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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G02B
審判 全部申し立て 2項進歩性  G02B
管理番号 1403637
総通号数 23 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2023-11-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-08-08 
確定日 2023-09-07 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第7017628号発明「光学フィルム、偏光板、液晶パネル、タッチパネル及び画像表示装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第7017628号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜13〕について訂正することを認める。 特許第7017628号の請求項1〜13に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第7017628号(以下「本件特許」という。)の請求項1〜13に係る特許についての出願(特願2020−521270号)は、2019年(令和元年)5月22日(先の出願に基づく優先権主張 2018年(平成30年)5月22日、2018年(平成30年)6月15日(以下、最先の先の出願を「先の出願」という。))を国際出願日とする出願であって、令和4年1月31日にその特許権の設定の登録がされ、令和4年2月8日に特許掲載公報が発行された。
その後、令和4年8月8日に、請求項1〜13に係る特許に対し、特許異議申立人 尾坂 道義(以下「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立て(以下「異議申立」という。また、特許異議申立人が証拠として提出した甲第1号証を「甲1」と略し、甲第2号証等についても同様とする。)がされた。
その後の手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。

令和4年11月28日付け:取消理由通知書
令和5年 1月13日 :特許権者による訂正請求書の提出
令和5年 1月13日 :特許権者による意見書の提出
令和5年 3月 6日 :特許異議申立人による意見書の提出
令和5年 3月31日付け:取消理由通知書(決定の予告)
令和5年 6月 2日 :特許権者による訂正請求書の提出
令和5年 6月 2日 :特許権者による意見書の提出
令和5年 7月14日 :特許異議申立人による意見書の提出
なお、令和5年1月13日になされた訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。


第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和5年6月2日に提出された訂正請求書でなされた訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである(下線は、訂正箇所として特許権者が付したものである。)。
なお、本件訂正は、一群の請求項である訂正後の請求項〔1〜13〕についてなされたものである。
(1) 訂正事項1
請求項1に、
「樹脂フィルムと、該樹脂フィルムの少なくとも片面に配された衝撃吸収層とを有する光学フィルムであって、前記衝撃吸収層の、25℃、周波数106Hzにおける貯蔵弾性率E’が1GPa以下であり、
偏光板の保護フィルムとして用いるための、又は、タッチパネルもしくはタッチパネルディスプレイの前面板として用いるための、光学フィルム。」と記載されているのを、
「樹脂フィルムと、該樹脂フィルムの少なくとも片面に配された衝撃吸収層とを有する光学フィルムであって、前記衝撃吸収層の、25℃、周波数106Hzにおける貯蔵弾性率E’が1GPa以下であり、
前記光学フィルムが偏光板の保護フィルムとして用いるための、又は、タッチパネルもしくはタッチパネルディスプレイの前面板として用いるためのものであり、
前記光学フィルムがタッチパネルもしくはタッチパネルディスプレイの前面板として用いるためのものである場合、前記衝撃吸収層の膜厚が5μm〜100μmである、光学フィルム(但し、前記衝撃吸収層の膜厚が25μmである光学フィルムを除く)。」に訂正する(請求項1の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項2及び11〜13も同様に訂正する。)。

(2) 訂正事項2
請求項3に、
「樹脂フィルムと、該樹脂フィルムの片面に配された衝撃吸収層と、前記衝撃吸収層が配された面とは反対側の面に配されたハードコート層とを有する光学フィルムであって、前記衝撃吸収層の、25℃、周波数106Hzにおける貯蔵弾性率E’が1GPa以下である光学フィルム。」と記載されているのを、
「樹脂フィルムと、該樹脂フィルムの片面に配された衝撃吸収層と、前記衝撃吸収層が配された面とは反対側の面に配されたハードコート層とを有する光学フィルムであって、前記衝撃吸収層の、25℃、周波数106Hzにおける貯蔵弾性率E’が1GPa以下であり、前記衝撃吸収層の膜厚が5μm〜100μmである、光学フィルム(但し、前記衝撃吸収層の膜厚が25μmである光学フィルムを除く)。」に訂正する(請求項3の記載を直接的又は間接的に引用する請求項11〜13も同様に訂正する。)。

(3) 訂正事項3
請求項4に、
「請求項1又は2に記載の光学フィルムを有する偏光板。」と記載されているのを、
「樹脂フィルムと、該樹脂フィルムの少なくとも片面に配された衝撃吸収層とを有する光学フィルムを偏光板の保護フィルムとして有する偏光板であって、
前記衝撃吸収層の、25℃、周波数106Hzにおける貯蔵弾性率E’が1GPa以下である、偏光板。」に訂正する(請求項4の記載を直接的又は間接的に引用する請求項6、8〜10、12及び13も同様に訂正する。)。

(4) 訂正事項4
請求項5に、
「請求項3に記載の光学フィルムを有する偏光板。」と記載されているのを、
「樹脂フィルムと、該樹脂フィルムの片面に配された衝撃吸収層と、前記衝撃吸収層が配された面とは反対側の面に配されたハードコート層とを有する光学フィルムを有する偏光板であって、
前記衝撃吸収層の、25℃、周波数106Hzにおける貯蔵弾性率E’が1GPa以下である、偏光板。」に訂正する(請求項5の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項7〜10、12及び13も同様に訂正する。)。

2 訂正要件の判断
(1) 訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1に係る請求項1の訂正は、本件訂正前の請求項1の発明特定事項である、「偏光板の保護フィルムとして用いるための、又は、タッチパネルもしくはタッチパネルディスプレイの前面板として用いるための」とされる、「光学フィルム」について、「前記光学フィルムがタッチパネルもしくはタッチパネルディスプレイの前面板として用いるためのものである場合、前記衝撃吸収層の膜厚が5μm〜100μmである」ものに限定する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
また、訂正事項1に係る請求項1の訂正は、「光学フィルム」を、「前記衝撃吸収層の膜厚が25μmである光学フィルム」(以下「第1除外事項」という。)が除かれたものに限定するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ 新規事項追加の有無
本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)の【0078】及び【0096】の記載からすると、「光学フィルムがタッチパネルもしくはタッチパネルディスプレイの前面板として用いるためのものである場合」、「衝撃吸収層の厚みが5μm〜100μmである」ことは、本件特許明細書の記載から導き出せるといえる。
また、第1除外事項を請求項1から除くことによって、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項が導入されることはないことは明らかである。
そうすると、訂正事項1に係る請求項1の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記ア及びイに照らせば、訂正事項1に係る請求項1の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1に係る請求項1の訂正は、特許法120条の5第9項において準用する同法第126条第6項に適合する。

エ 請求項2及び11〜13についても同様である。

オ 小括
よって、訂正事項1に係る訂正は、訂正要件を満たす。

(2) 訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2に係る請求項3の訂正は、「光学フィルム」について、「前記衝撃吸収層の膜厚が5μm〜100μmである」ものに限定する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
また、訂正事項2に係る請求項3の訂正は、「光学フィルム」を、上記の第1事項が除かれたものに限定するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ 新規事項追加の有無
本件特許明細書の【0096】の記載からすると、「衝撃吸収層の厚みが5μm〜100μmである」ことは、本件特許明細書の記載から導き出せるといえる。
また、第1除外事項を請求項3から除くことによって、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項が導入されることはないことは明らかである。
そうすると、訂正事項2に係る請求項3の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記ア及びイに照らせば、訂正事項2に係る請求項3の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2に係る請求項3の訂正は、特許法120条の5第9項において準用する同法第126条第6項に適合する。

エ 請求項11〜13についても同様である。

オ 小括
よって、訂正事項2に係る訂正は、訂正要件を満たす。

(3) 訂正事項3
ア 訂正の目的
訂正事項3に係る請求項4の訂正は、請求項4においては、請求項1又は2の記載を引用していたところ、請求項の引用を請求項1に限定するとともに、請求項1の記載を引用する請求項4を、独立形式の記載に改めて、請求項4末尾の「偏光板」に整合するよう記載を整理するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び、第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。

イ 新規事項追加の有無
上記アに照らせば、訂正事項3に係る請求項4の訂正によって、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項が導入されることはないから、訂正事項3に係る請求項4の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正である。
したがって、訂正事項3に係る請求項4の訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記ア及びイに照らせば、訂正事項3に係る請求項4の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項3に係る請求項4の訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する

エ 請求項6、8〜10、12及び13についても同様である。

オ 小括
よって、訂正事項3に係る訂正は、訂正要件を満たす。

(4) 訂正事項4について
ア 訂正の目的
訂正事項4に係る請求項5の訂正は、請求項3の記載を引用する請求項5を、独立形式の記載に改めて、請求項5末尾の「偏光板」に整合するよう記載を整理するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。

イ 新規事項追加の有無
上記アに照らせば、訂正事項4に係る請求項5の訂正によって、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項が導入されることはないから、訂正事項4に係る請求項5の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正である。
したがって、訂正事項4に係る請求項5の訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記ア及びイに照らせば、訂正事項4に係る請求項5の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項4に係る請求項5の訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する

エ 請求項7〜10、12及び13についても同様である。

オ 小括
よって、訂正事項4に係る訂正は、訂正要件を満たす。

3 まとめ
本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1項及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜13〕について訂正することを認める。


第3 本件特許発明
本件訂正は、上記第2のとおり認められたので、本件訂正後の請求項1〜請求項13に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」〜「本件特許発明13」といい、総称して「本件特許発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1〜請求項13に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
樹脂フィルムと、該樹脂フィルムの少なくとも片面に配された衝撃吸収層とを有する光学フィルムであって、前記衝撃吸収層の、25℃、周波数106Hzにおける貯蔵弾性率E’が1GPa以下であり、
前記光学フィルムが偏光板の保護フィルムとして用いるための、又は、タッチパネルもしくはタッチパネルディスプレイの前面板として用いるためのものであり、
前記光学フィルムがタッチパネルもしくはタッチパネルディスプレイの前面板として用いるためのものである場合、前記衝撃吸収層の膜厚が5μm〜100μmである、光学フィルム(但し、前記衝撃吸収層の膜厚が25μmである光学フィルムを除く)。
【諸求項2】
前記衝撃吸収層の膜厚が10μm〜80μmである請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
樹脂フィルムと、該樹脂フィルムの片面に配された衝撃吸収層と、前記衝撃吸収層が配された面とは反対側の面に配されたハードコート層とを有する光学フィルムであって、前記衝撃吸収層の、25℃、周波数106Hzにおける貯蔵弾性率E’が1GPa以下であり、前記衝撃吸収層の膜厚が5μm〜100μmである、光学フィルム(但し、前記衝撃吸収層の膜厚が25μmである光学フィルムを除く)。
【請求項4】
樹脂フィルムと、該樹脂フィルムの少なくとも片面に配された衝撃吸収層とを有する光学フィルムを偏光板の保護フィルムとして有する偏光板であって、
前記衝撃吸収層の、25℃、周波数106Hzにおける貯蔵弾性率E’が1GPa以下である、偏光板。
【請求項5】
樹脂フィルムと、該樹脂フィルムの片面に配された衝撃吸収層と、前記衝撃吸収層が配された面とは反対側の面に配されたハードコート層とを有する光学フィルムを有する偏光板であって、
前記衝撃吸収層の、25℃、周波数106Hzにおける貯蔵弾性率E’が1GPa以下である、偏光板。
【請求項6】
請求項4に記載の偏光板をリア側偏光板として有する液晶パネル。
【請求項7】
請求項5に記載の偏光板をフロント側偏光板として有する液晶パネル。
【請求項8】
請求項4に記載の偏光板をリア側偏光板として有し、かつ請求項5に記載の偏光板をフロント側偏光板として有する液晶パネル。
【請求項9】
前記リア側偏光板の前記光学フィルムが有する前記衝撃吸収層の貯蔵弾性率E’rと、前記フロント側偏光板の前記光学フィルムが有する前記衝撃吸収層の貯蔵弾性率E’fが、下記式を満たす請求項8に記載の液晶パネル。
E’f−E’r≧0
【請求項10】
タッチセンサーを備える、請求項6〜9のいずれか一項に記載の液晶パネル。
【請求項11】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学フィルムからなる前面板とタッチセンサーフィルムとを貼り合わせてなる、タッチパネル又はタッチパネルディスプレイ。
【請求項12】
請求項11に記載のタッチパネル又はタッチパネルディスプレイを有する、請求項6〜9のいずれか一項に記載の液晶パネル。
【請求項13】
請求項6〜10及び12のいずれか一項に記載の液晶パネルを有する画像表示装置。」


第4 取消しの理由の概要
(本件訂正請求による訂正前の)本件特許の請求項1〜3及び11に係る特許に対して、当合議体が令和5年3月31日付けで特許権者に通知した取消しの理由(以下、単に「取消理由」といい、この通知を「取消理由通知」という。)の要旨は、次のとおりである。

●理由1(新規性
本件訂正前の請求項1〜3及び11に係る発明は、先の出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、当該請求項1〜3及び11に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものである。

(引用例等一覧)
甲1(引用例1):特開2004−259256号公報
甲2(引用例2):日本接着学会編,接着ハンドブック 第3版,日刊工業新聞社,1996年6月28日,p.238−241(特に、238〜239頁)
甲3(引用例3):「アイティー計測制御株式会社 DVA−200シリーズによる動的粘弾性測定データ報告 2011−7 ゴム材料の歪分散と周波数分散」(中段右側の「マスターカーブ」),アイティー計測制御株式会社,2011年7月,インターネット<http://www.itkdva.jp/pdf/DataSheet.pdf>
甲4(引用例4):「アイティー計測制御株式会社 DVA−200シリーズによる動的粘弾性測定データ報告 2011−9 粘着剤のせん断モードでの測定(1) アクリル系粘着剤の温度分散と周波数分散」(最下段左側の「5)マスターカーブ」),アイティー計測制御株式会社,2011年9月,インターネット<http://www.itkdva.jp/pdf/DataSheet.pdf>
甲5(引用例5):「アイティー計測制御株式会社 DVA−200シリーズによる動的粘弾性測定データ報告 2011−10 粘着剤のせん断モードでの測定(2) SEBS系ホットメルト粘着剤の温度分散と周波数分散」(最下段左側の「5)マスターカーブ」),アイティー計測制御株式会社,2011年10月,インターネット<http://www.itkdva.jp/pdf/DataSheet.pdf>
(当合議体注:甲1が主引用例である。甲2や甲3〜5は、技術常識を示す文献である。なお、「引用例1」〜「引用例5」は、令和5年3月31日付け取消理由通知で用いられた略称である。)


第5 当審の判断
1 甲1の記載及び甲1に記載された発明
(1) 甲1の記載
甲1には、以下の記載がある。なお、下線は当審が付したものであり、引用発明の認定や判断等に活用した箇所を示す。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイなどのFDP表示装置の前面に貼り付けられるペン入力用タッチパネルに関し、さらに詳しくは、タッチパネル型の電磁誘導方式や抵抗膜方式のペン入力画像表示装置に貼り付けられる透明積層体と、これを用いたペン入力画像表示装置および画像表示方法に関するものである。
・・・略・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のペン入力画像表示装置では、保護板が形成されているため、携帯性の点より軽量薄型化が難しく、また空気層のギャップがあるため、視差や映り込み防止処理による画像のぼけなどが発生し、さらに保護板がアクリル板のように硬いため、筆圧が小さく書き味が悪くなる。
・・・略・・・
【0005】
本発明は、このような事情に照らし、抵抗膜方式や電磁誘導方式によるペン入力画像表示装置において、入力ペンの摺動性を保持し、またペン入力による画像のにじみを低減できるとともに、良好な書き味を有し、軽量薄型化と外光の二重映り込み防止や画像のぼけ防止さらには衝撃による画像表示パネルの割れ防止にも効果のあるパネル貼り付け部材を提供することを目的とする。また、本発明は、上記のパネル貼り付け部材を用いたペン入力画像表示装置および画像表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の目的を達成するため、鋭意検討した結果、抵抗膜方式や電磁誘導方式によるペン入力画像表示装置において、表面処理層と透明剛性層と特定の厚さを有する透明緩和層をこの順に積層した透明積層体を用い、これをその透明緩和層を内側にして画像表示パネルの視覚面側(ペン入力側)に直接貼り合わせると、入力ペンの摺動性を保持でき、またペン入力による画像のにじみを低減できるとともに、良好な書き味を有し、軽量薄型化と外光の二重映り込み防止や画像のぼけ防止さらには衝撃による画像表示パネルの割れ防止に効果があることを知り、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、ペン入力画像表示装置用の透明積層体であって、表面処理層、透明剛性層および厚さが0.2〜2mmの透明緩和層がこの順に積層されていることを特徴とする透明積層体に係るものである。」

イ 「【0013】
透明積層体1において、表面処理フィルム10Aは、ポリエステルフィルムなどの透明フィルムに対しペン入力の摺動性に耐えうるハードコート処理を旅してなるものが望ましく、とくに表面硬度が2H以上であるのが好ましく、3H以上であるのがより好ましい。
・・・略・・・
このようなハードコート処理としては、従来公知の方法にて行うことができる。たとえば、不飽和ポリエステル樹脂、不飽和アクリル樹脂、不飽和ポリウレタン、ポリアミド樹脂などの紫外線または電子線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂などを用いた硬化皮膜を形成する方式により、行うことができる。
・・・略・・・
【0027】
透明積層体1において、透明緩和層12は、ペン入力による押し込み応力を緩和して画像のにじみを防止し、またペン入力による適度な弾性変形性を付与してペンの書き味を良好とし、さらには外部衝撃を緩和するためのものであり、20℃での動的貯蔵弾性率G’が1×107Pa以下であるのが好ましく、より好ましくは7×106〜1×103Paであるのがよい。
・・・略・・・
【0029】
このような透明緩和層12の厚さは、0.2〜2mmの範囲に設定される。厚さが0.2mm未満では、ペン入力による画像のにじみが生じたり、ペンの書き味が低下し、また衝撃により液晶パネルが割れやすい。また、厚さが2mmを超えると、視差の問題から画像劣化が起こりやすい。とくに望ましくは1.5mm以下である。」

ウ 「【0080】
・・・略・・・
また、透明積層体を構成する透明剛性層および透明緩和層の動的(せん断)貯蔵弾性率G’の測定は、粘弾性スペクトロメータ(レオメトリック・サイエンティフイック社製の「ARES装置」)を用い、周波数1ヘルツにて温度分散測定を行い、20℃での動的貯蔵弾性率G’を求めたものである。
【実施例1】
【0081】
(1)表面処理フィルム
アンチグレアハードコート処理した厚さが125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(きもと社製の「N05S」)を用いた。

(2)透明剛性層
3,4−エポキシシクロへキシルメチルー3,4−エポキシシクロへキサンカルボキシレート100部、硬化剤としてメチルテトラヒドロ無水フタル酸120部、硬化促進剤としてテトラ−n−ブチルホスホニウム0,0−ジエチルホスホロジチオエート2部を、撹拌混合し、流延法にて、600μmのエポキシ樹脂フィルムを180℃,30分熱硬化して、透明剛性層とした。この透明剛性層の20℃での動的貯蔵弾性率G’は、表1に示されるとおりであった。
【0082】
(3)透明緩和層
冷却管、窒素導入管、温度計、紫外線照射装置および撹拌装置を備えた反応容器に、2−エチルへキシルアクリレート100部、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(光重合開始剤)0.1部を入れ、紫外線照射により重合処理して、重合率8重量%のポリマー・モノマー混合液を得た。

この混合液100部に対し、トリメチロールプロパントリアクリレート(架橋剤)0.3部、1−ヒドロキシーシクロへキシルーフェニルケトン(光重合開始剤)0.2部および酸化防止剤(チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社製の「イルガノックス1010」)1部を配合し、この組成物を厚さが100μmのポリエステル系セパレータ(三菱化学ポリエステルフィルム社製の「PETセパMRF」)上に塗布し、その上をカバーセパレータとして前者のそれより剥離力の軽い厚さが75μmのポリエステル系セパレータ(三菱化学ポリエステルフィルム社製の「PETセパMRN」)で覆い、−15℃に冷却しながら、紫外線ランプにより4,000mJ/cm2の紫外線を照射して光重合させることにより、厚さが1mmの透明緩和層(透明緩和粘着剤層)とした。この透明緩和層の20℃での動的貯蔵弾性率G’は、表1に示されるとおりであった。
【0083】
(4)透明粘着剤溶液
ブチルアクリレート96部、アクリル酸3.9部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1部、アゾビスイソブチロニトリル0.3部および酢酸エチル250部を、撹拌混合しながら、60℃近傍で6時間反応を行い、重量平均分子量が163万のアクリル系ポリマー溶液を得た。

このアクリル系ポリマー溶液に、イソシアネート系多官能性化合物(日本ポリウレタン工業製の「コロネートL」)を、ポリマー固形分100部に対し、0.5部添加し、透明粘着剤溶液を調製した。
【0084】
(5)透明積層体
上記の表面処理フィルムを、上記の透明粘着剤溶液を用いて(透明粘着剤層の厚さは25μm)、透明剛性層と貼り合わせ、この透明剛性層の裏面側に上記の透明緩和層(透明緩和粘着剤層)を貼り合わせ、透明積層体とした。

(6)光学フィルム
厚さ80μmのポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で5倍に延伸したのち、乾燥させ、その両側に透明保護層としてトリアセチルセルロースフィルムを接着剤により接着し、偏光板フィルムとした。

つぎに、この偏光板フィルムのLCDパネルに位置する側に、上記の透明粘着剤溶液を用いて(透明粘着剤層の厚さは25μm)、位相差板としてのポリカーボネートフィルム50μmを貼り合わせ、光学フィルムとした。
【0085】
(7)ペン入力液晶表示装置
上記の透明積層体を、その透明緩和層を介して、上記の光学フィルムの偏光板側と貼り合わせ、さらに、この光学フィルムの位相差板側を、上記の透明粘着剤溶液を用いて(透明粘着剤層の厚さは25μm)、LCDパネルに貼り合わせた。

つぎに、このLCDパネルの裏面側にも、上記の透明粘着剤溶液を用いて(透明粘着剤層の厚さは25μm)、上記もう1枚の光学フィルムの位相差板側を、貼り合わせることにより、電磁誘導方式のペン入力液晶表示装置を作製した。
・・・略・・・
【0090】
比較例1
透明緩和層の厚さを25μmに変更した以外は、実施例1に準じて、透明積層体を得た。また、この透明積層体を用いて、実施例1と同様にして、電磁誘導方式のペン入力液晶表示装置を作製した。
・・・略・・・
【0092】
上記の実施例1〜5および比較例1,2の各電磁誘導方式のペン入力液晶表示装置について、使用した透明積層体を構成する透明剛性層と透明緩和層の20℃での動的貯蔵弾性率および厚さを、表1にまとめて示した。
【0093】
表1

【0094】
つぎに、上記の実施例1〜5および比較例1,2の各電磁誘導方式のペン入力液晶表示装置について、下記の方法により、性能を評価した。これらの結果は、表2に示されるとおりであった。
【0095】
<画像のにじみ評価>
入力ペンとしては、半径が約0.8mm程度の形状を有し、主たる材質がポリアセタール樹脂からなるものを用いた。ペン入力の評価条件として、ペン荷重を300g一定として、液晶表示装置の最表面に接触させたときの液晶の広がりを測定した。液晶パネルには、東芝社製のタブレットPC「DynaBook SS3500」を使用した。

○:画像のにじみがなく良好である(液晶の広がり直径10mm未満)
×:画像のにじみがあり不良である(液晶の広がり直径10mm以上)
【0096】
<耐擦傷性の評価>
画像のにじみ評価用の入力ペンを用い、直線距離100mmを、速度5m/分、ペン荷重500gにて、1万回重ねて書き込み、その後の書き込み部分を日視にて観察して、下記のように、評価した。

○:ほとんど無傷である
△:目立たない程度の多少の傷がある
×:ハードコート層の剥離と傷が目立つ
【0097】
<割れ防止性の評価>
直径50mm、重量510gの鋼球を10cm高さから振り子方式で落下させる、または、これと同様の衝撃力をスプリングインパクトハンマーで与え、液晶パネルにガラス割れが生じるかどうかを、目視により観察した。
・・・略・・・
○:クラック・破損がほとんどみられない
×:クラック・破損が明らかにみられる(画像のにじみあり)
・・・略・・・
【0100】


・・・略・・・
【0115】
上記表1〜表4の結果から、本発明の構成をとる実施例1〜10の各ペン入力液晶表示装置は、いずれも、ペン入力に対して画像のにじみがなく、また耐擦傷性にすぐれており、さらに液晶パネルの割れ防止姓にもすぐれていることがわかる。これに対して、透明緩和層が薄すぎる透明積層体を用いた比較例1および比較例3のペン入力液晶表示装置や、透明剛性層を持たない透明積層体を用いた比較例2および比較例4のペン入力液晶表示装置は、画像のにじみがあり、割れ防止性にも劣っている。」

(2) 甲1に記載された発明
ア 甲1発明
甲1の【0081】〜【0085】には、「実施例1」として、「(5)透明積層体」(【0084】)及び「(7)ペン入力液晶表示装置」(【0085】)が記載されている。
また、甲1の、【0090】には、「透明緩和層の厚さを25μmに変更した以外は、実施例1に準じて、透明積層体を得」て、「この透明積層体を用いて、実施例1と同様にして」「作製」された「比較例1」の「電磁誘導方式のペン入力液晶表示装置」が記載されている。

また、甲1の【0090】、【0092】及び【0093】【表1】によれば、「比較例1」の「透明積層体」の「透明剛性層」及び「透明緩和層」の、【0080】で定義される「動的(せん断)貯蔵弾性率G’」は、それぞれ「2×109Pa」及び「3×104Pa」である。
以上によれば甲1には、「比較例1」の「透明積層体」に係る発明として、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。

「アンチグレアハードコート処理した厚さが125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(きもと社製の「N05S」)を表面処理フィルムとして用い、
3,4−エポキシシクロへキシルメチルー3,4−エポキシシクロへキサンカルボキシレート100部、硬化剤としてメチルテトラヒドロ無水フタル酸120部、硬化促進剤としてテトラ−n−ブチルホスホニウム0,0−ジエチルホスホロジチオエート2部を、撹拌混合し、流延法にて、600μmのエポキシ樹脂フィルムを180℃,30分熱硬化して、透明剛性層とし、
冷却管、窒素導入管、温度計、紫外線照射装置および撹拌装置を備えた反応容器に、2−エチルへキシルアクリレート100部、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(光重合開始剤)0.1部を入れ、紫外線照射により重合処理して、重合率8重量%のポリマー・モノマー混合液を得て、この混合液100部に対し、トリメチロールプロパントリアクリレート(架橋剤)0.3部、1−ヒドロキシーシクロへキシルーフェニルケトン(光重合開始剤)0.2部および酸化防止剤1部を配合し、この組成物を厚さが100μmのポリエステル系セパレータ上に塗布し、その上をカバーセパレータとして前者のそれより剥離力の軽い厚さが75μmのポリエステル系セパレータで覆い、−15℃に冷却しながら、紫外線ランプにより4,000mJ/cm2の紫外線を照射して光重合させることにより、厚さが25μmの透明緩和層(透明緩和粘着剤層)とし、
アクリル系ポリマー溶液に、イソシアネート系多官能性化合物を、ポリマー固形分100部に対し、0.5部添加し、透明粘着剤溶液を調製し、
上記の表面処理フィルムを、上記の透明粘着剤溶液を用いて(透明粘着剤層の厚さは25μm)、透明剛性層と貼り合わせ、この透明剛性層の裏面側に上記の透明緩和層(透明緩和粘着剤層)を貼り合わせた透明積層体であって、
粘弾性スペクトロメータ(レオメトリック・サイエンティフイック社製の「ARES装置」)を用い、周波数1ヘルツにて温度分散測定を行い測定した、透明積層体を構成する透明剛性層及び透明緩和層(透明緩和粘着剤層)の20℃での動的(せん断)貯蔵弾性率G’は、それぞれ2×109Pa及び3×104Paであり、
厚さ80μmのポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で5倍に延伸したのち、乾燥させ、その両側に透明保護層としてトリアセチルセルロースフィルムを接着剤により接着した偏光板フィルムの、LCDパネルに位置する側に、上記の透明粘着剤溶液を用いて(透明粘着剤層の厚さは25μm)、位相差板としてのポリカーボネートフィルム50μmを貼り合わせた光学フィルムとし、
前記透明積層体を、その透明緩和層を介して、上記の光学フィルムの偏光板側と貼り合わせ、さらに、この光学フィルムの位相差板側を、上記の透明粘着剤溶液を用いて(透明粘着剤層の厚さは25μm)、LCDパネルに貼り合わせ、
つぎに、このLCDパネルの裏面側にも、上記の透明粘着剤溶液を用いて(透明粘着剤層の厚さは25μm)、上記もう1枚の光学フィルムの位相差板側を、貼り合わせることにより、電磁誘導方式のペン入力液晶表示装置が作製される、透明積層体。」

イ 甲1偏光板フィルム発明
また、甲1の【0084】の記載によれば、甲1には、「偏光板フィルム」に係る発明として、以下の発明(以下「甲1偏光板フィルム発明」という。)が記載されているものと認められる。

「厚さ80μmのポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で5倍に延伸したのち、乾燥させ、その両側に透明保護層としてトリアセチルセルロースフィルムを接着剤により接着した、偏光板フィルム。」

2 本件特許発明1について
(1) 対比
本件特許発明1と甲1発明を対比すると、以下のとおりである。
ア 樹脂フィルム
甲1発明の「透明剛性層」は、「エポキシ樹脂フィルム」であるから、本件特許発明1の「樹脂フィルム」に相当する。

イ 衝撃吸収層
甲1発明の「透明積層体」の積層構造及び各層の材料、「動的(せん断)貯蔵弾性率G’」からみて、甲1発明の「透明緩和層(透明緩和粘着剤層)」は、衝撃を緩和、吸収する機能を有する層ということができる。
そうすると、甲1発明の「透明緩和層」は、本件特許発明1の「衝撃吸収層」に相当する。

ウ 光学フィルム
上記アとイより、甲1発明の「透明積層体」は、本件特許発明1の「光学フィルム」に相当する。
また、甲1発明の積層構造からみて、甲1発明の「透明積層体」は、本件特許発明1の「光学フィルム」の、「樹脂フィルムと、該樹脂フィルムの少なくとも片面に配された衝撃吸収層とを有する」との要件を具備する。

エ 光学フィルムの用途(偏光板の保護フィルム、タッチパネルもしくはタッチパネルディスプレイの前面板)について
(ア) 甲1発明の「透明積層体」は、「透明緩和層を介して」、「光学フィルムの偏光板側と貼り合わせ」られ、「この光学フィルムの位相差板側を」、「LCDパネルに貼り合わせ」、「このLCDパネルの裏面側にも」、「もう1枚の光学フィルムの位相差板側を、貼り合わせることにより」、「電磁誘導方式のペン入力液晶表示装置」が作製されるものである。

(イ) 上記(ア)より、甲1発明の「電磁誘導方式のペン入力液晶表示装置」においては、「液晶表示装置」の前面に「ペン入力」用タッチパネルが貼り付けられているということができる。あるいは、「電磁誘導方式のペン入力液晶表示装置」は、「ペン入力」用タッチパネル液晶表示装置であるということができる。
また、甲1発明の上記(ア)の貼り合わせ、積層構造からみて、甲1発明の「透明積層体」は、「電磁誘導方式のペン入力液晶表示装置」最表面の前面板を構成している。

(ウ) 甲1発明の、「液晶表示装置」の「前面に貼り付けられ」た、「ペン入力」用タッチパネル」は、本件特許発明1の「タッチパネル」に相当する。あるいは、甲1発明の「ペン入力」用タッチパネル「液晶表示装置」は、本件特許発明1の「タッチパネルディスプレイ」に相当する。
そうすると、甲1発明の「透明積層体」は、本件特許発明1の、「前記光学フィルムが偏光板の保護フィルムとして用いるための、又は、タッチパネルもしくはタッチパネルディスプレイの前面板として用いるためのものであり」との要件を具備する。

(エ) 甲1発明の「透明緩和層」(「衝撃吸収層」)は、「厚さが25μm」であるから、上記(ウ)より、甲1発明の「透明積層体」は、本件特許発明1の、「前記光学フィルムがタッチパネルもしくはタッチパネルディスプレイの前面板として用いるためのものである場合、前記衝撃吸収層の膜厚が5μm〜100μmである」との要件を具備するものの、甲1発明の「透明緩和層」は「厚さが25μm」であって第1除外事項に該当するから、甲1発明の「透明積層体」は、本件特許発明1の「光学フィルム(但し、前記衝撃吸収層の膜厚が25μmである光学フィルムを除く)」との要件を満たさない(すなわち、この点は、相違点となる。)。

オ 以上の対比結果を踏まえると、本件特許発明1と、甲1発明は、
「 樹脂フィルムと、該樹脂フィルムの少なくとも片面に配された衝撃吸収層とを有する光学フィルムであって、
前記光学フィルムが偏光板の保護フィルムとして用いるための、又は、タッチパネルもしくはタッチパネルディスプレイの前面板として用いるためのものであり、前記光学フィルムがタッチパネルもしくはタッチパネルディスプレイの前面板として用いるためのものである場合、前記衝撃吸収層の膜厚が5μm〜100μmである、光学フィルム。」の構成で一致し、以下の点で相違する。
(相違点1−1)
「衝撃吸収層」が、本件特許発明1においては、「25℃、周波数106Hzにおける貯蔵弾性率E’が1GPa以下であ」るのに対して、甲1発明においては、「粘弾性スペクトロメータ(レオメトリック・サイエンティフイック社製の「ARES装置」)を用い、周波数1ヘルツにて温度分散測定を行い測定した」、「透明緩和層(透明緩和粘着剤層)の20℃での動的(せん断)貯蔵弾性率G’は」、「3×104Pa」である点。

(相違点1−2)
本件特許発明1は、「衝撃吸収層の膜厚が25μmである光学フィルムを除く」ものであるのに対して、甲1発明は、本件特許発明1から「除く」とされる、「透明緩和層」(「衝撃吸収層」)の「厚さが25μm」のものである点。

(2) 判断
新規性について
本件特許発明1と甲1発明とは、上記のとおり、相違点1−1及び相違点1−2を有する。
したがって本件特許発明1は、甲1発明ではない。

進歩性について
事案に鑑み、相違点1−2について検討する。
(ア) 甲1でいう本発明は、「ペン入力画像表示装置において、入力ペンの摺動性を保持し、またペン入力による画像のにじみを低減できるとともに、良好な書き味を有し、軽量薄型化と外光の二重映り込み防止や画像のぼけ防止さらには衝撃による画像表示パネルの割れ防止にも効果のあるパネル貼り付け部材を提供する」(【0005】)との課題を解決すべく、「ペン入力画像表示装置用の透明積層体」において、「表面処理層、透明剛性層および厚さが0.2〜2mmの透明緩和層がこの順に積層されている」(【課題を解決するための手段】【0006】〜【0007】)構成としたものであるところ、「比較例1」である、「透明緩和層」の厚さを「25μm」とした甲1発明は、上記の課題を解決できる入力ペンの摺動性、耐擦傷性、割れ防止性、沈み込みの深さ及び動摩擦係数を示す、「透明緩和層」の厚さを「500μm」あるいは「1000μm」とした実施例1〜5とは異なり、透明緩和層が薄すぎる(25μm)ため、割れの防止や画像のにじみの点で「×」(劣っている)と評価されるものである(【0100】表2、【0115】等)。

(イ) 甲1の上記記載に接した当業者であれば、甲1発明を出発点として改良を試みるにあたり、甲1発明における「透明緩和層」の膜厚を「25μm」から、甲1で好ましいとされる上記「0.2〜2mm」の範囲、特に、実施例で採用されて効果が確認された膜厚近傍の厚さに設計変更を試みることはあっても、「0.2〜2mm」から外れた、本件特許発明1の膜厚の範囲(5μm〜100μm)の膜厚をあえて選択する合理的な理由はない。また、甲2〜甲8を検討しても、この判断は変わらない。
したがって、相違点1−1について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲1に記載された発明及び甲2〜甲8に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものではない。

ウ 特許異議申立書の主張について
(ア) 特許異議申立人は、特許異議申立書(17頁下から11行〜24頁5行)において、発明を実施するための最良の形態についての記載、甲1の実施例及び比較例に関する記載や図5に基づいて、甲1に記載の次の発明ア〜ウ及び甲2〜甲5に基づく、新規性及び進歩性の欠如を主張する。
(発明ア)
「A:透明剛性層と、透明剛性層の片面に配された透明緩和層とを有する透明積層体であって、
B’:透明緩和層の、20℃、周波数1Hzにおける貯蔵弾性率G’が3×104Pa、7×104Pa、又は5×104Paであり、
C:偏光板の保護フィルムとして用いるための、透明積層体。」

(発明イ)
「F:透明剛性層と、透明剛性層の片面に配された透明緩和層と、透明緩和層が配された面とは反対側の面に配されたハードコート処理層とを有する光学フィルムであって、
G’:透明緩和層の、20℃、周波数1Hzにおける貯蔵弾性率G’が3×104Pa、7×104Pa、または5×104Paである透明積層体。」

(発明ウ)
「A:1/4波長板と、1/4波長板の片面に配された透明粘着剤層とを有する積層体であって、
C:偏光板の保護フィルムとして用いるための、積層体。」

(イ) そこで、まず、(発明ア)が甲1に記載された発明といえるかについて、以下検討する。
甲1発明は、「透明積層体」であって、「その透明緩和層を介して」、「厚さ80μmのポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で5倍に延伸したのち、乾燥させ、その両側に透明保護層としてトリアセチルセルロースフィルムを接着剤により接着した偏光板フィルムの、LCDパネルに位置する側に」、「位相差板としてのポリカーボネートフィルム50μmを貼り合わせた光学フィルム」「の偏光板側と貼り合わせ」て使用されるものであるところ、甲1の実施例における「偏光板」は、せいぜい偏光子、透明保護層(フィルム)及び位相差板からなる積層構造までであって、上記「透明積層体」が「偏光板」の一構成要素である「保護フィルム」として開示されたものではないことは明らかである。
したがって、上記構成Cを具備する(発明ア)が、甲1に記載された発明とはいえない。

(ウ) 次に、(発明ウ)が甲1に記載された発明といえるかについて、また、本件特許発明1が、(発明ウ)から当業者が容易に発明をすることができたものであるかについて検討する。
甲1の【0071】及び図5によれば、1/4波長板50は、コレステリック液晶フィルム51とともに輝度向上フィルム5を構成するものであり、この輝度向上フィルム5は、液晶パネルの裏面側に位置する光学フィルム3(偏光板30、透明粘着剤層32、位相差板31からなる)の偏光板30上に透明粘着剤層4Cを介して貼り合わされるものである。
そして、甲1の「偏光板30」は、通常偏光子の片面または両面に「透明保護フィルム」を貼り合わせた形態で使用され(【0062】)、「光学フィルム3」は、「偏光板30」に透明粘着剤層を介して位相差(光学補償)板を貼り合わせたものである。
そうすると、甲1においては、1/4波長板50に透明粘着剤層が積層されたものが、「偏光板」の一構成要素である「保護フィルム」として開示されたものでないことは明らかである。したがって、上記構成Cを具備する(発明ウ)は、甲1に記載された発明とはいえない。
また、甲1には、輝度向上フィルム5の一構成要素である1/4波長板50に透明粘着剤層が積層されたものを、偏光板の一構成要素である「保護フィルム」として用いる構成とする動機付けとなるような記載もない。特許異議申立人が提出した甲2〜甲5を検討しても同様である。
したがって、上記主張を採用することはできない。

(エ) また、(発明イ)に基づく主張についても、「透明緩和層」の厚みについては、上記(2)ア及びイで述べたとおりであり、上記主張を採用することはできない。

(3) 小括
以上のとおりであるから、本件特許発明1は、甲1に記載された発明ではなく、甲1に記載された発明及び甲2〜甲5に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

3 本件特許発明2について
本件特許発明2は、本件特許発明1の構成を全て具備し、これに限定を加えたものであるから、上記2(2)ア及びイと同様の理由により、本件特許発明2は、甲1に記載された発明であるということができない、あるいは、甲1に記載された発明及び甲2〜甲5に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

4 本件特許発明3について
(1) 対比・判断
ア 本件特許発明3と、甲1発明との対比は、上記2(1)と同様である。

イ 甲1発明の「透明積層体」は、「透明緩和層」(「衝撃吸収層」)の「厚さが25μm」であるから、甲1発明の「透明積層体」は、本件特許発明3の、「前記衝撃吸収層の膜厚が5μm〜100μmである」との要件を具備するものの、甲1発明の「透明緩和層」は「厚さが25μm」であって第1除外事項に該当するから、甲1発明の「透明積層体」は、本件特許発明3の「光学フィルム(但し、前記衝撃吸収層の膜厚が25μmである光学フィルムを除く)」との要件を満たさない(すなわち、この点は、相違点となる。)。

ウ 以上の対比結果を踏まえると、本件特許発明3と甲1発明は、「樹脂フィルムと、該樹脂フィルムの片面に配された衝撃吸収層とを有する光学フィルムであって、前記衝撃吸収層の膜厚が5μm〜100μmである、光学フィルム。」の構成で一致し、少なくとも相違点1−2で相違する。

(2) 判断
相違点1−2については上記2(2)で述べたとおりである。

(3) 小括
本件特許発明3は、甲1に記載された発明であるということができない、あるいは、甲1に記載された発明及び甲2〜甲5に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

5 本件特許発明4について
(1) 対比
本件特許発明4と、甲1偏光板フィルム発明を対比する
ア 甲1偏光板フィルム発明の「透明保護層」(「トリアセチルセルロースフィルム」)は、本件特許発明4の「光学フィルム」に相当する。

イ 甲1偏光板フィルム発明の「偏光板フィルム」は、本件特許発明4の「偏光板」に相当する。

ウ 以上の対比結果を踏まえると、本件特許発明4と、甲1偏光板フィルム発明は、は、「光学フィルムを偏光板の保護フィルムとして有する偏光板」である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点4−1)
「光学フィルム」が、本件特許発明4においては、「樹脂フィルムと、該樹脂フィルムの少なくとも片面に配された衝撃吸収層とを有」し、「前記衝撃吸収層の、25℃、周波数106Hzにおける貯蔵弾性率E’が1GPa以下である」のに対して、引用発明においては、貯蔵弾性率E’が不明である点。

(2) 判断
新規性について
本件特許発明4と甲1偏光板フィルム発明とは、相違点4−1において相違する。
したがって、本件特許発明4は甲1偏光板フィルム発明ではない。

進歩性について
甲1には、甲1偏光板フィルム発明の「透明保護層として」の「トリアセチルセルロースフィルム」の貯蔵弾性率を調整する点について記載も示唆もない。
また、甲1において、甲1発明の「透明積層体」が「偏光板」の一構成要素として開示されたものではないことは、上記2(2)に示したとおりであるから、甲1偏光板フィルム発明において、当業者が仮に透明保護層の貯蔵弾性率の調整しようとしたとしても、甲1発明の「透明積層体」における「衝撃吸収層」の値を参考にすることはないし、特許異議申立人が提出した甲2〜甲8にも参考となり得る記載はない。
そうすると、本件特許発明4は、甲1に記載された発明及び甲2〜甲5に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものではない。

(3) 小括
本件特許発明4は、甲1に記載された発明であるということができない、あるいは、甲1に記載された発明及び甲2〜甲8に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

6 本件特許発明5について
(1) 対比
本件特許発明5と、甲1偏光板フィルム発明とを対比すると、両者は、少なくとも相違点4−1で相違する。

(2) 判断
相違点4−1については、上記5(2)で述べたとおりである。

(3) 小括
本件特許発明5は、甲1に記載された発明であるということができない、あるいは、甲1に記載された発明及び甲2〜甲5に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

7 本件特許発明6〜9について
本件特許発明6〜9は、本件特許発明4あるいは本件特許発明5の構成を全て具備し、これに限定を加えたものであるから、上記5(2)あるいは6(2)と同様の理由により、本件特許発明6〜9は、甲1に記載された発明であるということができない、あるいは、甲1に記載された発明及び甲2〜甲5に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

8 本件特許発明10〜13について
本件特許発明10〜13は、本件特許発明1〜3のいずれか、あるいは請求項6〜9のいずれかの構成を全て具備し、これに限定を加えたものであるから、上記2(2)あるいは5(2)(6(2))と同様の理由により、本件特許発明10〜13は、甲1に記載された発明であるということができない、あるいは、甲1に記載された発明及び甲2〜甲5に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。


第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 甲6を主引用例とする新規性進歩性について
(1) 特許異議申立人の主張
ア 特許異議申立人は、特許異議申立書(28頁下から10行〜37頁7行)において、甲6の【図3】等に基づいて、甲6には、以下の(発明ア)及び(発明イ)が記載されている旨主張する。
(発明ア)
A:ポリイミド基材と、ポリイミド基材の片面に配された樹脂層とを有する光学フィルムであって、
B’:光学フィルムの、25℃、周波数500Hz以上1000Hz以下における貯蔵弾性率G’が1.8MPa、1.37MPa、2.00MPaであり、
C:偏光板の保護フィルムとして用いるための、又は、タッチパネルもしくはタッチパネルディスプレイの前面板として用いるための、光学フィルム。

(発明イ)
F:ポリイミド基材と、ポリイミド基材の片面に配された樹脂層と、樹脂層が配された面とは反対側の面に配されたハードコート層とを有する光学フィルムであって、
G’:光学フィルムの、25℃、周波数500Hz以上1000Hz以下における貯蔵弾性率G’が1.8MPa、1.37MPa、2.00MPaである光学フィルム。

ここで、甲6の【図3】は、以下のとおりである。

(当合議体注:10は光学フィルム、12は樹脂層、11は樹脂基材、36は光透過性接着剤、35は円偏光板、36は光透過性接着剤、34はタッチセンサ、33は表示パネル、32は保護フィルム、31は筐体である。)

イ また、特許異議申立人は、特許異議申立書(54頁下から1行〜56頁13行)において、E=3Gの関係(甲2)及び周波数106Hzで測定したときの貯蔵弾性率が、周波数1000Hzで測定したときの貯蔵弾性率の102程度大きくなるという関係(甲3〜甲5)及び甲6の実施例A7、B1〜B4の貯蔵弾性率E’が、0.411GPa程度と見積もられることを根拠として、(発明ア)及び(発明イ)に基づく、本件特許発明1、3及び4の新規性及び進歩性について主張する。

(2) 判断
上記主張について検討する。
ア まず、甲第6号証には(発明ア)が記載されている、あるいは、光学フィルム10は円偏光板35の一部であるとみなすことができる、との主張について検討する。
特許異議申立人も認めるとおり、円偏光板35と光学フィルム10は、それぞれ独立した別体のものである。そうすると、図3や[0136]に記載の画像表示装置において、円偏光板35と光学フィルム10は、光透過性接着剤36によって固定され、積層されているとしても、独立した光学部材として、光学フィルム10を保護フィルムとする円偏光板35を観念(把握)することができないから、甲6に(発明ア)が記載されているということはできない。

イ 次に、仮に甲6に(発明ア)が記載されているとした場合の新規性及び進歩性について検討する。
(ア) 甲6の[0205]及び[0235]の<G’、G’’、tanδの測定>の記載によれば、甲6の「光学フィルムにおける25℃、500Hz以上1000Hz以下の周波数域での剪断貯蔵弾性率G’」は、周波数500Hz、750Hz、950Hzにおける「光学フィルム10」の剪断貯蔵弾性率G’の算術平均であって、「樹脂層12」のものではないから、「光学フィルム10」の剪断貯蔵弾性率G’の値に基づいて、「樹脂層12」(「衝撃吸収層」に相当)の剪断貯蔵弾性率G’をどの程度見積もることができるかは不明というほかない。

(イ) また、周波数1000Hzで測定した時の剪断貯蔵弾性率G’は、周波数500Hz、750Hz、950Hzにおける算術平均(1.37MPa)よりも当然に大きくなることが技術常識であるが、どの程度大きくなるかは明らかでないから、「1GPa以下」といえるかも不明である。

(ウ) 上記(ア)と(イ)より、周波数1000Hzで測定したときの貯蔵弾性率の102程度大きくなることが一般的にいえるとしても、25℃、500Hz以上1000Hz以下の周波数域での剪断貯蔵弾性率G’が1.37MPaである「光学フィルム10」が、25℃、周波数106Hzにおける貯蔵弾性率E’が1GPa以下である蓋然性が高いとも、樹脂層12の25℃、周波数106Hzにおける貯蔵弾性率E’が1GPa以下である蓋然性が高いともいえない。
そして、甲1〜甲5、甲7〜甲8を検討しても判断は変わらない。

ウ (発明イ)に基づく主張についても、上記イで述べたとおりである。

(3) 小括
以上のとおりであるから、本件特許発明1〜5が、甲6に記載された発明であるとも、本件特許発明1〜5が、甲6に記載された発明及び甲1〜甲5、甲7〜甲8に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということができない。
本件特許発明1〜5のいずれかの構成を全て具備し、これに限定を加えた、本件特許発6〜13についても同様である。
したがって、特許異議申立人の特許異議申立書及び令和5年7月14日に提出された意見書における、甲6を主引用例とする新規性進歩性に係る主張を採用することはできない。

2 甲8を主引用例とする新規性進歩性について
(1) 特許異議申立人の主張
ア 特許異議申立人は、特許異議申立書(40頁6行〜44頁16行)において、
甲第8号証には、以下の(発明ア)〜(発明イ)が記載されている旨主張する。
(発明ア)(【図1a】参照)
A:透明保護フィルム1bと、透明保護フィルム1bの片面に配された粘着剤層Aとを有する積層体であって、
B’:粘着剤層Aの、23℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’が0.07MPa〜0.5MPaであり、
C:偏光板の保護フィルムとして用いるための、フレキシブル画像表示装置用積層体。

(発明イ)(【図3】参照)
F:部材Cと、部材Cの片面に配された粘着剤層Aと、粘着剤層Aが配された面とは反対側の面に配されたハードコートフィルムとを有する積層体であって、
G’:粘着剤層Aの、23℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’が0.07〜0.5MPaである積層体。

ここで、甲8の【図1a】及び【図3】は、以下のものである。
【図1a】

【図3】

(当合議体注:SAは粘着剤層A(視認側)のセパレータ、Aは粘着剤層A(視認側)、1は偏光フィルム、1aは偏光子、1bは透明保護フィルム、Bは粘着剤層B(視認側の反対側)、SBは粘着剤層B(視認側の反対側)のセパレータ、Cは部材(タッチパネルまたは透明基体)、Dは画像表示装置である。)

イ また、特許異議申立人は、特許異議申立書(68頁下から6行〜頁70頁3行)において、甲8に記載された粘着剤層Aの貯蔵弾性率E’を見積もると、210MPa(=0.07MPa×3×103)から1500MPa(=0.5MPa×3×103)となることを根拠にして、(発明ア)及び(発明イ)に基づく、本件特許発明1、3及び4の新規性及び進歩性について主張する。

(2) 判断
上記主張について検討する。
ア 上記(1)アの、甲8に(発明ア)及び(発明イ)が記載されている、との主張、上記(1)イの本件特許発明1及び本件特許発明3の新規性及び進歩性に係る主張について検討する。
(発明ア)及び(発明イ)の「透明保護フィルム1b」及び「粘着剤層A」を含む積層体は、甲8の両面粘着剤層付偏光フィルムの作製プロセスからみて、独立した光学部材として観念(把握)することができないから、本件特許発明1、3及び4の「偏光板の保護フィルムとして用いるための、又は、タッチパネルもしくはタッチパネルディスプレイの前面板として用いるための、光学フィルム」に相当するとはいえない。
また、甲8の両面粘着剤層付き偏光フィルムは、「タッチパネルなどの入力装置」の後方に位置しているからも、(発明ア)及び(発明イ)の積層体が、本件特許発明1、3及び4のタッチパネルもしくはタッチパネルディスプレイの前面板として用いるための、光学フィルムに相当するとはいえない。
したがって、甲8に、(発明ア)が記載されているということはできない。
また、甲8でいう本発明は、片保護偏光フィルムの両面に粘着剤層を有する両面粘着剤層付偏光フィルムの構成とした点に特徴を有するものであるところ、片保護偏光フィルム、粘着シート及び両面粘着剤層付偏光フィルムの各作製プロセスを変更し、保護フィルムと粘着剤層Aとを積層し、独立した光学フィルム部材とすることは、甲8には記載も示唆もされていない。
また、片保護偏光フィルムの両面に粘着剤層を有する両面粘着剤層付偏光フィルムにおいて、保護フィルムと粘着剤層A部分とを積層した、独立した光学フィルム部材とすることは、特許異議申立人が提出した甲1〜甲7にも記載も示唆もされていない。
してみると、(発明ア)に基づく新規性及び進歩性に係る主張を採用することもできない。また、(発明イ)についても同様の理由により主張は採用できない。

さらにまた、甲8の【0039】、図1a及び図3によれば、甲8の両面粘着剤層付偏光フィルムを画像表示装置へ適用したものにおいて、両面粘着剤層付偏光フィルムの粘着剤層AからセパレータSAが剥離され、粘着剤Aと透明基体等の部材Cとが貼り合わされ、積層されたものが把握できるとしても、独立した光学部材として、透明基体等の部材Cと、部材Cの片面に配された粘着剤層Aが積層された光学フィルムを観念(把握)することができない。
してみると、甲8に、部材Cと粘着剤層Aが積層された積層体が記載されているということはできないから、上記(発明イ)が記載されているということもできない。
また、両面粘着剤層付偏光フィルムの粘着剤層Aと、両面粘着剤層付偏光フィルムの粘着剤層Aが貼り合わされる透明基体等の部材Cとを先に積層し、独立した光学フィルム部材とすることは、甲8には記載も示唆もされておらず、特許異議申立人が提出した甲1〜甲7にも記載も示唆もされていない。
してみると、(発明イ)に基づく、新規性及び進歩性に係る主張を採用することはできない。

イ 次に、上記(1)イの本件特許発明4の新規性及び進歩性に係る主張について検討する。
(ア) 実施例の両面粘着剤層付偏光フィルムの作製プロセス、図1a及び図3からみて、透明保護フィルム1bおよび粘着剤層Aが貼り合わされ、積層された構造は、偏光板(両面粘着剤層付偏光フィルム)の一部をなすものということはできる。
しかしながら、上記アで述べたとおり、甲8に、透明保護フィルム1bと粘着剤層Aが積層された光学フィルムであって、偏光板の保護フィルムとして用いるための、光学フィルムが記載されているということはできないから、「透明保護フィルム1b」と「粘着剤層A」とが積層された光学フィルムであって、偏光板の保護フィルムとして用いるための光学フィルムを、偏光板(両面粘着剤層付偏光フィルム)の保護フィルムとして有する偏光板、が記載されているということもできない。
してみると、(発明ア)に基づく、新規性及び進歩性に係る主張を採用することはできない。

(3) 小括
以上のとおりであるから、本件特許発明1〜5が、甲8に記載された発明であるとも、本件特許発明1〜5が、甲8に記載された発明及び甲1〜甲7に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということができない。
本件特許発明1〜5のいずれかの構成を全て具備し、これに限定を加えた、本件特許発6〜13についても同様である。
したがって、特許異議申立人の特許異議申立書における、甲8を主引用例とする新規性進歩性に係る主張を採用することはできない。

3 甲7を主引用例とする新規性進歩性に係る特許異議申立理由について
(1) 特許異議申立人の主張
ア 特許異議申立人は、特許異議申立書(37頁8行〜40頁5行)において、
甲7には、以下の(発明ア)〜(発明ウ)が記載されている旨主張する。
(発明ア)
A:加飾印刷フィルム13と、加飾印刷フィルム13の片面に配された第1の粘着剤層12−1とを有する積層体であって、
B’:第1の粘着剤層12−1の、25℃における貯蔵弾性率G’が、0.3MPa以下であり、
C:偏光板の保護フィルムとして用いるための、又は、タッチパネルもしくはタッチパネルディスプレイの前面板として用いるための、積層体。

(発明イ)
F’:加飾印刷フィルム13と、加飾印刷フィルム13の片面に配された第1の粘着剤層12−1とを有する積層体であって、
G’:第1の粘着剤層12−1の、25゜Cにおける貯蔵弾性率G’が0.3Mpa以下である積層体。

(発明ウ)
A:位相差層3の片面に配された第2の粘着剤層12−2とを有するフレキシブル画像表示装置用積層体11であって、
B’:第2の粘着剤層12−2の、25℃における貯蔵弾性率G’が0.3MPa以下であり、
C:偏光板の保護フィルムとして用いるための、又は、タッチパネルもしくはタッチパネルディスプレイの前面板として用いるための、フレキシブル画像表示装置用積層体。

ここで、甲7の図4は、以下のものである。
【図4】

(当合議体注:100はフレキシブル画像表示装置(有機EL表示装置)、11はフレキシブル画像示装置用積層体(有機EL表示装置用積層体)、20は光学積層体、40はウインドウ、13は加飾印刷フィルム、12−1は第1の粘着剤層、2は保護膜、1は偏光膜、3は位相差層、12−2は第2の粘着剤層、10−1は有機EL表示パネル(タッチセンサ付き)である。)

イ また、特許異議申立人は、特許異議申立書(61頁下から8行〜62頁下から7行)において、甲8に記載された第1の粘着剤層12−1の貯蔵弾性率E’を見積もると、900MPa(=0.9MPa×103)となることを根拠にして、(発明ア)〜(発明ウ)に基づく、本件特許発明1及び4の新規性及び進歩性について主張する。

(2) 判断
上記(1)の主張について検討する。
ア 甲7の実施例の【0113】〜【0114】の偏光フィルムの作製プロセス、【0121】〜【0122】の光学フィルム(光学積層体)の作製プロセス、【0123】〜【0125】の粘着剤層付光学積層体の作製プロセス、【0126】〜【0128】の「構成A」に相当する実施例1のフレキシブル画像表示装置用積層体11(図6)の作製プロセス、【0134】の「第2の粘着剤層を含まない構成B」の実施例5のフレキシブル画像表示装置用積層体11(図7)の作製プロセスからみて、構成A(図6)及び構成B(図7)のフレキシブル画像表示装置用積層体11は、その両面をセパレータ付きの粘着剤層としたものである。
そうすると、【0107】及び図4にされたタッチセンサを構成する透明導電層6が有機EL表示パネル10−1に内蔵されたインセル型のフレキシブル画像表示装置は、基材(PIフィルム)9を剥離して、フレキシブル画像表示装置用積層体11の第2の粘着剤層12−2を有機EL表示パネル10−1と貼り合わせ、透明基材(PETフィルム)8−1を剥離して、第1の粘着剤層12−1を加飾印刷フィルム13及びウインドウ40に貼り合わせたものと理解できる。

イ そうすると、図4に示されたインセル型のフレキシブル画像表示装置においては、第1の粘着剤層12−1と加飾印刷パネル13が積層されていること、位相差層3と第3の粘着剤層12−3が積層されていることは把握できるものの、独立した光学部材として、加飾印刷フィルム13と加飾印刷フィルム13の片面に配された第1の粘着剤層12−1とを有する積層体からなる光学フィルム、あるいは、独立した光学部材として、位相差層3と位相差層3の片面に配された第3の粘着剤層12−3とを有する積層体からなる光学フィルムを観念(把握)することはできない。
そうしてみると、図4に示されたインセル型のフレキシブル画像表示装置からは、加飾印刷フィルム13と、加飾印刷フィルム13の片面に配された第1の粘着剤層12−1とを有する積層体からなる光学フィルムであって、偏光板の保護フィルムとして用いるための、又は、タッチパネルもしくはタッチパネルディスプレイの前面板として用いるための、光学フィルムを観念(把握)することはできないし、位相差層3と、位相差層3の片面に配された第2の粘着剤層12−2とを有するフレキシブル画像表示装置用積層体11であって、偏光板の保護フィルムとして用いるための、又は、タッチパネルもしくはタッチパネルディスプレイの前面板として用いるための、光学フィルムを観念(把握)することもできない。
そうすると、甲7に、(発明ア)〜(発明ウ)が記載されているということはできない。
フレキシブル画像表示装置用積層体11(全体)を、光学フィルムに相当させたとしても、これを、偏光板の保護フィルムとして用いるための、光学フィルムということもできない。

ウ また、上記(1)イで特許異議申立人が主張する、甲第7号証の(発明ア)〜(発明ウ)の第1粘着剤層の貯蔵弾性率E’(0.3MPa以下)が、900MPa(=0.9MPa×103)となり、1GPa以下となる、との主張について検討する。
(ア) 特許異議申立人も認めるように、甲7においては、第1の粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率G’の測定周波数が不明である。
そうすると、甲3〜5から、貯蔵弾性率E’、G’問わず、周波数106Hzで測定したときの貯蔵弾性率は、周波数1Hzで測定したときの貯蔵弾性率の102〜103程度大きくなることがいえたとしても、甲7においては、貯蔵弾性率G’の測定周波数が不明なのであるから、25℃における貯蔵弾性率G’が0.3MPa以下であるからといって、25℃、周波数106Hzにおける貯蔵弾性率E’が900MPa(0.3×3×103)以下となる蓋然性が高いとまではいえない。

(イ) また、甲7でいう本発明は、少なくとも偏光膜を含む光学フィルムと、複数の特定の粘着剤層を用いることで、繰り返しの屈曲に対してもハガレや破断することがなく、耐屈曲性や密着性に優れたフレキシブル画像表示装置用積層体を提供することを課題として、複数の粘着剤層と、少なくとも偏光膜を含む光学フィルムと、を含むフレキシブル画像表示装置用積層体において、前記偏光膜の厚みが、20μm以下であり、前記複数の粘着剤層のうち、前記積層体を折り曲げた場合の凸側の最外面の粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率G’が、他の粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率G'と略同一、又は、小さい構成としたものであるところ、粘着剤層の貯蔵弾性率G’については、【0071】に、「本発明のフレキシブル画像表示装置用和層体に用いる粘着剤層の貯蔵弾性率(G’)は、25℃において、好ましくは1.0MPa以下であり、より好ましくは0.8MPa以下であり、更に好ましくは、0.3MPa以下である。」と記載さされているにとどまり、甲7には、粘着剤層の、25℃、周波数106Hzにおける貯蔵弾性率E’を1GPa以下とする技術思想はない。このことは、甲1〜甲6及び甲8を検討しても同様である。

(3) 小括
以上のとおりであるから、本件特許発明1〜5が、甲7に記載された発明であるとも、本件特許発明1〜5が、甲7に記載された発明及び甲1〜甲6、甲8に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということができない。
本件特許発明1〜5のいずれかの構成を全て具備し、これに限定を加えた、本件特許発6〜13についても同様である。
したがって、特許異議申立人の特許異議申立書における、甲7を主引用例とする新規性進歩性に係る主張を採用することはできない。


第7 むすび
本件特許発明1〜13は、いずれも、取消理由通知書に記載した取消しの理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。
また、他に本件特許発明1〜13を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フィルムと、該樹脂フィルムの少なくとも片面に配された衝撃吸収層とを有する光学フィルムであって、前記衝撃吸収層の、25℃、周波数106Hzにおける貯蔵弾性率E’が1GPa以下であり、
前記光学フィルムが偏光板の保護フィルムとして用いるための、又は、タッチパネルもしくはタッチパネルディスプレイの前面板として用いるためのものであり、
前記光学フィルムがタッチパネルもしくはタッチパネルディスプレイの前面板として用いるためのものである場合、前記衝撃吸収層の膜厚が5μm〜100μmである、光学フィルム(但し、前記衝撃吸収層の膜厚が25μmである光学フィルムを除く)。
【請求項2】
前記衝撃吸収層の膜厚が10μm〜80μmである請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
樹脂フィルムと、該樹脂フィルムの片面に配された衝撃吸収層と、前記衝撃吸収層が配された面とは反対側の面に配されたハードコート層とを有する光学フィルムであって、前記衝撃吸収層の、25℃、周波数106Hzにおける貯蔵弾性率E’が1GPa以下であり、前記衝撃吸収層の膜厚が5μm〜100μmである、光学フィルム(但し、前記衝撃吸収層の膜厚が25μmである光学フィルムを除く)。
【請求項4】
樹脂フィルムと、該樹脂フィルムの少なくとも片面に配された衝撃吸収層とを有する光学フィルムを偏光板の保護フィルムとして有する偏光板であって、
前記衝撃吸収層の、25℃、周波数106Hzにおける貯蔵弾性率E’が1GPa以下である、偏光板。
【請求項5】
樹脂フィルムと、該樹脂フィルムの片面に配された衝撃吸収層と、前記衝撃吸収層が配された面とは反対側の面に配されたハードコート層とを有する光学フィルムを有する偏光板であって、
前記衝撃吸収層の、25℃、周波数106Hzにおける貯蔵弾性率E’が1GPa以下である、偏光板。
【請求項6】
請求項4に記載の偏光板をリア側偏光板として有する液晶パネル。
【請求項7】
請求項5に記載の偏光板をフロント側偏光板として有する液晶パネル。
【請求項8】
請求項4に記載の偏光板をリア側偏光板として有し、かつ請求項5に記載の偏光板をフロント側偏光板として有する液晶パネル。
【請求項9】
前記リア側偏光板の前記光学フィルムが有する前記衝撃吸収層の貯蔵弾性率E’rと、前記フロント側偏光板の前記光学フィルムが有する前記衝撃吸収層の貯蔵弾性率E’fが、下記式を満たす請求項8に記載の液晶パネル。
E’f−E’r≧0
【請求項10】
タッチセンサーを備える、請求項6〜9のいずれか一項に記載の液晶パネル。
【請求項11】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学フィルムからなる前面板とタッチセンサーフィルムとを貼り合わせてなる、タッチパネル又はタッチパネルディスプレイ。
【請求項12】
請求項11に記載のタッチパネル又はタッチパネルディスプレイを有する、請求項6〜9のいずれか一項に記載の液晶パネル。
【請求項13】
請求項6〜10及び12のいずれか一項に記載の液晶パネルを有する画像表示装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2023-08-28 
出願番号 P2020-521270
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (G02B)
P 1 651・ 121- YAA (G02B)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 里村 利光
特許庁審判官 関根 洋之
河原 正
登録日 2022-01-31 
登録番号 7017628
権利者 富士フイルム株式会社
発明の名称 光学フィルム、偏光板、液晶パネル、タッチパネル及び画像表示装置  
代理人 篠田 育男  
代理人 飯田 敏三  
代理人 赤羽 修一  
代理人 弁理士法人イイダアンドパートナーズ  
代理人 弁理士法人イイダアンドパートナーズ  
代理人 飯田 敏三  
代理人 篠田 育男  
代理人 赤羽 修一  

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