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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B01F
管理番号 1406714
総通号数 26 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2024-02-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2023-08-01 
確定日 2024-01-16 
異議申立件数
事件の表示 特許第7260925号発明「液体処理ノズル」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第7260925号の請求項1ないし29に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第7260925号の請求項1〜29に係る特許についての出願は、令和 3年 8月25日(優先権主張 令和 2年11月16日)を出願日とする出願であり、令和 5年 4月11日にその特許権の設定登録がされ、同年同月19日に特許掲載公報が発行され、その後、同年 8月 1日に、その請求項1〜29に係る特許を対象として、特許異議申立人株式会社ネクセンス(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがなされたものである。


第2 本件発明
特許異議申立ての対象である請求項1〜29に係る発明(以下、各請求項に係る発明及び特許を項番に対応させて「本件発明1」、「本件特許1」などといい、併せて「本件発明」、「本件特許」ということがある。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1〜29に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
液体を流通させる配管系に組み込んで使用される液体処理ノズルであって、
両端が開口する形態の収容通路部を有するノズルケーシングと、
一方の端面に液体入口を開口し他方の端面に液体出口を開口する貫通形態の液体流路が形成され、前記ノズルケーシングに形成された流入側開口部に向けて供給される前記液体が前記液体流路を経て前記ノズルケーシングの流出側開口部より流出可能となる位置関係にて前記収容通路部に、外周面側が前記収容通路部の内周面に対し圧入又は隙間嵌めとなるように挿入されるとともに、前記外周面から前記液体流路の内周面に向けて貫通形成されたねじ装着孔を有するコア本体と、頭部及び脚部の脚部基端側が前記コア本体の前記ねじ装着孔内に保持される一方、脚部先端側が前記液体流路の内面から突出するキャビテーション処理部とされたねじ部材とを有し、前記キャビテーション処理部と接触した前記液体がねじ谷部内にて増速するときの減圧作用により、該液体の溶存ガスを過飽和析出させるキャビテーションコアとを備え、
前記コア本体に形成される前記ねじ装着孔は、前記ねじ部材の脚部基端側を挿通保持するための脚部挿通部と、前記コア本体の外周面側の開口部を形成する形で前記脚部挿通部と一体形成され、該脚部挿通部よりも径大に形成されるとともに前記頭部を収容する頭部収容部とを備えるとともに、前記脚部挿通部内にて前記脚部の外周面に形成されている雄ねじ部の外径をmd、前記雄ねじ部のねじ山高さをmtdとしたとき、前記脚部挿通部の内径hdが、
md−mtd≦hd<md
の範囲となるように定められ、前記ねじ部材の前記脚部は前記コア本体の前記脚部挿通部に対しセルフタッピング形態にてねじ込まれるとともに、
前記ねじ部材の前記頭部の厚さをhtとしたとき、前記ノズルケーシングの前記収容通路部の内周面と前記頭部の頂面との間の距離が0.5ht以下となるよう、前記頭部収容部の形成深さが定められていることを特徴とする液体処理ノズル。
【請求項2】
前記脚部挿通部は、前記頭部収容部との接続側端部を含み第一内径hd1を有する第一部分と、前記液体流路との接続側端部を含み前記第一内径hd1よりも小さい第二内径hd2を有する第二部分とからなり、前記脚部挿通部内にて前記脚部の外周面に形成されている雄ねじ部の外径をmd、前記雄ねじ部のねじ山高さをmtd、前記頭部収容部の内径をhd3としたとき、前記第一部分の前記第一内径hd1が、
md≦hd1<hd3
の範囲となるように定められ、前記ねじ部材の前記脚部が前記第一部分に対し隙間嵌め形態にて挿入される一方、前記第二部分の前記第二内径hd2が、
md−mtd≦hd2<md
の範囲となるように定められ、前記ねじ部材の前記脚部が前記第二部分に対しセルフタッピング形態にてねじ込まれている請求項1記載の液体処理ノズル。
【請求項3】
液体を流通させる配管系に組み込んで使用される液体処理ノズルであって、
両端が開口する形態の収容通路部を有するノズルケーシングと、
一方の端面に液体入口を開口し他方の端面に液体出口を開口する貫通形態の液体流路が形成され、前記ノズルケーシングに形成された流入側開口部に向けて供給される前記液体が前記液体流路を経て前記ノズルケーシングの流出側開口部より流出可能となる位置関係にて前記収容通路部に配置されるとともに、外周面から前記液体流路の内周面に向けて貫通形成されたねじ装着孔を有するコア本体と、頭部及び脚部の脚部基端側が前記コア本体の前記ねじ装着孔内に保持される一方、脚部先端側が前記液体流路の内面から突出するキャビテーション処理部とされたねじ部材とを有し、前記キャビテーション処理部と接触した前記液体がねじ谷部内にて増速するときの減圧作用により、該液体の溶存ガスを過飽和析出させるキャビテーションコアとを備え、
前記コア本体に形成される前記ねじ装着孔は、前記ねじ部材の脚部基端側を挿通保持するための脚部挿通部と、前記コア本体の外周面側の開口部を形成する形で前記脚部挿通部と一体形成され、該脚部挿通部よりも径大に形成されるとともに前記頭部を収容する頭部収容部とを備え、
前記脚部挿通部は、前記頭部収容部との接続側端部を含み第一内径hd1を有する第一部分と、前記液体流路との接続側端部を含み前記第一内径hd1よりも小さい第二内径hd2を有する第二部分とからなり、前記脚部挿通部内にて前記脚部の外周面に形成されている雄ねじ部の外径をmd、前記雄ねじ部のねじ山高さをmtd、前記頭部収容部の内径をhd3としたとき、前記第一部分の前記第一内径hd1が、
md≦hd1<hd3
の範囲となるように定められ、前記ねじ部材の前記脚部が前記第一部分に対し隙間嵌め形態にて挿入される一方、前記第二部分の前記第二内径hd2が、
md−mtd2≦hd<md
の範囲となるように定められ、前記ねじ部材の前記脚部が前記第二部分に対しセルフタッピング形態にてねじ込まれていることを特徴とする液体処理ノズル。
【請求項4】
前記脚部に形成されているねじ山のピッチをPとしたとき、前記第一部分の長さが3P以上に確保されている請求項3に記載の液体処理ノズル。
【請求項5】
前記ねじ部材は金属製であり、前記コア本体が樹脂材料にて構成され、前記脚部に形成されているねじ山のピッチをPとしたとき、前記第二部分の長さが1P以上10P以下に設定されている請求項3又は請求項4に記載の液体処理ノズル。
【請求項6】
液体を流通させる配管系に組み込んで使用される液体処理ノズルであって、
両端が開口する形態の収容通路部を有するノズルケーシングと、
一方の端面に液体入口を開口し他方の端面に液体出口を開口する貫通形態の液体流路が形成され、前記ノズルケーシングに形成された流入側開口部に向けて供給される前記液体が前記液体流路を経て前記ノズルケーシングの流出側開口部より流出可能となる位置関係にて前記収容通路部に配置されるとともに、外周面から前記液体流路の内周面に向けて貫通形成されたねじ装着孔を有するコア本体と、頭部及び脚部の脚部基端側が前記コア本体の前記ねじ装着孔内に保持される一方、脚部先端側が前記液体流路の内面から突出するキャビテーション処理部とされたねじ部材とを有し、前記キャビテーション処理部と接触した前記液体がねじ谷部内にて増速するときの減圧作用により、該液体の溶存ガスを過飽和析出させるキャビテーションコアとを備え、
前記コア本体に形成される前記ねじ装着孔は、前記ねじ部材の脚部基端側を挿通保持するための脚部挿通部と、前記コア本体の外周面側の開口部を形成する形で前記脚部挿通部と一体形成され、該脚部挿通部よりも径大に形成されるとともに前記頭部を収容する頭部収容部とを備え、
前記脚部挿通部は、前記頭部収容部との接続側端部を含み第一内径hd1を有する第一部分と、前記液体流路との接続側端部を含み前記第一内径hd1よりも小さい第二内径hd2を有する第二部分とからなり、前記脚部挿通部内にて前記脚部の外周面に形成されている雄ねじ部の外径をmd、前記雄ねじ部のねじ山高さをmtd、前記頭部収容部の内径をhd3としたとき、前記第一部分の前記第一内径hd1が、
md≦hd1<hd3
の範囲となるように定められ、前記ねじ部材の前記脚部が前記第一部分に対し隙間嵌め形態にて挿入される一方、前記第二部分の前記第二内径hd2が、
md−mtd≦hd2<md
の範囲となるように定められ、
前記ねじ部材は金属製であり、前記コア本体が樹脂材料にて構成され、前記脚部に形成されているねじ山のピッチをPとしたとき、前記第二部分の長さが1P以上2P以下に設定され、前記ねじ部材の前記脚部は前記第二部分の内周面に圧入されつつ先端を前記液体流路内に突出させていることを特徴とする液体処理ノズル。
【請求項7】
前記キャビテーションコアにおいて前記キャビテーション処理部をなす前記ねじ部材として、ねじピッチ及びねじ谷深さが0.10mm以上0.40mm以下、公称ねじ径Mが1.0mm以上2.0mm以下の複数のねじ部材を備えるとともに、前記キャビテーション処理部が、
前記液体流路の中心軸線と直交する仮想的なねじ配置面が前記中心軸線に沿って複数設定されるとともに、総数にて8以上の前記ねじ部材が2つ以上の前記ねじ配置面に分配される形で配置され、前記液体流路の液体流通領域の面積が各前記ねじ配置面において3.8mm2以上確保され、前記液体流路の全断面積に占める液体流通領域の割合として定められる面内流通面積率が40%以上に確保され、前記液体流路の断面の中心軸線と直交する平面への投影にて前記中心軸線から該液体流路の半径の70%以内の領域に位置する谷点を全ねじ配置面について合計した総数を、前記液体流路の断面積で除した70%谷点面積密度と定義したとき、前記70%谷点面積密度の値が1.6個/mm2以上に確保され、
さらに、前記液体流路の中心軸線方向に互いに隣接する前記ねじ配置面の間隔が前記公称ねじ径以上に確保されてなる請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の液体処理ノズル。
【請求項8】
前記液体流路の前記液体流通領域の面積が各前記ねじ配置面において5.0mm2以上確保され、前記70%谷点面積密度の値が2.0個/mm2以上に確保されてなる請求項7記載の液体処理ノズル。
【請求項9】
前記ねじ配置面上にて前記ねじ部材は前記液体流路の円形の軸断面の直径に前記脚部の長手方向を一致させる位置関係にて配置されてなる請求項7又は請求項8に記載の液体処理ノズル。
【請求項10】
前記ねじ部材を3本以上含む前記ねじ配置面が前記中心軸線方向に2面以上設定されてなる請求項9記載の液体処理ノズル。
【請求項11】
前記ねじ配置面上の3本以上の前記ねじ部材は、各ねじの前記脚部の先端面が前記中心軸線を取り囲むことにより中心ギャップを形成するように配置されてなる請求項10記載の液体処理ノズル。
【請求項12】
互いに隣接する前記ねじ配置面のそれぞれにおいて3以上の同数の前記ねじ部材が、前記脚部が前記液体流路の断面半径方向に沿うように前記中心軸線周りに等角度間隔にて配置されるとともに、前記中心軸線周りにおける前記ねじ部材の配置角度位相が隣接する前記ねじ配置面にて一致するように定められてなる請求項7ないし請求項11のいずれか1項に記載の液体処理ノズル。
【請求項13】
前記ねじ部材は前記脚部よりも径大の頭部を有し、前記ねじ配置面の間隔が該頭部の外径よりも大きく設定されてなる請求項12記載の液体処理ノズル。
【請求項14】
互いに隣接する前記ねじ配置面で前記ねじ部材の前記脚部は、前記平面への投影において長手方向を互いに交差させる位置関係にて配置されてなる請求項7ないし請求項11のいずれか1項に記載の液体処理ノズル。
【請求項15】
前記中心軸線方向における前記ねじ配置面の間隔が前記ねじ部材の公称ねじ径の2.0倍以上に設定されてなる請求項14に記載の液体処理ノズル。
【請求項16】
前記中心軸線方向における前記ねじ配置面の間隔が前記ねじ部材の公称ねじ径の4.0倍以上に設定されてなる請求項15記載の液体処理ノズル。
【請求項17】
互いに隣接する前記ねじ配置面のそれぞれにおいて3以上の同数の前記ねじ部材が、前記脚部が前記液体流路の断面半径方向に沿うように前記中心軸線周りに等角度間隔にて配置されるとともに、前記中心軸線周りにおける前記ねじ部材の配置角度位相が隣接する前記ねじ配置面にて互いにずれた形で定められてなる請求項14ないし請求項16のいずれか1項に記載の液体処理ノズル。
【請求項18】
前記液体の流通方向にて、前記ノズルケーシングの前記液体入口と前記液体出口との一方の位置する側を第一側とし他方の位置する側を第二側として、前記ノズルケーシングは、前記第一側を構成するケーシング本体と前記第二側を構成するコア押え部とからなり、
前記ケーシング本体は第二側端面にコア挿入口を開口する形で前記収容通路部が形成され、前記収容通路部に挿入された前記キャビテーションコアの第二側端面よりも前記ケーシング本体の第二側端部が延出するとともに、該第二側端部の内周面に組立用雌ねじ部が形成され、
前記コア押え部の第一側端部の外周面には前記ケーシング本体の前記組立用雌ねじ部と螺合する組立用雄ねじ部が形成されるとともに、前記組立用雄ねじ部を前記組立用雌ねじ部に螺合締結させることにより前記コア押え部は、第一側端面を前記キャビテーションコアの第二側端面の外周縁部に当接させる形で該キャビテーションコアを抜止め保持しており、
前記ケーシング本体の第一側端部と前記コア押え部の第二側端部には、その一方に前記配管系の第一ねじ継手と螺合するノズル側ねじ継手部が刻設され、他方に前記配管系の第二ねじ継手をなす雄ねじ部と螺合する袋ナットが回転自在に嵌着されている請求項1ないし請求項17のいずれか1項に記載の液体処理ノズル。
【請求項19】
前記袋ナットが前記コア押え部の第二側端部に回転自在に嵌着されるとともに、前記ケーシング本体の外周面には、前記液体処理ノズルの前記配管系への組付け時に使用する締結用工具を係合させるための、少なくとも1対の平行面を有した工具係合部が形成されている請求項18に記載の液体処理ノズル。
【請求項20】
前記コア押え部の前記第二側端部には、前記液体流路の一部をなすとともに前記コア押え部の前記組立用雄ねじ部を前記ケーシング本体の前記組立用雌ねじ部に螺合締結させる際に使用する組立用工具を係合させるための工具係合孔が軸線方向に貫通形成されている請求項18又は19に記載の液体処理ノズル。
【請求項21】
前記ケーシング本体には、前記液体処理ノズルに付加機能を追加する付加機能部が設けられている請求項18ないし請求項20のいずれか1項に記載の液体処理ノズル。
【請求項22】
前記付加機能部は、前記液体流路の流路断面積を連続的又は段階的に切り替えるための流路調整バルブを含む請求項21に記載の液体処理ノズル。
【請求項23】
前記付加機能部は、前記液体流路から前記液体を分岐流通させるための分岐配管を含む請求項21又は請求項22に記載の液体処理ノズル。
【請求項24】
前記分岐配管の前記ケーシング本体に接続されている端と反対側の端部には、前記分岐配管からの前記液体の流入を受け入れるとともに受け入れた前記液体に薬液を溶出させる薬液保持部が設けられ、前記薬液が溶出した前記分岐配管内の前記液体が、前記分岐配管の前記ケーシング本体との接続端から前記液体流路側へ逆流形態にて徐放流出するようになっている請求項23に記載の液体処理ノズル。
【請求項25】
前記薬液が洗浄用薬液である請求項24記載の液体処理ノズル。
【請求項26】
前記キャビテーションコアの前記コア本体の前記液体流路は、該液体流路の中心軸線の中点を含む区間が円筒面形態の絞り部とされ、
前記液体流路の前記絞り部の前後区間をなす部分が各々前記絞り部よりも径大の一対の拡径部とされ、
前記ねじ装着孔が前記ねじ部材とともに前記絞り部に配設されるとともに、
前記拡径部のそれぞれの内側に整流部材が前記コア本体と一体化される形態で配置されている請求項1ないし請求項25のいずれか1項に記載の液体処理ノズル。
【請求項27】
前記一対の拡径部にそれぞれ配置される前記整流部材が互いに同一の構成を有する請求項26記載の液体処理ノズル。
【請求項28】
前記整流部材は、金属弾性帯状部材を短辺の方向の折り目にて山部と谷部が交互に現れるようにつづら折れ形態となしたものを、さらに前記短辺と平行な軸線周りに丸めることにより星形の断面形態をなすよう形成された星形整流部材であり、該星形整流部材が前記拡径部に対し前記短辺の方向が前記拡径部の軸線と一致する向きに挿入されている請求項27に記載の液体処理ノズル。
【請求項29】
前記拡径部は内周面が前記絞り部よりも径大の円筒面とされるとともに前記絞り部に対し段付き面を介して接続されてなり、
前記星形整流部材は、自由状態にて前記拡径部の内径よりも径大に形成されたものが、前記拡径部内に前記軸線に関する半径方向に弾性的に縮径しつつ圧入されるとともに、前端側を前記段付き面に当接させた状態にて半径方向への弾性復帰力により前記拡径部の内周面に外周面側をグリップさせた形にて前記コア本体に対し一体化されている請求項28に記載の液体処理ノズル。」
(当審注:【請求項3】の「md−mtd2≦hd<md」は「md−mtd≦hd2<md」の誤記である。)


第3 申立人による特許異議の申立理由の概要
本件発明は、下記に記載の甲第1号証に記載された発明及び周知技術(甲第2号証及び甲第3号証を根拠文献とする)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

甲第1号証:特許第6762461号公報
甲第2号証:東レ株式会社ホームページ ネジ締結、セルフタップ,東レ株式会社,出力日:令和 5年 7月 7日,URL:<https://www.plastics.toray/ja/technical/torelina/tec_027.html>
甲第3号証:テクノUMG株式会社ホームページ セルフタップ,テクノUMG株式会社,出力日:令和 5年 7月 7日,URL:<https://www.t-umg.com/jp/products_umg_info/5_list_detail.html>

以下、甲第1号証を略して、「甲1」などという。
また、甲2及び甲3については、出力日が、本願の優先日である令和 2年11月16日よりも後の令和 5年 7月 7日であり、公知日が、本願の優先日前であることを示す資料等は、申立人から提出されていないことから、甲2及び甲3の公知日が、本願の優先日前とはいえない。


第4 当審の判断
当審は、上記第3に記載の申立理由には理由がないと判断する。
以下、その理由について詳述する。

1 甲1〜3に記載の事項(「・・・」は省略を表す。下線は当審にて付与した。)
(1)甲1に記載の事項
ア「【請求項1】
処理対象液体を流通させる配管系に組み込んで使用される液体処理ノズルであって、
一端に流入側開口部を他端に流出側開口部を形成する貫通形態の収容通路部を備えるとともに、少なくも前記流入側開口部の形成側端部に前記配管系への接続継手部が形成され、かつ前記収容通路部の内周面が円筒面状とされたノズルケーシングと、
前記ノズルケーシングの前記収容通路部に配置され、個別の流通路を有するとともに前記流入側開口部又は前記流出側開口部から前記収容通路部内の所定位置に内挿可能に形成されるとともに前記収容通路部内の流れ方向において互いに隣接する形態に配置された複数の構成エレメントの集合体として構成された処理機能部とを備え、前記集合体を構成する複数の前記構成エレメントは、
一方の端面に液体入口を開口し他方の端面に液体出口を開口する貫通形態の液体流路が形成され、前記ノズルケーシングの前記流入側開口部に向けて供給される前記液体が前記液体流路を経て前記流出側開口部より流出可能となる位置関係にて前記処理機能部に組み込まれるコア本体と、前記液体流路の内面から各々突出するとともに外周面に周方向の山部と高流速部となる谷部とが複数交互に連なるように形成された衝突部とを備え、前記衝突部と接触した前記液体が前記谷部内にて増速するときの減圧作用により、該液体の溶存ガスを過飽和析出させて微細気泡発生処理を行うとともに、前記コア本体が前記収容通路部の円筒面状の前記内周面に隙間嵌め可能な外周面を有する円柱状に形成された1又は複数のコアエレメントと、
前記コアエレメントに供給される前記液体の前処理又は後処理を行うとともに、前記コアエレメントと同一外径の円筒状に形成された1又は複数の付加エレメントとを含む2以上の構成エレメントを含むものとして構成され、
前記処理機能部をなす前記集合体は、前記付加エレメントとして前記コアエレメントの上流側又は下流側にて前記液体の流れを調整する流れ調整エレメントを含むものであり、該流れ調整エレメントは、前記コアエレメントの上流側に配置されるとともに、該コアエレメントの前記液体入口に向けて流路断面積が漸次縮小する流れ絞りエレメントを含み、該流れ絞りエレメントは、内周面が前記コアエレメントと隣接する端面側にて径小となるテーパ面とされ、
前記処理機能部において、前記収容通路部内にて前記構成エレメントが前記集合体を構築した際に、該集合体全体の外周面が前記収容通路部の内周面と密着ないし隙間嵌めをなすように、個々の前記構成エレメントの形状が定められ、該処理機能部の液流通が前記ノズルケーシングとの隙間に迂回せず前記コアエレメントの液体流路にもれなく導かれるようになっており、前記液体は前記流れ絞りエレメントで絞られて流速を上げながら前記コアエレメントの前記液体流路に供給されることを特徴とする液体処理ノズル。
【請求項2】
前記処理機能部をなす前記集合体が、互いに独立して前記微細気泡発生処理を行う複数の前記コアエレメントを含むものである請求項1記載の液体処理ノズル。
・・・
【請求項9】
前記コアエレメントの前記コア本体は、軸線と平行な向きに前記液体流路が貫通形成される円柱状に形成され、前記衝突部は該コア本体の外周面から前記液体流路に向けてねじ込まれるとともに、先端部が前記液体流路の内周面から突出して前記衝突部を形成するねじ部材により形成されてなる請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の液体処理ノズル。」

イ「【0001】
この発明は微細気泡発生に使用する液体処理ノズル及び液体処理ノズル用コアエレメントに関するものである。
・・・
【0005】
キャビテーション方式の微細気泡発生装置は、ノズルのねじ部を通過する液の流速を気泡発生に十分な高速に確保する必要があり、送液流量に応じてノズルの流通断面積を個別に設定する必要がある。その結果、求められる流量が異なればノズルの流通断面積や気泡発生を司るねじ部材の仕様も異なるものとなる(特許文献8を参照)。例えば、特許文献4〜8に開示されているノズルは、ねじを組み込んだ気泡発生部であるコア部が、配管接続用の継手部が形成されるコア本体と一体不可分に構成されている。その結果、種々の設置先における配管系の内径や継手寸法などが規格等により共通していても、要求される流量が異なれば全体を別のノズルとして構成せざるを得ず、パーツ等の共用化を図るといった設計汎用性に乏しい欠点がある。また、設置先配管のスペース上の都合により、ノズルの全長に制約が加わる場合も、コア部の長さは変わらなくとも、前後の絞り部の全長は見直さなければならない。この場合もコア本体は、絞り部とコア部が一体化されている関係上、全体を個別に設計せざるを得ないのである。
【0006】
一方、特許文献2及び3に開示されている構成は、気泡発生を担うノズルの本体を円柱状に構成し、設置先となる配管や機器筐体(例えばシャワーの握り手部)の内側に内挿するようになっている。この構成は、コア本体から継手部が分離されてはいるものの、気泡発生するコア部(高流速流路部)に対し、前後のテーパ状の絞り部が一体に形成されている点については同じであり、設置先に応じてコア本体全体を個別に設計しなければならない点に何ら変わりはない。
【0007】
本発明の課題は、キャビテーション方式にて微細気泡発生を担う液体処理ノズルを構成するにあたり、気泡発生を担うコア部とその周辺の構成要素との相互独立性を高め、設置先の送液流量や設置スペース等に応じて仕様の異なるノズルが要望される場合にあってもパーツ共用化を容易に図ることができ、ひいては設計汎用性が大幅に改善された液体処理ノズル及び液体処理ノズル用コアエレメントを提供することにある。」

ウ「【0034】
以下、本発明を実施するための形態を添付の図面を用いて説明する。
図1は、本発明の液体処理ノズルの組み込んだ水道配管システムの一例を示す斜視図である。この水道配管システム200は、上水道に直結される冷水供給部203と、図示しない給湯器につながる温水供給部204とのそれぞれが、止水栓211と配管系205を介して湯水混合栓201に接続される。湯水混合栓201は、冷水供給部203からの冷水と温水供給部204からの温水とを、レバー202の操作状態に応じた混合比および流量にて混合し、流出口201から流出させる周知の構成のものである。配管系205及び206はいずれも同一の構成であり、止水栓211の流出側継手部(本実施形態では雄ねじ継ぎ手部211(図10))と給水フレキ配管213との間に本発明の一実施形態である液体処理ノズル100が組み込まれた構成となっている。なお、液体処理ノズル100は冷水供給部203と温水供給部204とのどちらか一方、例えば冷水供給部203側にのみ設けるようにしてもよい。
【0035】
図2はその液体処理ノズルを取り出し拡大して示すものである。
液体処理ノズル100は、一端に流入側開口部54が、他端に流出側開口部55が形成された貫通形態の収容通路部56を有するノズルケーシング50を備える。ノズルケーシング50の流入側開口部54の形成側端部には、図1の配管系205ないし206への接続継手部51,52が形成されている。ノズルケーシング50は金属配管部材であり、流入側の接続継手部52は外周面に工具係合部53が形成された雌ねじ継手部とされ、流出側の接続継手部51は雄ねじ継ぎ手とされている(いずれも本実施形態ではG1/2規格ないしRc1/2規格の配管用継ぎ手)。
【0036】
本実施形態においてノズルケーシング50は、円筒状に形成された流出側の本体部50bと、外周面に工具係合部53が形成された流入側の押さえ部材50aとの2部分からなる。本体部50bの流入側開口内周面には雌ねじ部50cが形成されている。一方、押さえ部材50aの流出側端部外周面には雄ねじ部50dが形成されており、その基端位置にはオーリング50eがはめ込まれている。オーリング50eがはめ込まれる雄ねじ部50dの基端部外周面と、本体部50bの雌ねじ部50cの開口端側内周面とは、それぞれねじ山が形成されておらず、オーリング50eが該位置でラジアル方向に圧縮されるように隙間量が調整されている。また、押さえ部材50aを本体部50bに一杯まで締めこむことにより、工具係合部53の端縁が本体部50bの端縁と重なるように、雌ねじ部50cの及び雄ねじ部50dのねじ長が設定されており、図2の上に示す如く、あたかも一体の配管部材のような外観を呈するように工夫されている。また、雌ねじ部50cと雄ねじ部50dは接着剤ないしロウ材により接合されている。
【0037】
本体部50bは、流入側開口部側から流出側開口部に向けて軸線方向に貫通する収容通路部56が形成されている。本実施形態では、収容通路部56は流入側から流出側に向けて2つの段付き面56aおよび56bを介して2段階に縮径する形で、内径の異なる3つの円筒内周面区間に分かれている。そして、該収容通路部56には、それぞれ個別の流路を有するとともに、収容通路部56内に内挿され、個別の流通路を有した複数の構成エレメント61,1,63の集合体として構成された処理機能部60が収容されている。処理機能部60を形成する構成エレメントは、流入側から具体的に、流れ絞りエレメント61、コアエレメント1及び整流エレメント63であり、収容通路部56内にて軸線方向にこの順に積層配置されている。そして、その微細気泡発生処理の要部を担うのがコアエレメント1である。
【0038】
図3は、コアエレメント1の詳細を示すものである。コアエレメント1は、コア本体2と衝突部10A,10Bとからなる(以下、衝突部10A,10Bを総称する場合、単に衝突部10ともいう)。コア本体2は円柱状に形成されており、一方の端面に液体入口4を開口し他方の端面に液体出口5を開口する貫通形態の液体流路9が形成されている。この実施形態ではコア本体2に対し、円筒内周面をなす液体流路9が中心軸線に関して軸対象となるように、同一内径にて一部が重なるよう2個隣接形成されている。図4は液体流路9の一方を側面視した場合の拡大図であり、衝突部10は外周面に周方向の山部11と高流速部となる谷部12とが複数交互に連なるように形成されている。
【0039】
衝突部10は、この実施形態では、脚部末端側が液体流路9内に突出するねじ部材(以下、「ねじ部材10」ともいう)であり、結果、衝突部10に形成される複数巻の山部11は、らせん状に一体形形成されている。コア本体2の材質は、たとえばABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、ナイロン、ポリカーボネート、ポリアセタール、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ジュラコン(商標名)などの樹脂であるが、ステンレス鋼や真鍮などの金属、あるいはアルミナ等のセラミックスとしてもよい。また、ねじ部材10はステンレス鋼等の金属ないしアルミナや石英などのセラミックスで構成される。なお、衝突部10の山部は螺旋状のねじ山に限られるものではなく、分離隣接形成された複数の凸条部であってもよいが、詳細は特許文献7及び8に記載の通りであり説明は略する。
【0040】
液体流路9にそれぞれ形成される衝突部10の組は、コア本体2に形成されたねじ孔19にて、その壁部外周面側から先端が液体流路9内へ突出するようにねじ込まれる4本のねじ部材により形成されている。ねじ孔19とねじ部材10との間は接着剤等によりセッティング固定され、ねじ部材(衝突部)10と液体流路9の内周面との間には主流通領域21が形成されている。また、各液体流路9において、4つの衝突部10が形成する十字の中心位置には、液体流通ギャップ15が形成されている。液体流通ギャップ15を形成する4つの衝突部10の先端面は平坦に形成され、前述の投影において液体流通ギャップ15は正方形状に形成されている。
【0041】
次に、液体流路9の外周縁内側の全面積、ここでは、図3の2つの液体流路9の円形軸断面の投影面積(内径をdとしたとき、πd2/4)の合計をS1、衝突部10(4本のねじ部材)の投影面積をS2として、処理コア部の全流通断面積Stを、
St=S1−S2 (単位:mm2)
として定義したとき、この全流通断面積Stが2.5mm2以上(10mm2以下)に確保されている。本実施形態では、図4に示す主流通領域21と液体流通ギャップ15との合計面積(の2つの液体流路9の間での和)が全流通断面積Stに相当する。また、ねじ部材(衝突部)10の谷部12の深さhは0.2mm以上確保されている。衝突部10と接触した液体は谷部11内にて増速するときの減圧作用により、該液体の溶存ガスを過飽和析出させて微細気泡発生処理を行う。ねじ部材10はJIS並目ピッチのM1.0以上M2.0以下のものが使用され、特許文献8に定義された液体流路9内の有効谷点密度が1.5個/mm2以上確保されている。また、液体流路9の内径は2mm以上7mm以下で調整される。
【0042】
図3に戻り、液体流路9にそれぞれ形成される衝突部の組は、コア本体2の外周面側から先端が液体流路9内へ突出するようにねじ込まれる4本のねじ部材10により形成されている。図中破線で示すように、ねじ部材10は、コア本体2の壁部に貫通形成されたねじ孔19にねじ込まれ、各ねじ孔19のねじスラスト方向途中位置にはねじ頭下面を支持するための段付き面19rが形成されている(ねじ孔19は、段付き面19rよりも液体流路9側に位置する部分にのみねじ山が形成されている)。そして段付き面19rの形成位置は、ねじ部材10をねじ込んだ時に、液体流路9内に突出するねじ脚部(すなわち、衝突部となる部分)の長さが、液体流通ギャップ15を形成するのに適正となるように調整されている。」

エ「【0050】
水道水は、図4にてねじ部材10と液体流路9の内周面との間に形成される主流通領域21と液体流通ギャップ15とからなる液流通領域にてねじ部材10に衝突しながらこれを通過する。この際、流れは谷部12に高速領域を、山部11に低速領域をそれぞれ形成する。すると、谷部12の高速領域はベルヌーイの定理により負圧領域となり、キャビテーションすなわち溶存空気の減圧析出により気泡が発生する。谷部はねじ部材10の外周に複数巻形成され、かつねじ部材10が液体流路9内に複数(4本)配置されていることから、この減圧析出は液体流路9内の谷部にて同時多発的に起こることとなる。
【0051】
その結果、液体流路9内では溶存空気の減圧析出が沸騰的に激しく起こり、さらに流れがねじ部材10の下流に迂回する際に生ずる渦流にこれを巻き込んで激しく撹拌する。これにより、衝突部10の周辺及び直下流域には、微小渦流を無数に含んだ顕著な強撹拌領域が形成される。気泡を析出する減圧域は衝突部10の周囲の谷底付近に限られており、高速の液体流はほとんど瞬時的に該領域を通過してしまうから、発生した気泡はそれほど成長せずに上記の撹拌領域に巻き込まれ、気泡径が1μm未満(特に500nm未満)の微細気泡が効率的に発生する。この微細気泡の発生により、水道水は洗浄性や浸透性が高められ、特許文献7ないし8に記載された種々の効果を享受できる。」

オ「【0061】
次に、図2において、液体流路9に対しねじ部材10A,10Bは、4本のものが十字形態をなすように配置されている。具体的には、液体流路9の断面中心点C1,C1間を結ぶ基準線BLに関し、第一の側に45°傾斜した方向(AL)に液体流路9の断面中心を挟んで互いに対向するねじ部材対10A,10Bと、第一の側と反対の第二の側に45°傾斜した方向(AL’)に液体流路9の断面中心を挟んで互いに対向するねじ部材対10A,10Bとからなる。このレイアウトにより、一方の液体流路9に向けてコア本体2にねじ込まれるねじ部材が、他方の液体流路9を横切ってねじ込まれることを防止しつつ、各液体流路9に対して4本ものねじ部材を配設でき、微細気泡の発生効率を大幅に高めることに貢献している。
【0062】
液体流路9中に突出するのは、ねじ部材の脚部であるが、ねじ頭部10hは脚部よりも径大に形成されるので、液体流路9の互いに隣接する側(くびれ形態となる領域)に配置されるねじ部材の頭部10hは、脚長を小さくしすぎると一部が隣の液体流路9内周面から突出することになる。この頭部10hの突出量が大きくなりすぎると液体流通に対する圧損要素となり、微細気泡の発生効率低下につながる。そこで、各ねじ部材の対は、ねじ軸線方向ALにおける液体流路9の断面中心点C1からコア本体2の外周縁までの距離が近い側に配置されるものを第一ねじ部材10A、遠い側に配置されるものを第二ねじ部材10Bとして、第一ねじ部材10Aは頭部10hがコア本体2の外形線よりも内側の領域に収まるようにねじ脚部の長さが設定されているのである。
【0063】
他方、第二ねじ部材10Bは、コア本体2の断面中心C0に関し液体流路9の断面と同一径にて基準円D1を描いたとき、該基準円D1とコア本体2の断面外形線との間に位置する領域に頭部10hが収まるようにする。このように構成することで、ねじ部材の頭部10hの液体流路9の内周面への過度の露出を抑制でき、上記の問題を解消することができる。このとき、図からも明らかなごとく、コア本体2の外周面からの距離が大きい第二ねじ部材10Bの突出脚部長は、頭部10hを上記領域内に収めるために、第一ねじ部材10A(の脚部突出長)よりも大きく設定することが幾何学的に必須であることがわかる。第二ねじ部材10Bの頭部10hは、隣の液体流路9内に全く露出しないのがよく、図2において頭部10hは、当該第二ねじ部材10Bが属さない側の液体流路9の断面内周縁よりも外側に位置するように脚部長が調整されている。
【0064】
ここで、コア本体2の外径寸法は第一ねじ部材10Aの脚部長に規制されることとなる。その際、コア本体2の外径を縮小するには、(1)第一ねじ部材10Aの頭部10hをコア本体2の外周面にできる限り近づけること;(2)第一ねじ部材10Aのコア本体2に対する脚部基端部の埋設長を、液体流路9に突出するねじ脚部の基端支持強度が確保できる範囲内でできるだけ小さく設定すること;がポイントとなる。
【0065】
図2においては、上記(1)を解決するために、第一ねじ部材10Aが、コア本体2の断面中心C0に関しコア本体2の外径の90%(望ましくは95%)となる仮想円D2よりも外側に頭部10hの最外縁を位置させるよう、その脚部長が調整されている。また(2)を解決するために、第一ねじ部材10Aの脚部基端側が脚部全長の20%以上60%以下(望ましくは30%以上50%以下)の範囲内でコア本体2に埋設されるよう、脚部長が調整されている。これにより、コアエレメント1は、コア本体2の外形寸法が幾何学的限界に近いレベルにまで縮小され、内径寸法の特に小さい収容通路部56内にも容易に収容できるようになっている。
【0066】
なお、図11に示すように、コアエレメント1において第二ねじ部材10Bの脚部を、コア本体2の外周面に近接する位置まで延長し、第一ねじ部材10Aと同様に、その頭部10hの最外縁を仮想円D2よりも外側に位置させる構成とすることも可能である。このようにすると、第一ねじ部材10Aとともに第二ねじ部材10Bも頭部10hがコア本体2の外周面に近づき、ノズルケーシング50に隙間嵌めで収容した際に、収容通路部56の内周面が、ねじの緩みに伴う頭部10hの突出を規制するので、コア本体2に対するねじ部材10A,10Bの接着によるセッティングを省略できる。」

カ「【図2】

【図3】



(2)甲2に記載の事項
ア「

1タップネジについて
トレリナTMのセルフタップに用いるタッピングネジとしては1〜3種タッピングネジのいずれでも加工できますが、ピッチが0.8mm以下の場合にボスの下穴を削ってしまい十分な締結力が得られない場合がありますので注意が必要です。

2樹脂ボスの設計
タッピングネジの形状に合わせ、かつネジの強度が十分発揮できるよう樹脂ボス部を設計する必要があります。

(1)下穴径および入り口形状

使用するタッピングネジの有効径と同等かやや小さめで、谷径よりもやや大きめ、ネジの呼び径の85%くらいが適切であり、式10.4に示すセルフタップネジの引っかかり率は50〜70%を目処に設計してください。下穴径が過大の場合、ネジ締め付け時に樹脂ボス部のメネジが破壊し、下穴径が過小の場合、樹脂ボスの破壊またはネジ自身の破壊の原因になります。また、下穴の入り口は可能なかぎり皿状や曲面状にして呼び込み穴(深さ:1mm前後、径:ネジ外径+0.1〜0.2mm)を設け締結時に入り口付近が欠けないよう配慮してください。



イ「

樹脂成型品を組み立てる工程では、金属製のシャフトなどを圧入(Fig.10.41)して固定することが多くあります。圧入は、圧入代D(式10.10)によって発生する弾付け力とシャフトと成形品の摩擦によって固定します。圧入に必要な力と引き抜き力は本来等しいですが、実際には応力緩和の影響があることから引き抜き力が小さくなります。
D=Ds−Di・・・(式10.10)」

(3)甲3に記載の事項
ア「





2 甲1に記載された発明
(1)上記1(1)アによれば、甲1には、請求項1及び2を引用する請求項9として、以下の発明が記載されている。
「処理対象液体を流通させる配管系に組み込んで使用される液体処理ノズルであって、
一端に流入側開口部を他端に流出側開口部を形成する貫通形態の収容通路部を備えるとともに、少なくも前記流入側開口部の形成側端部に前記配管系への接続継手部が形成され、かつ前記収容通路部の内周面が円筒面状とされたノズルケーシングと、
前記ノズルケーシングの前記収容通路部に配置され、個別の流通路を有するとともに前記流入側開口部又は前記流出側開口部から前記収容通路部内の所定位置に内挿可能に形成されるとともに前記収容通路部内の流れ方向において互いに隣接する形態に配置された複数の構成エレメントの集合体として構成された処理機能部とを備え、前記集合体を構成する複数の前記構成エレメントは、
一方の端面に液体入口を開口し他方の端面に液体出口を開口する貫通形態の液体流路が形成され、前記ノズルケーシングの前記流入側開口部に向けて供給される前記液体が前記液体流路を経て前記流出側開口部より流出可能となる位置関係にて前記処理機能部に組み込まれるコア本体と、前記液体流路の内面から各々突出するとともに外周面に周方向の山部と高流速部となる谷部とが複数交互に連なるように形成された衝突部とを備え、前記衝突部と接触した前記液体が前記谷部内にて増速するときの減圧作用により、該液体の溶存ガスを過飽和析出させて微細気泡発生処理を行うとともに、前記コア本体が前記収容通路部の円筒面状の前記内周面に隙間嵌め可能な外周面を有する円柱状に形成された1又は複数のコアエレメントと、
前記コアエレメントに供給される前記液体の前処理又は後処理を行うとともに、前記コアエレメントと同一外径の円筒状に形成された1又は複数の付加エレメントとを含む2以上の構成エレメントを含むものとして構成され、
前記処理機能部をなす前記集合体は、前記付加エレメントとして前記コアエレメントの上流側又は下流側にて前記液体の流れを調整する流れ調整エレメントを含むものであり、該流れ調整エレメントは、前記コアエレメントの上流側に配置されるとともに、該コアエレメントの前記液体入口に向けて流路断面積が漸次縮小する流れ絞りエレメントを含み、該流れ絞りエレメントは、内周面が前記コアエレメントと隣接する端面側にて径小となるテーパ面とされ、
前記処理機能部において、前記収容通路部内にて前記構成エレメントが前記集合体を構築した際に、該集合体全体の外周面が前記収容通路部の内周面と密着ないし隙間嵌めをなすように、個々の前記構成エレメントの形状が定められ、該処理機能部の液流通が前記ノズルケーシングとの隙間に迂回せず前記コアエレメントの液体流路にもれなく導かれるようになっており、前記液体は前記流れ絞りエレメントで絞られて流速を上げながら前記コアエレメントの前記液体流路に供給され、
前記処理機能部をなす前記集合体が、互いに独立して前記微細気泡発生処理を行う複数の前記コアエレメントを含むものであり、
前記コアエレメントの前記コア本体は、軸線と平行な向きに前記液体流路が貫通形成される円柱状に形成され、前記衝突部は該コア本体の外周面から前記液体流路に向けてねじ込まれるとともに、先端部が前記液体流路の内周面から突出して前記衝突部を形成するねじ部材により形成されてなる
液体処理ノズル。」

(2)上記(1)の液体処理ノズルに関し、上記1(1)ウには「図1は、本発明の液体処理ノズルの組み込んだ水道配管システムの一例を示す斜視図である。この水道配管システム200は、上水道に直結される冷水供給部203と、図示しない給湯器につながる温水供給部204とのそれぞれが、止水栓211と配管系205を介して湯水混合栓201に接続される。湯水混合栓201は、冷水供給部203からの冷水と温水供給部204からの温水とを、レバー202の操作状態に応じた混合比および流量にて混合し、流出口201から流出させる周知の構成のものである。配管系205及び206はいずれも同一の構成であり、止水栓211の流出側継手部(本実施形態では雄ねじ継ぎ手部211(図10))と給水フレキ配管213との間に本発明の一実施形態である液体処理ノズル100が組み込まれた構成となっている。」(【0034】)との記載があることから、「液体処理ノズル」は「温水」又は「冷水」を流す「水道配管システム」に「組み込」まれることがわかる。

(3)上記(1)の「コア本体」に関し、上記1(1)ウには「図中破線で示すように、ねじ部材10は、コア本体2の壁部に貫通形成されたねじ孔19にねじ込まれ、各ねじ孔19のねじスラスト方向途中位置にはねじ頭下面を支持するための段付き面19rが形成されている(ねじ孔19は、段付き面19rよりも液体流路9側に位置する部分にのみねじ山が形成されている)。」(【0042】)との記載があることから、「コア本体」「の壁部に貫通形成されたねじ孔」が設けられること、及び、「ねじ孔」は「段付き面」「よりも液体流路」「側に位置する部分にのみねじ山が形成されている」ことがわかる。

(4)上記(1)の「ねじ部材」に関し、上記1(1)エには「流れは谷部12に高速領域を、山部11に低速領域をそれぞれ形成する。すると、谷部12の高速領域はベルヌーイの定理により負圧領域となり、キャビテーションすなわち溶存空気の減圧析出により気泡が発生する。谷部はねじ部材10の外周に複数巻形成され、かつねじ部材10が液体流路9内に複数(4本)配置されていることから、この減圧析出は液体流路9内の谷部にて同時多発的に起こることとなる。」(【0050】)及び「液体流路9内では溶存空気の減圧析出が沸騰的に激しく起こり、さらに流れがねじ部材10の下流に迂回する際に生ずる渦流にこれを巻き込んで激しく撹拌する。これにより、衝突部10の周辺及び直下流域には、微小渦流を無数に含んだ顕著な強撹拌領域が形成される。気泡を析出する減圧域は衝突部10の周囲の谷底付近に限られており、高速の液体流はほとんど瞬時的に該領域を通過してしまうから、発生した気泡はそれほど成長せずに上記の撹拌領域に巻き込まれ、気泡径が1μm未満(特に500nm未満)の微細気泡が効率的に発生する」(【0051】)との記載があることから、「ねじ部材の外周に」「谷部」が「複数巻形成され」、「流れは谷部に高速領域を、山部に低速領域をそれぞれ形成」し、「谷部の高速領域はベルヌーイの定理により負圧領域となり、キャビテーションすなわち溶存空気の減圧析出により気泡が発生」し、「溶存空気の減圧析出が沸騰的に激しく起こ」ることがわかる。

(5)上記(1)の「コア本体」に関し、上記1(1)ウには「液体流路9にそれぞれ形成される衝突部10の組は、コア本体2に形成されたねじ孔19にて、その壁部外周面側から先端が液体流路9内へ突出するようにねじ込まれる4本のねじ部材により形成されている。」(【0040】)及び「図3に戻り、液体流路9にそれぞれ形成される衝突部の組は、コア本体2の外周面側から先端が液体流路9内へ突出するようにねじ込まれる4本のねじ部材10により形成されている。図中破線で示すように、ねじ部材10は、コア本体2の壁部に貫通形成されたねじ孔19にねじ込まれ、各ねじ孔19のねじスラスト方向途中位置にはねじ頭下面を支持するための段付き面19rが形成されている(ねじ孔19は、段付き面19rよりも液体流路9側に位置する部分にのみねじ山が形成されている)。」(【0042】)との記載があることから、「コア本体」に「ねじ孔」が形成され、「ねじ孔」に「4本のねじ部材」が「ねじ込まれ」、「各ねじ孔のねじスラスト方向途中位置にはねじ頭下面を支持するための段付き面が形成されている」ことがわかる。

(6)上記(5)「ねじ孔」に関し、上記1(1)カの【図3】からは、ねじ孔19が、段付き面19rよりも内側の部分と、段付き面19rよりも外周面側の部分を備え、ねじ孔19の段付き面19rよりも内側の部分は、ねじ孔19の段付き面19rよりも外周面側の部分より小径であり、ねじ孔19の段付き面19rよりも外周面側の部分は、ねじ部材10の頭部10hを収容しており、ねじ孔19の段付き面19rよりも内側の部分と、ねじ孔19の段付き面19rよりも外周面側の部分とが一体に形成されていることが看取できる。

(7)上記(1)〜(6)を踏まえると、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。
「処理対象液体を流通させる配管系に組み込んで使用される液体処理ノズルであって、
一端に流入側開口部を他端に流出側開口部を形成する貫通形態の収容通路部を備えるとともに、少なくも前記流入側開口部の形成側端部に前記配管系への接続継手部が形成され、かつ前記収容通路部の内周面が円筒面状とされたノズルケーシングと、
前記ノズルケーシングの前記収容通路部に配置され、個別の流通路を有するとともに前記流入側開口部又は前記流出側開口部から前記収容通路部内の所定位置に内挿可能に形成されるとともに前記収容通路部内の流れ方向において互いに隣接する形態に配置された複数の構成エレメントの集合体として構成された処理機能部とを備え、前記集合体を構成する複数の前記構成エレメントは、
一方の端面に液体入口を開口し他方の端面に液体出口を開口する貫通形態の液体流路が形成され、前記ノズルケーシングの前記流入側開口部に向けて供給される前記液体が前記液体流路を経て前記流出側開口部より流出可能となる位置関係にて前記処理機能部に組み込まれるコア本体と、前記液体流路の内面から各々突出するとともに外周面に周方向の山部と高流速部となる谷部とが複数交互に連なるように形成された衝突部とを備え、前記衝突部と接触した前記液体が前記谷部内にて増速するときの減圧作用により、該液体の溶存ガスを過飽和析出させて微細気泡発生処理を行うとともに、前記コア本体が前記収容通路部の円筒面状の前記内周面に隙間嵌め可能な外周面を有する円柱状に形成された1又は複数のコアエレメントと、
前記コアエレメントに供給される前記液体の前処理又は後処理を行うとともに、前記コアエレメントと同一外径の円筒状に形成された1又は複数の付加エレメントとを含む2以上の構成エレメントを含むものとして構成され、
前記処理機能部をなす前記集合体は、前記付加エレメントとして前記コアエレメントの上流側又は下流側にて前記液体の流れを調整する流れ調整エレメントを含むものであり、該流れ調整エレメントは、前記コアエレメントの上流側に配置されるとともに、該コアエレメントの前記液体入口に向けて流路断面積が漸次縮小する流れ絞りエレメントを含み、該流れ絞りエレメントは、内周面が前記コアエレメントと隣接する端面側にて径小となるテーパ面とされ、
前記処理機能部において、前記収容通路部内にて前記構成エレメントが前記集合体を構築した際に、該集合体全体の外周面が前記収容通路部の内周面と密着ないし隙間嵌めをなすように、個々の前記構成エレメントの形状が定められ、該処理機能部の液流通が前記ノズルケーシングとの隙間に迂回せず前記コアエレメントの液体流路にもれなく導かれるようになっており、前記液体は前記流れ絞りエレメントで絞られて流速を上げながら前記コアエレメントの前記液体流路に供給され、
前記処理機能部をなす前記集合体が、互いに独立して前記微細気泡発生処理を行う複数の前記コアエレメントを含むものであり、
前記コアエレメントの前記コア本体は、軸線と平行な向きに前記液体流路が貫通形成される円柱状に形成され、前記衝突部は該コア本体の外周面から前記液体流路に向けてねじ込まれるとともに、先端部が前記液体流路の内周面から突出して前記衝突部を形成するねじ部材により形成され、
前記液体処理ノズルは温水又は冷水を流す水道配管システムに組み込まれ、
前記コア本体の壁部に、貫通形成されたねじ孔が設けられ、
前記ねじ孔は段付き面よりも液体流路側に位置する部分にのみねじ山が形成されており、
ねじ部材の外周に谷部が複数巻形成され、流れは谷部に高速領域を、山部に低速領域をそれぞれ形成し、谷部の高速領域はベルヌーイの定理により負圧領域となり、キャビテーションすなわち溶存空気の減圧析出により気泡が発生し、溶存空気の減圧析出が沸騰的に激しく起こり、
前記ねじ孔に4本の前記ねじ部材がねじ込まれ、各ねじ孔のねじスラスト方向途中位置にはねじ頭下面を支持するための段付き面が形成され、
前記ねじ孔が、段付き面よりも内側の部分と、段付き面よりも外周面側の部分とを備え、
前記ねじ孔の段付き面よりも内側の部分は、前記ねじ孔の段付き面よりも外周面側の部分より小径であり、
前記ねじ孔の段付き面よりも外周面側の部分は、前記ねじ部材の頭部を収容しており、
前記ねじ孔の段付き面よりも内側の部分と、前記ねじ孔の段付き面よりも外周面側の部分とが一体に形成されている、
液体処理ノズル。」

3 本件発明1について
(1)対比
ア 甲1発明の「処理対象液体を流通させる配管系に組み込んで使用される液体処理ノズル」は、本件発明1の「液体を流通させる配管系に組み込んで使用される液体処理ノズル」に相当する。

イ 甲1発明の「一端に流入側開口部を他端に流出側開口部を形成する貫通形態の収容通路部を備える」「ノズルケーシング」は、本件発明1の「両端が開口する形態の収容通路部を有するノズルケーシング」に相当する。

ウ 甲1発明の「コア本体」は、本件発明1の「コア本体」に相当する。

エ 甲1発明では、「コア本体は、軸線と平行な向きに前記液体流路が貫通形成される円柱状に形成され」ている。
軸線と平行な向きに液体流路が貫通形成される円柱状というのは、一方の端面と他方の端面に開口がある形状である。
そのため、甲1発明の「コア本体は、軸線と平行な向きに前記液体流路が貫通形成される円柱状に形成され」ている点は、本件発明1の「一方の端面に液体入口を開口し他方の端面に液体出口を開口する貫通形態の液体流路が形成され」た「コア本体」に相当する。

オ 甲1発明の「ノズルケーシング」は「一端に流入側開口部を他端に流出側開口部を形成する貫通形態の収容通路部を備え」ている。この収容通路部は、流入側開口部というのは、液体が流入(供給)される開口部である。また、流出側開口部というのは液体が流出可能な開口部である。
そのため、甲1発明の、「ノズルケーシング」が「一端に流入側開口部を他端に流出側開口部を形成する貫通形態の収容通路部を備え」、前記「ノズルケーシングの前記収容通路部に配置され」、「収容通路部の円筒面状の前記内周面に隙間嵌め」される「コア本体」は、本件発明1の「ノズルケーシングに形成された流入側開口部に向けて供給される前記液体が前記液体流路を経て前記ノズルケーシングの流出側開口部より流出可能となる位置関係にて前記収容通路部に、外周面側が前記収容通路部の内周面に対し圧入又は隙間嵌めとなるように挿入される」「コア本体」に相当する。

カ 甲1発明のコア本体は、「軸線と平行な向きに液体流路が貫通形成される円柱状」であるので、コア本体の壁を貫通するようにねじ孔を形成すると、その孔は円柱の外周面側から、円柱内の液体流路に向けて貫通した孔となる。
そのため、甲1発明の「コア本体の壁部に、貫通形成されたねじ孔」は、本件発明1の「外周面から前記液体流路の内周面に向けて貫通形成されたねじ装着孔」に相当する。

キ 甲1発明の「ねじ部材」は、上記1(1)カの【図3】に図示されているように、基端側がねじ孔に支持され、先端側が液体流路に突出することになる。そのため、甲1発明の「ねじ孔の段付き面よりも外周面側の部分」に「ねじ部材の頭部」が「収容」され、「ねじ部材の外周に谷部が複数巻形成」され、「谷部の高速領域はベルヌーイの定理により負圧領域となり、キャビテーションすなわち溶存空気の減圧析出により気泡が発生し」、「ねじ孔に」「ねじ込まれ」て「支持」される「ねじ部材」は、本件発明1の「頭部及び脚部の脚部基端側が前記コア本体の前記ねじ装着孔内に保持される一方、脚部先端側が前記液体流路の内面から突出するキャビテーション処理部とされたねじ部材」に相当する。

ク 甲1発明の「ねじ部材の外周に谷部が複数巻形成され、流れは谷部に高速領域を、山部に低速領域をそれぞれ形成し、谷部の高速領域はベルヌーイの定理により負圧領域となり、キャビテーションすなわち溶存空気の減圧析出により気泡が発生し、溶存空気の減圧析出が沸騰的に激しく起こ」るという液体処理ノズルの作用は、キャビテーションが発生する箇所であるねじ部材の谷部に至った液体が、谷部において増速して高速になり、且つ減圧することにより、液体内の溶存空気が過飽和となり減圧析出するものであるから、本件発明1の「キャビテーション処理部と接触した前記液体がねじ谷部内にて増速するときの減圧作用により、該液体の溶存ガスを過飽和析出させる」という液体処理ノズルの作用に相当する。

ケ 甲1発明の「コアエレメント」は、キャビテーションを発生させる部分を内部に備える部材(エレメント)であるから、本件発明1の「キャビテーションコア」に相当する。

コ 甲1発明の「ねじ孔」の「段付き面よりも内側の部分」は、「ねじ孔」の「段付き面よりも外周面側の部分」より小径となっており、ねじ部材の基端側を保持する部分である。そのため、甲1発明の「ねじ孔」の「段付き面よりも内側の部分」は、本件発明1の「ねじ部材の脚部基端側を挿通保持するための脚部挿通部」に相当する。

サ 甲1発明において、「ねじ孔の段付き面よりも内側の部分が、前記ねじ孔の段付き面よりも外周面側の部分より小径」であるということは、言い換えると、ねじ孔の段付き面よりも外周面側の部分が、ねじ孔の段付き面よりも内側の部分より大径であるということである。
そのため、甲1発明の「ねじ孔の段付き面よりも内側の部分と、前記ねじ孔の段付き面よりも外周面側の部分とが一体に形成され」、「ねじ孔の段付き面よりも内側の部分が、前記ねじ孔の段付き面よりも外周面側の部分より小径」であり、「ねじ部材の頭部を収容」する、「ねじ孔の段付き面よりも外周面側の部分」は、本件発明1の「前記コア本体の外周面側の開口部を形成する形で前記脚部挿通部と一体形成され、該脚部挿通部よりも径大に形成されるとともに前記頭部を収容する頭部収容部」に相当する。

シ 上記ア〜サを踏まえると、本件発明1と甲1発明は
「液体を流通させる配管系に組み込んで使用される液体処理ノズルであって、
両端が開口する形態の収容通路部を有するノズルケーシングと、
一方の端面に液体入口を開口し他方の端面に液体出口を開口する貫通形態の液体流路が形成され、前記ノズルケーシングに形成された流入側開口部に向けて供給される前記液体が前記液体流路を経て前記ノズルケーシングの流出側開口部より流出可能となる位置関係にて前記収容通路部に挿入されるとともに、前記外周面から前記液体流路の内周面に向けて貫通形成されたねじ装着孔を有するコア本体と、頭部及び脚部の脚部基端側が前記コア本体の前記ねじ装着孔内に保持される一方、脚部先端側が前記液体流路の内面から突出するキャビテーション処理部とされたねじ部材とを有し、前記キャビテーション処理部と接触した前記液体がねじ谷部内にて増速するときの減圧作用により、該液体の溶存ガスを過飽和析出させるキャビテーションコアとを備え、
前記コア本体に形成される前記ねじ装着孔は、前記ねじ部材の脚部基端側を挿通保持するための脚部挿通部と、前記コア本体の外周面側の開口部を形成する形で前記脚部挿通部と一体形成され、該脚部挿通部よりも径大に形成されるとともに前記頭部を収容する頭部収容部とを備える、
液体処理ノズル。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>
ねじ部材と脚部挿通部との関係について、本件発明1では、「脚部挿通部内にて前記脚部の外周面に形成されている雄ねじ部の外径をmd、前記雄ねじ部のねじ山高さをmtdとしたとき、前記脚部挿通部の内径hdが、md−mtd≦hd<mdの範囲となるように定められ、前記ねじ部材の前記脚部は前記コア本体の前記脚部挿通部に対しセルフタッピング形態にてねじ込まれる」のに対して、甲1発明では、「コア本体の壁部に、貫通形成されたねじ孔が設けられ、前記ねじ孔は段付き面よりも流体流路側に位置する」「段付き面より内側の部分」「にのみねじ山が形成されており」「前記ねじ孔に」「前記ねじ部材がねじ込まれ」ている点。

<相違点2>
頭部収容部の形成深さが、本件発明1では、「ねじ部材の頭部の厚さをhtとしたとき、ノズルケーシングの収容通路部の内周面と前記頭部の頂面との間の距離が0.5ht以下となるよう、前記頭部収容部の形成深さが定められている」のに対し、甲1発明では、「ねじ孔の段付き面よりも外周面側の部分」の形成深さが特定されていない点。

(2)判断
前記(1)シの相違点1について検討する。
ア 甲1発明においては、「段付き面より内側の部分」「にのみねじ山が形成され」た「前記ねじ孔に」「前記ねじ部材がねじ込まれ」るのであるから、「段付き面より内側の部分」「に形成され」た「ねじ山」がいわゆる雌ねじであり、「ねじ山が形成され」た「ねじ孔に」「ねじ込まれ」る「ねじ部材」がいわゆる雄ねじであり、これらは雌ねじと雄ねじの螺合による締結構造であり、ねじ込み前に雌ねじが形成されていない「セルフタッピング形態」とは異なる締結構造である。
そして、甲1発明では、甲1の上記1(1)ウに「図中破線で示すように、ねじ部材10は、コア本体2の壁部に貫通形成されたねじ孔19にねじ込まれ、各ねじ孔19のねじスラスト方向途中位置にはねじ頭下面を支持するための段付き面19rが形成されている(ねじ孔19は、段付き面19rよりも液体流路9側に位置する部分にのみねじ山が形成されている)。そして段付き面19rの形成位置は、ねじ部材10をねじ込んだ時に、液体流路9内に突出するねじ脚部(すなわち、衝突部となる部分)の長さが、液体流通ギャップ15を形成するのに適正となるように調整されている。」(【0042】)と記載されているように、ねじ部材をねじ込んだ時に、流体流路内に突出するねじ脚部の長さを適正に調整するものであるから、セルフタッピング形態よりも、微妙な長さ調整ができる雌ねじと雄ねじの螺合による締結構造を採用するものである。
また、上記1(1)イに記載された「本発明の課題は、キャビテーション方式にて微細気泡発生を担う液体処理ノズルを構成するにあたり、気泡発生を担うコア部とその周辺の構成要素との相互独立性を高め、設置先の送液流量や設置スペース等に応じて仕様の異なるノズルが要望される場合にあってもパーツ共用化を容易に図ることができ、ひいては設計汎用性が大幅に改善された液体処理ノズル及び液体処理ノズル用コアエレメントを提供することにある。」(【0007】)との課題に鑑みても、セルフタッピング形態よりも、微妙な長さ調整などがその都度自由にできる雌ねじと雄ねじの螺合による締結構造の方が好ましいものといえる。
一方、セルフタッピング形態は、雄ねじによりねじ孔にねじ山を刻む形態であるから、ねじ孔部分をねじ部材よりも軟質な材料で構成しなければならないという材料の選択上の制約が生じるものである。
そうすると、本件発明1では、上記材料選択上の制約、設計上の不都合を受け入れた上で、本件明細書の【0006】に記載されている「本発明の課題は、キャビテーション処理部をねじ部材で構成した液体処理ノズルにおいて、液体流路に脚部を突出させたねじ部材の組み付け構造を大幅に簡略化でき、製造も容易にすることを目的とする。」という課題を解決するために「セルフタッピング形態」としたといえるものであるところ、甲1発明においては、上記材料選択上の制約、設計上の不都合を受け入れてまで、雌ねじと雄ねじの螺合による締結構造を「セルフタッピング形態」に変更する動機はない。

イ 加えて、甲1発明において、上記(1)コ及び上記アで述べたとおり、「ねじ孔に」「ねじ込まれ」る「ねじ部材」が本件発明1の「雄ねじ部」、「ねじ山が形成され」た「段付き面より内側の部分」が本件発明1の「脚部挿通部」に相当するとしても、甲1には、「脚部挿通部内にて前記脚部の外周面に形成されている雄ねじ部の外径をmd、前記雄ねじ部のねじ山高さをmtdとしたとき、前記脚部挿通部の内径hdが、md−mtd≦hd<mdの範囲となるように定め」ることについては、記載も示唆もされていない。

ウ ここで、脚部挿通部の内径hdについて検討してみると、雄ねじ部の外径をmd、雄ねじ部のねじ山高さをmtd、脚部挿通部の内径hdとしたとき、谷径はmd−2×mtdとなることから、内径hdがmd−2×mtd<hdを満たすのであればねじ部材の挿入は物理的には可能であるところ、本件発明1では脚部挿通部の内径hdの下限をmd−mtd≦hdと特定しており、脚部挿入部の内壁とねじ部材の谷の底の部分との間にやや空隙ができるようにしていることがわかる。
このmd−mtd≦hdという下限について、本願明細書【0079】には、「部挿通部の内径hdがmd−mtd未満では、セルフタッピングにより、脚部挿通部内に雌ねじ部を刻設することが難しくなる」との記載があることから、md−mtd≦hdという下限は、雌ねじが予め形成されておらず、ねじ込み時に雄ねじが孔壁を変形させて雌ねじ部を形成するというセルフタッピングにおいて、雌ねじ部の刻設を容易化することを目的とするものであることがわかる。

エ 甲1発明は、雌ねじと雄ねじの螺合による締結構造であり、この場合、雄ねじと雌ねじがちょうど螺合されるものであるから、本件発明1でいうhdの値は「md−2×mtd」未満にならないとしても、「md−2×mtd」の値に十分近い値となるものであり、上記ウで述べた内壁とねじ部材の谷の底の部分との間に空隙ができるようにするものではない。
さらに、上記ウで述べた本件発明1の「md−mtd≦hd」とする技術的意義を鑑みても、甲1発明は、「段付き面より内側の部分」に、もやは雄ねじによる雌ねじ部の刻設を行うものではないから、「md−mtd≦hd」とする必要はない。
よって、甲1発明において、本件発明1の「脚部挿通部内にて前記脚部の外周面に形成されている雄ねじ部の外径をmd、前記雄ねじ部のねじ山高さをmtdとしたとき、前記脚部挿通部の内径hdが、md−mtd≦hd<mdの範囲となるように定め」るようにする動機はない。

オ してみれば、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

カ 請求人は、周知文献として甲2、3を挙げているが、甲2及び甲3の公知日については、上記第3で述べたとおりである。
そのため、本願優先日時点における周知技術を、甲2、3から認定することは困難であり、甲2、3の存在は、相違点2の判断を左右するものではない。

キ 甲2、3に基づき、本願優先日時点における周知技術を認定することが困難であることは、上記カで述べたとおりであるが、念のため、甲2、甲3の記載事項について検討する。
(ア)甲2の上記1(2)アには、「タッピングネジの形状に合わせ、かつネジの強度が十分発揮できるよう樹脂ボス部を設計する必要があ」ることが、そして式10.4に示すセルフタップネジの引っかかり率が50〜70%となるように設計することが記載されているが、本願発明1の「md−mtd≦hd<mdを上記10.4式に当てはめると、引っかかり率は0%超〜50%となる。
そうすると、仮に、甲1発明の雌ねじと雄ねじの螺合による締結構造を「セルフタッピング形態」に変更する動機があり、甲1発明の雌ねじと雄ねじの螺合による締結構造を「セルフタッピング形態」に変更したとしても、甲2の記載によれば、ネジの強度が十分に発揮できるとはいえないような引っかかり率である0%超〜50%とすることはない。すなわち、本件発明1の「脚部挿通部内にて前記脚部の外周面に形成されている雄ねじ部の外径をmd、前記雄ねじ部のねじ山高さをmtdとしたとき、前記脚部挿通部の内径hdが、md−mtd≦hd<mdの範囲となるように定め」るようにすることにはならない。

(イ)甲3の上記1(3)アには、非貫通の穴である「セルフタップ用の下穴」の「下穴径」について、「使用するねじの外径(d1)と谷径(d2)の平均値にとること(一般的にねじとの有効径にほぼ等しい)が最適とされてい」ることが記載されているものの、本件発明1の、「貫通形成されたねじ装着孔」の「脚部挿通部」について、「脚部挿通部内にて前記脚部の外周面に形成されている雄ねじ部の外径をmd、前記雄ねじ部のねじ山高さをmtdとしたとき、前記脚部挿通部の内径hdが、md−mtd≦hd<mdの範囲となるように定め」るようにすることについては、記載も示唆もされていない。

(ウ)そのため、甲1発明に甲2、3に記載された周知技術を適用したとしても、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項を有するものとするには至らない。

(3)小括
本件発明1は、甲1発明、又は、甲1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

4 本件発明2について
本件発明2は本件発明1を引用し、本件発明1の構成をすべて具備するものであるから、本件発明1と同様に、本件発明2は、甲1発明、又は、甲1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものでもない。

5 本件発明3について
(1)対比
ア 本件発明1と本件発明3は、共通する特定事項を有しているので、上記上記3(1)ア〜エ、カ〜サにおける記載を、「本件発明1」を「本件発明3」と読み替えて援用する。

イ 甲1発明の「ノズルケーシング」は「一端に流入側開口部を他端に流出側開口部を形成する貫通形態の収容通路部を備え」ている。この収容通路部は、流入側開口部というのは、液体が流入(供給)される開口部である。また、流出側開口部というのは液体が流出可能な開口部である。
そのため、甲1発明の「ノズルケーシング」は「一端に流入側開口部を他端に流出側開口部を形成する貫通形態の収容通路部を備え」、「ノズルケーシングの前記収容通路部に配置され」る「コア本体」は、本件発明3の「ノズルケーシングに形成された流入側開口部に向けて供給される前記液体が前記液体流路を経て前記ノズルケーシングの流出側開口部より流出可能となる位置関係にて前記収容通路部に配置される」「コア本体」に相当する。

ウ 上記ア及びイを踏まえると、本件発明3と甲1発明は
「液体を流通させる配管系に組み込んで使用される液体処理ノズルであって、
両端が開口する形態の収容通路部を有するノズルケーシングと、
一方の端面に液体入口を開口し他方の端面に液体出口を開口する貫通形態の液体流路が形成され、前記ノズルケーシングに形成された流入側開口部に向けて供給される前記液体が前記液体流路を経て前記ノズルケーシングの流出側開口部より流出可能となる位置関係にて前記収容通路部に配置されるとともに、外周面から前記液体流路の内周面に向けて貫通形成されたねじ装着孔を有するコア本体と、頭部及び脚部の脚部基端側が前記コア本体の前記ねじ装着孔内に保持される一方、脚部先端側が前記液体流路の内面から突出するキャビテーション処理部とされたねじ部材とを有し、前記キャビテーション処理部と接触した前記液体がねじ谷部内にて増速するときの減圧作用により、該液体の溶存ガスを過飽和析出させるキャビテーションコアとを備え、
前記コア本体に形成される前記ねじ装着孔は、前記ねじ部材の脚部基端側を挿通保持するための脚部挿通部と、前記コア本体の外周面側の開口部を形成する形で前記脚部挿通部と一体形成され、該脚部挿通部よりも径大に形成されるとともに前記頭部を収容する頭部収容部とを備える、
液体処理ノズル。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点3>
脚部挿通部が、本件発明3では、「頭部収容部との接続側端部を含み第一内径hd1を有する第一部分と、液体流路との接続側端部を含み前記第一内径hd1よりも小さい第二内径hd2を有する第二部分とからなる」のに対し、甲1発明では、ねじ孔はそのような構成を有していない点。

<相違点4>
脚部挿通部が、本件発明3では、「前記脚部挿通部内にて前記脚部の外周面に形成されている雄ねじ部の外径をmd、前記雄ねじ部のねじ山高さをmtd、前記頭部収容部の内径をhd3としたとき、前記第一部分の前記第一内径hd1が、md≦hd1<hd3の範囲となるように定められ、前記ねじ部材の前記脚部が前記第一部分に対し隙間嵌め形態にて挿入される」のに対し、甲1発明では、ねじ孔がそのような構成を有しているか否か特定されていない点。

<相違点5>
ねじ部材と脚部挿通部との関係について、本件発明3では、「脚部挿通部」の「第二部分の第二内径hd2が、md−mtd2≦hd<mdの範囲となるように定められ、ねじ部材の脚部は第二部分に対しセルフタッピング形態にてねじ込まれる」のに対して、甲1発明では、「コア本体の壁部に、貫通形成されたねじ孔が設けられ、前記ねじ孔は段付き面よりも流体流路側に位置する」「段付き面より内側の部分」「にのみねじ山が形成されており」「前記ねじ孔に」「前記ねじ部材がねじ込まれ」ている点。

(2)判断
事案に鑑み、前記(1)ウの相違点5にから検討する。

ア 本件発明1の脚部挿通部の内径hdと、本件発明3の第二部分の第二内径hd2は、どちらもねじ部材を保持する部分の内径を指している。
そのため、上記3(2)ア〜オと同様の理由により、甲1発明のねじ部材の取付方法をセルフタッピングに変更する動機は、甲1発明にはないし、甲1発明において、「ねじ孔」の「段付き面よりも内側の部分」の径hdを、md−mtd≦hd2<mdの範囲となるように定める動機もない。
してみれば、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明3は甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 甲2、3については、上記3(2)カ及びキに記載したとおりであり、上記3(2)カ及びキに記載したのと同様の理由により、甲1発明に甲2、3に記載された周知技術を適用したとしても、相違点5に係る本件発明3の発明特定事項を有するものとするには至らない。

(3)小括
本件発明3は、甲1発明、又は、甲1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

6 本件発明4、5について
本件発明4、5はいずれも本件発明3を直接又は間接的に引用し、本件発明3の構成をすべて具備するものであるから、本件発明3と同様に、本件発明4、5は、甲1発明、又は、甲1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものでもない。

7 本件発明6について
(1)対比
ア 本件発明1と本件発明6は、共通する特定事項を有しているので、上記上記3(1)ア〜エ、カ〜サにおける記載を、「本件発明1」を「本件発明6」と読み替えて援用する。

イ 本件発明3と本件発明6は、共通する特定事項を有しているので、上記上記5(1)イにおける記載を、「本件発明3」を「本件発明6」と読み替えて援用する。

ウ 本件発明6の「ねじ部材の前記脚部は前記第二部分の内周面に圧入されつつ先端を前記液体流路内に突出させている」と、甲1発明の「液体流路の内面から各々突出」する「ねじ部材」からなる「衝突部」は、「ねじ部材の前記脚部は先端を前記液体流路内に突出させている」点で共通している。

エ 上記ア〜ウを踏まえると、本件発明6と甲1発明は
「液体を流通させる配管系に組み込んで使用される液体処理ノズルであって、
両端が開口する形態の収容通路部を有するノズルケーシングと、
一方の端面に液体入口を開口し他方の端面に液体出口を開口する貫通形態の液体流路が形成され、前記ノズルケーシングに形成された流入側開口部に向けて供給される前記液体が前記液体流路を経て前記ノズルケーシングの流出側開口部より流出可能となる位置関係にて前記収容通路部に配置されるとともに、外周面から前記液体流路の内周面に向けて貫通形成されたねじ装着孔を有するコア本体と、頭部及び脚部の脚部基端側が前記コア本体の前記ねじ装着孔内に保持される一方、脚部先端側が前記液体流路の内面から突出するキャビテーション処理部とされたねじ部材とを有し、前記キャビテーション処理部と接触した前記液体がねじ谷部内にて増速するときの減圧作用により、該液体の溶存ガスを過飽和析出させるキャビテーションコアとを備え、
前記コア本体に形成される前記ねじ装着孔は、前記ねじ部材の脚部基端側を挿通保持するための脚部挿通部と、前記コア本体の外周面側の開口部を形成する形で前記脚部挿通部と一体形成され、該脚部挿通部よりも径大に形成されるとともに前記頭部を収容する頭部収容部とを備え、
前記ねじ部材の前記脚部は先端を前記液体流路内に突出させている、
液体処理ノズル。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点6>
脚部挿通部が、本件発明6では、「頭部収容部との接続側端部を含み第一内径hd1を有する第一部分と、液体流路との接続側端部を含み前記第一内径hd1よりも小さい第二内径hd2を有する第二部分とからな」るのに対し、甲1発明では、ねじ孔はそのような構成を有していない点。

<相違点7>
脚部挿通部が、本件発明6では、「前記脚部挿通部内にて前記脚部の外周面に形成されている雄ねじ部の外径をmd、前記雄ねじ部のねじ山高さをmtd、前記頭部収容部の内径をhd3としたとき、前記第一部分の前記第一内径hd1が、md≦hd1<hd3の範囲となるように定められ、前記ねじ部材の前記脚部が前記第一部分に対し隙間嵌め形態にて挿入される」のに対し、甲1発明では、ねじ孔がそのような構成を有しているか否か特定されていない点。

<相違点8>
本件発明6では、「第二部分の前記第二内径hd2が、md−mtd≦hd2<mdの範囲となるように定められ」ているのに対し、甲1発明では、、「ねじ孔」の「段付き面よりも内側の部分」の径がmd−mtd≦hd2<mdを満たすか否か特定されていない点。

<相違点9>
本件発明6では、「ねじ部材は金属製であり、前記コア本体が樹脂材料にて構成され」ているのに対し、甲1発明では、「コア本体」が樹脂、「ねじ部材」が金属という組み合わせになるか否かが特定されていない点。

<相違点10>
本件発明6では、「脚部に形成されているねじ山のピッチをPとしたとき、第二部分の長さが1P以上2P以下に設定され、ねじ部材の前記脚部は前記第二部分の内周面に圧入され」る構成であるのに対し、甲1発明は、そのような構成を有していない点。

(2)判断
事案に鑑み、前記(1)エの相違点10にから検討する。

ア 甲1発明には、脚部に形成されているねじ山のピッチをPとしたとき、第二部分の長さを1P以上2P以下に設定し、ねじ部材の前記脚部を前記第二部分の内周面に圧入することにより、組付工程を簡略化する点について、記載も示唆もされていない。
また、甲1発明において、あえてこのねじ山を排除(雌ねじと雄ねじの螺合による締結構造を排除)し、代わりに、第二部分の長さを1P以上2P以下に設定し、ねじ部材の前記脚部を前記第二部分の内周面に圧入するという組付け構造を採用する動機もない。
してみれば、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明6は甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 甲2、3に基づき、本願優先日時点における周知技術を認定することが困難であることは、上記3(2)カで述べたとおりであるが、念のため、甲2、甲3の記載事項について検討すると、甲2(上記1(2)イ)には、金属製のシャフトを圧入して固定することが、甲3(上記1(3)ア)には、セルフタップねじが記載されているもの、液体処理ノズルにおいて、ねじ孔の第二部分の長さを1P以上2P以下に設定し、ねじ部材の脚部を前記第二部分の内周面に圧入することにより、組付工程を簡略化するという技術思想は、記載されていない。
そのため、甲1発明に甲2、3に記載された周知技術を適用したとしても、相違点10に係る本件発明6の発明特定事項を有するものとするには至らない。

(3)小括
本件発明6は、甲1発明ではないし、甲1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

8 本件発明7〜29について
本件発明7〜29はいずれも本件発明1又は3若しくは6を直接又は間接的に引用し、本件発明1又は3若しくは6の構成をすべて具備するものであるから、本件発明1又は3若しくは6と同様に、本件発明7〜29は、甲1発明、又は、甲1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものでもない。


第5 むすび
上記第4で検討したとおり、本件特許1〜29は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるということはできず、同法第113条第2号に該当するものではないから、上記第3に記載の申立理由では、本件特許1〜29を取り消すことはできない。
また、他に本件特許1〜29を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2024-01-04 
出願番号 P2021-137648
審決分類 P 1 651・ 121- Y (B01F)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 三崎 仁
特許庁審判官 松井 裕典
金 公彦
登録日 2023-04-11 
登録番号 7260925
権利者 株式会社タケシタ
発明の名称 液体処理ノズル  
代理人 秋野 卓生  
代理人 大池 聞平  
代理人 吉川 幹司  

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