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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  F16K
管理番号 1406744
総通号数 26 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2024-02-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2023-10-02 
確定日 2024-01-18 
異議申立件数
事件の表示 特許第7254400号発明「電動弁制御装置および電動弁装置、ならびに、電動弁の制御方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第7254400号の請求項1、2、5、11、14〜19に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続等の経緯
特許第7254400号の請求項1、2、5、11、14〜19に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、2022年(令和4年)9月14日(優先権主張 2021年(令和3年)9月30日)を国際出願日とする出願(特願2022−573438号)であって、令和5年3月31日に特許権の設定登録がされ、令和5年4月10日に特許掲載公報が発行された。
これに対し、特許異議申立人瀬口泰弘(以下、「異議申立人」という。)より、令和5年10月2日に、本件特許について特許異議の申立てがされたものである。

第2 本件発明
本件特許の請求項1、2、5、11、14〜19に係る発明(以下、本件特許に係る発明の請求項の番号に従って「本件発明1」等という。)は、特許請求の範囲の請求項1、2、5、11、14〜19に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
弁座を有する弁本体と、前記弁本体に対して回転可能なローターと、前記ローターとともにステッピングモーターを構成するステーターと、前記弁座と向かい合い、前記ローターが第一方向に回転すると前記弁座に向けて移動する弁体と、前記ローターが基準位置にあるときに前記ローターの前記第一方向への回転を規制するストッパ機構と、を有する電動弁を制御する電動弁制御装置であって、
前記ステッピングモーターにパルスを入力して前記ローターを前記第一方向に回転させる回転制御部と、
前記ローターの回転によって前記ステーターに生じる電圧を取得する電圧取得部と、
前記電圧の波形と前記電圧の基準波形との相違の度合いに基づいて、前記電動弁が前記ローターの前記第一方向への回転が規制される第一回転規制状態であるか否かを判定する状態判定部と、を有することを特徴とする電動弁制御装置。
【請求項2】
前記基準波形が、前記電動弁が前記ローターの前記第一方向の回転が許容されている状態において前記ステッピングモーターに前記ローターを前記第一方向に回転させる前記パルス(以下、「第一方向パルス」という。)が入力されたときの前記電圧の波形に基づいて設定された第一回転許容状態波形を含み、
前記状態判定部が、前記第一回転許容状態波形と前記ステッピングモーターへの前記第一方向パルスの入力に応じて前記電圧取得部が取得した前記電圧の波形との相違の度合いを示す相違度指標値を算出し、前記相違度指標値と相違度判定値との比較結果に基づいて、前記電動弁が前記第一回転規制状態であるか否かを判定する、請求項1に記載の電動弁制御装置。
【請求項5】
前記回転制御部が、前記状態判定部によって前記電動弁が前記第一回転規制状態であると判定されたとき、前記ステッピングモーターへの前記パルスの入力を停止する、請求項1に記載の電動弁制御装置。
【請求項11】
前記状態判定部が、前記電動弁が前記第一回転規制状態であると判定したとき、当該判定に用いた前記電圧の波形に対応する前記第一方向パルスのパターン番号に基づいて開始パターン番号を取得し、
前記回転制御部が、前記基準位置にある前記ローターを第二方向に回転させるとき、前記開始パターン番号と同じパターン番号の前記パルスから入力を開始する、請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載の電動弁制御装置。
【請求項14】
前記ステーターが、A相ステーターとB相ステーターとを有し、
前記電圧取得部が、前記回転制御部が前記ステッピングモーターへの前記パルスの入力に応じて前記A相ステーターおよび前記B相ステーターの一方のみに駆動電流を供給したときに他方に生じる前記電圧を取得する、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の電動弁制御装置。
【請求項15】
前記弁体が、前記弁座と向かい合い、前記ローターが前記第一方向に回転するとコイルばねを介して前記弁座に向けて押され、
前記基準位置が、前記ローターが前記弁座に前記弁体が接する閉弁位置よりさらに前記第一方向に回転した位置にある、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の電動弁制御装置。
【請求項16】
弁座を有する弁本体と、前記弁本体に対して回転可能なローターと、前記ローターとともにステッピングモーターを構成するステーターと、前記弁座と向かい合い、前記ローターが第一方向に回転すると前記弁座に向けて移動する弁体と、前記ローターが基準位置にあるときに前記ローターの前記第一方向への回転を規制するストッパ機構と、を有する電動弁を制御する電動弁制御装置であって、
前記ステッピングモーターにパルスを入力して前記ローターを前記第一方向に回転させる回転制御部と、
前記ローターの回転によって前記ステーターに生じる電流を取得する電流取得部と、
前記電流の波形と前記電流の基準波形との相違の度合いに基づいて、前記電動弁が前記ローターの前記第一方向への回転が規制される第一回転規制状態であるか否かを判定する状態判定部と、を有することを特徴とする電動弁制御装置。
【請求項17】
前記電動弁と、請求項1または請求項16に記載の電動弁制御装置と、を有する電動弁装置。
【請求項18】
弁座を有する弁本体と、前記弁本体に対して回転可能なローターと、前記ローターとともにステッピングモーターを構成するステーターと、前記弁座と向かい合い、前記ローターが第一方向に回転すると前記弁座に向けて移動する弁体と、前記ローターが基準位置にあるときに前記ローターの前記第一方向への回転を規制するストッパ機構と、を有する電動弁の制御方法であって、
前記ステッピングモーターにパルスを入力して前記ローターを前記第一方向に回転させ、
前記ローターの回転によって前記ステーターに生じる電圧を取得し、
前記電圧の波形と前記電圧の基準波形との相違の度合いに基づいて、前記電動弁が前記ローターの前記第一方向への回転が規制される第一回転規制状態であるか否かを判定する、ことを特徴とする電動弁の制御方法。
【請求項19】
弁座を有する弁本体と、前記弁本体に対して回転可能なローターと、前記ローターとともにステッピングモーターを構成するステーターと、前記弁座と向かい合い、前記ローターが第一方向に回転すると前記弁座に向けて移動する弁体と、前記ローターが基準位置にあるときに前記ローターの前記第一方向への回転を規制するストッパ機構と、を有する電動弁の制御方法であって、
前記ステッピングモーターにパルスを入力して前記ローターを前記第一方向に回転させ、
前記ローターの回転によって前記ステーターに生じる電流を取得し、
前記電流の波形と前記電流の基準波形との相違の度合いに基づいて、前記電動弁が前記ローターの前記第一方向への回転が規制される第一回転規制状態であるか否かを判定する、ことを特徴とする電動弁の制御方法。」

第3 特許異議の申立ての理由の概要
異議申立人は、甲第1号証〜甲第7号証(以下、証拠の番号に従って、「甲1」などという。)を提出し、請求項1、2、5、11、14〜19に係る特許は、以下の理由により取り消すべき旨主張している。
1 本件発明1、2、16、18、19は、甲1に記載された発明及び甲2〜4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
2 本件発明5、15は、甲1に記載された発明及び甲2〜6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
3 本件発明11は、甲1に記載された発明及び甲2〜4、7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
4 本件発明14、17は、甲1に記載された発明及び甲1〜4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(証拠方法)
甲1:特開平9−317570号公報
甲2:特開昭61−70473号公報
甲3:特開2018−147390号公報
甲4:特開2022−115618号公報
甲5:特開2003−42325号公報
甲6:特開2016−205584号公報
甲7:特開2002−317880号公報

第4 当審の判断
1 各甲号証の記載事項及び各甲号証に記載された発明
(1)甲1の記載事項及び甲1に記載された発明
ア 甲1の記載事項(下線は理解のために当審で付したものである。以下、同様。)
(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 励磁コイルと該コイルの起磁力により回転されるロータを有するステップモータ方式のEGR弁において、
コイルの端子電圧を検出する手段と、前記検出信号よりEGR弁の故障を判断する手段と、を有することを特徴とするステップモータ式EGR弁の故障診断装置。
【請求項2】 モータ作動時に、励磁していないコイルに発生する逆起電力を検出し、EGR弁の作動・非作動を判別することを特徴とする請求項1に記載のステップモータ式EGR弁の故障診断装置。」
(イ)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関等に使用するEGR弁の故障診断技術に関する。」
(ウ)「【0004】本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、ステップモータ式EGR弁のコイルに発生する逆起電力を検出し、検出信号を正常時の信号と比較することにより故障診断を行うことにより、上記問題点を解決することを目的としている。」
(エ)「【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するため、励磁コイルとこのコイルの起磁力により回転されるロータを有するステップモータ方式のEGR弁において、コイルの端子電圧を検出する手段と、検出信号よりEGR弁の故障を判断する手段とを有する構成とする。
【0006】また、本発明は、モータ作動時に、励磁していないコイルに発生する逆起電力を検出し、EGR弁の作動・非作動を判別する構成とする。」
(オ)「【0010】図1は、本発明の一実施形態を示す図である。まず、構成を説明すると、コントロールユニット1にはエアフロメータ3からの空気量信号、エンジン回転数センサからのエンジン回転数信号、アクセル開度センサからの負荷信号が入力され、予め設定したマップデータよりEGR弁ステップ数(開度)を検索し、ステップモータ式EGR弁4に駆動信号を送る。また、このステップモータ式EGR弁4のコイル端子電圧信号がコントロールユニット1に入力される。なお、図1において、参照番号5はエンジン、6はEGR通路、7は吸気通路、8は排気通路、9はコレクタ、10は吸気絞り弁である。
【0011】次に、EGR弁4本体の構成を図2に示す。このEGR弁4は、前記図1に示したコントロールユニット1からの駆動信号により励磁されたコイル41によりロータシャフト43を駆動し、このロータシャフト43を介してバルブ45を開閉する構成となっている。
【0012】なお、図において、参照番号40はバルブボディ、42はマグネット、43はロータシャフト、46はスプリング、47はシート部、48はターミナルである。」
(カ)「【0013】次に作用を説明する。コイル41の端子電圧は励磁状態から非励磁状態となる時、モータの作動時には逆起電力が発生するため、モータ静止時とは異なる電圧波形を示す。
【0014】図3(a)に逆起電力検出回路を示し、図3(b)にその波形及び故障診断の方法を示す。図3(b)に示すとおり、モータ作動時は逆起電力のため、励磁状態から非励磁状態になる時の電圧の低下が遅く、バルブ開固着等による停止時は電圧低下が早い。また、本実施形態でのEGRバルブでは、ロータシャフトとバルブが別体となっており、イニシャライズ時にロータシャフトをあるステップ数開側に移動させて、基準位置(バルブ全閉位置)としているため、イニシャライズ時にロータシャフトがバルブと接触する際、逆起電力が弱まり、コイルの端子電圧波形はモータ静止時と正常作動時の中間的波形となる。したがって、適切なスライスレベルを設定して、コイルの端子電圧を比較することにより、モータ停止時(開固着に開側に駆動しようとする場合)、ロータシャフトとバルブの衝突時(イニシャライズ時)を通常の作動時と区別することができる。」
(キ)「【0017】本実施形態は、<1>(注:原文は○の中に数字であるが、括弧数字に代える。以下、同様。)イニシャライズ時にロータシャフトとバルブが衝突することを確認(バルブが閉位置まで戻っていることを確認)、<2>通常作動時に万一開固着した場合、固着位置より開側に駆動しようとした場合、モータが動かないため開固着を判断するものである。」
(ク)「【0019】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれば、その構成を、ステップモータ式EGR弁のコイルの端子電圧を検出し、励磁状態から非励磁状態になる時の波形により、正常作動時とバルブ固着等による静止時を判別できるようにしたため、リフトセンサ等を付けることなく、バルブの固着等による故障を診断することができるという効果が得られる。」
(ケ)甲1には、以下の図が示されている。
「【図1】

【図2】

【図3】



(コ)上記(エ)及び(オ)並びに図1〜2の記載から、マグネット42及びロータシャフト43並びにコイル41によりステップモータを構成することがわかる。
(サ)上記(オ)の記載から、コントロールユニット1が、マグネット42及びロータシャフト43を回転させる回転制御部を有することは、明らかである。
(シ)上記(ア)、(エ)、(カ)及び(ク)並びに図1の記載から、コントロールユニット1が、コイル41に生じる電圧を取得する電圧取得部を有すること、また、ロータシャフト43とバルブ45の衝突時を判別する判別部を有することは、明らかである。

イ 甲1に記載された発明
上記アの記載から、甲1には、以下の発明が記載されている。

(甲1発明1)
「シート部47を有するバルブボディ40と、前記バルブボディ40に対して回転可能なマグネット42及びロータシャフト43と、前記マグネット42及び前記ロータシャフト43とともにステップモータを構成するコイル41と、前記シート部47と向かい合い、前記マグネット42及び前記ロータシャフト43がバルブ45の閉止する方向に回転すると前記シート部47に向けて移動するバルブ45と、を有するステップモータ式EGR弁4を制御するコントロールユニット1であって、
前記ステップモータにパルスを入力して前記マグネット42及び前記ロータシャフト43を前記バルブ45の閉止する方向に回転させる回転制御部と、
前記マグネット42及び前記ロータシャフト43の回転によって前記コイル41に生じる電圧を取得する電圧取得部と、
前記電圧の波形により、前記ロータシャフト43と前記バルブ45の衝突時を判別する判別部とを有するコントロールユニット1。」

(甲1発明2)
「シート部47を有するバルブボディ40と、前記バルブボディ40に対して回転可能なマグネット42及びロータシャフト43と、前記マグネット42及び前記ロータシャフト43とともにステップモータを構成するコイル41と、前記シート部47と向かい合い、前記マグネット42及び前記ロータシャフト43がバルブ45の閉止する方向に回転すると前記シート部47に向けて移動するバルブ45と、を有するステップモータ式EGR弁4の制御方法であって、
前記ステップモータにパルスを入力して前記マグネット42及び前記ロータシャフト43を前記バルブ45の閉止する方向に回転させ、
前記マグネット42及び前記ロータシャフト43の回転によって前記コイル41に生じる電圧を取得し、
前記電圧の波形により、前記ロータシャフト43と前記バルブ45の衝突時を判別するステップモータ式EGR弁4の制御方法。」

(2)甲2の記載事項
ア 「時間とともに変化する電圧、電流などの信号波形をA/D変換器を介してコンピュータに読込んだ後、記憶、演算、判定する機能を有する装置を用いて、予じめ良品と解っている複数個の製品の特性波形を読込んだ後、これらの波形の平均値を演算し、基準波形とする。」(1頁左欄5〜10行)
イ 「本発明は電気部品、機械装置などが有する固有の電気信号波形を解析し、これらの機器の良否判定を行う装置に関する。」(1頁右欄11〜13行)
ウ 「従来、波形解析装置は電気信号波形の記憶、目視による観測、波形信号の演算が主であった。波形を一度記憶装置に読込んだ後、その波形のベクトル演算として、フーリエ演算、微・積分演算、相関演算などを行い、これらの演算結果の値を表示するとともに、原波形及び演算後の波形を表示・解析するものであった。」(1頁右欄14行〜2頁左欄4行)
エ 「本発明は、製品検査に応用できるように、複数の良品と判定された製品の波形を読み込み、平均化した後、基準波形とし、その後、被測定製品の波形を読み込み、基準波形との波形の一致度計算、尖頭値計算、周波数成分の計算、実効値計算などの比較演算をすることにより、単なる波形データの計算だけでなく、波形解析後、製品の良否判定までを高速で正確に判定できる方法を提供するものである。」(2頁左欄5〜13行)

(3)甲3の記載事項
ア 「【0001】
本発明は、異常波形検知システム、異常波形検知方法、及び波形分析装置に関する。」
イ 「【0006】
しかし、特許文献1では、波形を抽出するために必要な類似度、波形の伸縮比、及び始点の算出には、全ての波形データを取得しておく必要があり、少なくとも波形の周期に相当する時間が必要になる。このため、類似度などの算出には多くの時間を要することになり、波形の異常の検知にも時間を要することになる。
【0007】
本発明はこのような背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、波形の異常を迅速に検知することが可能な、異常波形検知システム、異常波形検知方法、及び波形分析装置を提供することにある。」
ウ 「【0049】
なお、前記基準波形及び前記対象波形はそれぞれ、所定の周期で値が時間変化する旨が表現されている波形である。」
エ 「【0057】
波形分析部210は、基準波形、及び対象波形に基づき、対象波形の異常を検出する。具体的には、波形分析部210は、相違度算出部2101、異常判定部2102、及びフィードバック部2103を備える。
【0058】
相違度算出部2101は、前記取得した基準波形のイベント点、前記抽出した基準波形の特異点、前記取得した対象波形の対応イベント点、及び、前記検出した対象波形の対応特異点に基づき、前記基準波形を補正した波形である補正波形を生成し、生成した前記補正波形と、新たに取得した前記対象波形との間の相違度(以下、異常度ともいう)を算出する。
【0059】
具体的には、例えば、前記相違度算出部2101は、前記対応イベント点と前記対応特異点との間の時間差と、前記特異点と前記イベント点との間の時間差との比(以下、時間軸方向伸縮比という)に基づく前記補正波形を生成し、生成した前記補正波形に基づき前記相違度を算出する。
【0060】
また、例えば、前記相違度算出部2101は、前記対応特異点の値と、前記特異点の値との比(以下、測定値軸方向伸縮比という)に基づく前記補正波形を生成し、生成した前記補正波形に基づき前記相違度を算出する。また、測定値軸方向伸縮比は、前記対応イベント点の値と前記イベント点の値の比を用いてもよい。
【0061】
異常判定部2102は、前記算出した相違度に基づき、前記新たに取得した対象波形に異常があるか否かを判定する。
【0062】
例えば、前記異常判定部2102は、前記イベント点及び前記特異点に基づき前記対象波形の許容範囲を算出し、前記新たに取得した前記対象波形が前記算出した許容範囲内にない場合に、前記新たに取得した前記対象波形に異常があると判定する。」
オ 「【0118】
次に、図15に示すように、波形分析部210は、s1308で生成した補正波形に基づき、対象波形の始点から対応特異点までの取得済みの対象波形(具体的には、始点日時Xt0から対応特異点日時Xtjまでの対象波形の測定値)を分析することにより、当該対象波形の異常を判定(又は検出)する(s1310)。この分析方法は、例えば対象波形と補正波形との間のユークリッド距離や相関係数などを用いて異常度を算出し、算出した異常度と、予め定めた閾値との比較により対象波形の異常の有無を判定する。また、例えば、波形分析部210は、算出した異常度が所定の閾値以上となった場合に、対象波形が異常であると判定する。」

(4)甲4の記載事項
ア 「【0001】
本発明は、切削ブレードで被加工物を切削する切削装置、及び、切削ブレードの先端部を検出する刃先検出ユニットの検査に用いられる刃先検出ユニットの検査方法に関する。」
イ 「【0011】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、刃先検出ユニットの状態を適切に判定することが可能な切削装置及び刃先検出ユニットの検査方法を提供することを目的とする。」
ウ 「【0112】
具体的には、波形比較部104(図3参照)は、基準波形140と測定波形142とを比較することにより、基準波形140と測定波形142との類似度(相違度)を算出する。そして、波形比較部104は、算出された類似度(相違度)と、記憶部110に予め記憶されている基準値(閾値)とを比較することにより、刃先検出ユニット88の状態を判定する。
【0113】
例えば波形比較部104は、基準波形140と測定波形142とによって囲まれた領域144(図7(C)参照)の面積(ずれ面積)を算出し、ずれ面積と基準値(閾値)とを比較する。そして、ずれ面積が基準値以下である場合(又は基準値未満である場合)には、波形比較部104は、基準波形140と測定波形142とが類似しており、刃先検出ユニット88が正常であると判定する。一方、ずれ面積が基準値よりも大きい場合(又は基準値以上である場合)には、波形比較部104は、基準波形140と測定波形142とが非類似であり、刃先検出ユニット88が異常であると判定する。」

(5)甲5の記載事項
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気調和機に関わり、膨張弁として用いるのに好適な電動弁、及び該電動弁の駆動装置並びに冷凍サイクル装置に関する。」
イ 「【0002】
【従来の技術】従来、ルームエアコンやカーエアコンなどの空気調和機において、冷凍サイクル中に設けられ電動弁(膨張弁)としてステッピングモータを用いているものがある。この電動弁では、ステッピングモータの回転駆動により、その駆動と同軸に配設された弁体を摺動し、弁を開閉するものである。また、例えば弁開度の制御のために、起動時などに弁の全開位置または全閉位置(通常、「基点位置」という。)における基点位置出しを行う必要がある。このため、ステッピングモータの回動により基点位置になるに十分なパルス数のパルス出力をもってステッピングモータを駆動する。
【0003】しかし、この基点位置ではステッピングモータのロータなどがストッパに当接することで停止するようになっているので、このストッパに当接した後もステッピングモータに駆動パルスを出力していると、異音や振動が発生し、快適性を損なうことになる。そこで、この異音や振動を速やかに防止する技術が要求されている。」
ウ 「【0023】弁本体11の上方には皿状の蓋12a円筒状の上ケース12bからなるケース12が取り付けられており、ケース12の内部にはロータ13が回動自在に配設されている。ロータ13は樹脂製で筒状に形成された回転軸13aと、この回転軸13aの外周配設されたマグネット13bとで構成されている。回転軸13aの内周の一カ所には半径方向中心側に突出するとともに上下に板状に延びるストッパ部13cが形成され、さらに、回転軸13aの内面には、雌ネジ17aが切られている雌ネジ部材17が配設されている。また、ケース12の外周には駆動コイル14aを収納したコイル部14が取付られており、ロータ13及びコイル部14はステッピングモータを構成している。」
エ 「【0027】一方、ロータ13が回転すると、ロータ13のストッパ部13cがスライダばね15cの突出端部15c−1に当接し、スライダばね15cがロータ13と供に回転する。そして、ロータ13が正位相の駆動パルスにより回転すると、スライダばね15cの下端のストッパ部15c−2がガイド15bのストッパ部15b−1に当接して、このスライダばね15cの回転が規制され、これによって、ロータ13の回転も強制的に停止される。このときのロータ13の回転の停止はストッパ機構15の機械的な作用によるものであり、当該電動弁1の基点位置出し時の動作である。すなわち、基点位置出し時には、駆動コイル14aに正位相の駆動パルスを供給してロータ13を回転し、ニードル弁18が弁座11dに着座し、さらにコイルバネ19を圧縮しながらロータ13を回転し、上記ストッパ機構15によりロータ13の回転が規制される。そして、この基点位置出し時に、ロータ13のストッパ機構15による停止を検出し、即座に駆動パルスの供給を停止する。」
オ 「【0030】図3はホールICユニット200からホールIC出力(磁気検出信号)を得るための回路の一例を示す図であり、ホールICユニット200にS極が接近すると、出力がONとなり発行ダイオードpが発光してフォトトランジスタtが導通し、ホールIC出力がハイレベルとなる。また、ホールICユニット200にN極が接近すると、出力がOFFとなり発行ダイオードpが消灯してフォトトランジスタtが非導通となり、ホールIC出力がローレベルとなる。このホールIC出力は「磁気検出信号」として制御部100に入力される。なお、ロータ13がストッパ機構15により停止した時にはホールIC出力がハイレベルとなる。
【0031】図4は制御部100の動作の一例を示すタイミングチャート、図5は制御部100が基点位置出し処理を行うときのフローチャートである。なお、図4の基点位置出し信号a.は、制御部100において他の処理で基点位置出し処理を行うと決定した場合にセットされるフラグ等の出力に対応する内部信号である。また、停止タイマ信号c.のハイレベル区間は制御部100が備える停止タイマの計時時間を示している。さらに基点位置出しパルス送り停止信号d.は、制御部100からドライバ110に出力される信号であり、この基点位置出しパルス送り停止信号d.がハイレベルになると、ドライバ110は前記駆動コイル14aに対する基点位置出しパルスの出力を停止する。」
カ 「【0035】そして、停止タイマはホールIC出力がハイレベルになるとカウントを開始し、ホールIC出力がローレベルになるとリセットするようになっているので、ロータ13がストッパ機構15により停止すると停止タイマが設定時間T0を超過するので、駆動コイル14aに出力されている基点位置出しパルスがすぐに停止される。したがって、異音や振動等を防止することができる。なお、基点位置出しパルスを停止すると、その時のロータ13の位置(回転位置)を基点として、以降の開度制御を行う。」
キ 「【図1】



(6)甲6の記載事項
ア 「【0001】
本発明は、モータ駆動式の電動弁およびその制御装置に関する。」
イ 「【0008】
本発明の目的の一つは、モータ駆動式の電動弁において、弁開閉点を速やかに検出し、効率良く高精度な制御を実現することにある。」
ウ 「【0035】
次に、電動弁装置の制御方法について説明する。
上述のように、電動弁12の開度は、制御指令値に基づく駆動ステップ数により設定されるが、その設定は弁開閉点を基準になされる。ここで、「弁開閉点」は、弁部が閉弁状態から開弁状態へ変化するポイントであり、また、開弁状態から閉弁状態へ変化するポイントである(つまり開弁状態と閉弁状態との境界ポイントである)。この弁開閉点を基準とした開弁方向の駆動ステップ数として弁開度を設定することができる。
【0036】
ただし、上述のように、閉弁過程において弁体40が弁座38に着座しても、シャフト42の駆動は直ちには停止されず、スプリング60がやや押し縮められたところでストッパ86が係止され、シャフト42ひいてはロータ75の回転が停止される。すなわち、弁体40が弁座38に着座した後、シャフト42が最下点に到達されるまでの期間(例えば着座から1/3〜1回転の期間)、スプリング60が押し縮められつつシャフト42の回転が継続される。このようにしてスプリング60の付勢力により弁体40を弁座38に押し付けることで、安定した閉弁状態を維持するものである。
【0037】
このような構成のため、弁体40の停止ポイントとシャフト42の停止ポイントとは一致しない。すなわち、閉弁作動について、弁体40の弁座38への着座タイミングと、シャフト42の停止タイミングとの間に所定ステップ数分の制御が存在する。同様に、開弁作動について、シャフト42の駆動開始タイミングと弁体40の弁座38からの離脱タイミングとの間にも所定ステップ数分の制御が存在する。一方、ステッピングモータにより直接駆動されるのはシャフト42であるため、制御指令値としての駆動ステップ数は、シャフト42の停止ポイントを基準として設定される。つまり、安定した閉弁状態を実現するために設定されるシャフト42の停止ポイントを駆動ステップの原点とし、その原点から弁開閉点までの駆動ステップ数を勘案して弁開度指令値が設定されるようになる。この原点は、ステッピングモータの駆動ステップをカウントするときの基準位置であり、シャフト42を駆動するときの基準位置となる。」
エ 「【0038】
ところで、閉弁作動時には、弁体40が弁座38に着座すると同時にブッシュ64との係合状態が解除されるため、弁体40と弁座38との間に過大な力が作用することはない。しかし、弁体40が弁座38に着座したときに両者間に摩擦が生じるため、閉弁を繰り返すごとに弁座38の摩耗が進行する。特に電動弁装置10の設置当初、つまり電動弁12の使用開始当初における弁座38の初期摩耗が大きくなる傾向にある。このような摩耗が生じたとしても、弁開度の制御性能を良好に維持する必要がある。そこで本実施形態では、電動弁12の駆動を開始させるごとに上記駆動ステップの原点を更新する(いわゆる原点出しを行う)イニシャル処理を実行する。
【0039】
この原点出しは、電動弁12を閉弁作動させ、そのときのステッピングモータの負荷を検出することにより行われる。すなわち、シャフト42が閉弁方向に駆動され、弁体40が弁座38に着座すると、その反力によってロータ75の負荷トルクが変化する。それにより、モータドライバ24からモータユニット18へ供給する駆動電流の波形が変化する。この変化を検出することにより弁開閉点への到達を判定することができる。」
オ 「【0040】
より具体的には、例えば以下のとおりである。すなわち、ステッピングモータを駆動する際にモニタされる電流波形は、ステップごとに供給される駆動電流と、ステップごとの変位に伴う誘導電流との重ね合わせによる波形となる。この波形は、閉弁前後で比較的大きく変化する。弁体40が弁座38に着座することによりロータ75の負荷トルクが増大し、ステップごとのロータ75の回転方向へのふらつきが抑制され、それが波形に表れるためである。この波形の変化量が予め定める基準値に達したことを検出することにより、弁体40が弁座38に着座するポイント、つまり弁開閉点を判定することができる。
【0041】
そして、その弁開閉点から予め定める駆動ステップ数(閉弁状態を保持するための設定ステップ)だけ閉弁作動を継続させる。この設定ステップに到達すると、モータユニット18の駆動を停止し、その停止ポイントを駆動ステップの原点として設定する。このような処理を電動弁12の駆動開始ごとに実行することで、弁部の摩耗状態にかかわらず、閉弁状態における弁体40と弁座38との当接力(スプリング60による閉弁方向の付勢力)をほぼ一定に保つことができる。その結果、弁開度の制御性能を良好に維持することができる。」
カ 「【図2】



(7)甲7の記載事項
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ステッピングモーターの駆動手段によってロータと一体的に回動する上弁体及び下弁体を1回転未満可逆的に作動させ、該弁体の1回転未満の回動により2つの絞り弁部の何れかの開度を制御する電動流量制御弁に係り、特に前記上弁体及び下弁体の1回転未満の回動の回転始点位置を精度よく一定にさせるようにし、コイルに印加するパルス数に対する実際の弁開度の精度を確保した電動流量制御弁に関するものである。」
イ 「【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図5に示す電動流量制御弁においては、前記1回転未満の回動が閉じる方向又は開く方向に回動し、ストッパー40により機械的に制止されたとき、ステッピングモーターの励磁パターンが原点として使用する励磁パターンとなるようにしていない。このため、電動流量制御弁としての使用開始時に、マイコンからのパルス信号(全開から全閉状態にするパルス数よりも多いパルス数)を与えることによりイニシャライズ操作をして、ストッパー40による機械的な制止により回動の原点位置に停止させたとしても、イニシャライズ操作の最終励磁パターンである原点として使用する励磁パターンとなった時点で、原点に使用する励磁パターンにおいて磁性を帯びている固定コイル38の磁極歯38aの回転方向に対して一致した位置に、周方向においてN極とS極が交互に着磁された前記ロータ34の前記磁極歯38aとは異なる磁極が移動し、ストッパーが当接した状態である本来の原点位置に対し、2相励磁においては2パルス分の巾以下、1−2相励磁においては4パルス分の巾以下の位置ずれが起きてしまう。
【0015】そして、流量制御操作の回転始点は前記のずれた位置となるため、所定の開度を得るためのパルス数をコイルに印加しても、前記したずれ分だけ開度が相違することとなり、従って適正な流量制御ができないという問題が生じる。
【0016】この問題点は、各種前例のある多回転式で総パルス数が500パルス程度あるニードル式電動流量制御弁については大きな問題ではないが、1回転未満の回動により総パルス数75パルス程度で流量を制御する図14に示す従来の電動流量制御弁においては、流量制御の精度が確保できないという大きな問題であった。」
ウ 「【0025】また、ロータ34は、周方向においてN極とS極が交互に着磁されており、該ロータ34のN極・S極の着磁パターンと、前記上弁体35及び下弁体36は互いに所定の位置となるように組付けられている。また、図示例では、前記下弁体36には、前記ストッパー40と当接するための係止片36fが所定位置に設けられている。つまり、該係止片36fが前記ロータ34のN極・S極の着磁パターンに対して所定の位置となるようにして移動側の制止部を構成している。このようにして、固定側の制止部と移動側の制止部を構成することにより、前記弁体が1回転未満で閉じる方向又は開く方向に回動し、固定側の制止部と移動側の制止部が当接することにより機械的に制止されたとき、ステッピングモーターの励磁パターンが原点として使用する励磁パターンとなるように設定されている。
【0026】上述のごとく構成された本発明の電動流量制御弁は、固定側の制止部と移動側の制止部の当接によりロータの回転が止まったとき、ステッピングモータの励磁パターンが原点として使用する励磁パターンとなるように設定されているため、電動流量制御弁としての使用開始時に、マイコンからのパルス信号(全開から全閉状態にするパルス数よりも多いパルス数)を与えることによりイニシャライズ操作を行えば、ストッパーによる機械的な制止をしたときは、イニシャライズ操作の最終励磁パターンである原点として使用する励磁パターンとなり、イニシャライズ後のロータの位置と本来の原点位置であるストッパの当接位置は一致する。従って、従来品のように、ロータがストッパに当たって停止した後にロータの原点位置のずれがおきないようになっている。」

2 本件発明について
(1)本件発明1について
ア 本件発明1と甲1発明1の対比
本件発明1と甲1発明1とを、その有する機能に照らして対比すると、甲1発明1の「シート部47」は本件発明1の「弁座」に相当し、同様に、「バルブボディ40」は「弁本体」に、「マグネット42及びロータシャフト43」は「ローター」に、「ステップモータ」は「ステッピングモーター」に、「コイル41」は「ステーター」に、「バルブ45の閉止する方向」は「第一方向」に、「ステップモータ式EGR弁4」は「電動弁」に、「コントロールユニット1」は「電動弁制御装置」に、それぞれ相当する。

そうすると、本件発明1と甲1発明1とは、以下の点で一致し、相違する。
(一致点)
「弁座を有する弁本体と、前記弁本体に対して回転可能なローターと、前記ローターとともにステッピングモーターを構成するステーターと、前記弁座と向かい合い、前記ローターが第一方向に回転すると前記弁座に向けて移動する弁体と、を有する電動弁を制御する電動弁制御装置であって、
前記ステッピングモーターにパルスを入力して前記ローターを前記第一方向に回転させる回転制御部と、
前記ローターの回転によって前記ステーターに生じる電圧を取得する電圧取得部と、を有する電動弁制御装置。」

(相違点1)
本件発明1は「前記ローターが基準位置にあるときに前記ローターの前記第一方向への回転を規制するストッパ機構」を有し、「前記電圧の波形と前記電圧の基準波形との相違の度合いに基づいて、前記電動弁が前記ローターの前記第一方向への回転が規制される第一回転規制状態であるか否かを判定する状態判定部」を有するのに対し、
甲1発明1は、ストッパ機構を有しておらず、判別部は、ストッパ機構を有することを前提とした、「前記電圧の波形と前記電圧の基準波形との相違の度合いに基づいて、前記電動弁が前記ローターの前記第一方向への回転が規制される第一回転規制状態であるか否かを判定する」ものではない点。

イ 判断
上記相違点1について検討する。
(ア)甲2〜4には、波形を解析して装置の状態を判定する際に、装置が特定状態であるか否かの判定を、測定波形と基準波形との相違の度合いに基づいて行う、一般技術が開示されているといえる。
しかし、甲2〜4は、いずれも、弁本体に対して回転可能なローターと、ローターとともにステッピングモーターを構成するステーターとを有する電動弁ではなく、甲2〜4には、ローターが基準位置にあるときに前記ローターの前記第一方向への回転を規制するストッパ機構について、何ら、開示も示唆もされていない。
また、甲4については、公開日が2022年(令和4年)8月9日であり、本件特許の優先日(2021年(令和3年)9月30日)後に公開された文献であるから、本件特許の請求項に係る発明の進歩性を否定する文献として適当ではなく、使用することはできない。
そうすると、甲1発明1において、上記甲2〜3に開示される一般技術を適用し得たとしても、前提構成であるストッパ機構を導出することはできず、上記相違点1に係る構成のように特定された本件発明1には至らない。
以上によれば、本件発明1は、甲1発明1及び甲2〜3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(イ)また、弁本体に対して回転可能なローターと、ローターとともにステッピングモーターを構成するステーターとを有する電動弁において、弁本体の閉止方向へのローターの回転を規制するストッパ機構を設けることは、例えば、甲5の段落0002〜0003の記載(上記1(5)イを参照。)や、甲7の段落0014〜0016、0025〜0026の記載(上記1(7)イ、ウを参照。)によれば、当業者にとって従来周知の技術であるといえる。
(なお、甲6には、弁本体に対して回転可能なローターと、ローターとともにステッピングモーターを構成するステーターとを有する電動弁において、弁本体の閉止方向へのローターの回転を規制するストッパ機構を設けることについて、何ら記載されていない。)
しかし、甲1発明1において、上記周知技術を適用する動機はない。
また、仮に、甲1発明1において、上記周知技術を適用し得たとしても、本件発明1の上記相違点1に係る「前記電圧の波形と前記電圧の基準波形との相違の度合いに基づいて、前記電動弁が前記ローターの前記第一方向への回転が規制される第一回転規制状態であるか否かを判定する」という事項(以下、「事項A」という。)の点で、依然として相違し、上記相違点1に係る構成のように特定された本件発明1には至らない。
さらに、上記事項Aは、ストッパ機構を備えることによって生じた課題を解決するための手段であるところ、ストッパ機構を備えない甲1発明1において、そのような課題はなく、周知のストッパ機構を適用した上で、更に事項Aの構成とすることは、もはや、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。

(ウ)以上によれば、本件発明1は、甲1に記載された発明及び甲2〜3、5〜7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものとはいえない。

ウ 異議申立人の主張に対して
(ア)異議申立人は、特許異議申立書(以下、「申立書」という。)において、甲1の記載における、ロータシャフト43、バルブ45及びシート部47が、本件発明1における「ストッパ機構」に相当し、甲1には、「ローターが基準位置にあるときに前記ローターの前記第一方向への回転を規制するストッパ機構」が示されている旨主張する(申立書の19頁下から3行〜20頁2行)。
しかし、甲1の段落0014の「EGRバルブでは、ロータシャフトとバルブが別体となっており、イニシャライズ時にロータシャフトをあるステップ数開側に移動させて、基準位置(バルブ全閉位置)としているため、イニシャライズ時にロータシャフトがバルブと接触する際、逆起電力が弱まり、コイルの端子電圧波形はモータ静止時と正常作動時の中間的波形となる。」との記載から、バルブ45がシート部47に接触しても、更に、ロータシャフト43は回転できるものであると分かる。したがって、バルブ45及びシート部47は、ロータシャフト43の回転を規制するものとはいえない。また、甲1の段落0011及び0014並びに図2の記載によれば、甲1に開示されるものにおいて、バルブ45をシート部47に向けて移動させる方向は、図2においてロータシャフト43が回転して上方に移動する方向であると理解されるところ、バルブ45及びシート部47により、ロータシャフト43が上方に移動する方向の回転を規制することは、構造上無理である。そうすると、甲1の記載における、ロータシャフト43、バルブ45及びシート部47は、本件発明1における「ストッパ機構」に相当するものではない。
また、甲1の上記段落0014の「イニシャライズ時にロータシャフトをあるステップ数開側に移動させて、基準位置(バルブ全閉位置)としている」との記載によれば、ロータシャフト43は、あるステップ数移動させて停止するものであることが分かる。つまり、ストッパ機構により回転が規制されるものではなく、甲1には、ストッパ機構は開示されていない。
さらに、甲1には、本件の請求項1に記載される字句と同一の「基準位置」という字句が記載されているところ、本件の請求項1における「基準位置」は、ローターの第一方向への回転がストッパ機構によって規制された位置であるのに対し、甲1における「基準位置」は、バルブ全閉位置であって、ロータシャフト43の回転が規制される位置ではない。したがって、甲1には、「ローターが基準位置にあるときに前記ローターの前記第一方向への回転を規制するストッパ機構」が示されているとはいえない。

(イ)異議申立人は、申立書において、甲1に、「前記電圧の波形と前記電圧の基準波形との相違に基づいて、前記電動弁が前記ローターの前記第一方向への回転が規制される第一回転規制状態であるか否かを判定する状態判定部」が開示されている旨主張する(申立書の20頁12〜16行)。
しかし、上記(ア)で検討したように、甲1には、そもそもストッパ機構が開示されていないから、「前記電動弁が前記ローターの前記第一方向への回転が規制される第一回転規制状態であるか否かを判定する」ことは行われていない。
また、甲1の段落0014及び図3(b)の記載(上記1(1)ア(カ)、(ケ)を参照)によれば、比較器の出力に基づいて、ロータシャフトとバルブの衝突時(イニシャライズ時)を区別するものが示されているところ、甲1には、基準波形という概念が示されておらず、「前記電圧の波形と前記電圧の基準波形との相違に基づ」くものともいえない。

以上によれば、異議申立人の上記主張は採用できない。

(2)本件発明2、5、11、14、15について
本件発明1を直接又は間接的に引用する本件発明2、5、11、14、15は、本件発明1を特定するための事項を全て含み、本件発明1をさらに減縮したものである。したがって、その余の事項を検討するまでもなく、前記本件発明1についての判断と同様の理由により、本件発明2、5、11、14、15は、甲1に記載された発明及び甲2〜3、5〜7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)本件発明16について
ア 本件発明16と甲1発明1の対比
本件発明16と甲1発明1とを、その有する機能に照らして対比すると、甲1発明1の「シート部47」は本件発明1の「弁座」に相当し、同様に、「バルブボディ40」は「弁本体」に、「マグネット42及びロータシャフト43」は「ローター」に、「ステップモータ」は「ステッピングモーター」に、「コイル41」は「ステーター」に、「バルブ45の閉止する方向」は「第一方向」に、「ステップモータ式EGR弁4」は「電動弁」に、「コントロールユニット1」は「電動弁制御装置」に、それぞれ相当する。
また、甲1発明1の「電圧」と本件発明16の「電流」とは、「電気信号」という限りで共通し、また、甲1発明1の「電圧取得部」と本件発明16の「電流取得部」とは、「電気信号取得部」という限りで共通する。

そうすると、本件発明16と甲1発明1とは、以下の点で一致し、相違する。
(一致点)
「弁座を有する弁本体と、前記弁本体に対して回転可能なローターと、前記ローターとともにステッピングモーターを構成するステーターと、前記弁座と向かい合い、前記ローターが第一方向に回転すると前記弁座に向けて移動する弁体と、を有する電動弁を制御する電動弁制御装置であって、
前記ステッピングモーターにパルスを入力して前記ローターを前記第一方向に回転させる回転制御部と、
前記ローターの回転によって前記ステーターに生じる電気信号を取得する電気信号取得部と、を有する電動弁制御装置。」

(相違点2)
本件発明16は「前記ローターが基準位置にあるときに前記ローターの前記第一方向への回転を規制するストッパ機構」を有し、「前記電流の波形と前記電流の基準波形との相違の度合いに基づいて、前記電動弁が前記ローターの前記第一方向への回転が規制される第一回転規制状態であるか否かを判定する状態判定部」を有するのに対し、
甲1発明1は、ストッパ機構を有しておらず、判別部は、ストッパ機構を有することを前提とした、「前記電流の波形と前記電流の基準波形との相違の度合いに基づいて、前記電動弁が前記ローターの前記第一方向への回転が規制される第一回転規制状態であるか否かを判定する」ものではない点。

(相違点3)
電気信号を取得する電気信号取得部に関し、本件発明16は、「前記ローターの回転によって前記ステーターに生じる電流を取得する電流取得部」であるのに対し、
甲1発明1は、前記マグネット42及び前記ロータシャフト43の回転によって前記コイル41に生じる電圧を取得する電圧取得部である点。

イ 判断
まず、上記相違点2について検討する。
(ア)上記(1)イ(ア)で検討したように、甲2〜3には、波形を解析して装置の状態を判定する際に、装置が特定状態であるか否かの判定を、測定波形と基準波形との相違の度合いに基づいて行う、一般技術が開示されているといえるところ、甲2〜3は、いずれも、弁本体に対して回転可能なローターと、ローターとともにステッピングモーターを構成するステーターとを有する電動弁ではなく、甲2〜3には、ローターが基準位置にあるときに前記ローターの前記第一方向への回転を規制するストッパ機構について、何ら、開示も示唆もされていない。
そうすると、甲1発明1において、上記甲2〜3に開示される一般技術を適用し得たとしても、前提構成であるストッパ機構を導出することはできず、上記相違点2に係る構成のように特定された本件発明16には至らない。
以上によれば、本件発明16は、甲1発明1及び甲2〜3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(イ)また、弁本体に対して回転可能なローターと、ローターとともにステッピングモーターを構成するステーターとを有する電動弁において、弁本体の閉止方向へのローターの回転を規制するストッパ機構を設けることは、例えば、甲5の段落0002〜0003の記載(上記1(5)イを参照。)や、甲7の段落0014〜0016、0025〜0026の記載(上記1(7)イ、ウを参照。)によれば、当業者にとって従来周知の技術であるといえる。
(なお、甲6には、弁本体に対して回転可能なローターと、ローターとともにステッピングモーターを構成するステーターとを有する電動弁において、弁本体の閉止方向へのローターの回転を規制するストッパ機構を設けることについて、何ら記載されていない。)
しかし、甲1発明1において、上記周知技術を適用する動機はない。
また、仮に、甲1発明1において、上記周知技術を適用し得たとしても、本件発明16の上記相違点2に係る「前記電流の波形と前記電流の基準波形との相違の度合いに基づいて、前記電動弁が前記ローターの前記第一方向への回転が規制される第一回転規制状態であるか否かを判定する」という事項(以下、「事項B」という。)の点で、依然として相違し、上記相違点2に係る構成のように特定された本件発明16には至らない。
さらに、上記事項Bは、ストッパ機構を備えることによって生じた課題を解決するための手段であるところ、ストッパ機構を備えない甲1発明1において、そのような課題はなく、周知のストッパ機構を適用した上で、更に事項Bの構成とすることは、もはや、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。

(ウ)以上によれば、前記相違点3を検討するまでもなく、本件発明16は、甲1に記載された発明及び甲2〜3、5〜7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものとはいえない。

(4)本件発明17について
本件発明1又は16を引用する本件発明17は、本件発明1又は16を特定するための事項を全て含むものである。したがって、その余の事項を検討するまでもなく、前記本件発明1又は16についての判断と同様の理由により、本件発明17は、甲1に記載された発明及び甲2〜3、5〜7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(5)本件発明18について
ア 本件発明18と甲1発明2の対比
本件発明18と甲1発明2とを、その有する機能に照らして対比すると、甲1発明2の「シート部47」は本件発明18の「弁座」に相当し、同様に、「バルブボディ40」は「弁本体」に、「マグネット42及びロータシャフト43」は「ローター」に、「ステップモータ」は「ステッピングモーター」に、「コイル41」は「ステーター」に、「バルブ45の閉止する方向」は「第一方向」に、「ステップモータ式EGR弁4」は「電動弁」に、それぞれ相当する。

そうすると、本件発明18と甲1発明2とは、以下の点で一致し、相違する。
(一致点)
「弁座を有する弁本体と、前記弁本体に対して回転可能なローターと、前記ローターとともにステッピングモーターを構成するステーターと、前記弁座と向かい合い、前記ローターが第一方向に回転すると前記弁座に向けて移動する弁体と、を有する電動弁の制御方法であって、
前記ステッピングモーターにパルスを入力して前記ローターを前記第一方向に回転させ、
前記ローターの回転によって前記ステーターに生じる電圧を取得する、電動弁の制御方法。」

(相違点4)
本件発明18は「前記ローターが基準位置にあるときに前記ローターの前記第一方向への回転を規制するストッパ機構」を有し、「前記電圧の波形と前記電圧の基準波形との相違の度合いに基づいて、前記電動弁が前記ローターの前記第一方向への回転が規制される第一回転規制状態であるか否かを判定する」のに対し、
甲1発明2は、ストッパ機構を有しておらず、判別部は、ストッパ機構を有することを前提とした、「前記電圧の波形と前記電圧の基準波形との相違の度合いに基づいて、前記電動弁が前記ローターの前記第一方向への回転が規制される第一回転規制状態であるか否かを判定する」ものではない点。

イ 判断
上記相違点4について検討する。
(ア)甲2〜3には、波形を解析して装置の状態を判定する際に、装置が特定状態であるか否かの判定を、測定波形と基準波形との相違の度合いに基づいて行う、一般技術が開示されているといえる。
しかし、甲2〜3は、いずれも、弁本体に対して回転可能なローターと、ローターとともにステッピングモーターを構成するステーターとを有する電動弁ではなく、甲2〜3には、ローターが基準位置にあるときに前記ローターの前記第一方向への回転を規制するストッパ機構について、何ら、開示も示唆もされていない。
そうすると、甲1発明2において、上記甲2〜3に開示される一般技術を適用し得たとしても、前提構成であるストッパ機構を導出することはできず、上記相違点4に係る構成のように特定された本件発明18には至らない。
以上によれば、本件発明18は、甲1発明2及び甲2〜3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(イ)また、弁本体に対して回転可能なローターと、ローターとともにステッピングモーターを構成するステーターとを有する電動弁において、弁本体の閉止方向へのローターの回転を規制するストッパ機構を設けることは、例えば、甲5の段落0002〜0003の記載(上記1(5)イを参照。)や、甲7の段落0014〜0016、0025〜0026の記載(上記1(7)イ、ウを参照。)によれば、当業者にとって従来周知の技術であるといえる。
(なお、甲6には、弁本体に対して回転可能なローターと、ローターとともにステッピングモーターを構成するステーターとを有する電動弁において、弁本体の閉止方向へのローターの回転を規制するストッパ機構を設けることについて、何ら記載されていない。)
しかし、甲1発明2において、上記周知技術を適用する動機はない。
また、仮に、甲1発明2において、上記周知技術を適用し得たとしても、本件発明18の上記相違点4に係る「前記電圧の波形と前記電圧の基準波形との相違の度合いに基づいて、前記電動弁が前記ローターの前記第一方向への回転が規制される第一回転規制状態であるか否かを判定する」という事項Aの点で、依然として相違し、上記相違点4に係る構成のように特定された本件発明18には至らない。
さらに、上記事項Aは、ストッパ機構を備えることによって生じた課題を解決するための手段であるところ、ストッパ機構を備えない甲1発明1において、そのような課題はなく、周知のストッパ機構を適用した上で、更に事項Aの構成とすることは、もはや、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。

(ウ)以上によれば、本件発明18は、甲1に記載された発明及び甲2〜3、5〜7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものとはいえない。

(6)本件発明19について
ア 本件発明19と甲1発明2の対比
本件発明19と甲1発明2とを、その有する機能に照らして対比すると、甲1発明2の「シート部47」は本件発明19の「弁座」に相当し、同様に、「バルブボディ40」は「弁本体」に、「マグネット42及びロータシャフト43」は「ローター」に、「ステップモータ」は「ステッピングモーター」に、「コイル41」は「ステーター」に、「バルブ45の閉止する方向」は「第一方向」に、「ステップモータ式EGR弁4」は「電動弁」に、それぞれ相当する。
また、甲1発明2の「電圧」と本件発明19の「電流」とは、「電気信号」という限りで共通する。

そうすると、本件発明19と甲1発明2とは、以下の点で一致し、相違する。
(一致点)
「弁座を有する弁本体と、前記弁本体に対して回転可能なローターと、前記ローターとともにステッピングモーターを構成するステーターと、前記弁座と向かい合い、前記ローターが第一方向に回転すると前記弁座に向けて移動する弁体と、を有する電動弁の制御方法であって、
前記ステッピングモーターにパルスを入力して前記ローターを前記第一方向に回転させ、
前記ローターの回転によって前記ステーターに生じる電気信号を取得する、電動弁の制御方法。」

(相違点5)
本件発明19は「前記ローターが基準位置にあるときに前記ローターの前記第一方向への回転を規制するストッパ機構」を有し、「前記電流の波形と前記電流の基準波形との相違の度合いに基づいて、前記電動弁が前記ローターの前記第一方向への回転が規制される第一回転規制状態であるか否かを判定する」のに対し、
甲1発明2は、ストッパ機構を有しておらず、判別部は、ストッパ機構を有することを前提とした、「前記電流の波形と前記電流の基準波形との相違の度合いに基づいて、前記電動弁が前記ローターの前記第一方向への回転が規制される第一回転規制状態であるか否かを判定する」ものではない点。

(相違点6)
電気信号を取得することに関し、本件発明19は、「前記ローターの回転によって前記ステーターに生じる電流を取得」するのに対し、
甲1発明2は、前記マグネット42及び前記ロータシャフト43の回転によって前記コイル41に生じる電圧を取得する点。

イ 判断
まず、上記相違点5について検討する。
(ア)上記(1)イ(ア)で検討したように、甲2〜3には、波形を解析して装置の状態を判定する際に、装置が特定状態であるか否かの判定を、測定波形と基準波形との相違の度合いに基づいて行う、一般技術が開示されているといえるところ、甲2〜3は、いずれも、弁本体に対して回転可能なローターと、ローターとともにステッピングモーターを構成するステーターとを有する電動弁ではなく、甲2〜3には、ローターが基準位置にあるときに前記ローターの前記第一方向への回転を規制するストッパ機構について、何ら、開示も示唆もされていない。
そうすると、甲1発明2において、上記甲2〜3に開示される一般技術を適用し得たとしても、前提構成であるストッパ機構を導出することはできず、上記相違点5に係る構成のように特定された本件発明19には至らない。
以上によれば、本件発明19は、甲1発明2及び甲2〜3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(イ)また、弁本体に対して回転可能なローターと、ローターとともにステッピングモーターを構成するステーターとを有する電動弁において、弁本体の閉止方向へのローターの回転を規制するストッパ機構を設けることは、例えば、甲5の段落0002〜0003の記載(上記1(5)イを参照。)や、甲7の段落0014〜0016、0025〜0026の記載(上記1(7)イ、ウを参照。)によれば、当業者にとって従来周知の技術であるといえる。
(なお、甲6には、弁本体に対して回転可能なローターと、ローターとともにステッピングモーターを構成するステーターとを有する電動弁において、弁本体の閉止方向へのローターの回転を規制するストッパ機構を設けることについて、何ら記載されていない。)
しかし、甲1発明2において、上記周知技術を適用する動機はない。
また、仮に、甲1発明2において、上記周知技術を適用し得たとしても、本件発明19の上記相違点5に係る「前記電流の波形と前記電流の基準波形との相違の度合いに基づいて、前記電動弁が前記ローターの前記第一方向への回転が規制される第一回転規制状態であるか否かを判定する」という事項Bの点で、依然として相違し、上記相違点5に係る構成のように特定された本件発明19には至らない。
さらに、上記事項Bは、ストッパ機構を備えることによって生じた課題を解決するための手段であるところ、ストッパ機構を備えない甲1発明2において、そのような課題はなく、周知のストッパ機構を適用した上で、更に事項Bの構成とすることは、もはや、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。

(ウ)以上によれば、前記相違点6を検討するまでもなく、本件発明19は、甲1に記載された発明及び甲2〜3、5〜7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものとはいえない。

(7)まとめ
以上によれば、本件発明1、2、5、11、14〜19に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものということはできず、同法第113条第2号により取り消すことができない。

第5 むすび
以上のとおりであるから、請求項1、2、5、11、14〜19に係る特許は、申立書に記載された特許異議の申立ての理由によっては、取り消すことができない。
また、他に請求項1、2、5、11、14〜19に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2024-01-10 
出願番号 P2022-573438
審決分類 P 1 652・ 121- Y (F16K)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 窪田 治彦
特許庁審判官 関口 哲生
伊藤 秀行
登録日 2023-03-31 
登録番号 7254400
権利者 株式会社不二工機
発明の名称 電動弁制御装置および電動弁装置、ならびに、電動弁の制御方法  
代理人 弁理士法人オーパス国際特許事務所  

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