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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1403545
総通号数 23 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-02-20 
確定日 2023-10-31 
事件の表示 特願2020−511860「視覚障害者用の振動触覚装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年11月 8日国際公開、WO2018/204745、令和 2年 7月16日国内公表、特表2020−521256、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、本願は、2018年(平成30年)5月4日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2017年5月4日 米国、2017年11月8日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。

令和4年 4月26日付け:拒絶理由通知
令和4年10月 7日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年10月14日付け:拒絶査定(原査定)
令和5年 2月20日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提出
令和5年 3月29日 :手続補正書(審判請求理由補充)の提出
令和5年 7月24日付け:拒絶理由(最後)(当審拒絶理由)通知
令和5年 9月 6日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要

原査定の概要は、次のとおりである。

進歩性)この出願の請求項1、2、4ないし8および10ないし12に係る発明は、以下の引用文献1および2に記載された発明に基いて、この出願の請求項3および9に係る発明は、以下の引用文献1ないし3に記載された発明に基いて、この出願の請求項13に係る発明は、以下の引用文献1、2、4および5に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



1.特開2008−286546号公報
2.米国特許出願公開第2011/0163860号明細書
3.特開2015−145860号公報
4.特開2015−095261号公報(周知技術を示す文献)
5.特開2015−082818号公報(周知技術を示す文献)

第3 本願発明

本願請求項1ないし13に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明13」という。)は、令和5年9月6日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定される、次のとおりの発明である。

「【請求項1】
ナビゲーションを支援するためのウェアラブル装置であって、
非視覚および非聴覚のナビゲーションのための固有のアルゴリズムに接続するように構成され、前記ウェアラブル装置を装着しているユーザの行動に基づいて前記固有のアルゴリズムにより触覚パターンを変化させることにより前記ユーザが関心地点に到着するための指示に従うように前記ユーザを誘導する振動触覚装置を備え、
前記振動触覚装置は、
ユーザの地理的位置を決定するように構成されたプリント回路基板と、
電池と、
1つ以上の隔離パッドと、
複数のアクチュエータであって、前記複数のアクチュエータの各々が電力消費を最小化しつつ7つの別個の周波数を生成することによりスピーカの触覚周波数範囲を提供する3イン1の線形共振質量システムの組み合わせからなる前記複数のアクチュエータと、を備え、
前記振動触覚装置は、前記ナビゲーション中の前記ユーザの行動に応じて前記振動触覚装置の振動領域を変化させることによって前記ナビゲーションのための方向バイアスを出力する、ウェアラブル装置。
【請求項2】
前記プリント回路基板と、前記電池と、前記1つ以上の隔離パッドと、前記複数のアクチュエータを収容するように構成された筐体と、をさらに備える、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項3】
前記プリント回路基板が、フレキシブルプリント回路基板である、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項4】
前記ウェアラブル装置を前記ユーザに結合するためのストラップをさらに備える、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項5】
前記電池が、充電式電池である、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項6】
前記隔離パッドが、前記アクチュエータを機械的に分離するように構成されている、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項7】
ナビゲーションを支援するためのシステムであって、
非視覚および非聴覚のナビゲーションのための固有のアルゴリズムに接続するように構成された振動触覚装置を含むウェアラブル装置を備え、
前記振動触覚装置は、前記ウェアラブル装置を装着しているユーザの行動に基づいて前記固有のアルゴリズムにより触覚パターンを変化させることにより前記ユーザが関心地点に到着するための指示に従うように前記ユーザを誘導するように構成されており、
前記振動触覚装置は、
ユーザの地理的位置を決定するように構成されたプリント回路基板、
電池、
1つ以上の隔離パッド、および
複数のアクチュエータであって、前記複数のアクチュエータの各々が電力消費を最小化しつつ7つの別個の周波数を生成することによりスピーカの触覚周波数範囲を提供する3イン1の線形共振質量システムの組み合わせからなる前記複数のアクチュエータ、を含み、
当該システムはさらに、前記振動触覚装置に結合されたモバイル電子装置を備え、
前記モバイル電子装置が、前記振動触覚装置によって収集されたデータを解析し、ユーザの地理的位置および角度を決定するように構成されており、
前記振動触覚装置は、前記ナビゲーション中の前記ユーザの行動に応じて前記振動触覚装置の振動領域を変化させることによって前記ナビゲーションのための方向バイアスを出力する、システム。
【請求項8】
前記プリント回路基板と、前記電池と、前記1つ以上の隔離パッドと、前記複数のアクチュエータとを収容するように構成された筐体をさらに備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記プリント回路基板が、フレキシブルプリント回路基板である、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記ウェアラブル装置を前記ユーザに結合するためのストラップをさらに備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記電池が、充電式電池である、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記隔離パッドが、前記アクチュエータを機械的に分離するように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数のアクチュエータが、
圧電アクチュエータ、
偏心回転質量アクチュエータ、
線形共振アクチュエータ、および
骨伝導スピーカからなる群から選択される、請求項7に記載のシステム。」

第4 引用文献の記載、引用発明等

1 引用文献1

(1)引用文献1の記載

原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献1(特開2008−286546号公報)には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審による。以下同様。)。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が目的地に向かって移動する際に、移動すべき方位を案内する身体装着型電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現在位置から目的地までの経路を案内する装置として、自動車用の経路誘導装置(いわゆるカーナビゲーション装置)が知られている。一般的なカーナビゲーション装置では、GPS(Global Positioning System)等を利用して移動体としての自動車の現在位置を特定し、特定された移動体の現在位置と目的地までの経路とを表示する。
【0003】
また、記憶媒体にフラッシュメモリ等を使用して小型化した、簡易型のナビゲーション装置(いわゆるPND:Personal Navigation Device)が提供されており、歩行者用の経路誘導装置として利用されている。例えば、特許文献1には、歩行者が進路変更点となる交差点に到達したときに、誘導経路の方位と歩行者の進行方位を比較し、誘導経路の方位と歩行者の進行方位とが異なったときに振動子を駆動してこれを報知する歩行者用経路誘導装置が開示されている。また、画像や音声、又はこれらの組み合わせにより、歩行者に経路を誘導する技術が公知技術として記載されている。
【特許文献1】 特開平10−332407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の振動子を利用した歩行者用経路誘導装置では、使用者に進行方位を変更すべきであることを報知できるにすぎず、直接的に経路を誘導することはできない。
【0005】
また、GPS測位情報に基づいて誘導経路又は経路上の特定点の位置関係を機器画面に表示する場合は、利用者の利便性を考えると、カラー表示部が必要となる上、その表示画面サイズを小さくした場合には視認性が悪くなるという問題がある。また、音声により経路を誘導する場合、生活雑音等が大きい地域では音声メッセージを聞き取りにくくなるため、確実に経路を誘導できなくなる上、静閑な場所で利用すると住空間の調和を乱す虞がある。
【0006】
本発明は、使用者に対して移動すべき方位を確実かつ直接的に誘導案内することができる身体装着型電子機器を提供することを目的とする。
(中略)
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、使用者に対して移動すべき方位を、視覚や聴覚に頼ることなく、人が感じうる触感(例えば、振動や温度変化)を利用して直接的に案内するので、使用者は現在位置における移動方位を容易に知得することができる。また、経路情報に基づいて移動方位を案内することで、容易に経路を誘導することができる。」

イ 図1


ウ 「【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、本発明に係る身体装着型電子機器を腕時計に適用したものである。
【0019】
図1は、本実施形態に係る腕時計の外観図である。
図1に示すように、腕時計1は、時計本体10と、この時計本体の両端部に係止されたリストバンド20とで構成される。
時計本体10は、日付や時刻、及び方位等の各種情報を表示する液晶表示画面107aと、使用者が目的地情報等を入力可能なスイッチ(操作部)106a〜106fと、を備える。また、液晶表示画面107aの上方は図示しない風防で覆われており、風防の周囲にはベゼル107bが周設されている。腕時計1は、例えば、使用者の手首に着脱可能に装着され、装着時には腕時計1の裏蓋面は使用者の腕Uと接触することとなる。」

エ 図2


オ 「【0021】
図2は、腕時計1が備える伝達部材としての振動子の配置例を示す説明図であり、図1において液晶表示画面107a及びベゼル107bを透視した図を示している。
図2に示すように、腕時計1の裏蓋(バック)には、周角を4分割する2軸上のそれぞれにおいて、軸交点を挟んで対向する位置に、伝達手段としての振動子109a〜109dが配置実装されている。図2では、裏蓋面の12時、3時、6時、9時の位置にそれぞれ振動子109a、109b、109c、109dを設けた例を示している。
【0022】
すなわち、腕時計1が使用者の手首に装着された状態において、振動子109a〜109dは使用者の身体の一部である腕Uに接触する。本実施形態では、使用者が現在地から目的地に向かって移動する際に、これらの振動子109a〜109dのうち特定の振動子を振動させることにより、使用者の移動すべき方位を誘導案内する。」

カ 図3


キ 「【0023】
図3は、時計本体10に内蔵されている各構成要素を機能的に示したブロック図である。図3に示すように、時計本体10は、ジャイロシステム101、方位システム102、GPSシステム103、GPSアンテナ104、記憶部105、操作部106、表示部107、時計部108、伝達部109、通信部110、及び制御部111を備えて構成される。
【0024】
ジャイロシステム101は、腕時計1の空間姿勢を検出するための姿勢検出手段を構成している。具体的には、振動子109a〜109dの設けられている平面(ここでは裏蓋面)がどのような状態でどの方向を向いているかを検出可能で、特に、この平面が地面に対して垂直/水平であるかを検出する。なお、裏蓋面が地面に対して水平か垂直かを検出できる傾斜センサで代替することもできる。
【0025】
方位システム102は、例えば、地磁気センサを有し、裏蓋面の特定方向(例えば、3時方向、6時方向、9時方向、12時方向)の指す方位を検出するための方位検出手段を構成している。ジャイロシステム101及び方位システム102による検出結果に基づいて、4つの振動子109a〜109dのそれぞれが何れの方位に対応しているかを判断できる。
【0026】
GPSシステム103は、複数のGPS衛星から放射された電波信号(GPS衛星の軌道と衛星に搭載された原子時計からの時刻データを含む)を、GPSアンテナ104を介して受信し、所定の演算処理を行うことにより使用者の現在位置を取得するための現在位置取得手段を構成している。例えば、GPSシステム103により、使用者の現在位置に関する情報(現在位置情報)として、緯度・経度及び現在位置における絶対方位(東・西・南・北)を取得することができる。
(中略)
【0033】
制御部111は、CPU、ROM、及びRAMで構成される。CPUは、ROMに記憶されている各種プログラムを読み出してRAMの作業領域に展開し、これを実行することにより腕時計1の全体及び各構成部の動作を制御する。」

ク 図4


ケ 「【0036】
図4は、出発地と目的地、及びこれらを結ぶ経路の関係について示した説明図である。図4に示すように、出発地Sと目的地Dが設定されると、これらの地点を含む道路地図情報が参照される。そして、使用者の要求(例えば、最短ルート、方向転換が少ない等)に従って経路が決定される。図4では、複数の経路C1、C2が算出されている。このように、目的地に到達するのに複数の経路が存在する場合は、使用者によって選択できるようにしてもよい。
【0037】
また、制御部111は、GPSシステム103により取得された現在位置情報と、取得された経路に関する情報(経路情報)とに基づいて、使用者の移動すべき方位を決定するための移動方位決定手段を構成している。例えば、図4において、経路C1に沿って目的地Dまで誘導する場合、使用者の現在位置がP1であれば移動方位は「北」となり、使用者の現在位置がP2であれば移動方位は「西」となる。
または、現在位置情報と目的地情報とに基づいて、使用者の移動すべき方位を決定することもできる。図4において、例えば、使用者が出発地Sから目的地Dまで移動する際、現在位置が出発地Sであれば移動方位は「北西」となる。つまり、実際に道路が存在するか否かは関係なく、目的地の方角を単に案内する。
【0038】
さらに、制御部111は、振動子109a〜109dを選択的に駆動制御して、使用者に所定の触感を与えることにより、決定された移動方位を案内するための駆動制御手段を構成している。例えば、腕時計1の現在の状態(空間姿勢及び裏蓋面内の特定方向の指す方位)に基づいて、振動子109a〜109dのそれぞれに絶対方位を関連付けてRAMに記憶させる。つまり、各振動子109a〜109dがどの方位を指しているか記憶させる。そして、4つの振動子109a〜109dのうち移動方位に対応する振動子を駆動させる。これにより、現在位置における使用者の移動すべき方位を案内できるとともに、所定の経路に沿って目的地まで誘導することができる。」

(2)引用文献1記載発明

上記(1)より、特に、下線部に着目すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「使用者が目的地に向かって移動する際に、移動すべき方位を案内する身体装着型電子機器に関し、
使用者に対して移動すべき方位を、視覚や聴覚に頼ることなく、人が感じうる触感を利用して直接的に案内するものであり、
身体装着型電子機器を腕時計に適用したものであって、
腕時計1は、時計本体10と、この時計本体の両端部に係止されたリストバンド20とで構成されており、
腕時計1は、使用者の手首に着脱可能に装着され、装着時には腕時計1の裏蓋面は使用者の腕Uと接触することとなり、
腕時計1の裏蓋(バック)には、周角を4分割する2軸上のそれぞれにおいて、軸交点を挟んで対向する位置に、伝達手段としての振動子109a〜109dが配置実装されており、使用者が現在地から目的地に向かって移動する際に、これらの振動子109a〜109dのうち特定の振動子を振動させることにより、使用者の移動すべき方位を誘導案内するものであり、
時計本体10は、ジャイロシステム101、方位システム102、GPSシステム103、GPSアンテナ104、記憶部105、操作部106、表示部107、時計部108、伝達部109、通信部110、及び制御部111を備えて構成されており、
ジャイロシステム101は、腕時計1の空間姿勢を検出するための姿勢検出手段を構成しており、振動子109a〜109dの設けられている平面(ここでは裏蓋面)がどのような状態でどの方向を向いているかを検出可能であり、
ジャイロシステム101及び方位システム102による検出結果に基づいて、4つの振動子109a〜109dのそれぞれが何れの方位に対応しているかを判断でき、
GPSシステム103は、使用者の現在位置を取得するための現在位置取得手段を構成しており、
制御部111は、CPU、ROM、及びRAMで構成され、CPUは、ROMに記憶されている各種プログラムを読み出して、これを実行することにより腕時計1の全体及び各構成部の動作を制御しており、
使用者の要求(例えば、最短ルート、方向転換が少ない等)に従って経路が決定され、
制御部111は、GPSシステム103により取得された現在位置情報と、取得された経路に関する情報(経路情報)とに基づいて、使用者の移動すべき方位を決定するための移動方位決定手段を構成しており、
さらに、制御部111は、振動子109a〜109dを選択的に駆動制御して、使用者に所定の触感を与えることにより、決定された移動方位を案内するための駆動制御手段を構成しており、腕時計1の現在の状態(空間姿勢及び裏蓋面内の特定方向の指す方位)に基づいて、4つの振動子109a〜109dのうち移動方位に対応する振動子を駆動させ、これにより、現在位置における使用者の移動すべき方位を案内できるとともに、所定の経路に沿って目的地まで誘導することができる
身体装着型電子機器。」

2 引用文献2

原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献2(米国特許出願公開第2011/0163860号明細書)には、図面とともに、次の記載がある。

ア 図1


イ 図2


ウ 「[0028] FIG. 1 is a diagram schematically illustrating the configuration of the vibrotactile mobile device according to an embodiment. FIG. 2 is a sectional view illustrating the vibrotactile mobile device taken along the line A-A of FIG. 1.
[0029] With reference to FIGS. 1 and 2, the vibrotactile mobile device 100 according to this embodiment includes vibration modules 110, a vibration contact plate 120, and a screen 130. The vibrotactile mobile device 100 may optionally include vibration isolating links 140 and a vibration controller (not shown).
[0030] In general, the screen 130 is disposed on the front surface of the mobile device 100. A user usually holds the rear and side surfaces of the mobile device 100 with hands 200 and operates the device to execute a program.
[0031] The plurality of vibration modules 110 according to this embodiment are disposed on the rear and side surfaces of the mobile device 100, which are in contact with the hands 200. The size of an area where the plurality of vibration modules 110 are disposed may be equal to or larger than the size of the screen 130. Here, each of the vibration modules 110 may include an actuator for generating vibration. The actuator may include a small-sized eccentric motor or a linear vibration motor or a piezoelectric element vibrating in a uniform vibration direction, without limitation.
[0032] The vibration contact plate 120 is disposed outside the vibration modules 110 so as to come in contact with the hands 200 of the user. The vibration contact plate 120 delivers the vibration generated in the vibration modules 110 to the hands 200 of the user.
[0033] The screen 130 is disposed opposite to the vibration contact plate 120, that is, on the front surface of the mobile device 100, and displays the execution status of the program to the outside.
[0034] The vibration isolating links 140 are connected to the vibration modules 110, between the screen 130 and the vibration modules 110, and isolate the vibration delivered from the vibration modules 110. When the vibration modules 110 are mounted in the mobile device 100, the vibration has to be blocked not to be delivered over a predetermined range so that the vibration generated in a certain vibration module 110 may not be confused with the vibration generated in the vibration module adjacent to the vibration module 110.
[0035] Therefore, each of the vibration isolating links 140 is connected to one end of each of the vibration modules 110. Here, the vibration isolating links 140 have to be appropriately blocked. The surface of the mobile device 100 does not have to be completely depressed even when the user tightly holds the mobile device 100. Accordingly, the vibration isolating links 140 are made of a material having appropriate elasticity to maintain the surface shape of the mobile device 100. The vibration isolating links 140 are not particularly limited, but may be realized by a spring, a rubber plate, a sponge, etc.」
(当審訳:
[0028] 図1は、実施形態に係る振動触覚移動装置の構成を模式的に示す図である。図2は、図1の線A-Aに沿ってとられた振動触覚移動装置を示す断面図である。
[0029] 図1および図2を参照すると、本実施形態による振動触覚モバイルデバイス100は、振動モジュール110、振動接触プレート120、およびスクリーン130を含む。振動触覚移動装置100は、任意選択で、防振リンク140および振動制御装置(図示せず)を含んでもよい。
[0030] 一般に、スクリーン130はモバイルデバイス100の前面に配置される。ユーザは通常、モバイル機器100の後面および側面を手200で保持し、プログラムを実行するために機器を操作する。
[0031] 本実施形態による複数の振動モジュール110は、手200と接触するモバイル機器100の背面および側面に配置される。複数の振動モジュール110が配置される領域の大きさは、画面130の大きさと同じであってもよいし、画面130の大きさよりも大きくてもよい。ここで、振動モジュール110の各々は、振動を発生させるためのアクチュエータを含んでもよい。アクチュエータは、特に限定されないが、小型の偏心モータまたはリニア振動モータまたは均一な振動方向に振動する圧電素子を含んでもよい。
[0032] 振動接触板120は、使用者の手200と接触するように振動モジュール110の外側に配置される。振動接触板120は、振動モジュール110で発生した振動を使用者の手200に伝達する。
[0033] スクリーン130は、振動接触板120に対向して、すなわちモバイル機器100の前面に配置され、プログラムの実行状況を外部に表示する。
[0034] 防振リンク140は、スクリーン130と振動モジュール110との間で振動モジュール110に接続され、振動モジュール110から伝達される振動を防振する。振動モジュール110がモバイル機器100に搭載される場合、ある振動モジュール110で発生した振動が、その振動モジュール110に隣接する振動モジュールで発生した振動と混同されないように、振動が所定の範囲にわたって伝達されないように遮断する必要がある。
[0035] したがって、防振リンク140の各々は、振動モジュール110の各々の一端に接続される。ここで、防振リンク140は適切に遮断されなければならない。ユーザがモバイル機器100を強く握っても、モバイル機器100の表面が完全に凹む必要はない。従って、防振リンク140は、モバイル機器100の表面形状を維持するために適切な弾性を有する材料で作られている。防振リンク140は、特に限定されないが、バネ、ゴム板、スポンジ等によって実現することができる。)

3 引用文献3

原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献3(特開2015−145860号公報)には、図面とともに、次の記載がある。

ア 図1


イ 「【0021】
図1は、本発明の位置情報発信ツールの一実施の形態の断面構造を示している。ただし、図において、各部分は模式的に示したものであり、実際の厚み、大きさ等とは異なっている(以下の図においても同じ)。
【0022】
この位置情報発信ツール1は、登山やオリエンテーリング等を楽しむグループに、そのグループ管理を行う者から配布されるもので、参加者の位置情報の追跡を、このツール1によって随時行い、迷子や遭難のトラブルが発生した場合の安全を図るためのものである。
【0023】
この位置情報発信ツール1は、厚み3.5mm、縦30mm×横40mmのシート状の本体部2を有し、その2つの角部に、安全ピン取り付け用の穴3(図3〔a〕を参照)が設けられている。配布された者は、このツール1を、安全ピンを利用して衣服や帽子、バッグ等に取り付けてから登山やオリエンテーリングを開始する。なお、上記位置情報発信ツール1は、このツール1に内蔵される太陽電池を電源としており、ツール1の片方の面が、上記太陽電池の受光面となっているため、この受光面が日に当たりやすいような配置で取り付けられる。
【0024】
上記構成をより詳しく説明する。すなわち、上記位置情報発信ツール1の本体部2は、柔軟なフレキシブルCIGS太陽電池ユニット4と、柔軟なフレキシブル回路基板5とが、接着剤層6を介して積層一体化され、上記フレキシブルCIGS太陽電池ユニット4の表面と周端面とが、透明な保護シート7で被覆保護されている。そして、全体が湾曲可能な柔軟性を備えている。
【0025】
上記フレキシブル回路基板5は、ポリイミド等の絶縁シートからなるベース層8の表面に、GPS受信手段9と、無線通信手段10と、これらの動作を制御するための制御手段(制御回路)11と、キャパシタ12とが搭載され、それらの表面がカバーレイ13で被覆された構成になっている。なお、14は電極で、上記フレキシブルCIGS太陽電池ユニット4に設けられた電極(図示せず)と接続されており、上記フレキシブルCIGS太陽電池ユニット4からの電気が、上記電極14から延びる制御回路11を経由して、上記GPS受信手段9等に供給されるようになっている。」

4 引用文献4

原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献4(特開2015−095261号公報)には、図面とともに、次の記載がある。

「【0014】
アクチュエーター112、116、120、122は、電磁モーター、偏心質量がモーターによって移動される偏心回転質量(「ERM」)アクチュエーター、ばねに取り付けられた質量が前後に駆動されるリニア共振アクチュエーター(「LRA」)、形状記憶合金、信号に応答して変形する電気活性ポリマー、剛性を変化させるためのメカニズム、振動触覚アクチュエーター、慣性アクチュエーター、圧電アクチュエーター、又は他の好適なタイプの作動デバイスを含むことができる。1つの実施形態では、アクチュエーター112、116、120、122は、振動触覚フィードバックをユーザーに提供する慣性アクチュエーターとして実施することができる。別の実施形態では、これらのアクチュエーターは、例えば、ハンドル106の剛性/減衰(damping:制動)を変化させるソレノイド、ハンドル106のサイズを変化させる小さなエアバッグ、又は形状変化材料を備える運動感覚触覚フィードバックを用いることができる。」

5 引用文献5

原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献5(特開2015−082818号公報)には、図面とともに、次の記載がある。

ア 図1


イ 「【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係る実施例1のシステム構成図の斜視図である。実施例1は、携帯電話2と腕時計型送受話装置4からなるシステムを構成している。携帯電話2は、GUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)機能を備えた腕時計表示部6を有するいわゆるスマートフォンとして構成されている。テンキーなどの操作部8は腕時計表示部6上に表示され、腕時計表示部6に対する指のタッチやスライドに応じてGUI操作される。赤外光発光部10および12と赤外受光部12は、携帯電話2が耳に当てられたことを検知する近接センサを構成する。携帯電話2はさらに、イヤホン16、マイク18およびテレビ電話用内側カメラ20を有する。なお、図1では図示していないが、携帯電話2は腕時計表示部6の裏側に背面主カメラを有するとともに、Bluetooth(登録商標)などによる近距離通信システムの電波22により腕時計型送受話装置4と近距離通信可能である。携帯電話2はさらに着信音やテレビ電話の発生のためのスピーカを有しているが、これと区別するため、耳に当てて聞くスピーカはこれスピーカは上記のように「イヤホン16」と称している。
【0016】
腕時計型送受話装置4は、腕時計本体26とベルト部28を有する。腕時計本体26には反射型液晶を用いた腕時計表示部30が設けられていて、通常の時刻表示とともに、後述する種々の表示を行う。腕時計表示部30はタッチパネル式で、表示部にタッチすることで30aを有し、腕時計型送受話装置4を操作することが可能である。腕時計本体26
には、送受話装置用スピーカ32が設けられており、携帯電話2との近距離通信により、携帯電話2を例えばポケットに入れたままでも腕時計型送受話装置4を見ながら通話が可能である。送受話装置用マイクについては後述する。腕時計本体26には、さらにカメラ部34が設けられていて腕時計表示部30を見ている自身の顔が撮像されるとともに、相手の顔が腕時計表示部30に表示され、テレビ電話が可能である。
【0017】
腕時計本体26には、圧電バイモルフ素子等からなる軟骨伝導振動源36が設けられており、腕時計本体26の裏側より手首に軟骨伝導用の振動を伝える。また、ベルト部28にも、同様の圧電バイモルフ素子等からなる軟骨伝導振動源38および40が設けられており、ベルト部28の裏側より手首に軟骨伝導用の振動を伝える。また、ベルト部28には手首と音響インピーダンスが似通った材質で構成された伝導帯41が設けられており、軟骨伝導振動源38および40はこの伝導帯41に配置されていて、振動が伝導帯41を伝わるよう構成される。このようにして腕時計4からは手首回りの広範囲に軟骨伝導用の振動が伝えられる。手首回りの広範囲から振動を伝達する構成は、振動伝達のための好適位置の個人差や、腕時計型送受話装置4の装着中の位置ずれなどを吸収するのに効果的である。また、手首回りの広範囲から振動を伝達することで軟骨伝導のための振動をより効果的に手に伝えることができる。
【0018】
ここで軟骨伝導について説明する。軟骨伝導は、本願発明者によって発見された現象であり耳珠等の外耳道入口部周りの軟骨に伝えられた振動により軟骨部外耳道表面が振動し、外耳道内で気導音を発生させる現象である。そして外耳道内で発生した気導音は外耳道内をさらに奥に進んで鼓膜に達する。このように軟骨伝導により聞こえる音の主要部は鼓膜を介して聞こえる音である。但し、鼓膜で聞こえるのは通常の気導音のように外耳道外部から外耳道に侵入した音ではなく、あくまで外耳道内部で発生した気導音である。」

ウ 図2


エ 「【0022】
図2は、図1に示す実施例1における腕時計表示部30に表示される通話姿勢の説明画面である。この画面は、腕時計型送受話装置4の電源スイッチを入れる度に表示されるが、煩雑なときは表示されないように設定することもできる。図2(A)は、テレビ電話時の通話姿勢であり、携帯電話2を例えばポケットに入れたままで腕時計表示部30を見ながらテレビ電話の通話を行う姿勢を説明している。このとき可変指向性マイク46の指向性は図1の矢印48に示すように手の甲側に向けられている。
【0023】
図2(B)は軟骨伝導通話の姿勢を説明するもので、腕時計型送受話装置4を嵌めた手(例えば左手)の人差し指を同じ側の耳(例えば左耳)の耳珠(耳軟骨)に当てている軟骨伝導による通話姿勢を示している。このとき、指で耳穴を塞がないようにすれば、外界音も聞こえる状態で軟骨伝導により音を聞くことができる。なお、耳珠を強く押して耳穴を塞ぐようにすると外耳道閉鎖効果によりさらに大きな音で軟骨伝導による音を聞くことができる。このような通話姿勢により、手首から導入された軟骨伝導のための振動が人差し指に伝わり、その振動が耳珠(耳軟骨)に伝わることで、良好な軟骨伝導により相手の声を聞くことができるとともに、図1の矢印50に示すように手の平側の方向に指向性が切換えられたマイクによって拾われる自分の声を相手に伝えることができる。なお、この姿勢のとき、カメラ部34、スピーカ32および腕時計表示部30はそれぞれオフになる。このような自動オフは、腕時計本体26に設けられた加速度センサが図2(A)と(B)の姿勢変更を検知することにより自動的に行われる。」

第5 対比・判断

1 本願発明1

(1)対比

本願発明1と、引用発明とを対比する。

ア 引用発明は、「使用者が目的地に向かって移動する際に、移動すべき方位を案内する身体装着型電子機器」とされている。

ここで、引用発明の「使用者が目的地に向かって移動する際に、移動すべき方位を案内する」ことは、本願発明1の「ナビゲーションを支援する」ことに相当する。

また、引用発明の「身体装着型電子機器」は、本願発明1のウェアラブル装置」に相当する。

したがって、本願発明1と、引用発明とは、「ナビゲーションを支援するためのウェアラブル装置」である点で共通しているといえる。

イ 引用発明は、「使用者に対して移動すべき方位を、視覚や聴覚に頼ることなく、人が感じうる触感を利用して直接的に案内するものであり、」「制御部111は、CPU、ROM、及びRAMで構成され、CPUは、ROMに記憶されている各種プログラムを読み出して、これを実行することにより腕時計1の全体及び各構成部の動作を制御しており、使用者の要求(例えば、最短ルート、方向転換が少ない等)に従って経路が決定され、制御部111は、GPSシステム103により取得された現在位置情報と、取得された経路に関する情報(経路情報)とに基づいて、使用者の移動すべき方位を決定するための移動方位決定手段を構成しており、さらに、制御部111は、振動子109a〜109dを選択的に駆動制御して、使用者に所定の触感を与えることにより、決定された移動方位を案内するための駆動制御手段を構成しており、腕時計1の現在の状態(空間姿勢及び裏蓋面内の特定方向の指す方位)に基づいて、4つの振動子109a〜109dのうち移動方位に対応する振動子を駆動させ、これにより、現在位置における使用者の移動すべき方位を案内できるとともに、所定の経路に沿って目的地まで誘導することができる」とされている。

ここで、引用発明の「使用者に対して移動すべき方位を、視覚や聴覚に頼ることなく、人が感じうる触感を利用して直接的に案内する」ことは、本願発明1の「非視覚および非聴覚のナビゲーション」に対応しているといえる。

また、引用発明の「制御部111は、CPU、ROM、及びRAMで構成され、CPUは、ROMに記憶されている各種プログラムを読み出して、これを実行することにより腕時計1の全体及び各構成部の動作を制御して」おり、一般に、プログラムは、CPUに接続されたROM等に格納され、所定のアルゴリズムに基づいてCPUを制御しているから、引用発明も、本願発明1と同様に、「非視覚および非聴覚のナビゲーションのための固有のアルゴリズムに接続するように構成され」ているといえる。

さらに、引用発明の「使用者」、「目的地」、「振動子109a〜109dを選択的に駆動制御」する「制御部111」は、それぞれ、本願発明1の「ユーザ」、「関心地点」、「振動触覚装置」に相当するといえる。

そして、引用発明の「制御部111は、振動子109a〜109dを選択的に駆動制御して、使用者に所定の触感を与えることにより、決定された移動方位を案内」しており、その際に、「使用者の要求(例えば、最短ルート、方向転換が少ない等)に従って経路が決定され、」「現在位置情報と、取得された経路に関する情報(経路情報)とに基づいて、使用者の移動すべき方位を決定」し、「腕時計1の現在の状態(空間姿勢及び裏蓋面内の特定方向の指す方位)に基づいて、4つの振動子109a〜109dのうち移動方位に対応する振動子を駆動させ、これにより、現在位置における使用者の移動すべき方位を案内できるとともに、所定の経路に沿って目的地まで誘導」しており、使用者の決定した経路や、使用者の現在位置、および、使用者の姿勢は、それぞれ、使用者(ユーザ)の決定や、移動、姿勢変更等の行動に基づいているから、いずれも、本願発明1と同様に、「ウェアラブル装置を装着しているユーザの行動に基づ」くものであるといえる。

さらに、引用発明において、「4つの振動子109a〜109dのうち移動方位に対応する振動子を駆動させ」ることは、本願発明1の「触覚パターンを変化させること」に対応するといえる。

また、引用発明の「制御部111」は、「振動子109a〜109dを選択的に駆動制御」しており、引用発明の「振動子109a〜109d」は、本願発明1の「複数のアクチュエータ」に相当するといえるから、本願発明1の「振動触覚装置」と同様に、「複数のアクチュエータと、を備え」ている点で共通しているといえる。

そして、引用発明の「制御部111」が、「振動子109a〜109dを選択的に駆動制御」することは、本願発明1の「振動触覚装置」が「振動触覚装置の振動領域を変化させること」に対応するといえる。

したがって、本願発明1と引用発明とは、「非視覚および非聴覚のナビゲーションのための固有のアルゴリズムに接続するように構成され、前記ウェアラブル装置を装着しているユーザの行動に基づいて前記固有のアルゴリズムにより触覚パターンを変化させることにより前記ユーザが関心地点に到着するための指示に従うように前記ユーザを誘導する振動触覚装置を備え、」「前記振動触覚装置は、」「複数のアクチュエータと、を備え、」「前記振動触覚装置は、前記ナビゲーション中の前記ユーザの行動に応じて前記振動触覚装置の振動領域を変化させることによって前記ナビゲーションのための方向バイアスを出力する」点で共通しているといえる。

しかし、本願発明1の振動触覚装置が備える複数のアクチュエータは、「複数のアクチュエータの各々が電力消費を最小化しつつ7つの別個の周波数を生成することによりスピーカの触覚周波数範囲を提供する3イン1の線形共振質量システムの組み合わせからなる」ものであるのに対し、引用発明の複数のアクチュエータは、このようなものでない点で相違している。

ウ 引用発明において、「GPSシステム103は、使用者の現在位置を取得するための現在位置取得手段を構成して」いるとされている。

ここで、引用発明の「使用者の現在位置を取得するための現在位置取得手段を構成」する「GPSシステム103」と、本願発明1の「ユーザの地理的位置を決定するように構成されたプリント回路基板」とは、「ユーザの地理的位置を決定するように構成された」ものである点で共通しているといえる。

しかし、「ユーザの地理的位置を決定するように構成された」ものが、本願発明1は、「プリント回路基板」であるのに対し、引用発明の「GPSシステム103」は、プリント回路基板であるか否か明らかでない点で相違している。

また、本願発明1の振動触覚装置は、「電池と、1つ以上の隔離パッドと」を備えているのに対し、引用発明の振動触覚装置は、電池や1つ以上の隔離パッドを備えているのか否か明らかでない点で相違している。

(2)一致点・相違点

本願発明1と、引用発明とは、以下アの点で一致し、以下イの点で相違する。

ア 一致点

「ナビゲーションを支援するためのウェアラブル装置であって、
非視覚および非聴覚のナビゲーションのための固有のアルゴリズムに接続するように構成され、前記ウェアラブル装置を装着しているユーザの行動に基づいて前記固有のアルゴリズムにより触覚パターンを変化させることにより前記ユーザが関心地点に到着するための指示に従うように前記ユーザを誘導する振動触覚装置を備え、
前記振動触覚装置は、
ユーザの地理的位置を決定するように構成された手段と、
複数のアクチュエータと、を備え、
前記振動触覚装置は、前記ナビゲーション中の前記ユーザの行動に応じて前記振動触覚装置の振動領域を変化させることによって前記ナビゲーションのための方向バイアスを出力する、ウェアラブル装置。」

イ 相違点

(ア) <相違点1>

「ユーザの地理的位置を決定するように構成された」ものが、本願発明1は、「プリント回路基板」であるのに対し、引用発明の「GPSシステム103」は、プリント回路基板であるか否か明らかでない点。

(イ) <相違点2>

本願発明1の振動触覚装置が備える複数のアクチュエータは、「複数のアクチュエータの各々が電力消費を最小化しつつ7つの別個の周波数を生成することによりスピーカの触覚周波数範囲を提供する3イン1の線形共振質量システムの組み合わせからなる」ものであるのに対し、引用発明の複数のアクチュエータは、このようなものでない点。

(ウ) <相違点3>

本願発明1の振動触覚装置は、「電池と、1つ以上の隔離パッドと」を備えているのに対し、引用発明の振動触覚装置は、電池や1つ以上の隔離パッドを備えているのか否か明らかでない点。

(3)相違点についての判断

事案に鑑みて、先に、<相違点2>について検討する。

ア 引用文献1ないし5には、いずれも、本願発明1の<相違点2>に係る構成である、「振動触覚装置」が備える「複数のアクチュエータ」が、「複数のアクチュエータの各々が電力消費を最小化しつつ7つの別個の周波数を生成することによりスピーカの触覚周波数範囲を提供する3イン1の線形共振質量システムの組み合わせからなる」ものである点について、記載も示唆も無く、また、当該構成が本願優先日前に周知であったとも認められない。

したがって、引用発明および引用文献2ないし5に記載の技術に基づいて、当業者は、本願発明1の<相違点2>に係る構成を容易に想到することができない。

イ 以上から、上記<相違点1>および<相違点3>について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明および引用文献2ないし5に記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2ないし6

本願発明2ないし6は、いずれも、本願発明1を引用したものであって、本願発明1と同一の発明特定事項を備えるものであるから、上記1の本願発明1と同じ理由により、引用発明および引用文献2ないし5に記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

3 本願発明7ないし13について

本願発明7は、本願発明1の発明のカテゴリを、単に、ウェアラブル装置の発明から、システムの発明へと変更したものであるから、上記1で述べた本願発明1と同様の理由により、引用発明および引用文献2ないし5に記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

また、本願発明8ないし13は、いずれも、本願発明7を引用したものであって、本願発明7と同一の発明特定事項を備えるものであるから、上記本願発明7と同じ理由により、引用発明および引用文献2ないし5に記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

第6 原査定についての判断

上記第5のとおり、本願発明1ないし13は、いずれも、引用発明および引用文献2ないし5に記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

よって、原査定の拒絶の理由(進歩性)は理由がない。

したがって、原査定を維持することはできない。

第7 当審拒絶理由について

1 当審拒絶理由

当審が令和5年7月24日付けで通知した当審拒絶理由(最後)は次のとおりである。

(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。



●理由1(サポート要件)について
・請求項 1−13

請求項1の「複数のアクチュエータであって、前記複数のアクチュエータの各々が電力消費を最小化しつつ7つの別個の周波数を生成することによりスピーカの聴覚周波数範囲を提供する3イン1の線形共振質量システムの組み合わせからなる前記複数のアクチュエータ」という記載において、当該記載に対応する本願明細書の段落0055では、「(重み組み合わせの自然倍音に基づいて)7つの別個の周波数を1つの単一アクチュエータ150の装置に作成することは、スピーカの触覚周波数範囲を提供し、一方で、厳格な周波数での慎重な起動のみにより電力消費を大幅に最小化する。」と記載されており、整合していないから、当該記載は発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。(「聴覚周波数範囲」は、「触覚周波数範囲」の誤記と思量される。)

請求項1を引用する請求項2ないし6も同様に、発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。
また、請求項7にも、同様な記載があり、請求項7を引用する請求項8ないし13も同様に、発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。

2 検討

これに対し、令和5年9月6日に提出された手続補正書による補正により、請求項1および7の「聴覚周波数範囲」は、「触覚周波数範囲」と補正された。

したがって、当審拒絶理由通知の上記理由(サポート要件)は解消した。

第8 むすび

以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2023-10-17 
出願番号 P2020-511860
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 山澤 宏
特許庁審判官 野崎 大進
富澤 哲生
発明の名称 視覚障害者用の振動触覚装置  
代理人 本田 淳  
代理人 恩田 博宣  
代理人 恩田 誠  

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