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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01F
管理番号 1408535
総通号数 28 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2024-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-11-14 
確定日 2024-03-21 
事件の表示 特願2019−537228「磁性コアおよびこれを含むコイル部品」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 7月19日国際公開、WO2018/131848、令和 2年 2月20日国内公表、特表2020−505758〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)1月8日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2017年(平成29年)1月10日 韓国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和1年 7月11日 :手続補正書の提出
令和4年 1月13日付け:拒絶理由通知
令和4年 4月13日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 7月11日付け:拒絶査定(原査定)
令和4年11月14日 :審判請求書、手続補正書の提出


第2 令和4年11月14日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年11月14日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「【請求項1】
磁性コアおよび前記磁性コアに巻回されたコイルを含み、
前記磁性コアは、
第1粉末および第2粉末を含み、
前記第1粉末は前記第2粉末より硬度が小さく、
前記第1粉末の体積は前記第1粉末および前記第2粉末の全体積対比40%〜60%であり、前記コイルは、中空を基準として対称に配置された第1コイルおよび第2コイルを含む、コイル部品。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和4年4月13日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
磁性コアおよび前記磁性コアに巻回されたコイルを含み、
前記磁性コアは、
第1粉末および第2粉末を含み、
前記第1粉末は前記第2粉末より硬度が小さく、
前記第1粉末の体積は前記第1粉末および前記第2粉末の全体積対比40%〜60%である、コイル部品。」

2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「コイル」について、「コイルは、中空を基準として対称に配置された第1コイルおよび第2コイルを含む」ことの限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2005−294458号公報(平成17年10月20日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
「【0001】
本発明は、スイッチング電源用DC/DCコンバータに用いられるインダクタ、またはDCインダクタなど、高い電流もしくは高周波帯域で用いられる線輪部品に使用するのに好適な、高周波用複合磁性粉末材料および高周波用圧粉磁芯ならびに高周波用圧粉磁芯の製造方法に関する。」
「【実施例】
【0034】
以下に、本発明の実施例による高周波用複合磁性粉末材料および高周波用圧粉磁芯ならびに高周波用圧粉磁芯の製造方法について説明する。
【0035】
全体としてFe粉末(使用している粉末は水アトマイズ製法にて作製された粉末)、Fe−10wt%Si−5wt%B合金粉末(使用している粉末は水アトマイズ製法にて作製された粉末)を、それぞれ80wt%対20wt%、および60wt%対40wt%、および50wt%対50wt%、および40wt%対60wt%、および20wt%対80wt%となるように秤量し、秤量後の粉末全体の6.5wt%バインダを添加し、粉末混合設備によって40分間混合し、この複合磁性粉末材料を乾燥し、加圧成型を行い、順番に、発明品1、発明品2、発明品3、発明品4、発明品5を作製した。」
「【0041】
【表1】

【0042】
表1より、FeーSi−B粉末が、20wt%以上から80wt%以下の範囲にて透磁率が38以上が得られ、また密度も、4.90g/cm3以上得られている。FeーSi−B粉末が、50wt%の条件にて、透磁率が56と、最大値を示し、またこの条件の時、密度が、5.95g/cm3と、最大の密度が得られている。
【0043】
これは、前記Fe粉末のビッカース硬度が、120であり、また前記Fe−Si−B合金粉末のビッカース硬度が、910であり、前記粉末配合率にて、最も、充填の効率が良いことを示している。・・・」

(イ)上記(ア)から、特に「発明品3」に着目すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「スイッチング電源用DC/DCコンバータに用いられるインダクタに好適な高周波用圧粉磁芯であって、ビッカース硬度が120であるFe粉末、ビッカース硬度が910であるFe−Si−B合金粉末を、それぞれ50wt%対50wt%となるように秤量し、バインダを添加、混合、乾燥、加圧成型して作製した高周波用圧粉磁芯。」

イ 引用文献2
(ア)同じく原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2014−107294号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。
「【0001】
本発明は、ハイブリッド自動車などの車両に搭載される車載用DC‐DCコンバータや電力変換装置の構成部品などに利用されるリアクトル、リアクトルを具えるコンバータ、及びコンバータを具える電力変換装置に関する。・・・」
「【0036】
(コイル及び磁性コアの概略)
コイル2及び磁性コア3はいずれも、公知の形状、材質のものを利用することができる。ここでは、コイル2は、図3、図4に示すように、巻線2wを螺旋状に巻回してなる一対のコイル素子2a,2bと、両コイル素子2a,2bを連結する連結部2rとを有する。両コイル素子2a,2bは、互いに同一巻数で中空筒状であり、各軸方向が平行になるように並列(横並び)に配置されている。・・・」






(イ)上記記載から、引用文献2には、次の技術が記載されていると認められる。
「車載用DC‐DCコンバータの構成部品などに利用されるリアクトルにおいて、磁性コアに巻線を巻回してなる一対のコイル素子を各軸方向が平行となるように並列(横並び)に配置すること。」

(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「高周波用圧粉磁芯」は、本件補正発明の「磁性コア」に相当し、
引用発明の「Fe粉末」は、本件補正発明の「第1粉末」に相当し、
引用発明の「Fe−Si−B合金粉末」は、本件補正発明の「第2粉末」に相当する。
また、「Fe粉末」のビッカース硬度は120、「Fe−Si−B合金粉末」のビッカース硬度は910であるから、「Fe粉末」は「Fe−Si−B合金粉末」より硬度が小さいことは明らかである。
また、引用発明の発明品3は、「Fe粉末」と「Fe−Si−B合金粉末」をそれぞれ「50wt%対50wt%」となるように配合しており、各々の比重をふまえ当該配合比を体積%に換算すると、「50wt%対50wt%」は、48vol%対52vol%となる(Fe粉末の比重を7.9g/cm3、Fe−Si−B合金粉末の比重を7.2g/cm3として計算した。)。
したがって、引用発明の発明品3における「Fe粉末」の体積は、「Fe粉末」および「Fe−Si−B合金粉末」の全体積に対して、本件補正発明で特定する「40%〜60%」の範囲内にあると認められる。

イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「磁性コアを含み、
前記磁性コアは、
第1粉末および第2粉末を含み、
前記第1粉末は前記第2粉末より硬度が小さく、
前記第1粉末の体積は前記第1粉末および前記第2粉末の全体積対比40%〜60%である、部品。」
【相違点】
本件補正発明は、「磁性コアに巻回されたコイルを含み」、「コイルは、中空を基準として対称に配置された第1コイルおよび第2コイルを含む」「コイル」部品であると特定するのに対して、引用発明は、そのような特定を有していない点。

(4)判断
以下、相違点について検討する。

ア 例えば引用文献2に記載されているとおり、DC‐DCコンバータに利用されるリアクトルにおいて、磁性コアに巻線を巻回してなる一対のコイル素子を各軸方向が平行になるように並列(横並び)に配置すること、すなわち、環状コアの中空部分(一対のコイル素子の間)を基準として2つのコイルを対称に配置する技術は周知といえる技術である。

イ そして、引用発明は、引用文献1の段落【0001】に記載されているように、「スイッチング電源用DC/DCコンバータに用いられるインダクタ」に好適な発明であるため、上記周知技術のように、引用発明に係る部品を磁性コアにコイルを巻回した「コイル」部品とすることは、当業者が普通になし得たことであり、その際に中空を基準として対称に配置された2つのコイルを含むものとすることも、当業者が適宜なし得たことである。

ウ したがって、本件補正発明は、引用発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本願発明について
1 本願発明
令和4年11月14日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和4年4月13日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2の[補正の却下の決定の理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2005−294458号公報

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項は、前記第2の[補正の却下の決定の理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[補正の却下の決定の理由]2で検討した本件補正発明の「コイル」について、「前記コイルは、中空を基準として対称に配置された第1コイルおよび第2コイルを含む」ことの限定、すなわち、前記第2の[補正の却下の決定の理由]2(3)に記載した相違点に係る構成の一部を省いたものに相当する。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の限定事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[補正の却下の決定の理由]2(4)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


第4 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。

審判長 井上 信一
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
 
審理終結日 2023-10-19 
結審通知日 2023-10-24 
審決日 2023-11-08 
出願番号 P2019-537228
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01F)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 井上 信一
特許庁審判官 小池 秀介
畑中 博幸
発明の名称 磁性コアおよびこれを含むコイル部品  
代理人 市川 祐輔  
代理人 重森 一輝  
代理人 市川 英彦  
代理人 坪倉 道明  
代理人 安藤 健司  
代理人 櫻田 芳恵  
代理人 金山 賢教  
代理人 飯野 陽一  
代理人 川嵜 洋祐  
代理人 岩瀬 吉和  
代理人 小野 誠  
代理人 城山 康文  

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