記ユーザ入力により前記電子クーポンが利用済みになった後も、前記不正防止表示部は、表示されて」いるのに対して、引用発明では、「クーポン」を付帯できる「電子チケット」について、「当該電子チケットを使用する際には、例えば会場の入場ゲートにいる係員等により、もぎり操作が入力され、もぎり操作は、例えば、所定のパターンで配列された複数の導電部材を持つスタンプ部材を、係員が表示画面上に接触させることにより入力することができ」るものであって、「前記電子クーポンを発券するための前記画面上のユーザ入力を受け付け」るものではなく、また、「電子チケットに含まれる情報をアニメーションとして表示することで、使用前の状態であっても、正当な電子チケットであるか否かを確認することができ」るものであって、「前記ユーザ入力により前記電子クーポンが利用済みになった後も、前記不正防止表示部は、表示されて」いるものではない点。

[相違点4]
本願発明1では、「前記電子クーポンを発券するために、前記画面上で前記ユーザ入力を受け付ける画像は、前記不正防止表示部とは別個の画像であ」るのに対して、引用発明は、「使用済の電子チケットに係るチケット詳細表示画面30を表示する際、一部にアニメーションを含め」るものであり、より具体的には、「電子チケット自体に含まれる情報(例えば、チケット詳細表示画面30の左上に示されるカウンター情報、具体的には、「19:46:29 08」)をアニメーションとして表示する」ものであって、ユーザ入力を受け付ける画像と、正当な電子チケットを確認するためのアニメーションとが、「別個の画像」であることが、明確には特定されていない点。

[相違点5]
本願発明1では、「前記電子クーポンが発券されたときに、音声を出力し」ているのに対して、引用発明では、クーポンが発券されたときに、音声を出力しない点。

[相違点6]
前記電子クーポンを発行する企業の商品またはサービスが、本願発明1では、「サーバ装置を介して」前記プログラム上で決済可能であるのに対して、引用発明では、「チケットアプリ700上でチケットを購入できるようにしても良い」ものであるが、「サーバ装置を介して」チケットを購入することが、明確には特定されていない点。

(2) 当審の判断
事案に鑑みて、上記[相違点3]について先に検討すると、本願発明1の上記[相違点3]に係る、「前記不正防止表示部が表示されている状態で、前記装置は、前記電子クーポンを発券するための前記画面上のユーザ入力を受け付け、前記ユーザ入力により前記電子クーポンが利用済みになった後も、前記不正防止表示部は、表示されて」いる構成については、上記引用文献1−4には記載されておらず、周知技術であるともいえない。
引用発明は、(「クーポン」が付帯された)「電子チケット」に関して、「電子チケットに含まれる情報をアニメーションとして表示することで、使用前の状態であっても、正当な電子チケットであるか否かを確認することができ」るものであって、引用発明には、電子チケットに付帯された「クーポン」に関する詳細な規定は存在しない。
引用発明において、「電子チケット」の使用後、電子チケットの一部をアニメーション表示させる場合としては、「例えば再入場の確認の際等に、正当な電子チケットをユーザUが保有しているか否かを係員が確認したい場合」が開示されている。
一方、引用発明の「電子チケット」に付帯された「クーポン」については、クーポン使用後に、使用済みクーポンの正当性を確認する場合は、直ちには想定し難い。
よって、引用発明において、仮に、「クーポン」に関して、正当なクーポンであることを確認するためにアニメーションを表示させることが想定できたとしても、クーポンの使用前にのみ表示されていれば十分であると解される。
したがって、引例発明において、「電子チケット」を「電子クーポン」に転用する場合、さらに、クーポンの使用前及び使用後の両方において、アニメーションを表示させる構成までは想定し難い。
また、引用文献2−3(上記第5の2(1)−(2)を参照。)には、それぞれ、ユーザ等による端末の入力操作に応答して、効果音や決済音などの音声を出力する周知技術が記載され、引用文献4(上記第5の2(3)を参照。)には、画面表示の見やすさ等を考慮して、画面と利用者との位置関係に応じて、画面表示の向きを回転させる、周知技術が記載されているが、「前記不正防止表示部が表示されている状態で、前記装置は、前記電子クーポンを発券するための前記画面上のユーザ入力を受け付け、前記ユーザ入力により前記電子クーポンが利用済みになった後も、前記不正防止表示部は、表示されて」いる構成は、開示されていない。
よって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2−4に記載された技術的事項から、本願発明1の上記「相違点3」に係る構成を容易に想到することはできない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2−4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 請求項2−5について
本願発明2−5も、本願発明1の上記「相違点3」に係る、「前記不正防止表示部が表示されている状態で、前記装置は、前記電子クーポンを発券するための前記画面上のユーザ入力を受け付け、前記ユーザ入力により前記電子クーポンが利用済みになった後も、前記不正防止表示部は、表示されて」いる構成と、(実質的に)同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2−4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第7 当審拒絶理由(2)について
1 理由1(明確性)について
当審では、請求項1−5の、クーポンまたはチケットと、不正防止表示部の表示態様が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、令和5年6月20日提出の補正において、「前記電子クーポンを発券するために、前記画面上で前記ユーザ入力を受け付ける画像は、前記不正防止表示部とは別個の画像であり」との記載が補正により付加された結果、請求項1−5の記載不備に基づく、当審拒絶理由(2)の理由1(明確性)は解消した。

2 理由2(サポート要件)について
当審では、請求項1−5の、「前記電子クーポンを発行する企業の商品またはサービスは、前記プログラム上で決済可能である」という点は、発明の詳細な説明に記載されていないとの拒絶の理由を通知しているが、令和5年6月20日提出の補正において、「前記電子クーポンを発行する企業の商品またはサービスは、サーバ装置を介して前記プログラム上で決済可能である」と補正された結果、当審拒絶理由(2)の理由2(サポート要件)は解消した。

第8 当審拒絶理由(1)について
令和5年6月20日提出の補正による、補正後の請求項1−5は、本願発明1の上記「相違点3」に係る、「前記不正防止表示部が表示されている状態で、前記装置は、前記電子クーポンを発券するための前記画面上のユーザ入力を受け付け、前記ユーザ入力により前記電子クーポンが利用済みになった後も、前記不正防止表示部は、表示されて」いる構成と、(実質的に)同一の構成を備えるものとなった。当該構成は、当審拒絶理由(1)における引用文献1−4には記載されておらず、周知技術でもないので、本願発明1−5は、当業者であっても、当審拒絶理由(1)における引用文献1−4に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、当審拒絶理由(1)の理由1(進歩性)は解消した。

第9 原査定についての判断
令和5年6月20日提出の補正による、補正後の請求項1−5は、本願発明1の上記「相違点3」に係る、「前記不正防止表示部が表示されている状態で、前記装置は、前記電子クーポンを発券するための前記画面上のユーザ入力を受け付け、前記ユーザ入力により前記電子クーポンが利用済みになった後も、前記不正防止表示部は、表示されて」いる構成と、(実質的に)同一の構成を備えるものとなった。当該構成は、原査定における引用文献Aには記載されておらず、周知技術でもないので、本願発明1−5は、当業者であっても、原査定における引用文献Aに基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第10 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2023-09-11 
出願番号 P2021-171874
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06Q)
P 1 8・ 537- WY (G06Q)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 中野 裕二
特許庁審判官 野崎 大進
山澤 宏
発明の名称 電子クーポン等の不正利用を防止するための装置、方法およびプログラム  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 前川 純一  
代理人 上島 類  

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