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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 D21H 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 D21H 審判 全部申し立て 2項進歩性 D21H |
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管理番号 | 1407822 |
総通号数 | 27 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2024-03-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2023-02-22 |
確定日 | 2023-12-05 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | true |
事件の表示 | 特許第7124791号発明「塗工紙とその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第7124791号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜11〕について訂正することを認める。 特許第7124791号の請求項1〜5、7〜11に係る特許を維持する。 特許第7124791号の請求項6に係る特許に対する特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第7124791号(以下「本件特許」という。)の請求項1〜11に係る特許についての出願は、令和元年6月5日に出願され、令和4年8月16日にその特許権の設定登録がなされ、同年8月24日に特許掲載公報が発行された。その特許についての特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和5年 2月22日 :特許異議申立人 森本美奈(以下「申立人」 という。)による請求項1〜11に係る特許 に対する特許異議の申立て 同年 6月30日付け:取消理由通知 同年 8月23日 :特許権者による意見書、訂正請求書の提出 なお、訂正請求について、期間を指定して申立人に意見を求めたところ、申立人から意見書等の提出はなかった。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」といい、本件訂正の請求を「本件訂正請求」という。)の内容は、以下のとおりである(当審注:下線は訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「波長380〜500nmの可視光線領域に最大吸収ピークを有する有機化合物を少なくとも1種類含有する」と記載されているのを、「波長380〜500nmの可視光線領域に最大吸収ピークを有する有機化合物を少なくとも1種類含有し、前記有機化合物が、テトラセン誘導体、ポルフィリン誘導体、カロテン誘導体およびフコキサンチン誘導体から選ばれる少なくとも1つである」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2〜5、7〜11も同様に訂正する) (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項6を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項7に「請求項1〜6のいずれか1項」と記載されているのを、「請求項1〜5のいずれか1項」に訂正する(請求項7の記載を引用する請求項8〜11も同様に訂正する)。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項8に「請求項1〜7のいずれか1項」と記載されているのを、「請求項1〜5、7のいずれか1項」に訂正する(請求項8の記載を引用する請求項9〜11も同様に訂正する)。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項9に「請求項1〜8のいずれか1項」と記載されているのを、「請求項1〜5、7、8のいずれか1項」に訂正する(請求項9の記載を引用する請求項10、11も同様に訂正する)。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項10に「請求項1〜9のいずれか1項」と記載されているのを、「請求項1〜5、7〜9のいずれか1項」に訂正する(請求項10の記載を引用する請求項11も同様に訂正する)。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項11に「請求項1〜10のいずれか1項」と記載されているのを、「請求項1〜5、7〜10のいずれか1項」に訂正する。 2 一群の請求項 本件訂正前の請求項2〜11は、訂正事項1に係る本件訂正前の請求項1を直接又は間接的に引用しているところ、本件訂正前の請求項1〜11は、一群の請求項であり、訂正事項1〜7の訂正は、当該一群の請求項〔1〜11〕に対して請求されたものである。 3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 訂正事項1に係る訂正は、訂正前の「有機化合物」について、「前記有機化合物が、テトラセン誘導体、ポルフィリン誘導体、カロテン誘導体およびフコキサンチン誘導体から選ばれる少なくとも1つである」と特定することで、有機化合物を具体的に限定するものである。 そうすると、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 有機化合物が、テトラセン誘導体、ポルフィリン誘導体、カロテン誘導体およびフコキサンチン誘導体から選ばれる少なくとも1つであることは、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)の請求項6に記載された事項であり、段落【0039】の記載にも基づくものであるから、新規事項を追加するものではない。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1は、発明特定事項をより具体的に限定するものであり、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的 訂正事項2は、請求項6を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項2は、請求項6を削除するものであるから、新規事項を追加するものではない。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項2は、請求項6を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (3)訂正事項3〜7について ア 訂正の目的 訂正事項3〜7は、訂正前の請求項7〜11が請求項6を含む複数項を引用していたところ、訂正事項2で請求項6を削除することに伴い、請求項6を引用することができなくなったことから、請求項6を引用しないものとするものである。 そうすると、訂正事項3〜7は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項3〜7は、複数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項3〜7は、訂正前の請求項7〜11が請求項6を含む複数項を引用していたところ、請求項6を引用しないものとするものであるから、新規事項を追加するものではない。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項3〜7は、引用する請求項の数を減少するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 4 小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に規定する事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 よって、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜11〕について、訂正することを認める。 第3 本件発明 上記「第2」で説示したように本件訂正請求は認められるから、本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項1〜5、7〜11に係る発明(以下、請求項に付した番号に応じて「本件発明1」・・・「本件発明11」といい、まとめて「本件発明」ともいう。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1〜5、7〜10に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 原紙の少なくとも片面に、顔料およびバインダー樹脂を含有する塗工層を有する塗工紙であって、 波長380〜500nmの可視光線領域に最大吸収ピークを有する有機化合物を少なくとも1種類含有し、 前記有機化合物が、テトラセン誘導体、ポルフィリン誘導体、カロテン誘導体およびフコキサンチン誘導体から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする塗工紙。 【請求項2】 前記塗工層が前記有機化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の塗工紙。 【請求項3】 前記塗工層の塗工面における白色度が70〜80%である請求項1または請求項2に記載の塗工紙。 【請求項4】 前記塗工層の塗工面におけるa*値が0〜−5.0である請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗工紙。 【請求項5】 前記塗工層の塗工面におけるb*値が1.0〜10.0である請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗工紙。 【請求項6】(削除) 【請求項7】 前記有機化合物がテトラセン誘導体であり、前記テトラセン誘導体が塗工層の固形分に対して0.01〜2質量%の割合で含有される請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗工紙。 【請求項8】 前記塗工層の塗工量が固形分として片面あたり2〜20g/m2である請求項1〜5、7のいずれか1項に記載の塗工紙。 【請求項9】 前記顔料に占める炭酸カルシウムの割合が60〜100質量%である請求項1〜5、7、8のいずれか1項に記載の塗工紙。 【請求項10】 前記バインダー樹脂がスチレンーブタジエン系樹脂である請求項1〜5、7〜9のいずれか1項に記載の塗工紙。 【請求項11】 原紙の少なくとも片面に、ブレードコーターまたはロッドブレードコーターを用いて前記塗工層を塗工することを特徴とする請求項1〜5、7〜10のいずれか1項に記載の塗工紙の製造方法。」 第4 取消理由の概要 取消理由通知で通知した取消理由の要旨は次のとおりである。 理由1:(新規性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、その特許は、特許法第29条第1項第3号に該当し、取り消されるべきものである。 理由2:(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 記 <引用文献等一覧> 甲第1号証:特開2000−326623号公報 甲第2号証:特開平1−250500号公報 甲第3号証:”製品案内2014−2015 大日精化工業株式会社”、「51紙用水性カラーベース」のページ、平成26年5月 甲第4号証:沼津工業技術支援センター 高木啓詞(当審注:高は、はしごだか)、「自記分光光度計分析」、令和4年10月14日 甲第5号証:“アシッドイエロー17”、[online]、Merck、[2022年12月19日検索]、インターネット<URL:https://www.sigmaaldrich.com/JP/ja/product/sial/201987> 甲第6号証:特開2001−295200号公報 甲第1号証〜甲第6号証は、申立人が提出したものであり、甲第1号証〜甲第6号証を、以下それぞれ「甲1」〜「甲6」という。 <甲1を主引例とした場合> ・本件発明1〜3、5、8 ・理由1 ・引用文献等 甲1 ・本件発明4、9〜11 ・理由2 ・引用文献等 甲1 <甲2を主引例とした場合> ・本件発明1、2、8 ・理由1 ・引用文献等 甲2 ・本件発明3〜5 ・理由2 ・引用文献等 甲2及び甲6 ・本件発明9、11 ・理由2 ・引用文献等 甲2 ・本件発明10 ・理由2 ・引用文献等 甲2及び甲1 第5 各甲号証の記載等 1 甲1 (1)甲1の記載事項 甲1には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。また、半角文字については全角文字に統一した。以下、同様。) 「【請求項1】支持体にインク受容層を設けたインクジェット記録媒体において、該インク受容層が着色剤を含有し、その表面がJIS Z8730による明度指数L*が85以上、96以下であり、且つ色座標a*が−1.0以上、2.0以下、b*が−3.0以上、2.0以下(但し、a*が0±0.15でb*が0±0.15の領域は除く)の条件を満たすことを特徴とするインクジェット記録媒体。」 「【0012】本発明に係るインク受容層は顔料と接着剤を主成分とする。顔料としては多孔性でインクの吸収性が高く、且つ鮮明な発色を可能とする顔料を含有することが好ましい。このような顔料としては、微粒子合成シリカ、ゼオライト、炭酸カルシウム,・・・等や、一般に紙塗工に用いられている顔料が例示できるが、特に微粒子合成シリカを用いることが好ましい。 【0013】・・・ 本発明のインク受容層に用いられる接着剤としては、ポリビニルアルコール及びカチオン変性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール誘導体、・・・スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレートーブタジエン共重合体等の共役ジエン系重合体ラテックス,・・・などの高分子が、顔料又は基材との接着性が良く、且つ水性インクとの親和性が良いため、吸液性を向上させるのでので、好ましく用いられる。」 「【0018】実施例1 支持体は坪量72g/m2、L*94.0、a*−0.67、b*0.84、ISO BRが84.6、の上質紙を使用した。 インク受容層は、支持体の表面に塗工した。インク受容層の塗被組成物は、シラノール変成ポリビニルアルコール(R−1130、(株)クラレ)30部、非晶質合成シリカ(ファインシールX−30、トクヤマ)100部、カチオン剤、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(ユニセンスCP−103、センカ(株))20部と蛍光染料(ホワイテックスBPS−H、住友化学)0.10部、カチオン染料(Kayacel Red CB Liquid、日本化薬)0.10部、カチオン染料(Kayacel Yellow CG Liquid、日本化薬)0.15部を用い、固形分濃度15%としてこれらを調整した。この塗液をバーコータにより、乾燥塗工量12g/m2となるよう支持体に塗工した。 更に、スーパーカレンダーで処理し、インクジェット記録用紙を得た。」 「【0021】実施例5 実施例1の染料組成を蛍光染料(ホワイテックスBPS−H、住友化学)0.10部、顔料染料(TB910 Yellow FR、大日精化)0.07部、顔料染料(TB520 Blue 2B、大日精化)0.02部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作成した。 実施例6 実施例1の染料組成を蛍光染料(ホワイテックスBPS−H、住友化学)0.33部、顔料染料(TB910 Yellow FR、大日精化)0.04部、顔料染料(TB400 Red 2R、大日精化)0.01部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作成した。 【0022】実施例7 実施例1の染料組成を蛍光染料(ホワイテックスBPS−H、住友化学)0.10部、顔料染料(TB910 Yellow FR、大日精化)0.04部、顔料染料(TB400 Red 2R、大日精化)0.02部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作成した。 【0023】実施例8 支持体は坪量67g/m2、L*88.7、a*−0.87、b*3.50、ISO BRが70.2の中質紙を使用した。 実施例1の染料組成を蛍光染料(ホワイテックスBPS−H、住友化学)0.10部、顔料染料(TB910 Yellow FR、大日精化)0.04部、顔料染料(TB400 Red 2R、大日精化)0.02部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作成した。」 「【0031】明度指数L*、および色座標a*、b*はJIS Z8730に記載の方法で測定した。印字濃度は上記のインクジェットプロッターとUVインクを使用して印字し,ブラック100%印字部の光学濃度をマクベス濃度計(マクベス社、RD−914型)で測定した。ISO BR(白色度)はISO 3688に記載の方法でインク受容層表面を測定した(スガ試験機の分光白色度測色計で測定)。70〜91程度が好ましい。」 「【表1】 」 (2)甲1の認定事項 ア 段落【0023】には、実施例8では、実施例1において支持体として中質紙を使用し、染料組成として、蛍光染料(ホワイテックスBPS−H、住友化学)0.10部、顔料染料(TB910 Yellow FR、大日精化)0.04部、顔料染料(TB400 Red 2R、大日精化)0.02部に変更したことが記載されている。そして、段落【0018】における実施例1の記載を踏まえると、実施例8は、中質紙を使用した支持体の表面にインク受容層を塗工し、インク受容層の塗被組成物は、シラノール変成ポリビニルアルコールと、非晶質合成シリカと、蛍光染料(ホワイテックスBPS−H、住友化学)と、顔料染料(TB910 Yellow FR、大日精化)と、顔料染料(TB400 Red 2R、大日精化)を含み、この塗液をバーコータにより、乾燥塗工量12g/m2となるよう支持体に塗工して、インクジェット記録用紙を作成したものと認められる。 イ 段落【0031】の記載から、ISR BR(白色度)は、インク受容層表面を測定したものであり、色座標a*、b*についても、同様にインク受容層表面を測定したものであることは当然である。そして、表1から、実施例8における色座標a*は0.20、b*は1.70、ISO BR(白色度)は76.6であると認められる。 (3)甲1発明 上記(1)及び(2)から、特に実施例8に着目すると、甲1には、インクジェット記録用紙に関する次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 <甲1発明> 「中質紙を使用した支持体の表面にインク受容層を塗工し、インク受容層の塗被組成物は、シラノール変成ポリビニルアルコールと、非晶質合成シリカと、蛍光染料(ホワイテックスBPS−H、住友化学)と、顔料染料(TB910 Yellow FR、大日精化)と、顔料染料(TB400 Red 2R、大日精化)を含み、この塗液をバーコータにより、乾燥塗工量12g/m2となるよう支持体に塗工して作成した、インク受容層表面を測定した色座標a*は0.20、b*は1.70、ISO BR(白色度)は76.6である、インクジェット記録用紙。」 2 甲2 (1)甲2の記載事項 甲2には、次の事項が記載されている。 ア 公報第6ページ右上欄第7行〜左下欄第13行 「(2)塗工液には一般に無機質顔料(微粉ケイ酸、クレー、タルク、ケイソウ土、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、チタン白、ケイ酸アルミニウムリトポン等)、水溶性高分子(酸化デンプン、カチオンデンプン、ゼラチン、カゼイン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン等)および/または合成樹脂ラテックス(スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス、メタクリル酸メチル・ブタジェン共重合体ラテックス、エチレン・酢酸ビニル共重合体ラテックス等)、染料、必要により有機溶剤可溶性樹脂(ポリビニルブチラール、フェニルグアナミン樹脂等)、pH調整剤、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、界面活性剤、色止め剤(染料固着剤)[(1)に同じ]等を含有していてもよい。 塗工液の処方の一例を示せば向上剤は通常0.01〜5重量%、好ましくは0.03〜3%、無機質顔料は通常2〜15%、水溶性高分子は通常0.5〜15%、染料は通常0.01〜5%、水が残りである。 塗工量(乾燥塗工量)は通常1〜50g/m2、好ましくは2〜40g/m2である。 塗工液の適用方法としては公知の手法(ロールコーター法、ブレードコーター法、エアナイフコーター法等)がある。」 イ 公報第7ページ左上欄第17行〜右上欄第16行 「実施例12 本発明の向上剤(実施例1〜10)を用い下記の塗工液を作成し、これをサイズ度0秒の一般紙(坪量50g/m2)にエアーナイフコーターにより塗工(乾燥塗工量10g/m2)し、着色紙を作成した。また、比較のため本発明の向上剤を添加しない塗工液を作成し、同様に着色紙を作成した。 (塗工液) (重量%、固形分) 向上剤(本発明品) 1.5 ポリビニルアルコール(注1) 5 シリカ (注2) 10 色止め剤 (注3) 1 酸性染料 0.1 水 残り ――――――――――――――――――――――――――― 計 1000 (注1)クラレ社製、 PVA117 (注2)日本シリカ製、ニップシールHD−2 (注3)三洋化成製、ジシアンジアミド・ホルムアルデヒド樹脂」 ウ 公報第8ページ左上欄 「[2]紙上の塗工層中に向上剤を含有させた場合 表−3 ブランクとは、スラリーに向上剤が含まれていないことを意味する。」 (2)甲2の認定事項 ア 上記(1)ウの「紙上の塗工層中に向上剤を含有させた」との記載から、紙上に塗工層が作成されるものと認められ、上記(1)イも参照すると、一般紙の紙上に、塗工層として、塗工液をエアーナイフコーターにより乾燥塗工量10g/m2で塗工して作成した着色紙が記載されていると認められる。 イ 上記(1)イの実施例12について、上記(1)ウの表−3から、染料としてC.I.アシッドイエロー17を用いることが認められ、実施例12において、塗工液は、ポリビニルアルコール、シリカ、C.I.アシッドイエロー17を含むと認められる。 (3)甲2発明 上記(1)及び(2)から、特に実施例12の染料としてC.I.アシッドイエロー17を用いるものに着目すると、甲2には、着色紙に関する次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 <甲2発明> 「一般紙の紙上に、塗工層として、ポリビニルアルコール、シリカ、C.I.アシッドイエロー17を含む塗工液をエアーナイフコーターにより乾燥塗工量10g/m2で塗工して作成した着色紙。」 3 甲3 (1)甲3の記載事項 甲3には、次の事項が記載されている。 「 」 (2)甲3記載の技術事項 上記(1)から、甲3には次の事項が記載されていると認められる。 「TB−910 Yellow FRの使用顔料がジスアゾ系であること。」 4 甲4 (1)甲4の記載事項 甲4には、次の事項が記載されている。 ア 第6〜7行 「依頼者より提供された分析用サンプル(TB910 Yellow FR、大日精化工業株製)1点を以下の条件で分析した。」 イ 最後の行 「最大吸収波長は440nmであった。」 (2)甲4記載の技術事項 上記(1)から、甲4には次の技術事項が記載されていると認められる。 「大日精化工業株製TB910 Yellow FRの最大吸収波長は440nmであること。」 5 甲5 (1)甲5の記載事項 甲5には、次の事項が記載されている。 ア 第1ページ 「 」 イ 第3ページ 「 」 (2)甲5の認定事項 上記(1)アにおける構造式及び化学式から、アシッドイエロー17は、有機化合物であると認められる。 (3)甲5記載の技術事項 上記(1)及び(2)から、甲5には次の技術事項が記載されていると認められる。 「アシッドイエロー17は有機化合物であり、λmaxが400nmであること。」 6 甲6 (1)甲6の記載事項 甲6には、次の事項が記載されている。 「【請求項1】白色の用紙であって、その色相がイエローがかったグリーンを帯びたものであることを特徴とする用紙。 【請求項2】白色度が、70〜75%であることを特徴とする請求項1記載の用紙。 【請求項3】白色度が、約73%であることを特徴とする請求項2記載の用紙。 【請求項4】L*a*b*色差表記において、a*値が−1.5±1.0であり且つb*値が3.0〜5.0であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の用紙。」 「【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところで、一般に、ノートやレポート用紙への筆記や読書等の作業を続けると、時間が経過するにつれて使用者が目の疲れを感じたり作業量が低下するという問題が生じる。例えば、白色度70%程度の再生紙を使用した用紙は人によっては色が暗く感じられ文字が見づらいという問題があり、また、白色度80%のバージン原紙を使用した用紙は人によっては眩しく感じられ目がちらつくという問題がある。ところが、これらの用紙を例えばノート用中紙の原紙に適用して実際にそのノートを使用した場合に、使用者の視覚や視機能に与える影響がどの程度であるかは明らかにされていない。また、白色度以外に視覚に対して影響を及ぼす因子としては用紙の色相が挙げられるが、どのような色相が使用者の目に負担を与えにくいかについても明らかにされていないのが現状である。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は、以上のような問題に鑑みて、使用者の目に優しい用紙の白色度や色相を明らかにし、環境問題にも配慮しつつ、長時間使用しても使用者の目にかかる負担を軽減し得る用紙を提供するものである。」 (2)甲6記載の技術事項 上記(1)から、甲6には次の事項が記載されていると認められる。 「白色の用紙であって、白色度が、70〜75%であり、L*a*b*色差表記において、a*値が−1.5±1.0であり且つb*値が3.0〜5.0である用紙。」 第6 当審の判断 1 取消理由通知に記載した取消理由について (1)甲1を主引例とした新規性・進歩性に関する取消理由について ア 本件発明1について (ア) 対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 後者の「中質紙を使用した支持体」は、その機能及び構成からみて、前者の「原紙」に相当し、以下同様に「表面」は「片面」に、「非晶質合成シリカ」は「顔料」に、「シラノール変成ポリビニルアルコール」は「バインダー樹脂」に、「インク受容層」は「塗工層」に、それぞれ相当する。 また、後者の「インクジェット記録用紙」は、塗液を塗工して作成するのであるから、前者の「塗工紙」に相当する。 そうすると、本件発明1と甲1発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「原紙の少なくとも片面に、顔料およびバインダー樹脂を含有する塗工層を有する塗工紙。」 [相違点1] 本件発明1は「波長380〜500nmの可視光線領域に最大吸収ピークを有する有機化合物を少なくとも1種類含有し、前記有機化合物が、テトラセン誘導体、ポルフィリン誘導体、カロテン誘導体およびフコキサンチン誘導体から選ばれる少なくとも1つである」のに対し、甲1発明は、当該構成を有しない点。 (イ) 判断 相違点1について検討する。 塗工紙が、「波長380〜500nmの可視光線領域に最大吸収ピークを有する有機化合物を少なくとも1種類含有し、前記有機化合物が、テトラセン誘導体、ポルフィリン誘導体、カロテン誘導体およびフコキサンチン誘導体から選ばれる少なくとも1つである」ことは、提示されたいずれの証拠(甲1〜甲6)に記載されておらず、また、自明のものともいえない。 この点について、申立人は、特許異議申立書(第17ページ第7〜15行)において「求める色調を達成するために、周知のテトラセン誘導体、ポルフィリン誘導体、カロテン誘導体およびフコキサンチン誘導体等からなる色材を配合することは、当業者にとって容易なことに過ぎない」旨を主張するが、塗工紙に、波長380〜500nmの可視光線領域に最大吸収ピークを有する、テトラセン誘導体、ポルフィリン誘導体、カロテン誘導体およびフコキサンチン誘導体から選ばれる少なくとも1つの有機化合物を含有させることが周知であることを示す証拠は提示されていないから、申立人の当該主張は採用できない。 よって、本件発明1は、甲1発明ではない。また、甲1発明において、上記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたものではない。 イ 本件発明2〜5、7〜11について 本件発明2〜5、7〜11は、本件発明1の構成をすべて含み、さらに限定を加えたものである。そうすると、本件発明1が、甲1発明ではなく、また、甲1発明に基づいて当業者が容易に想到できたものではない以上、本件発明2〜5、7〜11についても同様に、甲1発明ではなく、また、甲1発明に基づいて当業者が容易に想到できたものではない。 (2)甲2を主引例とした新規性・進歩性に関する取消理由について ア 本件発明1について (ア) 対比 本件発明1と甲2発明とを対比する。 後者の「一般紙」は、その機能及び構成からみて、前者の「原紙」に相当し、以下同様に、「紙上」は「片面」に、「シリカ」は「顔料」に、「ポリビニルアルコール」は「バインダー樹脂」に、「塗工層」は「塗工層」に、それぞれ相当する。 また、後者の「着色紙」は、塗工液を塗工して作成するのであるから、前者の「塗工紙」に相当する。 そうすると、本件発明1と甲2発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「原紙の少なくとも片面に、顔料およびバインダー樹脂を含有する塗工層を有する塗工紙。」 [相違点2] 本件発明1は「波長380〜500nmの可視光線領域に最大吸収ピークを有する有機化合物を少なくとも1種類含有し、前記有機化合物が、テトラセン誘導体、ポルフィリン誘導体、カロテン誘導体およびフコキサンチン誘導体から選ばれる少なくとも1つである」のに対し、甲2発明は、当該構成を有しない点。 (イ) 判断 相違点2について検討する。 塗工紙が、「波長380〜500nmの可視光線領域に最大吸収ピークを有する有機化合物を少なくとも1種類含有し、前記有機化合物が、テトラセン誘導体、ポルフィリン誘導体、カロテン誘導体およびフコキサンチン誘導体から選ばれる少なくとも1つである」ことは、提示されたいずれの証拠(甲1〜甲6)に記載されておらず、また、自明のものともいえない。 この点について、申立人は、特許異議申立書(第18ページ第19〜25行)において「求める色調を達成するために、周知のテトラセン誘導体、ポルフィリン誘導体、カロテン誘導体およびフコキサンチン誘導体等からなる色材を配合することは、当業者にとって容易なことに過ぎない」旨を主張するが、塗工紙に、波長380〜500nmの可視光線領域に最大吸収ピークを有する、テトラセン誘導体、ポルフィリン誘導体、カロテン誘導体およびフコキサンチン誘導体から選ばれる少なくとも1つの有機化合物を含有させることが周知であることを示す証拠は提示されていないから、申立人の当該主張は採用できない。 よって、本件発明1は、甲2発明ではない。また、甲2発明において、上記相違点2に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたものではない。 イ 本件発明2〜5、7〜11について 本件発明2〜5、7〜11は、本件発明1の構成をすべて含み、さらに限定を加えたものである。そうすると、本件発明1が、甲2発明ではなく、また、甲2発明に基づいて当業者が容易に想到できたものではない以上、本件発明2〜5、7〜11についても同様に、甲2発明ではなく、また、甲2発明に基づいて当業者が容易に想到できたものではない。 2 取消理由通知で採用しなかった特許異議申立理由について (1)サポート要件違反の申立理由について ア 特許異議申立理由の概要 申立人は、特許異議申立書において、次のように主張する。 本件特許明細書等によると、本件発明の課題は、ブルーライトの反射を抑制し、目の疲労を軽減することが可能な塗工紙とその製造方法を提供することであり(段落【0007】)、本件発明は、波長380〜500nmの可視光線領域に最大吸収ピークを有する有機化合物を含有させることで課題解決することが記載されている。そして、本件特許明細書等に記載された比較例3には、有機化合物としてTB910 Yellow FRを用いたものが記載されており、段落【0073】の記載されるように、この比較例3では、課題を解決できないとしている。 しかしながら、甲4が示すようにTB910 Yellow FRは最大吸収ピーク波長440nmの有機化合物である。すなわち、最大ピーク波長が440nmのイエロー着色顔料であるTB910 Yellow FRを含有するものが、課題を解決できないと開示されている。 さらに、波長380〜500nmの可視光線領域に最大吸収ピークを有する有機化合物が極僅かに含有するような場合では、課題を解決できないことは明らかである。 そうすると、本件発明は、課題を解決できるとはいえず、本件発明は、発明の詳細な説明に記載された範囲を超えていることは明らかであり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を充足しない。 イ 検討 本件特許明細書等の段落【0035】〜【0037】には、次の記載がある。 「【0035】 (ブルーライト) ブルーライト(青色光)とは、可視光線の中でも波長が380〜500nmの高エネルギーの光を指す。肉眼がブルーライトに長時間さらされると、眼精疲労、ドライアイ、睡眠障害、肩こり、頭痛などの原因になる可能性があり、近年、健康上の問題となってきているものである。 【0036】 (有機化合物) 本発明者は、塗工紙からのブルーライトの反射を抑制するために、波長380〜500nmの可視光線領域に吸収ピークを有する有機化合物を塗工紙に含有させることを検討した。中でも特に、波長380〜500nmの可視光線領域に最大吸収ピークを有する有機化合物(以下、単に「有機化合物」と記載することがある。)を検討した。 【0037】 塗工紙に有機化合物を含有させることにより、ブルーライトを含む可視光が吸収されるため、照明装置等から発せられる可視光のうち、ブルーライトの反射が抑制され、眼の疲労を軽減させることが可能となる。塗工紙は、有機化合物を少なくとも1種類含有すればよい。」 以上の記載によれば、波長が380〜500nmのブルーライトが眼精疲労等の原因になるなど健康上の問題があり、380〜500nmの可視光線領域に最大吸収ピークを有する有機化合物を含有させることで、塗工紙からブルーライトの反射を抑制して、目の疲労を軽減することが可能になるものとしている。 そして、最大吸収ピークの波長が477nmのテトラセン誘導体を顔料に添加した実施例1〜4において、ブルーライトが低減し、目の疲労度(官能評価)で「4.3以上4.5未満」又は「4.5以上」の良好な結果が得られることを確認している(段落【0067】〜【0069】)。 これらのことから、当業者であれば、「波長380〜500nmの可視光線領域に最大吸収ピークを有する有機化合物を少なくとも1種類含有」するとの事項を備える本件発明1が、ブルーライトの反射を抑制し、目の疲労を軽減することが可能な塗工紙とその製造方法を提供する(段落【0007】)という本件発明の課題を解決できることが理解できる。 ウ 申立人の主張について 申立人は、最大吸収ピークの波長が440nm(甲4による)のイエロー着色顔料を用いた比較例3が、本件発明が発明の課題を解決できるとはいえず、本件発明は、発明の詳細な説明に記載された範囲を超えていることは明らかであるとする。 しかし、最大吸収ピーク波長440nmのイエロー着色顔料による比較例3は、ブルーライト低減率が「5%」、目の疲労度(官能評価)で「3.8以上4.3未満」の評価であるのに対し、380〜500nmの可視光線領域に最大吸収ピークを有する有機化合物を含有しない比較例1は、ブルーライト低減率が「0%」、目の疲労度(官能評価)が「3.8未満」の評価であり、380〜500nmの可視光線領域に最大吸収ピークを有する有機化合物を含有することにより、ブルーライトが低減され、目の疲労度(官能評価)でも評価が向上していることがわかるから、比較例3が実施例1〜4に比べて目の疲労度の評価(官能評価)が相対的に低いことをもって、本件発明が発明の課題を解決し得ない理由とすることはできない。 よって、申立人のサポート要件に係る上記主張は採用できない。 (2)明確性要件違反の申立理由について ア 特許異議申立理由の概要 申立人は、特許異議申立書において、以下のように主張する。 上記(1)アのとおり、本件発明の範囲には、課題を解決することのできない比較例3も含まれるから、本件発明の課題を解決するために必要な技術的手段は何であるのか不明であり、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を充足しない。 イ 検討 本件発明1は、「波長380〜500nmの可視光線領域に最大吸収ピークを有する有機化合物を少なくとも1種類含有し、前記有機化合物が、テトラセン誘導体、ポルフィリン誘導体、カロテン誘導体およびフルコキサンチン誘導体から選ばれる少なくとも1つである」との記載で特定されるものであり、当該記載には日本語としても技術的にも不明確な点はなく、明確である。 よって、申立人の明確性要件に係る上記主張は採用できない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1〜5、7〜11に係る特許を取り消すことはできない。また、他に本件特許の請求項1〜5、7〜11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 本件特許の請求項6に係る特許については、本件訂正請求により削除されたから、請求項6に係る特許に対する特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 原紙の少なくとも片面に、顔料およびバインダー樹脂を含有する塗工層を有する塗工紙であって、 波長380〜500nmの可視光線領域に最大吸収ピークを有する有機化合物を少なくとも1種類含有し、 前記有機化合物が、テトラセン誘導体、ポルフィリン誘導体、カロテン誘導体およびフコキサンチン誘導体から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする塗工紙。 【請求項2】 前記塗工層が前記有機化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の塗工紙。 【請求項3】 前記塗工層の塗工面における白色度が70〜80%である請求項1または請求項2に記載の塗工紙。 【請求項4】 前記塗工層の塗工面におけるa*値が0〜−5.0である請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗工紙。 【請求項5】 前記塗工層の塗工面におけるb*値が1.0〜10.0である請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗工紙。 【請求項6】(削除) 【請求項7】 前記有機化合物がテトラセン誘導体であり、前記テトラセン誘導体が塗工層の固形分に対して0.01〜2質量%の割合で含有される請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗工紙。 【請求項8】 前記塗工層の塗工量が固形分として片面あたり2〜20g/m2である請求項1〜5、7のいずれか1項に記載の塗工紙。 【請求項9】 前記顔料に占める炭酸カルシウムの割合が60〜100質量%である請求項1〜5、7、8のいずれか1項に記載の塗工紙。 【請求項10】 前記バインダー樹脂がスチレン−ブタジエン系樹脂である請求項1〜5、7〜9のいずれか1項に記載の塗工紙。 【請求項11】 原紙の少なくとも片面に、ブレードコーターまたはロッドブレードコーターを用いて前記塗工層を塗工することを特徴とする請求項1〜5、7〜10のいずれか1項に記載の塗工紙の製造方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2023-11-21 |
出願番号 | P2019-104922 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YAA
(D21H)
P 1 651・ 113- YAA (D21H) P 1 651・ 537- YAA (D21H) |
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
井上 茂夫 |
特許庁審判官 |
八木 誠 筑波 茂樹 |
登録日 | 2022-08-16 |
登録番号 | 7124791 |
権利者 | 王子ホールディングス株式会社 |
発明の名称 | 塗工紙とその製造方法 |
代理人 | 弁理士法人磯野国際特許商標事務所 |
代理人 | 弁理士法人磯野国際特許商標事務所 |