• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1405335
総通号数 25 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2024-01-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-08-02 
確定日 2023-12-05 
事件の表示 特願2020−545655「光ファイバ接合アセンブリ、その密閉方法、及び光ファイバ接合ボックス」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 2月 4日国際公開、WO2021/016735、令和 3年12月23日国内公表、特表2021−536024〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2019年(令和元年)7月26日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は次のとおりである。
令和 3年11月16日付け:拒絶理由通知書
令和 4年 2月10日 :意見書・手続補正書の提出
令和 4年 3月25日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和 4年 8月 2日 :審判請求書・手続補正書(以下、この手続補正書でした補正を「本件補正」という。)の提出
令和 4年 9月30日付け:前置報告書
令和 5年 1月17日 :上申書の提出

第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、本件補正前の請求項8の記載を本件補正後の請求項6の記載へと補正する事項(以下「本件補正事項」という。)を含むところ、本件補正事項は、
本件補正前の請求項8の
「第一合わせ面と収容室とを有する第一筐体であって、前記収容室の開口が前記第一合わせ面に設けられ、該第一筐体に複数の光ファイバ接続ポートが配置されている、第一筐体と、
前記第一筐体と組み立てられた第二筐体であって、該第二筐体が、前記第一合わせ面に対向する第二合わせ面を有し、前記第二合わせ面が前記収容室の開口を覆う、第二筐体と、
前記収容室の開口の周りにおいて前記第一合わせ面と前記第二合わせ面との間に位置する接続層であって、前記第一合わせ面を前記第二合わせ面に接続し、前記収容室を密閉するように構成され、プラスチック物質製である接続層と、
前記第一合わせ面に配置された第一オーバーフロー溝と前記第二合わせ面に配置された第二オーバーフロー溝を備えるオーバーフロー溝であって、前記接続層と同じ物質製のコロイドを収容するオーバーフロー溝と、を備える光ファイバ接合ボックス。」の記載から、
本件補正後の請求項6の
「第一合わせ面と収容室とを有する第一筐体であって、前記収容室の開口が前記第一合わせ面に設けられ、該第一筐体に複数の光ファイバ接続ポートが配置されている、第一筐体と、
前記第一筐体と組み立てられた第二筐体であって、該第二筐体が、前記第一合わせ面に対向する第二合わせ面を有し、前記第二合わせ面が前記収容室の開口を覆う、第二筐体と、
前記収容室の開口の周りにおいて前記第一合わせ面と前記第二合わせ面との間に位置する接続層であって、前記第一合わせ面を前記第二合わせ面に接続し、前記収容室を密閉するように構成され、プラスチック物質製である接続層と、
前記接続層の周りにおいて前記第一合わせ面に配置された第一オーバーフロー溝と前記接続層の周りにおいて前記第二合わせ面に配置された第二オーバーフロー溝を備えるオーバーフロー溝であって、前記接続層と同じ物質製のコロイドを収容するオーバーフロー溝と、を備える光ファイバ接合ボックス。」の記載へと補正するという事項である(下線は補正箇所である。)。

2 補正の適否
本件補正事項に係る補正は、本件補正前の請求項8に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記第一合わせ面に配置された第一オーバーフロー溝」及び「前記第二合わせ面に配置された第二オーバーフロー溝を備えるオーバーフロー溝」について、いずれも、「前記接続層の周りにおいて」配置されるとの限定を付加するものであって、本件補正前の請求項8に記載された発明と本件補正後の請求項6に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、当該補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項6に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明の認定
本件補正発明は、上記1において、本件補正後の請求項6として記載される事項により特定されるとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項及び引用発明の認定
ア 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である米国特許出願公開第2012/0106913号明細書(原査定が提示した引用文献2。以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(下線は当審が付した。)。
(ア)「[0039] Embodiments disclosed in the detailed description include impact resistant fiber optic enclosures for fiber optic components, and related methods. In one embodiment, a fiber optic enclosure is provided and comprises a housing. The housing comprises a base, a cover, and a seal disposed between the cover and the base to secure the cover to the base and to define an interior cavity configured to support one or more fiber optic components therein. At least one expandable joint is disposed in the housing. The at least one expandable joint is configured to break the continuity of the housing material to deflect and/or assist in deflecting an impact load(s) applied to the housing to prevent damage to the housing and/or the seal. In this manner, any fiber optic components disposed in the interior cavity are protected from being damaged and/or from being exposed to the environment outside of the interior cavity. The at least one expandable joint may be disposed in one of the cover and the base, or both. The at least one expandable joint may comprise two or more expandable joints, wherein each are configured to absorb and deflect and/or assist in deflecting an impact load(s) applied to the housing. The at least one expandable joint may assist in absorbing and deflecting and/or assist in deflecting compression, tensile, shear, and/or torsional impact loads as examples.」
(当審訳:詳細な説明で開示される実施形態には、光ファイバコンポーネント用の耐衝撃性光ファイバエンクロージャ及び関連する方法が含まれる。一実施形態では、光ファイバエンクロージャが提供され、ハウジングを備える。ハウジングは、ベース、カバー、及び、カバーをベースに固定し、1つ又は複数の光ファイバコンポーネントを内部に支持するように構成された内部キャビティを画定するために、カバーとベースとの間に配置されたシールを備える。少なくとも1つの拡張可能なジョイントがハウジング内に配置される。少なくとも1つの拡張可能なジョイントは、ハウジング材料の連続性を断ち、ハウジングに加えられる衝撃荷重を偏向させる、及び/又は、偏向を補助して、ハウジング及び/又はシールへの損傷を防ぐように構成される。このようにして、内部キャビティ内に配置された任意の光ファイバコンポーネントは、損傷及び/又は内部キャビティの外側の環境にさらされることから保護される。少なくとも1つの拡張可能なジョイントは、カバー及びベースのうちの一方、又は、両方に配置され得る。少なくとも1つの拡張可能なジョイントは、2つ以上の拡張可能なジョイントを備えてもよく、それぞれが、ハウジングに加えられる衝撃荷重を吸収し、偏向させ、及び/又は、偏向を補助するように構成される。少なくとも1つの拡張可能なジョイントは、例として、圧縮、引張、せん断、及び/又は、ねじり衝撃荷重の吸収及び偏向を補助し、及び/又は、偏向を補助することができる。)、
「[0040] In this regard, FIG. 1 discloses an exemplary fiber optic enclosure 10. In this embodiment, the fiber optic enclosure 10 is spherical-shaped, but may be provided as any other type of shape desired. The fiber optic enclosure 10 may be configured to support any fiber optic component(s) or equipment desired. As non-limiting examples, the fiber optic enclosure 10 may be configured as a multi-port optical connection terminal, a terminal for terminated ends of fiber optic cables, a local convergence point (LCP), a fiber distribution terminal (FDT) splice closure, a fiber interconnection closure, a canister-type closure, or a network interface device (NID) closure, including but not limited to those where a hermetic seal is employed. In this embodiment, the fiber optic enclosure 10 is comprised of a housing 12 to provide a rigid exoskeleton structure for protecting fiber optic components disposed therein from damage and/or the environment outside the housing 12. The housing 12 in this embodiment is comprised of a base 14 and a cover 16. Providing a separate base 14 and cover 16 allows fiber optic components to be disposed inside the housing 12 before the housing 12 is sealed. Although not shown in FIG. 1 the fiber optic enclosure 10 may have more than one seal. As a non-limiting example, the fiber optic enclosure 10 may have a base with more than one cover with each cover having a seal between the cover and the base.」
(当審訳:これに関して、図1は、例示的な光ファイバエンクロージャ10を開示する。この実施形態では、光ファイバエンクロージャ10は球形であるが、所望の他のタイプの形状として提供されてもよい。光ファイバエンクロージャ10は、所望の任意の光ファイバコンポーネント又は機器を支持するように構成され得る。非限定的な例として、光ファイバエンクロージャ10は、マルチポート光接続端子、光ファイバケーブルの終端用の端子、ローカルコンバージェンスポイント(LCP)、ファイバ分配端子(FDT)のスプライスクロージャ、ファイバ相互接続クロージャ、キャニスタ型クロージャ又はネットワークインターフェースデバイス(NID)として構成されることができ、限定されないが、ハーメチックシールが使用されるこれらにを含む。この実施形態では、光ファイバエンクロージャ10は、その中に配置された光ファイバコンポーネントを損傷及び/又はハウジング12の外部の環境から保護するための剛性の外骨格構造を提供するハウジング12から構成される。別個のベース14及びカバー16を設けることにより、ハウジング12が密閉される前に、光ファイバコンポーネントをハウジング12の内部に配置することが可能になる。図1には示されていないが、光ファイバエンクロージャ10は複数のシールを有してもよい。非限定的な例として、光ファイバエンクロージャ10は、2つ以上のカバーを備えたベースを有し、各カバーはカバーとベースとの間にシールを有することができる。)、

「[0041] The base 14 and cover 16 may both be molded pieces. In this embodiment, the base 14 and cover 16 each define walls 18 and 20, respectively, of a defined thickness, having an exterior surface 22 and 24, respectively, and an interior surface 28 and 30, respectively. Thus, when the base 14 and cover 16 are attached to each other, an interior cavity 32 is formed therein inside the interior surfaces 28, 30. To secure the cover 16 to the base 14 and protect any fiber optic components disposed in the internal cavity 32 from the environment, a seal 34 may be disposed therebetween. For example, the seal 34 may be comprised of a weld, such as an ultrasonic weld, to secure the cover 16 to the base 14. Other methods of securing the cover 16 to the base 14, such as an adhesive for example, may alternatively be employed.」
(当審訳:ベース14及びカバー16は両方とも成形品であってもよい。この実施形態では、ベース14及びカバー16は、それぞれ外面22、24と、それぞれ内面28、30を有する、規定の厚さの壁18、20をそれぞれ画定する。したがって、ベース14とカバー16が互いに取り付けられると、内部表面28、30の内側に内部キャビティ32が形成される。カバー16をベース14に固定し、内部キャビティ32内に配置された光ファイバコンポーネントを環境から保護するために、それらの間にシール34を配置してもよい。例えば、シール34は、カバー16をベース14に固定するために、超音波溶着などの溶着から構成されてもよい。代わりに、例えば接着剤など、カバー16をベース14に固定する他の方法を使用してもよい。)、
「[0042] Because the intended use and environment of the fiber optic enclosure 10 may subject to the housing 12 to certain impact loads, the housing 12 may be designed to be impact resistant. Providing an impact resistant housing 12 serves to protect any fiber optic components disposed in the interior cavity 32 from damage and/or the environment outside the housing 12. In this regard as an example, the base 14 and the cover 16 may be constructed out of a hardened flexible material, such as polymer material, plastic, thermoplastic, composite, or aluminum, as examples, to absorb and deflect impact loads under varying environmental conditions, including low temperatures to at least about negative forty degrees Celsius (-40℃) as an example. Examples of such hardened polymer materials include, but are not limited to, polypropylene, polypropylene copolymers, polystyrene, polyethylene, ethylene vinyl acetate (EVA), polyolefin, including metallocene catalyzed low density polyethylene, thermoplastic olefin (TPO), thermoplastic polyester, thermoplastic vulcanizate (TPV), polyvinyl chlorides (PVC), chlorinated polyethylene, styrene block copolymers, ethylene methyl acrylate (EMA), ethylene butyl acrylate (EBA), and derivatives thereof. Other materials may be employed.」
(当審訳:光ファイバエンクロージャ10の意図された用途及び環境は、ハウジング12に特定の衝撃荷重を受ける可能性があるため、ハウジング12は耐衝撃性となるように設計され得る。耐衝撃性ハウジング12を設けることは、内部キャビティ32内に配置された光ファイバコンポーネントを損傷及び/又はハウジング12の外側の環境から保護するのに役立つ。これに関して、一例として、ベース14及びカバー16は、硬化した柔軟な材料、例として、少なくとも摂氏マイナス約40度(−40℃)までの低温を含む様々な環境条件下で衝撃荷重を吸収し、そらせるための、ポリマー材料、プラスチック、熱可塑性樹脂、複合材料又はアルミニウムなどから構成されてもよい。このような硬化ポリマー材料の例としては、ポリプロピレン、ポリプロピレンコポリマー、ポリスチレン、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル(EVA)、メタロセン触媒低密度ポリエチレンを含むポリオレフィン、熱可塑性オレフィン(TPO)、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性加硫物(TPV)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩素化ポリエチレン、スチレンブロック共重合体、エチレンメチルアクリレート(EMA)、エチレンブチルアクリレート(EBA)、及びそれらの誘導体が挙げられる。他の材料を使用することもできる。)、
「[0043] When the seal 34 is provided to secure the cover 16 to the base 14, the resulting stiffness of the housing 12 as a unit is increased. As a result, the housing 12 may shatter under the same impact load conditions that would not shatter the cover 16 and base 14 without the inclusion of the seal 34. The cover 16 and base 14 could be made from materials that have greater impact resistance to offset the increased stiffness that results from providing the seal 34 otherwise, but at a higher cost. It was determined that providing one or more impact resistant expandable joints disposed in the housing of a fiber optic enclosure allows the fiber optic enclosure to be more impact resistant even with the presence of a seal between a cover and base of the fiber optic enclosure. Providing one or more expandable joints breaks the continuity of a housing that is overly stiff or made overly stiff by inclusion of a seal. In this regard, embodiments disclosed herein provide at least one expandable joint disposed in the housing of a fiber optic enclosure to absorb and deflect and/or assist in deflecting an impact load(s) applied to the housing.」
(当審訳:カバー16をベース14に固定するためにシール34が設けられると、結果として生じるユニットとしてのハウジング12の剛性が増加する。その結果、ハウジング12は、シール34を含めなければカバー16及びベース14を粉砕しないであろう同じ衝撃荷重条件下で粉砕する可能性がある。カバー16及びベース14は、シール34を設けることによって生じる剛性の増加を相殺するために、より高い耐衝撃性を有する材料から作製することができるが、より高いコストがかかる。光ファイバエンクロージャのハウジング内に配置された1つ又は複数の耐衝撃性の拡張可能なジョイントを設けることにより、光ファイバエンクロージャのカバーとベースとの間にシールが存在しても、光ファイバエンクロージャの耐衝撃性を高めることができることが判明した。1つ又は複数の拡張可能なジョイントを設けると、過度に硬くなったハウジング、又は、シールを含めることによって過度に硬くなったハウジングの連続性が断たれる。これに関して、本明細書に開示される実施形態は、ハウジングに加えられる衝撃荷重を吸収し、偏向させ、及び/又は、偏向を補助するために、光ファイバエンクロージャのハウジング内に配置された少なくとも1つの拡張可能なジョイントを提供する。)、
「[0044] In this regard with reference to FIG. 1, an expandable joint 36 is disposed in the housing 12 of the fiber optic enclosure 10. The expandable joint 36 may be a hinge as an example. The expandable joint 36 in this embodiment is comprised of an opening 38 in the housing 12 to break the continuity of the housing 12 and thus decrease the stiffness of the housing 12. The opening 38 is elongated along a longitudinal axis A1 in this embodiment, as illustrated in FIG. 1. The expandable joint 36 increases the absorption of an impact load and the deflection of the housing 12 in response to an impact load and thus is designed to prevent shattering of the housing 12 when made more rigid or stiff due to the inclusion of the seal 34 between the cover 16 and the base 14.」
(当審注:末文の「The expandable joint 36・・・ thus is designed to present shattering of the housing 12・・・」の「present」は、[0039]の「The at least one expandable joint is configured to・・・to prevent damage to the housing and/or the seal.」などの文脈に照らして「prevent」の明らかな誤記と認められるので、誤記を正して摘記した。)
(当審訳:これに関して、図1を参照すると、拡張可能なジョイント36は、光ファイバエンクロージャ10のハウジング12内に配置される。拡張可能なジョイント36は、一例としてヒンジであり得る。この実施形態における拡張可能なジョイント36は、ハウジング12の連続性を断ち、したがってハウジング12の剛性を低下させるために、ハウジング12内の開口部38から構成される。開口部38は、この実施形態では、図1に示されるように、長手方向軸A1に沿って細長い。拡張可能なジョイント36は、衝撃荷重の吸収及び衝撃荷重に応じたハウジング12の偏向を増加させ、したがって、カバー16とベース14との間のシールを含めることによって、より剛く又は硬くなったときのハウジング12の粉砕を妨げるように設計されている。)、
「[0045] The opening 38 in this embodiment of the fiber optic enclosure 10 in FIGS. 1-4 is comprised of a void in the material of the cover 16 and the base 14 such that the opening 38 is formed in the housing 12 when the cover 16 is brought in contact with the base 14 as illustrated in FIG. 1. The opening 38 is disposed about the equatorial center of the housing 12 in this embodiment, but such is not required. The expandable joint 36 may be disposed exclusively in the cover 16 or the base 14. Also, more than one expandable joint 36 may be disposed in the housing 12 to achieve the desired increase in absorption and deflection as long as the desired structural integrity of the housing 12 is maintained.」
(当審訳:図1〜4における光ファイバエンクロージャ10のこの実施形態での開口部38は、図1に示されるように、カバー16がベース14に接触すると、開口部38がハウジング12に形成されるような、カバー16とベース14の材料の空隙を備えている。この実施形態では、開口部38はハウジング12の赤道中心付近に配置されているが、これは必須ではない。拡張可能なジョイント36は、カバー16又はベース14のみに配置されてもよい。また、ハウジング12の所望の構造的完全性が保たれる限り、吸収及び偏向の所望の増大を達成するために、2つ以上の拡張可能なジョイント36がハウジング12内に配置されてもよい。)、
「[0046] An optional overmolding material 40 may be disposed in the opening 38 to form an overmolded expandable joint 36. The overmolding material 40 seals the interior cavity 32 from the environment outside the housing 12. The overmolding material 40 may also increase the flexibility of the expandable joint 36 and its ability to absorb and deflect an impact load. For example, the overmolding material 40 may be comprised of exemplary materials, such as santoprene, evoprene,_kraton, silicone rubber, or other elastomeric or flexible materials, including but not limited to those having a low modulus of elasticity for increased flexibility. For example, the modulus of elasticity may be between 1,000 and 300,000 pounds per square inch (psi).」
(当審訳:任意のオーバーモールド材料40を開口部38内に配置して、オーバーモールドされた拡張可能なジョイント36を形成することができる。オーバーモールド材料40は、ハウジング12の外側の環境から内部キャビティ32を密閉する。また、オーバーモールド材料40は、拡張可能なジョイントの柔軟性と衝撃荷重を吸収して偏向する能力を高めることも可能にする。例えば、オーバーモールド材料40は、サントプレン、エボプレン、クレイトン、シリコーンゴム、又は他のエラストマー若しくは柔軟材料のような例示的な材料で構成されることができ、限定されないが、柔軟性を高めるために低弾性率を有するこれらを含む。例えば、弾性率は1,000から300,000ポンド/平方インチ(psi)の間であってもよい。)

(イ)「[0051] A housing that includes one or more expandable joints may be provided for any type of fiber optic enclosure. One example of such a fiber optic enclosure is the multi-port optical connection terminal 50 (also referred to herein as “connection terminal 50”) illustrated in FIGS. 5 and 6 and described in more detail below in this disclosure. The connection terminal 50 illustrated in FIGS. 5 and 6 includes at least one expandable joint disposed in a cover 52, which is secured to a base 54 to form a housing 56 of the connection terminal 50. With reference to FIG. 5, the connection terminal 50 is provided to provide connection access to a fiber optic communications network 60, a portion of which is illustrated in FIG. 5. In this embodiment, the fiber optic communications network 60 comprises a fiber optic distribution cable 62. At least one (as shown), and preferably a plurality of mid-span access locations are provided along the length of the distribution cable 62. The mid-span access locations may be factory-prepared with preterminated or pre-connectorized optical fibers at predetermined branch points on a distribution cable for a pre-engineered fiber optic communications network. Alternatively, the mid-span access locations may be field-prepared at branch points formed on a previously deployed distribution cable. Regardless, the mid-span access locations are enclosed and protected from exposure to the environment by a closure 64.」
(当審訳:1つ又は複数の拡張可能なジョイントを含むハウジングは、任意のタイプの光ファイバエンクロージャに提供され得る。このような光ファイバエンクロージャの一例は、図5及び6に示されるマルチポート光接続端子50(本明細書では「接続端子50」とも称する。)であり、本開示において以下でより詳細に説明する。図5及び6に示される接続端子50は、接続端子50のハウジング56を形成するために、ベース54に固定されたカバー52内に配置された少なくとも1つの拡張可能なジョイントを含んでいる。図5を参照すると、接続端末50は、光ファイバ通信ネットワーク60への接続アクセスを提供するために設けられており、その一部が図5に示されている。この実施形態では、光ファイバ通信ネットワーク60は、光ファイバ分配ケーブル62を備える。少なくとも1つ(図示のように)、好ましくは複数の中間スパンのアクセス位置が、分配ケーブル62の長さに沿って設けられる。中間スパンのアクセス位置は、事前に設計された光ファイバー通信ネットワーク用の配線ケーブル上の所定の分岐点に、事前に終端処理又は事前にコネクタ化された光ファイバを使用して工場で準備することができる。あるいは、中間スパンのアクセス位置は、事前に配備された配線ケーブル上に形成された分岐点に現場で準備することもできる。いずれにしても、中間スパンのアクセス位置はクロージャ64によって囲まれ、環境への暴露から保護されている。)、


「[0052] As illustrated in FIGS. 5 and 6, the distribution cable 62 can be factory-prepared with at least one mid-span access location for providing access to at least one preterminated optical fiber 68 at a predetermined branch point in the fiber optic communications network 60. In one embodiment, the fiber optic communications network 60 comprises the fiber optic distribution cable 62 having a plurality of mid-span access locations at branch points spaced along the length of the distribution cable 62, each providing access to at least one, and preferably the plurality of optical fibers 68 of the fiber optic communications network 60. Thus, the distribution cable 62 provides multiple locations for joining a stub cable 70 of at least one connection terminal 50 to the fiber optic distribution cable 62 at each mid-span access location.」
(当審訳:図5及び6に示されるように、配線ケーブル62は、光ファイバ通信ネットワーク60の所定の分岐点で少なくとも1つの事前に終端処理された光ファイバ68へのアクセスを提供するための少なくとも1つの中間スパンのアクセス位置を備えて、工場で準備することができる。一実施形態では、光ファイバ通信ネットワーク60は、分配ケーブル62の長さに沿って離間した分岐点に複数の中間スパンのアクセス位置を有する光ファイバ分配ケーブル62を備え、それぞれの分岐点は、光ファイバ通信ネットワーク60の少なくとも1つの、好ましくは、複数の光ファイバ68にアクセスを提供する。したがって、分配ケーブル62は、各中間スパンのアクセス位置で少なくとも1つの接続端子50のスタブケーブル70を光ファイバ分配ケーブル62に接続するための複数の位置を提供する。)、
「[0055] The stub cable 70 extends from the closure 64 into the connection terminal 50 through a stub cable port 82 provided through an exterior wall of the connection terminal 50. The optical fibers of the stub cable 70 within the connection terminal 50 are pre-connectorized and the optical connectors are inserted into a conventional adapter sleeve seated in a respective one of connector ports 84 provided through an exterior wall of the connection terminal 50. At least one, and preferably more than one pre-connectorized drop cable 80 is thereafter interconnected with a respective connectorized optical fiber of the stub cable 70 by inserting the pre-connectorized end of the drop cable 80 into an adapter sleeve seated in the connector port 84 from the exterior of the connection terminal 50. The stub cable port 82 of the connection terminal 50 sealingly receives the stub cable 70 and the plurality of connector ports 84 are operable for receiving the pre-connectorized optical fibers of the stub cable 70 and the connectorized ends of the drop cables 80. ・・・(後略)」
(当審訳:スタブケーブル70は、クロージャ64から接続端子50内へ、接続端子50の外壁に設けられたスタブケーブルポート82を通って延びている。接続端子50内のスタブケーブル70の光ファイバは事前にコネクタ化されており、光コネクタは、接続端子50の外壁を貫通して設けられたコネクタポート84のそれぞれに装着された従来のアダプタスリーブに挿入される。その後、少なくとも1つの、好ましくは2つ以上の事前にコネクタ化されたドロップケーブル80が、接続端子50の外装からコネクタポート84内に装着されたアダプタスリーブの内部へドロップケーブル80の事前にコネクタ化された端部を挿入することによって、スタブケーブル70のそれぞれのコネクタ化された光ファイバと相互接続される。接続端子50のスタブケーブルポート82は、スタブケーブル70を密閉して受け入れ、複数のコネクタポート84は、スタブケーブル70の事前にコネクタ化された光ファイバ及びドロップケーブル80のコネクタ化された端部を受け入れるように動作可能である。)

(ウ)「[0062] FIG. 11 illustrates a top perspective view of another exemplary multi-port optical connection terminal fiber optic enclosure 140 (also referred to as “connection terminal 140”) similar to the connection terminal 50 of FIGS. 6-8B. However, the connection terminal 140 includes two off-center expandable joints 142A, 142B in a cover 144, as illustrated in FIGS. 12A and 12B. As an example, the cover 144 may be a molded piece. Before discussing the expandable joints 142A, 142B, with reference to FIG. 11, the connection terminal 140 may contain other features that are the same as or similar to the connection terminal 50 in FIGS. 6-8B. In this regard, the connection terminal 140 may comprise a housing 146 comprised of a base 148 and the cover 144. A seal 150 is disposed between the cover 144 and the base 148 to secure the cover 144 to the base 148. The base 148 has opposed end walls 152, 154, respectively, and side walls 156, 158, respectively. The base 148 is further provided with an upper surface 160. The upper surface 160 of the base 148 is provided with a plurality of angled or sloped surfaces 162. Each angled surface 162 has at least one connector port 164 formed therethrough. Mounting tab structural elements 166A, 166B (also referred to herein as “mounting tabs 166A, 166B”) may be attached or provided as an integral to the base 148 or the cover 144 to allow the connection terminal 140 to be mounted to a surface. The mounting tabs 166A, 166B may be configured such that when disposed on a surface, the cover 144 is raised off of the surface. Further, the base 148 is box-shaped in this embodiment and defines an interior cavity (not shown) for housing fiber optic hardware, such as connector ports, adapters, optical fiber routing guides, fiber hubs and the like. The base 148 may have any of a variety of shapes that is suitable for housing fiber optic hardware and for routing optical fibers of the stub cable. However, by way of example only, the base 148 may be elongated in the lengthwise direction relative to the widthwise direction between the opposed end walls 152, 154. Alternatively, the base 148 may be elongated in the widthwise direction relative to the lengthwise direction.」
(当審訳:図11は、図6〜8Bの接続端子50と同様の別の例示的なマルチポート光接続端子光ファイバエンクロージャ140(「接続端子140」とも呼ばれる)の上面斜視図を示している。ただし、接続端子140は、図12A及び12Bに示されるように、カバー144内に偏心した2つの伸縮継手142A、142Bを備えている。一例として、カバー144は成形品であってもよい。拡張可能ジョイント142A、142Bについて説明する前に、図11を参照して、接続端子140は、図6〜8Bの接続端子50と同一又は類似の他の特徴を含み得る。この点に関して、接続端子140は、ベース148及びカバー144から構成されるハウジング146を備えることができる。カバー144をベース148に固定するために、シール150がカバー144とベース148との間に配置される。ベース148は、それぞれ対向する端壁152、154と、それぞれ側壁156、158を有する。ベース148にはさらに上面160が設けられる。ベース148の上面160には複数の傾斜面162が設けられる。各傾斜面162には少なくとも1つのコネクタポート164が貫通形成される。取り付けタブ構造要素166A、166B(本明細書では「取り付けタブ166A、166B」とも呼ばれる。)は、接続端子140を表面に取り付けることを可能にするために、ベース148又はカバー144に取り付けられるか、又は、一体として提供され得る。取り付けタブ166A、166Bは、表面上に配置されると、カバー144が表面から浮き上がるように構成され得る。さらに、ベース148は、この実施形態では箱形であり、コネクタポート、アダプタ、光ファイバルーティングガイド、ファイバハブなどの光ファイバハードウェアを収容するための内部キャビティ(図示せず)を画定する。ベース148は、光ファイバハードウェアを収容し、スタブケーブルの光ファイバを配線するのに適した様々な形状のいずれかを有してもよい。しかしながら、単なる例として、ベース148は、対向する端壁152、154の間の幅方向に対して長さ方向に長くてもよい。あるいは、ベース148は、長さ方向に対して幅方向に長くてもよい。)、

「[0063] FIG. 12A illustrates a bottom perspective view of the connection terminal 140 of FIG. 11 with the two expandable joints 142A, 142B disposed in the cover 144. FIG. 12B illustrates a close-up view of the two expandable joints 142A, 142B illustrated in FIG. 12A disposed in the cover 144 of the connection terminal 140 of FIG. 11. Providing two expandable joints 142A, 142B may increase the impact resistance of the connection terminal 140. Since the expandable joints 142A, 142B are disposed on both sides of the cover 144 in this embodiment, the stiffness of the expandable joints 142A, 142B is inversely proportional to the depth of the expandable joints 142A, 142B. The more shallow the expandable joints 142A, 142B, the greater the deformation, thus causing a delay in changing directions from absorption to deflection in response to an impact load. This increase in time is an indication of a more impact resistant design.」
(当審訳:図12Aは、2つの拡張可能なジョイント142A、142Bがカバー144内に配置された、図11の接続端子140の底面斜視図を示している。図12Bは、図11の接続端子140のカバー144内に配置される、図12Aに示される2つの拡張可能なジョイント142A、142Bの拡大図を示している。2つの拡張可能なジョイント142A、142Bを設けることにより、接続端子140の耐衝撃性を高めることができる。本実施形態では、拡張可能なジョイント142A、142Bがカバー144の両側に配置されているため、拡張可能なジョイント142A、142Bの剛性は拡張可能なジョイント142A、142Bの深さに反比例する。拡張可能なジョイント142A、142Bが浅ければ浅いほど変形が大きくなり、衝撃荷重に対する吸収から偏向への方向転換に遅れが生じる。この時間の増加は、より耐衝撃性の高い設計を示している。)、


「[0064] As illustrated in FIG. 12A, the expandable joints 142A, 142B are disposed off of a center longitudinal axis A4 of the cover 144 as illustrated in FIGS. 12A and 12B. The expandable joints 142A, 142B may be hinges. The expandable joints 142A, 142B in this embodiment are comprised of openings 168A, 168B disposed in the cover 144. The openings 168A, 168B in this embodiment of the connection terminal 140 are comprised of voids in material of the cover 144. The openings 168A, 168B are elongated along and offset from the longitudinal axis A4 in this embodiment, as illustrated in FIGS. 12A and 12B. The openings 168A, 168B are disposed parallel to each other in the direction of the longitudinal axis A4. The expandable joints 142A, 142B enable an increase in the amount of deflection of the housing 146 in response to a compressive impact load, and thus are designed to prevent shattering of the housing 146 when made more rigid due to the inclusion of the seal 150 between the cover 144 and the base 148, as illustrated in FIG. 12A.」
(当審訳:図12Aに示されるように、拡張可能なジョイント142A、142Bは、図12A及び12Bに示されるように、カバー144の中心長手方向軸A4からずれて配置される。拡張可能なジョイント142A、142Bはヒンジであってもよい。この実施形態における拡張可能なジョイント142A、142Bは、カバー144に配置された開口部168A、168Bから構成される。接続端子140のこの実施形態における開口部168A、168Bは、カバー144の材料内の空隙から構成される。図12A及び12Bに示されるように、この実施形態では、開口部168A、168Bは長手方向軸A4に沿って延びており、長手方向軸A4からオフセットされている。開口部168A、168Bは、長手方向軸A4の方向に互いに平行に配置されている。拡張可能なジョイント142A、142Bは、圧縮衝撃荷重に応答してハウジング146の偏向量の増加を可能にし、したがって、図12Aに示されるように、カバー144とベース148との間にシール150が含まれることによってより剛性が高くなったときに、ハウジング146の粉砕を防ぐように設計される。)、
「[0065] As illustrated in FIGS. 12A and 12B, and the perspective cross-sectional view of the cover 144 of the connection terminal 140 in FIG. 13, the openings 168A, 168B each comprise a recessed area 170A, 170B comprised of a plurality of optional openings 172A, 172B in this embodiment. The recessed areas 170A, 170B are configured to receive an overmolding material to seal the openings 172A, 172B if desired to be provided. The optional openings 172A, 172B can be provided to allow an overmolding material disposed in the openings 168A, 168B to penetrate therethrough to provide a more secure bonding of the overmolding material to the openings 168A, 168B to seal off the openings 168A, 168B. Providing the overmolding material to the openings 168A, 168B may also serve to increase the deflection characteristics of the connection terminal 140. In this regard, FIG. 14A illustrates a bottom perspective view of the connection terminal 140 of FIGS. 12A-13, but with an overmolding material 174A, 174B provided in the openings 168A, 168B of the expandable joints 142A, 142B. FIG. 14B illustrates a close-up view of the two overmolded expandable joints 142A, 142B illustrated in FIG. 14A disposed in the cover 144 of the connection terminal 140. Additionally, as shown in FIG. 12A, the overmolding material may be disposed to provide an extension 200 with either a continuous surface or an interrupted surface 200A, 200B. In FIG. 12A, the extension 200 with a continuous surface is shown on mounting tab 166A and with the interrupted surface 200A, 200B on mounting tab 166B. This will be discussed further with reference to FIGS. 17A and 17B, below. FIG. 15 illustrates a perspective cross-sectional view of the cover 144 of the connection terminal 140 of FIGS. 14A and 14B showing the two overmolded expandable joints 142A, 142B disposed in the cover 144.」
(当審訳:この実施形態では、図12A及び12B、さらに、図13の接続端子140のカバー144の斜視断面図に示されるように、開口部168A、168Bは、それぞれ、複数の任意の開口部172A、172Bから構成される凹部領域170A、170Bを備える。凹部領域170A、170Bは、必要に応じて、開口部172A、172Bを封止するオーバーモールド材料を受け入れるように構成されている。オプションの開口部172A、172Bは、開口部168A、168B内に配置されたオーバーモールド材料が開口部168A、168Bを貫通して開口部168A、168Bへのオーバーモールド材料のより確実な結合を提供し、開口部168A、168Bを密閉できるように設けることができる。開口部168A、168Bにオーバーモールド材料を設けることは、接続端子140の撓み特性を増大させるのにも役立つ可能性がある。これに関連して、図14Aは、図12及び13の接続端子140の底面斜視図を示しているが、オーバーモールド材料174A、174Bが拡張可能なジョイント142A、142Bの開口部168A、168Bに設けられている。図14Bは、接続端子140のカバー144内に配置された、図14Aに示される2つのオーバーモールドされた拡張可能なジョイント142A、142Bの拡大図を示している。さらに、図12Aに示されるように、オーバーモールド材料は、連続表面又は断続表面200A、200Bのいずれかを有する延長部200を提供するように配置されてもよい。図12Aでは、連続表面を有する延長部200が取付タブ166A上に示されており、断続表面200A、200Bを有する延長部が取付タブ166B上に示されている。これについては、以下で図17A及び17Bを参照してさらに説明する。図15は、カバー144内に配置された2つのオーバーモールドされた拡張可能なジョイント142A、142Bを示す、図14A及び14Bの接続端子140のカバー144の斜視断面図を示す。)





イ 引用文献1の記載から読み取れる事項
上記アによれば、図11〜15に係るマルチポート光接続端子光ファイバエンクロージャ140(接続端子140)について、次のことがいえる。
(ア)まず、当業者は、当該マルチポート光接続端子光ファイバエンクロージャ140(接続端子140)に対しても、これに関しての特段の記載がない事項については、図1に係る例示的な光ファイバエンクロージャ10についての記載が妥当すると理解するといえる。すなわち、図11〜15に係る接続端子140は、図6〜8Bに係る接続端子50と同様の別の例示的な態様である([0062])。そして、当該図6〜8Bの接続端子50は、「1つ又は複数の拡張可能なジョイントを含むハウジングは、任意のタイプの光ファイバエンクロージャに提供され得る」([0051])ことの例として記載されているところ、当該「1つ又は複数の拡張可能なジョイントを含むハウジング」が、文脈上、図1に係る例示的な光ファイバエンクロージャ10についての記載を踏まえたものであることが明らかである。このように、図11〜15に係る接続端子140は、図1に係る例示的な光ファイバエンクロージャ10についての記載を踏まえた図6〜8Bに係る接続端子50の別の例示的な態様であることから、当業者は、図11〜15に係る接続端子140に対しても、特段の記載がない限り、図1に係る例示的な光ファイバエンクロージャ10についての記載が妥当すると理解するといえる。
そうすると、当業者は、図11〜15に係る接続端子140を、図1に係る光ファイバエンクロージャ10についての記載であるところの[0041]、[0042]及び[0046]を踏まえて理解するのであり、具体的には、当該接続端子140は、カバー144(図1のカバー16)をベース148(図1のベース14)に固定し、内部キャビティ(図1の内部キャビティ32)内に配置された光ファイバコンポーネントを環境から保護するために、それらの間にシール150(図1のシール34)を配置してもよく([0041])、シール150は、カバー144をベース148に固定するために、超音波溶着などの溶着から構成されてもよく([0041])、ベース148及びカバー144は、プラスチックから構成されてもよく([0042])、さらに、オーバーモールド材料174A、174B(図1のオーバーモールド材料40)は、ハウジング146(図1のハウジング12)の外側の環境から内部キャビティを密閉する([0046])ものであると理解する。

(イ)また、上記(ア)で説示したとおり、図11〜15に係る接続端子140は、図6〜8Bに係る接続端子50と同様の別の例示的な態様であることから、同様の理由で、当業者は、図11〜15に係る接続端子140を、これに関しての特段の記載がない事項については、図6〜8Bの接続端子50についての記載であるところの[0055]を踏まえて理解するといえる。具体的には、当該接続端子140においては、スタブケーブル70は、クロージャ64から接続端子140(図6の接続端子50)内へ、接続端子140(図6の接続端子50)の外壁に設けられたスタブケーブルポート82を通って延びており、少なくとも1つの、好ましくは2つ以上の事前にコネクタ化されたドロップケーブル80が、接続端子140(図6の接続端子50)の外装からコネクタポート164(図6のコネクタポート84)内に装着されたアダプタスリーブの内部へドロップケーブル80の事前にコネクタ化された端部を挿入することによって、スタブケーブル70のそれぞれのコネクタ化された光ファイバと相互接続されるものであると理解する。

引用発明の認定
上記ア及びイによれば、引用文献1には、図11〜15に係るマルチポート光接続端子光ファイバエンクロージャ140(接続端子140)において、開口部172A、172Bを封止するオーバーモールド材料174A、174Bを設けた構成について、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。なお、引用発明の認定に用いた段落番号等を参考までに括弧内に付してある。
「マルチポート光接続端子光ファイバエンクロージャ140(接続端子140)であって、([0062])
接続端子140は、ベース148及びカバー144から構成されるハウジング146を備えており、([0062])
カバー144をベース148に固定するために、シール150がカバー144とベース148との間に配置されており、([0062])
ベース148の上面160には複数の傾斜面162が設けられ、各傾斜面162には少なくとも1つのコネクタポート164が貫通形成されており、([0062])
ベース148は、箱形であり、コネクタポート、アダプタ、光ファイバルーティングガイド、ファイバハブなどの光ファイバハードウェアを収容するための内部キャビティを画定しており、([0062])
2つの拡張可能なジョイント142A、142Bがカバー144内に配置されており、2つの拡張可能なジョイント142A、142Bを設けることにより、接続端子140の耐衝撃性を高めることができ、([0063])
拡張可能なジョイント142A、142Bは、カバー144に配置された開口部168A、168Bから構成されており、([0064])
開口部168A、168Bは、それぞれ、複数の任意の開口部172A、172Bから構成される凹部領域170A、170Bを備え、凹部領域170A、170Bは、開口部172A、172Bを封止するオーバーモールド材料を受け入れるように構成されており、([0065])
オプションの開口部172A、172Bは、開口部168A、168B内に配置されたオーバーモールド材料が開口部168A、168Bを貫通して開口部168A、168Bへのオーバーモールド材料のより確実な結合を提供し、開口部168A、168Bを密閉できるように設けることができ、オーバーモールド材料174A、174Bが拡張可能なジョイント142A、142Bの開口部168A、168Bに設けられており、([0065])
接続端子140は、カバー144をベース148に固定し、内部キャビティ内に配置された光ファイバコンポーネントを環境から保護するために、それらの間にシール150を配置しており、シール150は、カバー144をベース148に固定するために、超音波溶着などの溶着から構成されており、(上記イ(ア))
ベース148及びカバー144は、プラスチックから構成されており、(上記イ(ア))
オーバーモールド材料174A、174Bは、ハウジング146の外側の環境から内部キャビティを密閉し、(上記イ(ア))
スタブケーブル70は、クロージャ64から接続端子140内へ、接続端子140の外壁に設けられたスタブケーブルポート82を通って延びており、少なくとも1つの、好ましくは2つ以上の事前にコネクタ化されたドロップケーブル80が、接続端子140の外装からコネクタポート164内に装着されたアダプタスリーブの内部へドロップケーブル80の事前にコネクタ化された端部を挿入することによって、スタブケーブル70のそれぞれのコネクタ化された光ファイバと相互接続される、(上記イ(イ))
マルチポート光接続端子光ファイバエンクロージャ140(接続端子140)。」

(3)本件補正発明と引用発明1との対比
ア 本件補正発明の「第一合わせ面と収容室とを有する第一筐体であって、前記収容室の開口が前記第一合わせ面に設けられ、該第一筐体に複数の光ファイバ接続ポートが配置されている、第一筐体と、」「前記第一筐体と組み立てられた第二筐体であって、該第二筐体が、前記第一合わせ面に対向する第二合わせ面を有し、前記第二合わせ面が前記収容室の開口を覆う、第二筐体と、」を備える「光ファイバ接合ボックス」の特定事項について
(ア)引用発明1の「マルチポート光接続端子光ファイバエンクロージャ140(接続端子140)」は、それに含まれる「ベース148」が「箱形であり、コネクタポート、アダプタ、光ファイバルーティングガイド、ファイバハブなどの光ファイバハードウェアを収容するための内部キャビティを画定して」おり、また、「スタブケーブル70は、クロージャ64から接続端子140内へ、接続端子140の外壁に設けられたスタブケーブルポート82を通って延びており、少なくとも1つの、好ましくは2つ以上の事前にコネクタ化されたドロップケーブル80が、接続端子140の外装からコネクタポート164内に装着されたアダプタスリーブの内部へドロップケーブル80の事前にコネクタ化された端部を挿入することによって、スタブケーブル70のそれぞれのコネクタ化された光ファイバと相互接続される」ものである。このように、当該「接続端子140」は、「箱形」であって、「光ファイバハードウェアを収容するための内部キャビティを画定」しており、「スタブケーブル70」の「光ファイバ」と「ドロップケーブル80」とを「相互接続」するためのものであるから、本件補正発明の「光ファイバ接合ボックス」に相当する。

(イ)a 引用発明1は、「ベース148及びカバー144から構成されるハウジング146を備えて」いるところ、「ベース148」は、それと「カバー144」とから「ハウジング146」を構成することから、本件補正発明の「第一筐体」に相当するといえる。
b 引用発明1の「ベース148」(本件補正発明の「第一筐体」に相当。)は、「箱形であり、コネクタポート、アダプタ、光ファイバルーティングガイド、ファイバハブなどの光ファイバハードウェアを収容するための内部キャビティを画定して」いることから、当該「内部キャビティ」は、本件補正発明の「収容室」に相当し、当該「ベース148」は、本件補正発明でいう「収容室」「を有する」ものといえる。
c 引用発明1は、「シール150は、カバー144をベース148に固定するために、超音波溶着などの溶着から構成されて」いるものであることと、上記bの内容を併せると、引用発明1の「ベース148」は、「シール150」を含む面に内部キャビティの開口が設けられたものであるといえ、「ベース148」が有する「シール150」を含み内部キャビティの開口が設けられた面が、本件補正発明の「第一合わせ面」に相当する。したがって、当該「ベース148」は、本件補正発明でいう「第一合わせ面」「を有する」ものであり、「前記収容室の開口が前記第一合わせ面に設けられ」たものといえる。
d 引用発明1の「ベース148」(本件補正発明の「第一筐体」に相当。)は、その「上面160には複数の傾斜面162が設けられ、各傾斜面162には少なくとも1つのコネクタポート164が貫通形成されて」いるところ、当該「少なくとも1つのコネクタポート164」が本件補正発明の「複数の光ファイバ接続ポート」に相当し、当該「ベース148」は、本件補正発明でいう「複数の光ファイバ接続ポートが配置されている」ものといえる。
e 前記a〜dをまとめると、本件補正発明と引用発明1は、「第一合わせ面と収容室とを有する第一筐体であって、前記収容室の開口が前記第一合わせ面に設けられ、該第一筐体に複数の光ファイバ接続ポートが配置されている、第一筐体」を備える点で一致する。

(ウ)a 引用発明1は、「ベース148及びカバー144から構成されるハウジング146を備えて」いるところ、「カバー144」は、それと「ベース148」とから「ハウジング146」を構成することから、本件補正発明の「第二筐体」に相当するといえる。そして、当該「カバー144」は、本件補正発明でいう「前記第一筐体と組み立てられた」ものといえる。
b 上記(イ)cで検討した内容を踏まえると、引用発明1の「カバー144」の内部キャビティ側に位置する面は、「ベース148」が有する「シール150」を含み内部キャビティの開口が設けられた面(すなわち、第一合わせ面)に対向し、当該開口を覆う面であるといえるから、引用発明1の「カバー144」の内部キャビティ側に位置する面は、本件補正発明の「第二合わせ面」に相当する。したがって、当該「カバー144」は、本件補正発明でいう「前記第一合わせ面に対向する第二合わせ面を有」するものであり、「前記第二合わせ面が前記収容室の開口を覆う」ものといえる。
c 上記a及びbをまとめると、本件補正発明と引用発明は、「前記第一筐体と組み立てられた第二筐体であって、該第二筐体が、前記第一合わせ面に対向する第二合わせ面を有し、前記第二合わせ面が前記収容室の開口を覆う、第二筐体」を備える点で一致する。

(エ)よって、引用発明1は、本件補正発明の上記特定事項を満たしている。

イ 本件補正発明の「前記収容室の開口の周りにおいて前記第一合わせ面と前記第二合わせ面との間に位置する接続層であって、前記第一合わせ面を前記第二合わせ面に接続し、前記収容室を密閉するように構成され、プラスチック物質製である接続層と、」との特定事項について
(ア)引用発明1は、「接続端子140は、カバー144をベース148に固定し、内部キャビティ内に配置された光ファイバ構成要素コンポーネントを環境から保護するために、それらの間にシール150を配置しており、シール150は、カバー144をベース148に固定するために、超音波溶着などの溶着から構成されて」いるものであって、「ベース148及びカバー144は、プラスチックから構成されている」ものである。しかも、引用発明1は、上記アで説示したとおり、本件補正発明でいう「前記収容室の開口が前記第一合わせ面に設けられ」ている「第一筐体」と、それと「組み立てられた」「前記第一合わせ面に対向する第二合わせ面を有し、前記第二合わせ面が前記収容室の開口を覆う、第二筐体」とを備えている。
このように、引用発明1では、「ベース148」(本件補正発明の「第一筐体」に相当。)と「カバー144」(本件補正発明の「第2筐体」に相当。)が、いずれも「プラスチックから構成されて」いるとともに、それぞれ、第一合わせ面(収容室の開口が設けられている。)と第二合わせ面(収容室の開口を覆っている。)を有し、さらに、これらの合わせ面同士が、「超音波溶着などの溶着から構成され」る「シール150」によって「固定」されている。そうすると、当該「シール150」は、「プラスチックから構成されて」いるとともに、「ベース148」と「カバー144」とを接続するための層を形成しているといえる。また、当該「シール150」は、収容室の開口の周りにおいて第一合わせ面と第二合わせ面との間に位置し、さらに、第一合わせ面を第二合わせ面に接続するものともいえる。
よって、当該「シール150」は、本件補正発明の「プラスチック物質製である接続層」に相当するとともに、本件補正発明でいう「前記収容室の開口の周りにおいて前記第一合わせ面と前記第二合わせ面との間に位置」し、「前記第一合わせ面を前記第二合わせ面に接続」するものである。

(イ)引用発明1の「シール150」は「内部キャビティ内に配置された光ファイバコンポーネントを環境から保護する」ために設けられているとともに、「オーバーモールド材料174A、174Bは、ハウジング146の外側の環境から内部キャビティを密閉する」ものであることから、当該「シール150」は、本件補正発明でいう「前記収容室を密閉するように構成され」たものといえる。

(ウ)よって、引用発明1は、本件補正発明の上記特定事項を満たしている。

ウ 本件補正発明の「前記接続層の周りにおいて前記第一合わせ面に配置された第一オーバーフロー溝と前記接続層の周りにおいて前記第二合わせ面に配置された第二オーバーフロー溝を備えるオーバーフロー溝であって、前記接続層と同じ物質製のコロイドを収容するオーバーフロー溝と、」の特定事項について
引用発明1は、「シール150は、カバー144をベース148に固定するために、超音波溶着などの溶着から構成されて」おり、「ベース148及びカバー144は、プラスチックから構成されて」いるものであるが、本件補正発明の上記特定事項を満たしていない。

(4)一致点及び相違点の認定
上記(3)によれば、本件補正発明と引用発明1とは、
「第一合わせ面と収容室とを有する第一筐体であって、前記収容室の開口が前記第一合わせ面に設けられ、該第一筐体に複数の光ファイバ接続ポートが配置されている、第一筐体と、
前記第一筐体と組み立てられた第二筐体であって、該第二筐体が、前記第一合わせ面に対向する第二合わせ面を有し、前記第二合わせ面が前記収容室の開口を覆う、第二筐体と、
前記収容室の開口の周りにおいて前記第一合わせ面と前記第二合わせ面との間に位置する接続層であって、前記第一合わせ面を前記第二合わせ面に接続し、前記収容室を密閉するように構成され、プラスチック物質製である接続層と、
を備える光ファイバ接合ボックス。」である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点]
本件補正発明は、「前記接続層の周りにおいて前記第一合わせ面に配置された第一オーバーフロー溝と前記接続層の周りにおいて前記第二合わせ面に配置された第二オーバーフロー溝を備えるオーバーフロー溝であって、前記接続層と同じ物質製のコロイドを収容するオーバーフロー溝と、」を備えるのに対し、
引用発明1は、「シール150が、カバー144をベース148に固定するために、超音波溶着などの溶着から構成されており、ベース148及びカバー144が、プラスチックから構成されて」いるものの、当該オーバーフロー溝を備えるかどうか不明である点。

(5)相違点の判断
ア(ア)上記判断を行うに先立ち、引用発明1から出発した当業者が相違点に係る本件補正発明の構成に至るために何をすれば足りるかについて検討すると、(i)(「ベース148」が有する)第一合わせ面及び(「カバー144」が有する)第二合わせ面に、それぞれ第一オーバーフロー溝及び第二オーバーフロー溝を配置すること、(ii)第一オーバーフロー溝及び第二オーバーフロー溝の双方を、「シール150」(本件補正発明の「接続層」に相当。)の周りにおいて配置すること、を行えば足りると解される。

(イ)この点、相違点に係る本件補正発明の構成においては、第一オーバーフロー溝及び第二オーバーフロー溝が「前記接続層と同じ物質製のコロイドを収容する」ことも特定されているが、この特定事項は、引用発明1において上記(i)及び(ii)のように構成すれば、実質的に満たされるといえる。すなわち、引用発明1の「ベース148及びカバー144は、プラスチックから構成されている」ことから、「超音波溶着などの溶着から構成され」た以上、「前記接続層と同じ物質製のコロイド」を形成するといえるし、「オーバーフロー溝」を構成する以上、当該「前記接続層と同じ物質製のコロイド」を「収容する」ことになるともいえる。

イ そこで、引用発明1から出発した当業者が上記(i)及び(ii)のように構成するかについて検討する。
(ア)引用発明1は、上記のとおり、「カバー144をベース148に固定するため」の「シール150」が、「超音波溶着などの溶着から構成され」るとともに、「ベース148及びカバー144は、プラスチックから構成されて」いる。しかるに、引用発明1のような「マルチポート光接続端子光ファイバエンクロージャ140(接続端子140)」に限らず、一般に、プラスチックから構成された中空体の製造を一方の部材と他方の部材とを溶着させて行うに当たり、溶着部の外観が悪くなるのを防ぐという課題があるとともに、この課題を解決するために、一方の部材に係る溶着前の溶着関連部位と他方の部材に係る溶着前の溶着関連部位とのいずれにも、溶着代(溶着の際に溶ける部分)に係る部位と、溶着代の外観側にある溶着後はみ出すプラスチックを収容するための凹部に係る部位とを設けることは、周知技術(例えば、原査定が提示した特開平4−51454号公報(第4図、第1頁左下欄第13行〜右下欄第7行)、同じく特開平11−42709号公報(図11、【0003】【0004】)、同じく特開2003−285375号公報(図2、【0030】・【0052】・【0054】〜【0056】)のほか、特開2001−38807号公報(図3、【0016】・【0019】)を参照。)であると認められる。
よって、引用発明1から出発した当業者が、「超音波溶着などの溶着から構成され」る「シール150」に係る溶着部の外観が悪くなるのを防ぐという課題を解決するために、上記周知技術を採用することは、容易に想到し得たことである。

(イ)上記(ア)のように構成された結果、当業者は、上記(i)に係る構成に至ったことになる。すなわち、当該「シール150」(本件補正発明の「接続層」に相当。)は、「ベース148」及び「カバー144」の双方の溶着代に係る部位から構成されたことになり、そのようにして構成された「シール150」は、本件補正発明の「前記収容室の開口の周りにおいて前記第一合わせ面と前記第二合わせ面との間に位置する接続層であって、前記第一合わせ面を前記第二合わせ面に接続し、前記収容室を密閉するように構成され、プラスチック物質製である接続層」に該当している。そして、溶着後はみ出すプラスチックを収容するための凹部に係る部位が、第一合わせ面及び第二合わせ面の双方に配置されたことになり、これらの凹部に係る部位が、それぞれ、「第一オーバーフロー溝」及び「第二オーバーフロー溝」に該当することになる。よって、当業者は、上記(i)に係る構成に至ったことになる。
そして、引用発明1の「マルチポート光接続端子光ファイバエンクロージャ140(接続端子140)」の「シール150」は、その文言のほか、これが「内部キャビティ内に配置された光ファイバコンポーネントを環境から保護する」ために設けられていることにも照らせば、閉曲線を描いていることが明らかであるところ、上記周知技術は、溶着部の外観が悪くなるのを防ぐために適用されるのであるから、そのための(溶着後はみ出す)プラスチックを収容するための凹部(本件補正発明の「オーバーフロー溝」)を、上記(ii)のように、接続層の周りにおいて配置することは、当業者にとって当然ないしごく自然なことにすぎない。

(ウ)このようにして、当業者は、上記(i)及び(ii)の構成に容易に至るから、上記アの理由により、相違点に係る本件補正発明の構成にも容易に至る。

ウ 本件補正発明の効果は、本件補正発明の構成が奏するものとして、引用発明1及び上記周知技術に基づいて予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものとはいえない。

エ これに対し、請求人は、以下のように主張するが、いずれも失当である。
(ア)請求人は、引用文献1には、溶接バンプとオーバーフロー溝が開示されていない旨主張するが、この開示の有無によらず、上記イで説示したとおり、引用発明1に上記周知技術を適用することにより、当業者は、本件補正発明の相違点に係る構成において特定された接続層とオーバーフロー溝に係る構成に至る。
請求人は、さらに、原査定が提示した周知例が、オーバーフロー溝が「溶接バンプ」ないし「接続層」の周りにおいて配置されている旨を開示していない旨主張するようであるが、上記イ(イ)で説示したとおりであるから、上記主張は、上記イの判断を左右するものではない。

(イ)請求人は、引用発明1では、「カバー144」と「ベース148」との間に「シール150」が追加されている一方、本件補正発明では、このようなシールが備わっていない点で相違する旨主張する。しかしながら、引用発明1における「シール150」は、「カバー144」を「ベース148」に固定するために、「超音波溶着などの溶着から構成され」ているものであるから、当該「シール150」は別途追加されたものではなく、「カバー144」及び「ベース148」に由来する構造とみるべきである。請求人の主張は、引用発明1を正解しないものである。

(ウ)よって、請求人の主張はいずれも失当である。

オ したがって、本件補正発明は、引用発明1及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(6)小括
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものである。

3 本件補正についてのむすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明の認定
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和4年2月10日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1〜15に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項8に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の[理由]1において本件補正前の請求項8として記載された事項により特定されるとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本件補正前の請求項8に係る発明は、出願前に頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である上記の引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものを含むものである。

3 引用文献の記載事項及び引用発明の認定
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及びその記載事項は、上記第2の[理由]2(2)で認定したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、上記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「前記第一合わせ面に配置された第一オーバーフロー溝」及び「前記第二合わせ面に配置された第二オーバーフロー溝を備えるオーバーフロー溝」について、いずれも、「前記接続層の周りにおいて」配置されることに係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2の[理由]2で検討したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。

審判長 波多江 進
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
 
審理終結日 2023-06-29 
結審通知日 2023-07-03 
審決日 2023-07-20 
出願番号 P2020-545655
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
P 1 8・ 575- Z (G02B)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 波多江 進
特許庁審判官 安藤 達哉
山村 浩
発明の名称 光ファイバ接合アセンブリ、その密閉方法、及び光ファイバ接合ボックス  
代理人 実広 信哉  
代理人 野村 進  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ