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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H05K
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H05K
管理番号 1403463
総通号数 23 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-12-01 
確定日 2023-10-31 
事件の表示 特願2021− 3112「多層配線構造体及び多層配線構造体を用いた半導体装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 4月15日出願公開、特開2021− 61446、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年7月1日に出願した特願2015−132502号の一部を令和元年8月6日に新たな特許出願(特願2019−144914号)とし、その一部を令和3年1月12日に新たな特許出願(特願2021−3112号)としたものであって、その手続の経緯は、概略以下のとおりである。

令和4年 2月22日付け 拒絶理由通知
(特許法第50条の2の通知を伴うもの)
令和4年 4月27日 意見書・手続補正書 提出
令和4年 8月30日付け 令和4年4月27日の手続補正について
の補正の却下の決定、拒絶査定
令和4年12月 1日 審判請求書・手続補正書 提出

第2 原査定の概要

原査定(令和4年8月30日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1.(新規性)この出願の請求項1〜3,5に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2.(進歩性)この出願の請求項1〜5に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>

1. 特開2009−246144号公報

第3 本願発明

本願の請求項1ないし5に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明5」という。)は、令和4年12月1日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
複数の配線層及び前記複数の配線層の各々を絶縁する複数の絶縁層を含み、第1領域及び前記第1領域に隣接する第2領域を備え、前記第1領域に設けられた多層配線回路を備えた多層配線構造体であって、
前記複数の絶縁層は、前記第1領域から前記第2領域に延びており、
前記複数の配線層のうち一部の複数の配線層は、前記第1領域に設けられ、前記第2領域には存在せず、前記複数の配線層のうち他の複数の配線層は、前記第1領域及び前記第2領域に設けられ、前記一部の複数の配線層は前記第1領域と前記第2領域との境界付近に端部を有し、前記第2領域の前記配線層の層数は前記第1領域の前記配線層の層数よりも少なく、
前記第2領域において、前記一部の前記配線層の上下に位置する前記複数の絶縁層の各々は接している、多層配線構造体。
【請求項2】
複数の配線層及び前記複数の配線層の各々を絶縁する複数の絶縁層を含み、第1領域及び前記第1領域によって囲まれた第2領域を備え、前記第1領域に設けられた多層配線回路を備えた多層配線構造体であって、
前記複数の絶縁層は、前記第1領域から前記第2領域に延びており、
前記複数の配線層のうち一部の複数の配線層は、前記第1領域に設けられ、前記第2領域には存在せず、前記複数の配線層のうち他の複数の配線層は、前記第1領域及び前記第2領域に設けられ、前記一部の複数の配線層は前記第1領域と前記第2領域との境界付近に端部を有し、前記第2領域の前記配線層の層数は前記第1領域の前記配線層の層数よりも少なく、
前記第2領域において、前記一部の前記配線層の上下に位置する前記複数の絶縁層の各々は接している、多層配線構造体。
【請求項3】
前記複数の絶縁層の少なくとも一部の絶縁層は、有機絶縁層を含む、請求項1又は2に記載の多層配線構造体。
【請求項4】
前記複数の絶縁層の少なくとも一部の絶縁層は、無機絶縁層を含む、請求項1乃至3のいずれか一に記載の多層配線構造体。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一に記載の多層配線構造体を有する半導体装置。」

第4 引用文献

1 引用文献1および引用発明

(1)引用文献1の記載事項

原査定の拒絶理由に引用された引用文献1(特開2009−246144号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審が付加した。以下同様。)。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、受動部品を内蔵する電子部品内蔵基板及びその製造方法と、電子部品内蔵基板を用いた半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の高機能化に伴い、半導体素子駆動周波数の高機能化が進んでいる。この高周波化が進むと、電源から離れた回路でスイッチングを行うと電源配線のコイル成分や抵抗成分で一時的に電圧が下がるという現象が発生しやすくなり、半導体素子の誤動作を引き起こす原因となる。そこで、半導体素子が実装される基板上の電源ラインとグランドライン間にデカップリングコンデンサを配置することにより、安定した電源電圧を確保し、半導体素子の正常な動作を実現している。ところが、このデカップリングコンデンサの効果を最大限に発揮させるためには配線のコイル・抵抗成分の影響を受けないように、半導体素子にできるだけ近い位置に配置させなければならず、従来は半導体素子が実装された基板やそれが更に実装されるマザー基板にコンデンサを配置することで対応してきたが、機器の高性能化の進展により、たとえ半導体素子の周辺に配置したとしても、半導体素子とデカップリングコンデンサ間の配線の引き回しでさえ影響を及ぼす状態になってきた。
【0003】
そこで、基板内にコンデンサ部品を埋設し、短配線を試みた電子部品内蔵基板が提案されている。
【0004】
以下、従来の電子部品内蔵基板について、図6を用いて説明する。図6は、従来の電子部品内蔵基板の断面図である。
【0005】
図6において、従来の電子部品内蔵基板1は、多層配線基板の任意の絶縁層4に電子部品2が内蔵され、内蔵された電子部品2は導電性接着剤3により配線層5に接続したり、超音波接続工法により直接配線層5に接続されている。
【0006】
なお、この技術の先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1、特許文献2が知られている。
【特許文献1】 特開平11−220262号公報
【特許文献2】 特表2006−519486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような従来の電子部品内蔵基板の製造工程において、内蔵する電子部品がチップコンデンサやチップ抵抗のようなチップ型の受動部品の場合、受動部品を埋め込む層は受動部品の厚さに起因して厚くなるのであるが、受動部品を完全に埋め込むためには受動部品より更に厚い厚さが必要となり、その結果電子部品内蔵基板の厚さも厚くなるので、近年求められている薄型化に答えられなくなるという問題点も有していた。また、受動部品を内蔵する層を可能な限り薄くする目的で、近接する受動部品を実装していない配線層を受動部品に接近させると、受動部品と接近した配線層間で電気的結合を引き起こし、浮遊容量として電気特性を劣化させてしまうという問題を引き起こすため、受動部品を内蔵する層は薄くできない状態であった。
【0008】
そこで、本発明は上記従来の問題を解決し、電気的特性に優れ、且つコスト・量産性に優れた電子部品内蔵基板とこれを用いた半導体装置を提供することを目的としている。」

イ 図1


ウ 「【0012】
図1は本発明の実施の形態1による電子部品内蔵基板の断面図である。
【0013】
実施の形態1の電子部品内蔵基板100は、図1に示すように、第1配線層101に、チップコンデンサやチップ抵抗などの受動部品103が実装用材料105により電気的及び機械的に接続されており、第1配線層101と第2配線層102に挟まれた絶縁層106内に配置されている。ただし、受動部品103は第1配線層101と第2配線層102に対して、決して挟まれる位置には配置されていない。つまり、第1配線層101から見て受動部品103の上面部分の第2配線層102に相当する部分には、配線パターンは存在せず、絶縁層106のみが存在している構造となっている。このため、受動部品103を絶縁層106内に配置する際に、第2配線層102を受動部品103に接触させること無く、且つ、絶縁層106を介して第2配線層102と受動部品103が電気的に結合する設計外の浮遊容量を引き起こさずに絶縁層106の厚みを受動部品103の厚みと略同等の厚みにまで薄くすることが可能となり、電気的特性に優れると共に厚みの薄い電子部品内蔵基板を実現することができるのである。
【0014】
なお、第1配線層101、第2配線層102は電気導電性を有する物質から成り、例えば、銅(Cu)箔や導電性樹脂組成物から成る。本発明においてはCu箔を所望の形状にパターニングして形成している。絶縁層106に用いる絶縁材料としては、ガラス織布に熱硬化性のエポキシ樹脂を含浸させたガラスエポキシプリプレグ、ガラス織布に熱硬化性のビスマレイミド・トリアジン樹脂を含浸させたBTレジンプリプレグ、アラミド不織布に熱硬化性のエポキシ樹脂を含浸させたアラミドプリプレグ等を使用することが可能であるが、織布または不織布に熱硬化性樹脂を含浸させた構造であれば、様々な材料を使用することが可能である。また、織布または不織布に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグ材料以外にも、二酸化珪素やアルミナ等の無機フィラーと熱硬化性樹脂との混合物を用いる事も可能である。
【0015】
受動部品103はチップコンデンサやチップ抵抗のような所望の特性を予め形成され、外面に接続電極104を有するチップ型の電子部品である。実装用材料105としては、少なくとも2種類以上の金属元素が配合され、各金属同士による合金接続を伴って電気的及び機械的に接続できる材料であり、例えば錫(Sn)−銀(Ag)系、錫(Sn)−銀(Ag)−銅(Cu)系、錫(Sn)−亜鉛(Zn)系、金(Au)−亜鉛(Zn)系、錫(Sn)−アンチモン(Sb)系などの材料が使用可能であるが、これらの材料に限らず受動部品103を実装できる材料であるなら何れの材料も使用可能である。また、材料中の合金の融点が、接合後に高温側へシフトする融点変化型の材料組成であっても良い。
【0016】
実装用材料105に合金接続可能な材料を用いている理由は、受動部品103を第1配線層101に安定して接続させるためである。つまり、近年、チップコンデンサやチップ抵抗のようなチップ型の電子部品の電極104は、環境問題への配慮から、最表面部にSnめっきが施されているものが主流となっているため、Ag粉を主成分とする導電性接着剤を実装用材料105に用いた場合、導電性接着剤による受動部品103の接続方式は、導電性接着剤中の熱硬化性樹脂の硬化収縮による圧接接続のみであるので、導電性接着剤中のAgと受動部品103の電極104のSnとが単に接触し合って電気的に接続されるものであるが、Snの融点である232℃を超えると簡単にAgはSn中に拡散され、導電性接着剤中のAgが消失し、接続信頼性を劣化させてしまう。また、比較的低融点金属であるSnが施された電極104を超音波を用いて直接第1配線層101に接続することも非常に難易度の高い技術である。
【0017】
しかしながら、これらの接続技術に対して、実装用材料105に電極104表面のSnと金属結合をともなって接続できる材料を選択することで、232℃を超える温度環境下にさらされても、導電性接着剤のような電極104側のSnへの拡散が起こることなく、接続信頼性を安定化することが可能となるものである。そして、この実装用材料105に少なくとも2種類以上の金属元素を配合することで、受動部品103を実装するために単一金属では実現不可能な実装用材料105の所望の融点を実現することができるものである。
【0018】
ただし、何れの材料であっても、第1配線層101に対して濡れ広がり性が悪い材料が必要である。第1配線層101上に受動部品103を実装するためには、実装用材料105が確実に第1配線層101上に止まっていなければ接続できないためである。なお、実装用材料105は、環境汚染物質である鉛(Pb)を含有しない材料であることが重要である。
【0019】
この第1配線層101、絶縁層106及び第2配線層102で構成される2層配線板を中心材料として、さらに外側両面に絶縁層107及び表層配線層108、裏面配線層109を形成して多層化する。多層化する際には、スルーホール110により表層配線層108、第1配線層101、第2配線層102及び裏面配線層109を電気的に接続する。
【0020】
なお、本実施の形態1では4層基板の例を示しているが、4層基板に固定されるものではなく、必要に応じて更なる偶数層の多層化が可能である。ただし、その際においても受動部品103を内蔵する2層配線板を中心材料として両面同時に配線層を形成している。外側に形成する絶縁層107に用いる絶縁材料は絶縁層106と同様に、ガラス織布に熱硬化性のエポキシ樹脂を含浸させたガラスエポキシプリプレグ、ガラス織布に熱硬化性のビスマレイミド・トリアジン樹脂を含浸させたBTレジンプリプレグ、アラミド不織布に熱硬化性のエポキシ樹脂を含浸させたアラミドプリプレグ等を使用することが可能であるが、織布または不織布に熱硬化性樹脂を含浸させた構造であれば、様々な材料を使用することが可能である。また、織布または不織布に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグ材料以外にも、二酸化珪素やアルミナ等の無機フィラーと熱硬化性樹脂との混合物を用いる事も可能である。」

(2)引用発明

上記(1)の、特に下線を付加した記載に着目すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「受動部品を内蔵する電子部品内蔵基板及びその電子部品内蔵基板に関し、
電子部品内蔵基板100は、第1配線層101に、チップコンデンサやチップ抵抗などの受動部品103が実装用材料105により電気的及び機械的に接続されており、第1配線層101と第2配線層102に挟まれた絶縁層106内に配置されており、
第1配線層101から見て受動部品103の上面部分の第2配線層102に相当する部分には、配線パターンは存在せず、絶縁層106のみが存在している構造となっており、このため、受動部品103を絶縁層106内に配置する際に、第2配線層102を受動部品103に接触させること無く、且つ、絶縁層106を介して第2配線層102と受動部品103が電気的に結合する設計外の浮遊容量を引き起こさずに絶縁層106の厚みを受動部品103の厚みと略同等の厚みにまで薄くすることが可能となり、電気的特性に優れると共に厚みの薄い電子部品内蔵基板を実現することができ、
第1配線層101、絶縁層106及び第2配線層102で構成される2層配線板を中心材料として、さらに外側両面に絶縁層107及び表層配線層108、裏面配線層109を形成して多層化し、
多層化する際には、スルーホール110により表層配線層108、第1配線層101、第2配線層102及び裏面配線層109を電気的に接続しており、
必要に応じて更なる偶数層の多層化が可能である
電子部品内蔵基板。」

第5 対比・判断

1 本願発明1

(1)対比

本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことが認められる。

ア 引用発明の「第1配線層101」、「第2配線層102」、「表層配線層108」、「裏面配線層109」は、本願発明1の「複数の配線層」に相当しているといえる。

また、引用発明の「絶縁層106」、「絶縁層107」は、本願発明1の「前記複数の配線層の各々を絶縁する複数の絶縁層」に相当しているといえる。

さらに、引用発明も、「第1配線層101」、「第2配線層102」、「表層配線層108」、「裏面配線層109」といった配線層に、配線パターンを備えているから、本願発明1と同様に、「多層配線回路を備えた多層配線構造体」であるといえる。

そして、引用発明の「第1配線層101から見て受動部品103の上面部分の第2配線層102に相当する部分には、配線パターンは存在」しないことから、引用発明の「第1配線層101から見て受動部品103の上面部分の第2配線層102に相当する部分」は、本願発明1の「複数の配線層のうち一部の複数の配線」が「存在」しない「第2領域」に対応し、それ以外の領域が「第1領域」に対応し、本願発明と同様に、「第1領域」と「第2領域」が隣接しているといえる。

したがって、本願発明1と引用発明とは、「複数の配線層及び前記複数の配線層の各々を絶縁する複数の絶縁層を含み、第1領域及び前記第1領域に隣接する第2領域を備え、前記第1領域に設けられた多層配線回路を備えた多層配線構造体」である点で共通しているといえる。

イ 引用発明の「絶縁層106」、「絶縁層107」は、全領域にわたって延びているといえるから、引用発明も、本願発明1と同様に、「前記複数の絶縁層は、前記第1領域から前記第2領域に延びて」いる点で共通しているといえる。

ウ 引用発明において、「第1配線層101から見て受動部品103の上面部分の第2配線層102に相当する部分には、配線パターンは存在せず、絶縁層106のみが存在している構造となって」いるとされる。

ここで、上記アで述べたように、引用発明の「第1配線層101から見て受動部品103の上面部分の第2配線層102に相当する部分には、配線パターンは存在」しないことから、引用発明の「第1配線層101から見て受動部品103の上面部分の第2配線層102に相当する部分」は、本願発明1の「複数の配線層のうち一部の複数の配線」が「存在」しない「第2領域」に対応し、それ以外の領域が本願発明1の「複数の配線層のうち一部の複数の配線」が「存在」する「第1領域」に対応するといえる。

したがって、本願発明1と引用発明とは、「前記複数の配線層のうち一部の複数の配線」「は、」「前記第1領域に設けられ、前記第2領域には存在せず、前記複数の配線層のうち他の複数の配線」「は、前記第1領域及び前記第2領域に設けられ」ている点で共通しているといえる。

しかし、本願発明1では、第2領域に配線層が存在しないのに対し、引用発明では、第2領域に配線パターンが存在しない点で相違している。

また、本願発明1では、「前記一部の複数の配線層は前記第1領域と前記第2領域との境界付近に端部を有し、前記第2領域の前記配線層の層数は前記第1領域の前記配線層の層数よりも少な」いのに対し、引用発明では、このような構成を有していない点で相違している。

(2)一致点・相違点

本願発明1と、引用発明とは、以下アの点で一致し、以下イの点で相違する。

ア 一致点

「複数の配線層及び前記複数の配線層の各々を絶縁する複数の絶縁層を含み、第1領域及び前記第1領域に隣接する第2領域を備え、前記第1領域に設けられた多層配線回路を備えた多層配線構造体であって、
前記複数の絶縁層は、前記第1領域から前記第2領域に延びており、
前記複数の配線層のうち一部の複数の配線は、前記第1領域に設けられ、前記第2領域には存在せず、前記複数の配線層のうち他の複数の配線は、前記第1領域及び前記第2領域に設けられ、
前記第2領域において、前記一部の前記配線層の上下に位置する前記複数の絶縁層の各々は接している、多層配線構造体。」

イ 相違点

(ア)<相違点1>

本願発明1では、第2領域に配線層が存在しないのに対し、引用発明では、第2配線層102に相当する部分に配線パターンが存在しない点。

(イ)<相違点2>

本願発明1では、「前記一部の複数の配線層は前記第1領域と前記第2領域との境界付近に端部を有し、前記第2領域の前記配線層の層数は前記第1領域の前記配線層の層数よりも少な」いのに対し、引用発明では、このような構成を有していない点。

(3)相違点についての判断

相互に関連する<相違点1>および<相違点2>についてまとめて検討する。

本願発明1の<相違点1>に係る「第2領域に配線層が存在しない」構成および<相違点2>に係る「前記一部の複数の配線層は前記第1領域と前記第2領域との境界付近に端部を有し、前記第2領域の前記配線層の層数は前記第1領域の前記配線層の層数よりも少な」い構成について、引用文献1には、記載も示唆も無く、これら相違点は、実質的なものであるといえるから、本願発明1は、引用文献1に記載された発明であるとはいえない。

また、これらの相違点に係る構成が周知であったとも認められない。

したがって、当業者は、引用発明に基づいて、本願発明1の<相違点1>および<相違点2>に係る構成を容易に想到することができない。

(4)小括

したがって、本願発明1は、引用文献1に記載された発明であるとはいえない。

さらに、本願発明1は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2

本願発明2は、本願発明1の「第2の領域」を「第1領域に隣接する」ものから、「第1領域によって囲まれた」ものへと変更した点以外、本願発明1と共通の構成を有しており、上記本願発明1の<相違点1>および<相違点2>に係る構成をいずれも備えているから、本願発明1と同様に、本願発明2は、引用文献1に記載された発明であるとはいえない。

さらに、本願発明2は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

4 本願発明3および4

本願発明3および4は、いずれも、本願発明1または本願発明2を減縮したものであって、本願発明1または本願発明2と同一の構成を備えるものであるから、上記1または2で述べた本願発明1または本願発明2と同じ理由により、本願発明3および4は、いずれも、引用文献1に記載された発明であるとはいえない。

さらに、本願発明3および4は、いずれも、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

5 本願発明5

本願発明5は、本願発明1ないし4の多層配線構造体を有する半導体装置であり、本願発明1ないし4と同様に、上記本願発明1の<相違点1>および<相違点2>に係る構成をいずれも備えているから、本願発明1ないし4と同様に、本願発明5は、引用文献1に記載された発明であるとはいえない。

さらに、本願発明5は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

第6 原査定について

上記第5の1(3)および(4)ならびに2ないし5で述べたように、本願発明1ないし5はいずれも、引用文献1に記載された発明であるとはいえない。

また、本願発明1ないし5はいずれも、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

よって、原査定の理由(新規性進歩性)は、いずれも、維持することはできない。

第7 むすび

以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2023-10-16 
出願番号 P2021-003112
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H05K)
P 1 8・ 113- WY (H05K)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 山澤 宏
特許庁審判官 野崎 大進
山内 裕史
発明の名称 多層配線構造体及び多層配線構造体を用いた半導体装置  
代理人 弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ  

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