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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F16L
管理番号 1406478
総通号数 26 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2024-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-01-18 
確定日 2024-02-06 
事件の表示 特願2021−509337「管継手、配管構造及び管継手の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和2年10月1日国際公開、WO2020/196318、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2020年(令和2年)3月19日(優先権主張 平成31年3月22日、令和元年9月11日)を国際出願日とする出願であって、令和3年9月10日に手続補正書が提出され、令和4年1月7日付けで拒絶理由が通知され、同年3月17日に意見書及び手続補正書が提出され、同年3月28日付けで拒絶理由が通知され、同年8月3日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年10月11日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対して令和5年1月18日に拒絶査定不服審判の請求がされ、その審判の請求と同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記(引用文献等については引用文献等一覧参照)

・請求項1及び2に対して 引用文献1又は引用文献2
・請求項3に対して 引用文献1又は引用文献1及び2
・請求項4ないし6に対して 引用文献1又は引用文献2又は引用文献1及び2

<引用文献等一覧>
引用文献1.特開2012−107669号公報
引用文献2.エスロンACドレンパイプ・継手カタログ(改訂6版),日本,積水化学工業株式会社,2014年1月

第3 本願発明
令和5年1月18日にした手続補正は、適法になされたものである。
よって、本願の請求項1ないし8に係る発明(以下「本願発明1」ないし「本願発明8」という。)は、令和5年1月18日の手続補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「 【請求項1】
シアン化ビニル系単量体単位及びアクリル系単量体単位から選ばれる1種以上と、ゴム成分と芳香族ビニル系単量体単位とを有する共重合体を含む樹脂で形成され、内部に流路を有する管状の本体部と、前記本体部と一体に形成された1つ以上の受口部と、を有し、前記本体部が発泡樹脂層と、前記発泡樹脂層を覆う非発泡樹脂層とを有する管継手であって、
熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法により求められる前記発泡樹脂層の前記ゴム成分の含有量が、前記発泡樹脂層に含まれる樹脂の総質量に対して20質量%以上45質量%以下、かつ、前記芳香族ビニル系単量体単位の含有量が、前記発泡樹脂層に含まれる樹脂の総質量に対して15質量%以上35質量%以下であり、
熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法により求められる前記非発泡樹脂層の前記ゴム成分の含有量が、前記非発泡樹脂層に含まれる樹脂の総質量に対して20質量%以上45質量%以下、かつ、前記芳香族ビニル系単量体単位の含有量が、前記非発泡樹脂層に含まれる樹脂の総質量に対して15質量%以上35質量%以下であり、
前記受口部の基端から開口端までの長さLと、前記開口端における前記受口部の厚さdとの比L/dが、4.2以上8.0以下であり、
前記発泡樹脂層に含まれる樹脂と、前記非発泡樹脂層に含まれる樹脂とが同じである、管継手。
【請求項2】
シアン化ビニル系単量体単位及びアクリル系単量体単位から選ばれる1種以上と、ゴム成分と芳香族ビニル系単量体単位とを有する共重合体を含む樹脂で形成され、内部に流路を有する管状の本体部と、前記本体部と一体に形成された1つ以上の受口部と、を有し、前記本体部が発泡樹脂層と、前記発泡樹脂層を覆う非発泡樹脂層とを有する管継手であって、
熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法により求められる前記発泡樹脂層の前記ゴム成分の含有量が、前記発泡樹脂層に含まれる樹脂の総質量に対して15質量%以上45質量%以下であり、
熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法により求められる前記非発泡樹脂層の前記ゴム成分の含有量が、前記非発泡樹脂層に含まれる樹脂の総質量に対して15質量%以上45質量%以下であり、
前記受口部の基端から開口端までの長さLと、前記開口端における前記受口部の厚さdとの比L/dが、4.2以上6.0以下であり、
前記発泡樹脂層に含まれる樹脂と、前記非発泡樹脂層に含まれる樹脂とが同じである、管継手。
【請求項3】
前記受口部を2つ以上有し、前記受口部は円筒状であり、前記受口部と前記本体部との境界に、前記受口部の内周面の全周にわたって円環状の周壁が形成され、前記周壁は、内部が前記発泡樹脂層で構成され、前記周壁には、全周にわたって前記発泡樹脂層が形成されている、請求項1又は2に記載の管継手。
【請求項4】
前記本体部の肉厚が10mm以上20mm以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の管継手。
【請求項5】
前記発泡樹脂層を構成する発泡性樹脂組成物のメルトマスフローレート(MFR)が3g/10分以上90g/10分以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の管継手。
【請求項6】
前記非発泡樹脂層を構成する非発泡性樹脂組成物のメルトマスフローレート(MFR)が3g/10分以上90g/10分以下である、請求項5に記載の管継手。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の管継手と、前記管継手の前記受口部に挿入接続された管部材と、を備え、前記管部材が発泡層を有する、配管構造。
【請求項8】
請求項6に記載の管継手の製造方法であって、
熱風乾燥機を用い、60〜90℃の熱風を2〜6時間吹きかけて、非発泡性樹脂組成物を予め乾燥させ、
前記非発泡性樹脂組成物に発泡剤を混合して、JIS K 7210:1999に従い、試験温度220℃、試験荷重10kgで測定されるMFRが4g/10分以上60g/10分以下である発泡性樹脂組成物を得た後、
前記発泡性樹脂組成物を200℃以上280℃以下に加熱溶融して金型内に射出した後冷却する、管継手の製造方法。」

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審が付与した。以下同様。)

(1)「【0021】
図1に示すように、給水や排水などを行うための樹脂製の管路に使用される管継手11を設ける。この管継手11は、管状の継手本体12と、この継手本体12の開口部に一体に形成された受口部13とを有している。受口部13は、継手本体12と外径がほぼ等しい管部材を挿入接続するために、継手本体12よりも大径のものとされており、継手本体12と受口部13との間には、径寸法の違いを有して一体に連結するための段差部14が設けられる。なお、このような管継手11は、形状や寸法などの規格が厳しく定められているため、上記規格を大きく外れるような改変ができないという制約が存在している。
【0022】
そして、継手本体12および受口部13が、非発泡性樹脂15によって主に構成されると共に、この非発泡性樹脂15の内部に発泡性樹脂を発泡させて成る断熱材層16(または発泡断熱層)が封入された断熱層付き管継手17とされる。」

(2)「【0035】
(構成3)
断熱層付き管継手17は、図1または図2に示すように、継手本体12が分岐管形状とされ、分岐管形状の継手本体12の両端および分岐端部の3箇所の開口部に受口部13がそれぞれ設けられたチーズ部材25に対して、上記した外周突出部23や外側突出部24などの堰止部21を設けたものとすることができる。或いは、断熱層付き管継手17は、図3や、図4に示すように、継手本体12が曲管状とされ、曲管状の継手本体12の両端の2箇所の開口部に受口部13がそれぞれ設けられたエルボ部材26に対して、上記した外周突出部23や外側突出部24などの堰止部21を設けたものとすることができる。」

(3)「【0038】
ここで、非発泡性樹脂15には、例えば、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、AES樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂などの硬質の樹脂を使用することができる。
【0039】
また、発泡性樹脂は、例えば、ポリ塩化ビニルやABS樹脂などの硬質の樹脂に、発泡剤としてアゾジカルボンアミド(大塚化学社製AZ−HM)を混入したものなどを使用することができる。このような発泡性樹脂を発泡して成る断熱材層16は、硬質のものとなる。」

(4)「【図1】



上記より、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。

〔引用発明1〕
「ABS樹脂で形成された管状の継手本体12と、前記継手本体12の開口部に一体に形成された3箇所の受口部13と、を有し、前記継手本体12が非発泡性樹脂15によって主に構成されるとともに、非発泡性樹脂15の内部に発泡性樹脂を発泡させて成る断熱材層16が封入された断熱層付き管継手17。」

2 引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された、引用文献2には、以下の事項が記載されている。

(1)「


(2ページ)

(2)「


(5ページ)

(3)上記(1)及び(2)から、継手は、内部に流路を有する管状の本体部と、前記本体部と一体に形成された1つ以上の受口部と、を有することが看取できる。

(4)上記(1)及び(2)から、本体部がABSで形成され、本体部がABS発泡層と、前記ABS発泡層を覆うABS非発泡層とを有することが看取できる。

以上によれば、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されている。

〔引用発明2〕
「ABSで形成され内部に流路を有する管状の本体部と、前記本体部と一体に形成された1つ以上の受口部と、を有し、前記本体部がABS発泡層と、前記ABS発泡層を覆うABS非発泡層とを有する継手。」

第5 対比及び判断
1 本願発明1について
1−1 引用発明1との対比及び判断
本願発明1と引用発明1とを対比する。
引用発明1の「継手本体12」は、本願発明1の「本体部」に相当し、以下同様に、「受口部13」は「受口部」に、「非発泡性樹脂15」は「非発泡樹脂」に、「発泡性樹脂」は「発泡樹脂」に、「断熱層付き管継手17」は「管継手」に、それぞれ相当する。

ABS樹脂が、シアン化ビニル系単量体単位及びアクリル系単量体単位から選ばれる1種以上と、ゴム成分と芳香族ビニル系単量体単位とを有する共重合体を含む樹脂であることは、技術常識である。そして、引用発明1の「管状の継手本体12」が、内部に流路を有することは、自明である。そうすると、引用発明1の「ABS樹脂で形成された管状の継手本体12」は、本願発明1の「シアン化ビニル系単量体単位及びアクリル系単量体単位から選ばれる1種以上と、ゴム成分と芳香族ビニル系単量体単位とを有する共重合体を含む樹脂で形成され、内部に流路を有する管状の本体部」に相当する。

引用発明1の「継手本体12の開口部に一体に形成された3箇所の受口部13」は、本願発明1の「本体部と一体に形成された1つ以上の受口部」に相当する。

引用発明1において「非発泡性樹脂15の内部にABS樹脂に発泡剤を混入した発泡性樹脂を発泡させて成る断熱材層16が封入され」ていることは、発泡性樹脂を非発泡性樹脂が覆っているということだから、引用発明1において「継手本体12がABS樹脂の非発泡性樹脂15によって主に構成されるとともに、非発泡性樹脂15の内部にABS樹脂に発泡剤を混入した発泡性樹脂を発泡させて成る断熱材層16が封入され」ていることは、本願発明1において「本体部が発泡樹脂層と、前記発泡樹脂層を覆う非発泡樹脂層とを有する」ことに相当する。

引用発明1において「非発泡性樹脂15」は「ABS樹脂」であり、「発泡性樹脂」は「ABS樹脂に発泡剤を混入した」ものであるから、本願発明1の「前記発泡樹脂層に含まれる樹脂と、前記非発泡樹脂層に含まれる樹脂とが同じである」に相当する構成を備えるものといえる。

したがって、両者は、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。

〔一致点〕
「シアン化ビニル系単量体単位及びアクリル系単量体単位から選ばれる1種以上と、ゴム成分と芳香族ビニル系単量体単位とを有する共重合体を含む樹脂で形成され、内部に流路を有する管状の本体部と、前記本体部と一体に形成された1つ以上の受口部と、を有し、前記本体部が発泡樹脂層と、前記発泡樹脂層を覆う非発泡樹脂層とを有する管継手であって、
前記発泡樹脂層に含まれる樹脂と、前記非発泡樹脂層に含まれる樹脂とが同じである、管継手。」

〔相違点1a〕
本願発明1においては、
「熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法により求められる前記発泡樹脂層の前記ゴム成分の含有量が、前記発泡樹脂層に含まれる樹脂の総質量に対して20質量%以上45質量%以下、かつ、前記芳香族ビニル系単量体単位の含有量が、前記発泡樹脂層に含まれる樹脂の総質量に対して15質量%以上35質量%以下であり、
熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法により求められる前記非発泡樹脂層の前記ゴム成分の含有量が、前記非発泡樹脂層に含まれる樹脂の総質量に対して20質量%以上45質量%以下、かつ、前記芳香族ビニル系単量体単位の含有量が、前記非発泡樹脂層に含まれる樹脂の総質量に対して15質量%以上35質量%以下であ」るのに対して、
引用発明1においては、かかる事項を備えていない点。

〔相違点1b〕
本願発明1においては、
「前記受口部の基端から開口端までの長さLと、前記開口端における前記受口部の厚さdとの比L/dが、4.2以上8.0以下であ」るのに対して、
引用発明1においては、かかる事項を備えていない点。

上記相違点1aについて検討する。
上記相違点1aに係る本願発明1の発明特定事項は、従来周知の技術ではなく、当業者が適宜なし得た設計的事項であるといえる根拠もない。

上記相違点1bについて検討する。
上記相違点1bに係る本願発明1の発明特定事項は、従来周知の技術ではなく、当業者が適宜なし得た設計的事項であるといえる根拠もない。

したがって、本願発明1は、引用発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

1−2 引用発明2との対比及び判断
本願発明1と引用発明2とを対比する。
引用発明2の「本体部」は、本願発明1の「本体部」に相当し、以下同様に、「受口部」は「受口部」に、「ABS発泡層」は「発泡樹脂層」に、「ABS非発泡層」は「非発泡樹脂層」に、「継手」は「管継手」に、それぞれ相当する。

ABSが、シアン化ビニル系単量体単位及びアクリル系単量体単位から選ばれる1種以上と、ゴム成分と芳香族ビニル系単量体単位とを有する共重合体を含む樹脂であることは技術常識であるから、引用発明2の「ABSで形成され内部に流路を有する管状の本体部」は、本願発明1の「シアン化ビニル系単量体単位及びアクリル系単量体単位から選ばれる1種以上と、ゴム成分と芳香族ビニル系単量体単位とを有する共重合体を含む樹脂で形成され、内部に流路を有する管状の本体部」に相当する。

引用発明2においては「発泡層」は「ABS」であり、「非発泡層」も「ABS」であるから、本願発明1の「前記発泡樹脂層に含まれる樹脂と、前記非発泡樹脂層に含まれる樹脂とが同じである」に相当する構成を備えるものといえる。

したがって、両者は、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。

〔一致点〕
「シアン化ビニル系単量体単位及びアクリル系単量体単位から選ばれる1種以上と、ゴム成分と芳香族ビニル系単量体単位とを有する共重合体を含む樹脂で形成され、内部に流路を有する管状の本体部と、前記本体部と一体に形成された1つ以上の受口部と、を有し、前記本体部が発泡樹脂層と、前記発泡樹脂層を覆う非発泡樹脂層とを有する管継手であって、
前記発泡樹脂層に含まれる樹脂と、前記非発泡樹脂層に含まれる樹脂とが同じである、管継手。」

〔相違点1c〕
本願発明1においては、
「熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法により求められる前記発泡樹脂層の前記ゴム成分の含有量が、前記発泡樹脂層に含まれる樹脂の総質量に対して20質量%以上45質量%以下、かつ、前記芳香族ビニル系単量体単位の含有量が、前記発泡樹脂層に含まれる樹脂の総質量に対して15質量%以上35質量%以下であり、
熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法により求められる前記非発泡樹脂層の前記ゴム成分の含有量が、前記非発泡樹脂層に含まれる樹脂の総質量に対して20質量%以上45質量%以下、かつ、前記芳香族ビニル系単量体単位の含有量が、前記非発泡樹脂層に含まれる樹脂の総質量に対して15質量%以上35質量%以下であ」るのに対して、
引用発明2においては、かかる事項を備えていない点。

〔相違点1d〕
本願発明1においては、
「前記受口部の基端から開口端までの長さLと、前記開口端における前記受口部の厚さdとの比L/dが、4.2以上8.0以下であ」るのに対して、
引用発明2においては、かかる事項を備えていない点。

上記相違点1cについて検討する。
上記相違点1cに係る本願発明1の発明特定事項は、従来周知の技術ではなく、当業者が適宜なし得た設計的事項であるといえる根拠もない。

上記相違点1dについて検討する。
上記相違点1dに係る本願発明1の発明特定事項は、従来周知の技術ではなく、当業者が適宜なし得た設計的事項であるといえる根拠もない。

したがって、本願発明1は、引用発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2 本願発明2について
2−1 引用発明1との対比及び判断
本願発明2と引用発明1とを、上記1(1)の本願発明1と引用発明1との対比を踏まえて対比すると、両者は、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。

〔一致点〕
「シアン化ビニル系単量体単位及びアクリル系単量体単位から選ばれる1種以上と、ゴム成分と芳香族ビニル系単量体単位とを有する共重合体を含む樹脂で形成され、内部に流路を有する管状の本体部と、前記本体部と一体に形成された1つ以上の受口部と、を有し、前記本体部が発泡樹脂層と、前記発泡樹脂層を覆う非発泡樹脂層とを有する管継手であって、
前記発泡樹脂層に含まれる樹脂と、前記非発泡樹脂層に含まれる樹脂とが同じである、管継手。」

〔相違点2a〕
本願発明2においては、
「熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法により求められる前記発泡樹脂層の前記ゴム成分の含有量が、前記発泡樹脂層に含まれる樹脂の総質量に対して15質量%以上45質量%以下であり、
熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法により求められる前記非発泡樹脂層の前記ゴム成分の含有量が、前記非発泡樹脂層に含まれる樹脂の総質量に対して15質量%以上45質量%以下であ」るのに対して、
引用発明1においては、かかる事項を備えていない点。

〔相違点2b〕
本願発明2においては、
「前記受口部の基端から開口端までの長さLと、前記開口端における前記受口部の厚さdとの比L/dが、4.2以上6.0以下であ」るのに対して、
引用発明1においては、かかる事項を備えていない点。

事案に鑑み、上記相違点2bについて検討する。
上記相違点2bに係る本願発明2の発明特定事項は、従来周知の技術ではなく、当業者が適宜なし得た設計的事項であるといえる根拠もない。

したがって、上記相違点2aについて検討するまでもなく、本願発明2は、引用発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2−2 引用発明2との対比及び判断
本願発明2と引用発明2とを、上記1(2)の本願発明1と引用発明2との対比を踏まえて対比すると、両者は、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。

〔一致点〕
「シアン化ビニル系単量体単位及びアクリル系単量体単位から選ばれる1種以上と、ゴム成分と芳香族ビニル系単量体単位とを有する共重合体を含む樹脂で形成され、内部に流路を有する管状の本体部と、前記本体部と一体に形成された1つ以上の受口部と、を有し、前記本体部が発泡樹脂層と、前記発泡樹脂層を覆う非発泡樹脂層とを有する管継手であって、
前記発泡樹脂層に含まれる樹脂と、前記非発泡樹脂層に含まれる樹脂とが同じである、管継手。」

〔相違点2c〕
本願発明2においては、
「熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法により求められる前記発泡樹脂層の前記ゴム成分の含有量が、前記発泡樹脂層に含まれる樹脂の総質量に対して15質量%以上45質量%以下であり、
熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法により求められる前記非発泡樹脂層の前記ゴム成分の含有量が、前記非発泡樹脂層に含まれる樹脂の総質量に対して15質量%以上45質量%以下であ」るのに対して、
引用発明2においては、かかる事項を備えていない点。

〔相違点2d〕
本願発明2においては、
「前記受口部の基端から開口端までの長さLと、前記開口端における前記受口部の厚さdとの比L/dが、4.2以上6.0以下であ」るのに対して、
引用発明2においては、かかる事項を備えていない点。

事案に鑑み、上記相違点2dについて検討する。
上記相違点2dに係る本願発明2の発明特定事項は、従来周知の技術ではなく、当業者が適宜なし得た設計的事項であるといえる根拠もない。

したがって、上記相違点2cについて検討するまでもなく、本願発明2は、引用発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3 本願発明3ないし8について
本願発明3ないし8は、本願発明1又は2の発明特定事項を全て備えるから、本願発明1又は2と同様の理由により、引用発明1又は2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2024-01-22 
出願番号 P2021-509337
審決分類 P 1 8・ 121- WY (F16L)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 間中 耕治
特許庁審判官 鈴木 充
槙原 進
発明の名称 管継手、配管構造及び管継手の製造方法  
代理人 川越 雄一郎  
代理人 山口 洋  
代理人 西澤 和純  
代理人 大槻 真紀子  

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