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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04L
管理番号 1403570
総通号数 23 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-04-11 
確定日 2023-10-18 
事件の表示 特願2019−518429「定義されたデータ定義を使用したデータ処理」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 4月12日国際公開、WO2018/065825、令和 1年11月28日国内公表、特表2019−534633、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)10月6日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年10月7日、米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年12月21日付け:拒絶理由通知書
令和4年 3月18日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 7月26日付け:拒絶理由通知書
令和4年 9月16日 :意見書の提出
令和5年 1月11日付け:拒絶査定
令和5年 4月11日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和5年1月11日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1−21に係る発明は、以下の引用文献1−2に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特開2007−243478号公報
2.特開2007−213117号公報

第3 本願発明
本願請求項1−3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明3」という。)は、令和5年4月11日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1−3に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1−3は以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
コンピュータに実装される方法であって、前記方法は、
通信リンクを第1のデバイスと第2のデバイスとの間に確立することと、
少なくとも1つ以上のデータパケットを前記第1のデバイスと前記第2のデバイスとの間で交換することであって、
前記第1のデバイスが、前記少なくとも1つ以上のデータパケットを前記第2のデバイスから受信し、前記第1のデバイスが、前記第1のデバイスに特有の少なくとも1つの第1のデータ定義を使用して、データを前記少なくとも1つ以上のデータパケットの1つ以上のペイロードから抽出することと、
前記第2のデバイスが、前記少なくとも1つ以上のデータパケットを前記第1のデバイスから受信し、前記第2のデバイスが、前記第2のデバイスに特有の少なくとも1つの第2のデータ定義を使用して、データを前記少なくとも1つ以上のデータパケットの前記1つ以上のペイロードから抽出することと
を含む、ことと
を含み、
前記第1のデバイスから前記第2のデバイスに伝送される前記少なくとも1つ以上のデータパケットのペイロードは、前記第1のデバイスによって記憶されている前記少なくとも1つの第2のデータ定義に従って、前記第1のデバイスによって生成され、
前記第2のデバイスから前記第1のデバイスに伝送される1つ以上のデータパケットのペイロードは、前記第2のデバイスによって記憶されている前記少なくとも1つの第1のデータ定義に従って、前記第2のデバイスによって生成される、方法。
【請求項2】
システムであって、前記システムは、
少なくとも1つのプログラマブルプロセッサと、
命令を記憶する機械読み取り可能な媒体と
を備え、
前記命令は、前記少なくとも1つのプログラマブルプロセッサによって実行されると、方法を実行することを前記少なくとも1つのプログラマブルプロセッサに行わせ、
前記方法は、
通信リンクを第1のデバイスと第2のデバイスとの間に確立することと、
少なくとも1つ以上のデータパケットを前記第1のデバイスと前記第2のデバイスとの間で交換することであって、
前記第1のデバイスが、前記少なくとも1つ以上のデータパケットを前記第2のデバイスから受信し、前記第1のデバイスが、前記第1のデバイスに特有の少なくとも1つの第1のデータ定義を使用して、データを前記少なくとも1つ以上のデータパケットの1つ以上のペイロードから抽出することと、
前記第2のデバイスが、前記少なくとも1つ以上のデータパケットを前記第1のデバイスから受信し、前記第2のデバイスが、前記第2のデバイスに特有の少なくとも1つの第2のデータ定義を使用して、データを前記少なくとも1つ以上のデータパケットの前記1つ以上のペイロードから抽出することと
を含む、ことと
を含み、
前記第1のデバイスから前記第2のデバイスに伝送される前記少なくとも1つ以上のデータパケットのペイロードは、前記第1のデバイスによって記憶されている前記少なくとも1つの第2のデータ定義に従って、前記第1のデバイスによって生成され、
前記第2のデバイスから前記第1のデバイスに伝送される1つ以上のデータパケットのペイロードは、前記第2のデバイスによって記憶されている前記少なくとも1つの第1のデータ定義に従って、前記第2のデバイスによって生成される、システム。
【請求項3】
命令を含むコンピュータプログラムであって、前記命令は、少なくとも1つのプログラマブルプロセッサによって実行されると、方法を実行することを前記少なくとも1つのプログラマブルプロセッサに行わせ、
前記方法は、
通信リンクを第1のデバイスと第2のデバイスとの間に確立することと、
少なくとも1つ以上のデータパケットを前記第1のデバイスと前記第2のデバイスとの間で交換することであって、
前記第1のデバイスが、前記少なくとも1つ以上のデータパケットを前記第2のデバイスから受信し、前記第1のデバイスが、前記第1のデバイスに特有の少なくとも1つの第1のデータ定義を使用して、データを前記少なくとも1つ以上のデータパケットの1つ以上のペイロードから抽出することと、
前記第2のデバイスが、前記少なくとも1つ以上のデータパケットを前記第1のデバイスから受信し、前記第2のデバイスが、前記第2のデバイスに特有の少なくとも1つの第2のデータ定義を使用して、データを前記少なくとも1つ以上のデータパケットの前記1つ以上のペイロードから抽出することと
を含む、ことと
を含み、
前記第1のデバイスから前記第2のデバイスに伝送される前記少なくとも1つ以上のデータパケットのペイロードは、前記第1のデバイスによって記憶されている前記少なくとも1つの第2のデータ定義に従って、前記第1のデバイスによって生成され、
前記第2のデバイスから前記第1のデバイスに伝送される1つ以上のデータパケットのペイロードは、前記第2のデバイスによって記憶されている前記少なくとも1つの第1のデータ定義に従って、前記第2のデバイスによって生成される、コンピュータプログラム。」

第4 引用文献、引用発明
1 引用文献1、引用発明
(1)引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項の記載がある(下線は、当審で付した。以下同じ。)。

ア 「【0010】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、センサノードの送受するデータ形式を上位のサーバでの処理前により扱いやすいフォーマットに変換することを前提とし、かつ、既存のセンサネットシステムで新たな種類のセンサノードの加入や新たな通信規格の採用を容易に行うことを目的とする。」

イ 「【0109】
以下、図13の説明では、上記接続通知パケットのTYPE=0x01の場合について説明する。T1で接続通知パケットの処理が完了し、MACアドレスに対してプロファイルID=#1が割り当てられたものとする。なお、図示のように、プロファイルID=#1のプロファイルPF(ノードプロファイル)は、複数のパケットプロファイル#A、#B、#Cを含んでいる。基地局BSTはこのセンサノードSN1に対して初期設定の完了を通知し、センシングデータの送信を許可する。このとき、基地局BSTはこのセンサノードSN1に対して、ローカルIDを付与する。
【0110】
次に、図13のT2では、所定のスリープ時間が経過した後、センサノードSN1はセンシングデータを基地局BSTに送信する。
【0111】
センサノードSN1からのセンシングデータ受信時、基地局BSTはペイロードPLD先頭の識別フィールドの値*Aから、対応するパケットプロファイルIDが#Aであることを識別する。基地局BSTはMACアドレスからプロファイル関連付けテーブルPFTを参照し、プロファイルID=#1のプロファイルPFのサブセットであるプロファイルID=*Aを読み込んで、温度測定値と測定時刻のバイナリ形式のセンシングデータをテキスト形式のセンシングデータに変換する。そして、基地局BSTはテキスト形式のセンシングデータをセンサネットサーバSNSへ送信する。」

ウ 「【0114】
次に、センサネットサーバSNSからの下り通信の場合、有線区間パケット(テキスト形式)中で指定されたあて先MACアドレス値から、対応するノードプロファイルが識別される。さらに、メッセージ中の識別情報から、対応するパケットプロファイルが#Bであることが識別される。プロファイルID=#Bの記述に従ってエンコードされたバイナリ形式のコマンドが無線区間に送信される。
【0115】
図13のT3では、センサノードSN1はセンサネットサーバSNSからのコマンドを受信して応答する。この応答も、上記T2と同様の手順によって行い、対応するプロファイルに従ってバイナリ形式の変換が行われる。」

エ 【図1】「



オ 【図2】「



カ 【図13】「



キ 上記ウ【0115】には、T3における「センサノードSN1はセンサネットサーバSNSからのコマンドを受信」する過程を「上記T2と同様の手順によって行」うとして、記載を省略しているところ、上記イの「【0110】次に、図13のT2では、所定のスリープ時間が経過した後、センサノードSN1はセンシングデータを基地局BSTに送信する。【0111】 センサノードSN1からのセンシングデータ受信時、基地局BSTはペイロードPLD先頭の識別フィールドの値*Aから、対応するパケットプロファイルIDが#Aであることを識別する。基地局BSTはMACアドレスからプロファイル関連付けテーブルPFTを参照し、プロファイルID=#1のプロファイルPFのサブセットであるプロファイルID=*Aを読み込んで、温度測定値と測定時刻のバイナリ形式のセンシングデータをテキスト形式のセンシングデータに変換する。」との記載、及び、上記ウ【0114】の「センサネットサーバSNSからの下り通信の場合、有線区間パケット(テキスト形式)中で指定されたあて先MACアドレス値から、対応するノードプロファイルが識別される。さらに、メッセージ中の識別情報から、対応するパケットプロファイルが#Bであることが識別される。プロファイルID=#Bの記述に従ってエンコードされたバイナリ形式のコマンドが無線区間に送信される。」との記載、並びに、上記カ【図13】の記載を踏まえると、「基地局BSTからのコマンド受信時、センサノードSN1はペイロードPLD先頭の識別フィールドの値*Bから、対応するパケットプロファイルIDが#Bであること識別する。センサノードSN1はあて先MACアドレスからプロファイル関連付けテーブルPFTを参照し、プロファイルID=#1のプロファイルPFのサブセットであるプロファイルID=*Bを読み込んで、バイナリ形式のコマンドをテキスト形式のコマンドに変換する」ことが記載されているに等しいと認められる。

ク 上記オ【図2】には、基地局BSTにプロファイル関連付けテーブルPFTが設けられていることが記載されていると認められる。

ケ 上記イ、ウ及びカの記載から、引用文献1には、「方法」の発明が記載されていると認められる。

(2)引用発明
上記(1)から引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「プロファイルID=#1のプロファイルPF(ノードプロファイル)は、複数のパケットプロファイル#A、#B、#Cを含み、
センサノードSN1からのセンシングデータ受信時、基地局BSTはペイロードPLD先頭の識別フィールドの値*Aから、対応するパケットプロファイルIDが#Aであることを識別し、基地局BSTはMACアドレスからプロファイル関連付けテーブルPFTを参照し、プロファイルID=#1のプロファイルPFのサブセットであるプロファイルID=*Aを読み込んで、バイナリ形式のセンシングデータをテキスト形式のセンシングデータに変換し、
基地局BSTからのコマンド受信時、センサノードSN1はペイロードPLD先頭の識別フィールドの値*Bから、対応するパケットプロファイルIDが#Bであること識別し、センサノードSN1はあて先MACアドレスからプロファイル関連付けテーブルPFTを参照し、プロファイルID=#1のプロファイルPFのサブセットであるプロファイルID=*Bを読み込んで、バイナリ形式のコマンドをテキスト形式のコマンドに変換し、
基地局BSTにプロファイル関連付けテーブルPFTが設けられ、
センサネットサーバSNSからの下り通信の場合、あて先MACアドレス値から、対応するノードプロファイルが識別され、メッセージ中の識別情報から、対応するパケットプロファイルが#Bであることが識別され、プロファイルID=#Bの記述に従ってエンコードされたバイナリ形式のコマンドが無線区間に送信され、
センサノードSN1はセンシングデータを基地局BSTに送信する、方法。」

2 引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、次の事項が記載されている。

「【0005】
このとき、通常、アクティブ型のRFタグは、内蔵しているバッテリの寿命を延ばすために、受信電力を削減する目的で間欠受信機能を有している。そして、RFタグの制御部は、通常休止モードとしておき、あらかじめ設定された周期において、内部の受信器を間欠的に起動する。起動後、この制御部は、その時点で受信された信号の検波出力をチェックし、受信データのID番号が自身のものでない場合やデータフォーマットが異なる場合、これらの状態が検出された時点にて、休止モードへ状態を遷移させる。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の基地局BSTの動作に着目すると、「センサノードSN1からのセンシングデータ受信時、基地局BSTはペイロードPLD先頭の識別フィールドの値」「から、対応するパケットプロファイルID」「を識別し、」「基地局BSTはMACアドレスからプロファイル関連付けテーブルPFTを参照」するから、引用発明においても、コンピュータに実装される方法といえる。

イ 引用発明では、「センサノードSN1からのセンシングデータ受信時、基地局BSTは」「対応するパケットプロファイルIDが#Aであることを識別」するとともに、「基地局BSTからのコマンド受信時、センサノードSN1は」「対応するパケットプロファイルIDが#Bであること識別」するから、引用発明における、「基地局BST」、「センサノードSN1」は、本願発明1における、「第1デバイス」、「第2デバイス」にそれぞれ相当するとともに、引用発明における、「基地局BST」と「センサノードSN1」との間に通信リンクが確立していることは明らかである。

ウ 引用発明では、「センサノードSN1からのセンシングデータ受信時、基地局BSTは」「対応するパケットプロファイルID」「を識別」するとともに、「基地局BSTからのコマンドを受信時、センサノードSN1は」「対応するパケットプロファイルID」「を識別」するが、「パケットプロファイルID」という用語を使っていることから、「基地局BST」と「センサノードSN1」との間で交換するデータを「データパケット」として交換していることは明らかである。

エ 引用発明では、「センサノードSN1からのセンシングデータ受信時、基地局BSTはペイロードPLD先頭の識別フィールドの値*Aから、対応するパケットプロファイルIDが#Aであることを識別し、基地局BSTはMACアドレスからプロファイル関連付けテーブルPFTを参照し、プロファイルID=#1のプロファイルPFのサブセットであるプロファイルID=*Aを読み込んで、バイナリ形式のセンシングデータをテキスト形式のセンシングデータに変換」する。すなわち、「基地局BST」は、「バイナリ形式のセンシングデータをテキスト形式のセンシングデータに変換」するに際し、読み込む「プロファイルID=#1のプロファイルPFのサブセットであるプロファイルID=*A」は、少なくとも、「センサノードSN1のMACアドレス」から導き出されているから、センサノードSN1に特有のデータ定義であるといえる。
よって、引用発明において、本願発明1の「第1のデバイス」に相当する「基地局BST」は、上記ウで検討したとおり、「少なくとも1つ以上のデータパケット」を、本願発明1の「第2のデバイス」に相当する「センサノードSN1」から受信し、「基地局BST」が、「センサノードSN1に特有の少なくとも1つの第2のデータ定義を使用して、データを少なくとも1つ以上のデータパケットの1つ以上のペイロードから変換」しているといえる。

オ 上記ウ及びエを踏まえると、引用発明と、本願発明1の「前記第1のデバイスが、前記少なくとも1つ以上のデータパケットを前記第2のデバイスから受信し、前記第1のデバイスが、前記第1のデバイスに特有の少なくとも1つの第1のデータ定義を使用して、データを前記少なくとも1つ以上のデータパケットの1つ以上のペイロードから抽出すること」とは、「前記第1のデバイスが、前記少なくとも1つ以上のデータパケットを前記第2のデバイスから受信する」点で共通する。

カ 引用発明では、「基地局BSTからのコマンド受信時、センサノードSN1はペイロードPLD先頭の識別フィールドの値*Bから、対応するパケットプロファイルIDが#Bであることを識別し、センサノードSN1はあて先MACアドレスからプロファイル関連付けテーブルPFTを参照し、プロファイルID=#1のプロファイルPFのサブセットであるプロファイルID=*Bを読み込んで、バイナリ形式のコマンドをテキスト形式のコマンドに変換」する。すなわち、「センサノードSN1」は、「バイナリ形式のコンマンドをテキスト形式のコマンドに変換」するに際し、読み込む「プロファイルID=#1のプロファイルPFのサブセットであるプロファイルID=*B」は、少なくとも、「センサノードSN1のMACアドレス」から導き出されているから、センサノードSN1に特有のデータ定義であるといえる。
よって、引用発明において、本願発明1の「第2のデバイス」に相当する「センサノードSN1」は、上記ウで検討したとおり、「少なくとも1つ以上のデータパケット」を、本願発明1の「第1のデバイス」に相当する「基地局BST」から受信し、「センサノードSN1」が、「センサノードSN1に特有の少なくとも1つの第2のデータ定義を使用して、データを少なくとも1つ以上のデータパケットの1つ以上のペイロードから変換」しているといえる。

キ 上記ウ及びカを踏まえると、引用発明と、本願発明1の「前記第2のデバイスが、前記少なくとも1つ以上のデータパケットを前記第1のデバイスから受信し、前記第2のデバイスが、前記第2のデバイスに特有の少なくとも1つの第2のデータ定義を使用して、データを前記少なくとも1つ以上のデータパケットの前記1つ以上のペイロードから抽出すること」とは、「前記第2のデバイスが、前記少なくとも1つ以上のデータパケットを前記第1のデバイスから受信する」点で共通する。

ク 引用発明では、「センサネットサーバSNSからの下り通信の場合、あて先MACアドレス値から、対応するノードプロファイルが識別され、メッセージ中の識別情報から、対応するパケットプロファイルが#Bであることが識別され、プロファイルID=#Bの記述に従ってエンコードされたバイナリ形式のコマンドが無線区間に送信され」るが、動作の主体は、「無線区間」の最も上流側である「基地局BST」であることは明らかである。
また、「基地局BST」がコマンドをエンコードするに際し、従う「プロファイルID=#Bは、少なくとも、「あて先MACアドレス値」すなわち「センサノードSN1のMACアドレス値」から導き出されているから、センサノードSN1に特有のデータ定義であるといえる。
そして、引用発明では、「基地局BSTにプロファイル関連付けテーブルPFTが設けられ、」、「基地局BST」が「プロファイルID=#Bの記述」を「プロファイル関連付けテーブルPFT」から得ていることは明らかであるから、「センサノードSN1に特有のデータ定義」は、「基地局BST」に記憶されているといえる。
そうすると、引用発明において、「基地局BST」から「センサノードSN1」に伝送される少なくとも1つ以上のデータパケットのペイロードは、「基地局BST」に記憶されている少なくとも1つのセンサノードSN1に特有の少なくとも1つの「第2のデータ定義」に従って、「基地局BST」によって生成されるといえる。

ケ 上記ウ及びクを踏まえると、引用発明では、「前記第1のデバイスから前記第2のデバイスに伝送される前記少なくとも1つ以上のデータパケットのペイロードは、前記第1のデバイスによって記憶されている前記少なくとも1つの第2のデータ定義に従って、前記第1のデバイスによって生成され」るといえる。

コ 引用発明では、「センサノードSN1はセンシングデータを基地局BSTに送信する」が、「センサノードSN1」と「基地局BST」との間は、バイナリ形式のセンシングデーがデータパケットのペイロードとして伝送していることは明らかであって、当該センシングデータは、「センサノードSN1」が生成していることも明らかである。

サ 上記ウ及びコを踏まえると、引用発明と、本願発明1の「前記第2のデバイスから前記第1のデバイスに伝送される1つ以上のデータパケットのペイロードは、前記第2のデバイスによって記憶されている前記少なくとも1つの第1のデータ定義に従って、前記第2のデバイスによって生成される」こととは、「前記第2のデバイスから前記第1のデバイスに伝送される1つ以上のデータパケットのペイロードは、前記第2のデバイスによって生成される」点で共通する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「コンピュータに実装される方法であって、前記方法は、
通信リンクを第1のデバイスと第2のデバイスとの間に確立することと、
少なくとも1つ以上のデータパケットを前記第1のデバイスと前記第2のデバイスとの間で交換することであって、
前記第1のデバイスが、前記少なくとも1つ以上のデータパケットを前記第2のデバイスから受信することと、
前記第2のデバイスが、前記少なくとも1つ以上のデータパケットを前記第1のデバイスから受信することと
を含む、ことと
を含み、
前記第1のデバイスから前記第2のデバイスに伝送される前記少なくとも1つ以上のデータパケットのペイロードは、前記第1のデバイスによって記憶されている前記少なくとも1つの第2のデータ定義に従って、前記第1のデバイスによって生成され、
前記第2のデバイスから前記第1のデバイスに伝送される1つ以上のデータパケットのペイロードは、前記第2のデバイスによって生成される、方法。」

(相違点1)
本願発明1では、第1のデバイスが、第1のデバイスに特有の少なくとも1つの第1のデータ定義を使用して、データを少なくとも1つ以上のデータパケットの1つ以上のペイロードから抽出するのに対し、引用発明では、第1のデバイスが、第2のデバイスに特有の少なくとも1つの第2のデータ定義を使用して、データを少なくとも1つ以上のデータパケットの1つ以上のペイロードから変換する点。

(相違点2)
本願発明1では、第2のデバイスが、第2のデバイスに特有の少なくとも1つの第2のデータ定義を使用して、データを少なくとも1つ以上のデータパケットの1つ以上のペイロードから抽出するのに対し、引用発明では、第2のデバイスが、第2のデバイスに特有の少なくとも1つの第2のデータ定義を使用するものの、データを少なくとも1つ以上のデータパケットの1つ以上のペイロードから変換する点。

(相違点3)
第2のデバイスによって生成され、第2のデバイスから第1のデバイスに伝送されるデータパケットのペイロードについて、本願発明1では、第2のデバイスによって記憶されている少なくとも1つの第1のデータ定義に従って、生成されるのに対し、引用発明では、このような構成について特定されていない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討する。
第1のデバイスに特有の少なくとも1つの第1のデータ定義を使用して、データを第2のデバイスから受信した少なくとも1つ以上のデータパケットの1つ以上のペイロードから抽出することについて、引用文献2には、記載も示唆もなく、また、このように抽出することが本願の優先日前において周知技術であったともいえない。
したがって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項から、上記相違点1に係る本願発明1の構成を容易に想到することはできない。
よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2 本願発明2について
本願発明2は、本願発明1に対応する「システム」の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。したがって、本願発明1と実質的に同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明3について
本願発明3は、本願発明1に対応する「コンピュータプログラム」の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。したがって、本願発明1と実質的に同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 原査定について
上記第5で説示したとおり、本願発明1−3は、当業者が引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものでない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2023-10-06 
出願番号 P2019-518429
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04L)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 山澤 宏
特許庁審判官 山内 裕史
篠塚 隆
発明の名称 定義されたデータ定義を使用したデータ処理  
代理人 石川 大輔  
代理人 森下 夏樹  
代理人 山本 健策  
代理人 飯田 貴敏  
代理人 山本 秀策  
代理人 大塩 竹志  

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