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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B29C
審判 全部申し立て 2項進歩性  B29C
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B29C
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  B29C
管理番号 1402757
総通号数 22 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2023-10-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-09-29 
確定日 2023-07-21 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第7043865号発明「立体造形用樹脂粉末、及び立体造形物の製造装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第7043865号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1−10〕、11について訂正することを認める。 特許第7043865号の請求項1ないし11に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第7043865号(以下「本件特許」という。)の請求項1〜11に係る特許についての出願(特願2018−19742号)は、平成30年2月7日の出願(先の出願に基づく優先権主張 平成29年3月14日)であって、令和4年3月22日にその特許権の設定登録がされ、令和4年3月30日に特許掲載公報が発行された。
本件特許について、特許掲載公報発行の日から6月以内である令和4年9月29日に特許異議申立人 エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー(以下「特許異議申立人」という。)から全請求項に対して特許異議の申立てがされた。その後の手続の経緯の概要は、以下のとおりである。

令和4年12月19日付け:取消理由通知書
令和5年 2月21日 :意見書の提出(特許権者)
令和5年 2月21日 :訂正請求書の提出(この訂正請求書による訂正の請求を、以下「本件訂正請求」という。)
令和5年 4月21日 :意見書の提出(特許異議申立人)


第2 本件訂正請求について
1 訂正の趣旨及び訂正の内容
(1)訂正の趣旨
本件訂正請求の趣旨は、特許第7043865号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1〜11について訂正することを求める、というものである。

(2)訂正の内容
本件訂正請求において特許権者が求める訂正の内容は、以下のとおりである。
なお、下線は当合議体が付したものであり、訂正箇所を示す。

ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、「立体造形用樹脂粉末であって」とあるのを、「1種類の樹脂からなる立体造形用樹脂粉末であって」に訂正する(請求項1の記載を引用して記載された、請求項2〜10についても、同様に訂正する。)。

イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項11に、「0.83以上である立体造形用樹脂粉末」とあるのを、「0.83以上であり、1種類の樹脂からなる立体造形用樹脂粉末」に訂正する。

2 訂正の適否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項1による訂正は、特許請求の範囲の請求項1に記載された「立体造形用樹脂粉末であって」とあるのを、「1種類の樹脂からなる立体造形用樹脂粉末であって」に限定する訂正である。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
請求項2〜10についてみても、同じである。

イ 新規事項の有無
訂正事項1による訂正は、本件特許の願書に添付した明細書の【0051】の「前記立体造形用樹脂粉末として用いられる前記熱可塑性樹脂としては・・・ポリマー等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよい・・・」との記載や、同【0108】〜【0127】の実施例についての記載等に基づくものであるから、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項1による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。
請求項2〜10についてみても、同じである。

ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否
訂正事項1は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、これらの訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことが明らかである。よって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。
請求項2〜10についてみても、同じである。

エ 訂正事項1は、一群の請求項〔1〜10〕に対して請求されたものである。

(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項2による訂正は、特許請求の範囲の請求項11に記載された、「0.83以上である立体造形用樹脂粉末」とあるのを、「0.83以上である1種類の樹脂からなる立体造形用樹脂粉末」に限定する訂正である。
したがって、訂正事項2による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。

イ 新規事項の有無
訂正事項2による訂正は、本件特許の願書に添付した明細書の【0051】の「前記立体造形用樹脂粉末として用いられる前記熱可塑性樹脂としては・・・ポリマー等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよい・・・」との記載や、同【0108】〜【0127】の実施例についての記載等に基づくものであるから、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項2による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否
訂正事項2は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、これらの訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことが明らかである。よって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書、同法同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するので、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1ー10〕、11について訂正することを認める。


第3 本件特許発明
上記「第2」のとおり、本件訂正請求による訂正は認められた。
したがって、本件特許の特許請求の範囲の請求項1〜11に係る発明(以下、項番に従って「本件特許発明1」などといい、これらの発明を総称して「本件特許発明」という。)は、本件訂正請求による訂正後の特許請求の範囲の請求項1〜11に記載された事項により特定される、次のものである。

「【請求項1】
1種類の樹脂からなる立体造形用樹脂粉末であって、
前記立体造形用樹脂粉末の50%累積体積粒径が20μm以上であり、かつ柱体粒子を含み、
前記柱体粒子の平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.83以上であることを特徴とする立体造形用樹脂粉末。
【請求項2】
前記柱体粒子が、端部が頂点を持たない請求項1に記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項3】
前記柱体粒子の底面の長辺が5μm以上200μm以下であり、かつ高さが5μm以上200μm以下である請求項1から2のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項4】
前記柱体粒子の底面の長辺に対する高さの比が、0.5倍以上2倍以下である請求項3に記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項5】
前記立体造形用樹脂粉末の体積平均粒径と、前記立体造形用樹脂粉末の数平均粒径との粒径比(体積平均粒径/数平均粒径)が、2.00以下である請求項1から4のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項6】
前記立体造形用樹脂粉末の比重が、0.8以上である請求項1から5のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項7】
前記立体造形用樹脂粉末が、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアリールケトン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリアセタール、ポリイミド、及びフッ素樹脂から選択される少なくとも1種を含む請求項1から6のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項8】
前記立体造形用樹脂粉末の表面に、流動化剤が付着している請求項1から7のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項9】
前記流動化剤の平均一次粒径が、500nm以下である請求項8に記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項10】
前記流動化剤が、シリカ及びチタニアの少なくともいずれかである請求項8から9のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項11】
50%累積体積粒径が20μm以上であり、かつ柱体粒子を含み、前記柱体粒子の平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.83以上であり、1種類の樹脂からなる立体造形用樹脂粉末を含む層を形成する層形成工程と、
選択的に電磁波を照射し、前記層の選択された領域内の立体造形用樹脂粉末同士を接着させる粉末接着工程と、
を含むことを特徴とする立体造形物の製造方法。」


第4 取消しの理由及び特許異議申立書に記載された特許異議の申立ての理由の概要
1 令和4年12月19日付け取消理由通知書により特許権者に通知した取消しの理由は、概略、以下のとおりである。
理由1:(進歩性)本件特許の請求項1〜11に係る発明は、先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、先の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件特許は、特許法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。

2 特許異議申立書に記載された特許異議の申立ての理由は、概略、以下のとおりである。
新規性)本件特許の請求項1〜7、11に係る発明は、先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法29条1項3号に該当し特許を受けることができない。
進歩性)本件特許の請求項1〜11に係る発明は、先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、先の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
(サポート要件)本件特許は、特許請求の範囲の請求項1〜11の記載が、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない。
実施可能要件)本件特許の発明の詳細な説明の記載が、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない。

したがって、本件特許は、特許法113条2号又は4号に該当し、取り消されるべきものである。

3 特許異議申立人が提示した証拠
甲1号証:国際公開第2013/090174号(甲1)
甲2号証:特表2015−500375号公報(甲2)
甲3号証:東レ株式会社 ケミカルプロセス技術部、「実験証明書」、2019年10月25日作成(甲3)
甲4号証:Manfred Schmid and Antonio Amado,"Materials perspective of polymers for additive manufacturing with selective laser sintering", Journal of Materials Research, 2014, Vol. 29, No,17, p. 1824-1832, September 14 2014,(甲4)
甲5号証:Wulfhorst, J.,"Neue Werkstoffe fuer das Selektive Lasersintern durch Konvertieren von primaergesopnnenen Chemiefasern", Bewilligungszeitraum: 01.06.2009-31.05.2011(甲5)(当合議体注:a及びuのウムラウトは、それぞれ、ae及びueで代用した。)
甲6号証:国際公開第2013/138204号(甲6)
甲7号証:「化学大辞典8」、縮刷版第39刷、731頁〜733頁、共立出版株式会社、2006年9月15日(甲7)
甲8号証:大阪市立工業研究所プラスチック読本編集委員会、プラスチック技術協会、「プラスチック読本」、改訂第20版、さし込み(主要なプラスチックの性能一覧表)、株式会社プラスチック・エージ、2009年10月1日(甲8)
甲9号証:特願2018−19742号の令和3年12月17日提出の意見書(甲9)
甲10号証:特開2016−40121号公報(甲10)
甲11号証:特開2006−321711号公報(甲11)
(当合議体注:甲1、甲4、甲5及び甲6は、主引用例であり、甲2は甲1の対応する日本における公表公報であり、甲3、7及び8は、技術常識を示す資料であり、甲9及び甲10は、審査の経緯を示す資料であり、甲11は、副引用例である。)


第5 当合議体の判断
1 令和4年12月19日付け取消理由通知書により特許権者に通知した取消しの理由1(進歩性)について
(1)甲6の記載
取消理由で引用された甲6には、以下の事項が記載されている。なお、下線は、当合議体が付したもので発明の認定に用いた。また、当合議体で翻訳した。

ア 「 Description
MATERIALS FOR POWDER-BASED ADDITIVE MANUFACTURING PROCESSES
Technical Field
[1] The present disclosure is directed to materials for use in additive manufacturing processes. In particular, the present disclosure is directed to materials for use in powder-based additive manufacturing processes.
Background Art
[2] Additive Manufacturing consists of several processes that produce solid three dimensional (3D) objects from a computer model by building up the object in a layer- by-layer manner. Powder-based Additive Manufacturing processes use powders as the consumable materials, where the powders are deposited and then modified. For example, a layer of powder may be deposited and then modified by selected exposure to electromagnetic radiation, or selected deposition of liquid, which may be followed by exposure to electromagnetic radiation, or electron beam.
[3] One example of a powder-based additive manufacturing process is the selective laser sintering process. In the selective laser sintering process a part is constracted one layer at a time inside a thermally controlled process chamber, which is held a temperature slightly below the melting point of the polymer system being used. A laser beam is raster scanned across the surface of a layer of powder, turning on and off to selectively sinter or fuse the polymer powder particles into a shape defined by a computer which has converted a 3D CAD image into profile slices equal in thickness to the powder layer thickness.
・・・省略・・・
[5] In Selective Beam Sintering, the powder is deposited then scanned by a directed energy beam. The energy beam is most commonly a laser but electron beams are also used. In Selective Inhibition Sintering, the powder is deposited, a sintering inhibiter is then selectively deposited, and the powder is then exposed to electromagnetic radiation. In High Speed Sintering, the powder is deposited and then a radiation absorbing liquid is selectively deposited and then the powder is exposed to electromagnetic radiation. In 3D Printing, the powder is deposited and then a binder is selectively deposited. In a mask based process, the powder is deposited and then the powder is exposed to electromagnetic radiation through a mask. In Laser Engineered Net Shaping, the powder is entrained in a gas jet at the same time as the energy beam is applied.
Disclosure of Invention
Technical Problem
[6] Conventional powder-based materials currently used in powder-based additive manufacturing processes are typically precipitated from solution or ground from pellets. Both methods are expensive and work only with a limited number of polymers. Additive packages are substantially limited in some cases to being only thinly coated layers applied by means of mechanical mixing or coating. These limits, result in corresponding limits in the types of polymeric materials that may be used with commercial success in powder-based additive manufacturing processes. As such, there is a need for new powder-based materials that increase the type and variety of polymeric materials used in powder-based additive manufacturing processes.
Technical Solution
[7] This invention is directed to powder-based materials for use in powder-based
additive manufacturing processes. As discussed below, the powder-based materials include multi-component micro-pellets, which increase the type, variety and combinations of polymer materials that can be successfully used in powder-based additive manufacturing processes.
[8] The powder-based materials may be used in any suitable powder-based additive manufacturing process. Examples of suitable powder-based additive manufacturing processes include selective laser sintering, selective inhibition sintering, high speed sintering, and other 3D printing processes that constract parts using deposited powders as a feed material in an additive layer-by-layer manner, including mask based sintering process. For example, the powder-based materials may be used in a selective laser sintering system, such as disclosed in Deckard, U.S. Patent No. 5,132, 143.
[9] The process for manufacturing the powder-based materials of this invention
involves forming multi-component fibers from multiple polymer pellets, and then reducing the size of the fibers (e.g., cutting the fibers) to form micro-pellets. In one embodiment, the process includes the steps disclosed in Deckard, U.S. Patent No. 7,794,647, which is incorporated by reference.
[10] As shown in FIG. 1 , the process for manufacturing the powder-based materials initially involves converting multiple polymer feed materials, such as feed materials 10 and 12, into one or more fibers having a shell-core arrangement. For example, feed materials 10 and 12, which may be polymer pellets, may be co-extruded to form fiber 14 having shell portion 16 and core portion 18. In the shown example, feed materials 10 and 12 are compositionally different from each other, where feed material 10 is used to form shell portion 16, and feed material 12 is used to form core portion 18. In alternative embodiments, the shell-core fibers may be derived from three or more feed materials.
[11] The step of converting feed materials 10 and 12 into fiber 14 include the sub-steps of spinning (i.e., extruding and solidifying the polymers), and optionally, drawing fiber 14, which consists of stretching fiber 14 to orient the polymeric molecular structure. Fiber 14 may also be heat set, which crystallizes the polymers at a controlled temperature while allowing a controlled amount of contraction in the axial dimension.
[12] Controlling the parameters while creating fiber 14 from pellets 10 and 12 allows a manufacturer to control the development of the microstructure of the polymers in shell portion 16 and in core portion 18. Many properties of the resulting fiber 14 are dependent on the final the microstructure of fiber 14, including, but not limited to, the melting behavior of the polymers. Controlling the melting behavior of the polymers effectively increase the range of the temperature window of the Selective Laser Sintering process. A larger temperature window leads to a more forgiving process, higher yields, better 3D objects, and better throughput.
[13] Suitable average diameters for fiber 14, referred to as diameter 20, range from
about 10 microns to about 250 microns. In some embodiments, shell portion 16 at least partially encases core portion 18. In further embodiments, shell portion 16 completely encases core portion 18. In one embodiment, shell portion 16 has an average volume ranging from about 5% to about 50% of an average volume of fiber 14.
・・・省略・・・
[17] After fiber 14 is formed, micro-pellets 22 may then be formed from fiber 14 with a
size-reducing process. In one embodiment, fiber may be size reduced by cutting fiber 14 to lengths, as illustrated by cut lines 24 along fiber 14, creating substantially- cylindrical shaped micro-pellets 22, each having a ratio between the length of the micro-pellet 22 (referred to as length 26) and the diameter of the micro-pellet 22 (same as diameter 20). Examples of suitable ratios between length 26 and diameter 20 range from about 1:2 to about 3:1.
[18] In some embodiments, micro-pellets 22 may be tumbled as an additional step to round the edges of micro-pellets 22. In other embodiments, rounding may be accomplished by other mechanical means.
・・・省略・・・
Advantageous Effects
[22] Another aspect of this invention is better control of the size and size distribution of the resulting micro-pellets 22. By selecting appropriate combinations of fiber diameter 20 and cutting aspect ratio as defined above, the resulting size of micro-pellets 22 can be closely controlled. The quality and mechanical properties of 3D objects created by using polymers in powder-based additive manufacturing processes have been shown to be dependent on the size and size distribution of the powders used in the process. This invention allows for good customization and control of both the size of the resulting micro-pellets 22 and their size distribution. In one embodiment, a single modal size distribution is used. In another embodiment, a bi-modal or higher size distribution is used.
[23] As discussed above, the materials of shell portions 1 and 28 (shell material) and core portions 18 and 30 (core material) are compositionally different. In some embodiments, the core and shell materials each include one or more semi-crystalline base polymers and, optionally, one or more additives. For example the one or more additives or modifiers may be incorporated in varying amounts to modify the mechanical, electrical, magnetic, thermodynamic, processing aesthetic or biocompatibilitv properties of the base polymers. . In alternative embodiments, the core and shell materials each include one or more amorphous base polymers and, optionally, one or more additives.
[24] Examples of suitable semi-crystalline base polymers for use in each of the core and shell materials include polyamides, polyethylenes, polypropylenes,
polyetheretherketones, polyoxymethylene acetals, polytetrafluoroethylenes, polypheneylene sulfides, polybutylene terephthalates, copolymers thereof, and combinations thereof. Suitable polyamides include aliphatic nylon polyamides, such as nylon 6, nylon 6-6, nylon 6-10, nylon 6-12, nylon 10, nylon 10-10, nylon 11, nylon 12, and combinations thereof.
・・・省略・・・
[29] These types of melting point modifications are desirable in semi-crystalline polymers intended for use in powder-based additive manufacturing processes since they allow step-wise or two-stage re-crystallization of the materials. This minimizes shrinkage of the process build bed, both prior to the beginning of the build, when the process bed is being brought up to temperature, and after the commencement of the build. The higher strength and higher temperatures semi-crystalline powders such as polyetheretherketone have proven difficult to process using the powder-based additive manufacturing process because of their higher shrinkage rates. As such, two-stage crystallization desirably reduces distortions, internal stress and cracking when processing the higher strength, higher temperature semi-crystalline polymers. In an alternative embodiment, the core and shell materials may be reversed to have the nucleated polymer in the core portions 18 and 30 and the non-nucleated polymer in the shell portions 16 and 28.」
訳「 詳細な説明
積層造形プロセスで使用するための材料
技術分野
[1] 本開示は、積層造形プロセスで使用するための材料に関する。特に、本開示は、粉末ベースの付加造形プロセスで使用するための材料に関する。
[2] 積層造形は、層ごとに物体を構築することによってコンピュータモデルから固体の3次元(3D)物体を製造するいくつかのプロセスから構成される。粉末ベースの付加造形プロセスで、粉末を消耗品として使用し、粉末は堆積され、その後に変性される。例えば、粉末の層を堆積させた後、電磁波への選択的な曝露、または液体の選択的な堆積、それに続く電磁波への曝露、または電子ビームヘの曝露によって変性することができる。
[3] 粉末を用いた積層造形プロセスの一例として、選択的レーザー焼結プロセスがある。選択的レーザー焼結プロセスでは、使用するポリマー系の融点よりわずかに低い温度に保持された熱制御されるプロセスチャンバー内で、部品が1層ずつ構築される。レーザービームは粉末層の表面でラスタースキャンされ、オンとオフを繰り返しながら、ポリマー粉末粒子を選択的に焼結または融合し、3D CAD画像を粉末層の厚さと同じ厚さのプロファイルスライスに変換したコンピューターで定義された形状にする。
・・・省略・・・
[5] 選択的ビーム焼結では、 粉末を堆積させた後、 指向性のあるエネルギービームを走査する。エネルギービームはレーザーが最も一般的であるが、電子ビームも使用される。選択的阻害焼結では、粉末を堆積させ、焼結阻害剤を選択的に堆積させた後、電磁波に曝す。高速焼結では、粉末を堆積させた後選択ビーム焼結では、粉末を堆積させた後、指向性のあるエネルギービームを走査する。エネルギービームは、最も一般的ではあるが、電子ビームも使用される。選択的阻害焼結では、粉末を堆積し、焼結抑制剤は、選択的に堆積し、粉末を電磁放射線に暴露される。高速焼結では、粉末を堆積させた後、放射線吸収液を選択的に堆積させ、その後、粉末に電磁波を照射する。3Dプリンティングでは、 粉末を堆積させた後、バインダーを選択的に堆積させる。マスクベースのプロセスでは、粉末を堆積した後、マスクを介して粉末に電磁波を照射する。レーザーエンジニアリングネットシェイピングでは、エネルギービームを照射すると同時に、気体ジェットにより粉末を巻き込む。
技術的課題
[6] 現在、粉末ベースの積層造形プロセスで使用されている従来の粉末ベースの材料は、通常、溶液から沈殿させるか、ペレットから粉砕して使用する。どちらの方法も高価であり、限られた数のポリマーにしか使えない。添加剤パッケージは、場合により、機械的な混合またはコーティングという手段によって適用される、薄くコーティングされた層にすぎないことに実質的に制限されている。これらの制限は、結果として、粉末ベースの付加造形プロセスにおいて商業的成功をもって使用され得るポリマー材料の種類における対応する制限となる。このように、粉末ベースの積層造形プロセスで使用される高分子材料の種類と多様性を増加させる新しい粉末ベース材料が必要とされている。
[7] 本発明は、粉末を用いた積層造形プロセスで使用される粉末材料に関するものである。後述するように、粉末ベース材料は、多成分マイクロペレットを含み、粉末ベースの付加造形プロセスでうまく使用できるポリマー材料の種類、多様性および組合せを増加させる。
[8] 粉末ベース材料は、任意の適切な粉末ベースの積層造形プロセスで使用することができる。 好適な粉末ベースの積層造形プロセスの例は、選択的レーザー焼結、選択的阻害焼結、高速焼結、およびマスクベースの焼結プロセスを含めた堆積した粉末を供給材料として付加的に層ごとに使用して部品を構築するその他の3D印刷プロセスなどを含む。例えば、粉末ベース材料は、Deckard、米国特許第5,132,143号に開示されるような選択的レーザー焼結システムで使用することができる。
[9] 本発明の粉末ベース材料を製造するプロセスは、複数のポリマーペレットから多成分繊維を形成し、次いで繊維のサイズを小さくして(例えば、繊維を切断して)、マイクロペレットを形成することを含む。一実施形態では、このプロセスは、米国特許第7,794,647号のDeckardに開示されたステップを含み、これは参照することにより組み込まれる。
[10] 図1に示すように、粉末ベース材料を製造するためのプロセスは、最初に、供給材料10および12のような複数のポリマー供給材料を、シェル−コア配列を有する1つまたは複数の繊維に変換することを含む。例えば、ポリマーペレットであってもよい供給材料10および12は、シェル部分16およびコア部分18を有する繊維14を形成するために共押出しされてもよい。 図に示した例では、供給材料10および12は互いに組成が異なっており、供給材料10はシェル部分16を形成するために使用され、供給材料12はコア部分18を形成するために使用される。代替的な実施形態では、シェル−コア繊維は、3つ以上の供給材料に由来していてもよい。
[11] 供給材料10および12を繊維14に変換するステップは、紡糸(すなわち、ポリマーを押し出し、固化する)のサブステップ、および任意で、繊維14を延伸するステップを含む。これは、ポリマー分子構造を配向させるために繊維14を延伸することからなる。繊維14はまた、ヒートセットされてもよく、これにより軸方向寸法で制御された収縮量を可能にしながら、制御された温度でポリマーが結晶化される。
[12] ペレット10および12から繊維14を作成する間にパラメータを制御することにより、製造業者は、シェル部分16およびコア部分18におけるポリマーの微細構造の発達を制御することができる。得られる繊維14の特性の多くは、繊維14の最終的な微細構造に依存し、これはポリマーの溶融特性を含むが、これに限定されるものではない。ポリマーの溶融特性を制御することで、選択的レーザー焼結プロセスの温度ウィンドウの範囲を効果的に拡大することができる。温度ウィンドウを大きくすることで、より寛容なプロセス、より高い歩留まり、より優れた3D物体、およびより良いスループットを実現することができる。
[13] 繊維14の適切な平均直径は、 直径20と呼ばれ、約10ミクロンから約250ミクロンまでの範囲にある。いくつかの実施形態では、シェル部分16は、少なくとも部分的にコア部分18を包む。さらなる実施形態では、シェル部分16は、コア部分18を完全に包む。一実施形態では、シェル部分16は、繊維14の平均体積の約5%〜約50%の範囲の平均体積を有する。
・・・省略・・・
[17] 繊維14が形成された後、マイクロペレット22は、次に、サイズ減少プロセスで繊維14から形成されてもよい。一実施形態では、繊維は、繊維14に沿って切断線24によって示されるような長さに繊維14を切断することによってサイズ減少されてもよく、それぞれがマイクロペレット22の長さ(長さ26と呼ばれる)とマイクロペレット22の直径(直径20と同じ)の間の比を有する実質的に円箇形のマイクロペレット22を形成している。長さ26と直径 20との間の好適な比の例は、約1:2から約3:1の範囲である。
[18] いくつかの実施形態では、マイクロペレット22は、 マイクロペレット22のエッジを丸めるために追加のステップとしてタンブリングされてもよい。他の実施形態では、丸みは、他の機械的手段によって達成されてもよい。
・・・省略・・・
[22] 本発明の別の側面は、得られるマイクロペレット22のサイズおよびサイズ分布のより良い制御である。上で定義したような繊維径20と切断アスペクト比の適切な組み合わせを選択することによって、得られるマイクロペレット22のサイズを厳密に制御することができる。粉末を用いた積層造形プロセスでポリマを用いて作成された3D物体の品質および機械的特性は、プロセスで使用される粉末のサイズおよびサイズ分布に依存することが示されている。本発明は、得られるマイクロペレット22のサイズとそのサイズ分布の両方を良好にカスタマイズおよび制御することを可能にする。一実施形態では、シングルモードのサイズ分布が使用される。別の実施形態では、バイモーダルまたはより高いサイズ分布が使用される。
・・・省略・・・
[24] コア材料およびシェル材料の各々に使用するのに適した半結晶性ベースポリマーの例には、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオキシメチレンアセタール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリブチレンテレフタレート、それらのコポリマー、およびそれらの組み合わせが含まれる。好適なポリアミドは、脂肪族ナイロンポリアミド、例えばナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン10、ナイロン10−10、ナイロン11、ナイロン12、およびこれらの組合せが挙げられる。
・・・省略・・・
[29] これらのタイプの融点修正は、材料を段階的に、または2段階で再結晶することを可能にするので、粉末ベースの積層造形プロセスで使用することを意図した半結晶性ポリマーにとって望ましい。これにより、プロセス床の温度を上昇させる造形の開始前と造形開始後の両方において、プロセス造形床の収縮を最小限に抑えることができる。ポリエーテルエーテルケトンなどの高強度・高温の半結晶粉末は、収縮率が高いため、粉末ベースの積層造形プロセスを用いて加工することが困難であることが判明している。このように、2段階結晶化は、望ましくは、より高い強度、より高い温度の半結晶性ポリマーを処理する際に、歪み、内部応力、およびクラックを低減する。代替的な実施形態では、コアおよびシェル材料は、コア部分18および30に核生成ポリマーを有し、シェル部分16および28に非核生成ポリマーを有するよう、逆の構成にしてもよい。」

イ 「 Claims
[1] A consumable micro-pellet for use in a powder-based additive manufacturing system, the consumable micro-pellet characterized by a core portion extending along a longitudinal length of the consumable micro-pellet, the core portion compositionally comprising a first thermoplastic material and a shell portion extending along the longitudinal length of the consumable micro-pellet and at least partially encasing the core portion, the shell portion compositionally comprising a second thermoplastic material that is different from the first thermoplastic material, characterized by the consumable micro-pellet having an average cross-sectional diameter ranging from 10 microns to 250 microns, an average ratio between the length of the micro-pellet and the diameter of the micro-pellet that ranging from 1 :2 to 3: 1 , and further characterized by the consumable micro-pellet being configured to be melted and used to form a plurality of solidified layers of a three-dimensional object, the layers at least partially retaining cross-sectional profiles corresponding to the core portion and the shell portion of the consumable micro-pellets.」
訳「 請求項
[1]消耗マイクロペレットの長手方向長さに沿って延在する第1の熱可塑性材料とシェル部とコア部を被覆する少なくとも部分的に、シェル部は、第1の熱可塑性材料とは異なる第2の熱可塑性材料は、10ミクロン?250ミクロン、マイクロペレットの長さとマイクロペレットの直径と平均比が1:2?3:1の範囲であり消耗マイクロペレットによって特徴付けされてさらに消耗マイクロペレットを溶融するように構成されたことを特徴とし、3次元オブジェクトの凝固した複数の層を形成するために使用される、層はコア部分に相当する断面プロファイル及び消耗マイクロペレットの胴部を保持する少なくとも部分的に含む組成を備えることを特徴とする[1]粉末系添加剤製造システムの消耗マイクロペレット、消耗マイクロペレットの長手方向長さに沿って延びるコア部分を特徴と消耗マイクロペレット、コア部組成。」

ウ 図1


(2)甲6発明及び甲6方法発明
甲6において、[7]には、「粉末を用いた積層造形プロセスで使用される粉末材料に関するものである。」及び「粉末ベース材料は、多成分マイクロペレットを含み」と記載され、[8]には、「好適な粉末ベースの積層造形プロセスの例は、・・・3D印刷プロセスなどを含む。」と記載されている。上記記載から、甲6において、図1と図1に対応する[10]〜[13]及び[17]に記載された「マイクロペレット」は、「3D印刷プロセス」に用いられる「粉末ベース材料」に含まれるものである。
また、甲6の[24]には、「コア材料およびシェル材料の各々に使用するのに適した半結晶性ベースポリマーの例には、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオキシメチレンアセタール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリブチレンテレフタレート、それらのコポリマー、およびそれらの組み合わせが含まれる。好適なポリアミドは、脂肪族ナイロンポリアミド、例えばナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン10、ナイロン10−10、ナイロン11、ナイロン12、およびこれらの組合せが挙げられる。」と記載されていることから、甲6の「コア部分」及び「シェル部分」は、「半結晶性ベースポリマー」であるといえる。
そうすると、甲6には、「マイクロペレット」の発明として、次の発明(以下「甲6発明」という。)が記載されている。
なお、「3D印刷プロセス」は、甲6の[2]に記載された「3次元(3D)物体を製造する・・・プロセス」であるといえるので、「3D印刷プロセス」を「3次元物体を製造する」方法に用語を統一した。

「3次元物体を製造する方法に用いられる粉末ベース材料に含まれるマイクロペレットであって、
供給材料10および12は、シェル部分16およびコア部分18を有する繊維14を形成するために共押出しされ、供給材料10および12は互いに組成が異なっており、供給材料10はシェル部分16を形成するために使用され、供給材料12はコア部分18を形成するために使用され、シェル部分16およびコア部分18を有する繊維14を形成し、繊維14が形成された後、繊維14を切断することによって形成した円箇形のマイクロペレットであって、シェル部分およびコア部分は半結晶性ポリマーである、マイクロペレット。」

また、甲6には、「3次元物体を製造」する方法の発明として、次の発明(以下「甲6方法発明」という。)が記載されている。
「3次元物体を製造する方法であって、
3次元物体を製造する方法に用いられる粉末ベース材料に含まれるマイクロペレットであって、
供給材料10および12は、シェル部分16およびコア部分18を有する繊維14を形成するために共押出しされ、供給材料10および12は互いに組成が異なっており、供給材料10はシェル部分16を形成するために使用され、供給材料12はコア部分18を形成するために使用され、シェル部分16およびコア部分18を有する繊維14を形成し、繊維14が形成された後、繊維14を切断することによって形成した円箇形のマイクロペレットであって、シェル部分およびコア部分は半結晶性ポリマーである、マイクロペレットを用いて3次元物体を製造する方法。」

(3)本件特許発明1について
ア 対比
本件特許発明1と甲6発明とを対比する。
甲6発明は、「3次元物体を製造する方法に用いられる粉末ベース材料に含まれるマイクロペレットであって、シェル部分およびコア部分は半結晶性ポリマーである」という構成を備える。
上記構成からみて、甲6発明の「マイクロペレット」は、本件特許発明1の「樹脂粉末」に相当する。
また、上記構成からみて、甲6発明の「マイクロペレット」は、「3次元物体」用であって、立体造形用であることは、明らかである。

イ 一致点
上記アによると、本件特許発明1と甲6発明は次の点で一致する。
「立体造形用樹脂粉末。」

ウ 相違点
本件特許発明1と甲6発明は次の点で相違する。

<相違点6−1>
「立体造形用樹脂粉末」について、本件特許発明1は、「1種類の樹脂からなる」のに対して、甲6発明の「マイクロペレット」は、「供給材料10および12は、シェル部分16およびコア部分18を有する繊維14を形成するために共押出しされ、供給材料10および12は互いに組成が異なっており、供給材料10はシェル部分16を形成するために使用され、供給材料12はコア部分18を形成するために使用され、シェル部分16およびコア部分18を有する繊維14を形成し、繊維14が形成された後、繊維14を切断することによって形成した」ものである点。

<相違点6−2>
「立体造形用樹脂粉末」について、本件特許発明1は、「前記立体造形用樹脂粉末の50%累積体積粒径が20μm以上であり、かつ柱体粒子を含み、前記柱体粒子の平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.83以上である」のに対して、甲6発明の「マイクロペレット」は、この点が明らかでない点。

エ 判断
事案に鑑み、上記相違点6−1について検討する。
甲6発明は、「供給材料10および12は、シェル部分16およびコア部分18を有する繊維14を形成するために共押出しされ、供給材料10および12は互いに組成が異なって」いる。そうすると、甲6発明は、シェル部分16とコア部分18とを異なる材料とするものである。
また、甲6の特許請求の範囲の請求項1においても、「消耗マイクロペレットの長手方向長さに沿って延在する第1の熱可塑性材料とシェル部とコア部を被覆する少なくとも部分的に、シェル部は、第1の熱可塑性材料とは異なる第2の熱可塑性材料」と記載されているように、甲6には、シェル部分16とコア部分18とを異なる材料とすることを必須の構成とする技術事項が記載されているのであって、シェル部分16とコア部分18とを同一の樹脂からなるようにすることは、記載も示唆もされていない。さらに、甲6発明において、シェル部分16とコア部分18とを同一の樹脂からなるようにすることを動機づけるような記載は、他の甲号証になく、周知技術であるともいえない。
したがって、当業者であっても、甲6発明において上記相違点6−1に係る本件特許発明1の構成とすることが容易に想到し得たとはいえない。

オ 小括
以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、当業者であっても、本件特許発明1は、甲6発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

(4)本件特許発明2〜10について
本件特許発明2〜10は、本件特許発明1の構成を全て備えるものであるから、本件特許発明2〜10も、本件特許発明1と同じ理由により、当業者であっても、甲6発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

(5)本件特許発明11について
本件特許発明11と甲6方法発明とを対比すると、本件特許発明11と甲6方法発明とは、少なくとも上記相違点1と同様の点で相違する。そうすると、本件特許発明11も、本件特許発明1と同じ理由により、当業者であっても、甲6方法発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

2 令和4年12月19日付け取消理由通知書により特許権者に通知していない他の異議申立の理由について
(1)甲1を主引例とした場合の新規性及び進歩性について
ア 甲1の記載
甲1には、以下の事項が記載されている。なお、下線は、当合議体が付したもので発明の認定に用いた。また、当合議体で翻訳した。

(ア)「[0001] The disclosures herein relate in general to powder based additive manufacturing, and in particular to a method and system for heat induced sintering or melting with pretreated material for additive manufacturing.
[0002] A commercial used method for powder based additive manufacturing is selective laser sintering ("SLS") processing. This process is useful for solid freeform fabrication of three- dimensional objects. For SLS processing, viable materials include polymers (e.g., nylon type materials). Nevertheless, a wider range of such materials is desired.」
訳「[0001] 本開示は、一般に、粉末に基づく付加製造に関し、特に、付加製造用の前処理された材料を用いた熱に誘導される焼結または溶融のための方法およびシステムに関する。
[0002] 粉末に基づいた付加製造に関して商業的に使用される方法の1つは、選択的レーザー焼結(「SLS」)処理である。この方法は、3次元の物体を固体で自由形状に製造するために有用である。SLS処理の場合、実施可能な材料としては、ポリマー(たとえば、ナイロンタイプの材料)が挙げられる。しかしながら、より広い範囲のこのような材料が望まれている。」

(イ)「[0052] As a first example, in a closed vessel under nitrogen atmosphere, the system 500 pretreated a sample of ARKEMA ORGASOL lot 265 ("ORGASOL 2003 Sample") material, which is ARKEMA ORGASOL 2003 material. ARKEMA ORGASOL 2003 material is a nylon-12 powder available from ARKEMA Corporation of France.
・・・省略・・・
[0055] As shown in FIG. 8 and the table above, such pretreatment of the ORGASOL 2003 Sample material causes its melting behavior to approach the EOS PA2201 Sample material's melting behavior, so that such pretreated ORGASOL 2003 Sample material is more suitable for SLS processing.
・・・省略・・・
[0056] Furthermore, in comparison to the EOS PA2201 Sample material, such pretreated ORGASOL 2003 Sample material appears to have an additional advantage in the shape of its melting curve.
・・・省略・・・」
訳「[0052] 第1の例として、窒素雰囲気下の密閉容器中、システム500によって、ARKMEMA ORGASOL 2003材料であるARKMEMA ORGASOL lot 265のサンプル(「ORGASOL 2003サンプル」)材料の前処理を行った。ARKMEMA ORGASOL 2003材料は、仏国のARKMEMA Corporationより入手可能なナイロン12粉末である。
・・・省略・・・
[0055] 図8および上記の表に示されているように、ORGASOL 2003サンプル材料をこのように前処理することによって、その溶融挙動はEOS PA2201サンプル材料の溶融挙動に近いものとなり、それによって、このように前処理したORGASOL 2003サンプル材料はSLS処理にとって、より好適なものとなる。
・・・省略・・・
[0056] さらに、EOS PA2201サンプル材料と比較すると、このように前処理したORGASOL 2003サンプル材料は、その溶融曲線の形状においてさらなる利点を有するようになる。」

イ 甲1発明及び甲1方法発明
甲1には、3次元の物体を固体で自由形状に製造するための粉末に基づく付加製造用としてARKMEMA ORGASOL 2003であるナイロン12粉末が記載されている。
そうすると、甲1には、3次元の物体を固体で自由形状に製造するための粉末の発明として、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。
「3次元の物体を固体で自由形状に製造するためのARKMEMA ORGASOL 2003材料であるナイロン12粉末。」

また、甲1には、3次元の物体を製造する方法の発明として、次の発明(以下「甲1方法発明」という。)が記載されている。
「ARKMEMA ORGASOL 2003材料であるナイロン12粉末を用いて3次元の物体を固体で自由形状に製造する方法。」

ウ 本件特許発明1について
(ア)対比
本件特許発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「ARKMEMA ORGASOL 2003材料であるナイロン12粉末」は、技術的にみて、本件特許発明1の「樹脂粉末」に相当する。
また、甲1発明が1種類の樹脂からなることは、明らかである。さらに、甲1発明の「ARKMEMA ORGASOL 2003材料であるナイロン12粉末」は、「3次元の物体を固体で自由形状に製造するための」粉末であるから、立体造形用であることは、明らかである。
そうしてみると、甲1発明は、本件特許発明1の「1種類の樹脂からなる立体造形用」との要件を満たす。

(イ)一致点
上記(ア)によると、本件特許発明1と甲1発明は次の点で一致する。
「1種類の樹脂からなる立体造形用樹脂粉末。」

(ウ)相違点
本件特許発明1と甲1発明は次の点で相違する。

<相違点1>
「立体造形用樹脂粉末」について、本件特許発明1は、「前記立体造形用樹脂粉末の50%累積体積粒径が20μm以上であり、かつ柱体粒子を含み、前記柱体粒子の平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.83以上である」のに対して、甲1発明の「ARKMEMA ORGASOL 2003材料であるナイロン12粉末」は、この点が明らかでない点。

(エ)判断
上記相違点1について検討する。
甲3には、甲1発明で用いられている「ARKMEMA ORGASOL 2003材料であるナイロン12粉末」について、50%累積体積粒径や平均円形度が示されている。しかしながら、甲1発明の「ARKMEMA ORGASOL 2003材料であるナイロン12粉末」が「柱体粒子」であることは示されておらず、甲3を参酌しても、上記相違点1は実質的な差異である。
そして、甲1において、上記相違点1に係る構成については記載も示唆もなく、甲1発明において、上記相違点1に係る構成を採用することは、他の甲号証にも記載されておらず、周知技術であるともいえない。
したがって、当業者であっても、甲1発明において上記相違点1に係る本件特許発明1の構成とすることが容易に想到し得たとはいえない。

(オ)小括
以上のことから、本件特許発明1は、甲1発明であるとはいえない。また、本件特許発明1は、当業者であっても、甲1発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

エ 本件特許発明2〜10について
本件特許発明2〜10は、本件特許発明1の構成を全て備えるものであるから、本件特許発明2〜7は、本件特許発明1と同じ理由により、甲1発明であるとはいえない。また、本件特許発明2〜10は、当業者であっても、甲1発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

オ 本件特許発明11について
本件特許発明11と甲1方法発明とを対比すると、本件特許発明11と甲1方法発明とは、少なくとも上記相違点1と同様の点で相違する。そうすると、本件特許発明11も、本件特許発明1と同じ理由により、甲1方法発明であるとはいえず、また、当業者であっても、甲1方法発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

(2)甲4を主引例とした場合の新規性及び進歩性について
ア 甲4の記載
甲4には、以下の事項が記載されている。なお、下線は、当合議体が付したもので発明の認定に用いた。また、当合議体で翻訳した。

(ア)「Selective laser sintering (SLS) of polymer powders is one component of the 'layer upon layer' based additive production techniques, occasionally considered as part of the next industrial revolution.2 Space-resolved solidification of polymer powders with high-energy laser opens countless opportunities to produce customized parts with great freedom of complexity.3 However, there are still some drawbacks obstructing a broader acceptance of SLS in many industries. One important issue is the limited number of available polymer powders processable by SLS. Conventional polymer processing techniques (e.g., injection molding or extrusion) have access to thousands of different recipes composed of several dozen basic polymers.4 For SLS treatment just handful different formulas are provided so far and almost all of them are based on polyamide 12 (PA12).5 A brief overview over the presently most common PA12 types on the SLS market is given in Table I.」(第1824頁左欄第16行〜右欄第8行)
訳「ポリマー粉末の選択的レーザー焼結(SLS)は、「レイヤー・オン・レイヤー」ベースの積層造形技術の1構成要素であり、次の産業革命の一部と考えられている。高エネルギーレーザーによるポリマー粉末の空間−解像固化は、非常に複雑なカスタマイズ部品を製造するための無数の機会を提供する。しかし、産業界でSLSが広く受け入れられるには、まだいくつかの欠点がある。重要な問題の1つは、SLSで加工可能なポリマー粉末の数が限られることである。従来のポリマー加工技術(たとえば射出成形や押出成形)では、数十種類の基本ポリマーからなる数千種類のレシピを利用することができる。SLS処理用に提供されている処方のほんの一握りであり、そのほとんどすべてがポリアミド12(PA12)をベースにしている。表Iには、SLS市場で現在最も一般的なPA12の種類が簡単に説明されている。」

(イ)「TABLE I. Most common PA12 powders used in SLS technology.」(第1825頁表I)
訳「表I SLS技術で最も一般的なPA12粉末」

(ウ)「D. Particle
Shape and surface of the single particles determine the behavior of the resulting powder to a great extent.17 In case of SLS powders, the particles should be spherical at least as attainable. This is to induce an almost free-flowing behavior and is necessary as SLS powders are distributed on the part bed of an SLS machine by roller or blade systen1S and will not be additionally compacted. The achievable SLS part density is directly linked to powder density in part bed and is thus coupled to the shape of particles and their free-flowing behavior. Figure 3 depicts some particle forU1S achievable by different powder generation processes.」(第1826頁右欄第30行〜第40行)
訳「 個々の粒子の形状と表面は、得られる粉末の挙動を大きく左右する。SLS粉末の場合、粒子は可能な限り球状であることが望ましい。これは、SLS粉末がローラーまたはプレードシステムによってSLS機の造形床に供給され、追加で圧縮されることがないことから、ほぼ自由流動挙動を引き起こすために必要である。達成可能なSLS部品密度は、造形床内の粉末密度に直接関連しており、また、粒子の形状とその自由流動挙動に関連している。図3は、さまざまな粉末生成プロセスにより達成可能な粒子形状を示したものである。」

(エ)「FIG.3 Particle shapes attainable by different production technology
・・・図略・・・
・・・省略・・・ potato shape particle ・・・省略・・・」(第1826頁)
訳「図3 様々な生成プロセスにより達成可能な粒子形状
・・・図略・・・
・・・省略・・・ じゃがいも型粒子 ・・・省略・・・」

(オ)「E. Powder
SLS powders should present a certain particle size distribution (PSD) to be operated on SLS equipment. The distribution is favorably between 20 μm and 80 μm for commercial system. 」(第1827頁左欄第11行〜第15行)
訳「E. 粉末
SLS粉末は、SLS装置で使用するために所定の粒度分布(PSD)を有している必要がある。市販の装置では20μmから80μmが好ましいとされている。」

(カ)「Figure 8 provides an overview over the three most frequently applied PA12 powders for SLS processing conceming optical appearance, particle distribution (volumeand number PSD), and flowability. Duraform PA12 from company 3D-Systems and PA2200 from company EOS (Germany) is based upon the same basic powder produced by Evonik (trade name: VESTOSINT). Orgasol powder is independent from this source and produced with a polymerization process'emulsion polymerization'. This approach allows controlling the particle shape in a very precise manner. The differences can be observed from the particle pictures (Fig. 8, row 1). Powders based on VESTOSINT material have slightly disordered spherical shapes, frequently named'potato-shaped particles'. Slightly better regarcling sphericity are Orgasol particles; however, they are much on top concerning distribution. 」(第1829頁右欄第7行〜第23行)
訳「B. 粒子形状および粒径分布
図8は、SLS加工に最も頻繁に使用される3種類のPA12粉末について、光学的外観、粒径分布(体積平均および数平均のPSD)、および流動性の概要を示している。3D−System社のDuraform PA12とEOS社(ドイツ)のPA2200は、Evonik社(商品名:VESTOSINT)により製造された、同一の基本粉末をベースにしている。Orgasol粉末はこの供給元から独立しており、「乳化重合」という重合法により製造されている。この方法によれば、粒子の形状を非常に精密に制御することができる。この違いは、粒子の写真から確認することができる(図8、1列目)。VESTOSINT材料をベースにする粉末はわずかに乱れた球状をしており、しばしば「ジャガイモ型粒子」と呼ばれる。真球度に関してはOrgasol粒子がわずかに優れているが、分布に関してはOrgasolがはるかに上回っている。」

(キ)「FIG.8 Distribution of commercial SLS powders regarding particle size and flowability.」(第1830頁)
訳「図8 粒径および流動性に関する市販のSLS粉末の分布」

イ 甲4発明及び甲4方法発明
甲4には、「レイヤー・オン・レイヤー」ベースの積層造形技術の1構成要素である選択的レーザー焼結用のポリアミド粉末が用いられている。
そうすると、甲4には、「ポリマー粉末の選択的レーザー焼結(SLS)は、「レイヤー・オン・レイヤー」ベースの積層造形技術の1構成要素である選択的レーザー焼結用のポリアミド粉末。」(以下「甲4発明」という。)が記載されている。
また、甲4には、「選択的レーザー焼結用のポリアミド粉末を用いて「レイヤー・オン・レイヤー」ベースの積層造形技術により部品を製造する方法。」(以下「甲4方法発明」という。)が記載されている。
なお、「SLS」を「選択的レーザー焼結」に、「PA12」を「ポリアミド」に、それぞれ用語を統一して用いた。

ウ 本件特許発明1について
(ア)対比
本件特許発明1と甲4発明とを対比する。
甲4発明の「ポリアミド粉末」は、技術的にみて、本件特許発明1の「樹脂粉末」に相当する。
また、甲4発明が1種類の樹脂からなることは、明らかである。さらに、甲4発明の「ポリアミド粉末」は、「「レイヤー・オン・レイヤー」ベースの積層造形技術の1構成要素である選択的レーザー焼結用」であり、「積層造形技術の1構成要素である選択的レーザー焼結用」が立体造形用であることは、明らかである。
そうしてみると、甲4発明は、本件特許発明1の「1種類の樹脂からなる立体造形用」との要件を満たす。

(イ)一致点
上記(ア)によると、本件特許発明1と甲4発明は次の点で一致する。
「1種類の樹脂からなる立体造形用樹脂粉末。」

(ウ)相違点
本件特許発明1と甲4発明は次の点で相違する。

<相違点4>
「立体造形用樹脂粉末」について、本件特許発明1は、「前記立体造形用樹脂粉末の50%累積体積粒径が20μm以上であり、かつ柱体粒子を含み、前記柱体粒子の平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.83以上である」のに対して、甲4発明の「ポリアミド粉末」は、この点が明らかでない点。

(エ)判断
上記相違点4について検討する。
甲4には、粉末を柱体とすることは記載も示唆もされていない。むしろ、第1826頁の図3の下側及び第1829頁左下欄下から第3行に「じゃがいも型粒子」と記載されている。したがって、上記相違点4は実質的な差異である。
また、甲4において、上記相違点4に係る構成を採用することは、他の甲号証にも記載されておらず、周知技術であるともいえない。
したがって、当業者であっても、甲4発明において上記相違点4に係る本件特許発明1の構成とすることが容易に想到し得たとはいえない。

(オ)小括
以上のことから、本件特許発明1は、甲4発明であるとはいえない。また、本件特許発明1は、当業者であっても、甲4発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

エ 本件特許発明2〜10について
本件特許発明2〜10は、本件特許発明1の構成を全て備えるものであるから、本件特許発明2〜7は、本件特許発明1と同じ理由により、甲4発明であるとはいえない。また、本件特許発明2〜10は、当業者であっても、甲4発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

オ 本件特許発明11について
本件特許発明11と甲4方法発明とを対比すると、本件特許発明11と甲4方法発明とは、少なくとも上記相違点4と同様の点で相違する。そうすると、本件特許発明11も、本件特許発明1と同じ理由により、甲4方法発明であるとはいえず、また、当業者であっても、甲4方法発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

(3)甲5を主引例とした場合の新規性及び進歩性について
ア 甲5の記載
甲5には、以下の事項が記載されている。なお、下線は、当合議体が付したもので発明の認定に用いた。また、当合議体で翻訳した。

(ア)「1 Zusammenfassung
Im Projekt 16111 N werden neue Werkstoffe fuer das Selektive Lasersintern (SLS) erforscht. Dazu werden Multifilamentgarne schmelzgesponnen, kurzgeschnitten und dem Lasersinterprozess zugefuehrt. Der Schmelzspinnprozess wird am Biopolymer Polylactid (PLA), an preisguenstigem Standardpolymer wie Polypropylen (PP) sowie technischen Polymeren wie Polyamid (PA) und Polyester (PET) durchgefuehrt. Der Spinnprozess wird mit hohen Spinngeschwindigkeiten und grossen Verzuegen so etabliert, dass hoch kristallines und stark orientiertes Fasermaterial mit hoher Kristallitschmelztemperatur entsteht.
Dies fuehrt dazu, dass ein erweitertes Temperaturfenster zwischen Aufschmelzen und Kristallisalion vorliegt, in dem die zwingend notwendige isotherme Prozessfuehrung mit Ausbildung eines Zwei-Phasen-Mischgebiets stattfindet. Es kann gezeigt werden, dass durch diese Art der Pulverherstellung neue Materialien verfuegbar werden, die zudem ein deutlich robusteres Prozessverhalten aufweisen koennen (z.B. PP oder PLA), als das momentan kommerziell eingesetzte Lasersinterpulver (z.B. auf Basis von PA12). 」(第4頁1行〜第14行)(当合議体注:o及びuのウムラウト並びにエスツェットは、それぞれ、oe及びue並びにssで代用した。)
訳「1 要約
本プロジェクト16111Nでは、選択的レーザー焼結(SLS)用の新材料を研究する。このために、マルチフィラメントヤーンを溶融紡糸し、ショートカットファイバーにしてレーザー焼結工程に供給する。溶融紡糸は、バイオポリマーであるポリラクチド(PLA)、ポリプロピレン(PP)などの安価な標準ポリマー、ポリアミド(PA)やポリエステル(PET)などの工業用ポリマーで実施される。紡糸工程は、高い紡糸速度と大きな歪みで確立され、高い結晶溶融温度を持つ高結晶・高配向の繊維素材を製造することができる。
これにより、溶融および結晶化の間の温度ウインドウが広がり、その中で二相混合領域の形成を伴う等温プロセス制御が行われる。このような粉末製造は、現在商業的に使用されているレーザ ー焼結用粉末(例:PA12ベース)よりも著しく堅牢なプロセス挙動を示すこともできる新材料(例:PPまたはPLA)を利用可能にすることを示すことができる。

(イ)「Tabelle 5.3: Betrachtetes Werkstoffspektrum」(第42頁)
訳「表5.3:検討材料の範囲」

(ウ)「In Abbildung 5-40 sind die unterschiedlichen Schnittergebnisse dargestellt.

」(第62頁)
訳「図5−40には様々な切断結果が示されている。(当合議体注:図は省略した。)」

イ 甲5発明及び甲5方法発明
甲5には、「選択的レーザー焼結用粉末のポリマー」として、「ポリラクチド(PLA)、ポリプロピレン(PP)などの安価な標準ポリマー、ポリアミド(PA)やポリエステル(PET)などの工業用ポリマー」が記載されている。
そうすると、甲5には、「ポリマーからなる選択的レーザー焼結用粉末。」(以下「甲5発明」という。)が記載されている。
また、甲5には、「ポリマーからなる選択的レーザー焼結用粉末を用いた製造方法。」(以下「甲5方法発明」という。)が記載されている。

ウ 本件特許発明1について
(ア)対比
本件特許発明1と甲5発明とを対比する。
甲5発明の「ポリマーからなる選択的レーザー焼結用粉末。」は、技術的にみて、本件特許発明1の「樹脂粉末」に相当する。
また、甲5発明の「選択的レーザー焼結用」が立体造形用であることは、明らかである。
そうしてみると、甲5発明は、本件特許発明1の「立体造形用」との要件を満たす。

(イ)一致点
上記(ア)によると、本件特許発明1と甲5発明は次の点で一致する。
「立体造形用樹脂粉末。」

(ウ)相違点
本件特許発明1と甲5発明は次の点で相違する。

<相違点5−1>
「立体造形用樹脂粉末」について、本件特許発明1は、「1種類の樹脂からなる」のに対して、甲5発明の「ポリマーからなる選択的レーザー焼結用粉末」は、この点が明らかでない点。

<相違点5−2>
「立体造形用樹脂粉末」について、本件特許発明1は、「前記立体造形用樹脂粉末の50%累積体積粒径が20μm以上であり、かつ柱体粒子を含み、前記柱体粒子の平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.83以上である」のに対して、甲5発明の「ポリマーからなる選択的レーザー焼結用粉末。」は、この点が明らかでない点。

(エ)判断
事案に鑑み、上記相違点5−2について検討する。
甲5の第62頁の図5−40から、粉体が柱体であることが看取できるものの、甲5には、粉体が円柱等の円形度の高いものであることは記載も示唆もされていない。したがって、上記相違点5−2は実質的な差異である。
また、甲5において、上記相違点5に係る構成を採用することは、他の甲号証にも記載されておらず、周知技術であるともいえない。
したがって、当業者であっても、甲5発明において上記相違点5−2に係る本件特許発明1の構成とすることが容易に想到し得たとはいえない。

(オ)小括
以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲5発明であるとはいえない。また、本件特許発明1は、当業者であっても、甲5発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

エ 本件特許発明2〜10について
本件特許発明2〜10は、本件特許発明1の構成を全て備えるものであるから、本件特許発明2〜4、6及び7は、本件特許発明1と同じ理由により、甲5発明であるとはいえない。また、本件特許発明2〜10は、当業者であっても、甲5発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

オ 本件特許発明11について
本件特許発明11と甲5方法発明とを対比すると、本件特許発明11と甲5方法発明とは、少なくとも上記相違点5と同様の点で相違する。そうすると、本件特許発明11も、本件特許発明1と同じ理由により、甲5方法発明であるとはいえず、また、当業者であっても、甲5方法発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

(4)サポート要件違反について
本件特許発明は、「粉末層を形成する時に、粒子をより密に詰めることができ、得られる立体造形物の強度を向上するとともに、複雑かつ精細な立体造形物を簡便かつ効率よく製造することができ、更にリサイクル性にも優れる立体造形用樹脂粉末を提供すること」(本件特許明細書の【0007】)を課題とし、この課題を解決するために、「立体造形用樹脂粉末の50%累積体積粒径が20μm以上であり、かつ柱体粒子を含み、前記柱体粒子の平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.83以上である」ようにすることで、「粉末層を形成する時に、粒子をより密に詰めることができ、得られる立体造形物の強度を向上するとともに、複雑かつ精細な立体造形物を簡便かつ効率よく製造することができ、更にリサイクル性にも優れる立体造形用樹脂粉末を提供することができる」(本件特許明細書の【0009】)という効果を奏するものである。また、この効果は、本件特許明細書の【0139】の実施例と比較例との評価結果からも確認できる。
そうすると、本件特許発明において、立体造形用樹脂粉末の樹脂を特定したり立体造形法の方式を特定したりすることがなくても、本件特許発明は、課題を解決するための手段が特許請求の範囲に反映されているといえる。
したがって、本件特許発明は、サポート要件を満たしている。

(5)実施可能要件について
本件特許明細書の【0101】〜【0131】には、本件特許発明にかかる立体造形用樹脂粉末の実施例及び比較例が記載されていて、同【0132】〜【0139】にはそれらの物性や評価が記載されている。
そうすると、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、本件特許発明について、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載したものである。


第6 特許異議申立人の主張について
1 令和5年4月21日に提出された意見書について
(1)甲6について
特許異議申立人は、「立体造形用樹脂粉末が、1種類の樹脂からなるものに限定したところで、このような限定には何ら技術的意義はなく、課題の解決に貢献するものではない。」(第3頁)と主張している。
しかしながら、立体造形用樹脂粉末が、1種類の樹脂からなるものであっても2種以上を併用した場合であっても、立体造形用樹脂粉末が本件特許発明に係る構成を備えるものであれば本件特許明細書に記載された効果を奏すると認められ、容易想到性の判断に影響を及ぼすものではない。
したがって、上記主張は採用することができない。

(2)甲1について
特許異議申立人は、「ARKEMA ORGASOL 2003は、少なくとも本件特許発明1、5、7の構成要件を満たす樹脂粒子である。」(第5頁)と主張している。
しかしながら、上記第5「2(1)」で述べたとおりであり、上記主張は採用することができない。

2 令和5年4月21日に提出された意見書以外の特許異議申立書の主張について
(1)甲4について
特許異議申立人は、「本件特許発明1〜7、11は、甲第4号証に記載された発明であるから新規性がなく、本件特許発明8〜10は、甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから進歩性がない。」(第39頁)と主張している。
しかしながら、上記第5「2(2)」で述べたとおりであり、上記主張は採用することができない。

(2)甲5について
特許異議申立人は、「本件特許発明1〜4、6、7、11は、甲第5号証に記載された発明であるから新規性がなく、本件特許発明5、8〜10は、甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから進歩性がない。」(第42頁)と主張している。
しかしながら、上記第5「2(3)」で述べたとおりであり、上記主張は採用することができない。

(3)サポート要件について
特許異議申立人は、「本件特許発明1〜11は、サポート要件を満たしておらず、本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。」(第47頁)と主張している。
しかしながら、上記第5「2(4)」で述べたとおりであり、上記主張は採用することができない

(4)実施可能要件について
特許異議申立人は、「本件特許における発明の詳細な説明の記載は、本件特許発明1〜11について実施可能要件を満たしておらず、本件特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。」(第49頁)と主張している。
しかしながら、上記第5「2(5)」で述べたとおりであり、上記主張は採用することができない。


第7 むすび
本件特許1〜11は、取消理由通知書に記載した取消しの理由及び特許異議申立書に記載された特許異議の申立ての理由によっては、取り消すことができない。
また、他に本件特許1〜11を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種類の樹脂からなる立体造形用樹脂粉末であって、
前記立体造形用樹脂粉末の50%累積体積粒径が20μm以上であり、かつ柱体粒子を含み、
前記柱体粒子の平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.83以上であることを特徴とする立体造形用樹脂粉末。
【請求項2】
前記柱体粒子が、端部が頂点を持たない請求項1に記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項3】
前記柱体粒子の底面の長辺が5μm以上200μm以下であり、かつ高さが5μm以上200μm以下である請求項1から2のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項4】
前記柱体粒子の底面の長辺に対する高さの比が、0.5倍以上2倍以下である請求項3に記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項5】
前記立体造形用樹脂粉末の体積平均粒径と、前記立体造形用樹脂粉末の数平均粒径との粒径比(体積平均粒径/数平均粒径)が、2.00以下である請求項1から4のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項6】
前記立体造形用樹脂粉末の比重が、0.8以上である請求項1から5のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項7】
前記立体造形用樹脂粉末が、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアリールケトン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリアセタール、ポリイミド、及びフッ素樹脂から選択される少なくとも1種を含む請求項1から6のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項8】
前記立体造形用樹脂粉末の表面に、流動化剤が付着している請求項1から7のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項9】
前記流動化剤の平均一次粒径が、500nm以下である請求項8に記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項10】
前記流動化剤が、シリカ及びチタニアの少なくともいずれかである請求項8から9のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項11】
50%累積体積粒径が20μm以上であり、かつ柱体粒子を含み、前記柱体粒子の平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.83以上であり、1種類の樹脂からなる立体造形用樹脂粉末を含む層を形成する層形成工程と、
選択的に電磁波を照射し、前記層の選択された領域内の立体造形用樹脂粉末同士を接着させる粉末接着工程と、
を含むことを特徴とする立体造形物の製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2023-07-10 
出願番号 P2018-019742
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (B29C)
P 1 651・ 537- YAA (B29C)
P 1 651・ 113- YAA (B29C)
P 1 651・ 536- YAA (B29C)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 杉山 輝和
特許庁審判官 井口 猶二
大▲瀬▼ 裕久
登録日 2022-03-22 
登録番号 7043865
権利者 株式会社リコー
発明の名称 立体造形用樹脂粉末、及び立体造形物の製造装置  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 山口 昭則  
代理人 山口 昭則  
代理人 バーナード 正子  
代理人 新川 圭二  
代理人 新川 圭二  

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