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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 H02M 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 H02M |
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管理番号 | 1404787 |
総通号数 | 24 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2023-12-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2022-12-14 |
確定日 | 2023-10-02 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | true |
事件の表示 | 特許第7116439号発明「直流電源装置及びこれを搭載した空気調和機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第7116439号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2〜6〕について訂正することを認める。 特許第7116439号の請求項1、2、3、4、5、6に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第7116439号(以下、「本件特許」という。)の請求項1〜6に係る特許についての出願は、平成27年9月7日の出願である特願2015−175308号の一部を新たな特許出願とした特願2019−189638号の一部を、令和3年4月20日に新たに特許出願としたものであって、令和4年8月2日にその特許権の設定が登録され、令和4年8月10日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立て以降の経緯は、次のとおりである。 令和4年12月14日 :特許異議申立人 角田 朗(以下、「申立人」 という。)による本件特許に対する特許異議の 申立て 令和5年4月27日付け:取消理由通知書 令和5年7月 5日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 なお、当審から令和5年7月18日付けで申立人に対して訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)を、期間を指定して行ったが、当該期間内に申立人からは応答がなかった。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和5年7月5日に提出された訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項2〜6について訂正することを求めるものであり、その訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、訂正箇所に下線を付して示すと、以下のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項2に「前記第3のMOSFET及び第4のMOSFETの逆回復時間が、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのゲート信号をオン信号からオフ信号に切替えたときの逆回復時間よりも長く、 前記リアクトルと第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETの駆動信号のパルス幅は、前記リアクトルに流れる電流と電圧との力率が85%以上となるように変調される、」と記載されているのを、「前記第3のMOSFET及び第4のMOSFETの逆回復時間が、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのゲート信号をオン信号からオフ信号に切替えたときの逆回復時間よりも長く、 前記制御回路は、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのうち、前記リアクトルと前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETとを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETをオフし、さらに所定時間経過後に、前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオンし、前記リアクトルが前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して交流電源を短絡する側のMOSFETをオンする所定時間前に前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオフする動作を、前記交流電源の半周期内に複数回繰返し、 前記リアクトルと第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETの駆動信号のパルス幅は、前記リアクトルに流れる電流と電圧との力率が85%以上となるように変調される、」に訂正する(請求項2を引用している請求項4〜6も同様に訂正する。) (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項3に「前記第3のMOSFET及び第4のMOSFETの逆回復時間が、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのゲート信号をオン信号からオフ信号に切替えたときの逆回復時間よりも長く、 前記リアクトルと第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETの駆動信号は、3ショット以上である、」と記載されているのを、「前記第3のMOSFET及び第4のMOSFETの逆回復時間が、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのゲート信号をオン信号からオフ信号に切替えたときの逆回復時間よりも長く、 前記制御回路は、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのうち、前記リアクトルと前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETとを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETをオフし、さらに所定時間経過後に、前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオンし、前記リアクトルが前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して交流電源を短絡する側のMOSFETをオンする所定時間前に前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオフする動作を、前記交流電源の半周期内に複数回繰返し、 前記リアクトルと第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETの駆動信号は、3ショット以上である、」に訂正する(請求項3を引用している請求項4〜6も同様に訂正する。) 2 訂正の適否 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的について 訂正事項1は、訂正前の請求項2では、制御回路が第1のMOSFET及び第2のMOSFETを制御する際の処理を特定していたが、訂正後の請求項2では、「前記制御回路は、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのうち、前記リアクトルと前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETとを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETをオフし、さらに所定時間経過後に、前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオンし、前記リアクトルが前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して交流電源を短絡する側のMOSFETをオンする所定時間前に前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオフする動作を、前記交流電源の半周期内に複数回繰返し」と記載することにより、制御回路が第1のMOSFET及び第2のMOSFETを制御する際の処理をさらに具体的に特定しているものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求項の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アの理由から明らかなように、訂正事項1は、「前記制御回路は、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのうち、前記リアクトルと前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETとを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETをオフし、さらに所定時間経過後に、前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオンし、前記リアクトルが前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して交流電源を短絡する側のMOSFETをオンする所定時間前に前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオフする動作を、前記交流電源の半周期内に複数回繰返し」と記載することにより、制御回路が第1のMOSFET及び第2のMOSFETを制御する際の処理をさらに具体的に特定しているものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 本件特許の願書に添付した明細書(以下、「本件特許明細書」という。)の段落0053には、「前記に述べた制御を制御回路16に備えれば、2つのMOSFET(Q1,Q2)のうち、リアクトル12と、ダイオードD1またはダイオードD2とを通して交流電源110を短絡する側のMOSFET(Q1,Q2)がオフしてから所定時間経過後に直流出力電源の平滑コンデンサ13に流れる側のMOSFET(Q1,Q2)をオンし、リアクトル12がダイオードD1またはダイオードD2を通して交流電源を短絡する側のMOSFET(Q1,Q2)をオンする所定時間前に平滑コンデンサ13に流れる側のMOSFET(Q1,Q2)を、オフする動作を交流電源110の半周期の期間内に複数回繰返すことができる。」と記載されている。 ここで、本件特許明細書に記載のMOSFET(Q1)及びMOSFET(Q2)は、この順で、本件特許の訂正後の請求項2における「第1のMOSFET」及び「第2のMOSFET」に相当する。 また、本件特許明細書の段落0062には、「図7は、本発明の第2実施形態に係る直流電源装置100Bの構成例を示す図であり、(a)は直流電源装置の構成と、交流電源と負荷との接続関係を示し、(b)はMOSFET(Q1,Q2,Q3,Q4)の制御信号と関連する各信号を示している。」と記載されており、段落0063には、「図7の(a)において、図1の(a)と異なるのは、MOSFET(Q3:第3のMOSFET)MOSFET(Q4:第4のMOSFET)を図1の(a)のダイオードD1、ダイオードD2の代わりにそれぞれ置き換えたことである。また、MOSFET(Q3,Q4)は、制御回路16によって制御される。図7の(a)の他の構成は、図1の(a)の構成と同じであるので重複する説明は省略する。」と記載されている。 ここで、MOSFET(Q3)及びMOSFET(Q4)は、本件特許の訂正後の請求項2における「第3のMOSFET」及び「第4のMOSFET」に相当する。 したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (3)訂正事項2について ア 訂正の目的について 訂正事項2は、訂正前の請求項3では、制御回路が第1のMOSFET及び第2のMOSFETを制御する際の処理を特定していたが、訂正後の請求項3では、「前記制御回路は、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのうち、前記リアクトルと前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETとを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETをオフし、さらに所定時間経過後に、前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオンし、前記リアクトルが前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して交流電源を短絡する側のMOSFETをオンする所定時間前に前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオフする動作を、前記交流電源の半周期内に複数回繰返し」と記載することにより、制御回路が第1のMOSFET及び第2のMOSFETを制御する際の処理をさらに具体的に特定しているものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求項の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アの理由から明らかなように、訂正事項2は、「前記制御回路は、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのうち、前記リアクトルと前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETとを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETをオフし、さらに所定時間経過後に、前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオンし、前記リアクトルが前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して交流電源を短絡する側のMOSFETをオンする所定時間前に前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオフする動作を、前記交流電源の半周期内に複数回繰返し、」と記載することにより、制御回路が第1のMOSFET及び第2のMOSFETを制御する際の処理をさらに具体的に特定しているものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 本件特許明細書の段落0053には、「前記に述べた制御を制御回路16に備えれば、2つのMOSFET(Q1,Q2)のうち、リアクトル12と、ダイオードD1またはダイオードD2とを通して交流電源110を短絡する側のMOSFET(Q1,Q2)がオフしてから所定時間経過後に直流出力電源の平滑コンデンサ13に流れる側のMOSFET(Q1,Q2)をオンし、リアクトル12がダイオードD1またはダイオードD2を通して交流電源を短絡する側のMOSFET(Q1,Q2)をオンする所定時間前に平滑コンデンサ13に流れる側のMOSFET(Q1,Q2)を、オフする動作を交流電源110の半周期の期間内に複数回繰返すことができる。」と記載されている。 ここで、本件特許明細書に記載のMOSFET(Q1)及びMOSFET(Q2)は、この順で、本件特許の訂正後の請求項2における「第1のMOSFET」及び「第2のMOSFET」に相当する。 また、本件特許明細書の段落0062には、「図7は、本発明の第2実施形態に係る直流電源装置100Bの構成例を示す図であり、(a)は直流電源装置の構成と、交流電源と負荷との接続関係を示し、(b)はMOSFET(Q1,Q2,Q3,Q4)の制御信号と関連する各信号を示している。」と記載されており、段落0063には、「図7の(a)において、図1の(a)と異なるのは、MOSFET(Q3:第3のMOSFET)MOSFET(Q4:第4のMOSFET)を図1の(a)のダイオードD1、ダイオードD2の代わりにそれぞれ置き換えたことである。また、MOSFET(Q3,Q4)は、制御回路16によって制御される。図7の(a)の他の構成は、図1の(a)の構成と同じであるので重複する説明は省略する。」と記載されている。 ここで、MOSFET(Q3)及びMOSFET(Q4)は、本件特許の訂正後の請求項2における「第3のMOSFET」及び「第4のMOSFET」に相当する。 したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (4)独立特許要件について 本件特許異議の申立ては、本件訂正前の全ての請求項についてされているから、本件訂正について、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定されている独立特許要件は課されない。 (5)一群の請求項について ア 訂正前の請求項1〜6について、請求項4、5は、請求項1から請求項3のいずれか一項を引用し、請求項6は、請求項1から請求項5のいずれか一項を引用しており、訂正事項1によって記載が訂正される請求項2に連動して、請求項4〜6も訂正され、また訂正事項2によって記載が訂正される請求項請求項3に連動して、請求項4〜6も訂正されたものである。 したがって、訂正前の請求項2〜6に対応する訂正後の請求項2〜6は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 3 小括 以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2〜6〕について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 上記第2のとおり本件訂正請求は認められるから、本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1〜6に係る発明(以下「本件発明1」〜「本件発明6」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1〜6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 直流出力電源の正極端子と負極端子との間に直列接続された第1のMOSFET及び第2のMOSFETおよび前記正極端子と負極端子の間に直列接続された第3のMOSFET及び第4のMOSFETを有するブリッジ整流回路と、 交流電源の一端と前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETの直列接続点との間に接続されたリアクトルと、 前記直流出力電源の正極端子と負極端子の間に接続された平滑コンデンサと、 前記交流電源の半周期内に、前記リアクトルに流れる電流を前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのどちらか一方に通電する動作を複数回繰り返すように前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETをオン/オフさせる制御回路と、 を備え、 前記交流電源の他端が前記第3のMOSFET及び第4のMOSFETの直列接続点に接続され、 各前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETは、MOSFETへの印加電圧が逆方向電圧から順方向電圧に切替わる際にMOSFETのゲート信号をオン信号からオフ信号に切替えたときの逆回復時間に比べて、MOSFETへの印加電圧が逆方向電圧から順方向電圧に切替わる際にMOSFETのゲート信号をオフ信号に保ち続けているときの逆回復時間が短く、 前記第3のMOSFET及び第4のMOSFETの逆回復時間が、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETの逆回復時間よりも長く、 前記制御回路は、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのうち、前記リアクトルと前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETとを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETをオフし、さらに所定時間経過後に、前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオンし、前記リアクトルが前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して交流電源を短絡する側のMOSFETをオンする所定時間前に前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオフする動作を、前記交流電源の半周期内に複数回繰返す、 ことを特徴とする直流電源装置。 【請求項2】 直流出力電源の正極端子と負極端子との間に直列接続された第1のMOSFET及び第2のMOSFETおよび前記正極端子と負極端子の間に直列接続された第3のMOSFET及び第4のMOSFETを有するブリッジ整流回路と、 交流電源の一端と前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETの直列接続点との間に接続されたリアクトルと、 前記直流出力電源の正極端子と負極端子の間に接続された平滑コンデンサと、 前記交流電源の半周期内に、前記リアクトルに流れる電流を前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのどちらか一方に通電する動作を複数回繰り返すように前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETをオン/オフさせる制御回路と、 を備え、 前記交流電源の他端が前記第3のMOSFET及び第4のMOSFETの直列接続点に接続され、 各前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETは、MOSFETへの印加電圧が逆方向電圧から順方向電圧に切替わる際にMOSFETのゲート信号をオン信号からオフ信号に切替えたときの逆回復時間に比べて、MOSFETへの印加電圧が逆方向電圧から順方向電圧に切替わる際にMOSFETのゲート信号をオフ信号に保ち続けているときの逆回復時間が短く、 前記第3のMOSFET及び第4のMOSFETの逆回復時間が、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのゲート信号をオン信号からオフ信号に切替えたときの逆回復時間よりも長く、 前記制御回路は、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのうち、前記リアクトルと前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETとを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETをオフし、さらに所定時間経過後に、前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオンし、前記リアクトルが前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して交流電源を短絡する側のMOSFETをオンする所定時間前に前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオフする動作を、前記交流電源の半周期内に複数回繰返し、 前記リアクトルと第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETの駆動信号のパルス幅は、前記リアクトルに流れる電流と電圧との力率が85%以上となるように変調される、 ことを特徴とする直流電源装置。 【請求項3】 直流出力電源の正極端子と負極端子との間に直列接続された第1のMOSFET及び第2のMOSFETおよび前記正極端子と負極端子の間に直列接続された第3のMOSFET及び第4のMOSFETを有するブリッジ整流回路と、 交流電源の一端と前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETの直列接続点との間に接続されたリアクトルと、 前記直流出力電源の正極端子と負極端子の間に接続された平滑コンデンサと、 前記交流電源の半周期内に、前記リアクトルに流れる電流を前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのどちらか一方に通電する動作を複数回繰り返すように前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETをオン/オフさせる制御回路と、 を備え、 前記交流電源の他端が前記第3のMOSFET及び第4のMOSFETの直列接続点に接続され、 各前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETは、MOSFETへの印加電圧が逆方向電圧から順方向電圧に切替わる際にMOSFETのゲート信号をオン信号からオフ信号に切替えたときの逆回復時間に比べて、MOSFETへの印加電圧が逆方向電圧から順方向電圧に切替わる際にMOSFETのゲート信号をオフ信号に保ち続けているときの逆回復時間が短く、 前記第3のMOSFET及び第4のMOSFETの逆回復時間が、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのゲート信号をオン信号からオフ信号に切替えたときの逆回復時間よりも長く、 前記制御回路は、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのうち、前記リアクトルと前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETとを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETをオフし、さらに所定時間経過後に、前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオンし、前記リアクトルが前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して交流電源を短絡する側のMOSFETをオンする所定時間前に前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオフする動作を、前記交流電源の半周期内に複数回繰返し、 前記リアクトルと第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETの駆動信号は、3ショット以上である、 ことを特徴とする直流電源装置。 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、 前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETは、スーパージャンクション構造を有し、該スーパージャンクション構造におけるp型半導体層に、重金属が拡散されているか、または重粒子の粒子線が照射されている、 ことを特徴とする直流電源装置。 【請求項5】 請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、 前記第3のMOSFETのゲートの制御信号は、交流電源波形が正の期間の半周期においては低レベルであり、交流電源波形が負の期間の半周期においては高レベルであり、 前記第4のMOSFETのゲートの制御信号は、交流電源波形が正の期間の半周期においては高レベルであり、交流電源波形が負の期間の半周期においては低レベルである、 ことを特徴とする直流電源装置。 【請求項6】 請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の直流電源装置を備えることを特徴とする空気調和機。 第4 取消理由通知に記載した取消理由について 1 取消理由の概要 本件訂正前の本件特許に対して、当審が令和5年4月27日に特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 理由1(サポート要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 記 請求項2、3には、「前記制御回路は、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのうち、前記リアクトルと前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETとを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETをオフし、さらに所定時間経過後に、前記平滑コンデンサに流通する側のMOSFETをオンし、前記リアクトルが前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して交流電源を短絡する側のMOSFETをオンする所定時間前に前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオフする動作を、前記交流電源の半周期内に複数回繰返す」ことが記載されておらず、発明の課題を解決するための手段が反映されていないため、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものである。 第5 取消理由(サポート要件)についての当審の判断 1 請求項2(本件発明2)について 本件訂正請求による訂正により、本件発明2には、「前記制御回路は、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのうち、前記リアクトルと前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETとを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETをオフし、さらに所定時間経過後に、前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオンし、前記リアクトルが前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して交流電源を短絡する側のMOSFETをオンする所定時間前に前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオフする動作を、前記交流電源の半周期内に複数回繰返し、」との事項が追加され、発明の課題を解決するための手段が反映された。 したがって、本件の請求項2に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであるということはできない。 2 請求項3(本件発明3)について 本件訂正請求による訂正により、本件発明3には、「前記制御回路は、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのうち、前記リアクトルと前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETとを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETをオフし、さらに所定時間経過後に、前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオンし、前記リアクトルが前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して交流電源を短絡する側のMOSFETをオンする所定時間前に前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオフする動作を、前記交流電源の半周期内に複数回繰返し、」との事項が追加され、発明の課題を解決するための手段が反映された。 したがって、本件の請求項3に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであるということはできない。 第6 取消理由通知において採用しなかった申立理由について 1 申立人は、証拠方法として、甲第1号証〜甲第4号証を提出し、以下の申立理由により、本件訂正前の請求項1〜4、6に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。 (申立理由)(進歩性) 請求項1〜3に係る発明は、甲第1号証に記載の発明、及び甲第2号証又は3号証に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 請求項4に係る発明は、甲第1号証に記載の発明、及び甲第2号証に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 請求項6に係る発明は、甲第1号証に記載の発明、甲第2号証又は3号証、及び甲第4号証に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (証拠方法) 甲第1号証:米国特許出願公開第2015/0180330号明細書 甲第2号証:国際公開第2010/024433号 甲第3号証:特開2009−4668号公報 甲第4号証:特開2011−151984号公報 2 甲第1号証ないし甲第4号証、及び甲1発明 (1)甲第1号証の記載事項 甲第1号証には、関連する図面とともに、以下の事項が記載されている。(下線は、当審において付加したものである。また、当審訳の一部は特許異議申立人(角田 朗)による翻訳文を参考にした。以下、同様。) ア「[0021] Referring initially to FIGS. 1-6, FIG. 1 shows a bridgeless totem pole power factor correction (PFC) converter or conversion system 2 receiving single-phase AC input power from an AC source 4 and providing a DC output Vo to power a load 6. The system 2 includes a controller 8 implementing adaptive zero voltage switching control using selective freewheeling switch on-time adjustment in providing first and second switching control signals 10 and 12 to operate an upper first switch circuit SW1 including transistor Q1 with a body diode D1 and a drain-source capacitance C1, and a second switching circuit SW2 including transistor Q2, body diode D2 and capacitor C2. The transistors Q1 and Q2 are connected in a totem pole circuit with Q1 coupled between a positive DC output terminal or node 5a (VDC+) and a first internal node 3 (VDSHL), and with the second transistor Q2 coupled between the node 3 and a second (negative) DC output node 5b. An inductor L is coupled between a first AC input node 4a and the internal node 3, and a return circuit is provided including a first diode D3 with an anode coupled with a second AC input node 4b and a cathode coupled with the first DC output node 5a, along with a second diode D4 having an anode coupled with the lower DC output node 5b (VDC-) and a cathode coupled with the second AC input node 4b. (当審訳:まず図1-6を参照すると、図1は、ブリッジレストーテムポール力率改善(PFC)コンバータ又は変換システム2を示し、システム2は、AC電源4からの単相AC入力電力を受け取り、負荷6に電力供給するためのDC出力Voを提供する。システム2はコントローラ8を含み、コントローラ8は、ボディダイオードD1及びドレイン−ソース静電容量C1と共にトランジスタQ1を含む上部第1のスイッチ回路SW1と、トランジスタQ2、ボディダイオードD2、及びコンデンサC2を含む第2のスイッチ回路SW2とを動作させるために、第1及び第2のスイッチング制御信号10及び12を提供する際に、選択的なフリーホイーリングスイッチ・オン時間調整を用いるアダプティブゼロ電圧スイッチング制御を実装する。トランジスタQ1及びトランジスタQ2は、Q1が、正のDC出力端子又はノード5a(VDC+)と第1の内部ノード3(VDSHL)との間に結合され、及び、第2のトランジスタQ2が、ノード3と第2の(負の)DC出力ノード5bとの間に結合された状態で、トーテムポール回路において接続される。インダクタLが、第1のAC入力ノード4aと内部ノード3との間に結合され、リターン回路が、第2のAC入力ノード4bに結合されるアノードと第1のDC出力ノード5aに結合されるカソードを備える第1のダイオードD3、及び下部DC出力ノード(VDC−)に結合されるアノードと第2のAC入力ノード4bに結合されるカソードとを有する第2のダイオードD4を含んで提供される。) [0022] FIG. 2 illustrates another embodiment of the bridgeless totem pole PFC converter system 2 in which the return circuit includes transistors QAC1 and QAC2 replacing the diodes D3 and D4 of FIG. 1, respectively, where the return circuit transistor components QAC1 and QAC2 are operated according to switching control signals 14 and 16, respectively, from the controller 8 in the embodiment of FIG. 2. In this regard, the totem pole switches Q1 and Q2 are operated according to higher frequency switching control signals 10 and 12, with the return circuit transistors QAC1 and QAC2 in the embodiment of FIG. 2 operated by switching control signals 12 and 14 alternating every half cycle of the AC input power. Any suitable form of totem pole switches Q1 and Q2 can be used in various embodiments. In one non-limiting example, gallium nitride (GaN) N-channel MOSFET transistors are used, although other embodiments are possible using silicon-based MOSFET transistors for the totem pole switches Q1 and Q2. In addition, where provided, the return circuit switches QAC1 and QAC2 can be any suitable form of semiconductor switches, such as silicon-based N-channel MOSFETs as shown in FIG. 2. In this example, moreover, the controller 8 provides an active high gate control signal 10 (Vg1) to the gate of Q1 and a gate control signal 12 (Vg2) to the gate of Q2, and provides alternating gate control signals 14 and 16 (Vg_ac1 and Vg_ac2) to operate the switches QAC1 and QAC2 of the return circuit in FIG. 2. (当審訳:図2は、ブリッジレスのトーテムポールPFCコンバータシステム2の別の実施形態を示し、この実施形態では、リターン回路が、図1のダイオードD3及びD4の代わりにトランジスタQAC1及びQAC2を含むものであって、リターン回路トランジスタ構成要素QAC1及びQAC2は、それぞれ、図2の実施形態におけるコントローラ8からの、スイッチング制御信号14及び16に従って動作される。少なくとも1つの例において、トーテムポールスイッチQ1及びQ2は、高周波数スイッチング制御信号10及び12に従って動作され、図2の実施形態におけるリターン回路トランジスタQAC1及びQAC2は、AC入力電力の半サイクル毎に交互となるスイッチング制御信号14及び16により動作される。少なくとも1つの例において、窒化ガリウム(GaN)NチャネルMOSFETトランジスタが用いられるが、トーテムポールスイッチQ1及びQ2にシリコンベースのMOSFETトランジスタを用いるその他の実施形態が可能である。また、提供される場合には、リターン回路スイッチQAC1及びQAC2は、図2に示すようなシリコンベースのNチャネルMOSFETなど、任意の適切な形態の半導体スイッチであり得る。また、コントローラ8は、アクティブハイゲート制御信号10(Vg1)をQ1のゲートに、及び、ゲート制御信号12(Vg2)をQ2のゲートに提供し、並びに、図2におけるリターン回路のスイッチQAC1及びQAC2を動作させるために、交互にゲート制御信号14及び16(Vg_ac1及びVg_ac2)を提供する。) [0023] As seen in FIGS. 1 and 2, the controller 8 receives various measurement or feedback signals including the voltage VDSHL at the intermediate node 3 joining the totem pole switches Q1 and Q2, along with positive and negative voltage signals VDC+ and VDC- representing the voltages at the nodes 5a and 5b, as well as one or more feedback signals indicating the AC voltage provided by the source 4 across the nodes or terminals 4a and 4b. In this manner, the controller 8 can regulate the DC output voltage Vo across an output capacitance CO at the output nodes 5a and 5b by the switching operation of Q1 and Q2, and can also ascertain the drain-source voltages across Q1 and Q2 for intelligent switching control to facilitate zero voltage switching as described further below. Moreover, the controller 8 uses the AC input voltage feedback to determine the input polarity for selective switching of any included return circuit transistors QAC1 and QAC2 (e.g., FIG. 2 and FIG. 14 below) and for designating a given one of the totem pole switches Q1 and Q2 as an active or main switch and the other as a freewheeling or synchronous switch in each AC input half cycle according to the input voltage polarity. (当審訳:図1及び図2に示すように、コントローラ8は、AC電源4を介して又は端子4a、4bによって提供されたAC電圧を表す1つ又は複数のフィードバック信号と同様に、ノード5a及び5bの電圧を表す正及び負電圧信号VDC+及びVDC−に加えて、トーテムポールスイッチQ1及びQ2が結合する中間ノード3における電圧VDSHLLの測定又はフィードバック信号を受信する。このようにして、以下でさらに説明するように、コントローラ8は、Q1及びQ2のスイッチング動作により、出力ノード5a及び5bにおける出力容量COの両端のDC出力電圧Voを調整することができ、また、インテリジェント・スイッチング制御ためのQ1及びQ2のドレイン−ソース電圧が、以下に詳述するゼロ電圧スイッチングを容易にすることを確かめることができる。さらに、コントローラ8は、AC入力電圧のフィードバックを使用して、リターン回路に含まれているトランジスタQAC1及びQAC2(例えば、以下の図2及び図14)いずれかの選択的スイッチングための入力極性を決定する、また、入力電圧の極性に応じた各交流半サイクルで、トーテムポールスイッチQ1及びQ2のうちの一方をアクティブあるいはメインのスイッチとして、他方をフリーホイーリング又は同期スイッチとして決定する。) [0024] Referring also to FIGS. 3-6, the controller 8 designates the lower totem pole switch Q2 as the active switch and the upper totem pole switch Q1 as the freewheeling switch for positive AC input cycles (e.g., when the voltage across input nodes 4a and 4b is positive), and designates the upper switch Q1 as the active switch and the lower switch Q2 as the freewheeling switch for negative AC input polarities. FIGS. 3-6 illustrate different totem pole switching conditions and corresponding current flow paths for positive and negative AC input cycles for the case shown in FIG. 1 in which the return circuit includes diodes D3 and D4. It will be appreciated that similar switching conditions and flow paths will be found for embodiments using transistors in the return circuit (e.g., FIGS. 2 and 14). (当審訳:図3−6も参照すると、コントローラ8は、正のAC入力サイクル(例えば、入力ノード4a、4b間の電圧が正である場合)において、下のトーテムポールスイッチQ2をアクティブスイッチとして、上のトーテムポールスイッチQ1をフリーホイーリングスイッチとして指定し、また、負のAC入力サイクルにおいては、上のスイッチQ1をアクティブスイッチとして、下のスイッチQ2をフリーホイーリングスイッチとして指定する。図3−6、リターン回路がダイオードD3及びD4を含む図1に示される場合の、正と負のAC入力サイクルに応じた、トーテムポールのスイッチング状態と対応する電流経路を示している。同様のスイッチング状態及び電流経路は、リターン回路がトランジスタを用いて実施形態で見出されることが理解される(例えば、図2及び図14)。) [0025] FIG. 3 shows an example current path 18 (shown in dotted line in the figure) with the totem pole switch Q1 off and Q2 on for a positive polarity half cycle of the AC input source 4, where Q2 is designated as the active switch and Q1 is the freewheeling switch. In this case, the inductor current IL flows through the inductor L from the first AC input node 4a to the first internal node 3 (e.g.,left to right in the figure) and then through the actuated active transistor Q2 to the second DC output node 5b. The current continues to flow along the illustrated path 18 through the lower return circuit diode D4 and then to the second AC input node or terminal 4b. The operation with the active switch Q2 in the on or conductive state of FIG. 3 increases the current IL through the inductor L. This is followed by the switching state shown in FIG. 4, also for a positive AC input voltage. In FIG. 4, the freewheeling totem pole switch Q1 is turned on and the lower active switch Q2 is turned off, with the current in this case flowing from the inductor L to the internal node 3 and then through the freewheeling switch Q1 to the upper or first DC output node 5a. This current flow charges the output capacitor CO and returns from the lower or second DC output node 5b through the return circuit diode D4 to the negative AC input terminal 4b as shown in FIG. 4. (当審訳:図3は、AC入力電源4の正極半サイクルの間、トーテムポールスイッチQ1がオフ及びQ2がオンである状態の、(図において実線により示される)例示的な電流経路18を示し、Q2はアクティブスイッチとして指定され、Q1はフリーホイーリングスイッチとして指定されている。この場合、インダクタ電流ILが、インダクタLを介して第1のAC入力ノード4aから第1の内部ノード3へ(例えば、図において左から右へ)、その後、作動されたアクティブトランジスタQ2を介して第2のDC出力ノード5bへ流れる。電流は、図示した経路18に沿って下部リターン回路ダイオードD4を介し、その後、第2のAC入力ノード又は端子4bへ流れ続ける。図3のオン又は導通状態におけるアクティブスイッチQ2を用いる動作は、インダクタLを介する電流ILを増加させる。この後、正のAC入力電圧の間の、図4に示すスイッチング状態が後に続く。図4において、フリーホイーリングトーテムポールスイッチQ1がオンにされ、下部のアクティブスイッチQ2がオフにされ、この場合の電流は、インダクタLから内部ノード3へ、その後、フリーホイーリングトーテムポールスイッチQ1を介して上部又は第1のDC出力ノード5aへ流れる。この電流フローは、出力コンデンサCOを充電し、及び、図4に示すように、下部又は第2のDC出力ノード5bからリターン回路ダイオードD4を介して負のAC入力端子4bへ戻る。) [0026] FIGS. 5 and 6 illustrate the PFC circuit operation for negative AC input half cycles, with Q1 designated as the active switch and Q2 designated at the freewheeling switch. Current flows in FIG. 5 with Q1 on and Q2 off along the path 18 from the second AC input node 4b through the upper return circuit diode D3, returning to the active switch Q1 and building up the reverse current IL through the inductor L from the first internal node 3 to the left to return to the first AC input node 4a. In FIG. 6, the upper active switch Q1 is turned off and the freewheeling switch Q2 is turned on, causing the current to flow from the AC input source 4 out of the second AC input node 4b through the diode D3 and the output capacitor CO, returning through the freewheeling transistor Q2 and the inductor L to the first AC input node 4a.」 (当審訳:図5および図6は、負のAC入力の半サイクルの間のPFC回路の動作を示し、Q1はアクティブスイッチとして指定され、Q2はフリーホイーリングスイッチとして指定されている。図5のQ1がオンでQ2がオフの電流は、第2のAC入力ノード4bから上部リターン回路ダイオードD3を介して、経路18に沿ってアクティブスイッチQ1へ戻りインダクタLを介して逆電流ILが蓄積され、第1の内部ノード3から第1のAC入力ノード4aに戻る。図6は、アクティブスイッチQ1がオフでフリーホイーリングスイッチQ2がオンになり、電流がAC入力電源4の第2のAC入力ノード4bからダイオード3と出力コンデンサCOを介して、フリーホイーリングトランジスタQ2とインダクタLを通って、第1のAC入力ノード4aに戻る。) [0027] Referring also to FIG. 7, the controller 8 in one embodiment implements transition mode (TM) operation at the boundary between continuous conduction mode (CCM) and discontinuous conduction mode (DCM), although not a strict requirement of all possible embodiments. A method or process 20 is illustrated in FIG. 7 for controlling a bridgeless totem pole power factor correction converter, such as the converters 2 of FIGS. 1-6 above, wherein the illustrated controller 8 can be implemented using any suitable logic circuitry, programmable or programmed processor elements, analog circuitry and/or combinations thereof to implement the illustrated process 20 in various embodiments. Moreover, the controller 8 can be a separate power converter control integrated circuit in certain embodiments (e.g., FIGS. 11, 12 and 15 below). In operation, the controller 8 detects positive and negative AC input half cycles based at least partially on the AC input voltage polarity at the nodes 4a and 4b, and designates one of the totem pole switch circuits SW1 or SW2 as an active switch for a given AC input half cycle and designates the other switch circuit as the freewheeling switch for that half cycle. In the illustrated embodiment, for example, the controller 8 designates SW1 (e.g., Q1) as the active switch and designates SW2 (e.g., Q2) as the freewheeling switch for negative AC input half cycles, and designates SW2 as the active switch and SW1 as the freewheeling switch for positive AC input half cycles. (当審訳:図7も参照すると、一実施形態におけるコントローラ8は、連続導通モード(CCM)と不連続導通モード(DCM)との間の境界でトランジションモード(TM)動作を実行するが、全ての可能な実施形態の厳密な要件ではない。図7は上記図1−6のコンバータ2のように、ブリッジレストーテムポール力率補正コンバータを制御するための方法又はプロセスを示し、コントローラ8は、任意の適切な論理回路、プログラマブル又はプログラムされたプロセッサ要素、アナログを使用して実装することができ、様々な実施形態において図示のプロセス20を実装するために、任意の適切な論理回路、プログラマブル又はプログラムされたプロセッサ要素、アナログ回路及び/又はそれらの組み合わせを使用して実装することができる。さらに、コントローラ8は、特定の実施形態では、別個の電力変換器制御集積回路であってもよい(例えば、以下の図11、12、および15)。動作中、コントローラ8は、ノード4aおよび4bにおけるAC入力電圧極性に少なくとも部分的に基づいて、正および負のAC入力半サイクルを検出し、トーテムポールスイッチ回路SW1又はSW2の1つを所定のアクティブスイッチとして指定する。AC入力の半サイクルを指定し、他のスイッチ回路をその半サイクルのフリーホイーリングスイッチとして指定する。図示の実施形態では、例えば、コントローラ8は、負のAC入力半サイクルにおいて、SW1(例えば、Q1)をアクティブスイッチとして指定し、SW2(例えば、Q2)をフリーホイーリングスイッチとして指定し、正のAC入力半サイクルにおいて、SW2をアクティブスイッチとして指定し、SW1をフリーホイーリングスイッチとして指定する。)」 イ「[0038] Referring also to FIGS. 8-10, FIG. 8 provides a waveform diagram 50 illustrating transition mode operation of the PFC converter 2 with constant active switch on-time control for a positive AC input half cycle. In this example, the absolute AC input voltage waveform 52 (|Vac|*K) is generally sinusoidal through the illustrated positive half cycle as is the corresponding AC input current 54, with the inductor current IL shown as curve 56. FIG. 8 further illustrates selective actuation of the active switch (e.g., Q2 in FIG. 1 is active for positive AC input half cycles), with the gate-source switching signal curve 57 representing the gate-source voltage Vgs of the active switch Q2 for a constant on-time of Ta, as well as selective actuation of the freewheeling switch (Q1 in this example) via gate-source voltage waveform 58. As seen in FIG. 8, moreover, the freewheeling switch on-time Tb changes over the course of the AC input positive half cycle, generally in proportion to the absolute value of the AC input voltage 52 based on the Volt×Second relationship in the above equation (1), whereas the active switch on-time Ta is generally constant in this example. (当審訳:図8−10も参照すると、図8は、正のAC入力半サイクルの間の一定のアクティブスイッチ・オン時間制御でのPFCコンバータ2の遷移モード動作の波形図50を示す。少なくとも1つの例において、絶対値AC入力電圧波形52(|Vac|*K)は、対応するAC入力電流54と同様に、図示する正の半サイクルを通して概ね正弦波であり、インダクタ電流ILが曲線56として示されている。図8はさらに、アクティブスイッチ(正のAC入力半サイクルの間アクティブである、図1におけるQ2など)の選択的な作動と、ゲート−ソース電圧波形58による、フリーホイーリングスイッチ(この実施例におけるQ1)の選択的な作動とを示し、ゲート−ソーススイッチング信号曲線57が、Taの一定のオン時間の間のアクティブスイッチQ2のゲート−ソース電圧Vgsを表す。また、図8に示すように、フリーホイーリングスイッチ・オン時間Tbは、次式Tb_n=(|Vac|×Ta)/(Vo−|Vac|)において、ボルト×秒関係に基づいてAC入力電圧52の絶対値に概ね比例して、AC入力正の半サイクルの間にわたって変化し、アクティブスイッチ・オン時間Taはこの実施例において概ね一定である。)」 ウ「[0042] As seen at 59e in FIG. 10, this causes the sampled drain-source voltage of the active switch to be closer to zero in the subsequent cycle “n+1”. For this cycle, the controller 8 again determines that the active switch drain-source voltage is negative, and accordingly reduces the nominal freewheeling switch on-time by subtracting Δt2 for the next cycle “n+2”, thereby driving the active switch drain-source voltage to approximately zero as seen at 59f in FIG. 10. Moreover, the illustrated embodiment of the controller 8 advantageously delays turning the active switch on until the active switch drain-source voltage is greater than or equal to zero (e.g., at 44 in FIG. 7), as illustrated by the positive or zero switch Vds voltage starting of the new cycles indicated in FIG. 10 for switching cycles “n+1” and “n+2”. This operation provides the additional benefit of facilitating zero current switching in addition to zero voltage switching, which in turn facilitates reduction of electromagnetic interference (EMI) and minimizes active FET's conduction loss. Thus, the control method 20 of FIG. 7 and operation of the controller 8 advantageously regulate the switching operation so as to move operation from either direction toward the optimal zero voltage switching condition. In this manner, both conduction losses and switching losses are mitigated in a dynamic manner independent of system component parameters and other operating conditions, thereby facilitating high efficiency operation, with the Volt×Second nominal freewheeling switch on-time determination (32 in FIG. 7) facilitating unity power factor operation of the system 2. (当審訳:図10における59eに示すように、これにより、アクティブスイッチのサンプリングされたドレイン−ソース電圧が、後続のサイクル「n+1」において一層ゼロに近くなる。このサイクルの間、コントローラ8は再び、アクティブスイッチドレイン−ソース電圧が負であると判定し、従って、次のサイクル「n+2」のためにΔt2を減算することにより公称フリーホイーリングスイッチ・オン時間を減少させ、これにより、図10における59fに示すように、アクティブスイッチドレイン−ソース電圧がほぼゼロになる。また、コントローラ8のこの例示的な実施形態は、スイッチングサイクル「n+1」及び「n+2」に対して図10に示される新たなサイクルの正又はゼロスイッチVds電圧起動により示すように、アクティブスイッチドレイン−ソース電圧がゼロよりも大きく又はゼロと等しくなるまで(図7における44など)、アクティブスイッチをオンにするのを有利に遅延させる。この動作は、ゼロ動作スイッチングに加えてゼロ電流スイッチングを促進させる付加的な利点を提供し、これは、電磁干渉(EMI)の低減を促進し、また、アクティブFETの伝導損失を最小化する。従って、図7の制御方法20及びコントローラ8の動作は、いずれの方向からも最適なゼロ電圧スイッチング条件に向かって動作が移るように、スイッチング動作を有利に調整する。このように、伝導損失とスイッチング損失との両方が、システム構成要素パラメータ及びその他の動作条件とは無関係に、動的に軽減され、これにより、システム2の力率1動作を促進するボルト×秒公称フリーホイーリングスイッチ・オン時間決定(図7における32)を用いて、高効率動作が促進される。)」 エ「FIG.1 」 オ 「FIG.2 」 カ「FIG.3 」 キ 「FIG.4 」 ク「FIG.5 」 ケ「FIG.6 」 コ 「FIG.7 」 サ 「FIG.8 」 シ 「FIG.9 」 ス 「FIG.10 」 セ 上記アの段落[0021]には、“AC電源4からの単相AC入力電力を受け取り、負荷6に電力供給するためのDC出力Voを提供するシステム2”が記載されている。 ソ 上記アの段落[0021]及びFIG.1(上記エ)には、“システム2には、正の出力ノード5aと負の出力ノード5bとの間に直列接続されたトランジスタQ1とトランジスタQ2、及び正の出力ノード5aと負の出力ノード5bの間に直列接続されたダイオードD3とダイオードD4を有する回路と、AC電源4の一端であるAC入力ノード4aとトランジスタQ1及びトランジスタQ2の接続点である内部ノード3との間に接続されたインダクタLと、正の出力ノード5aと負の出力ノード5bの間に接続された出力コンデンサCOと、コントローラ8、を含”むことが記載されている。 タ FIG.1(上記エ)より、“AC電源4の他端であるAC入力ノード4bがダイオードD3とD4の直列接続点に接続され”ることが看取できる。 チ 上記アの段落[0022]には、図1のダイオードD3及びD4の代わりにトランジスタQAC1及びQAC2を含むものであって、リターン回路トランジスタ構成要素QAC1及びQAC2は、それぞれ、図2の実施形態におけるコントローラ8からの、スイッチング制御信号14及び16に従って動作されることが記載されている。 ツ 上記ソ及びチを踏まえると、FIG.2(上記オ)には、“システム2には、正の出力ノード5aと負の出力ノード5bとの間に直列接続されたトランジスタQ1とトランジスタQ2、及び正の出力ノード5aと負の出力ノード5bの間に直列接続されたトランジスタQAC1とトランジスタQAC2を有する回路と、AC電源4の一端であるAC入力ノード4aとトランジスタQ1及びトランジスタQ2の接続点である内部ノード3との間に接続されたインダクタLと、正の出力ノード5aと負の出力ノード5bの間に接続された出力コンデンサCOと、コントローラ8、を含”むことが記載されている。 テ 上記タ及びチを踏まえると、Fig.2(上記オ)より、“AC電源4の他端であるAC入力ノード4bがトランジスタQAC1とQAC2の直列接続点に接続され”ることが看取できる。 ト 上記アの段落[0024]、[0025] 、FIG.3(上記カ)、及びFIG.4(上記キ)には、“コントローラ8が、AC電源4の正のAC入力電圧の間で、トランジスタQ1をオフ及びトランジスタQ2をオンとすることで、インダクタ電流ILが、インダクタLを介してAC電源4の一端であるAC入力ノード4aから内部ノード3へ、その後、作動されたトランジスタQ2を介して負のDC出力ノード5bへ流れ、さらに、ダイオードD4を介し、 その後、AC電源4の他端であるAC入力ノード4bへ流れ、インダクタLを介する電流ILを増加させ、さらに、この後、正のAC入力電圧の間に、トランジスタQ1をオンにし、トランジスタQ2をオフにすることで、電流が、インダクタLから内部ノード3へ、その後、トランジスタQ1を介して正のDC出力ノード5aへ流れ、出力コンデンサCOを充電し、負のDC出力ノード5bからダイオードD4を介してAC電源4の他端であるAC入力ノード4bへ戻るものであ”ることが記載されている。 ナ 上記チ、ツ、トを踏まえれば、“コントローラ8が、AC電源4の正のAC入力電圧の間で、トランジスタQ1をオフ及びトランジスタQ2をオンとすることで、インダクタ電流ILが、インダクタLを介してAC電源4の一端であるAC入力ノード4aから内部ノード3へ、その後、作動されたトランジスタQ2を介して負のDC出力ノード5bへ流れ、さらに、トランジスタQAC2を介し、その後、AC電源4の他端であるAC入力ノード4bへ流れ、インダクタLを介する電流ILを増加させ、さらに、この後、正のAC入力電圧の間に、トランジスタQ1をオンにし、トランジスタQ2をオフにすることで、電流が、インダクタLから内部ノード3へ、その後、トランジスタQ1を介して正のDC出力ノード5aへ流れ、出力コンデンサCOを充電し、負のDC出力ノード5bからトランジスタQAC2を介してAC電源4の他端であるAC入力ノード4bへ戻るものであ”ることが記載されているといえる。 ニ 上記アの段落[0026]、FIG.5(上記ク)、FIG6(上記ケ)には、“コントローラ8が、AC電源4の負のAC入力電圧の間で、トランジスタQ1をオン及びトランジスタQ2をオフとすることで、インダクタ電流ILが、AC電源4の他端であるAC入力ノード4bからダイオードD3を介して、DC出力ノード5aへ流れ、トランジスタQ1へ戻り、インダクタLを介してAC電源4の一端であるAC入力ノード4aへ流れ、トランジスタQ1をオフ及びトランジスタQ2をオンとすることで、電流がAC電源4の他端であるAC入力ノード4bからダイオードD3を介し、出力コンデンサCOを介し、DC出力ノード5bへ流れ、トランジスタQ2とインダクタLを介して、AC電源4の一端であるAC入力ノード4aへ戻るものであ”ることが記載されている。 ヌ 上記チ、ツ、ニを踏まえれば、“コントローラ8が、AC電源4の負のAC入力電圧の間で、トランジスタQ1をオン及びトランジスタQ2をオフとすることで、インダクタ電流ILが、AC電源4の他端であるAC入力ノード4bからトランジスタQAC1を介して、DC出力ノード5aへ流れ、トランジスタQ1へ戻り、インダクタLを介してAC電源4の一端であるAC入力ノード4aへ流れ、トランジスタQ1をオフ及びトランジスタQ2をオンとすることで、電流がAC電源4の他端であるAC入力ノード4bからトランジスタQAC1を介し、出力コンデンサCOを介し、DC出力ノード5bへ流れ、トランジスタQ2とインダクタLを介して、AC電源4の一端であるAC入力ノード4aへ戻るものであ”ることが記載されているといえる。 ネ 上記アの段落[0027]には、動作中、コントローラ8は、ノード4aおよび4bにおけるAC入力電圧極性に少なくとも部分的に基づいて、正および負のAC入力半サイクルを検出し、負のAC入力半サイクルにおいて、SW1(例えば、Q1)をアクティブスイッチとして指定し、SW2(例えば、Q2)をフリーホイーリングスイッチとして指定し、正の AC 入力半サイクルにおいて、SW2をアクティブスイッチとして指定し、SW1をフリーホイーリングスイッチとして指定することが記載されている。 ノ 上記イの段落[0038]には、“図8(FIG.8)のトランジスタQ1のゲート−ソース電圧波形58のTbがオン時間を表し、トランジスタQ2に関するゲート−ソーススイッチング信号曲線57のTaがオン時間を表す”ことが記載されている。 してみると、FIG.8(上記サ)より、“正のAC入力電圧の間に、トランジスタQ1をオフ及びトランジスタQ2をオンとすることと、トランジスタQ1をオン及びトランジスタQ2をオフにすることとを、交互に複数回繰り返”すことが看取できる。 ハ 同様に、FIG.8(上記サ)―FIG.10(上記ス)によれば、“トランジスタQ1のオン/オフを表すゲート−ソース電圧波形58、及びトランジスタQ2のオン/オフを表すゲート−ソーススイッチング信号曲線57においては、ゲート−ソーススイッチング信号曲線57がオフし、さらに所定時間経過後に、ゲート−ソース電圧波形58がオンし、ゲート−ソーススイッチング信号曲線57をオンする所定時間前にゲート−ソース電圧波形58がオフする動作を、正のAC入力電圧の間に複数回繰り返す”ことが看取できる。 ヒ 上記セ、ネ、ノ、ハを踏まえれば、“トランジスタQ1をオフ及びトランジスタQ2をオンとすることと、トランジスタQ1をオン及びトランジスタQ2をオフにすることとを、交互に複数回繰り返”すことを“負のAC入力電圧の間に“行うこと、及び“トランジスタQ1のオン/オフを表すゲート−ソース電圧波形58、及びトランジスタQ2のオン/オフを表すゲート−ソーススイッチング信号曲線57においては、ゲート−ソーススイッチング信号曲線57がオフし、さらに所定時間経過後に、ゲート−ソース電圧波形58がオンし、ゲート−ソーススイッチング信号曲線57をオンする所定時間前にゲート−ソース電圧波形58がオフする動作を、負のAC入力電圧の間に複数回繰り返す”ことが看取できる。 (2)甲1発明 上記アないしヒの記載内容からすると、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。 「AC電源4からの単相AC入力電力を受け取り、負荷6に電力供給するためのDC出力Voを提供するシステム2であって、 正の出力ノード5aと負の出力ノード5bとの間に直列接続されたトランジスタQ1とトランジスタQ2、及び正の出力ノード5aと負の出力ノード5bの間に直列接続されたトランジスタQAC1とトランジスタQAC2を有する回路と、 AC電源4の一端であるAC入力ノード4aとトランジスタQ1及びトランジスタQ2の接続点である内部ノード3との間に接続されたインダクタLと、 正の出力ノード5aと負の出力ノード5bの間に接続された出力コンデンサCOと、 コントローラ8、 を含み、 AC電源4の他端であるAC入力ノード4bがトランジスタQAC1とトランジスタQAC2の直列接続点に接続され、 コントローラ8が、AC電源4の正のAC入力電圧の間で、トランジスタQ1をオフ及びトランジスタQ2をオンとすることで、インダクタ電流ILが、インダクタLを介してAC電源4の一端であるAC入力ノード4aから内部ノード3へ、その後、作動されたトランジスタQ2を介して負のDC出力ノード5bへ流れ、さらに、トランジスタQAC2を介し、その後、AC電源4の他端であるAC入力ノード4bへ流れ、インダクタLを介する電流ILを増加させ、さらに、この後、正のAC入力電圧の間に、トランジスタQ1をオンにし、トランジスタQ2をオフにすることで、電流が、インダクタLから内部ノード3へ、その後、トランジスタQ1を介して正のDC出力ノード5aへ流れ、出力コンデンサ容量COを充電し、負のDC出力ノード5bからトランジスタQAC2を介してAC電源4の他端であるAC入力ノード4bへ戻るものであり、 コントローラ8が、AC電源4の負のAC入力電圧の間で、トランジスタQ1をオン及びトランジスタQ2をオフとすることで、インダクタ電流ILが、AC電源4の他端であるAC入力ノード4bからトランジスタQAC1を介して、DC出力ノード5aへ流れ、トランジスタQ1へ戻り、インダクタLを介してAC電源4の一端であるAC入力ノード4aへ流れ、トランジスタQ1をオフ及びトランジスタQ2をオンとすることで、電流がAC電源4の他端であるAC入力ノード4bからトランジスタQAC1を介し、出力コンデンサCOを介し、DC出力ノード5bへ流れ、トランジスタQ1とインダクタLを介して、AC電源4の一端であるAC入力ノード4aへ戻るものであり、 正のAC入力電圧又は負のAC入力電圧の間に、トランジスタQ1をオフ及びトランジスタQ2をオンとすることと、トランジスタQ1をオン及びトランジスタQ2をオフにすることとを、交互に複数回繰り返し、 トランジスタQ1のオン/オフを表すゲート−ソース電圧波形58、及びトランジスタQ2のオン/オフを表すゲート−ソーススイッチング信号曲線57においては、ゲート−ソーススイッチング信号曲線57がオフし、さらに所定時間経過後に、ゲート−ソース電圧波形58がオンし、ゲート−ソーススイッチング信号曲線57をオンする所定時間前にゲート−ソース電圧波形58がオフする動作を、正のAC入力電圧又は負のAC入力電圧の間に複数回繰り返す、 システム2。」 (3)甲第2号証の記載事項 甲第2号証には、次の事項が記載されている。 ア「[0021] [第1の実施の形態] (素子構造) 本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の模式的断面構造は、図1に示すように表される。また、第1の実施の形態に係る半導体装置の模式的鳥瞰構造は、図2に示すように表される。 [0022] 第1の実施の形態に係る半導体装置は、図1〜図2に示すように、高抵抗でn型不純物をドープされた第1ベース層12と、第1ベース層12の裏面に設けられ、n型不純物をドープされたドレイン層10と、第1ベース層12の表面に形成され、p型不純物をドープされた第2ベース層16と、第2ベース層16の表面に形成され、n型不純物をドープされたソース層18と、ソース層18および第2ベース層16の表面上に配置されたゲート絶縁膜20と、ゲート絶縁膜20上に配置されたゲート電極22と、第2ベース層16およびソース層18の下部の第1ベース層12内にドレイン層10に対向して形成され、p型不純物をドープされたコラム層14と、ドレイン層10に設けられたドレイン電極28と、ソース層18および第2ベース層16に設けられたソース電極26とを備える。ゲート電極22上には、層間絶縁膜24が配置されている。図1に示される破線は、ドレイン・ソース間に導通する電流を表す。 [0023] 第1の実施の形態に係る半導体装置においては、コラム層14に対して重粒子照射を行い、トラップレベルを局所的に形成している。」 イ「[0044] 第1の実施の形態によれば、ドレイン・ソース間飽和電流IDSSおよびゲート・ソース間しきい値電圧の劣化を抑制しつつ、内蔵ダイオードの逆回復特性の向上を実現することができる。これによって、スイッチングロスの低減と、ダイオード逆回復損失の低減が可能となった。 [0045] 第1の実施の形態によれば、ドレイン・ソース間のリーク電流を増大させずに逆回復時間trrを短縮するスーパージャンクションMOS構造を備える半導体装置およびその製造方法を提供することができる。」 (4)甲第3号証の記載事項 甲第3号証には、次の事項が記載されている。 ア「【0014】 素子領域1において形成されるトランジスタは、N型ドリフト層11と、このN型ドリフト層11中に形成される複数のP型ピラー層12から構成されるスーパージャンクション構造を有している。N型ドリフト層11の一方の表面(図1において、下側の表面)に、N型ドリフト層11よりも不純物濃度の高いN+型ドレイン層13が形成され、N+型ドレイン層13の表面には、不図示のドレイン電極が形成されている。尚、本実施の形態では、ドリフト層14は、N型ドリフト層11とP型ピラー層12からなり、また、ドリフト層14は、素子領域1に形成されるドリフト層14Aと、終端領域2に形成されるドリフト層14Bからなる。また、N型ドリフト層11とN+型ドレイン層13の形成方法は、N型ドリフト層11の片面に不純物を拡散する方法や、N+型ドレイン層13を基板としてN型ドリフト層11を結晶成長させる方法により形成される。」 イ「【0024】 具体的には、本実施の形態における半導体装置を製造するプロセスの途中において、終端領域2のドリフト層14Bに、電子線照射、プロトン照射、ヘリウム照射或いはPt等の重金属を表面に付着させた後、熱拡散を行なう。これにより、終端領域2のドリフト層14Bにおけるキャリアライフタイムの値を素子領域1のドリフト層14Aにおけるキャリアライフタイムの値よりも低くしているのである。このように、終端領域2のドリフト層14Bにおけるキャリアライフタイムの値を低くすることにより、逆バイアス時における漏れ電流を増大させることなく、この終端領域2におけるアバランシェ耐量を高めるとともに、トランジスタの内蔵ダイオードの逆回復時における逆回復特性を改善することができ、半導体装置における全体の耐圧を高めることができる。 【0025】 なお、本実施の形態では、終端領域2におけるキャリアライフタイムは、1〔μs〕以下であることが好ましい。 【0026】 また、本実施の形態を別の側面から捉えるならば、本実施の形態における半導体装置を製造するプロセスの途中において、終端領域2のドリフト層14Bに、電子線照射、プロトン照射、ヘリウム照射或いはPt等の重金属を表面に付着させた後、熱拡散を行なうことにより、終端領域2のドリフト層14Bにおける抵抗の値を素子領域1における抵抗の値よりも高くなるように構成されている。このように、終端領域2のドリフト層14Bにおける抵抗値を高くすることにより、半導体装置における全体の耐圧を高めることができる。」 (5)甲第4号証の記載事項 甲第4号証には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア「【0124】 なお、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置は、例えば、空気調和機又は冷蔵庫等に搭載するものとしてもよい。空気調和機は、室内温度が使用者によって設定された温度に近づくと安定状態となり、圧縮機42が低速で回転するようにインバーター41が動作する。したがって、空気調和機における圧縮機42は低速回転状態が最も長時間継続される。また、冷蔵庫は、24時間常時運転し、低速回転における低電流状態での運転が長い。このような空気調和機又は冷蔵庫のように、低電流運転が支配的な機器に対して、その効果が最も大きく反映される。」 3 本件発明1について (1)対比 本件発明1と甲1発明とを対比すると、次のことがいえる。 A 甲1発明の「システム2」は、「DC出力Vo」を出力するものであって、甲1発明の「正の出力ノード5a」と「負の出力ノード5b」から該「DC出力Vo」を出力するものと認められる。 してみると、甲1発明の「正の出力ノード5a」及び「負の出力ノード5b」は、各々、本件発明1の「直流出力電源の正極端子」及び「直流出力電源の負極端子」に相当する。 そして、甲1発明の「トランジスタQ1とトランジスタQ2」は、「正の出力ノード5aと負の出力ノード5bとの間に直列接続され」るものであるから、本件発明1の「直流出力電源の正極端子と負極端子との間に直列接続された第1のMOSFETおよび第2のMOSFET」に相当する。 さらに、甲1発明の「トランジスタQAC1とトランジスタQAC2」は、「正の出力ノード5aと負の出力ノード5bの間に直列接続され」るものであるから、本件発明1の「前記正極端子と負極端子の間に直列接続された第3のMOSFET及び第4のMOSFET」に相当する。 そして、甲1発明の「回路」は、「DC出力Vo」を出力する「正の出力ノード5aと負の出力ノード5bとの間に直列接続されたトランジスタQ1とトランジスタQ2、及び正の出力ノード5aと負の出力ノード5bの間に直列接続されたトランジスタQAC1とトランジスタQAC2を有する」ものであって、さらに、「トランジスタQ1及びトランジスタQ2の接続点である内部ノード3」に「AC電源4の一端であるAC入力ノード4a」が「接続」され、「トランジスタQAC1とトランジスタQAC2の直列接続点に」「AC電源4の他端であるAC入力ノード4b」が接続されるものであるから、いわゆるブリッジ整流回路といえる。 したがって、甲1発明の「回路」は、本件発明1の「直流出力電源の正極端子と負極端子との間に直列接続された第1のMOSFET及び第2のMOSFETおよび前記正極端子と負極端子の間に直列接続された第3のMOSFET及び第4のMOSFETを有するブリッジ整流回路」に相当する。 B 甲1発明の「AC電源4」は、本件発明1の「交流電源」に相当する。そして、甲1発明の「インダクタL」は、「AC電源4の一端であるAC入力ノード4aとトランジスタQ1及びトランジスタQ2の接続点である内 部ノード3との間に接続され」るものである。 してみると、本件発明1の「AC電源4の一端であるAC入力ノード4a」は、本件発明1の「交流電源の一端」に相当し、甲1発明の「インダクタL」は、本件発明1の「交流電源の一端と前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETの直列接続点との間に接続されたリアクトル」に相当する。 C 甲1発明の「出力コンデンサCO」は、「正の出力ノード5aと負の出力ノード5bの間に接続され」るものであるから、本件発明1の「前記直流出力電源の正極端子と負極端子の間に接続された平滑コンデンサ」に相当する。 D 甲1発明の「コントローラ8」は、「AC電源4の正のAC入力電圧の間で、トランジスタQ1をオフ及びトランジスタQ2をオンとすることで、インダクタ電流ILが、インダクタLを介してAC電源4の一端であるAC入力ノード4aから内部ノード3へ、その後、作動されたトランジスタQ2を介して負のDC出力ノード5bへ流れ、さらに、トランジスタQAC2を介し、その後、AC電源4の他端であるAC入力ノード4bへ流れ、インダクタLを介する電流ILを増加させ、さらに、この後、正のAC入力電圧の間に、トランジスタQ1をオンにし、トランジスタQ2をオフにすることで、電流が、インダクタLから内部ノード3へ、その後、トランジスタQ1を介して正のDC出力ノード5aへ流れ、出力コンデンサCOを充電し、負のDC出力ノード5bからトランジスタQAC2を介してAC電源4の他端であるAC入力ノード4bへ戻るものであ」り、「AC電源4の負のAC入力電圧の間で、トランジスタQ1をオン及びトランジスタQ2をオフとすることで、インダクタ電流ILが、AC電源4の他端であるAC入力ノード4bからトランジスタQAC1を介して、DC出力ノード5aへ流れ、トランジスタQ1へ戻り、インダクタLを介してAC電源4の一端であるAC入力ノード4aへ流れ、 トランジスタQ1をオフ及びトランジスタQ2をオンとすることで、電流がAC電源4の他端であるAC入力ノード4bからトランジスタQAC1を介し、出力コンデンサCOを介し、DC出力ノード5bへ流れ、トランジスタQ1とインダクタLを介して、AC電源4の一端であるAC入力ノード4aへ戻るものであ」るから、AC電源4の正のAC入力電圧又は負のAC入力電圧の間に、インダクタLに流れる電流をトランジスタQ1及びトランジスタQ2のどちらか一方に通電するようにトランジスタQ1及びトランジスタQ2をオン/オフさせているといえる。 さらに、甲1発明は、「正のAC入力電圧又は負のAC入力電圧の間に、トランジスタQ1をオフ及びトランジスタQ2をオンとすることと、トランジスタQ1をオン及びトランジスタQ2をオフにすることとを、交互に複数回繰り返」すものであって、このオン/オフを「コントローラ8」が行うことは明らかである。 したがって、甲1発明の「コントローラ8」は、本件発明1の「前記交流電源の半周期内に、前記リアクトルに流れる電流を前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのどちらか一方に通電する動作を複数回繰り返すように前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETをオン/オフさせる制御回路」に相当する。 E 甲1発明の「AC電源4の他端であるAC入力ノード4b」は、本件発明1の「交流電源の他端」に相当し、甲1発明の「AC電源4の他端であるAC入力ノード4bがトランジスタQAC1とトランジスタQAC2の直列接続点に接続され」ることは、本件発明1の「前記交流電源の他端が前記第3のMOSFET及び第4のMOSFETの直列接続点に接続され」ることに相当する。 F 甲1発明は、「トランジスタQ1のオン/オフを表すゲート−ソース電圧波形58、及びトランジスタQ2のオン/オフを表すゲート−ソーススイッチング信号曲線57においては、ゲート−ソーススイッチング信号曲線57がオフし、さらに所定時間経過後に、ゲート−ソース電圧波形58がオンし、ゲート−ソーススイッチング信号曲線57をオンする所定時間前にゲート−ソース電圧波形58がオフする動作を、正のAC入力電圧の間に複数回繰返す」ものであって、そのように「トランジスタQ1」及び「トランジスタQ2」が制御されるものと認められ、さらに、この制御を「コントローラ8」が行っていることは明らかである。 ここで、甲1発明の「ゲート−ソース電圧波形58」は、「トランジスタQ1のオン/オフを表す」ものであり、「ゲート−ソーススイッチング信号曲線57」は、「トランジスタQ2のオン/オフを表す」ものであり、さらに、甲1発明は「AC電源4の正のAC入力電圧の間で、トランジスタQ1をオフ及びトランジスタQ2をオンとすることで、インダクタ電流ILが、インダクタLを介してAC電源4の一端であるAC入力ノード4aから内部ノード3へ、その後、作動されたトランジスタQ2を介して負のDC出力ノード5bへ流れ、さらに、トランジスタQAC2を介し、その後、AC電源4の他端であるAC入力ノード4bへ流れ」、また、「トランジスタQ1をオンにし、トランジスタQ2をオフにすることで、電流が、インダクタLから内部ノード3へ、その後、トランジスタQ1を介して正のDC出力ノード5aへ流れ、出力コンデンサCOを充電し、負のDC出力ノード5bからトランジスタQAC2を介してAC電源4の他端であるAC入力ノード4bへ戻るものであ」り、さらに、甲1発明は「負のAC入力電圧の間で、トランジスタQ1をオン及びトランジスタQ2をオフとすることで、インダクタ電流ILが、AC電源4の他端であるAC入力ノード4bからトランジスタQAC1を介して、DC出力ノード5aへ流れ、トランジスタQ1へ戻り、インダクタLを介してAC電源4の一端であるAC入力ノード4aへ流れ」、また、トランジスタQ1をオフ及びトランジスタQ2をオンとすることで、電流がAC電源4の他端であるAC入力ノード4bからトランジスタQAC1を介し、出力コンデンサCOを介し、DC出力ノード5bへ流れ、トランジスタQ1とインダクタLを介して、AC電源4の一端であるAC入力ノード4aへ戻るものであ」る。 してみると、甲1発明の負のAC入力電圧の間における「トランジスタQ1」又は正のAC入力電圧の間における「トランジスタQ2」は、インダクタLとトランジスタQAC1又はトランジスタQAC2とを通してAC電源4を短絡する側のトランジスタといえ、さらに、甲1発明の正のAC入力電圧の間における「トランジスタQ1」又は負のAC入力電圧の間における「トランジスタQ2」は、トランジスタQAC2又はトランジスタQAC1とを通して出力コンデンサCOに通流する側のトランジスタといえる。 したがって、甲1発明の「コンローラ8」が「トランジスタQ1」及び「トランジスタQ2」を「トランジスタQ1のオン/オフを表すゲート−ソース電圧波形58、及びトランジスタQ2のオン/オフを表すゲート−ソーススイッチング信号曲線57においては、ゲート−ソーススイッチング信号曲線57がオフし、さらに所定時間経過後に、ゲート−ソース電圧波形58がオンし、ゲート−ソーススイッチング信号曲線57をオンする所定時間前にゲート−ソース電圧波形58がオフする動作を、正のAC入力電圧の間に複数回繰り返す」ように制御することは、本件発明1の「前記制御回路は、前記第1のMOSFETおよび第2のMOSFETのうち、前記リアクトルと第3のMOSFET又は第4のMOSFETとを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETをオフし、さらに所定時間経過後に、前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオンし、前記リアクトルが第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して交流電源を短絡する側のMOSFETをオンする所定時間前に前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオフする動作を、前記交流電源の半周期内に複数回繰返す」ことに相当する。 G 甲1発明の「システム2」は、「負荷6に電力供給するためのDC出力Voを提供する」ものであって、「トランジスタQ1とトランジスタQ2、・・・トランジスタQAC1とトランジスタQAC2を有する回路」、「インダクタL」、「出力コンデンサCO」、「コントローラ8」を備えるものであるから、後記の点で相違するものの、本件発明1の「直流電源装置」に対応するものである。 (2)一致点、相違点 上記(1)より、本件発明1と甲1発明との間には次の一致点、相違点があるといえる。 ・一致点 「直流出力電源の正極端子と負極端子との間に直列接続された第1のMOSFET及び第2のMOSFETおよび前記正極端子と負極端子の間に直列接続された第3のMOSFET及び第4のMOSFETを有するブリッジ整流回路と、交流電源の一端と前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETの直列接続点との間に接続されたリアクトルと、前記直流出力電源の正極端子と負極端子の間に接続された平滑コンデンサと、 前記交流電源の半周期内に、前記リアクトルに流れる電流を前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのどちらか一方に通電する動作を複数回繰り返すように前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETをオン/オフさせる制御回路と、 を備え、 前記交流電源の他端が前記第3のMOSFET及び第4のMOSFETの直列接続点に接続され、 前記制御回路は、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのうち、前記リアクトルと第3のMOSFET又は第4のMOSFETとを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETをオフし、さらに所定時間経過後に、前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオンし、前記リアクトルが前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して交流電源を短絡する側のMOSFETをオンする所定時間前に前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオフする動作を、前記交流電源の半周期内に複数回繰返す、 ことを特徴とする直流電源装置。」 ・相違点 (相違点1) 本件発明1では、「各前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETは、MOSFETへの印加電圧が逆方向電圧から順方向電圧に切替わる際にMOSFETのゲート信号をオン信号からオフ信号に切替えたときの逆回復時間に比べて、MOSFETへの印加電圧が逆方向電圧から順方向電圧に切替わる際にMOSFETのゲート信号をオフ信号に保ち続けているときの逆回復時間が短」いものであるのに対して、甲1発明では、「トランジスタQ1」及び「トランジスタQ2」の逆回復時間がどのようなものであるか特定されていない点。 (相違点2) 本件発明1では、「前記第3のMOSFET及び第4のMOSFETの逆回復時間が、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのゲート信号をオン信号からオフ信号に切替えたときの逆回復時間よりも長」いものであるのに対して、甲1発明では、「トランジスタQAC1」及び「トランジスタQAC2」の逆回復時間がどのようなものであるか特定されていない点。 (3)判断 事案に鑑み、まず、相違点1について検討する。 甲第2号証及び甲第3号証に記載されるように、内蔵ダイオードの逆回復時間を短くするために不純物を拡散させ、又は、粒子線を照射したスーパージャンクション構造のMOSFETは周知の技術である。 しかしながら、この周知の技術のものは、スーパージャンクション構造のMOSFETの内蔵ダイオードの逆回復時間が、不純物や粒子線を照射しないものに比べ、不純物や粒子線を照射したものが短くなるものであって、MOSFETのゲート信号をオン/オフとの関係は規定されておらず、「MOSFETへの印加電圧が逆方向電圧から順方向電圧に切替わる際にMOSFETのゲート信号をオン信号からオフ信号に切替えたときの逆回復時間」を、「MOSFETへの印加電圧が逆方向電圧から順方向電圧に切替わる際にMOSFETのゲート信号をオフ信号に保ち続けているときの逆回復時間」より短くするものではないから、「MOSFETへの印加電圧が逆方向電圧から順方向電圧に切替わる際にMOSFETのゲート信号をオン信号からオフ信号に切替えたときの逆回復時間に比べて、MOSFETへの印加電圧が逆方向電圧から順方向電圧に切替わる際にMOSFETのゲート信号をオフ信号に保ち続けているときの逆回復時間が短」くすることが周知の技術であったとはいえない。 よって、上記相違点1に係る本件発明1の構成は、甲1発明及び甲第2号証、甲第3号証に記載された周知の技術に基づいて、当業者が容易に採用し得たものではない。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、当業者が甲1発明及び及び甲第2号証、甲第3号証に記載された周知の技術に基づいて容易に発明することができたものではない。 4 本件発明2について 本件発明2は、本件発明1の「前記制御回路は、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのうち、前記リアクトルと前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETとを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETをオフし、さらに所定時間経過後に、前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオンし、前記リアクトルが前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して交流電源を短絡する側のMOSFETをオンする所定時間前に前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオフする動作を、前記交流電源の半周期内に複数回繰返す」という構成に加えて、「前記リアクトルと第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETの駆動信号のパルス幅は、前記リアクトルに流れる電流と電圧との力率が85%以上となるように変調される」としたものであるから、甲1発明と、少なくとも上記相違点1及び相違点2で相違する。 してみると、本件発明2は、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、当業者が甲1発明及び甲第2号証、甲第3号証に記載された周知の技術に基づいて容易に発明することができたものではない。 5 本件発明3について 本件発明3は、本件発明1の「前記制御回路は、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのうち、前記リアクトルと前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETとを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETをオフし、さらに所定時間経過後に、前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオンし、前記リアクトルが前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して交流電源を短絡する側のMOSFETをオンする所定時間前に前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオフする動作を、前記交流電源の半周期内に複数回繰返す」という構成に加えて、「前記リアクトルと前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETの駆動信号のパルス幅は、前記リアクトルに流れる電流と電圧との力率が85%以上となるように変調される」としたものであるから、甲1発明と、少なくとも上記相違点1及び相違点2で相違する。 してみると、本件発明3は、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、当業者が甲1発明及び甲第2号証、甲第3号証に記載された周知の技術に基づいて容易に発明することができたものではない。 6 本件発明4について 本件発明4は、本件発明1ないし3を直接又は間接的に引用するものである。したがって、本件発明4は、本件発明1ないし3の発明特定事項をすべて含みさらに他の発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、当業者が甲1発明及び甲第2号証、甲第3号証に記載された周知の技術に基づいて容易に発明することができたものではない。 7 本件発明6について 本件発明6は、本件発明1ないし5を直接又は間接的に引用するものである。したがって、本件発明6は、本件発明1ないし3の発明特定事項をすべて含みさらに他の発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、当業者が甲1発明及び甲第2号証、甲第3号証に記載された周知の技術に基づいて容易に発明することができたものではない。 また、上記の点は、甲第4号証に記載された事項をもってしても、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1、2、3、4、5、6に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1、2、3、4、5、6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)特許請求の範囲 【請求項1】 直流出力電源の正極端子と負極端子との間に直列接続された第1のMOSFET及び第2のMOSFETおよび前記正極端子と負極端子の間に直列接続された第3のMOSFET及び第4のMOSFETを有するブリッジ整流回路と、 交流電源の一端と前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETの直列接続点との間に接続されたリアクトルと、 前記直流出力電源の正極端子と負極端子の間に接続された平滑コンデンサと、 前記交流電源の半周期内に、前記リアクトルに流れる電流を前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのどちらか一方に通電する動作を複数回繰り返すように前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETをオン/オフさせる制御回路と、 を備え、 前記交流電源の他端が前記第3のMOSFET及び第4のMOSFETの直列接続点に接続され、 各前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETは、MOSFETへの印加電圧が逆方向電圧から順方向電圧に切替わる際にMOSFETのゲート信号をオン信号からオフ信号に切替えたときの逆回復時間に比べて、MOSFETへの印加電圧が逆方向電圧から順方向電圧に切替わる際にMOSFETのゲート信号をオフ信号に保ち続けているときの逆回復時間が短く、 前記第3のMOSFET及び第4のMOSFETの逆回復時間が、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETの逆回復時間よりも長く、 前記制御回路は、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのうち、前記リアクトルと前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETとを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETをオフし、さらに所定時間経過後に、前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオンし、前記リアクトルが前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して交流電源を短絡する側のMOSFETをオンする所定時間前に前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオフする動作を、前記交流電源の半周期内に複数回繰返す、 ことを特徴とする直流電源装置。 【請求項2】 直流出力電源の正極端子と負極端子との間に直列接続された第1のMOSFET及び第2のMOSFETおよび前記正極端子と負極端子の間に直列接続された第3のMOSFET及び第4のMOSFETを有するブリッジ整流回路と、 交流電源の一端と前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETの直列接続点との間に接続されたリアクトルと、 前記直流出力電源の正極端子と負極端子の間に接続された平滑コンデンサと、 前記交流電源の半周期内に、前記リアクトルに流れる電流を前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのどちらか一方に通電する動作を複数回繰り返すように前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETをオン/オフさせる制御回路と、 を備え、 前記交流電源の他端が前記第3のMOSFET及び第4のMOSFETの直列接続点に接続され、 各前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETは、MOSFETへの印加電圧が逆方向電圧から順方向電圧に切替わる際にMOSFETのゲート信号をオン信号からオフ信号に切替えたときの逆回復時間に比べて、MOSFETへの印加電圧が逆方向電圧から順方向電圧に切替わる際にMOSFETのゲート信号をオフ信号に保ち続けているときの逆回復時間が短く、 前記第3のMOSFET及び第4のMOSFETの逆回復時間が、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのゲート信号をオン信号からオフ信号に切替えたときの逆回復時間よりも長く、 前記制御回路は、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのうち、前記リアクトルと前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETとを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETをオフし、さらに所定時間経過後に、前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオンし、前記リアクトルが前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して交流電源を短絡する側のMOSFETをオンする所定時間前に前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオフする動作を、前記交流電源の半周期内に複数回繰返し、 前記リアクトルと第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETの駆動信号のパルス幅は、前記リアクトルに流れる電流と電圧との力率が85%以上となるように変調される、 ことを特徴とする直流電源装置。 【請求項3】 直流出力電源の正極端子と負極端子との間に直列接続された第1のMOSFET及び第2のMOSFETおよび前記正極端子と負極端子の間に直列接続された第3のMOSFET及び第4のMOSFETを有するブリッジ整流回路と、 交流電源の一端と前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETの直列接続点との間に接続されたリアクトルと、 前記直流出力電源の正極端子と負極端子の間に接続された平滑コンデンサと、 前記交流電源の半周期内に、前記リアクトルに流れる電流を前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのどちらか一方に通電する動作を複数回繰り返すように前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETをオン/オフさせる制御回路と、 を備え、 前記交流電源の他端が前記第3のMOSFET及び第4のMOSFETの直列接続点に接続され、 各前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETは、MOSFETへの印加電圧が逆方向電圧から順方向電圧に切替わる際にMOSFETのゲート信号をオン信号からオフ信号に切替えたときの逆回復時間に比べて、MOSFETへの印加電圧が逆方向電圧から順方向電圧に切替わる際にMOSFETのゲート信号をオフ信号に保ち続けているときの逆回復時間が短く、 前記第3のMOSFET及び第4のMOSFETの逆回復時間が、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのゲート信号をオン信号からオフ信号に切替えたときの逆回復時間よりも長く、 前記制御回路は、前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETのうち、前記リアクトルと前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETとを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETをオフし、さらに所定時間経過後に、前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオンし、前記リアクトルが前記第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して交流電源を短絡する側のMOSFETをオンする所定時間前に前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオフする動作を、前記交流電源の半周期内に複数回繰返し、 前記リアクトルと第3のMOSFET又は第4のMOSFETを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETの駆動信号は、3ショット以上である、 ことを特徴とする直流電源装置。 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、 前記第1のMOSFET及び第2のMOSFETは、スーパージャンクション構造を有し、該スーパージャンクション構造におけるp型半導体層に、重金属が拡散されているか、または重粒子の粒子線が照射されている、 ことを特徴とする直流電源装置。 【請求項5】 請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、 前記第3のMOSFETのゲートの制御信号は、交流電源波形が正の期間の半周期においては低レベルであり、交流電源波形が負の期間の半周期においては高レベルであり、 前記第4のMOSFETのゲートの制御信号は、交流電源波形が正の期間の半周期においては高レベルであり、交流電源波形が負の期間の半周期においては低レベルである、 ことを特徴とする直流電源装置。 【請求項6】 請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の直流電源装置を備えることを特徴とする空気調和機。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2023-09-22 |
出願番号 | P2021-070842 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YAA
(H02M)
P 1 651・ 537- YAA (H02M) |
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
須田 勝巳 |
特許庁審判官 |
山澤 宏 中村 信也 |
登録日 | 2022-08-02 |
登録番号 | 7116439 |
権利者 | 日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社 |
発明の名称 | 直流電源装置及びこれを搭載した空気調和機 |
代理人 | 弁理士法人磯野国際特許商標事務所 |
代理人 | 弁理士法人磯野国際特許商標事務所 |