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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C09K
審判 全部申し立て 2項進歩性  C09K
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C09K
管理番号 1406671
総通号数 26 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2024-02-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-07-26 
確定日 2023-11-09 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第7012197号発明「熱伝導性液状組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第7012197号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜14について訂正することを認める。 特許第7012197号の請求項1、3、4、6、8〜14に係る特許を維持する。 特許第7012197号の請求項2、5、7に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第7012197号(以下「本件特許」という。)の請求項1〜14に係る特許についての出願は、令和3年7月1日(優先権主張 令和2年12月15日(以下「優先日」という。))を国際出願日とする出願であって、令和4年1月19日にその特許権の設定登録(請求項の数14)がされ、同年同月27日に特許掲載公報が発行されたものであって、その特許異議の申立ての経緯は次のとおりである。

令和4年 7月26日 特許異議申立書(特許異議申立人 合同会社
SAS(以下「申立人」という。)による全
請求項に対する特許異議の申立て)
同年10月13日付け 取消理由通知書
同年11月15日 訂正請求書及び意見書(特許権者)
同年12月26日 意見書(申立人)
令和5年 2月 9日付け 取消理由通知書(決定の予告)
同年 3月17日 訂正請求書及び意見書(特許権者)
同年 5月 2日 令和5年3月17日の訂正請求書を補正対象
とする手続補正書(特許権者)
同年 6月15日 意見書(申立人)

なお、令和4年11月15日の訂正請求書に基づく訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和5年3月17日の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」ともいう。)の内容は、次の(1)〜(13)のとおりである。下線は、訂正箇所を示す。

(1)訂正事項1
【請求項1】の「 マトリックス樹脂(A)と熱伝導性無機粒子(B)を含む熱伝導性液状組成物であって、
前記熱伝導性液状組成物を100質量%としたとき、マトリックス樹脂(A)は2質量%以上8質量%以下、熱伝導性無機粒子(B)は92質量%以上98質量%以下であり、
前記熱伝導性無機粒子(B)は、100μm以上500μm以下の熱伝導性無機粒子(B1)と、0.01μm以上100μm未満の熱伝導性無機粒子(B2)を含み、前記熱伝導性無機粒子(B)を100体積%としたとき、体積基準の積算分布曲線において、
前記熱伝導性無機粒子(B1)の割合が25体積%以上50体積%以下、
前記熱伝導性無機粒子(B2)の割合が50体積%以上75体積%以下であることを特徴とする熱伝導性液状組成物。」を、
「 マトリックス樹脂(A)と熱伝導性無機粒子(B)を含む熱伝導性液状組成物であって、
前記熱伝導性液状組成物を100質量%としたとき、マトリックス樹脂(A)は2質量%以上8質量%以下、熱伝導性無機粒子(B)は92質量%以上98質量%以下であり、
熱伝導性無機粒子(B)は、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化亜鉛、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素なる群から選ばれる少なくとも一つの無機粉末であり、
前記熱伝導性無機粒子(B)は、粒子径100μm以上500μm以下の熱伝導性無機粒子(B1)と、粒子径0.01μm以上100μm未満の熱伝導性無機粒子(B2)を含み、前記熱伝導性無機粒子(B)を100体積%としたとき、体積基準の積算分布曲線において、
前記熱伝導性無機粒子(B1)の割合が25体積%以上50体積%以下、
前記熱伝導性無機粒子(B2)の割合が50体積%以上75体積%以下であり、
前記熱伝導性無機粒子(B)を体積基準の頻度分布曲線にした際、粒子径100μm以上200μm以下、粒子径0.8μm以上10μm未満、粒子径0.01μm以上0.8μm未満の範囲にそれぞれ一つ以上のピークを持ち、
前記熱伝導性無機粒子(B1)はメディアン径(D50)が100μm以上の球形アルミナ(酸化アルミニウム)であり、
前記熱伝導性液状組成物は、Thermo Fisher Scientific社製HAAKE MARS III型のレオメーターを使用し、プレートはP20 Ti L、測定ギャップ1.0mm、回転速度は1rpm〜0.01rpmの範囲、23℃における粘度が3000Pa・s以上100000Pa・s以下であり、
前記熱伝導性液状組成物をシリンジに充填し、23℃において吐出径が直径2.5mm、吐出圧力0.5MPaで100秒吐出した際に、シリンジの破壊なく0.1g以上150g以下吐出可能であることを特徴とする熱伝導性液状組成物。」と訂正する。
請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項3、4、6、8〜14の記載も同様に訂正する。

(2)訂正事項2
【請求項2】を削除する。

(3)訂正事項3
【請求項3】の「請求項1又は2に」を「請求項1に」に訂正する。

(4)訂正事項4
【請求項4】の「請求項1〜3のいずれか1項に」を「請求項1又は3に」に訂正する。

(5)訂正事項5
【請求項5】を削除する。

(6)訂正事項6
【請求項6】の「請求項1〜5のいずれか1項に」を「請求項1、3〜4のいずれか1項に」に訂正する。

(7)訂正事項7
【請求項7】を削除する。

(8)訂正事項8
【請求項8】の「請求項1〜7のいずれか1項に」を「請求項1、3〜4及び6のいずれか1項に」に訂正する。

(9)訂正事項9
【請求項9】の「請求項1〜8のいずれか1項に」を「請求項1、3〜4、6及び8のいずれか1項に」に訂正する。

(10)訂正事項10
【請求項10】の「請求項1〜9のいずれか1項に」を「請求項1、3〜4、6及び8〜9のいずれか1項に」に訂正する。

(11)訂正事項11
【請求項12】の「請求項1〜11のいずれか1項に」を「請求項1、3〜4、6及び8〜11のいずれか1項に」に訂正する。

(12)訂正事項12
【請求項13】の「請求項1〜12のいずれか1項に」を「請求項1、3〜4、6及び8〜12のいずれか1項に」に訂正する。

(13)訂正事項13
【請求項14】の「請求項1〜13のいずれか1項に」を「請求項1、3〜4、6及び8〜13のいずれか1項に」に訂正する。

(14)訂正事項14
明細書の段落【0006】の「本発明は、マトリックス樹脂(A)と熱伝導性無機粒子(B)を含む熱伝導性液状組成物であって、
前記熱伝導性液状組成物を100質量%としたとき、マトリックス樹脂(A)は2質量%以上8質量%以下、熱伝導性無機粒子(B)は92質量%以上98質量%以下であり、
前記熱伝導性無機粒子(B)は、100μm以上500μm以下の熱伝導性無機粒子(B1)と、0.01μm以上100μm未満の熱伝導性無機粒子(B2)を含み、前記熱伝導性無機粒子(B)を100体積%としたとき、体積基準の積算分布曲線において、
前記熱伝導性無機粒子(B1)の割合が25体積%以上50体積%以下、
前記熱伝導性無機粒子(B2)の割合が50体積%以上75体積%以下であることを特徴とする熱伝導性液状組成物である。」を、
「本発明は、マトリックス樹脂(A)と熱伝導性無機粒子(B)を含む熱伝導性液状組成物であって、
前記熱伝導性液状組成物を100質量%としたとき、マトリックス樹脂(A)は2質量%以上8質量%以下、熱伝導性無機粒子(B)は92質量%以上98質量%以下であり、
熱伝導性無機粒子(B)は、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化亜鉛、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素なる群から選ばれる少なくとも一つの無機粉末であり、
前記熱伝導性無機粒子(B)は、粒子径100μm以上500μm以下の熱伝導性無機粒子(B1)と、粒子径0.01μm以上100μm未満の熱伝導性無機粒子(B2)を含み、前記熱伝導性無機粒子(B)を100体積%としたとき、体積基準の積算分布曲線において、
前記熱伝導性無機粒子(B1)の割合が25体積%以上50体積%以下、
前記熱伝導性無機粒子(B2)の割合が50体積%以上75体積%以下であり、
前記熱伝導性無機粒子(B)を体積基準の頻度分布曲線にした際、粒子径100μm以上200μm以下、粒子径0.8μm以上10μm未満、粒子径0.01μm以上0.8μm未満の範囲にそれぞれ一つ以上のピークを持ち、
前記熱伝導性無機粒子(B1)はメディアン径(D50)が100μm以上の球形アルミナ(酸化アルミニウム)であり、
前記熱伝導性液状組成物は、Thermo Fisher Scientific社製HAAKE MARS III型のレオメーターを使用し、プレートはP20 Ti L、測定ギャップ1.0mm、回転速度は1rpm〜0.01rpmの範囲、23℃における粘度が3000Pa・s以上100000Pa・s以下であり、
前記熱伝導性液状組成物をシリンジに充填し、23℃において吐出径が直径2.5mm、吐出圧力0.5MPaで100秒吐出した際に、シリンジの破壊なく0.1g以上150g以下吐出可能であることを特徴とする熱伝導性液状組成物である。」と訂正するとともに、
同【0028】の「(実施例1〜8)
(1)原料成分
・マトリックス樹脂(A):市販のジメチルシリコーンオイル(粘度:300mPas品)と、可塑剤としてデシルトリメトキシシランを使用した。・・・」を、
「(実施例1〜8、但し、実施例7〜8は参考例)
(1)原料成分
・マトリックス樹脂(A):市販のジメチルシリコーンオイル(粘度:300mPas品)と、可塑剤としてデシルトリメトキシシランを使用した。・・・」と訂正する。

2 一群の請求項
本件訂正前の請求項1〜14において、請求項2〜14は請求項1の記載を直接又は間接的に引用するものであるから、本件訂正前の請求項1〜14は一群の請求項である。そうすると、本件訂正は一群の請求項ごとにされた訂正である。

3 訂正の適否の判断
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
(ア)訂正事項1のうち、「熱伝導性無機粒子(B)」について、「熱伝導性無機粒子(B)は、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化亜鉛、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素なる群から選ばれる少なくとも一つの無機粉末であり」とする訂正事項は、「熱伝導性無機粒子(B)」の組成を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)訂正事項1のうち、「前記熱伝導性無機粒子(B)は、100μm以上500μm以下の熱伝導性無機粒子(B1)と、0.01μm以上100μm未満の熱伝導性無機粒子(B2)を含み」を「前記熱伝導性無機粒子(B)は、粒子径100μm以上500μm以下の熱伝導性無機粒子(B1)と、粒子径0.01μm以上100μm未満の熱伝導性無機粒子(B2)を含み」とする訂正事項は、「熱伝導性無機粒子(B)」の「粒子径」が「100μm以上500μm以下」又は「0.01μm以上100μm未満」であることを明らかにするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(ウ)訂正事項1のうち、「熱伝導性無機粒子(B)」について、「前記熱伝導性無機粒子(B)を体積基準の頻度分布曲線にした際、粒子径100μm以上200μm以下、粒子径0.8μm以上10μm未満、粒子径0.01μm以上0.8μm未満の範囲にそれぞれ一つ以上のピークを持ち」とする訂正事項は、「熱伝導性無機粒子(B)」の粒子径の分布を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(エ)訂正事項1のうち、「熱伝導性無機粒子(B1)」について、「熱伝導性無機粒子(B1)はメディアン径(D50)が100μm以上の球形アルミナ(酸化アルミニウム)であり」とする訂正事項は、「熱伝導性無機粒子(B1)」の組成及びメディアン径を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(オ)訂正事項1のうち、「熱伝導性液状組成物」について、「前記熱伝導性液状組成物は、Thermo Fisher Scientific社製HAAKE MARS III型のレオメーターを使用し、プレートはP20 Ti L、測定ギャップ1.0mm、回転速度は1rpm〜0.01rpmの範囲、23℃における粘度が3000Pa・s以上100000Pa・s以下であり」とする訂正事項は、「熱伝導性液状組成物」の測定方法及び粘度を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(カ)訂正事項1のうち、「熱伝導性液状組成物」について、「前記熱伝導性液状組成物をシリンジに充填し、23℃において吐出径が直径2.5mm、吐出圧力0.5MPaで100秒吐出した際に、シリンジの破壊なく0.1g以上150g以下吐出可能である」とする訂正事項は、「熱伝導性液状組成物」の吐出特性を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(キ)そうすると、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び同法同条同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえる。

イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
(ア)訂正事項1の「熱伝導性無機粒子(B)は、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化亜鉛、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素なる群から選ばれる少なくとも一つの無機粉末であり」とする訂正事項は、本件特許の明細書(以下「本件明細書」ともいう。)の【0023】の「熱伝導性無機粒子(B)としては、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化亜鉛、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素等の無機粉末が好ましい。」との記載から導き出される構成である。

(イ)訂正事項1の「前記熱伝導性無機粒子(B)は、粒子径100μm以上500μm以下の熱伝導性無機粒子(B1)と、粒子径0.01μm以上100μm未満の熱伝導性無機粒子(B2)を含み」とする訂正事項は、本件明細書の【0027】の「<粒子径分布特性> 市販されている熱伝導性無機粒子の体積基準の積算分布曲線、頻度分布曲線、メディアン径(D50)及びピーク粒径は、熱伝導性無機粒子を水又はエタノールへ投入し、日本精機製作所製の超音波ホモジナイザーUS−600Eの出力100%、60秒の条件にて熱伝導性無機粒子を分散させ、マイクロトラック・ベル社製のレーザー解析/散乱式粒子径分布測定装置MT3300EXIIにより測定した。・・・」との記載から導き出される構成である。

(ウ)訂正事項1の「前記熱伝導性無機粒子(B)を体積基準の頻度分布曲線にした際、粒子径100μm以上200μm以下、粒子径0.8μm以上10μm未満、粒子径0.01μm以上0.8μm未満の範囲にそれぞれ一つ以上のピークを持ち」とする訂正事項は、本件訂正前の【請求項5】の「前記熱伝導性無機粒子(B)を体積基準の頻度分布曲線にした際、100μm以上200μm以下、0.8μm以上10μm未満、0.01μm以上0.8μm未満の範囲にそれぞれ一つ以上のピークを持つ」との記載から導き出される構成である。

(エ)訂正事項1の「熱伝導性無機粒子(B1)はメディアン径(D50)が100μm以上の球形アルミナ(酸化アルミニウム)であり」とする訂正事項は、本件明細書の【0029】の【表1】の「実施例1」〜「実施例6」において、「D50:115μm球状アルミナ(g)」が用いられていることを根拠とする訂正事項である。

(オ)訂正事項1の「前記熱伝導性液状組成物は、Thermo Fisher Scientific社製HAAKE MARS III型のレオメーターを使用し、プレートはP20 Ti L、測定ギャップ1.0mm、回転速度は1rpm〜0.01rpmの範囲、23℃における粘度が3000Pa・s以上100000Pa・s以下であり」とする訂正事項は、本件明細書の【0027】の「<熱伝導性液状組成物の粘度> Thermo Fisher Scientific社製HAAKE MARS III型のレオメーターを使用し、プレートはP20 Ti L、測定ギャップ1.0mm、回転速度は1rpm〜0.01rpmの範囲で設定し、23℃における粘度を測定した。高粘度な熱伝導性液状組成物は測定中に試料が滑りやすいため、回転速度を低速に設定する。」との記載及び同【0017】の「熱伝導性液状組成物は、23℃においてレオメーターを用いた粘度が3000Pa・s以上であることが好ましい。この粘度であれば流動性があり、シリンジの細い吐出径が吐出できる。前記粘度の上限は100000Pa・s以下が好ましい。」との記載から導き出される構成である。

(カ)訂正事項1の「前記熱伝導性液状組成物をシリンジに充填し、23℃において吐出径が直径2.5mm、吐出圧力0.5MPaで100秒吐出した際に、シリンジの破壊なく0.1g以上150g以下吐出可能である」とする訂正事項は、本件明細書の【0012】の「本発明の熱伝導性液状組成物はシリンジに充填し、23℃において吐出径が直径2.5mm、吐出圧力0.5MPaで100秒吐出した際に、シリンジの破壊なく0.1g以上吐出可能であることが好ましい。上限は150g以下であるのが好ましい。」との記載から導き出される構成である。

(キ)してみると、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものといえる。

ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
(ア)訂正事項1は、前記ア及びイで説明したとおり、請求項1の「熱伝導性液状組成物」について、減縮ないしは明瞭でない記載の釈明を目的とした訂正をするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
そうすると、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものといえる。

(2)訂正事項2、5、7について
訂正事項2、5、7は、請求項2、5、7を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項2、5、7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的としたものであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合したものである。

(3)訂正事項3、4、6、8〜13について
訂正事項3、4、6、8〜13は、請求項3、4、6、8〜10、12〜14について、それらの請求項が引用する請求項のうち、前記訂正事項2、5、7に係る訂正により削除された請求項を除いて、記載の整合をとるための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しない。
したがって、訂正事項3、4、6、8〜13は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的としたものであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合したものである。

(3)訂正事項14について
訂正事項14は、本件明細書の【0006】の記載を、前記訂正事項1で訂正された請求項1の記載に合わせるとともに、当該訂正事項1により実施例でなくなった同【0028】の「実施例7」及び「実施例8」について、「実施例7〜8は参考例」と訂正するものであるから、いずれも、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しない。
したがって、訂正事項14は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的としたものであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合したものである。

4 特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであること
本件訂正においては、訂正前の全ての請求項である請求項1〜14に対して特許異議の申立てがされているので、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定される独立特許要件は課されない。

5 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
したがって、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜14〕について訂正することを認める。

第3 本件訂正発明等
1 本件訂正発明
本件訂正は前記第2のとおり認められたので、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1〜14に係る発明(以下、項番に対応して「本件訂正発明1」等といい、まとめて「本件訂正発明」ともいう。)は次のとおりのものである。

「【請求項1】
マトリックス樹脂(A)と熱伝導性無機粒子(B)を含む熱伝導性液状組成物であって、
前記熱伝導性液状組成物を100質量%としたとき、マトリックス樹脂(A)は2質量%以上8質量%以下、熱伝導性無機粒子(B)は92質量%以上98質量%以下であり、
熱伝導性無機粒子(B)は、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化亜鉛、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素なる群から選ばれる少なくとも一つの無機粉末であり、
前記熱伝導性無機粒子(B)は、粒子径100μm以上500μm以下の熱伝導性無機粒子(B1)と、粒子径0.01μm以上100μm未満の熱伝導性無機粒子(B2)を含み、前記熱伝導性無機粒子(B)を100体積%としたとき、体積基準の積算分布曲線において、
前記熱伝導性無機粒子(B1)の割合が25体積%以上50体積%以下、
前記熱伝導性無機粒子(B2)の割合が50体積%以上75体積%以下であり、
前記熱伝導性無機粒子(B)を体積基準の頻度分布曲線にした際、粒子径100μm以上200μm以下、粒子径0.8μm以上10μm未満、粒子径0.01μm以上0.8μm未満の範囲にそれぞれ一つ以上のピークを持ち、
前記熱伝導性無機粒子(B1)はメディアン径(D50)が100μm以上の球形アルミナ(酸化アルミニウム)であり、
前記熱伝導性液状組成物は、Thermo Fisher Scientific社製HAAKE MARS III型のレオメーターを使用し、プレートはP20 Ti L、測定ギャップ1.0mm、回転速度は1rpm〜0.01rpmの範囲、23℃における粘度が3000Pa・s以上100000Pa・s以下であり、
前記熱伝導性液状組成物をシリンジに充填し、23℃において吐出径が直径2.5mm、吐出圧力0.5MPaで100秒吐出した際に、シリンジの破壊なく0.1g以上150g以下吐出可能であることを特徴とする熱伝導性液状組成物。
【請求項2】(削除)
【請求項3】
前記熱伝導性液状組成物の熱伝導率は、5.0〜16.0W/mKである請求項1に記載の熱伝導性液状組成物。
【請求項4】
前記熱伝導性無機粒子(B2)は、
0.8μm以上10μm未満の熱伝導性無機粒子(B2−1)と、
0.01μm以上0.8μm未満の熱伝導性無機粒子(B2−2)を含み、
前記熱伝導性無機粒子(B2−1)と前記熱伝導性無機粒子(B2−2)とは、
[(B2−1)/{(B2−1)+(B2−2)}]×100
で求められる割合が40体積%以上80体積%未満である請求項1又は3項に記載の熱伝導性液状組成物。
【請求項5】(削除)
【請求項6】
前記熱伝導性無機粒子(B2)は、さらに10μm以上100μm未満の熱伝導性無機粒子(B2−3)を含み、前記熱伝導性無機粒子(B)を100体積%としたとき、体積基準の積算分布曲線において、前記(B2−3)の割合が10体積%以上35体積%未満である請求項1、3〜4のいずれか1項に記載の熱伝導性液状組成物。
【請求項7】(削除)
【請求項8】
前記マトリックス樹脂は、オルガノポリシロキサン、炭化水素系合成油、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、及びフッ素樹脂から選ばれる少なくとも一つである請求項1、3〜4及び6のいずれか1項に記載の熱伝導性液状組成物。
【請求項9】
前記マトリックス樹脂は、オルガノポリシロキサンであり、粘度が100〜10000mPa・sである請求項1、3〜4、6及び8のいずれか1項に記載の熱伝導性液状組成物。
【請求項10】
前記熱伝導性液状組成物は、前記マトリックス樹脂(A)100質量部に対してさらに可塑剤が0質量部を超え200質量部添加されている請求項1、3〜4、6及び8〜9のいずれか1項に記載の熱伝導性液状組成物。
【請求項11】
前記可塑剤は、シリコーンオイル、シランカップリング剤及び末端トリアルコキシシリコーンから選ばれる少なくとも一つである請求項10に記載の熱伝導性液状組成物。
【請求項12】
前記熱伝導性液状組成物は、ゲル、パテ又はグリースである請求項1、3〜4、6及び8〜11のいずれか1項に記載の熱伝導性液状組成物。
【請求項13】
前記熱伝導性液状組成物は容器に充填されている請求項1、3〜4、6及び8〜12のいずれか1項に記載の熱伝導性液状組成物。
【請求項14】
前記熱伝導性液状組成物は、硬化触媒を含む請求項1、3〜4、6及び8〜13のいずれか1項に記載の熱伝導性液状組成物。」

2 本件明細書の記載
本件明細書には、次の記載がある。
「【0001】
本発明は、電気・電子部品等の発熱部と放熱体の間に介在させるのに好適な熱伝導性液状組成物に関する。」
「【0005】
本発明は前記従来の問題を解決するため、流動性を改善し、細い吐出径であっても吐出性が良好であり、かつ熱伝導率も高い熱伝導性液状組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、マトリックス樹脂(A)と熱伝導性無機粒子(B)を含む熱伝導性液状組成物であって、
前記熱伝導性液状組成物を100質量%としたとき、マトリックス樹脂(A)は2質量%以上8質量%以下、熱伝導性無機粒子(B)は92質量%以上98質量%以下であり、
前記熱伝導性無機粒子(B)は、100μm以上500μm以下の熱伝導性無機粒子(B1)と、0.01μm以上100μm未満の熱伝導性無機粒子(B2)を含み、前記熱伝導性無機粒子(B)を100体積%としたとき、体積基準の積算分布曲線において、
前記熱伝導性無機粒子(B1)の割合が25体積%以上50体積%以下、
前記熱伝導性無機粒子(B2)の割合が50体積%以上75体積%以下であることを特徴とする熱伝導性液状組成物である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、前記構成とすることにより、流動性を改善し、細い吐出径であっても吐出性が良好であり、かつ熱伝導率も高い熱伝導性液状組成物を提供できる。具体的には、前記熱伝導性液状組成物をシリンジに充填し、23℃において吐出径が直径2.5mm、吐出圧力0.5MPaで100秒吐出した際に、シリンジの破壊なく0.1g以上吐出可能である。」
「【0009】
本発明は、マトリックス樹脂(A)と熱伝導性無機粒子(B)を含む熱伝導性液状組成物であり、前記熱伝導性液状組成物を100質量%としたとき、マトリックス樹脂(A)は2質量%以上8質量%以下、熱伝導性無機粒子(B)は92質量%以上98質量%以下であり、好ましくはマトリックス樹脂(A)3質量%以上7質量%以下、熱伝導性無機粒子(B)93質量%以上97質量%以下である。熱伝導性無機粒子(B)を高充填化することにより、熱伝導性を高くできる。
【0010】
本発明においては、熱伝導性無機粒子(B)は、100μm以上500μm以下の熱伝導性無機粒子(B1)と、0.01μm以上100μm未満の熱伝導性無機粒子(B2)を含む。熱伝導性無機粒子(B1)は粗粒であり、粗粒を比較的多く充填し、粗粒間を熱伝導性無機粒子(B2)で埋めることにより、熱伝導性液状組成物の流動性を上げ、かつ熱伝導性を高くできる。これは、前記熱伝導性無機粒子の高充填化と相俟った相乗効果である。」
「【0012】
本発明の熱伝導性液状組成物はシリンジに充填し、23℃において吐出径が直径2.5mm、吐出圧力0.5MPaで100秒吐出した際に、シリンジの破壊なく0.1g以上吐出可能であることが好ましい。上限は150g以下であるのが好ましい。吐出径の直径を2.5mmとしたのは、細い吐出径においても流動性があることを示すために特定したものであり、吐出径の直径を限定したものではない。後記する実施例に示すように、吐出径が直径0.97mm、1.43mm,2.27mmでも吐出可能なものがある。吐出径の直径は内径であり、このような細い吐出径で吐出できることは、精密塗布できることを意味し、実用上きわめて有用である。」
「【0028】
(実施例1〜8)
(1)原料成分
・マトリックス樹脂(A):市販のジメチルシリコーンオイル(粘度:300mPas品)と、可塑剤としてデシルトリメトキシシランを使用した。
・熱伝導性無機粒子(B):表1に示す熱伝導性無機粒子を表1に示す割合で使用した。
市販の熱伝導性無機粒子はメディアン径(D50)を表示しているものも多いので、メディアン径(D50)で割合を示す。
(2)混合
前記原料成分をプラネタリーミキサーに入れ、23℃で10分間混合した。プラネタリーミキサーでは均一に分散出来ない高粘度である熱伝導性液状組成物は、さらに2本ロールで混練りを行った。得られた熱伝導性液状組成物の各種物性を表1にまとめて示す。また、図2〜9に実施例1〜8の試料の体積基準の積算分布曲線及び頻度分布曲線グラフを示す。
【0029】
【表1】

(備考)*1:フィラーを100vol.%としたときの割合。
(備考)*2:前記式(1):[(B2-1)/{(B2-1)+(B2-2)}]×100によって算出する。
(備考)*3:吐出時間100秒では、いずれもシリンジ破壊はなかった。
【0030】(比較例1〜5)
熱伝導性無機粒子(B)を表2に示す割合とした以外は実施例1同様に実施した。図10〜14に比較例1〜5の試料の体積基準の積算分布曲線及び頻度分布曲線グラフを示す。
【0031】
【表2】

(備考)*1:フィラーを100vol.%としたときの割合。
(備考)*2:前記式(1):[(B2-1)/{(B2-1)+(B2-2)}]×100によって算出する。
(備考)*3:吐出時間100秒では、いずれもシリンジ破壊はなかった。
【0032】以上の結果から、実施例1〜8の熱伝導性液状組成物はシリンジに充填し、23℃において吐出径が直径2.5mm、吐出圧力0.5MPaで100秒吐出した際に、シリンジの破壊なく0.1g以上吐出可能であった。吐出径が直径0.97mm、1.43mm,2.27mmでも吐出可能なものがあり、このような細い吐出径で吐出できることは、精密塗布できることを意味し、実用上きわめて有用であることが確認できた。」

第4 特許異議申立書に記載した申立ての理由の概要
1 申立理由1(新規性
本件発明1〜14は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった後記第6の甲第1号証又は甲第3号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

2 申立理由2(進歩性
本件発明1〜14は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった後記第6の甲第1号証又は甲第3号証に記載された発明に基いて、本件特許の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

3 申立理由3(サポート要件)
本件訂正発明1〜5、7〜14は、その記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、特許法第36条第6項の規定に違反してされたものであり、それらの発明に係る特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。

第5 取消理由通知書に記載した取消理由の概要
1 令和4年10月13日付けの取消理由通知書に記載した取消理由の概要
(1)取消理由1−1(新規性
本件訂正発明1〜14は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった後記第6の甲1又は甲3に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

(2)取消理由1−2(進歩性
本件訂正発明1〜14は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった後記第6の甲1又は甲3に記載された発明に基いて、本件特許の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

(3)取消理由1−3(サポート要件)
本件訂正発明1〜14は、その記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、特許法第36条第6項の規定に違反してされたものであり、それらの発明に係る特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。

2 令和5年2月9日付けの取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由の概要
(1)取消理由2−1(明確性要件)
本件訂正発明1〜14は、その記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、特許法第36条第6項の規定に違反してされたものであり、それらの発明に係る特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。

(2)取消理由2−2(新規性
本件訂正発明1〜4、6、8〜14は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった後記第6の甲3に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

(3)取消理由2−3(進歩性
本件訂正発明1〜4、6、8〜14は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった後記第6の甲3に記載された発明に基いて、本件特許の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

第6 申立人が提出した証拠方法
1 甲号証
申立人は、特許異議の申立ての証拠方法として、甲第1号証〜甲第3号証(以下「甲1」〜「甲3」ともいう。)を提出した。なお、甲2は甲1の日本語訳として提出されたものである。

甲1:国際公開第2020/133374号
甲2:特表2022−521123号公報(甲1に対応する日本出願。)
甲3:国際公開第2018/016566号

2 甲号証の記載
(1)甲1には、次の記載がある。訳として、甲2の対応箇所の記載を付した。
































(訳)
技術分野
[001] 高熱伝導性シリコーン組成物、それを調製および使用するための方法、ならびにそれを含有するデバイスを開示する。シリコーン組成物は、熱界面材料として、および電子デバイスの放熱材料の一部として使用することができる。
・・・
[004] 6W/m・Kを超える熱伝導率を有するシリコーン組成物を提供し、その熱伝導性組成物は、オルガノポリシロキサンおよびMgOフィラーを含む。フィラーは、MgOのみを含むことができるか、またはMgOと、AlN、酸化アルミニウム(Al2O3)もしくは窒化ホウ素(BN)などの他の材料との組み合わせを含むことができる。本発明はまた、熱源と放熱器との間の熱経路に沿って本発明の熱伝導性組成物を挿入することを含む方法でもある。そのような熱源は、(光)電子部品、中央演算処理装置、電流変換器、電池、例えば、リチウムイオン電池、および主に電気によって電力を供給されるかまたは電気を伴う作動時に熱を生成するあらゆる他の部品およびユニットを含み得る。本発明の別の態様は、a)熱源、b)本発明の熱伝導性組成物、およびc)放熱器を含むデバイスであり、その組成物は、熱源の表面から放熱器の表面まで延びている熱経路に沿って、熱源と放熱器との間に配置される。熱源は、電子部品を含み得る。デバイスは、電気通信および/またはコンピューティング装置、例えば、サーバー、パーソナルコンピュータ、タブレットおよび携帯用デバイス、電子モジュール、特にパワーエレクトロニクスモジュール、自動車の電子制御ユニット、および電気車両のバッテリーパックであることができる。
・・・
[0030] 群(D−1)は、最大1μmの数平均サイズを有する小粒子熱伝導性フィラーを含む。数平均サイズは0.1μmほどであり得る。群(D−1)の粒子は、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、および窒化アルミニウムからなる群から選択される1つの粒子、または2つ以上の粒子の任意の組み合わせを含み得る。
[0031] 群(D−2)は、1〜20μmの数平均サイズを有する粒子を含む。μm単位の数平均サイズは、2以上、3以上、5以上、7以上であり得、かつ同時に、17以下、15以下、12以下、10以下、7以下、6以下、または1以上の小さいサイズの粒子を含有するときは、5以下、さらには4以下であり得る。中間サイズの粒子は球形または不規則形状であり得る。好ましい材料は窒化アルミニウムである。フィラーは、窒化アルミニウムの表面層を有する金属フィラーであり得る。
[0032] 群(D−3)は、20〜200μmの数平均サイズを有する粒子を含む。μm単位の数平均サイズは、30以上、40以上、50以上、70以上、100以上、120以上、150以上であり得、かつ同時に150以下、100以下、70以下、50以下、またはさらには40以下であり得る。好ましい材料は酸化マグネシウムである。
・・・
[0039] (E)硬化触媒成分(E)はヒドロシリル化反応を促進する触媒である。好適なヒドロシリル化触媒は、当技術分野で良く知られており、市販されている。成分(E)は、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、もしくはイリジウム金属、またはそれらの有機金属化合物、有機金属錯体、もしくは有機配位子、あるいはそれらの組み合わせから選択される白金族金属を含み得る。
[0040] 成分(E)は、成分(A)および(B)の総重量に対して、重量単位で、白金族金属の含有量が、一般に0.01ppm以上、0.1ppm以上、1ppm以上、2ppm以上、またはさらには5ppm以上であり、同時に、一般に1,000ppm以下、500ppm以下、200ppm以下、またはさらには150ppm以下であるような量で、使用される。
・・・
実施例
[0053] これらの実施例は、本発明を当業者に例示することを意図しており、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を限定することを必ずしも意図していない。熱伝導性シリコーン組成物のサンプルは、以下の配合成分を使用して調製する。使用される成分を、以下の表1に示す。成分(A)は(a−1)によって例示される。成分(B)は(b−1)、(b−2)、および(b−3)によって例示される。成分(C)は(c−1)によって例示される。成分(D−1)は、(d1−1)および(d1−2)によって例示される。成分(D−2)は、(d2−1)および(d2−2)によって例示される。成分(D−3)は、(d3−1)および(d3−2)によって例示される。
表1

[0054] d1−1の粒子サイズは、走査型電子顕微鏡によって決定した。他のすべての粒子については、粒子サイズは、Beckman−CoulterカウンターLSを使用したレーザー回折法によって決定した。
[0055] シリコーン組成物の調製−実施例で使用される成分の量を表2に示す。本発明のシリコーン組成物を調製するための成分を、Flack Tek Inc.からのSpeedMixer(商標)DAC 400.1FVZで混合した。熱安定剤(c−1)(銅フタロシアニン:CuPc)、シリコーンマトリックス成分(a−1)、および適切な表面処理剤(b−1、b−2、またはb−3)を計量し、SpeedMixerのカップに入れた。次いで、小さいサイズのフィラー(0.2μm)(d1−1)および中間サイズのフィラー(2μm)(d2−1)を計量し、カップに添加した。この混合物を、SpeedMixerによって混合した(1000rpmで20秒間、次いで1500rpmで20秒間)。混合後、大きいサイズのフィラー(>10μm)(d3−1、d3−2など)を計量し、添加し、次いで、同じ混合条件下でSpeedMixerによって混合した。得られたペーストをカップにこすり落とし、同じ混合条件下で上記のサイクルをさらに2回繰り返した。試験前に、サンプルを室温で一晩置いた。
[0056] 特性評価−熱伝導率(TC)は、Hot Disk transient technology sensor C5501(Hot Disk AB,Goteborg,Sweden)によって、2〜5s/500mWの加熱時間および電力で測定した。各シロキサン組成物を2つのカップに充填し、平面センサーをカップの内側に配置した。器具のポイント50〜150と50〜190との間で選択された温度ドリフト補正および時間補正による、微調整された分析を使用した。
[0057] 押出速度(ER)は、Nordson EFD分配装置(Nordson Corporation,Westlake,Ohio,USA)によって測定した。サンプル材料は、30ccシリンジにパッケージし、0.62MPaの圧力で分配した。1分で分配されたサンプルの重量を、押出速度として使用した。
[0058] 表2に、本発明の実施例(Inv)および比較例(Comp)の熱伝導性シリコーン組成物の配合を体積比で示した。フィラーの総体積はすべてのサンプル間で一定に保った。
[0059] 表2

[0060] すべての実施例は、(D−1)フィラーとして0.2μmの酸化亜鉛(d1−1)および(D−3)フィラーとして129μmのMgO(d3−6)を含有していた。比較例5では、これらはプレミックス(d3−7)として提供した。本発明の実施例1は、(D−2)として2μmの球状Al2O3(d2−1)を含有していた。比較例3は、(D−2)として11μmのAlN(d2−2)を含有し、他のすべての比較例は、(D−2)を含有していなかったが、追加の(D−3)成分を含有していた。比較例はどれもグリースの形態へと配合することができず、それらはすべて粉末状となり、使用可能な一貫性(usable consistency)を有していなかった。実用例1は、優れた熱性能ならびに許容可能な流量を示した。
[0061] 次いで、熱伝導率を上げる試みとして、表3に示すようにMgOの量を増やした。
[0062] 表3

[0063] 比較例6および7では、MgOが総フィラー体積の60体積%を構成しており、組成物のテクスチャーは、グリース形態ではなく粉末状になった。特に、MgOのみを使用した比較例7では、フィラー体積が他よりも少なかったにもかかわらず(75.46%対83%)、混合物は粉末になり、それ以上処理することができなかった。MgOの体積比を下げること(発明の実施例2および4)またはより多くの油を添加することによって(発明の実施例3)、総フィラー体積分率を下げると、組成物が粉末状になりすぎることが防止された。さらに、より大きなフィラーとしてMgOおよびAlNを組み合わせた発明の実施例5、6、および7は、それらの高いTC特性を維持しながら、改善された流量を実証した。
・・・
特許請求の範囲
1.組成物であって、
(A)オルガノポリシロキサン組成物と、
(B)フィラー処理剤と、
(C)熱安定剤と、
(D)熱伝導性フィラーであって、
(D−1)最大1μmの数平均サイズを有する小粒子熱伝導性フィラー、
(D−2)1〜20μmの数平均サイズを有する中間サイズの熱伝導性フィラー、
(D−3)20μmを超える数平均サイズを有する大きいサイズの熱伝導性フィラーであって、前記大きいサイズの熱伝導性フィラーは、酸化マグネシウム粒子を含む、大きいサイズの熱伝導性フィラー、を含む熱伝導性フィラーと、を含む、組成物。」

(2)甲3には次の記載がある。
「[0001] 本発明は、熱伝導性ポリシロキサン組成物に関する。」
「[0007] よって、本発明が解決しようとする課題は、低粘度であるため作業性に優れ、熱伝導性の高い熱伝導性ポリシロキサン組成物、及びそれを使用した放熱材料を提供することである。」
「[0020][(A)成分]
(A)成分は熱伝導性充填剤であり、平均粒子径の異なる2種類以上の熱伝導性充填剤からなり、かつ、(A−1)平均粒子径30μm以上150μm以下の不定形の窒化アルミニウム粒子を(A)成分全体に対し20質量%以上含む。(A)成分は、(A−1)成分を含む平均粒子径の異なる2種以上の熱伝導性充填剤からなるため、(A)成分をポリシロキサン組成物中に高充填させ、これにより高い熱伝導性を得ることができる。」
「[0040][(B)成分]
(B)成分はアルコキシシリル基含有化合物及びジメチルポリシロキサンからなる群より選択される1種以上である。 (B)成分のアルコキシシリル基含有化合物としては、1分子中に少なくとも次の一般式:−SiR113−z(OR12)z (I)
(式中、R11は炭素数1〜6のアルキル基、好ましくはメチル基であり、R12は炭素数1〜6のアルキル基、好ましくはメチル基であり、zは1、2又は3である)で表されるアルコキシシリル基を有する化合物が好ましく、以下の(B−1)〜(B−5)成分の化合物を例示することができる。」
「[0058][(C)成分]
(C)成分の1分子中に1個以上の脂肪族不飽和基を含有するポリオルガノシロキサンとしては、下記平均組成式(II)で表されるものを使用することができる。
R41jR42kSiO[4−(j+k)]/2 (II)
(式中、R41は、脂肪族不飽和基であり、R42は、脂肪族不飽和結合を含まない置換又は非置換の1価炭化水素基である。j,kは、0<j<3、0<k<3、1<j+k<3を満足する正数である。)」
「[0062] (C)成分の分子構造は、直鎖状、分岐状、環状であることが可能であるが、直鎖状、分岐状のものが好ましい。
(C)成分の23℃における粘度は、10〜10,000mPa・sであることが好ましい。より好ましくは20〜5,000mPa・sである。」
「[0065][(D)成分]
(D)成分は、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンであり、(C)成分、及び(B)成分が少なくとも1個の脂肪族不飽和基を有するアルコキシシリル基含有化合物(例えば、一般式(1)のR2中のY、一般式(3)のR22、一般式(4)のR32又は一般式(5)のR35が脂肪族不飽和基である化合物)である場合には(B)成分の架橋剤となる成分である。(D)成分は、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上、好ましくは3個以上有するものである。この水素原子は、分子鎖末端のケイ素原子に結合していても、分子鎖途中のケイ素原子に結合していても、両方に結合していてもよい。また、両末端のケイ素原子にのみ結合した水素原子を有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンを使用することもできる。(D)成分の分子構造は、直鎖状、分岐鎖状、環状あるいは三次元網目状のいずれでもよく、単独でも、二種以上を併用してもよい。」
「[0071][(E)成分]
(E)成分は白金系触媒であり、(C)成分、及び(B)成分が少なくとも1個の脂肪族不飽和基を有するアルコキシシリル基含有化合物である場合には(B)成分と、(D)成分との混合後、硬化を促進させる成分である。(E)成分としては、ヒドロシリル化反応に用いられる周知の触媒を用いることができる。例えば、白金黒、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類やビニルシロキサンとの錯体、白金−ビニルテトラマー錯体、白金ビスアセトアセテート等を挙げることができる。(E)成分の配合量は、所望の硬化速度等に応じて適宜調整することができるものであり、(C)成分、及び(B)成分が少なくとも1個の脂肪族不飽和基を有するアルコキシシリル基含有化合物である場合には(B)成分と、(D)成分との合計量に対し、白金元素に換算して0.1〜1,000ppmの範囲とすることが好ましい。(E)成分は、単独でも、二種以上を併用してもよい。
[0072] また、より長いポットライフを得るために、(E−2)反応抑制剤の添加により、触媒の活性を抑制することができる。公知の白金族金属用の反応抑制剤として、2−メチル−3−ブチン−2−オール、1−エチニル−2−シクロヘキサノール等のアセチレンアルコールが挙げられる。」
「[0076][(G)成分]
熱伝導性ポリシロキサン組成物は、更に必要に応じて、難燃性付与剤、耐熱性向上剤、可塑剤、着色剤、接着性付与材、希釈剤等を本発明の目的を損なわない範囲で含有することができる。」
「[0085] 放熱材料は、発熱量の多いCPUを搭載しているPC/サーバーの他、パワーモジュール、超LSI、光部品(光ピックアップやLED)を搭載した各電子機器、家電機器(DVD/HDDレコーダー(プレイヤー)、FPD等のAV機器等)、PC周辺機器、家庭用ゲーム機、自動車のほか、インバーターやスイッチング電源等の産業用機器等の放熱材料として使用することができる。放熱材料はグリース状(ペースト状)、ゲル状、ゴム状等の形態を有することができる。」
「[0090](B−1)成分
トリアルコキシ基含有ポリオルガノシロキサン:


「[0094](C)成分
両末端ビニル基ジメチルポリシロキサン(粘度:30mPa・s)
[0095](D)成分
ポリオルガノハイドロジェンシロキサン:Hオイル(MHDH8D8MH)
[0096](E)成分
白金系触媒:白金量2%ビニルテトラマー錯体
[0097](E−2)成分
反応抑制剤:1−エチニル−1−シクロヘキサノール」
「[0099]<測定方法>
[平均粒子径]
平均粒子径(メジアン径d50)は、レーザー回折・散乱法により測定した。
[0100][粘度]
JIS K6249に準拠。23℃における組成物の粘度を、回転粘度計ローターNo.7、回転数2rpm、5分値として測定した。
[0101][熱伝導率]
23℃において、Hot disk法に従い、ホットディスク法 熱物性測定装置(京都電子工業社製、TPS 1500)を用いて測定した。
[0102]実施例1〜12及び比較例1〜6(付加反応型熱伝導性ポリシロキサン組成物)
表1及び2に示す(A)、(B)及び(C)成分をそれぞれプラネタリー型ミキサー(ダルトン社製)に仕込み、室温にて1時間撹拌混合し、更に120℃にて1時間撹拌混合して混合物を得た後、25℃まで冷却した。その後、前記混合物に(D)、(E)及び(E−2)成分を添加・混合して、付加反応型熱伝導性ポリシロキサン組成物を得た。こうして得た組成物の粘度を測定した。結果を表1及び2に示す。
[0103] 実施例1〜12及び比較例1〜6の付加反応型熱伝導性ポリシロキサン組成物について、金型中で150℃×1時間加熱硬化することにより、厚み6mmの付加反応型熱伝導性ポリシロキサン組成物の硬化物を得た。こうして得た硬化物の熱伝導率を測定した。結果を表1及び2に示す。
[0104][表1]



「請求の範囲
[請求項1] (A)熱伝導性充填剤、並びに(B)アルコキシシリル基含有化合物及びジメチルポリシロキサンからなる群より選択される1種以上を含有する熱伝導性ポリシロキサン組成物であって、(A)成分が、平均粒子径の異なる2種類以上の熱伝導性充填剤からなり、かつ、(A−1)平均粒子径30μm以上150μm以下の不定形の窒化アルミニウム粒子を(A)成分全体に対し20質量%以上含む、熱伝導性ポリシロキサン組成物。」
「[請求項6] 更に、(C)1分子中に1個以上の脂肪族不飽和基を含有するポリオルガノシロキサンを含有する、請求項1〜5のいずれか一項記載の熱伝導性ポリシロキサン組成物。
[請求項7] 更に、(D)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン、及び(E)白金系触媒を含有する、請求項1〜6のいずれか一項記載の熱伝導性ポリシロキサン組成物。」

第7 当審の判断
1 判断の順序
判断を行うにあたり、新規性等を判断する前提として特許請求の範囲の明確性が求められるところ、本件においては、明確性要件(前記第5の2(1)申立理由2−1参照。)の判断を先に行う。

2 申立理由2−1(明確性要件)について
(1)判断手法
特許請求の範囲の記載が明確性要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載だけでなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきものであるから、以下、この観点に立って検討する。

(2)本件訂正発明の「熱伝導性液状組成物」の「粘度」について
本件訂正発明1には「前記熱伝導性液状組成物は、Thermo Fisher Scientific社製HAAKE MARS III型のレオメーターを使用し、プレートはP20 Ti L、測定ギャップ1.0mm、回転速度は1rpm〜0.01rpmの範囲、23℃における粘度が3000Pa・s以上100000Pa・s以下であり」と記載され、対応する本件明細書(前記第3の2参照)の【0027】には「<熱伝導性液状組成物の粘度> Thermo Fisher Scientific社製HAAKE MARS III型のレオメーターを使用し、プレートはP20 Ti L、測定ギャップ1.0mm、回転速度は1rpm〜0.01rpmの範囲で設定し、23℃における粘度を測定した。高粘度な熱伝導性液状組成物は測定中に試料が滑りやすいため、回転速度を低速に設定する。」と記載されている。
この記載によれば、本件訂正発明の「熱伝導性液状組成物」の「粘度」は、「Thermo Fisher Scientific社製HAAKE MARS III型のレオメーターを使用し、プレートはP20 Ti L、測定ギャップ1.0mm、回転速度は1rpm〜0.01rpmの範囲で設定し、23℃における粘度を測定した」ものである。ここで、測定される粘度は、回転速度が1rpm〜0.01rpmの範囲内の任意の回転速度と読み取りうるが、前記「高粘度な熱伝導性液状組成物は測定中に試料が滑りやすいため、回転速度を低速に設定する」との記載によれば、測定中に試料が滑らない程度の粘度の組成物は、回転速度1rpmで測定し、測定中に試料が滑るような粘度の組成物は、1rpmから徐々に回転速度を低速に変化させ、試料が滑らなくなった回転数における粘度を測定し、0.01rpmまで落としても滑るような組成物は、その粘度を測定できないという趣旨のものであることを理解できる。
そうすると、本件訂正発明の「熱伝導性液状組成物」の「粘度」は、その測定装置の「回転速度」が「1rpm〜0.01rpmの範囲」で、一意の値として測定できるから、その「粘度」を「3000Pa・s以上100000Pa・s以下」とする特定は、不明確なものではない。

(3)申立人の主張
本件訂正発明の「熱伝導性液状組成物」の「粘度」について、申立人は、令和5年6月15日の意見書の2頁10行〜3頁13行において、ア 本件明細書の実施例は、回転数を幾つに設定して粘度を測定したか明確に記載されていない、イ 回転速度が1rpm〜0.01rpmの範囲の全てにわたって粘度が3000Pa・s以上100000Pa・s以下を満たす必要があるのか、回転速度が1rpm〜0.01rpmの範囲のいずれかの回転速度で粘度が3000Pa・s以上100000Pa・s以下を満たせばよいのかが明確でないとの趣旨の主張をしている。
しかしながら、前記(2)で検討したとおり、本件明細書の記載によれば、「熱伝導性液状組成物」の「粘度」は、「回転速度は1rpm〜0.01rpmの範囲」で、一意の値として測定できるものと考えられるから、申立人の主張は採用できない。

(4)まとめ
したがって、本件訂正発明は、特許請求の範囲の記載が第三者に不測の不利益を及ぼすほどにほどに不明確ではないから、その特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たさないものとはいえない。

3 申立理由1及び2、並びに取消理由1−1及び1−2(甲1を主引例とした新規性進歩性)について
(1)甲1に記載された発明
甲1(前記第6の2(1)参照。)の[001]には、「高熱伝導性シリコーン組成物」は、「電子デバイスの放熱材料の一部として使用することができる」ことが記載されている。
甲1の「特許請求の範囲」には、「(A)オルガノポリシロキサン組成物と、(B)フィラー処理剤と、(C)熱安定剤と、(D)熱伝導性フィラー」「と、を含む、組成物。」が記載されている。
甲1の[0059]の表2及び[0062]の表3には、前記(2)の「(A)オルガノポリシロキサン組成物と、(B)フィラー処理剤と、(C)熱安定剤と、(D)熱伝導性フィラー」を含む組成物について、実施例に該当する「Inv-1」〜「Inv-7」の体積比の配合量が示されており、そのうちの「Inv-1」〜「Inv-5」について、同[0053]の表1の成分表示を加えた上で、本件特許と関係する計算結果の項目を加えると、次の表(○甲1、単位は体積比)のようになる。

甲1の[0056]には、熱伝導率は、「Hot Disk transient technology sensor C5501」で測定したものであることが記載されている。
甲1の[0057]には、流量は、「Nordson EFD分配装置」で測定したものであり、「サンプル材料」を「0.62MPaの圧力で分配し」「1分で分配されたサンプルの重量を」「押出速度として使用した」ことが記載されている。
甲1の[0060]には、「Inv-1」〜「Inv-5」の組成物が、「グリースの形態」であることが記載されている。
してみると、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。

(甲1発明)
「(A)オルガノポリシロキサン組成物と、(B)フィラー処理剤と、(C)熱安定剤と、(D)熱伝導性フィラーとを含む、(Inv-1)〜(Inv-5)のいずれかのグリース形態の高熱伝導性シリコーン組成物であって、
熱伝導率は、Hot Disk transient technology sensor C5501で測定したものであり、
流量は、Nordson EFD分配装置で測定したものであって、サンプル材料を0.62MPaの圧力で分配し1分で分配されたサンプルの重量を押出速度として使用したものであり、
次の表(○甲1、単位は体積比)の組成を満たす、組成物(Inv-1)〜(Inv-5)のいずれかの組成物。



(2)対比・判断
ア 本件訂正発明1
本件訂正発明1と甲1発明を対比すると、甲1発明の「(A)オルガノポリシロキサン組成物」は、本件訂正発明1の「マトリックス樹脂(A)」に相当する。
甲1発明の「(D)熱伝導性フィラー」は、本件訂正発明1の「熱伝導性無機粒子(B)」に相当する。
甲1発明の「グリース形態の高熱伝導性シリコーン組成物」は、本件訂正発明1の「熱伝導性液状組成物」に相当する。
甲1発明の「表(○甲1)」によれば、甲1発明の「各組成物(Inv-1)〜(Inv-5)」は、組成物全体に対する「(D)熱伝導性フィラー」の割合が「94.8〜95.5重量%」である。そして、「(A)オルガノポリシロキサン組成物」、「(B)フィラー処理剤」及び「(C)熱安定剤」の体積比を考慮すると、重量比であっても「(A)オルガノポリシロキサン組成物」に該当する「a-1 トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)コポリマー」がその半分以上を占めることが明らかであるから、「(D)熱伝導性フィラー」以外の「4.5〜5.2重量%」のうち、甲1発明の「(A)オルガノポリシロキサン組成物」の割合は、「2.25重量%」以上、最大でも「5.2重量%」未満といえる。そうすると、甲1発明の「各組成物(Inv-1)〜(Inv-5)」における「(A)オルガノポリシロキサン組成物」及び「(D)熱伝導性フィラー」の重量比は、本件発明1の「熱伝導性液状組成物を100質量%としたとき、マトリックス樹脂(A)は2質量%以上8質量%以下、熱伝導性無機粒子(B)は92質量%以上98質量%以下であり」を充足している蓋然性が高い。
甲1発明の「表(○甲1)」によれば、甲1発明の「各組成物(Inv-1)〜(Inv-5)」において、「(D)熱伝導性フィラー」の成分のうち、100μm以上500μm以下の成分に寄与する可能性があるのは「d3-6 129μmのほぼ球状のMgO」及び「d3-5 70μmの球状窒化アルミニウム」である。また、0.01μm以上100μm以下の成分に寄与する可能性があるのは「d1-1 0.2μの酸化亜鉛」、「d2-1 2μmの球状酸化アルミニウム」及び「d3-5 70μmの球状窒化アルミニウム」である。
そして、「d1-1」〜「d3-6」の粒径がどのように分布しているかは定かでないが、標準偏差の小さい正規分布に近い分布となっている可能性が高いことを考慮すれば、「d3-6 129μmのほぼ球状のMgO」が32.00〜44.80体積%である「各組成物(Inv-1)〜(Inv-5)」は、100μm以上の粒子を「25体積%以上50体積%以下」含み、100μm以下の粒子を「50体積%以上75体積%以下」含むものといえる。よって、甲1発明の「(D)熱伝導性フィラー」の体積比は、本件訂正発明1の「熱伝導性無機粒子(B)は、100μm以上500μm以下の熱伝導性無機粒子(B1)と、0.01μm以上100μm未満の熱伝導性無機粒子(B2)を含み、前記熱伝導性無機粒子(B)を100体積%としたとき、体積基準の積算分布曲線において、前記熱伝導性無機粒子(B1)の割合が25体積%以上50体積%以下、前記熱伝導性無機粒子(B2)の割合が50体積%以上75体積%以下である」を充足している蓋然性が高い。
また、甲1発明の「d3-6 129μmのほぼ球状のMgO」、「d2-1 2μmの球状酸化アルミニウム」及び「d1-1 0.2μの酸化亜鉛」は、それぞれ、粒子径100μm以上200μm以下、粒子径0.8μm以上10μm未満及び粒子径0.01μm以上0.8μm未満の範囲にピークを持つ蓋然性が高い。
そうすると、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>
「マトリックス樹脂(A)と熱伝導性無機粒子(B)を含む熱伝導性液状組成物であって、
前記熱伝導性液状組成物を100質量%としたとき、マトリックス樹脂(A)は2質量%以上8質量%以下、熱伝導性無機粒子(B)は92質量%以上98質量%以下であり、
前記熱伝導性無機粒子(B)は、粒子径100μm以上500μm以下の熱伝導性無機粒子(B1)と、粒子径0.01μm以上100μm未満の熱伝導性無機粒子(B2)を含み、前記熱伝導性無機粒子(B)を100体積%としたとき、体積基準の積算分布曲線において、
前記熱伝導性無機粒子(B1)の割合が25体積%以上50体積%以下、
前記熱伝導性無機粒子(B2)の割合が50体積%以上75体積%以下であり、
前記熱伝導性無機粒子(B)を体積基準の頻度分布曲線にした際、粒子径100μm以上200μm以下、粒子径0.8μm以上10μm未満、粒子径0.01μm以上0.8μm未満の範囲にそれぞれ一つ以上のピークを持つ、
熱伝導性液状組成物。」

<相違点1−1>
本件訂正発明1は「熱伝導性無機粒子(B)は、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化亜鉛、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素なる群から選ばれる少なくとも一つの無機粉末であり」、「前記熱伝導性無機粒子(B1)はメディアン径(D50)が100μm以上の球形アルミナ(酸化アルミニウム)であ」るのに対し、甲1発明は「d3-6 129μmのほぼ球状のMgO」を含むものであって、「100μm以上の球形アルミナ」を含むものではない点。

<相違点1−2>
本件訂正発明1は「前記熱伝導性液状組成物は、Thermo Fisher Scientific社製HAAKE MARS III型のレオメーターを使用し、プレートはP20 Ti L、測定ギャップ1.0mm、回転速度は1rpm〜0.01rpmの範囲、23℃における粘度が3000Pa・s以上100000Pa・s以下であり」、「前記熱伝導性液状組成物をシリンジに充填し、23℃において吐出径が直径2.5mm、吐出圧力0.5MPaで100秒吐出した際に、シリンジの破壊なく0.1g以上150g以下吐出可能である」のに対し、甲1発明は、Nordson EFD分配装置で測定した、サンプル材料を0.62MPaの圧力で分配し1分で分配されたサンプルの重量を押出速度として使用した流量が、(Inv-1)〜(Inv-5)について、順に17.2、20.1、49.9、17.20、33.40(g/分)である点。

まず、相違点1−1について検討する。熱伝導性無機粒子について、甲1発明を認定した甲1(前記第6の2(1)参照。)の[004]には、「その熱伝導性組成物は、オルガノポリシロキサンおよびMgOフィラーを含む。フィラーは、MgOのみを含むことができるか、またはMgOと、AlN、酸化アルミニウム(Al2O3)もしくは窒化ホウ素(BN)などの他の材料との組み合わせを含むことができる。」と記載され、熱伝導性無機粒子は、MgO(酸化マグネシウム)を必須成分として含むことが記載されている。また、同[0032]には、「群(D−3)は、20〜200μmの数平均サイズを有する粒子を含む。」「好ましい材料は酸化マグネシウムである。」と記載され、甲1発明の一番大きいサイズの熱伝導無性無機粒子は、酸化マグネシウムが好ましいことが記載されている。
そうすると、甲1発明において、熱伝導無性無機粒子として、酸化マグネシウムを含まないようにしたり、一番大きいサイズの熱伝導無性無機粒子を酸化アルミニウムに変更したりすることには阻害要因があるから、甲1発明において、熱伝導性無機粒子を「アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化亜鉛、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素なる群から選ばれる少なくとも一つの無機粉末」とすること、及び一番大きいサイズの熱伝導性無機粒子を「メディアン径(D50)が100μm以上の球形アルミナ(酸化アルミニウム)」とすることは、当業者が容易になし得たことではない。

してみると、前記相違点1−2について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲1発明及び甲1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

イ 本件訂正発明3、4、6、8〜14
本件訂正発明3、4、6、8〜14は、本件訂正発明1の特定事項を全て含むものであるから、前記アと同じ理由により、本件訂正発明3、4、6、8〜14も、甲1発明及び甲1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)まとめ
以上をまとめると、本件訂正発明1、3、4、6、8〜14は、甲1発明及び甲1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

4 申立理由1及び2、並びに、取消理由1−1、1−2、2−2及び2−3(甲3を主引例とした新規性進歩性)について
(1)甲3に記載された発明
甲3の「請求の範囲」において、請求項1及び6を引用する請求項7には、「(A)熱伝導性充填剤、並びに(B)アルコキシシリル基含有化合物及びジメチルポリシロキサンからなる群より選択される1種以上を含有し、更に、C)1分子中に1個以上の脂肪族不飽和基を含有するポリオルガノシロキサン、(D)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン、及び(E)白金系触媒を含有する熱伝導性ポリシロキサン組成物」が記載されている。
甲3の[0102]〜[0103]には、実施例1〜12は「付加反応型熱伝導性ポリシロキサン組成物」であることが記載されている。
甲3の[0104]の[表1]には、実施例6が記載されており、[0090]及び[0095]〜[0097]の記載も考慮すると、(A)成分として、「(A−1)AlN−4:平均粒子径100μmの不定形の窒化アルミニウム粒子(酸素含有量0.08質量%)」を「48.04」、「(A−2)Al2O3−2:平均粒子径3.3μmの丸み状アルミナ粒子」を「26.06」、「A−3)平均粒子径0.5μmの丸み状のアルミナ粒子」を「19.55」と、(B)成分として「(B−1)トリアルコキシ基含有ポリオルガノシロキサン」を「1.00」と、(C)成分として「(C)両末端ビニル基ジメチルポリシロキサン(粘度:30mPa・s)」を「4.82」と、(D)成分として「(D)ポリオルガノハイドロジェンシロキサン:Hオイル(MHDH8D8MH)」を「0.50」と、(E)成分として「(E)白金系触媒:白金量2%ビニルテトラマー錯体」を「0.01」及び「(E−2)反応抑制剤:1−エチニル−1−シクロヘキサノール」を「0.02」を含むことが記載され、更に、粘度が「230Pa・s」で、熱伝導率が「10.5W/mK」であることも記載されている。
甲3の[0023]には、(A)成分の平均粒子径の測定方法について、「平均粒子径の測定値は、レーザー回折・散乱法により測定したメジアン径(d50)である」と記載され、同[0022]、[0031]及び[0032]には、「(A−1)成分は、30μm以上150μm以下の範囲に粒度分布のピークを有する」、「(A−2)成分は、1μm以上30μm未満の範囲に粒度分布のピークを有する」及び「(A−3)成分は、0.1μm以上1μm未満の範囲に粒度分布のピークを有する」と記載されている。
甲3の[0100]には、粘度について、「JIS K6249に準拠。23℃における組成物の粘度を、回転粘度計ローターNo.7、回転数2rpm、5分値として測定した」ものであることが記載されている。
甲3の[0007]には「本発明が解決しようとする課題は、低粘度であるため作業性に優れ、熱伝導性の高い熱伝導性ポリシロキサン組成物、及びそれを使用した放熱材料を提供することである。」と記載されている。
してみると、甲3には、次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されているものと認められる。

(甲3発明)
「(A)熱伝導性充填剤、並びに(B)アルコキシシリル基含有化合物及びジメチルポリシロキサンからなる群より選択される1種以上を含有し、更に、(C)1分子中に1個以上の脂肪族不飽和基を含有するポリオルガノシロキサン、(D)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン、及び(E)白金系触媒を含有する付加反応型熱伝導性ポリシロキサン組成物であって、
(A)成分として、(A−1)AlN−4:平均粒子径100μmの不定形の窒化アルミニウム粒子(酸素含有量0.08質量%)を48.04、(A−2)Al2O3−2:平均粒子径3.3μmの丸み状アルミナ粒子を26.06及び(A−3)平均粒子径0.5μmの丸み状のアルミナ粒子を19.55と、
(B)成分として(B−1)トリアルコキシ基含有ポリオルガノシロキサンを1.00と、
(C)成分として(C)両末端ビニル基ジメチルポリシロキサン(粘度:30mPa・s)を4.82と、
(D)成分として(D)ポリオルガノハイドロジェンシロキサン:Hオイル(MHDH8D8MH)を0.50と、
(E)成分として(E)白金系触媒:白金量2%ビニルテトラマー錯体を0.01及び(E−2)反応抑制剤:1−エチニル−1−シクロヘキサノールを0.02を含み、
(A)成分の平均粒子径の測定値は、レーザー回折・散乱法により測定したメジアン径(d50)であって、(A−1)成分は、30μm以上150μm以下の範囲に粒度分布のピークを有し、(A−2)成分は、1μm以上30μm未満の範囲に粒度分布のピークを有し、(A−3)成分は、0.1μm以上1μm未満の範囲に粒度分布のピークを有し、
JIS K6249に準拠し、23℃において、回転粘度計ローターNo.7、回転数2rpm、5分値として測定した粘度が230Pa・sで、熱伝導率が10.5W/mKであり、
低粘度であるため作業性に優れ、熱伝導性の高い熱伝導性ポリシロキサン組成物。」

(2)対比・判断
ア 本件訂正発明1
本件訂正発明1と甲3発明を対比すると、甲3発明の「(A)熱伝導性充填剤」は、熱伝導性を有する「窒化アルミニウム粒子」や「アルミナ粒子」からなるものであるから、本件訂正発明1の「熱伝導性無機粒子(B)」に相当する。
甲3発明の「(C)両末端ビニル基ジメチルポリシロキサン(粘度:30mPa・s)」は、本件訂正発明1の「マトリックス樹脂(A)」に相当する。
甲3発明において、(A)成分〜(E)成分の数値の合計が100になること、及び明細書中の表記が質量%であることから、(A)成分〜(E)成分の数値は質量%を示したものと考えられる。そうすると、甲3発明の「(A)熱伝導性充填剤」の合計は「93.65質量%」、「(C)両末端ビニル基ジメチルポリシロキサン(粘度:30mPa・s)」は「4.82質量%」であるから、甲3発明の組成物は、本件訂正発明1の「熱伝導性液状組成物を100質量%としたとき、マトリックス樹脂(A)は2質量%以上8質量%以下、熱伝導性無機粒子(B)は92質量%以上98質量%以下であり」を充足している。
してみると、両者の一致点及び一応の相違点は、次のとおりである。

<一致点>
「マトリックス樹脂(A)と熱伝導性無機粒子(B)を含む熱伝導性液状組成物であって、
前記熱伝導性液状組成物を100質量%としたとき、マトリックス樹脂(A)は2質量%以上8質量%以下、熱伝導性無機粒子(B)は92質量%以上98質量%以下であり、
熱伝導性無機粒子(B)は、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化亜鉛、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素なる群から選ばれる少なくとも一つの無機粉末であり、
前記熱伝導性無機粒子(B)は、粒子径100μm以上500μm以下の熱伝導性無機粒子(B1)と、粒子径0.01μm以上100μm未満の熱伝導性無機粒子(B2)を含む、
熱伝導性液状組成物。」

<相違点2−1>
本件訂正発明1は、「前記熱伝導性無機粒子(B)を100体積%としたとき、体積基準の積算分布曲線において、前記熱伝導性無機粒子(B1)の割合が25体積%以上50体積%以下、前記熱伝導性無機粒子(B2)の割合が50体積%以上75体積%以下」であであるのに対し、甲3発明は、(A)成分として、(A−1)AlN−4:平均粒子径100μmの不定形の窒化アルミニウム粒子(酸素含有量0.08質量%)を48.04、(A−2)Al2O3−2:平均粒子径3.3μmの丸み状アルミナ粒子を26.06及び(A−3)平均粒子径0.5μmの丸み状のアルミナ粒子を19.55を含むものである点。

<相違点2−2>
本件訂正発明1は、「熱伝導性無機粒子(B)を体積基準の頻度分布曲線にした際、粒子径100μm以上200μm以下、粒子径0.8μm以上10μm未満、粒子径0.01μm以上0.8μm未満の範囲にそれぞれ一つ以上のピークを持」つのに対し、甲3発明は、(A)成分として、(A−1)AlN−4:平均粒子径100μmの不定形の窒化アルミニウム粒子(酸素含有量0.08質量%)を48.04、(A−2)Al2O3−2:平均粒子径3.3μmの丸み状アルミナ粒子を26.06及び(A−3)平均粒子径0.5μmの丸み状のアルミナ粒子を19.55を含み、(A)成分の平均粒子径の測定値は、レーザー回折・散乱法により測定したメジアン径(d50)であって、(A−1)成分は、30μm以上150μm以下の範囲に粒度分布のピークを有し、(A−2)成分は、1μm以上30μm未満の範囲に粒度分布のピークを有し、(A−3)成分は、0.1μm以上1μm未満の範囲に粒度分布のピークを有するものである点。

<相違点2−3>
本件訂正発明1は、「前記熱伝導性無機粒子(B1)はメディアン径(D50)が100μm以上の球形アルミナ(酸化アルミニウム)であ」るのに対し、甲3発明は「(A−1)AlN−4:平均粒子径100μmの不定形の窒化アルミニウム粒子(酸素含有量0.08質量%)」を含むものであって、「100μm以上の球形アルミナ」を含むものではない点。

<相違点2−4>
本件訂正発明1は「前記熱伝導性液状組成物は、Thermo Fisher Scientific社製HAAKE MARS III型のレオメーターを使用し、プレートはP20 Ti L、測定ギャップ1.0mm、回転速度は1rpm〜0.01rpmの範囲、23℃における粘度が3000Pa・s以上100000Pa・s以下であり」、「前記熱伝導性液状組成物をシリンジに充填し、23℃において吐出径が直径2.5mm、吐出圧力0.5MPaで100秒吐出した際に、シリンジの破壊なく0.1g以上150g以下吐出可能である」のに対し、甲3発明は、JIS K6249に準拠し、23℃において、回転粘度計ローターNo.7、回転数2rpm、5分値として測定した粘度が230Pa・sである点。

事案に鑑み、まず、相違点2−4について検討する。
本件訂正発明1の「記熱伝導性液状組成物」の粘度は、前記2(2)で検討したとおり、測定中に試料が滑らない程度の粘度の組成物は、回転速度1rpmで測定し、測定中に試料が滑るような粘度の組成物は、1rpmから徐々に回転速度を低速に変化させ、試料が滑らなくなった回転数における粘度を測定したものと理解でき、その値の範囲は「3000Pa・s以上100000Pa・s以下」とされている。
これに対し、甲3発明の「熱伝導性ポリシロキサン組成物」の粘度は、JIS K6249に準拠し、23℃において、回転粘度計ローターNo.7、回転数2rpm、5分値として測定した粘度が230Pa・sであって、本件訂正発明1と同じ装置を用いて、回転数1rpmで測定したとしても、230Pa・sであった測定値が3000Pa・s以上となる蓋然性は低いから、この点は実質的な相違点である。
そして、甲3発明は、甲3発明を認定した甲3の[0007]に「本発明が解決しようとする課題は、低粘度であるため作業性に優れ、熱伝導性の高い熱伝導性ポリシロキサン組成物、及びそれを使用した放熱材料を提供することである。」と記載されるように、低粘度と高い熱伝導性を両立させることを課題としたものであるから、甲3発明において、230Pa・sである粘度を高くして、30000Pa・s以上とする動機付けは存在しない。
そうすると、甲3発明の「熱伝導性ポリシロキサン組成物」の粘度を「3000Pa・s以上100000Pa・s以下」とすることは、当業者であっても容易になし得たこととはいえない。

してみると、前記相違点2−1〜2−3について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲3発明及び甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

イ 本件訂正発明1、3、4、6、8〜14
本件訂正発明1、3、4、6、8〜14は、本件訂正発明1の特定事項を全て含むものであるから、前記アと同じ理由により、本件訂正発明1、3、4、6、8〜14も、甲3発明及び甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)申立人の主張について
申立人は、令和5年6月15日の意見書の4頁下2行〜5頁22行において、ア 同じ物質の粘度をレオメーターと回転粘度計で測定した場合には回転粘度計の方が低い値となるので、特許権者の追試の結果(本件明細書の実施例4として示された、本件明細書の粘度測定条件で測定した粘度が10600Pa・sの組成物を、甲3の粘度測定条件で測定したところ、2464Pa・sであったこと)をもって、訂正発明1の粘度測定条件では、回転粘度計で測定した甲3発明の組成物が、訂正発明1の粘度要件を満たさないとはいえない、イ 訂正発明1の粘度は、1rpm〜0.01rpmの範囲のいずれの回転速度で測定した値なのかが不明であるから、追試内容が精確であっても意味をなさない、との趣旨の主張をしている。
しかしながら、アに関し、測定条件によって10600Pa・sと2464Pa・sとの違いが出たとしても、甲3発明の「230Pa・s」が測定条件の違いにより3000Pa・sを超えることは考えにくい。また、イに関し、前記2(2)で検討したとおり、本件訂正発明1の「熱伝導性液状組成物」の「粘度」は、測定装置の「回転速度」が「1rpm〜0.01rpmの範囲」で、一意の値として測定できるから、比較可能な値といえる。
してみると、申立人の主張は採用できない。

(4)まとめ
以上をまとめると、本件訂正発明1、3、4、6、8〜14は、甲3発明及び甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

5 申立理由3(サポート要件)について
(1)判断手法 特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らして当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。そこで、以下、この観点に立って検討を進める。

(2)発明の課題
本件訂正発明の解決しようとする課題は、本件明細書(前記第3の2参照。)に記載されたすべての事項からみて、同【0005】に記載された「流動性を改善し、細い吐出径であっても吐出性が良好であり、かつ熱伝導率も高い熱伝導性液状組成物を提供する」ことにあると認められる。

(3)明細書の記載及び判断
流動性及び吐出性について、本件明細書(前記第3の2参照。)の【0012】には「本発明の熱伝導性液状組成物はシリンジに充填し、23℃において吐出径が直径2.5mm、吐出圧力0.5MPaで100秒吐出した際に、シリンジの破壊なく0.1g以上吐出可能であることが好ましい。上限は150g以下であるのが好ましい。」と記載されている。
また、熱伝導性について、同【0010】には「本発明においては、熱伝導性無機粒子(B)は、100μm以上500μm以下の熱伝導性無機粒子(B1)と、0.01μm以上100μm未満の熱伝導性無機粒子(B2)を含む。熱伝導性無機粒子(B1)は粗粒であり、粗粒を比較的多く充填し、粗粒間を熱伝導性無機粒子(B2)で埋めることにより、熱伝導性液状組成物の流動性を上げ、かつ熱伝導性を高くできる。これは、前記熱伝導性無機粒子の高充填化と相俟った相乗効果である。」と記載されている。
そして、同【0029】の【表1】に示された実施例1〜6において、本件訂正発明の特定事項を満たす組成物が、良好な吐出性と高い熱伝導率を備えることが確認されている。
そうすると、本件訂正発明は、本件明細書に記載された発明であり、しかも、本件明細書の記載により当業者が前記「流動性を改善し、細い吐出径であっても吐出性が良好であり、かつ熱伝導率も高い熱伝導性液状組成物を提供する」との課題を解決できると認識できる範囲のものといえる。

(4)申立人の主張
申立人は、令和4年12月26日の意見書の5頁8〜20行において、ア 訂正発明1の組成物の粘度の下限(3000Pa・s)は、実施例で最も低い値である10600Pa・sとの差が非常に大きい、イ 訂正発明1の組成物の粘度は、上限が特定されていないから、サポート要件を充足していない、との趣旨の主張をしている。
しかしながら、前記アに関し、粘度が小さい方が流動性が高いのだから、3000Pa・sの組成物で課題を解決できないとはいえない。また、前記イに関し、本件訂正発明1では、粘度の上限が「100000以下」と特定されている。
してみると、申立人の主張は採用できない。

(5)まとめ
以上より、本件訂正発明に係る特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たさないものとはいえない。

第8 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立ての理由によっては、本件訂正後の請求項1、3、4、6、8〜14に係る特許を取り消すことはできない。
また、他にこれらの特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項2、5、7は、本件訂正により削除され、それらの請求項に係る特許異議の申立ては、その対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (54)【発明の名称】熱伝導性液状組成物
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気・電子部品等の発熱部と放熱体の間に介在させるのに好適な熱伝導性液状組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のCPU等の半導体の性能向上はめざましくそれに伴い発熱量も膨大になっている。そのため発熱するような電子部品には放熱体が取り付けられ、半導体などの発熱体と放熱体との間には熱伝導性シリコーンゲルなどが使われている。機器の小型化、高性能化、高集積化に伴い熱伝導性シリコーンゲルには熱伝導性とともに、容器からの吐出安定性などが求められている。特許文献1には、オルガノポリシロキサンに対して平均粒子径が0.01〜200μmの熱伝導性充填剤を混合し、熱伝導率が3.1W/mK以下のグリースとすることが提案されている。特許文献2には、オルガノポリシロキサンに対して平均粒子径が15〜100μmの粗粉と、平均粒子径が2〜11μmの中粒粉と、平均粒子径が0.5〜1μmの微粒の熱伝導性フィラーを混合し、熱伝導率が2.5W/mK以上のグリースとすることが提案されている。特許文献3には、オルガノポリシロキサンに対して平均粒子径が100μm以下の熱伝導粒子を混合した組成物とし、シリンジに入れて内径3〜8mmの吐出径から押し出すことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2018−079215号明細書
【特許文献2】WO2018−033992号明細書
【特許文献3】特開2020−104078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記特許文献1及び2のグリースは熱伝導率が低いという問題があった。また、前記特許文献3の組成物は、流動性に問題があり、内径3〜8mmの吐出径が必要で、1〜2mmの吐出径は破壊されることが実施例の表4に記載されており、吐出性に問題があった。
【0005】
本発明は前記従来の問題を解決するため、流動性を改善し、細い吐出径であっても吐出性が良好であり、かつ熱伝導率も高い熱伝導性液状組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、 マトリックス樹脂(A)と熱伝導性無機粒子(B)を含む熱伝導性液状組成物であって、
前記熱伝導性液状組成物を100質量%としたとき、マトリックス樹脂(A)は2質量%以上8質量%以下、熱伝導性無機粒子(B)は92質量%以上98質量%以下であり、
熱伝導性無機粒子(B)は、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化亜鉛、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素なる群から選ばれる少なくとも一つの無機粉末であり、
前記熱伝導性無機粒子(B)は、粒子径100μm以上500μm以下の熱伝導性無機粒子(B1)と、粒子径0.01μm以上100μm未満の熱伝導性無機粒子(B2)を含み、前記熱伝導性無機粒子(B)を100体積%としたとき、体積基準の積算分布曲線において、
前記熱伝導性無機粒子(B1)の割合が25体積%以上50体積%以下、
前記熱伝導性無機粒子(B2)の割合が50体積%以上75体積%以下であり、
前記熱伝導性無機粒子(B)を体積基準の頻度分布曲線にした際、粒子径100μm以上200μm以下、粒子径0.8μm以上10μm未満、粒子径0.01μm以上0.8μm未満の範囲にそれぞれ一つ以上のピークを持ち、
前記熱伝導性無機粒子(B1)はメディアン径(D50)が100μm以上の球状アルミナ(酸化アルミニウム)であり、
前記熱伝導性液状組成物は、Thermo Fisher Scientific社製HAAKE MARS III型のレオメーターを使用し、プレートはP20 Ti L、測定ギャップ1.0mm、回転速度は1rpm〜0.01rpmの範囲、23℃における粘度が3000Pa・s以上100000Pa・s以下であり、
前記熱伝導性液状組成物をシリンジに充填し、23℃において吐出内径が直径2.5mm、吐出圧力0.5MPaで100秒吐出した際に、シリンジの破壊なく0.1g以上150g以下吐出可能であることを特徴とする熱伝導性液状組成物である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、前記構成とすることにより、流動性を改善し、細い吐出径であっても吐出性が良好であり、かつ熱伝導率も高い熱伝導性液状組成物を提供できる。具体的には、前記熱伝導性液状組成物をシリンジに充填し、23℃において吐出径が直径2.5mm、吐出圧力0.5MPaで100秒吐出した際に、シリンジの破壊なく0.1g以上吐出可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1A−Bは本発明の一実施例における試料の熱伝導率の測定方法を示す説明図である。
【図2】図2は本発明の実施例1の試料の体積基準の積算分布曲線及び頻度分布曲線グラフである。
【図3】図3は本発明の実施例2の試料の体積基準の積算分布曲線及び頻度分布曲線グラフである。
【図4】図4は本発明の実施例3の試料の体積基準の積算分布曲線及び頻度分布曲線グラフである。
【図5】図5は本発明の実施例4の試料の体積基準の積算分布曲線及び頻度分布曲線グラフである。
【図6】図6は本発明の実施例5の試料の体積基準の積算分布曲線及び頻度分布曲線グラフである。
【図7】図7は本発明の実施例6の試料の体積基準の積算分布曲線及び頻度分布曲線グラフである。
【図8】図8は本発明の実施例7の試料の体積基準の積算分布曲線及び頻度分布曲線グラフである。
【図9】図9は本発明の実施例8の試料の体積基準の積算分布曲線及び頻度分布曲線グラフである。
【図10】図10は比較例1の試料の体積基準の積算分布曲線及び頻度分布曲線グラフである。
【図11】図11は比較例2の試料の体積基準の積算分布曲線及び頻度分布曲線グラフである。
【図12】図12は比較例3の試料の体積基準の積算分布曲線及び頻度分布曲線グラフである。
【図13】図13は比較例4の試料の体積基準の積算分布曲線及び頻度分布曲線グラフである。
【図14】図14は比較例5の試料の体積基準の積算分布曲線及び頻度分布曲線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、マトリックス樹脂(A)と熱伝導性無機粒子(B)を含む熱伝導性液状組成物であり、前記熱伝導性液状組成物を100質量%としたとき、マトリックス樹脂(A)は2質量%以上8質量%以下、熱伝導性無機粒子(B)は92質量%以上98質量%以下であり、好ましくはマトリックス樹脂(A)3質量%以上7質量%以下、熱伝導性無機粒子(B)93質量%以上97質量%以下である。熱伝導性無機粒子(B)を高充填化することにより、熱伝導性を高くできる。
【0010】
本発明においては、熱伝導性無機粒子(B)は、100μm以上500μm以下の熱伝導性無機粒子(B1)と、0.01μm以上100μm未満の熱伝導性無機粒子(B2)を含む。熱伝導性無機粒子(B1)は粗粒であり、粗粒を比較的多く充填し、粗粒間を熱伝導性無機粒子(B2)で埋めることにより、熱伝導性液状組成物の流動性を上げ、かつ熱伝導性を高くできる。これは、前記熱伝導性無機粒子の高充填化と相俟った相乗効果である。
【0011】
前記熱伝導性無機粒子(B)を100体積%としたとき、体積基準の積算分布曲線において、前記熱伝導性無機粒子(B1)の割合は、25体積%以上50体積%以下であり、好ましくは25.5体積%以上47体積%以下である。前記熱伝導性無機粒子(B2)の割合は50体積%以上75体積%以下であり、好ましくは53体積%以上74.5体積%以下である。積算分布曲線は、レーザー回折光散乱法による粒度分布測定により求められる。この測定機としては、例えば堀場製作所社製のレーザー回折/散乱式粒子分布測定装置LA−950S2がある。素材が異なる熱伝導性無機粒子が存在する際は、個々に測定を行い、合算することで求められる。レーザー回折光散乱法は物質の屈折率等を装置へ入力し測定を行うため、熱伝導性無機粒子Bに2種類以上の物質存在化で測定は不可となるためである。
【0012】
本発明の熱伝導性液状組成物はシリンジに充填し、23℃において吐出径が直径2.5mm、吐出圧力0.5MPaで100秒吐出した際に、シリンジの破壊なく0.1g以上吐出可能であることが好ましい。上限は150g以下であるのが好ましい。吐出径の直径を2.5mmとしたのは、細い吐出径においても流動性があることを示すために特定したものであり、吐出径の直径を限定したものではない。後記する実施例に示すように、吐出径が直径0.97mm、1.43mm,2.27mmでも吐出可能なものがある。吐出径の直径は内径であり、このような細い吐出径で吐出できることは、精密塗布できることを意味し、実用上きわめて有用である。
【0013】
熱伝導性液状組成物の熱伝導率は、5.0〜16.0W/mKが好ましく、より好ましくは5.5〜16.0W/mKであり、さらに好ましくは6.0〜16.0W/mKである。この範囲の熱伝導率であれば、多くのデバイスに有用である。
【0014】
前記熱伝導性無機粒子(B2)を体積基準の頻度分布曲線にした際、0.8μm以上10μm未満の熱伝導性無機粒子(B2−1)と、0.01μm以上0.8μm未満の熱伝導性無機粒子(B2−2)を含み、前記熱伝導性無機粒子(B2−1)と前記熱伝導性無機粒子(B2−2)とは、次式(1)で求められる割合が40体積%以上80体積%未満であることが好ましい。
[(B2−1)/{(B2−1)+(B2−2)}]×100 (1)
これにより、(B1)の粗粒間を熱伝導性無機粒子(B2−1)と(B2−2)で埋め、熱伝導性液状組成物の流動性を上げ、かつ熱伝導性を高くできる。
【0015】
熱伝導性無機粒子(B)を体積基準の頻度分布曲線にした際、100μm以上200μm以下、0.8μm以上10μm未満、0.01μm以上0.8μm未満の範囲にそれぞれ一つ以上のピークを持つことが好ましい。市販の熱伝導性無機粒子は様々な粒子分布を示すものがあり、平均粒子径(メディアン径:D50)だけでは特定することができないため、体積基準の頻度分布曲線で特定するのが好ましい。頻度分布曲線は積算分布曲線と同様にレーザー回折光散乱法による粒度分布測定により求められる。
【0016】
熱伝導性無機粒子(B2)は、さらに10μm以上100μm未満の熱伝導性無機粒子(B2−3)を含み、熱伝導性無機粒子(B)を100体積%としたとき、体積基準の積算分布曲線において、前記(B2−3)の割合が10体積%以上35体積%未満であることが好ましい。すなわち、熱伝導性無機粒子(B)を100体積%としたとき、体積基準の積算分布曲線において、熱伝導性無機粒子(B1)+(B2−3)は50体積%以上90体積%未満となり、10μm以上の熱伝導性無機粒子を多く添加することが好ましい。
【0017】
熱伝導性液状組成物は、23℃においてレオメーターを用いた粘度が3000Pa・s以上であることが好ましい。この粘度であれば流動性があり、シリンジの細い吐出径が吐出できる。前記粘度の上限は100000Pa・s以下が好ましい。本発明の熱伝導性液状組成物は、液体の持つ粘り(粘性)と、固体の持つ弾力(弾性)の両方の特性を併せ持つ。従って、それらのような特性「粘弾性」を測定するには、レオメーターと呼ばれる装置が好ましい。レオメーターは、回転粘度計のような一定方向のずりを与えるのではなく、正弦波応力を加えたときの応力とひずみの位相差から粘弾性を評価する装置である。
【0018】
前記マトリックス樹脂は、オルガノポリシロキサン、炭化水素系合成油、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、及びフッ素樹脂から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。これらの樹脂は熱伝導性液状組成物として有用である。この中でもオルガノポリシロキサンは耐熱性が高いことから、好ましい。オルガノポリシロキサンは市販品を使用することができ、粘度は100〜10000mPa・sが好ましい。オルガノポリシロキサンは、未硬化のままのタイプ、硬化タイプ(白金系硬化触媒を使用した付加反応硬化タイプ、有機過酸化物を使用したラジカル反応硬化タイプ)など、様々なものを使用できる。硬化触媒は、(1)付加反応触媒の場合は白金系金属触媒:マトリックス樹脂成分に対して質量単位で0.01〜1000ppmの量、(2)有機過酸化物触媒の場合はマトリックス樹脂成分100質量部に対して0.1〜30質量部が好ましい。硬化タイプの組成物の場合は、シート成形することもできる。この場合は、前記熱伝導性液状組成物をロール圧延成形、プレス成形などでシート成形し、その後に硬化させる。硬化後の成形シートのShore−OO硬さは10〜80の範囲が好ましい。
【0019】
熱伝導性液状組成物は、マトリックス樹脂(A)100質量部に対してさらに可塑剤が0質量部を超え200質量部添加されていてもよい。可塑剤を添加すると流動性はさらに向上する。可塑剤は、シリコーンオイル、シランカップリング剤及び末端トリアルコキシシリコーンから選ばれる少なくとも一つが好ましい。アルキル系シランカップリング剤としてはRaSi(OR’)4−a(Rは炭素数6〜12の非置換または置換有機基、R’は炭素数1〜4のアルキル基、aは0もしくは1)で示されるアルコキシシラン化合物、その部分加水分解物、及び炭素数6〜12の非置換または置換有機基を含むアルコキシ基含有シリコーンから選ばれる少なくとも一つのシランカップリング剤が好ましい。例えば、ヘキシルトリメトキシシラン,ヘキシルトリエトキシシラン,オクチルトリメトキシシラン,オクチルトリエトキシシラン,デシルトリメトキシシラン,デシルトリエトキシシラン,ドデシルトリメトキシシラン,ドデシルトリエトキシシラン等のシラン化合物がある。前記シラン化合物は、一種又は二種以上混合して使用することができる。
【0020】
本発明の熱伝導性液状組成物は、必要に応じて前記以外の成分を配合することができる。例えばベンガラ、酸化チタン、酸化セリウムなどの耐熱向上剤、難燃助剤、硬化遅延材などを添加してもよい。着色、色調の目的で有機或いは無機顔料を添加しても良い。
【0021】
本発明の熱伝導性液状組成物は、ゲル、パテ又はグリースであるのが好ましい。ゲル、パテ又はグリースは、半導体などの発熱体と放熱体とを密着性させ、熱移動させるTIM(Thermal Interface Material)材として好適である。
【0022】
前記熱伝導性液状組成物は容器に充填されているのが好ましい。容器としては、ペール缶、シリンジ、カートリッジなど様々なものがある。
【0023】
熱伝導性無機粒子(B)としては、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化亜鉛、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の無機粉末が好ましい。この中でもアルミナ(酸化アルミニウム)は安価であり、流動性を確保することから、熱伝導性無機粒子(B)を100質量部としたとき、アルミナ(酸化アルミニウム)は15質量部以上とするのが好ましい。窒化アルミニウムは熱伝導性が高いが、コストが高く、アルミナと比べると流動性が悪化することから、熱伝導性無機粒子(B)を100質量部としたとき、窒化アルミニウムは85質量部未満とするのが好ましい。前記熱伝導性充填材の形状は球状、不定形状、針状、板状など、特に限定されるものではない。
【0024】
酸化アルミニウムとしては加熱溶融により製造される球状アルミナ、キルンで焼成により製造される焼結アルミナ、電弧炉で溶融され製造される電融アルミナ、アルミニウムアルコキシドの加水分解やIn situ Chemical Vapour Deposition法等により製造される高純度アルミナ等あるが、特に限定されるものではない。得られた酸化アルミニウム粒子は粉砕等することにより目的の粒子径範囲にすることもできる。
【0025】
窒化アルミニウムとしては直接窒化法、還元窒化法、燃焼合成法等により製造される窒化アルミニウム、さらに得られた窒化アルミニウムを凝集させた凝集窒化アルミニウム等が知られているが、特に限定されるものではない。得られた窒化アルミニウム粒子は粉砕等することにより目的の粒子径範囲にすることもできる。
【実施例】
【0026】
以下実施例を用いて説明する。本発明は実施例に限定されるものではない。各種パラメーターについては下記の方法で測定した。
【0027】
〈粒子径分布測定〉
市販されている熱伝導性無機粒子の体積基準の積算分布曲線、頻度分布曲線、メディアン径(D50)及びピーク粒径は、熱伝導性無機粒子を水又はエタノールへ投入し、日本精機製作所製の超音波ホモジナイザーUS−600Eの出力100%、60秒の条件にて熱伝導性無機粒子を分散させ、マイクロトラック・ベル社製のレーザー解析/散乱式粒子径分布測定装置MT3300EXIIにより測定した。
〈熱伝導率〉
熱伝導性グリースの熱伝導率は、ホットディスク(ISO/CD 22007−2準拠)により測定した。この熱伝導率測定装置1は図1Aに示すように、ポリイミドフィルム製センサ2を2個の試料3a,3bで挟み、センサ2に定電力をかけ、一定発熱させてセンサ2の温度上昇値から熱特性を解析する。センサ2は先端4が直径7mmであり、図1Bに示すように、電極の2重スパイラル構造となっており、下部に印加電流用電極5と抵抗値用電極(温度測定用電極)6が配置されている。測定サンプルは、脱泡された熱伝導性液状組成物を7mmt以上に圧延成型することで得ることが可能である。熱伝導率は以下の式(数1)で算出する。
【数1】

〈熱伝導性液状組成物の粘度〉
Thermo Fisher Scientific社製HAAKE MARS III型のレオメーターを使用し、プレートはP20 Ti L、測定ギャップ1.0mm、回転速度は1rpm〜0.01rpmの範囲で設定し、23℃における粘度を測定した。高粘度な熱伝導性液状組成物は測定中に試料が滑りやすいため、回転速度を低速に設定する。
〈熱伝導性液状組成物の吐出性〉
武蔵エンジニアリング社製30mLシリンジPSY−30Fに直径(内径)の異なったニードルを取り付けて、23℃において吐出圧力0.5MPaで100秒吐出させたときの吐出量を測定した。直径(φ)2.5mmはニードルを取り付けず測定した。使用したニードルは、次のとおりである。
直径(φ)2.27mm:SNA−12G−C(武蔵エンジニアリング社製)
直径(φ)1.43mm:PN−15G−B(武蔵エンジニアリング社製)
直径(φ)0.97mm:PN−18G−B(武蔵エンジニアリング社製)
【0028】
(実施例1〜8、但し、実施例7〜8は参考例)
(1)原料成分
・マトリックス樹脂(A):市販のジメチルシリコーンオイル(粘度:300mPas品)と、可塑剤としてデシルトリメトキシシランを使用した。
・熱伝導性無機粒子(B):表1に示す熱伝導性無機粒子を表1に示す割合で使用した。
市販の熱伝導性無機粒子はメディアン径(D50)を表示しているものも多いので、メディアン径(D50)で割合を示す。
(2)混合
前記原料成分をプラネタリーミキサーに入れ、23℃で10分間混合した。プラネタリーミキサーでは均一に分散出来ない高粘度である熱伝導性液状組成物は、さらに2本ロールで混練りを行った。得られた熱伝導性液状組成物の各種物性を表1にまとめて示す。また、図2〜9に実施例1〜8の試料の体積基準の積算分布曲線及び頻度分布曲線グラフを示す。
【0029】
【表1】

(備考)*1:フィラーを100vol.%としたときの割合。
(備考)*2:前記式(1):[(B2−1)/{(B2−1)+(B2−2)}]×100によって算出する。
(備考)*3:吐出時間100秒では、いずれもシリンジ破壊はなかった。
【0030】
(比較例1〜5)
熱伝導性無機粒子(B)を表2に示す割合とした以外は実施例1同様に実施した。図10〜14に比較例1〜5の試料の体積基準の積算分布曲線及び頻度分布曲線グラフを示す。
【0031】
【表2】

(備考)*1:フィラーを100vol.%としたときの割合。
(備考)*2:前記式(1):[(B2−1)/{(B2−1)+(B2−2)}]×100によって算出する。
(備考)*3:吐出時間100秒では、いずれもシリンジ破壊はなかった。
【0032】
以上の結果から、実施例1〜8の熱伝導性液状組成物はシリンジに充填し、23℃において吐出径が直径2.5mm、吐出圧力0.5MPaで100秒吐出した際に、シリンジの破壊なく0.1g以上吐出可能であった。吐出径が直径0.97mm、1.43mm,2.27mmでも吐出可能なものがあり、このような細い吐出径で吐出できることは、精密塗布できることを意味し、実用上きわめて有用であることが確認できた。
【0033】
(実施例9)
実施例9は前記実施例4の組成物を硬化させた例である。有機マトリックス樹脂として、市販の二液付加硬化シリコーンポリマーを使用した。二液付加硬化シリコーンポリマーのA液には1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含むオルガノポリシロキサンと白金族金属系硬化触媒成分が予め添加されており、B液には1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含むオルガノポリシロキサン成分とケイ素原子に直接結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン成分と硬化遅延剤が予め添加されている。二液の粘度はA液:300mPas、B液300mPasであった。
前記、二液付加硬化シリコーンポリマーを有機マトリックス樹脂として使用し、その他は実施例4の配合で行った。前記原料成分をプラネタリーミキサーに入れ、23℃で10分間混合した。プラネタリーミキサーでは均一に分散出来ない高粘度である熱伝導性液状組成物は、さらに2本ロールで混練りを行った。等速ロールで熱伝導性液状組成物を厚さ3mmに圧延シート成形し、100℃に設定された熱風循環式オーブンへ10分投入し硬化させた。得られた硬化後の成形シートのShore−OO硬さを測定した。
【0034】
(比較例6)
比較例6は前記比較例4の組成物を硬化させた例である。それ以外は実施例9と同様に実施した。比較例6は粘度が高いため、潰れにくく圧延性が悪かった。
【0035】
実施例9と比較例6について圧延性と硬さを表3にまとめて示す。実施例9は粘度が低いため、比較例6より圧延性が良かった。
【0036】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の熱伝導性液状組成物は、電気・電子部品等の発熱部と放熱体の間に介在させるのに好適である。
【符号の説明】
【0038】
1 熱伝導率測定装置
2 センサ
3a,3b 試料
4 センサの先端
5 印加電流用電極
6 抵抗値用電極(温度測定用電極)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックス樹脂(A)と熱伝導性無機粒子(B)を含む熱伝導性液状組成物であって、
前記熱伝導性液状組成物を100質量%としたとき、マトリックス樹脂(A)は2質量%以上8質量%以下、熱伝導性無機粒子(B)は92質量%以上98質量%以下であり、
熱伝導性無機粒子(B)は、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化亜鉛、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素なる群から選ばれる少なくとも一つの無機粉末であり、
前記熱伝導性無機粒子(B)は、粒子径100μm以上500μm以下の熱伝導性無機粒子(B1)と、粒子径0.01μm以上100μm未満の熱伝導性無機粒子(B2)を含み、前記熱伝導性無機粒子(B)を100体積%としたとき、体積基準の積算分布曲線において、
前記熱伝導性無機粒子(B1)の割合が25体積%以上50体積%以下、
前記熱伝導性無機粒子(B2)の割合が50体積%以上75体積%以下であり、
前記熱伝導性無機粒子(B)を体積基準の頻度分布曲線にした際、粒子径100μm以上200μm以下、粒子径0.8μm以上10μm未満、粒子径0.01μm以上0.8μm未満の範囲にそれぞれ一つ以上のピークを持ち、
前記熱伝導性無機粒子(B1)はメディアン径(D50)が100μm以上の球状アルミナ(酸化アルミニウム)であり、
前記熱伝導性液状組成物は、Thermo Fisher Scientific社製HAAKE MARS III型のレオメーターを使用し、プレートはP20 Ti L、測定ギャップ1.0mm、回転速度は1rpm〜0.01rpmの範囲、23℃における粘度が3000Pa・s以上100000Pa・s以下であり、
前記熱伝導性液状組成物をシリンジに充填し、23℃において吐出内径が直径2.5mm、吐出圧力0.5MPaで100秒吐出した際に、シリンジの破壊なく0.1g以上150g以下吐出可能であることを特徴とする熱伝導性液状組成物。
【請求項2】(削除)
【請求項3】
前記熱伝導性液状組成物の熱伝導率は、5.0〜16.0W/mKである請求項1に記載の熱伝導性液状組成物。
【請求項4】
前記熱伝導性無機粒子(B2)は、
0.8μm以上10μm未満の熱伝導性無機粒子(B2−1)と、
0.01μm以上0.8μm未満の熱伝導性無機粒子(B2−2)を含み、
前記熱伝導性無機粒子(B2−1)と前記熱伝導性無機粒子(B2−2)とは、
[(B2−1)/{(B2−1)+(B2−2)}]×100
で求められる割合が40体積%以上80体積%未満である請求項1又は3に記載の熱伝導性液状組成物。
【請求項5】(削除)
【請求項6】
前記熱伝導性無機粒子(B2)は、さらに10μm以上100μm未満の熱伝導性無機粒子(B2−3)を含み、前記熱伝導性無機粒子(B)を100体積%としたとき、体積基準の積算分布曲線において、前記(B2−3)の割合が10体積%以上35体積%未満である請求項1、3〜4のいずれか1項に記載の熱伝導性液状組成物。
【請求項7】(削除)
【請求項8】
前記マトリックス樹脂は、オルガノポリシロキサン、炭化水素系合成油、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、及びフッ素樹脂から選ばれる少なくとも一つである請求項1、3〜4及び6のいずれか1項に記載の熱伝導性液状組成物。
【請求項9】
前記マトリックス樹脂は、オルガノポリシロキサンであり、粘度が100〜10000mPa・sである請求項1、3〜4、6及び8のいずれか1項に記載の熱伝導性液状組成物。
【請求項10】
前記熱伝導性液状組成物は、前記マトリックス樹脂(A)100質量部に対してさらに可塑剤が0質量部を超え200質量部添加されている請求項1、3〜4、6及び8〜9のいずれか1項に記載の熱伝導性液状組成物。
【請求項11】
前記可塑剤は、シリコーンオイル、シランカップリング剤及び末端トリアルコキシシリコーンから選ばれる少なくとも一つである請求項10に記載の熱伝導性液状組成物。
【請求項12】
前記熱伝導性液状組成物は、ゲル、パテ又はグリースである請求項1、3〜4、6及び8〜11のいずれか1項に記載の熱伝導性液状組成物。
【請求項13】
前記熱伝導性液状組成物は容器に充填されている請求項1、3〜4、6及び8〜12のいずれか1項に記載の熱伝導性液状組成物。
【請求項14】
前記熱伝導性液状組成物は、硬化触媒を含む請求項1、3〜4、6及び8〜13のいずれか1項に記載の熱伝導性液状組成物。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2023-10-31 
出願番号 P2021-561031
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (C09K)
P 1 651・ 537- YAA (C09K)
P 1 651・ 113- YAA (C09K)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 門前 浩一
特許庁審判官 関根 裕
亀ヶ谷 明久
登録日 2022-01-19 
登録番号 7012197
権利者 富士高分子工業株式会社
発明の名称 熱伝導性液状組成物  
代理人 弁理士法人池内アンドパートナーズ  
代理人 弁理士法人池内アンドパートナーズ  

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