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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H05K
管理番号 1403489
総通号数 23 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-12-21 
確定日 2023-11-13 
事件の表示 特願2020−566715「プリント回路基板伝送線路および電子デバイス」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年12月 5日国際公開、WO2019/228208、令和 3年 9月24日国内公表、特表2021−525457、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2019年(令和1年)5月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2018年5月29日、中国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 1月 7日: 手続補正書の提出
令和4年 2月 9日付け:拒絶理由通知書
令和4年 5月 6日: 意見書、手続補正書の提出
令和4年 9月 6日付け:拒絶査定
令和4年12月21日: 審判請求書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和4年9月6日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1−11に係る発明は、以下の引用文献1−6に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特開平06−112707号公報
2.実願昭52−093913号(実開昭54−020347号)のマイクロフィルム
3.特開平07−336006号公報
4.特開2014−154842号公報
5.実願昭63−42703号(実開平1−146569号)のマイクロフィルム
6.実願平5−76072号(実開平7−43554号)のCD−ROM

第3 本願発明
本願請求項1−10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明10」という。)は、令和4年12月21日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1−10に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
基板層、金属線路、少なくとも1つの第1の溶接ポイント、少なくとも1つの第1の伝送媒体、および接地機能を実施するように構成された金属部品を備えるプリント回路基板伝送線路であって、
前記金属線路が前記基板層の表面にめっきされており、前記少なくとも1つの第1の溶接ポイントは、前記金属線路が前記少なくとも1つの第1の伝送媒体に接続される溶接ポイントであり、前記少なくとも1つの第1の溶接ポイントが前記金属線路に溶接されるとともに、前記少なくとも1つの第1の伝送媒体に溶接されており、前記金属部品が前記少なくとも1つの第1の伝送媒体に溶接されており、前記少なくとも1つの第1の溶接ポイントの片側に少なくとも1つの溝が与えられており、
前記少なくとも1つの溝が、前記少なくとも1つの第1の溶接ポイントに近接する前記基板層の端部から前記金属線路に沿って延在しており、
前記プリント回路基板伝送線路が、少なくとも1つの第2の溶接ポイントおよび少なくとも1つの第2の伝送媒体をさらに備え、前記少なくとも1つの第1の溶接ポイントと前記溝との間に前記少なくとも1つの第2の溶接ポイントが配設されており、前記少なくとも1つの第2の溶接ポイントが前記少なくとも1つの第2の伝送媒体に溶接されており、前記少なくとも1つの第2の伝送媒体が前記金属部品に溶接されており、前記少なくとも1つの第2の溶接ポイントが、前記少なくとも1つの第1の伝送媒体に接続される前記金属線路とも、他の金属線路とも接続されていない、プリント回路基板伝送線路。」

また、本願発明2−9は、本願発明1を減縮した発明である。
さらに、本願発明10は、本願発明1−9のいずれかを引用する「電子デバイス」の発明である。

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1及び引用発明
(1) 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。)。

「【図1】



「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マイクロ波集積回路と高周波同軸コネクタとからなるマイクロ波回路モジュールの、実装構造に関するものである。」

「【0018】
【作用】本発明は、金属ベースにL形金属ブロックを搭載し、L形金属ブロックに回路基板の側縁部を載置し、そのL形金属ブロックに固着搭載した高周波同軸コネクタの中心導体と回路基板のストリップ線路とを接続する構成である。
【0019】このL形金属ブロックは、回路基板の形状等に制限されることなく、金属ベースに搭載でき汎用性がある。したがって、マイクロ波回路モジュール装置が低コストである。
【0020】また、金属ベースに2条の溝,マトリックス状配置の座ぐり孔,或いは複数のL形溝を設けることによりL形金属ブロックを搭載する自由度が増える。一方、L形金属ブロックの垂直板が回路基板の端面に密接し、水平板の上面が回路基板の接地導体に密着した状態で、高周波同軸コネクタの中心導体をストリップ線路に半田付け等して接続している。したがって、高周波同軸コネクタとストリップ線路間の整合がほぼ完全である。
【0021】
【実施例】以下図を参照しながら、本発明を具体的に説明する。なお、全図を通じて同一符号は同一対象物を示す。
【0022】図1は請求項1の発明の図で、(A) は要所斜視図、(B) は要所断面図、図2は請求項2の発明の実施例の図で、(A) は平面図、(B) は断面図、図3は請求項3の発明の実施例の平面図、図4は請求項4の発明の金属ベースの平面図である。
【0023】図1において、30は、垂直板31と水平板32とで構成された良導電性ある金属よりなるL形金属ブロック30である。40は、回路基板1の平面視形状よりも充分に大きい、平板状の金属ベースである。この金属ベース40は、4隅にねじ用孔を穿孔し、小ねじを用いて機器の所望の箇所に装着するもの、或いは機器の金属筐体の一部材である。
【0024】L形金属ブロック30の垂直板31の中心に、高周波同軸コネクタ10の中心導体部分が密接に嵌入する軸心孔を設けるとともに、高周波同軸コネクタ10のフランジ15に設けたねじ用孔に対応して、軸心孔の両側に高周波同軸コネクタ10をねじ止めするためのねじ孔を設けている。
【0025】一方、L形金属ブロック30の水平板32の上面側に、回路基板1をねじ止めする小ねじ8が螺合する一対のねじ孔を設けるとともに、水平板32の底面側に、小ねじ9が螺合する一対のねじ孔35を設けている。
【0026】また、金属ベース40の所望の位置に、L形金属ブロック30のねじ孔35に対向して、小ねじ9の頸部を嵌挿する孔41を設けている。一対のL形金属ブロック30は、金属ベース40の上面に対向して載置された状態で、金属ベース40の裏面側から小ねじ9を孔41に差し込み、そのねじ部をねじ孔35に螺着することで、金属ベース40に固定されている。
【0027】回路基板1はそれぞれのストリップ線路2がL形金属ブロック30の軸心に一致するように、側縁部の裏面がL形金属ブロック30の水平板32の上面に載置され、小ねじ8を回路基板1の孔に差し込み、水平板32のねじ孔に螺着することで、金属ベース40に平行にL形金属ブロック30上に搭載固着されている。
【0028】したがって、回路基板1の裏面に形成された接地導体3は、水平板32の上面に密着し接続されている。高周波同軸コネクタ10は、フランジ15が垂直板31の外側面に密着し、中心導体部分が軸心孔を貫通した状態で、小ねじによりフランジ15が垂直板31に固着されている。
【0029】そして、回路基板1側に突出した中心導体11の先端部は、ストリップ線路2に軸心が一致してほぼ接触し、その状態で半田付けされてストリップ線路2に固着接続されている。
【0030】このL形金属ブロックは、回路基板の形状等に制限されることなく、金属ベースに搭載でき汎用性がある。したがって、マイクロ波回路モジュール装置が低コストである。
【0031】一方、L形金属ブロックの垂直板が回路基板の端面に密接し、水平板の上面が回路基板の接地導体に密着した状態で、高周波同軸コネクタの中心導体をストリップ線路に半田付け等して接続している。」

(2) 引用発明
したがって、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「マイクロ波集積回路と高周波同軸コネクタとからなるマイクロ波回路モジュールの、実装構造であって、
金属ベースにL形金属ブロックを搭載し、L形金属ブロックに回路基板の側縁部を載置し、そのL形金属ブロックに固着搭載した高周波同軸コネクタの中心導体と回路基板のストリップ線路とを接続する構成であって、
L形金属ブロックが接地導体に密着した状態で、高周波同軸コネクタの中心導体をストリップ線路に半田付け等して接続している、
マイクロ波集積回路と高周波同軸コネクタとからなるマイクロ波回路モジュールの、実装構造。」

2 引用文献2−6について
(1) 引用文献2
引用文献2には、以下の記載がある。
【図面】




【第4ページ第1−11行】
「以下、一実施例を斜視図で表わす図面について説明する。図番(1)は、印刷配線板、(2)は、印刷配線板(3)のうち、大型電子部品(4)の黄銅製のリード線(5)(5)がそれぞれ半田付(6)(6)されるランド部を示す。
(7)(7)’及び(8)(8)’は、前記ランド部(2)(2)に近接し、これを挟み且つ前記リード線(5)(5)を結ぶ線(半田付部に最も多く応力が作用する方向)に直交する方向に設けた細条透孔で、その透孔長、巾及び断面形状は取付ける部品の重重、発熱量、機器の環境温度、搬送、使用条件等上述の諸応力の原因及びその程度を考慮して設計される。」

(2) 引用文献3
引用文献3には、以下の記載がある。
「【図1】



「【0018】
【実施例】以下、この発明の実施例を添付図面の図1〜図4に基づいて説明する。図1および図2に、本発明に係る電子部品の保持装置の第1実施例を示す。図1は第1実施例の電子部品の保持装置の全体斜視図であり、図2はそのX―X断面図である。
【0019】図1で、本発明に係る電子部品の保持装置は、リード端子12を有する電子素子(電子部品)11を収容固定する凹所21を備えたケース(支持部材)20と、前記リード端子12を接続するフレキシブルプリント配線板(以下、FPCと呼ぶ。)1から構成される。FPC1は、電子部品11のリード端子12を挿通する接続孔6およびリード端子12を接続する半田付ランド5を配設した可撓領域10と、前記可撓領域10外周に沿って形成されたコ字状スリット2とを備える。
【0020】スリット2は、例えば図1に示すように矩形状の可撓領域10の少なくとも3辺を貫通させるとともに、凹所21内に位置するように設けられる。この構成によって可撓領域10は、スリット2の設けられていない辺を軸に、凹所21内で上下に若干の可撓変位が容易に可能となっている。このように、FPC1は前記の可撓領域10が弾性変位をするに適した厚みで構成されるものである。
【0021】また、FPC1には、前記可撓領域10の半田付ランド5から伸びるパターン4が、前記のスリット2が設けられていない辺を通るように設けられている。さらに、FPC1の周部には、複数個の取付孔7が、補強のためスポット状に形成された銅箔部の略中央を開口して設けられる。一方、ケース20の縁には複数個のFPC固定ピン24が、前記FPC1の周部の取付孔7に対応して設けられている。
【0022】図1に基づき、第1実施例の保持装置の組み立て過程を説明する。ケース(支持部材)20の凹所21に電子部品11を嵌入させ、凹所21内両側に設けた可撓性を有するアーム状の保持片22、22によって電子部品11の両側を挟持させて、ケース20の凹所21に電子部品11を収容固定する。
【0023】ケース20の上にFPC1を、その複数個の取付孔7がケース20の縁に設けた複数個のFPC固定ピン(連結部材)24に対応するように載置する。ついでFPC1をケース20面に押圧することで、FPC固定ピン24は取付孔7に圧入されてFPC1をケース20に取り付け固定する。
【0024】この状態において、FPC1の可撓領域10に、例えば周囲温度変化に伴って上下方向の力が作用すると、可撓領域10は図2の10A、10Bの示すように、上下に変位することができる。このようにして取り付けられたFPC1の可撓領域10に設けた接続孔6に、電子部品11のリード端子12を下方から嵌挿し、半田付けによってこのリード端子12先端を半田付ランド5に接続固定する。
【0025】前記のようにして組み立てられた電子部品の保持装置は、以下のように動作する。使用中、FPC1に取り付けられた、あるいはその近傍に取り付けられた発熱性の電気機器(例えばファンモータ)や冷却効果を有するペルチェ電子対による加熱や冷却によって、FPC1が熱伸縮して変形した場合でも、可撓領域10が上下方向に弾性変位して、この変形分を吸収するものである。この可撓領域10の弾性変位によって、FPC1の他の部分が熱伸縮変形しても、電子部品11のリード端子12を接続した半田付ランド5は同じ位置に保持されるから、リード端子12の接続部分に応力が生じるのを防止できる。」

(3) 引用文献4
引用文献4には、以下の記載がある。
「【図2】



「【0028】
図1および図2(a)〜(c)に示すように、基板モジュール1は、可撓性を有する多層フレキシブル基板10と、リジット基板20とを備え、例えば、電子機器の筐体内に配置される。
【0029】
多層フレキシブル基板10は、一例として、3層の樹脂絶縁層11a〜11cが積層されて成る積層体11と、積層体11の一方主面を形成する樹脂絶縁層11aの所定範囲に複数の外部接続用の接続端子12aがAu、Ag、Cu、Al等の一般的な導電材料により形成されて成る接続部12とを備えている。各樹脂絶縁層11a〜11cは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK、線膨張係数α:40〜47ppm/℃(150℃以下))、ポリエーテルイミド(PEI、線膨張係数α:47〜56ppm/℃)、ポリイミド(PI、線膨張係数α:45〜56ppm/℃)など、フレキシブル基板を形成する一般的な樹脂材料により形成される。
【0030】
接続部12は平面視して、リジット基板20とフレキシブル基板10が重なる箇所と定義する。この実施形態では、樹脂絶縁層11bの一方主面にAu、Ag、Cu、Al等を含む一般的な導電材料により形成された複数の配線パターン12bと、樹脂絶縁層11aの一方主面に形成された各接続端子12aとが、樹脂絶縁層11aにAu、Ag、Cu、Al等を含む一般的な導電材料により設けられたビア導体12cを介して接続されて形成されている。また、各接続端子12aは、多層フレキシブル基板10の端縁に沿って直線状に配置されている。
【0031】
また、接続部12が形成された樹脂絶縁層の11aの各接続端子12a間に、それぞれ、積層体11の熱膨張による変形を緩和する第1の膨張吸収部としてスリット13aが配線パターン12bの方向に沿って形成されている。また、スリット13aが形成された樹脂絶縁層11aと異なる他の全ての樹脂絶縁層11b,11cに、平面視で接続部12に重なるように第2の膨張吸収部としてスリット13bが形成されている。また、スリット13aが形成された樹脂絶縁層11aに、スリット13aと異なる方向に第3の膨張吸収部としてのスリット13cがさらに形成されている。」

「【0038】
以上のように、この実施形態では、複数の樹脂絶縁層11a〜11cが積層されて成る積層体11の一方主面を形成する樹脂絶縁層11aに接続部12が設けられている。接続部12は、樹脂絶縁層11aの所定範囲に形成された複数の外部接続用の接続端子12aを備えている。また、接続部12が形成された樹脂絶縁層11aには、各接続端子12a間に、積層体11の熱膨張による変形を緩和する第1の膨張吸収部としてのスリット13aが形成されている。
【0039】
そのため、接続部12の各接続端子12aがリジット基板20の一方主面に設けられた複数の外部電極21に接続されて、リジット基板20に搭載された発熱部品から発生する熱によりリジット基板20と多層フレキシブル基板10との接続部分が加熱されたときに、リジット基板20よりもその熱膨張率が大きい多層フレキシブル基板10の積層体11の熱膨張による変形が、スリット13aが変形することにより緩和される。したがって、多層フレキシブル基板10およびリジット基板20の熱膨張率の差から、多層フレキシブル基板10とリジット基板20との接続部分に生じる応力を、第1の膨張吸収部としてのスリット13aが変形することで多層フレキシブル基板10の積層体11の変形を吸収することにより緩和することができるので、多層フレキシブル基板10とリジット基板20との接続信頼性を向上することができる。」

(4) 引用文献5
引用文献5には、以下の記載がある。
「【第1図】



【第4ページ第5行−第5ページ第20行】
「以下に、本考案に係るプリント配線基板の具体的実施例を図面を参照して詳細に説明する。
第1〜2図に実施例に係るプリント配線基板を示す。これらの図に示すように、実施例に係るプリント配線基板10の端縁側に実装部品たるコネクタ12が配置され、このコネクタ12は端子接続面を外方に向けた状態で取り付けられている。このコネクタ12はプリント配線基板10の部品実装面側からリードを差し込み、プリント配線基板10のパターン側にて銅箔ランドに半田溶着により固定されている。このようなコネクタ12を取り付けたプリント配線基板10には、コネクタ12の両側部にてコネクタへの端子差し込み方向Aにに沿うように平行なスリット14が一対形成されている。このスリット14は基板10上のコネクタ12長さ以上の切り込み深さで形成され、コネクタ12が取り付けられている島16を他の基板10部分からスリット14で分離させている。スリット14の側方における基板10の両端コーナには取り付け孔18が設けられ、プリント配線基板10を機器に固定するのに利用される。
このような構成にかかるプリント配線基板10では、第1図に示すように、コネクタ12に外部コネクタ20を接続することになるが、この接続に際して基板10上のコネクタ12には第2図に示すように上下方向の力が作用する。しかし、この実施例では、プリント配線基板10が取り付け孔18を通して機器に固定的に設置されていても、コネクタ12の取り付け部をスリット14を介して他の基板10側と独立させてその撓みが基板弾性力により自由に行えるようにしているため、当該島16の変形作用により、コネクタ12に加わる力が吸収されてしまう。このため、コネクタ12の取り付け部への力の集中を妨げることができ、局部的に銅箔部や半田部の剥離、クラックという欠陥の発生を軽減抑制することができる。」

(5) 引用文献6
引用文献6には、以下の記載がある。
「【図1】



「【0011】
【実施例】
以下、図面に示した一実施例に基づいて、本考案をさらに詳細に説明する。
図1は、本考案による電子部品の取付け構造の一実施例を示している。即ち、図1において、取付け構造10は、図4に示された従来の取付構造1と同様に、ケース2内に保持されるべき基板11と、該基板11上に実装された電子部品、図示の場合コネクタ12とから構成されている。
【0012】
該コネクタ12は、図1及び図4に示すように、基板11の側縁に沿って実装されていると共に、その端面が、ケース2に設けられた開口部2aから外部に露出するように、該基板11の側縁から側方に突出している。これにより、該コネクタ12の端面が、ケース2の開口部2aに嵌合するようになっている。
【0013】
以上の構成は、図4に示した従来の電子部品の取付け構造1と同様の構成であるが、本考案による電子部品の取付け構造10においては、上記基板11の側縁におけるコネクタ12の実装部分11aにおいて、該基板11は、その実装部分11aの両側にて、図1に示すように、スリット13,14を備えている。
【0014】
本考案実施例による取付け構造10は以上のように構成されており、基板11をケース2(図4参照)内に保持する場合には、コネクタ12の端面を、ケース2の開口部2aに整合させた状態で、ケース2内に基板11を取り付ける。これにより、該基板11は、ケース2内の所定位置に固定保持され得ると共に、該基板11の側縁に実装されたコネクタ12は、該ケース2内の開口部2aに嵌合し、且つ該開口部2aから外部に露出することになる。
【0015】
このとき、該コネクタ12は、基板11の該コネクタ12が実装された実装部分11aが、その両側に設けられたスリット13,14により可撓性を付与されている。これにより、基板11がハンダディップ等により反り等の変形を生じていたとしても、該コネクタ12の端面は、基板11の実装部分11aの変形が少なく、ケース2の開口部2aに対して確実に嵌合せしめられ、且つ該開口部2aを介して確実に外部に露出せしめられ得ることになる。
【0016】
その際、上記基板11の実装部分11aが、スリット13,14の存在により可撓性を付与されていることから、該実装部分11aの変形が吸収されることにより、基板11やケース2に対するストレスが低減され得る。かくして、ストレスにより、基板11やケース等の開口部が破壊したり、コネクタ12が基板11から外れてしまうようなことが、効果的に排除され得ることになる。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「回路基板」は、本願発明1の「基板層」に相当する。

イ 引用発明の「ストリップ線路」は、本願発明1の「金属線路」と、「線路」である点で共通する。

ウ 引用発明の「高周波同軸コネクタの中心導体をストリップ線路に半田付け等して接続している」構成は、本願発明1の「第1の溶接ポイント」と、「第1の接続ポイント」である点で共通する。

エ 引用発明の「高周波同軸コネクタ」は、本願発明1の「第1の伝送媒体」に相当する。

オ 引用発明の「L形金属ブロック」は、金属の部品であることは明らかであり、また、「接地導体に密着した状態」であるから、接地機能を実施する構成であると認められる。
したがって、引用発明の「L形金属ブロック」は、本願発明1の「接地機能を実施するように構成された金属部品」に相当する。

カ 引用発明の「マイクロ波集積回路と高周波同軸コネクタとからなるマイクロ波回路モジュールの、実装構造」は、「回路基板」を備え、また、「高周波同軸コネクタ」が伝送線路の一種であることは明らかである。
したがって、引用発明の「マイクロ波集積回路と高周波同軸コネクタとからなるマイクロ波回路モジュールの、実装構造」は、本願発明1の「プリント回路基板伝送線路」と「回路基板伝送線路」である点で共通する。

キ 引用発明の「高周波同軸コネクタの中心導体をストリップ線路に半田付け等して接続している」箇所は、「ストリップ線路」が「高周波同軸コネクタ」の中心導体に接続される箇所である。また、当該箇所が「ストリップ線路」に半田付け等して「接続」されるとともに、「高周波同軸コネクタ」の中心導体に半田付け等して「接続」されているといえる。
したがって、上記イ−エを踏まえると、引用発明の「高周波同軸コネクタの中心導体をストリップ線路に半田付け等して接続している」構成は、本願発明1の「前記少なくとも1つの第1の溶接ポイントは、前記金属線路が前記少なくとも1つの第1の伝送媒体に接続される溶接ポイントであり、前記少なくとも1つの第1の溶接ポイントが前記金属線路に溶接されるとともに、前記少なくとも1つの第1の伝送媒体に溶接されて」いる構成と、「前記少なくとも1つの第1の接続ポイントは、前記線路が前記少なくとも1つの第1の伝送媒体に接続される接続ポイントであり、前記少なくとも1つの第1の接続ポイントが前記線路に接続されるとともに、前記少なくとも1つの第1の伝送媒体に接続されて」いる構成である点で共通する。

ク 引用発明の「高周波同軸コネクタ」は、「L形金属ブロック」に固着搭載しているから、「L形金属ブロック」が「高周波同軸コネクタ」に接続されているといえる。
したがって、上記エ、オを踏まえると、引用発明の「L形金属ブロックに固着搭載した高周波同軸コネクタ」は、本願発明1の「前記金属部品が前記少なくとも1つの第1の伝送媒体に溶接されて」いる構成と、「前記金属部品が前記少なくとも1つの第1の伝送媒体に接続されて」いる構成である点で共通する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「基板層、線路、少なくとも1つの第1の接続ポイント、少なくとも1つの第1の伝送媒体、および接地機能を実施するように構成された金属部品を備える回路基板伝送線路であって、
前記少なくとも1つの第1の接続ポイントは、前記線路が前記少なくとも1つの第1の伝送媒体に接続される接続ポイントであり、前記少なくとも1つの第1の接続ポイントが前記線路に接続されるとともに、前記少なくとも1つの第1の伝送媒体に接続されており、前記金属部品が前記少なくとも1つの第1の伝送媒体に接続されている、
回路基板伝送線路。」

(相違点1)
本願発明1が「金属線路」を備え、「金属線路が前記基板層の表面にめっきされて」いる構成であるのに対し、引用発明は、「ストリップ線路」を備えるものの、このような構成については特定されていない点。

(相違点2)
本願発明1では、「第1の溶接ポイント」を備え、「第1の溶接ポイントは、前記金属線路が前記少なくとも1つの第1の伝送媒体に接続される溶接ポイントであり、前記少なくとも1つの第1の溶接ポイントが前記金属線路に溶接されるとともに、前記少なくとも1つの第1の伝送媒体に溶接されて」いる構成であるのに対し、引用発明は、「高周波同軸コネクタの中心導体をストリップ線路に半田付け等して接続している」構成を備えるものの、このような構成については特定されていない点。

(相違点3)
本願発明1が「プリント回路基板伝送線路」であるのに対し、引用発明が「マイクロ波集積回路と高周波同軸コネクタとからなるマイクロ波回路モジュールの、実装構造」である点。

(相違点4)
本願発明1が「前記金属部品が前記少なくとも1つの第1の伝送媒体に溶接されて」いる構成であるのに対し、引用発明の「L形金属ブロック」は「高周波同軸コネクタ」に「固着搭載」しているものの、溶接されていることについては特定されていない点。

(相違点5)
本願発明1が「前記少なくとも1つの第1の溶接ポイントの片側に少なくとも1つの溝が与えられており、前記少なくとも1つの溝が、前記少なくとも1つの第1の溶接ポイントに近接する前記基板層の端部から前記金属線路に沿って延在して」いる構成であるのに対し、引用発明がこのような構成であることについては特定されていない点。

(相違点6)
本願発明1が「前記プリント回路基板伝送線路が、少なくとも1つの第2の溶接ポイントおよび少なくとも1つの第2の伝送媒体をさらに備え、前記少なくとも1つの第1の溶接ポイントと前記溝との間に前記少なくとも1つの第2の溶接ポイントが配設されており、前記少なくとも1つの第2の溶接ポイントが前記少なくとも1つの第2の伝送媒体に溶接されており、前記少なくとも1つの第2の伝送媒体が前記金属部品に溶接されており、前記少なくとも1つの第2の溶接ポイントが、前記少なくとも1つの第1の伝送媒体に接続される前記金属線路とも、他の金属線路とも接続されていない」構成であるのに対し、引用発明がこのような構成であることについては特定されていない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、相違点6について先に検討する。
「前記プリント回路基板伝送線路が、少なくとも1つの第2の溶接ポイントおよび少なくとも1つの第2の伝送媒体をさらに備え、前記少なくとも1つの第1の溶接ポイントと前記溝との間に前記少なくとも1つの第2の溶接ポイントが配設されており、前記少なくとも1つの第2の溶接ポイントが前記少なくとも1つの第2の伝送媒体に溶接されており、前記少なくとも1つの第2の伝送媒体が前記金属部品に溶接されており、前記少なくとも1つの第2の溶接ポイントが、前記少なくとも1つの第1の伝送媒体に接続される前記金属線路とも、他の金属線路とも接続されていない」構成は、引用文献1−6のいずれにも記載されておらず、本願の優先日前において周知技術であったともいえない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2−6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2−10について
本願発明2−10は、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2−6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 原査定についての判断
令和4年12月21日提出の手続補正書による補正により、補正後の請求項1−10は、相違点6に係る本願発明1の構成を有するものとなった。
そして、当該構成は、原査定における引用文献1−6には記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1−10は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2−6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
よって、原査定を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2023-10-30 
出願番号 P2020-566715
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H05K)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 篠塚 隆
特許庁審判官 野崎 大進
山内 裕史
発明の名称 プリント回路基板伝送線路および電子デバイス  
代理人 実広 信哉  
代理人 野村 進  

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