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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C09D
管理番号 1403621
総通号数 23 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2023-11-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-05-16 
確定日 2023-08-31 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6967168号発明「水性顔料分散液、水性インクジェットインク、及び乾燥皮膜」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6967168号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付されて訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜14〕について訂正することを認める。 特許第6967168号の請求項8〜14に係る特許を維持する。 特許第6967168号の請求項1〜7に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6967168号(以下「本件特許」という。)の請求項1〜10に係る特許についての出願は、令和3年3月2日の出願であって、令和3年10月26日に特許権の設定登録がされ、令和3年11月17日に特許掲載公報が発行され、その請求項1〜10に係る発明の特許に対し、令和4年5月16日に田中理紗(以下「特許異議申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。
特許異議の申立て以後の手続の経緯は次のとおりである。
令和4年 8月12日付け 取消理由通知
同年10月14日 意見書・訂正請求書(特許権者)
同年11月11日付け 訂正請求があった旨の通知
同年12月12日 意見書(特許異議申立人)
令和5年 1月13日付け 訂正拒絶理由通知
同年 3月17日付け 取消理由通知(決定の予告)
同年 5月19日 意見書・訂正請求書(特許権者)
同年 5月30日付け 訂正請求があった旨の通知

なお、特許権者は、令和5年1月13日付けの訂正拒絶理由通知に対して、指定した期間内に応答しなかった。
そして、令和4年10月14日付けの訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
また、特許異議申立人は、令和5年5月30日付けの訂正請求があった旨の通知に対して、指定した期間内に応答しなかった。

第2 訂正の適否
1.訂正の内容
令和5年5月19日付けの訂正請求による訂正(以下「本件訂正」ともいう。)の「請求の趣旨」は「特許第6967168号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1〜14について訂正することを求める。」というものであり、その内容は、以下の訂正事項1〜12からなるものである(なお、訂正箇所に下線を付す。)。

(1)訂正事項1
訂正前の請求項1を削除する。

(2)訂正事項2
訂正前の請求項2を削除する。

(3)訂正事項3
訂正前の請求項3を削除する。

(4)訂正事項4
訂正前の請求項4を削除する。

(5)訂正事項5
訂正前の請求項5を削除する。

(6)訂正事項6
訂正前の請求項6を削除する。

(7)訂正事項7
訂正前の請求項7を削除する。

(8)訂正事項8
訂正前の請求項1〜5を引用する請求項6を引用する請求項7を引用する請求項8のうち、請求項1、6及び7を引用するものについて、独立形式での記載に改めて、訂正後の請求項8とする。
(請求項8の記載を直接又は間接的に引用する請求項9及び10も同様に訂正する)。

(9)訂正事項9
訂正前の請求項8のうち、請求項1、2、6及び7を引用するものについて、独立形式での記載に改めて、訂正後の請求項11とする。

(10)訂正事項10
訂正前の請求項8のうち、請求項1、2、3、6及び7を引用するものについて、独立形式での記載に改めて、訂正後の請求項12とする。

(11)訂正事項11
訂正前の請求項8のうち、請求項1、4、6及び7を引用するものについて、独立形式での記載に改めて、訂正後の請求項13とする。

(12)訂正事項12
訂正前の請求項8のうち、請求項1、5、6及び7を引用するものについて、独立形式での記載に改めて、訂正後の請求項14とする。

2.本件訂正による訂正の適否
(1)訂正事項1〜7について
訂正事項1〜7は、訂正前の請求項1〜7を削除する訂正であるから、いずれも願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内において「特許請求の範囲の減縮」を目的として訂正するものに該当する。
そして、訂正事項1〜7は「特許請求の範囲の減縮」のみを目的とするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張するものではない。
したがって、訂正事項1〜7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、なおかつ、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6号の規定に適合するものである。

(2)訂正事項8〜12について
訂正事項8は、訂正前の請求項8のうち、請求項1を引用する請求項6を引用する請求項7を引用するものについて、独立形式での記載に改めて、訂正後の請求項8とするものであり、
訂正事項9は、訂正前の請求項8のうち、請求項1を引用する請求項2を引用する請求項6を引用する請求項7を引用するものについて、独立形式での記載に改めて、訂正後の請求項11とするものであり、
訂正事項10は、訂正前の請求項8のうち、請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3を引用する請求項6を引用する請求項7を引用するものについて、独立形式での記載に改めて、訂正後の請求項12とするものであり、
訂正事項11は、訂正前の請求項8のうち、請求項1を引用する請求項4を引用する請求項6を引用する請求項7を引用するものについて、独立形式での記載に改めて、訂正後の請求項13とするものであり、
訂正事項12は、訂正前の請求項8のうち、請求項1を引用する請求項5を引用する請求項6を引用する請求項7を引用するものについて、独立形式での記載に改めて、訂正後の請求項14とするものであるから、
願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内において「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的として訂正するものに該当する。
そして、訂正事項8〜12は「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」のみを目的とするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張するものではない。
したがって、訂正事項8〜12は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当し、なおかつ、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6号の規定に適合するものである。
なお、本件においては、訂正前の請求項1〜10について特許異議の申立てがされているところ、訂正前の請求項8の記載を、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる目的により、他の請求項の記載を引用しない訂正後の請求項8及び11〜14の記載に改める訂正事項8〜12について、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(3)一群の請求項について
訂正事項1〜12に係る訂正前の請求項1〜10について、訂正前の請求項2〜10は、請求項1を直接又は間接的に引用するもので、訂正前の請求項1〜7は削除され、その請求項8は直接又は間接的に請求項1を引用し、その請求項9及び10は直接又は間接的に請求項8を引用するものであって、訂正前の請求項8の記載が訂正されるのに連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1〜10に対応する訂正前に内在していた訂正後の請求項11〜14も含めた訂正後の請求項1〜14は、特許法第120条の5第4項に規定される一群の請求項である。
そして、本件訂正は、訂正後の請求項11〜14について、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位とすることを求めていない。

3.まとめ
以上総括するに、訂正事項1〜12は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第4号に掲げる事項を目的とするものに該当し、なおかつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1〜14〕についての訂正を認める。

第3 本件発明
本件訂正により訂正された請求項1〜14に係る発明(以下「本1発明」〜「本14発明」ともいう。)は、その特許請求の範囲の請求項1〜14に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】(削除)
【請求項2】(削除)
【請求項3】(削除)
【請求項4】(削除)
【請求項5】(削除)
【請求項6】(削除)
【請求項7】(削除)
【請求項8】
顔料、水、水溶性有機溶媒、及び前記顔料を分散させる高分子分散剤を含有し、
前記高分子分散剤が、(メタ)アクリル酸及びイタコン酸の少なくともいずれかに由来する構成単位(i)と、生物材料由来の(メタ)アクリレートに由来する構成単位(ii)と、を含み、
酸価が30〜250mgKOH/gであり、
前記構成単位(ii)の含有量が50質量%以上であり、
数平均分子量が1,000〜30,000であり、
分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が2.5以下であり、
カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマーであり、
前記生物材料由来の(メタ)アクリレートが、エチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、及びオクタデシル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも一種である水性顔料分散液を含有する水性インクジェットインクであって、
バインダー成分をさらに含有し、
前記バインダー成分が、下記要件(5)〜(9)を満たすポリマーである水性インクジェットインク。
[要件(5)]:
メタクリル酸系モノマーに由来する構成単位の含有量が90質量%以上である、ポリマー鎖A2及びポリマー鎖B2を含むA−Bブロックコポリマーである。
[要件(6)]:
前記ポリマー鎖A2が、
生物材料由来のメタクリレートに由来する構成単位を80質量%以上含み、
数平均分子量が10,000〜30,000であり、
分子量分布が1.6以下である水不溶性のポリマーブロックである。
[要件(7)]:
前記ポリマー鎖B2が、
メタクリル酸に由来する構成単位を含み、
生物材料由来のバイオメタクリレートに由来する構成単位を40〜90質量%含み、
酸価が50〜150mgKOH/gであり、
数平均分子量が5,000〜20,000であり、
カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマーブロックである。
[要件(8)]:
数平均分子量が15,000〜50,000であり、分子量分布が1.6以下である。
[要件(9)]:
その数平均粒子径が10〜200nmの粒子である。
【請求項9】
前記生物材料由来のメタクリレートが、エチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、及びオクタデシルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも一種である請求項8に記載の水性インクジェットインク。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の水性インクジェットインクの皮膜状乾燥物である乾燥皮膜。
【請求項11】
顔料、水、水溶性有機溶媒、及び前記顔料を分散させる高分子分散剤を含有し、
前記高分子分散剤が、(メタ)アクリル酸及びイタコン酸の少なくともいずれかに由来する構成単位(i)と、生物材料由来の(メタ)アクリレートに由来する構成単位(ii)と、を含み、
酸価が30〜250mgKOH/gであり、
前記構成単位(ii)の含有量が50質量%以上であり、
数平均分子量が1,000〜30,000であり、
分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が2.5以下であり、
カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマーであり、
前記生物材料由来の(メタ)アクリレートが、エチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、及びオクタデシル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも一種であり、
前記高分子分散剤が、下記要件(1)〜(4)を満たすポリマーである水性顔料分散液を含有する水性インクジェットインクであって、
バインダー成分をさらに含有し、
前記バインダー成分が、下記要件(5)〜(9)を満たすポリマーである水性インクジェットインク。
[要件(1)]:
メタクリル酸系モノマーに由来する構成単位の含有量が90質量%以上である、ポリマー鎖A1及びポリマー鎖B1を含むA−Bブロックコポリマーである。
[要件(2)]:
前記ポリマー鎖A1が、
生物材料由来のメタクリレートに由来する構成単位(ii−a)を80質量%以上含み、
数平均分子量が1,000〜10,000であり、
分子量分布が1.6以下である水不溶性のポリマーブロックである。
[要件(3)]:
前記ポリマー鎖B1が、
メタクリル酸に由来する構成単位(i−b)を含み、
生物材料由来のメタクリレートに由来する構成単位(ii−b)を40〜90質量%含み、
酸価が50〜260mgKOH/gであり、
数平均分子量が1,000〜10,000であり、
カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマーブロックである。
[要件(4)]:
数平均分子量が2,000〜20,000であり、分子量分布が1.6以下である。
[要件(5)]:
メタクリル酸系モノマーに由来する構成単位の含有量が90質量%以上である、ポリマー鎖A2及びポリマー鎖B2を含むA−Bブロックコポリマーである。
[要件(6)]:
前記ポリマー鎖A2が、
生物材料由来のメタクリレートに由来する構成単位を80質量%以上含み、
数平均分子量が10,000〜30,000であり、
分子量分布が1.6以下である水不溶性のポリマーブロックである。
[要件(7)]:
前記ポリマー鎖B2が、
メタクリル酸に由来する構成単位を含み、
生物材料由来のバイオメタクリレートに由来する構成単位を40〜90質量%含み、
酸価が50〜150mgKOH/gであり、
数平均分子量が5,000〜20,000であり、
カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマーブロックである。
[要件(8)]:
数平均分子量が15,000〜50,000であり、分子量分布が1.6以下である。
[要件(9)]:
その数平均粒子径が10〜200nmの粒子である。
【請求項12】
顔料、水、水溶性有機溶媒、及び前記顔料を分散させる高分子分散剤を含有し、
前記高分子分散剤が、(メタ)アクリル酸及びイタコン酸の少なくともいずれかに由来する構成単位(i)と、生物材料由来の(メタ)アクリレートに由来する構成単位(ii)と、を含み、
酸価が30〜250mgKOH/gであり、
前記構成単位(ii)の含有量が50質量%以上であり、
数平均分子量が1,000〜30,000であり、
分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が2.5以下であり、
カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマーであり、
前記生物材料由来の(メタ)アクリレートが、エチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、及びオクタデシル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも一種であり、
前記高分子分散剤が、下記要件(1)〜(4)を満たすポリマーであり、
下記生物材料由来のメタクリレートが、エチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、及びオクタデシルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも一種である水性顔料分散液を含有する水性インクジェットインクであって、
バインダー成分をさらに含有し、
前記バインダー成分が、下記要件(5)〜(9)を満たすポリマーである水性インクジェットインク。
[要件(1)]:
メタクリル酸系モノマーに由来する構成単位の含有量が90質量%以上である、ポリマー鎖A1及びポリマー鎖B1を含むA−Bブロックコポリマーである。
[要件(2)]:
前記ポリマー鎖A1が、
生物材料由来のメタクリレートに由来する構成単位(ii−a)を80質量%以上含み、
数平均分子量が1,000〜10,000であり、
分子量分布が1.6以下である水不溶性のポリマーブロックである。
[要件(3)]:
前記ポリマー鎖B1が、
メタクリル酸に由来する構成単位(i−b)を含み、
生物材料由来のメタクリレートに由来する構成単位(ii−b)を40〜90質量%含み、
酸価が50〜260mgKOH/gであり、
数平均分子量が1,000〜10,000であり、
カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマーブロックである。
[要件(4)]:
数平均分子量が2,000〜20,000であり、分子量分布が1.6以下である。
[要件(5)]:
メタクリル酸系モノマーに由来する構成単位の含有量が90質量%以上である、ポリマー鎖A2及びポリマー鎖B2を含むA−Bブロックコポリマーである。
[要件(6)]:
前記ポリマー鎖A2が、
生物材料由来のメタクリレートに由来する構成単位を80質量%以上含み、
数平均分子量が10,000〜30,000であり、
分子量分布が1.6以下である水不溶性のポリマーブロックである。
[要件(7)]:
前記ポリマー鎖B2が、
メタクリル酸に由来する構成単位を含み、
生物材料由来のバイオメタクリレートに由来する構成単位を40〜90質量%含み、
酸価が50〜150mgKOH/gであり、
数平均分子量が5,000〜20,000であり、
カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマーブロックである。
[要件(8)]:
数平均分子量が15,000〜50,000であり、分子量分布が1.6以下である。
[要件(9)]:
その数平均粒子径が10〜200nmの粒子である。
【請求項13】
顔料、水、水溶性有機溶媒、及び前記顔料を分散させる高分子分散剤を含有し、
前記高分子分散剤が、(メタ)アクリル酸及びイタコン酸の少なくともいずれかに由来する構成単位(i)と、生物材料由来の(メタ)アクリレートに由来する構成単位(ii)と、を含み、
酸価が30〜250mgKOH/gであり、
前記構成単位(ii)の含有量が50質量%以上であり、
数平均分子量が1,000〜30,000であり、
分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が2.5以下であり、
カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマーであり、
前記生物材料由来の(メタ)アクリレートが、エチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、及びオクタデシル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも一種であり、
カルボキシ基の少なくとも一部を中和する前記アルカリが、アンモニア、ジメチルアミノエタノール、2−アミノ−1−プロパノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭素数6〜22の直鎖脂肪族アミン、炭素数6〜22の分岐脂肪族アミン、及び炭素数6〜22の不飽和脂肪族アミンからなる群より選択される少なくとも一種である水性顔料分散液を含有する水性インクジェットインクであって、
バインダー成分をさらに含有し、
前記バインダー成分が、下記要件(5)〜(9)を満たすポリマーである水性インクジェットインク。
[要件(5)]:
メタクリル酸系モノマーに由来する構成単位の含有量が90質量%以上である、ポリマー鎖A2及びポリマー鎖B2を含むA−Bブロックコポリマーである。
[要件(6)]:
前記ポリマー鎖A2が、
生物材料由来のメタクリレートに由来する構成単位を80質量%以上含み、
数平均分子量が10,000〜30,000であり、
分子量分布が1.6以下である水不溶性のポリマーブロックである。
[要件(7)]:
前記ポリマー鎖B2が、
メタクリル酸に由来する構成単位を含み、
生物材料由来のバイオメタクリレートに由来する構成単位を40〜90質量%含み、
酸価が50〜150mgKOH/gであり、
数平均分子量が5,000〜20,000であり、
カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマーブロックである。
[要件(8)]:
数平均分子量が15,000〜50,000であり、分子量分布が1.6以下である。
[要件(9)]:
その数平均粒子径が10〜200nmの粒子である。
【請求項14】
顔料、水、水溶性有機溶媒、及び前記顔料を分散させる高分子分散剤を含有し、
前記高分子分散剤が、(メタ)アクリル酸及びイタコン酸の少なくともいずれかに由来する構成単位(i)と、生物材料由来の(メタ)アクリレートに由来する構成単位(ii)と、を含み、
酸価が30〜250mgKOH/gであり、
前記構成単位(ii)の含有量が50質量%以上であり、
数平均分子量が1,000〜30,000であり、
分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が2.5以下であり、
カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマーであり、
前記生物材料由来の(メタ)アクリレートが、エチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、及びオクタデシル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも一種であり、
前記顔料の含有量が5〜60質量%であり、
前記水の含有量が20〜80質量%であり、
前記水溶性有機溶媒の含有量が30質量%以下であり、
前記高分子分散剤の含有量が0.5〜20質量%である水性顔料分散液を含有する水性インクジェットインクであって、
バインダー成分をさらに含有し、
前記バインダー成分が、下記要件(5)〜(9)を満たすポリマーである水性インクジェットインク。
[要件(5)]:
メタクリル酸系モノマーに由来する構成単位の含有量が90質量%以上である、ポリマー鎖A2及びポリマー鎖B2を含むA−Bブロックコポリマーである。
[要件(6)]:
前記ポリマー鎖A2が、
生物材料由来のメタクリレートに由来する構成単位を80質量%以上含み、
数平均分子量が10,000〜30,000であり、
分子量分布が1.6以下である水不溶性のポリマーブロックである。
[要件(7)]:
前記ポリマー鎖B2が、
メタクリル酸に由来する構成単位を含み、
生物材料由来のバイオメタクリレートに由来する構成単位を40〜90質量%含み、
酸価が50〜150mgKOH/gであり、
数平均分子量が5,000〜20,000であり、
カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマーブロックである。
[要件(8)]:
数平均分子量が15,000〜50,000であり、分子量分布が1.6以下である。
[要件(9)]:
その数平均粒子径が10〜200nmの粒子である。
前記顔料の含有量が5〜60質量%であり、
前記水の含有量が20〜80質量%であり、
前記水溶性有機溶媒の含有量が30質量%以下であり、
前記高分子分散剤の含有量が0.5〜20質量%である請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性顔料分散液。」

第4 取消理由通知の概要
令和5年3月17日付けの取消理由通知(決定の予告)で通知された取消理由は、次の理由1からなるものである。

〔理由1〕本件特許の請求項1〜10に係る発明は、本件出願日前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件出願日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、本件特許の請求項1〜10に係る発明に係る特許は、同法第29条の規定に違反してされたものである。


<引用する刊行物等一覧>
甲第1号証:国際公開第2010/013651号
甲第3号証:特開2019−218458号公報
甲第4号証:米国特許出願公開第2011/0282000号
甲第5号証:“20−1 接着と塗装研究会●講演要旨集 主題 バイオマス由来のプラスチック・工業材料”、公益社団法人高分子学会、2020年9月18日発行、第7〜8頁

引用例A:特開2016−147937号公報
引用例B:特開2020−105351号公報
引用例C:特表2019−500432号公報
引用例D:特開2020−105308号公報
引用例E:国際公開第2018/199085号
引用例F:特許第5636580号公報(平成26年12月10日発行)

引用例A〜Fは、当審合議体が職権で通知した引用例である。

第5 当審の判断
1.理由1(進歩性)について
(1)甲第1及び3〜5号証並びに参考例A〜Fの記載事項

ア 甲第1号証には、次の記載がある。
摘記1a:請求項1
「[請求項1]少なくとも顔料と、水と、高分子分散剤と、アルカリとからなり、該高分子分散剤が、[一般式1]のA−Bジブロックポリマーまたは[一般式2]のA−B−Cトリブロックポリマーであり、これらのブロックポリマーが、有機ヨウ化物を重合開始化合物とし、有機リン化合物、有機窒素化合物または有機酸素化合物を触媒として、ラジカル発生剤を用いて付加重合性モノマーを重合して得られたブロックポリマーであることを特徴とする水性顔料分散液。
(一般式1、2中のA、B、Cはそれぞれ1種以上の付加重合性モノマーのポリマーブロックであり、AブロックとCブロックは同じでも異なってもよく、AブロックとCブロックとは少なくとも酸基を有するモノマーの、酸価が40〜300mgKOH/gのポリマーブロックであり、Bブロックは疎水性モノマーのポリマーブロックである。)」

摘記1b:段落0001、0010、0013及び0029〜0030
「[0001]本発明は、顔料が高度に微分散され、良好な保存安定性、良好な印画・印字状態を与える水性顔料分散液、処理顔料、塗料、インク、コーティング剤、トナーおよび文具などに関する。…
[0010]ATRP法では、重合に重金属を使用する必要があり、得られたポリマーには重金属が含まれ、ポリマーから重金属を除去する必要がある。また、ポリマーを精製した場合には、精製によって生じる排水・廃溶剤に、環境への負荷が高い重金属が含まれ、これらからも重金属の除去が必要である。…
[0013]DT法は、ATRP法と同様に重金属を使用するものであり、ポリマーからの重金属の除去が必要であり、重金属を除去した場合は前記と同様に排水の問題がある。さらにはそこで使用する有機金属化合物の合成が煩雑で、さらにコストも高い。
したがって、本発明の目的は、上記のような問題点がない、容易なリビングラジカル重合方法によって得られる、分子が精密に制御された高分子分散剤によって、顔料が分散された水性顔料分散液を提供することである。…
[0029]本発明で用いる高分子分散剤を用いて顔料を水性媒体に分散させる時は、Bブロックは、水に不溶なので顔料粒子に吸着または顔料粒子上に堆積し、Bブロックが顔料をカプセル化した状態となる。Aブロック、またはAブロックとCブロックとは水性媒体中でアルカリによって中和されてイオン化して水に溶解する。これらの作用によって顔料を水性媒体中に微粒子の状態で分散し、水性顔料分散液の分散安定性や保存安定性を向上させる。
[0030]さらに、顔料を高分子分散剤によってカプセル化することによって、水性顔料分散液(例えば、インク)を紙に印字・印画した場合、顔料の紙への浸透を抑え、顔料の発色性を上げる。また、水性顔料分散液をフィルムや被塗布物に使用した場合は、そのAブロックまたはCブロックが顔料のバインダー成分として働き塗膜を形成し、さらには他のバインダー成分と相溶性を示して塗膜が良好な外観を示す。また、本発明の顔料分散液を水性インクジェットインクに使用した場合、吐出安定性がよく、ノズルの詰まりもない。」

摘記1c:段落0034、0037、0039〜0040、0047及び0058
「[0034]特に本発明では前記したカルボキシル基を有するモノマーがよい。さらに好ましくは、アクリル酸またはメタクリル酸である。…
[0037]酸基を有するモノマーの他に、他の共重合し得るモノマーを使用してもよい。…
[0039]メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−メチルプロパン(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、べへニル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、
[0040]イソボロニル(メタ)アクリレート、2,2,4−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、シクロデシルメチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、t−ブチルベンゾトリアゾールフェニルエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレートなどの脂肪族、脂環族、芳香族アルキル(メタ)アクリレート、…
[0047]酸素原子含有モノマーとしては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、モルホリノ(メタ)アクリレート、メチルモルホリノ(メタ)アクリレート、メチルモルホリノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。…
[0058]また、本発明で用いる高分子分散剤における、重量平均分子量と数平均分子量の比である分散度(以下PDIと称す)は、特に限定されない。…本発明で用いる高分子分散剤では、PDIは好ましくは1.7以下、さらに好ましくは1.6以下である。」

摘記1d:段落0111〜0117
「[0111]つぎに合成例、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、文中「部」または「%」とあるのは質量基準である。
[0112][合成例1]高分子分散剤−1の合成
攪拌機、逆流コンデンサー、温度計および窒素導入管を取り付けた1リッターセパラブルフラスコの反応装置に、ジエチレングリコールジメチルエーテル(以下ジグライムと称す)241.5部、2−アイオド−2−シアノプロパン(以下CP−1と称す)6.2部、メタクリル酸メチル(以下MMAと略す)180部、アクリル酸(以下AAと略す)14.4部、アゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと略す)5.2部、アイオドスクシンイミド(以下NISと略す)0.1部を添加して、窒素を流しながら攪拌した。反応温度を75℃に昇温させ、3時間重合させた。
[0113]3時間後、一部をサンプリングして固形分を測定したところ、42.0%であり、殆どのモノマーが重合していることが確認された。また、GPCにて分子量を測定したところ、数平均分子量(以下Mnと称す)は5,000であり、分散度(以下PDIと称す)は1.42であり、分子量の分布が狭い、分子量が揃っているポリマーを得ることができた。また、このポリマーのUV吸収(測定波長254nmであり、以下UV吸収はこの波長での測定値である)はなく、UV測定機では分子量が確認されなかった。このポリマーの酸価は56.3mgKOH/gであった。
[0114]ついで、上記重合溶液にメタクリル酸ベンジル(以下BzMAと略す)35.2部とAIBN0.3部との混合物を添加して、その温度で3時間重合した。固形分を測定したところ、48.9%であり、殆どのモノマーが重合していることが確認され、Mnは5,500であり、PDIは1.43であった。また、ベンジル基からくるUV吸収が確認され、UV吸収によるMnは5,400であり、PDIは1.44であった。GPCの可視領域の分子量とUV領域の分子量が殆ど同じであり、MMA/AAポリマーブロックにBzMAポリマーブロックが結合することで、分子量が大きくなっていることより、前記したMMA/AAポリマーブロックにBzMAポリマーブロックがブロック共重合していると考えられる。
[0115]このブロックポリマー(高分子分散剤)の酸価は48.0mgKOH/gであった。なお、使用モノマー基準で計算したAブロック/[Aブロック+Bブロック]×100=194.4/229.6×100=84.7(%)であった。以下の合成例も同様である。
[0116]ついで、この重合溶液に水酸化カリウム14.3部および水106.4部を添加して溶解した溶液は透明であり、高分子分散剤の析出は全くなかった。すなわち、BzMAポリマーブロックも析出がなく溶解した。ついで50℃で2時間反応させ、ポリマー末端のヨウ素を分解した。以上のようにして高分子分散剤−1溶液を得た。該溶液の固形分は41.2%であり、pHは9.8であった。上記溶液を容器に入れて放置しても、ポリマーの沈降はなく溶液は透明のままであった。
[0117]また、この高分子分散剤−1溶液を10倍の水で希釈したところ、殆ど透明であるが、青い微分散液となり、BzMAポリマーブロックが微粒子となって分散しているものと考えられる。また、この溶液のヨウ素イオン量をイオンクロマトグラフで測定したところ0.64%であり、ポリマー末端のヨウ素はすべて分解していた。」

摘記1e:段落0131〜0133
「[0131]
[合成例15]高分子分散剤−15の合成
合成例1と同様の装置を使用して、ジグライム270.1部、ヨウ素3.03部、アゾビス(メトキシジメチルバレロニトリル)(以下V−70と略す)14.8部、ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン(以下BHTと略す)0.66部、BzMA105.6部を添加して、窒素を流しながら40℃に加温し、6.5時間重合させた。3時間後にヨウ素の褐色が消え、レモン色となった。これはラジカル開始剤であるV−70が分解し、そのラジカルがヨウ素と反応して本発明の重合開始化合物である有機ヨウ化物となったものである。この後、一部をサンプリングして固形分を測定したところ、21.1%であり、収率は67%であった。GPCで分子量を測定したところ、Mnは2,700であり、PDIは1.20であった。
[0132]ついで上記反応溶液にMMA120部、MAA25.8部、V−70を0.74部の混合物を添加し、4.5時間重合させた。サンプリングしたところ48.3%であり、ほとんどのモノマーが重合していることが確認された。このAポリマーはBポリマーの重合しなかったBzMAを含むものであって、組成としては前記収率より換算するとMMA/MAA/BzMA=66.4/14.3/19.3(質量比)であるものである。得られたブロックポリマーのMnは6,000であり、PDIは1.44であった。酸価は67.0mgKOH/gであった。
ついでジエチレングリコールモノブチルエーテル(以下BDGと略す)135.6部を添加し、水酸化ナトリウム7.2部及び水128.4部の混合液を添加して中和させた。溶液は透明であり、析出は全くなかった。ついで、50℃で2時間反応させ、ポリマー末端を分解した。固形分は34.4%であった。
[0133]このポリマーは、疎水性であるBポリマーを重合した後、水可溶性ポリマーであるAポリマーを重合したもので、さらにメタクリル酸を使用したA−Bブロックポリマーである。比較的Bポリマーの分子量が大きいA−Bポリマーである。」

摘記1f:段落0138〜0140
「[0138][実施例1]青色水性顔料分散液−1
合成例1で得た高分子分散剤−1を170部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル70部および純水388部を混合して均一溶液とした。溶液は透明で析出や濁りはなかった。これに青色顔料である銅フタロシアニンブルー(シアニンブルーKBM、大日精化工業社製)ペースト(固形分35%)を1,000部添加して、ディスパーで30分解膠してミルベースを調製した。
[0139]ついで、横型メディア分散機を用いて十分に顔料を分散させた後、このミルベースに純水316部を添加して顔料分18%の水性顔料分散液を得た。つぎに、純水5,000部に上記で得たミルベースを注ぎ、高速攪拌しながら5%塩酸を滴下して高分子分散剤を析出させた。このとき初期のpHは9.5であり、酸を添加することでpH2.1まで下げた。ついで、この水性顔料分散液をろ過して、純水でよく洗浄して固形分30.5%の顔料ペーストを得た。
[0140]つぎにこの顔料ペースト100部に水酸化ナトリウム6.4部を水46.1部に溶解したものを添加して攪拌して溶解させた。ついで、上記の横型メディア分散機にて十分溶解、分散させた。このときの顔料の粒子径は101.3nm、分散液の粘度は3.48mPa・s、pHは8.9であった。イオンクロマトグラフにてヨウ素イオンを測定したところ、検出されなかった。このようにして青色水性顔料分散液−1を得た。これを70℃で4日保存したところ、顔料の粒子径は101.7nm、分散液の粘度は3.38mPa・sであった。保存安定性は良好であった。」

摘記1g:段落0171〜0174
「[0171]
[応用例1]水性インクジェットインクへの応用−1
実施例1で得られた青色水性顔料分散液−1、黄色水性顔料分散液−1、赤色水性顔料分散液−1および黒色水性顔料分散液−1を用いて、次の処方で水性インクジェットインクを調製した。
・水性顔料分散液 100部
・水 275部
・1,2−ヘキサンジオール 40部
・グリセリン 80部
・サーフィノール465(エアープロダクト社製) 5部
[0172]これらのインクを遠心分離処理(8,000rpm、20分)して粗大粒子を除去した後、5μmのメンブランフィルターでろ過を行い、各色インクを得た。これらのインクをインクカートリッジに充填し、インクジェットプリンターによりインクジェット用光沢紙Photolike QP(コニカ社製)にベタ印刷を行った。1日、室内に放置後、micro−TRI−gloss(BYK社製)を用いて20°グロスをそれぞれ測定した。また、縦、横の直線を印刷し、印字ヨレの度合いを目視により観察し、印字品質の評価とした。また、光沢紙耐擦過性として、この印字面を指でこすり、グロス低下があるか確認した。これを表13に纏めた。
[0173]

[0174]
印字ヨレ評価
◎:ヨレなし
○:殆どヨレなし
×:ヨレあり
耐擦過性評価
○:剥がれなし
△:少し剥がれる
×:印字面の色が剥がれる
以上のようにして、高分子分散剤のAブロックがバインダー成分となって、画像のグロスが非常に高く、印字ヨレがなく、耐擦過性も良好な印画物を得ることができた。
同様にして、実施例で得られた青色水性顔料分散液−2、黄色水性顔料分散液−2、3、4、赤色水性顔料分散液−2、4、6を使用しても同様の結果が得られた。高グロス、高印刷性を与えた。」

イ 甲第3号証には、次の記載がある。
摘記3a:段落0040〜0042
「【0040】(3)生物由来の炭素を含むイソボルニルアクリレートの調製
イソボルニルアクリレートは、アクリル酸とカンフェンを反応させることにより調製した。アクリル酸とカンフェンの反応方法は、特開2006−69944に記載された方法により行った。カンフェンは松脂や松精油から得られるα−ピネンを異性化することにより得た。
【0041】(4)生物由来の炭素を含むn−オクチルアクリレートの調製n−オクチルアクリレートは、アクリル酸とn−オクチルアルコールとのエステル化反応により調製した。n−オクチルアルコールは、パーム核油、ヤシ油などに含まれる油脂を加水分解し、得られる脂肪酸の分留により取り出したカプリル酸を水素還元して得た。
【0042】(5)生物由来の炭素を含むテトラヒドロフルフリルアクリレートの調製
テトラヒドロフルフリルアクリレートは、アクリル酸とテトラヒドロフルフリルアルコールとを反応させることにより調製した。アクリル酸とテトラヒドロフルフリルアルコールとの反応方法は、特開2006−169220に記載の方法により行った。テトラヒドロフルフリルアルコールは、トウモロコシの穂軸などを硫酸処理して得られるフルフラールを水素化したフルフリルアルコールを、更に水素化することにより調製した。」

ウ 甲第4号証には、和訳にして、次の記載がある。
摘記4a:請求項1
「1.次のモノマーに由来する共重合体からなる組成物:
ビニル芳香族モノマー;
ブタジエン、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、及びこれらの混合物からなる一群より選択される第二モノマー;並びに
イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、又はこれらの混合物からなるバイオベースモノマー。」

摘記4b:段落0005
「共重合体組成物、及びこれらの組成物を製造するための方法が開示される。組成物は、一又はそれ以上のビニル芳香族モノマー;第二モノマー;及びバイオベースモノマーを含む。第二モノマーは、ブタジエン、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、又はこれらの混合物からなる。バイオベースモノマーは、バイオベース炭素を含むモノマーからなる。そのようなバイオベースモノマーの例として、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イタコン酸、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、又はそれらの混合物が挙げられる。本明細書に記載される組成物は、バインダーやコーティング組成物として使用することができるものであり、充填剤、顔料、及び当業者に知られたその他の添加剤を含むことができる。」

エ 甲第5号証には、次の記載がある。
摘記5a:第7〜8頁






オ 引用例Aには、次の記載がある。
摘記A1:段落0001、0080、0082〜0083、0085〜0086及び0092
「【0001】本発明は、活性エネルギー線硬化型インク、インク収容容器、及びインクジェット吐出装置に関する。…
【0080】前記単官能モノマーとしては、下記構造式(M−1)〜(M−5)から選択される少なくとも1種が用いられる。前記単官能モノマーは、二酸化チタン含有量が多くても低粘度で安定な分散液を得られる点から好ましい。…
【0082】<M−2:イソボニルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製:IBXA)>【化18】

【0083】<M−3:テトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製:ビスコート#150)>【化19】

…【0085】<M−5:ベンジルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製:ビスコート#160)>【化21】…
【0086】前記単官能モノマーの含有量は、活性エネルギー線硬化型インク用分散液全量に対して、10質量%以上90質量%以下が好ましく、30質量%以上85質量%以下がより好ましい。…
【0092】…前記インクの粘度を20mPa・s以下に抑えることで、吐出性を安定しやすくなる。
ここ」

カ 引用例Bには、次の記載がある。
摘記B1:段落0004、0015、0019、0021及び0038
「【0004】近年、環境負荷低減活動として、化石資源由来の原材料を再生可能資源であるバイオマス由来の原材料に代替することにより、環境中のCO2を増加させない(カーボンニュートラルな)バイオマス製品として、温室効果ガス排出量を削減することが行われている。例えば、印刷インキ業界においては、新たにインキグリーンマーク(IGマーク)制度を制定し、印刷インキ構成成分におけるバイオマス由来成分の比率を指標として環境対応レベルを3段階にランク付けし、環境負荷低減を促す活動が行われている。…
【0015】式(2)で表される化合物としては、合成したものを用いてもよく、市販のものを用いてもよい。合成する場合、例えば、カシューナッツシェルリキッド由来のカルダノールとアクリル酸クロライドとを、公知の条件の下で反応させる方法等により合成することができる。…
【0019】…本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、式(1)及び式(2)で表される化合物以外のエチレン性不飽和結合を備えた化合物として、公知又は市販のエチレン性不飽和結合を1つ備えた化合物を制限なく用いることができる。このような化合物としては、例えば、次のような化合物等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。…
【0021】…アルキル(メタ)アクリレート類としては、例えば、炭素数1〜30の直鎖、分岐鎖、環状アルキル基を有する(メタ)アクリレート系化合物であり、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、…オクチル(メタ)アクリレート、…ドデシル(メタ)アクリレート、…オクタデシル(メタ)アクリレート、…イソボルニル(メタ)アクリレート…等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。…
【0038】…式(1)及び式(2)で表される化合物以外のエチレン性不飽和結合を備えた化合物の市販品としては、例えば、…大阪有機化学工業社製の「特殊アクリルモノマー」シリーズ…等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができるが特に限定されない。」

キ 引用例Cには、次の記載がある。
摘記C1:段落0009、0041〜0043及び0124
「【0009】一実施形態では、架橋されたコポリマー及び光酸発生剤(PAG)を含む組成物が、基材上にコーティングされ、選択的に照射又は加熱される。…
【0041】一部の実施形態では、(例えば低Tg)モノマーは、(メタ)アクリル酸と再生可能資源に由来するアルコールとのエステルである。…
【0042】再生可能資源に由来する1つの好適なモノマーは、2−オクチル(メタ)アクリレートであり、これは、従来技術によって、2−オクタノール、並びにエステル、酸及びハロゲン化アシルなどの(メタ)アクリロイル誘導体から調製することができる。2−オクタノールは、ヒマシ油(又はそのエステル若しくはハロゲン化アシル)由来のリシノール酸を水酸化ナトリウムで処理し、続いて副産物のセバシン酸から蒸留することによって調製してもよい。再生可能であり得る他の(メタ)アクリレートエステルモノマーは、エタノール、2−メチルブタノール及びジヒドロシトロネロールから誘導されるものである。
【0043】一部の実施形態では、(メタ)アクリルポリマー及び/又はPSA組成物は、ASTM D6866−10、方法Bを使用して少なくとも25、30、35、40、45、又は50重量%の生物由来成分を含む。他の実施形態では、(例えば感圧性)接着剤組成物は、少なくとも55、60、65、70、75、又は80重量%の生物由来成分を含む。更に他の実施形態では、組成物は、少なくとも85、90、95、96、97、99又は99重量%の生物由来成分を含む。…
【0124】…PAGは、印刷及びインクジェット技術を含む当技術分野において既知の手段によってパターンコーティングすることができる。」

ク 引用例Dには、次の記載がある。
摘記D1:段落0004、0019及び0028〜0029
「【0004】近年、地球温暖化等の環境問題が重視されるようになり、石油等の化石資源系材料の使用量を低減することが望まれている。…
【0019】この明細書において、バイオマス由来の炭素とは、バイオマス材料、すなわち再生可能な有機資源に由来する材料に由来する炭素(再生可能炭素)を意味する。上記バイオマス材料とは、典型的には、太陽光と水と二酸化炭素とが存在すれば持続的な再生産が可能な生物資源(典型的には、光合成を行う植物)に由来する材料のことをいう。したがって、採掘後の使用によって枯渇する化石資源に由来する材料(化石資源系材料)は、ここでいうバイオマス材料の概念から除かれる。…
【0028】いくつかの態様において、上記モノマー成分は、上記アルキル(メタ)アクリレートとして、バイオマス由来のアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートを含み得る。バイオマス由来のアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートは、典型的には、バイオマス由来のアルカノールと、バイオマス由来または非バイオマス由来の(メタ)アクリル酸とのエステルである。バイオマス由来のアルカノールの例には、バイオマスエタノール、パーム油やパーム核油、ヤシ油等の植物原料に由来するアルカノール、等が含まれる。…
【0029】バイオマス由来のアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートの典型例は、バイオマス由来のC1−36アルカノールと、非バイオマス由来の(メタ)アクリル酸とのエステルである。かかるアルキル(メタ)アクリレートでは、アルカノールの炭素原子数が多いほど、該アルキル(メタ)アクリレートに含まれる総炭素原子数に占めるバイオマス由来炭素の個数割合、すなわち該アルキル(メタ)アクリレートのバイオベース度が高くなる。このため、バイオマス炭素比向上の観点から、C12以上のバイオマス由来アルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートを、モノマー成分の構成要素として好ましく採用し得る。」

ケ 引用例Eには、次の記載がある。
摘記E1:段落0007及び0029
「[0007]…近年における上記した技術動向から、印刷インキ固形分中においてバイオマス度10質量%以上の場合、環境製品としての安全・安心性等の他要件を満たせば、日本有機資源協会から「バイオマスマーク」認定を受けられる背景がある(非特許文献1)。…
[0029]…バイオエチレングリコールは、糖蜜等から得られるグルコースを発酵して得られるバイオエタノールから、エチレンを経由して合成される。」

コ 引用例Fには、次の記載がある。
摘記F1:請求項1〜2
「【請求項1】高分子分散剤で被覆してなる顔料と、水系有機溶剤と、アルカリ剤とを含む、界面活性剤を含有するインクジェット用インクに用いるための水性顔料分散液において、顔料と高分子分散剤との含有比率(顔料/ブロックポリマーの質量比)が50/50〜95/5であり、
上記高分子分散剤が、メタクリレート系の疎水性ポリマーブロックと、少なくとも30〜5質量%のメタクリル酸(MAA)を含む親水性ポリマーブロックとからなる、酸価が20〜150mgKOH/gのブロックポリマーであり、
上記疎水性ポリマーブロックが、少なくともメチルメタクリレート(MMA)、ベンジルメタクリレート(BzMA)、シクロへキシルメタクリレート(CHMA)、イソボルニルメタクリレート(IBXMA)、イソブチルメタクリレート(IBMA)からなる群から選択される1種を含むモノマーを構成成分とするものであり、且つ、
上記親水性ポリマーブロックの酸価が50〜250mgKOH/gのものであり、
該ブロックポリマーの分散度(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn):以下、PDIと略)および該ブロックポリマーを構成する疎水性ポリマーブロックのPDIがいずれも1.45以下であり、
さらに、上記ブロックポリマーの数平均分子量をMnab、該ブロックポリマーを構成する疎水性ポリマーブロックの数平均分子量をMna、該ブロックポリマーを構成する親水性ポリマーブロックの数平均分子量をMnb(Mnb=Mnab−Mna)とした場合に、(1)〜(4)の要件をすべて満たすことを特徴とするインクジェットインク用水性顔料分散液。
(1)2,000≦Mna≦10,000
(2)1,500≦Mnb≦10,000
(3)5,000≦Mnab≦20,000
(4)Mna≧Mnb、または、Mna<Mnb≦2Mna
【請求項2】前記疎水性ポリマーブロックの構成成分が、シクロへキシルメタクリレート(CHMA)、イソボルニルメタクリレート(IBXMA)、イソブチルメタクリレート(IBMA)からなる群から選択される1種を含む請求項1に記載のインクジェットインク用水性顔料分散液。」

摘記F2:段落0014〜0015、0075〜0076及び0080
「【0014】本発明によって、長期保存安定性に優れ、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性に優れ、普通紙において高発色性を有する印字品質の優れたインクジェット用水性顔料分散液、およびそれを使用したインクジェット用インクを提供することができる。
【0015】更に詳しくは、本発明の特徴は、疎水性ブロック(以下、Aブロックという場合がある)および親水性ブロック(以下、Bブロックという場合がある)からなる高分子分散剤(以下、A−Bブロックポリマーという場合がある)の使用に関する。該ポリマーのPDIを小さく制御し、分子量を調整してなる構造とした高分子分散剤を顔料に被覆化させることで、これまで以上に親水/疎水部位が明確かつ精密な構造を作ることにより、様々なインク特性効果が得られる。即ち、Aブロックの疎水性が、例えば調製時に添加される界面活性剤や浸透剤と分散剤との吸着脱着を抑え、強固に顔料表面を被覆する。一方、Bブロックの親水性が低酸価でも十分な親水性を示すことで顔料自体の分散媒体への親和性を高め、顔料同士の凝集を抑制し、低酸価であるため紙への定着時に紙への浸透を抑える。更に遊離する分散剤を抑制、且つ顔料に被覆化せず遊離した分散剤も、水性媒体に対してAブロックが内側に収縮し球状形態をとりBブロックが伸びた形態のポリマーミセルを形成することで、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性に優れる顔料分散液が得られる。そして、このような水性顔料分散液を使用することによって、長期保存安定性に優れ、普通紙への浸透性を適度に抑制し、高発色性を有するインクジェット用インクを提供する。…
【0075】[合成例2〜4、参考合成例5]
合成例1と同様にして、分子量、酸価、およびモノマー成分を変えたA−Bブロックポリマーである高分子分散剤−2〜5を作成した。表5にまとめて記載する。
【0076】

…【0080】…(6)IBXMA:イソボルニルメタクリレート」

(2)甲1発明
摘記1dの「文中「部」または「%」とあるのは質量基準である。…[合成例1]高分子分散剤−1の合成…メタクリル酸メチル(以下MMAと略す)180部、アクリル酸(以下AAと略す)14.4部…を添加して、…重合させた。…ついで、上記重合溶液にメタクリル酸ベンジル(以下BzMAと略す)35.2部…を添加して…重合した。…Mnは5,500であり、PDIは1.43であった。…MMA/AAポリマーブロックにBzMAポリマーブロックがブロック共重合していると考えられる。…このブロックポリマー(高分子分散剤)の酸価は48.0mgKOH/gであった。…この重合溶液に水酸化カリウム14.3部および水106.4部を添加して溶解した溶液は透明であり、高分子分散剤の析出は全くなかった。」との記載、
摘記1fの「[実施例1]青色水性顔料分散液−1 合成例1で得た高分子分散剤−1を170部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル70部および純水388部を混合して均一溶液とした。溶液は透明で析出や濁りはなかった。これに青色顔料である銅フタロシアニンブルー(シアニンブルーKBM、大日精化工業社製)ペースト(固形分35%)を1,000部添加して、…顔料分18%の水性顔料分散液を得た。」との記載、及び
摘記1gの「応用例1]水性インクジェットインクへの応用−1 実施例1で得られた青色水性顔料分散液−1…を用いて、次の処方で水性インクジェットインクを調製した。・水性顔料分散液100部・水275部・1,2−ヘキサンジオール40部・グリセリン80部・サーフィノール465(エアープロダクト社製)5部」との記載からみて、甲第1号証には、実施例1に係る発明として、
『メタクリル酸メチル(MMA)180質量部、アクリル酸(AA)14.4質量部からなるMMA/AAポリマーブロックに、メタクリル酸ベンジル(BzMA)35.2質量部からなるBzMAポリマーブロックをブロック共重合した、Mnが5,500、PDI(重量平均分子量と数平均分子量の比である分散度)が1.43、酸価が48.0mgKOH/gのブロックポリマー(高分子分散剤)に水酸化カリウム14.3質量部を添加して溶解して得た高分子分散剤−1を170質量部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル70質量部および純水388質量部を混合して均一溶液とし、これに青色顔料である銅フタロシアニンブルーペースト(固形分35%)1,000質量部を添加した、顔料分18質量%の青色水性顔料分散液を用いて調製した、青色水性顔料分散液100質量部、水275質量部、1,2−ヘキサンジオール40質量部、グリセリン80質量部、及びサーフィノール465(エアープロダクト社製)5質量部からなる水性インクジェットインク。』についての発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。

(3)対比
本8発明と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「青色顔料である銅フタロシアニンブルーペースト(固形分35%)」と「純水」と「ジエチレングリコールモノブチルエーテル」と「高分子分散剤−1」の各々は、本8発明の「顔料」と「水」と「水溶性有機溶媒」と「前記顔料を分散させる高分子分散剤」の各々に相当する。

甲1発明の「アクリル酸(AA)」は、本8発明の「(メタ)アクリル酸及びイタコン酸の少なくともいずれかに由来する構成単位(i)」に相当し、
甲1発明の「メタクリル酸メチル(MMA)」と「メタクリル酸ベンジル(BzMA)」は、本8発明の「(メタ)アクリレートに由来する構成単位(ii)」に相当し、
甲1発明の「メタクリル酸メチル(MMA)180質量部、アクリル酸(AA)14.4質量部からなるMMA/AAポリマーブロックに、メタクリル酸ベンジル(BzMA)35.2質量部からなるBzMAポリマーブロックをブロック共重合」した「ブロックポリマー(高分子分散剤)に水酸化カリウム14.3質量部を添加して溶解して得た高分子分散剤−1」は、(180+35.2)÷(180+14.4+35.2)×100=93.7%と計算されることから、本8発明の「前記構成単位(ii)の含有量が50質量%以上」の「カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマー」に相当する。

甲1発明の「酸価が48.0mgKOH/g」と「Mnが5,500」と「PDI(重量平均分子量と数平均分子量の比である分散度)が1.43」と「青色水性顔料分散液」の各々は、本8発明の「酸価が30〜250mgKOH/gであり」と「数平均分子量が1,000〜30,000であり」と「分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が2.5以下であり」と「水性顔料分散」の各々に相当する。

甲1発明の「水性インクジェットインク」は、本8発明の「水性インクジェットインク」に相当する。

してみると、本8発明と甲1発明は『顔料、水、水溶性有機溶媒、及び前記顔料を分散させる高分子分散剤を含有し、前記高分子分散剤が、(メタ)アクリル酸及びイタコン酸の少なくともいずれかに由来する構成単位(i)と、(メタ)アクリレートに由来する構成単位(ii)と、を含み、酸価が30〜250mgKOH/gであり、前記構成単位(ii)の含有量が50質量%以上であり、数平均分子量が1,000〜30,000であり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が2.5以下であり、カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマーである水性顔料分散液を含有する水性インクジェットインク。』という点において一致し、次の(α)及び(β)の点で相違する。

(α)(メタ)アクリレートに由来する構成単位(ii)の種類が、本8発明は「エチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、及びオクタデシル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも一種」の「生物材料由来の(メタ)アクリレート」であるのに対して、甲1発明は、「メタクリル酸メチル(MMA)」と「メタクリル酸ベンジル(BzMA)」の2種類からなるものであって、これらのものが「生物材料由来」であるか否かが不明な点

(β)本8発明は「バインダー成分をさらに含有」し「前記バインダー成分」が「要件(5)〜(9)を満たすポリマーである」のに対して、甲1発明は、バインダー成分をさらに含有するものではない点

(4)判断
事案に鑑み、先ず、相違点(β)について検討する。
甲第1及び3〜5号証並びに参考例A〜Fには、相違点(β)に係る「下記要件(5)〜(9)を満たすポリマー…
[要件(5)]:
メタクリル酸系モノマーに由来する構成単位の含有量が90質量%以上である、ポリマー鎖A2及びポリマー鎖B2を含むA−Bブロックコポリマーである。
[要件(6)]:
前記ポリマー鎖A2が、
生物材料由来のメタクリレートに由来する構成単位を80質量%以上含み、
数平均分子量が10,000〜30,000であり、
分子量分布が1.6以下である水不溶性のポリマーブロックである。
[要件(7)]:
前記ポリマー鎖B2が、
メタクリル酸に由来する構成単位を含み、
生物材料由来のバイオメタクリレートに由来する構成単位を40〜90質量%含み、
酸価が50〜150mgKOH/gであり、
数平均分子量が5,000〜20,000であり、
カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマーブロックである。
[要件(8)]:
数平均分子量が15,000〜50,000であり、分子量分布が1.6以下である。
[要件(9)]:
その数平均粒子径が10〜200nmの粒子である。」という「バインダー成分」を「さらに含有」することについて、示唆を含めて記載がない。
そして、本件特許明細書の段落0142の表9及び同段落0149の表11には、本8発明の要件(5)〜(9)を満たすポリマーからなるバインダー成分(B−1〜B−6)を用いた実施例28〜33のインクジェット用のインクが、これを満たさないバインダー成分(B−8)を用いた実施例35のものに比して、粘度の増大、吐出性、密着性、耐摩擦性(乾摩擦性及び湿摩擦性)の点で優れた効果を発揮することが記載されている。
してみると、本8発明と甲1発明は、上記(β)の実質的な相違点を有するものであり、この相違点は、甲第1及び3〜5号証並びに参考例A〜Fに記載の技術事項をどのように組み合わせても導き出し得るものではないから、相違点(α)の点について検討するまでもなく、相違点(β)に係る構成を想到することが、当業者にとって容易になし得る技術的事項であるとはいえない。
また、本8発明は、相違点(β)に係る構成を含めた構成全体を具備することにより当業者の予測を超える顕著な効果を奏するものである。
したがって、本8発明は、甲1発明、並びに甲第1、3〜5及び参考例A〜Fに記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものに該当しない。

(5)本9〜本14発明について
本9〜本10発明は、本8発明を引用して、さらに限定したものである。
また、本11〜本14発明は、実質的に、本8発明を訂正前の請求項2、3、4、5に記載の事項によりさらに限定したものである。
してみると、本8発明の進歩性が、甲第1及び3〜5号証並びに参考例A〜Fによって否定できない以上、本9〜本14発明の進歩性を否定することができない。
したがって、本9〜本14発明は、甲1発明、並びに甲第1、3〜5号証及び参考例A〜Fに記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものに該当しない。

(6)理由1(進歩性)についてのまとめ
以上のとおり、本件訂正による訂正後の本8〜本14発明の進歩性を否定することはできない。
よって、上記〔理由1〕の取消理由に理由はない。

2.令和5年3月17日付けの取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議の申立て理由について
(1)申立理由(進歩性)について
特許異議申立人が主張する申立理由(進歩性)は、本件発明1〜10は、甲第1号証に記載された発明、又は甲第2号証に記載された発明に基いて、それぞれ当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである(特許異議申立書の第53頁)。
そして、甲第1〜11号証として、次のものを提示している。
甲第1号証:国際公開第2010/013651号
甲第2号証:特開2003−55571号公報
甲第3号証:特開2019−218458号公報
甲第4号証:米国特許出願公開第2011/0282000号明細書
甲第5号証:“20−1 接着と塗装研究会●講演要旨集 主題 バイオマス由来のプラスチック・工業材料”、公益社団法人高分子学会、2020年9月18日発行、第7〜8頁
甲第6号証:特開2018−95831号公報
甲第7号証:国際公開第2010/016523号
甲第8号証:特許第6579358号公報
甲第9号証:特開2011−225834号公報
甲第10号証:特開2015−93917号公報
甲第11号証:特開2010−95591号公報

(2)甲第1〜11号証の記載事項
ア 甲第1及び3〜5号証には、上記1.(1)ア〜エに示したとおりの記載がある。

イ 甲第2号証には、次の記載がある。
摘記2a:請求項1及び11
「【請求項1】顔料、分散剤及び水性媒体を少なくとも含有してなる水性顔料分散液であって、分散剤が、疎水性モノマーと親水性モノマーの共重合体であってガラス転移点が30℃以上のものである水性顔料分散液。…
【請求項11】請求項1〜10のいずれかに記載の水性顔料分散液と、水溶性有機溶剤とを配合してなる水性インク組成物。」

摘記2b:段落0043及び0070〜0074
「【0043】【実施例】以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例において「部」は重量部を示し、「%」は重量部を示す。…
【0070】[実施例5]以下に示す成分を配合し、プロペラ攪拌機にて室温で1時間攪拌した。
【0071】
成 分 量(部)
黒色顔料(カーボン#900:三菱化学(株))(ピグメント・ブラック7)
20.0
エチルメタクリレート−ラウリルメタクリレート−メタクリル酸共重合体(酸価85、ジエタノールアミン中和、固形分25%)10.0
エチレングリコール 3.0
イオン交換水 67.0
【0072】ついで、えられた混合物に対し、0.5mm径ガラスビーズを80%充填したサンドミルにて処理して表1に示す分散径の顔料粒子を含有する顔料分散液を得た。この分散液をトリエタノールアミンでPH8.0に調整し、25000Gで5分間遠心処理して粗大粒子を除去し、固形分濃度が20重量%となるように調整後、つぎのインク化をおこなった。
【0073】
成 分 量(部)
前記黒色分散液(固形分20%) 20.0
2−ピロリドン 8.0
防腐剤(ベンズイソチアゾリン) 0.1
イオン交換水 71.9
【0074】上記配合にて攪拌30分おこない、インクを作成した。最後に、カチオン交換樹脂で処理した。さらに、上記インクについて、経時安定性、吐出性、OD値を実施例1と同様の方法にしたがって調べた。その結果を表2に示す。」

ウ 甲第6号証には、次の記載がある。
摘記6a:請求項1
「【請求項1】
顔料と、バインダー樹脂と、有機溶剤とを含み、
前記バインダー樹脂は、ポリウレタン樹脂を含み、
前記ポリウレタン樹脂は、バイオマスポリウレタン樹脂を含み、かつ、末端に第1級アミノ基または第2級アミノ基の少なくともいずれか一方を含み、
前記バイオマスポリウレタン樹脂の含有量は、前記ポリウレタン樹脂中、10〜100質量%である、軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物。」

エ 甲第7号証には、次の記載がある。
摘記7a:請求項1
「[請求項1]少なくとも、顔料、液媒体および高分子分散剤を含有する顔料分散液であって、上記高分子分散剤が、A−BまたはA−B−C(A、B、Cはそれぞれポリマーブロックを表し、AブロックとCブロックとは同じでも異なってもよい)で表されるブロックポリマーであり、
上記AブロックおよびCブロックが、アミノ基および水酸基を有しないエチレン性不飽和モノマー(モノマーa)からなるポリマーブロックであり、
上記Bブロックが、グリシジル基またはイソシアネート基を有するモノマー(モノマーb)からなるポリマーブロック(D)に、グリシジル基またはイソシアネート基を介してアミノ化合物(E−1)および水酸基を有する化合物(E−2)のいずれか一方が結合しているポリマーブロックであることを特徴とする顔料分散液。」

オ 甲第8号証には、次の記載がある。
摘記8a:請求項1
「【請求項1】アニオン性基を有し、水への溶解度が0.1g/100ml以下であり、且つ、数平均分子量が1000〜6000の範囲内で酸価が40〜300mgKOH/gの範囲内である一般式(1)で表されるポリマー(A)と、水溶性有機溶剤と、イエロー顔料とを含む固形分比率40質量%以上の実質的に水を含まない分散物を得る工程1と、前記分散物に塩基性化合物及び水を混合する工程2とをこの順で行うことを特徴とする水性顔料分散体の製造方法。

(1)
(式(1)中、A1は有機リチウム開始剤残基を表し、A2はスチレン系モノマーのポリマーブロックを表し、A3はカルボキシル基を含むポリマーブロックを表し、nは1〜5の整数を表し、Bはフェニル基またはメチル基を表す。)」

カ 甲第9号証には、次の記載がある。
摘記9a:請求項1
「【請求項1】顔料と、顔料誘導体と、高分子分散剤とを含むインクジェット用水性顔料分散液であって、
前記顔料誘導体が、その分子内に酸性基が1つ以上化学修飾された酸性顔料誘導体であり、
前記高分子分散剤が、親水性ブロックと疎水性ブロックからなるジブロックポリマーであり、
前記親水性ブロックの構成モノマーに少なくともアクリル酸を含有し、
前記疎水性ブロックの構成モノマーに少なくともベンジルメタクリレートを含有し、
前記疎水性ブロックの数平均分子量が400〜3,000であることを特徴とするインクジェット用水性顔料分散液。」

キ 甲第10号証には、次の記載がある。
摘記10a:請求項1
「【請求項1】N−ビニルラクタム系モノマーに由来する構造単位を含むAブロックと、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位及び酸基含有ビニルモノマーに由来する構造単位を含むBブロックとを有し、酸価が20〜140mgKOH/gのブロックポリマーである、顔料分散剤。」

ク 甲第11号証には、次の記載がある。
摘記11a:請求項1
「【請求項1】(1)不飽和カルボン酸及び/又は不飽和スルホン酸 8〜50質量%と、
(2)疎水性モノマーであるスチレン類及び/又は(メタ)アクリル酸エステル 92〜50質量%とを
重合して得られるポリマーからなる水性インク用顔料分散剤であって、
前記ポリマーが、
1)「−S−C(=S)−」もしくは「−S−C(=S)−S−」又は
2)「−SH」
のうち少なくとも1つの構造を有し、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(以下、GPCと略することがある。)によるポリスチレン換算数平均分子量(以下、Mnと略することがある)が、2000〜40000であり、
重量平均分子量(以下、Mwと略することがある)と数平均分子量(Mn)の比(以下、Mw/Mnと略することがある)が1.8以下であり、
数平均分子量(Mn)500未満及び20万以上の割合の合計が全体の5%未満であることを特徴とする水性インク用顔料分散剤。」

(3)甲第1号証を主引用例とした進歩性について
特許異議申立人は、本件特許の訂正前の請求項8に係る発明が、甲第1号証に記載された発明に、甲第3号証〜甲第8号証に示される周知技術を適用することにより、当業者が容易になし得た発明であると主張する(特許異議申立書の第46頁)。
しかしながら、上記1.(4)に示したように、訂正後の本8発明と甲1発明は、相違点(β)の点で実質的に相違しており、取消理由通知において提示した甲第1及び3〜5号証並びに参考例A〜Fに記載の技術事項をどのように組み合わせても、相違点(β)に係る構成及び効果を導きだし得ないところ、特許異議申立人が提示する甲第1〜11号証の全ての記載を精査しても、相違点(β)の「要件(5)〜(9)を満たすポリマー」である「バインダー成分をさらに含有」することの構成及び効果については、示唆を含めて記載が見当たらないので、その進歩性を否定することはできない。
また、本9〜本14発明は、本8発明をさらに限定したものであるから、本8発明の進歩性が、甲第1〜11号証によって否定できない以上、その進歩性を否定することはできない。
したがって、本8〜本14発明は、甲第1号証に記載された発明、及び甲第1〜11号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものに該当しない。

(4)甲第2号証を主引用例とした進歩性について
ア 特許異議申立人の主張の概要
特許異議申立人は、本件特許の訂正前の請求項8に係る発明が、甲第2号証に記載された発明に、甲第1号証に記載の技術事項、甲第3号証〜甲第6号証に記載の周知技術、並びに、甲第1号証及び甲第9号証〜甲第11号証に記載の周知技術を適用することにより、当業者が容易になし得た発明であると主張する(特許異議申立書の第52頁)。

イ 甲2発明
摘記2aの「水性顔料分散液と、水溶性有機溶剤とを配合してなる水性インク組成物。」との記載、及び
摘記2bの「以下の実施例において「部」は重量部を示し、「%」は重量部を示す。…[実施例5]以下に示す成分を配合し、プロペラ攪拌機にて室温で1時間攪拌した。…量(部) 黒色顔料(…)20.0 エチルメタクリレート−ラウリルメタクリレート−メタクリル酸共重合体(酸価85、ジエタノールアミン中和、固形分25%)10.0 エチレングリコール3.0 イオン交換水67.0…えられた混合物に対し、0.5mm径ガラスビーズを80%充填したサンドミルにて処理して表1に示す分散径の顔料粒子を含有する顔料分散液を得た。…つぎのインク化をおこなった。…量(部)…前記黒色分散液(固形分20%)20.0 2−ピロリドン8.0 防腐剤(ベンズイソチアゾリン)0.1 イオン交換水71.9…上記配合にて攪拌30分おこない、インクを作成した。」との記載からみて、甲第2号証には、
『黒色顔料20.0質量部、エチルメタクリレート−ラウリルメタクリレート−メタクリル酸共重合体(酸価85、ジエタノールアミン中和、固形分25%)10.0質量部、エチレングリコール3.0質量部、及びイオン交換水67.0質量部を配合して得られた黒色分散液(固形分20%)20.0質量部、2−ピロリドン8.0質量部、防腐剤(ベンズイソチアゾリン)0.1質量部、並びにイオン交換水71.9質量部を配合した水性インク組成物。』についての発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているといえる。

ウ 対比
本8発明と甲2発明とを対比すると、両者は『顔料、水、水溶性有機溶媒、及び前記顔料を分散させる高分子分散剤を含有し、前記高分子分散剤が、(メタ)アクリル酸及びイタコン酸の少なくともいずれかに由来する構成単位(i)と、(メタ)アクリレートに由来する構成単位(ii)と、を含み、酸価が30〜250mgKOH/gであり、カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマーである水性顔料分散液を含有する水性インクジェットインク。』という点において一致し、次の(γ)〜(ε)の点で相違する。

(γ)(メタ)アクリレートに由来する構成単位(ii)の種類が、本8発明は「エチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、及びオクタデシル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも一種」の「生物材料由来の(メタ)アクリレート」であるのに対して、甲2発明は、「エチルメタクリレート」と「ラウリルメタクリレート」の2種類からなるものであって、これらのものが「生物材料由来」であるか否かが不明な点

(δ)高分子分散剤を構成するポリマーが、本8発明は「前記構成単位(ii)の含有量が50質量%以上であり、数平均分子量が1,000〜30,000であり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が2.5以下であ」るのに対して、甲2発明は、構成単位(ii)に相当する単位の含有量が不明であり、ポリマーの数平均分子量及び分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が不明である点

(ε)本8発明は「バインダー成分をさらに含有」し「前記バインダー成分」が「要件(5)〜(9)を満たすポリマーである」のに対して、甲2発明は、バインダー成分をさらに含有するものではない点

エ 判断
事案に鑑み、先ず、相違点(ε)について検討する。
甲第1〜11号証には、相違点(ε)に係る「下記要件(5)〜(9)を満たすポリマー…
[要件(5)]:
メタクリル酸系モノマーに由来する構成単位の含有量が90質量%以上である、ポリマー鎖A2及びポリマー鎖B2を含むA−Bブロックコポリマーである。
[要件(6)]:
前記ポリマー鎖A2が、
生物材料由来のメタクリレートに由来する構成単位を80質量%以上含み、
数平均分子量が10,000〜30,000であり、
分子量分布が1.6以下である水不溶性のポリマーブロックである。
[要件(7)]:
前記ポリマー鎖B2が、
メタクリル酸に由来する構成単位を含み、
生物材料由来のバイオメタクリレートに由来する構成単位を40〜90質量%含み、
酸価が50〜150mgKOH/gであり、
数平均分子量が5,000〜20,000であり、
カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマーブロックである。
[要件(8)]:
数平均分子量が15,000〜50,000であり、分子量分布が1.6以下である。
[要件(9)]:
その数平均粒子径が10〜200nmの粒子である。」という「バインダー成分」を「さらに含有」することについて、示唆を含めて記載がない。
そして、本件特許明細書の段落0142の表9及び同段落0149の表11には、本8発明の要件(5)〜(9)を満たすポリマーからなるバインダー成分(B−1〜B−6)を用いた実施例28〜33のインクジェット用のインクが、これを満たさないバインダー成分(B−8)を用いた実施例35のものに比して、粘度の増大、吐出性、密着性、耐摩擦性(乾摩擦性及び湿摩擦性)の点で優れた効果を発揮することが記載されている。
してみると、本8発明と甲2発明は、上記(ε)の実質的な相違点を有するものであり、この相違点は、甲第1〜11号証に記載の技術的事項をどのように組み合わせても導き出し得るものではないから、相違点(γ)及び(δ)の点について検討するまでもなく、相違点(ε)に係る構成を想到することが、当業者にとって容易になし得る技術的事項であるとはいえない。
また、本8発明は、相違点(ε)に係る構成を具備することにより当業者の予測を超える顕著な効果を奏するものである。
したがって、本8発明は、甲2発明、及び甲第1〜11号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものに該当しない。

オ 本9〜本14発明について
本9〜本10発明は、本8発明を引用して、さらに限定したものである。
また、本11〜本14発明は、実質的に、本8発明を訂正前の請求項2、3、4、5に記載の事項によりさらに限定したものである。
してみると、本8発明の進歩性が、甲第1〜11号証によって否定できない以上、本9〜本14発明の進歩性を否定することができない。
したがって、本9〜本14発明は、甲2発明、並びに甲第1〜11号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものに該当しない。

(5)特許異議申立人が主張する申立理由(進歩性)のまとめ
以上のとおり、特許異議申立人が提示する甲第1〜11号証によっては、本件訂正による訂正後の本8〜本14発明の進歩性を否定することはできない。なお、第2訂正により訂正前の請求項1〜7は削除されている。

第4 むすび
以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由、並びに特許異議申立人が申し立てた理由及び証拠によっては、本8〜本14発明に係る特許を取り消すことができない。
また、他に本8〜本14発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、訂正前の請求項1〜7は削除されているので、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により、請求項1〜7に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】(削除)
【請求項2】(削除)
【請求項3】(削除)
【請求項4】(削除)
【請求項5】(削除)
【請求項6】(削除)
【請求項7】(削除)
【請求項8】
顔料、水、水溶性有機溶媒、及び前記顔料を分散させる高分子分散剤を含有し、
前記高分子分散剤が、(メタ)アクリル酸及びイタコン酸の少なくともいずれかに由来する構成単位(i)と、生物材料由来の(メタ)アクリレートに由来する構成単位(ii)と、を含み、
酸価が30〜250mgKOH/gであり、
前記構成単位(ii)の含有量が50質量%以上であり、
数平均分子量が1,000〜30,000であり、
分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が2.5以下であり、
カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマーであり、
前記生物材料由来の(メタ)アクリレートが、エチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、及びオクタデシル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも一種である水性顔料分散液を含有する水性インクジェットインクであって、
バインダー成分をさらに含有し、
前記バインダー成分が、下記要件(5)〜(9)を満たすポリマーである水性インクジェットインク。
[要件(5)]:
メタクリル酸系モノマーに由来する構成単位の含有量が90質量%以上である、ポリマー鎖A2及びポリマー鎖B2を含むA−Bブロックコポリマーである。
[要件(6)]:
前記ポリマー鎖A2が、
生物材料由来のメタクリレートに由来する構成単位を80質量%以上含み、
数平均分子量が10,000〜30,000であり、
分子量分布が1.6以下である水不溶性のポリマーブロックである。
[要件(7)]:
前記ポリマー鎖B2が、
メタクリル酸に由来する構成単位を含み、
生物材料由来のバイオメタクリレートに由来する構成単位を40〜90質量%含み、
酸価が50〜150mgKOH/gであり、
数平均分子量が5,000〜20,000であり、
カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマーブロックである。
[要件(8)]:
数平均分子量が15,000〜50,000であり、分子量分布が1.6以下である。
[要件(9)]:
その数平均粒子径が10〜200nmの粒子である。
【請求項9】
前記生物材料由来のメタクリレートが、エチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、及びオクタデシルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも一種である請求項8に記載の水性インクジェットインク。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の水性インクジェットインクの皮膜状乾燥物である乾燥皮膜。
【請求項11】
顔料、水、水溶性有機溶媒、及び前記顔料を分散させる高分子分散剤を含有し、
前記高分子分散剤が、(メタ)アクリル酸及びイタコン酸の少なくともいずれかに由来する構成単位(i)と、生物材料由来の(メタ)アクリレートに由来する構成単位(ii)と、を含み、
酸価が30〜250mgKOH/gであり、
前記構成単位(ii)の含有量が50質量%以上であり、
数平均分子量が1,000〜30,000であり、
分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が2.5以下であり、
カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマーであり、
前記生物材料由来の(メタ)アクリレートが、エチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、及びオクタデシル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも一種であり、
前記高分子分散剤が、下記要件(1)〜(4)を満たすポリマーである水性顔料分散液を含有する水性インクジェットインクであって、
バインダー成分をさらに含有し、
前記バインダー成分が、下記要件(5)〜(9)を満たすポリマーである水性インクジェットインク。
[要件(1)]:
メタクリル酸系モノマーに由来する構成単位の含有量が90質量%以上である、ポリマー鎖A1及びポリマー鎖B1を含むA−Bブロックコポリマーである。
[要件(2)]:
前記ポリマー鎖A1が、
生物材料由来のメタクリレートに由来する構成単位(ii−a)を80質量%以上含み、
数平均分子量が1,000〜10,000であり、
分子量分布が1.6以下である水不溶性のポリマーブロックである。
[要件(3)]:
前記ポリマー鎖B1が、
メタクリル酸に由来する構成単位(i−b)を含み、
生物材料由来のメタクリレートに由来する構成単位(ii−b)を40〜90質量%含み、
酸価が50〜260mgKOH/gであり、
数平均分子量が1,000〜10,000であり、
カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマーブロックである。
[要件(4)]:
数平均分子量が2,000〜20,000であり、分子量分布が1.6以下である。
[要件(5)]:
メタクリル酸系モノマーに由来する構成単位の含有量が90質量%以上である、ポリマー鎖A2及びポリマー鎖B2を含むA−Bブロックコポリマーである。
[要件(6)]:
前記ポリマー鎖A2が、
生物材料由来のメタクリレートに由来する構成単位を80質量%以上含み、
数平均分子量が10,000〜30,000であり、
分子量分布が1.6以下である水不溶性のポリマーブロックである。
[要件(7)]:
前記ポリマー鎖B2が、
メタクリル酸に由来する構成単位を含み、
生物材料由来のバイオメタクリレートに由来する構成単位を40〜90質量%含み、
酸価が50〜150mgKOH/gであり、
数平均分子量が5,000〜20,000であり、
カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマーブロックである。
[要件(8)]:
数平均分子量が15,000〜50,000であり、分子量分布が1.6以下である。
[要件(9)]:
その数平均粒子径が10〜200nmの粒子である。
【請求項12】
顔料、水、水溶性有機溶媒、及び前記顔料を分散させる高分子分散剤を含有し、
前記高分子分散剤が、(メタ)アクリル酸及びイタコン酸の少なくともいずれかに由来する構成単位(i)と、生物材料由来の(メタ)アクリレートに由来する構成単位(ii)と、を含み、
酸価が30〜250mgKOH/gであり、
前記構成単位(ii)の含有量が50質量%以上であり、
数平均分子量が1,000〜30,000であり、
分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が2.5以下であり、
カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマーであり、
前記生物材料由来の(メタ)アクリレートが、エチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、及びオクタデシル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも一種であり、
前記高分子分散剤が、下記要件(1)〜(4)を満たすポリマーであり、
下記生物材料由来のメタクリレートが、エチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、及びオクタデシルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも一種である水性顔料分散液を含有する水性インクジェットインクであって、
バインダー成分をさらに含有し、
前記バインダー成分が、下記要件(5)〜(9)を満たすポリマーである水性インクジェットインク。
[要件(1)]:
メタクリル酸系モノマーに由来する構成単位の含有量が90質量%以上である、ポリマー鎖A1及びポリマー鎖B1を含むA−Bブロックコポリマーである。
[要件(2)]:
前記ポリマー鎖A1が、
生物材料由来のメタクリレートに由来する構成単位(ii−a)を80質量%以上含み、
数平均分子量が1,000〜10,000であり、
分子量分布が1.6以下である水不溶性のポリマーブロックである。
[要件(3)]:
前記ポリマー鎖B1が、
メタクリル酸に由来する構成単位(i−b)を含み、
生物材料由来のメタクリレートに由来する構成単位(ii−b)を40〜90質量%含み、
酸価が50〜260mgKOH/gであり、
数平均分子量が1,000〜10,000であり、
カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマーブロックである。
[要件(4)]:
数平均分子量が2,000〜20,000であり、分子量分布が1.6以下である。
[要件(5)]:
メタクリル酸系モノマーに由来する構成単位の含有量が90質量%以上である、ポリマー鎖A2及びポリマー鎖B2を含むA−Bブロックコポリマーである。
[要件(6)]:
前記ポリマー鎖A2が、
生物材料由来のメタクリレートに由来する構成単位を80質量%以上含み、
数平均分子量が10,000〜30,000であり、
分子量分布が1.6以下である水不溶性のポリマーブロックである。
[要件(7)]:
前記ポリマー鎖B2が、
メタクリル酸に由来する構成単位を含み、
生物材料由来のバイオメタクリレートに由来する構成単位を40〜90質量%含み、
酸価が50〜150mgKOH/gであり、
数平均分子量が5,000〜20,000であり、
カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマーブロックである。
[要件(8)]:
数平均分子量が15,000〜50,000であり、分子量分布が1.6以下である。
[要件(9)]:
その数平均粒子径が10〜200nmの粒子である。
【請求項13】
顔料、水、水溶性有機溶媒、及び前記顔料を分散させる高分子分散剤を含有し、
前記高分子分散剤が、(メタ)アクリル酸及びイタコン酸の少なくともいずれかに由来する構成単位(i)と、生物材料由来の(メタ)アクリレートに由来する構成単位(ii)と、を含み、
酸価が30〜250mgKOH/gであり、
前記構成単位(ii)の含有量が50質量%以上であり、
数平均分子量が1,000〜30,000であり、
分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が2.5以下であり、
カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマーであり、
前記生物材料由来の(メタ)アクリレートが、エチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、及びオクタデシル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも一種であり、
カルボキシ基の少なくとも一部を中和する前記アルカリが、アンモニア、ジメチルアミノエタノール、2−アミノ−1−プロパノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭素数6〜22の直鎖脂肪族アミン、炭素数6〜22の分岐脂肪族アミン、及び炭素数6〜22の不飽和脂肪族アミンからなる群より選択される少なくとも一種である水性顔料分散液を含有する水性インクジェットインクであって、
バインダー成分をさらに含有し、
前記バインダー成分が、下記要件(5)〜(9)を満たすポリマーである水性インクジェットインク。
[要件(5)]:
メタクリル酸系モノマーに由来する構成単位の含有量が90質量%以上である、ポリマー鎖A2及びポリマー鎖B2を含むA−Bブロックコポリマーである。
[要件(6)]:
前記ポリマー鎖A2が、
生物材料由来のメタクリレートに由来する構成単位を80質量%以上含み、
数平均分子量が10,000〜30,000であり、
分子量分布が1.6以下である水不溶性のポリマーブロックである。
[要件(7)]:
前記ポリマー鎖B2が、
メタクリル酸に由来する構成単位を含み、
生物材料由来のバイオメタクリレートに由来する構成単位を40〜90質量%含み、
酸価が50〜150mgKOH/gであり、
数平均分子量が5,000〜20,000であり、
カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマーブロックである。
[要件(8)]:
数平均分子量が15,000〜50,000であり、分子量分布が1.6以下である。
[要件(9)]:
その数平均粒子径が10〜200nmの粒子である。
【請求項14】
顔料、水、水溶性有機溶媒、及び前記顔料を分散させる高分子分散剤を含有し、
前記高分子分散剤が、(メタ)アクリル酸及びイタコン酸の少なくともいずれかに由来する構成単位(i)と、生物材料由来の(メタ)アクリレートに由来する構成単位(ii)と、を含み、
酸価が30〜250mgKOH/gであり、
前記構成単位(ii)の含有量が50質量%以上であり、
数平均分子量が1,000〜30,000であり、
分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が2.5以下であり、
カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマーであり、
前記生物材料由来の(メタ)アクリレートが、エチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、及びオクタデシル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも一種であり、
前記顔料の含有量が5〜60質量%であり、
前記水の含有量が20〜80質量%であり、
前記水溶性有機溶媒の含有量が30質量%以下であり、
前記高分子分散剤の含有量が0.5〜20質量%である水性顔料分散液を含有する水性インクジェットインクであって、
バインダー成分をさらに含有し、
前記バインダー成分が、下記要件(5)〜(9)を満たすポリマーである水性インクジェットインク。
[要件(5)]:
メタクリル酸系モノマーに由来する構成単位の含有量が90質量%以上である、ポリマー鎖A2及びポリマー鎖B2を含むA−Bブロックコポリマーである。
[要件(6)]:
前記ポリマー鎖A2が、
生物材料由来のメタクリレートに由来する構成単位を80質量%以上含み、
数平均分子量が10,000〜30,000であり、
分子量分布が1.6以下である水不溶性のポリマーブロックである。
[要件(7)]:
前記ポリマー鎖B2が、
メタクリル酸に由来する構成単位を含み、
生物材料由来のバイオメタクリレートに由来する構成単位を40〜90質量%含み、
酸価が50〜150mgKOH/gであり、
数平均分子量が5,000〜20,000であり、
カルボキシ基の少なくとも一部がアルカリで中和されているポリマーブロックである。
[要件(8)]:
数平均分子量が15,000〜50,000であり、分子量分布が1.6以下である。
[要件(9)]:
その数平均粒子径が10〜200nmの粒子である。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2023-08-22 
出願番号 P2021-032900
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (C09D)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 瀬良 聡機
特許庁審判官 木村 敏康
齋藤 恵
登録日 2021-10-26 
登録番号 6967168
権利者 大日精化工業株式会社
発明の名称 水性顔料分散液、水性インクジェットインク、及び乾燥皮膜  
代理人 菅野 重慶  
代理人 大西 伸和  
代理人 大西 伸和  
代理人 菅野 重慶  

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