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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する H05K
管理番号 1403594
総通号数 23 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-11-24 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2023-05-17 
確定日 2023-08-10 
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第7016546号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第7016546号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第7016546(以下「本件特許」という。)は、2014年(平成26年)10月 3日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2013年10月 4日、米国)を国際出願日とする特願2016−546178号の一部を令和 2年 2月 7日に新たな出願としたものであって、その請求項1〜16に係る発明について令和 4年 1月28日にその特許権の設定登録がなされ、その後、令和 5年 5月17日に本件訂正審判が請求されたものである。

第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものであって、その請求に係る訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(当審注:下線は訂正箇所を示すために当審が付与した。)。

1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、「光導電性材料製」と記載されているのを、「光伝達性材料製」に訂正する。また、請求項1の記載を引用する請求項2〜16も同様に訂正する。

2 訂正事項2
明細書の段落【0005】、【0006】、【0013】及び【0026】の記載において、「光導電性材料」を「光伝達性材料」に訂正する。

第4 証拠方法
本件訂正審判において提出された証拠は、以下のとおりである。

甲第1号証:竹林 滋(編集代表)、「新英和大辞典」、第6版(KODオンライン辞書)における「conduct」のページ、[online]、株式会社 研究社、2002年3月1日、[令和5年5月15日検索]、インターネット、<URL:https://kod.kenkyusha.co.jp/service/search/search_frame.jsp?back=false&page=form.jsp&methodName=%95W%8F%80%8C%9F%8D%F5&sortkey=index&field=photoconductivity&subMethod=wildcard&method=normal&book=normal-set&checkedBook=plus_e&checkedBook=eidai&checkedBook=eiwa&checkedBook=compass&checkedBook=comp&checkedBook=rika&checkedBook=igaku&checkedBook=business&checkedBook=katsuyou&checkedBook=wadai_j&checkedBook=waei&checkedBook=lumi_waei&checkedBook=plus_j>
甲第2号証:竹林 滋(編集代表)、「新英和大辞典」、第6版(KODオンライン辞書)における「photoconductivity」のページ、[online]、株式会社 研究社、2002年3月1日、[令和5年5月15日検索]、インターネット、<URL:https://kod.kenkyusha.co.jp/service/search/search_frame.jsp?back=false&page=form.jsp&methodName=%95W%8F%80%8C%9F%8D%F5&sortkey=index&field=photoconductivity&subMethod=wildcard&method=normal&book=normal-set&checkedBook=plus_e&checkedBook=eidai&checkedBook=eiwa&checkedBook=compass&checkedBook=comp&checkedBook=rika&checkedBook=igaku&checkedBook=business&checkedBook=katsuyou&checkedBook=wadai_j&checkedBook=waei&checkedBook=lumi_waei&checkedBook=plus_j>
甲第3号証:吉村壽次編、外14名、「化学辞典」、第2版、オンライン事典コトバンクにおける「光伝導性(光導電性)」のページ、[online]、森北出版株式会社、2009年12月、[令和5年5月15日検索]、インターネット、<URL:https://kotobank.jp/word/%E5%85%89%E4%BC%9D%E5%B0%8E%E6%80%A7-2124870>
甲第4号証:ポリカーボネート樹脂技術研究会、ポリカーボネート樹脂製造・販売の6社により1978年10月に設立、[online]、[令和5年5月15日検索]、インターネット、<URL:http://www.polycarbo.gr.jp/feature/feature_01.html>

第5 当審の判断
1 甲号証の記載事項
(1) 甲第3号証
ア 甲第3号証には次の記載がある。




イ 上記アによれば、「光導電性」とは「光吸収によって物質の電気伝導率が増す性質」であるといえる。

(2) 甲第4号証
ア 甲第4号証には次の記載がある。




イ 上記アによれば、「ポリカーボネート」は「電気を通しにくく、電気絶縁性に優れてい」るといえる。

2 訂正事項1〜2について
(1) 訂正事項1
ア 訂正の目的について
本件特許の訂正前の請求項1には、「前記カバー部材の内面に装着され、かつ、複数のインジケータ構造を含む前記カバー部材の少なくとも一部と同一空間に延在しており、光導電性材料製である光学的マトリックス層」との記載があり、本件特許の訂正前の請求項1の「光学的マトリックス層」の材料は、「光導電性」を有するものである。
ここで、「光導電性」の技術用語としての通常の意味は、上記1(1)イのとおりであり、これによれば、本件特許の訂正前の請求項1の「光導電性材料製である光学的マトリックス層」は、一見すると、光を吸収することにより電気伝導率が増加する性質を有するものであると解される。
しかし、本件特許の訂正前の請求項1には、「前記光学的マトリックス層に埋め込まれている複数の照明装置であって、2つ以上の周辺照明装置がインジケータ構造毎に設けられるように配置されており、各周辺照明装置が、対応するインジケータ構造の周縁でまたは周縁に隣接して前記カバー部材の内面に搭載されて前記対応するインジケータ構造へのバックライト照明を提供することで、前記複数のインジケータ構造の個々のインジケータ構造へ個別のバックライトを提供することができ、各周辺照明装置が、前記対応するインジケータ構造の周縁から横方向に変位されて、前記カバー部材の外面を前記対応するインジケータ構造において前記カバー部材の厚さ寸法に略平行な方向から見たときに前記カバー部材によって見えにくくされている照明装置」との記載があり、当該記載によれば、本件特許の訂正前の請求項1の「前記光学的マトリックス層に埋め込まれている複数の照明装置」は、インジケータ構造毎に配置された「2つ以上の周辺照明装置」であって、対応するインジケータ構造の周縁から横方向に変位されて配置され、複数のインジケータ構造の個々のインジケータ構造へ個別のバックライトを提供することができるから、当業者であれば「複数の照明装置」が埋め込まれている「光学的マトリックス層」が、光を吸収することにより電気伝導率が増加する性質、すなわち、「光導電性」を有する必要はなく、周辺照明装置からの光をインジケータ構造へ伝達する性質を有するものであることを認識するものといえる。
そうすると、本件特許の訂正前の請求項1に記載の「光導電性材料」は、一般的意味での「光導電性」を有する材料を意味しているとはいえず、訂正事項1に係る訂正は、これを、光を伝達する材料という本来の意味を表す「光伝達性材料」に訂正するものであり、本件特許の請求項1の「光学的マトリックス層」の材料について、光を吸収することにより電気伝導率が増加する性質ではなく、光を伝達する性質であることを明瞭にしようとするものであるから、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
上記アで述べたとおり、訂正事項1に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
よって、当該訂正事項1に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 実質上特許請求の範囲の拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
上記アで述べたとおり、訂正事項1に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

エ 独立特許要件について
訂正事項1に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、特許法第126条第7項の規定に適合するか否かについての判断を要しない。

(2) 訂正事項2
ア 訂正の目的について
訂正事項2に係る訂正は、本件特許の願書に添付した明細書(以下、「本件特許明細書」という。)の段落【0005】、【0006】、【0013】及び【0026】にそれぞれ記載されている「光導電性材料」を「光伝達製材料」に訂正するものである。
そして、訂正事項2に係る訂正は、本件特許明細書の記載を、上記訂正事項1により訂正された本件特許の請求項1の記載と整合させるためのものである。
また、「光学的マトリックス層」の材料について、本件特許明細書の段落【0011】には、「光学的マトリックス層は、たとえば成形ポリカーボネート、ポリウレタンなどの層を含む略透明成形プラスチック材料製であってもよい。」との記載があり、さらに、本件特許明細書の段落【0026】には、「マトリックス層106は、半透明プラスチックポリマー材料を備えている。この例示的実施形態では、マトリックス層106は、半透明な成形ポリカーボネートを含む略透明である。」との記載があるところ、「光学的マトリックス層」の材料である「ポリカーボネート」は、上記1(2)イのとおり、電気絶縁性に優れた性質を有するものであって、「光導電性」を有するものではないことは明らかであり、「光学的マトリックス層」の材料として、光吸収によって電気伝導率が増加する性質である「光導電性」の材料を用いるとすると、電気絶縁性に優れたポリカーボネートを用いることと矛盾することになる。
なお、本件特許明細書のその他の箇所に、「光学的マトリックス層」の材料として、当該「光導電性」の材料を用いることは記載されていない。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
上記アで述べたとおり、訂正事項2に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
よって、当該訂正事項2に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 実質上特許請求の範囲の拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
上記アで述べたとおり、訂正事項2に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

エ 独立特許要件について
訂正事項2に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、特許法第126条第7項の規定に適合するか否かについての判断を要しない。

5 むすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項〜第7項の規定に適合する。

よって、結論のとおり審決する。


 
発明の名称 (54)【発明の名称】電子デバイスの一部を形成するアセンブリおよび電子デバイス
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して電子デバイス、特に、電子デバイス用の照光式カバー構造、インジケータパネル、および/または制御パネルなどを含む、電子デバイス用の照光式インジケータ構造に関する。さらに、本開示は、電子デバイス用のカバーアセンブリの製造方法、および電子デバイスの動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイス用のインジケータパネルまたは制御パネルを提供する電子デバイス用カバーアセンブリは、カバーアセンブリの一部を形成する特定のインジケータに関する情報を提供するため、LEDなどの一体型照明装置を含むことが多い。電子デバイス用の制御パネルは、電子デバイスのユーザ制御に応答して、複数のインジケータの区分された双方向排除を必要とすることが多い。
【0003】
しかしながら、このような一体型のバックライト装置は、カバーアセンブリを嵩高くし、大抵は望ましくない。カバーアセンブリに含まれるこのような電子部品は、電子デバイスの頑強さや耐久性をさらに低下させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記した懸案を鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、電子デバイスの一部を成すアセンブリであって、
電子デバイスに組み込んで電子デバイスの1つ以上のその他の部品を見えにくくする略不透明カバー部材であって、外面とその反対側の内面とを有しており、厚さ寸法が外面と内面との間を横方向に延在するカバー部材と、
カバー部材内の1つ以上のインジケータ構造であって、それぞれがカバー部材の対応するインジケータ形状を画定する周縁を有しており、カバー部材の厚さ寸法全体にわたってバックライト照明を通過させるように略半透明であるインジケータ構造と、
カバー部材の内面に装着され、かつ、1つ以上のインジケータ構造を含むカバー部材の少なくとも一部と同一空間に延在しており、光伝達性材料製である光学的マトリックス層と、
光学的マトリックス層に埋め込まれている複数の照明装置であって、2つ以上の周辺照明装置がインジケータ構造毎に設けられるように配置されており、各周辺照明装置が対応するインジケータ構造の周縁にまたは隣接して配置されており、対応するインジケータ構造へのバックライト照明を提供するように構成されており、各周辺照明装置が、対応するインジケータ構造の周縁から横方向に変位されて、カバー部材の外面を各インジケータ構造においてカバー部材の厚さ寸法に略平行な方向から見たときにカバー部材によって見えにくくされている照明装置と、を備えている。
【0006】
インジケータ構造は、たとえばカバー部材の開口部によって少なくとも部分的に半透明にすることができる。光伝達性材料とは、光学的マトリックス層が少なくとも半透明であることである。いくつかの実施形態では、光学的マトリックス層は透明である。透明とは、背後にある物体が明確に見えるものの、必ずしも介在する物質が無いかのように見える必要がない程度に光を通過させる光学的特性を有する物質を意味する。光スペクトルの一部の波長のみを濾波して、目立った拡散を生じさせずに通過する光をカラー化する箔またはシートも、透明であると理解される。
【0007】
上記したアセンブリは、1つ以上のインジケータ形状への一体型バックライトを提供し、電子デバイス用のカバーパネルとして供する複合積層構造または積層体を備えている。そのため、このアセンブリはインジケータパネルを備えている、あるいは、容量性ボタンなどの一体型制御手段を含む実施形態では、アセンブリは電子デバイス用の制御パネルを提供する。なお、本発明で使用する場合、「パネル」という用語はシート状のカバー素子を意味するが、必ずしも、平坦である、矩形である、あるいは剛体である必要はない。よって、アセンブリによって提供される制御パネルは、たとえばいくつかの実施形態では非矩形の輪郭を有しており、いくつかの実施形態では非剛体であって、たとえば柔軟であり、またいくつかの実施形態では輪郭に沿った形状の外面を有している。なお、本発明で使用する場合、各部品の「外」側、「外」面、「外」方は、組み立てられたとき、反対側の「内」側、「内」面、「内」方よりも、覆う対象のデバイスから遠い各積層部品または積層体の側、面、方を意味する。
【0008】
上記のアセンブリは、光学的マトリックス層に埋め込まれており、複数の照明装置に電子的に接続されている電子回路をさらに備えている。電子回路は、たとえばカバー部材の内面にプリントされている導電トレースから成る、カバー部材の内面に蒸着されるプリント回路を備えている。複数の照明装置はカバー部材の内面に搭載されている。
【0009】
カバー部材は、半透明基板と、半透明基板によって担持される略不透明マスキング層と、を備えている複合積層構造であってもよく、各インジケータ構造を、マスキング層の1つ以上の対応開口によって画定する。マスキング層は、半透明基板の内面に蒸着されるプリント材料を備えている。半透明基板は、可撓ポリマープラスチック材料、たとえば透明ポリカーボネート製であってもよい。
【0010】
このアセンブリは、ユーザが手動で動作する1つ以上の制御手段であって、光学的マトリックス層に埋め込まれており、電子回路に接続される1つ以上の制御手段をさらに備えている。制御手段は、タッチ感応領域、たとえば容量性ボタンを備えており、電子デバイスのユーザ制御を提供する。よって、このアセンブリは、カバー部材の内面に搭載される1つ以上の容量性ボタンを備えている。いくつかの実施形態では、1つ以上の制御手段は、カバー部材の内面に搭載される少なくとも1つの圧電ボタンを含んでいる。もしくは、またはさらに、このアセンブリは、ユーザの機械的フィードバック用の1つ以上のアクチュエータ装置を備えている。1つ以上のアクチュエータ装置は、光学的マトリックス層に埋め込まれて、電子回路に接続されている。1つ以上のアクチュエータ装置は、カバー部材の内面に搭載されている少なくとも1つの圧電アクチュエータを含んでいる。
【0011】
光学的マトリックス層は、たとえば成形ポリカーボネート、ポリウレタンなどの層を含む略透明成形プラスチック材料製であってもよい。カバー部材は、略一定の厚さと、輪郭に沿った形状とを有しており、カバー部材の内面と外面が輪郭に沿う、たとえば複合的な湾曲や、複雑な三次元トポグラフィを有している。同様に、光学的マトリックス層は厚さが略一定であり、カバー部材に一致する輪郭形状を有している。いくつかの実施形態では、カバー部材と光学的マトリックス層との合計厚は2mm未満である。複数の照明装置は複数の発光ダイオード(LED)を備えている。
【0012】
このアセンブリは、カバー部材から最も離れた光学的マトリックス層の主面に非反射面をさらに備えており、光学的マトリックス層をカバー部材と非反射面との間に挟んでいる。このような非反射面を設けることで、光学的マトリックス層内の照明装置によって提供される照明の内反射が限定される。非反射面は、カバー部材内の1つ以上のインジケータ構造のうちの対応するインジケータ構造と略一致する少なくとも1つの光学効果領域によって遮断される。光学効果領域はたとえば、対応するインジケータ構造に対する照明の反射を促進する反射領域を備えている。
【0013】
本開示の別の態様は、電子デバイスの一部を成すアセンブリであって、
電子デバイスに組み込んで電子デバイスの1つ以上のその他の部品を見えにくくする略不透明カバー部材であって、外面とその反対側の内面とを有しており、厚さ寸法が外面と内面との間を横方向に延在しているカバー部材と、
カバー部材内の複数のインジケータ構造であって、それぞれがカバー部材の対応するインジケータ形状を画定する周縁を有しており、カバー部材の厚さ全体にわたってバックライト照明を通過させるように略半透明であるインジケータ構造と、
カバー部材の内面に装着され、1つ以上のインジケータ構造を含むカバー部材の少なくとも一部と同一空間に延在しており、かつ、光伝達性材料製である光学的マトリックス層と、
光学的マトリックス層に埋め込まれる複数の照明装置であって、1つ以上の周辺照明装置がインジケータ構造毎に設けられるように配置されており、各周辺照明装置が対応するインジケータ構造の周縁にまたは隣接して配置されており、かつ、対応するインジケータ構造へのバックライト照明を提供するように構成されており、各周辺照明装置が、対応するインジケータ構造の周縁から横方向に変位されて、カバー部材の外面を各インジケータ構造においてカバー部材の厚さ寸法に略平行な方向から見たときにカバー部材によって見えにくくされる照明装置と、を備えている。
【0014】
本開示の別の態様は、上述したようにインジケータパネルアセンブリ(場合によっては制御パネルアセンブリを設けることができる)を含む電子デバイスを備えている。
本開示のさらに別の態様は、電子デバイス用のカバー構造アセンブリを製造する方法であって、
電子デバイスの1つ以上のその他の部品を見えにくくするように電子デバイスに組み込まれる略不透明カバー部材を設けることであって、カバー部材が外面とその反対側の内面とを有し、カバー部材の厚さ寸法が外面と内面との間を横方向に延在し、カバー部材が1つ以上のインジケータ構造を有し、各インジケータ構造がインジケータ構造を介してカバー部材の厚さ寸法全体にわたってバックライト照明を通過させるように略半透明であり、各インジケータ構造がカバー部材において対応するインジケータ形状を画定する周縁を有することと、
2つ以上の周辺照明装置がインジケータ構造毎に設けられるようにカバー部材に対して複数の照明装置を配置することであって、各周辺照明装置が対応するインジケータ構造の周縁または周縁に隣接して配置されて対応するインジケータ構造にバックライト照明を提供し、各周辺照明装置が、前記対応するインジケータ構造の周縁から横方向に変位されて、カバー部材の外面を各インジケータ構造においてカバー部材の厚さ寸法に略平行な方向から見たときにカバー部材によって見えにくくされることと、を含んでいる。
【0015】
カバー部材の内面に半透明光学的マトリックス層を成形して、光学的マトリックス層に複数の照明装置を埋め込むことであって、光学的マトリックス層が、1つ以上のインジケータ構造を含むカバー部材の少なくとも一部と同一空間に延在することと、を備えている。
【0016】
この方法は、複数の照明装置用の電子回路を設けることをさらに含んでおり、複数の照明装置を配置することが複数の照明装置を電子回路に接続することを含んでおり、光学的マトリックス層を成形することが複数の照明装置および電子回路を光学的マトリックス層に埋め込むことを含んでいる。
【0017】
電子回路を設けることが、カバー部材の内面に電子回路をプリントすることを含んでいる。カバー部材を設けることが、半透明基板と、半透明基板によって担持される略不透明マスキング層と、を備える複合積層構造を形成することを含んでおり、各インジケータ構造を、このマスキング層の1つ以上の対応開口によって画定する。
【0018】
この方法は、電子回路を、ユーザの手動選択用の1つ以上の制御手段に接続することをさらに含んでおり、光学的マトリックス層を成形することが、光学的マトリックス層に1つ以上の制御手段を埋め込むことを含んでいる。
【0019】
本開示のさらに別の態様は、電子デバイスの不透明カバー部材内の1つ以上のインジケータ形状を、各インジケータ形状に対応付けられる2つ以上の周辺照明装置の起動によってバックライティングすることを含む方法であって、各インジケータ形状がカバー部材の半透明領域とカバー部材によって画定される対応周縁とを備え、各周辺照明装置が、対応するインジケータ形状の周縁または周縁に隣接して配置され、対応するインジケータ形状の周縁から横方向に変位されて、カバー部材の外面をカバー部材の厚さ寸法に略平行な方向から見たときに不透明なカバー部材によって見えにくくされ、2つ以上の周辺照明装置が光学的マトリックス層に埋め込まれる1つ以上のインジケータ形状と対応付けられ、光学的マトリックス層がカバー部材の内面と接触し、少なくとも1つ以上のインジケータ形状と同一空間に延在する。
【0020】
この方法は、1つ以上のインジケータ構造のうちの少なくとも1つのインジケータ構造用の動的バックライトを、対応する2つ以上の周辺照明装置の経時変化する起動および動作停止によって提供することをさらに含むことができる。
【0021】
図面は必ずしも等縮尺ではなく、図中の類似の参照符号は図面全体にわたって類似の部品を指すことができる。異なる接尾語を有する類似の参照符号は、類似の部品の異なる事例を指すことができる。いくつかの実施形態は、添付図面において限定ではなく例示のために示されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】例示的実施形態に係る、電子デバイス用の一体型照光式制御パネルの一部を示す概略断面図である。
【図2】例示的実施形態に係る電子デバイスであって、図1などの照光式制御パネルを有する電子デバイスの概略正面図である。
【図3】例示的実施形態に係る、図1の照光式制御パネルの一部を成すカバーアセンブリの三次元背面図である。
【図4】例示的実施形態に係る、図3のカバーアセンブリの斜めの三次元側面図である。
【図5】他の例示的実施形態に係る電子デバイスの正面図である。
【図6】電子デバイスに光学的マトリックス層を設け、カバーアセンブリを組み込む前の組立前状態のカバーアセンブリの内側を示す図である。
【図7】カバーアセンブリの積層構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の説明と図面は、当業者が開示されるシステム、方法、および/または装置を実行および/または実現することができるように具体的な実施形態を十分に示している。他の実施形態は、構造上、動作上およびその他の変更を組み込むことができる。いくつかの実施形態の部分および特徴は、他の実施形態の部分および特徴に含める、あるいは置き換えることができる。
【0024】
図1において、参照符号100は、例示的実施形態に係る電子デバイス200(図2)用の制御パネルアセンブリを概略的に示す。制御パネルアセンブリ100はカバー部材103を備えており、カバー部材103は、その内側に接続される光学的マトリックス層106を有する複合積層構造である。したがって、デバイス200に組み込まれるとき、光学的マトリックス層106は、カバー部材103のデバイス側に配置され、カバー部材103とデバイス200の本体139との間に挟まれる。
【0025】
詳細に後述するように、電子デバイスは、カバー部材103によって画定される1つ以上のインジケータ構造を背面から照らすバックライト照明構造を有している(たとえば、図2の中央インジケータウィンドウ112を参照)。本実施形態のバックライト照明構造は、発光ダイオード(LED)109の例示の形状で複数の照明デバイスを備えており、本例ではLEDはカバー部材103に搭載されて、光学的マトリックス層106に埋め込まれている。各LED109は、本例では、部品番号27−21/BHC−AP1Q2/3Cの表面実装デバイス(SMD)LEDであるEverlight(商標)である。したがって、例示のLEDは、約1.7mm×0.6mmの矩形輪郭と、高さ(たとえば、約1.1mm厚のカバーパネルアセンブリに対して)を有している。なお、図1および7は、必ずしも等縮尺ではない概略図である。例示的実施形態では、LED109の高さは、光学的マトリックス層106の厚さの0.5倍以上とすることができる。
【0026】
マトリックス層106は、半透明プラスチックポリマー材料を備えている。この例示的実施形態では、マトリックス層106は、半透明な成形ポリカーボネートを含む略透明である。しかしながら、他の実施形態では、別の光伝達性材料を用いて光学的マトリックス層106を設けることもできる。このように設けられた光学的マトリックス層106は、LED109の密閉封入を提供するだけでなく、インジケータ照明用の導光体または光学媒体としての役目も果たす。より詳細に後述するように、LED109は、カバー部材103の内部に搭載されて、カバー部材103によって画定されるインジケータウィンドウから横方向に変位される。
【0027】
照光式構造であるため、例示のカバー部材103は、一対の対向主面を有しており、カバー部材103の厚さ寸法は主面間を横方向に延在する。よって、カバー部材103はデバイス200の外側を成す外面118を有して、内面130は、デバイス200の本体139に向かう。光学的マトリックス層106は、カバー部材103の内面130に接合されている。
【0028】
例示のカバー部材103は、カバー部材103の他の構成要素のベース構造として機能する透明な薄膜または基板箔115の形状の半透明基板と、アセンブリ100によって提供される制御パネル積層体とを備えている。図1の例では、基板箔115は、柔軟性のある透明なプラスチック材料から成り、略透明である。この例示的実施形態では、基板箔115は透明なポリカーボネート製成形シートである。図1の例示的実施形態では、基板箔115は層状カバー部材103の最外構成要素を成すため、カバー部材103の外面118は基板箔115の外面によって提供される。他の実施形態では、カバー部材103の1つ以上の構成要素は、基板箔115の外面118に装着または蒸着させることができる(たとえば、図7を参照)。
【0029】
カバー部材103は、デバイス200の部品を見えなくする略不透明の遮蔽素子をさらに含んでいる。この例示的実施形態では、遮蔽素子は不透明のマスキング層121の形状である。例示のマスキング層121は、基板箔115の内面124に設けられている。マスキング層121は略不透明であるため、マスキング層121の内側と合致し、マスキング層121に配置されるデバイス200の部品を見えにくくする。この例示的実施形態では、マスキング層121は、基板箔115の内面124に印刷される1つ以上のインク層を備えている。
【0030】
上記インジケータ構造は、マスキング層121によって画定される。本例では。カバー部材103は、マスキング層121の成形開口を備える中央円形インジケータウィンドウ112の形の単独インジケータ構造を有している。よって、インジケータウィンドウ112は、マスキング層121の略中央に位置する円形周縁212を有している。インジケータウィンドウ112内のマスキング層の成形部は、インジケータウィンドウ112にシルエットで描かれる商標ロゴ208を画定する。他の実施形態では、カバー部材は、(たとえば、マスキング層121などの不透明遮蔽素子の開口によって)たとえば装飾的および/または情報的な形状、図案、符号、印などを含むいくつかのインジケータ構造を画定することができる。インジケータ構造は、各自のインジケータ構造のバックライト照明によって、電子デバイス200の1つ以上の動作を表示するように構成することができる。したがって、アセンブリ100は、少なくともデバイス200用のインジケータ表示パネルを提供し、場合によっては双方向的な一体型照光式制御パネル(たとえば図1〜4の例示の実施形態)を提供するように構成されて、アセンブリ100はより詳細に後述するように制御構造も含む。
【0031】
再度図2を参照すると、マスキング層121の開口によって画定されるインジケータ構造に加えて、マスキング層121は、カバー部材103上の追加のマークおよび/または印を定める多色印刷を備えることができる。例示のデバイス200のマスキング層121の大部分は黒色インクで提供され、基板箔115に近接して印刷される白色インクが、本例ではデバイスのブランド名210と弧状の制御識別子213とを提供する。
【0032】
マスキング層121のインクは透明基板箔115の内面124に直接蒸着されるため、マスキング層121の装飾的および/または情報的構成要素は、基板箔115によって提供される円滑な保護外面を有する制御パネルアセンブリ100の外側からはっきりと見ることができる。
【0033】
他の実施形態では、制御パネルアセンブリ100の不透明な遮蔽素子は、代わりに、または組み合わせて、たとえばプラスチック材料の多孔シートおよび/または基板箔115に接着されるデカルを含む、基板箔115に装着される1つ以上のシート状素子または薄膜を備えている。なお、マスキング層121は本例示的実施形態では基板箔115の内面124に設けられるが、マスキング層121、または対応する遮蔽素子の一方または両方は、他の実施形態では基板箔115の外面118に担持させることができる。
【0034】
光学的マトリックス層106は、マスキング層121と同一空間に広がるため、インジケータウィンドウ112を含むマスキング層121全体の下方に連続して延在する。この例示的実施形態では、光学的マトリックス層106は、マスキング層121の外側境界を幾分超えて延在しているため、光学的マトリックス層106によって提供される周縁リング220は、カバー部材103の外側境界の周囲を連続的に延在する。再度図1を参照すると、透明光学素子129はインジケータウィンドウ112の一部を成し、インジケータウィンドウ112を画定するマスキング層121の開口に配置され、基板箔115の内面124に装着される。本実施形態の光学素子129は、基板箔115の内面124に印刷される透明青色層を備えており、光学的マトリックス層106からインジケータウィンドウ112を通過するバックライト照明をカラー化する。
【0035】
制御パネルアセンブリ100は、本例ではマスキング層121の内面130に接続されている、カバー部材103によって担持される電子回路132をさらに備えている。本例示的実施形態の電子回路132は、マスキング層121の内面130に印刷される導電トレース135を備えることによって、カバー部材103の内面または下面にプリント回路板(PCB)またはその一部を有効に形成する。LED109は導電トレース135に結合されて、導電トレース135を介してデバイス200内の電子部品を制御することによってLED109を起動/動作停止する。
【0036】
また、プリント電子回路132は、LED109以外にも他の電子部品を設ける、あるいは他の電子部品に結合することができる。制御パネルアセンブリ100はたとえば、手動のユーザ動作用に構成された1つ以上の制御手段を備える制御構造を含み、たとえば電子デバイス200の制御用のユーザ入力を受信する。本例示的実施形態では、制御手段は、マスキング層121の内面130にプリントされた複数の容量性ボタン305(たとえば図3を参照)を備えている。マスキング層121と基板箔115との合計厚は十分に小さいため、カバー部材103の外面118が押圧されたとき、ユーザの指の近接を容量的に感知できる。本例では、ボタン305のうちの2つは、制御パネルアセンブリ100の外部から見える制御識別子213と一致する。
【0037】
図3は、カバー部材103と、内側からカバー部材に設けられる電子部品とを示す(すなわち、光学的マトリックス層106を省略した制御パネルアセンブリ100を示す)分離図である。電子回路132の導電トレース135は、インジケータウィンドウ112の周縁212に沿って均等に間隔をおいて配置される4つのLED群109用のLEDリード線310を画定する。電動トレース135は同様に、容量性ボタン305用に各自のボタンリード線315も提供する。リード線310、315はそれぞれ、デバイス200の本体139(図1)に収容される制御電子部品の一部を成す対応コネクタとの連結のための対応する電子コネクタ320に接続される。なお、LEDリード線310は、インジケータウィンドウ112の4つの周辺LED109用に4チャネルの制御構造を提供するため、周辺LED109の起動を個々に制御することができる。
【0038】
なお、本例示的実施形態では、制御パネルアセンブリ109の一部を成す各LED109は、インジケータウィンドウ112の周縁212に位置し、インジケータウィンドウ112にバックライト照明を提供するように構成されるため、単独のインジケータウィンドウ112用の周辺照明装置である。各LED109はインジケータウィンドウ112の周縁212から横方向に変位されており、制御パネルアセンブリ100をインジケータウィンドウ112においてカバーパネル積層体に略垂直な方向で外から見るとき、各LEDはマスキング層121によって見えなくされる。よって、マスキング層の背後で実質上隠れているLED109は、インジケータウィンドウ112の周縁212に近接しつつ、インジケータウィンドウ112用のバックライトを提供しており、光学的マトリックス層106によって提供される光学媒体と同等である。
【0039】
次に図4を参照すると、カバーパネルアセンブリ100によって提供される複合積層構造は、本実施形態では、輪郭形状が複合曲率を有する(たとえば平坦ではない)ため、外面118が凹状に湾曲していることが分かる。カバー部材103(たとえば、基板箔115とマスキング層121とを備えている)は略一定厚を有しているため、カバー部材の内面130は外面118と同一の複合曲率を有する。光学的マトリックス層106は同様に、本例示的実施形態では2mm未満の一定厚を有することができ、カバー部材103の曲率と一致する、あるいは同一である曲率を有することができる。なお、例示の明瞭化のため、制御パネルアセンブリ100の構成要素の厚さは、図1では誇張されている。制御パネルアセンブリ100の全体厚は2mm未満であり、いくつかの実施形態では1.5mm未満である。
【0040】
再度図1を参照すると、制御パネルアセンブリ100の電子部品(たとえば、LED109、導電トレース135、容量性ボタン305を備えている)は、光学的マトリックス層106に埋め込まれていることが分かる。よって、光学的マトリックス層106は、LED109がカバー部材103の内面130に印刷された導電トレース135に搭載された後、カバー部材103の内面130にオーバーモールドされた成形部品である。本例示的実施形態では、制御パネルアセンブリ100をデバイス200に組み込むと、光学的マトリックス層106の内面147は、空隙149によってデバイス200の本体139から分離される。
【0041】
使用中、制御パネルアセンブリ100は電子デバイス200に搭載されて、電子デバイス200の動作状態または動作モードを示す、および/または電子デバイス200の機能を制御することができる。特定の実施形態では、デバイス200は、コンピュータの動作を制御するコンピュータ周辺装置であるが、別の例示的実施形態では、記載する制御パネルアセンブリ100に類似する制御パネルアセンブリを、電子デバイス、たとえばプリンタ、電子読取装置、携帯電話、住宅または産業施設用の照明制御装置、自動車や産業機器の制御およびまたは表示部品などに対応させて設けることができる。
【0042】
これらの場合、周辺LED109は対応するデバイス200によって制御されて、たとえば容量性制御ボタン305を介して、ユーザによるデバイス200の制御に応答してインジケータウィンドウ112にバックライトを提供することができる。LED109の発する光は、少なくとも一部がインジケータウィンドウ112を介してカバー部材103を通り、光学素子129および透明基板箔115を通過して、インジケータウィンドウ112を見えるようにする、あるいは強調するように、光学的マトリックス層106によって誘導される。側部に搭載した周辺LED109からインジケータウィンドウ112への光の通過は、光学的マトリックス層106の内面147からの光の反射によって促進され、場合によっては、たとえばインジケータウィンドウ112の光学素子129の一部として設けられる散光器によってさらに推進される。
【0043】
特定のLED109の照度はLED109からの距離が増大するにつれて低下するため、各周辺LED109は限られた有効バックライト範囲を有する。複数のインジケータ構造を有するデバイスでは(たとえば図5を参照)、この構造により、個別の周辺LED109(または個別セットの周辺LED109)により個別のインジケータ構造へ個々のバックライトを提供することができる。しかしながら、本例示的実施形態では、デバイス200は、インジケータウィンドウ112の形状の単独のインジケータ構造を含むが、複数の周辺LED109を設けることで、インジケータウィンドウ112に動的または動画的なバックライト効果を提供することができる。たとえば、インジケータウィンドウ112の4つの周辺LED109を制御して、デバイス200の異なる動作モードに対応するインジケータウィンドウ112上の異なるバックライト照明モードを提供することができる。本例では、動画的照明モードは、
(a)4つすべての周辺LED109による連続的同期照明と、
(b)同期パルス照明と、
(c)一方から他方または上方から下方/下方から上方への波状遷移照明と、
(d)インジケータウィンドウ112の外周におけるLED109の連続的起動および動作停止による巡回照明と、を含むことができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、特定のインジケータ構造のバックライト構造は多色とすることができ、その場合、関連インジケータ構造の1つ以上の表示モードは、色別静的インジケータモード、および/または多色動的/ダイナミックモードを含む。静的インジケータモードは、インジケータウィンドウ112のバックライト色を変更して、電子デバイス200の対応動作モードを表示することができる。電子デバイス200の多機能モードはたとえば、インジケータウィンドウ112に赤色照明でバックライトを当てることによって表示することができる。ダイナミックまたは動的多色インジケータモードは、一方では上に挙げた動的照明モードの単色色別性能(たとえば、パルスは赤、巡回は青など)を備えることができ、他方では、上述の動的照明モードの性能を組み合わせてバックライト色を動的に変化させることができる。なお、単独のデバイスで、電子デバイス200の現行動作モードに応じて上記インジケータモードをすべて実行するように構成することができる。
【0045】
多色バックライトは、単独のインジケータ構造の周辺に複数の単色周辺LEDを搭載し、異なる単色LEDを少なくとも2セット含めることによって実現することができる。よって、たとえば、インジケータウィンドウ112は、インジケータウィンドウ112の周縁212に規則的に間隔をおいて配置される、1セットの赤色LED、1セットの青色LED、1セットの緑色LEDを備えることができる。その後、色のバリエーションは、各セットの色別周辺LEDを動的に制御して、各単色セットの、結果的に生じるインジケータウィンドウ112のバックライトへの寄与を変更することによって実現することができる。多数の異なる色によるバックライト照明は、各セットの色別周辺LEDの強度を変更することによって実現することができる。もしくは、あるいはさらに、周辺LED109は個々の多色LED(多色白色LEDまたはRGB LEDとしても知られる)を備えることができ、この場合、多色バックライト(静的または動的/ダイナミック)の提供は、各周辺多色LEDによって発生される光を制御することによって実現することができる。
【0046】
図5は、他の例示的実施形態に係るデバイス500を示す。図1〜4に示す実施形態と図5〜7に示す実施形態中の類似または対応する要素は、特に指示しない限り同一の参照符号を付す。
【0047】
図5に示すように、デバイス500は、積層カバーアセンブリ503の一部を形成する一体的オーバーモールド照明装置によってバックライトで照らすように構成される複数のインジケータ構造を有する。例示のデバイス500は、照光状態がデバイス500の電力状態を示す電力インジケータ518を有する。本例では、電力インジケータ518は、デバイス500のメーカー商標ロゴとブランド名を含んでいる。デバイス500は、各ボタンインジケータ512と一致して配置される、対応する一体に形成された容量性ボタン305(図6を参照)の選択状態を示すように構成されている一連の4つのボタンインジケータ512をさらに有する。本例では、各ボタンインジケータ512は、カバーアセンブリ503のマスキング層121(図7を参照)に環状開口を備えている。各ボタンインジケータ512を提供する各環状開口は、対応する容量性ボタン305の周囲に延在している。例示のデバイス500は、デバイス500の一部を形成する液晶ディスプレイ(LCD)用のディスプレイウィンドウ506を提供する中央の矩形開口をさらに有している。
【0048】
次に図6を参照すると、デバイスに光学的マトリックス層106を設けて、カバーアセンブリを組み込む前の組立前状態のカバーアセンブリ503の内側を示しており、図中では2つのLED609が各ボタンインジケータ512の周囲に設けられているのが分かる。よって、各ボタンインジケータ512は、対応する環状ボタンインジケータ512の周縁に隣接する一対のボタンLED609が側面に位置している。したがって、ボタンインジケータ512の特定の1つは、対応する対の周辺ボタンLED609を起動することによってバックライティングすることができる。しかしながら、それぞれ横方向に変位するLED609のバックライティング範囲が制限されることから、各ボタンインジケータ512のバックライト構造は他のボタンインジケータ512のバックライト構造から光学的に隔離されるため、各ボタンLED609は対応するインジケータ構造のみに割り当てられる。同様に、電力インジケータ518は、電力インジケータ518の周囲に配置される1セットの4つの専用LED619を有している。
【0049】
なお、本例では、ディスプレイウィンドウ506用のバックライト照明は提供されない。代わりに、カバーアセンブリ503の内面124上の導電トレース135によって提供される電子回路132は、赤外線LEDとフォトダイオードとを備えるタッチ検出グリッド629を提供する。なお、図6に示す電子回路132の一部は、デバイス500への組付および組込中にカバーアセンブリ503の主要部上に折り畳まれる折込接触リーフに設けられる。
【0050】
次に図7を参照すると、カバーアセンブリ503の積層構造は、図1の制御パネルアセンブリ100といくつかの点で異なることが分かる。図7に示す例示的実施形態では、マスキング層121と光学素子129が透明基板箔115の外面118に装着されるため、マスキング層121の外面はカバーアセンブリ503とデバイス500の外面を提供する。図7に示す例示的実施形態では、光学素子129は、対応するインジケータ512/518を通過する光を拡散させるディフューザである。
【0051】
さらに、デバイス500の本体139は、空隙なしに光学的マトリックス層106の内面147と直接接触する。埋込LED609、619によって発せられる光の内反射を制限するため、光学的マトリックス層106の内側主面147に接触する非反射面707が設けられる。本例示的実施形態では、非反射面707は黒色面を備えている。非反射面707の提供は、各LED609、619の有効バックライト範囲をさらに制限する役割を果たす。しかしながら、本例では反射領域714を含む光学効果領域は、各インジケータ構造の下方または各インジケータに整合して(たとえば、ボタンインジケータ512の下方と電力インジケータ518の下方)に設けられる。反射領域714は、対応するインジケータ構造512、518のマスキング層121の対応する開口上、および該開口を通る光の反射範囲の制限を促進する。
【0052】
例示的実施形態を参照して説明する制御パネルアセンブリまたはインジケータパネルアセンブリの利点は、既存の一体型バックライト制御/インジケータパネルアセンブリと比較して空間が大きく節減されることである。バックライトLEDは、たとえばカバー構造アセンブリの下方に配置されることが多く、その場合、LEDの縦方向の変位が必要である。
【0053】
もう1つの利点は、LEDが電子デバイスのメインボードの代わりにカバー/インジケータ構造に配置されるため、他の機能用のデバイスのためにより多くの空間を利用できることである。開示されるアセンブリによって提供される一体型の照光式積層体は、デバイス制御部とは別の薄いインジケータ構造またはカバー構造、たとえば自動車の計器盤、ダッシュボード、またはハンドルの一部として使用することができる。
【0054】
別の利点は、LED毎に別個の光導体を必要としないことである。代わりに、光学的マトリックス層106が、共通インジケータ構造の複数の周辺LED109用の共通の光導体として機能し、複数のインジケータ構造用の共通の光導体としても機能する。上述したように、動的またはダイナミックインジケータモードを提供するには、これまでのカバーアセンブリ構造では、別個の光導体が必要となる。このような(上述したように、電子デバイス用のインジケータアセンブリまたは制御パネルアセンブリを形成することができる)カバーアセンブリの部品数の削減は有利なことに、必要な材料費の節減、および製造ステップの削減によりコストを節減することができる。
【0055】
各LED109のバックライト照明の有効範囲が比較的制限されていることで、バックライト照明用に構成される異なるインジケータ構造(たとえば、図6のボタンインジケータ512)間の照明の区別が可能になる一方で、同時に光学的マトリックス層106はより広範囲にわたって光を誘導して縁部照明効果を提供することができる(たとえば、図2の例示的実施形態では、光学的マトリックス層106の円形周縁から漏れる光によって周辺リング202を照らす)。カバーアセンブリ積層体が曲線的である、あるいは複雑である表面形状または輪郭を有する場合、このような派生的な導光機能を提供することができる。各周辺LEDのバックライト照明範囲の限定は、光学的マトリックス層106の対向主面と接触する非反射面、たとえば図7の例示的実施形態では、光学的マトリックス層106を挟む黒色マスキング層121と黒色非反射体面707とを設けることによって促進することができる。
【0056】
開示するアセンブリのさらに別の利点は、成形ポリマー光学的マトリックス層106にアセンブリの電子部品を気密密閉して封入することにより、類似の既存の電力構造に比べて頑丈な点である。
【0057】
実施形態は特定の例示的実施形態に関して説明したが、これらの実施形態は本開示の精神と範囲から逸脱することなしに様々に変形および変更することができるのは明らかである。したがって、明細書および図面は限定ではなく例示の意味で捉えるべきである。
【0058】
読者が技術的開示の性質および要点を確認できるように要約を提示する。要約は、請求項の範囲または意味を限定または解釈するために使用されないという認識の下に提示する。以下の請求項を詳細な説明に組み込み、各請求項はそれ自体別個の実施形態として成立する。

(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスの一部を形成するアセンブリであって、
電子デバイスに組み込んで前記電子デバイスの1つ以上のその他の部品を見えにくくする略不透明なカバー部材であって、外面と前記外面の反対側の内面とを有しており、厚さ寸法が前記外面と内面との間を横方向に延在する略不透明なカバー部材と、
前記カバー部材内の複数のインジケータ構造であって、それぞれが前記カバー部材の対応するインジケータ形状を画定する周縁を有しており、前記カバー部材の厚さ寸法全体にわたってバックライト照明を通過させるように略半透明であるインジケータ構造と、
前記カバー部材の内面に装着され、かつ、複数のインジケータ構造を含む前記カバー部材の少なくとも一部と同一空間に延在しており、光伝達性材料製である光学的マトリックス層と、
前記光学的マトリックス層に埋め込まれている複数の照明装置であって、2つ以上の周辺照明装置がインジケータ構造毎に設けられるように配置されており、各周辺照明装置が、対応するインジケータ構造の周縁でまたは周縁に隣接して前記カバー部材の内面に搭載されて前記対応するインジケータ構造へのバックライト照明を提供することで、前記複数のインジケータ構造の個々のインジケータ構造へ個別のバックライトを提供することができ、各周辺照明装置が、前記対応するインジケータ構造の周縁から横方向に変位されて、前記カバー部材の外面を前記対応するインジケータ構造において前記カバー部材の厚さ寸法に略平行な方向から見たときに前記カバー部材によって見えにくくされている照明装置と、を備えているアセンブリ。
【請求項2】
前記光学的マトリックス層に埋め込まれるとともに、前記複数の照明装置に電子的に接続されている電子回路をさらに備えている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記電子回路が、前記カバー部材の内面に蒸着されているプリント回路を備えている、請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記プリント回路が前記カバー部材の内面に蒸着されており、前記複数の照明装置が、該プリント回路と電子的に接続された状態で前記カバー部材の内面に搭載されている、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
ユーザの手動で動作する1つ以上の制御手段であって、前記光学的マトリックス層に埋め込まれるとともに、前記電子回路に接続されている1つ以上の制御手段をさらに備えている、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記1つ以上の制御手段が、前記カバー部材の内面に搭載されている少なくとも1つの容量性ボタンを含んでいる、請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記カバー部材が複合積層構造であり、複合積層構造が、
半透明基板と、
前記半透明基板に担持されている略不透明なマスキング層であって、各インジケータ構造が、前記マスキング層の1つ以上の対応する開口によって画定されている、マスキング層と、
前記マスキング層に蒸着されるとともに、前記光学的マトリックス層に埋め込まれているプリント回路であって、前記複数の照明装置が前記プリント回路に搭載されているとともに、該プリント回路に接続されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記マスキング層が、前記半透明基板の内面に蒸着されるプリント材料を含んでいる、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記半透明基板が可撓ポリマープラスチック材料製である、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記光学的マトリックス層が略透明成形プラスチック材料製である、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記複数の照明装置が複数の発光ダイオード(LED)を含んでいる、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記カバー部材から最も離れた前記光学的マトリックス層の主面に非反射面をさらに備えており、前記光学的マトリックス層が前記カバー部材と前記非反射面との間に挟まれている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記非反射面が、前記カバー部材内の複数のインジケータ構造のうちの対応する1つのインジケータ構造と略対向する位置に設けられた少なくとも1つの反射領域によって遮断されている、請求項12に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記カバー部材の内面と外面とが輪郭をなぞるように、前記カバー部材が略一定の厚さと一定の輪郭を有している、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記光学的マトリックス層は厚さが略一定であり、前記カバー部材の輪郭形状と一致する輪郭形状を有している、請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項16】
電子デバイスであって、
電子部品を収容する本体と、
前記本体に搭載されるとともに前記電子部品に接続されるインジケータパネルであって、電子デバイス用のインジケータ表示パネルを提供し、請求項1〜15のいずれか一項に記載のアセンブリによって提供される、インジケータパネルと、を備えている電子デバイス。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2023-06-28 
結審通知日 2023-06-30 
審決日 2023-08-02 
出願番号 P2020-019936
審決分類 P 1 41・ 852- Y (H05K)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 河本 充雄
特許庁審判官 瀧内 健夫
市川 武宜
登録日 2022-01-28 
登録番号 7016546
発明の名称 電子デバイスの一部を形成するアセンブリおよび電子デバイス  
代理人 本田 淳  
代理人 本田 淳  

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