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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H05K
管理番号 1403569
総通号数 23 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-04-10 
確定日 2023-10-31 
事件の表示 特願2018−117314「通気ユニット」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年12月26日出願公開、特開2019−220592、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成30年6月20日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 6月28日付け:拒絶理由通知書
令和4年 9月 2日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年12月28日付け:拒絶査定
令和5年 4月10日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和4年12月28日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1−4に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。また、本願請求項5−6に係る発明は、以下の引用文献1−2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特開2009−252508号公報
2.特開2006−324086号公報

第3 本願発明
本願請求項1−6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明6」という。)は、令和5年4月10日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1−6に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1−6は以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
気体が筐体の外側と内側との間で流通するのを許容する通気体と、
前記通気体を支持するとともに、前記筐体に形成された開口部に装着される支持部材と、
前記筐体の前記開口部の周囲の外表面と前記支持部材との間に配置されて当該支持部材と当該筐体との間の隙間をシールするシール部材と、
を備え、前記筐体の前記開口部に装着されることで前記通気体を介して前記筐体の外側と内側との間の通気を行う通気ユニットであって、
前記支持部材は、前記シール部材が取り付けられる取付部と、当該取付部の周囲に設けられた壁部とを有し、
前記シール部材が前記支持部材と前記筐体との間に装着された状態で、当該シール部材と当該支持部材の前記壁部における外面との間の距離が5.0mm以上であり、かつ、当該シール部材の線径の2.1倍以上であり、かつ、当該支持部材が当該筐体の前記開口部に装着される前の状態で、当該シール部材と当該支持部材の当該壁部における外面との間の距離が5.75mm以上である
通気ユニット。
【請求項2】
前記支持部材の前記壁部における前記筐体の前記外表面と対向する部位は、当該外表面と平行であり、前記外面は当該外表面と垂直である
請求項1に記載の通気ユニット。
【請求項3】
前記支持部材が前記筐体の開口部に装着された状態で、前記壁部における当該筐体の前記外表面と対向する部位と、当該外表面との距離が、0.05〜2.0mmである
請求項1又は2に記載の通気ユニット。
【請求項4】
前記シール部材は、線径が2.4mmの環状の部材である
請求項1から3のいずれか1項に記載の通気ユニット。
【請求項5】
前記筐体内の圧力である内圧が当該筐体外の圧力である外圧よりも所定圧力以上高くなったときに、当該筐体内から当該筐体外への通気を許容し、当該内圧と当該外圧との圧力差が当該所定圧力未満である場合には、通気を阻止する状態に復帰可能な通気部材をさらに備える
請求項1から4のいずれか1項に記載の通気ユニット。
【請求項6】
前記通気体は、前記内圧と前記外圧との圧力差が前記所定圧力未満である場合も前記筐体内と当該筐体外との間で気体が流通するのを許容する
請求項5に記載の通気ユニット。」

第4 引用文献、引用発明
1 引用文献1、引用発明
(1)引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。

ア 「【0006】
本発明は、このような事情に鑑み、量産性に優れた通気部材を提供することを目的とする。」

イ 「【0010】
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る通気部材1Aは、筐体6の開口61が設けられた部分に装着されるものであり、通気膜2と、通気膜2を支持する支持体3と、支持体3と筐体6とに挟まれるシール部材4と、通気膜2を支持体3と反対側から覆うカバー体5とを備えている。通気膜2は、気体の透過を許容しつつ、筐体6内に水滴や塵埃などの異物が侵入することを阻止する機能を有する。通気膜2の気体透過作用により、筐体6内の圧力は外部の圧力に等しく保たれる。なお、本実施形態では、説明の便宜のために、支持体3と筐体6とがシール部材4を挟み込む方向のうち支持体3側(図1の上側)を上方、筐体6側(図1の下側)を下方という。」

ウ 「【0016】
支持体3は、筐体6に固定されることにより筐体6の開口61から通気膜2に至る通気路30を形成するものである。具体的に、支持体3は、図1ならびに図2(a)および図2(b)に示すように、筐体6の表面と対向する主部31と、主部31から下方に突出し上下方向に沿って開口61に差し込まれる複数(図例では3つ)の脚部32を有している。」

エ 「【0020】
主部31の裏面31bには、当該裏面31bの周縁部から下方に延びて、シール部材4を外側から囲う外側周壁部35と、外側周壁部35と対向するように裏面31bから下方に延びて、外側周壁部35および主部31と共にシール部材4を収容する収容溝34aを形成する内側周壁部(第2の周壁部)34が設けられている。
【0021】
内側周壁部34は、開口61の最大径(開口61が筐体5の表面に開口する部分の直径)よりも僅かに小さな内径および開口61の最大径よりも僅かに大きな外径を有している。そして、内側周壁部34の外周面によってシール部材4が保持されている。なお、外側周壁部35の内周面によってシール部材4を保持するようにしてもよい。
【0022】
シール部材4は、筐体6の開口61を取り囲む位置で支持体3と筐体6との間のシールを行うものである。シール部材4は、NBR(ニトリルゴム)、EPDM(エチレン−プロピレンゴム)、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、水素化ニトリルゴム等のエラストマー類、発泡体、あるいは粘着層付き発泡体からなる弾性体である。本実施形態では、円形断面のシールリングが用いられている。なお、図1では、シールリングが押し
つぶされた状態を描いている。」

オ 「【0024】
さらに、外側周壁部35の外周面の下端部には、径方向外側に突出するつば部36が設けられている。このつば部36は、カバー体5を支えるためのものであり、その張出し代は、カバー体5の後述する側壁部52の厚さと略同じである。」

カ 【図1】「



キ 【図2】「



(2)引用発明
上記(1)から引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「通気部材1Aは、筐体6の開口61が設けられた部分に装着されるものであり、通気膜2と、通気膜2を支持する支持体3と、支持体3と筐体6とに挟まれるシール部材4と、を備えて、
通気膜2は、気体の透過を許容し、通気膜2の気体透過作用により、筐体6内の圧力は外部の圧力に等しく保たれ、
支持体3は、主部31と、開口61に差し込まれる脚部32を有し、
シール部材4は、筐体6の開口61を取り囲む位置で支持体3と筐体6との間のシールを行い、
主部31の裏面31bには、シール部材4を外側から囲う外側周壁部35と、外側周壁部35と対向するようにシール部材4を収容する内側周壁部34が設けられ、
外側周壁部35の外周面の下端部には、径方向外側に突出するつば部36が設けられる、
通気部材1A。」

2 引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0012】
図1Aおよび図1Bに示す通気部材1は、通気膜2と、通気膜2を支持する支持体3とを備えている。支持体3は、筐体51の開口部52の中に挿入され、固定されている。通気部材1は、一方向弁として、通気膜2の一部を被覆するように通気膜2の表面に接して配置された膜状の弁4を備えている。通気膜2は、その外周端において、支持体3によって支持されており、膜状の弁4は、膜状の弁4における支持体3に接する外周端において、支持体3に固定されている。通気部材1は、通気膜2に対して膜状の弁4が筐体51の外部側に位置するように、筐体51に固定されており、膜状の弁4の内周端(図1Aおよび図1Bに示す端部B)は、筐体51の内部から外部へ向かう方向に通気膜2を透過する気体の圧力PAによって、上記方向へ、通気膜2の表面から離間できる。なお、図1Bは、図1Aに示す通気部材1をその上面から(即ち、図1Aにおける矢印Aの方向へ)見た図である。以降の図4Aおよび図4B、図6Aおよび図6B、図7Aおよび図7B、図9Aおよび図9B、ならびに、図10Aおよび図10Bの関係においても同様である。
【0013】
通気部材1では、膜状の弁4は、通気膜2の領域αにおける気体の透過に対する障害となっている。ここで、圧力PAがある程度の値以上になると(即ち、圧力PAが閾値PT以上になると)、図2に示すように、膜状の弁4は、その内周端(端部B)が通気膜2の表面から離間することにより、筐体51の内部から外部へ気体が通気膜2を透過する方向に開く。膜状の弁4が開くと、領域αにおける上記障害が緩和される。膜状の弁4の端部Bの変形は可逆的であり、圧力PAが低減するか、筐体51の外部から内部へ向かう方向に通気膜2を透過する気体の圧力PBが膜状の弁4に加わることにより、膜状の弁4は、図1Aに示す状態に復帰する(膜状の弁4が閉じる)。」

イ 【図1A】「



ウ 【図1B】「



エ 【図2】「



第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明では、「通気膜2は、気体の透過を許容し、通気膜2の気体透過作用により、筐体6内の圧力は外部の圧力に等しく保たれ」るから、引用発明の「通気膜2」は、気体が筐体6の外部と内部との間で流通するのを許容しているといえ、本願発明1の「気体が筐体の外側と内側との間で流通するのを許容する通気体」に相当する。

イ 引用発明では、「筐体6」に「開口61が設けられ」るとともに、「通気膜2を支持する支持体3」「を備えて、」「支持体3は、」「開口61に差し込まれる」から、引用発明の「支持体3」は、「前記通気体を支持するとともに、前記筐体に形成された開口部に装着される支持部材」に相当する。

ウ 引用発明では、「シール部材4は、筐体6の開口61を取り囲む位置で支持体3と筐体6との間のシールを行」うから、引用発明の「シール部材4」は、本願発明1の「前記筐体の前記開口部の周囲の外表面と前記支持部材との間に配置されて当該支持部材と当該筐体との間の隙間をシールするシール部材」に相当する。

エ 引用発明では、「通気部材1Aは、筐体6の開口61が設けられた部分に装着されるものであり、通気膜2」「を備え」る。つまり、引用発明の「通気部材1A」を構成する「通気膜2」は、上記アで検討したように、「気体が筐体の外側と内側との間で流通するのを許容する」から、引用発明の「通気部材1A」は、本願発明1と、「前記筐体の前記開口部に装着されることで前記通気体を介して前記筐体の外側と内側との間の通気を行う通気ユニット」の点で共通する。

オ 引用発明の「支持体3は、主部31」「を有」するから、「主部31」は、「支持体3」の主部であることは明らかである。そうすると、引用発明では、「支持体3」の「主部31の裏面31bには、」「シール部材4を収容する内側周壁部34が設けられ」るから、引用発明の「内側周壁部34」は、本願発明1の「前記シール部材が取り付けられる取付部」に相当する。

カ 上記オを踏まえると、引用発明では、「支持体3」の「主部31の裏面31bには、シール部材4を外側から囲う外側周壁部35と、外側周壁部35と対向するようにシール部材4を収容する内側周壁部34が設けられ」るところ、「シール部材4を収容する内側周壁部34」の外側を囲うように、「外側周壁部35」が設けられることは明らかであって、引用発明の「外側周壁部35」は、本願発明1の「取付部の周囲に設けられた壁部」に相当する。よって、引用発明の「支持体3」は、本願発明1と、「前記支持部材は、前記シール部材が取り付けられる取付部と、当該取付部の周囲に設けられた壁部とを有」する点で共通する。

キ 上記カを踏まえると、引用発明では、本願発明1の「壁部」に相当する「外側周壁部35の外周面の下端部には、径方向外側に突出するつば部36が設けられ」るから、引用発明1の「外側周壁部35」の「つば部36」の外面は、本願発明1の「支持部材の壁部における外面」に相当するといえる。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「気体が筐体の外側と内側との間で流通するのを許容する通気体と、
前記通気体を支持するとともに、前記筐体に形成された開口部に装着される支持部材と、
前記筐体の前記開口部の周囲の外表面と前記支持部材との間に配置されて当該支持部材と当該筐体との間の隙間をシールするシール部材と、
を備え、前記筐体の前記開口部に装着されることで前記通気体を介して前記筐体の外側と内側との間の通気を行う通気ユニットであって、
前記支持部材は、前記シール部材が取り付けられる取付部と、当該取付部の周囲に設けられた壁部とを有する、
通気ユニット。」

(相違点1)
本願発明1では、シール部材が支持部材と筐体との間に装着された状態で、当該シール部材と当該支持部材の前記壁部における外面との間の距離が5.0mm以上であり、かつ、当該シール部材の線径の2.1倍以上であるのに対し、引用発明では、このような構成について特定されていない点。

(相違点2)
本願発明1では、支持部材が筐体の開口部に装着される前の状態で、シール部材と当該支持部材の壁部における外面との間の距離が5.75mm以上であるのに対し、引用発明では、このような構成について特定されていない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点1について、検討する。
シール部材が支持部材と筐体との間に装着された状態で、当該シール部材と当該支持部材の前記壁部における外面との間の距離が5.0mm以上であり、かつ、当該シール部材の線径の2.1倍以上であることについて、引用文献2には、記載も示唆もなく、また、このように構成することが本願の出願前において周知技術であったともいえない。
したがって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項から、上記相違点1に係る本願発明1の構成を容易に想到することはできない。
よって、相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2 本願発明2−6について
本願発明2−6は、本願発明1を減縮した発明である。したがって、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 原査定について
上記第5で説示したとおり、本願発明1−6は、当業者が引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものでない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2023-10-16 
出願番号 P2018-117314
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H05K)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 山澤 宏
特許庁審判官 野崎 大進
篠塚 隆
発明の名称 通気ユニット  
代理人 高梨 桜子  
代理人 尾形 文雄  
代理人 古部 次郎  

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