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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
管理番号 1405450
総通号数 25 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2024-01-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-10-17 
確定日 2023-11-30 
事件の表示 特願2021− 42282「情報処理装置、制御方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 8月 5日出願公開、特開2021−114771〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、2018年(平成30年)6月1日(優先権主張 平成29年7月28日)を国際出願日とする特願2019−532416号の一部を令和3年3月16日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 4月21日付け:拒絶理由通知書
令和4年 6月17日 :意見書の提出
令和4年 7月21日付け:拒絶査定
令和4年10月17日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和5年 2月 7日付け:(当審)拒絶理由通知書(最初)
令和5年 4月10日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 5月22日付け:(当審)拒絶理由通知書(最初)
令和5年 7月19日 :意見書、手続補正書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1〜7に係る発明は、令和5年7月19日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1〜7に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。(なお、記号A〜Cは、本願発明の発明特定事項を分説するために当審にて付した。以下「構成A」〜「構成C」という。)

「A 動画データから置き去り物体を検出する置き去り物体検出手段と、
B 前記置き去り物体が検出されたことに応じて、前記置き去り物体が置かれた後の時刻から前記動画データを逆方向に再生し、前記置き去り物体が置かれた後の時刻から前記置き去り物体が置かれた推定時刻までの間の置き去られた状態の前記置き去り物体が写っている部分の再生速度を相対的に速くし、その後に表示される前記置き去り物体が置かれた推定時刻付近の部分の再生速度を相対的に遅くする提示制御手段と、
C を有する情報処理装置。」

第3 当審の拒絶の理由
当審の拒絶の理由(令和5年5月22日付け)の概要は次のとおりである。

理由1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項 1、2、4−7
・引用文献等 1

・請求項 3
・引用文献等 1、2

引用文献等一覧
1.特開2012−253559号公報(原査定の引用文献1)
2.特開2006−245756号公報(原査定の引用文献3)

理由2.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

・請求項 1−7
請求項1には「前記動画データに含まれる複数の部分それぞれのうち前記置き去り物体が置かれた時刻付近の部分の再生速度をそれ以外の部分の再生速度よりも遅くするように変化させる」と記載されているが、明細書には置き去り物体が置かれた時刻付近ではなく、置き去り推定時刻付近の部分の再生速度をそれ以外の部分の再生速度よりも遅くするように変化させることしか記載されていない。

理由3.(明確性)本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

・請求項 2、3、5、7
請求項 2、5、7、及び、請求項2を引用する請求項3には「前記推定された置き去り時刻」との記載があるが、この記載よりも前に置き去り時刻を推定することは記載されておらず、「前記推定された置き去り時刻」が何を指し示しているのかが不明確である。

第4 引用文献
1 引用文献1
(1)引用文献1に記載された事項
ア 当審の拒絶の理由(令和5年5月22日付け)に引用された引用文献1(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審にて付したものである。以下、同様である。)。

「【0008】
しかしながら、近年見受けられるイベントの種類によってはイベント発生時以降の画像を見ても、ユーザが真に所望する画像がない場合がある。例えば、上述の置き去り検知の場合、置き去りにした人物を特定するためには、物品が置き去りにされたと検知した時点から過去に遡って画像を確認する必要があり、ユーザはイベントの種類に応じて、画像の再生方法を考えて操作する必要が生じている。」

「【0014】
[第1の実施形態]
まず、本発明に係る録画再生システムのシステム構成の一例を、図1を用いて説明する。録画再生システム1は、ネットワークカメラに代表されるカメラ7で撮影された画像を受信して録画を行う録画装置2と、カメラ7で撮影された画像や録画装置2に録画された画像を受信して再生する再生装置3とを含む。」

「【0025】
具体的には、次の各部が上述の機能を実現する。イベント情報取得部102がイベント情報を受信し、イベント情報書込み部103がイベント情報取得部102で受信したイベント情報を記憶部101に書き込みを行う。画像受信部104がカメラ7から画像を受信し、画像書込み部105が画像受信部104で受信した画像を記憶部101に書き込みを行う。画像及びイベント情報が書き込まれる際に、録画装置2の時刻情報を管理する時計部106から時刻情報を取得し、イベント情報及び画像を時刻情報と関連付けて書き込みを行う。
【0026】
ここで、イベント情報は、カメラ7から送られるセンサーイベントやカメラ7が行った画像解析や音声解析により得られた動き検知イベント、置き去り検知イベント、持ち去り検知イベント、音量検知イベントなどである。尚、カメラ7の画像を用いてカメラ以外の不図示の画像解析装置やその他の外部装置からのイベント情報を受信しても良い。また、録画装置2内に不図示の画像解析部を設け、画像受信部104で得たカメラ7からの画像を用いて画像解析を行って生成したイベント情報を受信しても構わない。
【0027】
続いて、イベント情報読出し部107が記憶部101に記憶されたイベント情報を読み出し、イベント情報送信部108がイベント情報読出し部107で読み出されたイベント情報を再生装置3に送信する。画像読出し部109が再生装置3から画像送信要求を受け付けて記憶部101に記憶された画像を順次読み出し、画像送信部110が画像読出し部109で読み出された画像を再生装置3に送信する。尚、再生装置3からの画像送信要求とその要求の際に録画装置2で実行される処理の詳細に関しては、再生装置3の機能説明の際に説明する。」

「【0029】
具体的には、次の各部が上述の機能を実現する。表示出力部201が表示装置8に後述する各画面生成部で生成された画面を出力する。イベント情報受信部211が録画装置2から送信されたイベント情報を受信し、イベント選択画面生成部212がイベント情報受信部211で受信されたイベント情報をイベント一覧(リスト)にしてイベント選択用の画面を生成する。イベント選択受信部213がイベント選択画面生成部212で生成されたイベント選択画面からユーザが選択したイベント情報を特定する。」

「【0034】
録画装置2は表示開始時刻と上述の表示方法に基づいて、例えば表示開始時刻に従った画像から時系列に画像を読み出して実時間通りに再生装置3に画像を配信する処理が可能となる。また、録画装置2は表示開始時刻に従った画像から時間を遡る方向に画像を読み出して実時間の半分の速度で配信する処理が可能となる。」

「【0044】
図5に示す第1の実施形態では、表示方法に従って処理が行われていたが、第2の実施形態では表示シーケンスに従って処理が行われる。つまり、表示シーケンス記憶部521、表示シーケンス読出し部522、表示シーケンス決定部523、表示シーケンス編集部541、表示シーケンス編集画面生成部542、表示シーケンス編集操作受信部543、表示シーケンス書込み部544が図5と異なる。
【0045】
表示シーケンス読出し部522は、表示シーケンス記憶部521に、イベント種別毎に記憶された表示シーケンスを読み出す。そして、表示シーケンス決定部523はイベント選択受信部513で受信した選択されたイベントのイベント種別に基づいて、表示シーケンスを決定する。画像要求部524が表示シーケンス決定部523で決定された表示シーケンスで規定された表示方法と、選択されたイベントのイベント情報又は表示開始時刻を指定して録画装置2に画像の配信要求を行う。
【0046】
ここで、第2の実施形態における表示シーケンスの一例を、図11を用いて説明する。図11では、表示シーケンス記憶部521に記憶されたイベント種別の表示シーケンスの一例を、便宜上リストにして示している。イベント種別における表示シーケンスは、順次処理を行う1以上の表示方法から構成されている。例として、表示シーケンスは表示開始時刻をイベント発生時刻からオフセットする方向と時間間隔を、また、各々の表示方法は表示する順序、表示する速度及び表示時間を示している。」

「【0049】
表示開始時刻決定部525が選択されたイベントのイベント発生時刻から表示開始時刻をオフセットさせて表示開始時刻を決定する。要求画像受信部531が録画装置2に要求した画像を受信し、画像表示画面生成部532が要求画像受信部531で受信した画像を順次デコードし、レンダリングして画像表示画面を生成する。
【0050】
表示シーケンス編集部541は、イベント種別毎に表示シーケンスを編集処理し、表示シーケンス編集画面生成部542は表示シーケンス編集部541で表示シーケンスの編集を行わせるための表示シーケンス編集画面を生成する。そして、表示シーケンス編集操作受信部543は表示シーケンス編集画面を操作した際の編集操作を受信し、表示シーケンス書込み部544は表示シーケンス編集部541で編集された表示シーケンスを表示シーケンス記憶部521に保存する。」

「【0053】
一方、イベントが選択されたら、表示シーケンス記憶部521から表示シーケンスを読出し、イベント種別が一致する表示シーケンスを決定する(S24)。表示シーケンスを参照して表示開始時の表示方法と表示開始時刻を特定する情報を指定して録画装置に画像配信要求を送信する(S25)。その後、要求画像を受信し、表示方法に従い画像を表示する(S26)。この際に、別スレッドで画像の受信と表示処理を行い、表示シーケンスに従い表示方法を変更する時間が経過したかを監視する(S28)。このS28で、時間経過の監視と共に、更に別スレッドで画像の受信と表示処理を行い、画像の受信を表示が開始されたら他の操作の監視状態に戻ることが望ましい。また、S28で、現在使用している表示方法が表示時間を経過した場合、次の表示方法を指定して録画装置2に画像配信を要求し(S29)、S26の処理に戻る。
【0054】
以上のように構成することで、画像の再生方法をユーザが操作しなくても選択したイベントにより、所望の画像を短時間で表示を行うことができるだけでなく、より大事な画像を的確に表示させることができる。」

「【図1】



「【図4】



「【図10】


【図11】


【図12】


【図13】



イ 引用文献1の段落【0034】に「録画装置2は…表示開始時刻に従った画像から時系列に画像を読み出して」と記載されていることから、引用文献1に記載の「画像」は、時系列に沿って複数存在するものであると認められる。

ウ 引用文献1の段落【0008】に「置き去り検知の場合、置き去りにした人物を特定するためには、物品が置き去りにされたと検知した時点から過去に遡って画像を確認する必要があり」と記載されていることから、引用文献1において、置き去り検知の場合に置き去りにされたと検知する対象は物品であると認められる。

エ 引用文献1の段落【0046】の「第2の実施形態における表示シーケンスの一例を、図11を用いて説明する。」、「表示シーケンスは表示開始時刻をイベント発生時刻からオフセットする方向と時間間隔を…示している。」という記載を参照すると、図11の「表示開始オフセット時間」は、表示開始時刻をイベント発生時刻からオフセットする時間間隔を表し、「オフセットする方向」は、表示開始時刻をイベント発生時刻からオフセットする方向を表すものである。

オ 引用文献1の段落【0044】の「第2の実施形態では表示シーケンスに従って処理が行われる。」、段落【0045】の「表示シーケンス読出し部522は、表示シーケンス記憶部521に、イベント種別毎に記憶された表示シーケンスを読み出す。そして、表示シーケンス決定部523はイベント選択受信部513で受信した選択されたイベントのイベント種別に基づいて、表示シーケンスを決定する。」、段落【0049】の「表示開始時刻決定部525が選択されたイベントのイベント発生時刻から表示開始時刻をオフセットさせて表示開始時刻を決定する。」という記載、上記エ、図11によれば、引用文献1の第2の実施形態は、図11に図示される、イベント種別毎に記憶された表示シーケンスから、選択されたイベントのイベント種別に基づいて表示シーケンスを決定し、決定された表示シーケンスの「表示開始オフセット時間」に基づいて、選択されたイベントのイベント発生時刻から表示開始時刻をオフセットさせて表示開始時刻を決定するものである。

カ 引用文献1の図11には、イベント種別が「置き去り検知」の場合の表示シーケンスが例示されており、「表示開始オフセット時間」には「−」、「表示方法ID」として「3−1」〜「3−3」、各表示方法IDにおいて、「表示する方法」、「表示する速度」、「表示時間」がそれぞれ、3−1の場合に、「逆時系列」、「2」、「5秒」、3−2の場合に、「逆時系列」、「1/2」、「10秒」、3−3の場合に、「逆時系列」、「1」、「−」と記載されている。
つまり、イベント種別が「置き去り検知」の場合の「表示開始オフセット時間」は「−」であることから、「置き去り検知」の場合にオフセットは行わないものと認められる。

キ 上記オ、カを考慮すると、図11の「置き去り検知」の場合、オフセットは行わず、置き去り検知のイベント発生時刻を表示開始時刻として決定するものであるといえる。

ク 上記カに記載の、図11に例示される「置き去り検知」の場合の表示シーケンス、及び、段落【0053】の「イベントが選択されたら、表示シーケンス記憶部521から表示シーケンスを読出し、イベント種別が一致する表示シーケンスを決定する(S24)。表示シーケンスを参照して表示開始時の表示方法と表示開始時刻を特定する情報を指定して録画装置に画像配信要求を送信する(S25)。その後、要求画像を受信し、表示方法に従い画像を表示する(S26)。」という記載を総合すると、引用文献1の第2の実施形態は、置き去り検知のイベントが選択された場合、置き去り検知の表示シーケンスを参照して表示開始時の表示方法と表示開始時刻を特定する情報を指定して画像配信要求を送信し、その後、要求画像を受信し、表示方法に従い画像を表示するものである。

ケ 上記カに記載の、図11に例示される「置き去り検知」の場合の表示シーケンス、及び、上記キ、クの記載を総合すると、引用文献1には、置き去り検知のイベントが選択された場合、イベント発生時刻を表示開始時刻とし、5秒間2倍の速度で逆時系列順に表示を行い、次に10秒間1/2倍の速度で逆時系列順に表示を行い、その後に1倍の速度で逆時系列順に表示を行うことが記載されているといえる。

(2)引用発明
上記(1)アの摘記事項、及び、上記(1)イ、ウ、ケの記載を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
なお、記号a〜cは、本願発明の発明特定事項を分説するために当審にて付したものであり、以下「構成a」〜「構成c」という。また、各構成の末尾の()内に、引用文献1における記載箇所を示し、上記(1)イ、ウ、ケに対応する箇所にその旨示した。

「a カメラで撮影された、時系列に沿って複数存在する画像を受信して録画を行う録画装置と(【0014】、図1、4、(1)イ)、
b 録画装置に録画された画像を受信して再生する再生装置と(【0014】、図1、10)
c を含む録画再生システム(【0014】、図1)であって、
a 録画装置において、
a1 イベント情報取得部は、イベント情報を受信するものであって(【0025】、図4)、
a11 イベント情報は、カメラが行った画像解析により得られた物品の置き去り検知イベントなどであり(【0026】、(1)ウ)、
a12 録画装置内に設けた画像解析部において画像受信部で得たカメラからの画像を用いて画像解析を行って生成したイベント情報を受信しても構わず(【0026】)、
a2 イベント情報送信部は、イベント情報を再生装置に送信し(【0027】)、
a3 画像送信部は、画像を再生装置に送信し(【0027】、図4)、
b 再生装置において、
b1 イベント情報受信部は、録画装置から送信されたイベント情報を受信し(【0029】、図10、13)、
b2 イベント選択受信部は、イベント選択画面生成部で生成されたイベント選択画面からユーザが選択したイベント情報を特定し(【0029】、図10、13)、
b3 表示シーケンス読出し部は、表示シーケンス記憶部に、イベント種別毎に記憶された表示シーケンスを読み出し(【0045】、図10、11、13)、
b4 表示シーケンス決定部は、イベント選択受信部で受信した選択されたイベントのイベント種別に基づいて、表示シーケンスを決定し(【0045】、図10、11、13)、
b5 画像要求部は、表示シーケンス決定部で決定された表示シーケンスで規定された表示方法と、選択されたイベントのイベント情報又は表示開始時刻を指定して録画装置に画像の配信要求を行い(【0045】、図10、11、13)、
b6 要求画像受信部は、録画装置に要求した画像を受信し(【0049】、図10、13)、
b7 画像表示画面生成部は、要求画像受信部で受信した画像を順次デコードし、レンダリングして画像表示画面を生成し(【0049】、図10、13)、
b8 表示出力部は、表示装置に画像表示画面生成部で生成された画面を出力することで(【0029】、図10、13)、
b9 置き去り検知のイベントが選択された場合、イベント発生時刻を表示開始時刻とし、5秒間2倍の速度で逆時系列順に表示を行い、次に10秒間1/2倍の速度で逆時系列順に表示を行い、その後に1倍の速度で逆時系列順に表示を行い((1)ケ)、
b10 表示シーケンス編集部は、イベント種別毎に表示シーケンスを編集処理し(【0050】、図10−12)、
b11 表示シーケンス編集画面生成部は、表示シーケンス編集部で表示シーケンスの編集を行わせるための表示シーケンス編集画面を生成し(【0050】、図10−12)、
b12 表示シーケンス編集操作受信部は、表示シーケンス編集画面を操作した際の編集操作を受信し(【0050】、図10−12)、
b13 表示シーケンス書込み部は、表示シーケンス編集部で編集された表示シーケンスを表示シーケンス記憶部に保存する(【0050】、図10−12)
c 録画再生システム。」

2 周知技術
(1)文献2に記載された事項
特開2012−222685号公報(以下「文献2」という。)には、次の事項が記載されている。

「【0015】
異物検知部102は、監視領域におけるレコーダー(又はストレージ)32に格納されている背景画像(画像データ)と、監視カメラ20の撮影画像をA/D変換した入力画像(画像データ)を、例えば各画素毎の輝度値を閾値で2値化して形成した輝度画像の差分値を求めて異物を検知する。
置き去り又は持ち去り判断部103は、異物検知部102で検知した異物を監視して、その時間を後述する検知タイマーで計測し、検知タイマーの累積タイマー値が閾値となる時間を表す値になると、置き去り又は持ち去りと判断する(なお、タイマー値は例えばカウンターのカウント値或いは時間そのものを表す値であってもよい)。」

したがって、文献2には、次の[文献2記載の技術事項]が記載されている。
[文献2記載の技術事項]
「異物検知部は、背景画像と入力画像の輝度画像の差分値を求めて異物を検知し、置き去り又は持ち去り判断部は、異物検知部で検知した異物が監視された時間の累積タイマー値が閾値となる時間を表す値になると置き去りと判断すること」

(2)文献3に記載された事項
特開2012−133433号公報(以下「文献3」という。)には、次の事項が記載されている。

「【0025】
置去り/持去り領域検出部13は、背景データ生成部12で生成された背景画像データより監視対象領域から持去られた領域、若しくは、置去られた領域を検出する。即ち、置去り/持去り領域検出部13は、背景データ生成部12からショート背景画像データとロング背景画像データを取得し、これらの背景画像データを比較することにより、一定時間以上変化の継続した領域を検出する。過去情報の量の異なるショート背景画像データとロング背景画像データとの差分処理を行うことで、突発的なノイズや明度変化の影響を軽減しつつ、置去り/持去り領域を検出することができる。」

したがって、文献3には、次の[文献3記載の技術事項]が記載されている。
[文献3記載の技術事項]
「置去り/持去り領域検出部が、過去情報の量の異なるショート背景画像データとロング背景画像データとの差分処理を行うことで、一定時間以上変化の継続した領域を置去り領域として検出すること」

(3)周知技術について
上記(1)に記載の文献2記載の技術事項及び上記(2)に記載の文献3記載の技術事項はそれぞれ、画像解析により物体が置かれたことによって生じる変化を検出し、変化が所定時間以上継続する場合に置き去りがあると判断するものである。
したがって、「画像解析によって置き去り検知を行う場合に、物体が置かれた状態が所定時間継続したときに置き去りがあると判断すること」は周知技術といえる。

第5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。

1 構成Aについて
(1)引用発明の構成aのとおり、引用発明の「画像」は時系列に沿って複数存在するものであるから、本願発明の「動画データ」に相当する。

(2)引用発明の構成a11のとおり、イベント情報には置き去り検知イベントが含まれることから、構成a12の録画装置内に設けた画像解析部において画像解析を行ってイベント情報を生成する場合にも、生成したイベント情報には置き去り検知イベントの情報が含まれる。

(3)引用発明の構成a11のとおり、引用発明において、置き去りが検知されるのは物品であることから、引用発明の構成a12の画像解析部において上記(2)のように置き去り検知イベントの情報を生成する場合に画像解析によって置き去りが検知される物品は、本願発明の「置き去り物体」に相当する。

(4)上記(1)〜(3)を総合すると、引用発明の構成a12の、画像受信部で得たカメラからの画像を用いて画像解析を行ってイベント情報を生成する画像解析部は、本願発明の構成Aの「動画データから置き去り物体を検出する置き去り物体検出手段」に相当する。

2 構成Bについて
(1)引用発明は、録画装置から送信されたイベント情報を受信する構成b1の「イベント情報受信部」、イベント選択画面生成部で生成されたイベント選択画面からユーザが選択したイベント情報を特定する構成b2の「イベント選択受信部」、表示シーケンス記憶部に、イベント種別毎に記憶された表示シーケンスを読み出す構成b3の「表示シーケンス読出し部」、イベント選択受信部で受信した選択されたイベントのイベント種別に基づいて、表示シーケンスを決定する構成b4の「表示シーケンス決定部」、表示シーケンス決定部で決定された表示シーケンスで規定された表示方法と、選択されたイベントのイベント情報又は表示開始時刻を指定して録画装置に画像の配信要求を行う構成b5の「画像要求部」、録画装置に要求した画像を受信する構成b6の「要求画像受信部」、要求画像受信部で受信した画像を順次デコードし、レンダリングして画像表示画面を生成する構成b7の「画像表示画面生成部」、表示装置に画像表示画面生成部で生成された画面を出力する構成b8の「表示出力部」によって、構成b9の「物品の置き去り検知のイベントが選択された場合、イベント発生時刻を表示開始時刻とし、5秒間2倍の速度で逆時系列順に表示を行い、次に10秒間1/2倍の速度で逆時系列順に表示を行い、その後に1倍の速度で逆時系列順に表示を行う」処理を行うものである。

(2)上記(1)に記載の表示処理は、上記1(2)のように、画像解析部において画像解析を行って置き去り検知イベントの情報が生成され、引用発明の構成a2のようにイベント情報送信部がイベント情報を再生装置に送信し、構成b及びb1のように、再生装置において、イベント情報受信部が録画装置から送信されたイベント情報を受信した場合に行われるものであるから、上記表示処理は、画像解析部において画像解析を行って置き去り検知イベントの情報が生成されたことに応じて行われる処理である。
また、構成a12の画像解析部において置き去り検知イベントの情報が生成されるのは、画像解析部において画像受信部で得たカメラからの画像を用いて画像解析を行った結果、置き去りが検知された場合であり、上記1(3)のように、置き去り検知イベントの情報を生成する場合に画像解析によって置き去りが検知される物品は、置き去り物体である。
よって、上記(1)に記載の表示処理は、置き去り物体が検出されたことに応じて行われるものである。

(3)上記(1)、(2)を総合すると、引用発明の構成b1〜b8の処理部と構成b9の処理内容を合わせた構成は、本願発明の構成Bのうち、「前記置き去り物体が検出されたことに応じて、表示を開始する時刻から前記動画データを逆方向に再生し、表示を開始する時刻からある時刻までの再生速度を相対的に速くし、その後に表示される部分の再生速度を相対的に遅くする」点で本願発明の構成Bの「提示制御手段」と共通する。
一方、引用発明には、表示を開始する時刻であるイベント発生時刻が置き去り物体が置かれた後の時刻であると特定されていない点、及び、再生速度を相対的に速くする時刻が置き去り物体が置かれた推定時刻までであることや、再生速度を相対的に遅くする部分が置き去り物体が置かれた推定時刻付近の部分であることについて特定されていない点で本願発明と相違する。

3 構成Cについて
引用発明と本願発明は、複数の構成を有するものである点で共通するが、本願発明は、すべての処理を1つの情報処理装置で行うものであるのに対し、引用発明は、録画再生システムにおいて、録画装置と再生装置の2つの装置で処理を分けて行う点で本願発明と相違する。

よって、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致ないし相違する。

<一致点>
「A 動画データから置き去り物体を検出する置き去り物体検出手段と、
B’ 前記置き去り物体が検出されたことに応じて、表示を開始する時刻から前記動画データを逆方向に再生し、表示を開始する時刻からある時刻までの再生速度を相対的に速くし、その後に表示される部分の再生速度を相対的に遅くする提示制御手段と、
C’ を有するもの。」

<相違点>
(相違点1)
本願発明は、置き去り物体が置かれた後の時刻から表示を開始しているが、引用発明には、表示を開始する時刻であるイベント発生時刻が置き去り物体が置かれた後の時刻であると特定されていない点。

(相違点2)
本願発明は、提示制御手段において、表示を開始する時刻から置き去り物体が置かれた推定時刻までの間の置き去られた状態の前記置き去り物体が写っている部分の再生速度を相対的に速くし、その後に表示される前記置き去り物体が置かれた推定時刻付近の部分の再生速度を相対的に遅くするものであるのに対し、引用発明には、再生速度を相対的に速くする時刻が置き去り物体が置かれた推定時刻までであることや、再生速度を相対的に遅くする部分が置き去り物体が置かれた推定時刻付近の部分であることについて特定されていない点。

(相違点3)
本願発明は、すべての処理を1つの情報処理装置で行うものであるのに対し、引用発明は、録画再生システムにおいて、録画装置と再生装置の2つの装置で処理を分けて行う点。

第6 判断
1 相違点1について
引用発明の構成a11、a12及び上記第5の1(2)、(3)によれば、引用発明は、カメラからの画像を用いた画像解析によって物品の置き去りが起きたことを検知するものである。
ここで、上記第4の2(3)で述べたとおり、画像解析によって置き去り検知を行う場合に、物体が置かれた状態が所定時間継続したときに置き去りがあると判断することは周知技術である。
また、引用文献1の段落【0008】には「イベント発生時以降の画像を見ても、ユーザが真に所望する画像がない場合がある。」、「置き去り検知の場合、置き去りにした人物を特定するためには、物品が置き去りにされたと検知した時点から過去に遡って画像を確認する必要があり」と記載されており、イベント発生時以降の画像、つまり、イベント発生時の画像を含む画像を見ても、ユーザが真に所望する、置き去りにした人物を特定することができる画像が含まれていないものと認められる。
以上のことを総合すると、引用発明においても、上記周知技術のように、物体が置かれた状態が所定時間継続したとき、すなわち置き去り物体が置かれた後の時刻に置き去りがあると判断し、置き去りがあると判断された時刻をイベント発生時刻とすることは当業者が容易に想到し得ることである。

2 相違点2について
引用文献1の段落【0008】には「イベント発生時以降の画像を見ても、ユーザが真に所望する画像がない場合がある。」、「置き去り検知の場合、置き去りにした人物を特定するためには、物品が置き去りにされたと検知した時点から過去に遡って画像を確認する必要があり」と記載されており、また、段落【0054】には「以上のように構成することで…より大事な画像を的確に表示させることができる。」と記載されている。
ここで、置き去り検知の場合に「より大事な画像」といえるのは、置き去りにした人物を特定可能である、置き去り物体が置かれた時刻付近の画像であることは明らかである。
また、本願の請求項1には「置き去り物体が置かれた推定時刻」との記載があるが、当該時刻を推定する方法については特段特定されていないことから、本願発明は、装置が置き去り物体が置かれた時刻の推定を行う場合のみならず、ユーザや装置の設計者等が、置き去り物体が置かれた後の時刻から置き去り物体が置かれた時刻と考えられる時間間隔を設定することにより置き去り物体が置かれた時刻の推定を行う場合も含むものであるといえる。
以上のことを考慮すると、引用発明において、より大事な画像を的確に表示することを目的として、置き去り物体が置かれたと推定される推定時刻付近の画像をよりわかりやすく表示するために、イベント発生時刻である、置き去り物体が置かれた後の時刻から(本願発明の「前記置き去り物体が置かれた後の時刻から」に相当)、ユーザやシステムの設計者等の設定により推定される置き去り物体が置かれた推定時刻付近まで(本願発明の「前記置き去り物体が置かれた後の時刻から前記置き去り物体が置かれた推定時刻まで」に相当)の間の、置き去られた状態の置き去り物体が写っている部分が、2倍の速度で逆時系列順に表示を行う5秒間に含まれるようにし(本願発明の「前記動画データを逆方向に再生し」、「置き去られた状態の前記置き去り物体が写っている部分の再生速度を相対的に速くし」に相当)、その後に表示される、置き去り物体が置かれた推定時刻付近の部分が、1/2倍の速度で逆時系列順に表示を行う10秒間に含まれるようにする(本願発明の「前記動画データを逆方向に再生し」、「前記置き去り物体が置かれた推定時刻付近の部分の再生速度を相対的に遅くする」に相当)こと、また、引用発明の構成b10〜b13による表示シーケンス編集画面を用いることで、イベント発生時刻である置き去り物体が置かれた後の時刻から(本願発明の「前記置き去り物体が置かれた後の時刻から」に相当)、ユーザ自身が推定する置き去り物体が置かれた推定時刻付近まで(本願発明の「前記置き去り物体が置かれた後の時刻から前記置き去り物体が置かれた推定時刻まで」に相当)の間の、置き去られた状態の置き去り物体が写っている部分を2倍の速度で逆時系列順に表示し(本願発明の「前記動画データを逆方向に再生し」、「置き去られた状態の前記置き去り物体が写っている部分の再生速度を相対的に速くし」に相当)、その後に表示される置き去り物体が置かれた推定時刻付近の部分を1/2倍の速度で逆時系列順に表示(本願発明の「前記動画データを逆方向に再生し」、「前記置き去り物体が置かれた推定時刻付近の部分の再生速度を相対的に遅くする」に相当)できるようにユーザが表示シーケンスの編集を行うようにすることは、当業者が適宜なし得る設計的事項といえる。

3 相違点3について
引用発明の録画再生システムは、録画装置の機能と再生装置の機能を備えたものである。
そして、1つの情報処理装置に、録画装置の機能と再生装置の機能を両方とも備えさせることは、文献を挙げるまでもなく一般的な技術であることを考慮すると、引用発明の録画再生システムで行う処理を、録画装置と再生装置の両方の機能を備えた1つの情報処理装置で行うようにすることは、当業者が適宜なし得ることである。

4 効果について
上記相違点1〜3を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明、周知技術である引用文献2記載の技術事項及び引用文献3記載の技術事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

5 請求人の主張について
令和5年7月19日提出の意見書における主張について、以下検討する。
(1)請求人の主張する相違点1について
請求人は、同意見書において、
「(相違点1)補正後の請求項1に係る発明は、『置き去り物体が置かれた後の時刻』から動画データを逆方向に再生するのに対し、引用文献1に記載の発明は、『置き去り物体が置かれた時刻』から動画データを逆方向に再生する点。
引用文献1の図11等には、置き去り検知の場合、表示開始位置をオフセットせず、イベント発生時刻から逆方向に再生することが開示されています。
ところで、「イベント発生時刻」に関し、審判官殿は、以下のように述べられています。
『また、引用文献1の段落[0008]の「置き去り検知の場合、置き去りにした人物を特定するためには、物品が置き去りにされたと検知した時点から過去に遡って画像を確認する必要があり、ユーザはイベントの種類に応じて、画像の再生方法を考えて操作する必要が生じている。」という記載、及び、段落[0026]の「録画装置2内に不図示の画像解析部を設け、画像受信部104で得たカメラ7からの画像を用いて画像解析を行って生成したイベント情報を受信しても構わない。」という記載を考慮すると、引用文献1における、置き去り検知の場合のイベント発生時刻は、物品が置かれた後、カメラからの画像を用いた画像解析によって物品の置き去りが検知された時刻のことであると認められる。』
しかし、引用文献1においては、『置き去り検知の場合のイベント発生時刻は、物品が置かれた後、カメラからの画像を用いた画像解析によって物品の置き去りが検知された時刻のことである』という直接的な記載はありません。
そして、引用文献1の段落0004には、『あるべきでない物品が置き去りにされた時にイベントを発生させる置き去り検知』と記載されています。
このような『あるべきでない物品が置き去りにされた時にイベントを発生させる置き去り検知』という直接的な記載がある以上、引用文献1における、置き去り検知の場合のイベント発生時刻は、あるべきでない物品が置き去りにされた時と解釈するのが妥当であり、段落0008や0026の記載に基づく『置き去り検知の場合のイベント発生時刻は、物品が置かれた後、カメラからの画像を用いた画像解析によって物品の置き去りが検知された時刻のことである』という解釈は妥当でないと思料致します。」
と主張している。

当該主張に関しては、引用文献1の段落【0004】には「あるべきでない物品が置き去りにされた時にイベントを発生させる置き去り検知」との記載があるが、段落【0004】は従来技術を説明するものであって、本願の置き去り検知について説明したものではない。
また、もし仮に、引用文献1における「イベント発生時刻」が、あるべきでない物品が置き去りにされたときであると解釈すると、上記第4の(1)オで説明した、図11に記載のイベント種別が「置き去り検知」の例において、イベント発生時刻である物品が置き去りにされたときを表示開始時刻とし、5秒間2倍の速度で逆時系列に表示を行い、次に10秒間1/2倍の速度で逆時系列順に表示を行うことになる。すなわち、上記2で説明した「より大事な画像」といえる、置き去りにした人物を特定可能である、物品が置き去りにされた時刻付近の画像について2倍の速度で逆時系列に表示を行うこととなり、物品を置き去りにした人物の特定が困難になるため、段落【0009】に記載の「ユーザの手を煩わせることなく短時間で所望の画像を再生する録画再生システムを提供する」という課題を解決することができない。
以上のことから、引用文献1に記載の「イベント発生時刻」は、上記1で説明したとおり、置き去り物体が置かれた後の時刻のことであると認められ、請求人の上記主張を採用することはできない。

(2)請求人の主張する相違点2について
請求人は、同意見書において、
「(相違点2)補正後の請求項1に係る発明は、置き去り物体が置かれた後の時刻から置き去り物体が置かれた推定時刻までの間の置き去られた状態の置き去り物体が写っている部分の再生速度を相対的に速くし、その後に表示される置き去り物体が置かれた推定時刻付近の部分の再生速度を相対的に遅くするのに対し、引用文献1に記載の発明は、このように構成していない点。
まず、引用文献1に記載の発明は、置き去り物体が置かれた時刻を『推定』するように構成していません。このため、当然、引用文献1に記載の発明は、置き去り物体が置かれた『推定時刻付近』の部分の再生速度を相対的に遅くするように構成していません。
また、相違点1で述べたように、引用文献1に記載の発明は、『置き去り物体が置かれた時刻』から動画データを逆方向に再生します。このような引用文献1に記載の発明は、置き去り物体が置かれた後の時刻から置き去り物体が置かれた推定時刻までの間の『置き去られた状態の置き去り物体が写っている部分』を再生しません。このため、引用文献1に記載の発明が、この部分の再生速度を相対的に速くすることはあり得ません。」
と主張している。

当該主張に関しては、上記2で説明したとおり、本願の請求項1には「置き去り物体が置かれた推定時刻」との記載があるが、当該時刻を推定する方法については特段特定されていないことから、本願発明は、装置が置き去り物体が置かれた時刻の推定を行う場合のみならず、ユーザや装置の設計者等が、置き去り物体が置かれた後の時刻から置き去り物体が置かれた時刻と考えられる時間間隔を設定することにより置き去り物体が置かれた時刻の推定を行う場合も含むものである。
そして、上記2で説明したとおり、引用文献1においてユーザやシステムの設計者等の設定により置き去り物体が置かれた時刻を推定することは当業者が適宜なし得る設計的事項である。
また、上記(1)で述べたとおり、引用文献1に記載の「イベント発生時刻」は置き去り物体が置かれた後の時刻のことである。
以上のことから、引用文献1においては、置き去り物体が置かれた後の時刻からユーザやシステムの設計者等により推定される置き去り物体が置かれた推定時刻までの間の「置き去られた状態の置き去り物体が写っている部分」の再生は当然行われるものである。
したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。

6 まとめ
上記1〜5のとおり、本願発明は引用発明、周知技術である引用文献2記載の技術事項及び引用文献3記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第7 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2023-09-29 
結審通知日 2023-10-03 
審決日 2023-10-16 
出願番号 P2021-042282
審決分類 P 1 8・ 537- WZ (H04N)
P 1 8・ 121- WZ (H04N)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 畑中 高行
特許庁審判官 高橋 宣博
板垣 有紀
発明の名称 情報処理装置、制御方法、及びプログラム  
代理人 速水 進治  
代理人 速水 進治  

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