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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H01L
審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  H01L
管理番号 1402733
総通号数 22 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2023-10-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-04-22 
確定日 2023-07-13 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6960477号発明「薬液、薬液の製造方法、基板の処理方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6960477号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1−35〕について訂正することを認める。 特許第6960477号の請求項1〜35に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6960477号の請求項1〜35に係る特許についての出願は、2019年(平成31年)1月18日(優先権主張 平成30年2月5日、平成30年8月29日)を国際出願日として出願され、令和3年10月13日にその特許権の設定登録がされ、同年11月5日に特許掲載公報が発行された。その特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和 4年 4月22日 :特許異議申立人河井清悦(以下、「申立人河井」という。)による特許異議の申立て
令和 4年 7月27日付け :取消理由通知書
令和 4年10月 3日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和 4年11月28日 :申立人河井による意見書の提出
令和 5年 2月 1日付け :取消理由通知書(決定の予告)
令和 5年 4月 6日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出

令和5年4月19日付け(4月24日発送)で、同年4月6日付け訂正請求書による訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。また、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)に対して、申立人河井に、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、申立人河井は応答しなかった。
なお、令和4年10月3日にされた訂正請求は、本件訂正請求がされたため、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
特許権者は、特許請求の範囲の請求項1〜35を、以下の事項により特定されるとおりに訂正することを請求する(下線は訂正箇所を示すため当審が付した。)。

(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「 過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上である、薬液。」
と記載されているのを、
「 過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
pHが3.0〜10.0である、薬液。」
に訂正する。
(請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項3、5、6、8、10、12、14、15、17、18、22、23、24、25、27、28、30、31、32、34、35も同様に訂正する。)

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に
「 過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppb〜100質量ppbであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppb以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppb以上である、薬液。」
と記載されているのを、
「 過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppb〜100質量ppbであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppb以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppb以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
pHが3.0〜10.0である、薬液。」
に訂正する。
(請求項2の記載を直接又は間接的に引用する請求項3、5、6、8、10、12、14、15、17、18、22、23、24、25、27、28、30、31、32、34、35も同様に訂正する。)

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4に
「 過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
pHが4.0〜9.0である、薬液。」
と記載されているのを、
「 過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
pHが4.0〜9.0である、薬液。」
に訂正する。
(請求項4の記載を直接又は間接的に引用する請求項8、10、12、14、15、17、18、22、23、24、25、27、28、30、31、32、34、35も同様に訂正する。)

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項6に
「 pHが7.5〜10.0である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の薬液。」
とあるうち、請求項1〜3のいずれか1項を引用するものについて、
「 pHが7.5〜10.0である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬液。」
に訂正する。
(請求項6の記載を直接又は間接的に引用する請求項8、10、12、14、15、17、18、22、23、24、25、27、28、30、31、32、34、35も同様に訂正する。)

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項7に
「 過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して0.0001〜50質量%である、薬液。」
と記載されているのを、
「 過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
pHが1.0〜10.0である、薬液。」
に訂正する。
(請求項7の記載を直接又は間接的に引用する請求項10、12、14、15、17、18、22、23、24、25、27、28、30、31、32、34、35も同様に訂正する。)

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項8に
「 前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して0.0001〜50質量%である、請求項2〜6のいずれか1項に記載の薬液。」
と記載されているのを、
「 前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜45質量%である、請求項2〜6のいずれか1項に記載の薬液。」
に訂正する。
(請求項8の記載を直接又は間接的に引用する請求項10、12、14、15、17、18、22、23、24、25、27、28、30、31、32、34、35も同様に訂正する。)

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項9に
「 過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
更に、Al、Ag、B、Ba、Ca、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、K、Li、Mg、Mn、Na、Ni、Pb、Ru、Sn、及び、Znからなる群から選択される1種以上の第2金属成分を含み、
前記薬液が1種の第2金属成分を含む場合、前記1種の第2金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種以上の第2金属成分を含む場合、前記2種以上の第2金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種以上の第2金属成分の内の少なくとも1種の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上である、薬液。」
と記載されているのを、
「 過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
更に、Al、Ag、B、Ba、Ca、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、K、Li、Mg、Mn、Na、Ni、Pb、Ru、Sn、及び、Znからなる群から選択される1種以上の第2金属成分を含み、
前記薬液が1種の第2金属成分を含む場合、前記1種の第2金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種以上の第2金属成分を含む場合、前記2種以上の第2金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種以上の第2金属成分の内の少なくとも1種の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
pHが3.0〜10.0である、薬液。」
に訂正する。
(請求項9の記載を直接又は間接的に引用する請求項12、14、15、17、18、22、23、24、25、27、28、30、31、32、34、35も同様に訂正する。)

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項11に
「 過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
更に、アンモニウムイオンを含み、
前記アンモニウムイオンの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmである、薬液。」
と記載されているのを、
「 過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
更に、アンモニウムイオンを含み、
前記アンモニウムイオンの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
pHが3.0〜10.0である、薬液。」
に訂正する。
(請求項11の記載を直接又は間接的に引用する請求項14、15、17、18、22、23、24、25、27、28、30、31、32、34、35も同様に訂正する。)

(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項13に
「 過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
更に、I−、I3−、IO3−、Br−、Cl−、NO3−、硫酸イオン、亜硫酸イオン、リン酸イオン、及び、亜リン酸イオンからなる群から選択される1種以上のアニオン種を含み、
前記薬液が前記1種以上のアニオン種のうち1種のアニオン種を含む場合、前記1種のアニオン種の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が前記1種以上のアニオン種のうち2種以上のアニオン種を含む場合、前記2種以上のアニオン種のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種以上のアニオン種の内の少なくとも1種の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の薬液。」
とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、
「 過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
更に、I−、I3−、IO3−、Br−、Cl−、NO3−、硫酸イオン、亜硫酸イオン、リン酸イオン、及び、亜リン酸イオンからなる群から選択される1種以上のアニオン種を含み、
前記薬液が前記1種以上のアニオン種のうち1種のアニオン種を含む場合、前記1種のアニオン種の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が前記1種以上のアニオン種のうち2種以上のアニオン種を含む場合、前記2種以上のアニオン種のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種以上のアニオン種の内の少なくとも1種の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
pHが3.0〜10.0である、薬液。」
に訂正する。
(請求項13の記載を直接又は間接的に引用する請求項15、17、18、22、23、24、25、27、28、30、31、32、34、35も同様に訂正する。)

(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項16に
「 過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、水と、を含む被精製物にイオン交換法を施して、前記1種以上の過ヨウ素酸類と、前記1種以上の第1金属成分と、水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液を得る工程Aを有する、薬液の製造方法であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上である、薬液の製造方法。」
と記載されているのを、
「 過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、水と、を含む被精製物にイオン交換法を施して、前記1種以上の過ヨウ素酸類と、前記1種以上の第1金属成分と、水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液を得る工程Aを有する、薬液の製造方法であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
前記薬液のpHが3.0〜10.0である、薬液の製造方法。」
に訂正する。
(請求項16の記載を直接又は間接的に引用する請求項18、22、23、24、25、27、28も同様に訂正する。)

(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項19に
「 過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、水と、を含む被精製物にイオン交換法を施して、前記1種以上の過ヨウ素酸類と、前記1種以上の第1金属成分と、水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液を得る工程Aを有する、薬液の製造方法であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記イオン交換法が、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とを含む混合樹脂が充填された第1充填部に前記被精製物を通液する方法A1を含む、薬液の製造方法。」
と記載されているのを、
「 過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、水と、を含む被精製物にイオン交換法を施して、前記1種以上の過ヨウ素酸類と、前記1種以上の第1金属成分と、水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液を得る工程Aを有する、薬液の製造方法であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
前記薬液のpHが3.0〜10.0であり、
前記イオン交換法が、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とを含む混合樹脂が充填された第1充填部に前記被精製物を通液する方法A1を含む、薬液の製造方法。」
に訂正する。
(請求項19の記載を直接又は間接的に引用する請求項22、27、28も同様に訂正する。)

(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項20に
「 過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、水と、を含む被精製物にイオン交換法を施して、前記1種以上の過ヨウ素酸類と、前記1種以上の第1金属成分と、水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液を得る工程Aを有する、薬液の製造方法であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記イオン交換法が、カチオン交換樹脂が充填された第2充填部、アニオン交換樹脂が充填された第3充填部、及び、キレート樹脂が充填された第4充填部のうちの少なくとも1種の充填部に前記被精製物を通液する方法A2を含む、薬液の製造方法。」
と記載されているのを、
「 過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、水と、を含む被精製物にイオン交換法を施して、前記1種以上の過ヨウ素酸類と、前記1種以上の第1金属成分と、水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液を得る工程Aを有する、薬液の製造方法であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
前記薬液のpHが3.0〜10.0であり、
前記イオン交換法が、カチオン交換樹脂が充填された第2充填部、アニオン交換樹脂が充填された第3充填部、及び、キレート樹脂が充填された第4充填部のうちの少なくとも1種の充填部に前記被精製物を通液する方法A2を含む、薬液の製造方法。」
に訂正する。
(請求項20の記載を直接又は間接的に引用する請求項23、27、28も同様に訂正する。)

(13)訂正事項13
特許請求の範囲の請求項21に
「 過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、水と、を含む被精製物にイオン交換法を施して、前記1種以上の過ヨウ素酸類と、前記1種以上の第1金属成分と、水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液を得る工程Aを有する、薬液の製造方法であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記イオン交換法が、膜状イオン交換体に前記被精製物を通液する方法A3を含む、薬液の製造方法。」
と記載されているのを、
「 過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、水と、を含む被精製物にイオン交換法を施して、前記1種以上の過ヨウ素酸類と、前記1種以上の第1金属成分と、水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液を得る工程Aを有する、薬液の製造方法であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
前記薬液のpHが3.0〜10.0であり、
前記イオン交換法が、膜状イオン交換体に前記被精製物を通液する方法A3を含む、薬液の製造方法。」
に訂正する。
(請求項21の記載を直接又は間接的に引用する請求項24、27、28も同様に訂正する。)

(14)訂正事項14
特許請求の範囲の請求項26に
「 過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、水と、を含む被精製物にイオン交換法を施して、前記1種以上の過ヨウ素酸類と、前記1種以上の第1金属成分と、水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液を得る工程Aと、
前記工程Aの後、フィルタを用いて前記工程Aに供された前記被精製物をろ過する工程Bと、を有する、薬液の製造方法であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上である、薬液の製造方法。」
と記載されているのを、
「 過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、水と、を含む被精製物にイオン交換法を施して、前記1種以上の過ヨウ素酸類と、前記1種以上の第1金属成分と、水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液を得る工程Aと、
前記工程Aの後、フィルタを用いて前記工程Aに供された前記被精製物をろ過する工程Bと、を有する、薬液の製造方法であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
前記薬液のpHが3.0〜10.0である、薬液の製造方法。」
に訂正する。
(請求項26の記載を直接引用する請求項28も同様に訂正する。)

(15)訂正事項15
特許請求の範囲の請求項29に
「 薬液を用いて、基板上の遷移金属含有物を除去する工程Dを有する、基板の処理方法であって、
前記薬液が、
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含み、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上である、
基板の処理方法。」
と記載されているのを、
「 薬液を用いて、基板上の遷移金属含有物を除去する工程Dを有する、基板の処理方法であって、
前記薬液が、
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含み、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
前記薬液のpHが3.0〜10.0である、
基板の処理方法。」
に訂正する。
(請求項29の記載を直接又は間接的に引用する請求項31、32、34、35も同様に訂正する。)

(16)訂正事項16
特許請求の範囲の請求項33に
「 薬液を用いて、基板上の遷移金属含有物を除去する工程Dと、
前記工程Dの後、リンス液を用いて、前記工程Dで得られた前記基板に対してリンス処理を行うリンス工程と、を有する、基板の処理方法であって、
前記薬液が、
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含み、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上である、
基板の処理方法。」
と記載されているのを、
「 薬液を用いて、基板上の遷移金属含有物を除去する工程Dと、
前記工程Dの後、リンス液を用いて、前記工程Dで得られた前記基板に対してリンス処理を行うリンス工程と、を有する、基板の処理方法であって、
前記薬液が、
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含み、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
前記薬液のpHが3.0〜10.0である、
基板の処理方法。」
に訂正する。
(請求項33の記載を直接引用する請求項35も同様に訂正する。)

なお、本件訂正は、一群の請求項〔1〜35〕について請求されている。

2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無、独立特許要件について
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
訂正事項1のうち、過ヨウ素酸類の含有量を「薬液の全質量に対して1〜50質量%」に限定する訂正は、訂正前の請求項1に係る発明では特定されていない「過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類」の含有量を限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
訂正事項1のうち、薬液を「pHが3.0〜10.0である」薬液に限定する訂正は、訂正前の請求項1に係る発明では特定されていない薬液のpHを限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アから明らかなように、訂正前の請求項1の発明特定事項を概念的により下位の内容とする訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
薬液中の過ヨウ素酸類の含有量が「薬液の全質量に対して1〜50質量」の範囲内であり得ることは、願書に添付した明細書段落[0017]における「過ヨウ素酸類の含有量(合計含有量)は、薬液全質量に対して、0.0001〜50質量%が好ましく、1〜45%がより好ましく、」との記載から明らかである。
薬液のpHが「3.0〜10.0」の範囲内であり得ることは、同段落[0050]における「中でも、薬液のpHは3.0〜10.0が好ましい。」との記載から明らかである。
よって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の全ての請求項1〜35について特許異議の申立てがされているので、訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(2)訂正事項2
ア 訂正の目的について
訂正事項2のうち、過ヨウ素酸類の含有量を「薬液の全質量に対して1〜50質量%」に限定する訂正は、訂正前の請求項2に係る発明では特定されていない「過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類」の含有量を限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
訂正事項2のうち、薬液を「pHが3.0〜10.0である」薬液に限定する訂正は、訂正前の請求項2に係る発明では特定されていない薬液のpHを限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アから明らかなように、訂正前の請求項2の発明特定事項を概念的により下位の内容とする訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
薬液中の過ヨウ素酸類の含有量が「薬液の全質量に対して1〜50質量」の範囲内であり得ることは、願書に添付した明細書段落[0017]における「過ヨウ素酸類の含有量(合計含有量)は、薬液全質量に対して、0.0001〜50質量%が好ましく、1〜45%がより好ましく、」との記載から明らかである。
薬液のpHが「3.0〜10.0」の範囲内であり得ることは、同段落[0050]における「中でも、薬液のpHは3.0〜10.0が好ましい。」との記載から明らかである。
よって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の全ての請求項1〜35について特許異議の申立てがされているので、訂正事項2に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(3)訂正事項3
ア 訂正の目的について
訂正事項3は、訂正前の請求項4に係る発明では特定されていない「過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類」の含有量を、「薬液の全質量に対して1〜50質量%」に限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アから明らかなように、訂正前の請求項4の発明特定事項を概念的により下位の内容とする訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
薬液中の過ヨウ素酸類の含有量が「薬液の全質量に対して1〜50質量」の範囲内であり得ることは、願書に添付した明細書段落[0017]における「過ヨウ素酸類の含有量(合計含有量)は、薬液全質量に対して、0.0001〜50質量%が好ましく、1〜45%がより好ましく、」との記載から明らかである。
よって、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の全ての請求項1〜35について特許異議の申立てがされているので、訂正事項3に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(4)訂正事項4
ア 訂正の目的について
訂正事項4は、訂正前の請求項6が請求項1〜5の記載を引用する記載であるところ、請求項4〜5を引用しないものとする訂正である。そのため、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
なお、請求項1及び2に関する訂正事項1及び2により、訂正後の請求項6も、薬液中の過ヨウ素酸類の含有量について「薬液の全質量に対して1〜50質量%」へと訂正される。この訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項4は、引用する請求項の数を減少させるものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
また、訂正事項1又は2により、訂正後の請求項6も過ヨウ素酸類の含有量について「薬液の全質量に対して1〜50質量%」へと訂正される。この訂正は、上記(1)イ及び(2)イに記載のように、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項4は、引用する請求項の数を減少させるものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
また、訂正事項1又は2により、訂正後の請求項6も過ヨウ素酸類の含有量について「薬液の全質量に対して1〜50質量%」へと訂正される。この訂正は、上記(1)ウ及び(2)ウに記載のように、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の全ての請求項1〜35について特許異議の申立てがされているので、訂正事項4に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(5)訂正事項5
ア 訂正の目的について
訂正事項5のうち、渦ヨウ素酸類の含有量を「薬液の全質量に対して1〜50質量%」に限定する訂正は、訂正前の請求項7に係る発明において「薬液の全質量に対して0.0001〜50質量%である」と特定されていた渦ヨウ素酸類の含有量を更に限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
訂正事項5のうち、薬液を「pHが1.0〜10.0である」薬液に限定する訂正は、訂正前の請求項7に係る発明では特定されていない薬液のpHを限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アから明らかなように、訂正前の請求項7の発明特定事項を概念的により下位の内容とする訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
薬液中の過ヨウ素酸類の含有量が「薬液の全質量に対して1〜50質量」の範囲内であり得ることは、願書に添付した明細書段落[0017]における「過ヨウ素酸類の含有量(合計含有量)は、薬液全質量に対して、0.0001〜50質量%が好ましく、1〜45%がより好ましく、」との記載から明らかである。
また、願書に添付した明細書段落[0050]には、薬液のpHについて、「本発明の薬液のpHは特に制限されない。中でも、薬液のpHは3.0〜10.0が好ましい。」と記載されている。また、同段落[0151]〜[0185]には、発明に係る薬液を調製し、調製された薬液について各種性能評価を行った実施例Yが記載されており、当該実施例Yには、pHが1.0である薬液を調製し、各種性能評価を行ったことも記載されている(実施例Y1〜Y15及びY28〜Y30)。ここで、本件明細書の段落[0005]における「そこで、本発明は、遷移金属含有物に対する優れたエッチング性能を有し、優れた欠陥抑制性能を有する薬液を提供することを課題とする。」との記載から理解されるように、本件発明の課題は、「遷移金属含有物に対する優れたエッチング性能を有し、優れた欠陥抑制性能を有する薬液を提供すること」にある。そして、実施例Yでは、遷移金属含有物に対するエッチング性能については、Ru、Co及びWのエッチング速度を指標として評価され、欠陥抑制性能は、「残留メタル抑制性」を指標として評価されているところ(同段落[0175]参照)、pHが1.0である実施例Y1〜Y15及びY28〜Y30の薬液はいずれも、Ru、Co及びWのエッチング性能、並びに、残留メタル抑制性が優れた効果を有することが実証されている(同段落[0183]及び[0184]の表3参照)。また、当該実施例Yには、pHが4.0、6.0又は9.0である薬液を調製し、これらの薬液が、Ru、Co及びWのエッチング性能、並びに、残留メタル抑制性が優れた効果を有することが示されている(同表3参照)。これらの実施例Yの結果に基づけば、上記の優れた効果を有することが実証されている実施例Y1〜Y15及びY28〜Y30の薬液のpHである「1.0」は、「遷移金属含有物に対する優れたエッチング性能を有し、優れた欠陥抑制性能を有する薬液の提供」という本件発明の課題を解決し得る薬液の連続的なpHの範囲の下限値となり得るものであり、また、当業者にとって容易に認識できるものであるといえる。
以上より、薬液のpHが「1.0〜10.0」の範囲内であり得ることは、段落[0050]及び[0151]〜[0185]を含む願書に添付した明細書に当初から記載されていたに等しい事項であって、新たな技術的事項を導入するものではない。
よって、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の全ての請求項1〜35について特許異議の申立てがされているので、訂正事項5に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(6)訂正事項6
ア 訂正の目的について
訂正事項6は、薬液中の過ヨウ素酸類の含有量を、訂正前の請求項8の「薬液の全質量に対して0.0001〜50質量%」から「薬液の全質量に対して1〜45質量%」へと限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
よって、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アから明らかなように、訂正前の請求項8の発明特定事項を概念的により下位の内容とする訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
薬液中の過ヨウ素酸類の含有量が「薬液の全質量に対して1〜45質量」の範囲内であり得ることは、願書に添付した明細書段落[0017]における「過ヨウ素酸類の含有量(合計含有量)は、薬液全質量に対して、0.0001〜50質量%が好ましく、1〜45質量%がより好ましく、1〜45%がより好ましく、」との記載から明らかである。
よって、訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の全ての請求項1〜35について特許異議の申立てがされているので、訂正事項6に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(7)訂正事項7
ア 訂正の目的について
訂正事項7のうち、過ヨウ素酸類の含有量を「薬液の全質量に対して1〜50質量%」に限定する訂正は、訂正前の請求項9に係る発明では特定されていない「過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類」の含有量を限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
訂正事項7のうち、薬液を「pHが3.0〜10.0である」薬液に限定する訂正は、訂正前の請求項9に係る発明では特定されていない薬液のpHを限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
よって、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アから明らかなように、訂正前の請求項9の発明特定事項を概念的により下位の内容とする訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
薬液中の過ヨウ素酸類の含有量が「薬液の全質量に対して1〜50質量」の範囲内であり得ることは、願書に添付した明細書段落[0017]における「過ヨウ素酸類の含有量(合計含有量)は、薬液全質量に対して、0.0001〜50質量%が好ましく、1〜45%がより好ましく、」との記載から明らかである。
薬液のpHが「3.0〜10.0」の範囲内であり得ることは、同段落[0050]における「中でも、薬液のpHは3.0〜10.0が好ましい。」との記載から明らかである。
よって、訂正事項7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の全ての請求項1〜35について特許異議の申立てがされているので、訂正事項7に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(8)訂正事項8
ア 訂正の目的について
訂正事項8のうち、過ヨウ素酸類の含有量を「薬液の全質量に対して1〜50質量%」に限定する訂正は、訂正前の請求項11に係る発明では特定されていない「過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類」の含有量を限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
訂正事項8のうち、薬液を「pHが3.0〜10.0である」薬液に限定する訂正は、訂正前の請求項11に係る発明では特定されていない薬液のpHを限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
よって、訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アから明らかなように、訂正前の請求項11の発明特定事項を概念的により下位の内容とする訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項8は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
薬液中の過ヨウ素酸類の含有量が「薬液の全質量に対して1〜50質量」の範囲内であり得ることは、願書に添付した明細書段落[0017]における「過ヨウ素酸類の含有量(合計含有量)は、薬液全質量に対して、0.0001〜50質量%が好ましく、1〜45%がより好ましく、」との記載から明らかである。
薬液のpHが「3.0〜10.0」の範囲内であり得ることは、同段落[0050]における「中でも、薬液のpHは3.0〜10.0が好ましい。」との記載から明らかである。
よって、訂正事項8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の全ての請求項1〜35について特許異議の申立てがされているので、訂正事項8に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(9)訂正事項9
ア 訂正の目的について
訂正事項9のうち、訂正前の請求項13が請求項1〜8の記載を引用する記載であるところ、請求項2〜8を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改める訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正であるとともに、同第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
訂正事項9のうち、過ヨウ素酸類の含有量を「薬液の全質量に対して1〜50質量%」に限定する訂正は、訂正前の請求項13に係る発明では特定されていない「過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類」の含有量を限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
訂正事項9のうち、薬液を「pHが3.0〜10.0である」薬液に限定する訂正は、訂正前の請求項13に係る発明では特定されていない薬液のpHを限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アから明らかなように、引用する請求項の数を減少させ、独立形式請求項へ改める訂正は、実質的な内容の変更を伴うものではない。また、訂正前の請求項13の発明特定事項を概念的により下位の内容とする訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項9は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
引用する請求項の数を減少させ、独立形式請求項へ改める訂正は、実質的な内容の変更を伴うものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
薬液中の過ヨウ素酸類の含有量が「薬液の全質量に対して1〜50質量」の範囲内であり得ることは、願書に添付した明細書段落[0017]における「過ヨウ素酸類の含有量(合計含有量)は、薬液全質量に対して、0.0001〜50質量%が好ましく、1〜45%がより好ましく、」との記載から明らかである。
薬液のpHが「3.0〜10.0」の範囲内であり得ることは、同段落[0050]における「中でも、薬液のpHは3.0〜10.0が好ましい。」との記載から明らかである。
よって、訂正事項9は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の全ての請求項1〜35について特許異議の申立てがされているので、訂正事項9に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(10)訂正事項10
ア 訂正の目的について
訂正事項10のうち、過ヨウ素酸類の含有量を「薬液の全質量に対して1〜50質量%」に限定する訂正は、訂正前の請求項16に係る発明では特定されていない「過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類」の含有量を限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
訂正事項10のうち、薬液を「pHが3.0〜10.0である」薬液に限定する訂正は、訂正前の請求項16に係る発明では特定されていない薬液のpHを限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
よって、訂正事項10は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アから明らかなように、訂正前の請求項16の発明特定事項を概念的により下位の内容とする訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項10は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
薬液中の過ヨウ素酸類の含有量が「薬液の全質量に対して1〜50質量」の範囲内であり得ることは、願書に添付した明細書段落[0017]における「過ヨウ素酸類の含有量(合計含有量)は、薬液全質量に対して、0.0001〜50質量%が好ましく、1〜45%がより好ましく、」との記載から明らかである。
薬液のpHが「3.0〜10.0」の範囲内であり得ることは、同段落[0050]における「中でも、薬液のpHは3.0〜10.0が好ましい。」との記載から明らかである。
よって、訂正事項10は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の全ての請求項1〜35について特許異議の申立てがされているので、訂正事項10に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(11)訂正事項11
ア 訂正の目的について
訂正事項11のうち、過ヨウ素酸類の含有量を「薬液の全質量に対して1〜50質量%」に限定する訂正は、訂正前の請求項19に係る発明では特定されていない「過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類」の含有量を限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
訂正事項11のうち、薬液を「pHが3.0〜10.0である」薬液に限定する訂正は、訂正前の請求項19に係る発明では特定されていない薬液のpHを限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
よって、訂正事項11は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アから明らかなように、訂正前の請求項19の発明特定事項を概念的により下位の内容とする訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項11は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
薬液中の過ヨウ素酸類の含有量が「薬液の全質量に対して1〜50質量」の範囲内であり得ることは、願書に添付した明細書段落[0017]における「過ヨウ素酸類の含有量(合計含有量)は、薬液全質量に対して、0.0001〜50質量%が好ましく、1〜45%がより好ましく、」との記載から明らかである。
薬液のpHが「3.0〜10.0」の範囲内であり得ることは、同段落[0050]における「中でも、薬液のpHは3.0〜10.0が好ましい。」との記載から明らかである。
よって、訂正事項11は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の全ての請求項1〜35について特許異議の申立てがされているので、訂正事項11に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(12)訂正事項12
ア 訂正の目的について
訂正事項12のうち、過ヨウ素酸類の含有量を「薬液の全質量に対して1〜50質量%」に限定する訂正は、訂正前の請求項20に係る発明では特定されていない「過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類」の含有量を限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
訂正事項12のうち、薬液を「pHが3.0〜10.0である」薬液に限定する訂正は、訂正前の請求項20に係る発明では特定されていない薬液のpHを限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
よって、訂正事項12は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アから明らかなように、訂正前の請求項20の発明特定事項を概念的により下位の内容とする訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項12は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
薬液中の過ヨウ素酸類の含有量が「薬液の全質量に対して1〜50質量」の範囲内であり得ることは、願書に添付した明細書段落[0017]における「過ヨウ素酸類の含有量(合計含有量)は、薬液全質量に対して、0.0001〜50質量%が好ましく、1〜45%がより好ましく、」との記載から明らかである。
薬液のpHが「3.0〜10.0」の範囲内であり得ることは、同段落[0050]における「中でも、薬液のpHは3.0〜10.0が好ましい。」との記載から明らかである。
よって、訂正事項12は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の全ての請求項1〜35について特許異議の申立てがされているので、訂正事項12に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(13)訂正事項13
ア 訂正の目的について
訂正事項13のうち、過ヨウ素酸類の含有量を「薬液の全質量に対して1〜50質量%」に限定する訂正は、訂正前の請求項21に係る発明では特定されていない「過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類」の含有量を限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
訂正事項13のうち、薬液を「pHが3.0〜10.0である」薬液に限定する訂正は、訂正前の請求項21に係る発明では特定されていない薬液のpHを限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
よって、訂正事項13は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アから明らかなように、訂正前の請求項21の発明特定事項を概念的により下位の内容とする訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項13は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
薬液中の過ヨウ素酸類の含有量が「薬液の全質量に対して1〜50質量」の範囲内であり得ることは、願書に添付した明細書段落[0017]における「過ヨウ素酸類の含有量(合計含有量)は、薬液全質量に対して、0.0001〜50質量%が好ましく、1〜45%がより好ましく、」との記載から明らかである。
薬液のpHが「3.0〜10.0」の範囲内であり得ることは、同段落[0050]における「中でも、薬液のpHは3.0〜10.0が好ましい。」との記載から明らかである。
よって、訂正事項13は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の全ての請求項1〜35について特許異議の申立てがされているので、訂正事項13に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(14)訂正事項14
ア 訂正の目的について
訂正事項14のうち、過ヨウ素酸類の含有量を「薬液の全質量に対して1〜50質量%」に限定する訂正は、訂正前の請求項26に係る発明では特定されていない「過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類」の含有量を限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
訂正事項14のうち、薬液を「pHが3.0〜10.0である」薬液に限定する訂正は、訂正前の請求項26に係る発明では特定されていない薬液のpHを限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
よって、訂正事項14は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アから明らかなように、訂正前の請求項26の発明特定事項を概念的により下位の内容とする訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項14は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
薬液中の過ヨウ素酸類の含有量が「薬液の全質量に対して1〜50質量」の範囲内であり得ることは、願書に添付した明細書段落[0017]における「過ヨウ素酸類の含有量(合計含有量)は、薬液全質量に対して、0.0001〜50質量%が好ましく、1〜45%がより好ましく、」との記載から明らかである。
薬液のpHが「3.0〜10.0」の範囲内であり得ることは、同段落[0050]における「中でも、薬液のpHは3.0〜10.0が好ましい。」との記載から明らかである。
よって、訂正事項14は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の全ての請求項1〜35について特許異議の申立てがされているので、訂正事項14に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(15)訂正事項15
ア 訂正の目的について
訂正事項15のうち、過ヨウ素酸類の含有量を「薬液の全質量に対して1〜50質量%」に限定する訂正は、訂正前の請求項29に係る発明では特定されていない「過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類」の含有量を限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
訂正事項15のうち、薬液を「pHが3.0〜10.0である」薬液に限定する訂正は、訂正前の請求項29に係る発明では特定されていない薬液のpHを限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
よって、訂正事項15は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アから明らかなように、訂正前の請求項29の発明特定事項を概念的により下位の内容とする訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項15は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
薬液中の過ヨウ素酸類の含有量が「薬液の全質量に対して1〜50質量」の範囲内であり得ることは、願書に添付した明細書段落[0017]における「過ヨウ素酸類の含有量(合計含有量)は、薬液全質量に対して、0.0001〜50質量%が好ましく、1〜45%がより好ましく、」との記載から明らかである。
薬液のpHが「3.0〜10.0」の範囲内であり得ることは、同段落[0050]における「中でも、薬液のpHは3.0〜10.0が好ましい。」との記載から明らかである。
よって、訂正事項15は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の全ての請求項1〜35について特許異議の申立てがされているので、訂正事項15に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(16)訂正事項16
ア 訂正の目的について
訂正事項16のうち、過ヨウ素酸類の含有量を「薬液の全質量に対して1〜50質量%」に限定する訂正は、訂正前の請求項33に係る発明では特定されていない「過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類」の含有量を限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
訂正事項16のうち、薬液を「pHが3.0〜10.0である」薬液に限定する訂正は、訂正前の請求項33に係る発明では特定されていない薬液のpHを限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
よって、訂正事項16は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アから明らかなように、訂正前の請求項33の発明特定事項を概念的により下位の内容とする訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項16は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
薬液中の過ヨウ素酸類の含有量が「薬液の全質量に対して1〜50質量」の範囲内であり得ることは、願書に添付した明細書段落[0017]における「過ヨウ素酸類の含有量(合計含有量)は、薬液全質量に対して、0.0001〜50質量%が好ましく、1〜45%がより好ましく、」との記載から明らかである。
薬液のpHが「3.0〜10.0」の範囲内であり得ることは、同段落[0050]における「中でも、薬液のpHは3.0〜10.0が好ましい。」との記載から明らかである。
よって、訂正事項16は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の全ての請求項1〜35について特許異議の申立てがされているので、訂正事項16に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

3 小括
上記のとおり、訂正事項1〜訂正事項16に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、令和5年4月6日に提出された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲(以下、単に「訂正特許請求の範囲」という。)のとおり、訂正後の請求項1〜35について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1〜35に係る発明(以下、順にそれぞれ「本件発明1」〜「本件発明35」という。また、訂正後の請求項1〜35に係る発明をまとめて「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1〜35に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
pHが3.0〜10.0である、薬液。
【請求項2】
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppb〜100質量ppbであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppb以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppb以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
pHが3.0〜10.0である、薬液。
【請求項3】
更に、pH調製剤を含む、請求項1又は2に記載の薬液。
【請求項4】
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
pHが4.0〜9.0である、薬液。
【請求項5】
pHが4.0〜9.0である、請求項2又は3に記載の薬液。
【請求項6】
pHが7.5〜10.0である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬液。
【請求項7】
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
pHが1.0〜10.0である、薬液。
【請求項8】
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜45質量%である、請求項2〜6のいずれか1項に記載の薬液。
【請求項9】
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
更に、Al、Ag、B、Ba、Ca、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、K、Li、Mg、Mn、Na、Ni、Pb、Ru、Sn、及び、Znからなる群から選択される1種以上の第2金属成分を含み、
前記薬液が1種の第2金属成分を含む場合、前記1種の第2金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種以上の第2金属成分を含む場合、前記2種以上の第2金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種以上の第2金属成分の内の少なくとも1種の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
pHが3.0〜10.0である、薬液。
【請求項10】
更に、Al、Ag、B、Ba、Ca、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、K、Li、Mg、Mn、Na、Ni、Pb、Ru、Sn、及び、Znからなる群から選択される1種以上の第2金属成分を含み、
前記薬液が1種の第2金属成分を含む場合、前記1種の第2金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種以上の第2金属成分を含む場合、前記2種以上の第2金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種以上の第2金属成分の内の少なくとも1種の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上である、請求項2〜8のいずれか1項に記載の薬液。
【請求項11】
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
更に、アンモニウムイオンを含み、
前記アンモニウムイオンの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
pHが3.0〜10.0である、薬液。
【請求項12】
更に、アンモニウムイオンを含み、
前記アンモニウムイオンの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmである、請求項2〜10のいずれか1項に記載の薬液。
【請求項13】
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
更に、I−、I3−、IO3−、Br−、Cl−、NO3−、硫酸イオン、亜硫酸イオン、リン酸イオン、及び、亜リン酸イオンからなる群から選択される1種以上のアニオン種を含み、
前記薬液が前記1種以上のアニオン種のうち1種のアニオン種を含む場合、前記1種のアニオン種の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が前記1種以上のアニオン種のうち2種以上のアニオン種を含む場合、前記2種以上のアニオン種のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種以上のアニオン種の内の少なくとも1種の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
pHが3.0〜10.0である、薬液。
【請求項14】
更に、I−、I3−、IO3−、Br−、Cl−、NO3−、硫酸イオン、亜硫酸イオン、リン酸イオン、及び、亜リン酸イオンからなる群から選択される1種以上のアニオン種を含み、
前記薬液が前記1種以上のアニオン種のうち1種のアニオン種を含む場合、前記1種のアニオン種の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が前記1種以上のアニオン種のうち2種以上のアニオン種を含む場合、前記2種以上のアニオン種のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種以上のアニオン種の内の少なくとも1種の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上である、請求項2〜12のいずれか1項に記載の薬液。
【請求項15】
前記アニオン種が、IO3−である、請求項13又は14に記載の薬液。
【請求項16】
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、水と、を含む被精製物にイオン交換法を施して、前記1種以上の過ヨウ素酸類と、前記1種以上の第1金属成分と、水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液を得る工程Aを有する、薬液の製造方法であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
前記薬液のpHが3.0〜10.0である、薬液の製造方法。
【請求項17】
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、水と、を含む被精製物にイオン交換法を施して、請求項2〜15のいずれか1項に記載の薬液を得る工程Aを有する、薬液の製造方法。
【請求項18】
前記イオン交換法が、
カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とを含む混合樹脂が充填された第1充填部に前記被精製物を通液する方法A1、
カチオン交換樹脂が充填された第2充填部、アニオン交換樹脂が充填された第3充填部、及び、キレート樹脂が充填された第4充填部のうちの少なくとも1種の充填部に前記被精製物を通液する方法A2、及び、
膜状イオン交換体に前記被精製物を通液する方法A3、からなる群から選択される1種以上を含む、請求項16又は17に記載の薬液の製造方法。
【請求項19】
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、水と、を含む被精製物にイオン交換法を施して、前記1種以上の過ヨウ素酸類と、前記1種以上の第1金属成分と、水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液を得る工程Aを有する、薬液の製造方法であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
前記薬液のpHが3.0〜10.0であり、
前記イオン交換法が、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とを含む混合樹脂が充填された第1充填部に前記被精製物を通液する方法A1を含む、薬液の製造方法。
【請求項20】
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、水と、を含む被精製物にイオン交換法を施して、前記1種以上の過ヨウ素酸類と、前記1種以上の第1金属成分と、水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液を得る工程Aを有する、薬液の製造方法であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
前記薬液のpHが3.0〜10.0であり、
前記イオン交換法が、カチオン交換樹脂が充填された第2充填部、アニオン交換樹脂が充填された第3充填部、及び、キレート樹脂が充填された第4充填部のうちの少なくとも1種の充填部に前記被精製物を通液する方法A2を含む、薬液の製造方法。
【請求項21】
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、水と、を含む被精製物にイオン交換法を施して、前記1種以上の過ヨウ素酸類と、前記1種以上の第1金属成分と、水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液を得る工程Aを有する、薬液の製造方法であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
前記薬液のpHが3.0〜10.0であり、
前記イオン交換法が、膜状イオン交換体に前記被精製物を通液する方法A3を含む、薬液の製造方法。
【請求項22】
前記方法A1が、2つ以上の前記第1充填部に前記被精製物を通液する方法である、請求項18又は19に記載の薬液の製造方法。
【請求項23】
前記方法A2が、2つ以上の前記第2充填部と、2つ以上の前記第3充填部とに、前記被精製物を通液する方法、又は、
1つ以上の前記第2充填部と、1つ以上の前記第4充填部とに、前記被精製物を通液する方法である、請求項18又は20に記載の薬液の製造方法。
【請求項24】
前記方法A3が、2つ以上の膜状イオン交換体に前記被精製物を通液する方法である、請求項18又は21に記載の薬液の製造方法。
【請求項25】
前記イオン交換法が、前記方法A1、前記方法A2、及び、前記方法A3からなる群から選択される、2種以上の方法を含む、請求項18に記載の薬液の製造方法。
【請求項26】
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、水と、を含む被精製物にイオン交換法を施して、前記1種以上の過ヨウ素酸類と、前記1種以上の第1金属成分と、水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液を得る工程Aと、
前記工程Aの後、フィルタを用いて前記工程Aに供された前記被精製物をろ過する工程Bと、を有する、薬液の製造方法であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
前記薬液のpHが3.0〜10.0である、薬液の製造方法。
【請求項27】
前記工程Aの後に、フィルタを用いて前記工程Aに供された前記被精製物をろ過する工程Bを有する、請求項17〜25のいずれか1項に記載の薬液の製造方法。
【請求項28】
前記工程Aの前に、前記被精製物とpH調整剤とを混合する工程Cを有する、請求項16〜27のいずれか1項に記載の薬液の製造方法。
【請求項29】
薬液を用いて、基板上の遷移金属含有物を除去する工程Dを有する、基板の処理方法であって、
前記薬液が、
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含み、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
前記薬液のpHが3.0〜10.0である、
基板の処理方法。
【請求項30】
請求項2〜15のいずれか1項に記載の薬液を用いて、基板上の遷移金属含有物を除去する工程Dを有する、基板の処理方法。
【請求項31】
前記工程Dで、基板上の2種以上の遷移金属含有物を同時に除去する、請求項29又は30に記載の基板の処理方法。
【請求項32】
前記2種以上の遷移金属含有物が、少なくともRu含有物とCu含有物とを含む、請求項31に記載の基板の処理方法。
【請求項33】
薬液を用いて、基板上の遷移金属含有物を除去する工程Dと、
前記工程Dの後、リンス液を用いて、前記工程Dで得られた前記基板に対してリンス処理を行うリンス工程と、を有する、基板の処理方法であって、
前記薬液が、
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含み、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
前記薬液のpHが3.0〜10.0である、
基板の処理方法。
【請求項34】
前記工程Dの後、更に、リンス液を用いて、前記工程Dで得られた前記基板に対してリンス処理を行う、請求項30〜32のいずれか1項に記載の基板の処理方法。
【請求項35】
前記リンス液が酸性リンス液である、請求項33又は34に記載の基板の処理方法。」

第4 取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由について
1 取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由の概要
当審が令和5年2月1日付けで特許権者に通知した取消理由(以下、「取消理由(予告)」という。)の要旨は、次のとおりである。

令和4年10月3日付け訂正請求により訂正された請求項1〜7、9〜35に係る発明(請求項8の記載を直接又は間接的に引用する本件訂正前の発明を除く。)に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、特許法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。

2 当審の判断
●取消理由(予告)(特許法第36条第6項第1号)について
(1)令和4年10月3日付け訂正請求により訂正された請求項1に係る発明(以下、「本件訂正発明1」という。)は、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して0.0001〜50質量%であり、
pHが3.0〜10.0である、薬液。」

(2)取消理由(予告)における具体的な判断は、以下のとおりのものである。
「ア 本件訂正発明1について
(ア)本件訂正発明1の課題について
本件特許明細書には、以下のように記載されている。
「【0005】
そこで、本発明は、遷移金属含有物に対する優れたエッチング性能を有し、優れた欠陥抑制性能を有する薬液を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記薬液の製造方法、及び、基板の処理方法を提供することも課題とする。」
したがって、本件訂正発明1の課題は、「遷移金属含有物に対する優れたエッチング性能を有し、優れた欠陥抑制性能を有する薬液を提供すること」にあると理解される。
(イ)本件訂正発明1及び発明の詳細な説明について
a 本件訂正発明1は、「薬液」に関する発明であり、請求項1には、「薬液」が含む「過ヨウ素酸類」の「含有量」について、「前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して0.0001〜50質量%であり」と特定されている。

b 一方、本件訂正発明1における「エッチング性能」に関連して、本件の特許明細書の発明の詳細な説明には、段落[0139]〜[0144]に記載の表1、及び段落[0145]〜[0149]に記載の表2において、過ヨウ素酸類の含有量は、実施例X1〜X114が37質量%、実施例X115〜X124が5質量%であり、段落[0183]〜[0184]に記載の表3において、過ヨウ素酸類の含有量は、実施例Y1〜Y12、Y28〜Y30が37質量%、Y13〜Y27が5質量%であり、段落[0202]に記載の表4において、過ヨウ素酸類の含有量は、実施例Z1〜Z29で1.0〜6.0質量%の範囲である。
これらの本件特許明細書に記載の実施例X、Y、Zにおいて示されている過ヨウ素酸類の最小値は、実施例Z5、Z16、Z17、Z18の1.0質量%である。
ここで、令和4年7月27日付け取消理由通知書で指摘したとおり、薬液のpHや過ヨウ素酸類の含有量が変わればエッチング速度などのエッチング性能が大きく変わることは、技術常識である。
してみると、本件特許明細書に記載された実施例における過ヨウ素酸類の最小値である1.0質量%に対して1/10000である「0.0001質量%」の場合にまで、遷移金属含有物に対する優れたエッチング性能を有する薬液を提供することはできないから、過ヨウ素酸類の含有量が0.0001質量%の場合は、上記(ア)の本件訂正発明1の課題を解決することはできない。
すなわち、請求項1において、「過ヨウ素酸類」の含有量の下限値が1.0質量%に特定されていないので、本件訂正発明1は、発明の詳細な説明において、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えている。
したがって、請求項1において、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されていないため、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求することとなっている。」

(3)この点について、本件訂正の訂正事項1により、請求項1の薬液が含む「過ヨウ素酸類」の含有量は、「薬液全質量に対して1〜50質量%」に限定された。これにより、本件発明1は、発明の課題を解決することができる。
よって、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載されたものであり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たす。

(4)本件発明2〜7、9〜35(請求項8の記載を直接又は間接的に引用する本件訂正前の発明を除く。)について、そのうち、独立形式で記載された請求項に係る発明は、本件発明2、4、7、9、11、13、16、19〜21、26、29、33であるところ、これらの発明は、それぞれ、本件訂正の訂正事項2、3、5、7〜16により、請求項2〜7、9〜35の薬液が含む「過ヨウ素酸類」の含有量は、「薬液全質量に対して1〜50質量%」に限定された。
したがって、本件発明2、4、7、9、11、13、16、19〜21、26、29、33(請求項8の記載を直接又は間接的に引用する本件訂正前の発明を除く。)は、本件発明1と同様な理由で、発明の詳細な説明に記載されたものであり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たす。

(5)また、本件発明2〜7、9〜35(請求項8の記載を直接又は間接的に引用する本件訂正前の発明を除く。)のうち、引用形式で記載された本件発明3、5、6、8、10、12、14、15、17、18、22〜25、27、28、30〜32、34、35は、いずれも、本件発明のうち独立形式で記載された発明と同じ構成を含むから、本件発明1と同様な理由で、発明の詳細な説明に記載されたものであり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たす。

第5 取消理由通知書(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許法第29条第2項進歩性)について
(1)申立人河井は、特許異議申立書において、登録時の特許請求の範囲の請求項1〜35に係る発明(以下、「本件特許発明1〜35」という。)に関し、本件特許発明1〜10、29は、甲第1号証に記載された発明並びに周知技術(甲第2号証の1ないし甲第2号証の7)に基づいて、本件特許発明11、12は、甲第1号証に記載された発明並びに周知技術(甲第2号証の1ないし甲第2号証の7)及び甲第3号証に記載された技術的事項に基づいて、本件特許発明13〜15は、甲第1号証に記載された発明並びに周知技術(甲第2号証の1ないし甲第2号証の7)及び甲第4号証に記載された技術的事項に基づいて、本件特許発明16〜25は、甲第1号証に記載された発明並びに周知技術(甲第2号証の1ないし甲第2号証の7、甲第3号証ないし甲第8号証)に基づいて、本件特許発明26〜28は、甲第1号証に記載された発明並びに周知技術(甲第2号証の1ないし甲第2号証の7、甲第3号証ないし甲第9号証)に基づいて、本件特許発明30は、甲第1号証に記載された発明並びに周知技術(甲第2号証の1ないし甲第2号証の7)、甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項に基づいて、本件特許発明31、32は、甲第1号証に記載された発明並びに周知技術(甲第2号証の1ないし甲第2号証の7)、甲第3号証、甲第4号証及び甲第10号証に記載された技術的事項に基づいて、本件特許発明33は、甲第1号証に記載された発明並びに周知技術(甲第2号証の1ないし甲第2号証の7)、甲第10号証及び甲第11号証に記載された技術的事項に基づいて、本件特許発明34、35は、甲第1号証に記載された発明並びに周知技術(甲第2号証の1ないし甲第2号証の7)、甲第3号証、甲第4号証、甲第10号証及び甲第11号証に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない旨を主張する。

<甲号証一覧>
1. 甲第1号証 :特開2001−240985号公報
2. 甲第2号証の1:行嶋史郎、他1名、”ウェーハ表面の金属およびイオン性不純物の超微量定量”、p.11〜14、[online]、SCAS NEWS、株式会社住友化学分析センター、2004年2月20日、Vol.19、2004−I号、[令和4年3月31日検索]、インターネット
<URL:https://www.scas.co.jp/development/scas-news/sn-back-issues/sn-2004-1.html>
3. 甲第2号証の2:赤羽勤子、”無機超微量分析用試薬”、p.372〜377、[online]、ぶんせき、公益社団法人日本分析化学会、2004年7月、7号、[令和4年4月7日検索]、インターネット
<URL:https://www.jsac.or.jp/bunseki/bunseki.php?year=2004&month=07>
4.:甲第2号証の3:今岡孝之 他、”液体・固体界面の金属不純物偏析”、第11回超LSIウルトラクリーンテクノロジーワークショップ予稿集、UCS半導体基盤技術研究会、1991年6月6日、p.41〜47、78、79
5. 甲第2号証の4:国際公開第03/075332号
6. 甲第2号証の5:特表2002−517753号公報
7. 甲第2号証の6:特開2002−16053号公報
8. 甲第2号証の7:特開平8−148456号公報
9. 甲第3号証 :特開2016−92101号公報
10.甲第4号証 :特開平11−293478号公報
11.甲第5号証 :特開平5−39586号公報
12.甲第6号証 :特開2015−195376号公報
13.甲第7号証 :特開2008−160134号公報
14.甲第8号証 :特開2004−330056号公報
15.甲第9号証 :国際公開第2018/021038号
16.甲第10号証 :特表2007−508692号公報
17.甲第11号証 :特開2012−44118号公報

(2)甲号証の記載と甲1物発明等
ア 甲第1号証の記載と甲1物発明等
(ア)甲第1号証の記載
甲第1号証には、以下の事項が記載されている(下線は合議体が付加した。以下同じ。)。

「【請求項13】固体表面に供給され、該固体表面のエッチング処理を行なわせる処理液であって、少なくとも前記固体表面に酸素原子を供与する酸化剤を含んでなり、該酸化剤の酸化還元電位が前記固体表面の酸化還元電位よりも高いことを特徴とする処理液。
・・・
【請求項15】前記処理液が、過ヨウ素酸を含んでなることを特徴とする請求項13記載の処理液。
・・・
【請求項17】前記過ヨウ素酸を含む処理液のpHが4以上8以下であることを特徴とする請求項15記載の処理液。
【請求項18】前記過ヨウ素酸を含む処理液であって、前記過ヨウ素酸の濃度範囲が0.01mol/L以上であることを特徴とする請求項15記載の処理液。
・・・
【請求項20】前記過ヨウ素酸を含む処理液であって、該処理液に含まれるアルカリ金属イオンの濃度が50ppm以下であり、かつアルカリ土類金属イオンの濃度が5ppm以下であることを特徴とする請求項15記載の処理液。」

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体表面のエッチング処理及びその処理液に係わり、更にはこれらを用いた電子デバイスの製造方法に関する。」

「【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、酸化剤の満たすべき条件は、処理すべき固体の酸化還元電位に比較して、使用する酸化剤の酸化還元電位が高いことである。即ち、従来例である銅のエッチングの場合を例に取れば、化学便覧改訂4版基礎編II(以下文献1と呼ぶ)に記載されているように、Cu2+/Cuの酸化還元電位が0.340V(標準水素電極基準:以下電位はすべて標準水素電極基準)であるので、ヘキサシアノ鉄(III)イオン(酸化還元電位:0.361V)やペルオキソ二硫酸イオン(酸化還元電位:1.96V)によって銅の酸化が促進されるが、ヘキサシアノクロム(III)イオン(酸化還元電位:-1.14V)では銅の酸化反応は起きないことになる。
【0007】従って、最近の半導体デバイスの高集積化や高速化等の進展に伴って使用される金属、例えばルテニウムなどの貴金属のエッチング処理についても上記の電気化学的反応を考慮しなければならない。
【0008】しかしながら、従来一般的に使用されてきた過酸化水素水は、ルテニウム等の貴金属の溶解に対して用いることは不可能である。即ち、過酸化水素はルテニウムの酸化還元電位より十分に高い酸化還元電位(H2O2/H2OのpH=0での酸化還元電位:1.763V;文献1による)を有するにもかかわらず、過酸化水素水を用いた処理液ではルテニウムに対して十分なエッチング速度を得ることができない。
【0009】更にまた、従来、銅や鉄等のエッチングに良く用いられてきた、ペルオキソ二硫酸塩や硝酸を含む薬液を用いても、ルテニウム等の貴金属に対して十分なエッチング速度を確保することが困難である。
【0010】かかる背景に鑑み、半導体デバイスの製造プロセスにおいては、上記した貴金属に対して十分なエッチング速度を有する処理液の開発が広く望まれており、この実現によって、優れた性能を発揮する半導体デバイスの出現が通信、情報、画像表示等の産業分野の発展に大きく貢献する。」

「【0011】
【課題を解決するための手段】例えば、白金属の貴金属元素であるルテニウムは極めて酸化されにくいとされ、その酸化処理には酸化力の強い、即ち酸化還元電位の高い酸化剤を用いる必要がある。
・・・
【0022】溶解すべき金属はルテニウムに限定されるものではなく、例えばオスミウムなどの貴金属においても全く同様に考えることが出来る。そして、これらの貴金属の溶解に適した酸化剤は酸素原子供与性の酸化剤を含むものであって、これらに該当するものとして、次亜塩素酸イオン、亜塩素酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、次亜臭素酸イオン、亜臭素酸イオン、臭素酸イオン、過臭素酸イオン、次亜ヨウ素酸イオン、亜ヨウ素酸イオン、ヨウ素酸イオン、過マンガン酸イオン、クロム酸イオン、二クロム酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン等のイオンおよび過ヨウ素酸の何れかを含有するものであれば良い。
【0023】ところで、過ヨウ素酸を含む処理液とは、少なくとも+7価のヨウ素からなるイオン(I(OH)6+、IO4-、H4IO6-、H3IO62-など)またはオルト過ヨウ素酸(H5IO6)のうち何れかを含む処理液を指す。そして、上記した過ヨウ素酸の濃度とは、処理液に含まれる+7価のヨウ素からなるイオン及びオルト過ヨウ素酸の濃度の総和を指す。
【0024】上記の酸化剤の中で、ひとつの例として過ヨウ素酸を含む処理液をある条件下で用いると更に効率良くルテニウムまたはオスミウムを溶解させることが可能である。即ち、過ヨウ素酸を含む処理液のpHが2以上10以下、更に望ましくは4以上8以下で、かつ処理液に含まれる過ヨウ素酸の濃度が0.01mol/L以上であるとき、工業的規模で電子デバイス等の製造を行う上で十分なスループットを確保することが可能である。
【0025】そして一般には、オルト過ヨウ素酸としてアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンが十分に低濃度である、若しくはアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を含まないものを用いることができるので、これらを利用した処理液を半導体製造工程に適用することが可能である。」

「【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
【0027】本実施例が適用される対象物質は、特に限定されるものではないが、例えばルテニウムまたはオスミウムを含有する物質を挙げることができる。また、その対象物質の形状については、膜状、粒子状、その他複雑な構造を有するものであって、特に制限されない。
【0028】また、酸化剤の濃度や処理条件(加熱温度、攪拌方法等)についてはその詳細を以下の実施例の中で詳細に例示するが、その要旨を越えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
【0029】(第1の実施例)貴金属の代表例としてルテニウム金属を用い、種々のイオンを含む酸化剤に対するエッチング効果を検討し、その結果を表1に纏めた。
【0030】エッチングは良く知られた方法を用いて実施した。即ち、シリコンウエーハ(30×40mm)上にルテニウム薄膜(膜厚200nm)を通常のスパッタリング法を用いて形成し、そのルテニウム薄膜の一部にホトレジスト膜を良く知られた方法で塗布・ベークした後、このウエーハを室温にて酸化剤を含む溶液に約1分〜30分間浸漬させる。その後、十分に水洗洗浄してからホトレジスト膜を良く知られた方法で除去した後、ルテニウム薄膜の表面に形成されたエッチング段差を一般に使用される触針式段差計を用いて計測した。尚、膜厚計測は上記の方法に限らず、例えば蛍光X線を用いた方法であっても何ら差し支えない。
【0031】
【表1】


【0032】この結果からも明らかのように、過酸化水素水、ペルオキソ二硫酸イオン、硝酸、ヨウ素を含む酸化剤を用いた場合にはルテニウム薄膜の溶解は殆ど認められないが、次亜塩素酸、臭素酸、及び過ヨウ素酸を用いた場合にはルテニウム薄膜の著しいエッチングが認められた。これらの酸化剤はいずれも下記の反応において、酸素原子を放出する。
【0033】
ClO- → Cl- + (O) (数2)
BrO3- → Br- +3(O) (数3)
IO4- → IO3- +(O) (数4)
H4IO6- → IO3- + 2H2O+(O) (数5)
一方、ルテニウム金属の酸化に十分な酸化還元電位を有する酸化剤であってもルテニウム金属のエッチングが殆ど確認できないものがある。例えば、前記したペルオキソ二硫酸の反応は(数1)に示すように、また、ヨウ素は下記の反応式からもわかるように、酸素原子を放出しない。
【0034】
I2 + 2e- → 2I- (数6)
従って、ルテニウム金属と結合すべき酸素原子が上記した酸化剤から供給されないので、ルテニウム金属のエッチング反応が進行しない、または通常の方法では確認されないほどエッチング反応が遅いと結論される。」

「【0045】ルテニウムを含む半導体素子の製造において、そこで使用される処理液には、一般的に半導体素子の性能に重大な影響を及ぼすとされているアルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンを含まない、若しくはそれらの濃度が十分に低いことが要求されている。
【0046】そこで、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンの濃度が十分に低い過ヨウ素酸含有処理液の調製法の1例として、例えば、オルト過ヨウ素酸を用いることにした。
【0047】この理由は、通常よく使用されているオルト過ヨウ素酸であっても、容易にアルカリ金属イオンの濃度を50ppm以下に、アルカリ土類金属イオンの濃度を5ppm以下にすることが可能であって、これらを用いてルテニウム金属のエッチング処理に適した処理液を調製することが出来る。
【0048】そして、その処理液のpH調整には、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンが十分に低濃度の酸または塩基を添加して行う。
【0049】本実施例においては、例えば、酸として硝酸を添加し、そして、塩基として水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を添加した。尚、酸及び塩基は、それらに含まれるアルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンが十分に低濃度ならば、上記の薬液に制限されるものではない。
【0050】このようにして調合された過ヨウ素酸を含む処理液を用いて、そのpHとルテニウム金属の溶解速度との関係を、次の方法で検討した。
【0051】攪拌子、温度計を備えた200mLビーカに、所定のpHに調整した0.2mol/Lのオルト過ヨウ素酸処理液を148mL入れ、ビーカを恒温槽に入れて処理液温度を60℃一定とした。そして、処理液のpHは上記の硝酸及び水酸化テトラメチルアンモニウムの添加量を変えて、0から12まで調合した。また、各pHに対して過ヨウ素酸の濃度が一定(0.01mol/L)となるように調整した。
【0052】尚、この濃度について何ら規定されるものではないが、後述するように、過ヨウ素酸を含む処理液を用いてルテニウム等の金属をエッチング処理する場合、生産ラインのスループットを考慮すれば、例えば70nm/min以上の溶解速度を得ることが出来る0.01mol/L以上であることが望ましい。
【0053】エッチング検討用のルテニウム金属は1.5cm×2.0cmの板状シリコン(Si)上に通常の方法を用いて、100nmの厚さを有する平滑な膜として成膜されたものを使用した。このルテニウム板は固定治具を用いて調製済みの処理液の液面に対して垂直の方向にビーカ底面の中央部に固定され、溶解させるべきルテニウム板の表面が全て処理液に接しているようにした。また、ルテニウムの溶解反応が行われている間は、ビーカ底面中央部に配した攪拌子を常に180rpmで回転し、ルテニウム板の表面に対して常に一定量の処理液の反応分子が供給されるようにした。また、処理液のpHはルテニウムの溶解前後において、それぞれ室温(約23℃)にて測定した。
【0054】表2に、得られた結果をまとめて示す。
【0055】
表2 処理液のpHとルテニウムの溶解速度との関係
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
処理液のpH 溶解速度
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
0 〜 2未満 ×
2 〜 4未満 △
4 〜 8未満 ○
8 〜 10未満 △
10 〜 12未満 ××
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
上記の表2において、ルテニウムの溶解速度を次のように評価した。
【0056】即ち、ルテニウムを用いた半導体素子を生産する場合を想定し、その生産ラインのスループットを考慮すれば、溶解速度が大きいほど工業的に利用価値が高いと判断した。ここでは一例として溶解速度が70nm/min以上得られる場合を△の記号で、更に望ましい溶解速度の得られる場合を○の記号で評価した。
【0057】その結果、処理液のpHが大きくなるに従ってルテニウムの溶解速度が増加し、pHが2から10の範囲で工業的に利用可能な溶解速度を確保することが出来る。そして、最も望ましい範囲はpHが4から8であることが明らかになった。ところで、上記した表2に示されるルテニウムの溶解速度の挙動は、過ヨウ素酸を含む処理液中のpH変化に伴うイオン種の活量分布の変化として説明することが出来る。即ち、オルト過ヨウ素酸の解離定数はすでに求められているので、その値を用いて各pHにおける各イオン種の活量を求めることが出来る。
【0058】そして、IO4−が主成分となるpH2以上10以下の範囲でルテニウムの溶解が効率よく進行することから、IO4-またはそれと常に一定の比率で存在するH4IO6-がルテニウムの溶解を支配していることは明らかである。また、pHが2以下でのルテニウムの溶解を支配する因子は、過ヨウ素酸の解離定数からI(OH)6+と考えられる。
【0059】ルテニウムの溶解速度は処理液の過ヨウ素酸の濃度やpHの他に、処理液の温度や処理液の量、処理液の攪拌方法やその速度等の溶解条件によって変化する。」

(イ)甲1物発明、甲1製造方法発明、甲1処理方法発明
a 上記(ア)の記載事項から、甲第1号証には、次の技術的事項が記載されているといえる。

(a)甲第1号証には、ルテニウムまたはオスミウムなどの貴金属をエッチングするための酸化剤を含む処理液に関して記載されていること(【請求項13】、【0001】、【0022】、【0026】)。

(b)酸化剤は、過ヨウ素酸を含有し、過ヨウ素酸を含む処理液を、pHが4以上8以下で、かつ処理液に含まれる過ヨウ素酸の濃度が0.01mol/L以上である条件で用いること(【請求項15】、【請求項17】、【請求項18】、【0022】、【0024】、【0032】)。

(c)処理液は、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンを含み、処理液に含まれるアルカリ金属イオンの濃度が50ppm以下であり、かつアルカリ土類金属イオンの濃度が5ppm以下であること(【請求項20】、【0046】、【0047】)。

(d)シリコンウエーハ上に、ルテニウム薄膜を形成し、このウェーハを室温にて当該酸化剤を含む溶液に浸漬させて、ルテニウム薄膜をエッチングすること(【0030】)。

(e)過ヨウ素酸を含む処理液とは、オルト過ヨウ素酸(H5IO6)を含む処理液を指し、オルト過ヨウ素酸を用いて、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンの濃度が十分に低い過ヨウ素酸含有処理液を調製すること(【0023】、【0046】)。

b 上記aによれば、甲第1号証には、以下の発明(以下、「甲1物発明」という。)が記載されていると認められる。

「酸化剤と、
アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンと、を含む、シリコンウェーハ上のルテニウムまたはオスミウムなどの貴金属エッチング用の処理液であって、
酸化剤として、過ヨウ素酸を含有し、
処理液に含まれるアルカリ金属イオンの濃度が50ppm以下であり、かつアルカリ土類金属イオンの濃度が5ppm以下であり、
pHが4以上8以下で、かつ過ヨウ素酸の濃度が0.01mol/L以上である条件で用いられる、処理液。」

c 上記aによれば、甲第1号証には、以下の発明(以下、「甲1製造方法発明」という。)が記載されていると認められる。

「オルト過ヨウ素酸を用いて、酸化剤としてのオルト過ヨウ素酸と、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンと、を含む、シリコンウェーハ上のルテニウムまたはオスミウムなどの貴金属エッチング用の処理液を得る工程を有する、処理液の調製方法であって、
処理液に含まれるアルカリ金属イオンの濃度が50ppm以下であり、かつアルカリ土類金属イオンの濃度が5ppm以下であり、
pHが4以上8以下で、かつ過ヨウ素酸の濃度が0.01mol/L以上である条件で用いられる、処理液の調製方法。」

d 上記aによれば、甲第1号証には、以下の発明(以下、「甲1処理方法発明」という。)が記載されていると認められる。

「処理液を用いて、シリコンウエーハ上のルテニウムまたはオスミウムなどの貴金属をエッチングする工程を有する、シリコンウェーハのエッチング方法であって、
処理液が、酸化剤と、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンと、を含み、
酸化剤として、過ヨウ素酸類を含有し、
処理液に含まれるアルカリ金属イオンの濃度が50ppm以下であり、かつアルカリ土類金属イオンの濃度が5ppm以下であり、
pHが4以上8以下で、かつ過ヨウ素酸の濃度が0.01mol/L以上である条件で用いられる、シリコンウェーハのエッチング方法。」

(3)本件発明1と甲1物発明との対比・判断
ア 本件発明1と甲1物発明とを対比する。
甲1物発明の「処理液」、「シリコンウェーハ」、「ルテニウムまたはオスミウムなどの貴金属」、「エッチング」、「過ヨウ素酸」は、それぞれ本件発明1の「薬液」、「基板」、「遷移金属含有物」、「除去」、「過ヨウ素酸」から「選択される1種以上の過ヨウ素酸類」に相当するところ、両者は、少なくとも以下の点で相違する。

<相違点1>
「処理液」について、本件発明1は、「Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分」を含むのに対し、甲1物発明は、「アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオン」を含むものである点。

<相違点2>
「第1金属成分」の含有量について、本件発明1は、「前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上」であるのに対し、甲1物発明では、「処理液に含まれるアルカリ金属イオンの濃度が50ppm以下であり、かつアルカリ土類金属イオンの濃度が5ppm以下」であるものの、本件発明1の上記のような特定はなされていない点。

イ 上記相違点1について、検討する。
甲第1号証には、処理液が、「Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の金属成分」を含有することについて、記載も示唆もされていない。
また、酸化剤としての過ヨウ素酸を含有する、ルテニウムまたはオスミウムなどの貴金属エッチング用の処理液において、該過ヨウ素酸に加え、更に、「Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の金属成分」を含むものとすることは、技術常識でもない。
更に、甲第2号証の1〜甲第2号証の7のいずれにも、過ヨウ素酸類と、「Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の金属成分」と、を含む薬液は、記載されていない。
したがって、甲1物発明において、技術常識並びに周知技術(甲第2号証の1〜甲第2号証の7)に基づき、処理液を、「過ヨウ素酸」に加え、更に、「Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1の金属成分」を含むものとする動機付けは当業者にはないから、甲1物発明において、技術常識並びに周知技術(甲第2号証の1〜甲第2号証の7)に基づき、上記相違点1に係る本件発明1の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
次に、相違点2について、検討する。
相違点2は「第1の金属成分」の含有量の数値範囲の限定事項に係る相違点であるところ、「第1の金属成分」は、相違点1に係る「Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1の金属成分」であるから、相違点2は、相違点1に係る第1の金属成分を前提とするものである。
そうすると、上記のとおり、甲1物発明において、技術常識並びに周知技術(甲第2号証の1〜甲第2号証の7)に基づき、上記相違点1に係る本件発明1の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たとはいえないのであるから、甲1物発明において、技術常識並びに周知技術(甲第2号証の1〜甲第2号証の7)に基づき、上記相違点1に係る本件発明1の構成を採用し、更に、「第1の金属成分」の含有量を上記相違点2に係る本件発明1の構成とすることも、当業者が容易に想到し得たことではない。

ウ 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1物発明並びに技術常識及び周知技術(甲第2号証の1〜甲第2号証の7)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(4)本件発明2〜35と甲第1号証に記載された発明との対比・判断
本件発明2〜35のうち、独立形式で記載された請求項に係る発明は、本件発明2、4、7、9、11、13、16、19〜21、26、29、33であり、まず、独立形式で記載された請求項に係る発明について検討する。

ア 本件発明2、4、7、9、11、13と甲1物発明との対比・判断
(ア)本件発明2、4、7、9、11、13と甲1物発明とをそれぞれ対比すると、本件発明2、4、7、9、11、13は、いずれも「Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と」、「を含む」との特定事項を有するから、本件発明2、4、7、9、11、13それぞれと甲1物発明とは、いずれも少なくとも以下の点で相違する。

<相違点3>
本件発明2、4、7、9、11、13それぞれは、いずれも「Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分」を含むのに対し、甲1物発明は、「アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオン」を含むものである点。

(イ)上記相違点3について、検討する。
相違点3は、上記(3)アに記載の、本件発明1と甲1物発明との<相違点1>と同じである。
また、甲第2号証の1〜甲第2号証の7及び甲第3号証のいずれにも、過ヨウ素酸類と、「Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の金属成分」と、を含む薬液は、記載されていないから、上記(3)イで、相違点1について判断したのと同様な理由で、甲1物発明において、技術常識並びに周知技術(甲第2号証の1〜甲第2号証の7)及び甲第3号証に記載された技術的事項に基づき、「過ヨウ素酸」に加え、更に、「Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1の金属成分」を含むものとする動機付けは当業者にはないから、甲1物発明において、技術常識並びに周知技術(甲第2号証の1〜甲第2号証の7)及び甲第3号証に記載された技術的事項に基づき、上記相違点3に係る本件発明2、4、7、9、11、13それぞれの構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たとはいえない。

(ウ)したがって、本件発明2、4、7、9、11、13は、甲1物発明並びに技術常識、周知技術(甲第2号証の1〜甲第2号証の7)及び甲第3号証に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

イ 本件発明16、19〜21、26と甲1製造方法発明との対比・判断
(ア)本件発明16、19〜21、26と甲1製造方法発明とをそれぞれ対比すると、本件発明16、19〜21、26は、いずれも「過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、水と、を含む被精製物にイオン交換法を施して、前記1種以上の過ヨウ素酸類と、前記1種以上の第1金属成分と、水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液を得る工程Aを有する」との特定事項を有するから、本件発明16、19〜21、26それぞれと甲1製造方法発明とは、いずれも少なくとも以下の点で相違する。

<相違点4>
本件発明16、19〜21、26それぞれは、いずれも「過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、水と、を含む被精製物にイオン交換法を施して」、「薬液を得る工程Aを有する」のに対し、甲1製造方法発明は、「オルト過ヨウ素酸を用いて、酸化剤としてのオルト過ヨウ素酸と、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンと、を含む、シリコンウェーハ上のルテニウムまたはオスミウムなどの貴金属エッチング用の処理液を得る工程を有する」ものである点。

(イ)上記相違点4について、検討する。
甲第1号証には、処理液を得る工程で、「Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の金属成分」を含む被精製物を用いることについても、当該被精製物にイオン交換法を施すことについても、記載も示唆もされていない。
また、酸化剤としてのオルト過ヨウ素酸を含み、ルテニウムまたはオスミウムなどの貴金属エッチング用の処理液を得る工程において、該過ヨウ素酸に加え、更に、「Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の金属成分」を含む被精製物を用いること、当該被精製物にイオン交換を施すことは、技術常識でもない。
更に、甲第2号証の1〜甲第2号証の7及び甲第3号証〜甲第9号証のいずれにも、酸化剤としてのオルト過ヨウ素酸類と、「Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の金属成分」と、を含む精製物にイオン交換を施して、薬液を得る工程は、記載されていない。
したがって、甲1製造方法発明において、技術常識及び周知技術(甲第2号証の1〜甲第2号証の7、甲第3号証〜甲第9号証)に基づき、処理液を得る工程を、「酸化剤としてのオルト過ヨウ素酸」に加え、更に、「Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1の金属成分」を含む被精製物にイオン交換を施して、得る工程とする動機付けは当業者にはないから、甲1製造方法発明において、技術常識及び周知技術(甲第2号証の1〜甲第2号証の7、甲第3号証〜甲第9号証)に基づいて、上記相違点4に係る本件発明16、19〜21、26の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たとはいえない。

(ウ)したがって、本件発明16、19〜21、26は、甲1製造方法発明並びに技術常識及び周知技術(甲第2号証の1〜甲第2号証の7、甲第3号証〜甲第9号証)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

ウ 本件発明29、33と甲1処理方法発明との対比・判断
(ア)本件発明29、33と甲1処理方法発明とをそれぞれ対比すると、本件発明29、33では、いずれも、工程Dで用いる「前記薬液が」、「Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と」、「を含み」との特定事項を有するから、本件発明29、33それぞれと甲1処理方法発明とは、いずれも少なくとも以下の点で相違する。

<相違点5>
本件発明29、33それぞれは、いずれも、除去する工程Dで用いる「前記薬液」が、「Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分」を含むのに対し、甲1処理方法発明は、エッチングする工程(除去する工程)で用いる「処理液」(薬液)が、「アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオン」を含むものである点。

(イ)上記相違点5について、検討する。
甲第1号証には、エッチングする工程で用いる処理液が、「Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の金属成分」を含むことについて、記載も示唆もされていない。
また、酸化剤としての過ヨウ素酸を含有し、ルテニウムまたはオスミウムなどの貴金属をエッチングする工程で用いる処理液において、該過ヨウ素酸に加え、更に、「Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の金属成分」を含むものとすることは、技術常識でもない。
更に、甲第2号証の1〜甲第2号証の7並びに甲第10号証及び甲第11号証のいずれにも、過ヨウ素酸類と、「Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の金属成分」と、を含む薬液を、エッチングする工程で用いることは、記載されていない。
したがって、甲1処理方法発明において、技術常識、周知技術(甲第2号証の1〜甲第2号証の7)並びに甲第10号証及び甲第11号証に記載された技術的事項に基づき、エッチングする工程で用いる処理液を、「過ヨウ素酸」に加え、更に、「Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1の金属成分」を含むものとする動機付けは当業者にはないから、甲1処理方法発明において、技術常識、周知技術(甲第2号証の1〜甲第2号証の7)並びに甲第10号証及び甲第11号証に記載された技術的事項に基づき、上記相違点5に係る本件発明29、33の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たとはいえない。

(ウ)したがって、本件発明29、33は、甲1処理方法発明並びに技術常識、周知技術(甲第2号証の1〜甲第2号証の7)、甲第10号証及び甲第11号証に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

次に、本件発明2〜35のうち、引用形式で記載された請求項に係る発明について検討する。

エ 本件発明3、5、6、8、10、12、14、15と甲1物発明との対比、本件発明17、18、22〜25、27、28と甲1製造方法発明との対比、本件発明30〜32、34、35と甲1処理方法発明との対比
(ア)本件発明3、5、6、8、10、12、14、15は、いずれも、上記(3)アに記載の、処理液が、「アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオン」を含むという相違点1に係る本件発明1の構成と同じ構成を含むから、上記(3)イで、相違点1について判断したのと同様な理由で、本件発明3、5、6、8、10、12、14、15は、甲1物発明並びに技術常識、周知技術(甲第2号証の1〜甲第2号証の7)、甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(イ)本件発明17、18、22〜25、27、28は、いずれも、上記イ(ア)に記載の、「過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、水と、を含む被精製物にイオン交換法を施して」、「薬液を得る工程Aを有する」という相違点4に係る本件発明16、19〜21、26の構成と同じ構成を含むから、上記イ(イ)で、相違点4について判断したのと同様な理由で、本件発明17、18、22〜25、27、28は、甲1製造方法発明並びに技術常識及び周知技術(甲第2号証の1〜甲第2号証の7、甲第3号証〜甲第9号証)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(ウ)本件発明30〜32、34、35は、いずれも、上記ウ(ア)に記載の、除去する工程Dで用いる「前記薬液」が、「Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分」を含むのに対し、甲1処理方法発明は、エッチングする工程(除去する工程)で用いる「処理液」(薬液)が、「アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオン」を含むという相違点5に係る本件発明29、33の構成と同じ構成を含むから、上記ウ(イ)で、相違点5について判断したのと同様な理由で、本件発明30〜32、34、35は、甲1処理方法発明並びに技術常識、周知技術(甲第2号証の1〜甲第2号証の7)、甲第3号証、甲第4号証、甲第10号証及び甲第11号証に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 特許法第36条第4項第1号実施可能要件)について
(1)申立人河井は、特許異議申立書141〜143ページにおいて、登録時の特許請求の範囲に関し、「本件特許発明の請求項1では、薬液の「pH」が特定されていない。
・・・
しかし、本件特許明細書の実施例では、薬液について、pHが9以上の例として(実施例Y18、Y21、Y24、Y27、Z12−Z15)、TiやZrの含有量が3ppb(実施例Y18、Y21、Y24、Y27)であるか、10ppb以上100ppb未満(実施例Z12、Z15)の場合のみが記載されているに過ぎない。
・・・
してみると、請求項1の薬液として、pHが9以上の場合に、如何なる第1金属成分の含有量とすればよいのか、合理的に推測することは困難であり、当業者に期待し得る程度を超える試行錯誤を要するものと思料する。
具体的には、pHが9以上の場合に、・・・、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない。」(143ページ)と主張する。

(2)しかしながら、本件発明1に関し、明細書の発明の詳細な説明の段落【0117】〜【0209】には、実施例について説明されており、例えば、段落【0145】〜【0149】の表2、段落【0183】〜【0184】の表3、段落【0202】の表4には、薬液がTiとZrを含み、それぞれの含有量が、100質量ppm以下(表2では評価A〜E(段落【0134】〜【0135】参照))であり、TiかZrの少なくとも一方の含有量が、1質量ppt以上(表2では評価A〜F(段落【0135】参照))であり、過ヨウ素酸類の含有量が、薬液の全質量に対して1〜50%であり、pHが3.0〜10.0である実施例(実施例X116〜X124、Y16〜Y27、Z12〜Z15)が示され、当業者であればその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているから、明細書の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たす。
したがって、申立人河井のかかる主張は、採用することができない。

3 特許法第36条第6項第2号明確性要件)について
(1)申立人河井は、特許異議申立書143〜144ページにおいて、登録時の特許請求の範囲に関し、「本件特許発明の請求項13は、「(13E)更に、I−、I3−、IO3−、Br−、Cl−、NO3−、硫酸イオン、亜硫酸イオン、リン酸イオン、及び、亜リン酸イオンからなる群から選択される1種以上のアニオン種を含み、」との発明特定事項を有している。
・・・
つまり、構成(13E)のアニオン種であるIO3−について、構成(13A)の過ヨウ素酸類とは別に添加されたものであるのか、過ヨウ素酸類から生じたものを含むのか、不明確であり、第三者に不足の不利益を及ぼすことにあるものと思料する。
よって、請求項13に係る発明は、・・・明確ではない。」と主張する。

(2)しかしながら、本件発明13は、薬液に係る発明であり、「過ヨウ素酸類」と、「第1金属成分」と、「水」とを含む、「薬液」であって、「更に、・・・1種類以上のアニオン種」を含むものであるから、構成(13E)のアニオン種であるIO3−は、上記「過ヨウ素酸類」が酸素を放出して生じた「IO3−」ではなく、上記「過ヨウ素酸類」とは別に添加されたものであることは明確である。
したがって、本件発明13における構成(13E)は明確であり、訂正特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たす。
よって、申立人河井のかかる主張は、採用することができない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由(予告)及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1〜35に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1〜35に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
pHが3.0〜10.0である、薬液。
【請求項2】
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppb〜100質量ppbであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppb以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppb以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
pHが3.0〜10.0である、薬液。
【請求項3】
更に、pH調製剤を含む、請求項1又は2に記載の薬液。
【請求項4】
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
pHが4.0〜9.0である、薬液。
【請求項5】
pHが4.0〜9.0である、請求項2又は3に記載の薬液。
【請求項6】
pHが7.5〜10.0である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬液。
【請求項7】
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
pHが1.0〜10.0である、薬液。
【請求項8】
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜45質量%である、請求項2〜6のいずれか1項に記載の薬液。
【請求項9】
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
更に、Al、Ag、B、Ba、Ca、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、K、Li、Mg、Mn、Na、Ni、Pb、Ru、Sn、及び、Znからなる群から選択される1種以上の第2金属成分を含み、
前記薬液が1種の第2金属成分を含む場合、前記1種の第2金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種以上の第2金属成分を含む場合、前記2種以上の第2金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種以上の第2金属成分の内の少なくとも1種の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
pHが3.0〜10.0である、薬液。
【請求項10】
更に、Al、Ag、B、Ba、Ca、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、K、Li、Mg、Mn、Na、Ni、Pb、Ru、Sn、及び、Znからなる群から選択される1種以上の第2金属成分を含み、
前記薬液が1種の第2金属成分を含む場合、前記1種の第2金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種以上の第2金属成分を含む場合、前記2種以上の第2金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種以上の第2金属成分の内の少なくとも1種の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上である、請求項2〜8のいずれか1項に記載の薬液。
【請求項11】
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
更に、アンモニウムイオンを含み、
前記アンモニウムイオンの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
pHが3.0〜10.0である、薬液。
【請求項12】
更に、アンモニウムイオンを含み、
前記アンモニウムイオンの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmである、請求項2〜10のいずれか1項に記載の薬液。
【請求項13】
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
更に、I−、I3−、IO3−、Br−、Cl−、NO3−、硫酸イオン、亜硫酸イオン、リン酸イオン、及び、亜リン酸イオンからなる群から選択される1種以上のアニオン種を含み、
前記薬液が前記1種以上のアニオン種のうち1種のアニオン種を含む場合、前記1種のアニオン種の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が前記1種以上のアニオン種のうち2種以上のアニオン種を含む場合、前記2種以上のアニオン種のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種以上のアニオン種の内の少なくとも1種の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
pHが3.0〜10.0である、薬液。
【請求項14】
更に、I−、I3−、IO3−、Br−、Cl−、NO3−、硫酸イオン、亜硫酸イオン、リン酸イオン、及び、亜リン酸イオンからなる群から選択される1種以上のアニオン種を含み、
前記薬液が前記1種以上のアニオン種のうち1種のアニオン種を含む場合、前記1種のアニオン種の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が前記1種以上のアニオン種のうち2種以上のアニオン種を含む場合、前記2種以上のアニオン種のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種以上のアニオン種の内の少なくとも1種の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上である、請求項2〜12のいずれか1項に記載の薬液。
【請求項15】
前記アニオン種が、IO3−である、請求項13又は14に記載の薬液。
【請求項16】
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、水と、を含む被精製物にイオン交換法を施して、前記1種以上の過ヨウ素酸類と、前記1種以上の第1金属成分と、水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液を得る工程Aを有する、薬液の製造方法であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
前記薬液のpHが3.0〜10.0である、薬液の製造方法。
【請求項17】
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、水と、を含む被精製物にイオン交換法を施して、請求項2〜15のいずれか1項に記載の薬液を得る工程Aを有する、薬液の製造方法。
【請求項18】
前記イオン交換法が、
カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とを含む混合樹脂が充填された第1充填部に前記被精製物を通液する方法A1、
カチオン交換樹脂が充填された第2充填部、アニオン交換樹脂が充填された第3充填部、及び、キレート樹脂が充填された第4充填部のうちの少なくとも1種の充填部に前記被精製物を通液する方法A2、及び、
膜状イオン交換体に前記被精製物を通液する方法A3、からなる群から選択される1種以上を含む、請求項16又は17に記載の薬液の製造方法。
【請求項19】
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、水と、を含む被精製物にイオン交換法を施して、前記1種以上の過ヨウ素酸類と、前記1種以上の第1金属成分と、水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液を得る工程Aを有する、薬液の製造方法であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
前記薬液のpHが3.0〜10.0であり、
前記イオン交換法が、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とを含む混合樹脂が充填された第1充填部に前記被精製物を通液する方法A1を含む、薬液の製造方法。
【請求項20】
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、水と、を含む被精製物にイオン交換法を施して、前記1種以上の過ヨウ素酸類と、前記1種以上の第1金属成分と、水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液を得る工程Aを有する、薬液の製造方法であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
前記薬液のpHが3.0〜10.0であり、
前記イオン交換法が、カチオン交換樹脂が充填された第2充填部、アニオン交換樹脂が充填された第3充填部、及び、キレート樹脂が充填された第4充填部のうちの少なくとも1種の充填部に前記被精製物を通液する方法A2を含む、薬液の製造方法。
【請求項21】
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、水と、を含む被精製物にイオン交換法を施して、前記1種以上の過ヨウ素酸類と、前記1種以上の第1金属成分と、水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液を得る工程Aを有する、薬液の製造方法であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
前記薬液のpHが3.0〜10.0であり、
前記イオン交換法が、膜状イオン交換体に前記被精製物を通液する方法A3を含む、薬液の製造方法。
【請求項22】
前記方法A1が、2つ以上の前記第1充填部に前記被精製物を通液する方法である、請求項18又は19に記載の薬液の製造方法。
【請求項23】
前記方法A2が、2つ以上の前記第2充填部と、2つ以上の前記第3充填部とに、前記被精製物を通液する方法、又は、
1つ以上の前記第2充填部と、1つ以上の前記第4充填部とに、前記被精製物を通液する方法である、請求項18又は20に記載の薬液の製造方法。
【請求項24】
前記方法A3が、2つ以上の膜状イオン交換体に前記被精製物を通液する方法である、請求項18又は21に記載の薬液の製造方法。
【請求項25】
前記イオン交換法が、前記方法A1、前記方法A2、及び、前記方法A3からなる群から選択される、2種以上の方法を含む、請求項18に記載の薬液の製造方法。
【請求項26】
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、水と、を含む被精製物にイオン交換法を施して、前記1種以上の過ヨウ素酸類と、前記1種以上の第1金属成分と、水と、を含む、基板上の遷移金属含有物の除去用の薬液を得る工程Aと、
前記工程Aの後、フィルタを用いて前記工程Aに供された前記被精製物をろ過する工程Bと、を有する、薬液の製造方法であって、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
前記薬液のpHが3.0〜10.0である、薬液の製造方法。
【請求項27】
前記工程Aの後に、フィルタを用いて前記工程Aに供された前記被精製物をろ過する工程Bを有する、請求項17〜25のいずれか1項に記載の薬液の製造方法。
【請求項28】
前記工程Aの前に、前記被精製物とpH調整剤とを混合する工程Cを有する、請求項16〜27のいずれか1項に記載の薬液の製造方法。
【請求項29】
薬液を用いて、基板上の遷移金属含有物を除去する工程Dを有する、基板の処理方法であって、
前記薬液が、
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含み、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
前記薬液のpHが3.0〜10.0である、
基板の処理方法。
【請求項30】
請求項2〜15のいずれか1項に記載の薬液を用いて、基板上の遷移金属含有物を除去する工程Dを有する、基板の処理方法。
【請求項31】
前記工程Dで、基板上の2種以上の遷移金属含有物を同時に除去する、請求項29又は30に記載の基板の処理方法。
【請求項32】
前記2種以上の遷移金属含有物が、少なくともRu含有物とCu含有物とを含む、請求項31に記載の基板の処理方法。
【請求項33】
薬液を用いて、基板上の遷移金属含有物を除去する工程Dと、
前記工程Dの後、リンス液を用いて、前記工程Dで得られた前記基板に対してリンス処理を行うリンス工程と、を有する、基板の処理方法であって、
前記薬液が、
過ヨウ素酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の過ヨウ素酸類と、
Ti及びZrからなる群から選択される1種以上の第1金属成分と、
水と、を含み、
前記薬液が1種の第1金属成分を含む場合、前記1種の第1金属成分の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt〜100質量ppmであり、
前記薬液が2種の第1金属成分を含む場合、前記2種の第1金属成分のそれぞれの含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、100質量ppm以下であり、前記2種の第1金属成分の内の少なくとも一方の含有量が、前記過ヨウ素酸類全質量に対して、1質量ppt以上であり、
前記過ヨウ素酸類の含有量が、前記薬液の全質量に対して1〜50質量%であり、
前記薬液のpHが3.0〜10.0である、
基板の処理方法。
【請求項34】
前記工程Dの後、更に、リンス液を用いて、前記工程Dで得られた前記基板に対してリンス処理を行う、請求項30〜32のいずれか1項に記載の基板の処理方法。
【請求項35】
前記リンス液が酸性リンス液である、請求項33又は34に記載の基板の処理方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2023-07-04 
出願番号 P2019-568998
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (H01L)
P 1 651・ 536- YAA (H01L)
P 1 651・ 537- YAA (H01L)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 河本 充雄
特許庁審判官 恩田 春香
市川 武宜
登録日 2021-10-13 
登録番号 6960477
権利者 富士フイルム株式会社
発明の名称 薬液、薬液の製造方法、基板の処理方法  
代理人 三橋 史生  
代理人 伊東 秀明  
代理人 伊東 秀明  
代理人 三橋 史生  

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