• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  F21S
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  F21S
管理番号 1405805
総通号数 25 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2024-01-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-12-20 
確定日 2023-10-24 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第7089684号発明「照明器具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第7089684号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正することを認める。 特許第7089684号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第7089684号(以下「本件特許」という。)の請求項1に係る特許についての出願は、平成27年11月16日(優先権主張 平成27年10月20日)に出願した特願2015−224172号の一部を新たな出願とした特願2019−202803号の一部をさらに令和3年3月11日に新たな特許出願としたものであって、令和4年6月15日にその特許権の設定登録がされ、同年6月23日に特許掲載公報が発行された。
この請求項1に係る特許について、令和4年12月20日付けで特許異議申立人 角田 朗(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがあり、令和5年2月28日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年4月25日付けで特許権者により意見書の提出及び訂正請求がされ、同年5月8日付けで訂正拒絶理由が通知され、同年6月6日付けで特許権者により意見書の提出がされ、同年6月8日付けで訂正請求があった旨が通知され(特許法第120条の5第5項)、同年7月11日付けで申立人により意見書の提出がされたものである。

第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和5年4月25日付けの訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正することを求めるものであり、その内容は、以下のとおりである(訂正箇所に下線を付した。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「器具本体と;
中央に開口部を有する枠状に形成された板部を有し、前記器具本体の下端に配設される化粧枠と;
前記開口部よりも前記器具本体の内側に配設されるカバーと;
を具備し、
前記カバーの中央領域が白色光とは異なるカラー光に染まるとともに、前記開口部の周囲から主として白色光が照射されることを特徴とする照明器具。」と記載されているのを、
「器具本体と;
中央に開口部を有する枠状に形成された板部を有し、前記器具本体の下端に配設される化粧枠と;
前記開口部よりも前記器具本体の内側に配設されるカバーと;
を具備し、
前記カバーの中央領域が白色光とは異なるxy色度図上で0.2≦x≦0.35かつ0.2≦y≦0.3のカラー光に染まるとともに、前記カバーの端部領域が白色光によって白色に光り、前記開口部の周囲から主として白色光が照射されることを特徴とする照明器具。」に訂正する。

2 訂正の適否についての判断
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明における「カバーの中央領域が白色光とは異なるカラー光に染まるとともに、前記開口部の周囲から主として白色光が照射される」との事項を、「カバーの中央領域が白色光とは異なるxy色度図上で0.2≦x≦0.35かつ0.2≦y≦0.3のカラー光に染まるとともに、前記カバーの端部領域が白色光によって白色に光り、前記開口部の周囲から主として白色光が照射される」との事項に限定するものである。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてした訂正であること
(ア)訂正事項1の「前記カバーの端部領域が白色光によって白色に光り、前記開口部の周囲から主として白色光が照射される」について、特許明細書等には、次の記載がある(下線は当審が付与した。以下同様。)。
・「【0039】
点灯した主光源15からの白色光が拡散カバー13の端部領域13bから中央領域13aに照射され、点灯した補助光源16からのカラー光が拡散カバー13の中央領域13aに照射され、拡散カバー13が光る。
【0040】
この場合、図4に示すように、拡散カバー13の端部領域13bは白色光によって白色に光り、拡散カバー13の中央領域13aはカラー光によって例えば青色に光る。」
したがって、訂正事項1の「前記カバーの端部領域が白色光によって白色に光り」という訂正は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。

(イ)訂正事項1の「前記カバーの中央領域が白色光とは異なるxy色度図上で0.2≦x≦0.35かつ0.2≦y≦0.3のカラー光に染まる」について、特許明細書等には、次の記載がある。
・「【背景技術】
【0002】
従来、器具本体に白色光を発光する白色光源と任意の色の光を発光するカラー光源とを設け、これら光源を拡散カバーで覆った照明器具がある。この照明器具では、例えば読書や作業を行う場合に白色光源を点灯させ、一方、照明空間の雰囲気を変化させる場合に白色光源の出力を下げるか消灯させてカラー光源を点灯させている。
【0003】
このような照明器具では、拡散カバーの全体が均一の色および輝度となるように構成している。そのため、カラー光源を点灯させて拡散カバーの全体を白色光以外の色にしている場合、照明空間の雰囲気を変化させることはできるが、主照明の機能が得られず、読書や作業を行うのに適さないことがある。」
・「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、白色光による主照明の機能を維持しながら、光演出効果を得ることができる照明器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の照明器具は、器具本体と;中央に開口部を有する枠状に形成された板部を有し、前記器具本体の下端に配設される化粧枠と;前記開口部よりも前記器具本体の内側に配設されるカバーと;を具備し、前記カバーの中央領域が白色光とは異なるカラー光に染まるとともに、前記開口部の周囲から主として白色光が照射されることを特徴とする。」
・「【0059】
なお、相関色温度4000Kの第1の主光源15aと相関色温度2700Kの第2の主光源15bと青色光の補助光源16とを点灯した場合、拡散カバー13の最低輝度(400〜12000cdの範囲であって、例えば4000cd)となる点の色度は、XYZ表色系のxy色度図上で0.2≦x≦0.35かつ0.2≦y≦0.3にある。この最低輝度となる点は、拡散カバー13の中央領域13aでかつ第2の方向bの端部側にある。また、拡散カバー13の最高輝度(8000〜30000cdの範囲であって、例えば16000cd)となる点の色度は、XYZ表色系のxy色度図上で0.3≦x≦0.5かつ0.3≦y≦0.45にある。最高輝度となる点は、端部領域13bの中央にある。この場合にも、同様に、開放感およびリラックス感が得られる。」

段落【0002】等の記載から、従来、作業を行うために白色光源を点灯させる一方、照明空間の雰囲気を変化させる場合にカラー光源を点灯させていたところ、白色光による主照明の機能を維持しながら光演出効果を得るために、本件発明では、中央領域が白色とは異なるカラー光に染まるとともに、開口部の周囲から主として白色光が照射するという構成を採用したものと認められる。
そして、中央領域のカラー光について、段落【0059】には、拡散カバー13の中央領域13aの第2の方向bの端部側の色度として、「xy色度図上で0.2≦x≦0.35かつ0.2≦y≦0.3にある。」と記載されている。
当該記載では、第2方向bの端部側以外の色度が特定されていないとしても、中央領域の具体的なカラー光のひとつとして記載されたものであり、上記課題や解決手段に鑑みれば、訂正前の中央領域の白色光とは異なるカラー光について、特許明細書等に記載された具体例のひとつに基いて、その色度を限定したものといえる。
そうすると、訂正事項1の「前記カバーの中央領域が白色光とは異なるxy色度図上で0.2≦x≦0.35かつ0.2≦y≦0.3のカラー光に染まる」という訂正は、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、特許明細書等に記載された事項の範囲内においてしたものである。

(ウ)上記(ア)(イ)から、訂正事項1による訂正は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アの理由から明らかなように、訂正事項1による訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項1による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

エ 小括
上記のとおり、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
上記「第2」で述べたとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正請求により訂正された請求項1に係る発明(以下「本件発明1」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「器具本体と;
中央に開口部を有する枠状に形成された板部を有し、前記器具本体の下端に配設される化粧枠と;
前記開口部よりも前記器具本体の内側に配設されるカバーと;
を具備し、
前記カバーの中央領域が白色光とは異なるxy色度図上で0.2≦x≦0.35かつ0.2≦y≦0.3のカラー光に染まるとともに、前記カバーの端部領域が白色光によって白色に光り、前記開口部の周囲から主として白色光が照射されることを特徴とする照明器具。」

第4 取消理由通知に記載した取消理由の概要について
1 取消理由の概要
訂正前の請求項1に係る特許に対して、当審が令和5年2月28日付けの取消理由通知で特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
「1)(新規性)本件特許の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、その発明に係る特許は、取り消されるべきものである。
2)(進歩性)本件特許の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

<理由1><理由2>
・請求項 1
・引用文献 1

<理由2>
・請求項 1
・引用文献 2又は2、1

1.引用文献一覧
引用文献1:特表2008−545905号公報(申立人が提出した甲第1号証)
引用文献2:特開2006−294480号公報(申立人が提出した甲第2号証)」

第5 当審の判断
1 引用文献の記載及び引用発明
(1)引用文献1
ア 引用文献1の記載事項
引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)
・「【技術分野】
【0001】
本発明は、後壁と前記後壁の前における拡散装置とを有する照明ボックスであって、前記拡散装置は、前記拡散装置の前における窓枠から前記後壁を遮蔽している照明ボックスであって、
前記後壁と前記拡散器装置との間に延在している少なくとも1つの第1の光源と、
前記少なくとも1つの光源を動作させるドライバの第1集合と、
を更に有する照明ボックスを有する人口窓に関する。」
・「【0007】
本発明の目的は、冒頭段落に記載した種類の人口窓であって、日中、光が入射する窓の更にリアル感のある印象を与えることができる人口窓を提供することにある。」
・「【0018】
窓は、光がこれを介して入射し、これを介して見られることができるガラスを持つ。前記透明プレートは、ガラス、又はポリメチルメタクリレートの、アクリルガラスのような、人口樹脂によって作られることができ、前記透明プレートの後ろにおいて、前記拡散器が、距離を置いて設けられており、前記透明プレートを介して、前記窓枠の後部が観察できるものであり、第三の寸法である深さ(当該深さは、リアル感のある窓の印象に貢献する)を作っている。更に、前記人口プレートは、窓ガラスに垂直な反射を与える。」
・「【0029】
本発明の前記窓の好ましい実施例において、リフレクタを備えている少なくとも1つの更なるランプが、前記第1枠部分及び前記第2枠部分の橋渡しの役をしている第3枠部分に隣接して、前記拡散器と、前記窓枠との間に設けられ、前記枠によって隠されており、開始、動作及び調光のための自身のドライバに接続されており、動作中に、前記透明プレートを介して光を放射するように向けられている。この更なるランプ(当該更なるランプの光ビームは、好ましくはモータによって移動可能である)は、本発明の第1の見地による前記更なる光源として使用されることもでき、この場合、前記光ビームは、自身の動作の少なくとも一部の間、前記拡散器に向けられる。この実施例において、前記窓は、上部において前記第3の枠部分が取り付けられるように設計されている。セラミック放電容器内のメタルハライド放電ランプ(例えば、70Wの、3000又は4000Kの色温度のもの)のような、高圧放電ランプ、白色発光高圧ナトリウムランプ(例えば、100Wのもの)又は代替的にはハロゲン白熱ランプ(例えば、150wのもの)が、設けられると、好ましい。これらのランプは、小型の寸法において利用可能であり、これらのランプの光源は小型であり、(前記ランプと一体化されることができる又は前記ランプと共にアセンブリされることができる)関連付けられているリフレクタが、前記ランプによって生成される光を、狭い又は良好に規定されることができるビームに成形するのを可能にする。
【0030】
前記ランプ及び前記リフレクタの向きに依存して、前記ビームは、前記窓のみが取り付けられている一室に入る、又は前記窓枠の一部に当たり、前記窓枠の一部を照らす。前記一室の内部において、前記ビームは、前記窓に隣接して設けられている本体の影を生じ得て、これにより、リアル感のある昼光窓の印象を更に向上させる。ハロゲン白熱ランプの使用は、調光が該ハロゲン白熱ランプの色温度を低下させるという有利な点を有する。」
・「【0038】
図1、2、3及び5の実施例において、人口窓1は、照明ボックス10を有しており、照明ボックス10は、図2及び3を参照すると、後壁11と、後壁11と対向する側における光射出窓12とを有している。前記照明ボックスは、前記図において、例えば、照明器具内において通常利用されている種類の、拡散反射成分を有する白色の高い反射性コーティングを有する金属シートの反射性材料によって作られている。複数の電気的光源13が、後壁11に隣接する照明ボックス10内に取り付けられている。前記図において、光源13は、直径15mmの管状蛍光ランプである。オパールのような光彩を発するポリアクリル酸の拡散器14が、前記光射出窓に隣接して設けられている。窓枠20は、拡散器14の前に取り付けられている。窓枠20は、木材、合成樹脂、又はアルミニウムから構成されていても良いが、例えば、少なくとも木材のような外観が好ましい。前記光源を開始させる及び動作させるドライバ15は、光源13に電気的に接続されている。人口窓1は、命令信号を受信するユーザインタフェース16を有している。
【0039】
光源13(図3及び5参照)は、動作中、赤色光を発する光源13Rの第1集合と、動作中、緑色光を発する光源13Gの第2集合と、動作中、青色光を発する光源13Bの第3集合とを有する。前記第1集合の光源13Rと、前記第2集合の光源13Gと、前記第3集合の光源13Bとは、混合された配置において配されている。ドライバ15は、光源13を調光することもでき、ドライバ15は、各々、多くても、集合のうちの前記のような複数の光源13R、13G、13Bのうちのそれぞれ一部に接続されている。示されている実施例において、各光源13は、自身のドライバ15を有している。ドライバ15は、個々に制御されることができる。透明プレート21は、拡散器14から離れて、窓枠20内に設けられる。
【0040】
前記図において、横木が窓枠20内に設けられているが、これは、必須ではない。前記横木は、透明プレート21(前記図におけるガラス板(glass pane))を実質的に又は実際に4つの部分に分割している。窓枠20は、相互距離dにおける第1の枠部分22及び第2の対向している枠部分23と、それぞれのパネル24とを有しており、図2を参照すると、ここから拡散器14に向かって延在している。パネル24は、パターン及びれんが仕上げ(brick finish)を有している。」
・「【0045】
リフレクタ26を備えている少なくとも1つのランプ25(図3及び5参照)が、第1及び第2部分22、23の橋渡しの役をしている第3枠部分27に隣接して、拡散器14と窓枠20との間に設けられており、枠20によって隠されており、自身のドライバ28に結合されている。図3において、ランプ25は、動作中、透明プレート21を介して光を放射するように向けられている。図5において、ランプ25は、動作中、拡散器14の前側に光を放射するように向けられている。」
・「【0047】
図1において、窓枠20は、第3枠部分27に対向する第4枠部分30を有しており、棚31が、窓台としての第4枠部分30に隣接して設けられている。」
・図1には以下の内容が示されている。

・図2には以下の内容が示されている。


・図4には以下の内容が示されている。


・図5には以下の内容が示されている。


イ 認定事項
(ア)段落【0038】の「照明ボックス10」と「窓枠20」に関して、図1及び図2の図示内容からみて、「照明ボックス10と窓枠20のうち枠状に形成された表面の板状の部分を除いた主たる部分」があることが理解できる。
(イ)段落【0040】と【0047】の下線部の記載と、図1及び図4の図示内容からみて、「窓枠20のうち第1枠部分22、第2枠部分23、第3枠部分27及び第4枠部分30によって枠状に形成された表面の部分であり、窓枠20内の横木は必須でないから中央に開口部を有し、室内側に配される板状の部分」があることが理解できる。

ウ 引用発明1
上記ア、イから、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「照明ボックス10と窓枠20のうち枠状に形成された表面の板状の部分を除いた主たる部分と、
窓枠20のうち第1枠部分22、第2枠部分23、第3枠部分27及び第4枠部分30によって枠状に形成された表面の部分であり、窓枠20内の横木は必須でないから中央に開口部を有し、室内側に配される板状の部分と、
ガラス板である透明プレート21と、
を具備し、
赤色光を発する光源13Rの第1集合と、緑色光を発する光源13Gの第2集合と、青色光を発する光源13Bの第3集合とを有する光源13は、個々に制御される各光源のドライバ15を有し、照明ボックス10が有する光射出窓12に隣接して拡散器14が設けられ、透明プレート21の後ろにおいて、拡散器14が設けられており、透明プレート21を介して、窓枠20の後部が観察でき、
リフレクタ26を備えたランプ25が、第3枠部分27に隣接して拡散器14と窓枠20との間に設けられ、当該ランプ25として、セラミック放電容器内のメタルハライド放電ランプ(例えば、色温度4000K)のような、高圧放電ランプ、白色発光高圧ナトリウムランプ又は代替的にはハロゲン白熱ランプが設けられ、ランプ25及びリフレクタ26の向きに依存して、ビームは窓のみが取り付けられている一室に入り、又は、窓枠20の一部に当たり、窓枠20の一部を照らし、ランプ25は、動作中、透明プレート21を介して光を放射するように向けられたり、動作中、拡散器14の前側に光を放射するように向けられる、
人口窓1。」

(2)引用文献2
ア 引用文献2の記載事項
引用文献2には、図面とともに以下の事項が記載されている。
・「【技術分野】
【0001】
本発明は、灯体の内部から外部に向かって光線を照射する開口面を有し、任意の分光分布を有する光線を照射する第一の光源と、第一の光源が照射する光線の分光分布と異なる分光分布を有する光線を照射する第二の光源と、が配置される照明器具及びこれを用いた照明システムに関するものである。」
・「【0020】
本第一実施形態の照明器具1は、灯体2の内部から外部に向かって光線を照射する開口面3を有し、任意の分光分布を有する光線を照射する第一の光源4a、4b、4c、4d、4eと、第一の光源4a、4b、4c、4d、4eが照射する光線の分光分布と異なる分光分布を有する光線を照射する第二の光源5a、5b、5c、5dと、が配置される照明器具1であって、第一の光源4a、4b、4c、4d、4eは、開口面3の中央域に対向して配置され、第二の光源5a、5b、5c、5dは、開口面3の周辺域に対向して配置される。
【0021】
また、開口面3に拡散パネル6が備えられており、拡散パネル6は、第二の光源5a、5b、5c、5dの直下にある第一の部分6aと、第一の部分6aよりも照明器具1の内部に窪んでなる第二の部分6bと、を有し、さらに拡散パネル6が曲面で構成されている。」
・「【0025】
最初に、灯体2であるが、これは薄肉長方形状の鋼板を組合せたものであり、上底面2aと、上側面の四辺より垂設される側面2b、2c、2d、2eと、で構成される。また、開口面3は、上底面2aと対向し、側面2b、2c、2d、2eの下端辺を四辺とする面である。」
・「【0028】
次いで、第一の光源4a、4b、4c、4d、4eであるが、直管の白色蛍光灯であり、長手方向が、灯体2と平行になるように反射板8に設けられた光源取付部(図示しない)に支持される。また第二の光源5a、5b、5c、5dであるが、直管の電球色蛍光灯であり、465nm近辺の波長域を減衰させる波長可変フィルタ7a、7bが光源の外周に被覆されてなる。」

・図1には以下の内容が示されている。


・図2には以下の内容が示されている。


イ 認定事項
(ア)図1、図2からみて「灯体2は、開口面3を有」することが理解できる。
(イ)段落【0028】の下線部の記載事項からみて、「第一の光源4a、4b、4c、4d、4eは白色蛍光灯であり、第二の光源は5a、5b、5c、5dは電球色蛍光灯である」ことが理解できる。

ウ 引用発明2
上記ア、イから、引用文献2には、以下の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「灯体2と、
灯体2は、薄肉長方形状の鋼板を組合せたものであり、上底面2aと、上側面の四辺より垂設される側面2b、2c、2d、2eと、で構成され、上底面2aと対向し、側面2b、2c、2d、2eの下端辺を四辺とする面である開口面3を有し、
開口面3に拡散パネル6が備えられており、拡散パネル6は、第二の光源5a、5b、5c、5dの直下にある第一の部分6aと、第一の部分6aよりも照明器具1の内部に窪んでなる第二の部分6bと、を有し、さらに拡散パネル6が曲面で構成され、
任意の分光分布を有する光線を照射する第一の光源4a、4b、4c、4d、4eと、第一の光源4a、4b、4c、4d、4eが照射する光線の分光分布と異なる分光分布を有する光線を照射する第二の光源5a、5b、5c、5dと、が配置される照明器具1であって、第一の光源4a、4b、4c、4d、4eは、開口面3の中央域に対向して配置され、第二の光源5a、5b、5c、5dは、開口面3の周辺域に対向して配置され、
第一の光源4a、4b、4c、4d、4eは白色蛍光灯であり、第二の光源は5a、5b、5c、5dは電球色蛍光灯である、
照明器具1。」

2 引用発明1を主引用発明とした理由
(1)本件発明1と引用発明1との対比
ア 引用発明1の「枠状に形成された部分の表面の部分」は本件発明1の「枠状に形成された板部」に相当し、以下同様に、「透明プレート21」は「カバー」に、「人口窓1」は「照明器具」に、それぞれ相当する。
イ 「本体」とは主になる部分のことであるから、「器具本体」とは、器具のうち主になる部分のことを意味する。本件発明1においては、器具本体が、器具のうち外形を形成する主な部分を指している。
そうすると、引用発明1の「照明ボックス10と窓枠20の枠状に形成された表面の板状の部分を除いた主たる部分」は本件発明1の「器具本体」に相当する。
ウ 引用発明1の人口窓1の「室内側に配される板状の部分」は人目にさらされる部分であるから本件発明1の「化粧枠」に相当する。
また、引用文献1の図4に示されるように人口窓1が壁と天井との一角に設けられると、引用発明1の窓枠20の「室内側に配される板状の部分」は、必然的に、人口窓1のうち下端となる部分に配設されることになる。
そうすると、引用発明1の「窓枠20のうち第1枠部分22、第2枠部分23、第3枠部分27及び第4枠部分30によって枠状に形成された表面の部分であり、窓枠20内の横木は必須でないから中央に開口部を有し、室内側に配される板状の部分」は、本件発明1の「中央に開口部を有する枠状に形成された板部を有し、前記器具本体の下端に配設される化粧枠」に相当する。
エ 引用文献1の図1、図4からみて、引用発明1の「透明プレート21」は開口部より照明ボックス10と窓枠20の枠状に形成された表面の板状の部分を除いた主たる部分の内側にあることは明らかであるから、本件発明1の「前記開口部よりも前記器具本体の内側に配設されるカバー」に相当する。
オ 引用発明1は「赤色光を発する光源13Rの第1集合と、緑色光を発する光源13Gの第2集合と、青色光を発する光源13Bの第3集合とを有する光源13は、個々に制御される各光源のドライバ15を有」するから、光源13から種々の色の光を発することができることは明らかである。
また、引用発明1は「照明ボックス10が有する光射出窓12に隣接して拡散器14が設けられ、透明プレート21の後ろにおいて、拡散器14が設けられており、透明プレート21を介して、窓枠20の後部が観察でき」るものであって、拡散器14を透過した光源13からの光は、透明プレート21に入射し、上述したように、光源13からは種々の色の光が発せられるのであるから、透明プレート21は、その中央の領域が白色光とは異なるカラー光に染まり得ることは明らかである。
そうすると、引用発明1の「赤色光を発する光源13Rの第1集合と、緑色光を発する光源13Gの第2集合と、青色光を発する光源13Bの第3集合とを有する光源13は、個々に制御される各光源のドライバ15を有し、照明ボックス10が有する光射出窓12に隣接して拡散器14が設けられ、透明プレート21の後ろにおいて、拡散器14が設けられており、透明プレート21を介して、窓枠20の後部が観察でき」ることは、本件発明1の「前記カバーの中央領域が白色光とは異なるカラー光に染まる」ことに相当する。
カ 引用発明1の「セラミック放電容器内のメタルハライド放電ランプ(例えば、色温度4000K)のような、高圧放電ランプ、白色発光高圧ナトリウム又は代替的にはハロゲン白熱ランプ」等のランプ25は基本的に白色光を発するものである。
引用発明1の「ランプ25及びリフレクタ26の向きに依存して、ビームは窓のみが取り付けられている一室に入り、又は、窓枠20の一部に当たり、窓枠20の一部を照らす」ことに関して、ランプ25からの光が窓枠の一部に当たる場合、ランプ25からの光の一部は、当然に、窓枠20の枠の部分のすぐ脇を通って室内に入ることになり、窓枠20の枠の部分は開口部の縁を形成するのであるから、開口部の縁からは、ランプ25からの光、即ち白色光が照射されることになる。
そうすると、引用発明1の「ランプ25及びリフレクタ26の向きに依存して、ビームは窓のみが取り付けられている一室に入り、又は、窓枠20の一部に当たり、窓枠20の一部を照らす」ことは、本件発明1の「前記開口部の周囲から主として白色光が照射される」ことに相当する。
キ 以上から、両者は、
「器具本体と、
中央に開口部を有する枠状に形成された板部を有し、前記器具本体の下端に配設される化粧枠と、
前記開口部よりも前記器具本体の内側に配設されるカバーと、
を具備し、
前記カバーの中央領域が白色光とは異なるカラー光に染まるとともに、前記開口部の周囲から主として白色光が照射される、照明器具。」
において一致し、以下の各点において相違すると認められる。
<相違点1>
白色光とは異なるカラー光が、本件発明1では、「xy色度図上で0.2≦x≦0.35かつ0.2≦y≦0.3のカラー光」であるのに対して、引用発明1では、「赤色光を発する光源13Rの第1集合と、緑色光を発する光源13Gの第2集合と、青色光を発する光源13Bの第3集合とを有する光源13は、個々に制御される各光源のドライバ15を有し、照明ボックス10が有する光射出窓12に隣接して拡散器14が設けられ、透明プレート21の後ろにおいて、拡散器14が設けられており、透明プレート21を介して、窓枠20の後部が観察できる」種々の色の光である点。
<相違点2>
本件発明1では、「前記カバーの端部領域が白色光によって白色に光」るのに対して、引用発明1では、「ランプ25及びリフレクタ26の向きに依存して、ビームは窓のみが取り付けられている一室に入り、又は、窓枠20の一部に当たり、窓枠20の一部を照らし、ランプ25は、動作中、透明プレート21を介して光を放射するように向けられたり、動作中、拡散器14の前側に光を放射するように向けられる」点。

(2)相違点の判断
事案に鑑みて、まず、相違点2について検討する。
本件発明1の「カバー」に相当する引用発明1の「透明プレート21」は「透明」な「ガラス板」であって、光を透過するものであり、端部領域が白く光るものではない。
さらに進んで検討すると、引用発明1の「拡散器14」は、開口部よりも「照明ボックス10と窓枠20の枠状に形成された表面の板状の部分を除いた主たる部分」(「器具本体」に相当)の内側に配設されているから、これを、本件発明1の「カバー」に相当するとすることもできる。
しかしながら、その場合には、ランプ25は、「拡散器14の前側に光を放射するように向けられる」ものではあるが、「拡散器14」の端部領域が白く光るとまではいえない。
そうすると、相違点2は、実質的な相違点であるから、本件発明1は、引用発明1ではない。
また、引用文献1には、透明プレート21あるいは拡散器14の端部周囲を、ランプ25によって白色に光らせることを動機づける記載や示唆もないし、透明プレート21又は拡散器14の端部領域を白色に光らせると、中央領域と端部領域とで色が異なってしまい、「リアル感のある印象を与えることができる人口窓」(引用文献1の段落【0007】)とはならないから、相違点2に係る本件発明1の構成は、引用発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)小括
そうすると、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明1ではなく、また、引用発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3 引用発明2を主引用発明とした理由
(1)本件発明1と引用発明2との対比
本件発明1と引用発明2とを対比すると、少なくとも以下の点で相違するものと認められる。
<相違点3>
本件発明1では、「カバーの中央領域が白色光とは異なるxy色度図上で0.2≦x≦0.35かつ0.2≦y≦0.3のカラー光に染まるとともに、前記カバーの端部領域が白色光によって白色に光」るのに対して、引用発明2では、開口面3の中央域に白色蛍光灯が配置され、開口面3の周辺域に電球色蛍光灯が配置される点。
(2)相違点の判断
「カバーの中央領域が白色光とは異なるxy色度図上で0.2≦x≦0.35かつ0.2≦y≦0.3のカラー光に染まるとともに、前記カバーの端部領域が白色光によって白色に光」ることについては、引用発明2には開示されておらず、また、引用発明1(又は、引用文献1に記載された事項)にも開示されていないから、本件発明1は、引用発明2に基いて、又は、引用発明2及び引用文献1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 申立人の主張する特許異議申立理由の概要
ア 甲1発明を主引用発明とする異議申立理由
本件発明1は、甲1発明、甲第2号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

2 対比・判断
本件発明1と甲1発明(引用発明1)とを対比すると、第5 2(1)のとおりの一致点と相違点となる。
そして、相違点2について検討すると、「カバーの端部領域が白色光によって白色に光」ることについては、甲第2号証には開示されていないから、本件発明1は、甲1発明及び甲第2号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び証拠によっては、本件発明1に係る特許を取り消すことはできない。
さらに、他に本件発明1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具本体と;
中央に開口部を有する枠状に形成された板部を有し、前記器具本体の下端に配設される化粧枠と;
前記開口部よりも前記器具本体の内側に配設されるカバーと;
を具備し、
前記カバーの中央領域が白色光とは異なるxy色度図上で0.2≦x≦0.35かつ0.2≦y≦0.3のカラー光に染まるとともに、前記カバーの端部領域が白色光によって白色に光り、前記開口部の周囲から主として白色光が照射されることを特徴とする照明器具。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2023-10-13 
出願番号 P2021-039086
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (F21S)
P 1 651・ 121- YAA (F21S)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 筑波 茂樹
特許庁審判官 藤井 昇
沼生 泰伸
登録日 2022-06-15 
登録番号 7089684
権利者 東芝ライテック株式会社
発明の名称 照明器具  
代理人 河野 仁志  
代理人 河野 仁志  
代理人 熊谷 昌俊  
代理人 樺澤 聡  
代理人 山田 哲也  
代理人 熊谷 昌俊  
代理人 山田 哲也  
代理人 樺澤 聡  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ