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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G01C
審判 全部申し立て 2項進歩性  G01C
管理番号 1407809
総通号数 27 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2024-03-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-11-29 
確定日 2023-12-28 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第7077068号発明「案内システムおよび案内プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第7077068号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕、3について訂正することを認める。 特許第7077068号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 理 由
第1 手続の経緯
特許第7077068号の請求項1ないし3に係る特許についての出願は、平成30年3月7日に出願され、令和4年5月20日にその特許権の設定登録がされ、令和4年5月30日に特許掲載公報が発行された。
その後、その特許に対し、令和4年11月29日に特許異議申立人佐藤惠一(以下「特許異議申立人」という。)より請求項1ないし3に係る特許に対して特許異議の申立てがされ、令和5年3月29日付け(発送日:同年4月4日)で取消理由通知書が通知され、令和5年5月31日に特許権者より意見書及び訂正請求書が提出された。
なお、令和5年5月31日の訂正請求に対する特許異議申立人からの意見書の提出はなかった。

第2 訂正の適否
1 訂正の内容
特許権者が令和5年5月31日の訂正請求書(以下「訂正請求書」という。)によりした訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)は、特許第7077068号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1ないし3について訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は次のとおりである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「 利用者による前記経路の案内開始指示または利用者の移動の開始をトリガにして、前記目的地の天候を示す情報を案内する案内部と、」と記載されているのを、「 利用者の移動の開始をトリガにして、前記目的地の天候を示す情報を案内する案内部と、」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する。)

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3に「 利用者による前記経路の案内開始指示または利用者の移動の開始をトリガにして、前記目的地の天候を示す情報を案内する案内部と、」と記載されているのを、「 利用者の移動の開始をトリガにして、前記目的地の天候を示す情報を案内する案内部、」に訂正する。

2 一群の請求項について
訂正前の請求項1及び2について、請求項2は、請求項1を直接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1及び2に対応する訂正後の請求項1及び2は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
また、訂正前の請求項3は独立請求項であり、訂正事項2によって記載が訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項3に対応する訂正後の請求項3は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

3 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項1における「利用者による前記経路の案内開始指示または利用者の移動の開始をトリガにして」について、択一的に記載されていた「利用者による前記経路の案内開始指示」という要素を削除することで、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1は、上記アの理由から明らかなように、特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1は、願書に添付した明細書の段落【0021】及び【0022】の記載に基づくものである。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、訂正前の請求項3における「利用者による前記経路の案内開始指示または利用者の移動の開始をトリガにして」について、択一的に記載されていた「利用者による前記経路の案内開始指示」という要素を削除することで、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2は、上記アの理由から明らかなように、特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は、願書に添付した明細書の段落【0021】及び【0022】の記載に基づくものである。
したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

4 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項において準用する同法第126条第4項から第7項までの規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕、3について訂正することを認める。

第3 本件発明
上記第2で述べたとおり、本件訂正請求による訂正が認められるので、本件特許の請求項1ないし3に係る発明(以下「本件発明1」ないし「本件発明3」という。)は、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
目的地を取得する目的地取得部と、
出発地から前記目的地までの経路を取得する経路取得部と、
利用者の移動の開始をトリガにして、前記目的地の天候を示す情報を案内する案内部と、
を備える案内システム。
【請求項2】
前記目的地が複数個取得された場合、複数の前記目的地に順次到達する前記経路が取得され、
前記天候を示す情報は、最後に到達する前記目的地の天候を示す情報である、
請求項1に記載の案内システム。
【請求項3】
コンピュータを、
目的地を取得する目的地取得部、
出発地から前記目的地までの経路を取得する経路取得部、
利用者の移動の開始をトリガにして、前記目的地の天候を示す情報を案内する案内部、
として機能させる案内プログラム。」

第4 取消理由の概要
当審が令和5年3月29日付けで特許権者に通知した取消理由通知の取消理由の要旨は、次のとおりである。なお、この取消理由通知に採用されてない特許異議申立理由はない。

1.(新規性)本件特許の請求項1ないし3に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1ないし3に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

2.(進歩性)本件特許の請求項1ないし3に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1ないし3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。



特許異議申立人の提出した証拠について、以下では甲第1号証(甲1の1−甲1の3を含む)等を「甲1」等といい、甲第1号証の1等を「甲1の1」等という。

●理由1(新規性)、理由2(進歩性)について
・甲1に記載された発明を主発明とする場合
・請求項1及び3に対して:甲1の1、甲1の2、甲1の3

●理由2(進歩性)について
・甲1に記載された発明を主発明とする場合
・請求項2に対して:甲1の1、甲1の2、甲1の3及び甲4ないし甲6

・甲1の1に記載された発明を主発明とする場合
・請求項1及び3に対して:甲1の1及び甲4ないし甲6
・請求項2に対して:甲1の1、甲1の2及び甲4ないし甲6

●甲2に記載された発明を主発明とする場合
・請求項1及び3に対して:甲2及び甲4ないし甲6
・請求項2に対して:甲2、甲1の2及び甲4ないし甲6

<引用文献等一覧>
甲1の1:取扱説明書 Gathers Honda Multi Car−AV System(インターナビ・リンク プレミアムクラブ編)、https://www.honda.co.jp/manual-access/navi/vrm-165vfi/pdf/vrm-165vfei_vfi-c-all.pdf
甲1の2:Honda Access、https://www.honda.co.jp/manual-access/navi/vrm-165vfi/pdf/vrm-165vfei_vfi-a-01.pdf
甲1の3:HONDA VRM−165VFiプレミアムインターナビ アクセサリー取扱説明書、http://www.honda.co.jp/manual-access/navi/vrm-165vfi/
甲2:Pioneerユーザーズガイド(WEB版)AVIC−CL901/CW901/CZ901/CW700II/CZ700II/CE901 シリーズ、https://jpn.pioneer/ja/support/manual/navi/17cyber/?section=798
甲3:「周辺情報の使い方」(トヨタT−Connect ユーザーガイド)、
https://dev.tconnect.jp/pages/pdf/Userguide_37.pdf
甲4:特開2012−093204号公報(周知技術を示す文献)
甲5:特開2016−200525号公報(周知技術を示す文献)
甲6:特開2016−099295号公報(周知技術を示す文献)

第5 当審の判断
1 引用文献、引用発明等
(1)甲1
ア 甲1の1の記載事項

(ア)第1ページ




(イ)第2ページ




(ウ)第9ページ




(エ)第20ページ




(オ)第21ページ




イ 甲1の2の記載事項

(ア)D−4




(イ)D−5




(ウ)D−8




ウ 甲1の3の記載事項

(ア)「



エ 甲1の認定事項
(ア)甲1の3(上記ウ(ア))には、「VRM−165VFiプレミアムインターナビ」のアクセサリー取扱説明書の「PDFダウンロード」についてのリンクが記載されている。
そして、甲1の1は甲1の3の「インターナビ・リンク プレミアムクラブ編」の「全ページダウンロード(2.8MB)」のリンク先のPDFに対応し、甲1の2は甲1の3の「ナビゲーション・オーディオ編」の「はじめに/ナビゲーションの基本操作/目的地を探す/ルート探索をする(3.6МB)」のリンク先のPDFに対応するものと推認される。
よって、甲1の1及び甲1の2は共に甲1の3の「VRM−165VFiプレミアムインターナビ」のアクサセサリー取扱説明書の「PDFダウンロード」のリンク先に格納されている同取扱説明書の具体的内容である蓋然性が高い。
また、上記ウ(ア)の「販売時期:2015年9月」の記載から、VRM−165VFiプレミアムインターナビは2015年9月に販売されたことが推認される。そして、取扱説明書は販売製品に添付して頒布し、また販売時に電気通信回線を通じて利用可能とするのが一般的であり、また、上記ア(イ)の「このたびは、Honda純正用品をお買い上げいただき、ありがとうございます。この取扱説明書は、ご使用のまえによくお読みいただき大切に保管してください。」の記載を踏まえると、2015年9月に販売されたVRM−165VFiプレミアムインターナビの取扱説明書である甲1の1及び甲1の2は販売時に不特定多数の者に配布され、利用可能とされたものと認められる。
そうすると、甲1の1及び甲1の2は、本件特許出願前の2015年9月に、国内外に頒布された刊行物及び電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものであると認められる。
また、上記ア(イ)には「2015年時点の情報を基に作成しております。」とあり、仮に甲1の3の「販売時期:2015年9月」より後に改定がなされた場合には、その時点の情報を基に作成している旨が甲1の1に記載されるのが通常であることからみて、そのような時期に改定がなされた後のものではないと推認できる。

(イ)上記ア(ウ)には「現在地や目的地周辺の気象情報をわかりやすく提供します。」と記載され、上記ア(エ)には「「ルート案内時連動取得」(38、39ページ)で全ての情報を選んでいる場合は、ルート案内を開始したときに気象情報を自動で取得することができます。(お買い上げ時の初期設定は、全ての情報に設定されています。)」と記載され、上記ア(オ)には「・インターナビ情報センターの専用サーバから地域の気象情報を取得して、気象情報を画面に表示させることができます。」、「・インターナビウェザーを取得する地点は、画面表示状態や設定の有無で異なります。」及び「・目的地を設定しており、現在地の地図が表示されている場合・・・・・・・目的地周辺の天気が表示されます。」と記載されていることから、ルート案内を開始したときに目的地周辺の天気を自動で取得し画面に表示させることが看取できる。

(ウ)上記イ(ア)には、目的地を設定することが記載されている。

(エ)上記イ(イ)には「ルート案内を開始する。」及び「1 案内スタートをタッチする。:ルート案内を開始します。」と記載されていることから、ルートを取得することが看取できる。

オ 甲1発明及び甲1記載事項
(ア)上記アないしエを踏まえると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

〔甲1発明〕
「目的地を設定し、
ルートを取得し、
ルート案内を開始したときに目的地周辺の天気を自動で取得し画面に表示させるナビゲーション。」

(イ)上記イ(ウ)の記載を踏まえると、甲1には、次の事項(以下「甲1記載事項1」という。)が記載されていると認められる。

〔甲1記載事項1〕
「追加する地点を目的地とし、すでに設定されている目的地を経由地とすること。」

(2)甲2
ア 甲2の記載事項
甲2にはページ番号が付されていないため、便宜上、その1枚目を1ページとし、以下同様とする。

(ア)第3ページ




(イ)第1ページ




(ウ)第2ページ




イ 甲2の認定事項
(ア)上記ア(ア)には「Copyright(c)2017 Pioneer Corporation.All Rights Reserved.」と記載されていることから、甲2は本件特許の出願前の2017年には、少なくとも作成され、かかる記載は著作権を留保する旨を他者に向けて表示する際に任意に使用されている表示であることを考慮に入れると同2017年には、公知であったと推認される。

(イ)上記ア(イ)には「ユーザーズガイド」及び「ナビゲーション」と記載されていることから、甲2はナビゲーションのユーザーズガイドであると認められる。

(ウ)上記ア(ウ)の「目的地の天気予報 ルート案内時に、天気情報の通知を行います。目的地に設定した予想到着時刻の天気情報が通知されます。」の記載から、ルート案内時に目的地の天気情報が通知されることが看取できる。

ウ 甲2発明
上記ア及びイを踏まえると、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。

〔甲2発明〕
「ルート案内時に目的地の天気情報が通知されるナビゲーション。」

(3)甲3
甲3の第1ページ及び第2ページの記載からみて、甲3には、次の事項が記載されていると認められる。

「ナビで目的地を設定し、ナビ案内開始時に、到着予想時刻の目的地周辺の天気を音声で案内すること。」

(4)甲4ないし甲6
甲4の段落【0001】、【0020】、【0021】及び【0024】の記載、甲5の段落【0001】、【0018】ないし【0020】及び【0026】の記載並びに甲6の段落【0001】、【0018】及び【0022】の記載から、以下の周知技術(以下「周知技術1」という。)が記載されている。

〔周知技術1〕
「目的地を取得する目的地取得部と、出発地から前記目的地までの経路を取得する経路取得部を備えるナビゲーション。」

2 対比・判断
(1)本件発明1
ア 甲1発明を主引用発明とする場合
本件発明1と甲1発明とを対比する。

(ア)甲1発明の「目的地を設定」することは、本件発明1の「目的地を取得する目的地取得部」を備える態様に相当する。

(イ)甲1発明の「ルートを取得」することは、本件発明1の「出発地から前記目的地までの経路を取得する経路取得部」を備える態様に相当する。

(ウ)甲1発明の「ルート案内を開始したときに目的地周辺の天気を自動で取得し画面に表示させる」ことと本件発明1の「利用者の移動の開始をトリガにして、前記目的地の天候を示す情報を案内する案内部と、を備える」態様とは、「トリガにより、前記目的地の天候を示す情報を案内する案内部と、を備える」という限りにおいて一致する。

(エ)甲1発明の「ナビゲーション」は、本件発明1の「案内システム」に相当する。

(オ)上記(ア)ないし(エ)を踏まえると、両者の一致点及び相違点は以下のとおりである。

〔一致点〕
「目的地を取得する目的地取得部と、
出発地から前記目的地までの経路を取得する経路取得部と、
トリガにより、前記目的地の天候を示す情報を案内する案内部と、
を備える案内システム。」

〔相違点1〕
「目的地の天候を示す情報を案内する」「トリガ」に関して、本件発明1は「利用者の移動の開始をトリガにして、前記目的地の天候を示す情報を案内する案内部と、を備える」のに対して、甲1発明は「ルート案内を開始したときに目的地周辺の天気を自動で取得し画面に表示させる」点。

(カ)上記相違点1について検討する。
上記1(1)オ(ア)において上述したとおり、甲1発明は「ルート案内を開始したときに目的地周辺の天気を自動で取得し画面に表示させる」ことを含むものであるが、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項を開示ないし示唆するものではない。
また、上記1(1)オ(イ)において上述したとおり、甲1記載事項1は「追加する地点を目的地とし、すでに設定されている目的地を経由地とすること。」であって、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項を開示ないし示唆するものではない。
さらに、甲2ないし甲6は、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項を開示ないし示唆するものではなく、ほかに、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項を、当業者が容易に想到できたとする証拠や根拠はない。

(キ)したがって、本件発明1は、甲1発明、甲1記載事項1及び甲2ないし甲6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(ク)仮に、甲1の1のナビゲーションの取扱説明書と、甲1の2のナビゲーションの取扱説明書とが、別のナビゲーションの取扱説明書である場合について以下に検討する。

a 甲1の1の記載事項
上記1(1)エ(ア)において上述したとおり、甲1の1は「VRM−165VFiプレミアムインターナビ」の取扱説明書の「PDFダウンロード」のリンク先に格納されている同取扱説明書の具体的内容である蓋然性が高く、2015年9月に販売されたVRM−165VFiプレミアムインターナビの取扱説明書である甲1の1は販売時に不特定多数の者に配布され、利用可能とされたものと認められるから、甲1の1は、本件特許出願前の2015年9月に、国内外に頒布された刊行物及び電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものであると認められる。

b 甲1の1発明
上記1(1)エ(イ)を踏まえると、甲1の1には、次の発明(以下「甲1の1発明」という。)が記載されていると認められる。

〔甲1の1発明〕
「ルート案内を開始したときに目的地周辺の天気を自動で取得し画面に表示させるナビゲーション。」

c 対比・判断
本件発明1と甲1の1発明を対比する。

(a)甲1の1発明の「ルート案内を開始したときに目的地周辺の天気を自動で取得し画面に表示させる」ことと本件発明1の「利用者の移動の開始をトリガにして、前記目的地の天候を示す情報を案内する案内部と、を備える」態様とは、「トリガにより、前記目的地の天候を示す情報を案内する案内部と、を備える」という限りにおいて一致する。

(b)甲1の1発明の「ナビゲーション」は、本件発明1の「案内システム」に相当する。

(c)そうすると、両者の一致点及び相違点は以下のとおりである。

〔一致点〕
「トリガにより、前記目的地の天候を示す情報を案内する案内部と、を備える案内システム。」

〔相違点2〕
本件発明1は「目的地を取得する目的地取得部と、出発地から前記目的地までの経路を取得する経路取得部」を備えるのに対し、甲1の1発明はそのような特定がされていない点。

〔相違点3〕
「目的地の天候を示す情報を案内する」「トリガ」に関して、本件発明1は「利用者の移動の開始をトリガにして、前記目的地の天候を示す情報を案内する案内部と、を備える」のに対して、甲1の1発明は「ルート案内を開始したときに目的地周辺の天気を自動で取得し画面に表示させる」点。

(d)事案に鑑み、上記相違点3について検討する。
上記2(1)ア(ク)bにおいて上述したとおり、甲1の1発明は「ルート案内を開始したときに目的地周辺の天気を自動で取得し画面に表示させる」ことを含むものであるが、相違点3に係る本件発明1の発明特定事項を開示ないし示唆するものではない。
また、上記1(1)オ(イ)において上述したとおり、甲1記載事項1は「追加する地点を目的地とし、すでに設定されている目的地を経由地とすること。」であって、相違点3に係る本件発明1の発明特定事項を開示ないし示唆するものではない。
さらに、甲2ないし甲6は、相違点3に係る本件発明1の発明特定事項を開示ないし示唆するものではなく、ほかに、相違点3に係る本件発明1の発明特定事項を、当業者が容易に想到できたとする証拠や根拠はない。

(e)したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1の1発明、甲1記載事項1及び甲2ないし甲6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 甲2発明を主引用発明とする場合
本件発明1と甲2発明とを対比する。

(ア)甲2発明の「ルート案内時に目的地の天気情報が通知される」ことと本件発明1の「利用者による前記経路の案内開始指示をトリガにして、前記目的地の天候を示す情報を案内する案内部と、を備える」態様とは、「トリガにより、前記目的地の天候を示す情報を案内する案内部と、を備える」ことという限りにおいて一致する。

(イ)甲2発明の「ナビゲーション」は、本件発明1の「案内システム」に相当する。

(ウ)上記(ア)及び(イ)を踏まえると、両者の一致点及び相違点は以下のとおりである。

〔一致点〕
「トリガにより、前記目的地の天候を示す情報を案内する案内部と、
を備える案内システム。」

〔相違点4〕
本件発明1は「目的地を取得する目的地取得部と、出発地から前記目的地までの経路を取得する経路取得部」を備えるのに対し、甲2発明はそのような特定がされていない点。

〔相違点5〕
「目的地の天候を示す情報を案内する」「トリガ」に関して、本件発明1は「利用者の移動の開始をトリガにして、前記目的地の天候を示す情報を案内する案内部と、を備える」のに対して、甲2発明は「ルート案内時に目的地の天気情報が通知される」点。

(エ)事案に鑑み、相違点5について検討する。
上記1(2)ウにおいて上述したとおり、甲2発明は「ルート案内時に目的地の天気情報が通知される」ことを含むものであるが、相違点5に係る本件発明1の発明特定事項を開示ないし示唆するものではない。
また、上記1(1)オ(イ)において上述したとおり、甲1記載事項1は「追加する地点を目的地とし、すでに設定されている目的地を経由地とすること。」であって、相違点5に係る本件発明1の発明特定事項を開示ないし示唆するものではない。
さらに、甲1及び甲3ないし甲6は、相違点5に係る本件発明1の発明特定事項を開示ないし示唆するものではなく、ほかに、相違点5に係る本件発明1の発明特定事項を、当業者が容易に想到できたとする証拠や根拠はない。

(オ)したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明、甲1記載事項1並びに甲1及び甲3ないし甲6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)本件発明2
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、上記(1)において述べたものと同様の理由により、甲1発明、甲1記載事項1及び甲2ないし甲6に記載された事項に基いて、甲1の1発明、甲1記載事項1及び甲2ないし甲6に記載された事項に基いて、又は、甲2発明、甲1記載事項1並びに甲1及び甲3ないし甲6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)本件発明3
本件発明3は、「案内システム」に係る発明である本件発明1を「案内プログラム」の発明としたものである。
そうすると、本件発明1と同様の理由により、本件発明3は、甲1発明、甲1記載事項1及び甲2ないし甲6に記載された事項に基いて、甲1の1発明、甲1記載事項1及び甲2ないし甲6に記載された事項に基いて、又は、甲2発明、甲1記載事項1並びに甲1及び甲3ないし甲6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1ないし3に係る特許は、取り消すことはできない。
また、ほかに請求項1ないし3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地を取得する目的地取得部と、
出発地から前記目的地までの経路を取得する経路取得部と、
利用者の移動の開始をトリガにして、前記目的地の天候を示す情報を案内する案内部と、
を備える案内システム。
【請求項2】
前記目的地が複数個取得された場合、複数の前記目的地に順次到達する前記経路が取得され、
前記天候を示す情報は、最後に到達する前記目的地の天候を示す情報である、
請求項1に記載の案内システム。
【請求項3】
コンピュータを、
目的地を取得する目的地取得部、
出発地から前記目的地までの経路を取得する経路取得部、
利用者の移動の開始をトリガにして、前記目的地の天候を示す情報を案内する案内部、
として機能させる案内プログラム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2023-12-21 
出願番号 P2018-040329
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (G01C)
P 1 651・ 121- YAA (G01C)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 山本 信平
特許庁審判官 河端 賢
星名 真幸
登録日 2022-05-20 
登録番号 7077068
権利者 株式会社アイシン パナソニックホールディングス株式会社 トヨタ自動車株式会社 株式会社デンソーテン
発明の名称 案内システムおよび案内プログラム  
代理人 Knowledge Partners弁理士法人  
代理人 岩上 渉  
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代理人 岩上 渉  
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