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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C11D
管理番号 1403997
総通号数 24 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-12-21 
確定日 2023-10-25 
事件の表示 特願2020−513497「全炭素数14のアルキル鎖長を有するAES界面活性剤を含む洗剤組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 1月 3日国際公開、WO2019/006223、令和 2年 7月 2日国内公表、特表2020−519754〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)6月29日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2017年6月30日(以下「本件優先日」という)(US)米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年12月16日付け:拒絶理由通知書
令和3年 3月22日 :意見書及び手続補正書の提出
令和3年 8月18日付け:拒絶査定(謄本発送は、8月24日)
令和3年12月21日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 令和3年12月21日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和3年12月21日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「組成物の5重量%〜50重量%の、アルキルエトキシル化サルフェート(AES)界面活性剤及び少なくとも第2の界面活性剤を含む界面活性剤系であって、
前記AESの分子の少なくとも95質量%が14個の炭素を有するアルキル部分を含有するAESである、界面活性剤系と、
洗濯補助剤と、を含む、
洗濯洗剤組成物であって、
前記第2の界面活性剤がアミンオキシドであり、前記AES及び前記アミンオキシドが、3:1〜10:1の重量比で存在する、洗濯洗剤組成物。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和3年3月22日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「組成物の5重量%〜50重量%の、アルキルエトキシル化サルフェート(AES)界面活性剤及び少なくとも第2の界面活性剤を含む界面活性剤系であって、
前記AESの分子の少なくとも50質量%が14個の炭素を有するアルキル部分を含有するAESである、界面活性剤系と、
洗濯補助剤と、を含む、
洗濯洗剤組成物であって、
前記第2の界面活性剤がアミンオキシドであり、前記AES及び前記アミンオキシドが、3:1〜10:1の重量比で存在する、洗濯洗剤組成物。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「アルキルエトキシル化サルフェート(AES)」における「14個の炭素を有するアルキル部分を含有するAES」の重量割合について、上記のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された、本件優先日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2006−104438号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の記載がある。
a 「【請求項1】
陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤及び水を含有する液体洗浄剤組成物であって、該陰イオン界面活性剤として化学式4
【化1】

(ただし、式中、R1,R2はそれぞれ独立して炭素数1〜18の直鎖もしくは分岐アルキル基またはアルケニル基でそれぞれの合計炭素数が7〜29であり、Aは炭素数が2以上のアルキレン基であり、nはオキシアルキレン基の繰返し単位数であって0〜10の値、ただし、nが2以上の場合には、AOで表されるオキシルアルキレン基の種類は1種類または2種類以上であってもよく、該オキシアルキレン基が2種類以上の場合には、各種オキシアルキレン基が全体で平均n個であることを表し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基、または水素原子置換アンモニウム基であり、mはMの価数を表す。)で表される第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩を含み、該第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩、が洗浄剤組成物全量に対し、5〜50質量%、該非イオン界面活性剤が1〜30質量%及び水が残部であることを特徴とする液体洗浄剤組成物。」
b 「【0001】
本発明は、特定の化学構造の陰イオン界面活性剤、かかる陰イオン界面活性剤を含む組成物に関し、詳細には分子構造中に含まれるポリアルキレンエーテル鎖長の平均値が1.5〜2.5である第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩型の陰イオン界面活性剤およびかかる陰イオン界面活性剤を含む組成物に関する。」
c 「【0039】
(I.第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩型の陰イオン界面活性剤)
本発明による第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩型の陰イオン界面活性剤は、化学式1で表される化学構造を持つ。
【0040】
化学式1において、R1,R2はそれぞれ独立して炭素数1〜18の直鎖もしくは分岐アルキル基でそれぞれ合成炭素数が7〜29であり、好ましくは、7〜19である。合計値が7未満であると油汚れに対する洗浄力が低くなる。逆に、29を超えると、洗浄後の濯ぎ性が悪く、洗浄基材へのベトツキ感が残り易い。
R1またはR2の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2−エチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基などが挙げられる。」
d 「【0043】
化学式1のAOは、炭素数2以上、好ましくは2〜8のオキシアルキレン基を表す。具体的には、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシペンチレン基、オキシヘキシレン基、オキシペプチレン基、オキシオクチレン基、およびオキシフェニレン基が挙げられる。仕上がり品に期待する性状に合わせてこれらを任意に選択できるが、原料入手の容易さから親水性基としての働きを期待する上で、オキシエチレン基、オキシプロピレン基が好ましい。また、AOは、1種類のみで構成されてもよいが、2種類以上で構成されていてもよい。AOが2種類以上で構成される場合には、ランダムに、またはブロックで配置されていてもよい。例えば、ポリオキシエチレン長鎖の一部が、オキシプロピレン基に置き換わった構造でもよい。」
e 「【0055】
(第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩型の陰イオン界面活性剤を含む液体洗浄剤組成物)
本発明による第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩(化学式1)型の陰イオン界面活性剤は、単独で洗浄剤として用いることもできるが、公知の洗浄剤用界面活性剤を併用してもよい。
【0056】
このような併用可能な界面活性剤としては、例えば、アルキルフェノールアルコキシレート、高級第1級アルコールアルコキシレート、高級第2級アルコールアルコキシレート、脂肪酸アルコキシレートなどの非イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩などの陽イオン界面活性剤、アルキルベタインなどの両性イオン界面活性剤などが挙げられる。さらに、従来の陰イオン界面活性剤、例えば、アルキルアリルスルホン酸塩、高級第1級アルコール硫酸エステル塩、高級第1級アルキルエーテル硫酸エステル塩などについても、本発明の界面活性剤の性能を損なわない範囲であって、なおかつ、各界面活性剤の持つ作用効果を発現し得る範囲内で適量を配合する形で併用することも可能である。」
f 「【0064】
該組成物中の陰イオン界面活性剤において、化学式2で表される第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩成分以外の成分としては、主にポリアルキレンエーテル鎖長が2以外の第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩が含まれる。ポリアルキレンエーテル鎖長は、1あるいは3〜20であることが好ましい。例えば、JP−A−59−175463に記載の製造法により得られた高級第2級アルコールアルコキシサルフェート塩やJP−A−10−251216の製造法により得られた高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩、第一級アルコール硫酸塩、第一級アルコールアルコキシレート、アルキル硫酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩などの陰イオン界面活性剤;アルコールアルコキシレート、脂肪酸アルカノールアミド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアシルエステル、アルキルポリグリコシド、脂肪酸グリコシドエステル、脂肪酸メチルグリコシドエステル、アルキルメチルグルカミドなどの非イオン界面活性剤;アルキルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドベタイン、イミドゾリニウムベタイン、N−アルキルアミノ酸、アミンオキシドなどの両性界面活性剤などの公知の界面活性能を有する化合物ないし組成物が挙げられる。」
g 「【0152】
本発明による第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩組成物、これを用いた界面活性剤及び液体洗浄剤組成物には、従来から使用されてきた他の任意成分を本発明の液体洗浄剤組成物に洗浄力、濯ぎ感の性能を損なわない範囲で組み合わせて配合してもよい。任意成分としては、前記陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤以外に、アミンオキシドや、アルキルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン、N−アルキルアミノ酸などの両性界面活性剤、グリコール酸、クエン酸、EDTAなどの金属キレート剤、マグネシウム塩やカルシウム塩などの無機塩、エタノールやプロピレングリコールなどの液体溶剤、BHT、アスコルビン酸などの酸化防止剤、安息香酸(塩)などの防腐剤、天然多糖類や水溶性高分子物質などの増粘剤、香料、色素などを添加することができる。」
h 「【0176】
(実施例1)
<合成> 第2級ドデシルエーテル硫酸エステル塩(ポリアルキレンエーテル鎖長(平均値)=2.1)の合成
(アルキルエーテルの合成)
1−ドデセンをPQ社製BEA型ゼオライト(商品名:VALFOR CP811 BL−25)5質量%で150℃、10時間処理することによって得られたドデセン異性体混合物(1−ドデセン 25mol%、インナードデセン 75mol%からなる)810g(4.82mol)、モノエチレングリコール900g(14.52mol)、および触媒としてPQ社製B20EA型ゼオライト(supra)100gを、攪拌翼および還流冷却器を備えた3000mlのガラス製反応器に仕込んだ。該反応器の気相部を窒素で置換した後、常圧で窒素雰囲気に保持した。ついで、回転数を600rpmとして攪拌しながら150℃まで昇温し、同温度で3時間反応させた後、反応液を室温まで冷却し、上層のドデセン相を分離して蒸留した。未反応のドデセンを留出した後、減圧度2mmHgで129〜131℃の沸点範囲で第2級ドデカノールモノエトキシレート155g(0.67mol)を得た。
【0177】
この中間品および触媒とする水酸化ナトリウム0.2gをステンレス製オートクレーブに仕込んだ。その内部を窒素置換後、反応器内の圧力を窒素にて1.0kg/cm2Gとして150℃に昇温後、酸化エチレン29.5g(0.68mol)を3時間でオートクレーブに導入した。導入後、さらに1時間、150℃に保持した後、室温まで冷却し、内部の圧力をパージすることによって、ポリアルキレンエーテル鎖長が平均2.1(GC法)の第2級ドデカノールエトキシレートを得た。
【0178】
(硫酸化)
得られた第2級ドデカノールモノエトキシレートを内径5mm、長さ100cmの円筒状の反応帯域を形成する反応管を用い、その上部の液溜を経て反応管上部に設けた堰より反応管の内壁に沿って、毎分16.2gの速度で薄膜状に流下させた。同時に反応管上部に設けたノズルより、窒素ガスで希釈した無水硫酸を流入させた。流入させた全窒素ガスの反応管における流速を毎秒30mとし、流入させた全混合ガス中の無水硫酸の濃度を4容量%とした。また、硫化させた無水硫酸と硫化させた第2級ドデカノールエトキシレートとのモル比を1.1とした。エトキシレートと無水硫酸の反応で発生した反応熱は、反応管の外側を流れる冷媒により除去し、15℃に保った。反応管を出た流体は、サイクロンによって窒素ガスと反応生成物に分離した。反応生成物は、直ちに水酸化ナトリウム水溶液で中和し、所望の第2級ドデシルエーテル硫酸エステル塩の約25%水溶液を得た。」
i 「【0200】
表III−2〜9に実施例と比較例を示す。各表において、略号で記載されている界面活性剤について説明する。
AES−1:合成例(A−1)
第2級アルキルエーテル硫酸ナトリウム:炭素数:12〜14、EO/n=3、商品名:ソフタノール30S(日本触媒製)
AES−2:合成例(A−2)
第2級ドデシルエーテル硫酸ナトリウム:炭素数:12、EO/n=1
AES−3:合成例(A−3)
第2級ドデシルエーテル硫酸ナトリウム:炭素数:12、EO/n=2
AES−4:合成例(A−4)
第2級ドデシルエーテル硫酸ナトリウム:炭素数:12、EO/n=3
AES−5:合成例(A−5)
第2級テトラデシルエーテル硫酸ナトリウム:炭素数:14、EO/n=1
AES−6:合成例(A−6)
第2級テトラデシルエーテル硫酸ナトリウム:炭素数:14、EO/n=2
AES−7:合成例(A−7)
第2級テトラデシルエーテル硫酸ナトリウム:炭素数:14、EO/n=3
AES−8:合成例(A−8)
第2級ヘキサデシルエーテル硫酸ナトリウム:炭素数:16、EO/n=1
AES−9:合成例(A−9)
第2級ヘキサデシルエーテル硫酸ナトリウム:炭素数:16、EO/n=2
AES−10:合成例(A−10)
第2級ヘキサデシルエーテル硫酸ナトリウム:炭素数:16、EO/n=3
AES−11:
第1級ドデシルエーテル硫酸ナトリウム:炭素数:12、EO/n=2
AS−1:ドデシル硫酸ナトリウム
AS−2:直鎖ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム
AE−1:第2級アルキルエトキシレート:炭素数:12〜14、EO/n=7、商品名:ソフタノール70H(日本触媒製)
AE−2:第1級ドデシルエトキシレート
炭素数:12、EO/n=7」
j 「【0208】
(実施例III−40〜62)
表III−6に示す各種液体洗浄剤組成物を調製し、衣料用洗浄力、すすぎ性について評価した。その結果を表III−6に示す。なお、実施例は、発明中の陰イオン界面活性剤(化学式4)を本発明における範囲内で配合した例である。」
k 「【0212】
<すすぎ性試験>
表III−6〜9に示される衣料洗浄力試験において、すすぎ水の泡立ち度合いについて以下の基準で目視評価した。
○:泡立ちは見られない
△:多少泡立ちあり
×:泡立ちあり」
l 「【0213】
【表7】


m 「【0218】
(IV.第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩型の陰イオン界面活性剤を含む液体洗浄剤組成物)
(衣料用液体洗剤組成物)
(実施例IV−3〜18)
実施例1で得られた化合物を含む所定に化合物を配合した下記洗浄組成物について、衣料用洗浄試験を行った。その結果を表IV−1に示す。」
n 「【0220】
【表11】


o 「【0222】
表IV−1及び2において:
化合物a: ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム
(親油基:炭素数12、第1級 ポリアルキレンエーテル平均鎖長:3)
化合物b: ポリオキシエチレンアルキルエーテル
(親油基:炭素数12、第1級 ポリアルキレンエーテル平均鎖長:3)
化合物c: ポリオキシエチレンアルキルエーテル
(親油基:炭素数12〜14、第2級 ポリアルキレンエーテル平均鎖長:3)
化合物d: アルキルポリグルコシド
(親油基:炭素数9〜14、第1級 ポリグルコシド平均鎖長:1.3)
化合物e: ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド
化合物f: ヤシ油ラウリルジメチルアミンオキシド
化合物g: ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド
化合物h: 石鹸
化合物i: 炭酸ナトリウム
化合物j: ケイ酸ナトリウム
化合物k: モノエタノールアミン
化合物l: ジエタノールアミン
化合物m: エタノール
化合物n: プロピレングリコール
化合物o: ポリアクリル酸ナトリウム
化合物p: クエン酸ナトリウム
化合物q: ポリエチレングリコール
化合物r: カルボキシメチルセルロース
化合物s: プロテアーゼ
化合物t: リパーゼ
化合物u: 水
B:全体を100とするためのバランス量」
(イ)上記記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
a 引用文献1の【0213】に記載された実施例III−57に注目すると、「AES−5」10.0質量%と、「AE−1」5.0質量%と、「ポリアミン」2.0質量%と、「エタノール」2.0質量%と、「ポリエチレングリコール」2.0質量%と、「水」残部とを含有する「液体洗浄剤組成物」が記載されている。
b ここで、上記「AES−5」は、【0200】の記載より、界面活性剤の略称を意味しており、アルキル部分の炭素数が14である、第2級テトラデシルエーテル硫酸ナトリウムであると認められる。
c また、上記「AE−1」は、【0200】の記載より、界面活性剤の略称であり、第2級アルキルエトキシレートであると認められる。
d さらに、【0208】の記載より、上記「液体洗浄剤組成物」は、衣料用洗浄力を有するものであり、衣料用の液体洗浄剤組成物であると認められる。
(ウ)上記(ア)、(イ)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「組成物の10.0質量%の第2級テトラデシルエーテル硫酸ナトリウム界面活性剤と、組成物の5.0質量%の第2級アルキルエトキシレート界面活性剤を含む界面活性剤系であって、前記第2級テトラデシルエーテル硫酸ナトリウム界面活性剤の分子の100質量%が14個の炭素を有するアルキル部分を含有する、界面活性剤系と、組成物の2.0質量%のポリアミンと、組成物の2.0質量%のエタノールと、組成物の2.0質量%のポリエチレングリコールと、組成物の残部の水を含む、衣料用の液体洗浄剤組成物。」
イ 引用文献2
原査定の拒絶の理由で引用された、本件優先日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開昭59−166599号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の記載がある。
(ア)第6頁右下欄第11〜14行
「技術分野
本発明は、洗剤組成物内に使用した場合に粘土汚れ除去性/再付着防止性を有する陽イオン化合物に関する。」
(イ)第11頁右上欄第2〜6行
「陽イオン化合物に加えて、洗剤組成物は、非イオン洗剤界面活性剤、陰イオン洗剤界面活性剤、両性洗剤界面活性剤、双性洗剤界面活性剤、陽イオン洗剤界面活性剤またはそれらの混合物約l〜約75重量%を更に含有する。」
(ウ)第24頁左下欄第13行〜右下欄9行
「洗剤界面活性剤
本発明の洗剤組成物内に配合される洗剤界面活性剤の量は、使用される洗剤界面活性剤、処方すべき組成物の種類(例えば、粒状、液体)および望まれる効果に応じて組成物の約1〜約75重置%で変化できる。好ましくは、洗剤界面活性剤は、組成物の約10〜約50重量%を構成する。洗剤界面活性剤は、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、双性界面活性剤、陽イオン界面活性剤またはそれらの混合物であることができる。
A、非イオン界面活性剤
本発明の洗剤組成物で使用するのに好適な非イオン界面活性剤は、一般に米国特許第3,929,678号明細書第13欄第14行〜第16欄第6行に開示されている。包含される非イオン界面活性剤の種類は、次の通りである。」
(エ)第25頁左下欄第18行〜第26頁左上欄第9行
「5.半極性非イオン洗剤界面活性剤、例えば炭素数約10〜18のアルキル部分1個および炭素数l〜約3を有するアルキル基およびヒドロキシアルキル基からなる群から選択される部分2個を含有する水溶性アミンオキシド;炭素数約10〜18のアルキル部分1個および炭素数約1〜3を有するアルキル基およびヒドロキシアルキル基からなる群から選択される部分2個を含有する水溶性ホスフィンオキシド;および炭素数約10〜18のアルキル部分1涸および炭素数約1〜3のアルキル部分およびヒドロキンアルキル部分からなる群から選択される部分1個を含有する水溶性スルホキシド。
好ましい半極性非イオン洗剤界面活性剤は、式

(式中、R3は炭素数約8〜約22を有するアルキル基、ヒドロキシアルキル基またはアルキルフェニル基またはそれらの混合物;R4は炭素数2〜3を有するアルキレン基またはヒドロキシアルキレン基またはそれらの混合物であり;xは0〜約3であり;そして各R5は炭素数1〜約3を有するアルキル基またはヒドロキンアルキル基または1〜約3個のエチレンオキシド基を含有するポリエチレンオキシド基である)
を有するアミンオキシド洗剤界面活性剤である。
R5基は、例えば酸素原子または窒素原子を通じて互いに結合されて環構造を形成できる。
好ましいアミンオキシド洗剤界面活性剤は、C10〜C18アルキルジメチルアミンオキンドおよびC8〜C12アルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキンドである。」
(オ)第26頁右下欄第19行〜第27頁左下欄第12行
「B.陰イオン界面活性剤
本発明の洗剤組成物内で好適な陰イオン界面活洗剤は、一般に米国特許第3,929,678号明細書第23欄第58行〜第29欄第23行に開示されている。包含される陰イオン界面活性剤の種類は、次の通りである。
1.炭素数約8〜約24、好ましくは炭素数約10〜約20を有する高級脂肪酸の通常のアルカリ石けん、例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩およびアルキロールアンモニウム塩
2.それらの分子構造内に炭素数約10〜約20のアルキル基およびスルホン酸エステル基または硫酸エステル基を有する有機硫酸反応生成物の水溶性塩、好ましくはアルカリ金属塩、アンモニウム塩およびアルキロ−ルアンモニウム塩(「アルキル」なる用語にはアシル基のアルキル部分が包含される)
この群の陰イオン界面活性剤の例は、アルキル硫酸ナトリウムおよびアルキル硫酸カリウム、特にタローまたはやし油のグリセリドを還元することによって生成されたもののような高級アルコール(C8〜C18炭素数)を硫酸化することによって得られるもの;およびアルキル基が直鎖または分枝鎖配置内に炭素数約9〜約15を有するアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびアルキルベンゼンスルホン酸カリウム、例えば米国特許第2、220,099号明細書および第2,477,383号明細書に記載の種類のものである。アルキル基内の平均炭素数が約11〜13である線状直鎖アルキルベンゼンスルホネート(略称C11〜C13LAS)が、特に価値がある。
この種の好ましい陰イオン界面活性剤は、アルキルポリエトキンレートサルフェート、特にアルキル基が炭素数約10〜約22、好ましくは約12〜約18を有し、かつポリエトキンレート鎖が約1〜約15個のエトキシレート部分、好ましくは約1〜約3個のエトキシレート部分を含有するものである。これらの陰イオン洗剤界面活性剤は、ヘビーデユーティー液体洗濯洗剤組成物を処方するのに特に望ましい。
この種類の他の陰イオン界面活性剤は、アルキルグリセリルエーテルスルホン酸ナトリウム、特にタローおよびやし油から誘導される高級アルコールのエーテル;やし油脂肪酸モノグリセリドスルホン酸ナトリウムおよびやし油脂肪酸モノグリセリド硫酸ナトリウム;1分子当たり約1〜約10単位のエチレンオキシドを含有し、かつアルキル基が炭素数約8〜約12を有するアルキルフェノールエチレンオキシドエーテル硫酸のナトリウム塩またはカリウム塩;および1分子当たり約1〜約10単位のエチレンオキシドを含有し、かつアルキル基が炭素数約10〜約20を有するアルキルエチレンオキシドエーテル硫酸のナトリウム塩またはカリウム塩である。」
(カ)第31頁左上欄第1行〜右下欄第7行
「中性付近の洗浄pH洗剤処方物
本発明の洗剤組成物は広範囲の洗浄pH(例えば、約5〜約12)の範囲内で操作可能であるが、中性付近の洗浄pH、即ち20℃で水中に約0.1〜約2重量%の濃度で初期pH約6.0〜約8.5を与えるように処方された場合に特に安定である。中性付近の洗浄pHの処方物は、酵素安定性に対してより良好であり、かつしみが固定するのを防止するのにより良好である。この種の処方物においては、洗浄pHは好ましくは約7.0〜約8.5、更に好ましくは約7.5〜約8.0である。
好ましい中性付近の洗浄pH洗剤処方物は、1982年5月24日出願の米国特許出願第380,988号明細書に開示されている。これらの好ましい処方物は、
(a)前記のような陰イオン合成界面活性剤約2〜約60重量%(好ましくは約10〜約25重量%)
(b)(I)式

(式中、R2、各R3、R4、R5、Xおよびyはは前記の通りである)
を有する第四級アンモニウム界面活性洗剤
(II)式

(式中、R2、R3、R4、yおよびXは前記の通りである)
を有するジ第四級アンモニウム界面活性剤(C8〜C16アルキルペンタメチルエチレンジアミンクロリド、プロミドおよびメチル硫酸塩が特に好ましい)
(iii)式

(式中、R2、R3、R4、R5およびyは前記の通りである)
を有するアミン界面活性剤(C12〜C16アルキルジメチルアミンが特に好ましい)
(iv)式

(式中、R2、R3、R4、R5およびyは前記の通りである)
を有するジアミン界面活性剤(C12〜C16アルキルジメチルジアミンが特に好ましい)
(v)式

(式中、R2、R3、R4、R5およびyは前記の通りである)
を有するアミンオキシド界面活性剤(C12〜C16アルキルジメチルアミンオキシドが特に好ましい)および
(vi)式

(式中、R2、R3、R4、R5およびyは前記の通りである)
を有するジ(アミンオキシド)界面活性剤(C12〜C16アルキルトリメチルエチレンジ(アミンオキシド)が好ましい)
からなる群から選択される共界面活性剤約0.25〜約12重量%(好ましくは、約l〜約4重量%)
(c)炭素数約10〜約22を有する脂肪酸(好ましくはC10〜C14飽和脂肪酸またはそれらの混合物)約5〜約40重量%(好ましくは7〜約30重量%、最も好ましくは約10〜20重量%)
からなり、陰イオン界面活性剤対共界面活性剤のモル比は少なくともl、好ましくは約2:1から約20:1である。」
(キ)第32頁右上欄第1〜18行
「具体例II
液体洗剤組成物は、次の通りである。

諸成分は、連続的混合下に添加されて組成物を調製する。ランダム共重合体の代わりに、例3のポリウレタン、例5aのPEA、例5bのPEIまたは例6のジアリルアミン重合体が使用できる。」
ウ 引用文献3
原査定の拒絶の理由で引用された、本件優先日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開昭60−106892号公報(以下、「引用文献3」という。)には、次の記載がある。
(ア)特許請求の範囲
「1、重量で
(a)酸基準で、式C10〜C16アルキル基またはアルケニル基を含有するスルホネート界面活性剤約5%〜約15%、
(b)酸基準で、式RO(C2H4O)mSO3M(式中、Rは式C10〜C16アルキル基またはヒドロキシアルキル基であり、mは約0.5〜約4であり、そしてMは相溶性陽イオンである)のアルコールエトキシレートサルフェート界面活性剤約8%〜約18%、
(c)式R1(OC2H4)nOH(式中、R1はC10〜C16アルキル基またはC8〜C12アルキルフエニル基であり、nは約3〜約9である)のエトキシ化非イオン界面活性剤(前記非イオン界面活性剤はHLB約10〜約13を有する)約2%〜約15%、
(d)(i)式

〔式中、R2はアルキル鎖内に炭素数約6〜約16を有するアルキル基またはアルキルベンジル基であり;各R3は−CH2CH2−、−CH2CH(CH3)−、−CH2CH(CH2OH)−、−CH2CH2CH2−、およびそれらの混合物からなる群から選択され;各R4はC1〜C4アルキル、C1〜C4ヒドロキシアルキル、ベンジルおよび水素(yが0ではないとぎ)からなる群から選択され;R5はR4と同一であるかR2+R5の会計炭素数が約8〜約16であるアルキル鎖であり;各yは0〜約10であり、そしてy値の和は0〜約15であり、そしてXは相溶性陰イオンである〕を有する第四級アンモニウム界面活性剤、
(ii)式

(式中、R2、R3、R4、R5およびyは前記の通りである)
を有するアミン界面活性剤、
(iii)式

(式中、R2、R3、R4、R5およびyは前記の通りである)
を有するアミンオキシド界面活性剤
からなる群から選択される補助界面活性剤約0%〜約5%、
(e)C10〜C14飽和脂肪酸約5%〜約20%(C10〜C12脂肪酸対C14脂肪酸の重量比は少なくとも1である)、
(f)酸基準で、水溶性ポリカルボキシレートビルダー物質約3%〜約8%、
(g)モノエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンからなる群から選択されるアルカノールアミン約0〜約0.04モル/組成物100g、
(h)カリウム対ナトリウムのモル比約0.1〜約1.3のカリウムイオンおよびナトリウムイオン、
(i)エタノール約2%〜約10%、
(j)炭素数2〜6および2〜6個のヒドロキシ基を有するポリオール約2%〜約15%、および
(k)水約25%〜約40%
からなり、(a)、(b)、(c)および(d)約20%〜約35%;(e)および(f)約8%〜約28%;(a)、(b)、(c)、(d)、(e)および(f)約33%〜約50%;(i)および(j)約8%〜約20%;および(i)、(j)および(k)約35%〜約55%を含有し;(a)対(b)の重量比は約0.3〜約1.7であり;(a)+(b)対(c)の重量比は約1〜約10であり;前記成分のすべては、68°F(20℃)の水中で約10重量%の濃度において初期pH約7.5〜約9.0を有する55°F(12.8℃)で等方性の液体を与えるように選択されることを特徴とする、ヘビーデューテイー液体洗剤組成物。」
(イ)第3頁左上欄第1〜13行
「技術分野
本発明は、スルホネート界面活性剤、アルコールエトキシレートサルフェート界面活性剤、エトキシ化非イオン界面活性剤、場合によって配合される第四級アンモニウム、アミンまたはアミンオキシド界面活性剤、飽和脂肪酸、ポリカルボキシレートビルダー、ナトリウムとカリウムと好ましくは少量のアルカノールアミンとからなる中和系、およびエタノールとポリオールと水とからなる溶媒系を含有するヘビーデューティー液体洗剤組成物に関する。本組成物は、高水準の洗浄性能および改善された塩素漂白剤相溶性を与える等方性液体である。」
(ウ)第4頁左下欄第12〜13行
「本組成物は、各種の洗濯条件下で高水準の洗浄性能を与えるように処方される。」
(エ)第5頁右上欄第16行〜左下欄第15行
「アルコールエトキシレートサルフェート界面活性剤
また、本組成物は、式RO(C2H4O)mSO3M〔式中、RはC10〜C16アルキル基(好ましい)またはヒドロキシアルキル基であり、mは約0.5〜約4であり、そしてMは相溶性陽イオンである〕のアルコールエトキシレートサルフェート界面活性剤を含有する。この界面活性剤は、組成物の約8〜約18重量%、好ましくは約9〜約14重量%(酸基準)を表わす。
前記式の好ましいアルコールエトキシレートサルフェート界面活性剤は、R置換基がC12〜C15アルキル基であり、かつmが約1.5〜約3であるものである。このような物質の例は、C12〜C15アルキルポリエトキシレート(2.25)サルフェート(C12〜15E2.25S)、C14〜15E2.25S、C12〜13E1.5S、C14〜15E3S、およびそれらの混合物である。前記物質のナトリウム塩、カリウム塩、モノエタノールアンモニウム塩、およびトリエタノールアンモニウム塩が、好ましい。」
(オ)第5頁右下欄第11〜16行
「補助界面活性剤
本組成物は、或る種の第四級アンモニウム、アミン、およびアミンオキシドから選択される補助界面活性剤約0〜約5重量%、好ましくは約0.5〜約3重量%を含有できる。第四級アンモニウム界面活性剤が、特に好ましい。」
(カ)第6頁左下欄第3〜18行
「本発明で有用なアミンオキシド界面活性剤は、式

(式中、R2、R3、R4、R5およびy置換基は、第四級アンモニウム界面活性剤の場合に前で定義された通りである)
を有する。C12〜16アルキルジメチルアミンオキシドが、特に好ましい。
アミン界面活性剤およびアミンオキシド界面活性剤は、本系において部分的にだけプロトン化されるので、好ましくは第四級アンモニウム界面活性剤よりも多い量で使用される。例えば、本発明の好ましい組成物は、第四級アンモニウム界面活性剤約0.5%〜約1.5%、またはアミン界面活性剤またはアミンオキシド界面活性剤約1%〜約3%を含有できる。」
(キ)第10頁左下欄第4行〜第11頁左上欄第3行
「例II
本発明の以下の液体洗剤は、例Iの組成物Aの場合と同一の添加順序を使用して調製された。組成物は、55°F(12.8℃)で安定な等方性液体であった。




(3)対比・判断
ア 本件補正発明と引用発明1との対比・判断
(ア)本件補正発明と引用発明1とを対比する。
引用発明1の「第2級テトラデシルエーテル硫酸ナトリウム界面活性剤」は、本件補正発明の「アルキルエトキシル化サルフェート(AES)界面活性剤」に相当し、その分子全てが14個の炭素を有するアルキル部分を持つから、「前記AESの分子の少なくとも95質量%が14個の炭素を有するアルキル部分を含有するAESである」を充足する。
引用発明1の「第2級アルキルエトキシレート界面活性剤」と本件補正発明の「アミンオキシド」は、いずれも、主たる界面活性剤に併用される界面活性剤であるから、ともに「併用される他の界面活性剤」である点で共通する。
引用発明1の「ポリアミン」、「エタノール」、「ポリエチレングリコール」及び「水」は、本件補正発明の「洗濯補助剤」に相当する。
引用発明1は、「組成物の10.0質量%の第2級テトラデシルエーテル硫酸ナトリウム界面活性剤」と、「組成物の5.0質量%の第2級アルキルエトキシレート界面活性剤」を含むので、界面活性剤の含有量は組成物の15.0質量%であり、本件補正発明の「組成物の5重量%〜50重量%」を充足する。
(イ)以上より、本件補正発明と引用発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。
本件補正発明と引用発明1とは、
「組成物の5重量%〜50重量%の、アルキルエトキシル化サルフェート(AES)界面活性剤及び少なくとも併用される他の界面活性剤を含む界面活性剤系であって、
前記AESの分子の少なくとも95質量%が14個の炭素を有するアルキル部分を含有するAESである、界面活性剤系と、
洗濯補助剤と、を含む、
洗濯洗剤組成物。」
の点で一致し、次の点で相違する。
(相違点1)
併用される他の界面活性剤が、本件補正発明は、「アミンオキシド」であり、「前記AES及び前記アミンオキシドが、3:1〜10:1の重量比で存在する」のに対し、引用発明1は、第2級アルキルエトキシレート界面活性剤であって、アミンオキシドを含まない点。
(ウ)判断1
以下、相違点1について検討する。
a 引用文献1の【0055】、【0056】、【0064】及び【0152】において、第2級アルキルエーテル硫酸塩型の陰イオン界面活性剤を用いた液体洗浄剤組成物には、公知の洗浄用界面活性剤を併用してもよいことが記載されており、非イオン界面活性剤、アミンオキシド等の両性界面活性剤を併用することができることが記載されている。
b 引用文献1の【0220】における実施例IV−9に注目すると、「実施例1の化合物」20質量%、「化合物b」10質量%、「化合物f」3質量%、「化合物i」2質量%、「化合物k」2質量%、「化合物m」2質量%、「化合物o」2質量%、「化合物q」2質量%、「化合物s」1質量%、「化合物u」Bを含む衣料用液体洗浄剤組成物が記載されている。
c ここで、引用文献1の「実施例1の化合物」は、同【0176】〜【0178】の記載から、第2級ドデシルエーテル硫酸エステル塩であり、炭素数12のアルキル部分を有するものと認められる。また、同【0222】の記載から、「化合物b」はポリオキシエチレンアルキルエーテル(親油基:炭素数12、第1級 ポリアルキレンエーテル平均鎖長:3)であり、「化合物f」はヤシ油ラウリルジメチルアミンオキシドであり、「化合物i」は炭酸ナトリウムであり、「化合物k」はモノエタノールアミンであり、「化合物m」はエタノールであり、「化合物o」はポリアクリル酸ナトリウムであり、「化合物q」はポリエチレングリコールであり、「化合物s」はプロテアーゼであり、「化合物u」は水であり、「化合物u」の「B」は全体を100とするためのバランス量であると認められる。
d そして、上記「第2級ドデシルエーテル硫酸エステル塩」が本件補正発明の「アルキルエトキシル化サルフェート(AES)界面活性剤」に相当し、同「ポリオキシエチレンアルキルエーテル(親油基:炭素数12、第1級 ポリアルキレンエーテル平均鎖長:3)」及び「ヤシ油ラウリルジメチルアミンオキシド」が本件補正発明の「併用される他の界面活性剤」に相当し、その内の「ヤシ油ラウリルジメチルアミンオキシド」が本件補正発明の「アミンオキシド」に相当し、同「炭酸ナトリウム」、「モノエタノールアミン」、「エタノール」、「ポリアクリル酸ナトリウム」、「ポリエチレングリコール」、「プロテアーゼ」及び「水」が、本件補正発明の「洗濯補助剤」に相当する。
e さらに、「第2級ドデシルエーテル硫酸エステル塩」と「ヤシ油ラウリルジメチルアミンオキシド」の界面活性剤の重量比は、「20:3」であり、本件補正発明のアルキルエトキシル化サルフェートとアミンオキシドの重量比「3:1〜10:1」を充足するものである。
f そうすると、引用文献1には、第2級アルキルエーテル硫酸塩型の陰イオン界面活性剤とともに、非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテル(親油基:炭素数12、第1級 ポリアルキレンエーテル平均鎖長:3)と、両性界面活性剤であるヤシ油ラウリルジメチルアミンオキシドを併用すること、及び「第2級アルキルエーテル硫酸型の陰イオン界面活性剤」と「ヤシ油ラウリルジメチルアミンオキシド」の重量比は20:3であることが記載されていることになる。
g そうしてみると、引用発明1において、第2級テトラデシルエーテル硫酸ナトリウム界面活性剤と併用する界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(親油基:炭素数12、第1級 ポリアルキレンエーテル平均鎖長:3)とヤシ油ラウリルジメチルアミンオキシドを採用すること、その重量比として、第2級テトラデシルエーテル硫酸ナトリウム界面活性剤10重量%に対して、ヤシ油ラウリルジメチルアミンオキシド1.5重量%とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
h そして、本件補正発明の効果について検討すると、本願明細書には、実施例として、炭素数14のアルキル基を100%含むAESを用いた界面活性剤が、炭素数12のアルキル部分を67%、炭素数14のアルキル部分を26%、炭素数16のアルキル部分を6%、炭素数18のアルキル部分を1%含むAESを用いた界面活性剤と比較して、低い最小界面張力又は高い染み除去効果を示すことが記載されている(【0136】、【0137】、【0140】、【0141】、【0145】、【0146】、【0149】、【0150】)。しかしながら、引用発明1は、炭素数14のアルキル部分を100%含むAESを界面活性剤として用いるものであり、引用文献1に、炭素数14のアルキル部分を95質量%以上含むことの効果について説明する記載がないとしても、炭素数14のアルキル部分を100%含むAESを界面活性剤として用いるものである以上、本件補正発明同様の効果を奏するものと認められる。また、本願明細書【0140】の記載から、炭素数14のアルキル部分を100%含むAESを界面活性剤として用いても、炭素数12のアルキル部分を67%、炭素数14のアルキル部分を26%、炭素数16のアルキル部分を6%、炭素数18のアルキル部分を1%含むAESを界面活性剤として用いても、所定の重量比のアミンオキシドを併用することで最小界面張力の値が低くなるものであり、炭素数14のアルキル部分を100%含むAESとアミンオキシドを併用することで顕著な効果を奏するとまでは認められない。よって、本件補正発明が、引用文献1の記載から当業者が予測し得ない顕著な効果を奏するものであるとは認められない。
(エ)判断2
以下、相違点1について上記(ウ)と別の観点から検討する。
a 引用文献1には、【0055】、【0056】、【0064】及び【0152】において、第2級アルキルエーテル硫酸塩型の陰イオン界面活性剤を用いた液体洗浄剤組成物には、公知の洗浄用界面活性剤を併用してもよいことが記載されており、非イオン界面活性剤、アミンオキシド等の両性界面活性剤を併用することができることが記載されている。
b そして、液体洗剤組成物において、界面活性剤としてAESとアミンオキシドを所定量で併用することは周知である(引用文献1【0056】、【0220】実施例IV−9、引用文献2第24頁左下欄第13行〜右下欄第3行、第31頁左上欄第1行〜右下欄第7行、第32頁具体例II、引用文献3第5頁右上欄第16行〜左下欄第5行、第6頁左下欄第3〜18行、第10頁例II等参照)。
c そうしてみると、引用発明1において、第2級テトラデシルエーテル硫酸ナトリウム界面活性剤と併用する界面活性剤として、液体洗浄剤組成物においてAESと併用する界面活性剤として周知であるアミンオキシドを採用すること、その配合量を他の配合成分や所望とする洗浄力等に応じて適宜調整し、第2級テトラデシルエーテル硫酸ナトリウム界面活性剤とアミンオキシドの重量比が3:1〜10:1の範囲内となるようにすることは、当業者が容易になし得たことである。
d そして、本件補正発明の効果について検討すると、上記(ウ)hのとおり、引用発明1は、炭素数14のアルキル部分を100%含むAESを界面活性剤として用いるものであり、本件補正発明同様の効果を奏するものと認められるため、本件補正発明が、引用発明1と比較して顕著な効果を奏するとは認められない。また、上記(ウ)hのとおり、アミンオキシドとの併用の効果は、炭素数14のアルキル部分を100%含むAESを用いた場合に奏する顕著な効果とはいえず、また本願明細書には、AESとアミンオキシドの重量比を3:1〜10:1と特定することにより他の重量比の場合と比較して顕著な効果を奏することが具体的に実験例として記載されていないので、炭素数14のアルキル部分を100%含むAESとアミンオキシドを3:1〜10:1の重量比で含むことにより、引用文献1及び周知技術から予測し得ない顕著な効果を奏するとは認められない。
イ 審判請求人の主張について
審判請求人は、審判請求書において、「引用文献1が炭素数14であるアルキルエーテル硫酸ナトリウムが優れていることを示唆しているとは言えません」と主張している。しかしながら、引用発明1は、炭素数14であるアルキルエーテル硫酸ナトリウムを使用するものであることから、炭素数14のAESを用いるという点は相違点とはならず、相違点1に係る効果の顕著性の主張とはなっていない。また、炭素数が14であることが優れているという記載がなくても、引用発明1が炭素数14のAESを用いたものである以上、本件補正発明と同様の効果を奏すると認められるので、本件補正発明が、引用発明1と比較して顕著な効果を奏するとは認められない。よって、上記出願人の主張を考慮しても、本件補正発明が、当業者が容易になし得たものではないとは認められない。
また、審判請求人は、審判請求書において、「引用文献1の実施例IV−9〜10はアルキルエーテル硫酸として炭素数12の化合物を用いており、本願発明で使用するアルキルエーテル硫酸とは異なります。さらに、この実施例では、アミンオキシド以外の成分も多数記載されており、炭素数14のアルキル基を有するアルキルエーテル硫酸とアミンオキシドを本願発明で規定する重量比で併用することを示唆しているとは言えません。」とし、「引用文献1の実施例IV−9〜10の記載から、本願所定範囲のアミンオキシドを配合する動機は存在するとの見解は不当」であると主張している。しかしながら、引用文献1には、第2級アルキルエーテル硫酸塩型の陰イオン界面活性剤とアミンオキシド等の公知の洗浄用界面活性剤を併用してもよいことが記載され(【0064】、【0152】)、実施例において、実際にアミンオキシドを併用した例が記載されていること(【0220】実施例IV−9)、また実施例IV−3〜18において、第2級テトラデシルエーテル硫酸ナトリウム界面活性剤と併用している界面活性剤は化合物a〜hの8種類にすぎず、ヤシ油ラウリルジメチルアミンオキシドを選択することが困難なほど多くの種類の界面活性剤が具体的に記載されているともいえないことから、引用発明1と同一文献にアミンオキシドを併用する技術が具体的に記載されているといえるため、炭素数14のアルキル部分を100%含むAESを界面活性剤として用いる引用発明1において、AESと併用する界面活性剤としてアミンオキシドを採用する動機は十分に存在するものと認められる。また、引用文献1の実施例IV−9では、第2級アルキルエーテル硫酸塩型とアミンオキシドの重量比は20:3(約6.7:1)であり、本件補正発明で規定する重量比3:1〜10:1に含まれるものである。したがって、上記出願人の主張は採用できない。
また、液体洗剤組成物において、界面活性剤としてAESとアミンオキシドを所定量で併用することは周知であることも考慮すると、引用発明1において、アミンオキシドを所定量で併用する動機はやはり十分に存在するものと認められるため、上記出願人の主張は採用できない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件補正発明は、引用発明1に基づいて、又は引用発明1及び周知技術に基づいて、本件優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
令和3年12月21日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和3年2月22日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、本件優先権日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。

引用文献1:特開2006−104438号公報
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項は、上記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、上記第2の[理由]2で検討した本件補正発明において、「前記AESの分子の少なくとも95質量%が14個の炭素を有するアルキル部分を含有するAESである」について、「少なくとも95質量%」を「少なくとも50質量%」としたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに「前記AESの分子」のうち「14個の炭素を有するアルキル部分を含有するAES」の割合を減縮したものに相当する本件補正発明が、上記第2の[理由]2(3)に記載した理由と同じ理由により、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。

審判長 関根 裕
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
 
審理終結日 2023-05-24 
結審通知日 2023-05-30 
審決日 2023-06-14 
出願番号 P2020-513497
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C11D)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 関根 裕
特許庁審判官 門前 浩一
安積 高靖
発明の名称 全炭素数14のアルキル鎖長を有するAES界面活性剤を含む洗剤組成物  
代理人 大宅 一宏  
代理人 梶並 順  
代理人 曾我 道治  
代理人 佐藤 さおり  

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