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審決分類 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  D06M
審判 一部申し立て 2項進歩性  D06M
審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  D06M
管理番号 1402755
総通号数 22 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2023-10-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-09-26 
確定日 2023-07-25 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第7047901号発明「エアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物及びエアーバッグ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第7047901号の明細書、特許請求の範囲を令和5年3月30日提出の訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1−6〕について訂正することを認める。 特許第7047901号の請求項1、5、6に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第7047901号(請求項の数6。以下、「本件特許」という。)は、2019年(平成31年)3月18日(優先権主張 2018年(平成30年)4月27日、日本国(JP))を国際出願日とする特許出願(特願2020−516102号、以下「本願」という。)に係るものであって、令和4年3月28日に設定登録されたものである(特許掲載公報の発行日は、同年4月5日である。)

その後、令和4年9月26日に、本件特許の請求項1、5、6に係る特許に対して、特許異議申立人であるダウ・東レ株式会社(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。

(1)特許異議の申立て後の経緯
令和5年 1月26日付け 取消理由通知
同年 3月30日 訂正請求書、意見書の提出(特許権者)
同年 4月20日付け 訂正請求があった旨の通知(申立人宛)
なお、当該通知に対し、申立人からの応答はなかった。

(2)証拠方法
申立人が、特許異議申立書に添付して提出した証拠方法は、以下のとおりである。

甲第1号証:再公表特許WO2008/020635号


第2 訂正の適否についての判断
令和5年3月30日にした訂正請求は、以下の訂正事項を含むものである。
(以下、「本件訂正」という。また、設定登録時の本件願書に添付した明細書及び特許請求の範囲を「本件特許明細書等」という。以下、下線は当審で付与した。)

1 訂正の内容
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、「を必須成分とすることを特徴とするエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。」とあるのを、
「を必須成分とする(但し、(D)成分が上記式(2)で表される有機ケイ素化合物である場合、(C)成分のシリカ微粉末は該(D)成分で60〜150℃の加熱処理されたものである。)ことを特徴とするエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。」に訂正する。

(2)訂正事項2
本件特許明細書等の段落【0008】に「を必須成分とすることを特徴とするエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。」とあるのを、
「を必須成分とする(但し、(D)成分が上記式(2)で表される有機ケイ素化合物である場合、(C)成分のシリカ微粉末は該(D)成分で60〜150℃の加熱処理されたものである。)ことを特徴とするエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。」に訂正する。

(3)一群の請求項及び明細書の訂正と関係する請求項について
訂正前の請求項2〜6は、それぞれ訂正前の請求項1を直接的又は間接的に引用するものであり、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、本件訂正前の請求項1〜6は一群の請求項である。
そして、明細書の訂正である訂正事項2は、前記明細書の訂正に係る請求項1を含む一群の請求項の全てについて請求されたものといえるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合するものである。

2 判断
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1による請求項1に係る訂正は、訂正前の請求項1の「エアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物」について「(D)成分が上記式(2)で表される有機ケイ素化合物である場合」に、「(C)成分のシリカ微粉末は該(D)成分で60〜150℃の加熱処理されたものである」とさらに特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項1の訂正前の請求項1の「(D)成分が上記式(2)で表される有機ケイ素化合物である場合」に、「(C)成分のシリカ微粉末は該(D)成分で60〜150℃の加熱処理されたものである」と特定する訂正は、本件特許明細書等の段落【0036】の「本発明では、(D)成分のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する表面処理剤を(C)成分のシリカ微粉末と混合し、60〜200℃で加熱処理することにより、(C)成分のシリカ微粉末の表面上に(D)成分の表面処理剤が充分に供給されて、処理される・・・」との記載、段落【0037】の「(D)成分の表面処理剤で(C)成分のシリカ微粉末の表面処理をシリコーンオイル中で行う方法としては、例えば、(A)成分の一部と、(C)成分、(D)成分の全部とを60℃未満の温度で混合した後に60〜200℃で熱処理することで表面処理することができる」との記載及び段落【0038】の「(C)成分のシリカ微粉末を、予め粉体の状態で、(D)成分の表面処理剤と混合し、加熱処理する方法は、例えば、常圧で密閉された機械混練装置又は流動層に上記(C)成分のシリカ微粉末と(D)成分の表面処理剤とを入れ、必要に応じて不活性ガス存在下において、60℃未満の温度で混合した後に60〜200℃にて加熱処理することで表面処理することができる」との記載からみて、「(C)成分のシリカ微粉末は該(D)成分で60〜200℃の加熱処理」することが記載されている。さらに、段落【0063】の[調製例1]には「下記(4)式で表されるビニル基を有するポリシロキサン(D1)0.8部、水2部、及びBET法による比表面積が約300m2/gであるシリカ微粉末(C)(商品名:アエロジル300、日本アエロジル社製)40部を、ニーダー中で1時間混合した。その後、へキサメチルジシラザン8部を投入し、さらに1時間混合した。次にニーダー内の温度を150℃に昇温し、引き続き2時間混合した」ことが記載され、訂正後の請求項1の「上記式(2)で表される有機ケイ素化合物」と段落【0063】の下記(4)式で表されるビニル基を有するポリシロキサン(D1)」とは化学構造からみて同じ化合物であり、[調製例1]には「シリカ微粉末(C)」と「下記(4)式で表されるビニル基を有するポリシロキサン(D1)」とを「150℃」で加熱したことが記載されているといえるから、訂正事項1による訂正は、新規事項の追加に当たらず、また、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらないことも明らかである。

(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2による訂正は、訂正事項1により訂正された特許請求の範囲の請求項1の記載内容と整合させるために、本件特許明細書等の段落【0008】の記載を訂正後の請求項1と同様に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であるといえる。

新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項2による訂正は、上記「(1)訂正事項1について」「イ 新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更」で述べた理由と同様の理由で、新規事項の追加、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらないことは明らかである。

(3)本件訂正後の独立特許要件について
上記「第1 手続の経緯」で述べたとおり、本件特許異議の申立ては、本件請求項1〜6に係る特許のうち請求項1、5、6に係る特許に対して申立てられたものであるから、請求項2〜4に係る特許に対しては申立てられていない。
そして、訂正事項1による訂正前の請求項1による訂正は、上記「(1)訂正事項1について」「ア 訂正の目的」で述べたとおり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、同様に、訂正前の請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2〜4も同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正がなされたといえる。
そこで、訂正後の請求項2〜4に係る発明の独立特許要件について検討すると、下記「第5 当審の判断」で述べるように、本件訂正後の請求項1に係る発明には、特許を受けることができないとすべき理由があるとはいえず、本件訂正後の請求項1を直接又は間接的に引用する本件訂正後の請求項2〜4に係る発明についても、同様に特許を受けることができないとすべき理由があるとはいえないため、本件訂正後の請求項2〜4に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるといえる。
したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法126条第7項の規定の満たす訂正であるといえる。

(4)まとめ
以上のとおりであるから、訂正事項1〜2による請求項1〜6に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる目的に適合し、また、同法同条第9項において準用する同法第126条第5〜7項の規定に適合するから、本件訂正を認める。


第3 本件発明
上記「第2 訂正の適否についての判断」のとおり、本件訂正は適法であるので、特許第7047901号の特許請求の範囲の記載は、訂正後の特許請求の範囲の請求項1〜6に記載の以下のとおりのものである(以下、請求項1〜6に記載された事項により特定される発明を「本件発明1」〜「本件発明6」といい、まとめて「本件発明」ともいう。また、設定登録時の本件願書に添付した明細書を「本件明細書」という。)。

「【請求項1】
(A)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する重合度が100〜2,000のオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:本成分中に含まれるSiH基が、(A)成分及び下記(D)成分中に含まれるケイ素原子結合アルケニル基の合計1モル当たり、1〜10モルとなる量、
(C)BET法比表面積が50m2/g以上であるシリカ微粉末:1〜50質量部、
(D)1分子中にビニル基を1個以上有するクロロシラン類、シラザン類、及び下記式(1)又は(2)で表わされる有機ケイ素化合物から選ばれるものである表面処理剤(但し、(A)成分を除く。また、上記シラザン類のうち、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン及び1,1,3,3−テトラビニル−1,3−ジメチルジシラザンを除く。)
【化1】

(式中、R1は独立して炭素数1〜12の1価飽和脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜12の1価芳香族炭化水素基であり、R2は独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、nは0〜50の整数、mは1〜50の整数であり、式(2)において、各シロキサン単位の配列はブロックであってもランダムであってもよい。):(C)成分のシリカ微粉末100質量部に対して、0.01〜5質量部、
(E)ヒドロシリル化反応用触媒:(A)〜(D)の合計質量に対して、触媒金属元素の質量換算で1〜500ppm、
(F)接着性付与官能基を含有する有機ケイ素化合物(但し、(A)、(B)、(D)成分を除く。):0.1〜10質量部
を必須成分とする(但し、(D)成分が上記式(2)で表される有機ケイ素化合物である場合、(C)成分のシリカ微粉末は該(D)成分で60〜150℃の加熱処理されたものである。)ことを特徴とするエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。
【請求項2】
(D)成分の、1分子中にビニル基を1個以上有するクロロシラン類が、ジメチルビニルクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ジビニルジクロロシラン、及びメチルフェニルビニルクロロシランから選ばれるものである請求項1に記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。
【請求項3】
(D)成分の、1分子中にビニル基を1個以上有するシラザン類が、1−ビニル−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシラザン、及び1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−ビニルトリシラザンから選ばれるものである請求項1に記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。
【請求項4】
(F)成分が、アルケニル基及び/又はSiH基を含む場合、組成物中の(A)成分、(D)成分、及び(F)成分中に含まれるケイ素原子結合アルケニル基の合計1モル当たり、(B)成分及び(F)成分中に含まれるSiH基の合計量が1〜10モルとなる量が配合されてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。
【請求項5】
更に、(G)成分として、有機チタニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、及び有機アルミニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の縮合触媒を、(A)成分100質量部に対して、0.1〜5質量部含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。
【請求項6】
エアーバッグ用基布上に、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の硬化被膜を有することを特徴とするエアーバッグ。」


第4 特許異議申立理由及び取消理由の概要
1 取消理由通知の概要
当審が令和5年1月26日付けの取消理由通知で通知した取消理由の概要は、以下に示すとおりである。

(1)取消理由A(サポート要件)
本件訂正前の請求項1、5、6に係る特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。

本件明細書の段落【0073】の比較例2の「組成物E」は本件発明1の発明特定事項を全て満たすにもかかわらず、本件明細書の段落【0074】の【表1】をみると、実施例1〜2及び参考例1の「30秒後の残存圧力」について著しく劣るものとなっており、本件発明の「エアーバッグの展開時にインフレーターガスの洩れを抑え、膨脹時間の持続性に優れた」ものになるとの課題を解決できているとはいえない。
そうすると、本件発明1は、本件発明の課題を解決できない態様も包含しているといえるから、サポート要件を満たしているとはえいない。

(2)取消理由B(新規性
本件訂正前の請求項1、5、6に係る発明は、本件特許の出願前日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、同法第113条第2号に該当し、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

(3)取消理由C(進歩性
本件訂正前の請求項1、5、6に係る発明は、本件特許の出願前日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同法第113条第2号に該当し、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

2 特許異議申立理由の概要
申立人が特許異議申立書に記載した申立て理由の概要は、以下に示すとおりである。

(1)申立理由1(新規性
本件訂正前の請求項1、5、6に係る発明は、本件特許の出願前日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、同法第113条第2号に該当し、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

(2)申立理由2(進歩性
本件訂正前の請求項1、5、6に係る発明は、本件特許の出願前日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同法第113条第2号に該当し、その発明に係る特許は取り消すべきものである。


第5 当審の判断
当審は、当審が通知した取消理由A〜C及び申立人がした申立理由1及び2によっては、いずれも、本件発明1、5、6に係る特許を取り消すことはできないと判断する。
その理由は以下のとおりである。

取消理由B(新規性)と申立理由1(新規性)、取消理由C(進歩性)と申立理由2(進歩性)はそれぞれ同旨であり、また、いずれの理由も甲第1号証を主引用文献とする新規性進歩性に関する理由であるから、以下「2 取消理由B(新規性)、取消理由C(進歩性)、申立理由1(新規性)及び申立理由2(進歩性)について」において併せて検討する。

なお、特許異議の申立ての対象は、請求項1、5、6のみであるが、上記「第2 訂正の適否についての判断」「2 判断」「(3)本件訂正後の独立特許要件について」の判断に当たり、請求項2〜4についての検討も必要となるので、以下、請求項2〜4についても併せて判断を行う。

1.取消理由A(サポート要件)について
(1)本件発明1について
本件訂正により、本件発明1の「エアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物」について、「(D)成分」である「表面処理剤」が本件発明1の「式(2)で表される有機ケイ素化合物」である場合に、「(C)成分」である「シリカ微粉末」が「(D)成分」である「表面処理剤」で60〜150℃の加熱処理されたものであると特定された。
本件明細書の段落【0073】の比較例2の「組成物E」は、段落【0066】及び【0072】の記載と併せてみると、「・・・分子鎖両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(A1)60部、へキサメチルジシラザン8部、水2部、・・・シリカ微粉末(C)(・・・)40部を、ニーダー中で1時間混合した。その後、へキサメチルジシラザン8部を投入し、さらに1時間混合した。次にニーダー内の温度を150℃に昇温し、引き続き2時間混合した。次いで、該温度を100℃まで降温した後、・・・分子鎖両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(A1)30部を添加し、均一になるまで混合」(段落【0066】)した後に、「上記(4)式で表されるビニル基含有のポリシロキサン(D1)0.8部を25℃で15分混合し」たもので、「シリカ微粉末(C)」を他の成分と混合して「150℃に昇温」した後に、降温した後、「25℃」で、本件発明1の「式(2)で表される有機ケイ素化合物」に相当する「上記(4)式で表されるビニル基含有のポリシロキサン(D1)」と混合したものであり、訂正後の本件発明1の「(但し、(D)成分が上記式(2)で表される有機ケイ素化合物である場合、(C)成分のシリカ微粉末は該(D)成分で60〜150℃の加熱処理されたものである。)」の発明特定事項を満たすものではない。
一方、本件明細書の段落【0063】、【0067】の調製例1、実施例1の「組成物A」は、「・・・分子鎖両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(A1)60部、へキサメチルジシラザン8部、下記(4)式で表されるビニル基を有するポリシロキサン(D1)0.8部、水2部、及び・・・シリカ微粉末(C)(・・・)40部を、ニーダー中で1時間混合した。その後、へキサメチルジシラザン8部を投入し、さらに1時間混合した。次にニーダー内の温度を150℃に昇温し、引き続き2時間混合した。次いで、該温度を100℃まで降温した後、・・・分子鎖両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(A1)30部を添加し、均一になるまで混合」したもので、「シリカ微粉末(C)」と、本件発明1の「式(2)で表される有機ケイ素化合物」に相当する「下記(4)式で表されるビニル基を有するポリシロキサン(D1)」とを他の成分とともに混合して「150℃に昇温」したものであり、訂正後の本件発明1の「(但し、(D)成分が上記式(2)で表される有機ケイ素化合物である場合、(C)成分のシリカ微粉末は該(D)成分で60〜150℃の加熱処理されたものである。)」の発明特定事項を満たすものである。そして、本件明細書の段落【0074】の【表1】をみると、この調製例1、実施例1の「組成物A」を用いたものは、比較例のものに比べて「引張強さ」や「30秒後の残存圧力」について優れたものとなっており、本件発明の「エアーバッグの展開時にインフレーターガスの洩れを抑え、膨脹時間の持続性に優れた」ものになるとの課題を解決できているとはいえる。
そうすると、本件訂正により、本件明細書の段落【0073】の比較例2の「組成物E」は、本件発明1の発明特定事項を満たさないものとなり、訂正後の本件発明1は、本件発明の課題を解決できない態様を除外したといえるから、取消理由Aは解消されたといえる。

(2)本件発明2〜6について
本件発明1を直接又は間接的に引用する本件発明5〜6についても、上記「(1)本件発明1について」で述べた理由と同様の理由で、取消理由Aは解消されたといえる。
また、本件発明1を直接又は間接的に引用する本件発明2〜4についても、同様の理由で、取消理由Aは存在しない。

(3)まとめ
以上のとおり、本件訂正により、取消理由A(サポート要件)は解消されたといえる。

2 取消理由B(新規性)、取消理由C(進歩性)、申立理由1(新規性)及び申立理由2(進歩性)について
(1)甲第1号証に記載された発明
甲第1号証の段落【0046】〜【0047】、【0050】の【表1】〜【表2】に記載の実施例1に着目すると、
「粘度40,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン 100部、BET比表面積225m2/gのフュームドシリカ 40部、ヘキサメチルジシラザン 7部、水 2部、粘度20mPa・sの分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基含有量約10.9質量%)0.2部をロスミキサーに投入し、室温で均一になるまで混合した後、減圧下200℃で2時間加熱処理して流動性のあるシリカマスターバッチを調製し、
・シリカマスターバッチ 48部
・(A)(a−1)粘度40,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量約0.09質量%) 48部
・(B)(b−1)動粘度5.5mm2/sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量約0.73質量%) 2.1部
・(C)白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン溶液(白金金属含有量約4000ppm) 0.3部
・(接着付与剤)(AD−1)として
(E)3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 0.6部
(F)(f−1)ジルコニウムテトラアセチルアセトネート 0.1部
(G)3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 0.5部
・(硬化遅延剤)3,5−ジメチル−1−オクチン−3−オール 0.04部
・(環状シロキサンオリゴマー)粘度3.5mPa・sの環状メチルビニルポリシロキサン(ビニル基含有量約30.7質量%) 0.2部
・(ビニルシロキサンオリゴマー)粘度20mPa・sの分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基含有量約10.9質量%) 0.3部
を含むシリコーンゴム組成物」
の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。

(2)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。

甲1発明における「粘度40,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量約0.09質量%)」は、「分子鎖両末端」に「ジメチルビニル」基を有するものであるから、本件発明1の「(A)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する重合度が100〜2,000のオルガノポリシロキサン」と、「1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する」「オルガノポリシロキサン」である限りにおいて一致する。
そして、甲1発明の「シリコーンゴム組成物」において、「粘度40,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量約0.09質量%)」は、「シリコーンゴム組成物」全体の100.14部(=48部+48部+2.1部+0.3部+1.2部+0.04部+0.2部+0.3部)中に、80.6部(=48部+48部×100部/(100部+40部+7部+0.2部))含まれているといえる。
なお、「シリカマスターバッチ1」の調整において「水 2部」が添加されているが「減圧下200℃で2時間加熱処理」により除去されるものとして換算した。

甲1発明における「(b−1)動粘度5.5mm2/sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量約0.73質量%)」は、本件発明1の「1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン」に相当する。

甲1発明における「BET比表面積225m2/gのフュームドシリカ」は、本件発明1における「(C)BET法比表面積が50m2/g以上であるシリカ微粉末」に相当する。
甲1発明の「シリコーンゴム組成物」において、「BET比表面積225m2/gのフュームドシリカ」は、「シリコーンゴム組成物」全体の100.14部中に、13.0部(=48部×40部/(100部+40部+7部+0.2部))含まれている。
そして、甲1発明の「シリコーンゴム組成物」において、「粘度40,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量約0.09質量%)」は80.6部、「BET比表面積225m2/gのフュームドシリカ」は13.0部含まれているから、本件発明1と同様に、「(A)」成分「100質量部」に対して「1〜50質量部」の範囲内で含まれているといえる。

甲1発明における「粘度20mPa・sの分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基含有量約10.9質量%)」は、本件発明1における「(D)」のうち「下記(2)で表わされる有機ケイ素化合物から選ばれるものである表面処理剤(但し、(A)成分を除く。また、上記シラザン類のうち、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン及び1,1,3,3−テトラビニル−1,3−ジメチルジシラザンを除く。)(当審注:式(2)は省略する。(式中、R1は独立して炭素数1〜12の1価飽和脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜12の1価芳香族炭化水素基であり、R2は独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、nは0〜50の整数、mは1〜50の整数であり、式(2)において、各シロキサン単位の配列はブロックであってもランダムであってもよい。)」と、「下記式(2)で表わされる有機ケイ素化合物から選ばれるものである表面処理剤(但し、(A)成分を除く。また、上記シラザン類のうち、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン及び1,1,3,3−テトラビニル−1,3−ジメチルジシラザンを除く。)(当審注:式(2)は省略する。(式中、R1は独立して炭素数1〜12の1価飽和脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜12の1価芳香族炭化水素基であり、R2は独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基))である限りにおいて一致する。
甲1発明の「シリコーンゴム組成物」において、「粘度20mPa・sの分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基含有量約10.9質量%)」は、「シリコーンゴム組成物」全体の100.14部中に、0.4部(=0.3部+48部×0.2部/(100部+40部+7部+0.2部))含まれているといえる。
そして、甲1発明の「シリコーンゴム組成物」において、「粘度20mPa・sの分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基含有量約10.9質量%)」は0.4部、「BET比表面積225m2/gのフュームドシリカ」は13.0部配合されているから、本件発明1と同様に、「(D)」成分が「(C)成分のシリカ微粉末100質量部に対して、0.01〜5質量部」の範囲内で含まれているといえる。

甲1発明の「シリカマスターバッチ」に調製においては、「粘度40,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン 100部、BET比表面積225m2/gのフュームドシリカ 40部、ヘキサメチルジシラザン 7部、水 2部、粘度20mPa・sの分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基含有量約10.9質量%)0.2部をロスミキサーに投入し、室温で均一になるまで混合した後、減圧下200℃で2時間加熱処理」するものであり、「BET比表面積225m2/gのフュームドシリカ」と「分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基含有量約10.9質量%)」は混合した後、「減圧下200℃で2時間加熱処理」されているから、本件発明1の「但し、(D)成分が上記式(2)で表される有機ケイ素化合物である場合、(C)成分のシリカ微粉末は該(D)成分で60〜150℃の加熱処理されたものである」ことと、「(D)成分が上記式(2)で表される有機ケイ素化合物である場合、(C)成分のシリカ微粉末は該(D)成分で加熱処理」されたものである限りにおいて、一致する。

甲1発明の「(C)白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン溶液(白金金属含有量約4000ppm)」の「白金」は、本件明細書の段落【0040】及び甲第1号証の段落【0026】の記載からみて、本件発明1の「ヒドロシリル化反応用触媒」に相当する。
甲1発明の「シリコーンゴム組成物」において、「白金」は、「シリコーンゴム組成物」全体の100.14部中に、1200ppm(=4000ppm×0.3部)含まれているといえる。
そして、甲1発明の「シリコーンゴム組成物」において、「粘度40,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量約0.09質量%)」は80.6部、「(b−1)動粘度5.5mm2/sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量約0.73質量%)」は2.1部、「BET比表面積225m2/gのフュームドシリカ」は13.0部、「粘度20mPa・sの分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基含有量約10.9質量%)」は0.4部含まれ、これらの合計は96.1部であるから、「白金」の含有量はこれらの合計質量に対して12.5ppm(=1200ppm/96.1部)であり、本件発明1と同様に、「(A)〜(D)の合計質量に対して、触媒金属元素の質量換算で1〜500ppm」の範囲内で含まれているといえる。

甲1発明の「(接着付与剤)(AD−1)」を構成する「(E)3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン」、「(G)3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン」は、「有機ケイ素化合物」であることは明らかであり、また、本件明細書の段落【0045】及び甲第1号証の段落【0014】及び【0016】の記載からみて、本件発明1の「(F)接着性付与官能基を含有する有機ケイ素化合物(但し、(A)、(B)、(D)成分を除く。)」に相当する。
そして、甲1発明の「シリコーンゴム組成物」において、「(E)3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン」は0.6部、「(G)3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン」0.5部、合計で1.1部配合され、「粘度40,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量約0.09質量%)」は80.6部配合されているから、本件発明1と同様に、「(F)」成分は「(A)」成分「100質量部」に対して「0.1〜10質量部」の範囲内で含まれているといえる。

甲1発明の「シリコーンゴム組成物」において、「粘度40,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量約0.09質量%)」は80.6部、「粘度20mPa・sの分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基含有量約10.9質量%)」は0.4部含まれ、「ビニル基含有量」は約0.116部(=80.6部×0.09質量%+0.4部×10.9質量%)である。
一方、「(b−1)動粘度5.5mm2/sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量約0.73質量%)」は2.1部含まれており、「ケイ素原子結合水素原子含有量」は約0.015部(=2.1部×0.73質量%)である。
「ビニル基(CH2=CH−)」の質量を約27、「SiH基」の「H基」の質量を約1とすると、甲1発明の「シリコーンゴム組成物」中に、「ビニル基」は0.0043モル含まれ、「SiH基」の「H基」は0.015モル含まれることになり、「ビニル基」1モル当たり「SiH基」の「H基」は約3.5モル含まれることになるから、本件発明1と同様に、「(B)」成分が「本成分中に含まれるSiH基が、(A)成分及び下記(D)成分中に含まれるケイ素原子結合アルケニル基の合計1モル当たり、1〜10モルとなる量」で含まれていることになる。

また、甲1発明の「シリコーンゴム組成物」は、「粘度40,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量約0.09質量%)」は80.6部を主成分とし、大部分を占める成分となっており、また本件明細書の段落【0056】の記載からみて、本件発明1と同様に、「液状」になっているといえる。
また、甲1発明の「シリコーンゴム組成物」は、「1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する」「オルガノポリシロキサン」である「粘度40,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量約0.09質量%)」、「1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン」である「(b−1)動粘度5.5mm2/sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量約0.73質量%)」及び「ヒドロシリル化反応用触媒」である「(C)白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン溶液(白金金属含有量約4000ppm)」を含むものであるから、本件発明1と同様に、「付加硬化型」の「シリコーンゴム組成物」であることは明らかである。

そうすると、本件発明1と甲1発明とは、
「(A)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:本成分中に含まれるSiH基が、(A)成分及び下記(D)成分中に含まれるケイ素原子結合アルケニル基の合計1モル当たり、1〜10モルとなる量、
(C)BET法比表面積が50m2/g以上であるシリカ微粉末:1〜50質量部、
(D)1分子中にビニル基を1個以上有するクロロシラン類、シラザン類、及び下記式(1)又は(2)で表わされる有機ケイ素化合物から選ばれるものである表面処理剤(但し、(A)成分を除く。また、上記シラザン類のうち、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン及び1,1,3,3−テトラビニル−1,3−ジメチルジシラザンを除く。)
(式(1)及び式(2)は省略する。):(C)成分のシリカ微粉末100質量部に対して、0.01〜5質量部、
(E)ヒドロシリル化反応用触媒:(A)〜(D)の合計質量に対して、触媒金属元素の質量換算で1〜500ppm、
(F)接着性付与官能基を含有する有機ケイ素化合物(但し、(A)、(B)、(D)成分を除く。):0.1〜10質量部
を必須成分とすることを特徴とするエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1:「(A)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン」について、本件発明1では「重合度が100〜2,000」であるのに対し、甲1発明では「粘度40,000mPa・s」であるものの、重合度は明らかでない点。

相違点2:「下記式(2)で表わされる有機ケイ素化合物から選ばれるものである表面処理剤」「(式中、R1は独立して炭素数1〜12の1価飽和脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜12の1価芳香族炭化水素基であり、R2は独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、式(2)において、各シロキサン単位の配列はブロックであってもランダムであってもよい。)」について、本件発明1では、重合度を示す「m及びn」が「nは0〜50の整数、mは1〜50の整数」であるのに対し、甲1発明では「粘度20mPa・s」であるものの、「n」、「m」は不明である点。

相違点3:「液状シリコーンゴム組成物」について、本件発明1では「エアーバッグ用」であるのに対し、甲1発明では、用途の特定がない点。

相違点4:「(D)成分が上記式(2)で表される有機ケイ素化合物である場合」の「(C)成分のシリカ微粉末」が「(D)成分」で加熱処理される温度について、本件発明1では、「60〜150℃」であるのに対し、甲1発明では、「200℃」である点。

イ 判断
事案に鑑みて、上記相違点4について検討する。

甲1発明の「シリコーンゴム組成物」は、「BET比表面積225m2/gのフュームドシリカ」と「分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基含有量約10.9質量%)」は混合した後、「減圧下200℃で2時間加熱処理」したものであり、本件発明1の「(D)成分が上記式(2)で表される有機ケイ素化合物である場合、(C)成分のシリカ微粉末は該(D)成分で60〜150℃の加熱処理」したものと、加熱処理温度が異なるものであり、加熱処理温度が異なることにより、「(C)成分のシリカ微粉末」、もしくは、「液状シリコーンゴム組成物」自体に何らかの違いが生じると解されるから、相違点4は実質的な相違点であるといえる。
したがって、甲1発明は、本件発明と実質的に異なるものであり、本件発明1は甲第1号証に記載された発明とはいえない。

次に、上記相違点について、甲1発明及び甲第1号証の記載事項から容易に発明をすることができたか否かについて検討する。
甲第1号証には、「シリコーンゴム組成物を調製する方法」について、以下の記載がある。
「【0035】
本発明のシリコーンゴム組成物を調製する方法は限定されず、(A)成分〜(E)成分、および必要に応じてその他任意の成分を混合することにより調製することができるが、予め(A)成分の一部と(D)成分を加熱混合して調製したシリカマスターバッチに、残余の(A)成分と(B)成分、(C)成分、(E)成分を配合することが好ましい。なお、その他任意の成分を配合する必要がある場合、シリカマスターバッチを調製する際に配合してもよく、また、これが加熱混合により変質する場合には、残余の(A)成分と(B)成分、(C)成分、(E)成分を配合する際に配合することが好ましい。また、このシリカマスターバッチを調製する際、前記の有機ケイ素化合物を配合して、(D)成分の表面をin−situ処理してもよい。本発明組成物を調製する際、2本ロール、ニーダーミキサー、ロスミキサー等の周知の混練装置を用いることができる。」
「【0028】
(D)補強性シリカ微粉末は、上記付加反応硬化型液状シリコーンゴム組成物を硬化してなるシリコーンゴム成形体の機械的強度を向上させるための成分である。(D)成分としては乾式法シリカ、沈降法シリカ、これらの補強性シリカ微粉末表面が有機ケイ素化合物などで処理された疎水性シリカが例示される。これらの中でも比表面積が50m2/g以上の補強性シリカ微粉末が好ましい。」
「【0033】
また、本発明組成物の硬化物の物理特性を向上するために、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルシロキサンオリゴマー等の1分子中にビニル基を5質量%以上持つオルガノシロキサン化合物を含有してもよい。」
これらの記載をみると、「(D)補強性シリカ微粉末」と「1分子中にビニル基を5質量%以上持つオルガノシロキサン化合物」を混合する際の加熱処理条件について記載されておらず、また、他の記載を参酌しても、当該加熱処理条件に関する記載はない。
そうすると、甲1発明において、「BET比表面積225m2/gのフュームドシリカ」と「分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基含有量約10.9質量%)」との加熱処理温度について、「200℃」であったのを「60〜150℃」とする動機付けとなる記載はないため、相違点4について、甲1発明及び甲第1号証に記載された事項から当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

ウ 小括
そうすると、本件発明1は、上記相違点1〜3を検討するまでもなく、甲1発明及び甲第1号証に記載された事項から当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(3)本件発明2〜6について
本件発明1を引用する本件発明5〜6についても、上記「(2)本件発明1について」で検討した理由と同様の理由により、甲第1号証に記載された発明とはいえないし、また、甲1発明及び甲第1号証に記載された事項から当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
また、本件発明1を引用する本件発明2〜4についても、同様の理由により、甲第1号証に記載された発明とはいえないし、また、甲1発明及び甲第1号証に記載された事項から当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(4)まとめ
以上のとおりであるから、取消理由A(新規性)、取消理由B(進歩性)、申立理由1(新規性)及び申立理由2(進歩性)によって、本件発明1、5〜6に係る特許を取り消すことはできない。
本件発明2〜4についても、同様の理由により、新規性及び進歩性の理由で取り消すことはできない。


第6 むすび
特許第7047901号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1−6〕について訂正することを認める。
当審が通知した取消理由および申立人がした申立理由によっては、請求項1、5、6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1、5、6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (54)【発明の名称】 エアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物及びエアーバッグ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアーバッグを作製するのに好適なエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物及びエアーバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、繊維表面にゴム被膜を形成させることを目的としたエアーバッグ用シリコーンゴム組成物が提案されている。シリコーンゴム被膜を有するエアーバッグは気密性及び低燃焼速度性に優れるため、自動車等のエアーバッグとして好適に用いられている。
【0003】
このようなエアーバッグ用シリコーンゴム組成物としては、組成物のチキソ比を適正なものにすることにより、コーティング材の基布への塗工性に優れた付加硬化型液状シリコーンゴム組成物(特開2008−074881号公報:特許文献1)や、レジン状ポリシロキサンを含有し、シロキサン成分をシリカ、表面処理剤、水とともに事前に混合することで、低燃焼速度性に優れた付加硬化型液状シリコーンゴム組成物(特開2013−209517号公報:特許文献2)、及び、Q単位を含有する分岐鎖オルガノポリシロキサンをベースポリマーとする付加硬化型シリコーンゴム組成物を基布にコーティングすることにより気密性に優れたエアーバッグを製造する方法(特表2013−516521号公報:特許文献3)などが開示されている。
【0004】
しかし、フロントピラーからルーフサイドに沿って収納され、衝突時や車両の転倒時に頭部の保護や飛び出しを防ぐために一定膨脹時間を維持することが要求されるカーテンエアーバッグは、近年、エアーバッグモジュールの低重量化及びコンパクト化のためにコーティング材の薄膜化が求められており、これらの組成物を基布にコーティングして製造したエアーバッグは、インフレーターガスの洩れを抑え、膨脹時間の持続性を十分に満足させるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−074881号公報
【特許文献2】特開2013−209517号公報
【特許文献3】特表2013−516521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、エアーバッグの展開時にインフレーターガスの洩れを抑え、膨脹時間の持続性に優れたエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物及びエアーバッグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意検討を行った結果、後述する(A)〜(F)成分を必須成分とした液状シリコーンゴム組成物において、特に(D)成分のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する表面処理剤で(C)成分のBET法比表面積が50m2/g以上であるシリカ微粉末を表面処理したものを含有させることにより、この液状シリコーンゴム組成物をエアーバッグ用基布表面に所定量塗布し、これを加熱硬化させて得られるエアーバッグが、エアーバッグの展開時にインフレーターガスの洩れを抑え、膨脹時間の持続性に優れたものであることを見出し、本発明をなすに至った。
【0008】
従って、本発明は、下記エアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物及びエアーバッグを提供する。
1.(A)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する重合度が100〜2,000のオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:本成分中に含まれるSiH基が、(A)成分及び下記(D)成分中に含まれるケイ素原子結合アルケニル基の合計1モル当たり、1〜10モルとなる量、
(C)BET法比表面積が50m2/g以上であるシリカ微粉末:1〜50質量部、
(D)1分子中にビニル基を1個以上有するクロロシラン類、シラザン類、及び下記式(1)又は(2)で表わされる有機ケイ素化合物から選ばれるものである表面処理剤(但し、(A)成分を除く。また、上記シラザン類のうち、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン及び1,1,3,3−テトラビニル−1,3−ジメチルジシラザンを除く。)
【化1】

(式中、R1は独立して炭素数1〜12の1価飽和脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜12の1価芳香族炭化水素基であり、R2は独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、nは0〜50の整数、mは1〜50の整数であり、式(2)において、各シロキサン単位の配列はブロックであってもランダムであってもよい。):(C)成分のシリカ微粉末100質量部に対して、0.01〜5質量部、
(E)ヒドロシリル化反応用触媒:(A)〜(D)の合計質量に対して、触媒金属元素の質量換算で1〜500ppm、
(F)接着性付与官能基を含有する有機ケイ素化合物(但し、(A)、(B)、(D)成分を除く。):0.1〜10質量部
を必須成分とする(但し、(D)成分が上記式(2)で表わされる有機ケイ素化合物である場合、(C)成分のシリカ微粉末は該(D)成分で60〜150℃の加熱処理されたものである。)ことを特徴とするエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。
2.(D)成分の、1分子中にビニル基を1個以上有するクロロシラン類が、ジメチルビニルクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ジビニルジクロロシラン、及びメチルフェニルビニルクロロシランから選ばれるものである上記1に記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。
3.(D)成分の、1分子中にビニル基を1個以上有するシラザン類が、1−ビニル−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシラザン、及び1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−ビニルトリシラザンから選ばれるものである上記1に記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。
4.(F)成分が、アルケニル基及び/又はSiH基を含む場合、組成物中の(A)成分、(D)成分、及び(F)成分中に含まれるケイ素原子結合アルケニル基の合計1モル当たり、(B)成分及び(F)成分中に含まれるSiH基の合計量が1〜10モルとなる量が配合されてなる上記1〜3のいずれかに記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。
5.更に、(G)成分として、有機チタニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、及び有機アルミニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の縮合触媒を、(A)成分100質量部に対して、0.1〜5質量部含有することを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。
6.エアーバッグ用基布上に、上記1〜5のいずれかに記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の硬化被膜を有することを特徴とするエアーバッグ。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、エアーバッグの展開時にインフレーターガスの洩れが抑制され、膨脹時間の持続性に優れたエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物、及びこの組成物を基布にコーティング、硬化してなる機械的強度にも優れたエアーバッグが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明につき、更に詳しく説明する。なお、本明細書中において、粘度は、25℃において、JIS K 7117−1:1999に記載の方法で回転粘度計により測定した値である。また、重合度は、トルエンを展開溶媒としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)分析におけるポリスチレン換算の重量平均重合度(重量平均分子量)として求めた値である。
【0011】
〈付加硬化型液状シリコーンゴム組成物〉
本発明のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物は、以下の(A)〜(F)成分を含有してなるものであって、室温(25℃)で液状のものである。以下、各成分について詳細に説明する。
【0012】
[(A)成分]
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上含有する25℃で液状のオルガノポリシロキサンであり、本発明にかかる組成物のベースポリマー(主剤)である。
【0013】
(A)成分の分子構造としては、例えば、直鎖状、環状、分岐鎖状等が挙げられるが、主鎖が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のジオルガノポリシロキサンが好ましい。また、(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子構造が直鎖状又は分岐鎖状である場合、該オルガノポリシロキサンの分子中においてアルケニル基が結合するケイ素原子の位置は、分子鎖末端(即ち、トリオルガノシロキシ基)及び分子鎖途中(即ち、分子鎖非末端に位置する2官能性のジオルガノシロキサン単位又は3官能性のモノオルガノシルセスキオキサン単位)のどちらか一方でも両方でもよい。(A)成分として、特に好ましいものは、少なくとも分子鎖両末端のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する直鎖状のジオルガノポリシロキサンである。
【0014】
(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基としては、例えば、通常、炭素数2〜8、好ましくは炭素数2〜4のものが挙げられる。その具体例としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、ヘプテニル基等が挙げられ、特にビニル基であることが好ましい。
【0015】
(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基の含有量は、ケイ素原子に結合した1価の有機基(即ち、非置換若しくは置換の1価炭化水素基)全体に対して、0.001〜10モル%であることが好ましく、特に0.01〜5モル%程度であることが好ましい。
【0016】
(A)成分のアルケニル基以外のケイ素原子に結合する1価の有機基としては、例えば、互いに同一又は異種の非置換若しくは置換の、通常、炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜10の1価炭化水素基が挙げられる。1価の有機基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基などが挙げられ、特に、メチル基、フェニル基であることが好ましい。
【0017】
(A)成分の重合度は、100〜2,000であり、より好ましくは150〜1,500である。重合度が100よりも低いと、得られるシリコーンゴムの機械的特性が悪くなることがあり、また重合度が2,000より大きいと、得られるシリコーンゴム組成物の粘度が高くなり、コーティング作業性が悪化することがある。
【0018】
(A)成分のオルガノポリシロキサンの具体例としては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジビニルメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジビニルメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、及びこれらのオルガノポリシロキサンの2種以上からなる混合物が挙げられる。
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0019】
[(B)成分]
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、主に(A)成分中のアルケニル基とヒドロシリル化付加反応し、架橋剤(硬化剤)として作用するものである。
(B)成分の分子構造としては、例えば、直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網状(樹脂状)構造等各種のものが挙げられるが、1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を有する必要があり、通常2〜300個、好ましくは3〜200個、より好ましくは4〜100個のSiH基を有することが望ましく、25℃で液状のものが使用される。このようなSiH基は、分子鎖末端、分子鎖途中のいずれに位置していてもよく、またこの両方に位置するものであってもよい。
【0020】
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記平均組成式(3)で示されるものを用いることができる。
【化2】

【0021】
式(3)中、R3は互いに同一又は異種の、アルケニル基等の脂肪族不飽和結合を除く、好ましくは炭素数1〜10の、ケイ素原子に結合した非置換若しくは置換の1価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基等が挙げられる。R3としては、好ましくはアルキル基、アリール基であり、より好ましくはメチル基、フェニル基である。また、aは0.7〜2.1、bは0.001〜1.0で、かつa+bが0.8〜3.0を満足する正数であり、好ましくはaは1.0〜2.0、bは0.01〜1.0で、かつa+bが1.5〜2.5を満足する正数である。
【0022】
このような(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサンや、これらの各例示化合物において、メチル基の一部又は全部がエチル基、プロピル基等の他のアルキル基で置換されたもの、式:R43SiO0.5で示されるシロキサン単位と式:R42HSiO0.5で示されるシロキサン単位と式:SiO2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、式:R42HSiO0.5で示されるシロキサン単位と式:SiO2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、式:R4HSiOで示されるシロキサン単位と式:R4SiO1.5で示されるシロキサン単位若しくは式:HSiO1.5で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、及びこれらのオルガノポリシロキサンの2種以上からなる混合物が挙げられる。上記式中のR4はアルケニル基以外の1価炭化水素基であり、前記R3と同様の基が例示される。
【0023】
(B)成分の配合量は、(A)成分及び後述する(D)成分中に含まれるケイ素原子結合アルケニル基の合計1モル(又は個)に対して、(B)成分中に含まれるSiH基が1〜10モル(又は個)、好ましくは1.2〜9モル(又は個)、より好ましくは1.5〜8モル(又は個)となる量である。
(A)成分及び(D)成分中に含まれるケイ素原子結合アルケニル基の合計1モルに対して、(B)成分中に含まれるSiH基が1モル未満であると、組成物は十分に硬化せず、またこれが10モルを超えると、得られるシリコーンゴム硬化物の耐熱性が極端に劣ることがある。
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0024】
[(C)成分]
(C)成分のシリカ微粉末は、補強性充填剤として作用する。即ち、本発明にかかる組成物から得られるシリコーンゴム硬化物に強度を付与するもので、シリカ微粉末を補強性充填剤として使用することにより、本発明に必要な強度を満足するコーティング膜を形成することが可能となる。かかるシリカ微粉末は、比表面積(BET法)が50m2/g以上であり、好ましくは50〜400m2/g、より好ましくは100〜300m2/gであることが必要であり、比表面積が50m2/g未満では、満足するような強度特性を付与することができない。
【0025】
このようなシリカ微粉末としては、比表面積が上記範囲内であることを条件として、従来からシリコーンゴムの補強性充填剤として使用されている公知のものでよく、例えば、煙霧質シリカ(ヒュームドシリカ)、沈降シリカ(湿式シリカ)などが挙げられる。
【0026】
上記補強性シリカ微粉末は、例えば、クロロシラン、アルコキシシラン、オルガノシラザン等の(通常、加水分解性の)有機ケイ素化合物などの表面処理剤で、表面が疎水化処理されたシリカ微粉末を用いることができる。その場合、これらのシリカ微粉末は、予め粉体の状態で、表面処理剤により、直接表面疎水化処理されたものを用いてもよいし、シリコーンオイル(例えば、上記(A)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン)との混練時に表面処理剤を添加して、表面疎水化処理したものを用いてもよい。
なお、ここで用いられる表面処理剤は、後述する(D)成分のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する表面処理剤と比較して、アルケニル基を有さないものである点で明確に区別される。
【0027】
(C)成分の通常の処理法として、公知の技術により表面処理することができ、例えば、常圧で密閉された機械混練装置又は流動層に上記未処理のシリカ微粉末と表面処理剤とを入れ、必要に応じて不活性ガス存在下において、室温(25℃)あるいは熱処理(加熱)下にて混合処理することができる。場合により、水又は触媒(加水分解促進剤等)を使用して表面処理を促進してもよい。混練後、乾燥することにより、表面処理シリカ微粉末を製造し得る。表面処理剤の配合量は、その表面処理剤の被覆面積から計算される量以上であればよい。
【0028】
表面処理剤として、具体的には、ヘキサメチルジシラザン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザン等のシラザン類、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール及びヒドロキシペンタメチルジシロキサン等のシランカップリング剤、ポリメチルシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン等の有機ケイ素化合物が挙げられ、これらで表面処理した疎水性シリカ微粉末を用いることができる。表面処理剤としては、特にシランカップリング剤又はシラザン類が好ましい。
【0029】
(C)成分の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、1〜50質量部であり、好ましくは10〜30質量部である。配合量が少なすぎると、本発明に必要な強度が得られず、配合量が多すぎると、組成物の粘度が高くなり、流動性が低下してコーティング作業が悪化することがある。
(C)成分の微粉末シリカは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0030】
[(D)成分]
(D)成分のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する表面処理剤は、シリコーンゴム組成物の硬化物の強度向上剤として作用する。
【0031】
(D)成分としては、1分子中にビニル基を1個以上有するクロロシラン類、シラザン類、及び下記式(1)又は(2)で表わされる有機ケイ素化合物から選ばれるものが挙げられる。
【化3】

(式中、R1は独立して炭素数1〜12の1価飽和脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜12の1価芳香族炭化水素基であり、R2は独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、nは0〜50の整数、mは1〜50の整数であり、式(2)において、各シロキサン単位の配列はブロックであってもランダムであってもよい。)
【0032】
1分子中にビニル基を1個以上有するクロロシラン類の具体例としては、ジメチルビニルクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ジビニルジクロロシラン、メチルフェニルビニルクロロシランなどが挙げられ、また1分子中にビニル基を1個以上有するシラザン類の具体例としては、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラビニル−1,3−ジメチルジシラザン、1−ビニル−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシラザン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−ビニルトリシラザン等が挙げられるが、特に1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザンが好ましい。
【0033】
式(1)又は(2)において、R1の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基等が挙げられるが、中でもメチル基が好ましい。
【0034】
式(1)又は(2)において、R2の具体例としては、水素原子、又はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基等のアルキル基が挙げられるが、中でも水素原子又はメチル基が好ましい。
【0035】
式(1)又は(2)において、nは0〜50の整数、好ましくは0〜20の整数である。また、式(2)において、mは1〜50の整数、好ましくは1〜10の整数である。
【0036】
本発明では、(D)成分のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する表面処理剤を(C)成分のシリカ微粉末と混合し、60〜200℃で加熱処理することにより、(C)成分のシリカ微粉末の表面上に(D)成分の表面処理剤が充分に供給されて、処理されるので、得られるシリコーンゴム組成物の硬化物は本発明に必要な強度を得ることができる。その場合、上述したように、例えば、(C)成分のシリカ微粉末を、予め粉体の状態で、(D)成分の表面処理剤と混合し、加熱処理されるようにしてもよいし、(C)成分のシリカ微粉末とシリコーンオイル(例えば、上記(A)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン)との混合時に(D)成分の表面処理剤を添加して、加熱処理されるようにしてもよい。
【0037】
(D)成分の表面処理剤で(C)成分のシリカ微粉末の表面処理をシリコーンオイル中で行う方法としては、例えば、(A)成分の一部と、(C)成分、(D)成分の全部とを60℃未満の温度で混合した後に60〜200℃で熱処理することで表面処理することができる。その際にビニル基を含まないクロロシラン類やシラザン類などの表面処理剤を同時に混合してもよい。また場合により、水又は触媒(加水分解促進剤等)を使用して表面処理を促進してもよい。
【0038】
(C)成分のシリカ微粉末を、予め粉体の状態で、(D)成分の表面処理剤と混合し、加熱処理する方法は、例えば、常圧で密閉された機械混練装置又は流動層に上記(C)成分のシリカ微粉末と(D)成分の表面処理剤とを入れ、必要に応じて不活性ガス存在下において、60℃未満の温度で混合した後に60〜200℃にて加熱処理することで表面処理することができる。その際にビニル基を含まないクロロシラン類やシラザン類などの表面処理剤を同時に混合してもよい。また場合により、水又は触媒(加水分解促進剤等)を使用して表面処理を促進してもよい。
【0039】
(D)成分の配合量は、(C)成分のシリカ微粉末100質量部に対して、0.01〜5質量部、好ましくは0.05〜4.5質量部、より好ましくは0.10〜4質量部である。(D)成分の配合量が、0.01質量部よりも少ないと充分な補強効果を得られないことがあり、5質量部よりも多いと組成物の硬化物の硬さが極端に高くなり、機械的特性が極端に悪化することがある。
(D)成分は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0040】
[(E)成分]
(E)成分のヒドロシリル化反応用触媒は、主に(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基と(B)成分中のSiH基との付加反応を促進するものである。このヒドロシリル化反応用触媒は、特に限定されず、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の白金族金属;塩化白金酸;アルコール変性塩化白金酸;塩化白金酸と、オレフィン類、ビニルシロキサン又はアセチレン化合物との配位化合物;テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等の白金族金属化合物等が挙げられ、好ましくは白金族金属化合物である。
【0041】
(E)成分の配合量は、触媒としての有効量であればよいが、(A)〜(D)成分の合計量に対して、触媒金属元素の質量換算で、好ましくは1〜500ppm、より好ましくは10〜100ppmである。この配合量が少なすぎると付加反応が著しく遅くなったり、組成物が硬化しなかったりすることがあり、この配合量が多すぎると硬化物の耐熱性が低下することがある。
(E)成分の付加反応触媒は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0042】
[(F)成分]
(F)成分は、接着性付与官能基を含有する有機ケイ素化合物であり、接着性付与官能基としては、エポキシ基、ケイ素原子結合アルコキシ基(アルコキシシリル基)、ヒドロシリル基、イソシアネート基、アクリル基、メタクリル基などが挙げられ、シリコーンゴム組成物のエアーバッグ用基布に対する接着性を発現・向上させるために添加するものである。
有機ケイ素化合物としては、このような接着性付与官能基を有するものであれば、いかなる有機ケイ素化合物でも使用できるが、1分子中にエポキシ基とケイ素原子結合アルコキシ基とをそれぞれ1個以上有する有機ケイ素化合物であることが好ましく、接着発現性の観点からは、少なくとも1個のエポキシ基と少なくとも1個のケイ素原子結合アルコキシ基(例えば、トリアルコキシシリル基、オルガノジアルコキシシリル基等)とを有する有機ケイ素化合物、例えば、オルガノシラン、又はケイ素原子数が2〜100個、好ましくは4〜50個程度の環状若しくは直鎖状のオルガノシロキサンであって、少なくとも1個のエポキシ基と少なくとも2個のケイ素原子結合アルコキシ基とを有するものがより好ましい。
【0043】
エポキシ基は、例えば、グリシドキシプロピル基等のグリシドキシアルキル基;2,3−エポキシシクロヘキシルエチル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基等のエポキシ含有シクロヘキシルアルキル基等の形で、ケイ素原子に結合していることが好ましい。
ケイ素原子結合アルコキシ基は、ケイ素原子と結合して、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基;メチルジメトキシシリル基、エチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基等のアルキルジアルコキシシリル基等を形成していることが好ましい。
【0044】
また、(F)成分は、1分子中にエポキシ基及びケイ素原子結合アルコキシ基以外の官能性基として、例えば、ビニル基等のアルケニル基、アクリル基、(メタ)アクリロキシ基、イソシアネート基、及びヒドロシリル基(SiH基)からなる群より選択される少なくとも1種の官能性基を有してもよい。
【0045】
(F)成分の有機ケイ素化合物としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)トリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)トリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)メチルジメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)メチルジエトキシシラン、(2,3−エポキシシクロヘキシルエチル)トリエトキシシラン、(2,3−エポキシシクロヘキシルエチル)メチルジメトキシシラン、(2,3−エポキシシクロヘキシルエチル)メチルジエトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤(即ち、エポキシ官能性基含有オルガノアルコキシシラン)又はビニルトリメトキシシラン等のビニル基含有シランカップリング剤又は、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリル基含有シランカップリング剤又は、3−イソシアネートプロピルエトキシシラン等のイソシアネート基含有のシランカップリング剤又はトリアリルイソシアヌレートのメトキシシリル変性体等のシランカップリング剤の他、下記の化学式で示される環状オルガノポリシロキサン、又は直鎖状オルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、これらの2種以上の混合物、あるいはこれらの1種若しくは2種以上の部分加水分解縮合物等が挙げられる。
【0046】
【化4】

(式中、hは1〜10の整数、kは0〜40の整数、好ましくは0〜20の整数、pは1〜40の整数、好ましくは1〜20の整数、qは1〜10の整数である。)
【0047】
(F)成分の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、0,1〜10質量部であり、好ましくは0.25〜5質量部である。配合量が0.1質量部未満であると、得られる組成物が充分な接着力を有しないことがある。配合量が10質量部を超えると、組成物のチキソ性が高くなり、流動性が低下し、コーティング作業性が悪化することがある。
【0048】
また、(F)成分がアルケニル基及び/又はSiH基を含む場合、組成物中の(A)成分、(D)成分、及び(F)成分中に含まれるケイ素原子結合アルケニル基の合計1モル(又は個)に対する(B)成分及び(F)成分中に含まれるSiH基の合計量は、1〜10モル(又は個)、好ましくは1.2〜9モル(又は個)、より好ましくは1.5〜8モル(又は個)である。組成物中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して、SiH基が1モル未満であると、組成物は十分に硬化せず、十分な接着力を有しない場合がある。一方、これが10モルを超えると、得られるシリコーンゴム硬化物の耐熱性が極端に劣り、接着力が向上しにくくなり、コスト的に高いものとなり、不経済となりやすい。
(F)成分は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0049】
[その他の成分]
本発明にかかる組成物には、前記(A)〜(F)成分以外にも、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の任意の成分を配合することができる。その具体例としては、以下のものが挙げられる。これらのその他の成分は、各々、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0050】
[(G)成分]
(G)成分の縮合触媒は、有機チタニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、及び有機アルミニウム化合物から選ばれる少なくとも1種であり、接着促進のために、(F)成分中の接着性付与官能基の縮合助触媒として作用するものである。(G)成分の具体例としては、例えば、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド等の有機チタン酸エステル、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラアセチルアセトネート等の有機チタンキレート化合物等のチタン系縮合助触媒(チタニウム化合物)、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド等の有機ジルコニウムエステル、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等の有機ジルコニウムキレート化合物等のジルコニウム系縮合助触媒(ジルコニウム化合物)、アルミニウムセカンダリーブトキシド等の有機アルミニウム酸エステル、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート等の有機アルミニウムキレート化合物等のアルミニウム系縮合助触媒が挙げられる。
【0051】
(G)成分の有機チタニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、及び有機アルミニウム化合物は、必要に応じて配合される任意成分であり、その配合量は、(A)成分100質量部に対して、通常5質量部以下(0.01〜5質量部)程度でよいが、(G)成分を配合する場合には、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.2〜2質量部である。配合量が0.1質量部未満であると、得られる硬化物は高温高湿下での接着耐久性が低下しやすくなることがあり、配合量が5質量部を超えると、得られる硬化物は耐熱性が低下しやすくなることがある。
(G)成分は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0052】
・反応制御剤
反応制御剤は、(E)成分のヒドロシリル化反応用触媒に対して、硬化抑制効果を有する化合物であれば、特に限定されず、公知のものを用いることができる。その具体例としては、トリフェニルホスフィンなどのリン含有化合物;トリブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾールなどの窒素含有化合物;硫黄含有化合物;アセチレンアルコール類等のアセチレン系化合物;アルケニル基を2個以上含む化合物;ハイドロパーオキシ化合物;マレイン酸誘導体などが挙げられる。
【0053】
反応制御剤による硬化抑制効果の度合は、その反応制御剤の化学構造によって異なるため、反応制御剤の添加量は、使用する反応制御剤の各々について、最適な量に調整することが好ましい。最適な量の反応制御剤を添加することにより、組成物は室温での長期貯蔵安定性及び硬化性に優れたものとなる。
【0054】
・非補強性充填剤
(C)成分のシリカ微粉末以外の充填剤として、例えば、結晶性シリカ(例えば、BET法比表面積が50m2/g未満の石英粉)、有機樹脂製中空フィラー、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(いわゆるシリコーンレジンパウダー)、ヒュームド二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、カーボンブラック、ケイ藻土、タルク、カオリナイト、ガラス繊維等の充填剤;これらの充填剤をオルガノアルコキシシラン化合物、オルガノクロロシラン化合物、オルガノシラザン化合物、低分子量シロキサン化合物等の有機ケイ素化合物により表面疎水化処理した充填剤;シリコーンゴムパウダー;シリコーンレジンパウダーなどが挙げられる。
【0055】
・その他の成分
その他にも、例えば、1分子中に1個のケイ素原子結合水素原子を含有し、他の官能性基を含有しないオルガノポリシロキサン、1分子中に1個のケイ素原子結合アルケニル基を含有し、他の官能性基を含有しないオルガノポリシロキサン、ケイ素原子結合水素原子もケイ素原子結合アルケニル基も他の官能性基も含有しない無官能性のオルガノポリシロキサン(いわゆるジメチルシリコーンオイル)、有機溶剤、クリープハードニング防止剤、可塑剤、チキソ性付与剤、顔料、染料、防かび剤などを配合することができる。
【0056】
〈付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の調製〉
上記(A)〜(F)成分の他、(G)成分等、必要に応じて配合されるその他の成分を均一に混合することにより、付加硬化型液状シリコーンゴム組成物を調製することができる。
こうして得られる付加硬化型液状シリコーンゴム組成物は、25℃で液状の組成物であり、JIS K 7117−1:1999に記載の方法で測定した25℃における粘度は、1,000〜1,000,000mPa・sであり、好ましくは10,000〜300,000mPa・sである。この粘度範囲内であれば、エアーバッグ用基布に塗工する際に、塗工むらや硬化後の密着不足などが生じにくいため、好適に用いることができる。
【0057】
〈エアーバッグ用基布〉
本発明において、上記組成物の硬化物からなるシリコーンゴム層が形成されるエアーバッグ用基布(繊維布からなる基材)としては、公知のものが用いられ、その具体例としては、6,6−ナイロン、6−ナイロン、アラミド繊維などの各種ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの各種ポリエステル繊維などの各種合成繊維の織生地が挙げられる。
【0058】
〈エアーバッグの製造方法〉
上記付加硬化型液状シリコーンゴム組成物を、エアーバッグ用基布(繊維布からなる基材)の少なくとも一方の表面、特には一方の表面に塗布した後、乾燥炉などで加熱硬化することにより、シリコーンゴム層(硬化物層)を形成させることができる。このようにして得たエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布を用いて、エアーバッグを製造することができる。
【0059】
ここで、付加硬化型液状シリコーンゴム組成物をエアーバッグ用基布(繊維布からなる基材)にコーティングする方法としては、常法を採用することができるが、ナイフコーターによるコーティングが好ましい。コーティング層の厚さ(又は表面塗布量)は、通常10〜100g/m2、好ましくは12〜90g/m2、より好ましくは15〜80g/m2とすることができる。
【0060】
付加硬化型液状シリコーンゴム組成物は、公知の硬化条件下で公知の硬化方法により硬化させることができる。具体的には、例えば、100〜200℃において、1〜30分加熱することにより、該組成物を硬化させることができる。
【0061】
このようにして製造された少なくとも一方の表面にシリコーンゴム層を有するエアーバッグ用基布(エアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布)をエアーバッグに加工する際は、少なくともエアーバッグの内面側がシリコーンゴムでコーティングされている2枚の平織布の外周部同士を接着剤で貼り合わせ、かつその接着剤層を縫い合わせて作製する方法が挙げられる。また、予め袋織りして作製されたエアーバッグ用基布の少なくとも内側に、上記のように、付加硬化型液状シリコーンゴム組成物を所定のコーティング量でコーティングし、所定の硬化条件下で硬化させる方法を採ってもよい。なお、ここで用いる接着剤には、公知のものを用いることができるが、シームシーラントと呼ばれるシリコーン系接着剤が接着力や接着耐久性などの面から好適である。
【実施例】
【0062】
以下、調製例及び実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、粘度は回転粘度計により測定した。また、組成物に係る部は質量部を意味し、室温は25℃を意味する。
【0063】
[調製例1]
粘度が約30,000mPa・sであり、平均重合度が750である分子鎖両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(A1)60部、ヘキサメチルジシラザン8部、下記(4)式で表されるビニル基を有するポリシロキサン(D1)0.8部、水2部、及びBET法による比表面積が約300m2/gであるシリカ微粉末(C)(商品名:アエロジル300、日本アエロジル社製)40部を、ニーダー中で1時間混合した。その後、ヘキサメチルジシラザン8部を投入し、さらに1時間混合した。次にニーダー内の温度を150℃に昇温し、引き続き2時間混合した。次いで、該温度を100℃まで降温した後、粘度が約30,000mPa・sであり、平均重合度が750である分子鎖両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(A1)30部を添加し、均一になるまで混合することで、ベースコンパウンド(1)を得た。
【化5】

【0064】
[調製例2]
粘度が約30,000mPa・sであり、平均重合度が750である分子鎖両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(A1)60部、ヘキサメチルジシラザン8部、下記(5)式で表される片末端にビニル基を有するポリシロキサン(D2)0.58部、水2部、及びBET法による比表面積が約300m2/gであるシリカ微粉末(C)(商品名:アエロジル300、日本アエロジル社製)40部を、ニーダー中で1時間混合した。その後、ヘキサメチルジシラザン8部を投入し、さらに1時間混合した。次にニーダー内の温度を150℃に昇温し、引き続き2時間混合した。次いで、該温度を100℃まで降温した後、粘度が約30,000mPa・sであり、平均重合度が750である分子鎖両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(A1)30部を添加し、均一になるまで混合することで、ベースコンパウンド(2)を得た。
【化6】

【0065】
[調製例3]
粘度が約30,000mPa・sであり、平均重合度が750である分子鎖両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(A1)60部、ヘキサメチルジシラザン8部、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン(D3)0.1部、水2部、及びBET法による比表面積が約300m2/gであるシリカ微粉末(C)(商品名:アエロジル300、日本アエロジル社製)40部を、ニーダー中で1時間混合した。その後、ヘキサメチルジシラザン8部を投入し、さらに1時間混合した。次にニーダー内の温度を150℃に昇温し、引き続き2時間混合した。次いで、該温度を100℃まで降温した後、粘度が約30,000mPa・sであり、平均重合度が750である分子鎖両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(A1)30部を添加し、均一になるまで混合することで、ベースコンパウンド(3)を得た。
【0066】
[調製例4]
粘度が約30,000mPa・sであり、平均重合度が750である分子鎖両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(A1)60部、ヘキサメチルジシラザン8部、水2部、およびBET法による比表面積が約300m2/gであるシリカ微粉末(C)(商品名:アエロジル300、日本アエロジル社製)40部を、ニーダー中で1時間混合した。その後、ヘキサメチルジシラザン8部を投入し、さらに1時間混合した。次にニーダー内の温度を150℃に昇温し、引き続き2時間混合した。次いで、該温度を100℃まで降温した後、粘度が約30,000mPa・sであり、平均重合度が750である分子鎖両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(A1)30部を添加し、均一になるまで混合することで、ベースコンパウンド(4)を得た。
【0067】
[実施例1]
調製例1で得られたベースコンパウンド(1)110部に、粘度が約100,000mPa・sであり、平均重合度が1,000である分子鎖両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(A2)59.5部、架橋剤として粘度が12mPa・sであり、平均重合度が18である分子鎖両末端及び分子鎖非末端にケイ素原子に結合した水素原子を有する分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖のジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(B)(SiH基量0.0035mol/g)8.5部(SiH基/ビニル基=5.5mol/mol)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(F)0.9部、1−エチニルシクロヘキサノール0.075部、塩化白金酸/1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を白金原子含有量として1質量%含有するジメチルポリシロキサン溶液(E)0.28部、及びジルコニウムテトラアセチルアセトネート(G)0.26部を1時間混合して、組成物A(粘度200Pa・s)を調製した。次に組成物Aに関して、硬化物のゴム物性及び内圧保持性を試験した結果を表1に示す。
【0068】
〈内圧保持性試験方法〉
得られた液状シリコーンゴム組成物をナイフコーターで66ナイロン基布(210デニール)から製造した袋織りエアーバッグの片面に50g/m2になるように均一にコーティングし、オーブン中で、180℃で3分間加熱して硬化させた。その後、もう一方の面も同様にシリコーンコーティングを行い、180℃で3分間加熱硬化させることで袋織りエアーバッグを作製した。このエアーバッグを用いて、内圧保持性試験を行った。内圧保持性試験は、エアーバッグを100kPaの圧力で膨張させ、30秒後の残存圧力を測定し、この値により評価した。
【0069】
〈硬化物のゴム物性の測定方法〉
調製した組成物を150℃で5分プレスキュアーして2.0mm厚のシートを作製し、このシートについて、JIS K 6249:2003記載の方法で、硬さ、切断時伸び、引張強さ、引裂強さを測定した。結果を表1に示す。
【0070】
[実施例2]
実施例1のベースコンパウンド(1)を調製例2で調製したベースコンパウンド(2) に同質量部で置き換えたこと以外は同様にして組成物B(SiH基/ビニル基=5.5mol/mol、粘度190Pa・s)を調製し、実施例1と同様に硬化物のゴム物性及び内圧保持性を試験した結果を表1に示す。
【0071】
[参考例1]
実施例1のベースコンパウンド(1)を調製例3で調製したベースコンパウンド(3)に同質量部で置き換えたこと以外は同様にして組成物C(SiH基/ビニル基=5.5mol/mol、粘度190Pa・s)を調製し、実施例1と同様に硬化物のゴム物性及び内圧保持性を試験した結果を表1に示す。
【0072】
[比較例1]
実施例1のベースコンパウンド(1)を調製例4で調製したベースコンパウンド(4) に同質量部で置き換えたこと以外は同様にして組成物D(SiH基/ビニル基=6.5mol/mol、粘度180Pa・s)を調製し、実施例1と同様に硬化物のゴム物性及び内圧保持性を試験した結果を表1に示す。
【0073】
[比較例2]
比較例1で調製した組成物Dに上記(4)式で表されるビニル基含有のポリシロキサン(D1)0.8部を25℃で15分混合し、組成物E(SiH基/ビニル基=5.5mol/mol、粘度220Pa・s)を調製し、実施例1と同様に硬化物のゴム物性及び内圧保持性を試験した結果を表1に示す。
【0074】
【表1】


(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する重合度が100〜2,000のオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:本成分中に含まれるSiH基が、(A)成分及び下記(D)成分中に含まれるケイ素原子結合アルケニル基の合計1モル当たり、1〜10モルとなる量、
(C)BET法比表面積が50m2/g以上であるシリカ微粉末:1〜50質量部、
(D)1分子中にビニル基を1個以上有するクロロシラン類、シラザン類、及び下記式(1)又は(2)で表わされる有機ケイ素化合物から選ばれるものである表面処理剤(但し、(A)成分を除く。また、上記シラザン類のうち、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン及び1,1,3,3−テトラビニル−1,3−ジメチルジシラザンを除く。)
【化1】

(式中、R1は独立して炭素数1〜12の1価飽和脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜12の1価芳香族炭化水素基であり、R2は独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、nは0〜50の整数、mは1〜50の整数であり、式(2)において、各シロキサン単位の配列はブロックであってもランダムであってもよい。):(C)成分のシリカ微粉末100質量部に対して、0.01〜5質量部、
(E)ヒドロシリル化反応用触媒:(A)〜(D)の合計質量に対して、触媒金属元素の質量換算で1〜500ppm、
(F)接着性付与官能基を含有する有機ケイ素化合物(但し、(A)、(B)、(D)成分を除く。):0.1〜10質量部
を必須成分とする(但し、(D)成分が上記式(2)で表わされる有機ケイ素化合物である場合、(C)成分のシリカ微粉末は該(D)成分で60〜150℃の加熱処理されたものである。)ことを特徴とするエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。
【請求項2】
(D)成分の、1分子中にビニル基を1個以上有するクロロシラン類が、ジメチルビニルクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ジビニルジクロロシラン、及びメチルフェニルビニルクロロシランから選ばれるものである請求項1に記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。
【請求項3】
(D)成分の、1分子中にビニル基を1個以上有するシラザン類が、1−ビニル−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシラザン、及び1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−ビニルトリシラザンから選ばれるものである請求項1に記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。
【請求項4】
(F)成分が、アルケニル基及び/又はSiH基を含む場合、組成物中の(A)成分、(D)成分、及び(F)成分中に含まれるケイ素原子結合アルケニル基の合計1モル当たり、(B)成分及び(F)成分中に含まれるSiH基の合計量が1〜10モルとなる量が配合されてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。
【請求項5】
更に、(G)成分として、有機チタニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、及び有機アルミニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の縮合触媒を、(A)成分100質量部に対して、0.1〜5質量部含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。
【請求項6】
エアーバッグ用基布上に、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の硬化被膜を有することを特徴とするエアーバッグ。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2023-07-14 
出願番号 P2020-516102
審決分類 P 1 652・ 121- YAA (D06M)
P 1 652・ 537- YAA (D06M)
P 1 652・ 113- YAA (D06M)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 細井 龍史
特許庁審判官 藤井 勲
杉江 渉
登録日 2022-03-28 
登録番号 7047901
権利者 信越化学工業株式会社
発明の名称 エアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物及びエアーバッグ  
代理人 弁理士法人英明国際特許事務所  
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