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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1403360
総通号数 23 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-09-22 
確定日 2023-11-07 
事件の表示 特願2018−174934「情報提供装置、情報提供方法、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 3月26日出願公開、特開2020− 46947、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成30年9月19日の出願であって、令和3年12月20日付けの拒絶理由通知に対し、令和4年2月16日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、同年7月8日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対して同年9月22日に審判請求がされ、令和5年6月29日付けの当審における拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)に対し、同年9月1日に意見書が提出されるとともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
進歩性)この出願の請求項1〜10に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された以下の引用文献A〜Gに記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献A 特開2003− 44979号公報
引用文献B 特開2017− 76262号公報
引用文献C 特開2013− 54537号公報
引用文献D 特開2018− 81617号公報
引用文献E 特開2016− 95750号公報
引用文献F 特開2003− 6295号公報
引用文献G 特開2018−116703号公報

第3 当審拒絶理由通知の概要
当審拒絶理由通知の概要は次のとおりである。
進歩性)この出願の請求項1及び3に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1 特開2011− 86282号公報

第4 本願発明
本願の請求項1〜10に係る発明(以下、「本願発明1」〜「本願発明10」という。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1〜10に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
ユーザが利用申請を行って利用する移動体に関する情報を提供する情報提供装置であって、
ユーザに関連付けられたユーザ装置との通信により、前記ユーザによる前記移動体の利用の開始および終了を受け付けることと、
前記移動体が利用中ではない場合に、前記移動体が利用可能である旨を示す情報を、前記移動体が備える前記移動体の外部から視認可能な表示部に表示することと、
前記移動体が利用中である場合に、前記移動体に関する情報のいずれも前記表示部に表示しないことと、
を実行する制御部を備え、
前記制御部は、直近の利用終了からの経過時間に応じて、前記情報の内容を決定する、情報提供装置。
【請求項2】
前記情報には、前記移動体の利用料金に関する情報が含まれる、
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記利用料金は、直近の利用終了からの経過時間に応じて決定される、
請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記利用料金は、前記移動体の位置に応じて決定される、
請求項2または3に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記利用料金は、前記移動体の周囲に存在する他の移動体の数に応じて決定される、
請求項2から4のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記利用料金は、前記移動体の周囲に存在する潜在的な利用者の数に応じて決定される、
請求項2から5のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記情報には、移動先と、当該移動先まで前記移動体を移動させた場合にユーザが金銭的メリットを受けられる旨とが含まれる、
請求項1から6のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項8】
ユーザが利用申請を行って利用する移動体に関する情報を提供する情報提供装置であって、
ユーザに関連付けられたユーザ装置との通信により、前記ユーザによる前記移動体の利用の開始および終了を受け付けることと、
前記移動体が利用中ではない場合に、前記移動体が利用可能である旨を示す情報を、前記移動体が備える前記移動体の外部から視認可能な表示部に表示することと、
前記移動体が利用中である場合に、前記移動体に関する情報のいずれも前記表示部に表示しないことと、
を実行する制御部を備え、
前記情報には、移動先と、当該移動先まで前記移動体を移動させた場合にユーザが金銭的メリットを受けられる旨とが含まれる、情報提供装置。
【請求項9】
コンピュータにより、ユーザが利用申請を行って利用する移動体に関する情報を提供する情報提供示方法であって、
前記コンピュータは、
ユーザに関連付けられたユーザ装置との通信により、前記ユーザによる前記移動体の利用の開始および終了を受け付けることと、
前記移動体が利用中ではない場合に、前記移動体が利用可能である旨を示す情報を、前記移動体が備える前記移動体の外部から視認可能な表示部に表示することと、
前記移動体が利用中である場合に、前記移動体に関する情報のいずれも前記表示部に表示しないことと、
を含む処理を実行し、
前記コンピュータは、直近の利用終了からの経過時間に応じて、前記情報の内容を決定する、情報提供方法。
【請求項10】
ユーザが利用申請を行って利用する移動体に関する情報を提供する情報提供方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
ユーザに関連付けられたユーザ装置との通信により、前記ユーザによる前記移動体の利用の開始および終了を受け付けることと、
前記移動体が利用中ではない場合に、前記移動体が利用可能である旨を示す情報を、前記移動体が備える前記移動体の外部から視認可能な表示部に表示することと、
前記移動体が利用中である場合に、前記移動体に関する情報のいずれも前記表示部に表示しないことと、
をコンピュータに実行させ、
直近の利用終了からの経過時間に応じて、前記情報の内容を決定することを前記コンピュータに実行させる、プログラム。」

第5 引用文献の記載、引用発明
1 引用文献1の記載、引用発明
(1) 引用文献1の記載
引用文献1には、以下の記載がある(下線加筆。以下同じ。)。
「【0019】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について、図1乃至図12を参照して説明する。図1は複数のユーザが車両を共同して利用するカーシェアリングを対象とするカーシェアリング予約管理システムの全体構成を示している。カーシェアリング予約管理システム1は、ユーザが携帯可能な携帯端末2(本発明でいう操作端末)と、車両に搭載されている車載装置3(本発明でいう報知装置)と、カーシェアリングの予約管理を統括するセンターに設置されている予約状況管理サーバ4(本発明でいうサーバ)とを備えて構成されている。携帯端末2と車載装置3とは例えば無線LAN(例えばIEEE802.11b等)やBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を行うことが可能であり、車載装置3と予約状況管理サーバ4とは広域無線通信(移動通信)を行うことが可能である。
・・・
【0021】
車載装置3は、動作全般を制御するマイクロコンピュータからなる制御部31(本発明でいう報知装置の制御手段)と、近距離無線通信を行う近距離無線通信部32と、広域無線通信を行う広域無線通信部33(本発明でいう報知装置の受信手段)と、例えばナビゲーションシステムから当該ナビゲーションシステムにて検出された現在位置(車両位置)を取得する現在位置取得部34と、各種情報を記憶する記憶部35と、例えば映像をウィンドウに投影する機能を有する出力部36とを備えて構成されている。即ち、本実施形態では車両のウィンドウが本発明でいう車両付属部品である。」
「【0025】
次に、上記した構成の作用について、図3乃至図12を参照して説明する。尚、ここでは、図3に示すように、携帯端末2を携帯するユーザが駐車場Aに進入しており、その駐車場Aにはカーシェアリング予約管理システム1に登録されている車両ID「0001」、「0004」、「0006」、「0008」及び「0009」の5台の車両が駐車されていることを前提として説明する。又、それら各車両には車載装置3が搭載されており、駐車場Aに進入しているユーザが携帯している携帯端末2と各車両に搭載されている車載装置3とは近距離無線通信可能な近距離無線通信圏内に存在していることを前提として説明する。以下、携帯端末2が行う処理、車載装置3が行う処理、予約状況管理サーバ4が行う処理について順次説明する。
【0026】
(1)携帯端末2が行う処理
携帯端末2において、制御部21は、ユーザの予約操作を操作受付部22にて受付けたか否かを判定している(ステップA1)。ここで、制御部21は、ユーザが利用希望日時を入力したことで予約操作を操作受付部22にて受付けたと判定すると(ステップA1にて「YES」)、当該携帯端末2に個別に付与されているユーザID(ユーザ識別子)及び当該ユーザが入力した利用希望日時を含む予約情報を近距離無線通信部24から送信させる(ステップA2)。尚、この場合、ユーザは利用希望日時としては例えば「08月30日09時〜08月30日12時」というように利用の開始を希望する利用開始日時と利用の終了を希望する利用終了日時とを入力する。
【0027】
(2)車載装置3が行う処理
車載装置3において、制御部31は、低消費電力動作を行っているときには携帯端末21(注;「携帯端末2」の誤記と認められる。)から送信された予約情報が近距離無線通信部32に受信されたか否かを判定している(ステップB1)。ここで、制御部31は、近距離無線通信圏内に存在する携帯端末2から送信された予約情報が近距離無線通信部32に受信されたと判定すると(ステップB1にて「YES」)、低消費電力動作から通常動作に移行し、車両バッテリから供給されている電力を各機能ブロックに供給し、記憶部35に記憶されている最新の車両位置(最近のIGスイッチオフ直前に現在位置取得部34がナビゲーションシステムから取得した現在位置)を取得し(ステップB2)、ユーザID、利用希望日時、車載装置3を搭載している車両に個別に付与されている車両ID及び最新の車両位置を含む予約情報を広域無線通信部33から予約状況管理サーバ4に送信させる(ステップB3)。そして、制御部31は、予約状況管理サーバ4から検索結果が送信されることを待機する(ステップB4)。
【0028】
制御部31は、予約状況管理サーバ4から送信された検索結果が広域無線通信部33に受信されたと判定すると(ステップB4にて「YES」)、その受信された検索結果が予約可能であるか予約不可能であるかの何れを示すかを判定する(ステップB5)。制御部31は、受信された検索結果が予約可能であると判定すると、出力部36から予約可能であることを示す映像を例えば車両のフロントウィンドウに投影させ(ステップB6)、一方、受信された検索結果が予約不可能であると判定すると、出力部36から予約不可能であることを示す映像を例えば車両のフロントウィンドウに投影させる(ステップB7)。」
「【0035】
又、車載装置3において、車両を予約可能であるか予約不可能であるかを示す映像を車両のフロントウィンドウに投影させた後に、一定時間(例えば30秒)経過後に映像を消去するようにしても良いし、ユーザの予約を確定する予約確定操作や予約を取消す(キャンセルする)予約取消操作を携帯端末2にて受付可能に構成し、携帯端末2から送信された予約確定情報や予約取消情報が受信されたことを条件に映像を消去するようにしても良い。尚、ユーザの予約を確定する予約確定操作が携帯端末2にて受付けられた場合には、携帯端末2から予約確定情報が送信され、携帯端末2から送信された予約確定情報が車載装置3を中継して予約状況管理サーバ4に受信されることで、予約状況管理データベース43の内容が更新される。」
「【0072】
・・・
予約可能であるか予約不可能であるかを示す映像をウィンドウに常時投影させるようにしても良い。その場合、予約状況管理データベースの内容が更新される毎に、更新された内容を反映させることが望ましい。又、映像をウィンドウに常時投影させる構成では車両バッテリの電力消費が増大するので、駐車場内に充電設備を設け、充電設備から電力が供給されることを条件として予約可能であるか予約不可能であるかを示す映像をウィンドウに常時投影させるようにしても良い。」

ア 上記【0019】及び【0025】によれば、カーシェアリング予約管理システム1は、駐車場Aに進入しているユーザが携帯可能な携帯端末2と、車両に搭載されている車載装置3と、カーシェアリングの予約管理を統括するセンターに設置されている予約状況管理サーバ4とを備えて構成されている。

イ 上記【0021】によれば、車載装置3は、制御部31と、近距離無線通信を行う近距離無線通信部32と、広域無線通信を行う広域無線通信部33と、現在位置取得部34と、各種情報を記憶する記憶部35と、映像をウィンドウに投影する機能を有する出力部36とを備えて構成されている。

ウ 上記【0027】によれば、車載装置3の制御部31は、低消費電力動作を行っているときには携帯端末2から送信された予約情報が近距離無線通信部32に受信されたか否かを判定し、近距離無線通信圏内に存在する携帯端末2から送信された予約情報が近距離無線通信部32に受信されたと判定すると、低消費電力動作から通常動作に移行して、車両バッテリから供給されている電力を各機能ブロックに供給し、記憶部35に記憶されている最新の車両位置を取得し、ユーザID、利用希望日時、車載装置3を搭載している車両に個別に付与されている車両ID及び最新の車両位置を含む予約情報を広域無線通信部33から予約状況管理サーバ4に送信させた後、予約状況管理サーバ4から検索結果が送信されることを待機する。

エ 上記【0028】によれば、車載装置3の制御部31は、予約状況管理サーバ4から送信された検索結果が広域無線通信部33に受信されたと判定すると、その受信された検索結果が予約可能であるか予約不可能であるかの何れを示すかを判定し、予約可能であると判定すると、出力部36から予約可能であることを示す映像を例えば車両のフロントウィンドウに投影させ、一方、予約不可能であると判定すると、出力部36から予約不可能であることを示す映像を例えば車両のフロントウィンドウに投影させる。

オ 上記【0035】によれば、車載装置3は、車両を予約可能であるか予約不可能であるかを示す映像を車両のフロントウィンドウに投影させた後に、ユーザの予約を確定する予約確定操作を携帯端末2にて受付可能に構成し、携帯端末2から送信された予約確定情報が受信されたことを条件に映像を消去するようにしても良い。

カ 上記【0072】によれば、車載装置3は、予約可能であるか予約不可能であるかを示す映像をウィンドウに常時投影させるようにしても良く、その場合、車両バッテリの電力消費が増大するので、駐車場内に充電設備を設け、充電設備から電力が供給されることを条件として予約可能であるか予約不可能であるかを示す映像をウィンドウに常時投影させるようにしても良い。

(2) 引用発明
上記(1)によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

[引用発明]
駐車場Aに進入しているユーザが携帯可能な携帯端末2と、車両に搭載されている車載装置3と、カーシェアリングの予約管理を統括するセンターに設置されている予約状況管理サーバ4とを備えて構成されているカーシェアリング予約管理システム1において、
当該車載装置3は、
制御部31と、近距離無線通信を行う近距離無線通信部32と、広域無線通信を行う広域無線通信部33と、現在位置取得部34と、各種情報を記憶する記憶部35と、映像をウィンドウに投影する機能を有する出力部36とを備えており、
当該制御部31は、
低消費電力動作を行っているときには携帯端末2から送信された予約情報が近距離無線通信部32に受信されたか否かを判定し、近距離無線通信圏内に存在する携帯端末2から送信された予約情報が近距離無線通信部32に受信されたと判定すると、低消費電力動作から通常動作に移行して、車両バッテリから供給されている電力を各機能ブロックに供給し、記憶部35に記憶されている最新の車両位置を取得し、ユーザID、利用希望日時、車載装置3を搭載している車両に個別に付与されている車両ID及び最新の車両位置を含む予約情報を広域無線通信部33から予約状況管理サーバ4に送信させた後、予約状況管理サーバ4から検索結果が送信されることを待機し、
予約状況管理サーバ4から送信された検索結果が広域無線通信部33に受信されたと判定すると、その受信された検索結果が予約可能であるか予約不可能であるかの何れを示すかを判定し、予約可能であると判定すると、出力部36から予約可能であることを示す映像を例えば車両のフロントウィンドウに投影させ、一方、予約不可能であると判定すると、出力部36から予約不可能であることを示す映像を例えば車両のフロントウィンドウに投影させ、
また、上記車載装置3は、車両を予約可能であるか予約不可能であるかを示す映像を車両のフロントウィンドウに投影させた後に、ユーザの予約を確定する予約確定操作を携帯端末2にて受付可能に構成し、携帯端末2から送信された予約確定情報が受信されたことを条件に映像を消去するようにしても良く、
さらに、上記車載装置3は、予約可能であるか予約不可能であるかを示す映像をウィンドウに常時投影させるようにしても良く、その場合、車両バッテリの電力消費が増大するので、駐車場内に充電設備を設け、充電設備から電力が供給されることを条件として予約可能であるか予約不可能であるかを示す映像をウィンドウに常時投影させるようにしても良い、
車載装置3。

2 引用文献A
引用文献Aには、以下の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、駐車領域に駐車された車両の貸出し及び返却に係わる車両使用情報を管理し、該車両を利用者に貸出す車両共同利用システムに関する。」
「【0020】また、タグ用アンテナ36とIDタグリーダ37は、ポートに駐車された共有車両2が、ポートの中のロットを識別するための装置である。また、LED表示部38は、例えば色分けした表示や、文字による表示により、”利用可能”、”予約済み”、”現在使用中”、”整備中”等の共有車両2の使用状態を表示するための、利用者が共有車両2の外側から確認できる位置に設けられた表示部である。但し、LED表示部38は、利用者に共有車両2の使用状態を示すことができるものであれば、どんな表示部であっても良い。」
「【0022】次に、本実施の形態の車両共同利用システムの車両貸出し動作を図面を用いて説明する。まず、図4のフローチャートを用いて、車両共同利用システムの全体の処理の流れを説明する。利用者A3は、共有車両2の予約を行いたい場合、携帯端末4からインターネット等の通信網7を介して、管制室1へアクセスし、予約処理の手続きを行い(ステップS1)、共有車両2を利用する権利の確保ができたら、実際に共有車両2の駐車されたポートへ行き、該当する共有車両2のカード用アンテナ23にスマートカード6をかざして自分のユーザIDを提示する。また、利用者B5が予約を行わないで共有車両2を利用する場合、管制室1では予約処理(ステップS1)は行われず、利用者B5は、直接共有車両2の駐車されたポートへ行き、実際に利用したい共有車両2のカード用アンテナ23にスマートカード6をかざして自分のユーザIDを提示する。
【0023】ユーザIDを提示された共有車両2は、利用者の車内への入室(アクセス)の可否を決定するとともに、管制室1と車両貸出処理を行い、利用者に対する車両貸出しの手続きを行う。この車両貸出処理には、主に管制室1側で行われる車両貸出判定処理(ステップS2)と、主に共有車両2側で行われる車両利用判定処理(ステップS3)が含まれている。ここで、車両貸出判定処理(ステップS2)は、利用者に付与されたユーザIDを確認する処理を含み、共有車両2の制御部25は、利用者A3、または利用者B5が、スマートカード6により共有車両2へアクセスしたら、カードリーダ24により、スマートカード6に記録されたユーザIDを読み取り、利用者の車内への入室(アクセス)の可否を決定するとともに、通信装置22と通信アンテナ21を介して、ユーザIDを管制室1へ問い合わせる。一方、管制室1の制御部11では、利用者が利用しようとする共有車両2から、ユーザIDの問い合わせが来たら、受信したユーザIDにより、利用者の車両利用の可否を判断し、共有車両2に対して、利用者に対する車両利用の可否を示す信号を返す。」

3 引用文献B
引用文献Bには、以下の記載がある。
「【0001】
本発明は、複数の事業体それぞれが管理する車両の貸出しを一元的に管理する管理サーバ及び車両貸出し方法に関する。」
「【0133】
(A2−6.車両26の利用中及び利用終了時)
(A2−6−1.全体的な流れ)
図14は、本実施形態における車両26の利用中及び利用終了時の処理を簡略的に示したフローチャートである。図14では、車両26のステップS71〜S74と、管理サーバ28のステップS91〜S93に分けて説明する。車両26のステップS71〜S74は、演算部74が実行する。管理サーバ28のステップS91、S92は、演算部94の車両管理部106が実行し、ステップS93については、図16を参照して後述する。
【0134】
ステップS71において、車両26は、各種センサ80の検出値(センサ値Mc)を管理サーバ28に送信する。ステップS72において、車両26は、施錠条件が成立したか否かを判定する。ここでの施錠条件には、例えば、下記の条件(a)〜(c)が含まれる。
(a)車両26のエンジンが停止していること
(b)車両26のキーボックスに車両26のキーが返却されていること、並びに
(c)カードリーダ84にかざされたユーザUのカード82から取得した認証情報Iid(貸出し時認証情報Iid2)が、利用中の車両26及び返却予定の駐車場に対応したものであること
【0135】
貸出し時認証情報Iid2が返却予定の駐車場に対応したものであること(換言すると、車両26が返却予定の駐車場にあること)は、例えば、次の方法で確認する。すなわち、車両26の演算部74は、管理サーバ28に登録されている駐車場の位置(緯度及び経度)と、車両26に搭載されている現在位置検出装置(例えば、ナビゲーション装置)が検出した現在位置とを照合する。そして、演算部74は、両者が一致した場合又は両者の距離が所定の距離閾値以内である場合に車両26が返却予定の駐車場にあると判定する。
【0136】
なお、管理サーバ28に登録されている駐車場の位置は、返却時に車両26が管理サーバ28と通信することで取得すること又は事前に(例えば施錠時に)取得することのいずれであってもよい。また、駐車位置に所定のマーカーを設けておき、車載カメラにより当該マーカーを検出すること等により上記判定の精度を上げることも可能である。
【0137】
施錠条件が成立しない場合(S72:NO)、ステップS71に戻る。施錠条件が成立した場合(S72:YES)、ステップS73において、車両26は、ロック機構78を作動させて施錠する。ステップS74において、車両26は、管理サーバ28に対して施錠を知らせる通知(施錠通知(又は利用終了通知))を送信して今回の処理を終了する。」

4 引用文献C
引用文献Cには、以下の記載がある。
「【0038】
《第2実施形態》
次いで、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態に係るカーシェアリングシステムは、上述した第1実施形態と同様に、図1に示すような構成を有し、以下に説明する点において上述した第1実施形態と異なる以外は、上述した第1実施形態と同様に動作し、同様な作用を奏する。
【0039】
すなわち、第2実施形態においては、管理サーバ100の制御装置110が、第2実施形態に係るカーシェアリングシステムを管理するために、第1実施形態と同様に、予約状況管理機能と、ユーザ利用特性演算機能と、車両利用料金設定機能とを備える点において共通する一方で、予約変更提案機能の代わりに、空き日時利用提案機能を備える点において異なる。
【0040】
以下、第2実施形態に係る制御装置110が実現する空き日時利用提案機能について説明する。すなわち、制御装置110は、データベース130を参照し、たとえば、翌日におけるシェリングカーの予約状況の情報を取得し、翌日において、シェアリングカーの予約に空きがあるか否かの判定を行う。そして、翌日の予約に空きがある場合に、データベース130に記憶されたユーザの利用特性の情報を参照して、予約に空きがある日時において、シェアリングカーを利用する可能性があるユーザが存在しているか否かの判定を行う。そして、予約に空きがある日時において、シェアリングカーを利用する可能性があるユーザが存在する場合には、該ユーザに対して、ユーザの所有するユーザ端末400に、通常よりも安い利用料金で、予約に空きがある日時にシェアリングカーを利用することを提案するための通知を行う。このような通知を行うための方法としては、特に限定されないがたとえば、電子メールを使用した方法などが挙げられる。
【0041】
たとえば、ある特定のユーザであるユーザBが、毎週金曜日の10時〜12時にシェアリングカーを利用するユーザであり、かつ、ある金曜日の前日の木曜日に、次の日である金曜日の10時〜12時にシェアリングカーの利用予約に空きがある場合に、制御装置110は、ユーザBが、利用予約に空きがある金曜日の10時〜12時にシェアリングカーを利用する可能性のあるユーザであると判定し、ユーザBの所有するユーザ端末400に、通常よりも安い利用料金で、次の日である金曜日の10時〜12時にシェアリングカーを利用できるという情報を電子メールなどにより通知する。一例として、「明日の金曜日の10時〜12時に、通常より△△円安い○○円でシェアリングカーを利用できます。」というようなメッセージを、電子メールなどにより、ユーザ端末400に送信する。
【0042】
あるいは、別の具体例として、ある特定のユーザであるユーザCが、不定期ではあるが、休日(土曜日、日曜日、祝祭日)の12時〜17時にシェアリングカーを利用するユーザである場合であり、かつ、ある日曜日の前日の土曜日に、次の日である日曜日の12時〜17時にシェアリングカーの利用予約に空きがある場合に、制御装置110は、ユーザCが、利用予約に空きがある日曜日の12時〜17時にシェアリングカーを利用する可能性のあるユーザであると判定し、ユーザCの所有するユーザ端末400に、通常よりも安い利用料金で、次の日である日曜日の12時〜17時にシェアリングカーを利用できるという情報を電子メールなどにより通知する。一例として、「明日の日曜日の12時〜17時に、通常より△△円安い○○円でシェアリングカーを利用できます。」というようなメッセージを、電子メールなどにより、ユーザ端末400に送信する。
【0043】
第2実施形態によれば、上述のように、翌日に、シェアリングカーの予約に空きがある場合に、予約に空きがある日時にシェアリングカーを利用する可能性があるユーザに対して、通常よりも安い利用料金で、シェアリングカーを利用することを提案することで、ユーザが予約に空きがある日時にシェアリングカーを利用するための動機付けを与えることができ、これにより、シェアリングカーの予約率を向上させることができる。
【0044】
次いで、第2実施形態における動作について説明する。図3は、第2実施形態における動作例を示すフローチャートである。なお、たとえば、以下の処理は、一日に1回または複数回ある決まった時間(たとえば、午前中1回、午後1回)に実行される。
【0045】
まず、ステップS201では、管理サーバ100の制御装置110が、データベース130に記憶された翌日の予約状況を参照し、翌日のシェアリングカーの予約に空きがあるか否かの判定が行われる。そして、翌日の予約に空きがあると判定された場合には、ステップS202に進み、一方、翌日の予約に空きがないと判定された場合には、ユーザに対して、予約に空きがある日時にシェアリングカーを利用するための提案を行うことなく、本処理を終了する。
【0046】
ステップS202では、管理サーバ100の制御装置110により、データベース130に記憶された全てのユーザのユーザ利用特性の情報を取得する処理が行なわれる。
【0047】
ステップS203では、ステップS202で取得した全てのユーザのユーザ利用特性の情報を参照し、ステップS201で検出された予約に空きがある日時にシェアリングカーを利用する可能性があるユーザが存在するか否かの判定が行われる。予約に空きがある日時にシェアリングカーを利用する可能性があるユーザが存在する場合には、ステップS204に進み、一方、該当するユーザが存在しない場合には、ユーザに対して、予約に空きがある日時にシェアリングカーを利用するための提案を行うことなく、本処理を終了する。
【0048】
次いで、ステップS204では、管理サーバ100の制御装置110により、予約に空きがある日時におけるシェアリングカーの利用料金の割引率を決定し、該予約に空きがある日時におけるシェアリングカーの利用料金を設定する処理が実行される。なお、利用料金の割引率は、たとえば、該当する日時における、予約率などに基づいて決定することができる。あるいは、さらに、データベース130に記憶されている、天気予報情報、およびカレンダー情報を加味することで、利用料金の割引率を決定してもよい。
【0049】
次いで、ステップS205では、管理サーバ100の制御装置110により、ステップS203において、予約に空きがある日時にシェアリングカーを利用する可能性があると判定されたユーザに対して、ユーザの所有するユーザ端末400に、ステップS204で設定された利用料金にて、該予約に空きがある日時にシェアリングカーの利用が可能である旨の通知が行われる。
【0050】
第2実施形態によれば、上述した第1実施形態による効果に加えて、次のような効果を奏する。
すなわち、第2実施形態においては、シェアリングカーの予約に空きがある場合に、予約に空きがある日時にシェアリングカーを利用する可能性があるユーザに対して、通常よりも安い利用料金で、シェアリングカーを利用することを提案するものである。そのため、第2実施形態によれば、ユーザが予約に空きがある日時にシェアリングカーを利用するための動機付けを与えることができ、これにより、ユーザの潜在需要を喚起することができ、シェアリングカーの予約率を向上させることができ、結果として、シェアリングカーの利用率を向上させることができる。また、予約に空きがある日時にシェアリングカーを利用する可能性があるユーザに対して、シェアリングカーを利用することを提案することにより、たとえば、定期的にシェアリングカーを利用しているユーザにとって、予約のし忘れによるシェアリングカーの利用機会の逸失を防止することも可能となる。」

5 引用文献D
引用文献Dには、以下の記載がある。
「【0001】
本発明は、貸し出し対象となる車両を検索するための仕組みに関する。」
「【0030】
(ステップS14:貸し出し料金決定処理)
管理装置100の貸し出し料金決定部1023は、貸し出し可能エリア内の各地点の車両貸し出し料金相場と、所有者が各貸し出し可能地点において車両を貸し出すために負担するコストとに基づいて、貸し出し料金を決定する。所有者が各貸し出し可能地点において車両を貸し出すために負担するコストは、例えば所有者が貸し出し可能地点まで車両で移動し、当該貸し出し可能地点から車両以外の手段で目的地に移動するためのコスト、又は、所有者が返却可能地点まで車両以外の手段で移動し、当該返却可能地点から目的地に車両で移動するためのコストの少なくともいずれかを含む。さらにこのときの移動に関するコストは、所有者が移動時に公共交通手段を利用するためのコスト(公共交通手段の利用料金等)を含む。ここで、図9は、車両の貸し出し料金の相場の一例を示す概念図であり、図10は、貸し出し可能エリアにおける車両の貸し出し料金の一例を示す概念図である。車両の貸し出し料金の相場に関する情報は、地図・交通DBに含まれており、貸し出し料金決定部1023はこれを参照して、上記コストを加算して図10に示すような貸し出し可能地点及び貸し出し料金(ここでは貸出期間における1時間当たりの料金)のセットを貸し出し可能地点ごとに算出する。」

6 引用文献E
引用文献Eには、以下の記載がある。
「【0001】
本発明は、複数のユーザによって利用される複数の共用車両を管理する共用車両管理装置及び共用車両管理方法に関する。」
「【0049】
偏在度を低下させる処理としては、特に限定されないが、たとえば、利用可能ステーションで待機している共用車両Vnを、他のステーションに回送する処理(以下、「第1処理」という。)が挙げられる。具体的に図3Aの場面を例に説明すると、制御装置10は、ステーションST5やステーションST6のように、上記式(1)におけるKi(h)の値が比較的高いステーションで待機している共用車両Vnを、いずれの利用可能ステーションからも距離hの範囲内に入らないようなステーション(図3AにおけるステーションSTX等)に回送する等の処理を実行する。これにより、図6に示すように、ステーションST5,ST6のKi(h)の値が0となり、その結果としてK(h)の値が低下する。なお、図6は、ステーションST5で待機していた共用車両Vnを、ステーションSTXに回送した例を示す図である。」
「【0052】
また、偏在度を低下させる処理としては、偏在度を低下させるような態様で共用車両Vnを利用したユーザに対して課金する利用料を安くし、偏在度を増加させるような態様で共用車両Vnを利用したユーザに対して課金する利用料を高くする処理(以下、「第3処理」という。)も挙げられる。なお、共用車両Vnの利用料は、後述する課金機能により、共用車両Vnを返却したユーザに対して、共用車両Vnの利用時間に応じて課金するものである。」

7 引用文献F
引用文献Fには、以下の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の貸し出し用車両を複数の利用者が共用する車両共用システムに関する。」
「【0016】ステップU140(割引料金算出装置)では、スタッフの代わりに回送を行ってくれる車両の割引率演算を行う。ステップU140において、サーバ1は必要に応じてクエリーによりスタッフ配置テーブル6にアクセスして、スタッフの移動距離や移動時間に応じて割引率を設定する。この割引率は、スタッフによる「回送」を会員による車両の「利用」に変換するためのインセンティブである。割引率の演算が行われると、ステップU150に進む。ステップU150では、割引情報付きの車両予約を予約情報テーブル5に保持してステップU160に進む。ステップU140からステップU150までの割引率演算の流れは、図4〜図6を用いて後に詳しく説明する。」

8 引用文献G
引用文献Gには、以下の記載がある。
「【0001】
本開示は、車両運行管理技術に関し、特に車両への乗車を管理する車両運行管理システムおよび車両運行管理方法に関する。」
「【0057】
報知部32は、車両の外部に情報を報知可能である。報知部32には、表示部34、放音部36を含む。表示部34は、車両10が乗車可能である旨を車両10の外部から視認可能なように表示する。表示部34には、例えば、図9A、図9Bに示すように、車両10の車両10のルーフ104上に設置される表示部34a、車両10のガラス106の内側に設置される表示部34b等が含まれる。図9Aの模式図に、表示部34a,34bに、乗車可能である旨を表示している状態の車両10の外観を示す。乗車可能である旨の表示には、例えば、図9Aの表示部34a,34bの表示のように、「乗車ください」、「乗車可能です」などの表示が含まれる。図9Bの模式図に、表示部34a,34bに、乗車可能である旨を表示していない状態の車両10の外観を示す。なお、車両10は、表示部34a,34bに、図9Bのように乗車可能である旨を表示しないことに代えて、乗車準備中である旨、または、まだ乗車できない旨を表示するようにしてもよい。放音部36は、より具体的には、スピーカであり、例えば、図9A、図9Bに示すように、車両10が乗車可能である旨を車両10の孔36aを通して外部に向けて音声として放音可能である。なお、車両10は、放音部36で、乗車可能である旨を放音しないことに代えて、乗車準備中である旨、または、まだ乗車できない旨を放音するようにしてもよい。」
「【0107】
実施の形態において、車両10はタクシーとされる。しかしながらこれに限らず例えば、車両10は、カーシェアリングの車両、レンタカーであってもよい。」

第6 当審拒絶理由についての判断
1 本願発明1について
(1) 対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「ユーザが携帯可能な携帯端末2」は、本願発明1の「ユーザに関連付けられたユーザ装置」に相当する。また、引用発明の「車両」は、「ユーザ」が携帯する「携帯端末2から送信された予約情報」によって「カーシェアリング予約管理システム1」で予約管理されるものであるから、本願発明1の「ユーザが利用申請を行って利用する」「移動体」に相当する。

イ 引用発明の「車載装置3」は、「出力部36」を備えており、「出力部36から予約可能であることを示す映像を例えば車両のフロントウィンドウに投影させ、一方、予約不可能であると判定すると、出力部36から予約不可能であることを示す映像を例えば車両のフロントウィンドウに投影させ」るから、情報を提供する装置であるといえる。
そうすると、引用発明の「車載装置3」は、後述の「相違点」を除き、本願発明1の「情報提供装置」に相当する。
また、引用発明の「車載装置3」の「制御部31」は、本願発明1の「情報提供装置」の「制御部」に相当する。

ウ 引用発明の「車載装置3」は、「携帯端末2から送信された予約情報が近距離無線通信部32に受信されたか否かを判定」しており、車両を利用するための予約情報を受け付けているといえるから、本願発明1の「情報提供装置」が「ユーザに関連付けられたユーザ装置との通信により、前記ユーザによる前記移動体の利用の開始および終了を受け付けること」とは、「ユーザに関連付けられたユーザ装置との通信により、前記ユーザによる前記移動体の利用に関する情報を受け付けること」で共通する。

エ 引用発明の「車載装置3」において、「車両」が「予約可能であると判定すると、出力部36から予約可能であることを示す映像を例えば車両のフロントウィンドウに投影させ」ることは、本願発明1の「前記移動体が利用中ではない場合に」という点を除き、「前記移動体が利用可能である旨を示す情報を、前記移動体が備える前記移動体の外部から視認可能な表示部に表示すること」に相当する。

オ 引用発明の「車載装置3」において、「車両を予約可能であるか予約不可能であるかを示す映像を車両のフロントウィンドウに投影させた後に、ユーザの予約を確定する予約確定操作を携帯端末2にて受付可能に構成し、携帯端末2から送信された予約確定情報が受信されたことを条件に映像を消去する」ことは、本願発明1の「前記移動体が利用中である場合に」という点を除き、「前記移動体に関する情報のいずれも前記表示部に表示しないこと」に相当する。

以上によれば、本願発明1と引用発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。

[一致点]
ユーザが利用申請を行って利用する移動体に関する情報を提供する情報提供装置であって、
ユーザに関連付けられたユーザ装置との通信により、前記ユーザによる前記移動体の利用に関する情報を受け付けることと、
前記移動体が利用可能である旨を示す情報を、前記移動体が備える前記移動体の外部から視認可能な表示部に表示することと、
前記移動体に関する情報のいずれも前記表示部に表示しないことと、
を実行する制御部を備える、情報提供装置。

[相違点]
[相違点1]
「前記ユーザによる前記移動体」の「利用に関する情報」について、本願発明1の「情報提供装置」は、「利用の開始および終了」を受け付けるのに対し、引用発明の「車載装置3」は、「予約情報」は受け付けるものの、「利用の開始および終了」を受け付けるものであるのか不明な点。

[相違点2]
「前記移動体が利用可能である旨を示す情報」を「表示すること」について、本願発明1は、「前記移動体が利用中ではない場合に」表示するのに対し、引用発明は、(i)「(車載装置3の)制御部31」で「近距離無線通信圏内に存在する携帯端末2から送信された予約情報が近距離無線通信部32に受信されたと判定」され、「予約情報を広域無線通信部33から予約状況管理サーバ4に送信させた後、予約状況管理サーバ4から検索結果が送信されることを待機し」、「予約状況管理サーバ4から送信された検索結果」が「(車載装置3の)広域無線通信部33に受信されたと判定」された場合や、(ii)「駐車場内に充電設備を設け、充電設備から(車載装置3に)電力が供給される」場合に表示する点。

[相違点3]
「前記移動体に関する情報のいずれも前記表示部に表示しないこと」について、本願発明1は、「前記移動体が利用中である場合に」表示しないのに対し、引用発明は、「車両を予約可能であるか予約不可能であるかを示す映像を車両のフロントウィンドウに投影させた後に、ユーザの予約を確定する予約確定操作を携帯端末2にて受付可能に構成し、携帯端末2から送信された予約確定情報が受信された」場合に表示しない点。

[相違点4]
制御部について、本願発明1は、「直近の利用終了からの経過時間に応じて、前記情報の内容を決定する」のに対し、引用発明は、そのようなものではない点。

(2) 判断
上記相違点について検討する。
ア 相違点1について
引用発明は、「カーシェアリング予約管理システム」に関する発明であって、カーシェアリングには、車両の利用の開始と終了があるのは明らかであるし、また、引用文献1の記載(上記第5の1(1)【0026】)によれば、引用発明の「利用希望日時」は「利用の開始を希望する利用開始日時と利用の終了を希望する利用終了日時」であるから、引用発明において、「利用に関する情報」として、「予約情報」を受け付けることに加え、「利用の開始および終了」を受け付けるように構成することは、当業者であれば容易に想到し得るものである。

イ 相違点2について
引用発明は、上記相違点2で認定したとおり、(i)「(車載装置3の)制御部31」で「近距離無線通信圏内に存在する携帯端末2から送信された予約情報が近距離無線通信部32に受信されたと判定」され、「予約情報を広域無線通信部33から予約状況管理サーバ4に送信させた後、予約状況管理サーバ4から検索結果が送信されることを待機し」、「予約状況管理サーバ4から送信された検索結果」が「(車載装置3の)広域無線通信部33に受信されたと判定」された場合や、(ii)「駐車場内に充電設備を設け、充電設備から(車載装置3に)電力が供給される」場合に「移動体が利用可能である旨を示す情報」を表示するものであるところ、引用文献1の記載(上記第5の1(1)【0025】)によれば、引用発明は、「駐車場Aに進入しているユーザが携帯している携帯端末2と各車両に搭載されている車載装置3とは近距離無線通信可能な近距離無線通信圏内に存在していることを前提」としているから、上記(i)の場合も(ii)の場合も、車両は、駐車場に進入している状態、すなわち、「移動体が利用中ではない場合」ということができる。
そうすると、引用発明も、「前記移動体が利用可能である旨を示す情報」を「移動体が利用中ではない場合に」表示するものであるといえるから、相違点2は、実質的な相違点ではない。

ウ 相違点3について
引用発明は、上記相違点3で認定したとおり、「車両を予約可能であるか予約不可能であるかを示す映像を車両のフロントウィンドウに投影させた後に、ユーザの予約を確定する予約確定操作を携帯端末2にて受付可能に構成し、携帯端末2から送信された予約確定情報が受信された」場合に表示しないものであるから、携帯端末2から送信される「利用希望日時」の「利用の開始を希望する利用開始日時」が、予約情報を送信した日時であれば、直ちに利用開始となり、「移動体が利用中である場合」といえるから、相違点3は実質的な相違点ではない。
また、本願明細書の【0014】には、「「移動体が利用中」とは、当該移動体が利用中のユーザ以外によって利用できない状況を意味してもよい。」と記載されている。そうすると、上述の携帯端末2から送信される「利用希望日時」の「利用の開始を希望する利用開始日時」が、予約情報を送信した日時よりもしばらく後の日時であったとしても、「予約確定情報」が受信された以上、通常、当該携帯端末2のユーザ以外のユーザは予約することができないから、予約情報を送信した日時からしばらく後の日時までの間も、「移動体が利用中である場合」といえ、この場合も相違点3は実質的な相違点ではない。
なお、上記イで検討したとおり、引用発明は、車両が駐車場に進入している状態にあるとき、「移動体が利用可能である旨を示す情報」を表示するものであるから、車両が駐車場に進入していない状態、すなわち、「移動体が利用中である場合」には、ユーザは携帯端末2から予約情報を送信することはないから、その場合には「前記移動体に関する情報のいずれも前記表示部に表示しないこと」は明らかであり、相違点3は実質的な相違点ではない。

エ 相違点4について
引用文献1には、制御部が「直近の利用終了からの経過時間に応じて、前記情報の内容を決定する」ことは記載も示唆もされていないし、引用文献A〜Gをみても、記載も示唆もされておらず、周知技術であるということもできない。
そして、本願発明1は、相違点4に係る構成を有することによって、本願明細書の【0017】に記載されているように、「本実施形態において、直近の利用終了からの経過時間に応じて、提供情報の内容を決定してもよい。例えば、経過時間が長くなるほどより目立つ内容の案内を行ってもよいし、経過時間が短い間はサービス名やロゴ等のみを表示し、経過時間が長くなるとより積極的に移動体の利用を促す宣伝を表示するようにしてもよい。このようにすれば、経過時間、すなわち移動体が利用されていない期間に応じて、より強力に移動体の利用を促すことができる。」という効果を奏するものである。
したがって、引用発明において、相違点4に係る構成を採用することは、当業者であっても容易に想到し得るものではない。

(3) 小括
以上によれば、本願発明1は、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2〜7について
上記第4のとおり、本願発明2〜7は、本願発明1に構成を付加し限定したものであるから、引用発明と対比すると、上記1(1)で説示した[相違点]を有するものである。
そうすると、本願発明2〜7も、上記1(2)と同様の理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 本願発明8について
(1) 対比
本願発明8と引用発明を対比すると、上記1(1)の[相違点1]〜[相違点3]に加え、以下の「相違点5」を有する。

[相違点5]
「移動体に関する情報」について、本願発明8は、「移動先と、当該移動先まで前記移動体を移動させた場合にユーザが金銭的メリットを受けられる旨とが含まれる」のに対し、引用発明は、そのようなものではない点。

(2) 判断
引用文献1には、情報が「移動先と、当該移動先まで前記移動体を移動させた場合にユーザが金銭的メリットを受けられる旨とが含まれる」ことは記載も示唆もされていないし、引用文献A〜Gをみても、記載も示唆もされておらず、周知技術であるということもできない。
そして、本願発明8は、相違点5に係る構成を有することによって、本願明細書の【0019】に記載されているように、「また、本実施形態における提供情報には、移動先と、当該移動先まで前記移動体を移動させた場合にユーザが金銭的メリットを受けられる旨とが含まれてもよい。移動先は、典型的には、移動体の利用需要が高いが移動体の数が少ない地点である。また、金銭的メリットは、利用料金の割引であってもよいし、あるいは移動に対する報酬であってもよい。このように移動先を指定して金銭的メリットを与えることで、本来であればサービス事業者が行うべき移動体の回送を、ユーザに行ってもらうことができる。」という効果を奏するものである。
したがって、引用発明において、相違点5に係る構成を採用することは、当業者であっても容易に想到し得るものではない。

(3) 小括
以上によれば、本願発明8は、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4 本願発明9及び10について
上記第4のとおり、本願発明9(情報提供方法)及び本願発明10(プログラム)は、本願発明1(情報提供装置)と、発明のカテゴリーが異なるのみであって、実質的に相違するものではない。
そうすると、上記1(2)のとおり、本願発明1が、引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本願発明9及び10も、引用文献1から方法及びプログラムの発明として認定される発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

5 当審拒絶理由通知についてのまとめ
上記1〜4のとおり、本願発明1〜10は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第7 原査定についての判断
原査定は、上記第2のとおり、本件補正前の請求項1〜10に係る発明は、引用文献A〜Gに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
しかしながら、本件補正により補正された請求項1〜7に係る発明は、上記第6の1及び2のとおり、「制御部」が「直近の利用終了からの経過時間に応じて、前記情報の内容を決定する」構成(相違点4)を備え、上記第6の4のとおり、本件補正により補正された請求項9及び10に係る発明も、対応する構成を備えているところ、これらの構成は、引用文献A〜Gには記載されておらず、当業者にとって自明なものでもない。
そうすると、本件補正により補正された請求項1〜7及び9、10に係る発明は、引用文献A〜Gに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、本件補正により補正された請求項8に係る発明は、上記第6の3のとおり、「移動体に関する情報」について、「移動先と、当該移動先まで前記移動体を移動させた場合にユーザが金銭的メリットを受けられる旨とが含まれる」構成(相違点5)を備えているところ、これらの構成も、引用文献A〜Gには記載されておらず、当業者にとって自明なものでもないから、本件補正により補正された請求項8に係る発明も、引用文献A〜Gに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、当審拒絶理由及び原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2023-10-23 
出願番号 P2018-174934
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06Q)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 佐藤 智康
特許庁審判官 伏本 正典
梶尾 誠哉
発明の名称 情報提供装置、情報提供方法、およびプログラム  
代理人 弁理士法人秀和特許事務所  

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